特許第6805481号(P6805481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805481
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】カテーテルおよびステントデリバリ装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20201214BHJP
   A61F 2/94 20130101ALI20201214BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A61F2/966
   A61F2/94
   A61M25/06 500
   A61M25/06 550
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-196540(P2015-196540)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-64295(P2017-64295A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】品川 裕希
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−119737(JP,A)
【文献】 特表2009−535084(JP,A)
【文献】 特表2012−522590(JP,A)
【文献】 特開2004−255217(JP,A)
【文献】 米国特許第04862891(US,A)
【文献】 米国特許第04994027(US,A)
【文献】 特表2008−536634(JP,A)
【文献】 特開2012−029788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
A61F 2/94
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内壁に押し当てることによって体内壁に穿刺孔を設けるための先端に鋭利な穿刺部を有する可撓性の中実または中空の線状部材からなる穿刺ワイヤと、
先端部に先細のテーパ部を有する可撓性チューブからなり、前記穿刺ワイヤが間隙をもって摺動可能に挿通される内腔を有し、該穿刺ワイヤに沿って押し出すことにより該穿刺部を覆うように構成されたガイドシースと、
先端部に先細のテーパ部を有する可撓性チューブからなり、当該テーパ部よりも基端側に外周面上にステントを配置可能なステント配置部を有し、前記ガイドシースが間隙をもって摺動可能に挿通され、外径が1.20〜2.50mmであるインナーシースと、
可撓性チューブからなり、前記インナーシースが間隙をもって摺動可能に挿通されるアウターシースとを備えることを特徴とするステントデリバリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内壁の穿刺を伴う手技を行うために用いられるカテーテルおよびステントデリバリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、切除不能の悪性胆道狭窄又は閉塞症例で、胆道ドレナージを必要とするもののうち、経十二指腸乳頭的アプローチが不可能な場合等において、超音波内視鏡ガイド下経十二指腸的(または経胃経肝的)胆道ドレナージ(EUS−BD)を施行した報告例が散見されている。EUS−BDは、超音波内視鏡を十二指腸(または胃)に挿入し、超音波画像をリアルタイムに観察しながら、十二指腸(または胃)壁から穿刺針で総胆管(または肝内胆管)壁を穿刺し、この穿刺孔内に、ステント等のバイパスチューブとして機能する管状体を挿入・留置する手技である。この手技により、体内にバイパスチューブを埋め込む形で胆道ドレナージが可能となる。
【0003】
EUS−BDの手技は、中空穿刺針で穿刺を行った後、穿刺針内腔にガイドワイヤを挿通し、穿刺針を抜去してから、ガイドワイヤに沿わせてダイレーターを穿刺孔に挿入することで穿刺孔を拡張し、その後、ダイレーターを抜去して、拡張された穿刺孔へガイドワイヤに沿わせてバイパスチューブを挿入する手順で行われるのが一般的である。しかし、この手順では、多くの器具の挿入と抜去を繰り返す必要があり、手順が煩雑であるという問題がある。
【0004】
ところで、体内の穿刺孔にステントを留置する手技を行う際に、穿刺針、ガイドワイヤおよびダイレーター等の挿入や抜去を繰り返すことにより手順が煩雑になる問題を解決する手法としては、下記特許文献1に記載されているような、ガイドワイヤと、該ガイドワイヤが挿通される内腔を有する細長いチューブ状の穿刺針(同文献では、切開要素)と、該穿刺針が挿通される内腔およびテーパ状の拡張部を有し、外周側にステントを配置可能なカテーテルチューブ(同文献では、拡張器)とを備えるステントデリバリ装置を用いる手法が知られている。
