(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定データを収集するのに際し、アナログ測定工具では、測定値を紙に転記したりパーソナルコンピュータに入力したりする手間や転記入力時のミスの恐れがあるほか、測定の際には両手がふさがり、測定しながら測定値を記録することが難しいため、測定の都度、測定値を記録しなければならず、連続的に測定ができないなど作業性が良くない。一方、デジタル測定工具では、測定データの収集は比較的容易であり転送ミスもほぼ生じないが、CPUや通信機能などが実装されるためアナログ測定工具と比べ高価である。また、有線通信によりデータ転送する場合にはケーブルが邪魔になる。
【0005】
本発明の目的は、測定工具がアナログ、デジタルのいずれであっても、測定結果から測定値を読み取り、測定データを容易に収集可能な測定データ収集装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の測定データ収集装置は、測定結果が表示された対象測定工具の外観を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像した対象測定工具の外観画像から測定値を読み取る測定値読取手段と、を備える。本発明では、測定値を対象測定工具を撮像した画像から読み取るため、測定工具がアナログ、デジタルのいずれであっても容易に測定データを収集することができ、かつ、測定工具が通信機能を備える必要もない。また、アナログ測定工具での測定値の読み取り方法を知らない使用者でも測定データの収集が可能である。
【0007】
また、本発明の測定データ収集装置は、測定工具の種類ごとの工具特定情報を記憶する工具特定情報記憶手段と、対象測定工具の外観画像と工具特定情報記憶手段に記憶された工具特定情報とを照合して当該対象測定工具の種類を特定する工具特定手段と、測定工具の種類ごとの、外観画像からの測定値読取方法を記憶する読取方法記憶手段と、工具特定手段で特定された測定工具の種類に対応する測定値読取方法を、読取方法記憶手段を参照して特定する読取方法特定手段と、を更に備え、測定値読取手段が、読取方法特定手段で特定された測定値読取方法により対象測定工具の外観画像から測定値を読み取るように構成してもよい。工具特定情報は、測定工具の外観画像の全部又は一部であってもよいし、測定工具の外観画像から直接的に又は間接的に読み取ることができる識別情報であってもよい。識別情報である場合、工具特定手段は対象測定工具の外観画像から識別情報を直接的に又は間接的に読み取って工具特定情報と照合する。このように構成することで、外観画像から測定工具の種類を判断し、種類に応じた測定値読取方法を選択することができるため、複数の種類の測定工具について測定値を読み取ることが可能となる。
【0008】
工具特定情報記憶手段が、測定工具の個体ごとの工具特定情報を更に記憶し、工具特定手段が、当該対象測定工具の個体を更に特定し、工具特定手段で特定された測定工具の個体に応じて所定の警告を発出する及び/又は測定値読取手段による測定値の読み取りを行わないように制御する読取制御手段を更に備えてもよい。このように構成することで、特定した測定工具が校正済みかどうかをチェックして警告したり、校正期限切れの場合は測定値の読み取りを行わないなどの安全対策が可能となり、測定工具の管理工数も減らすことができる。
【0009】
また、本発明の測定データ収集装置は、使用者の頭部に装着されるフレームと、各手段に対する指示を入力するための指示入力手段と、指示入力手段に入力された指示内容を認識する指示認識手段と、を更に備え、フレームを装着した使用者の視界方向の光景が撮像される向きで撮像手段を当該フレームに設けるとともに、各手段が指示入力手段が認識した指示内容に応じて撮像や測定値の保存などの処理を実行するように構成してもよい。指示入力手段は例えば収音手段とし、使用者が音声により指示を入力して、指示認識手段が収音手段で収音された音声から指示内容を認識するように構成する。このように構成することで、撮像や指示入力の際に手を使う必要がなくなるため、使用者が測定操作で両手がふさがった状態になっても、対象測定工具に視線を向けることで撮像手段が対象測定工具を被写体として捉えることができ、かつ、声などにより撮像を指示することができる。
