特許第6805452号(P6805452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6805452液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805452
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20201214BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20201214BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G02F1/1337 525
   G02F1/1337 520
   C08G73/10
   C08G59/40
【請求項の数】12
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-523423(P2018-523423)
(86)(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公表番号】特表2019-503502(P2019-503502A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】KR2017006476
(87)【国際公開番号】WO2017222281
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2018年5月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0077525
(32)【優先日】2016年6月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハン ア
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、ジュン ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒョン ソク
【審査官】 岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−185064(JP,A)
【文献】 特開2006−023344(JP,A)
【文献】 特開2011−128597(JP,A)
【文献】 特開2013−235130(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/152174(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/102312(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08G 59/40
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、および下記化学式3で表される繰り返し単位を含み、下記化学式1〜3で表される全繰り返し単位に対して、下記化学式1で表される繰り返し単位を5〜74モル%含む液晶配向剤用重合体;および
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を含み、
前記分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物は、前記液晶配向剤用重合体の重量対比0.1〜30重量%含む、液晶配向剤組成物:
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
前記化学式1〜3において、
およびRは、それぞれ独立に、水素、またはC1−10アルキルであり、ただし、RおよびRがすべて水素ではなく、
は、下記化学式4で表される4価の有機基であり、
[化学式4]
【化4】
〜Rは、それぞれ独立に、水素、またはC1−6アルキルであり、
およびXは、それぞれ独立に、炭素数4〜20の炭化水素に由来する4価の有機基であるか、あるいは前記4価の有機基のうち1つ以上のHがハロゲンに置換されたり、または1つ以上の−CH−が酸素または硫黄原子が直接連結されないように−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、または−CONH−に代替された4価の有機基であり、
〜Yは、それぞれ独立に、下記化学式5で表される2価の有機基であり、
[化学式5]
【化5】
前記化学式5において、
およびRは、それぞれ独立に、ハロゲン、シアノ、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルキル、またはC1−10フルオロアルコキシであり、
pおよびqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
は、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−、−CONH−、−COO−、−(CH−、−O(CHO−、−O(CH−、−NH−、−NH(CH−NH−、−NH(CHO−、−OCH−C(CH−CHO−、−COO−(CH−OCO−、または−OCO−(CH−COO−であり、
zは、1〜10の整数であり、
kおよびmは、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、
nは、0〜3の整数である。
【請求項2】
およびXは、それぞれ独立に、下記化学式6に記載の4価の有機基である、請求項1に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式6]
【化6】
前記化学式6において、
〜Rは、それぞれ独立に、水素、またはC1−6アルキルであり、
は、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−CR10−、−CONH−、フェニレン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか1つであり、
およびR10は、それぞれ独立に、水素、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。
【請求項3】
前記分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の分子量が100〜10,000である、請求項1に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項4】
