特許第6805587号(P6805587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805587
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】光源装置、画像表示装置及び物体装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/10 20060101AFI20201214BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20201214BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20201214BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G02B27/10
   G02B27/01
   G02B26/10 C
   G02B26/10 104Z
   B60K35/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-135692(P2016-135692)
(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公開番号】特開2018-5162(P2018-5162A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】酒井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】樋口 美穂
(72)【発明者】
【氏名】小形 哲也
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−335532(JP,A)
【文献】 特開2005−346823(JP,A)
【文献】 特開2002−040350(JP,A)
【文献】 特開2013−228674(JP,A)
【文献】 特開2014−035386(JP,A)
【文献】 特開2010−276742(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0154882(US,A1)
【文献】 特開昭52−006488(JP,A)
【文献】 特開2013−190594(JP,A)
【文献】 特開2015−194695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
G02B 27/10 − 27/16
G02B 26/10
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と第2の光源とを含む複数の光源と、
前記第1の光源からの光と前記第2の光源からの光の各々の光路上に配置され、該光を整形するアパーチャと、
各々の前記アパーチャで整形された前記第1の光源からの光の光路上かつ前記第2の光源からの光の光路上に配置され、入射光を透過光と反射光とに分岐する平板状の分岐素子と、
前記反射光の少なくとも一部を受光する受光素子と、
前記複数の光源からの光の波長を推定する推定手段と、を備え、
前記アパーチャと前記分岐素子は、
2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]>0.5×Dの関係を満たし、
前記分岐素子は、
前記第1の光源からの光の一部を反射させ、前記第2の光源からの光の一部を透過させることによって、前記第1の光源からの光の一部と前記第2の光源からの光の一部を合成して前記受光素子に向かって射出し、
前記第1の光源からの光の一部を透過させ、前記第2の光源からの光の一部を反射させることによって、前記第1の光源からの光の一部と前記第2の光源からの光の一部を合成して外部に射出し、
前記複数の光源は縦マルチモードで発振する半導体レーザであり、
前記推定手段は、前記受光素子で受光した光量に基づいて、前記第1の光源からの光の波長成分を加重平均した波長と、前記第2の光源からの光の波長成分を加重平均した波長とを推定することを特徴とする光源装置。
但し、d:分岐素子の厚さ
n:分岐素子の屈折率
θ:分岐素子に対する前記第1の光が入射する入射光の入射角
D:前記第1の光源からの光の光路上のアパーチャの開口径
【請求項2】
第1の光源と第2の光源とを含む複数の光源と、
前記複数の光源からの光の光路上に配置され、入射光を透過光と反射光とに分岐する平板状の分岐素子と、
前記反射光の少なくとも一部を受光する受光素子と、
前記複数の光源からの光の波長を推定する推定手段と、を備え、
前記第1の光源から前記分岐素子に入射する入射光と前記分岐素子は、
2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]>0.5×Dの関係を満たし、
前記分岐素子は、
前記第1の光源からの光の一部を反射させ、前記第2の光源からの光の一部を透過させることによって、前記第1の光源からの光の一部と前記第2の光源からの光の一部を合成して前記受光素子に向かって射出し、
前記第1の光源からの光の一部を透過させ、前記第2の光源からの光の一部を反射させることによって、前記第1の光源からの光の一部と前記第2の光源からの光の一部を合成して外部に射出し、
前記複数の光源は縦マルチモードで発振する半導体レーザであり、
前記推定手段は、前記受光素子で受光した光量に基づいて、前記第1の光源からの光の波長成分を加重平均した波長と、前記第2の光源からの光の波長成分を加重平均した波長とを推定することを特徴とする光源装置。
但し、d:分岐素子の厚さ
n:分岐素子の屈折率
θ:分岐素子に対する第1の光源からの入射光の入射角
D:第1の光源から分岐素子に入射する入射光の強度分布において、強度がピーク強度の1/eとなる径
【請求項3】
前記第1の光源と前記分岐素子との間の光の光路上に配置され、該光を整形するアパーチャを更に備え、
前記アパーチャの開口径によってDが設定されることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記分岐素子は、反射防止膜を有していないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数の光源は、偏光光源であり、
前記複数の光源からの入射光が前記分岐素子に対してp偏光となるように前記複数の光源及び前記分岐素子が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の光源からの光が前記分岐素子で反射された反射光のうち、前記分岐素子の射出側の面で反射され前記第1の光源からの光の入射側の面から射出された光を遮光する遮光部材を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の
光源装置。
【請求項7】
前記受光素子の受光面の大きさは、前記第1の光源からの光が前記分岐素子で反射された反射光のうち、前記分岐素子の前記第1の光源からの光の入射側の面で反射された光及び射出側の面で反射された光を受光可能な大きさに設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
記複数の光源は、発光波長が互いに異なり、
前記複数の光源と前記分岐素子との間の光の光路上に配置され、前記複数の光源からの光を合成する合成手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記複数の光源は、赤色光を射出する光源、緑色光を射出する光源及び青色光を射出する光源を含むことを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の光源の周辺の雰囲気温度を計測する温度センサを更に備え、
前記推定手段は、前記受光光量及び前記温度センサでの計測温度に基づいて前記波長を推定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記推定手段で推定された前記波長に基づいて、前記複数の光源の発光光量を設定する発光光量設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源装
置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光により画像を形成する画像形成素子と、
前記画像を形成した光が照射されるスクリーンと、を備える画像表示装置。
【請求項13】
