(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の方法であって、前記反応性材料は、シリコン含有材料、チタン含有材料、ゲルマニウム含有材料、スズ含有材料、炭素含有材料、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
請求項1に記載の方法であって、前記基板の前記1つまたは複数の層の前記材料は、第4周期遷移金属、第5周期遷移金属、第6周期遷移金属、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される方法。
請求項8に記載の方法であって、第4周期遷移金属、第5周期遷移金属、第6周期遷移金属、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される前記金属と、前記誘電材料とは、前記基板の隣接する層である方法。
請求項11に記載の方法であって、(e)の前記活性化ガスは、アルゴン、炭酸ガス、アンモニア、水素含有ガス、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される方法。
請求項4に記載の方法であって、前記2以上のサイクルは、第1組の金属層と誘電体層とをエッチングし、(c)は、前記誘電体層をエッチングした後、前記誘電体層の下層である第2組の金属層をエッチングするまでの間に実行される方法。
(a)1つまたは複数の金属層と、自由層と、誘電体バリア層と、固定層とを含み、前記誘電体バリア層が前記自由層と前記固定層との間にあり、前記自由層と、前記誘電体バリア層と、前記固定層とが前記1つまたは複数の金属層の間にある基板を提供し、
(b)反応性材料を堆積させるために前記基板をシリコン含有ガスおよび還元剤に晒し、
(c)前記基板の表面を実質的に飽和させるのに十分な期間にわたり、前記基板をハロゲン含有ガスに曝露し、
(d)前記基板をエッチングするために前記基板を活性化源に暴露すること
を備える方法。
請求項39に記載の装置であって、揮発性種を形成するために前記ハロゲン含有ガスと、前記基板の前記1つまたは複数の層の材料との両方に反応する前記反応性材料の導入を行わせる前記命令は、シリコン含有材料、チタン含有材料、ゲルマニウム含有材料、スズ含有材料、炭素含有材料、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を堆積させる命令を備える装置。
請求項43に記載の方法であって、前記第1の材料は、シリコン含有材料、チタン含有材料、ゲルマニウム含有材料、スズ含有材料、炭素含有材料、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、前記第2の材料は、第4周期遷移金属、第5周期遷移金属、第6周期遷移金属、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、提示される実施形態の完全な理解を促すために、多数の特定の詳細が示される。開示される実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全部なしに実施することができる。一方、開示される実施形態を不必要に曖昧化しないために、よく知られた加工操作は詳細に説明されていない。開示される実施形態は特定の実施形態と組み合わせて説明されるが、開示される実施形態を限定することは意図されていないことが理解される。
【0028】
半導体ウエハの加工中、金属含有層を通じてフィーチャがエッチングされることがある。磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)の形成では、複数の薄い金属層またはフィルムが連続的にエッチングされて磁気トンネル結合スタックが形成されることがある。
【0029】
磁気トンネル結合(MTJ)は、2つの磁気材料の間の薄い誘電体バリア層で構成される。電子は、量子トンネル効果により、バリアを通過する。これは、磁気ベース・メモリの基盤として役立ち得る。
【0030】
スピントランスファ・トルクは、MTJの磁気層の方向をスピン偏極電流を使用して変更することができる効果である。電荷キャリア(たとえば、電子)は、キャリアに固有の少量の角運動量である、スピンと呼ばれる性質を持つ。電流は、一般的には偏極されない(50%のスピンアップ電子と、50%のスピンダウン電流)。電流を厚い磁気層(通常は「固定層」と呼ばれる)に通すことにより、どちらかのスピンの電子が多いスピン偏極された電流を生成することができる。このスピン偏極電流を、第2のより薄い磁気層(「自由層」)に方向付けると、この層に角運動量を搬送して、方向を変えることができる。この効果を使用して、振動を励起することも、さらには磁気の方向を反転させることもできる。
【0031】
スピントランスファ・トルクは、磁気ランダム・アクセス・メモリの能動素子を反転するために使用することができる。スピントランスファ・トルク磁気ランダム・アクセス・メモリ(STT−RAMまたはSTT−MRAM)は、磁界を使用して能動素子を反転する従来の磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)より消費電力が少なく、拡張性に優れるという利点を有する。スピントランスファ・トルク技術は、電力要件の軽減とコストの削減を両立するMRAMデバイスを実現する可能性を秘めている。Ralph,D.C.;Stiles,M.D.(2008年4月)。「Spin transfer torques」。Journal of Magnetism and Magnetic Materials320(7):1190〜1216ページ。
【0032】
例示的なMTJスタックが
図1に提供されている。
図1は、シリコン酸化物エッチング停止層101と、窒化タンタル・バリア層103と、ルテニウム金属層105と、固定層107と、誘電体層109と、自由層111と、タンタル層113と、別のルテニウム金属層115とを含むスタック100を示している。図に示されているように、MTJスタック120は、自由層111と、誘電体層109と、固定層107とで構成される。なお、図には特定の化学的構造(ケミストリ)が示されているが、他の適切な化学的構造もそのようなスタックに存在する可能性がある。自由層および固定層は、コバルト鉄、コバルト白金等の金属および/または金属合金を含むことができる。
【0033】
スピントランスファ・トルク磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(STT MRAM)の高密度スケーリングでまだ克服されていない主要な課題の1つは、MRAMスタックのパターニングである。MRAMスタックは、イオン・ビーム・エッチング(IBE)、反応性イオン・エッチング(RIE)、および湿式ケミストリによる複雑なアプローチを使用しなければパターニングがきわめて難しいCo、Fe、Mn、Ni、Pt、Ru等の不揮発性の強磁性材料を含む。長年の開発にも関わらず、現在のパターニング技術は、テーパ形状や固定層へのMTJの短絡を引き起こす側壁再堆積、およびMTJ層の損傷を引き起こす腐食等の多数の欠点を依然として抱えている。一部の従来技法では、塩素含有ケミストリを使用して金属をエッチングするが、エッチングされた副生成物は、後でフィーチャの側壁に再堆積し得る不揮発性化合物を含む。
【0034】
本開示では、側壁への再堆積および露出された層の損傷を発生させずに不揮発性金属をエッチングする乾式プラズマ・エッチング・システムを提供する。たとえば、開示される実施形態は、MTJ層を損傷することなく不揮発性MRAM金属をエッチングするために使用されてもよい。MRAM金属用の揮発性エッチング生成物を形成するケミストリ、ならびに化学反応用および金属エッチング・フロントからのエッチング副生成物の正確な除去のために実質的に化学量推量の反応物を搬送する方法が提供される。後者は、反応物を固体状態で堆積させ、改質された表面を予測可能なエッチング・レートでエッチングする、ALD−ALE(原子層堆積−原子層エッチング)法を含む。エッチング反応物の搬送とエッチング生成物の除去とを正確に行うために、ALDとALEを組み合わせた方法を使用することができる。一部の実施形態では、反応物は、プラズマ支援化学気相堆積(PECVD)等の他の方法を使用して堆積される。