前記分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物は、シクロアリファティック系エポキシ、ノボラック系エポキシ、ビスフェノール系エポキシ、ビフェニル系エポキシ、グリシジルアミン系エポキシ、シアヌル酸系エポキシ、またはその2種以上である、請求項1に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項5】
前記分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物は、下記化学式7〜14で表される化合物のうちのいずれか1つ以上である、請求項1に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式7]
【化7】
[化学式8]
【化8】
[化学式9]
【化9】
[化学式10]
【化10】
前記化学式10において、
、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素またはメチルであり、
a、bおよびcは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
dは、0〜20の整数であり、
[化学式11]
【化11】
[化学式12]
【化12】
前記化学式11および12において、
20およびR21は、それぞれ独立に、水素、またはハロゲンであり、
22およびR23は、それぞれ独立に、水素、またはメチルであり、
hおよびiは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
jは、0〜20の整数であり、
[化学式13]
【化13】
前記化学式13において、
pおよびqは、それぞれ独立に、1〜6の整数であり、
rおよびsは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、r=0およびs=1の場合を除けば、r+sは、2以上であり、
は、下記から構成される群より選択されるいずれか1つのr+s価の官能基であり、
【化14】
前記において、R22〜R31は、それぞれ独立に、水素、メチル、またはハロゲンであり、
およびLは、それぞれ独立に、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−、−CONH−、−COO−、−(CH−、−O(CHO−であり、ここで、uは、1〜10の整数であり、
n1〜n10は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
[化学式14]
【化15】
前記化学式14において、
wは、それぞれ独立に、1〜10の整数である。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階と、
前記塗膜を乾燥する段階と、
前記乾燥する段階の直後の塗膜に光を照射して配向処理する段階と、
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階とを含む、液晶配向膜の製造方法。
【請求項7】
前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒に溶解または分散させたものである、請求項に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項8】
前記塗膜を乾燥する段階は、50〜150℃で行われる、請求項6または7に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項9】
前記配向処理する段階において、光照射は、150〜450nmの波長の偏光された紫外線を照射するものである、請求項6から8のいずれか一項に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項10】
前記塗膜を硬化する段階において、熱処理温度は、150〜300℃である、請求項6から9のいずれか一項に記載の液晶配向膜の製造方法。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか一項に記載の液晶配向膜の製造方法により製造された、液晶配向膜。
【請求項12】
請求項11に記載の液晶配向膜を含む液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
【0002】
本出願は、2016年6月21日付の韓国特許出願番号第10−2016−0077525号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0003】
本発明は、配向性と安定性が強化され、高い電圧保持率を示す液晶配向膜を製造するための液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜および液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0004】
液晶表示素子において、液晶配向膜は、液晶を一定の方向に配向させる役割を担っている。具体的には、液晶配向膜は、液晶分子の配列に方向子(director)の役割を果たし、電場(electric field)によって液晶が動いて画像を形成する時、適当な方向決めをする。液晶表示素子において、均一な輝度(brightness)と高い明暗比(contrast ratio)を得るためには、液晶を均一に配向することが必須である。
【0005】
従来、液晶を配向させる方法の一つとして、ガラスなどの基板にポリイミドのような高分子膜を塗布し、該表面をナイロンやポリエステルのような繊維を用いて一定の方向に擦るラビング(rubbing)方法が利用された。しかし、ラビング方法は、繊維質と高分子膜とが摩擦する時、微細な埃や静電気(electrical discharge:ESD)が生じ得て、液晶パネルの製造時に深刻な問題点を引き起こすことがある。
【0006】
前記ラビング方法の問題点を解決するために、最近は、摩擦でない光照射によって高分子膜に異方性(非等方性、anisotropy)を誘導し、これを利用して液晶を配列する光配向法が研究されている。
【0007】
