(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カチオン性プレポリマーを分散剤として含む水性液体におけるエチレン性不飽和モノマーの乳化重合により得られる、微細なカチオン性水性ポリマー分散液の製造法であって、ここで、前記カチオン性プレポリマーは、少なくとも1種の非イオン性乳化剤の存在下での第一の乳化重合において、少なくとも1種の重合開始剤の存在下に、
(a)15質量%から45質量%までの、少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(b)5質量%から80質量%までの、少なくとも1種のスチレン;
(c)0質量%から50質量%までの少なくとも1種のC1〜C12アルキル(メタ)アクリレート;
(d)0質量%から10質量%までの、酸基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(e)0質量%から10質量%までの、アミン基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;ならびに
(f)0質量%から20質量%までの、(b)、(c)および(e)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)+(f)の合計は100質量%である、
の重合により製造され、かつその後、前記カチオン性プレポリマーを含む水性液体において、少なくとも1種の重合開始剤の存在下に、
(i)10質量%から70質量%までの、スチレンまたは(メタ)アクリロニトリルの少なくとも1種;
(ii)30質量%から90質量%までの少なくとも1種のC1〜C18アルキル(メタ)アクリレート;
(iii)0質量%から30質量%までの、直鎖状または分岐状のC1〜C30カルボン酸の少なくとも1種のビニルエステル;ならびに
(iv)0質量%から30質量%までの、(i)、(ii)および(iii)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(i)+(ii)+(iii)+(iv)の合計は100質量%である、
を含むモノマー混合物の第二の乳化重合が実施され、
かつ第一の乳化重合および/または第二の乳化重合は、任意に、0質量%から10質量%までの少なくとも1種の重合調整剤の存在下に実施される、微細なカチオン性水性ポリマー分散液の製造方法。
第一の乳化重合および/または第二の乳化重合は、0.1質量%から10質量%までの少なくとも1種の重合調整剤の存在下に実施される、請求項1から4までのいずれか1項記載の微細なカチオン性水性ポリマー分散液の製造方法。
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、水性液体を含む連続相におけるエチレン性不飽和モノマーの重合により得られる、微細なカチオン性水性ポリマー分散液に関する。本発明はまた、そのポリマー分散液の製造方法、ならびに紙、板紙および厚紙用のサイズ剤としてのその使用にも関する。
【0002】
米国特許第3174874号明細書(US3474874)は、カチオン活性コポリマーの水性分散液であって、コポリマーの全質量を基準として15質量%から50質量%までの1個の第四級窒素原子を核に有し、イミダゾール、ピリジンおよびキノリンのN−ビニル置換誘導体およびC−ビニル置換誘導体から選択される複素環式化合物と、コポリマーの全質量の85質量%から50質量%の水難溶性のエチレン性不飽和モノマーとからなるカチオン活性コポリマーの水性分散液を用いることによる紙の表面サイジングを記載している。
【0003】
英国特許出願公告第1421597号明細書(GB1421597)は、50質量%から90質量%までの1種以上の、2個から12個までの炭素原子のα−オレフィンと、10質量%から40質量%までの1種以上の、1個以上の第三級窒素原子または第四級窒素原子を含むモノオレフィン性不飽和モノマーと、0質量%から20質量%までの1種以上の、他のオレフィン性不飽和モノマーとからの水溶性コポリマーの水溶液の塗布を含む、紙を表面サイジングする方法に関する。そのコポリマーは、20から45までのK値を有する。
【0004】
米国特許出願公開第2012/083563号明細書(US2012/083563)は、二段階重合により得られる微細なカチオン性水性ポリマー分散液に関する。最初に、カチオン性プレポリマーが分散剤として製造されて、その後、乳化重合が、このプレポリマーの水溶液中でエチレン性不飽和モノマーの存在下に実施される。ポリマー分散液は、紙、板紙および厚紙用のサイズ剤として使用される。
【0005】
中国特許出願公開第103103878号明細書は、セスバニアガムが変性されたカチオン性表面サイズ剤およびその製造方法を記載している。
【0006】
中国特許出願公開第102086614号明細書は、シリコーン、カチオン性モノマー、アクリレートモノマー、架橋モノマー、およびスチレンを用いて製造された表面サイズ剤を教示している。
【0007】
中国特許出願公開第101871184号明細書は、カチオン性スチレンアクリレート表面サイズ剤に関する。その製造方法は、スチレン、メチルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、アリルアルコールおよびメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドを乳化重合で用いる。
【0008】
国際公開第12/132044号(WO12/132044)は、第三級アミノ基、(メタ)アクリル酸エステル、およびスチレンを有するモノマーを含むモノマー混合物の溶液重合によりコポリマーを得るための第一段階を含む、カチオン性表面サイズ剤の製造方法を明らかにしている。第二段階では、第一段階で得られたコポリマーおよび非イオン性親水性モノマーが第二段階で重合されて、さらなるコポリマーが得られる。第三段階では、このさらなるコポリマーが、疎水性モノマーと界面活性剤の存在下に重合される。最後に、第四段階では、コポリマー中に存在している第三級アミノ基が四級化される。
【0009】
特開2009−242686号公報は、第三級アミノ基含有モノマー、(メタ)アクリレートエステル系モノマーおよびスチレン系モノマーのコポリマーの存在下に、疎水性モノマーの重合により製造されるカチオン性表面サイズ剤を提供する。コポリマー中の第三級アミノ基は、第四級アンモニウム塩に変換される。
【0010】
中国特許出願公開第102140768号明細書は、天然高分子、天然高分子改質剤、硬質モノマー、軟質モノマー、およびカチオン性モノマーを包含することにより製造されるカチオン性表面サイジングの命題を教示している。重合は、開始剤および分子制御剤を用いて実施される。
【0011】
本願の出願日において未公開の国際公開第2016/098006号(WO2016/098006)は、微細なカチオン性水性ポリマー分散液であって、5質量%から20質量%までの、カチオン基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;最大60質量%の少なくとも1種の任意に置換されたスチレン;最大80質量%の少なくとも1種のC
1〜C
12−アルキルアクリレートおよび/または少なくとも1種のC
1〜C
12−アルキルメタクリレート;最大10質量%の、少なくとも1個の酸基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;ならびに最大50質量%の、前述の非イオン性モノマーのいずれかとは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマーを用いる一段階乳化重合法により製造することができる微細なカチオン性水性ポリマー分散液を教示している。そのポリマー分散液は、紙、板紙および厚紙用のサイズ剤として有用である。
【0012】
しかし、製紙産業では、紙、板紙および厚紙の製造のための新規の効果的な内部サイズ剤ならびに表面サイズ剤の継続的な必要性がある。
【0013】
したがって、本発明の対象は、さらに、紙サイズ剤として効果的なポリマー分散液を提供することであった。カチオン性であるポリマー分散液を提供することが望ましいであろう。
【0014】
カチオン性ポリマーサイズ剤は、良好な疎水性を有する紙、板紙および厚紙を提供することで公知である。一般的に、カチオン性表面サイズ剤は、多くの場合、a)各粒子の外部親水性シェルまたは親水性外層を形成する保護コロイドと、b)疎水性コアとからなる。多くの場合、そのようなカチオン性ポリマーサイズ剤は、二段階法で製造され、ここで、第一の保護コロイドは、溶液重合、それに続く保護コロイドの存在下での疎水性モノマーの水性乳化重合により製造される。本発明のさらなる対象は、永久カチオン電荷を有するポリマー分散液を提供することである。
【0015】
多くの場合、そのようなポリマーサイズ剤のカチオン性成分は、アミンモノマー、例えばジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから形成される。そのようなアミン基は、アミンがプロトン化されるように酸性のpHを維持することによりカチオン性にされることがある。しかし、そのようなプロトン化アミンポリマーは、比較的低い酸性のpH環境ではそのカチオン電荷を失う。このことは、サイズ剤が、その場合、紙、板紙または厚紙の表面サイジングにおいてもはや効果的ではなくなるため不利である。
【0016】
第四級アンモニウム基は、pHが上昇するにつれて失われないであろうより永久的なカチオン電荷をもたらす。それにもかかわらず、一般に、第四級アンモニウムモノマーと疎水性モノマーとのコポリマーを製造し、かつさらに、第三級アミンまたは他の遊離アミンを含むモノマーから形成されたポリマー分散液と同等のサイジング特性を達成することができるポリマー分散液を製造することは比較的難しい。
【0017】
本発明のさらなる対象においては、周囲温度でpH7の環境において安定している、永久カチオン電荷を有するポリマー分散液を提供することが望ましいであろう。
【0018】
本発明によれば、カチオン性プレポリマーを分散剤として含む水性液体におけるエチレン性不飽和モノマーの乳化重合により得られる、微細なカチオン性水性ポリマー分散液が提供され、ここで、カチオン性プレポリマーは、少なくとも1種の非イオン性乳化剤の存在下での第一の乳化重合において、少なくとも1種の重合開始剤の存在下に、
(a)15質量%から45質量%までの、少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(b)5質量%から80質量%までの少なくとも1種の任意に置換されたスチレン;
(c)0質量%から50質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
12アルキル(メタ)アクリレート;
(d)0質量%から10質量%までの、酸基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(e)0質量%から10質量%までの、アミン基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;ならびに
(f)0質量%から20質量%までの、(b)、(c)および(e)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)+(f)の合計は100質量%である、
の重合により製造され、かつその後、カチオン性プレポリマーを含む水性液体において、少なくとも1種の重合開始剤の存在下に、
(i)10質量%から70質量%までの任意に置換されたスチレンまたは(メタ)アクリロニトリルの少なくとも1種;
(ii)30質量%から90質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
18アルキル(メタ)アクリレート;
(iii)0質量%から30質量%までの、直鎖状または分岐状のC
1〜C
30カルボン酸の少なくとも1種のビニルエステル;ならびに
(iv)0質量%から30質量%までの、(i)、(ii)および(iii)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(i)+(ii)+(iii)+(iv)の合計は100質量%である、
を含むモノマー混合物の第二の乳化重合が実施され、
かつ第一の乳化重合および/または第二の乳化重合は、任意に、0質量%から10質量%までの少なくとも1種の重合調整剤の存在下に実施される。
【0019】
プレポリマーに組み込まれる、第四級アンモニウム基を含むモノマー(a)のモル量は、通常、アニオン性モノマー(d)のモル量よりも多いことが望ましいため、プレポリマーは、主にカチオン電荷を有する。
【0020】
カチオン性プレポリマーは、少なくとも1種の非イオン性乳化剤の存在下での第一の乳化重合において、少なくとも1種の重合開始剤の存在下に、前述のモノマー混合物(a)、(b)、任意に(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)の重合により得られる。
【0021】
第一の乳化重合段階で製造されるプレポリマーは、成分(a)として、少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0022】
群(a)のモノマーには、例えば、疎水性鎖を含み、かつ一般式:
【化1】
を有するアクリルアミド由来のカチオン性モノマー(式I)またはアクリレート由来のカチオン性モノマー(式II)が含まれ、
上記式中:
R1、R2、R3、R4、R5、R6は、無関係に、水素または1個から4個までの炭素を含むアルキル鎖であってよく、
Q:1個から8個までの炭素を含むアルキル鎖であり、
R7:6個から30個までの炭素を含むアルキル鎖またはアルケニル鎖またはアリールアルキル鎖であり、
X:好適なアニオンであり、それには、メトスルフェート、ホスフェートもしくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオンを含む群から選択されるハロゲン化物イオン、または負電荷を有する他の対イオンが含まれる。
【0023】
式(I)の好ましい構造は、R1=R2=R3=R4=Hである場合であり、これにより、アクリルアミド部分が生じる。別の好ましい構造は、R1=R2=R4であり、かつR3=CH3である場合に得られる。その場合、メタクリルアミド誘導体が生じる。
【0024】
式(I)と同様に、式(II)の好ましい構造は、R1=R2=R3=Hである場合であり、これにより、アクリレート部分が生じる。別の好ましい構造は、R1=R2=Hであり、かつR3=CH3である場合に得られる。その場合、メタクリル誘導体が生じる。
【0025】
Qに関するあらゆるアルキルの可能性の中で、Qが、エチルまたはプロピル基であるのが好ましい。
【0026】
