(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法において、ポリマー粒子が、表面後架橋の前に少なくとも40g/gの遠心分離保持容量を有するように、架橋剤b)の量が選択されることを特徴とする前記方法。
請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法において、有機表面後架橋剤が、アルキレンカーボネート、2−オキサゾリジノン、ビス−2−オキサゾリジノン、ポリ−2−オキサゾリジノン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−アシル−2−オキサゾリジノン、環状尿素、二環式アミドアセタール、オキセタン、及びモルホリン−2,3−ジオンから選択されていることを特徴とする前記方法。
請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法において、得られたポリマー粒子を基準として1〜5質量%の有機表面後架橋剤が使用されることを特徴とする前記方法。
請求項12から19までのいずれか一項に記載の吸水性ポリマー粒子であって、300〜600μmの粒径を有する粒子の割合が少なくとも30質量%である前記吸水性ポリマー粒子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合及び熱による表面後架橋によって製造する方法であって、懸濁重合によって得られる凝集ベースポリマーは、少なくとも37g/gの遠心分離保持容量を有し、熱による表面後架橋は100〜190℃で実施される方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、研究論文「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、F.L.Buchholz及びA.T.Graham、Wiley−VCH、1998、69〜117頁に記載されている。吸水性ポリマー粒子は通常、溶液重合又は懸濁重合によって製造される。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理用ナプキン、及びその他の衛生用品を製造するための水溶液吸収性製品として、また園芸農業における保水剤としても使用される。
【0004】
吸水性ポリマーの特性は、架橋度により調整することができる。架橋度が上がるほど、ゲル強度が上がり、吸収容量が下がる。
【0005】
適用特性、例えば、おむつ中の膨潤したゲル床における浸透性と圧力下での吸収量を改善するためには、一般的に、吸水性ポリマー粒子を表面後架橋する。それによって、粒子表面の架橋度だけが上がり、このことによって、圧力下での吸収量と、遠心分離保持容量とを少なくとも部分的に切り離すことができる。
【0006】
特開昭63−218702号公報(JP S63−218702)は、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合によって製造する連続的方法を記載している。
【0007】
国際公開第2006/014031号(WO2006/014031A1)は、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合によって製造する方法を記載している。熱による後架橋における高温で、疎水性溶媒の部分が除かれる。
【0008】
国際公開第2008/068208号(WO2008/068208A1)も同様に、吸水性ポリマー粒子を、低い割合の疎水性溶媒を用いて懸濁重合により製造する方法に関する。
【0009】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子を懸濁重合によって製造する改善された方法を提供することであり、ここで吸水性ポリマー粒子は、高い遠心分離保持容量(CRC)、49.2g/cm
2の圧力下での高い吸収量(AUHL)、遠心分離保持容量(CRC)と49.2g/cm
2の圧力下での吸収量(AUHL)との高い合計、並びに少ない抽出可能成分を有するものである。
【0010】
本課題は、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)任意で1種又は複数の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意で1種又は複数の、a)に挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び
e)任意で1種又は複数の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液の重合によって吸水性ポリマー粒子を製造する方法であって、ここでモノマー溶液を、重合の間に疎水性有機溶媒中で懸濁し、重合の間又はその後に疎水性有機溶媒中で凝集させ、得られた凝集ポリマー粒子を、有機表面後架橋剤を用いて熱により表面後架橋する方法において、凝集ポリマー粒子が、表面後架橋の前に少なくとも37g/gの遠心分離保持容量を有するように、架橋剤b)の量が選択され、熱による表面後架橋が100〜190℃で実施されることを特徴とする方法により解決される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、架橋剤b)の量は、凝集ポリマー粒子が、表面後架橋の前に少なくとも38g/gの遠心分離保持容量を有するように選択され、熱による表面後架橋が105〜180℃で実施される。
【0012】
本発明の特に好ましい実施形態では、架橋剤b)の量は、凝集ポリマー粒子が、表面後架橋の前に少なくとも39g/gの遠心分離保持容量を有するように選択され、熱による表面後架橋が110〜175℃で実施される。
【0013】
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、架橋剤b)の量は、凝集ポリマー粒子が、表面後架橋の前に少なくとも40g/gの遠心分離保持容量を有するように選択され、熱による表面後架橋が120〜170℃で実施される。
【0014】
モノマーa)は、好適には水溶性、つまり、23℃での水における溶解度が、一般的には水100gあたり少なくとも1g、好適には水100gあたり少なくとも5g、特に好ましくは水100gあたり少なくとも25g、極めて特に好ましくは水100gあたり少なくとも35gである。
【0015】
適切なモノマーa)は例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が極めて特に好ましい。
【0016】
さらなる適切なモノマーa)は例えば、エチレン性不飽和スルホン酸、例えば、スチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0017】
不純物は、重合に対して重大な影響を及ぼす可能性がある。よって使用される原料は、できるだけ高い純度を有することが望ましい。よって、モノマーa)を別途精製することがしばしば有利である。適切な精製方法は例えば、国際公開第2002/055469号(WO2002/055469A1)、国際公開第2003/078378号(WO2003/078378A1)、及び国際公開第2004/035514号(WO2004/035514A1)に記載されている。適切なモノマーa)は例えば、国際公開第2004/035514号(WO2004/035514A1)に従って精製されたアクリル酸であり、これは、99.8460質量%のアクリル酸、0.0950質量%の酢酸、0.0332質量%の水、0.0203質量%のプロピオン酸、0.0001質量%のフルフラール、0.0001質量%の無水マレイン酸、0.0003質量%のジアクリル酸、及び0.0050質量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含む。
【0018】