前記光配向法に用いられる材料としては多様な材料が紹介されており、なかでも、液晶配向膜の良好な諸性能のためにポリイミドが主に使用されている。しかし、ポリイミドは、溶媒溶解性が低下し、溶液状態でコーティングして配向膜を形成させる製造工程上に直ちに適用するには困難があった。したがって、溶解性に優れたポリアミック酸またはポリアミック酸エステルのような前駆体形態でコーティングした後、高温の熱処理工程を経てポリイミドを形成させ、これに光照射を実行して配向処理をする。しかし、このようなポリイミド状態の膜に光照射をして十分な液晶配向性を得るためには多くのエネルギーが必要になり、実際の生産性確保に困難が生じるだけでなく、光照射後の配向安定性を確保するために追加の熱処理工程も必要になる限界がある。
【0008】
また、液晶表示素子の高品位駆動のためには高い電圧保持率(voltage holding ratio;VHR)を示さなければならないが、ポリイミドだけではこれを示すのに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、配向性と安定性が強化され、高い電圧保持率を示す液晶配向膜を製造するための液晶配向剤組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、前記液晶配向剤組成物を用いた液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、前記製造方法で製造される液晶配向膜およびこれを含む液晶表示素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、(i)下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、および下記化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選択された2種以上の繰り返し単位を含み、下記化学式1〜3で表される全繰り返し単位に対して、下記化学式1で表される繰り返し単位を5〜74モル%含む液晶配向剤用重合体;および(ii)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を含む、液晶配向剤組成物を提供する:
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
前記化学式1〜3において、
およびRは、それぞれ独立に、水素、またはC1−10アルキルであり、ただし、RおよびRがすべて水素ではなく、
は、下記化学式4で表される4価の有機基であり、
[化学式4]
【化4】
〜Rは、それぞれ独立に、水素、またはC1−6アルキルであり、
およびXは、それぞれ独立に、炭素数4〜20の炭化水素に由来する4価の有機基であるか、あるいは前記4価の有機基のうち1つ以上のHがハロゲンに置換されたり、または1つ以上の−CH−が酸素または硫黄原子が直接連結されないように−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、または−CONH−に代替された4価の有機基であり、
〜Yは、それぞれ独立に、下記化学式5で表される2価の有機基であり、
[化学式5]
【化5】
前記化学式5において、
およびRは、それぞれ独立に、ハロゲン、シアノ、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルキル、またはC1−10フルオロアルコキシであり、
pおよびqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
は、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−、−CONH−、−COO−、−(CH−、−O(CHO−、−O(CH−、−NH−、−NH(CH−NH−、−NH(CHO−、−OCH−C(CH−CHO−、−COO−(CH−OCO−、または−OCO−(CH−COO−であり、
zは、1〜10の整数であり、
kおよびmは、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、
nは、0〜3の整数である。
【0013】
既存のポリイミドを液晶配向膜として用いる場合、溶解性に優れたポリイミド前駆体、ポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを塗布し、乾燥して塗膜を形成した後、高温の熱処理工程を経てポリイミドに転換させ、これに光照射を実行して配向処理をした。しかし、このようなポリイミド状態の膜に光照射をして十分な液晶配向性を得るためには多くの光照射エネルギーが必要になるだけでなく、光照射後の配向安定性を確保するために追加の熱処理工程も経るようになる。このような多くの光照射エネルギーと追加の高温熱処理工程は、工程費用と、工程時間の側面から非常に不利であるので、実際の大量生産工程に適用するには限界があった。
【0014】
そこで、本発明者らは、前記のような液晶配向剤用重合体を用いると、すでにイミド化されたイミド繰り返し単位を一定の含有量含むため、塗膜形成後、高温の熱処理工程なしに直ちに光を照射して異方性を生成させ、その後に熱処理を進行させて配向膜を完成できることから、光照射エネルギーを大きく低減できるだけでなく、1回の熱処理工程を含む単純な工程でも配向性と安定性が強化された液晶配向膜を製造できることを確認した。
【0015】
また、本発明者らは、前記液晶配向剤用重合体のほか、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を液晶配向剤組成物に含ませることで、これから製造される液晶配向膜は、高い電圧保持率を示すだけでなく、熱ストレスによる配向安定性および配向膜の機械的強度も改善されることを確認した。理論的に制限されるわけではないが、光照射による異方性生成後、熱処理過程でエポキシ基を有する化合物とポリイミド前駆体または部分イミド化された高分子のカルボン酸基と熱架橋反応が起こり、これによって電圧保持率を上昇させる。また、特に分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を使用するため、このような特性がさらに向上するだけでなく、ポリイミド前駆体または部分イミド化された高分子鎖間の架橋反応を起こして、配向安定性および配向膜の機械的強度も向上させることができる。
【0016】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0017】
用語の定義
【0018】