【0010】
また、フレームを装着した使用者の視界方向の光景に、測定値読取手段が読み取った測定値を重ねて表示する表示手段を当該フレームに設けてもよい。このように構成することで、アナログ測定工具を用いた場合にも測定値を数値として速やかに視認することができる。
【0011】
また、フレームに設けられる各手段とその他の各手段との間を無線により通信可能に構成してもよい。これにより、邪魔な接続ケーブルを無くすことができ、かつ、測定場所を無線通信可能な範囲で移動することが可能となるため、作業効率を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係る測定データ収集装置100の構成例を示す図である。測定データ収集装置100は、撮像手段101、測定値読取手段102、工具特定情報記憶手段103、工具特定手段104、読取方法記憶手段105、及び読取方法特定手段106を備える。
【0015】
撮像手段101は、測定結果が表示された対象測定工具の外観を撮像する。撮像手段101には、一般的には静止画像を撮像するカメラの利用が想定されるが、最終的に静止画像が出力されればよいため、例えば、動画像から静止画像を抽出して出力するビデオカメラなどを用いても構わない。対象測定工具とは、測定データ収集装置100によって測定値を読み取る対象となる測定工具であり、外観から測定結果を視認できる工具であれば、いかなる工具であっても構わない。測定結果とは、デジタル測定工具の場合は測定値そのものであるが、アナログ測定工具の場合は測定値を読み取る客体であり、一般に目盛などにより表現される。撮像手段101による外観の撮像は、測定結果を外観画像から読み取る必要から、少なくとも測定結果を読み取るのに必要な範囲と解像度で行われる必要がある。例えば、対象測定工具が
図1に示すようなアナログタイプのノギス10である場合、少なくとも概ね点線で囲った部分について目盛を読み取れる程度の範囲と解像度で撮像されている必要がある。
【0016】
測定値読取手段102は、撮像手段101で撮像した対象測定工具の外観画像から測定値を読み取る。外観画像からの測定値の読取方法について、
図2から
図4に示す各測定工具を例にとって説明する。
【0017】
図2は、ノギス10の測定結果が表示された部分を抜粋した図である。ノギス10は、本尺10aと本尺10aの長手方向にスライド可能に設けられたスライダ10bとの間に寸法測定の対象物を挟み込み、挟み込んだ幅tを測定する。測定値は、本尺10aに1mmごとに振られた本尺目盛とスライダ10bに1.95mmごとに振られたバーニヤ目盛との相対的な位置関係から読み取る。
【0018】
具体的には、測定値の整数部分については、バーニヤ目盛の最も左側の0の目盛が本尺目盛のどこを指しているかを把握することにより読み取る。すなわち、本尺目盛の最も左側の0の目盛を0番目としてn番目の目盛とn+1番目の目盛との間をバーニヤ目盛の0の目盛が指していれば測定値の整数部分がnであると読み取ることができる。
図2の例ではバーニヤ目盛の0の目盛が16番目の本尺目盛と17番目の本尺目盛との間を指しているため、整数部分は16mmであると読み取ることができる。また、本尺目盛とバーニヤ目盛とが一直線になるバーニヤ目盛が0の目盛を0番目として何番目の目盛であるかを把握することにより測定値の小数点以下を0.05mm単位で読み取る。
図2の例では3番目のバーニヤ目盛で一直線になっているため、3×0.05=0.15mmと読み取ることができる。以上から、測定値を16.15mmと読み取ることができる。
【0019】
外観画像から測定値を読み取る場合も同様な方法で画像を解析することにより測定値を読み取ることができる。例えば、まず、測定値読取手段102において予め用意された又は他から提供された、対象測定工具の種類の測定工具の外観における本尺の0の目盛の位置情報に基づき、対象測定工具の外観画像から0番目の本尺目盛の存在を把握する。続いて、測定値読取手段102において予め用意された又は他から提供された、対象測定工具の種類の測定工具の測定値読取方法に基づき外観画像から測定値を読み取る。具体的には、把握した0番目の本尺目盛から目盛の個数をカウントしつつ目盛の数字が増える方向に本尺目盛周辺の外観画像をスキャンしていき、0番目のバーニヤ目盛の存在が検知されたら、そのバーニヤ目盛が指している本尺目盛がn番目とn+1番目との間であると特定して測定値の整数部分をnであると読み取る。ここで既に本尺目盛とバーニヤ目盛とが一直線になっている場合には測定値の小数点以下が0であると読み取り、それ以外の場合にはバーニヤ目盛の目盛の個数をカウントしつつ更に外観画像のスキャンを継続し、本尺目盛とバーニヤ目盛とが一直線となる部分が検知されたら、その部分のバーニヤ目盛が何番目であるかを特定してm番目であればmに0.05を乗算し測定値の小数点以下を読み取る。