前記スクリーンを介した光を透過反射部材に向けて投射する投光部を更に備える請求項12に記載の画像表示装置と、
前記画像表示装置が搭載される物体と、を備える物体装置。
【請求項14】
前記物体は、移動体であることを特徴とする請求項13に記載の物体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、画像表示装置及び物体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源からの光を透過光と反射光に分岐し、該反射光の光量に基づいて光源の発光光量を制御する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている装置のような従来の装置では、光源の発光光量を精度良く制御するために、光源の発光光量の変化に対して反射光の光量を略リニアに(略線形に)変化させることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている装置では、光源の発光光量の変化に対して反射光の光量を略リニアに変化させることに関して改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の光源と第2の光源とを含む複数の光源と、前記前記第1の光源からの光と前記第2の光源からの光の各々の光路上に配置され、該光を整形するアパーチャと、各々の前記アパーチャで整形された前記第1の光源からの光の光路上かつ前記第2の光源からの光の光路上に配置され、入射光を透過光と反射光とに分岐する平板状の分岐素子と、前記反射光の少なくとも一部を受光する受光素子と、前記複数の光源からの光の波長を推定する推定手段と、を備え、前記アパーチャと前記分岐素子は、2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]>0.5×Dの関係を満たし、前記分岐素子は、前記第1の光源からの光の一部を反射させ、前記第2の光源からの光の一部を透過することによって、前記第1の光源からの光の一部と前記第2の光源からの光の一部を合成して前記受光素子に向かって射出し、前記第1の光源からの光の一部を透過させ、前記第2の光源からの光の一部を反射させることによって、前記第1の光源からの光の一部と前記第2の光源からの光の一部を合成して外部に射出し、前記複数の光源は縦マルチモードで発振する半導体レーザであり、前記推定手段は、前記受光素子で受光した光量に基づいて、前記第1の光源からの光の波長成分を加重平均した波長と、前記第2の光源からの光の波長成分を加重平均した波長とを推定することを特徴とする光源装置である。
但し、d:分岐素子の厚さ
n:分岐素子の屈折率
θ:分岐素子に対する前記第1の光が入射する入射光の入射角
D:前記第1の光源からの光の光路上のアパーチャの開口径。

【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光源の発光光量の変化に対して反射光の光量を略リニアに変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態のHUD装置の概略構成を示す図である。
図2】HUD装置の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】HUD装置の機能ブロック図である。
図4】HUD装置の光偏向器について説明するための図である。
図5】2次元走査時の走査線軌跡の一例を示す図である。
図6】HUD装置の光源装置について説明するための図である。
図7】光路分岐素子の入射側面で反射された光(ビームB)と、射出側面で反射された光(ビームB)の1次裏面反射ビームB−1の干渉について説明するための図である。
図8】駆動電流変化に対する受光光量変化を示すグラフであって、駆動電流変化に対して受光光量変化が略リニアでない例を示すグラフである。
図9】1次裏面反射ビームB−1を遮光する遮光部材を設ける例を示す図である。
図10】ビームBと1次裏面反射ビームB−1を受光素子に入射させる例を示す図である。
図11】駆動電流変化に対する受光光量変化を示すグラフであって、駆動電流変化に対して受光光量変化が略リニアである例を示すグラフである。
図12】反射防止コートされている分岐素子の、入射光の波長変化に対する反射率変化を示すグラフである。
図13】分岐素子に対してp偏光入射させる例について説明するための図である。
図14】分岐素子の入射側面の反射率の入射角依存性を示すグラフである。
図15】分岐素子の射出側面の反射率の入射角依存性を示すグラフである。
図16】基準波長の求め方を説明するための図である。
図17】各半導体レーザの発光光量を設定する手順を説明するための色度図である。
図18】色光生成処理を説明するためのフローチャートである。
図19】発光光量設定処理を説明するためのフローチャートである。
図20】変形例1の光源装置を説明するための図である。
図21】変形例2の光源装置を説明するための図である。
図22】変形例3の光源装置を説明するための図である。
図23】ビームBと1次裏面反射ビームB−1の干渉性について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一実施形態の画像表示装置としてのHUD装置100について図面を参照して説明する。なお、「HUD」は「ヘッドアップディスプレイ」の略称である。
【0009】
図1には、本実施形態のHUD装置100の全体構成が概略的に示されている。
【0010】
《HUD装置の全体構成》
ところで、ヘッドアップディスプレイの投射方式は、液晶パネル、DMDパネル(デジタルミラーデバイスパネル)、蛍光表示管(VFD)のようなイメージングデバイスで中間像を形成する「パネル方式」と、レーザ光源から射出されたレーザビームを2次元走査デバイスで走査し中間像を形成する「レーザ走査方式」がある。特に後者のレーザ走査方式は、全画面発光の部分的遮光で画像を形成するパネル方式とは違い、各画素に対して発光/非発光を割り当てることができるため、一般に高コントラストの画像を形成することができる。
【0011】
そこで、HUD装置100では「レーザ走査方式」を採用している。無論、投射方式として「パネル方式」を用いることもできる。
【0012】
HUD装置100は、一例として、車両、航空機、船舶等の移動体に搭載され、該移動体のフロントウインドシールド50(図1参照)を介して該移動体の操縦に必要なナビゲーション情報(例えば移動体の速度、進行方向、目的地までの距離、現在地名称、移動体前方における物体の有無や位置、制限速度等の標識、渋滞情報などの情報)を視認可能にする。この場合、フロントウインドシールド50は、入射された光の一部を透過させ、残部の少なくとも一部を反射させる透過反射部材としても機能する。以下では、HUD装置がフロントウインドシールド50を備える自動車に搭載される例を、主に説明する。
【0013】
HUD装置100は、図1に示されるように、光源部11、光偏向器15及び走査ミラー20(例えば凹面鏡)を含む光走査手段10と、スクリーン30と、凹面ミラー40とを備え、フロントウインドシールド50に対して画像を形成する光(画像光)を照射することにより、視認者A(ここでは自動車の乗員である運転者)の視点位置から虚像Iを視認可能にする。つまり、視認者Aは、光走査手段10によりスクリーンに形成(描画)される画像(中間像)を、フロントウインドシールド50を介して虚像Iとして視認することができる。
【0014】
HUD装置100は、一例として、自動車のダッシュボードの下方に配置されており、視認者Aの視点位置からフロントウインドシールド50までの距離は、数十cmから精々1m程度である。
【0015】
ここでは、凹面ミラー40は、虚像Iの結像位置が所望の位置になるように、一定の集光パワーを有するように既存の光学設計シミュレーションソフトを用いて設計されている。
【0016】
HUD装置100では、虚像Iが視認者Aの視点位置から1m以上かつ10m以下(好ましくは6m以下)の位置(奥行位置)に表示されるように、凹面ミラー40の集光パワーが設定されている。
【0017】
なお、通常、フロントウインドシールドは、平面でなく、僅かに湾曲している。このため、凹面ミラー40とフロントウインドシールド50の曲面により、虚像Iの結像位置が決定される。
【0018】
