特許第6805532号(P6805532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805532
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20201214BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01L33/60
   H01L33/50
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-82834(P2016-82834)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-11259(P2017-11259A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-123010(P2015-123010)
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】三次 智紀
(72)【発明者】
【氏名】宮入 洋
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−099545(JP,A)
【文献】 特開2009−266434(JP,A)
【文献】 特開2009−218211(JP,A)
【文献】 特開2005−063706(JP,A)
【文献】 特開2012−199416(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0134422(US,A1)
【文献】 特開2014−236175(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0328074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に直列接続された複数の発光素子と、
前記発光素子上に配置された透光性部材と、
前記発光素子及び前記透光性部材の側面を覆う光反射性部材と、
を含み、
前記複数の発光素子は、複数の第1発光素子と前記第1発光素子より発光面の面積が小さい複数の第2発光素子とを含み、前記複数の第2発光素子は前記第1発光素子の間に配置されており、
前記透光性部材は、前記第1発光素子を覆う第1透光性部材と、前記第1透光性部材とは分離された状態で前記複数の第2発光素子を一括して覆う第2透光性部材とを有し、
前記第1透光性部材と、前記第2透光性部材とのそれぞれの側面を囲むように前記光反射性部材が設けられており、
前記基板は、発光素子間を接続する電極を含み、前記電極は前記光反射性部材の外側に延在するように設けられている発光装置。
【請求項2】
前記複数の第2発光素子は、前記第1発光素子の間に接続されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1発光素子より発光面の面積が小さい前複数の第2発光素子が前記第1発光素子の間に直列接続された請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、一方向に配列されている請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の第2発光素子の少なくとも一部は、前記第1発光素子の中心を結ぶ線に対して交差する方向に配置されている請求項3に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1発光素子より発光面の面積が小さくかつ前記第2発光素子より発光面の面積が大きい第3発光素子を含み、
前記第3発光素子は前記第1発光素子の間に前記複数の第2発光素子と直列接続された請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
記複数の第2発光素子が平面視において前記第1発光素子と略同形状となるように配置されている請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数の発光素子が全体として平面視において矩形状になるように配置されている請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記透光性部材は、前記複数の発光素子全てを覆うように配置されている請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項10】
前記透光性部材は、前記第1透光性部材および前記第2透光性部材とは分離された状態で前記第3発光素子を覆う第3透光性部材をさらに有する請求項6に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1透光性部材と、前記第2透光性部材と、前記第3透光性部材とのそれぞれの側面を囲むように前記光反射性部材が設けられている請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記透光性部材は、前記発光素子から出射される光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有している請求項1〜11のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車のヘッドライトに使用される発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白色LEDを使用したヘッドライトが実用化されている。