モノマーa)の合計量に対するアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好適には少なくとも50mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、極めて特に好ましくは少なくとも95mol%である。
【0019】
モノマーa)の酸基は、部分的に中和されていてよい。中和は、モノマーの段階で実施される。これは通常、中和剤を、水溶液として又は好ましくは固体として混合することで行われる。中和度は、好適には25〜95mol%、特に好ましくは30〜80mol%、極めて特に好ましくは40〜75mol%であり、ここで一般的な中和剤、好適には、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属炭酸水素塩、並びにこれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も使用することができる。ナトリウム及びカリウムがアルカリ金属として特に好ましいが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウム、並びにこれらの混合物が極めて特に好ましい。
【0020】
モノマーa)は通常、重合禁止剤、好適にはヒドロキノン半エーテル(Hydrochinonhalbether)を貯蔵安定剤として含有する。
【0021】
モノマー溶液は、それぞれ中和されていないモノマーa)を基準として、好適には最大250質量ppm、好ましくは最大130質量ppm、特に好ましくは最大70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、殊におよそ50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有する。例えばモノマー溶液を、適切な含有量のヒドロキノン半エーテルと共に、エチレン性不飽和の酸基含有モノマーを使用することによって調製することができる。
【0022】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0023】
適切な架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2つの基を有する化合物である。そのような基は、例えば、ポリマー鎖にラジカル重合で導入され得るエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0024】
架橋剤b)は好適には、ポリマー網目構造にラジカル重合で導入され得る少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。適切な架橋剤b)は例えば、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、例えば欧州特許出願公開第0530438号明細書(EP0530438A1)に記載されているもの、ジアクリレート及びトリアクリレート、例えば、欧州特許出願公開第0547847号明細書(EP0547847A1)、欧州特許出願公開第0559476号明細書(EP0559476A1)、欧州特許出願公開第0632068号明細書(EP0632068A1)、国際公開第93/21237号(WO93/21237A1)、国際公開第2003/104299号(WO2003/104299A1)、国際公開第2003/104300号(WO2003/104300A1)、国際公開第2003/104301号(WO2003/104301A1)、及び独国特許出願公開第10331450号明細書(DE10331450A1)に記載されているもの、アクリレート基の他にさらなるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート、例えば独国特許出願公開第10331456号明細書(DE10331456A1)及び独国特許出願公開第10355401号明細書(DE10355401A1)に記載されているもの、又は架橋剤混合物、例えば、独国特許出願公開第19543368号明細書(DE19543368A1)、独国特許出願公開第19646484号明細書(DE19646484A1)、国際公開第90/15830号(WO90/15830A1)、及び国際公開第2002/032962号(WO2002/032962A2)に記載されているものである。
【0025】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリスリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15回エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びトリアリルアミンである。
【0026】
極めて特に好ましい架橋剤b)は、メチレンビスアクリルアミドと、アクリル酸又はメタクリル酸によりジアクリレート又はトリアクリレートへとエステル化され、複数回ポリエトキシ化及び/又はポリプロポキシ化されたグリセリンであり、これは、例えば国際公開第2003/104301号(WO2003/104301A1)に記載されている。メチレンビスアクリルアミド、3〜10回エトキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが特に有利である。メチレンビスアクリルアミド、1〜5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが極めて特に好ましい。メチレンビスアクリルアミドと、3〜5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレート、殊にメチレンビスアクリルアミドと、3回エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートが最も好ましい。
【0027】
モノマー溶液中の架橋剤の量は、重合した後かつ熱により表面後架橋する前の吸水性ポリマー粒子(ベースポリマー)が、少なくとも37g/g、好適には少なくとも38g/g、特に好ましくは少なくとも39g/g、極めて特に好ましくは少なくとも40g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有するように選択される。遠心分離保持容量(CRC)は、75g/gを上回らないのが望ましい。ベースポリマーの遠心分離保持容量(CRC)があまりに高い場合、続く熱による表面後架橋において、49.2g/cm
2の圧力下での十分な吸収量(AUHL)を得ることができない。
【0028】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを生成するあらゆる化合物、例えば、熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用することができる。
【0029】
適切なレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム若しくはペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸カリウム若しくはペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム、及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好適には、熱開始剤とレドックス開始剤との混合物、例えばペルオキソ二硫酸カリウム若しくはペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用する。しかしながら、還元成分として好適には、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、及び重亜硫酸ナトリウムの混合物を使用する。そのような混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6及びBrueggolite(登録商標)FF7(Brueggemann Chemicals;Heilbronn;ドイツ)として入手可能である。
