特許第6804567号(P6804567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6804567組成物、膜、赤外線透過フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサ
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  • 特許6804567-組成物、膜、赤外線透過フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサ 図000057
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804567
(24)【登録日】2020年12月4日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】組成物、膜、赤外線透過フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/12 20060101AFI20201214BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20201214BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20201214BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20201214BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C08F290/12
   C08F290/14
   G02B5/20
   G03F7/004 505
   H01L27/146 D
【請求項の数】19
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2018-564627(P2018-564627)
(86)(22)【出願日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】JP2018002279
(87)【国際公開番号】WO2018139534
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2017-14422(P2017-14422)
(32)【優先日】2017年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】森 全弘
(72)【発明者】
【氏名】水野 明夫
(72)【発明者】
【氏名】尾田 和也
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/190162(WO,A1)
【文献】 特開2006−248113(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/130825(WO,A1)
【文献】 特開2012−255128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/00−290/14
C08D 7/40
C08D 151/00
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
H01L 27/146
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光材と、
ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量3000以上の化合物Aと、を含む組成物であり、
前記化合物Aは、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含み、
前記化合物Aが有するラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基から選ばれる少なくとも1種であり、
前記組成物の波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが5以上である、組成物。
【請求項2】
前記化合物Aが有するラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基、スチレン基およびマレイミド基から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物Aが有するラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造およびポリアミド構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記グラフト鎖は、ポリエステル構造を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量が1000以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物Aは、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位と、グラフト鎖を有する繰り返し単位とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物Aは、下記式(A−1−1)で表される繰り返し単位と、下記式(A−1−2)で表される繰り返し単位とを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物;
【化1】
式(A−1−1)において、Xは繰り返し単位の主鎖を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Yはラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する基を表す;
式(A−1−2)において、Xは繰り返し単位の主鎖を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Wはグラフト鎖を表す。
【請求項9】
前記化合物Aは、更に、酸基を有する繰り返し単位を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物Aのラジカル重合性のエチレン性不飽和基量が0.2〜5.0mmol/gである、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物Aの酸価が20〜150mgKOH/gである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記遮光材は、2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記遮光剤は、有機系黒色着色剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
更に、近赤外線吸収剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物から得られる膜。
【請求項16】
請求項15に記載の膜を有する赤外線透過フィルタ。
【請求項17】
請求項15に記載の膜を有する固体撮像素子。
【請求項18】
請求項15に記載の膜を有する画像表示装置。
【請求項19】
請求項15に記載の膜を有する赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、膜、赤外線透過フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子は、様々な用途で光センサとして活用されている。例えば、赤外線は可視光線に比べて波長が長いので散乱しにくく、距離計測や、3次元計測などにも活用可能である。また、赤外線は人間、動物などの目に見えないので、夜間に被写体を赤外線光源で照らしても被写体に気付かれることなく、夜行性の野生動物を撮影する用途、防犯用途として相手を刺激せずに撮影することにも使用可能である。このように、赤外線に感知する光センサ(赤外線センサ)は、様々な用途に展開が可能であり、赤外線透過フィルタの開発が近年望まれている。
【0003】
特許文献1には、顔料、光重合開始剤、および重合性化合物を含み、波長600nmにおける分光透過率が30%である着色感放射線性組成物層を形成した場合に、この着色感放射線性組成物層が、下記(1)〜(5)の条件を満足する着色感放射線性組成物が記載されている。
(1)400nmにおける分光透過率が20%以下である。
(2)550nmにおける分光透過率が10%以下である。
(3)700nmにおける分光透過率が70%以上である。
(4)分光透過率50%を示す波長が、650nm〜680nmの範囲である。
(5)着色感放射線性組成物層が0.55μm〜1.8μmの範囲の膜厚を有する。
【0004】
特許文献2には、膜厚1μmの膜を形成した際に、膜の厚み方向の光透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向の光透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が90%以上である組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−77009号公報
【特許文献2】特開2014−130338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
赤外線透過フィルタに求められる分光特性としては、可視光の遮光性が高く、かつ、特定の波長領域の赤外線を選択的に透過できる分光特性を有することが望まれている。このような分光特性を達成するにあたり、赤外線透過フィルタの製造に用いられる組成物においては、複数の着色剤などで構成された遮光材を含んでいることが多い。
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、このような組成物を用いて形成される膜においては、製膜時に遮光材などが凝集して色ムラが生じやすいことが分かった。特に、遮光材として複数の着色剤を含む場合においては、凝集が生じやすく、色ムラが生じやすかった。
【0008】
よって、本発明の目的は、色ムラの少ない膜を製造できる組成物を提供することにある。また、膜、赤外線透過フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、後述する構成の組成物とすることにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 遮光材と、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量3000以上の化合物Aと、を含む組成物であり、化合物Aは、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含み、
組成物の波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが5以上である、組成物。
<2> 化合物Aが有するラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基から選ばれる少なくとも1種である、<1>に記載の組成物。
<3> グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造およびポリアミド構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含む、<1>または<2>に記載の組成物。
<4> グラフト鎖は、ポリエステル構造を含む、<3>に記載の組成物。
<5> グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量が1000以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の組成物。
<6> 化合物Aは、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位と、グラフト鎖を有する繰り返し単位とを含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の組成物。
<7> 化合物Aは、下記式(A−1−1)で表される繰り返し単位と、下記式(A−1−2)で表される繰り返し単位とを含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の組成物;
【化1】
式(A−1−1)において、X1は繰り返し単位の主鎖を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Y1はラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する基を表す;
式(A−1−2)において、X2は繰り返し単位の主鎖を表し、L2は単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。
<8> 化合物Aは、更に、酸基を有する繰り返し単位を含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の組成物。
<9> 化合物Aのラジカル重合性のエチレン性不飽和基量が0.2〜5.0mmol/gである、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の組成物。
<10> 化合物Aの酸価が20〜150mgKOH/gである、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の組成物。
<11> 遮光材は、2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の組成物。
<12> 遮光剤は、有機系黒色着色剤を含む、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の組成物。
<13> 更に、近赤外線吸収剤を含む、<1>〜<12>のいずれか1つに記載の組成物。
<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載の組成物から得られる膜。
<15> <14>に記載の膜を有する赤外線透過フィルタ。
<16> <14>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<17> <14>に記載の膜を有する画像表示装置。
<18> <14>に記載の膜を有する赤外線センサ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、色ムラの少ない膜を製造できる組成物を提供できる。また、膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】赤外線センサの一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定でのポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TOSOH TSKgel Super HZM−HとTOSOH TSKgel Super HZ4000とTOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラムを用い、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いることによって求めることができる。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、近赤外線とは、波長700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0013】
<組成物>
本発明の組成物は、遮光材と、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量3000以上の化合物Aと、を含み、化合物Aは、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含み、組成物の波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが5以上である。
【0014】
本発明の組成物は、色ムラの抑制された膜を製造できる。このような効果が得られる理由としては次によるものであると推測される。化合物Aのラジカル重合性のエチレン性不飽和基や酸基と、遮光材とが相互作用することにより化合物Aが遮光材と近接し、遮光材は化合物Aに包まれるようにして組成物中に存在していると推測される。そして、この化合物Aは、グラフト鎖を有する繰り返し単位を有するので、グラフト鎖による立体障害によって遮光材の凝集などを抑制できると推測される。また、化合物Aはラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有するが、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、反応性に優れるため、遮光材の近傍で化合物Aが硬化すると考えられる。このため、製膜時において遮光材などの凝集を効果的に抑制できると推測される。このため、本発明によれば、色ムラの少ない膜を製造することができる推測される。
【0015】
また、本発明の組成物は、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが5以上であるので、可視光を遮光し、特定の波長領域の赤外線を透過する膜を形成できる。
【0016】
また、化合物Aはラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有するが、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、反応性に優れるため、膜の硬化性を高めることができ、膜の支持体などに対する密着性を高めることができる。
【0017】