本明細書において、特別な制限がない限り、次の用語は下記のように定義される。
【0019】
炭素数4〜20の炭化水素は、炭素数4〜20のアルカン(alkane)、炭素数4〜20のアルケン(alkene)、炭素数4〜20のアルキン(alkyne)、炭素数4〜20のシクロアルカン(cycloalkane)、炭素数4〜20のシクロアルケン(cycloalkene)、炭素数6〜20のアレーン(arene)であるか、あるいはこれらのうち1種以上の環状炭化水素が2以上の原子を共有する縮合環(fused ring)であるか、あるいはこれらのうち1種以上の炭化水素が化学的に結合した炭化水素であってもよい。具体的には、炭素数4〜20の炭化水素としては、n−ブタン、シクロブタン、1−メチルシクロブタン、1,3−ジメチルシクロブタン、1,2,3,4−テトラメチルシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロヘキセン、1−メチル−3−エチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル、ベンゼン、ビフェニル、ジフェニルメタン、2,2−ジフェニルプロパン、1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、または1,6−ジフェニルヘキサンなどを例示することができる。
【0020】
炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル基であってもよい。具体的には、炭素数1〜10のアルキル基は、炭素数1〜10の直鎖アルキル基;炭素数1〜5の直鎖アルキル基;炭素数3〜10の分枝鎖もしくは環状アルキル基;または炭素数3〜6の分枝鎖もしくは環状アルキル基であってもよい。より具体的には、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、またはシクロヘキシル基などを例示することができる。
【0021】
炭素数1〜10のアルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環状アルコキシ基であってもよい。具体的には、炭素数1〜10のアルコキシ基は、炭素数1〜10の直鎖アルコキシ基;炭素数1〜5の直鎖アルコキシ基;炭素数3〜10の分枝鎖もしくは環状アルコキシ基;または炭素数3〜6の分枝鎖もしくは環状アルコキシ基であってもよい。より具体的には、炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基、またはシクロヘキトキシ基などを例示することができる。
【0022】
炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、前記炭素数1〜10のアルキル基の1つ以上の水素がフッ素に置換されたものでもよく、炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、前記炭素数1〜10のアルコキシ基の1つ以上の水素がフッ素に置換されたものでもよい。
【0023】
炭素数2〜10のアルケニル基は、直鎖、分枝鎖もしくは環状アルケニル基であってもよい。具体的には、炭素数2〜10のアルケニル基は、炭素数2〜10の直鎖アルケニル基、炭素数2〜5の直鎖アルケニル基、炭素数3〜10の分枝鎖アルケニル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルケニル基、炭素数5〜10の環状アルケニル基、または炭素数6〜8の環状アルケニル基であってもよい。より具体的には、炭素数2〜10のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、またはシクロヘキセニル基などを例示することができる。
【0024】
ハロゲン(halogen)は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)であってもよい。
【0025】
任意の化合物に由来する多価有機基(multivalent organic group)は、任意の化合物に結合した複数の水素原子が除去された形態の残基を意味する。一例として、シクロブタンに由来する4価の有機基は、シクロブタンに結合した任意の水素原子4個が除去された形態の残基を意味する。
【0026】
本明細書において、化学式中、
【化6】
は、当該部位の水素が除去された形態の残基を意味する。例えば、
【化7】
は、シクロブタンの1、2、3および4番目の炭素に結合した水素原子4個が除去された形態の残基、つまり、シクロブタンに由来する4価の有機基のうちのいずれか1つを意味する。
【0027】
液晶配向剤用重合体
【0028】
前記液晶配向剤用重合体は、前記化学式1で表される繰り返し単位、化学式2で表される繰り返し単位、および化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選択された2種以上の繰り返し単位を含む。
【0029】
前記化学式1〜3の繰り返し単位において、Xは、前記化学式4で表される4価の有機基であり、XおよびXは、それぞれ独立に、炭素数4〜20の炭化水素に由来する4価の有機基であるか、あるいは前記4価の有機基のうち1つ以上のHがハロゲンに置換されたり、または1つ以上の−CH−が酸素または硫黄原子が直接連結されないように−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、または−CONH−に代替された4価の有機基であってもよい。
【0030】
一例として、前記XおよびXは、それぞれ独立に、下記化学式6に記載の4価の有機基であってもよい。
[化学式6]
【化8】
前記化学式6において、
〜Rは、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜6のアルキル基であり、
は、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−CR10−、−CONH−、フェニレン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか1つであり、
前記において、RおよびR10は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜10のアルキル基またはフルオロアルキル基である。
【0031】