【0030】
適切な熱開始剤は殊に、アゾ開始剤、例えば、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド及び2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、4,4’及びそのナトリウム塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、及び2,2’−アゾビス(イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)ジヒドロクロリドである。
【0031】
適切な光開始剤は例えば、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンである。
【0032】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0033】
水溶性ポリマーe)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、澱粉誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール、又はポリアクリル酸を使用することができ、好適には、澱粉、澱粉誘導体、及び変性セルロースを使用することができる。
【0034】
任意で、モノマー溶液又はその出発物質に、金属イオン、例えば鉄をマスキングするための1種又は複数のキレート剤を安定化の目的で添加することができる。適切なキレート剤は例えば、クエン酸アルカリ金属塩、クエン酸、酒石酸アルカリ金属塩、三リン酸五ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、並びにTrilon(登録商標)という名称で知られている全てのキレート剤、例えばTrilon(登録商標)C(ペンタナトリウムジエチレントリアミン五酢酸)、Trilon(登録商標)D(トリナトリウム−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸)、及びTrilon(登録商標)M(メチルグリシン二酢酸)である。
【0035】
好ましい重合禁止剤は、最適な効果のために、溶解した酸素を必要とする。よって、モノマー溶液を重合前に不活性化、つまり、不活性ガス、好適には窒素又は二酸化炭素を供給することによって、溶解した酸素を除去することができる。
【0036】
重合を十分な還流下で実施する場合、不活性化を省略することができる。その際、溶解した酸素は、蒸発する溶媒と一緒に重合反応器から除去される。
【0037】
重合のために、モノマー溶液を疎水性溶媒中で懸濁又は乳化させる。
【0038】
疎水性溶媒としては、懸濁重合での使用に際して当業者に公知のあらゆる溶媒が使用可能である。好ましくは、脂肪族炭化水素、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロヘキサン、又はこれらの混合物を使用する。疎水性溶媒は、5g/100g未満、好適には1g/100g未満、特に好ましくは0.5g/100g未満の、23℃の水における溶解度を有する。
【0039】
疎水性溶媒は、好適には50〜150℃、特に好ましくは60〜120℃、極めて特に好ましくは70〜90℃の範囲で沸騰する。
【0040】
疎水性溶媒とモノマー溶液との比率は、0.2〜3.0、好ましくは0.3〜2.7、極めて好ましくは0.4〜2.4である。
【0041】
モノマー水溶液を疎水性溶媒中で分散させるために、又は生成する吸水性ポリマー粒子を分散させるために、分散助剤を添加することができる。ここで分散助剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、若しくは両性界面活性剤、又は天然ポリマー、半合成ポリマー、若しくは合成ポリマーであってよい。
【0042】
アニオン性界面活性剤は例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム及びドデシルエーテル硫酸ナトリウムである。カチオン性界面活性剤は例えば、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドである。両性界面活性剤は例えば、カルボキシメチルジメチルセチルアンモニウムである。非イオン性界面活性剤は例えば、スクロース脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸スクロース及びジラウリン酸スクロース、ソルビタンエステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン、トレハロース脂肪酸エステル、例えばトレハロースステアリン酸エステル、ソルビタンエステル系ポリオキシアルキレン化合物、例えばモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンである。
【0043】
適切なポリマーは例えば、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、アラビアガム、キサンタン、カゼイン、ポリグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、例えばステアリン酸ポリエチレングリコール又はステアリン酸ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、並びに、変性ポリエチレン、例えばマレイン酸で変性されたポリエチレンである。
【0044】
無機粒子も分散助剤として使用することができる。これらは、いわゆるピッカリング系と呼ばれている。そのようなピッカリング系は、固体粒子だけから、又はさらに、水中における粒子の分散性又は疎水性溶媒による粒子の濡れ性を改善する補助物質から構成されていてもよい。作用機構及びその使用は、国際公開第99/24525号(WO99/24525A1)及び欧州特許出願公開第1321182号明細書(EP1321182A1)に記載されている。
【0045】
無機固体粒子は、金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、チタン、アルミニウム、ケイ素、バリウム及びマンガンの塩、酸化物及び水酸化物であってよい。水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び硫化亜鉛を挙げることができる。ケイ酸塩、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト、及びハイドロタルサイトも同様に挙げられる。SiO
2系のケイ酸、ピロリン酸マグネシウム、及びリン酸三カルシウムが特に好ましい。
【0046】
適切なSiO
2系分散助剤は微粉シリカである。これらは、微細な固体粒子として水中に分散させることができる。いわゆるシリカのコロイド分散体を水中で使用することも可能である。そのようなコロイド分散体は、シリカのアルカリ性水性混合物である。アルカリのpH範囲において、粒子は膨潤し、水中で安定である。好ましいシリカのコロイド分散体は、pH9.3で、20〜90m
2/gの範囲にある比表面積を有する。
【0047】
さらに、分散助剤の如何なる所望の混合物も使用することができる。
【0048】
分散助剤は通常、疎水性溶媒中に溶解又は分散させる。分散助剤は、モノマー溶液を基準として、0.01〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%の量で使用される。分散助剤の種類及び量によって、モノマー溶液の液滴の直径を調整することができる。