白色LEDを使用したヘッドライトは、小型軽量でかつ消費エネルギーが小さいため、今後さらに普及することが期待される。この車両用のヘッドライトでは、その配光パターンにおいて、ホットゾーンと呼ばれる最も明るい領域が要求されている。例えば、特許文献1には、基板の中央部にホットゾーンを形成するための大型のLEDチップを配置した車載用の発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−169189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発光装置は、複数の発光素子の明るさは回路により制御されるので、所望の配光パターンを得るためには、複雑な制御システムが必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、複雑な制御をすることなく、配光パターンにホットゾーンを有する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本実施形態の発光装置は、基板と、基板上に直列接続された複数の発光素子と、発光素子上に配置された透光性部材と、発光素子及び前記透光性部材の側面を覆う光反射性部材と、を含み、
複数の発光素子は、複数の第1発光素子と第1発光素子より発光面の面積が小さい第2発光素子とを含み、第2発光素子は第1発光素子の間に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された本実施形態の発光装置によれば、複雑な制御をすることなく、配光パターンにホットゾーンを有する発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態1の発光装置の構成を示す斜視図である。
図2】実施形態1の発光装置の構成を示す平面図である。
図3】本発明に係る実施形態2の発光装置の構成を示す平面図である。
図4】本発明に係る実施形態3の発光装置の構成を示す平面図である。
図5】本発明に係る実施形態4の発光装置の構成を示す平面図である。
図6】本発明に係る実施形態5の発光装置の構成を示す平面図である。
図7】本発明に係る変形例の発光装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
【0010】
<実施形態1>
本発明に係る実施形態1の発光装置100は、図1に示すように、基板10と、透光性部材7と透光性部材7の側面を覆う光反射性部材5を含む。透光性部材の上面は光反射性部材5から露出しており、発光装置100の発光面を形成している。基板10は、上面に第1電極11と第2電極12とを有し、第1電極11と第2電極12の光反射性部材5から露出した部分が発光装置100の電極端子として外部と接続される。さらに発光装置100は、図2に示すように、基板10上に設けられた複数の発光素子1,2,3,4を含み、透光性部材7は複数の発光素子1,2,3,4上に設けられている。光反射性部材5は、発光素子1,2,3,4及び透光性部材7の側面を覆っている。また、必要に応じて、保護素子9を含んでいてもよい。
実施形態1の発光装置100において、発光素子1,2,3,4は発光面の面積が異なっており、発光素子2の発光面の面積は、発光素子1の発光面の面積より小さく,発光素子3の発光面の面積は、発光素子2の発光面の面積より小さく、発光素子4の発光面の面積は、発光素子3の発光面の面積より小さくなっている。
【0011】
実施形態1の発光装置100において、基板10は、上面に第1電極11と第2電極12を有し、複数の発光素子1,2,3,4は、第1電極11と第2電極12の間に直列接続されている。また、実施形態1の発光装置100において、発光素子1,2,3,4は、一方向に配列され、発光素子1よりも発光面の面積が小さい発光素子2,3,4は、2つの発光素子1の間に配置され、発光素子2よりも発光面の面積が小さい発光素子3と発光素子4が2つの発光素子2の間に配置され、さらに発光素子3よりも発光面の面積が小さい発光素子4が2つの発光素子3の間に配置されている。
実施形態1の発光装置100において、発光素子1,2,3,4を平面視したときの形状(平面形状)は、発光素子の配列方向に直交する方向の辺の長さが略同じである。つまり、実施形態1の発光装置100において、複数の発光素子1,2,3,4は全体として平面視で矩形状になるように配置されている。
【0012】
ここで、本明細書において、配置とは位置関係を意味し、電気的配線の接続関係を意味するものではない。すなわち、複数の発光素子1,2,3,4が直列に接続されていれば良く、接続順序は任意に選択できる。したがって、例えば、発光素子1が図2に示すように第1電極11及び第2電極12に最も近くに配置されていたとしても、電気的接続については、例えば、発光素子2又は発光素子3の間に発光素子1が接続されていても良いし、発光素子2と発光素子3の間に接続されていてもよい。また、本明細書において、単に接続というときは、特に断らない限りは電気的な配線の接続を意味する。
【0013】