光源部11では、画像データに応じて変調されたR,G,Bの3色のレーザ光が合成される。3色のレーザ光が合成された合成光の一部は、光偏向器15の反射面に導かれる。光偏向器15は、半導体製造プロセス等で作製されたMEMSスキャナであり、直交する2軸周りに独立に揺動可能な単一の微小ミラーを含む。なお、光偏向器15は、1軸周りに揺動可能な微小ミラーを含むMEMSスキャナを2つ組み合わせたものであっても良い。また、スキャナとして、MEMSスキャナに限らず、例えばガルバノスキャナやポリゴンスキャナを用いても良い。光源部11、光偏向器15の詳細は、後述する。
【0019】
光源部11からの画像データに応じた光(上記合成光の一部)は、光偏向器15で偏向され、走査ミラー20で広がりを抑制されつつ折り返されてスクリーン30に照射される。そこで、スクリーン30が光走査され該スクリーン30上に中間像が形成される。なお、凹面ミラー40は、フロントウインドシールド50の影響で中間像の水平線が上または下に凸形状となる光学歪み要素を補正するように設計、配置されることが好ましい。
【0020】
スクリーン30を介した光は、凹面ミラー40でフロントウインドシールド50に向けて反射される。フロントウインドシールド50への入射光束の一部はフロントウインドシールド50を透過し、残部の少なくとも一部は視認者Aの視点位置(アイポイント)に向けて反射される。この結果、視認者Aはフロントウインドシールド50を介して中間像の拡大された虚像Iを視認可能となる。すなわち、視認者から見て虚像Iがフロントウインドシールド50越しに拡大表示される。
【0021】
なお、フロントウインドシールド50よりも視認者Aの視点位置側に透過反射部材としてコンバイナを配置し、該コンバイナに凹面ミラー40からの光を照射するようにしても、フロントウインドシールド50のみの場合と同様に虚像表示を行うことができる。
【0022】
《HUD装置の制御系のハードウェア構成》
図2には、HUD装置100の制御系のハードウェア構成を示すブロック図が示されている。HUD装置100の制御系は、図2に示されるように、FPGA600、CPU602、ROM604、RAM606、I/F608、バスライン610、LDドライバ6111、MEMSコントローラ615を備えている。
【0023】
FPGA600は、画像データと、後述する光検出器117の出力もしくは信号処理部120の出力と、走査光検出部60の出力とに基づいてLDドライバ6111を介して後述するLDを制御するLD制御回路700、及びMEMSコントローラ615を介して光偏向器15を制御する光偏向器制御回路を含む。CPU602は、HUD装置100の各機能を制御する。ROM604は、CPU602がHUD装置の各機能を制御するために実行する画像処理用プログラムを記憶している。RAM606は、CPU602のワークエリアとして使用される。I/F608は、外部コントローラ等と通信するためのインターフェイスであり、例えば、自動車のCAN(Controller Area Network)等に接続される。
【0024】
《HUD装置の機能ブロック》
図3には、HUD装置100の機能を示すブロック図が示されている。HUD装置100は、図3に示されるように、車両情報入力部800、外部情報入力部802、画像データ生成部804及び画像描画部806を備えている。車両情報入力部800には、CAN等から車両の情報(速度、走行距離、対象物までの距離、外界の明るさ等の情報)が入力される。外部情報入力部802には、外部ネットワークから車両外部の情報(GPSからのナビ情報等)が入力される。画像データ生成部804は、車両情報入力部800及び外部情報入力部802から入力される情報に基づいて、描画すべき画像の画像データを生成し、FPGA600に送る。画像描画部806は、制御部8060を備え、該制御部8060は、FPGA600に画像描画を開始もしくは終了させるための制御信号を送信する。
【0025】
《光偏向器の構成》
図4には、光偏向器15の構成が示されている。光偏向器15は、半導体プロセスにて製造されたMEMSスキャナであり、図4に示されるように、反射面を有するミラー150と、X軸方向に並ぶ複数の梁を含み、隣り合う2つの梁が折り返し部を介して蛇行するように接続された一対の蛇行部152とを有する。各蛇行部152の隣り合う2つの梁は、梁A(152a)、梁B(152b)とされ、枠部材154に支持されている。複数の梁には、複数の圧電部材156(例えばPZT)が個別に設けられている。各蛇行部の隣り合う2つの梁の圧電部材に異なる電圧を印加することで、該蛇行部の隣り合う2つの梁が異なる方向に撓み、それが蓄積されて、ミラー150がX軸周り(=垂直方向)に大きな角度で回転することになる。このような構成により、X軸を中心とした垂直方向の光走査が、低電圧で可能となる。一方、Y軸を中心とした水平方向では、ミラー150に接続されたトーションバーなどを利用した共振による光走査が行われる。
【0026】
以上のように構成される光偏向器15によって、スクリーン30の画像描画領域に対してレーザビームが2次元的に走査(例えばラスタースキャン)されるとともに(図5参照)、レーザビームの走査位置に応じてLDの発光制御を行うことで画素毎の描画、虚像の表示を行うことができる。なお、図5において、Psは、走査線ピッチである。
【0027】
《光走査、虚像表示》
HUD装置100からは、瞬間的にはレーザビーム径に相当する点像しか投射されないが、非常に高速に走査させるため、一フレーム画像内では十分に人間の目に残像が残っている。この残像現象を利用することで、運転者には、あたかも「表示エリア」に像を投射させているように知覚される。実際には、スクリーン30に映った像が、凹面ミラー40とフロントウインドシールド50によって反射されて運転者に「表示エリア」において虚像として知覚される。このような仕組みであるので、像を表示させない場合は、LDの発光を停止すれば良い。つまり、「表示エリア」において虚像が表示される箇所以外の箇所の輝度を実質0にすることが可能となる。
【0028】
すなわち、HUD装置100による虚像の結像位置は、該虚像を結像可能な所定の「表示エリア」内の任意の位置となる。この「表示エリア」は、HUD装置の設計時の仕様で決まる。
【0029】
このように、「レーザ走査方式」を採用したことにより、表示したい部分以外では、表示の必要がないためLDを消灯したり、光量を低下させたりするなどの措置を取ることができる。
【0030】
これに対して、例えば液晶パネル及びDMDパネルのようなイメージングデバイスで中間像を表現する「パネル方式」では、パネル全体を照明する必要があるため、画像信号としては非表示とするために黒表示であったとしても、液晶パネルやDMDパネルの特性上、完全には0にし難い。そのため、黒部が浮き上がって見えることがあったが、レーザ走査方式ではその黒浮きを無くすことが可能となる。
【0031】
ここで、図5に示されるように、スクリーン30における画像描画領域(「有効走査領域」とも呼ぶ)の周辺領域に、走査光検出部60が設けられている。走査光検出部60は、光偏向器15の動作を検出するために設けられ、信号領域に光が照射されることで走査タイミング(ビームの走査位置)を検出し、環境や経時変化に伴う光偏向器15の特性変化を制御して一定の画質を保つために用いられる。走査光検出部60としては、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタ等を含んで構成される。走査光検出部60の出力信号は、FPGA600に送られる。
【0032】
《光源装置》
以下に、光源部11について詳細に説明する。図6には、光源部11の構成が概略的に示されている。以下では、図6等に示されるαβγ3次元直交座標系を適宜用いて説明する。
【0033】
光源部11は、一例として図6に示されるように、単数あるいは複数の発光点をそれぞれが有する複数(例えば3つ)の半導体レーザ(光源)を備えている。3つの半導体レーザを、それぞれ半導体レーザ111R、111G、111Bと呼ぶ。
【0034】
また、光源部11は、上記3つの半導体レーザに加えて、複数(例えば3つ)のカップリングレンズ112R、112G、112B、複数(例えば3つ)のアパーチャ113R、113G、113B、反射ミラー118、光路合成素子114、光路合成素子115、光路分岐素子119、集光レンズ116、受光素子117aなどを備えている。光源部11の各構成部材は、筐体11aに組み付けられている。なお、図6では、反射ミラー118、光路合成素子114、光路合成素子115、光路分岐素子119は、別体とされているが、これらの少なくとも2つは一体的に設けられても良い。
【0035】
