(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805462
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】絶縁抵抗算出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20201214BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20201214BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20201214BHJP
【FI】
G01R27/02 R
G01R31/52
B60L3/00 S
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-526310(P2019-526310)
(86)(22)【出願日】2018年1月9日
(65)【公表番号】特表2020-501126(P2020-501126A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】KR2018000409
(87)【国際公開番号】WO2019004544
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2019年6月6日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0081172
(32)【優先日】2017年6月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェドン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒュンキ
【審査官】
青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−1619420(KR,B1)
【文献】
特開2006−220520(JP,A)
【文献】
特表2013−511719(JP,A)
【文献】
特開2010−019603(JP,A)
【文献】
特開平06−308185(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0300430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/00−27/32
G01R 31/50−31/74
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの正極端子とシャーシ(Chassis)を連結する第1抵抗部
と、
前記バッテリーの負極端子と前記シャーシを連結する第2抵抗部
と、
前記バッテリーの負極端子と前記シャーシを連結し、前記第2抵抗部と並列連結される第3抵抗部
と、
前記第1〜3抵抗部の導通状態を制御する制御部
と、
前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を測定する電圧測定部と、を含み、
前記電圧測定部は、
前記バッテリーの電圧、前記第1および第2抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧および前記第1〜第3抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を順次測定し、
前記制御部は、
前記電圧測定部が既に設定された時間間隔をおいて測定するように制御し、
前記バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を用いて
、
下記の数学式1に基づいて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗
を算出し、
下記の数学式2に基づいて前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出する、
絶縁抵抗算出システムであって、
<数学式1>
【数1】
<数学式2>
【数2】
ここで、Rnは前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、RPは前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、RGは前記第1抵抗部の抵抗値、REは前記第2抵抗部の抵抗値、RFは前記第3抵抗部の抵抗値、Vは前記バッテリーの電圧値、VGEFは前記第1〜第3抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値、およびVGEは前記第1および第2抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値である、
絶縁抵抗算出システム。
【請求項2】
前記絶縁抵抗算出システムは、
測定された前記バッテリーの電圧を格納する格納部を含む、請求項1に記載の絶縁抵抗算出システム。
【請求項3】
前記電圧測定部は、
前記第1〜3抵抗部の導通状態に関係なく前記バッテリーの電圧を測定し、
前記制御部は、
測定された前記バッテリーの電圧に基づいて前記バッテリーの平均電圧を算出し、算出された前記平均電圧を用いて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出する、請求項1または2に記載の絶縁抵抗算出システム。
【請求項4】
前記第1〜3抵抗部は、
一つ以上の抵抗およびスイッチング部を各々含み、
前記一つ以上の抵抗は、
前記バッテリーを管理するバッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)内に実装される、請求項1から3のいずれか一項に記載の絶縁抵抗算出システム。
【請求項5】
バッテリーの正極端子と車両のシャーシ(Chassis)を連結する第1抵抗部、前記バッテリーの負極端子と前記シャーシを連結する第2抵抗部および前記第2抵抗部と並列連結される第3抵抗部の導通状態を制御するステップ
と、
前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を測定するステップ