【0035】
ALDは、連続的な自己制御反応を使用して、材料の薄い層を堆積させる技法である。ALDは、任意の適切な技法を使用して実行することができる。「ALDサイクル」の概念は、本明細書の様々な実施形態の説明に関連する。通常、ALDサイクルは、表面堆積反応を1回実行するために使用される、最小限の操作セットである。1つのサイクルにより、少なくとも部分的に共形な層が基板表面に作製される。典型的には、ALDサイクルは、少なくとも1つの反応物を基板表面に搬送して吸着させ、吸着した反応物を1つまたは複数の反応物と反応させて部分的なフィルム層を形成する操作を含む。このサイクルは、反応物もしくは副生成物の一掃、および/または部分的なフィルムの堆積物としての扱いなどの、特定の補助的な操作を含むことができる。通常、1つのサイクルは、連続する操作の1つのインスタンスを含む。例として、ALDサイクルは、(i)チャンバへの先駆物質の搬送/吸着、(ii)チャンバからの先駆物質のパージ、(iii)第2の反応物およびプラズマの搬送、および(iv)チャンバからのプラズマのパージの各操作を含むことができる。
【0036】
ALEは、連続的な自己制御反応を使用して、材料の薄い層を除去する技法である。通常、ALEは、任意の適切な技法を使用して実行することができる。「ALEサイクル」の概念は、本明細書の様々な実施形態の説明に関連する。通常、ALEサイクルは、単一層のエッチングなどのエッチングプロセスを1回実行するために使用される、最小限の操作セットである。1つのサイクルにより、基板上の固定および予測可能な量のフィルム層がエッチングされる。典型的には、ALEサイクルは、改質された層を形成する改質操作と、その後に続く、この改質された層のみを除去またはエッチングする除去操作とを含む。このサイクルは、反応物または副生成物の一掃などの、特定の補助的操作を含むことができる。通常、1つのサイクルに、連続する操作の1つのインスタンスが含まれる。例として、ALEサイクルは、(i)チャンバへの反応ガスの搬送、(ii)チャンバからの反応ガスのパージ、(iii)除去ガスおよび任意選択のプラズマの搬送、および(iv)チャンバのパージの各操作を含むことができる。一部の実施形態では、エッチングは非共形に実行することができる。
【0037】
開示される方法によれば、エッチング・レートの正確な制御、損傷のないMTJ、およびMRAMフィーチャの共形性と均一なエッチングを実現することができる。本明細書に記載されているように、通常、揮発性のエッチング副生成物は、Si等の材料を、Cl等のハロゲンおよび金属イオンと実質的に化学量論的に反応させて、MをCo、Fe、Mn、Ni、Pt、Pd、またはRuとすることができるM−SiCl
x等の種を形成することにより形成することができる。一部の実施形態では、金属へのシリル基(−SiCl
x)の適用により、M−SiCl
x種の融点/沸点が著しく低下し、特に真空において、分圧が著しく上昇する。
【0038】
実質的に化学量論量の反応物を使用することで、プロセスの悪影響が回避される。たとえば、プラズマ内のSiフラックスが多過ぎる場合、Siの堆積が発生する可能性があり、それによって反応でのM−SiCl
x等の種の形成が阻止される可能性がある。逆に、たとえば、Siが少な過ぎる場合、M−SiCl
x種の形成が妨げられるため、エッチング・レートが抑制される。同様に、過剰なClを金属表面に加えると、(沸点が1200℃超である)不揮発性のCoCl
2やFeCl
3などの金属塩化物が形成される。
【0039】
一実施形態によれば、ハロゲン化物および/またはハロゲン含有ガスならびに金属と反応して揮発性種を形成する、実質的に化学量論量の材料が、チャンバ内でALDプロセスにより金属(たとえば、CoFe)表面に堆積される。例として、SiN、SiO
2、Si、TiO
2がある。ALEプロセスは、堆積したSi層および金属表面を、Cl
2またはBCl
3の形式のClで活性化する。その後、過剰なCl
2がチャンバから排出される。一部の実施形態では、Arの脱着が実行されてもよく、これは、塩素化された表面に衝突すると共にさらなる活性化を促して揮発性の金属シリル種を形成させ、その後、金属シリル種はチャンバから排出される。Si反応物およびCl反応物が化学量論的に一致したときに、エッチング・レートは最大に達する。一部の実施形態では、ALE操作およびALD操作は、同じチャンバ、またはツールの異なるチャンバ・モジュールで、真空を破ることなく行うことができる。
【0040】
次に、開示される実施形態について、いくつかの特定の実施形態を参照してさらに詳しく説明する。
図2は、開示される実施形態に基づいて操作を実行するためのプロセスフロー図である。
図3A〜
図3Gは、開示される実施形態に基づいてエッチングされた例示的スタックの概略図である。
図4A〜
図4Fは、開示される実施形態に基づくエッチングのための例示的な機構の概略図である。なお、
図4A〜
図4Fの例は金属層のエッチングを表しているが、開示される実施形態は、半導体材料、導電性材料、および誘電材料を含む様々な材料のエッチングに使用することができる。さらに、
図4A〜
図4Fは例示的な機構を示しており、開示または請求項の範囲はいかなる特定の操作理論によっても限定されないことを理解する必要がある。これらの図面について、まとめて説明する。
【0041】
図2を参照すると、操作202において、基板が提供される。基板は、200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ等のシリコン・ウエハとすることができ、誘電材料、導電性材料、半導体材料等の材料の1つまたは複数の層が堆積されたウエハを含む。様々な実施形態では、基板はパターニング(パターン化)されている。パターニングされた基板は、ピラー、ポール、トレンチ、ビア、コンタクト・ホール等の「フィーチャ(構造、機構)」を備えてもよく、これらのフィーチャは、細くおよび/または凹角(リエントラント)な開口、フィーチャ内の狭窄、および高いアスペクト・レシオの1つまたは複数により特徴付けることができる。フィーチャは、上述した層の1つまたは複数に形成されてもよい。フィーチャの一例は、半導体基板または半導体基板の層のピラーまたはポールである。別の例は、基板または層のトレンチである。様々な実施形態では、フィーチャは、バリア層や粘着層などの下層を備えてもよい。下層の非限定的な例として、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属層などの誘電体層および導電層がある。
【0042】
一部の実施形態では、ピラー等のフィーチャは、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、少なくとも約6:1、少なくとも約10:1、またはそれ以上のアスペクト・レシオを備えてもよい。またフィーチャは、開口寸法または線幅が約10nmから500nmの間、たとえば、約25nmから約300nmの間の、開口に近い寸法をとり得る。開示される方法は、約150nm未満の開口を有するフィーチャを備える基板で実行することができる。ビア、トレンチ、または他の窪んだフィーチャは、未充填フィーチャまたはフィーチャと呼ばれることがある。様々な実施形態によれば、フィーチャの形状は、徐々に細くなるか、および/またはフィーチャ開口にオーバーハングを含むことがある。リエントラント形状は、底部の閉じた端部またはフィーチャの内部からフィーチャ開口に向けて細くなる形状である。リエントラント形状は、パターニングの際の非対称エッチング動力学、および/または拡散バリアの堆積等の以前のフィルム堆積の非共形なフィルム・ステップのカバレッジに起因するオーバーハングにより生成することができる。様々な実施形態では、フィーチャは、フィーチャの上部の開口で、フィーチャの底部の幅よりも狭い幅を有してもよい。
【0043】