【0049】
モノマー溶液の液滴の直径は、導入される攪拌エネルギーによって及び適切な分散助剤によって、調整することができる。
【0050】
凝集の実施は、当業者に公知であり、何ら制限されない。重合及び凝集は、同時に(一段階の計量供給)又は逐次(二段階の計量供給)実施され得る。
【0051】
一段階の計量供給では、モノマー溶液が疎水性溶媒に計量供給され、モノマー溶液の液滴が重合の間に凝集する。
【0052】
二段階の計量供給ではまず、第一のモノマー溶液を疎水性溶媒に計量供給し、モノマー溶液の液滴を重合させる。引き続き、そのようにして得られた分散ポリマー粒子に、第二のモノマー溶液を計量供給し、再び重合させる。ポリマー粒子は、第二の重合において初めて凝集する。第一及び第二のモノマー溶液は、その組成に関して、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0053】
既に形成されている凝集体にそれぞれさらなるモノマーを添加することによって、これらが一段階又は二段階の計量供給で製造されたかどうかに拘わらず、凝集体をさらに凝集させて、より大きな凝集体にすることができる。
【0054】
モノマーの計量供給の間に、冷却工程があってよい。その際、分散助剤の一部を省略することができる。
【0055】
モノマー溶液の液滴が既に重合の間に凝集するかどうかを、分散助剤の種類及び量によって調整することができる。分散助剤の量が十分である場合、モノマー溶液の液滴が重合している間の凝集は、阻止される。そのために必要な量は、分散助剤の種類による。
【0056】
二段階の計量供給、つまりモノマー溶液の液滴が重合した後の凝集が好ましい。
【0057】
有利には、重合のために複数の攪拌反応器を直列式に接続する。さらなる攪拌反応器における後反応によって、モノマー転化率を向上させ、逆混合を低減することができる。ここで、第一の攪拌反応器が大き過ぎない場合、さらに有利である。攪拌反応器が大きくなるほど、分散されたモノマー溶液の液滴のサイズ分布が必然的に広がる。よって、より小さな第一の反応器により、特に狭い粒径分布を有する吸水性ポリマー粒子の製造が可能になる。
【0058】
反応は、好適には減圧下、例えば800mbarの圧力で実施される。圧力によって、反応混合物の沸点を所望の反応温度に調整することができる。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、重合は一般的な水溶性連鎖移動剤の存在下で実施される。
【0060】
連鎖移動剤は、重合反応速度に干渉し、かつ分子量を制御する。適切な連鎖移動剤は、チオール、チオール酸、第二級アルコール、リン化合物、乳酸、アミノカルボン酸などである。
【0061】
連鎖移動剤は、それぞれモノマーa)を基準として、好適には0.00001〜0.1mol/mol、特に好ましくは0.00015〜0.08mol/mol、極めて特に好ましくは0.0002〜0.06mol/molの量で使用する。
【0062】
得られる吸水性ポリマー粒子は、熱により表面後架橋される。熱による表面後架橋は、ポリマー分散体中で、又はポリマー分散体から分離され、乾燥された吸水性ポリマー粒子を用いて、実施され得る。
【0063】
モノマー溶液の添加は、水の沸点、又は溶媒若しくは溶媒・水共沸混合物の沸点を上回っていてよく、これにより、モノマーを添加する間に、溶媒又は溶媒・水共沸混合物が連続的に留去される。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、ポリマー分散体において吸水性ポリマー粒子が、共沸により脱水され、ポリマー分散体から濾過され、濾過された吸水性ポリマー粒子が、付着している残りの疎水性溶媒を除去するために乾燥され、熱により表面後架橋される。
【0065】
適切な表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボキシレート基によって共有結合を形成することができる基を含む化合物である。適切な化合物は例えば、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド、例えば欧州特許出願公開第0083022号明細書(EP0083022A2)、欧州特許出願公開第0543303号明細書(EP0543303A1)、及び欧州特許出願公開第0937736号明細書(EP0937736A2)に記載されているもの、二官能性又は多官能性アルコール、例えば独国特許出願公開第3314019号明細書(DE3314019A1)、独国特許出願公開第3523617号明細書(DE3523617A1)、及び欧州特許出願公開第0450922号明細書(EP0450922A2)に記載されているもの、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド、例えば独国特許出願公開第10204938号明細書(DE10204938A1)、及び米国特許第6239230号明細書(US6239230)に記載されているものである。
【0066】
さらに、独国特許発明第4020780号明細書(DE4020780C1)にはアルキレンカーボネートが、独国特許出願公開第19807502号明細書(DE19807502A1)には2−オキサゾリジノン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノンが、独国特許発明第19807992号明細書(DE19807992C1)にはビス−2−オキサゾリジノン及びポリ−2−オキサゾリジノンが、独国特許出願公開第19854573号明細書(DE19854573A1)には2−オキサテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、独国特許出願公開第19854574号明細書(DE19854574A1)にはN−アシル−2−オキサゾリジノンが、独国特許出願公開第10204937号明細書(DE10204937A1)には環状尿素が、独国特許出願公開第10334584号明細書(DE10334584A1)には二環式アミドアセタールが、欧州特許出願公開第1199327号明細書(EP1199327A2)にはオキセタン及び環状尿素が、及び国際公開第2003/031482号(WO2003/031482A1)にはモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、適切な表面後架橋剤として記載されている。
【0067】
さらに、さらなる重合可能なエチレン性不飽和基を含有する表面後架橋剤、例えば独国特許出願公開第3713601号明細書(DE3713601A1)に記載されているものを使用することもできる。
【0068】
さらに、任意の適切な表面後架橋剤のいかなる形態の混合物も使用することができる。
【0069】
好ましい表面後架橋剤は、アルキレンカーボネート、2−オキサゾリジノン、ビス−2−オキサゾリジノン、ポリ−2−オキサゾリジノン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−アシル−2−オキサゾリジノン、環状尿素、二環式アミドアセタール、オキセタン、ビスオキセタン、及びモルホリン−2,3−ジオンである。
【0070】
特に好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、3−メチル−3−オキセタンメタノール、2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノン、2−オキサゾリジノン、及びメチル−2−オキサゾリジノンである。
【0071】
エチレンカーボネートが極めて特に好ましい。
【0072】
表面後架橋剤の量は、それぞれポリマー粒子を基準として、好適には0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜7.5質量%、極めて特に好ましくは1〜5質量%である。