【0005】
この装置を用いて、EUS−BDの手技を行うとすると、穿刺針を押し出して胃の内壁から胆管に至るように穿刺し、次いでガイドワイヤを押し出して胃の穿刺孔と胆管の穿刺孔とを架け渡すように挿通して経路を確保し、意図しない臓器の損傷等を避けるため、カテーテルチューブ内に穿刺針を引き込んだ後に、ガイドワイヤに沿ってカテーテルチューブを押し出し、該カテーテルチューブのステントを配置した箇所を、該穿刺孔間を架け渡すように配置し、この状態でステントをリリース(拡張)させることにより、胃と胆管とに渡ってステントを留置することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−522590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1に記載された装置をEUS−BDの手技に用いることにより、一般的なEUS−BDのように、多くの器具の挿入と抜去を繰り返す必要がなくなり、作業工数の削減を図ることができる。しかしながら、特許文献1に記載された装置を用いる場合には、ガイドワイヤを穿刺孔間に架け渡すように配置した後に、カテーテルチューブ内に穿刺針を引き込む作業が必要となる。この作業を省略できるとすれば、さらに手技の迅速化を図ることができる。また、穿刺針を引き込んだ状態では、ガイドワイヤとカテーテルとの間には穿刺針の肉厚以上の間隙が必然的に存在するため、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを穿刺孔に進入させる際に、ガイドワイヤの周囲に密着している穿刺孔周囲の組織による抵抗が大きく、円滑な作業の妨げになる恐れがあるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、作業工数の削減および作業の円滑化を図ることができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカテーテルは、
先端に鋭利な穿刺部を有する可撓性の中実または中空の線状部材からなる穿刺ワイヤと、
先端部に先細のテーパ部を有する可撓性チューブからなり、前記穿刺針が僅かな間隙をもって摺動可能に挿通される内腔を有するガイドチューブと、
先端部に先細のテーパ部を有する可撓性チューブからなり、前記ガイドチューブが僅かな間隙をもって摺動可能に挿通されるカテーテルチューブと
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るステントデリバリ装置は、
先端に鋭利な穿刺部を有する可撓性の中実または中空の線状部材からなる穿刺ワイヤと、
先端部に先細のテーパ部を有する可撓性チューブからなり、前記穿刺ワイヤが僅かな間隙をもって摺動可能に挿通される内腔を有するガイドシースと、
先端部に先細のテーパ部を有する可撓性チューブからなり、当該テーパ部よりも基端側に外周面上にステントを配置可能なステント配置部を有し、前記ガイドシースが僅かな間隙をもって摺動可能に挿通されるインナーシースと、
可撓性チューブからなり、前記インナーシースが僅かな間隙をもって摺動可能に挿通されるアウターシースと
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、穿刺ワイヤを押し出して体内壁等を穿刺した後に、穿刺ワイヤに沿ってガイドチューブを押し出し、このガイドチューブに沿ってカテーテルチューブを押し出すことができる。穿刺ワイヤの穿刺部はガイドチューブによって覆われるため、体内壁等の損傷を回避するために穿刺ワイヤを引き込む作業を行う必要がなくなり、手技の作業工数を削減することができる。また、ガイドチューブとカテーテルチューブとの間の間隙が小さいため、カテーテルチューブを穿刺孔に進入させる際に、ガイドチューブの周囲に密着している穿刺孔周囲の組織による抵抗が小さく、作業の円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のステントデリバリ装置の構成を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態のステントデリバリ装置のインナーシースの構成を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態のステントデリバリ装置のガイドシースの構成を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態のステントデリバリ装置のアウターシースの構成を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態のステントデリバリ装置の遠位端部を拡大して示す一部断面図である。