一部の実施形態では、パターニングされた基板は、基板全体に様々なトポグラフィを含むことができる。一部の実施形態では、部分的に作製されたゲートが基板に存在してもよい。様々な実施形態では、基板は、後続の加工でMRAMスタックをエッチングするのに適した金属、誘電材料、および半導体材料の層を含むことができる。たとえば、一部の基板は、メモリ素子がMTJを含むMRAM設計を含むことができる。本明細書の他の部分に記載されているように、MTJメモリ素子は、薄いトンネル・バリアで分離された2つの電極を含む。2つの電極は、強磁性の薄いフィルム層とすることができ、楕円形とすることができる。一部の実施形態では、MTJメモリ素子は、追加の磁気層を含む。たとえば、MTJメモリ素子は、薄い金属層を挟む一対の強磁性層をさらに含むことができ、これらの強磁性層は、合成反強磁性体や反強磁性層と呼ばれることがある。本明細書に記載された方法を使用して基板に作製することができる例示的なMRAMメモリ素子の形状および設計のさらなる説明は、「Semiconductor Manufacturing Magazine」90〜96ページで公開されているDitizio,Robertらの「Cell Shape and Patterning Considerations for Magnetic Random Access Memory(MRAM)Fabrication」で提供されている。
【0044】
図2に戻ると、操作202の際に、基板を湿式エッチングにより準備することができる。たとえば、
図3Bでは、基板の第1の金属層313をエッチングするために、湿式エッチングが実行されている。一部の実施形態では、湿式エッチングは実行されない。
【0045】
図3Aは、本明細書に記載されているように、基板に存在してもよいMRAMスタックの例を示す。なお、この図では、各スタックの例示的なケミストリが記されているが、提供されたケミストリの代わりに、またはそれらと組み合わせて、他の任意の適切な材料が存在してもよい。たとえば、開示される実施形態は、異なるパターン(たとえば、非MRAMパターン)用に材料をエッチングするために使用されてもよい。なお、
図3A〜
図3Gでは例示的な層が示されているが、開示される実施形態は、不揮発性の副生成物が基板の構成要素に再堆積するのを緩和しながら、表面の他の材料をエッチングするために使用されてもよい。
【0046】
基板300は、SiO
2のエッチング停止層301を含む。なお、エッチング停止層301は、基板300の他の層(図示せず)の上に存在してもよい。窒化タンタル(TaN)の薄いバリア層303は、このスタックでエッチング停止層301の上に存在する。TaNバリア層303の上には、ルテニウム(Ru)を含む金属層305が存在する。金属層305は、一部の実施形態では、約8nmの厚さを有してもよい。Ru金属層305の上には、コバルト白金(CoPt)を含むことができる金属または金属合金層307が存在する。一部の実施形態では、金属合金層307は、PtMnを含むことができる。本明細書で使用されるように、層307は、「固定層」307と呼ばれることがある。固定層307は、一部の実施形態では、約10〜30nmの厚さを有してもよい。
図3Aは、酸化マグネシウム(MgO)を含むことができる誘電体バリア層309をさらに示す。誘電体バリア層309は、本明細書では、「誘電体層」309と呼ばれることがある。一部の実施形態では、誘電体層309はきわめて薄い可能性があり、たとえば約1.5nm以下の厚さを有する。
【0047】
誘電体層309の上には、コバルト鉄(CoFe)を含むことができる金属合金層311が存在する。金属合金層311は、CoFeBを含むことができる。金属合金層311は、本明細書では「自由層」と呼ばれることがある。自由層311の上には、タンタル(Ta)バリア層313が存在する。Taバリア層313の上には、Ru金属層315が存在する。本明細書で開示される実施形態では、Ru金属層315は「第1の金属層」と呼ばれることがあり、Ru金属層305は「第2の金属層」と呼ばれることがある。Taハード・マスク317が堆積され、
図3Aに示すようなパターンにエッチングすることができる。なお、ハード・マスク317は、必ずしもタンタル・ハード・マスクでなくてもよい。たとえば、他の適切なハード・マスクとして、炭素含有ハード・マスク、窒素含有ハード・マスク、および酸素含有ハード・マスクがある。
【0048】
図2に戻ると、操作204において、材料が基板に共形に堆積される。材料は、ハロゲン化物および/またはハロゲン含有ガスならびに基板の層の材料と反応して、揮発性種を形成する。一部の実施形態では、材料は、1つまたは複数のハロゲン化物および/またはハロゲン含有ガスならびに基板の層の1つまたは複数の材料と反応して揮発性種を形成する。たとえば、材料は、コバルト含有金属およびBCl
3とCl
2の混合物と反応して揮発性種を形成し得る。材料は、揮発性種を形成する材料の供給源と、基板の保護層とを提供する。以下の説明の目的上、この共形の材料は「保護層」と呼ばれることがあるが、当然のことながら、保護層は、ハロゲン化物および/またはハロゲン含有ガスならびに基板の材料と反応して揮発性種を形成する材料を含み、共形とすることができる。
【0049】
操作202において堆積される保護層は、金属ハロゲン化物で揮発性種を形成できる元素を含む。保護層は、任意の第4族元素を含むことができる。たとえば、保護層は、シリコン含有層、チタン含有層、ゲルマニウム含有層、スズ含有層、炭素含有層、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。例示的なシリコン含有層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、アモルファス・シリコン、ポリシリコン、およびそれらの混合物を含む。例示的なチタン含有層は、酸化チタン、窒化チタン、チタン、およびそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、保護層は誘電材料である。
【0050】
保護層は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ支援CVD(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ支援ALD(PEALD)、スピンオン堆積、およびスパッタリングを含む任意の適切な方法により堆積させることができる。一部の実施形態では、保護層は、ハロゲン化物および/またはハロゲンならびに金属含有化合物と反応して揮発性種を形成するための材料の供給源を提供する。たとえば、SiH
4、SiCl
4等のガスを使用して、またはTEOS、SOG、HMDSなどのオルトケイ酸塩化合物等の液体を使用して、PVD、PECVD、スピンコーティングプロセス等のALD以外の方法による反応のために、Si供給源をMRAM表面に導入することができる。
【0051】
たとえば、保護層は、PECVDにより堆積させることができる。例として、基板をプラズマによりシリコン含有先駆物質および窒素含有反応物に同時に曝露するものがある。たとえば、基板は、シランおよび窒素プラズマに同時に晒されてもよい。上述した任意のケミストリを有する保護層を堆積させることができる任意の適切な先駆物質および反応物が、保護層を堆積させるために使用されてもよい。
【0052】
図3Cでは、基板300に堆積している保護層320が示されている。一部の実施形態では、これが第1の保護層とすることができる(たとえば、一部の操作では、別の保護層320も堆積させることができる)。なお、図面では、保護層320は共形である。一部の実施形態では、保護層320は共形である必要はない。一部の実施形態では、保護層320の一部は、犠牲層とすることができる。
【0053】
図4Aは、基板400の一部の概略図の別の例である。この例では、基板400は、Co、Fe、Mn、Pd、Pt、それらの合金、およびそれらの組み合わせ等を含むことができる金属層411を含む。ここで、Ruの第1の金属層は湿式エッチングされており、シリコン含有保護層420(たとえば、Si供給源)がタンタル・ハード・マスクおよび金属層411の上に堆積されている。なお、
図4Aの基板は、
図3Cに類似しているが、図示の目的によりタンタル・バリア層を除外している。