各半導体レーザは、発振波長帯域が互いに異なる端面発光型の半導体レーザ(LD:レーザダイオード)である。すなわち、半導体レーザ111Rは赤色半導体レーザであり、半導体レーザ111Gは緑色半導体レーザであり、半導体レーザ111Bは青色半導体レーザである。ここでは、半導体レーザ111R、111G、111Bの射出方向はいずれも+α方向である。各半導体レーザは、LDドライバ6111が設けられた回路基板200に実装されている。
【0036】
LD111R、111G、111Bから射出された光束Lr、Lg、Lbは、対応するカップリングレンズ112R、112G、112Bにより後続の光学系にカップリングされる。
【0037】
カップリングされた光束は、対応するアパーチャ113R、113G、113Bにより整形される。各アパーチャの開口形状は、光束の発散角等に応じて円形、楕円形、長方形、正方形等、様々な形状とすることができる。
【0038】
アパーチャ113Bを介した光束Lbは、反射ミラー118で−β方向に向けて反射され、光路合成素子114(例えばダイクロイックプリズムやダイクロイックミラー)に入射する。
【0039】
アパーチャ113Gを介した光束Lgは、光路合成素子114で光束Lbと光路合成される。詳述すると、反射ミラー118を介した光束Lbは光路合成素子114の中心を−β方向に透過し、アパーチャ113Gを介した光束Lgは光路合成素子114の中心で−β方向に反射される。
【0040】
そして、光束Lgと光束Lbが合成された合成光束Lgbと、アパーチャ113Rを介した光束Lrとが光路合成素子115(例えばダイクロイックプリズムやダイクロイックミラー)で光路合成され、その合成光束Lrgbが光路分岐素子119に入射される。
【0041】
合成光束Lrgbは、光路分岐素子119(プレート型のビームスプリッタ)で透過光束Lrgb1と反射光束Lrgb2に分岐される。
【0042】
透過光束Lrgb1は、筐体11aの開口の周囲部に該開口を覆うように取り付けられた光透過窓部材5を介して光偏向器15に照射され、スクリーン30上での画像描画(虚像表示)に用いられる。なお、光路分岐素子119と光偏向器15との間の光路上に、例えば光偏向器15側に凹面が向くメニスカスレンズを設置しても良い。
【0043】
反射光束Lrgb2は、集光レンズ116を介して光検出器117に導かれる。光検出器117は、受光した反射光束Lrgb2の光量に応じた信号を後述する信号処理部120を介してLD制御回路700に出力する。光検出器117は、受光素子117aと、該受光素子117aの出力電流を電圧信号(受光信号)に変換する電流電圧変換器117bとを含んで構成される。受光素子117aとしては、例えばフォトダイオード(PD)やフォトトランジスタを用いることができる。
【0044】
電流電圧変換器117bの後段には、受光信号を時間平均する信号処理部120が設けられている。信号処理部120は、ある時間帯Tに入力された受光信号を積算し、その積算値を時間平均し(Tで割って)、LD制御回路700に出力する。なお、信号処理部120は、必須ではなく、電流電圧変換器117bからの受光信号をLD制御回路700に直接出力しても良い。
【0045】
なお、図6から明らかなように、各半導体レーザから光路合成素子115までの光路長は互いに異なる。具体的には、半導体レーザ111Bから光路合成素子115までの光路長が最長であり、半導体レーザ111Rから光路合成素子115までの光路長が最短である。これは、虚像で白を構成する際、RGBの合成比率は約2.5:1:0.5であり、赤の光量が多く必要であり、逆に青の光量は小さくてよいことに由来しており、半導体レーザによる光利用効率の低下を抑制するためである。
【0046】
LD制御回路700は、光検出器117もしくは信号処理部120の出力に基づいて、半導体レーザ毎の変調信号(パルス信号)を生成し、LDドライバ6111に送る。LDドライバ6111は、半導体レーザ毎の変調信号に応じた駆動電流を該半導体レーザに印加する。
【0047】
ここで、半導体レーザの射出光のスペクトル分布は、該半導体レーザの周辺の雰囲気温度、半導体レーザの発光光量に応じて変化し、かつ再現性が乏しい。特に、HUD装置では、車両の周辺環境の明暗のダイナミックレンジが大きいため、それに対応するために要求される発光光量の変動による自己温度の変動が大きくなり、かつ時間や車両の位置によって雰囲気温度が変動するため、発振波長が変動してしまう。すなわち、半導体レーザの発振波長には、「自己温度依存性」と「雰囲気温度依存性」がある。
【0048】
以下では、光源部11、光検出器117、信号処理部120、LD制御回路700、LDドライバ6111を含む装置を「光源装置300」と称する。
【0049】
ところで、所望の色光を生成し、虚像を表示させるには、発振波長が異なる3つの半導体レーザから射出される光(射出光)の波長に基づき、各半導体レーザの射出光のパワーバランスを適切に設定する必要がある。
【0050】
このパワーバランスは、各半導体レーザの射出光の波長に基づき決定されるが、所望のパワーバランスに設定するためには、該半導体レーザの射出光の光量をモニタする必要がある。
【0051】
ところが、HUD装置で用いる半導体レーザは高出力のものが求められるため、低出力の半導体レーザで一般的に採用されているバック光モニタ方式をそのまま転用することは難しい。
【0052】
そのため、本実施形態では、図6のように3つの半導体レーザ111R、111G、111Bからの光を合成し、その合成光を光路分岐素子119で透過光と反射光に分岐し、該反射光を受光素子117aに導光する方式を採用している。
【0053】
ここで、光路分岐素子119として図6及び図7に示されるようなプレート型のビームスプリッタ、すなわち平板状の透過反射部材を用いる場合、細心の注意を払わなければならないのが、透過反射部材の入射側の面(以下では「入射側面」とも呼ぶ)や射出側の面(以下では「射出側面」とも呼ぶ)で反射した光の干渉である。なお、「透過反射部材」は、前述したように入射光の一部を透過させ、残部の少なくとも一部(他の一部)を反射させる部材を意味する。ここでは、透過反射部材の材料を、光学ガラスもしくは光学樹脂としている。
【0054】
この光の干渉について図7を用いて説明する。
図7において、光路分岐素子119への入射ビームBは、光路分岐素子119の入射側面119aで透過ビームBと反射ビームBに分岐される。反射ビームBは、集光レンズ116を介して受光素子117aに入射される。
【0055】
一方、透過ビームBは、一部(ビームB)が光路分岐素子119の射出側面119bを透過して光偏向器15に向かうが、他の一部(ビームB)が射出側面119bで反射される。このビームBの一部(1次裏面反射ビームB−1)は入射側面119aを透過し、ビームBと干渉を起こす。ビームBの他の一部は入射側面119aで再び反射するが、2次裏面反射ビーム、3次裏面反射ビーム、…、は急速にエネルギーを損失していくので、ビームBとの実質的な干渉を考察するうえでは、ビームBの1次裏面反射ビームB−1との干渉だけを考慮すれば充分である。
【0056】
このような干渉が起こると、図8に示されるように、受光素子117aでの受光光量Pmoniは、半導体レーザに注入される電流値ILD(駆動電流の電流値)に応じて線形性が維持されずに、うねったような曲線(関数)になる。この場合、半導体レーザから射出されるビーム(射出光)の光量を適切な光量に設定することができず、結果として所望の色の虚像を生成することができない。
【0057】
ここで、LD制御回路700は、受光素子117aでの受光光量Pmoniをモニタし、半導体レーザから射出されるビーム(射出光)の光量PLDが所望の光量になるようにILDを決定する、すなわち半導体レーザの発光光量を決定する。なお、PmoniとPLDの対応関係は、予め分かっているので、Pmoniをモニタすれば、所望のPLDになるILDを一義的に決定することが可能である。
【0058】
光路分岐素子119によって分岐された2つのビームB、Bにおいて、ビームBの光量をP、ビームBの光量をPとすると、P≫Pとなるように設定するのが好ましい。なぜならば、車外の輝度(季節や昼夜によって)に応じてHUD装置100の虚像の輝度をダイナミックに変える必要があるし、画像に階調を持たせて、様々な色光を生成する必要もあるからである。
【0059】
ところが、光路分岐素子119の入射側面119aの反射率をRin=1%、射出側面119bの反射率をRout=1%とすると、
=P×(1−Rin)×(1−Rout)=0.98P
=P×Rin=0.01P
(但し、光路分岐素子119への入射ビームBの光量をP、光路分岐素子119内部の吸収は無視する。)である。