と、
前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出するステップ
と、を
備え、
前記測定するステップは、
前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を測定するステップと、
電圧測定部が前記バッテリーの電圧、前記第1および第2抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧および前記第1〜第3抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を順次測定するステップと、を含み、
前記算出するステップは、
前記電圧測定部が既に設定された時間間隔をおいて測定するように制御するステップと、
前記バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を用いて
、
下記の数学式1に基づいて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗
を算出し、
下記の数学式2に基づいて前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出するステップ
と、を含む
、絶縁抵抗算出方法であって、
<数学式1>
【数1】
<数学式2>
【数2】
ここで、Rnは前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、RPは前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、RGは前記第1抵抗部の抵抗値、REは前記第2抵抗部の抵抗値、RFは前記第3抵抗部の抵抗値、Vは前記バッテリーの電圧値、VGEFは前記第1〜第3抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値、およびVGEは前記第1および第2抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値である、
絶縁抵抗算出方法。
【請求項6】
前記絶縁抵抗算出方法は、
測定された前記バッテリーの電圧を格納するステップを含む、請求項5に記載の絶縁抵抗算出方法。
【請求項7】
前記測定するステップは、
前記第1〜3抵抗部の導通状態に関係なく前記バッテリーの電圧を測定するステップを含み、
前記算出するステップは、
測定された前記バッテリーの電圧に基づいて前記バッテリーの平均電圧を算出し、算出された前記平均電圧を用いて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出するステップをさらに含む、請求項5に記載の絶縁抵抗算出方法。
【請求項8】
前記第1〜3抵抗部は、
一つ以上の抵抗およびスイッチング部を各々含み、
前記一つ以上の抵抗は、
前記バッテリーを管理するバッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)内に実装される、請求項5から7のいずれか一項に記載の絶縁抵抗算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年06月27日付の韓国特許出願第10−2017−0081172号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、絶縁抵抗算出システムおよび方法に関し、より具体的には、バッテリーの正極端子とシャーシを連結する抵抗およびバッテリーの負極端子とシャーシを連結する抵抗に印加されるバッテリーの電圧に基づいて、バッテリーの正極端子および負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出できる絶縁抵抗算出システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、2次電池は、電気自動車、エネルギー貯蔵システムおよび無停電電源供給装置のような高容量を必要とする環境では、単位2次電池セル(Cell)を複数接合することによって一つのバッテリーモジュールとして用いることができ、場合によってはバッテリーモジュールを複数接合して用いることができる。
【0004】
複数のバッテリーモジュールを接合して高電圧バッテリーとして用いる場合、使用者が感電するのを防止し、バッテリーの望まない放電が発生するのを防止するために、一定レベル以上の絶縁抵抗を維持しなければならない。例えば、複数のバッテリーモジュールを接合した高電圧バッテリーが車両に適用されて用いられる場合、バッテリーの正極と車両のシャーシ(Chassis)間、バッテリーの負極と車両のシャーシ間の絶縁抵抗を測定し、絶縁抵抗が一定レベル以下に落ちないように維持しなければならない。
【0005】
従来のバッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)内でバッテリーの正極および負極とシャーシ間の絶縁抵抗を測定する方法は、BMS内の測定抵抗を、シャーシを基準にバッテリーの正極と負極に連結し、スイッチング制御を通じてBMS内の測定抵抗の連結状態を順次変更して絶縁抵抗を算出するものであった。
【0006】
一方、従来の絶縁抵抗を算出する方法は、シャーシを基準電圧に用いるBMSにのみ適用可能であるという問題があり、バッテリー分離ユニット(Battery Disconnecting