【0073】
表面後架橋剤は一般的には、水溶液として使用される。溶媒の量は、それぞれポリマー粒子を基準として、好適には0.001〜8質量%、特に好ましくは2〜7質量%、極めて特に好ましくは3〜6質量%、殊に4〜5質量%である。非水性溶媒の含有量又は全溶媒量によって、ポリマー粒子への表面後架橋剤の侵入深さを調整することができる。
【0074】
水だけが溶媒として使用される場合、有利には界面活性剤を添加する。それによって濡れ特性が改善され、塊化傾向が低減される。しかしながら好適には、溶媒混合物、例えば、イソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水、及びプロピレングリコール/水を使用し、ここでこの混合質量比は、好適には10:90〜60:40である。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、熱による表面後架橋の前、その間、又はその後に、表面後架橋剤に加えて、カチオン、殊に多価カチオンが粒子表面上に付与される。
【0076】
本発明による方法で使用可能な多価カチオンは例えば、二価カチオン、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄、及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えば、アルミニウム、鉄、クロム、希土類、及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えば、チタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとしては、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、及びカルボン酸イオン、例えば、酢酸イオン、クエン酸イオン、及び乳酸イオンがあり得る。様々な対イオンを有する塩、例えば塩基性アルミニウム塩、例えばアルミニウムモノアセテート又はアルミニウムモノラクテートもあり得る。硫酸アルミニウム、アルミニウムモノアセテート、及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外には、ポリアミンも多価カチオンとして使用することができる。
【0077】
多価カチオンの使用量は例えば、それぞれポリマー粒子を基準として、0.001〜1.5質量%、好適には0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0078】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、熱による表面後架橋の前、その間、又はその後に、さらに親水化剤、例えば、糖アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、及びキシリトール、水溶性ポリマー又はコポリマー、例えば、セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリアクリルアミドが付与される。
【0079】
表面後架橋は通常、表面後架橋剤の溶液が、乾燥したポリマー粒子上に噴霧されるように実施する。この噴霧に引き続き、表面後架橋剤で被覆されたポリマー粒子を、熱により表面後架橋する。
【0080】
表面後架橋剤の溶液の噴霧は、好適には、可動式の混合器具を有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー、及びパドルミキサー内で実施される。水平型ミキサー、例えばパドルミキサーが特に好ましく、垂直型ミキサーが極めて特に好ましい。水平型ミキサーと垂直型ミキサーとは、混合軸の配置により区別され、すなわち水平型ミキサーは、水平に配置された混合軸を有し、垂直型ミキサーは、垂直に配置された混合軸を有する。適当な混合装置は例えば、水平型プルークシャル(Pflugschar)(登録商標)ミキサー(Loedige Maschinenbau GmbH製;Paderborn;ドイツ)、フリーコ−ナウタ連続式ミキサー(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;オランダ)、プロセッサル・ミックスミルミキサー(Processall Mixmill Mixer)(Processall Incorporated;Cincinnati;米国)、及びシュギ・フレキソミックス(Schugi Flexomix)(登録商標)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;オランダ)である。しかしながら、表面後架橋剤溶液を流動床内で噴霧することも可能である。
【0081】
熱による表面後架橋は、好適には、接触式乾燥機、特に好ましくはパドルドライヤー、極めて特に好ましくはディスクドライヤー内で実施される。適切な乾燥機は例えば、ホソカワ・ビーペックス(Hosokawa Bepex)(登録商標)水平型パドルドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;ドイツ)、ホソカワ・ビーペックス(登録商標)ディスクドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;ドイツ)、ホロ・フライト(Holo−Flite)(登録商標)ドライヤー(Metso Minerals Industries Inc.;Danville;米国)、及びナラ・パドルドライヤー(Nara Paddle Dryer)(NARA Maschinery Europe;Frechen;ドイツ)である。さらに、流動層乾燥機を使用することもできる。
【0082】
熱による表面後架橋は、ミキサーそれ自体の中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹込みによって行うことができる。同様に、下流接続された乾燥機、例えば、棚式乾燥機、回転式管状炉、又は加熱可能なスクリューが適している。特に有利には、流動層乾燥機内で混合し、熱により乾燥表面後架橋させる。
【0083】
熱による表面後架橋については、なるべく完全な溶媒の除去を保証するために、表面後架橋を負圧下で、又は乾燥ガス、例えば乾燥した空気及び窒素を使用しながら実施することが有利であり得る。
【0084】
引き続き、表面後架橋されたポリマー粒子を分級し、ここで、小さすぎる及び/又は大きすぎるポリマー粒子を分離し、本方法に返送する。
【0085】
表面後架橋は、ポリマー分散体中でも実施され得る。そのために、表面後架橋剤の溶液をポリマー分散体に添加する。ここで、例えば、所望の温度未満の1013mbarでの沸点を有する疎水性有機溶媒を熱による表面後架橋のために使用して、熱による表面後架橋を正圧で実施することが有利であり得る。ポリマー分散体中での熱による表面後架橋後、ポリマー分散体中の吸水性ポリマー粒子は、共沸により脱水され、ポリマー分散体から分離され、分離された吸水性ポリマー粒子は、付着している残りの疎水性溶媒を除去するために乾燥される。
【0086】
好ましい表面後架橋温度は、100〜190℃の範囲、好適には105〜180℃の範囲、特に好ましくは110〜175℃の範囲、極めて特に好ましくは120〜170℃の範囲にある。この温度における好ましい滞留時間は、好適には少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、極めて特に好ましくは少なくとも30分、通常は最大120分である。
【0087】