【0060】
このように入射ビームBの98%の光量がHUD装置100による虚像の生成に用いられるものの、射出側面119bで反射されたビームBの光量をPとすると、
=P×(1−Rin×Rout=0.01P
であり、ほぼPと同じ光量となる。そして、ビームBの1次裏面反射ビームB−1の光量もPとさほど変わらない。
【0061】
このため、ビームBと、ビームBの1次裏面反射ビームB−1が干渉を起こし、図8のような結果をもたらす。
【0062】
受光光量Pmoniから光量PLDを推定する場合、PmoniとILDの関係がPLDとILDの関係を相似変換したものになっている必要がある。つまり、図8のようになっていては、PmoniからPLDを推定することはできない。
【0063】
そこで、発明者らは、鋭意検討の末、光路分岐素子119の厚さdを適切に設定することにより、図8に示されるうねりの振幅が低減し、干渉の成分を無視できることを見出した。
【0064】
つまり、厚さdによって、光路分岐素子119の入射側面119aで反射されたビームBとビームBの1次裏面反射ビームB−1を充分に離間させることができ、そもそも干渉をほとんど(実使用上において無視できる程度に)起こさないようにすることが可能である。
【0065】
この場合には、受光素子117aでの受光光量Pmoniは、半導体レーザに注入される電流値ILDに応じて略線形性を維持することでき(図11参照)、半導体レーザから射出されるビーム(射出光)の光量を適切な光量に設定することができ、結果として所望の色の虚像を生成することができる。
【0066】
具体的には、光路分岐素子119への入射光のビーム径をDとしたときに、
2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]≧0.5×D…(1)
(但し、nは光路分岐素子の屈折率、θは光路分岐素子への入射光の入射角)
を満たすように厚さdを設定することにより、干渉の成分を殆ど無視できる。「ビーム径」は、例えばピーク強度値から1/e(13.5%)に落ちたときの強度での幅と定義することができる。
【0067】
詳述すると、例えばビームBの強度分布がガウス分布であるとき、図23に示されるようにビームBと1次裏面反射ビームB−1の強度分布もガウス分布となる。図23では、ビームBと1次裏面反射ビームB−1は、一部(裾の部分)が重なり、この重なり部分では干渉が起こっているが、ピーク強度と比較して極めて低い強度であるため、ILD−Pmoni特性には影響しない。
【0068】
なお、半導体レーザの射出光の断面が軸対称な形状(きれいな楕円形)であればビーム径を例えば同一面積の円に置き換えて容易に求めることができるが、実際には、射出光の断面形状は多少崩れており、ビーム径を求めるのが困難な場合もある。
【0069】
そこで、「光路分岐素子119への入射光のビーム径」に代えて「アパーチャの開口径」を上記(1)式のDとしても良い。この場合、半導体レーザの射出光の断面形状によらず、厚さdを適切な値に設定することが可能となる。
【0070】
なお、「アパーチャの開口径」は、アパーチャの開口形状が円形である場合はその直径であり、アパーチャの開口形状が例えば楕円形、長方形、正方形等の円形以外の形状である場合はその開口面積と同一面積の円の直径である。
【0071】
また、光路分岐素子119への入射光のビーム径に代えて、光路分岐素子119への入射光の有効ビーム径(Effective Beam Diameter)をDとしても良い。この場合も、半導体レーザの射出光の断面形状によらず、厚さdを適切な値に設定することが可能となる。
【0072】
ここで、「有効ビーム径」は、測定されたビームのピーク強度に対して所定のパーセンテージ(例えば10%〜90%の所定%、好ましくは20%〜80%の所定%、より好ましくは30%〜70%の所定%)以上の強度をもつ部分の面積と等しい面積を、円の面積に置き換え、そのときの直径で定義される。なお、「有効ビーム径」を「アパーチャの開口径」によって設定しても良い。
【0073】
なお、半導体レーザに代えて、例えば面発光レーザ(VCSEL)を用いる場合には、射出光の断面形状が円形になるので、「光路分岐素子119への入射光のビーム径」を、シングルモードの場合にはピーク強度値から1/e(13.5%)に落ちたときの強度での幅と定義し、マルチモードの場合はピーク強度値から1/eに落ちたときの強度での幅や半値幅(ピーク強度値の50%での幅)と定義することが可能である。なお、「ビーム径」を「アパーチャの開口径」によって設定しても良い。無論、面発光レーザを用いる場合に、「光路分岐素子119への入射光の有効ビーム径」や「アパーチャの開口径」をDとしても良い。
【0074】
厚さdを上記(1)式が満足される最小値よりも十分に厚くすることができ、かつビームBと1次裏面反射ビームB−1が環境変動や振動によって受光素子117aからはみ出るようなことがなければ、ILD−Pmoni特性は、図11のようになる。
【0075】
また、厚さdを上記(1)式が満足される最小値よりも十分に厚くすることができれば、ビームBとビームBの1次裏面反射ビームB−1の離間距離が大きくなるので、1次裏面反射ビームB−1を図9に示されるように遮光部材105で遮光する方法を採ることができる。遮光部材105は、光を吸収する材料で構成することが好ましい。なお、遮光部材105は、光を光量モニタや虚像生成に影響しない方向へ反射させる部材としても良い。この場合に、遮光部材105からの光の反射方向に光吸収性を有する部材を配置しても良い。
【0076】
この場合、上記(1)式が満たされ、かつビームBが環境変動や振動によって受光素子117aからはみ出るようなことがなければ、ILD−Pmoni特性は、図11のようになる。
【0077】
しかし、本実施形態のように波長が異なる複数のビームをそれぞれ光路分岐素子119で分岐させる場合、各ビームの光路が異なるので、光路分岐素子119の厚さdをあまり厚くできないこともある。
【0078】
このように厚さdを上記(1)式が満足される最小値よりも十分に厚くすることができない場合には、ビームBと1次裏面反射ビームB−1の離間距離をあまり大きくできないので、ビームBと1次裏面反射ビームB−1を図10のように受光素子117aに入射させる構成を採用しても良い。
【0079】
この場合、上記(1)式が満たされ、かつビームBと1次裏面反射ビームB−1が、環境変動や振動によって受光素子117aからはみ出るようなことがなければ、ILD−Pmoni特性は、図11のようになる。
【0080】
また、光路分岐素子119の厚さdを、上記(1)式を満足するように設定できれば、光路分岐素子119の両面(入射側面119a及び射出側面119b)をノンコート(反射防止膜でコートしないこと)にすることができる。
【0081】
ノンコートによりコストが低減できるメリットがあるが、それ以上に反射防止膜による分光特性を考慮する必要がなくなり、半導体レーザから射出されるビームの波長変動に起因する反射率/透過率の変動を低減できる。
【0082】
反射防止膜の分光特性は、理想的には波長に依存して滑らかに変化することが好ましいが、実際は微小なノイズ成分を有しており(図12参照)、これがILD−Pmoni特性のうねり成分として発現することがある。反射防止膜の分光特性の微小ノイズ成分を低減することは技術的に極めて困難であるため、光路分岐素子119をノンコートにすることができれば、より好ましい形でILD−Pmoni特性を取得することができる。
【0083】
ここで、図13において、光路分岐素子119は屈折率n=1.5の材質で構成されている。この光路分岐素子119に対して入射角θ(=45°)でp偏光の入射ビームBが入射している。光路分岐素子119は両面ともにノンコートであり、入射側面119aの反射率の入射角依存性は図14のようになっている。よって、入射角θ=45°の入射側面119aにおける反射率Rin=0.85%である。
【0084】
また、図13において、射出側面119bに対するビームBの入射角φは、φ=sin−1(sin45°/1.5)=28.13°であり、射出側面119bの反射率の入射角依存性は図15のようになっている。よって、入射角φ=28.13°の射出側面119bにおける反射率Rout=0.85%である。
このとき、
=P×(1−Rin)×(1−Rout)=0.98P
=P×Rin=0.01P
であり、P≫PというHUD装置100にとって理想的な状況を作ることができる。
【0085】