Unit;BDU)などのようにシャーシと連結されない装置の場合には絶縁抵抗を算出できないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明者は、従来の絶縁抵抗算出方法が有する問題を解決するために、シャーシを基準にせず、バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、バッテリーの正極端子とシャーシ間の絶縁抵抗およびバッテリーの負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出できる絶縁抵抗算出システムおよび方法を開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、バッテリーの正極端子および負極端子とシャーシ間に連結される第1〜3抵抗部の導通状態に応じて測定されるバッテリーの電圧を用いて絶縁抵抗を算出することによって、バッテリーの正極端子とシャーシ間の絶縁抵抗およびバッテリーの負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出できる絶縁抵抗算出システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システムは、バッテリーの正極端子とシャーシ(Chassis)を連結する第1抵抗部、前記バッテリーの負極端子と前記シャーシを連結する第2抵抗部、前記バッテリーの負極端子と前記シャーシを連結し、前記第2抵抗部と並列連結される第3抵抗部、および前記第1〜3抵抗部の導通状態を制御する制御部を含み、前記制御部は、前記バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を用いて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出する。
【0010】
一つの実施形態において、前記絶縁抵抗算出システムは、前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を測定する電圧測定部、および測定された前記バッテリーの電圧を格納する格納部をさらに含んでもよい。
【0011】
一つの実施形態において、前記電圧測定部は、前記バッテリーの電圧、前記第1および第2抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧および前記第1〜第3抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を順次測定してもよく、前記制御部は、前記電圧測定部が既に設定された時間間隔をおいて測定するように制御してもよい。
【0012】
一つの実施形態において、前記電圧測定部は、前記第1〜3抵抗部の導通状態に関係なく前記バッテリーの電圧を測定してもよく、前記制御部は、測定された前記バッテリーの電圧に基づいて前記バッテリーの平均電圧を算出し、算出された前記平均電圧を用いて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出してもよい。
【0013】
一つの実施形態において、前記制御部は、下記の数学式1に基づいて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出してもよい。
<数学式1>
【数1】
【0014】
ここで、R
nは前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、R
Eは前記第2抵抗部の抵抗値、R
Fは前記第3抵抗部の抵抗値、Vは前記バッテリーの電圧値、V
GEFは前記第1〜第3抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値、およびV
GEは前記第1および第2抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値である。
【0015】
一つの実施形態において、前記制御部は、下記の数学式2に基づいて前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出してもよい。
<数学式2>
【数2】
【0016】
ここで、R
Pは前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、R
Gは前記第1抵抗部の抵抗値、R
Fは前記第3抵抗部の抵抗値、Vは前記バッテリーの電圧値、V
GEFは前記第1〜第3抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値、およびV
GEは前記第1および第2抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値である。
【0017】
一つの実施形態において、前記第1〜3抵抗部は、一つ以上の抵抗およびスイッチング部を各々含んでもよく、前記一つ以上の抵抗は、前記バッテリーを管理するバッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)内に実装されてもよい。
本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出方法は、バッテリーの正極端子と車両のシャーシ(Chassis)を連結する第1抵抗部、前記バッテリーの負極端子と前記シャーシを連結する第2抵抗部および前記第2抵抗部と並列連結される第3抵抗部の導通状態を制御するステップ、前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を測定するステップ、および前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出するステップを含み、前記算出するステップは、前記バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を用いて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出するステップを含んでもよい。
【0018】
一つの実施形態において、前記測定するステップは、前記第1〜3抵抗部の導通状態に応じて前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を測定するステップを含んでもよく、前記絶縁抵抗算出方法は、測定された前記バッテリーの電圧を格納するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
一つの実施形態において、前記測定するステップは、電圧測定部が前記バッテリーの電圧、前記第1および第2抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧および前記第1〜第3抵抗部の導通状態がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される前記バッテリーの電圧を順次測定するステップをさらに含んでもよく、前記算出するステップは、前記電圧測定部が既に設定された時間間隔をおいて測定するように制御するステップをさらに含んでもよい。