一方、前記Y〜Yは、前記化学式5で表される2価の有機基として定義され、上述した効果を発現できる多様な構造の液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0032】
前記化学式5において、RまたはRで置換されていない炭素には水素が結合しており、pまたはqが2〜4の整数の時、複数のRまたはRは、同一または互いに異なる置換基であってもよい。そして、前記化学式5において、mは、0〜3の整数、あるいは0または1の整数であってもよい。
【0033】
そして、前記液晶配向剤用重合体は、前記化学式1、化学式2、および化学式3で表される繰り返し単位中において、イミド繰り返し単位である化学式1で表される繰り返し単位を、全繰り返し単位に対して5〜74モル%、好ましくは10〜60モル%含むことができる。
【0034】
上述のように、前記化学式1で表されるイミド繰り返し単位を特定の含有量含む重合体を用いると、前記重合体がすでにイミド化されたイミド繰り返し単位を一定の含有量含むため、高温の熱処理工程を省略し、直ちに光を照射しても配向性と安定性に優れた液晶配向膜を製造することができる。
【0035】
万一、化学式1で表される繰り返し単位が前記含有量範囲より少なく含まれると、十分な配向特性を示すことができず、配向安定性が低下することがあり、前記化学式1で表される繰り返し単位の含有量が前記範囲を超えると、溶解度が低くなってコーティング可能な安定した配向液を製造しにくい問題が現れることがある。これにより、前記化学式1で表される繰り返し単位を上述した含有量範囲で含む方が、保管安定性、電気的特性、配向特性および配向安定性がいずれも優れた液晶配向剤用重合体を提供できて、好ましい。
【0036】
また、前記化学式2で表される繰り返し単位または化学式3で表される繰り返し単位は、目的の特性に応じて適切な含有量で含まれる。
【0037】
具体的には、前記化学式2で表される繰り返し単位は、前記化学式1〜3で表される全繰り返し単位に対して0〜40モル%、好ましくは0〜30モル%含まれる。前記化学式2で表される繰り返し単位は、光照射後、高温熱処理工程中にイミドに転換される比率が低いため、前記範囲を超える場合、全体的なイミド化率が不足して配向安定性が低下することがある。したがって、前記化学式2で表される繰り返し単位は、上述した範囲内で適切な溶解度を示し、工程特性に優れていながらも高いイミド化率を実現する液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0038】
そして、前記化学式3で表される繰り返し単位は、前記化学式1〜3で表される全繰り返し単位に対して0〜95モル%、好ましくは10〜90モル%含まれる。この範囲内で優れたコーティング性を示し、工程特性に優れていながらも高いイミド化率を実現する液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0039】
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物
【0040】
上述した液晶配向剤用重合体のほか、本発明は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を液晶配向剤組成物に含ませることで、これから製造される液晶配向膜の高い電圧保持率を示すことができるようにする。
【0041】
前記分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の分子量は、100〜10,000であることが好ましい。
【0042】
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の構造は特に制限されないが、一例として、シクロアリファティック系エポキシ、ノボラック系エポキシ、ビスフェノール系エポキシ、ビフェニル系エポキシ、グリシジルアミン系エポキシ、シアヌル酸系エポキシ、またはその2種以上の組み合わせを使用することができる。その具体例としては、下記化学式7〜14で表される化合物のうちのいずれか1つ以上を使用することができるが、下記の化合物に限定されない。
[化学式7]
【化9】
[化学式8]
【化10】
[化学式9]
【化11】
[化学式10]
【化12】
前記化学式10において、
、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素、またはメチルであり、
a、bおよびcは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
dは、0〜20の整数であり、
[化学式11]
【化13】
[化学式12]
【化14】
前記化学式11および12において、
20およびR21は、それぞれ独立に、水素、またはハロゲンであり、
22およびR23は、それぞれ独立に、水素、またはメチルであり、
hおよびiは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、
jは、0〜20の整数であり、
[化学式13]
【化15】
前記化学式13において、
pおよびqは、それぞれ独立に、1〜6の整数であり、
rおよびsは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、r=0およびs=1の場合を除けば、r+sは、2以上であり、
は、下記から構成される群より選択されるいずれか1つのr+s価の官能基であり、
【化16】
前記において、R22〜R31は、それぞれ独立に、水素、メチル、またはハロゲンであり、
およびLは、それぞれ独立に、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−、−CONH−、−COO−、−(CH−、−O(CHO−であり、ここで、uは、1〜10の整数であり、
n1〜n10は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、
[化学式14]
【化17】
前記化学式14において、
wは、それぞれ独立に、1〜10の整数である。
また、前記分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物は、上述した液晶配向剤用重合体の重量対比0.1〜30重量%含まれることが好ましい。
【0043】
液晶配向膜の製造方法
【0044】