本発明の組成物において、上記吸光度の条件は、例えば、遮光材の種類およびその含有量を調整することにより、上記吸光度の条件を好適に達成できる。
【0018】
本発明の組成物が有する分光特性については、上述したAmin/Bmaxの値は、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。
【0019】
ある波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(1)により定義される。
Aλ=−log(Tλ/100) ・・・(1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、組成物を用いて製膜した膜での値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法により、乾燥後の膜の厚さが所定の厚さとなるように組成物を塗布し、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥して調製した膜を用いて測定することが好ましい。膜の厚さは、膜を有する基板について、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定することができる。
【0020】
また、吸光度は、従来公知の分光光度計を用いて測定できる。吸光度の測定条件は特に限定はないが、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminが、0.1〜3.0になるように調整した条件で、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxを測定することが好ましい。このような条件で吸光度を測定することで、測定誤差をより小さくできる。波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminが、0.1〜3.0になるように調整する方法としては、特に限定はない。例えば、組成物の状態で吸光度を測定する場合は、試料セルの光路長を調整する方法が挙げられる。また、膜の状態で吸光度を測定する場合は、膜厚を調整する方法などが挙げられる。
【0021】
本発明の組成物により形成される膜の分光特性、膜厚等の測定方法の具体例を以下に示す。
本発明の組成物を、ガラス基板上にスピンコート等の方法により、乾燥後の膜の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥する。膜の厚さは、膜を有する乾燥後の基板を、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定する。この膜を有する乾燥後の基板を、紫外可視近赤外分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U−4100)を用いて、波長300〜1300nmの範囲において透過率を測定する。
【0022】
本発明の組成物は、赤外線を透過することから、赤外線透過性組成物とも言える。以下に、本発明の組成物を構成し得る各成分について説明する。
【0023】
<<遮光材>>
本発明の組成物は、遮光材を含有する。本発明において、遮光材は、紫色から赤色の波長領域の光を吸収する色材であることが好ましい。また、本発明において、遮光材は、波長400〜640nmの波長領域の光を遮光する色材であることが好ましい。また、遮光材は、波長1100〜1300nmの光を透過する色材であることが好ましい。本発明において、遮光材は、以下の(A)および(B)の少なくとも一方の要件を満たすことが好ましい。
(1):2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している。
(2):有機系黒色着色剤を含む。(2)の態様において、更に有彩色着色剤を含有することも好ましい。
なお、本発明において、有彩色着色剤とは、白色着色剤および黒色着色剤以外の着色剤を意味する。また、本発明において、遮光材に用いられる有機系黒色着色剤は、可視光を吸収するが、赤外線の少なくとも一部は透過する材料を意味する。したがって、本発明において、遮光材に用いられる有機系黒色着色剤は、可視光線および赤外線の両方を吸収する黒色着色剤、例えば、カーボンブラックやチタンブラックは含まない。有機系黒色着色剤は、波長400nm以上700nm以下の範囲に極大吸収波長を有する着色剤が好ましい。
【0024】
本発明において、遮光材は、例えば、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bとの比であるA/Bが4.5以上であることが好ましい。
上記の特性は、1種類の素材で満たしていてもよく、複数の素材の組み合わせで満たしていてもよい。例えば、上記(1)の態様の場合、複数の有彩色着色剤を組み合わせて上記分光特性を満たしていることが好ましい。また、上記(2)の態様の場合、有機系黒色着色剤が上記分光特性を満たしていてもよい。また、有機系黒色着色剤と有彩色着色剤との組み合わせで上記の分光特性を満たしていてもよい。
【0025】
(有彩色着色剤)
本発明において、有彩色着色剤は、赤色着色剤、緑色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤およびオレンジ色着色剤から選ばれる着色剤であることが好ましい。本発明において、有彩色着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。好ましくは顔料である。顔料は、平均粒径(r)が、20nm≦r≦300nmであることが好ましく、25nm≦r≦250nmであることがより好ましく、30nm≦r≦200nmであることが更に好ましい。ここでいう「平均粒径」とは、顔料の一次粒子が集合した二次粒子についての平均粒径を意味する。また、使用しうる顔料の二次粒子の粒径分布(以下、単に「粒径分布」ともいう。)は、平均粒径±100nmの範囲に含まれる二次粒子が全体の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。なお、二次粒子の粒径分布は、散乱強度分布を用いて測定することができる。
【0026】
顔料は、有機顔料であることが好ましい。有機顔料としては以下のものが挙げられる。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)、
これら有機顔料は、単独若しくは種々組合せて用いることができる。
【0027】
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。また、特開2015−028144号公報、特開2015−34966号公報に記載の染料を用いることもできる。
【0028】
遮光材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種以上を含むことが好ましい。すなわち、遮光材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種類以上の着色剤の組み合わせで黒色を形成していることが好ましい。好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられる。
(1)赤色着色剤と青色着色剤とを含有する態様。
(2)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤とを含有する態様。
(3)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
(4)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(5)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(6)赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(7)黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
【0029】
上記(1)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤=20〜80:20〜80であることが好ましく、20〜60:40〜80であることがより好ましく、20〜50:50〜80であることが更に好ましい。
上記(2)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤=10〜80:20〜80:10〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:10〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:10〜20であることが更に好ましい。
上記(3)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(4)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(5)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(6)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:10〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:10〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:10〜20であることが更に好ましい。
上記(7)の態様において、黄色着色剤と紫色着色剤の質量比は、黄色着色剤:紫色着色剤=10〜50:40〜80であることが好ましく、20〜40:50〜70であることがより好ましく、30〜40:60〜70であることが更に好ましい。
【0030】
黄色着色剤としては、C.I.Pigment Yellow 139,150,185が好ましく、C.I.Pigment Yellow 139,150がより好ましく、C.I.Pigment Yellow 139が更に好ましい。青色着色剤としては、C.I.Pigment Blue 15:6が好ましい。紫色着色剤としては、C.I.Pigment Violet 23が好ましい。赤色着色剤としては、Pigment Red 122,177,224,254が好ましく、Pigment Red 122,177254がより好ましく、Pigment Red 254が更に好ましい。緑色着色剤としては、C.I.Pigment Green 7、36、58、59が好ましい。
【0031】
(有機系黒色着色剤)
本発明において、有機系黒色着色剤としては、例えば、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ系化合物などが挙げられ、ビスベンゾフラノン化合物、ペリレン化合物が好ましい。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010−534726号公報、特表2012−515233号公報、特表2012−515234号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、C.I.Pigment Black 31、32などが挙げられる。アゾメチン化合物としては、特開平1−170601号公報、特開平2−34664号公報などに記載のものが挙げられ、例えば、大日精化社製の「クロモファインブラックA1103」として入手できる。
【0032】
本発明において、ビスベンゾフラノン化合物は、下記式で表される化合物およびこれらの混合物であることが好ましい。
【化2】
式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R3およびR4はそれぞれ独立して置換基を表し、aおよびbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、aが2以上の場合、複数のR3は、同一であってもよく、異なってもよく、複数のR3は結合して環を形成していてもよく、bが2以上の場合、複数のR4は、同一であってもよく、異なってもよく、複数のR4は結合して環を形成していてもよい。
【0033】
1〜R4が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−OR301、−COR302、−COOR303、−OCOR304、−NR305306、−NHCOR307、−CONR308309、−NHCONR310311、−NHCOOR312、−SR313、−SO2314、−SO2OR315、−NHSO2316または−SO2NR317318を表し、R301〜R318は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
【0034】
ビスベンゾフラノン化合物の詳細については、特表2010−534726号公報の段落番号0014〜0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0035】
本発明において、遮光材として有機系黒色着色剤を用いる場合、有彩色着色剤と組み合わせて使用することが好ましい。有機系黒色着色剤と有彩色着色剤とを併用することで、優れた分光特性が得られ易い。有機系黒色着色剤と組み合わせて用いる有彩色着色剤としては、例えば、赤色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤などが挙げられ、赤色着色剤および青色着色剤が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有彩色着色剤と有機系黒色着色剤との混合割合は、有機系黒色着色剤100質量部に対して、有彩色着色剤が10〜200質量部が好ましく、15〜150質量部がより好ましい。
【0036】
本発明において、遮光材における顔料の含有量は、遮光材の全量に対して95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましい。
【0037】
本発明の組成物において、遮光材の含有量は、組成物の全固形分に対して10〜70質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
【0038】
<<化合物A>>
本発明の組成物は、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含み、かつ、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量(Mw)3000以上の化合物Aを含む。本発明において、化合物Aは、分散剤として用いることもできる。
【0039】
化合物Aの重量平均分子量は、3000以上であり、3000〜50,000であることが好ましく、7000〜40,000であることがより好ましく、10000〜30000であることが更に好ましい。化合物Aの重量平均分子量が3000以上であれば、遮光材などの分散性が良好である。
【0040】
化合物Aが有するラジカル重合性のエチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が更に好ましく、アクリロイル基であることが特に好ましい。(メタ)アクリロイル基は反応性が特に優れ、また、立体障害が小さいため、遮光材などの近傍で硬化しやすく、本発明の効果がより顕著に得られる。
【0041】
化合物Aのラジカル重合性のエチレン性不飽和基量(以下、C=C価ともいう)は、0.2〜5.0mmol/gであることが好ましい。上限は、4.0mmol/g以下であることがより好ましく、3.0mmol/g以下であることが更に好ましい。下限は、0.3mmol/g以上であることがより好ましい。化合物AのC=C価は、化合物Aの固形分1gあたりのC=C基のモル量を表した数値である。化合物AのC=C価は、アルカリ処理によって化合物AからC=C基部位(例えば、後述するP−1においてはメタクリル酸、P−2においてはアクリル酸)の低分子成分(a)を取り出し、その含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、下記式から算出することができる。また、化合物AからC=C基部位をアルカリ処理で抽出することができない場合においては、NMR法(核磁気共鳴)にて測定した値を用いる。
化合物AのC=C価[mmol/g]=(低分子成分(a)の含有量[ppm]/低分子成分(a)の分子量[g/mol])/(化合物Aの秤量値[g]×(化合物Aの固形分濃度[質量%]/100)×10)
【0042】
化合物Aにおいて、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基は、繰り返し単位の側鎖に有していることが好ましい。すなわち、化合物Aは、下記式(A−1−1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【化3】
式(A−1−1)において、X1は繰り返し単位の主鎖を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Y1はラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する基を表す。
【0043】
式(A−1−1)において、X1が表す繰り返し単位の主鎖としては、特に限定はない。公知の重合可能なモノマーから形成される連結基であれば得に制限ない。例えば、ポリ(メタ)アクリル系連結基、ポリアルキレンイミン系連結基、ポリエステル系連結基、ポリウレタン系連結基、ポリウレア系連結基、ポリアミド系連結基、ポリエーテル系連結基、ポリスチレン系連結基などが挙げられ、原料素材の入手性や製造適性の観点からポリ(メタ)アクリル系連結基、ポリアルキレンイミン系連結基が好ましく、(メタ)アクリル系連結基がより好ましい。
【0044】