また、このときの光路分岐素子119の厚さdは、ビームB、ビームBそれぞれのビームスポットサイズωが2mmであったので、d=2mmとしている。このとき、2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]=1.51mmとなり、上記(1)式を満たしており、干渉を防止できていることがわかる。
【0086】
上記の例では、光路分岐素子119に対する入射ビームBをp偏光の直線偏光としたが、s偏光とすることもできる。しかし、光路分岐素子119に対して入射角θ(=45°)でs偏光の入射ビームBを入射させると、入射側面119aにおける反射率Rin=9.2%、射出側面119bにおける反射率Rout=9.2%となる。
このとき、
=P×(1−Rin)×(1−Rout)=0.82P
=P×Rin=0.1P
であり、p偏光のときに比べてPが減り、Pが増えてHUD装置100にとって理想的な状況を作ることができない。
【0087】
実際、図15から分かるように、s偏光の反射率は4%以下になることはなく、p偏光と同じ状況を作ることは原理的にできない。仮にRin=5%としても、入射角θ=25°近傍で、光路分岐素子119のレイアウト性を著しく悪くする。
【0088】
このような事情から、光路分岐素子119に対する入射ビームの偏光はp偏光とするのが好ましいことが理解できる。
【0089】
具体的には、半導体レーザが、偏光方向(活性層に平行な方向)がαβ平面に平行になるように配置される場合には、例えば図6のような光路分岐素子119の配置(光路分岐素子119をαβ平面に対して垂直に配置)によって、光路分岐素子119に対する入射ビームBはp偏光となる。
【0090】
一方、半導体レーザが、偏光方向(活性層に平行な方向)がαβ平面に垂直になるように配置される場合には、例えば図20のような光路分岐素子207の配置(光路分岐素子207をαβ平面に対して傾斜して配置)によって、光路分岐素子207に対する入射ビームBはp偏光となる。
【0091】
図6に戻り、LD制御回路700は、波長推定部700a、パワーバランス決定部700b、変調信号生成部700cを含む。
【0092】
波長推定部700aは、光検出器117の出力信号(受光光量に応じた信号)と温度センサ130の出力信号に基づいて、各半導体レーザの射出光の波長を推定する。
【0093】
具体的には、波長推定部700aは、受光素子117aでの受光光量Pmoni(光検出器117の出力信号)をモニタし、Pmoniに対し、半導体レーザから受光素子117aまでの光利用効率ηを演算して、現在の半導体レーザの発光光量Pに変換する(P=Pmoni÷η)。
【0094】
半導体レーザの発振方法としては、HUD装置の虚像としてどのような情報を生成するかによって、さまざまなパルス発振が考えられるが、発光光量Pを「時間平均された時間平均光量」と定義すると、波長の推定が精度よくできることを発明者らは見出した。
【0095】
ここで、波長推定部700aによって推定される波長(推定対象の波長)について説明する。
【0096】
例えば、縦マルチモード発振のスペクトラム分布を発振波長帯域に有している半導体レーザでは、縦単一モード発振する半導体レーザと異なり、何を以ってこの半導体レーザの出射光の波長(推定対象の波長)と定めるかは、非常に難しい。
【0097】
しかし、HUD装置において虚像の色を生成することを考えた場合、推定対象の波長を、縦マルチモードにおけるピーク強度の−20dB以上の強度を有する波長成分を加重平均した波長(以下では「加重平均波長」とも呼ぶ)と定義すると、この波長に基づいたパワーバランスと色生成の相関が非常に高いことが発明者らの検討で分かった。
【0098】
−20dBよりも小さい強度を有する波長成分は、色生成の誤差としては殆んど無視できるし、また加重平均波長であれば、LEDなどで採用されているドミナント波長のように半導体レーザの色座標を求める必要がないので、測定も容易である。
【0099】
一方、縦単一モード発振する半導体レーザでは、単一のスペクトルの波長そのものが推定対象の波長である。
【0100】
ここで、上述の如く半導体レーザの射出光の波長は雰囲気温度依存性があるため、温度センサ130を、半導体レーザの雰囲気温度を取得できる位置に設置するのが好ましい。もちろん半導体レーザが収容されるパッケージ温度をモニタしても良いが、その場合には、その情報から雰囲気温度を抽出するプロセスが必要となり、波長推定精度が低下することが懸念される。
【0101】
また、半導体レーザのパルス発振を高速化するためには、LDドライバ6111と半導体レーザの配線長は短い方が好ましいが、この場合、LDドライバ6111の駆動による発熱が、回路基板200のグランド層を伝搬し半導体レーザの温度上昇を助長する。すなわち、半導体レーザが収容されるパッケージ温度は、雰囲気温度、半導体レーザの温度、LDドライバ6111の温度の3つの温度成分が合成された温度であるため、この温度から雰囲気温度を抽出するのは非常に困難である。
【0102】
そこで、本実施形態では、温度センサ130を、一例として、筐体11a内における各半導体レーザからある程度離れたアパーチャ113Bの近傍に設置している。無論、他のアパーチャ近傍、反射ミラー近傍、光路合成素子近傍、集光レンズ近傍等の他の位置に設けても良いが、いずれにしても半導体レーザの周辺の雰囲気温度を計測するのに適正な距離範囲に設置することが望ましい。
【0103】
温度センサ130としては、半導体レーザ周辺の雰囲気の温度を計測可能な温度センサであれば良く、例えば熱電対、サーミスタ、測温抵抗体、放射温度計等が挙げられる。
【0104】
発明者らは、半導体レーザの種類に拠らず、射出光の波長の温度依存性が線形であることに着目し、この性質を利用することにより半導体レーザの射出光の波長を精度よく推定できることを見出した。
【0105】
そこで、本実施形態では、温度センサ130を用いて半導体レーザの周辺の雰囲気温度をモニタし、かつ光検出器117を用いて半導体レーザの発光光量をモニタすることにより、「雰囲気温度依存性」と「自己温度依存性」の両面から各半導体レーザの射出光の波長を推定することとしている。
【0106】
具体的には、波長推定部700aは、受光素子117aでの受光光量をモニタするのに加えて、温度センサ130での計測温度をモニタし、半導体レーザの射出光の現在の波長を推定する。
【0107】
このとき、半導体レーザの射出光の現在の波長λは、
λ(0):基準波長
α:雰囲気温度係数
:現在の雰囲気温度
(0):基準波長測定時の雰囲気温度
β:光量係数
P:現在の発光光量
(0):基準波長測定時の発光光量
として、次の(2)式で表される。
λ=λ(0)+α×(T−T(0))+β×(P−P(0))…(2)
【0108】
基準波長λ(0)は、上記加重平均波長であることが望ましい。この場合、実質的に現在の波長λも上記加重平均波長となる。
【0109】
上記(2)式を用いることで、現在の雰囲気温度、現在の発光光量がいかなる値であっても、現在の波長λを精度良く推定することができる。
【0110】
基準波長λ(0)は、もし半導体レーザから発振されるパルス条件が常に固定されている場合には、任意の雰囲気温度T(0)、及び任意の光量P(0)における「ある1条件」で取得された波長で良いが、HUD装置100の虚像として生成される情報はさまざまであり、更に車外の輝度に応じてHUD装置100の虚像の輝度も変える必要があることから、パルス発振が1つの条件で固定されているということは一般的に考えにくい。
【0111】
この場合、基準波長λ(0)は、P(0)=0[W]における仮想的な波長と定義するのが好ましい。なぜならば、すべてのパルス条件で共通な状況は、P(0)=0[W]以外にないからである。
【0112】
当然、P(0)=0[W]という状況下で波長を実測することはできないが、図16に示されるようにP、P、…、P、Pと半導体レーザの発光光量を変化させ、それに対応した波長λ、λ、…、λ、λから線形補間することで、P(0)=0[W]における仮想的な波長を求めることができ、これが基準波長λ(0)である。この際、極短時間であれば、雰囲気温度は略一定とみなすことができるため、基準波長の測定誤差はほとんど生じない。
【0113】
なお、図16では、半導体レーザの発光光量を6段階に変化させて各段階で波長を測定しているが、これに限らず、要は、半導体レーザの発光光量を少なくとも2段階に変化させて各段階で波長を測定すれば良い。大抵のLDは線形性が非常に良いため、例えば2段階(低発光光量と高発光光量)で波長の測定を行って得られた2つのプロットを通る直線と縦軸の交点(切片)として基準波長を求めることもできる。