図4Aでは層の特定の例が示されているが、任意の適切な金属がハード・マスクの下に存在してもよく、任意の組成のハード・マスクが存在してもよい。さらに、任意の適切な保護層420が開示される実施形態で使用されてもよく、そのような保護層は、
図4Aに示されているようなシリコン含有層に限定されない。
【0054】
図2に戻ると、操作206の際に、基板がハロゲン含有反応物に暴露されて、基板の表面が改質される。ハロゲン含有反応物は、ホウ素ハロゲン含有ガス、ハロゲン含有ガス、ハロゲン化物ガス、およびそれらの組み合わせを含むことができる。例として、BCl
3、BBr
3、BI
3、Cl
2、F
2、Br
2、およびI
2がある。ガスの組み合わせの一例は、BCl
3/Cl
2とすることができる。ハロゲン含有反応物は、保護層と反応する、および/または保護層に吸着し得る。たとえば、シリコンの保護層は、ハロゲン含有反応物と反応して、基板の表面にハロゲン化シリコンを形成し得る。なお、一部の実施形態では、ハロゲン含有反応物は、基板の少なくとも約90%、または基板の少なくとも約99%を飽和させ得る。一部の実施形態では、ハロゲン含有反応物は、基板の表面に共形に吸着し得る。一例では、塩素原子および/または分子がシリコン含有保護層の表面に吸着し得る。
【0055】
図4Bは、保護層420と反応し、保護層420の表面に吸着して表面に吸着層450bを形成している、Cl
2の塩素分子450aの例示的な概略図である。
図4Bの例示的な基板400は、Cl
2分子450aが基板400の表面に向かって移動して基板400の表面に吸着または反応する方向を表す矢印を示している。バイアスが、約100Vb未満、または約60Vb未満、たとえば約50Vbの出力で供給されてもよい。
【0056】
図2の操作208において、基板が活性化ガスに暴露されて、基板の改質された表面がエッチングされる。様々な実施形態では、活性化ガスは、アルゴン、炭酸ガス、アンモニア、水素含有ガス、およびそれらの組み合わせ等の1つまたは複数の不活性ガスを含むことができる。操作208の際に、プラズマ等の活性化源が生成されて、ガスが活性化され、基板がエッチングされる。
図2の操作208の際に、ハロゲン含有化合物が吸着し、バイアス・エッチングの方向に直交する面を、完全にエッチングすることができる。一部の実施形態では、基板を方向性エッチングするために、低いバイアスが適用されてもよい。たとえば、バイアスは、約100Vb未満、たとえば約50Vbの出力で供給されてもよい。プラズマの出力は、約500Wから約1500Wの間とすることができる。
【0057】
図4Cにおいて、シリコン塩化物470を含むエッチングされた化合物が、タンタル・ハード・マスクのフィールド領域の水平面から除去され、堆積された共形層または保護層420が除去されて、露出された金属層411が見えるようになる。なお、
図4Cに示されているように、ハード・マスクおよび第1の金属層(ここでは、それぞれTaおよびRu)の側壁に堆積した保護層の一部は、側壁に残る。この残留した保護層は、エッチング反応による任意の潜在的な副生成物による損傷または劣化からハード・マスクを引き続き保護する層として機能し得る。
【0058】
その結果、操作206および208を実行した後の
図3Cの基板は、
図3Dに示す構造を有してもよい。
図3Dに示すように、保護層322の一部がフィーチャの側壁に残りつつ、その下の1つまたは複数の層(たとえば、タンタル・バリア層313と、CoFe自由層311の大半)がエッチングされるように、方向性エッチングを実行することができる。なお、様々な実施形態において、CoFe自由層311は、誘電体層309が容易にエッチングされ、フィーチャの側方にエッチングするのを防ぐため、完全にはエッチングされない。たとえば、基板が、MgOを含み自由層311に隣接する誘電体層309を含む場合、自由層311を、約0Åから約10Åが基板に残るようにエッチングすることができる。なお、様々な実施形態では、基板は、様々な操作をサイクルで実行することにより、これらの層を通ってエッチングされる。
【0059】
たとえば、
図2に示されているように、操作210で、操作206〜208を任意選択で反復することができる。一部の実施形態では、206および208の反復がサイクルを構成し得る。たとえば、一部の実施形態では、操作206および208は、2以上のサイクルで反復することができる。各サイクルは、サイクルごとに約1Åから約10Å、たとえばサイクルごとに約6Åをエッチングするように実行することができる。したがって、一部の実施形態では、
図3Cに示す基板は、操作206および208のサイクルを使用して、バイアスを適用することにより実施される方向性エッチングの方向に対して垂直な基板の表面を通ってエッチングすることができる。たとえば、
図3Cに示されているように、操作206および208が反復されて、共形層または保護層320、タンタル・バリア層313、およびCoFe/CoFeB自由層311の大半をエッチングすることができる。上述したように、操作206および208のサイクルは、MgO誘電体層309を保護するために、CoFe/CoFeB自由層311を完全にエッチングする前に停止されても、MgO誘電体層309を完全にエッチングするように継続されてもよい。
【0060】
図3Eでは、操作208が基板をハロゲン含有ガスに晒さずに実行されて、CoFe/CoFeB自由層311の薄い層がエッチングされ、MgO誘電体層309がエッチングされている。一部の実施形態では、操作208は、基板をノンハロゲン・ガスに曝露することにより実行される。様々な実施形態では、誘電体層に対して粗いエッチング・ケミストリを実行しないように、アルゴン・ガスがバイアスを使用してスパッタされ、誘電体層をエッチングする。一部の実施形態では、誘電体層に粗いエッチング・ケミストリを適用することで、誘電体層がマスクの下でエッチングされ、それによって潜在的な品質低下や装置故障の問題が発生する可能性がある。一部の実施形態では、誘電体エッチングの際に、バイアスが適用される。たとえば、バイアスは、約100Vb未満、たとえば約50Vbで供給されてもよい。
【0061】
図4D〜
図4Fは、
図2の操作206および208が操作210で反復されるように
図4Cから続く、例示的なエッチング機構を概略的に示す。
図4Dは、操作206が反復される基板400を示す。
図4Cにおいて金属層411が露出された後、基板は、
図4DにおいてCl
2450aに暴露されて、基板の表面が改質される。図示されているように、Cl
2は、基板400の表面に吸着するか、または基板の表面と反応して、塩素450bの吸収層を形成し得る。なお、シリコン含有材料の事前の堆積により保護層420が側壁に残っているため、一部の塩素450bは保護層420に吸着または反応し、一部の塩素450bは金属表面411に吸着または反応する。
【0062】
図4Eは、操作208が反復される基板を示す。図示されているように、アルゴン(たとえば、活性化ガス)440が基板に導入され、プラズマが生成されて基板がエッチングされる。様々な実施形態では、
図4Eの矢印で示されているように、基板を方向性エッチングするためにバイアスが適用される。シリコン含有保護層420が存在することで、吸着した塩素450bおよび金属表面411の金属により、複合体475が形成される。なお、すべての複合体475が同じ化学構造を有するとは限らない。しかし、保護層420は、この例ではシリコンを提供して、基板が加工されるチャンバからパージすることができる揮発性種475を形成する。様々な実施形態では、保護層420は、追加または代替で、チタン、ゲルマニウム、また金属ならびにハロゲン化物および/またはハロゲンガスと反応して揮発性種を形成する他の材料など、他の材料を含むことができる。
【0063】
一部の実施形態では、Si支援ALEエッチングの際に、SiO
2/SiN保護層(
図4Aの保護層420など)がMRAM金属表面に堆積される。次に、Siでドープされた金属表面(
図4Bに図示)がBCl
3/Cl
2ガス(塩素分子450a等)により活性化されて、塩素(450b)の吸着層を形成する。Arガスの方向性Arイオン・ビーム(440)は、改質された層に衝突し、その過程で壊れて新たな結合が形成するのを可能にし、最終的に揮発性エッチング生成物(M−SiCl