好ましくは、R5=R6であり、かつメチルまたはエチル部分である。
【0027】
置換基R7に関して、好ましい構造は、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルまたはベンジルである。
【0028】
式(I)を有する本発明の好ましい構造の例は、N−アクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ドデシルアンモニウムクロリド、N−メタクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ドデシルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ドデシルアンモニウムブロミド、N−メタクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ドデシルアンモニウムブロミド、N−アクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−オクタデシルアンモニウムクロリド、N−メタクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−オクタデシルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−オクタデシルアンモニウムブロミド、N−メタクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−オクタデシルアンモニウムブロミド、N−アクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−メタクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ベンジルアンモニウムブロミド、N−メタクリルアミドプロピル−N,N,ジメチル−N−ベンジルアンモニウムブロミドである。
【0029】
式(II)を有する本発明の好ましい構造の例は、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−N−ドデシルクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−N−ドデシルクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−N−ドデシルブロミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−N−ドデシルブロミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−N−オクタデシルクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−N−オクタデシルクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−N−オクタデシルブロミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−N−オクタデシルブロミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−N−ベンジルクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−N−ベンジルクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート−N−ベンジルブロミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−N−ベンジルブロミドである。
【0030】
好適な群(a)のモノマーには、エチレン性不飽和エステル、または第四級アンモニウム基を有するエチレン性不飽和アミドが含まれる。一般的に、そのようなエステルは、式(III)
【化2】
[式中、R
7、R
8およびR
9は、同じであるか、または異なっており、水素またはメチルであり、Eは、C
2〜C
3−アルキレンであり、R
4、R
5およびR
6は、同じであるか、または異なっており、かつC
1〜C
3−アルキルであり、Xは、好適なアニオンであり、それには、メトスルフェート、ハロゲン化物イオンまたはホスフェートが含まれる]を有してよい。
【0031】
第四級アンモニウム基を有するエチレン性不飽和アミドの例は、式(IV)
【化3】
[式中、R
7、R
8、R
9、E、R
4、R
5、R
6およびXは、上記の意味を有しており、R
10は、水素またはメチルである]を有してよい。
【0032】
C
2〜C
3−アルキレンの例は、エチレン、トリメチレンおよびプロピレンである。C
1〜C
3−アルキルの例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。
【0033】
好ましいモノマーには、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩(塩化物塩を含む)、およびメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩(塩化物塩を含む)が含まれる。特に好ましいのは、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、特に塩化物塩である。
【0034】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーの別の好適な分類には、ジアリルアンモニウム化合物が含まれる。一般的に、そのような化合物は、式(V)
【化4】
[式中、
R
11およびR
12は、無関係に、水素またはC
1〜C
4アルキル、ヒドロキシルC
1〜C
4アルキル、カルボキシC
1〜C
4アルキル、カルボキシアミドC
1〜C
4アルキル、アルコキシアルキル基であり、ここで、アルコキシアルキル基は、アルキル基中に1個から18個までの炭素原子を有するものと定義され;
R
13およびR
15は、無関係に、水素、メチル、エチルまたはハロゲンであり、
R
14およびR
16は、無関係に、水素、C
1〜C
6アルキル、またはハロゲンであり;ならびに
Y
-は、アニオンである]
を有してよい。
【0035】
Y
-は、好ましくはハロゲン化物イオンである。
【0036】
ジアリルジアルキルアンモニウム塩は、好ましくはハロゲン化物塩であり、ジアリルジアルキルアンモニウムは、式(V)のモノマーである。最も好ましくは、ジアリルジアルキルアンモニウム塩は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)である。
【0037】
好適な群(a)のモノマーのさらなる分類には、エチレン性不飽和部分で置換されるカチオン性複素環式化合物が含まれる。特に好適な化合物には、ヘテロ原子として窒素原子しか核に含まないN−ビニル置換複素環化合物またはC−ビニル置換複素環化合物が含まれ、特に一般式(VI)および一般式(VII):
【化5】
のイミダゾールのN−ビニル置換誘導体およびピリジンのC−ビニル置換誘導体である。
【0038】
上記式中、
【化6】
は、アニオン、特にハロゲン化物イオンまたはアルキルスルフェート基、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、メチルスルフェート、エチルスルフェートおよびプロピルスルフェートのアニオンの1種である。Rは、アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基またはベンジル基であり、R
1からR
6までは、水素および/または1個から3個までの炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基および/またはイソプロピル基であり、さらに置換基R
4からR
6までの1つは、ビニル基でなければならない。置換基R
2およびR
3は、一緒になって基−CH=CH−CH=CH−であってもよい。
【0039】
好適な化合物には、1−メチル−2−ビニルピリジニウムブロミドおよびメトスルフェート、1,2−ジメチル−5−ビニル−ピリジニウムメトスルフェート、1−エチル−2−ビニル−ピリジニウムクロリドおよびブロミド、1−プロピル−2−ビニルピリジニウムクロリド、2−ビニルピリジニウムエチルスルフェート、1−ベンジル−4−ビニルピリジニウムクロリド、N−ビニル−N’−エチルイミダゾリウムクロリド、N−ビニル−N’−イソプロピル−イミダゾリウムクロリド、1−ビニル−3−メチル−ベンゾ−イミダゾリウムメトスルフェート、1−メチル−2−ビニル−キノリニウムメトスルフェートおよび1−ベンジル−4−ビニル−キノリニウムクロリドが含まれる。これらのモノマーのうち好ましいのは、N−ビニル−N’−メチルイミダゾリウム塩(メトスルフェート塩を含む)である。
【0040】
最も好ましい群(a)のモノマーには、第一に、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩(塩化物塩を含む)が含まれ、これは、ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロリド第四級アンモニウム塩としても公知であり、第二に、N−ビニル−N’−メチルイミダゾリウム塩、特にメトスルフェート塩が含まれ、これは、3−メチル−ビニル−1H−イミダゾリウムメチルスルフェートとしても公知である。
【0041】
群(a)のモノマーが、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドである場合、群(d)のモノマーが含まれることが好ましい。それにもかかわらず、群(a)のモノマーが、N−ビニル−N’−メチルイミダゾリウム塩、例えばメトスルフェート塩である場合、群(d)のモノマーが存在していないことが好ましい。群(a)のモノマーが、N−ビニル−N’−メチルイミダゾリウム塩、例えばメトスルフェート塩、およびアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドである場合、群(d)のモノマーが存在していないことも好ましい。
【0042】
群(a)のモノマーは、プレポリマーの製造において、(a)から(f)までのモノマー混合物を基準として15質量%から45質量%まで、好ましくは20質量%から45質量%までの量で使用される。
【0043】
カチオン性プレポリマーの製造の場合、任意に置換されたスチレン、例えばスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレンまたはビニルトルエンが、群(b)のモノマーとして用いられてよい。群(b)のモノマーは、(a)から(f)までを含むモノマー混合物中に5質量%から80質量%まで、好ましくは15質量%から75質量%まで、より好ましくは15質量%から60質量%までの量で存在している。
【0044】
群(c)のモノマーが、カチオン性プレポリマーの製造において含まれる場合、好適なこの群(c)のモノマーは、一価のC
1〜C
12−アルコールに由来するアクリル酸およびメタクリル酸のあらゆるエステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、ネオペンチルアクリレート、ネオペンチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヘキシルアクリレート、2−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルアクリレートおよびデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレートおよび2−プロピルヘプチルメタクリレートである。使用されるのが好ましいこの群のモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸とC
1〜C
8−アルコールとのエステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレートである。アクリル酸とC
1〜C
4−アルコールとのエステル、例えばn−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートが殊に好ましい。
【0045】
本発明によれば、少なくとも1種のC
1〜C
12−アルキルクリレートおよび/またはC
1〜C
12−アルキルメタクリレートが、群(c)のモノマーとして使用され、例えば前述のエステルの2種以上が、別のエステルとの任意の所望の混合物として使用される。好ましくは、群(c)のモノマーは、C
1〜C
4−アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルのいずれかを含む。特に好ましい群(c)のモノマーには、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレートまたはそれらの混合物が含まれる。
【0046】
群(c)のモノマーは、カチオン性プレポリマーの製造において任意であるが、(a)から(f)までのモノマー混合物中に最大50質量%の量で存在していてよい。群(c)のモノマーがモノマー混合物中に含まれる場合、望ましくは、それらのモノマーは、(a)から(f)までのモノマー混合物中に5質量%から45質量%まで、好適には10質量%から40質量%まで、より好適には10質量%から35質量%までの量で含まれる。
【0047】
群(d)のモノマーは、カチオン性プレポリマーの製造においてモノマー混合物の任意の成分である。
【0048】
群(d)のモノマーの例は、エチレン性不飽和C
3〜C
6−カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、エタクリル酸、クロトン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、例えばモノメチルマレエート、モノメチルフマレート、モノエチルマレエート、モノエチルフマレート、モノプロピルマレエート、モノプロピルフマレート、モノ−n−ブチルマレエート、モノ−n−ブチルフマレート、およびスチレンカルボン酸およびエチレン性不飽和無水物、例えば無水マレイン酸および無水イタコン酸である。第一の乳化重合で使用されるモノマー混合物の含水率に応じて、モノマーの無水物基は、カルボキシル基へと加水分解されうる。さらに、スルホン酸基および/またはホスホン酸基、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびビニルホスホン酸を含むモノマーが、モノマー(d)として好適である。酸基を含むモノマーは、遊離酸基の形態として、かつアルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、アンモニアおよび/もしくはアミンで部分的または完全に中和された形態として使用することができる。例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、またはジエチレントリアミンが、モノマーの酸基を中和するために使用される。当然、2種以上の塩基を中和剤として使用することが可能である。