本発明の好ましい実施形態では、吸水性ポリマー粒子を、接触式乾燥機内で熱により表面後架橋させた後に冷却する。冷却は、好適には接触式冷却器、特に好ましくはパドル式冷却器、極めて特に好ましくはディスク式冷却器内で実施される。適切な冷却器は例えば、ホソカワ・ビーペックス(登録商標)水平型パドルクーラー(Paddle Cooler)(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;ドイツ)、ホソカワ・ビーペックス(登録商標)ディスククーラー(Disc Cooler)(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;ドイツ)、ホロ・フライト(登録商標)クーラー(Metso Minerals Industries Inc.;Danville;米国)、及びナラ・パドルクーラー(Nara Paddle Cooler)(NARA Machinery Europe;Frechen;ドイツ)である。さらに、流動層冷却器も使用することができる。
【0088】
冷却器内で、吸水性ポリマー粒子を、20〜150℃、好適には30〜120℃、特に好ましくは40〜100℃、極めて特に好ましくは50〜80℃に冷却する。
【0089】
接触式乾燥機内で熱により表面後架橋されたポリマー粒子を、特性のさらなる改善のために、被覆又は後湿潤することができる。
【0090】
後湿潤は、好適には30〜80℃、特に好ましくは35〜70℃、極めて特に好ましくは40〜60℃で実施される。温度があまりに低い場合、吸水性ポリマー粒子は塊化する傾向があり、温度が比較的高い場合、すでに著しく水が蒸発する。後湿潤に使用される水量は、好適には1〜10質量%、特に好ましくは2〜8質量%、極めて特に好ましくは3〜5質量%である。後湿潤によって、ポリマー粒子の機械的安定性が向上し、その静電気帯電傾向が低減される。
【0091】
膨潤速度及び浸透性(SFC)の改善に適した被覆は、例えば、無機不活性物質、例えば、非水溶性の金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー、及び2価又は多価の金属カチオンである。粉塵を結合させるために適した被覆は、例えばポリオールである。ポリマー粒子の不所望な凝塊化傾向に抗する適切な被覆は例えば、ヒュームドシリカ、例えばAerosil(登録商標)200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20及びPlantacare818UP、及び界面活性剤混合物である。
【0092】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子である。
【0093】
本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子は、遠心分離保持容量(CRC)が少なくとも37g/gであり、21.0g/cm
2の圧力下での吸収量が少なくとも30g/gであり、49.2g/cm
2の圧力下での吸収量(AUHL)が少なくとも14g/gであり、遠心分離保持容量と21.0g/cm
2の圧力下での吸収量との合計(CRC+AUL)が少なくとも69g/gであり、遠心分離保持容量と49.2g/cm
2の圧力下での吸収量との合計(CRC+AUHL)が少なくとも54g/gであり、及び、20質量%未満の抽出可能成分を有するものである。
【0094】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、好適には少なくとも38g/g、特に好ましくは少なくとも40g/g、極めて特に好ましくは少なくとも41g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持容量(CRC)は、通常75g/g未満である。
【0095】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、好適には少なくとも32g/g、特に好ましくは少なくとも33g/g、極めて特に好ましくは少なくとも34g/gの21.0g/cm
2の圧力下での吸収量(AUL)を有する。吸水性ポリマー粒子における21.0g/cm
2の圧力下での吸収量(AUL)は、通常50g/g未満である。
【0096】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、好適には少なくとも16g/g、特に好ましくは少なくとも18g/g、極めて特に好ましくは少なくとも20g/gの49.2g/cm
2の圧力下での吸収量(AUHL)を有する。吸水性ポリマー粒子における49.2g/cm
2の圧力下での吸収量(AUHL)は、通常35g/g未満である。
【0097】
本発明による吸水性ポリマー粒子における遠心分離保持容量(CRC)と21.0g/cm
2の圧力下での吸収量(AUL)との合計は、好適には少なくとも71g/g、特に好ましくは少なくとも73g/g、極めて特に好ましくは少なくとも74g/gである。
【0098】
本発明による吸水性ポリマー粒子における遠心分離保持容量(CRC)と49.2g/cm
2の圧力下での吸収量(AUHL)との合計は、好適には少なくとも56g/g、特に好ましくは少なくとも58g/g、極めて特に好ましくは少なくとも59g/gである。
【0099】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、好適には17質量%未満、特に好ましくは15質量%未満、極めて特に好ましくは14質量%未満の抽出可能成分を含有する。
【0100】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、好適には少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%、極めて特に好ましくは少なくとも50質量%の300〜600μmの粒径を有する粒子の割合を有する。
【0101】
本発明のさらなる対象は、
(A)上部液体透過層、
(B)下部液体不透過層、
(C)繊維材料を0〜30質量%及び本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子を70〜100質量%含有する、層(A)と層(B)との間にある液体吸収性貯蔵層、
(D)任意で、繊維材料を80〜100質量%及び本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子を0〜20質量%含有する、層(A)と層(C)との間にある捕捉層及び分配層、
(E)任意で、層(C)の真上及び/又は真下の織布層、及び
(F)さらなる任意の構成要素
を含む衛生用品である。
【0102】
液体吸収性貯蔵層(C)における本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子の割合は、好適には少なくとも75質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、極めて特に好ましくは少なくとも90質量%である。
【0103】
液体吸収性貯蔵層(C)における本発明による方法によって得られる吸水性ポリマー粒子の平均真球度は、好適には0.84未満、特に好ましくは0.82未満、極めて特に好ましくは0.80未満である。
【0104】
比較的低い真球度を有する吸水性ポリマー粒子は、ポリマー粒子が重合の間又はその後に凝集する際に、懸濁重合によって得られる。本発明による衛生用品では、凝集した吸水性ポリマー粒子を使用する。
【0105】
吸水性ポリマー粒子を、以下に記載される試験法により試験する。
【0106】
手法:
特に記載のない限り、23±2℃の周囲温度、50±10%の相対湿度で測定するものとする。吸水性ポリマー粒子は、測定前に十分に混合する。
【0107】
残留モノマー
吸水性ポリマー粒子の残留モノマーの含有量は、EDANAにより推奨される試験法WSP No.210.2−05「Residual Monomers」に従って特定する。
【0108】
含水量
吸水性ポリマー粒子の含水量は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP230.3(11)「Mass Loss Upon Heating」に従って特定する。