x)(475)を気相に脱着させる。
【0064】
まとめると、例示的な活性化反応は以下のようになり得る。
【化1】
【0065】
例示的な脱着/再結合反応は、以下のようになり得る。
【化2】
【0066】
M−SiCl
x複合体は、安定性および揮発性を有し、金属形式に分解することなくArスパッタ脱着に耐えることができる。その結果、側壁への再堆積が軽減または回避される。
【0067】
開示される実施形態は、ハロゲン化物および/または ハロゲン含有ガスならびに金属と反応して揮発性種を形成する材料を堆積させることを含む。例として、シリコン含有材料、チタン含有材料、ゲルマニウム含有材料、スズ含有材料、炭素含有材料、およびそれらの組み合わせがある。一部の実施形態では、堆積される材料は、アモルファス・シリコン、ポリシリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物等のシリコン含有材料とすることができる。一部の実施形態では、堆積される材料は、チタンまたは酸化チタンとすることができる。
【0068】
開示される実施形態は、CoPt、CoPd、PtMn、およびCo、Fe、Mn、Pt、Ru、Ta等を含む他の多様な材料の固定層のエッチングにも適している。原理は、Cu等の金属を含む、第1列、第2列、および第3列(たとえば、第4周期、第5周期、および第6周期遷移金属)の他のすべての遷移金属に当てはまる。GeおよびSn等の、同じ第4族内の他の安定したガス復号種は、同じ動作を示すことができる。
【0069】
Siの他に、類似する揮発性エッチング生成物を、C、Ge、Snなど、周期表の第4族の他のメンバで形成して、M−CCl
x、M−GeClX、M−SnClX等の安定した揮発性の種をプラズマで形成することもできる。これらの反応物は、CClX、SiClX、GeClX、SnClX(Xはハロゲンであり、たとえば、多様な化学量論比を有するF、Cl、またはBr)等のハロゲン化ガスとして、またはこれらの元素のMRAM金属表面への堆積を可能にする他の供給源として、導入することができる。
【0070】
揮発性金属エッチング生成物の活性化、形成、および脱着は、ALE以外の方法により行うことができる。反応性イオン・エッチング(RIE)、電子サイクロトロン共鳴エッチング(ECR)、熱脱着およびUVプロセス等の方法も一部の実施形態で使用されてもよい。開示される実施形態は、湿式エッチングプロセスおよび/または反応性イオン・エッチングプロセスと統合されてもよい。
【0071】
図4Fは、金属表面411の層がエッチングされた後の基板を示す。なお、保護層420の一部は、操作206および208が様々なサイクルで実行されるときにエッチングすることができる。
【0072】
したがって、
図2の操作212、操作204において、で第1の共形材量を形成し、操作204の反復操作で基板に堆積してハロゲン化物および/またはハロゲン含有ガスならびに基板の金属と反応して揮発性種を形成するさらなる材料を提供する第2の共形材料を形成するように操作204〜210を任意選択で反復することができる。
【0073】
図3Fは、操作212に対応する基板の例を示す。図示されているように、操作204が反復されて、基板の上に第2の保護層324がさらに堆積されている。この保護層324は、Taバリア層313、CoFe自由層311、およびエッチングされたMgO誘電体層309をさらに保護する役割を果たし得る。
【0074】
したがって、操作206および208は、残りの基板がエッチング停止層までエッチングされるまで、同じくサイクルで反復することができる。
図3Gは、操作206および208がサイクルで反復されて、CoPt固定層307、第2のRu金属層305、およびTaNバリア層303がエッチングされた、エッチング済みの基板を示す。基板300は、側壁に残存した保護層322および324を示している。様々な実施形態では、これらの層は、スタックが作製された後に削減または除去されてもよい。一部の実施形態では、これらの層のいくつかまたは一部は、開示される実施形態が実行されるときにエッチングすることができる。
【0075】
本開示は理論によって何ら限定されないが、MRAM金属(たとえば、Co、Fe、Mn、Pd、およびPt)用の堆積−エッチング機構は、以下のように進行すると考えられる。この機構は、Cl(たとえば、BCl
3および/またはCl
2により提供される)およびAr ALEの際にSiを導入することを通じて、金属を側壁に再堆積させることなく、これらの金属を乾式化学エッチングすることを含む。上述したように、任意の特定の理論に縛られることなく、ハロゲン化物および/もしくはハロゲン含有ガスならびに金属と反応するSiまたは他の材料が存在することで、エッチング・チャンバで高い分圧を有し容易に排出することができるCo−SiCl
x、Fe−SiCl
x等の揮発性エッチング生成物が形成される。
装置
【0076】
一部の実施形態で原子層エッチング(ALE)操作および原子層堆積(ALD)操作に適したものとすることができる誘導結合プラズマ(ICP)反応器について次に説明する。そのようなICP反応器は、2013年12月10日に出願され発明の名称を「IMAGE REVERSAL WITH AHM GAP FILL FOR MULTIPLE PATTERNING」とする米国特許出願公開第2014/0170853号にも記載されており、本明細書でその全体をすべての目的のために引用により援用する。本明細書ではICP反応器について説明するが、一部の実施形態では、容量結合プラズマ反応器も使用されてもよいことを理解する必要がある。
【0077】
図5は、本明細書の特定の実施形態を実装するのに適した、誘導結合プラズマ統合エッチング堆積装置500の断面図を概略的に示しており、この装置の一例は、カリフォルニア州フレモント市所在のLam Research Corp.により製造されるKiyo(登録商標)反応器である。誘導結合プラズマ装置500は、チャンバ壁501および窓511により構造的に確定される、全体的な加工チャンバ524を備える。チャンバ壁501は、ステンレス鋼またはアルミニウムから作製することができる。窓511は、石英または他の誘電材料から作製することができる。任意選択の内部プラズマ・グリッド550は、全体的な加工チャンバを上部サブ・チャンバ502と下部サブ・チャンバ503とに分割する。ほとんどの実施形態では、プラズマ・グリッド550を取り除き、それによってサブ・チャンバ502および503からなるチャンバ空間を利用することができる。チャック517は、下部サブ・チャンバ503内の内部底面の近傍に配置される。チャック517は、エッチングおよび堆積プロセスが実行される半導体基板またはウエハ519を受け取って保持するように構成される。チャック517は、ウエハ519が存在するときにこれを支持する静電チャックとすることができる。一部の実施形態では、エッジリング(図示せず)がチャック517を囲み、ウエハ519がチャック571の上に存在するときに、ウエハ519の上面に対してほぼ平坦な上部表面を有する。チャック517は、ウエハ519をチャッキングおよびデチャッキングするための静電電極をさらに含む。この目的のために、フィルタおよびDCクランプ電源(図示せず)が提供されてもよい。ウエハ519をチャック517から離昇させる他の制御システムを提供することもできる。チャック517は、RF電源523を使用して電気的に充電することができる。RF電源523は、接続527を介して、整合回路521に接続される。整合回路521は、接続525を介して、チャック517に接続される。この態様で、RF電源523がチャック517に接続される。
【0078】
プラズマ生成のための要素は、窓511の上に配置されたコイル533を含む。一部の実施形態では、コイルは、開示される実施形態で使用されない。コイル533は、導電性材料から作製され、少なくとも1つの完全なターンを含む。