また、本発明は、液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階(段階1)と、前記塗膜を乾燥する段階(段階2)と、前記乾燥段階直後の塗膜に光を照射して配向処理する段階(段階3)と、前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階(段階4)とを含む、液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0045】
前記段階1は、上述した液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階である。
【0046】
前記液晶配向剤組成物を基板に塗布する方法は特に制限されず、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法が利用可能である。
【0047】
そして、前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒に溶解または分散させたものでもよい。前記有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグリム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらは、単独で使用されてもよく、混合して使用されてもよい。
【0048】
また、前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒のほか、他の成分を追加的に含んでもよい。非制限的な例として、前記液晶配向剤組成物が塗布された時、膜厚さの均一性や表面平滑性を向上させたり、あるいは液晶配向膜と基板との密着性を向上させたり、あるいは液晶配向膜の誘電率や導電性を変化させたり、あるいは液晶配向膜の緻密性を増加させる添加剤が追加的に含まれる。このような添加剤としては、各種溶媒、界面活性剤、シラン系化合物、誘電体、または架橋性化合物などが例示される。
【0049】
前記段階2は、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布して形成された塗膜を乾燥する段階である。
【0050】
前記塗膜を乾燥する段階は、塗膜の加熱、真空蒸発などの方法を利用することができ、50〜150℃、または60〜140℃で行われることが好ましい。
【0051】
前記段階3は、前記乾燥段階直後の塗膜に光を照射して配向処理する段階である。
【0052】
本明細書において、前記「乾燥段階直後の塗膜」は、乾燥段階の後に、乾燥段階以上の温度で熱処理する段階の進行なしに直ちに光照射するものを意味し、熱処理以外の他の段階は付加可能である。
【0053】
より具体的には、従来ポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤を用いて液晶配向膜を製造する場合には、ポリアミック酸のイミド化のために必須として高温の熱処理を進行させた後、光を照射する段階を含むが、上述した一実施形態の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を製造する場合には、前記熱処理段階を含まず、直ちに光を照射して配向処理した後、配向処理された塗膜を熱処理して硬化することによって、小さい光照射エネルギー下でも十分な配向性と安定性が強化された液晶配向膜を製造することができる。
【0054】
そして、前記配向処理する段階において、光照射は、150〜450nmの波長の偏光された紫外線を照射するものでもよい。この時、露光の強さは液晶配向剤用重合体の種類に応じて異なり、10mJ/cm〜10J/cmのエネルギー、好ましくは30mJ/cm〜2J/cmのエネルギーを照射することができる。
【0055】
前記紫外線としては、(1)石英ガラス、ソーダライムガラス、ソーダライムフリーガラスなどの透明基板の表面に誘電異方性の物質がコーティングされた基板を用いた偏光装置、(2)微細にアルミニウムまたは金属ワイヤが蒸着された偏光板、または(3)石英ガラスの反射によるブルースター偏光装置などを通過または反射する方法で偏光処理された紫外線の中から選択された偏光紫外線を照射して配向処理をする。この時、偏光された紫外線は、基板面に垂直に照射することもでき、特定の角度に入射角を傾斜して照射することもできる。このような方法によって液晶分子の配向能力が塗膜に与えられる。
【0056】
前記段階4は、前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階である。
【0057】
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階は、従来ポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤用重合体を用いて液晶配向膜を製造する方法においても光照射後に実施する段階で、液晶配向剤を基板に塗布し、光を照射する前に、または光を照射しながら液晶配向剤をイミド化させるために実施する熱処理段階とは区分される。
【0058】
この時、前記熱処理は、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって実施可能であり、150〜300℃、または200〜250℃で行われることが好ましい。
【0059】
液晶配向膜
【0060】
また、本発明は、上述した液晶配向膜の製造方法により製造された液晶配向膜を提供する。
【0061】
上述のように、前記化学式1で表される繰り返し単位、化学式2で表される繰り返し単位、および化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選択された2種以上の繰り返し単位を含み、特に、前記繰り返し単位中において、化学式1で表されるイミド繰り返し単位を5〜74モル%含む重合体を用いると、配向性と安定性が強化された液晶配向膜を製造することができる。
【0062】
液晶表示素子
【0063】
また、本発明は、上述した液晶配向膜を含む液晶表示素子を提供する。
【0064】
前記液晶配向膜は、公知の方法によって液晶セルに導入され、前記液晶セルは同じく、公知の方法により液晶表示素子に導入可能である。前記液晶配向膜は、前記化学式1で表される繰り返し単位を特定の含有量含む重合体から製造され、優れた諸物性と共に優れた安定性を実現することができる。これにより、高い信頼度を示すことができる液晶表示素子を提供する。
【0065】