【0109】
遠心分離保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心分離保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP241.3(11)「Fluid Retention Capacity in Saline,After Centrifugation」に従って特定する。
【0110】
0.0 g/cm
2の圧力下での吸収量
0.0 g/cm
2の圧力下での吸収量(AUNL)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP242.3(11)「Gravimetric Determination of Absorption Under Pressure」と同様に特定し、ここで21.0g/cm
2の圧力(AUL0.3psi)の代わりに、0.0g/cm
2の圧力(AUL0.0psi)に調整する。
【0111】
21.0g/cm
2の圧力下での吸収量
吸水性ポリマー粒子における、21.0g/cm
2の圧力での吸収量(AUL)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP242.3(11)「Gravimetric Determination of Absorption Under Pressure」に従って特定する。
【0112】
49.2g/cm
2の圧力下での吸収量
49.2g/cm
2の圧力下での吸収量(AUHL)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP242.3(11)「Gravimetric Determination of Absorption Under Pressure」に従って特定し、ここで21.0g/cm
2の圧力(AUL0.3psi)の代わりに、49.2g/cm
2の圧力(AUL0.7psi)に調整する。
【0113】
かさ密度
かさ密度は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP250.3(11)「Gravimetric Determination of Density」に従って特定する。
【0114】
抽出可能成分
吸水性ポリマー粒子の抽出可能な構成要素の含分は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP270.3(11)「Extractable」に従って特定する。抽出時間は16時間である。
【0115】
膨潤速度(Free Swell Rate)
膨潤速度(FSR)を特定するために、1.00g(=W1)の吸水性ポリマー粒子を25mLビーカーに秤量して入れ、ビーカーの底部に均一に分配する。そして、0.9質量%の食塩水20mlをディスペンサにより第2のビーカー中に計量供給し、このビーカーの内容物を第1のビーカーに迅速に追加し、ストップウォッチで計時を開始する。食塩水の最後の液滴が吸収されたら(このことは、液体表面における反射が消滅することで認識される)、ストップウォッチを止める。第2のビーカーから流し込まれ、第1のビーカー中のポリマーによって吸収された正確な液体量を、第2のビーカーを再計量することによって正確に特定した(=W2)。ストップウォッチで測定された、吸収に必要とされる時間間隔をtとして表す。表面上における最後の液滴の消滅を、時点tとして特定する。
【0116】
そこから、膨潤速度(FSR)が以下のように算出される:
【数1】
【0117】
しかしながら、吸水性ポリマー粒子の含水量が3質量%超である場合、質量(W1)を、この含水量分だけ修正する必要がある。
【0118】
ボルテックス(Vortex)試験
30mm×6mmのサイズのマグネチックスターラー撹拌子を含む100mLビーカー中に、0.9質量%の食塩水50.0ml±1.0mlを入れる。マグネチックスターラーによって、食塩水を600rpmで攪拌する。そして、できるだけ迅速に、吸水性ポリマー粒子2.000g±0.010gを添加し、撹拌ダマ(Ruehrtraube)が吸水性ポリマー粒子による食塩水の吸収によって消失するまでに経過した時間を測定する。ここで、ビーカーの内容物全体は均一なゲルの塊としてまだ回転してよいが、ゲル化した食塩水の表面はもはや個別の乱流を示してはならない。必要とされた時間をボルテックスとして報告する。
【0119】
実施例:
ベースポリマーの製造:
実施例1
プロペラ式攪拌機及び還流冷却器を備える2Lのフランジ容器に、ヘプタン340.00g及びステアリン酸スクロース(Ryoto(登録商標)Sugar Ester S−370、Mitsubishi Chemical Europe GmbH、Duesseldorf、ドイツ)0.92gを予め装入し、70℃で加熱し、ステアリン酸スクロースを完全に溶解させた。
【0120】
その後、アクリル酸73.40g(1.019mol)、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液61.20g(0.765mol)、水109.5g、及びペルオキソ二硫酸カリウム0.11g(0.407mmol)から調製されるモノマー溶液(第一の計量供給分)を供給容器に満たし、空気でパージした。モノマー溶液を滴加する直前に、300回転/分の攪拌機回転数で、この溶液を窒素導入により不活性化し、55℃の油浴温度に調整した。
【0121】
供給終了後、70℃で1時間さらに攪拌し、引き続き、反応溶液を約25℃に冷却し、アクリル酸95.90g(1.331mol)、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液、79.30g(0.991mol)、水143.10g、及びペルオキソ二硫酸カリウム0.14g(0.518 mmol)から調製された氷冷モノマー溶液(第二の計量供給分)を供給容器に満たし、空気でパージした。モノマー溶液を滴加する直前に、300回転/分の攪拌機回転数で、この溶液を窒素導入により不活性化した。モノマー溶液を15分以内に滴加した。
【0122】
供給終了後、70℃の油浴温度に調整した。加熱開始120分後、還流冷却器を水分離器と交換し、水を分離した。
【0123】
本発明の懸濁液を60℃に冷却し、得られたポリマー粒子を、ペーパーフィルターを有するブフナー漏斗を介して吸引した。45℃で、空気循環式乾燥キャビネット及び場合によっては真空乾燥キャビネット内にて800mbarで、15質量%未満の残留含水量になるまでさらに乾燥させた。
【0124】
得られたポリマー粒子の特性は、表2にまとめてある。
【0125】
実施例2及び3
表1に示される量で、ベースポリマーの製造を実施例1と同様に行った。
【0126】
得られたポリマー粒子の特性は、表2にまとめてある。
【0127】
実施例4
表1に示される量で、ベースポリマーの製造を実施例1と同様に行ったが、ここで第一のモノマー溶液(第一の計量供給分)はさらに、2−プロパノール(イソプロパノール)を3.0g含有していた。
【0128】
得られたポリマー粒子の特性は、表2にまとめてある。
【0129】
実施例5
プロペラ式攪拌機及び還流冷却器を備える2Lのフランジ容器に、シクロヘキサン896.00g、Span(登録商標)20(モノラウリン酸ソルビタン)2.00g、Tixogel(登録商標)VZ(有機親和性ベントナイト)3.20g、及び0.015%のアスコルビン酸水溶液20.0gを予め装入し、攪拌及び窒素導入下で75℃の内部温度に加熱した。
【0130】
その後、アクリル酸150.00g(2.082mol)、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液125.10g(1.613mol)、水138g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBA)0.0375g(0.243mmol)、及びペルオキソ二硫酸カリウム0.5g(1.850mmol)から調製されるモノマー溶液を供給容器に満たし、空気でパージした。モノマー溶液を滴加する直前に、300回転/分の攪拌機回転数で、この溶液を窒素導入により不活性化した。モノマー給送の全時間の間、還流条件を維持した。モノマー溶液を60分以内に滴加した。