図5に示されるコイル533の例は、3つのターンを含む。コイル533の断面が記号で示されており、「X」を有するコイルは、紙面に向かって回転方向に延び、「●」を有するコイルは、紙面から回転方向に延びる。プラズマ生成のための要素は、RF電力をコイル533に供給するように構成されたRF電源541をさらに含む。一般に、RF電源541は、接続545を介して、整合回路539に接続される。整合回路539は、接続543を介して、コイル533に接続される。この態様で、RF電源541はコイル533に接続される。任意選択のファラデー・シールド549が、コイル533と窓511の間に配置される。ファラデー・シールド549は、コイル533に対して離間関係で維持される。ファラデー・シールド549は、窓511のすぐ上に設けられる。コイル533、ファラデー・シールド549、および窓511は、それぞれが互いに実質的に平行になるように構成される。ファラデー・シールド549は、金属または他の種が加工チャンバ524の窓511に堆積するのを防止することができる。
【0079】
加工ガス(たとえば、ハロゲン化物ガス、ハロゲン含有ガス、塩素、アルゴン、四塩化シリコン、酸素、窒素等)は、上部サブ・チャンバ502に配置された1つもしくは複数の主要ガス流入口560を通じて、および/または1つもしくは複数の側方ガス流入口570を通じて、加工チャンバに流入することができる。同様に、明示的に示されてはいないが、類似するガス流入口を使用して、加工ガスが容量結合プラズマ加工チャンバに供給されてもよい。1つまたは複数のステージ・メカニカル乾式ポンプおよび/またはターボ分子ポンプ540等の真空ポンプが、加工ガスを加工チャンバ524から抜き出したり、加工チャンバ524内の圧力を維持したりするために使用されてもよい。たとえば、真空ポンプを使用して、ALDのパージ操作時に下方サブ・チャンバ503を空にすることができる。弁制御の導管を使用して真空ポンプを加工チャンバ524に流体的に接続して、真空ポンプにより提供される真空環境の適用を選択的に制御することができる。これは、操作上のプラズマ処理の際に、絞り弁(図示せず)や振り子式バルブ(図示せず)等の閉ループ制御流量制御装置を利用して行うことができる。同様に、容量結合プラズマ加工チャンバへの真空ポンプおよび弁制御流体接続を利用することもできる。
【0080】
装置500の操作時に、ガス流入口560および/または570を通じて、1つまたは複数の加工ガスが供給されてもよい。特定の実施形態では、加工ガスは、主要ガス流入口560のみを通じて、または側方ガス流入口570のみを通じて、供給されてもよい。場合によっては、図面に示されたガス流入口は、たとえば1つまたは複数のシャワーヘッドなど、より複雑なガス流入口により置換されてもよい。ファラデー・シールド549および/または任意選択のグリッド550は、加工ガスを加工チャンバ524に搬送することを可能にする内部チャネルおよび孔を備えてもよい。ファラデー・シールド549および任意選択のグリッド550の一方または両方は、加工ガスを搬送するためのシャワーヘッドとして機能することができる。一部の実施形態では、液体気化搬送システムが加工チャンバ524の上流に配置され、液体反応物または先駆物質が気化されたときに、気化された反応物または先駆物質がガス流入口560および/または570を通じて加工チャンバ524に導入されるようになされてもよい。
【0081】
RF電流をコイル533に流すために、RF電源541からコイル533に無線周波数出力が供給される。コイル533を通じて流れるRF電流は、コイル533を中心にして電磁界を生成する。電磁界は、上部サブ・チャンバ502内に誘導電流を生成する。生成された様々なイオンおよびラジカルの、ウエハ519との物理的および化学的な相互作用により、ウエハ519のフィーチャがエッチングされ、ウエハ519に層が堆積される。
【0082】
上部サブ・チャンバ502および下部サブ・チャンバ503の両方が存在するようにプラズマ・グリッド550を使用した場合、上部サブ・チャンバ502に存在するガスに誘導電流が作用して、上部サブ・チャンバ502で電子−イオン・プラズマが生成される。任意選択の内部プラズマ・グリッド550は、下部サブ・チャンバ503の高温電子の量を制限する。一部の実施形態では、装置500は、下部サブ・チャンバ503に存在するプラズマがイオン−イオン・プラズマとなるように設計および操作される。
【0083】
上部の電子−イオン・プラズマと下部のイオン−イオン・プラズマは、いずれも正イオンおよび負イオンを含むことができるが、イオン−イオン・プラズマでは負イオンの割合が正イオンよりも大きくなる。揮発性のエッチングおよび/または堆積副生成物は、下部サブ・チャンバ503からポート522を通じて除去されてもよい。本明細書で開示されるチャック517は、約10℃から約250℃の範囲の高温で動作することができる。温度は、加工操作および特定のレシピに依存する。
【0084】
装置500は、クリーン・ルームまたは製造施設に設置されるときに、設備(図示せず)に連結されてもよい。設備は、加工ガス、真空、温度制御、および環境粒子制御を提供する配管設備を含む。これらの設備は、対象の製造施設への設置時に、装置500に連結される。さらに、装置500は、ロボット技術により半導体ウエハを装置500との間で典型的な自動化を利用して移動することを可能にする移送チャンバに連結されてもよい。
【0085】
一部の実施形態では、システム・コントローラ530(1つまたは複数の物理的または論理的なコントローラを含むことができる)が、加工チャンバ524の一部またはすべての操作を制御する。システム・コントローラ530は、1つまたは複数のメモリ装置と、1つまたは複数のプロセッサとを含むことができる。一部の実施形態では、装置500は、開示される実施形態が実行されるときに流量および期間を制御するためのスイッチング・システムを含む。一部の実施形態では、装置500は、最大約500ms、または最大約750msのスイッチング時間を有してもよい。スイッチング時間は、フロー・ケミストリ、選択されたレシピ、反応器の構造、および他の要因に依存し得る。
【0086】
一部の実施形態では、システム・コントローラ530は、上述した例の一部とすることができるシステムの一部である。そのようなシステムは、加工ツール、チャンバ、加工用プラットフォーム、および/または特定の加工構成要素(ウエハ台座、ガス流システム等)を含む半導体加工装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の加工の前、最中、および後にシステムの操作を制御する電子装置と統合されてもよい。電子装置は、システムの様々な構成要素およびサブパーツを制御することができるシステム・コントローラ530に統合されてもよい。システム・コントローラ530は、加工パラメータおよび/またはシステムの種類に応じて、加工ガスの搬送、温度設定(たとえば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、出力設定、無線周波数(RF)生成器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体搬送設定、位置および操作設定、ツールおよび他の移送ツールに対するウエハの移送、ならびに/または特定のシステムに接続もしくは連動するロード・ロックを含む、本明細書で開示される任意のプロセス程を制御するようにプログラムされてもよい。
【0087】
広義には、システム・コントローラ530は、たとえば命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、クリーニング操作を可能にし、終点測定を可能にする、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを備えた電子機器として定義することができる。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、もしくはプログラム命令(たとえば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含むことができる。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに伝えられる命令とすることができ、半導体ウエハ上もしくは半導体ウエハに対して、またはシステムに対して、特定の加工を実行するための操作パラメータを定義する。操作パラメータは、一部の実施形態では、ウエハの1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはダイの作製または除去の際に、1つまたは複数の加工ステップを実現するために、プロセス・エンジニアにより定義されたレシピの一部とすることができる。