式(A−1−1)において、L1が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1〜12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基)、−NH−、−SO−、−SO2−、−CO−、−O−、−COO−、OCO−、−S−およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。また、アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基などが挙げられ、製造適性の観点からヒドロキシル基が好ましい。
【0045】
式(A−1−1)において、Y1はラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基、マレイミド基から選ばれる少なくとも1種を含む基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が更に好ましい。
【0046】
式(A−1−1)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A−1−1a)で表される繰り返し単位、下記式(A−1−1b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化4】
【0047】
式(A−1−1a)において、Ra1〜Ra3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qa1は、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−またはフェニレン基を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Y1はラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する基を表す。Ra1〜Ra3が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましく、1が更に好ましい。Qa1は、−COO−または−CONH−であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
【0048】
式(A−1−1b)において、Ra10およびRa11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m1は1〜5の整数を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Y1はラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する基を表す。Ra10およびRa11が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0049】
本発明において、化合物Aにおけるグラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。グラフト鎖の長さについては特に制限されないが、グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり、遮光材などの分散性を高めることができる。グラフト鎖としては、水素原子を除いた原子数が40〜10000であることが好ましく、水素原子を除いた原子数が50〜2000であることがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60〜500であることが更に好ましい。
【0050】
グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造およびポリアミド構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、ポリエステル構造、ポリエーテル構造およびポリ(メタ)アクリル構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことがより好ましく、ポリエステル構造を含むことが更に好ましい。ポリエステル構造としては、下記の式(G−1)、式(G−4)または式(G−5)で表される構造が挙げられる。また、ポリエーテル構造としては、下記の式(G−2)で表される構造が挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル構造としては、下記の式(G−3)で表される構造が挙げられる。
【化5】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれ独立してアルキレン基を表す。RG1およびRG2で表されるアルキレン基としては特に制限されないが、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。
上記式において、RG3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、QG1は、−O−または−NH−を表し、LG1は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1〜12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基)、−NH−、−SO−、−SO2−、−CO−、−O−、−COO−、OCO−、−S−およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
G4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。
【0051】
例えば、グラフト鎖がポリエステル構造を含む場合、1種類のポリエステル構造のみを含んでいてもよく、RG1が互いに異なるポリエステル構造を2種類以上含んでいてもよい。また、グラフト鎖がポリエーテル構造を含む場合、1種類のポリエーテル構造のみを含んでいてもよく、RG2が互いに異なるポリエーテル構造を2種類以上含んでいてもよい。また、グラフト鎖がポリ(メタ)アクリル構造を含む場合、1種類のポリ(メタ)アクリル構造のみを含んでいてもよく、RG3、QG1、LG1およびRG4から選ばれる少なくとも1種が互いに異なるポリ(メタ)アクリル構造を2種類以上含んでいてもよい。
【0052】
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、遮光材などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5〜24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0053】
本発明において、グラフト鎖としては、下記式(G−1a)、式(G−2a)、式(G−3a)、式(G−4a)または式(G−5a)で表される構造であることが好ましい。
【化6】
【0054】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、RG3は、水素原子またはメチル基を表し、QG1は、−O−または−NH−を表し、LG1は、単結合または2価の連結基を表し、RG4は、水素原子または置換基を表し、W100は水素原子または置換基を表す。n1〜n5は、それぞれ独立して2以上の整数を表す。RG1〜RG4、QG1、LG1については、式(G−1)〜(G−5)で説明したRG1〜RG4、QG1、LG1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0055】
式(G−1a)〜(G−5a)において、W100は、置換基であることが好ましい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、遮光材などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5〜24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0056】
式(G−1a)〜(G−5a)において、n1〜n5は、それぞれ独立して2〜100の整数が好ましく、2〜80の整数がより好ましく、8〜60の整数が更に好ましい。
【0057】
なお、式(G−1a)において、n1が2以上の場合における各繰り返し単位中のRG1同士は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、RG1が異なる繰り返し単位を2種以上含む場合においては、各繰り返し単位の配列は特に限定は無く、ランダム、交互、及び、ブロックのいずれであってもよい。式(G−2a)〜式(G−5a)においても同様である。
【0058】
グラフト鎖を有する繰り返し単位としては、下記式(A−1−2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化7】
【0059】
式(A−1−2)において、X2は繰り返し単位の主鎖を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Wはグラフト鎖を表す。
式(A−1−2)におけるX2が表す繰り返し単位の主鎖としては、式(A−1−1)のX1で説明した構造が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(A−1−2)におけるL2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基)、−NH−、−SO−、−SO2−、−CO−、−O−、−COO−、OCO−、−S−およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。式(A−1−2)におけるW1が表すグラフト鎖としては、上述したグラフト鎖が挙げられる。
【0060】
式(A−1−2)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A−1−2a)で表される繰り返し単位、下記式(A−1−2b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化8】
【0061】
式(A−1−2a)において、Rb1〜Rb3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qb1は、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−またはフェニレン基を表し、L2は、単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。Rb1〜Rb3が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましく、1が更に好ましい。Qb1は、−COO−または−CONH−であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
【0062】
式(A−1−2b)において、Rb10およびRb11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m2は1〜5の整数を表し、L2は、単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。Rb10およびRb11が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0063】
化合物Aにおいて、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量(Mw)としては、1000以上であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましく、1000〜7500であることが更に好ましい。なお、本発明において、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量は、同繰り返し単位の重合に用いた原料モノマーの重量平均分子量から算出した値である。例えば、グラフト鎖を有する繰り返し単位は、マクロモノマーを重合することで形成できる。ここで、マクロモノマーとは、ポリマー末端に重合性基が導入された高分子化合物を意味する。マクロモノマーを用いてグラフト鎖を有する繰り返し単位を形成した場合においては、マクロモノマーの重量平均分子量がグラフト鎖を有する繰り返し単位に該当する。
【0064】
化合物Aは、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位と、グラフト鎖を有する繰り返し単位とを含むことが好ましい。また、化合物Aにおいて、ラジカル重合性のエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位は、化合物Aの全繰り返し単位中10〜80モル%含有することが好ましく、20〜70モル%含有することがより好ましい。また、化合物Aにおいて、グラフト鎖を有する繰り返し単位は、化合物Aの全繰り返し単位中1.0〜60モル%含有することが好ましく、1.5〜50モル%含有することがより好ましい。
【0065】
化合物Aは、更に酸基を有する繰り返し単位を含むことも好ましい。化合物Aが更に酸基を有する繰り返し単位を含むことで、遮光材などの分散性をより向上できる。更には、現像性を向上させることもできる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0066】
酸基を有する繰り返し単位としては、下記式(A−1−3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化9】
【0067】
式(A−1−3)において、X3は繰り返し単位の主鎖を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Aは酸基を表す。
式(A−1−3)におけるX3が表す繰り返し単位の主鎖としては、式(A−1−1)のX1で説明した構造が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
式(A−1−3)におけるL3が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜12のアルケニレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1〜12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基)、−NH−、−SO−、−SO2−、−CO−、−O−、−COO−、OCO−、−S−およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。また、アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ヒドロキシル基などが挙げられる。
式(A−1−3)におけるA1が表す酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0068】
式(A−1−3)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A−1−3a)で表される繰り返し単位、下記式(A−1−3b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化10】
【0069】
式(A−1−3a)において、Rc1〜Rc3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qb1は、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−またはフェニレン基を表し、L3は、単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。Rc1〜Rc3が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましく、1が更に好ましい。Qb1は、−COO−または−CONH−であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
【0070】
式(A−1−3b)において、Rc10およびRc11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m3は1〜5の整数を表し、L3は、単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。Rc10およびRc11が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0071】
式(A−1−3a)で表される繰り返し単位としては、下記式(A−1−3a−1)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
【化11】
式(A−1−3a−1)において、Rc1〜Rc3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qc1は、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−またはフェニレン基を表し、L10は、単結合またはアルキレン基を表し、L11は、単結合、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−OCO−または−COO−を表し、Rc4は、アルキレン基またはアリーレン基を表し、pは0〜5の整数を表す。ただし、pが0の場合、L11が−COO−であるか、L10およびL11が単結合でかつQc1が−COO−である。
【0072】
式(A−1−3a−1)において、Rc1〜Rc3が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましく、1が更に好ましい。Qb1は、−COO−または−CONH−であることが好ましく、−COO−であることがより好ましい。
【0073】
式(A−1−3a−1)において、L10が表すアルキレン基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましく、直鎖状がより好ましい。L10は単結合であることが好ましい。