図6】本発明の実施形態のステントデリバリ装置の遠位端部を拡大して示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態のステントデリバリ装置を用いてステントを留置する手技を模式的に示す図(その1)である。
図8】本発明の実施形態のステントデリバリ装置を用いてステントを留置する手技を模式的に示す図(その2)である。
図9】本発明の実施形態のステントデリバリ装置を用いてステントを留置する手技を模式的に示す図(その3)である。
図10】本発明の実施形態のステントデリバリ装置を用いてステントを留置する手技を模式的に示す図(その4)である。
図11】本発明の実施形態のステントデリバリ装置を用いてステントを留置する手技を模式的に示す図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るカテーテルを備えるステントデリバリ装置について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態では、超音波内視鏡ガイド下経胃経肝的胆道ドレナージ(EUS−BD)、すなわち、胃と肝内胆管とをバイパス接続するバイパスチューブ(非拡張型のチューブステント)を留置する場合を例にとり説明する。
【0014】
但し、本発明に係るカテーテルは、ステントデリバリ装置を構成するものに限られず、他の医療用具を構成するためにも用いることができる。また、本発明に係るカテーテルを用いてステントデリバリ装置を構成する場合において、その装置で留置するステントは、胃と肝内胆管とをバイパスするものに限られず、十二指腸と総胆管等、管腔臓器と他の管腔臓器とをバイパスするものであってよく、また、総胆管等の体内管腔の狭窄部等に留置されるものであってもよい。さらに、留置対象としてのステントはその径が固定された非拡張型のチューブステントに限られず、自己拡張型ステントやバルーン拡張型のステントを運搬して留置するための装置に適用してもよい。
【0015】
図1図6を参照する。ステントデリバリ装置1は、不図示の内視鏡の処置具案内管を介して、患者の体内(管腔)に挿入される細長いカテーテル部2およびカテーテル部2の近位端側に接続され、体外側から体内のカテーテル部2を操作するための操作部3、穿刺ワイヤ4および留置対象としてのチューブステント5を概略備えて構成されている。
【0016】
カテーテル部2は、遠位端および近位端を有するインナーシース(カテーテルチューブ)21と、遠位端および近位端を有するアウターシース22と、遠位端および近位端を有するガイドシース(ガイドチューブ)23とを備えている。
【0017】
インナーシース21は可撓性を有する細長いチューブからなり、ガイドシース23が僅かな間隙をもって摺動可能に挿通される程度の内径の内腔を有している。インナーシース21の内径は、例えば、0.890〜1.00mmの範囲で設定することができ、本実施形態では、0.950mmに設定している。また、インナーシース21の外径は、アウターシース22の内径よりも僅かに小さい値に設定され、例えば、1.20〜2.50mmの範囲で設定することができ、本実施形態では2.00mmに設定している。インナーシース21の長さは、例えば、1500〜2500mmの範囲で設定することができ、本実施形態では2000mmに設定している。
【0018】
インナーシース21の遠位端部には、先端(遠位端)に行くにしたがって細くなるようにテーパ状に形成された先端テーパ部21aが形成されていて、先端テーパ部21aの遠位端部には、先端テーパ部21aの他の部分よりも傾斜が大きな先端微小テーパ部21bが形成されている(図6参照)。インナーシース21の近位端には、操作部3を構成するコネクタ31が取り付けられている。
【0019】
アウターシース22は可撓性を有する細長いチューブからなり、インナーシース21の外径よりも僅かに大きい内径の内腔を有しており、その内側にインナーシース21がスライド可能に挿通される。本実施形態では、アウターシース22の内径は2.10mmに、外径は2.40mmに設定している。アウターシース22の近位端には、操作部3を構成するコネクタ32が取り付けられている。操作部3を操作することにより、アウターシース22は、インナーシース21に対して軸方向にスライド(相対移動)可能である。
【0020】
ガイドシース23は、可撓性を有する細長いチューブからなり、穿刺ワイヤ4が僅かな間隙をもって摺動可能に挿通される程度の内径の内腔を有している。ガイドシース23の内径は、例えば、0.636〜0.850mmの範囲で設定することができ、本実施形態では、0.700mmに設定している。ガイドシース23の外径は、インナーシース21の内径よりも僅かに小さい値に設定され、例えば、0.650〜0.950mmの範囲で設定することができ、本実施形態では、0.900mmに設定している。