【0020】
図3(a)はアナログタイプのマイクロメータの一例であるマイクロメータ20の外観を示す図であり、
図3(b)はマイクロメータ20の測定結果が表示された部分を抜粋した図である。マイクロメータ20は、アンビル20aと、スリーブ20cを軸としてシンブル20dを回転させることにより軸方向に伸縮可能なスピンドル20bとの間に寸法測定の対象物を挟み込み、挟み込んだ幅tを測定する。測定値は、スリーブ20cに0.5mmごとに振られたスリーブ目盛とシンブル20dに0.01mmごとに振られたシンブル目盛との相対的な位置関係から読み取る。
【0021】
具体的には、まず、スリーブ目盛の最も左側の0の目盛を0番目として何番目の目盛までが露出しているかにより、測定値を0.5mm単位で読み取る。
図3(b)の例では11番目のスリーブ目盛まで露出しているため、11×0.5=5.5mmと読み取ることができる。そして更に、スリーブ20cの基準線20eがシンブル目盛のどこを指しているかにより、スリーブ目盛に示される値に加算する0mm以上0.5mm未満の値を読み取る。読み取りは例えば、基準線20eが指しているシンブル目盛から最も近くの数字が振られた目盛を基準にその目盛から何番目の目盛であるかにより行う。シンブル目盛は0番目の目盛から49番目の目盛までの間に5目盛ごとに数字が振られている。目盛は0.01mmごとに振られているため各目盛の数字の0.01倍が実際の値となる。
図3(b)の例では、基準線20eが指しているシンブル目盛から最も近くの数字が示された目盛の数字が0、すなわち0番目の目盛であり、基準線20eはそこから目盛の数字が増える方向の1番目の目盛を指していることから、0+1=1で全体として1番目の目盛にあたる。そのため、スリーブ目盛に示される値に加算する値は、1×0.01=0.01mmとなる。以上から、測定値を5.51mmと読み取ることができる。もし、基準線20eが指しているシンブル目盛から最も近くの数字が示された目盛の数字が45であり、基準線20eがそこから目盛の数字が減る方向に2番目の目盛を指しているとすれば、45−2=43で全体として43番目の目盛にあたる。そのため、スリーブ目盛に示される値に加算する値は、43×0.01=0.43mmとなる。したがってこの場合には、測定値を5.93mmと読み取ることができる。
【0022】
外観画像から測定値を読み取る場合も同様な方法で画像を解析することにより測定値を読み取ることができる。例えば、まず、測定値読取手段102において予め用意された又は他から提供された、対象測定工具の種類の測定工具の外観におけるスリーブの0の目盛の位置情報に基づき、対象測定工具の外観画像から0番目のスリーブ目盛の存在を把握する。続いて、測定値読取手段102において予め用意された又は他から提供された、対象測定工具の種類の測定工具の測定値読取方法に基づき外観画像から測定値を読み取る。具体的には、把握した0番目のスリーブ目盛から目盛の個数をカウントしつつ目盛の数字が増える方向に基準線20eを中心としたスリーブ目盛周辺の外観画像をスキャンしていき、シンブルの端部が検知されたら、その時点で露出しているシンブル目盛がn番目であると特定しnに0.5を乗算して測定値の0.5mm単位の値を読み取る。また、基準線20eが指しているシンブル目盛の一番近くに示されているシンブル目盛の数字mをスキャンして把握し、把握したm番目のシンブル目盛から目盛の個数をカウントしつつ目盛の数字が増える(又は減る)方向にシンブル目盛周辺の外観画像をスキャンして基準線20eが検知する。そして検知した基準線20eが指しているシンブル目盛がm番目のシンブル目盛から何番目であるかを特定し、2番目であればm+2に0.01を乗算して測定値の0.01mm単位の値を読み取る。
【0023】