以上のように構成された実施形態1の発光装置100では、発光素子1,2,3,4を直列に接続しているので、発光面の面積が小さい分だけ、発光素子2の電流密度を発光素子1より高く、発光素子3の電流密度を発光素子2より高く、発光素子4の電流密度を発光素子3より高くできる。これにより、中央部に配置された発光素子ほど輝度を高くでき、配光パターンの中央部にホットゾーンを有する発光装置が実現できる。
また、これにより、車のヘッドライトの光源として使用した際に、複雑な光学設計を必要とせずに、照射範囲にホットゾーンを有することが可能となるため、ヘッドライトを小型化することができる。さらに、光源を小型化できるため、ヘッドライトのデザイン性をより高めることができる。
【0014】
<実施形態2>
次に、本発明に係る実施形態2の発光装置200について図3を参照しながら説明する。
実施形態2の発光装置200は、発光面の面積が異なる複数の発光素子1,2a,3aが直列に接続されている点は、実施形態1の発光装置100と同様であるが、図3に示すように、発光素子1より発光面の面積が小さい複数の発光素子2a,3aの少なくとも一部が発光素子1の中心を結ぶ線に対して交差する方向に配置されている点で、複数の発光素子1,2,3,4が一方向に配列された実施形態1の発光装置100とは異なっている。ここで、実施形態2の発光装置200において、発光素子2aの発光面の面積は発光素子1より小さく、発光素子2aの発光面の面積は発光素子1の発光面の面積のほぼ半分である。発光素子3aの発光面の面積は発光素子2aの発光面の面積よりさらに小さく、発光素子3aの発光面の面積は発光素子2aの発光面の面積のほぼ半分である。尚、実施形態2の発光装置200において、基板10、透光性部材7及び光反射性部材5の構成は、実施形態1の発光装置100と同様である。
【0015】
また、実施形態2の発光装置200において、発光素子2aと発光素子3aが発光素子1の間に発光素子1より高密度に配置され、さらに発光素子3aが発光素子2aの間に発光素子2aより高密度に配置されている。このように、発光面の面積が大きい発光素子と直列に接続された発光面の面積が小さい発光素子を中央部に配置し、さらに、発光面の面積が小さい発光素子の配置密度を高くすると、中央部の輝度がより高い配光特性を実現することができる。
【0016】
また、実施形態2の発光装置200において、発光素子2a及び発光素子3aは、発光素子1が配置される領域と同じ形状で同じ大きさの領域に複数配置されている。言い換えれば、発光素子2a及び発光素子3aは、平面視において発光素子1と略同形状となるようにそれぞれ複数配置されている。より具体的には、発光素子1の発光面側の上面は正方形であり、発光素子2aの発光面側の上面は、長辺が発光素子1の一辺に等しく、短辺が発光素子1の一辺の約半分である矩形形状であり、2つの発光素子2aが、例えば、図3に示すように、両側の発光素子1の中心を結ぶ線に対して直交する方向に配置される。また、発光素子3aの発光面側の上面は、一辺が発光素子1の一辺の約半分の正方形であり、4つの発光素子3aが発光素子1を4分割したような配置、すなわち、両側の発光素子1の中心を結ぶ方向及びそれに直交する方向に2個ずつ配置されている。このようにすると、例えば、図3に示すように、発光素子2aの発光面の面積が発光素子1の発光面の面積の半分である場合には、発光素子2aの配置密度を発光素子1の配置密度の2倍となり、例えば、発光素子3aの発光面の面積が発光素子2aの発光面の面積の半分であるときには、発光素子3aの配置密度を発光素子2aの配置密度の2倍となる。
【0017】
図3では、発光素子2aとして、発光面の面積が発光素子1の半分の発光素子を用い、発光素子3aとして、発光面の面積が発光素子2aの半分の発光素子を用いた例を示した。しかしながら、実施形態2の発光素子では、例えば、発光素子2aの発光面の面積を、発光素子1の発光面の面積の(1/n)倍(ただし、nは2以上の整数)として、発光素子2aの配置密度を発光素子1の配置密度のn倍にし、発光素子3aの発光面の面積を、発光素子1の発光面の面積の(1/m)倍(ただし、mは3以上の整数)として、発光素子3aの配置密度を発光素子1の配置密度のm倍になるように配置してもよい。以上のようにすると、発光素子の配置を容易にできる。
【0018】
以上のように構成された実施形態2の発光装置200は、実施形態1の発光素子3より発光面の面積が小さい発光素子2a,3aを、例えば、図3に示すように、縦及び横方向にそれぞれ複数の発光素子3aをより高密度に配置することができ、中央部がより明るい配光特性を実現できる。
【0019】
以上の実施形態1及び2の発光装置において、複数の発光素子が全体として平面視で矩形状になるように配置されており、その複数の発光素子全てを一括して覆う透光性部材7も矩形形状を有している。
しかしながら、本実施形態の発光装置は、これに限定されるものではない。
【0020】
<実施形態3>
次に、本発明に係る実施形態3の発光装置300について図4を参照しながら説明する。
実施形態3の発光装置300は、発光素子1と、発光面の面積が発光素子1より小さい発光素子2bと、発光面の面積がさらに発光素子2bより小さい発光素子3bとを備え、以下の点で実施形態1の発光装置100とは異なっている。
【0021】