【0088】
システム・コントローラ530は、一部の実装では、システムに統合されるか、システムに連結されるか、システムにネットワーク化されるか、またはそれらを組み合わせられたコンピュータの一部であるか、またはそのようなコンピュータに連結されてもよい。たとえば、コントローラは、「クラウド」に存在するか、またはウエハ加工へのリモート・アクセスを可能にするファブ・ホスト・コンピュータ・システムのすべてもしくは一部とすることができる。コンピュータは、システムにリモート・アクセスして製造操作の現在の進捗を監視したり、過去の製造操作の履歴を確認したり、複数の製造操作の傾向または性能測定基準を調べたり、現在の加工のパラメータを変更したり、現在の加工に従うように加工ステップを設定したり、新しい加工を開始したりすることを可能にする。一部の例では、リモート・コンピュータ(たとえば、サーバ)からシステムに、ローカル・ネットワークまたはインターネットを含むことができるネットワーク経由で、加工レシピを提供することができる。リモート・コンピュータは、リモート・コンピュータからシステムに伝えられるパラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザ・インターフェースを含むことができる。一部の例では、システム・コントローラ530は、データの形式で、1つまたは複数の操作時に実行される各加工ステップのパラメータを指定する命令を受け取る。パラメータは実行される加工の種類やコントローラが対話または制御するように設計されたツールの種類に固有である可能性があることを理解する必要がある。したがって、上述したように、システム・コントローラ530は、たとえば相互にネットワーク化され本明細書に記載されたプロセスおよび制御等の共通の目的に向かって動作する1つまたは複数の独立したコントローラを含めることにより分散されてもよい。そのような目的の分散コントローラの例は、(たとえば、プラットフォーム・レベルまたはリモート・コンピュータの一部として)リモートに配置された1つまたは複数の集積回路と通信し、連係してチャンバのプロセスを制御する、チャンバの1つまたは複数の集積回路である。
【0089】
例示的なシステムは、限定を伴わずに、プラズマ・エッチング・チャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンス・チャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、クリーン・チャンバまたはモジュール、べベル・エッジ・エッチング・チャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、ALEチャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラック・チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの作製および/または製造で関連付けられまたは使用されてもよい他の任意の半導体加工システムを含むことができる。
【0090】
上述したように、ツールにより実行されるプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール要素、クラスタ・ツール、他のツール・インターフェース、隣接するツール、近傍のツール、工場内に配置されているツール、メイン・コンピュータ、別のコントローラ、またはウエハのコンテナをツール位置および/もしくは半導体製造工場のロード・ポートとの間で運ぶ材料輸送で使用されるツールの1つまたは複数と通信する可能性がある。
【0091】
図6は、真空搬送モジュール638(VTM)と連動する様々なモジュールを備えた半導体加工クラスタ構造を示す。複数の格納施設および加工モジュールの間でウエハを「搬送」する多様なモジュールの集まりを、「クラスタ・ツール・アーキテクチャ」システムという。ロード・ロックまたは搬送モジュールとも呼ばれるエアロック630は、VTM638と連動し、VTM638は、多様な作製プロセスを実行するように個別に最適化することができる4つの加工モジュール620a〜620dと連動する。例として、加工モジュール620a〜620dは、基板のエッチング、堆積、イオン注入、ウエハ・クリーニング、スパッタリング、および/または他の半導体プロセスを実行するように実装されてもよい。一部の実施形態では、ALDおよびALEは同じモジュールで実行される。一部の実施形態では、ALDおよびALEは、同じツールの異なるモジュールで実行される。1つまたは複数の基板エッチング加工モジュール(620a〜620dのいずれか)は、本明細書で開示されるように、すなわち、共形フィルムを堆積させ、ALDによりフィルムを選択的に堆積させ、パターンをエッチングし、開示される実施形態に応じた他の適切な機能を実行するように、実装されてもよい。エアロック630および加工モジュール620a〜620dは、「ステーション」と呼ばれることがある。各ステーションは、ステーションをVTM638と連動させるファセット636を備える。各ファセットの内部では、センサ1〜18が使用されて、ウエハ626をそれぞれのステーション間で移動するときのウエハ626の通過を検出する。
【0092】
ロボット622は、ウエハ626をステーション間で搬送する。一実施形態では、ロボット622は1つのアームを備え、別の実施形態では、ロボット622は2つのアームを備え、各アームがウエハ626等のウエハを搬送用に摘み上げるエンド・エフェクタ624を備える。大気搬送モジュール(ATM)640のフロントエンド・ロボット632は、ウエハ626をカセットまたはロード・ポート・モジュール(LPM)642の前面開閉搬送容器(FOUP)634からエアロック630に搬送するために使用される。加工モジュール620a〜620dの内側のモジュール・センター628は、ウエハ626を配置するための1つの場所である。ATM640のアライナ644は、ウエハを位置決めするために使用される。
【0093】
例示的な加工方法では、ウエハがLPM642のFOUP634のいずれかに配置される。フロントエンド・ロボット632は、FOUP634からアライナ644にウエハを搬送して、エッチングまたは加工の前のウエハ626を適切に中央寄せする。位置決めされたウエハ626は、フロントエンド・ロボット632によりエアロック630に移動される。エアロック630はATM640とVTM638の間で環境を一致させる機能を有するため、ウエハ626は、損傷を受けることなく、2つの圧力環境の間を移動することができる。エアロック630から、ウエハ626はロボット622によりVTM638を通じて加工モジュール620a〜620dのいずれかに移動される。このウエハの移動を実現するために、ロボット622は、各アームのエンド・エフェクタ624を使用する。加工されたウエハ626は、ロボット622により加工モジュール620a〜620dからエアロック630に移動される。ここから、ウエハ626はフロントエンド・ロボット632により、いずれかのFOUP634またはアライナ644に移動させることができる。
【0094】
なお、ウエハの移動を制御するコンピュータは、クラスタ・アーキテクチャに対してローカルであってもよいし、製造フロアのクラスタ・アーキテクチャに対して外部の位置にあってもよいし、リモートの位置にあってネットワーク経由でクラスタ・アーキテクチャに接続されてもよい。
図5を参照して上述したコントローラは、
図6のツールと共に実装されてもよい。
実験
実験1
【0095】
基板の金属のエッチングを含む実験を行った。基板はMRAMチップを含み、その上にCoPtの層が堆積され、MgOの層とCoFeBの層とが基板の上に堆積された(磁気トンネル接合(MTJ)構造用)。Ru層が基板の上に堆積され、タンタル・マスクが堆積およびパターニングされた。このスタックを、以下に説明するように、様々な試験で使用した。また、基板が加工されるツールに、SiO