【0049】
モノマーのこの群からは、アクリル酸ならびにメタクリル酸または任意の所望の比のアクリル酸およびメタクリル酸の混合物が使用されるのが好ましい。群(d)のモノマーは、(a)から(f)までを含む反応混合物中に0質量%から10質量%までの量で存在している。望ましくは、これらのモノマーは、0.5質量%から10質量%まで、好適には1質量%から7質量%まで、例えば1.5質量%から6質量%までの量で含まれてよい。場合によって、成分(d)のモノマーが存在していないことが望ましいことがある。
【0050】
群(e)のモノマーを、カチオン性プレポリマーの製造のためにモノマー混合物中に含むことが望ましいこともある。好適なモノマーは、アミン基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを含んでよい。
【0051】
アミノ基を有するそのような化合物には、一般式(VIII):
【化7】
の化合物が含まれ、
上記式中、
A’’は、O、NHであり、
B’’は、C
nH
2nであり、ここで、nは、1から8までの範囲の整数であり、
R
21、R
22は、C
mH
2m+1であり、ここで、mは、1から4までの範囲の整数であり、ならびに
R
23は、H、CH
3である。
【0052】
式(VIII)の化合物は、原則として塩基性モノマーと表される。塩基性の、エチレン性不飽和モノマーは、例えばアミノアルコールのアクリレートおよびメタクリレート、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノネオペンチルアクリレート、アミノ基を含むアクリルアミドまたはメタクリルアミドの誘導体、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドである。
【0053】
群(e)のモノマーは、カチオン性プレポリマーの製造において(a)から(f)までのモノマー混合物の0質量%から10質量%までの量で存在していてよい。この群(e)のモノマーが、モノマー混合物中に含まれる場合、それらは、0.1%から9%まで、例えば1%から7%までの量で含まれてよい。好ましくは、群(e)のモノマーは、カチオン性プレポリマーの製造において使用されるモノマー混合物に含まれない。
【0054】
群(f)のモノマーは、モノマー(b)、(c)および(e)とは異なる1種以上の非イオン性エチレン性不飽和モノマーを含む。そのようなモノマーの例は、アミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミドおよびN−エチルメタクリルアミド;ビニル化合物、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルまたはビニルホルムアミド;C
13〜C
30アルキル(メタ)アクリレートである。エステルのアルキル部分は、例えば、13個から24個までの炭素原子を含んでよい。好適な化合物には、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルアクリレート、テトラデシルメタクリレート、ペンタデシルアクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ヘプタデシルアクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、例えばn−オクタデシルアクリレート(ステアリルアクリレート)、オクタデシルメタクリレート、例えばn−オクタデシルアクリレート(ステアリルアクリレート)、ノナデシルアクリレート、ノナデシルメタクリレート、コシルアクリレート、コシルメタクリレート、エイコシルアクリレート、エイコシルメタクリレート、ドコシルアクリレート、ドコシルメタクリレート、トリコシルアクリレート、トリコシルメタクリレート、テトラコシルアクリレート、テトラコシルメタクリレートまたはそれらの混合物が含まれる。代替的に、少なくとも1種のエチレンオキシド単位、例えばヒドロキシルエチルメタクリレートまたはジエチレングリコールモノメタクリレートを反応させることによりアクリル酸またはメタクリル酸のエステルが製造されている。この群の他の好適なモノマーには、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが含まれる。当然、前述のモノマーの混合物を使用することも可能である。
【0055】
群(f)のモノマーが使用される場合、それらは、カチオン性プレポリマーの製造におけるモノマー混合物中に、モノマー(a)から(f)までの全量を基準として最大20質量%の量で、通常、10質量%以下、例えば最大5質量%の量で存在している。好適には、これらのモノマーは、モノマー混合物中のモノマー(a)から(f)までを含むモノマー混合物中に0.5質量%から5質量%まで、例えば0.7質量%から3.5質量%までの量で含まれてよい。好ましくは、群(f)のモノマーは、含まれない。
【0056】
モノマー(a)から(f)までの質量%での量の合計は、常に100である。
【0057】
好ましい微細なカチオン性水性ポリマー分散液は、カチオン性プレポリマーが、
(a)20質量%から45質量%の、少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(b)15質量%から75質量%までのスチレン;
(c)0質量%から50質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
12アルキル(メタ)アクリレート;
(d)0質量%から10質量%までのアクリル酸および/またはメタクリル酸;ならびに
(e)0質量%から10質量%までの、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのうち少なくとも1種
の重合により得られる、微細なカチオン性水性ポリマー分散液である。
【0058】
より好ましい微細なカチオン性水性ポリマー分散液は、カチオン性プレポリマーが、
(a)20質量%から45質量%までの、ジアルキルアミノアルキルアクリレートの第四級アンモニウム塩、ジアルキルアミノアルキルメタクリレートの第四級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウム塩およびビニルイミダゾールの第四級アンモニウム塩からなる群から選択される、少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(b)15質量%から60質量%までのスチレン;
(c)0質量%から50質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
4−アルキルアクリレートおよび/または少なくとも1種のC
1〜C
4−アルキルメタクリレート;ならびに
(d)0質量%から10質量%までのアクリル酸および/またはメタクリル酸
の重合により得られる、微細なカチオン性水性ポリマー分散液である。
【0059】
第一の重合段階では、モノマー(a)から(f)までは、少なくとも1種の非イオン性乳化剤および少なくとも1種の重合開始剤の存在下に、水性乳化重合により重合される。
【0060】
望ましくは、反応混合物は、第一の重合段階全体の間、撹拌されるか、または混合に供される。
【0061】
好ましくは、第一の重合段階は、少なくとも1種の群(a)のモノマーと水と少なくとも1種の非イオン性乳化剤とを含む初期混合物の準備、それに続く群(b)、(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)のモノマーの初期混合物への供給により実施することができる。群(b)、(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)のモノマーは、初期混合物に別個に供給されるか、または群(b)、(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)のモノマーの1種以上の混合物として供給されてよい。好ましくは、群(b)、(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)のモノマーは、組み合わされて単一のモノマー混合物にされて、少なくとも1種の群(a)のモノマーを含む初期混合物に供給される。
【0062】
モノマー(b)、(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)は、好ましくは、初期混合物に一定期間にわたって導入される。好適には、これは、10分から6時間まで、例えば10分から4時間まで、一般的に20分から2時間まで、多くの場合、30分から1時間までに及ぶ一定期間であってよい。
【0063】
第一の乳化重合を実施するためのモノマーの供給は、連続的または回分式に行われてよい。モノマー混合物の使用によって、モノマーの供給は、混合物としてか、もしくは別個に、または段階式もしくは勾配方式で行われてよい。添加は、均一または不均一に、すなわち供給速度を変えて供給期間にわたって行われてよい。これには、例えば、群(b)、(c)、任意に(d)、任意に(e)、および任意に(f)のモノマーの混合物のこれらの方法のいずれかの方法で、少なくとも1種の群(a)のモノマーを含む初期混合物に添加することが含まれてよい。
【0064】
モノマー混合物中に存在している非イオン性乳化剤は、乳化重合となる第一の重合段階に必要な分散効果を引き起こすのに必要である。慣用の非イオン性乳化剤が、この目的のために用いられてよい。使用される量は、モノマー(a)から(f)までの質量を基準として0.1質量%から10質量%までである。好ましくは、モノマーの量は、モノマー(a)から(f)までの質量を基準として0.2質量%から9質量%まで、より好ましくは0.5質量%から8質量%まで、さらにより好ましくは1質量%から7質量%までの範囲にある。
【0065】
分散効果を高めるために、慣用のイオン性、非イオン性または両性の乳化剤が、重合バッチに添加されてよい。慣用の乳化剤は、任意にしか使用されない。使用される量は、使用されるモノマー(a)、(b)および(c)の合計を基準として0質量%から3質量%までであり、好ましくは0.02質量%から2質量%までの範囲にある。
【0066】
慣用の非イオン性乳化剤は、文献に詳述されており、例えばM.Ash,I.Ash,Handbook of Industrial Surfactants,third edition,Synapse Information Resources Inc.を参照のこと。慣用の乳化剤の例は、長鎖一価アルコール(C
10〜C
22−アルカノール)と、アルコールまたはエトキシ化フェノール1molあたり4molから50molまでのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物である。
【0067】
好ましい乳化剤は、式
R−O−(CH
2−CH
2−O−)
xH
[式中、Rは、少なくとも12個の炭素原子のアルキル基、好ましくは16個から18個までの炭素原子の直鎖飽和アルキル基であり、xは、少なくとも12、好ましくは18および80である]を有する化合物を含む、本発明により使用される乳化剤であってよい。より好ましい乳化剤には、Lutensol(登録商標)AT 18、Lutensol(登録商標)AT 25、Lutensol(登録商標)AT 50およびLutensol(登録商標)AT 80が含まれ、すべてBASF SEから入手できる。
【0068】
多くの場合、重合性化合物を含む乳化剤を用いることが望ましいことがある。そのような重合性化合物は、式
R’(−O−CH
2−CH
2)
xM
[式中、R’は、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは1個から22個の炭素原子のアルキル基であり、Mは、エチレン性不飽和基、好ましくはアクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびアリルエーテルから選択されるエチレン性不飽和基を含む重合性部分である]を有してよい。
【0069】
好適な重合性乳化剤には、Plex(登録商標)6954−O(エトキシ化C
16〜C
18脂肪アルコールのメタクリル酸エステルであり、Evonikから入手できる);およびBisomer(登録商標)MPEG 350 MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレートであり、GEO Specialty Chemicalsから入手できる)が含まれる。
【0070】
本発明の好ましい形態では、非イオン性乳化剤は、初期混合物中に含まれる。代替的に、非イオン性乳化剤の一部に、初期混合物を形成するためにモノマー(a)、および水が含まれてよく、非イオン性乳化剤の残りは、モノマー(b)から(f)までの混合物に含まれてよい。
【0071】
前述の非イオン性乳化剤の他に、さらなる乳化剤を第一の乳化重合段階に含めることが望ましいことがある。一般に、このさらなる乳化剤は、非イオン性乳化剤またはアニオン性乳化剤であることが望ましい。さらなる乳化剤が非イオン性乳化剤である場合、それは、本明細書で言及される任意の非イオン性乳化剤であってよい。さらなる乳化剤がアニオン性乳化剤である場合、それは、任意の慣用のアニオン性乳化剤であってよく、文献に詳述されており、例えばM.Ash,I.Ash,Handbook of Industrial Surfactants,third edition,Synapse Information Resources Inc.を参照のこと。好適なアニオン性乳化剤の例は、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびスルホコハク酸エステルである。さらなる乳化剤は、モノマー(a)を含む初期混合物中に含まれてもよい。しかし、さらなる乳化剤が、モノマー(b)から(f)までの混合物の導入の間に同時に導入されることが好ましい。より好ましくは、さらなる乳化剤は、モノマー(b)から(f)までの混合物中に含まれるのが望ましく、その混合物が初期混合物に導入される。
【0072】
第一の乳化重合段階に含まれるさらなる乳化剤の量は、モノマー(a)から(f)までの質量を基準として0.05質量%から3質量%まで、好ましくは0.1質量%から1質量%までであってよい。
【0073】