まず、発光素子1、発光素子2b及び発光素子3bを平面視したときの形状(平面形状)は、同じ形で面積が異なる相似形状である点で、実施形態1の発光装置100とは異なっている。この実施形態3の発光装置300において、発光素子1,2b,3bは、一方向に配列される。実施形態3において、レンズ形状を含む光学系の設計を容易にするために、好ましくは、発光素子1,2b,3bは、発光素子1の中心と発光素子2bの中心と発光素子3bの中心とが一直線上に位置し、該一直線に対して線対称で、前記一直線に直交しかつ発光素子3bの中心を通る直線に対して線対称になるように配置される。しかしながら、本実施形態3では、上記配置に限定されるものではなく、要求特性に応じて種々の配置が可能であり、例えば、発光素子1の一つの辺、発光素子2bの一つの辺及び発光素子3bの一つの辺が一直線上に位置するように発光素子1,2b,3bを配置してもよい。なお、実施形態3の発光装置300が備える複数の発光素子の形状は、相似形状に限定されるものではなく、複数の発光素子1,2b,3bの縦および横方向の長さ比はそれぞれ異なっていてもよい。
また、図4に示すように、実施形態3の発光装置300は、両側に配置された発光素子1をそれぞれ覆う透光性部材71と、発光素子1の内側にそれぞれ配置された発光素子2bをそれぞれ覆う透光性部材72と、発光素子2bの間に配置された発光素子3bを覆う透光性部材73とを有する透光性部材7を備えている点で、実施形態1の発光装置100とは異なっている。実施形態3の発光装置300において、透光性部材71、72、73の平面形状は、それぞれが覆う発光素子1,2b、3bと同じまたは相似形状を有している。
さらに、図4に示すように、実施形態3の発光装置300は、光反射性部材5aは、透光性部材71と透光性部材72と透光性部材73とを囲むように設けられている点で、実施形態1の発光装置100とは異なっている。
【0022】
以上のように、実施形態3の発光装置300は、発光素子1,2b,3bをそれぞれ独立して覆う透光性部材71,72,73を有し、かつ透光性部材71,72,73がそれぞれ光反射性部材5aによって囲まれている。
これにより、発光素子1,2b,3bからの光が、それぞれ光反射性部材5aによって囲まれた透光性部材71,72,73によって効率良く出射できる。
【0023】
<実施形態4>
次に、本発明に係る実施形態4の発光装置400について図5を参照しながら説明する。
実施形態4の発光装置400は、基板10の上面に形成された電極の構成が実施形態3の発光装置300とは異なっている。
【0024】
具体的には、実施形態4の発光装置400において、基板10の上面に、長手方向の一端から他端に向かって、
(a)第1電極11a、
(b)第1電極11aと電気的に分離された接続電極13a、
(c)接続電極13aと電気的に分離された接続電極13b、
(d)接続電極13bと電気的に分離された接続電極13c、
(e)接続電極13cと電気的に分離された接続電極13d、及び
(f)接続電極13dと電気的に分離された第2電極12aが設けられている。ここで、第1電極11aは、長手方向の一端側で外部電源回路に接続できるように設けられ、第2電極12aは、長手方向の他端側で外部電源回路に接続できるように設けられている。また、接続電極13a、接続電極13b、接続電極13c、接続電極13dはそれぞれ、基板10上面の両短辺の近傍までそれぞれ延在して設けられて、光反射性部材5aの外部で外部点灯制御回路との接続が可能になっている。
【0025】
以上のように各電極が設けられた基板10の上面において、例えば、第1電極11a側に配置された発光素子1の正電極が第1電極11aに接続され、負電極が接続電極13aに接続される。
第1電極11a側に設けられた発光素子1に隣接する発光素子2bの正電極が接続電極13aに接続され、負電極が接続電極13bに接続される。
中央部に設けられた発光素子3bの正電極が接続電極13bに接続され、負電極が接続電極13cに接続される。
発光素子3bの第2電極12a側に設けられた発光素子2bの正電極が接続電極13cに接続され、負電極が接続電極13dに接続される。
そして、第2電極12a側に配置された発光素子1の正電極が接続電極13dに接続され、負電極が第2電極12aに接続される。さらに、必要に応じて、発光素子1,2b,3bとそれぞれ並列に保護素子9が設けられる。
【0026】
以上のように構成された実施形態4の発光装置400は、発光面の面積が異なる複数の発光素子1,2b,3bを直列に接続しているので、発光素子1よりも発光面の面積が小さい発光素子2bの電流密度を発光素子1より高く、発光素子2bよりも発光面の面積が小さい発光素子3bの電流密度を発光素子2bより高くできる。これにより、中央部に配置された、より発光面の面積が小さい発光素子ほど輝度を高くでき、中央部が明るく、例えば、両端及び下方に向かうほど明るさを抑えた配光特性を有する発光装置が実現できる。
【0027】
また、以上のように構成された実施形態4の発光装置400では、例えば、
第1電極11aと接続電極13aとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、第1電極11a側に配置された発光素子1を消灯することができ、
接続電極13aと接続電極13bとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、第1電極11a側に設けられた発光素子1に隣接する発光素子2bを消灯することができ、
接続電極13bと接続電極13cとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、中央部に設けられた発光素子3bを消灯することができ、