2キャリア・ウエハを挿入した。
【0096】
すべての試験で、Ru層を湿式エッチングにより開いた。基板は、ALEプロセスのために、BCl
3/Cl
2とArの交互パルスに70サイクルにわたり晒された。この70サイクルは、強力なCl
2(20sccmのBCl
3/180sccmのCl
2、60mTorrで2.5秒間、最初にCl
2の3秒間の安定化パルス)と、200sccm、10mTorrのArの交互のサイクルを含み、プラズマ出力が900W、バイアスが50Vbで4秒間にわたり適用された(開始時の最初の4秒の安定化と、2秒のバイアス遅延を伴う)。他の40サイクルは、穏やかなCl
2(50sccmのBCl
3/45sccmのCl
2、10mTorrで0.5秒間、最初の安定化なし)とAr(400sccm、10mTorr、プラズマ出力900W、バイアス50Vbで4秒間、最初の安定化7秒間、バイアス遅延2秒間)のパルスを含む。
【0097】
最終的な基板は、再堆積されたCoFeCl
xおよびCoPtの厚い層を、スタックの上およびタンタル・ハード・マスクの側壁に有していた。この基板を様々な撮像技法により解析したところ、Co、Ru、およびPtの残留物が側壁に堆積している一方、FeまたはTaは側壁で発見されなかった。MgO層はそのままだったが、CoFe層にはいくつかの損傷があった。MTJ層の縁部および側壁で、塩素が検出された。この試験では、SiO
2キャリア・ウエハからの一部のSiO
2の堆積により、限界寸法が増えていた。キャリア・ウエハからの一部のシリコンは、エッチングにも貢献したが、シリコンの量は側壁への再堆積を防ぐには不十分だった。
【0098】
第2および第3の試験では、Ru層を開いてから、ALEによるエッチングを行うまでの間に、基板をシリコン含有先駆物質および窒素含有反応物に同時に晒して、SiNを基板の上に厚さ6nmまで堆積させた。Ir被覆をSiNの上に堆積させた。
【0099】
第2の試験では、基板をArスパッタリングのみの70サイクルに晒したが、依然として一部のCo、Fe、およびPtが基板に再堆積した。基板を撮影した画像ではSiNキャップ層が基板でそのままになっているが、Co、Fe、およびPtを含む残留物がSiNキャップの上に再堆積し、それによってタンタル・ハード・マスクにテーパ形状が形成された。基板の画像を分析した。ここで、大量のFe、Co、Ru、Ta、およびPtが側壁に再堆積していた。この結果は、ハロゲン化物および/またはハロゲン・ガス・ケミストリ(ホウ素含有ハロゲン化物および/またはハロゲン・ガス・ケミストリを含む)を伴わないシリコン単独では、側壁の堆積を防止できないことを示唆している。
【0100】
第3の試験では、SiN層およびIr被覆を堆積させた後、第1の試験に倣って、基板を70サイクルのALE(30サイクルの強力なCl
2およびArと、40サイクルの穏やかなCl
2およびAr)に晒した。最終的な基板は、SiNキャップ上の再堆積がなく、テーパ形状も減少していた。ここで、基板の画像を分析した。側壁の再堆積は劇的に減少していた。Taマスクには、Fe、Co、Ta、およびPtはわずかしか存在せず、Ruは少量だった。MTJの側壁には、依然としてCo、Fe、Ru、およびPtが存在したが、他の試験で再堆積した量よりは大幅に減少している。加工条件と、堆積およびエッチングのサイクルとをさらに調整して、再堆積を最小限に抑えることができる。この試験では、MTJ層は損傷しておらず、Clは検出されなかった。エッチングプロセスの後、SiNスペーサは残っていなかったが、このことはMTJで確認された少量の再堆積を説明している可能性がある。側壁には一部のSiO
2が残っていたが、これはシリコン・キャリア・ウエハから生じたものである可能性がある。
実験2
【0101】
タンタル・バリア層と、タンタル層の上に堆積されたPtMn層と、PtMn層の上に堆積されたCoFeB層とを含み、タンタル・ハード・マスクが加えられた基板を加工した。SiN層が基板の上に堆積され、薄いCr被覆がSiNキャップの上に堆積された。基板をBCl
3/Cl
2およびArの交互パルスに晒したところ、エッチング後に得られたSiNキャップに再堆積は見られなかった。
実験3
【0102】
ブランケットCoFeウエハ上のSiCl
4で実験を行った。最初の試験には、SiCl
4/Arに曝露することが含まれていた。第2の試験には、ALEモードでのBCl
3/Cl
2およびArの交互パルスが含まれていた。第3の試験には、SiCl
4 ALDが1、2、3、および4サイクルで含まれ、その後ALEで交互のBCl
3/Cl
2およびArの1サイクルにより、ALD−ALEモードを実行した。
【0103】
結果は、CW SiCl
4/ArおよびALE BCl
3/Cl
2/ArはいずれもCoFeをエッチングせず、ALD−ALEを含むプロセスでCoFeがエッチングされたことを示唆している。これは、本明細書に記載されるALD−ALEプロセスの組み合わせが、通常は不揮発性副生成物を生み出すこれらの金属化合物を効果的にエッチングすることを示唆している。同様のアプローチでもCoPd、CoPt、およびPtMnがエッチングされることが期待される。
実験4
【0104】
基板を含む実験を行った。基板を、50sccmのSiCl
4および200sccmのN
2に60mTorrで5秒間曝露し、次に200sccmのN
2に1200Wおよび60Wで40mTorrで曝露して、SiN層を基板の上に堆積させた。次に、基板を20sccmのBCl
3および180sccmのCl
2を含む1サイクルのALEに60mTorrで2.5秒間曝露し、200sccmのArに900W、バイアス60Vb、50mTorrで4秒間曝露した。各試験で、計60サイクルを実行した。最初の試験には、1 SiN ALDサイクルとそれに続く1 ALEサイクルが60回含まれた。第2の試験には、2 SiN ALDサイクルとそれに続く1 ALEサイクルが60回含まれた。第3の試験には、3 SiN ALDサイクルとそれに続く1 ALEサイクルが60回含まれた。第4の試験には、4 SiN ALDサイクルと1 ALEサイクルが60回含まれた。3サイクルのALD SiNで、CoFeの21.6nmのすべてがエッチングされた。各ALD SiNサイクルの厚さは、0.5Åから1Åになることが予想された。エッチングされたCoFeの量と、ALD SiNサイクルの数とを
図7に示す。図示されているように、3サイクルのALD SiNで、すべてのCoFeがエッチングされた。
実験5
【0105】
タンタル・バリア層、PtMn層、CoFeB層、およびタンタル・ハード・マスクを備えた基板を含む試験を行った。基板をArでスパッタし、ハロゲン化物および/またはハロゲンガスのエッチングを実行する前に、基板の上にTiO
2保護層を共形に堆積させて、基板を覆った。その後、ALEプロセスで、基板をBCl
3/Cl
2およびArパルスのサイクルに晒した。最終的な基板では、Co、Fe、Pt、およびTaが側壁またはTiO
2キャップに再堆積していなかった。
実験6
【0106】
ルテニウム金属層、PtMn層、CoFeB層、およびタンタル・ハード・マスクを備える基板を含む試験を行った。ハロゲン化物および/またはハロゲンガスのエッチングを実行する前に、基板の上にSiO
2保護層を共形に堆積させて基板を覆った。その後、ALEプロセスで、基板をBCl
3/Cl
2およびArパルスのサイクルに晒した。最終的な基板では、Co、Fe、Pt、およびTaが側壁またはSiO
2キャップに再堆積していなかった。
結び
【0107】
明瞭な理解を促すために、上記実施形態についてある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更および改良を実施することができることは明らかであろう。なお、これらの実施形態のプロセス、システム、および装置を実装する代替方法は多数存在する。したがって、これらの実施形態は、例示的なものであり限定するものではないと見なされるべきであり、実施形態は本明細書で示された詳細事項に限定されない。