【0020】
一つの実施形態において、前記測定するステップは、前記第1〜3抵抗部の導通状態に関係なく前記バッテリーの電圧を測定するステップを含んでもよく、前記算出するステップは、測定された前記バッテリーの電圧に基づいて前記バッテリーの平均電圧を算出し、算出された前記平均電圧を用いて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗および前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出するステップをさらに含んでもよい。
【0021】
一つの実施形態において、前記算出するステップは、下記の数学式1に基づいて前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出してもよい。
<数学式1>
【数1】
【0022】
ここで、R
nは前記バッテリーの正極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、R
Eは前記第2抵抗部の抵抗値、R
Fは前記第3抵抗部の抵抗値、Vは前記バッテリーの電圧値、V
GEFは前記第1〜第3抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値、およびV
GEは前記第1および第2抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値である。
【0023】
一つの実施形態において、前記算出するステップは、下記の数学式2に基づいて前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗を算出してもよい。
<数学式2>
【数2】
【0024】
ここで、R
Pは前記バッテリーの負極端子と前記シャーシ間の絶縁抵抗、R
Gは前記第1抵抗部の抵抗値、R
Fは前記第3抵抗部の抵抗値、Vは前記バッテリーの電圧値、V
GEFは前記第1〜第3抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値、およびV
GEは前記第1および第2抵抗部がオン状態である時に前記第2抵抗部に印加される電圧値である。
【0025】
一つの実施形態において、前記第1〜3抵抗部は、一つ以上の抵抗およびスイッチング部を各々含んでもよく、前記一つ以上の抵抗は、前記バッテリーを管理するバッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)内に実装されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、バッテリーの負極端子側の電圧を基準に、バッテリーの正極端子および負極端子とシャーシ間に連結される第1〜3抵抗部の導通状態に応じて測定されるバッテリーの電圧を用いて絶縁抵抗を算出することによって、バッテリーの正極端子とシャーシ間の絶縁抵抗およびバッテリーの負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出することができる。
【0027】
また、本発明は、バッテリーを管理するBMS内に実装された抵抗を用いて絶縁抵抗を算出することによって、シャーシに連結されていない製品もバッテリー間の絶縁抵抗を算出できるという利点がある。
【0028】
なお、本発明は、バッテリーの負極端子側の電圧を基準にすることによって、バッテリーの負極端子側に連結された他のBMS製品の絶縁抵抗も算出できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100の構成要素を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100において、第1および2抵抗部(110および120)の導通状態がオン状態である場合を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100において、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態がオン状態である場合を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100を用いてバッテリーの正極端子および負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出する一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では本発明の理解を助けるために好ましい実施形態を提示する。但し、下記の実施形態は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本実施形態によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100の構成要素を概略的に示す図であり、
図2は、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100において、第1および2抵抗部(110および120)の導通状態がオン状態である場合を概略的に示す図であり、
図3は、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100において、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態がオン状態である場合を概略的に示す図である。
【0032】
図1〜3を参照すれば、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100は、第1抵抗部110、第2抵抗部120、第3抵抗部130、電圧測定部140、格納部150および制御部160を含んで構成されることができる。
【0033】
図1〜3に示された絶縁抵抗算出システム100は一実施形態によるものであり、その構成要素は