1種以上の酸を第一の乳化重合段階のモノマー混合物に含めることが望ましいこともある。好ましくは、1種以上の酸は、モノマー(a)と水と非イオン性乳化剤とを含む初期混合物に含まれるのが望ましい。好ましくは、1種以上の酸は、有機酸、特にカルボン酸である。特に好ましい酸は、酢酸およびギ酸である。含まれる場合の酸の量は、モノマー(a)から(f)までの質量を基準として例えば最大40質量%、好ましくは10質量%から35質量%までであってよい。
【0074】
第一の乳化重合段階は、少なくとも1種の重合開始剤の存在を必要とする。任意の好適な1種または複数の遊離ラジカル開始剤が、重合を開始するために使用されてよい。好ましくは、酸化還元開始剤系が、重合を行うために使用されるのが望ましい。前述の酸化還元開始剤は、好ましくは、グラフト架橋性の水溶性酸化還元系であり、例えば過酸化水素および重金属塩を含むか、または過酸化水素および二酸化硫黄を含むか、または過酸化水素およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含むグラフト架橋性の水溶性酸化還元系である。さらなる好適な酸化還元系は、tert−ブチル過酸化水素/二酸化硫黄、過硫酸ナトリウムもしくは過硫酸カリウム/重亜硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム/重亜硫酸ナトリウム、または過硫酸アンモニウム/硫酸鉄(II)の組み合わせである。好ましくは、過酸化水素は、重金属塩、例えば硫酸鉄(II)と組み合わされて使用される。しばしば、酸化還元系は、さらなる還元剤、例えばアスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウムまたは亜ジチオン酸ナトリウムをさらに含む。酸化還元開始剤は、例えば、モノマー(a)から(f)までを基準として0.05質量%から10質量%まで、好ましくは0.1質量%から5質量%までの量で使用される。
【0075】
通常、少なくとも1種の重合開始剤を、モノマー(a)と水と非イオン性乳化剤とを含む初期混合物に導入し、次に、少なくとも1種のさらなる重合開始剤を、群(b)から(f)までのモノマーの導入の間に導入することが望ましい。
【0076】
少なくとも1種の重合開始剤が、2種の重合開始剤を酸化還元対として含む酸化還元開始剤系である場合、酸化還元対の1つの成分を前述の初期混合物に導入し、かつ酸化還元対のもう1つの成分をモノマー(b)から(f)までの混合物に導入することが好ましい。より好ましくは、酸化還元対の還元剤成分は、初期混合物に導入され、酸化還元対の酸化剤成分は、モノマー(b)から(f)までの混合物に導入される。
【0077】
モノマー混合物またはモノマー混合物の少なくとも1つの成分の温度を上げることにより第一の乳化重合を開始することが望ましいことがある。望ましくは、温度は、少なくとも60℃に、例えば60℃から100℃までに、好ましくは70℃から95℃までに、より好ましくは75℃から90℃までに上げられるのが望ましい。好ましくは、モノマー(a)と水と非イオン性乳化剤とを含む初期混合物の温度は、上げられるのが望ましい。好ましくは、第一の乳化重合段階の間の温度は、高められた温度、例えば前述の範囲のいずれかの温度に保たれるのが望ましい。第一の乳化重合段階の間の温度は、前述の範囲で変動してよいか、または実質的に一定の温度に保たれてよい。
【0078】
モノマー混合物(a)から(f)までのすべて、および重合開始剤のすべてが、第一の乳化重合段階に導入された後、後重合段階を用いるのが望ましいことがある。これは、例えば、反応混合物を一定期間の間、撹拌または混合を継続することにより達成することができる。これは、最大2時間であってよいが、一般に、5分から90分まで、好ましくは10分から60分まで、通常、20分から50分までである。たいていの場合、後重合段階は、高められた温度を保つことにより実施され、高められた温度は、通常、重合法の主要部で用いられる温度または温度の範囲に相当する。一般的に、重合法の主要部の温度は、後重合段階の間、保たれる。
【0079】
反応混合物のpHは、第一の乳化重合段階において、例えば、1から6まで、一般に2から5までの範囲にある。
【0080】
第一の乳化重合段階で製造されるカチオン性プレポリマーは、比較的低いモル質量を有し、例えば500から100,000まで、好ましくは2000から50,000までのMw(光散乱法による測定)を有する。分子量分布および質量平均分子量の測定は、当業者に公知の方法、例えばゲル浸透クロマトグラフィー、光散乱または超遠心分離により実施することができる。
【0081】
第一の乳化重合の生成物は、水性媒体中に分散されたカチオン性プレポリマーを含む水性カチオン性プレポリマー組成物である。第一の乳化重合段階で製造されたカチオン性プレポリマーの濃度は、例えば、5質量%から60質量%まで、好ましくは10質量%から50質量%まで、例えば10質量%から35質量%まで、または10質量%から30質量%までである。水性カチオン性プレポリマー組成物は、次に、重合の第二段階で、最初に取り出される混合物または乳化剤/保護コロイドとして、場合によって、第二の乳化重合用シードとして使用されてよい。
【0082】
第二の乳化重合段階は、望ましくは、第二の乳化重合の成分を、水性カチオン性プレポリマー組成物に導入することにより行われる。
【0083】
第二の乳化重合段階では、
(i)10質量%から70質量%の少なくとも1種の任意に置換されたスチレンまたは(メタ)アクリロニトリル;
(ii)30質量%から90質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
18アルキル(メタ)アクリレート;
(iii)0質量%から30質量%までの少なくとも1種の、直鎖状または分岐状のC
1〜C
30カルボン酸のビニルエステル;ならびに
(iv)0質量%から30質量%までの、(i)、(ii)および(iii)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(i)+(ii)+(iii)+(iv)の合計は100質量%である、
を含むモノマー混合物が重合される。
【0084】
群(i)のモノマーは、任意に置換されたスチレン、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの少なくとも1種である。任意に置換されたスチレンは、例えばスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレンまたはビニルトルエンである。好ましい群(i)のモノマーは、スチレンである。好ましくは、この群のモノマー、例えばスチレンの量は、(i)から(iv)までのモノマー混合物を基準として10質量%から60質量%までであるのが望ましい。
【0085】
群(ii)のモノマーには、C
1〜C
18−アルコールの(メタ)アクリレートが含まれる。モノマー(ii)は、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレートおよびテトラデシルメタクリレートである。このモノマーの群からは、n−ブチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートが、いずれの場合も単独または任意の所望の混合物として使用されるのが好ましい。
【0086】
群(iii)のモノマーは、直鎖状または分岐状のC
1〜C
30−カルボン酸のビニルエステルである。そのようなカルボン酸は、飽和および直鎖であり、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸(ヘキサン酸)、ヘプタノン酸、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸、カプリン酸(デカン酸)、ウンデカン酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、トリデカン酸、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸(テトラコサン酸)、セロチン酸、メリシン酸(トリアコンタン酸)である。本発明によれば、飽和の分岐状のカルボン酸、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸(3−メチル酪酸)およびツベルコロステアリン酸、および著しく分岐した飽和カルボン酸も好適である。後者は、バーサチック酸という用語で知られており、例えば、ピバル酸、ネオヘキサン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸およびネオデカン酸である。好適な直鎖状または分岐状のC
1〜C
30−カルボン酸のビニルエステルは、例えば、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネート、ビニルバーサテート、ビニルアセテート、ビニルプロピルヘプタノエート、ビニルネオデカノエート(Hexion Specialty ChemicalsのVeoVa(登録商標)10)、ビニルネオノナノエート(Hexion Specialty ChemicalsのVeoVa(登録商標)9)およびビニルペラルゴネートである。好ましくは、群(iii)のモノマーは、第二の乳化重合のモノマー混合物に含まれないのが望ましい。
【0087】
好適な群(iv)のモノマーの例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−C
1〜C
18−アルキルアクリルアミド、N−C
1〜C
18−アルキルメタクリルアミド、N−ビニルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、C
1〜C
18−アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルエステルおよびモノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびモノエチレン性不飽和ジカルボン酸とC
2〜C
4−ポリアルキレングリコールとのエステルである。
【0088】
群(iv)のモノマーには、(a)ですでに言及され、水性媒体中でプロトン化可能な少なくとも1個のアミノ基および/または第四級アンモニウム基を有するモノエチレン性不飽和モノマーが含まれる。
【0089】
さらに、架橋性モノマーを、モノマー(iv)として使用することもできる。そのような架橋剤の例は、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、アルコキシ化二価アルコールのジアクリレートおよびジメタクリレート、ジビニル尿素および/または共役ジオレフィン、例えばブタジエンまたはイソプレンである。
【0090】
使用目的に応じて、群(iv)のモノマーは、いわゆる官能性モノマー、すなわち、重合可能なC=C二重結合の他に、反応性官能基、例えばオキシラン基、反応性カルボニル基、例えばアセトアセチル基、イソシアネート基、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基または求核試薬に反応性の他の基も有するモノマーを含んでもよい。
【0091】
好ましくは、群(iv)のモノマーは、第二の乳化重合のモノマー混合物が含まれないのが望ましい。
【0092】
モノマー混合物であって、
(i)10質量%から60質量%までのスチレン;
(ii)30質量%から90質量%までのn−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、またはn−ブチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートの混合物
を含むモノマー混合物が好ましい。
【0093】
一般に、反応混合物を、第二の乳化重合段階の間、撹拌または混合に供することが好ましい。
【0094】
第二の乳化重合段階では、群(i)、(ii)、用いられる場合(iii)、および用いられる場合(iv)のモノマーは、水性カチオン性プレポリマー組成物に導入されるのが望ましい。これらのモノマーは、別個に導入されるか、または好ましくは混合物として導入されてよい。好適には、モノマーは、モノマーの流を、水性カチオン性プレポリマー組成物に、一定期間にわたって供給することにより導入されてよい。
【0095】
第二の乳化重合を実施するためのモノマーの供給は、連続的または回分式に行われてよい。モノマー混合物の使用によって、モノマーの供給は、混合物としてか、もしくは別個に、または段階式もしくは勾配方式で行われてよい。添加は、均一または不均一、すなわち供給速度を変えて供給期間にわたって行われてよい。モノマーの一部を、カチオン性プレポリマーの水性組成物を含む最初に取り出される混合物に添加することにより、膨張方式による供給が可能である。
【0096】
望ましくは、モノマーは、数時間にわたって供給されてよいが、通常、一定期間の間、例えば30分から3時間まで、好ましくは45分から2時間まで、特に45分から90分までの範囲で供給される。
【0097】
第二の乳化重合段階は、少なくとも1種の重合開始剤の存在を必要とする。任意の好適な1種または複数の遊離ラジカル開始剤が、重合を開始するために使用されてよい。第一の乳化重合段階に関して言及された前述の酸化還元開始剤系のいずれかと同じような重合を行うために使用されるのが望ましい酸化還元開始剤系を用いるのが望ましいことがある。しかし、多くの場合、単一の遊離ラジカル開始剤を用いるのがより望ましいことがある。好ましくは、そのような遊離ラジカル開始剤は、酸化開始剤、例えば、過酸化物、例えば過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシドなどである。
【0098】
少なくとも1種の重合開始剤が、第二の乳化重合段階の開始時に導入されてよいが、通常、開始剤を第二の乳化重合段階の反応混合物に、一定期間にわたって供給することにより開始剤を導入するのが好ましい。少なくとも1種の重合開始剤が反応混合物に供給される時間は、(i)から(iv)までのモノマー混合物を供給する時間の長さと同じであってよい。好ましくは、少なくとも1種の重合開始剤供給は、モノマー供給が始まるのと同時に始められる。開始剤供給は、最大数時間、例えば30分から4時間まで、一般的に45分から3時間まで、しばしば60分から2.5時間までの間、継続されてよい。
【0099】
第一の乳化重合段階の温度を、第二の乳化重合段階全体を通して保つことにより、第一の乳化重合を開始することが望ましいことがある。望ましくは、温度は、少なくとも60℃、例えば60℃から100℃まで、好ましくは70℃から95℃まで、より好ましくは75℃から90℃までであることが望ましい。好ましくは、第二の乳化重合段階の間の温度は、前述の範囲のいずれかの温度に保たれるのが望ましい。第二の乳化重合段階の間の温度は、前述の範囲で変動してよいか、または好ましくは、実質的に一定の温度に保たれてよい。
【0100】