また、本発明は、ポリイミド系繰り返し単位と、ポリアミック酸またはポリアミック酸エステル系繰り返し単位とを含み、全繰り返し単位に対して、ポリイミド系繰り返し単位を5〜74モル%含む液晶配向剤用重合体が光配向されており、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を介して硬化した硬化物を含む液晶配向膜;および前記液晶配向膜上に形成されており、前記光配向された重合体によって液晶配向された液晶分子を含む液晶層を含む液晶表示素子であって、前記液晶表示素子の上下に互いに垂直方向に偏光板を付着させ、7,000cd/mのバックライトで光を照射した時、光漏れが観察されず、60Hz、60℃の苛酷条件で測定した電圧維持保全率が90%以上である、液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、液晶配向剤組成物を基板に塗布および乾燥した後、高温の熱処理工程を省略し、直ちに光を照射して配向処理した後、これを熱処理して硬化することによって、光照射エネルギーを低減できるだけでなく、単純な工程により配向性と安定性が強化された液晶配向膜を提供できる液晶配向膜の製造方法、液晶配向膜およびこれを含む液晶表示素子が提供される。また、本発明による液晶配向剤組成物は、液晶配向剤用重合体のほか、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を含むことで、これから製造される液晶配向膜は高い電圧保持率を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0068】
製造例1:ジアミンDA−1の製造
下記反応式のように製造した。
【化18】
【0069】
具体的には、CBDA(シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物)と4−ニトロアニリン(4−nitroaniline)をDMF(Dimethylformamide)に溶解させて混合物を製造した。次に、前記混合物を約80℃で約12時間反応させてアミック酸を製造した。この後、前記アミック酸をDMFに溶解させ、酢酸無水物および酢酸ナトリウムを添加して混合物を製造した。次に、前記混合物に含まれているアミック酸を約90℃で約4時間イミド化させた。このように得られたイミドをDMAc(Dimethylacetamide)に溶解させた後、Pd/Cを添加して混合物を製造した。これを45℃および6barの水素圧力下で20分間還元させて、ジアミンDA−1を製造した。
【0070】
製造例2:ジアミンDA−2の製造
【化19】
【0071】
CBDA(シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物)の代わりにDMCBDA(1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物)を用いたことを除けば、前記製造例1と同様の方法で前記構造を有するDA−2を製造した。
【0072】
製造例3:ジアミンDA−3の合成
下記反応式のように製造した。
【化20】
【0073】
具体的には、CBDA(シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物)25gを250mLのメタノールに入れて、1〜2滴の塩酸を添加した後、75℃で5時間加熱還流した。溶媒を減圧して除去した後、エチルアセテートとノルマルヘキサンを300mL添加して固形化した。生成された固体を減圧フィルタし、40℃で減圧乾燥した後、M1 32gを得た。
【0074】
得られたM1 34gに100mLのトルエンを添加し、常温でオキサリルクロライド(oxalyl chloride)35gを滴下した。2〜3滴のジメチルホルムアミド(DMF)を滴加し、50℃で16時間撹拌した。常温に冷却した後、溶媒と残留オキサリルクロライドを減圧して除去した。黄色の固体生成物にノルマルヘキサン300mLを添加した後、80℃で加熱還流した。加熱された反応溶液をろ過してノルマルヘキサンに溶けないimpurityを除去し、ゆっくり常温まで冷却して生成された白色の結晶をろ過した後、40℃の減圧オーブンで乾燥して、M2 32.6gを得た。
【0075】
4−ニトロアニリン(4−nitroaniline)29.6gとトリエタノールアミン(TEA)21.7gを400mLのテトラヒドロフラン(THF)に入れて、常温でM2 32.6gを添加した。常温で16時間撹拌した後、生成された沈殿物をろ過した。ろ液にジクロロメタン(Dichloro methane)400mLを入れて、0.1N塩酸水溶液で洗浄した後、再度飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄した。洗浄された有機溶液を減圧ろ過して固体生成物を得て、再度ジクロロメタンで再結晶して、固体状のジニトロ化合物M3 43gを得た。
【0076】
得られたジニトロ化合物M3 43gを高圧反応器に入れた後、THF500mLに溶かし、10wt%のPd/C2.2gを添加した後、3気圧の水素気体(H2)下、16時間常温撹拌した。反応後、celiteフィルタろ過を利用してPd/Cを除去し、ろ過した後、ろ液を減圧濃縮して、エステル化されたジアミンDA−3 37gを得た。
【0077】
製造例4:液晶配向剤用重合体P−1の製造
(段階1)
前記製造例1で製造したDA−1 5.0g(13.3mmol)と無水N−メチルピロリドン(NMP)71.27gに完全に溶かした。そして、ice bath下、1,3−ジメチル−シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物(DMCBDA)2.92g(13.03mmol)を前記溶液に添加し、16時間常温で撹拌した。
【0078】
(段階2)
前記段階1で得られた溶液を過剰の蒸留水に投入して沈殿物を生成させた。次に、生成された沈殿物をろ過して蒸留水で2回洗浄し、再度メタノールで3回洗浄した。このように得られた固体生成物を40℃の減圧オーブンで24時間乾燥して、液晶配向剤用重合体P−1 6.9gを得た。
【0079】
GPCにより前記P−1の分子量を確認した結果、数平均分子量(Mn)が15,500g/molであり、重量平均分子量(Mw)が31,000g/molであった。そして、重合体P−1のモノマー構造は、使用したモノマーの当量比によって定められるもので、分子内におけるイミド構造の比率が50.5%、アミック酸構造の比率が49.5%であった。
【0080】
製造例5:液晶配向剤用重合体P−2の製造