【0074】
式(A−1−3a−1)において、L11は、単結合または−OCO−であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
【0075】
式(A−1−3a−1)において、Rc4は、アルキレン基であることが好ましい。アルキレン機の炭素数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが特に好ましい。Rc4が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
【0076】
式(A−1−3a−1)において、pは0〜5の整数を表し、0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましい。
【0077】
化合物Aが、酸基を有する繰り返し単位を含む場合、酸基を有する繰り返し単位は、化合物Aの全繰り返し単位中80モル%以下含有することが好ましく、10〜80モル%含有することがより好ましい。
【0078】
化合物Aの酸価としては、20〜150mgKOH/gであることが好ましい。上限は、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。下限は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、35mgKOH/g以上であることがより好ましい。化合物Aの酸価が上記範囲であれば、特に優れた分散性が得られやすい。さらには、優れた現像性が得られやすい。
【0079】
化合物Aは、更に他の繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、化合物Aが、グラフト鎖を有する繰り返し単位として、上述した式(A−1−2b)で表される繰り返し単位を含む場合においては、さらに下記式(A−1−4b)および/または式(A−1−5b)で表される繰り返し単位を含むことができる。
【0080】
【化12】
【0081】
式(A−1−4b)において、Rd10およびRd11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m4は1〜5の整数を表す。Rd10およびRd11が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0082】
式(A−1−5b)において、Re10およびRe11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m5は1〜5の整数を表し、De1はアニオン基を表し、Le1は単結合または2価の連結基を表し、We1はグラフト鎖を表す。Re10およびRe11が表すアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜3がより好ましい。De1が表すアニオン基としては、−SO3-、−COO-、−PO4-、−PO4-などが挙げられる。Le1が表す2価の連結基、We1が表すグラフト鎖としては、上述した式(A−1−2)のL2、W1で説明したものが挙げられる。
【0083】
化合物Aの具体例としては以下が挙げられる。
【化13】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【化14】
【表7】
【0084】
本発明の組成物において、化合物Aの含有量は、組成物の全固形分に対して、5〜50質量%であることが好ましい。下限は7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。上限は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0085】
<<近赤外線吸収剤>>
本発明の組成物は、近赤外線吸収剤を含有することができる。赤外線透過フィルタにおいて、近赤外線吸収剤は、透過する光(近赤外線)をより長波長側に限定する役割を有している。
【0086】
本発明において、近赤外線吸収剤としては、赤外領域(好ましくは、波長700nmを超え1300nm以下)の波長領域に極大吸収波長を有する化合物を好ましく用いることができる。近赤外線吸収剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。
【0087】
本発明において、近赤外線吸収剤としては、単環または縮合環の芳香族環を含むπ共役平面を有する近赤外線吸収化合物を好ましく用いることができる。近赤外線吸収化合物が有するπ共役平面を構成する水素以外の原子数は、14個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましく、25個以上であることが更に好ましく、30個以上であることが特に好ましい。上限は、例えば、80個以下であることが好ましく、50個以下であることがより好ましい。
【0088】
近赤外線吸収化合物が有するπ共役平面は、単環または縮合環の芳香族環を2個以上含むことが好ましく、前述の芳香族環を3個以上含むことがより好ましく、前述の芳香族環を4個以上含むことが更に好ましく、前述の芳香族環を5個以上含むことが特に好ましい。上限は、100個以下が好ましく、50個以下がより好ましく、30個以下が更に好ましい。前述の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、クアテリレン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、キノキサリン環、ピリミジン環、キナゾリン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、インドール環、イソインドール環、カルバゾール環、および、これらの環を有する縮合環が挙げられる。
【0089】
近赤外線吸収化合物は、波長700〜1000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。なお、本明細書において、「波長700〜1000nmの範囲に極大吸収波長を有する」とは、近赤外線吸収化合物の溶液での吸収スペクトルにおいて、波長700〜1000nmの範囲に最大の吸光度を示す波長を有することを意味する。近赤外線吸収化合物の溶液中での吸収スペクトルの測定に用いる測定溶媒は、クロロホルム、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、テトラヒドロフランが挙げられる。クロロホルムで溶解する化合物の場合は、クロロホルムを測定溶媒として用いる。クロロホルムで溶解しない化合物の場合は、メタノールを用いる。また、クロロホルムおよびメタノールのいずれにも溶解しない場合はジメチルスルホキシドを用いる。
【0090】
本発明において、近赤外線吸収化合物は、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、ジイモニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物及びジベンゾフラノン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびジイモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物およびスクアリリウム化合物から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール化合物が特に好ましい。ジイモニウム化合物としては、例えば、特表2008−528706号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。フタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006−343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013−195480号公報の段落番号0013〜0029に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ナフタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ジイモニウム化合物およびスクアリリウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落番号0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、近赤外線吸収化合物としては、特開2016−146619号公報に記載された化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0091】
ピロロピロール化合物としては、式(PP)で表される化合物であることが好ましい。
【化15】
式中、R1aおよびR1bは、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2およびR3は、各々独立に水素原子または置換基を表し、R2およびR3は、互いに結合して環を形成してもよく、R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−BR4A4B、または金属原子を表し、R4は、R1a、R1bおよびR3から選ばれる少なくとも一つと共有結合もしくは配位結合していてもよく、R4AおよびR4Bは、各々独立に置換基を表す。式(PP)の詳細については、特開2009−263614号公報の段落番号0017〜0047、特開2011−68731号公報の段落番号0011〜0036、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0024の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0092】
1aおよびR1bは、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、R1aおよびR1bが表すアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−OCOR11、−SOR12、−SO213などが挙げられる。R11〜R13は、それぞれ独立に、炭化水素基または複素環基を表す。また、置換基としては、特開2009−263614号公報の段落番号0020〜0022に記載された置換基が挙げられる。なかでも、置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、−OCOR11、−SOR12、−SO213が好ましい。R1a、R1bで表される基としては、分岐アルキル基を有するアルコキシ基を置換基として有するアリール基、ヒドロキシル基を置換基として有するアリール基、または、−OCOR11で表される基を置換基として有するアリール基であることが好ましい。分岐アルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜20がより好ましい。
【0093】
2およびR3の少なくとも一方は電子求引性基が好ましく、R2は電子求引性基(好ましくはシアノ基)を表し、R3はヘテロアリール基を表すことがより好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示される。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。式(PP)における2個のR2同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、式(PP)における2個のR3同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0094】
4は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基または−BR4A4Bで表される基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基または−BR4A4Bで表される基であることがより好ましく、−BR4A4Bで表される基であることが更に好ましい。R4AおよびR4Bが表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。式(PP)における2個のR4同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0095】
式(PP)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。また、ピロロピロール化合物としては、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載の化合物、特開2011−68731号公報の段落番号0037〜0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0033に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【化16】
【0096】
スクアリリウム化合物としては、下記式(SQ)で表される化合物が好ましい。
【化17】
式(SQ)中、A1およびA2は、それぞれ独立に、アリール基、ヘテロアリール基または式(A−1)で表される基を表す;
【化18】
式(A−1)中、Z1は、含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、R2は、アルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、dは、0または1を表し、波線は連結手を表す。式(SQ)の詳細については、特開2011−208101号公報の段落番号0020〜0049の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0097】
なお、式(SQ)においてカチオンは、以下のように非局在化して存在している。
【化19】
【0098】
スクアリリウム化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられる。また、スクアリリウム化合物としては、特開2011−208101号公報の段落番号0044〜0049に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化20】
【0099】
シアニン化合物は、式(C)で表される化合物が好ましい。
式(C)
【化21】
式中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子団であり、
101およびR102は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、
1は、奇数個のメチン基を有するメチン鎖を表し、
aおよびbは、それぞれ独立に、0または1であり、
aが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが二重結合で結合し、bが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが単結合で結合し、
式中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、cは0である。
【0100】
シアニン化合物としては、特開2009−108267号公報の段落番号0044〜0045に記載の化合物、特開2002−194040号公報の段落番号0026〜0030に記載の化合物、特開2015−172004号公報に記載の化合物、特開2015−172102号公報に記載の化合物、特開2008−88426号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0101】
本発明において、近赤外線吸収化合物としては、市販品を用いることもできる。例えば、SDO−C33(有本化学工業(株)製)、イーエクスカラーIR−14、イーエクスカラーIR−10A、イーエクスカラーTX−EX−801B、イーエクスカラーTX−EX−805K((株)日本触媒製)、ShigenoxNIA−8041、ShigenoxNIA−8042、ShigenoxNIA−814、ShigenoxNIA−820ShigenoxNIA−839(ハッコーケミカル社製)、EpoliteV−63、Epolight3801、Epolight3036(EPOLIN社製)、PRO−JET825LDI(富士フイルム(株)製)、NK−3027、NK−5060((株)林原製)、YKR−3070(三井化学(株)製)などが挙げられる。
【0102】
本発明の組成物において、近赤外線吸収剤として、無機粒子を用いることもできる。無機粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。無機粒子としては、金属酸化物粒子または金属粒子が好ましい。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などが挙げられる。金属粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子など挙げられる。また、無機粒子としては酸化タングステン系化合物を用いることもできる。酸化タングステン系化合物は、セシウム酸化タングステンであることが好ましい。酸化タングステン系化合物の詳細については、特開2016−006476号公報の段落番号0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0103】
本発明の組成物において、近赤外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して1〜30質量%であることが好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
また、近赤外線吸収剤と遮光材との合計量は、組成物の全固形分の10〜70質量%であることが好ましい。下限は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。