残留するモノマーを可能な限り実質的にポリマー分散液から除去するために、後重合は、実際の重合の終了後に適切に実施される。後重合は、一般的に、(i)から(iv)までのモノマー混合物のすべておよび重合開始剤のすべてが、第二の乳化重合段階に導入されてから実施されてよい。代替的に、さらなる重合開始剤を使用することが望ましいこともある。この目的のために、例えば、過酸化水素、過酸化物、ヒドロペルオキシドおよび/またはアゾ開始剤からなる群からの開始剤が、主重合の終了後にポリマー分散液に添加される。開始剤と好適な還元剤、例えば、アスコルビン酸、Rongalit(登録商標)C(BASF SEの製品)(ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム)または重亜硫酸ナトリウムとを組み合わせることも可能である。油溶性の、やや水に溶けにくい開始剤が使用されるのが好ましく、例えば慣用の有機過酸化物、例えばジベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシドまたはビスシクロヘキシルペルオキシジカーボネートである。後重合のために、反応混合物は加熱され、例えば、主重合が実施された温度に相当する温度またはそれよりも最大40℃、好ましくは最大20℃低い温度に加熱される。主重合は、重合開始剤が消費されたか、またはモノマー変換率が、例えば、少なくとも98%、好ましくは少なくとも99.5%である場合に、完了する。後重合のために、tert−ブチルヒドロペルオキシドが使用されるのが好ましい。
【0101】
反応混合物のpHは、第二の乳化重合段階において、例えば、1から6まで、一般に2から5までの範囲にある。
【0102】
任意のさらなる乳化剤を第二の乳化重合段階に用いる必要がないことがある。しばしば、カチオン性プレポリマーは、第二の乳化重合段階の間に充分な分散効果をもたらす。しかし、多くの場合、1種以上の乳化剤を用いることが望ましいことがある。
【0103】
慣用の乳化剤は、任意でしか使用されない。使用される量は、使用されるモノマー(a)、(b)および(c)の合計を基準として0質量%から3質量%までであり、好ましくは0.02質量%から2質量%までの範囲にある。慣用の乳化剤は、文献に詳述されており、例えばM.Ash,I.Ash,Handbook of Industrial Surfactants,third edition,Synapse Information Resources Inc.を参照のこと。慣用の乳化剤の例は、長鎖一価アルコール(C
10〜C
22−アルカノール)と、アルコールまたはエトキシ化フェノール、または一般にアルカリで中和された形態で使用される硫酸でエステル化されたアルコキシ化アルコールの1molあたり4molから50molまでのエチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドとの反応生成物である。さらなる慣用の乳化剤は、例えば、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸エステル、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、例えばジメチル−C
12〜C
18−アルキルベンジルアンモニウムクロリド、第一級脂肪アミン塩、第二級脂肪アミン塩および第三級脂肪アミン塩、第四級アミドアミン化合物、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩およびアルキルオキサゾリニウム塩である。
【0104】
好適な乳化剤には、例えば、ジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。これは、BASFからLumiten(登録商標)I−SCとして入手可能である。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、第一の乳化重合および/または第二の乳化重合は、重合調整剤の存在下に実施される。好適な調整剤は、例えば、メルカプタン、例えばエチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンもしくはtert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸または四臭化炭素である。さらに、好適な調整剤は、テルペンからなるクラスから、好適には単環式テルペンからなるクラスから、例えばメンタジエンからなる群からのものである。
【0106】
本発明の文脈では、テルペン含有重合調整剤は、イソプレン単位[H
2C=C(CH
3)−CH=CH
2]から構成されており、したがってイソプレン則に由来しうる炭化水素を意味すると理解される。テルペンは、モノテルペン(C
10)、セスキテルペン(C
15)、ジテルペン(C
20)、セスタテルペン(C
25)、トリテルペン(C
30)およびテトラテルペン(C
40)およびポリテルペン(>C
40)に分類され、実質的に非環式、単環式、二環式および三環式のテルペンに分類される。テルペンは、例えばRoempp Chemie Lexikon,9th extended and revised edition,1989〜1992,Georg Thieme Verlag Stuttgartから当業者に公知である。
【0107】
狭義には、テルペンは、C
10H
16骨格を有する炭化水素、ならびにその水素化および脱水素化誘導体ならびにそれらから誘導されたアルコール、ケトン、アルデヒドならびにエステルを意味すると理解される。
【0108】
本発明によれば、単環式モノテルペンが使用されるのが好ましく、ジ不飽和単環式モノテルペン(いわゆるp−メタンジエン)が使用されるのが特に好ましい。ジ不飽和単環式モノテルペンの例は、α−テルピネン、β−テルピネンおよびγ−テルピネン、テルピノレン、(+)−(S)−α−フェランドレン、(−)−(S)−α−フェランドレンおよびリモネンである。α−テルピネンおよびテルピノレンが好ましく、テルピノレンが、特に好ましい。
【0109】
当然、前述のテルペン含有重合調整剤の混合物が使用されてもよいが、好適には、1種のみのテルペン含有重合調整剤が使用され、特に好適には、テルピノレンのみが使用される。
【0110】
重合調整剤、例えばテルペン含有化合物は、重合において、モノマーを基準として少なくとも0.01質量%の量で使用される。量は、実質的に、それぞれの場合に使用される1種または複数の連鎖移動剤の効果による。量は、通常、第一の乳化重合に関してはモノマー(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)を基準として、ならびに第二の乳化重合に関してはモノマー(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を基準として0.01質量%から10質量%まで、好適には0.05質量%から5.0質量%まで、好ましくは0.05質量%から1質量%の範囲にある。
【0111】
第二の重合段階では、プレポリマーの組成によるカチオン特性を有する微細な水性ポリマー分散液が得られる。分散された粒子の平均粒径は、例えば、5nmから250nmまで、好ましくは<200nm、特に好ましくは10nmから150nmまでである。平均粒径は、Malvernの高性能粒径測定器(high performance particle sizer)(HPPS)を用いて、He−Neレーザー(633nm)を使用して、173°の散乱角度で測定することができる。
【0112】
平均粒径は、代替的に、当業者に公知の方法、例えば、レーザー相関分光、超遠心分離またはCHDFにより測定することができる。分散されたポリマー粒子の粒径のさらなる尺度は、LT値である。LT値(light transmittance、光透過率)を測定するために、それぞれの場合に調べられるポリマー分散液は、0.1質量%濃度の水性配合物中で、600nmの波長の光で2.5cmのエッジ長を有するセルにおいて測定される。平均粒径は、測定された値から計算することができ、B.Verner,M.Barta,B.Sedlacek,Tables of Scattering Functions for Spherical Particles,Prague 1976,Edice Marco,Rada D−DATA,SVAZEK D−1を参照のこと。
【0113】
乳化重合で得られた水性分散液のポリマー濃度は、例えば、15質量%から45質量%まで、好ましくは25質量%から35質量%までである。
【0114】
本発明は、カチオン性プレポリマーを分散剤として含む水性液体におけるエチレン性不飽和モノマーの乳化重合により得られる、微細なカチオン性水性ポリマー分散液の製造方法にも関し、ここで、カチオン性プレポリマーは、少なくとも1種の非イオン性乳化剤の存在下での第一の乳化重合において、重合開始剤の存在下に、
(a)15質量%から45質量%までの、少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(b)5質量%から80質量%までの、少なくとも1種の任意に置換されたスチレン;
(c)0質量%から50質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
12アルキル(メタ)アクリレート;
(d)0質量%から10質量%までの、酸基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;
(e)0質量%から10質量%までの、アミン基を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー;ならびに
(f)0質量%から20質量%までの、(b)、(c)および(e)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)+(f)の合計は100質量%である、
の重合により製造され、かつその後、カチオン性プレポリマーを含む水性液体において、重合開始剤の存在下に、
(i)10質量%から70質量%までの、任意に置換されたスチレンまたは(メタ)アクリロニトリルの少なくとも1種;
(ii)30質量%から90質量%までの少なくとも1種のC
1〜C
18アルキル(メタ)アクリレート;
(iii)0質量%から30質量%までの、直鎖状または分岐状のC
1〜C
30カルボン酸の少なくとも1種のビニルエステル;ならびに
(iv)0質量%から30質量%までの、(i)、(ii)および(iii)とは異なる少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和モノマー、
ここで、(i)+(ii)+(iii)+(iv)の合計は100質量%である、
を含むモノマー混合物の第二の乳化重合が実施され、
かつ第一の乳化重合および/または第二の乳化重合は、任意に、少なくとも1種の重合調整剤の0質量%から10質量%までの存在下に実施される。
【0115】
上述の微細なカチオン性水性ポリマー分散液は、紙、板紙および厚紙用のサイズ剤として使用される。それらは、あらゆる紙の品種、例えば筆記用紙および印刷用紙および包装用紙および液体の包装のための紙の製造に使用することができる。それらは、特に、紙製品の表面サイジングに好適である。本発明による分散液は、表面サイジングにおいて好適なあらゆる方法により処理することができるが、それらは、内添サイジング(engine sizing)に使用することもできる。サイズ剤としての使用の場合、水性ポリマー分散液は、一般に、例えば0.05質量%から5質量%までのポリマー含有率になるまで水を加えることにより希釈される。ポリマー分散液の量は、仕上げられる紙または紙製品の所望のサイズ度による。そのような調整溶液は、さらなる物質、例えばデンプン、染料、蛍光増白剤、殺虫剤、紙力増強剤、固着剤、消泡剤、歩留向上剤および/または濾水向上剤を含んでよい。
【0116】
サイズ分散液は、紙、板紙または厚紙に、サイズプレスまたは他の塗布装置、例えばフィルムプレス、スピードサイジング(speedsize)またはゲートロールを用いて塗布することができる。紙製品の表面に塗布されるポリマーの量は、例えば、0.005g/m
2から1.0g/m
2まで、好ましくは0.01g/m
2から0.5g/m
2までである。
【0117】
きわめて少ない供給量でも、本発明によるポリマー分散液は、未ざらし針葉樹、未ざらし落葉樹、未ざらし広葉樹、さらし針葉樹、さらし落葉樹、さらし広葉樹、脱インキ繊維からの異なる繊維種類または異なる繊維種類の混合物を含む、製造されたあらゆる紙において優れたサイズ効果を示す。さらに、本発明による分散液は、慣用のデンプン、例えばバレイショデンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、タピオカデンプンときわめて良好な相溶性を示す。そのうえ、本発明による分散液は、紙匹(paper web)の製造および乾燥の直後に完全なサイジングの発現を示す。
【0118】
本発明は、サイズ組成物において中性pHおよび周囲温度で使用される場合に安定であることができるポリマー分散液も提供する。
【0119】
本発明は、以下の制限されない実施例を参照してより詳細に説明される。
【0120】
実施例
実施例におけるパーセンテージデータは、本文脈から明らかではない限り、質量パーセントである。
【0121】
粒径は、Malvernの高性能粒径測定器(HPPS)を用いて、He−Neレーザー(633nm)を使用して、173°の散乱角度で測定した。
【0122】
比較例1、国際公開第2010/139683号(WO2010/139683)の例13による。比較分散液1の製造
101.4gの無水酢酸(氷酢酸)を、撹拌機および内部温度測定装置を有する2lの平面フラスコに最初に入れて、窒素雰囲気下で105℃に加熱した。155gのスチレン、10gのN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、55gのN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、および5gのアクリル酸を、105℃で撹拌しながら45分の時間内に計量供給した。モノマー供給と同時に、18.2gのイソプロパノール中の8.8gのtert−ブチルペルオクタノエートの供給を開始し、60分の間に計量供給した。次に、反応混合物を105℃で60分間、後重合に供した。
【0123】