【0131】
供給終了後には、60分の後反応時間が続いた。引き続き、還流冷却器を水分離器と交換し、水を分離した。
【0132】
本発明の懸濁液を60℃に冷却し、得られたポリマー粒子を、ペーパーフィルターを有するブフナー漏斗を介して吸引した。45℃で、空気循環式乾燥キャビネット及び場合によっては真空乾燥キャビネット内にて800mbarで、15質量%未満の残留含水量になるまでさらに乾燥させた。
【0133】
得られたポリマー粒子の特性は、表2にまとめてある。
【0134】
実施例6
プロペラ式攪拌機及び還流冷却器を備える2Lのフランジ容器に、シクロヘキサン896.00g、Span(登録商標)20(モノラウリン酸ソルビタン)2.00g、Tixogel(登録商標)VZ(有機親和性ベントナイト)3.20g、及び0.015%のアスコルビン酸水溶液20.0gを予め装入し、攪拌及び窒素導入下で75℃の内部温度に加熱した。
【0135】
その後、アクリル酸150.00g(2.082mol)、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液118.0g(1.475mol)、水136.8g、3回エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレート(Gly−(EO−AA)
3)0.075g(0.194mmol)、及びペルオキソ二硫酸カリウム0.5g(1.850mmol)から調製されるモノマー溶液を供給容器に満たし、空気でパージした。モノマー溶液を滴加する直前に、300回転/分の攪拌機回転数で、この溶液を窒素導入により不活性化した。モノマー給送の全時間の間、還流条件を維持した。モノマー溶液を60分以内に滴加した。
【0136】
供給終了後には、60分の後反応時間が続いた。引き続き、還流冷却器を水分離器と交換し、水を分離した。
【0137】
本発明の懸濁液を60℃に冷却し、得られたポリマー粒子を、ペーパーフィルターを有するブフナー漏斗を介して吸引した。45℃で、空気循環式乾燥キャビネット及び場合によっては真空乾燥キャビネット内にて800mbarで、15質量%未満の残留含水量になるまでさらに乾燥させた。
【0138】
得られたポリマー粒子の特性は、表2にまとめてある。
【表1】
【表2】
【0139】
熱による表面後架橋:
実施例1−1及び1−2
実施例1からのベースポリマー20gを、Waring(登録商標)−Blender32BL80(8011)タイプのミキサーに充填した。引き続き、ミキサーのスイッチを入れて段階1にした。その直後に、エチレンカーボネート0.5g及び水1.0gから成る1.5gの水溶液を表3に従い、注入器内に充填し、2秒以内にミキサーに計量供給した。3秒後、ミキサーのスイッチを切り、得られたポリマー粒子を、20cmの直径のガラスシャーレにおいて均一に分配した。熱により表面後架橋するために、ポリマー粒子で満たされたガラスシャーレを、空気循環式乾燥キャビネット内で、160℃で60分又は120分熱処理した。ポリマー粒子を冷たいガラスシャーレに移した。最後に、比較的粗い粒子を、850μmのメッシュ幅を有する篩で除去した。
【0140】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0141】
実施例2−1及び2−2
熱による表面後架橋を実施例1−1及び1−2と同様に行ったが、但し、実施例2からのベースポリマーを使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は160℃であった。熱処理時間は、60分又は120分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0142】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0143】
実施例3−1及び3−2
熱による表面後架橋を実施例1−1及び1−2と同様に行ったが、但し、実施例3からのベースポリマーを使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は160℃であった。熱処理時間は、60分又は120分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0144】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0145】
実施例3−3及び3−4
熱による表面後架橋を実施例1−1と同様に行ったが、但し、実施例3からのベースポリマーを使用し、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(Primid(登録商標)XL552)を表面後架橋剤として使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は160℃であった。熱処理時間は60分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0146】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0147】
実施例3−5及び3−6
熱による表面後架橋を実施例1−1と同様に行ったが、但し、実施例3からのベースポリマーを使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は、90℃又は200℃であった。熱処理時間は60分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0148】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0149】
実施例4−1及び4−2
熱による表面後架橋を実施例1−1及び1−2と同様に行ったが、但し、実施例4からのベースポリマーを使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は160℃であった。熱処理時間は、60分又は120分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0150】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0151】
実施例5−1及び5−2
熱による表面後架橋を実施例1−1及び1−2と同様に行ったが、但し、実施例5からのベースポリマーを使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は160℃であった。熱処理時間は、60分又は120分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0152】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0153】
実施例6−1及び6−2
熱による表面後架橋を実施例1−1及び1−2と同様に行ったが、但し、実施例6からのベースポリマーを使用した。循環式乾燥キャビネット内の温度は160℃であった。熱処理時間は、60分又は120分であった。これらの条件は、表3にまとめてある。
【0154】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【0155】
実施例7
米国特許第8003210号明細書(US8003210)からの実施例1を後追いした。
【0156】
ポリマー粒子の特性は、表4にまとめてある。
【表3-1】
【表3-2】
【表4-1】
【表4-2】