また、近赤外線吸収剤と遮光材との合計量中における、近赤外線吸収剤の含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
本発明の組成物においては、近赤外線吸収剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。近赤外線吸収剤を2種以上併用する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
【0104】
<<重合性化合物>>
本発明の組成物は、上述した化合物A以外の重合性化合物を含有するができる。重合性化合物としては、ラジカルの作用により重合可能な化合物が好ましい。すなわち、重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。重合性化合物は、エチレン性不飽和基を1個以上有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物がより好ましく、エチレン性不飽和基を3個以上有する化合物が更に好ましい。エチレン性不飽和基の個数の上限は、たとえば、15個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、スチレン基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
【0105】
重合性化合物は、モノマー、ポリマーのいずれの形態であってもよいがモノマーが好ましい。モノマータイプの重合性化合物は、分子量が100以上3000未満であることが好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上が更に好ましい。また、重合性化合物は、分子量分布を実質的に有さない化合物であることも好ましい。ここで、分子量分布を実質的に有さないとは、化合物の分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3がより好ましい。
【0106】
重合性化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落番号0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。重合性化合物としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステルATM−35E;新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては、KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A−DPH−12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基が、エチレングリコール残基および/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。また、特開2013−253224号公報の段落番号0034〜0038の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012−208494号公報の段落番号0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0585)に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM−460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0107】
重合性化合物は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM−305、M−510、M−520(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。酸基を有する重合性化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
【0108】
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物としては、特開2013−253224号公報の段落番号0042〜0045の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。カプロラクトン構造を有する化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120等、サートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
【0109】
重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載されている分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
【0110】
本発明の組成物が化合物A以外の重合性化合物を含有する場合、化合物A以外の重合性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。本発明の組成物は、化合物A以外の重合性化合物を実質的に含まないこともできる。本発明の組成物が化合物A以外の重合性化合物を実質的に含まないとは、化合物A以外の重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
また、上述した化合物Aと、化合物A以外の重合性化合物との合計含有量は、組成物の全固形分に対して、5〜50質量%が好ましい。下限は、例えば7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
重合性化合物は1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。重合性化合物を2種以上併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0111】
<<光重合開始剤>>
本発明の組成物は、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0112】
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3−アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光重合開始剤としては、特開2014−130173号公報の段落0065〜0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0113】
α−ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、IRGACURE−127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α−アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−907、IRGACURE−369、IRGACURE−379、及び、IRGACURE−379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE−819、DAROCUR−TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0114】
オキシム化合物としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、特開2016−21012号公報に記載などを用いることができる。本発明において好適に用いることができるオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイルオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。また、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156−162)、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202−232)、特開2000−66385号公報、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報に記載の化合物等も挙げられる。市販品としては、IRGACURE−OXE01、IRGACURE−OXE02、IRGACURE−OXE03、IRGACURE−OXE04(以上、BASF社製)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)、アデカアークルズNCI−930((株)ADEKA製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報に記載の光重合開始剤2)も用いることができる。
【0115】
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014−137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0116】
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載の化合物、特表2014−500852号公報に記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報に記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0117】
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落番号0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落番号0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007〜0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0118】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
【化22】
【化23】
【0120】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、360nm〜480nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物は、365nm及び405nmの吸光度が高い化合物が好ましい。
オキシム化合物の365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0121】
光重合開始剤は、オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを含むことも好ましい。両者を併用することで、現像性が向上し、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを併用する場合、オキシム化合物100質量部に対して、α−アミノケトン化合物が50〜600質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
【0122】
光重合開始剤の含有量は、組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、現像性が良好である。本発明の組成物は、光重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光重合開始剤を2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0123】
<<樹脂>>
本発明の組成物は、上述した化合物A以外の樹脂をさらに含有することができる。化合物A以外の樹脂としては、グラフト鎖を有さない樹脂、ラジカル重合性の不飽和結合基を有さない樹脂などが挙げられる。本発明において樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
【0124】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。
【0125】
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。環状オレフィン樹脂としては、耐熱性向上の観点からノルボルネン樹脂が好ましく用いることができる。ノルボルネン樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製のARTONシリーズ(例えば、ARTON F4520)などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。また、マープルーフG−0150M、G−0105SA、G−0130SP、G−0250SP、G−1005S、G−1005SA、G−1010S、G−2050M、G−01100、G−01758(日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)などを用いることもできる。また、樹脂は、国際公開WO2016/088645号公報の実施例に記載の樹脂を用いることもできる。
【0126】
本発明で用いる樹脂は、酸基を有していてもよい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
【0127】
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシル基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また他のモノマーは、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0128】
酸基を有する樹脂は、更に重合性基を有していてもよい。重合性基としては、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(カルボキシル基含有ポリウレタンアクリレートオリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、アクリキュアーRD−F8((株)日本触媒製)などが挙げられる。
【0129】
酸基を有する樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好ましく用いることができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。
【0130】
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むポリマーであることも好ましい。
【0131】
【化24】
【0132】
式(ED1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
【化25】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010−168539号公報の記載を参酌できる。
【0133】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0134】
酸基を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【化26】
式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
【0135】
酸基を有する樹脂については、特開2012−208494号公報の段落番号0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685〜0700)の記載、特開2012−198408号公報の段落番号0076〜0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、アクリベースFF−426(藤倉化成(株)製)などが挙げられる。
【0136】
酸基を有する樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
【0137】
酸基を有する樹脂としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
【化27】
【0138】
本発明の組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40〜105mgKOH/gが好ましく、50〜105mgKOH/gがより好ましく、60〜105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
【0139】
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、画素の下地に発生する残渣をより低減することができる。
【0140】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト共重合体であることも好ましい。グラフト共重合体は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。グラフト共重合体の詳細は、特開2012−255128号公報の段落番号0025〜0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト共重合体の具体例は、下記の樹脂が挙げられる。以下の樹脂は酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)でもある。また、グラフト共重合体としては特開2012−255128号公報の段落番号0072〜0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化28】
【0141】