【0114】
また、同一発振波長帯域(同一色)の半導体レーザ間でも、発振波長には±5nm程度の範囲の個体差があるため、個々の半導体レーザについて基準波長の測定を行うことが好ましい。
【0115】
一方、温度係数α、光量係数βは、半導体レーザ毎の個体差がほとんどないため、色毎に一定値に決まる。勿論、波長推定精度を高めるために、温度係数α、光量係数βを個体毎に予め測定して、その測定値を波長推定部700aのファームウェアに書き込んでも良い。
【0116】
図16に示される基準波長を求めるプロセスは、波長測定器(例えばスペクトルアナライザ等)を用いて半導体レーザ毎に行われる。取得された基準波長、基準波長測定時の雰囲気温度、基準波長測定時の発光光量は、上記(2)式に代入される。具体的には、取得された基準波長、該基準波長測定時の雰囲気温度及び発光光量の数値が波長推定部700aのファームウェアに書き込まれる。
【0117】
波長推定部700aは、半導体レーザ111R、111G、111Bから異なるタイミングで射出され受光素子117aで異なるタイミングで受光された光の受光光量Pmoni(赤)、Pmoni(緑)、Pmoni(青)をモニタし、そのモニタ情報から現在の半導体レーザの発光光量P(赤)、P(緑)、P(青)を算出する(P(赤)=Pmoni(赤)÷η(赤)、P(緑)=Pmoni(緑)÷η(緑)、P(青)=Pmoni(青)÷η(青))。
【0118】
そして、波長推定部700aは、温度センサ130での現在の雰囲気温度Tの情報から、各半導体レーザから射出されている光の現在の波長λを、上記(2)式により算出し、その算出結果をパワーバランス決定部700bに送る。
【0119】
パワーバランス決定部700bは、画像データの画素毎の色と3つの半導体レーザの現在の波長に基づいて、該色の光を生成するのに好適な(適正な)パワーバランスとなるように各半導体レーザの発光光量を設定し、その設定値を変調信号生成部700cに送る。
【0120】
具体的には、例えば図17に示される色度図において、3つの半導体レーザ111R、111G、111Bの現在の波長をそれぞれ650nm、515nm、445nmすると、3つの半導体レーザ111R、111G、111Bのうち2つの半導体レーザの発光光量を適当に決めてある色Pを生成し、残る1つの半導体レーザの発光光量を所望の色(ターゲット色)となるよう色Pに応じた適切な値に設定する。図17において650nm、515nm、445nmの3点を頂点とする三角形の中の全ての色を生成可能である。図17の馬蹄形の縁は「スペクトル軌跡」と呼ばれ、波長と色が対応するラインである。
【0121】
変調信号生成部700cは、パワーバランス決定部700bで設定された各半導体レーザの発光光量と画像データに基づいて、該半導体レーザ毎の変調信号を生成し、走査光検出部60からの出力信号に基づく所定のタイミングでLDドライバ6111に出力する。
【0122】
これにより、3つの半導体レーザから射出光のパワーバランスが適正化されて所望の色の合成光が生成され、この合成光により画像描画領域が走査され、所望の色の虚像が表示される。
【0123】
すなわち、画像データの画素毎の色情報を忠実に再現した高品質なカラーの虚像を表示することが可能となる。
【0124】
以上、虚像の色に関して説明したが、虚像の明るさに関しては、例えば自動車の周囲の明るさを取得する照度センサの出力に応じて、3つの半導体レーザ111R、111G、111Bの設定後の発光光量の比を一定に保ちつつ各発光光量を一律に増減することで、虚像を所望の色かつ所望の明るさに制御することが可能である。この際、照度センサの出力が大きいほど、各半導体レーザの発光光量を大きく設定することが好ましい。
【0125】
以下に、本実施形態の光源装置300を用いる色光生成処理(虚像表示処理)について図18を参照して説明する。図18のフローチャートは、LD制御回路700によって実行される処理アルゴリズムに基づいている。この色光生成処理は、例えばHUD装置100が搭載される自動車の電気系統がONになりHUD装置100が起動したときに開始される。HUD装置100が起動すると、光偏向器15が動作を開始する。
【0126】
最初のステップS1では、少なくとも1つの半導体レーザを点灯する。具体的には、変調信号生成部700cが、画像データの各画素の色に応じて点灯対象の半導体レーザの変調信号を生成し、走査光検出部60の出力信号に基づく所定タイミングでLDドライバ6111に出力する。この結果、点灯対象の半導体レーザの変調信号に応じた駆動電流が該半導体レーザに印加され、画像データに応じた画像のスクリーン30への描画、ひいては虚像の表示が開始される。
【0127】
次のステップS2では、所定回走査されたか否かを判断する。具体的には、走査光検出部60の出力信号と光偏向器15の水平走査周波数に基づいて、主走査方向における往復もしくは片道の走査回数をカウントし、カウント数が所定回になったときに、次のステップS3に移行する。すなわち、走査回数が所定回になるまで、待ちの状態となる。なお、「所定回」としては、往復走査単位でカウントする場合には1回〜少なくとも1フレーム分の往復走査の回数で良く、片道走査単位でカウントする場合には1回〜少なくとも1フレーム分の片道走査の回数で良い。
【0128】
ステップS3では、「発光光量設定処理」を実施する。発光光量設定処理の詳細については、後述する。
【0129】
次のステップS4では、少なくとも1つの半導体レーザを設定後の発光光量で点灯する。具体的には、ステップS3で設定された発光光量で点灯対象の半導体レーザを点灯する。これにより、3つの半導体レーザの射出光のパワーバランスが適正となり、所望の色の虚像が表示される。
【0130】
次のステップS5では、処理終了であるか否かを判断する。HUD装置100が搭載される自動車の電気系統がONのとき、ここでの判断が否定されステップS2に戻り、OFFになったとき、ここでの判断が肯定されフローが終了する。
【0131】
なお、上記色光生成処理のステップS2では、所定回走査されたか否かを判断しているが、これに代えて、所定時間が経過したか否かを判断しても良い。
【0132】
以下に、上記色光生成処理のステップS3の「発光光量設定処理」について図19を参照して説明する。図19のフローチャートは、LD制御回路700によって実行される処理アルゴリズムに基づいている。この発光光量設定処理は、走査光が有効走査領域(画像描画領域)に照射されない時間帯(画像描画されない時間帯)、例えば走査光が有効走査領域の周辺領域に照射されるときや、連続するフレーム間の遷移時間に実施される。
【0133】
最初のステップS12では、半導体レーザ毎の時間平均光量を取得する。具体的には、信号処理部120からの、受光信号が時間平均された信号を取得する。
【0134】
次のステップS13では、雰囲気温度を取得する。具体的には、温度センサ130での計測温度を取得する。
【0135】
次のステップS14では、取得された時間平均光量(現在の発光光量)及び雰囲気温度(現在の雰囲気温度)に基づいて各半導体レーザの射出光の波長λを推定する。具体的には、上記(2)式を用いて波長λを推定する。
【0136】
次のステップS15では、推定された波長λに基づいて、各半導体レーザの発光光量を設定する(図17参照)。
【0137】
以上説明した本実施形態の光源装置300は、第1の観点からすると、光源と、該光源からの光の光路上に配置され、該光を整形するアパーチャと、アパーチャで整形された光の光路上に配置され、入射光を透過光と反射光に分岐する平板状の光路分岐素子119(分岐素子)と、を備え、2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]>0.5×Dが成立する。
但し、d:光路分岐素子の厚さ
n:光路分岐素子の屈折率
θ:光路分岐素子に対する入射光の入射角
D:アパーチャの開口径
【0138】
また、本実施形態の光源装置300は、第2の観点からすると、光源と、該光源からの光の光路上に配置され、入射光を透過光と反射光に分岐する平板状の光路分岐素子119(分岐素子)と、を備え、2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]>0.5×Dが成立する。
但し、d:光路分岐素子の厚さ
n:光路分岐素子の屈折率
θ:光路分岐素子に対する入射光の入射角
D:入射光の有効ビーム径
【0139】