【0021】
ガイドシース23の遠位端には、先端(遠位端)に行くにしたがって細くなるようにテーパ状に形成された先端微小テーパ部23aが形成されている(図6参照)。また、ガイドシース23の近位端には、操作部3を構成するコネクタ33が取り付けられている。操作部3を操作することにより、ガイドシース23は、インナーシース21に対して軸方向にスライド(相対移動)可能である。
【0022】
穿刺ワイヤ4は、可撓性を有する細長い中実または中空のワイヤ(線状部材)からなり、穿刺ワイヤ4の外径は、ガイドシース23の内径よりも僅かに小さい値に設定され、本実施形態では、直径0.025インチ(≒0.635mm)の中実のワイヤを用いて形成されている。穿刺ワイヤ4は、その先端部(遠位端部)に、体内壁に押し当てることによって体内壁に穿刺孔を設けられるように鋭利に形成された穿刺部(針)4aを有している。
【0023】
穿刺部4aとしては、本実施形態では先端(遠位端)に行くにしたがって細くなるようにテーパ状に形成されているものを用いている。但し、穿刺部4aとしては、その軸線に対して斜めに切断した面となっているものを用いてもよい。穿刺ワイヤ4は、操作部3側において操作することにより、ガイドシース23に対して軸方向にスライド(相対移動)可能である。
【0024】
インナーシース21、アウターシース22およびガイドシース23の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエステルポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレンやテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料や、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の各種熱可塑性エラストマーを使用することがでる。これらのうち2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0025】
インナーシース21としては、管腔に対する追従性等の観点から比較的に軟質の材料を用いることが好ましく、ガイドシース23としては、生体組織への穿孔性等を向上させる観点から、少なくとも遠位端部は、インナーシース21よりも硬質の材料(ショア硬度が高い材料)を用いることが好ましい。このため、本実施形態では、インナーシース21全体を構成する材料として、可撓性に優れたポリアミド系エラストマーの1種であるポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBAX(登録商標))を用い、ガイドシース23全体を構成する材料としては、ポリエーテルブロックアミド共重合体よりも硬質なPEEKを用いている。なお、ガイドシース23としては、遠位端部のみを硬質の材料で形成し、他の部分を該遠位端部よりも軟質の材料で形成したものを用いてもよい。
【0026】
穿刺ワイヤ4の材料としては、例えば、ステンレス鋼やニッケル・チタン合金などの可撓性を有する金属材料を用いることが好ましく、本実施形態では、穿刺ワイヤ4の全体を構成する材料として、ステンレス鋼を用いている。
【0027】
操作部3を構成するコネクタ31,32,33は、それぞれ軸方向に貫通する貫通孔(不図示)を有しており、各貫通孔は対応するインナーシース21、アウターシース22およびガイドシース23の内腔に連通されている。コネクタ32の近位端部とコネクタ31の遠位端部は、ルアーロック方式等により互いに接続または接続解除できるようになっている。また、コネクタ31の近位端部とコネクタ33の遠位端部は、ルアーロック方式等により互いに接続または接続解除できるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態では省略しているが、ステントデリバリ装置1は、アウターシース22の外周を覆うように、アウターシース22と同心状に配される最外管(不図示)を備えてもよい。最外管を設けることにより、その最外管の部分を掴んだ状態でアウターシース22を軸方向にスライドできるので、アウターシース22の操作を容易にすることが可能となる。最外管としては、その内径が、アウターシース22の外径よりも0.05〜1.0mm程度大きい寸法ものを用いることができる。最外管の材料としてはポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリプロピレンなどを用いることができる。
【0029】