また、本発明において、樹脂(分散剤)は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤を用いることも好ましい。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する構造単位と、原子数40〜10,000の側鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。オリゴイミン系分散剤については、特開2012−255128号公報の段落番号0102〜0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。オリゴイミン系分散剤としては、特開2012−255128号公報の段落番号0168〜0174に記載の樹脂を用いることができる。
【0142】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、Disperbyk−111(BYKChemie社製)、ソルスパース76500(日本ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。また、特開2014−130338号公報の段落番号0041〜0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、上述した酸基を有する樹脂などを分散剤として用いることもできる。
【0143】
本発明の組成物が樹脂を含む場合、樹脂の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し、0質量%を超え30質量%以下であることが好ましい。
また、本発明の組成物において、重合性化合物の質量と、樹脂と化合物Aの合計質量との比は、重合性化合物の質量/樹脂と化合物Aの合計質量=0〜2であることが好ましく、0〜1であることがより好ましく、0〜0.8であることが更に好ましい。この態様によれば、重合性化合物の量が少なく、薄膜化が可能である。
【0144】
<<顔料誘導体>>
本発明の組成物は、更に顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、塩基性基、塩構造を有する基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が好ましい。
【0145】
【化29】
式(B1)中、Pは色素構造を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
【0146】
式(B1)中、Pは、色素構造を表し、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造、アントラキノン色素構造、ジアントラキノン色素構造、ベンゾイソインドール色素構造、チアジンインジゴ色素構造、アゾ色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、ナフタロシアニン色素構造、ジオキサジン色素構造、ペリレン色素構造、ペリノン色素構造、ベンゾイミダゾロン色素構造、ベンゾチアゾール色素構造、ベンゾイミダゾール色素構造およびベンゾオキサゾール色素構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造およびベンゾイミダゾロン色素構造から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール色素構造が特に好ましい。
【0147】
式(B1)中、Lは単結合または連結基を表す。連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が好ましく、無置換でもよく、置換基を更に有していてもよい。
【0148】
式(B1)中、Xは、酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、酸基または塩基性基が好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。塩基性基としてはアミノ基が挙げられる。
【0149】
顔料誘導体としては、下記構造の化合物が挙げられる。また、特開昭56−118462号公報、特開昭63−264674号公報、特開平1−217077号公報、特開平3−9961号公報、特開平3−26767号公報、特開平3−153780号公報、特開平3−45662号公報、特開平4−285669号公報、特開平6−145546号公報、特開平6−212088号公報、特開平6−240158号公報、特開平10−30063号公報、特開平10−195326号公報、国際公開WO2011/024896号公報の段落番号0086〜0098、国際公開WO2012/102399号公報の段落番号0063〜0094等に記載の化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化30】
【0150】
本発明の組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限値は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。顔料誘導体の含有量が上記範囲であれば、顔料の分散性を高めて、顔料の凝集を効率よく抑制できる。顔料誘導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0151】
<<溶剤>>
本発明の組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤の例としては、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。本発明において有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0152】
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0153】
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0154】
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0155】
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0156】
溶剤の含有量は、組成物の全量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、25〜75質量%であることが更に好ましい。
【0157】
<<重合禁止剤>>
本発明の組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p−メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001〜5質量%が好ましい。
【0158】
<<シランカップリング剤>>
本発明の組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、スチレン基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤は、特開2009−288703号公報の段落番号0018〜0036に記載の化合物、特開2009−242604号公報の段落番号0056〜0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0159】
シランカップリング剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜15.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0160】
<<界面活性剤>>
本発明の組成物は、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0238〜0245を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0161】
本発明において、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。本発明の組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0162】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
【0163】
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落番号0060〜0064(対応する国際公開2014/17669号公報の段落番号0060〜0064)等に記載の界面活性剤、特開2011−132503号公報の段落番号0117〜0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、SC−101、SC−103、SC−104、SC−105、SC−1068、SC−381、SC−383、S−393、KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0164】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS−21が挙げられる。
【0165】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化31】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
【0166】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報の段落番号0050〜0090および段落番号0289〜0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落番号0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0167】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW−101、NCW−1001、NCW−1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD−6112、D−6112−W、D−6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0168】
界面活性剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜5.0質量%が好ましく、0.005〜3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0169】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノブタジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012−208374号公報の段落番号0052〜0072、特開2013−68814号公報の段落番号0317〜0334の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。共役ジエン化合物の市販品としては、例えば、UV−503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。紫外線吸収剤としては、式(UV−1)〜式(UV−3)で表される化合物が好ましく、式(UV−1)または式(UV−3)で表される化合物がより好ましく、式(UV−1)で表される化合物が更に好ましい。
【化32】
【0170】
式(UV−1)において、R101及びR102は、各々独立に、置換基を表し、m1およびm2は、それぞれ独立して0〜4を表す。
式(UV−2)において、R201及びR202は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R203及びR204は、各々独立に、置換基を表す。
式(UV−3)において、R301〜R303は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R304及びR305は、各々独立に、置換基を表す。
【0171】
式(UV−1)〜式(UV−3)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化33】
【0172】
本発明の組成物において、紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0173】
<<酸化防止剤>>
本発明の組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330(以上、(株)ADEKA)などが挙げられる。
【0174】
本発明の組成物において、酸化防止剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0175】
<<その他成分>>
本発明の組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0176】
本発明の組成物の粘度(23℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1〜100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
【0177】
本発明の組成物は、以下の(1)〜(4)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(1):波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長800〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜640nmの範囲の光を遮光して、波長670nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(2):波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin2と、波長900〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax2との比であるAmin2/Bmax2が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(3):波長400〜830nmの範囲における吸光度の最小値Amin3と、波長1000〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax3との比であるAmin3/Bmax3が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(4):波長400〜950nmの範囲における吸光度の最小値Amin4と、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax4との比であるAmin4/Bmax4が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmを超える赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
【0178】
本発明の組成物は、乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上である分光特性を満たしていることが好ましい。波長400〜640nmの範囲における最大値は、15%以下がより好ましく、10%以下がより好ましい。波長1100〜1300nmの範囲における最小値は、75%以上がより好ましく、80%以上がより好ましい。
【0179】
また、本発明の組成物は、以下の(1)〜(4)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(1):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長800〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(2):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(3):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(4):乾燥後の膜厚が1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
【0180】
本発明の組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収納容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015−123351号公報に記載の容器が挙げられる。
【0181】
本発明の組成物の用途は、特に限定されない。例えば、赤外線透過フィルタなどの形成に好ましく用いることができる。
【0182】
<組成物の調製方法>
本発明の組成物は、前述の成分を混合して調製できる。組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
【0183】
また、本発明の組成物が顔料などの粒子を含む場合は、粒子を分散させるプロセスを含むことが好ましい。粒子を分散させるプロセスにおいて、粒子の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における粒子の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、粒子を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015−157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また粒子を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015−194521号公報、特開2012−046629号公報の記載を参酌できる。