次に、870gの脱塩水を、均一なポリマー材料に85℃で添加した。1.5gの10質量%濃度の硫酸鉄(II)溶液および10gの10質量%濃度のアスコルビン酸溶液の添加後、20gの5質量%濃度の過酸化水素溶液を30分の間に80℃で添加した。その後、55gのスチレンおよび220gのtert−ブチルアクリレートの混合物を、80℃で120分にわたって計量供給した。それと同時に、80gの5質量%濃度の過酸化水素溶液を別個の供給として150分内に添加した。開始剤供給の終了時に、後重合を30分間行い、70℃への冷却を行った。その後、10gの10質量%濃度のアスコルビン酸溶液を添加して、撹拌をさらに20分間行った。10gの10質量%濃度のアスコルビン酸溶液のさらなる添加を行った。次に、反応混合物をさらに20分間撹拌した。最後に、5gの市販の消泡剤(BASF SEのAfranil(登録商標)T)および65gの脱塩水を添加して、室温への冷却を行った。30.4質量%の固体含有率および45nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0124】
例1(分散液1の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、16.25g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、2.00g(100質量%)のBisomer(登録商標)MPEG 350MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート)(GEO Specialty Chemicalsから入手可能)、および240.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、15.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、3.00gのメチルメタクリレートおよび2.00gのアクリル酸の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレンおよび48.00gのtert−ブチルアクリレートの供給も開始し、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.8質量%の固体含有率および152nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0125】
例2(分散液2の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、16.25g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、2.00g(100質量%)のBisomer(登録商標)MPEG 350MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート)(GEO Specialty Chemicalsから入手可能)、および240.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、7.50gのスチレン、10.00gのメチルアクリレート、7.50gのメチルメタクリレートおよび0.50gのテルピノレン(90質量%)の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレンおよび48.00gのtert−ブチルアクリレートの供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。25.3質量%の固体含有率および178nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0126】
例3(分散液3の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、2.00g(100質量%)のBisomer(登録商標)MPEG 350MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート)(GEO Specialty Chemicalsから入手可能)、および125.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、7.50gのスチレン、10.00gのメチルアクリレート、7.50gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.1質量%の固体含有率および74nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0127】
例4(分散液4の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、1.00g(100質量%)のBisomer(登録商標)MPEG 350MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート)(GEO Specialty Chemicalsから入手可能)、および125.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、16.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、5.00gのメチルメタクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.2質量%の固体含有率および104nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0128】
例5(分散液5の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、1.00g(100質量%)のBisomer(登録商標)MPEG 350MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート)(GEO Specialty Chemicalsから入手可能)、および125.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、26.00gのスチレン、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)、および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.6質量%の固体含有率および145nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0129】
例6(分散液6の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、27.00gのスチレン、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.8質量%の固体含有率および138nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0130】
例7(分散液7の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、17.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、5.00gのメチルメタクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.8質量%の固体含有率および71nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0131】
例8(分散液8の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、5.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および125.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.2質量%の固体含有率および88nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0132】
例9(分散液9の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)のギ酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.4質量%の固体含有率および120nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0133】
例10(分散液10の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、5.00g(100質量%)のギ酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および125.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.8質量%の固体含有率および92nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0134】
例11(分散液11の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、2.50g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.4質量%の固体含有率および102nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0135】
例12(分散液12の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 18(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.8質量%の固体含有率および160nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0136】
例13(分散液13の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 50(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.4質量%の固体含有率および96nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0137】
例14(分散液14の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、26.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 80(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、22.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.4質量%の固体含有率および96nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0138】
例15(分散液15の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、30.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、20.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.1質量%の固体含有率および82nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0139】
例16(分散液16の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、24.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、23.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。23.0質量%の固体含有率および86nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0140】
例17(分散液17の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、22.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、24.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.4質量%の固体含有率および90nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0141】
例18(分散液18の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、20.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、25.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。25.0質量%の固体含有率および99nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0142】
例19(分散液19の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、18.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、26.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.5質量%の固体含有率および103nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0143】
例20(分散液20の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、16.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、27.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.5質量%の固体含有率および130nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0144】
例21(分散液21の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、14.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、28.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.8質量%の固体含有率および117nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0145】