図1〜3に示された実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて交替、付加、変更または削除されてもよい。例えば、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100は、別途の格納部150を備えず、電圧測定部140により測定されるバッテリー10の電圧が制御部160に伝達されて絶縁抵抗を算出することができる。また、電圧測定部140を含まず、第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧が制御部160に伝達され、伝達されたバッテリー10の電圧を格納部150に格納しておき、後ほど絶縁抵抗を算出する時に格納部150に格納されたデータを利用するように構成されることができる。
【0034】
先ず、第1抵抗部110は、バッテリー10の正極端子と車両のシャーシ(Chassis)20を連結し、第2抵抗部120は、バッテリー10の負極端子とシャーシ20を連結し、第3抵抗部130は、バッテリーの負極端子とシャーシ20を連結し、第2抵抗部120と並列連結されることができる。
【0035】
ここで、シャーシ20は、車両の基本をなす車台を意味し、車両の構造において車両の車体を搭載していない状態のものであってもよい。また、シャーシ20は、基本骨格であるフレームにエンジン、変速機、クラッチなどの様々な構成要素が結合された形態であってもよい。本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100において、第1〜3抵抗部110〜130は、車両のシャーシ20と連結されるように構成されているが、これに限定されず、車両でない他の製品および機器に適用されて他の製品および機器と連結されるように構成されてもよい。
【0036】
第1〜3抵抗部110〜130は、後述の制御部160からの制御を受けて導通状態を変更することができる。このために、第1〜3抵抗部110〜130は、一つ以上の抵抗およびスイッチング部を各々含むことができる。
【0037】
ここで、導通状態は、第1〜3抵抗部110〜130がバッテリー10の正極端子および負極端子とシャーシ20間の連結を連結するオン状態、およびバッテリー10の正極端子および負極端子とシャーシ20間の連結を短絡するオフ状態であってもよい。
【0038】
ここで、一つ以上の抵抗は、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100の製作者や使用者が使用環境を考慮して抵抗の個数および大きさを決定することができる。例えば、第1〜3抵抗部110〜130は一つの抵抗のみを含んでもよく、各々含む一つの抵抗の大きさは全て同一であってもよい。
【0039】
一つの実施形態において、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100が高電圧バッテリーを用いる車両に適用される場合、第1〜3抵抗部110〜130は、バッテリー10をモニターし管理するバッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)内に実装された形態であってもよい。それにより、第1〜3抵抗部110〜130が備えられるために別の空間が必要でないため、空間活用性が高くなる。また、シャーシ20と連結されていない製品もBMS内に実装された第1〜3抵抗部110〜130と連結されることによって、バッテリー10と製品間の絶縁抵抗を算出できるという利点がある。
【0040】
電圧測定部140は、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態に応じて第2抵抗部120に印加される電圧を測定することができる。
【0041】
電圧測定部140は、バッテリー10の電圧、第1および第2抵抗部(110および120)の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧、および第1〜第3抵抗部110〜130の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧を既に設定された順に基づいて順次測定することができる。
【0042】
ここで、既に設定された順は、バッテリー10の電圧、第1および第2抵抗部(110および120)の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧、および第1〜第3抵抗部110〜130の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧を測定するために第1〜3抵抗部110〜130の導通状態を制御する順であってもよい。例えば、既に設定された順は、バッテリー10の電圧を測定するステップ、第1および2抵抗部(110および120)の導通状態をオン状態に変更し、第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧を測定するステップ、および第3抵抗部130の導通状態をオン状態に変更し、第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧を測定するステップであってもよく、電圧測定部140は、既に設定された順に基づいて電圧を測定することができる。
【0043】
電圧測定部140は、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態に応じて第2抵抗部120に印加される電圧を測定し、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態が変更される時ごとに既に設定された時間間隔をおいて測定することができる。
【0044】
ここで、既に設定された時間間隔は、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100の製作者または使用者がキャパシタンス大きさおよび第1〜3抵抗部110〜130の大きさに基づいて設定した時間値であってもよい。例えば、抵抗の大きさおよびキャパシタンスの大きさが大きい時、抵抗に電圧が突然印加される場合(スイッチがオン状態に変更されて電圧が印加される場合)、抵抗に完全な電圧が印加されず低い電圧が印加され、時間の経過に伴って印加される電圧が順次増加して本来印加されなければならない大きさの電圧に達する様相を示す。すなわち、本来印加されなければならない大きさの電圧を測定するためには一定の時間が必要である。