【0184】
組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン−6、ナイロン−6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜3.0μm程度であり、更に好ましくは0.05〜0.5μm程度である。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物を確実に除去できる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。具体的には、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジが挙げられる。
【0185】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、第1のフィルタと同様の素材等で形成されたものを使用することができる。
また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0186】
<膜>
次に、本発明の膜について説明する。本発明の膜は、上述した本発明の組成物から得られるものである。本発明の膜は、赤外線透過フィルタとして好ましく用いることができる。本発明の膜は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。また、本発明の膜は、支持体上に積層して用いてもよく、本発明の膜を支持体から剥離して用いてもよい。
【0187】
本発明の膜は、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上である分光特性を満たしていることが好ましい。波長400〜640nmの範囲における最大値は、15%以下がより好ましく、10%以下がより好ましい。波長1100〜1300nmの範囲における最小値は、75%以上がより好ましく、80%以上がより好ましい。
【0188】
本発明の膜は、以下の(1)〜(4)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(1):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長800〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜640nmの範囲の光を遮光して、波長670nmを超える赤外線を透過可能な膜とすることができる。
(2):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える赤外線を透過可能な膜とすることができる。
(3):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmを超える赤外線を透過可能な膜とすることができる。
(4):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。この態様によれば、波長400〜950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmを超える赤外線を透過可能な膜とすることができる。
【0189】
本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。下限値は、0.1μmが好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0190】
本発明の膜は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
【0191】
<膜の製造方法>
次に、本発明の膜の製造方法について説明する。本発明の膜は、本発明の組成物を塗布する工程を経て製造できる。
【0192】
本発明の膜の製造方法において、組成物は支持体上に塗布することが好ましい。支持体としては、例えば、シリコン、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの材質で構成された基板が挙げられる。これらの基板には、有機膜や無機膜など形成されていてもよい。有機膜の材料としては、例えば上述した組成物の欄で説明した樹脂が挙げられる。また、支持体としては、樹脂で構成された基板を用いることもできる。また、支持体には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、支持体には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、支持体には、必要により、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。また、支持体としてガラス基板を用いる場合においては、ガラス基板上に無機膜を形成したり、ガラス基板を脱アルカリ処理して用いることが好ましい。
【0193】
組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ〜133ページ)や、特開2003−262716号公報、特開2003−185831号公報、特開2003−261827号公報、特開2012−126830号公報、特開2006−169325号公報などに記載の方法が挙げられる。
【0194】
組成物を塗布して形成した組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスによりパターンを形成する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク温度を150℃以下で行うことにより、例えば、イメージセンサの光電変換膜を有機素材で構成した場合において、これらの特性をより効果的に維持することができる。
プリベーク時間は、10秒〜3000秒が好ましく、40〜2500秒がより好ましく、80〜220秒がさらに好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0195】
本発明の膜の製造方法においては、更にパターンを形成する工程を含んでいてもよい。パターン形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法が好ましい。フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、本発明の組成物を塗布して形成した組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。必要に応じて、現像されたパターンをベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、各工程について説明する。
【0196】
露光工程では組成物層をパターン状に露光する。例えば、組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、組成物層をパターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく、i線がより好ましい。照射量(露光量)は、例えば、0.03〜2.5J/cm2が好ましく、0.05〜1.0J/cm2がより好ましく、0.08〜0.5J/cm2が最も好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2〜100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
【0197】
次に、露光後の組成物層における未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する。未露光部の組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを与えない、アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20〜30℃が好ましい。現像時間は、20〜180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0198】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤を含有させて用いてもよい。界面活性剤の例としては、上述した組成物で説明した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5〜100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
【0199】
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、例えば100〜240℃が好ましい。膜硬化の観点から、200〜230℃がより好ましい。また、発光光源として有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子を用いた場合や、イメージセンサの光電変換膜を有機素材で構成した場合は、ポストベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、90℃以下が特に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができる。ポストベークは、現像後の膜に対して、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。また、低温プロセスによりパターンを形成する場合は、ポストベークは行わなくてもよい。
【0200】
<赤外線透過フィルタ>
次に、本発明の赤外線透過フィルタについて説明する。本発明の赤外線透過フィルタは、上述した本発明の膜を有する。
【0201】
本発明の赤外線透過フィルタは、有彩色着色剤を含むカラーフィルタと組み合わせて用いることもできる。カラーフィルタは、有彩色着色剤を含む着色組成物を用いて製造できる。有彩色着色剤としては、本発明の組成物で説明した有彩色着色剤が挙げられる。着色組成物は、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、界面活性剤、溶剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤などを更に含有することができる。これらの詳細については、本発明の組成物で説明した材料が挙げられ、それらを用いることができる。
【0202】
また、本発明の赤外線透過フィルタは、本発明の膜の画素と、赤、緑、青、マゼンタ、黄、シアン、黒および無色から選ばれる画素とを有する態様も好ましい態様である。
【0203】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を含む。固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を有する構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0204】
支持体上に、固体撮像素子の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明における膜を有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であって、本発明における膜の下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、本発明における膜上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各画素を形成する膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012−227478号公報、特開2014−179577号公報に記載の装置が挙げられる。
【0205】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の膜を含む。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)及び黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
【0206】
<赤外線センサ>
本発明の赤外線センサは、上述した本発明の膜を含む。赤外線センサの構成としては、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。以下、本発明の赤外線センサの一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0207】
図1において、符号110は、固体撮像素子である。固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、近赤外線カットフィルタ111と、赤外線透過フィルタ114とを有する。また、近赤外線カットフィルタ111上には、カラーフィルタ112が積層している。カラーフィルタ112および赤外線透過フィルタ114の入射光hν側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化層116が形成されている。
【0208】
近赤外線カットフィルタ111の分光特性は、使用する赤外発光ダイオード(赤外LED)の発光波長に応じて選択される。
【0209】
カラーフィルタ112は、可視領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、特に限定はなく、従来公知の画素形成用のカラーフィルタを用いることができる。例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタなどが用いられる。例えば、特開2014−043556号公報の段落番号0214〜0263の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる
【0210】
赤外線透過フィルタ114は、使用する赤外LEDの発光波長に応じてその特性が選択される。例えば、赤外LEDの発光波長が850nmである場合、赤外線透過フィルタ114は、膜の厚み方向における光透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。この透過率は、波長400〜640nmの範囲の全域で上記の条件を満たすことが好ましい。
【0211】
赤外線透過フィルタ114は、膜の厚み方向における光透過率の、波長800nm以上(好ましくは800〜1300nm)の範囲における最小値が70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。上記の透過率は、波長800nm以上の範囲の一部で上記の条件を満たすことが好ましく、赤外LEDの発光波長に対応する波長で上記の条件を満たすことが好ましい。
【0212】
赤外線透過フィルタ114の膜厚は、100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。下限値は、0.1μmが好ましい。膜厚が上記範囲であれば、上述した分光特性を満たす膜とすることができる。
赤外線透過フィルタ114の分光特性、膜厚等の測定方法を以下に示す。
膜厚は、膜を有する乾燥後の基板を、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定した。
膜の分光特性は、紫外可視近赤外分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U−4100)を用いて、波長300〜1300nmの範囲において透過率を測定した値である。
【0213】
また、例えば、赤外LEDの発光波長が940nmである場合、赤外線透過フィルタ114は、膜の厚み方向における光の透過率の、波長450〜640nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における、波長835nmの光の透過率が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上であることが好ましい。
【0214】
図1に示す赤外線センサにおいて、平坦化層116上には、近赤外線カットフィルタ111とは別の近赤外線カットフィルタ(他の近赤外線カットフィルタ)がさらに配置されていてもよい。他の近赤外線カットフィルタとしては、銅を含有する層および/または誘電体多層膜を有するものなどが挙げられる。これらの詳細については、上述したものが挙げられる。また、他の近赤外線カットフィルタとしては、デュアルバンドパスフィルタを用いてもよい。
【実施例】
【0215】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
【0216】
<重量平均分子量の測定>
化合物Aおよび樹脂の重量平均分子量は、以下の条件に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM−Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度0.1質量%)
装置名:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
【0217】
<酸価の測定方法>
化合物Aおよび樹脂の酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。化合物Aおよび樹脂の酸価は次のようにして測定した。すなわち、測定サンプルをテトラヒドロフラン/水=9/1(質量比)混合溶媒に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT−510、京都電子工業製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
【0218】
<C=C価の測定>