なお、シンブル20dは連続的に回転するため、基準線20eがシンブル目盛を指す位置が必ずしも目盛と一致しない。このような場合の値の読み取り方については任意であり、例えば、より細かく読み取る、いずれか近い目盛を指していると扱う、などの方法を採ることができる。
【0024】
図4(a)はデジタルノギスの一例であるデジタルノギス30の外観を示した図であり、
図4(b)はデジタルノギス30の測定結果が表示された部分を抜粋した図である。デジタルノギス30では測定値が表示部30aに直接表示される。そのため、外観画像から測定値を読み取る場合は、例えばまず、測定値読取手段102において予め用意された又は他から提供された、対象測定工具の種類の測定工具の外観における表示部30aの位置情報に基づき、対象測定工具の外観画像から表示部30aの存在を把握する。続いて、測定値読取手段102において予め用意された又は他から提供された、対象測定工具の種類の測定工具の測定値読取方法に基づき外観画像から測定値を読み取る。具体的には、対象測定工具の表示部30aに表示された各桁の数字と対象測定工具の種類の測定工具の表示部30a特有の0〜9の数字の形状とをそれぞれ対照し、対象測定工具の表示部30aに表示された各桁の数字を特定することにより測定値を読み取る。
【0025】
撮像手段101による外観の撮像が測定結果を読み取るのに必要な範囲と解像度で行われていなかった場合、測定値読取手段102が、読み取り不可である旨の警告を発出するように構成してもよい。また、読み取り不可であった場合に自動的に撮像をリトライする構成にした場合には、読み取り可能となった時点で読み取りを行い、所定の回数リトライして読み取り不可であった場合に警告を発出するように構成してもよい。読み取り不可であるか否かは、撮像された画像を解析して、例えば目盛線の間に閾値以上の画素がなければ読み取り不可と判断する。
【0026】
対象測定工具の種類が1つの場合は、測定工具の種類の特定や種類に応じた測定値の読取方法の特定の必要がないため、測定値読取手段102は予め用意した当該種類の測定工具の測定値読取方法に基づき、外観画像に表示された測定結果から測定値を読み取る。
【0027】
一方、対象測定工具の種類が複数の場合は、測定工具の種類の特定や種類に応じた測定値の読取方法の特定が必要になるため、測定値読取手段102の前段に工具特定情報記憶手段103、工具特定手段104、読取方法記憶手段105、及び読取方法特定手段106を更に設ける。
【0028】
工具特定情報記憶手段103は、測定工具の種類ごとの工具特定情報を記憶する。工具特定情報とは、例えば測定工具の外観画像や測定工具の外観画像から直接的に又は間接的に読み取ることができる識別情報である。識別情報とは、例えば測定工具の種類の名称や型番や製造番号等である。測定工具の外観画像を記憶しておく場合、記憶しておく外観画像は測定工具の全体画像でもよいし、測定工具を特定可能な特徴的な一部の画像でもよい。また、二次元画像でもよいし、三次元の形状モデルでもよい。二次元画像は容易に準備することができる一方、対象測定工具の外観の撮像時に、工具特定情報記憶手段103に予め記憶された外観画像の撮像角度と大きく異なる角度で撮像すると、工具特定手段104における画像照合時にうまく照合できない可能性がある。これに対し、三次元の形状モデルは準備が容易ではないが、工具特定手段104での照合時にひとつの種類の測定工具につき複数の角度の外観画像で対照することが可能となるため、照合ミスやエラーを減らすことができる。
【0029】
工具特定手段104は、対象測定工具の外観画像と工具特定情報記憶手段103に記憶された工具特定情報とを照合して当該対象測定工具の種類を特定する。特定する対象が測定工具自体であるため、撮像手段101による外観の撮像は、測定結果が表示された部分だけでなく、工具特定情報記憶手段103に記憶された工具特定情報と照合して測定工具の種類を特定することができる程度の範囲と解像度で行われる必要がある。工具特定情報が測定工具の外観画像である場合、必ずしも対象測定工具の外観全体が撮像されている必要はなく、一部の特徴的な外観により照合可能であれば、当該一部が撮像範囲に含まれていれば足りる。測定工具の外観画像を三次元の形状モデルとした場合、工具特定手段104における対象測定工具の外観画像との照合は、当該三次元の形状モデルから抽出可能な複数の視座からの外観画像を用いて行うことが可能となる。一方、工具特定情報が識別情報である場合、工具特定手段104は対象測定工具の外観画像から直接的に又は間接的に識別情報を読み取る。すなわち、識別情報が測定工具上に直接記載されている場合には外観画像から当該記載部分を読み取る。識別情報が測定工具上にロゴマークやバーコードやQRコード(登録商標)などで間接的に記載されている場合は、外観画像からこれらのマークやコードを介して識別情報を読み取る。