【0045】
したがって、電圧測定部140が既に設定された時間間隔をおいて第2抵抗部120に印加される電圧を測定することによって、第2抵抗部120に本来印加されなければならない大きさの電圧が印加された時に電圧を測定することができ、それにより、測定値に対する誤差が発生するのを防止することができる。
【0046】
一つの実施形態において、電圧測定部140は第1〜3抵抗部110〜130の導通状態に関係なくバッテリー10の電圧を測定することができ、後述の制御部160を介して、電圧測定部140により測定されたバッテリー10の電圧の平均電圧を算出して絶縁抵抗を算出するのに用いることができる。
【0047】
格納部150は、電圧測定部140により測定されたバッテリー10の電圧を格納することができる。また、格納部150は、後述の制御部160を介して算出された絶縁抵抗を格納することができる。例えば、格納部150は、電圧測定部140により測定されたバッテリー10の電圧、制御部160により算出された絶縁抵抗をデータ化して格納するデータベース(Database;DB)であってもよい。
【0048】
ここで、格納部150は、電圧測定部140により測定された第2抵抗部120に印加される電圧、バッテリー10の電圧、算出された絶縁抵抗および絶縁抵抗を算出するための式のように、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100において測定および算出される全ての要素を格納することが好ましい。
【0049】
制御部160は、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態を制御することができる。例えば、制御部160は、第1〜3抵抗部110〜130に各々含まれたスイッチング部のオンオフ動作を制御する制御信号を出力することができ、第1〜3抵抗部110〜130に各々含まれたスイッチング部は、受信した制御信号に基づいてオンオフ動作を実行することによって導通状態を変更することができる。
【0050】
制御部160は、バッテリー10の負極端子側の電圧を基準に、第1〜3抵抗部110〜130の導通状態に応じて第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧を用いてバッテリー10の正極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗およびバッテリー10の負極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗を算出することができる。以下では、数学式1〜10に基づいてバッテリー10の正極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗およびバッテリー10の負極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗を算出する過程について説明する。
【0051】
先ず、制御部160は、下記の数学式1に基づいてバッテリー10の正極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗を算出することができる。
<数学式1>
【数1】
【0052】
ここで、R
nはバッテリー10の正極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗、R
Eは第2抵抗部120の抵抗値、R
Fは第3抵抗部130の抵抗値、Vはバッテリー10の電圧値、V
GEFは第1〜第3抵抗部110〜130がオン状態である時に第2抵抗部120に印加される電圧値、およびV
GEは第1および2抵抗部(110および120)がオン状態である時に第2抵抗部120に印加される電圧値である。
【0053】
より具体的に説明すれば、
図2に示すように、第1抵抗部110と第2抵抗部120がオン状態であり、第3抵抗部130がオフ状態である場合、第2抵抗部120に印加される電圧は下記の数学式3を用いて算出することができる。
<数学式3>
【数3】
【0054】
ここで、R
Gは第1抵抗部110の抵抗値である。
【0055】
また、
図3に示すように、第1〜3抵抗部110〜130がオン状態になる場合、第2抵抗部120に印加される電圧は下記の数学式4を用いて算出することができる。
<数学式4>
【数4】
【0056】
ここで、数学式3および4に記載された(R
n//R
E)をXに置換し、(R
P//R
G)をYに置換し、置換されたXおよびYを数学式3に代入すれば、下記の数学式5が導出される。
<数学式5>
【数5】
【0057】
また、置換されたXおよびYを数学式4に代入すれば、下記の数学式6が導出される。
<数学式6>
【数6】
【0058】
この時、数学式5および6を、Yを基準に各々整理すれば、下記の数学式7および8が各々導出される。
<数学式7>
【数7】
<数学式8>
【数8】
【0059】
上述した方法により導出された数学式7および8を結合する場合、置換されたYが消去されることによって下記の数学式9が導出され、数学式9を、Xを基準にして整理すれば、下記の数学式10が導出される。
<数学式9>
【数9】
<数学式10>
【数10】
【0060】
ここで、数学式3と数学式10を結合してXを消去し、結合された数学式を、R
nを基準にして整理すれば、上述した数学式1が導出される。
【0061】
すなわち、制御部160は、電圧測定部140により測定されるバッテリー10の電圧V、第1および第2抵抗部(110および120)の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリーの電圧V
GEおよび第1〜第3抵抗部110〜130の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧V
GEFを上述した数学式1に代入することによって、バッテリー10の正極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗を算出することができる。