化合物AのC=C価は、化合物Aの固形分1gあたりのC=C基のモル量を表したものであり、アルカリ処理により化合物AからC=C基部位(例えば、上記のP−1においてはメタクリル酸、P−2においてはアクリル酸)の低分子成分(a)を取り出し、その含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、下記式から算出した。具体的には、測定サンプル0.1gをテトラヒドロフラン/メタノール=50mL/15mLに溶解させ、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液10mLを加え、40℃2時間反応させた。反応液を4mol/Lメタンスルホン酸水溶液10.2mLで中和し、その後、イオン交換水5mL、メタノール2mL加えた混合液を100mLメスフラスコに移液し、メタノールでメスアップすることでHPLC測定サンプルを調製し、以下の条件で測定した。なお、低分子成分(a)の含有量は別途作成した低分子成分(a)の検量線から算出し、C=C価は下記式より算出した。
<C=C価算出式>
C=C価[mmol/g]=(低分子成分(a)含有量[ppm] /低分子成分(a)の分子量[g/mol])/(調液ポリマーの秤量値[g]×(ポリマー液の固形分濃度[%]/100)×10)
<HPLC測定条件>
測定機器: Agilent−1200
カラム: Phenomenex製 Synergi 4u Polar−RP 80A,250mm×4.60mm(内径)+ガードカラム
カラム温度:40℃
分析時間:15分
流速:1.0mL/min(最大送液圧力:182bar)
注入量:5μl
検出波長:210nm
溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤不含HPLC用)/バッファー溶液(リン酸0.2vol%およびトリエチルアミン0.2vol%を含有するイオン交換水溶液)=55/45(vol%)
【0219】
[試験例1]
<分散液の調製>
下記の表に記載の原料を混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液を製造した。下記の表記記載の数値は質量部である。
【0220】
【表8】
【0221】
<組成物の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、組成物(硬化性組成物)を調製した。下記の表記記載の数値は質量部である。
【表9-1】
【表9-2】
【0222】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(近赤外線吸収剤)
A1、A2:下記構造の化合物。以下の式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【化34】
A3:特開2016−146619号公報の段落番号0173に記載の化合物a−1
A4:特開2016−146619号公報の段落番号0173に記載の化合物a−2
A5:特開2016−146619号公報の段落番号0173に記載の化合物a−3
A6:NK−5060((株)林原製、シアニン化合物)
【0223】
(色材)
PR254 : C.I.Pigment Red 254
PY139 : C.I.Pigment Yellow 139
PB15:6 : C.I.Pigment Blue 15:6
PV23 : C.I.Pigment Violet 23
PBk32: C.I.Pigment Black 32
IB: Irgaphor Black(BASF社製)
【0224】
(顔料誘導体)
B1:下記構造の化合物。以下の構造式中、Phはフェニル基を表す。
【化35】
【0225】
(分散剤)
P−1、P−2、P−3、P−5、P−6、P−7、P−8、P−9、P−16、P−19、P−22:上述した化合物Aの具体例として挙げたP−1、P−2、P−3、P−5、P−6、P−7、P−8、P−9、P−16、P−19、P−22のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)30質量%溶液。
分散剤1:下記構造の樹脂のPGMEA30質量%溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20,000。
【化36】
分散剤2:下記構造の樹脂のPGMEA30質量%溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=33,000。
【化37】
分散剤3:下記構造の樹脂のPGMEA30質量%溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=24,000。
【化38】
【0226】
(樹脂)
D1:下記構造の樹脂のPGMEA40質量%溶液。主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=11,000。
D2:下記構造の樹脂のPGMEA40質量%溶液。主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=14,000。
【化39】
【0227】
(重合性化合物)
E1:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
E2:アロニックス M−305 (東亞合成(株)製)
E3:NKエステル A−TMMT (新中村化学工業(株)製)
E4:KAYARAD RP−1040(日本化薬(株)製)
E5:アロニックスTO−2349 (東亞合成(株)製)
【0228】
(光重合開始剤)
F1:IRGACURE OXE01 (BASF製)
F2:IRGACURE OXE02 (BASF製)
F3:IRGACURE OXE03 (BASF製)
F4:IRGACURE 369 (BASF製)
F5:IRGACURE OXE04 (BASF製)
【0229】
(紫外線吸収剤)
G1:UV−503(大東化学(株)製)
(界面活性剤)
H1:下記混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
【化40】
(重合禁止剤)
I1:p−メトキシフェノール
(溶剤)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0230】
<吸光度および分光特性>
各組成物をガラス基板上にスピンコートし、ポストベーク後の膜厚が下記表に記載の膜厚となるように塗布し、100℃、120秒間ホットプレートで乾燥した後、さらに、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、膜を形成した。膜が形成されたガラス基板を、紫外可視近赤外分光光度計U−4100(日立ハイテク製)(ref.ガラス基板)を用いて、波長300〜1300nmの範囲における透過率、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Amin、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxを測定した。
【0231】
<色ムラの評価>
ガラス基板上にCT−4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのガラス基板上に各組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して、下記表に記載の膜厚の組成物層を得た。
この組成物層に対して、365nmの波長の光を照射し、露光量500mJ/cm2にて露光を行った。次いで、ホットプレートを用いて220℃で300秒間ポストベークを行い、膜を形成した。この膜が形成されたガラス基板(評価用基板)を用いて輝度分布を下記方法で解析し、平均からのずれが±10%以上である画素数をもとに色ムラの評価を行った。
輝度分布の測定方法について説明する。評価用基板を光学顕微鏡の観測レンズと光源との間に設置して光を観測レンズに向けて照射し、その透過光状態をデジタルカメラが設置された光学顕微鏡MX−50(オリンパス社製)を用いて観察した。膜表面の撮影は、任意に選択した5つの領域に対して行った。撮影画像の輝度を0〜255までの256階調の濃度分布として数値化して保存した。この画像から輝度分布を解析し、平均からのズレが±10%を超える画素数にて色ムラを評価した。評価基準は以下の通りである。
5:平均からのズレが±10%を超える画素数が1000以下である。
4:平均からのズレが±10%を超える画素数が1000を越え3000以下である。
3:平均からのズレが±10%を超える画素数が3000を越え5000以下である。
2:平均からのズレが±10%を超える画素数が5000を超え15000以下である。
1:平均からのズレが±10%を超える画素数が15000を超える。
【0232】
<密着性の評価>
シリコンウエハ上にCT−4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのシリコンウエハ上に各組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して、下記表に記載の膜厚の組成物層を得た。
この組成物層に対して、i線ステッパーFPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用し、一辺1.1μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介し、365nmの波長の光を照射し、露光量500mJ/cm2にて露光を行った。
露光後の組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにて水を用いてリンスを行い、更に純水にて水洗いを行った。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、シリコンウエハを自然乾燥させたのち、ホットプレートを用いて220℃で300秒間ポストベークを行い、パターンを形成した。得られたパターンについて、光学顕微鏡を用いて観察し、全パターン中密着しているパターンをカウントして密着性を評価した。
5:すべてのパターンが密着している。
4:密着しているパターンが、全パターンの90%以上100%未満である。
3:密着しているパターンが、全パターンの80%以上90%未満である。
2:密着しているパターンが、全パターンの70%以上80%未満である。
1:密着しているパターンが、全パターンの70%未満である。
【表10】
【0233】
上記表に示すように、実施例の組成物は色ムラの少ない膜を製造することができた。さらには、基板とも密着性にも優れていた。
また、実施例の組成物を用いて形成した膜を公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。得られた固体撮像素子について、低照度の環境下(0.001Lux)で赤外発光ダイオード(赤外LED)光源から光を照射し、画像の取り込みを行い、画像性能を評価した。画像上で被写体をはっきりと認識できた。また、入射角依存性が良好であった。
【0234】
[試験例2]
近赤外線カットフィルタ形成用組成物を、製膜後の膜厚が1.0μmになるように、シリコンウエハ上にスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cm2の露光量にて、2μm四方のBayerパターンを有するマスクを介して露光した。
次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで2μm四方のBayerパターン(近赤外線カットフィルタ)を形成した。
次に、近赤外線カットフィルタのBayerパターン上に、Red組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cm2の露光量にて、2μm四方のBayerパターンを有するマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱することで、近赤外線カットフィルタのBayerパターン上にRed組成物をパターニングした。同様にGreen組成物、Blue組成物を順次パターニングし、赤、緑および青の着色パターンを形成した。
次に、上記パターン形成した膜上に、実施例1〜18の組成物を、製膜後の膜厚が2.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cm2の露光量にて、2μm四方のBayerパターンを有するマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、近赤外線カットフィルタのBayerパターンの抜け部分に、赤外線透過フィルタのパターニングを行った。これを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。
得られた固体撮像素子について、低照度の環境下(0.001Lux)で赤外発光ダイオード(赤外LED)光源を照射し、画像の取り込みを行い、画像性能を評価した。画像上で被写体をはっきりと認識できた。また、入射角依存性が良好であった。
【0235】
試験例2で使用したRed組成物、Green組成物、Blue組成物および近赤外線カットフィルタ形成用組成物は以下の通りである。
【0236】
(Red組成物)
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Red組成物を調製した。
Red顔料分散液 ・・51.7質量部
樹脂104 ・・・0.6質量部
重合性化合物104 ・・・0.6質量部
光重合開始剤101 ・・・0.4質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
紫外線吸収剤(UV−503、大東化学(株)製) ・・・0.3質量部
PGMEA ・・・42.6質量部
【0237】
(Green組成物)
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Green組成物を調製した。
Green顔料分散液 ・・・73.7質量部
樹脂104 ・・・0.3質量部
重合性化合物101 ・・・1.2質量部
光重合開始剤101 ・・・0.6質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
紫外線吸収剤(UV−503、大東化学(株)製) ・・・0.5質量部
PGMEA ・・・19.5質量部
【0238】
(Blue組成物)
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Blue組成物を調製した。
Blue顔料分散液 44.9質量部
樹脂104 ・・・2.1質量部
重合性化合物101 ・・・1.5質量部
重合性化合物104 ・・・0.7質量部
光重合開始剤101 ・・・0.8質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
紫外線吸収剤(UV−503、大東化学(株)製) ・・・0.3質量部
PGMEA ・・・45.8質量部
【0239】
(近赤外線カットフィルタ形成用組成物)
近赤外線吸収剤分散液1 ・・・60質量部
重合性化合物101 ・・・6質量部
樹脂101 ・・・4.45質量部
光重合開始剤101 ・・・1.99質量部
界面活性剤101 ・・・4.17質量部
重合禁止剤1(p−メトキシフェノール) ・・・0.003質量部
PGMEA ・・・23.39質量部
【0240】
Red組成物、Green組成物、Blue組成物および近赤外線カットフィルタ形成用組成物に使用した原料は以下の通りである。
【0241】
・Red顔料分散液
C.I.Pigment Red 254を9.6質量部、C.I.Pigment Yellow 139を4.3質量部、分散剤(Disperbyk−161、BYKChemie社製)を6.8質量部、PGMEAを79.3質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Red顔料分散液を得た。
【0242】
・Green顔料分散液
C.I.Pigment Green 36を6.4質量部、C.I.Pigment Yellow 150を5.3質量部、分散剤(Disperbyk−161、BYKChemie社製)を5.2質量部、PGMEAを83.1質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液を得た。
【0243】
・Blue顔料分散液
C.I.Pigment Blue 15:6を9.7質量部、C.I.Pigment Violet 23を2.4質量部、分散剤(Disperbyk−161、BYKChemie社製)を5.5質量部、PGMEAを82.4質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Blue顔料分散液を得た。
【0244】
・近赤外線吸収剤分散液
近赤外線吸収剤A1を2.5質量部と、顔料誘導体B1を0.5質量部と、分散剤3を1.8質量部と、PGMEAを79.3質量部とからなる混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して近赤外線吸収剤分散液1を製造した。
【0245】
・重合性化合物101:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
・重合性化合物104:下記構造の化合物
【化41】
【0246】
・樹脂101:サイクロマーP(ACA)230AA ((株)ダイセル製)
・樹脂104:下記構造の樹脂(酸価:70mgKOH/g、Mw=11000、構造単位における比はモル比である)
【化42】
【0247】
・光重合開始剤101:IRGACURE−OXE01(BASF社製)
【0248】
・界面活性剤101:下記混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
【化43】
【符号の説明】
【0249】
110:固体撮像素子、111:近赤外線カットフィルタ、112:カラーフィルタ、114:赤外線透過フィルタ、115:マイクロレンズ、116:平坦化層
図1