接続電極13cと接続電極13dとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、発光素子3bの第2電極12a側に設けられた発光素子2bを消灯することができ、
接続電極13dと第2電極12aとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、第2電極12a側に配置された発光素子1を消灯することができる。
このように、隣接する発光素子間を接続する接続電極13a〜13dを光反射性部材5aの外側に延在するように設けることにより、各発光素子の点灯制御が可能になる。
したがって、実施形態4の発光装置400は、中央部にホットゾーンを有する配光パターンが形成されることに加え、外部点灯制御回路によって制御することにより、部分的に配光の一部を消灯することが可能になる。
これにより、例えば、実施形態4の発光装置400を備えた車のヘッドライトにおいて、特に、ハイビームとして使用する際に、複雑な光学設計を必要とせずに、その照射範囲にホットゾーンを有しつつ、かつ前方に対向車や歩行者が出現した際に、そのエリアのみを遮光することが可能となる。
【0028】
<実施形態5>
次に、本発明に係る実施形態5の発光装置500について図6を参照しながら説明する。
実施形態5の発光装置500は、以下の点で実施形態2の発光装置200と異なっている。
すなわち、図6に示すように、実施形態5の発光装置500は、両側に配置された発光素子1をそれぞれ覆う透光性部材71と、発光素子1の内側にそれぞれ配置された発光素子1よりも発光面の面積が小さい2つの発光素子2aをそれぞれ覆う透光性部材72bと、発光素子2aの間に配置された発光素子2aより発光面の面積が小さい4つの発光素子3aを覆う透光性部材73aとを有する透光性部材7を備えている点で、実施形態2の発光装置200とは異なっている。
また、実施形態5の発光装置500において、基板10の上面に、長手方向の一端から他端に向かって、
(a)第1電極11a、
(b)第1電極11aと電気的に分離された接続電極13a、
(c)接続電極13aと電気的に分離された接続電極13b、
(d)接続電極13bと電気的に分離された接続電極13c、
(e)接続電極13cと電気的に分離された接続電極13d、及び
(f)接続電極13dと電気的に分離された第2電極12aが設けられている点で、実施形態2の発光装置200とは異なっている。
【0029】
ここで、実施形態4と同様、第1電極11aは、長手方向の一端側で外部電源回路に接続できるように設けられ、第2電極12aは、長手方向の他端側で外部電源回路に接続できるように設けられている。また、接続電極13a、接続電極13b、接続電極13c、接続電極13dはそれぞれ、基板10上面の両短辺の近傍までそれぞれ延在して設けられて、光反射性部材5aの外部で外部点灯制御回路との接続が可能になっている。
【0030】
以上のように各電極が設けられた基板10の上面において、例えば、第1電極11a側に配置された発光素子1の正電極が第1電極11aに接続され、負電極が接続電極13aに接続される。
第1電極11a側に設けられた発光素子1に隣接する2つの発光素子2aは、接続電極13aと接続電極13bの間に直列に接続される。より具体的には、2つの発光素子2aの一方の発光素子2aの正電極が接続電極13aに接続され、一方の発光素子2aの負電極と他方の発光素子2aの正電極が接続され、他方の発光素子2aの負電極が接続電極13bに接続される。
中央部に設けられた4つの発光素子3bは、接続電極13bと接続電極13cの間に直列に接続される。より具体的には、4つの発光素子3aの第1番目の発光素子3aの正電極が接続電極13bに接続され、第1番目の発光素子3aの負電極と第2番目の発光素子3aの正電極が接続され、第2番目の発光素子3aの負電極が第3番目の発光素子3aの正電極が接続され、第3番目の発光素子3aの負電極が第4番目の発光素子3aの正電極が接続され、第4番目の発光素子3aの負電極が接続電極13cに接続される。
発光素子3aの第2電極12a側に設けられた2つの発光素子2aは、接続電極13cと接続電極13dの間に直列に接続される。より具体的には、2つの発光素子2aの一方の発光素子2aの正電極が接続電極13cに接続され、一方の発光素子2aの負電極と他方の発光素子2aの正電極が接続され、他方の発光素子2aの負電極が接続電極13dに接続される。
そして、第2電極12a側に配置された発光素子1の正電極が接続電極13dに接続され、負電極が第2電極12aに接続される。
【0031】
以上のように構成された実施形態5の発光装置500は、発光面の面積が異なる複数の発光素子1,2a,3aを直列に接続しているので、発光素子1よりも発光面の面積が小さい発光素子2aの電流密度を発光素子1より高く、発光素子2aよりも発光面の面積が小さい発光素子3aの電流密度を発光素子2bより高くできる。これにより、中央部に配置された発光素子ほど輝度を高くでき、中央部が明るく、例えば、両端及び下方に向かうほど明るさを抑えた配光特性を有する発光装置が実現できる。
【0032】
また、以上のように構成された実施形態5の発光装置500では、例えば、
第1電極11aと接続電極13aとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、第1電極11a側に配置された発光素子1を消灯することができ、