インナーシース21、アウターシース22およびガイドシース23の遠位端近傍には、造影マーカー(不図示)がそれぞれ取り付けられている。造影マーカーは、X線透視によりその位置が検出されて体内における標識となるものであり、例えば金、白金、タングステン等のX線造影性金属材料や、硫酸バリウムや酸化ビスマス等のX線造影剤がブレンドされたポリマー等により形成される。
【0030】
チューブステント5は、例えばポリエチレン等の樹脂からなる細長い可撓性を有するチューブであり、胆汁等の流れを確保するために用いられる医療器具である。チューブの管壁には、胆汁等の通路として、外側に開口するとともに、内腔に連通する側孔(不図示)が設けられる場合がある。チューブステント5の長さは20〜200mm程度、外径は2.40mm程度である。なお、チューブステント5には、マイグレーション(移動)防止のため、単一または複数の可撓性を有するフラップ(不図示)が設けられる場合がある。
【0031】
次に、本実施形態のステントデリバリ装置1を用いて、胃と肝内胆管とをバイパスするためのバイパスチューブとして、チューブステントを留置する手技について、図1図7図11を参照して説明する。まず、図1に示すように、アウターシース22内にインナーシース23を挿通して、アウターシース22のコネクタ32にインナーシース21のコネクタ31を結合させて一体化させ、チューブステント5の近位端がアウターシース22の遠位端に当接するように、インナーシース21のアウターシース22の遠位端から突出した部分(ステント配置部)にステント5を挿入配置し、穿刺ワイヤ4がその内腔に挿通されたガイドシース23をインナーシース21の内腔に挿通した状態とする。この状態で、内視鏡の処置具案内管(不図示)に挿入して、図7に示すように、カテーテル部2の遠位端部を胃61内部の穿刺すべき組織の近傍に位置させる。
【0032】
次いで、図8に示すように、穿刺ワイヤ4をガイドシース23に対して押し出すようにスライド操作して、胃61の内壁から胆管62に至るように穿刺部4aで穿刺する。次いで、図9に示すように、穿刺ワイヤ4はそのままの状態で、ガイドシース23をインナーシース21に対して押し出すようにスライド操作して、ガイドシース23を穿刺ワイヤ4に沿って進行させ、胃61の穿刺孔および胆管の穿刺孔を微小テーパ部23aで僅かに拡張させつつ、胃61の穿刺孔および胆管62の穿刺孔に挿通し、穿刺ワイヤ4の穿刺部4aの遠位端よりも更に進行させて、ガイドシース23の先端が胆管62内の所望位置に位置するまで進入させる。
【0033】
その後、図10に示すように、ガイドシース23はそのままの状態で、インナーシース21、アウターシース22およびステント5を一体として押し出すようにスライド操作して、これらをガイドシース23に沿って進行させ、胃61の穿刺孔および胆管62の穿刺孔をインナーシース21の微小テーパ部21bおよびテーパ部21aにより拡張しつつ、ステント5を胃61と胆管62とを架け渡すように位置させる。次いで、図11に示すように、穿刺ワイヤ4、ガイドシース23、インナーシース21およびアウターシース22を一括的に、または順次に引き抜くように操作することにより、ステント5の留置が完了する。
【0034】
上述した実施形態によると、穿刺ワイヤ4を押し出して胃61および胆管62を穿刺した後に、ガイドチューブ23を押し出し、このガイドチューブ23に沿ってカテーテル部2(インナーシース21、およびアウターシース22)を押し出すことができる。このとき、穿刺ワイヤ4の穿刺部4aはガイドシース23によって覆われているため、従来技術のように、胃壁や胆管壁等の損傷を回避するために穿刺ワイヤを引き込む作業を行う必要がなくなり、手技の作業工数を削減することができる。なお、ここでは作業工数を削減するため、ガイドシース23を所望の位置まで押し出した後に、穿刺ワイヤ4はそのままの状態としているが、作業工数を気にしない場合、あるいは特に必要がある場合には、穿刺ワイヤ4を引き戻すようにスライド操作しても勿論よい。
【0035】
また、ガイドチューブ23とインナーシース21との間の間隙が小さいため、インナーシース21を胃および胆管の各穿刺孔に進入させる際に、ガイドチューブ23の周囲に密着している穿刺孔の周囲の組織による抵抗が小さく、作業を円滑に行うことができる。
【0036】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0037】
1…ステントデリバリ装置
2…カテーテル部
21…インナーシース(カテーテルチューブ)
22…アウターシース
23…ガイドシース(ガイドチューブ)
3…操作部
31,32,33…コネクタ
4…穿刺ワイヤ
4a…穿刺部
5…チューブステント
61…胃
62…胆管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11