【0030】
読取方法記憶手段105は、測定工具の種類ごとの、外観画像からの測定値読取方法を記憶する。測定値読取方法として記憶しておく情報としては、例えば、測定工具の外観における測定結果の表示部分の位置や測定結果から測定値を読み取る方法などが挙げられる。測定結果からの測定値読取方法の具体例については、
図2から
図4を用いて先に説明したとおりである。そして、読取方法特定手段106が、工具特定手段104が特定した測定工具の種類に対応する測定値読取方法を読取方法記憶手段105を参照して特定する。
【0031】
そして最後に、測定値読取手段102が、読取方法特定手段106が特定した測定値読取方法により対象測定工具の外観画像から測定値を読み取る。読み取った測定値は、例えば測定値記憶手段100aに記憶させる。測定値記憶手段100aとしては、ハードディスク、リムーバブルディスク、メモリーカードなどの永続的な記憶手段を利用することが一般的には想定されるが、必要に応じ半導体メモリーなどの一時的な記憶手段を利用しても構わない。
【0032】
以上のように構成することで、外観画像から測定工具の種類を特定し、特定した種類に応じた測定値読取方法を選択することができるため、複数の種類の測定工具について測定値を読み取ることが可能となる。また、使用したい測定工具の種類が増えた場合にも、装置の全体構成を変えることなく、工具特定情報記憶手段103と読取方法記憶手段105に新たに追加する測定工具の情報を追加するだけで対応することができる。
【0033】
測定値読取手段102で読み取った測定値を表示手段100bに表示するように構成してもよい。これにより、アナログ測定工具を使用した場合でも測定値を数値として視認することができる。この場合特に、目盛からの測定値の読み取り方を知らないか、又はスムーズに読み取ることができない使用者の作業効率の向上に資する。
【0034】
また、工具特定情報記憶手段103が、測定工具の個体ごとの工具特定情報を更に記憶し、工具特定手段104が、当該対象測定工具の個体を更に特定し、工具特定手段104で特定された測定工具の個体に応じて、表示手段100bなどに所定の警告を発出する及び/又は測定値読取手段102による測定値の読み取りを行わないように制御する読取制御手段107を更に備える構成をとってもよい。測定工具の校正は、通常は測定工具の管理部署(担当)が行い、作業者が使用する都度には行わないのが一般的であるため、小規模な企業などで管理が徹底できない場合には期限切れ測定工具を使って測定してしまう可能性がある。そこでこのような構成をとることで、特定した測定工具が校正済みかどうかをチェックして警告したり、校正期限切れの場合は測定値の読み取りを行わないなどの安全対策が可能となり、測定工具の管理工数も減らすことができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
図5は、本実施形態に係る測定データ収集装置200の構成例を示す図である。測定データ収集装置200は、撮像手段101、測定値読取手段102、工具特定情報記憶手段103、工具特定手段104、読取方法記憶手段105、読取方法特定手段106、フレーム201、指示入力手段202、及び指示認識手段203を備える。つまり、測定データ収集装置200は、測定データ収集装置100にフレーム201、指示入力手段202、及び指示認識手段203を追加したものある。
【0036】
フレーム201は、測定データ収集装置200の使用者の頭部に装着される。フレーム201には、当該フレーム201を装着した使用者の視界方向の光景が撮像される向きで撮像手段101を設ける。これにより、フレーム201を頭部に装着した使用者が、対象測定工具による測定操作のために当該対象測定工具に視線を向けることで、使用者は手を使うことなく当該対象測定工具が撮像される向きに撮像手段101を向けることができる。なお、フレーム201は、頭部に装着でき、かつ、撮像手段101を設けることができるものであれば、その形状は任意である。