例22(分散液22の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、12.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、29.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.6質量%の固体含有率および122nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0146】
例23(分散液23の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、20.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、15.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、25.00gのスチレン、5.00gのメチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.4質量%の固体含有率および72nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0147】
例24(分散液24の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、20.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、5.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および120.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、20.00gのスチレン、10.00gのn−ブチルアクリレート、0.56gのテルピノレン(90質量%)、0.09g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)、および30.00gの脱塩水の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、10.00gの脱塩水を反応器に添加して、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。24.4質量%の固体含有率および92nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0148】
例25(分散液25の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、10.00g(100質量%)の酢酸、18.75g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、2.00g(100質量%)のBisomer(登録商標)MPEG 350MA(メトキシポリエチレングリコール350メタクリレート)(GEO Specialty Chemicalsから入手可能)、および240.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.40g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、16.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、21.00gのスチレン、2.00gのアクリル酸および0.50gのテルピノレン(90質量%)の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、32.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、12.00gのスチレン、48.00gのtert−ブチルアクリレート、0.17g(58質量%)の乳化剤Lumiten(登録商標)I−SC(ジ−エチル−ヘキシル−スルホコハク酸ナトリウム)(BASF SEから入手可能)および60.00gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。25質量%の固体含有率および245nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0149】
例26(分散液26の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、15.00g(100質量%)の酢酸、24g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、15g(50質量%)のMaltodextrine 019S1(Cargillから入手可能)および225.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.60g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、60.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、45分にわたって供給した。開始剤供給の開始から5分後、18.00gのスチレンおよび15.00gのn−ブチルアクリレートの混合物も30分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、30.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、30.00gのスチレン、75.00gのtert−ブチルアクリレートの供給も開始して、90分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、15.00gの脱塩水を添加して、反応混合物を30分間さらに撹拌した(後重合)。この時間の間、反応混合物を50℃に冷却した。50℃で、3.0g(10質量%)の第三級ブチルヒドロペルオキシド溶液を添加して、30分間撹拌した(後重合)。30.9質量%の固体含有率および185nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0150】
例27(分散液27の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、15.00g(100質量%)の酢酸、30.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、3.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および225.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.60g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、60.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、45分にわたって供給した。開始剤供給の開始から5分後、15.00gのスチレン、15.00gのn−ブチルアクリレートおよび0.38gの2−エチルヘキシルチオグリコラートの混合物も30分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、30.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、30.00gのスチレン、75.00gのtert−ブチルアクリレートの供給も開始して、90分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、15.00gの脱塩水を添加して、反応混合物を30分間さらに撹拌した(後重合)。この時間の間、反応混合物を50℃に冷却した。50℃で、3.0g(10質量%)の第三級ブチルヒドロペルオキシド溶液を添加して、30分間撹拌した(後重合)。30.9質量%の固体含有率および82nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0151】
例28(分散液28の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、15.00g(100質量%)の酢酸、30.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、3.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および225.00gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.60g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、60.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、45分にわたって供給した。開始剤供給の開始から5分後、15.00gのスチレン、15.00gのn−ブチルアクリレートおよび0.83gのテルピノレン(90質量%)の混合物も30分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、30.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、30.00gのスチレン、75.00gのtert−ブチルアクリレートの供給も開始して、90分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、15.00gの脱塩水を添加して、反応混合物を30分間さらに撹拌した(後重合)。この時間の間、反応混合物を50℃に冷却した。50℃で、3.0g(10質量%)の第三級ブチルヒドロペルオキシド溶液を添加して、30分間撹拌した(後重合)。30.8質量%の固体含有率および118nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0152】
例29(分散液29の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられた2lのすり合わせフラスコに、15.00g(100質量%)の酢酸、30.00g(50質量%)の1−ビニルイミダゾール硫酸ジメチル第四級塩、3.00g(20質量%)の乳化剤Lutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)、および97.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.60g(10質量%)の硫酸鉄(II)七水和物水溶液を添加した。続いて、24.00g(5質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)の供給を開始して、90分にわたって供給した。それに付随して、30.00gのスチレン、15.00gのn−ブチルアクリレートおよび0.83gのテルピノレン(90質量%)の混合物も60分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、48.00g(5質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、30.00gのスチレン、60.00gのtert−ブチルアクリレートの供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、15.00gの脱塩水を添加して、反応混合物を30分間さらに撹拌した(後重合)。この時間の間、反応混合物を50℃に冷却した。50℃で、3.0g(10質量%)の第三級ブチルヒドロペルオキシド溶液を添加して、30分間撹拌した(後重合)。42.9質量%の固体含有率および181nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0153】
例1から29までにより得られたポリマー分散液1から29まで、および比較例1において製造された比較分散液1の性能特性の試験。
【0154】
pH安定性試験は、pH7が達成されるまで、NaOH(25質量%)の溶液を添加することにより実施した。安定している(pH調整の間、凝固が観察されない)試料を25℃で1時間貯蔵した。分散液は、この処理後に影響を受けない場合(これは凝塊が観察できない場合である)、pH安定性である。
【0155】
例1から25までにおいて製造されたポリマー分散液1から25まで、および比較例1において製造された比較分散液1の性能試験:
使用時の表面サイジング効果を試験するために、本発明の分散液および比較分散液を、実験室用サイズプレスを用いてライナー紙(100%再生紙、坪量80g/m
2、サイジングされていないもの)に塗布した。分解コーンスターチの水溶液を所望の濃度に調節した。次に、試験される分散液をデンプン溶液に添加し、そのようにして製造されたサイズプレス液は、60g/lの分解コーンスターチ、0.3g/lから0.5g/lまでの分散液(第1表参照)を、ポリ塩化アルミニウム(PAC)の存在下(PACを含む最終的なサイズプレス液のデンプン溶液1リットルあたり2gのPAC固体の供給量)で含んでいた。
【0156】
次に、例1から25までに記載の通りに得られた分散液1から25まで、および比較例1のそれぞれのサイズ効果を、サイズプレス液のサイジングされていない試験紙への表面塗布により測定した。サイズプレス液を、55℃の温度、2m/minの速度、および1barの圧力で塗布した。この目的のために、紙を2回サイズプレスに通し、約65%の平均質量増加が達成された。
【0157】
表面サイジングされた紙を、120℃の乾燥シリンダー上で乾燥した。続いて、サイズ度を測定する前に、紙を空調室(23℃、相対湿度50%)内で一晩貯蔵した。
【0158】
表面サイジングされた紙のサイズ度を測定するために、Cobb60値およびCobb120値をDIN53132に準拠して測定した。Cobb60値は、水との接触および60秒(またはCobb120値の場合は120秒)の接触時間の後の紙シートの吸水率(g/m
2)として定義される。Cobb値が低ければ低いほど、使用される分散液のサイズ効果はより良好である。
【0159】
ポリマー分散液1から25までのサイジングおよび安定性の結果は、第1表に示されている。
【0160】
【表1】
【0161】
例26から29までにおいて製造されたポリマー分散液26から29まで、および比較例1の比較分散液1の性能試験:
ポリマー分散液26から29までおよび比較ポリマー分散液1を、ポリマー分散液1から25までの場合と全く同じ方法で評価したが、ただし、試験は、PACの非存在下で行い、かつサイズプレス液中に含まれるポリマー分散液の供給量は、0.6g/l、0.8g/lおよび1.0g/lであった。
【0162】
ポリマー分散液1から25までのサイジングおよび安定性の結果は、第2表に示されている。
【0163】
【表2】
【0164】
例30(分散液30の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、1.75g(100質量%)の酢酸、19.69g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.88g(40質量%)のMersolat(登録商標)40(Lanxess Deutschland GmbHから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および17.5g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、48.44gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、107.73gのアクリロニトリル、86.17gのn−ブチルアクリレート、21.56gの2−エチルヘキシルアクリレート、1.37gのテルピノレン、0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。29.8質量%の固体含有率および107.3nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0165】
例31(分散液31の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、1.75g(100質量%)の酢酸、19.69g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.88g(40質量%)のMersolat(登録商標)40(Lanxess Deutschland GmbHから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および28g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、48.44gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.09g(40質量%)のMersolat(登録商標)40の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、107.73gのアクリロニトリル、86.17gのn−ブチルアクリレート、21.56gの2−エチルヘキシルアクリレート、1.37gのテルピノレン、0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。28.3質量%の固体含有率および106.6nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0166】
例32(分散液32の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、0.7g(100質量%)の酢酸、19.69g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40(Lanxess Deutschland GmbHから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および28g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、48.44gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.09g(40質量%)のMersolat(登録商標)40の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、107.73gのアクリロニトリル、86.17gのn−ブチルアクリレート、21.56gの2−エチルヘキシルアクリレート、1.37gのテルピノレン、0.18g(40質量%)のMersolat(登録商標)40および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。29.0質量%の固体含有率および105.7nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0167】
例33(分散液33の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、1.75g(100質量%)の酢酸、19.69g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.88g(40質量%)のMersolat(登録商標)40(Lanxess Deutschland GmbHから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および21g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、48.44gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、59.5gのスチレン、175gのtert−ブチルアクリレート、0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。30.1質量%の固体含有率および115.9nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0168】
例34(分散液34の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、1.75g(100質量%)の酢酸、19.69g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.18g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT25(BASF SEから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および21g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、48.44gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.26g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、59.5gのスチレン、175gのtert−ブチルアクリレート、0.88g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。30.4質量%の固体含有率および122.6nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0169】
例35(分散液35の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、1.75g(100質量%)の酢酸、10.94g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.18g(40質量%)のMersolat(登録商標)40(Lanxess Deutschland GmbHから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および21g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、38.5gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.18g(40質量%)のMersolat(登録商標)40の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、133gのスチレン、69.3gのtert−ブチルアクリレート、25.2gのn−ブチルアクリレート、0.44g(40質量%)のMersolat(登録商標)40および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。28.4質量%の固体含有率および101.9nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0170】
例36(分散液36の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、1.75g(100質量%)の酢酸、10.94g(80質量%)のジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、60.74g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.18g(40質量%)のMersolat(登録商標)40(Lanxess Deutschland GmbHから入手可能)および17.50gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および21g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、38.5gのスチレン、11.55gのメチルメタクリレート、9.98gのメチルアクリレート、8.37gのアクリル酸および0.18g(40質量%)のMersolat(登録商標)40の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、133gのスチレン、69.3gのtert−ブチルアクリレート、25.2gのn−ブチルアクリレート、0.22g(40質量%)のMersolat(登録商標)40および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。29.0質量%の固体含有率および100.9nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0171】
例37(分散液37の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、5.25g(100質量%)の酢酸、45.77g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.18g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)および35gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および21g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、31.5gのスチレン、5.25gのジメチルアミノエチルメタクリレート、8.09gのメチルメタクリレート、6.65gのメチルアクリレート、5.95gのアクリル酸および0.09g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、161gのスチレン、87.5gのtert−ブチルアクリレート、28gのn−ブチルアクリレート、0.18g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。27.6質量%の固体含有率および105nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0172】
例38(分散液38の製造):
撹拌機および内部温度測定装置が備えられたすり合わせフラスコに、14g(100質量%)の酢酸、45.77g(60質量%)のジアリルジメチルアンモニウムクロリド、0.18g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25(BASF SEから入手可能)および35gの脱塩水を装入物として添加して、撹拌下に85℃まで加熱した。次に、0.14g(100質量%)の硫酸鉄(II)七水和物を添加した。続いて、52.5g(10質量%)の過酸化水素溶液(開始剤)および28g(100質量%)のイソプロパノール(連鎖移動剤)の供給を開始して、150分にわたって供給した。それに付随して、31.5gのスチレン、5.25gのジメチルアミノエチルメタクリレート、8.09gのメチルメタアクリレート、6.65gのメチルアクリレート、5.95gのアクリル酸および0.09g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25の混合物も120分にわたって供給した。開始剤供給の終了時に、バッチを30分間さらに撹拌して(後重合)、その後、175g(10質量%)の過酸化水素溶液の次なる開始剤供給を開始して、120分にわたって供給した。それと同時に、161gのスチレン、105gのtert−ブチルアクリレート、14gのn−ブチルアクリレート、0.18g(40質量%)のLutensol(登録商標)AT 25および525gの脱塩水の供給も開始して、120分にわたって供給した。開始剤およびモノマーの両方の供給の終了時に、反応混合物を60分間さらに撹拌して(後重合)、次に、反応混合物を室温に冷却した。29.7質量%の固体含有率および104.5nmの粒径を有する微細なポリマー分散液が得られた。
【0173】
例30から38までにおいて製造されたポリマー分散液30から38まで、および比較例1の比較分散液1の性能試験:
ポリマー分散液30から38まで、ならびに比較分散液1および2を、ポリマー分散液1から25までの場合と全く同じ方法で評価したが、ただし、サイズプレス液は、4m/minの速度で、1回のみの塗布サイクルを使用して塗布され、かつ95℃の乾燥温度であった。サイズプレス液中に含まれるポリマー分散液の供給量は、0.45g/l、0.6g/lおよび0.9g/lであった。
【0174】
ポリマー分散液30から38までのサイジングおよび安定性の結果は、第3表に示されている。
【0175】
【表3】
【0176】
ポリマー分散液30から38まで、ならびに比較分散液1および2を、上に示されたのと同じ方法で評価したが、ただし、最終的なサイズプレス液がミョウバンを含むように、デンプン溶液1リットルあたり1gの固体ミョウバンの供給量でミョウバンを含めた。
【0177】
ミョウバンを含むサイズプレス液中のポリマー分散液30から38までのサイジングの結果は、第4表に示されている。サイズプレス液中に含まれるポリマー分散液の供給量は、0.3g/l、0.45g/lおよび0.6g/lであった。
【0178】
【表4】