接続電極13aと接続電極13bとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、第1電極11a側に設けられた発光素子1に隣接する2つの発光素子2aを消灯することができ、
接続電極13bと接続電極13cとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、中央部に設けられた4つの発光素子3aを消灯することができ、
接続電極13cと接続電極13dとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、発光素子3bの第2電極12a側に設けられた2つの発光素子2bを消灯することができ、
接続電極13dと第2電極12aとを、例えば、外部点灯制御回路に設けられたスイッチ回路又は機構により接続すると、第2電極12a側に配置された発光素子1を消灯することができる。
このように、隣接する発光素子間を接続する接続電極13a〜13dを光反射性部材5aの外側に延在するように設けることにより、各発光素子の点灯制御が可能になる。
したがって、実施形態5の発光装置500は、中央部にホットゾーンを有する配光パターンが形成されることに加え、外部点灯制御回路によって制御することにより、部分的に配光の一部を消灯することが可能になる。
これにより、例えば、実施形態5の発光装置500を備えた車のヘッドライトにおいて、特に、ハイビームとして使用する際に、複雑な光学設計を必要とせずに、その照射範囲にホットゾーンを有しつつ、かつ前方に対向車や歩行者が出現した際に、そのエリアのみを遮光することが可能となる。
【0033】
以上の実施形態1〜5の発光装置では、発光素子として発光面の面積が異なる3種類以上の発光素子を用いて構成した例を示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、図7に示すように、発光面の面積が異なる2種類の発光素子を用いて構成してもよい。
【0034】
図7の発光装置では、実施形態1の発光装置100において、発光素子1,2,3,4に代えて、4つの発光素子1と、中央部に配置された発光素子1よりも発光面の面積が小さい2つの発光素子4を用いて構成した例を示している。
【0035】
また、実施形態の発光装置では、透光性部材7は、発光素子1等から出射される光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体を含んでいてもよく、これにより、例えば、青色の光を発光する発光素子を用いて、白色の光を出射する発光装置を提供することができる。
【0036】
以上の実施形態1〜5の発光装置では、発光面の面積が異なる発光素子を用いてその照射範囲にホットゾーンを形成するようにした。具体的には、実施形態1〜5の発光装置において、発光面の面積が異なる発光素子を直列に接続して電圧を印加することにより、発光面の面積が小さい発光素子ほど電流密度を高くして、発光面の面積が小さい発光素子ほど高い輝度で発光させて、ホットゾーンを形成するようにした。例えば、実施形態3の発光装置において、発光素子1として一辺の長さが1.3mmのLEDチップを用い、発光素子2bとして一辺の長さ(チップサイズ)が1.15mmのLEDチップを用い、発光素子3bとして一辺の長さが1mmのLEDチップを用いて、その照射範囲の所望の位置に所望の強度のホットゾーンを形成することができる。この例における、発光面の面積と輝度の関係の一例を表1に示す。
(表1)
【0037】
表1に示す例では、面積比の変化に対して相対輝度はほぼ直線的に変化する。このような場合、必要な発光輝度が得られるように発光面の面積比率を適宜設定することにより、所望の位置に所望の強度のホットゾーンを形成することができる。しかしながら、面積比の変化に対して相対輝度が直線的に変化しないような場合であっても、発光面の面積比率を適宜設定することにより、所望の位置に所望の強度のホットゾーンを形成することが可能である。すなわち、電流密度がある値を超えると電流−光変換効率は低下し(ドループ現象)、電流密度の増加率に対する輝度の増加率が小さくなる。このような場合であっても、電流密度の増加率に対する輝度の増加率の減少を考慮して必要な発光輝度が得られるように発光面の面積比率を設定することにより、所望の位置に所望の強度のホットゾーンを形成することができる。
【0038】
以上のように、発光面の面積比の変化に対して相対輝度が直線的に変化しないような発光素子を用いても実施形態1〜5の発光装置は構成することができる。しかしながら、本実施形態1〜5の発光装置では、ドループ現象が改善された、すなわち、電流−光変換効率が低下し始める電流密度を高くした発光素子を用いて構成することが好ましく、これにより、照射範囲の所望の位置に所望の強度のホットゾーンを容易に形成することができる。
【0039】
以下に、本実施形態における発光装置100,200,300,400,500の各部材及び構造について説明する。
【0040】
(基板10)
基板10としては、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁性部材で構成される基板が挙げられる。また、絶縁部材を形成した金属であってもよいし、金属部材に絶縁部材を形成しているものであってもよい。特に、自動車のヘッドライト用に用いられる発光装置では、耐熱性および耐候性の高いセラミックスからなることが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが好ましい。