前記製造例2で製造したDA−2 5.0g、フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)1.07gをNMP89.81gに先に溶かした後、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物(CBDA)1.90gとオキシジフタル酸ジ無水物3.00gを添加し、16時間常温で撹拌した。この後、前記製造例4の段階2と同様の方法で重合体P−2を製造した。
【0081】
GPCにより前記P−2の分子量を確認した結果、数平均分子量(Mn)が17,000g/molであり、重量平均分子量(Mw)が33,000g/molであった。そして、重合体P−2は、分子内におけるイミド構造の比率は33.8%、アミック酸構造の比率は66.2%であった。
【0082】
製造例6:液晶配向剤用重合体P−3の製造
前記製造例2で製造したDA−1 5.0gおよび前記製造例3で製造したDA−3 3.93gをNMP127.94gに先に溶かした後、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物(CBDA)5.28gを添加し、16時間常温で撹拌した。この後、前記製造例4の段階2と同様の方法で重合体P−3を製造した。
【0083】
製造例7:液晶配向剤用重合体P−4の製造
フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)6.00gをNMP156.9gに先に溶かした後、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物(CBDA)5.34gと1,3−ジメチル−シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸ジ無水物(DMCBDA)6.10gを添加し、16時間常温で撹拌した。この後、前記製造例4の段階2と同様の方法で重合体P−4を製造した。
【0084】
GPCにより前記P−4の分子量を確認した結果、数平均分子量(Mn)が15,000g/molであり、重量平均分子量(Mw)が28,000g/molであった。そして、B−2のモノマー構造を分析した結果、分子内におけるアミック酸構造の比率が100%であった。
【0085】
実施例1:液晶配向剤組成物の製造
前記製造例4で製造した液晶配向剤用重合体P−1 1gをNMPとn−ブトキシエタノールの重量比率が8:2の混合溶媒20gに溶かした後、(3',4'−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(Daicel社、Celloxide2021P)50mgを添加して完全に溶解させた。得られた溶液をポリ(テトラフルオレンエチレン)材質の気孔サイズが0.2μmのフィルタで加圧ろ過して、液晶配向剤組成物を製造した。
【0086】
実施例2:液晶配向剤組成物の製造
液晶配向剤用重合体P−1の代わりに液晶配向剤用重合体P−2を用い、Celloxide2021P50mgの代わりに4,4'−メチレンビス(N,N'−ジグリシジルアニリン)(Aldrich社)0.1gを用いることを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物を製造した。
【0087】
実施例3:液晶配向剤組成物の製造
液晶配向剤用重合体P−1の代わりに液晶配向剤用重合体P−3を用い、Celloxide2021Pの代わりに2,2'−(3,3',5,5'−テトラメチルビフェニル−4,4'−ジイル)ビス(オキシ)ビス(メチレン)ジオキシラン(Mitsubishi Chemical社、YX−4000)を用いることを除けば、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物を製造した。
【0088】
比較例1:液晶配向剤組成物の製造
Celloxide2021Pを用いないことを除き、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物を製造した。
【0089】
比較例2:液晶配向剤組成物の製造
液晶配向剤用重合体P−1の代わりにP−4を用いることを除き、前記実施例1と同様の方法で液晶配向剤組成物を製造した。
【0090】
[実験例]
1)液晶配向セルの製造
前記実施例および比較例で製造した液晶配向剤組成物を用いて液晶配向セルを製造した。
【0091】
具体的には、2.5cm×2.7cmの大きさを有する四角形のガラス基板上に、厚さ60nm、面積1cm×1cmのITO電極がパターン化された電圧保持比率(VHR)用の上下基板それぞれにスピンコーティング方式で液晶配向剤組成物を塗布した。次に、液晶配向剤が塗布された基板を約70℃のホットプレート上に置き、3分間乾燥して溶媒を蒸発させた。このように得られた塗膜を配向処理するために、上/下板それぞれの塗膜に、線偏光子付き露光器を用いて254nmの紫外線を1J/cmの露光量で照射した。この後、配向処理された上/下板を、約230℃のオーブンで30分間焼成(硬化)して、膜厚さ0.1μmの塗膜を得た。この後、4.5μmの大きさのボールスペーサが含浸されたシーリング剤(sealing agent)を、液晶注入口を除いた上板の周縁に塗布した。そして、上板および下板に形成された配向膜が互いに対向して配向方向が互いに並ぶように整列させた後、上下板を貼り合わせ、シーリング剤をUVおよび熱硬化することによって、空きセルを製造した。そして、前記空きセルに液晶を注入し、注入口をシーリング剤で密封して、液晶配向セルを製造した。
【0092】
2)液晶配向特性評価
前記製造した液晶配向セルの上板および下板に、偏光板を互いに垂直となるように付着させた。そして、偏光板の付着した液晶配向セルを明るさ7,000cd/mのバックライト上に置き、肉眼で光漏れを観察した。この時、液晶配向膜の配向特性に優れて液晶をよく配列させれば、互いに垂直に付着した上下の偏光板によって光が通過せず、不良なしに暗く観察される。この場合の配向特性を「良好」、液晶の流れ跡や輝点のような光漏れが観察されると「不良」と評価し、その結果を下記表1に示した。
【0093】
3)電圧維持保全率の測定
前記製造した液晶配向セルの電気的特性である電圧維持保全率(VHR)をTOYO6254装備を用いて測定した。電圧維持保全率は60Hz、60℃の苛酷条件で測定した。電圧維持保全率は100%が理想的な値であり、測定結果が90%以上であれば「優秀」、90%未満80%以上であれば「普通」、80%未満であれば「不良」と評価し、その結果を下記表1に示した。
【表1】