【0037】
指示認識手段203は、指示入力手段202に入力された各手段に対する指示内容を認識し、各手段はこの指示内容に応じた所定の処理を実行する。例えば、「撮像」という指示が入力されると指示認識手段203がその指示を認識して撮像手段101に対して撮像の指示を与え、「保存」という指示が入力されると指示認識手段203がその指示を認識して測定値読取手段102に対して測定値を測定値記憶手段100aに記憶させるよう指示を与える。指示入力手段202を設ける場所は任意であるが、使用者が測定操作中に指示入力をしやすくする観点から、フレーム201に設けるのが好適である。一方、指示認識手段203はフレーム201に設けても別の場所に設けても構わない。
【0038】
指示入力手段202を、例えばマイクロフォンなどの収音手段とし、指示認識手段203が収音手段で収音された音声から指示内容を認識するように構成すると、例えば、「撮像」という音声が収音されると指示認識手段203がその音声から撮像指示を認識して撮像手段101に対して撮像の指示を与え、「保存」という音声が収音されると指示認識手段203がその音声から測定値の保存指示を認識して測定値読取手段102に対して測定値を測定値記憶手段100aに記憶させるよう指示を与えることができる。これにより、使用者は指示の入力の際に手を使う必要がなくなり、前述のとおり撮像の向きも手を使うことなく対象測定工具が撮像される向きにすることができるため、対象測定工具の撮像や測定値の保存の実行を、一切手を使わずに行うことが可能となる。そのため、たとえ対象測定工具による測定操作のために両手がふさがっていても、使用者は測定データ収集装置200に対して音声などにより指示を入力することで対象測定工具を撮像し、測定値を読み取ることができる。なお、ここでは音声により指示を入力する場合を例にとって説明したが、音声以外でも例えば、まばたきやその他の使用者の身体の動作などによって指示を入力してもよい。
【0039】
測定値読取手段102、工具特定情報記憶手段103、工具特定手段104、読取方法記憶手段105、及び読取方法特定手段106については、フレーム201に設けて一体的に構成してもフレーム201とは別の場所に設けても構わない。別の場所に設ける場合、全てを別の場所に設けるか、一部を別の場所に設けるかについては、フレーム201の構造設計などを考慮しつつ任意に決定してよい。
【0040】
〔第3実施形態〕
図6は、本実施形態に係る測定データ収集装置300の構成例を示す図である。測定データ収集装置300は、撮像手段101、測定値読取手段102、工具特定情報記憶手段103、工具特定手段104、読取方法記憶手段105、読取方法特定手段106、フレーム201、指示入力手段202、指示認識手段203、及び表示手段301を備える。つまり、測定データ収集装置300は、測定データ収集装置200に表示手段301を追加したものである。
【0041】
表示手段301は、フレーム201を装着した使用者の視界方向の光景に測定値読取手段102が読み取った測定値を重ねて表示する。この表示手段301をフレーム201に設けることで、アナログ測定工具を使用した場合でも測定値を数値として視認することができる。また、目盛からの測定値の読み取り方を知らないか、又はスムーズに読み取ることができない使用者の作業効率の向上に資する。当該効果は表示手段をフレーム201でない場所に設けることによっても得ることができるが、本実施形態のようにフレーム201に設けることで、測定操作中に視線を外したり体を動かしたりすることなく速やかに測定値を確認することができるため、作業効率のより一層の向上に資する。
【0042】
フレーム201を装着した使用者の視界方向の光景に測定値読取手段102が読み取った測定値を重ねて表示する表示手段301は、いわゆる拡張現実(Augmented Reality:AR)を実現する構成である。すなわち、測定操作をしている現実の環境に測定値という追加情報を付加して提示するという形で拡張現実を実現する。具体的には、例えば