【0062】
一つの実施形態において、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100が電圧測定部140を備えず、第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧を制御部160に直接伝達する場合、上述した数学式1〜10に含まれたバッテリー10の電圧Vは、実際バッテリー10電圧の大きさCに既に設定された分圧比Dを乗算した値であってもよい。例えば、制御部160がBMS内に含まれたマイクロコントローラユニット(Micro Controller Unit;MCU)である場合、実際バッテリーの電圧Cが全てMCUに印加される場合に、MCUの許容電圧範囲を超過して誤作動が発生しうる。したがって、第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧をMCUで許容可能な範囲内の値に調節するために実際バッテリーの電圧Cの大きさに既に設定された分圧比Dを乗算した値であってもよい。
【0063】
ここで、既に設定された分圧比Dはバッテリー10の電圧Cが電圧分配を通じて分配される割合を意味し、用いられるMCUの種類および性能に応じて分圧比の値が設定できる。
【0064】
次に、制御部160は、下記の数学式2に基づいてバッテリー10の負極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗を算出することができる。
<数学式2>
【数2】
【0065】
ここで、R
Pはバッテリー10の負極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗である。
【0066】
バッテリー10の負極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗R
Pを算出できる数学式2は、上述した数学式3〜10のうち数学式4、7および10を結合してXおよびYを消去し、結合された数学式を、R
Pを基準に整理することによって導出できる。
【0067】
すなわち、制御部160は、電圧測定部により測定されるバッテリー10の電圧V、第1および第2抵抗部(110および120)の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリーの電圧V
GEおよび第1〜第3抵抗部110〜130の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部120に印加されるバッテリー10の電圧V
GEFを上述した数学式2に代入することによって、バッテリー10の負極端子とシャーシ20間の絶縁抵抗を算出することができる。以下では、
図4を参照して、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100を用いて絶縁抵抗を算出する方法について説明する。
【0068】
図4は、本発明の一実施形態による絶縁抵抗算出システム100を用いてバッテリーの正極端子および負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出する一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【0069】
図4を参照すれば、先ず、第1〜3抵抗部がオフになった状態でバッテリー電圧の測定を開始する(S110)。S110ステップの後、第1抵抗部および第2抵抗部の導通状態をオン状態に変更し(S120)、第2抵抗部に印加される電圧を測定する(S130)。次に、第3抵抗部の導通状態をオン状態に変更し(S140)、第2抵抗部に印加される電圧を測定する(S150)。また、S110ステップで測定されたバッテリーの電圧に基づいてバッテリーの平均電圧を算出する(S160)。
【0070】
S130、S150およびS160ステップで測定および算出された第1および第2抵抗部の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部に印加されるバッテリーの電圧、第1〜第3抵抗部の導通状態がオン状態である時に第2抵抗部に印加されるバッテリーの電圧およびバッテリーの平均電圧に基づいてバッテリーの正極端子および負極端子とシャーシ間の絶縁抵抗を算出する。S170ステップの後、第3抵抗部の導通状態をオフ状態に変更する(S180)。
【0071】
ここで、S110およびS120ステップ、S130およびS140ステップ、S150〜S180ステップとS110ステップおよびS130、S140およびS170ステップを各々グループ化してもよく、グループに含まれたステップを同時に実行してもよい。例えば、S130、S140およびS170ステップを含むグループを実行させる場合、S130、S140およびS170ステップが同時に実行されてもよい。
【0072】
他の一つの実施形態において、S130、S140およびS170ステップを含むグループを実行させる場合、該グループに登録された順に基づいて順次にステップを実行してもよい。
【0073】
また、S110ステップからS180ステップを実行した後に再びS110ステップを実行し、その後からはS130、S140およびS170ステップを含むグループとS150〜S180ステップとS110ステップを含むグループだけ繰り返し実行することによって、不要なステップを重複して実行しないので時間を短縮することができる。
【0074】
前述した絶縁抵抗を算出する方法は、図面に提示されたフローチャートを参照して説明された。簡単に説明するために、前記方法は一連のブロックで図示し説明されたが、本発明は前記ブロックの順に限定されず、幾つかのブロックは他のブロックと本明細書で図示し記述されたものとは互いに異なる順にまたは同時になされてもよく、同一または類似した結果を達成する様々な他の分枝、流れ経路およびブロックの順が実現されてもよい。また、本明細書にて記述される方法の実現のために示された全てのブロックが要求されなくてもよい。
【0075】
以上では本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解することができるであろう。