【0041】
(第1電極11及び第2電極12)
正負一対の第1電極11及び第2電極12は、基板10表面に形成可能で、発光装置の外部端子として用いることのできる材料を選択する。電極の材料は、導電性及び実装性に優れていれば特に限定されない。例えば、銅、アルミニウム、金、銀、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、ニッケル等の金属またはこれらを含む合金等によって形成することができる。また、基体の上面に形成される導電部材は、載置される半導体発光素子からの光を効率よく取り出すために、その最表面が銀又は金などの反射率の高い材料で覆われているのが好ましい。このような、第1電極11及び第2電極12は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成できる。
【0042】
(発光素子1,2,2a,2b,3,3a,3b,4)
発光素子としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0043】
実施形態の発光素子は、同一面側に正負一対の電極を有するものであり一対の電極がバンプを介して基板の第1電極11及び第2電極12にフリップチップ実装されており、電極の形成された下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子は、バンプや導電ペーストなどの導電部材を用いて第1電極11及び第2電極12に電気的に接続されるため、金属ワイヤなどで接続されるフェースアップ型の発光素子と比較して、第1電極11及び第2電極12との接触面積を大きくでき、接続抵抗を低くできる。
【0044】
発光素子は、例えば、透光性の成長用のサファイア基板上に窒化物半導体層を積層させて形成された発光素子であり、サファイア基板が発光素子3の上面側となり、主な光出射面となる。なお、成長用基板は除去してもよく、例えば、研磨、LLO(Laser Lift Off)等で除去することができる。なお、このような成長用基板はサファイア基板に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0045】
(透光性部材7)
透光性部材7は、発光素子から出射される光を透過して外部に放出することが可能な材料であり、光拡散材や、入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有させてもよい。具体的には、例えば、蛍光体の単結晶、多結晶もしくは蛍光体粉末の焼結体等の蛍光体インゴットから切り出したものや、樹脂、ガラス、無機物等に蛍光体粉末を混合して焼結したものが挙げられる。透光性部材7の厚みは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能であるが、例えば、50〜300μm程度である。
【0046】
(波長変換部材)
透光性部材7に含有させることができる蛍光体としては、発光素子からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al−SiO);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)SiO);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(KSiF:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0047】
(光反射性部材5)
光反射性部材5は、発光素子および透光性部材7の側面を被覆する。光反射性部材5は、光反射率の高い光反射性材料から形成することができる。具体的には、発光素子からの光に対する反射率が60%以上、より好ましくは80%又は90%以上である光反射性部材を用いることができる。光反射性部材5は、例えば、光反射性物質を含む樹脂からなる。光反射性部材5は、例えば、上面が透光性部材7の上面と同じか、少し低くなるように形成される。
光反射性部材5を構成する母体の樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができ、その樹脂からなる母材に反射性物質を含有させることで形成することができる。光反射性物質としては、Ti、Zr、Nb、Al、Siのいずれかを含む酸化物、または、AlN、MgFなどを用いることができる。好ましくは二酸化チタン(TiO2)を用いる。また、好ましくは、光反射性物質として、母材の樹脂の屈折率と異なる粒子を母材の樹脂中に分散させる。光反射性物質の含有濃度、密度により光の反射量、透過量が異なるため、発光装置の形状、大きさに応じて、適宜濃度、密度を調整することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,2,2a,2b,3,3a,3b,4 発光素子
5 光反射性部材
7,71,72,72a,73,73a 透光性部材
10 基板
9 保護素子
11,11a 第1電極
12,12a 第2電極
13a,13b,13c,13d 接続電極
100,200,300,400,500 発光装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7