図7に示すような眼鏡型のフレーム201に透過型ディスプレイである表示手段301を設けることにより実現できるほか、透過型のヘッドマウントディスプレイによっても実現することができる。ヘッドマウントディスプレイはヘッドマウント型のフレーム201に表示手段301を設けたものである。透過型のヘッドマウントディスプレイは、装着すると外の様子を直接には見ることはできないもののディスプレイに使用者の視界方向の光景が映し出されるため、これに測定値を重ねて表示することで拡張現実を実現することができる。
【0043】
測定値読取手段102、工具特定情報記憶手段103、工具特定手段104、読取方法記憶手段105、及び読取方法特定手段106については、フレーム201に設けて一体的に構成してもフレーム201とは別の場所に設けても構わない。別の場所に設ける場合、全てを別の場所に設けるか、一部を別の場所に設けるかについては、フレーム201の構造設計などを考慮しつつ任意に決定してよい。
【0044】
〔第4実施形態〕
図8は、本実施形態に係る測定データ収集装置400の構成例を示す図である。測定データ収集装置400は、測定データ収集装置300において、フレーム201に設けられた各手段とその他の各手段との間を無線により通信可能に構成したものである。以下、フレーム201に設けられた各手段以外の、その他の各手段の集合をデータ収集部400aと呼ぶ。データ収集部400aは例えば、スマートフォン等の携帯端末やパーソナルコンピュータに各手段での処理内容が記述されたプログラムを適用することにより構成することができる。フレーム201とデータ収集部400aは、それぞれ無線送受信手段400bを備える。無線送受信手段400bの無線通信方式は任意である。フレーム201に設けられた各手段は、無線送受信手段400bを介してデータ収集部400aの各手段との間で情報を送受信する。このように構成することで、邪魔な接続ケーブルを無くすことができ、かつ、測定場所を無線通信可能な範囲で移動することが可能となるため、作業効率を向上できる。特に、データ収集部400aとして携帯端末を適用した場合は、携帯端末を保持する限りフレーム201との距離は維持されるため、移動範囲が制限されなくなる。なお、
図8ではフレーム201に撮像手段101、指示入力手段202、表示手段301、及び無線送受信手段401bを、その他の各手段をデータ収集部400aにそれぞれ設ける構成を例示したが、各手段をフレーム201とデータ収集部400aのいずれに割り振るかについては、第1実施形態から第3実施形態で具体的に説明した本発明において表現されている技術的思想の範囲内において、フレーム201の構造設計などを考慮しつつ任意に決定してよい。
【0045】
図9に測定データ収集装置400の変形例である測定データ収集装置500の構成例を示す。測定データ収集装置500は、測定データ収集装置400の構成に加え、データ収集部400aに音生成手段501を、フレーム201にスピーカーなどの放音手段502をそれぞれ備える。音生成手段501は、データ収集部400aの各手段において測定値の読み取り失敗など、何らかの問題が生じた場合に、その問題の発生を意味する警報音や音声メッセージなどを生成し、それをフレーム201に設けられた放音手段502から放音する。これにより、フレーム201を装着した使用者は放音手段502から放音される音によりデータ収集部400aにおいて生じた問題の発生を速やかに認識することができる。音生成手段501は、必ずしも問題発生を使用者に伝える音を生成するのみならず、測定支援などの情報を使用者に通知する音声を生成するように構成してもよい。これにより更に利便性の向上を図ることができる。
【0046】
各実施形態の測定データ収集装置を構成する各手段における機能・処理は、必要に応じ併合・分割しても構わない。また、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【0047】
コンピュータを本発明を構成する各手段として機能させる場合、各手段での処理内容はプログラムによって記述される。そのプログラムは、例えば、ハードディスク装置に格納されており、実行時には、必要なプログラムやデータがRAM(Random Access Memory)に読み込まれて、そのプログラムがCPUにより実行されることにより、コンピュータ上で各処理内容が実現される。