また、本実施形態の光源装置300は、第3の観点からすると、光源と、該光源からの光の光路上に配置され、入射光を透過光と反射光に分岐する平板状の光路分岐素子119(分岐素子)と、を備え、2×d×cosθ×tan[arcsin(sinθ÷n)]>0.5×Dが成立する。
但し、d:光路分岐素子の厚さ
n:光路分岐素子の屈折率
θ:光路分岐素子に対する入射光の入射角
D:入射光のビーム径
【0140】
本実施形態の光源装置300によれば、光路分岐素子119の入射側面119aで反射された光と射出側面119bで反射された光の干渉を抑制できる。
【0141】
この場合、光源の発光光量の変化(駆動電流の電流値の変化)に対して反射光の光量を略リニアに(略線形に)変化させることができる。
【0142】
この結果、光源の発光光量を精度良く制御することが可能となる。
【0143】
また、上記第2及び第3の観点からの光源装置300は、光源と光路分岐素子119との間の光の光路上に配置され、該光を整形するアパーチャを更に備え、アパーチャの開口径によってDが設定されても良い。
【0144】
この場合、光源の射出光の断面形状によらず、Dを容易に設定できる。
【0145】
また、光源装置300は、反射光の少なくとも一部を受光する受光素子117aを更に備えることが好ましい。
【0146】
この場合、受光素子117aの受光光量をモニタして、光源の発光光量を精度良く制御することができる。
【0147】
また、光路分岐素子119は、入射側及び射出側のいずれにも反射防止膜を有していないことが好ましい。
【0148】
この場合、入射側や射出側に反射防止膜を有している場合に比べて、分光特性にノイズが載ることを抑制でき、ひいては光源の発光光量変化(駆動電流変化)に対する反射光の光量変化の線形性が崩れるのを抑制できる。
【0149】
また、光源は偏光光源であり、光路分岐素子119に対する入射光が光路分岐素子119に対してp偏光となるように光源及び光路分岐素子119が配置されることが好ましい。
【0150】
この場合、透過光の光量≫反射光の光量とすることができ、例えば虚像生成に用いられる光の光量を十分に確保することができる。
【0151】
また、光源装置300は、反射光のうち、光路分岐素子119の射出側面119bで反射され入射側面119aから受光素子117aに向けて射出された光を遮光する遮光部材105を更に備えていても良い。
【0152】
この場合、光路分岐素子119の入射側面119aで反射された光を受光素子117aに確実に導くことができ、光源の発光光量に応じた反射光の光量の線形性を向上することができる。
【0153】
また、受光素子117aの受光面の大きさは、反射光のうち、光路分岐素子119の入射側面119aで反射された光及び射出側面119bで反射された光を受光可能な大きさに設定されていても良い。
【0154】
この場合、光路分岐素子119の入射側面119aで反射された光及び射出側面119bで反射された光を受光素子117aに確実に導くことができ、光源の発光光量に応じた反射光の光量の線形性を向上することができる。
【0155】
また、光源は複数有り、複数の光源は発光波長が互いに異なり、複数の光源と光路分岐素子119との間の光の光路上に配置され、複数の光源からの光を合成する、光路合成素子114、115を有する合成手段と、を含んでいても良い。
【0156】
この場合、所望の合成光を生成することができる。
【0157】
また、複数の光源は、赤色光を射出する光源、緑色光を射出する光源及び青色光を射出する光源を含む。
【0158】
この場合、所望の色光(単色光もしくは複色光)を生成することができる。
【0159】
また、受光素子117aでの受光光量に基づいて光源からの光の波長を推定する波長推定部700a(推定手段)を更に備えることが好ましい。
【0160】
この場合、装置の大型化を抑制しつつ(例えば波長測定器等の大型の機器を設けることなく)、所望の色光を安定して生成するための情報(光源からの光の波長)を得ることができる。
【0161】
また、光源装置300は、光源の周辺の雰囲気温度を計測する温度センサ130を更に備え、波長推定部700aは、受光光量及び温度センサ130での計測温度に基づいて光源からの光の波長を推定することが好ましい。
【0162】
この場合、光源からの光の波長を安定して精度良く推定できる。
【0163】
また、光源装置300は、波長推定部700aで推定された光源からの光の波長に基づいて、光源の発光光量を設定するパワーバランス決定部700b(発光光量設定手段)を更に備えることが好ましい。
【0164】
この場合、所望の色光を安定して生成することができる。
【0165】
また、光源は、半導体レーザであることが好ましい。すなわち、本発明は、例えばレーザ光のようなコヒーレント光(干渉可能な光)を用いる場合に特に有効である。
【0166】
また、光源装置300と、該光源装置300からの光により画像を形成する光偏向器15(画像形成素子)と、画像を形成した光が照射されるスクリーン30と、を備えるHUD装置100(画像表示装置)によれば、色再現性の良い画像を形成することが可能である。
【0167】
また、HUD装置100は、スクリーン30を介した光をフロントウインドシールド50(透過反射部材)に向けて投射する凹面ミラー40(投光部)を更に備えるため、色再現性の良い虚像を表示することが可能である。
【0168】
また、HUD装置100と、HUD装置100が搭載される移動体と、を備える移動体装置によれば、色再現性の良い虚像による情報を移動体の運転者に提供することができる。
【0169】
[変形例1]
図20には、変形例1の光源装置300Aが斜視図で示されている。
【0170】
この変形例1でも3波長の半導体レーザを用い、色光を生成して虚像を表示する。図20において、符号201(a)、201(b)、201(c)はそれぞれ653nm(赤)、515nm(緑)、453nm(青)の半導体レーザを示す。符号202(a)、202(b)、202(c)はそれぞれカップリングレンズを示す。符号203(a)、203(b)、203(c)はそれぞれアパーチャを示す。符号204は青色半導体レーザ201(c)から放射された青色ビームの光路を折り曲げるミラーを示す。符号205は青色ビームを透過し、且つ緑色半導体レーザ201(b)から放射された緑色ビームを反射する2波長合成素子を示す。符号206は2波長合成素子205から射出された青色ビーム、緑色ビームを透過し、赤色半導体レーザ201(a)から放射された赤色ビームを反射する3波長合成素子を示す。符号207は3波長合成素子206から射出された赤色ビーム、緑色ビーム、青色ビームの一部を反射し、別の一部を透過する光路分岐素子を示す。符号208は集光レンズを示す。符号209は受光素子を示す。
【0171】
各半導体レーザから放射されたビームの波長は不図示の波長推定部によりタイムリーに測定され、その情報に基づいて不図示のパワーバランス決定部により、HUD装置に表示させたい所望の色となる光量が算出され、算出された光量PLD(赤)、PLD(緑)、PLD(青)になるように、受光素子209の受光光量に基づいて、それぞれの半導体レーザに注入すべき電流値ILD(赤)、ILD(緑)、ILD(青)が決定される。
【0172】
各半導体レーザから放射されたビームの直線偏光は、光路分岐素子207に対してはp偏光入射となることが好ましい。一方、2波長合成素子205、3波長合成素子206に対してはs偏光入射となることが好ましい。この場合、2波長合成素子205、3波長合成素子206の合成面における膜の層数を少なくすることができ、該合成面の設計が容易になる。
【0173】
そこで、変形例1では、各半導体レーザは偏光方向(活性層に平行な方向)がαβ平面に垂直となるように配置され、かつミラー204、2波長合成素子205、3波長合成素子206における入射ビーム、及び合成ビームの光路がαβ平面に平行な同一平面上にあり光路分岐素子207で反射されたビームの光路がαβ平面に垂直な方向(+γ方向)に曲げられ集光レンズ208を介して受光素子209へ導光されるレイアウトとされている。
【0174】
以上説明した変形例1の光源装置300Aでも、上記実施形態の光源装置300と同様の作用、効果を得ることができる。
【0175】
なお、図6のような光路分岐素子119の配置でも、光路合成素子115と光路分岐素子119との間の光路上に1/2波長板を配置して偏光を90°回転させることにより、上記変形例1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0176】
[変形例2]
図21には、変形例2の光源装置300Bが示されている。
変形例2の光源装置300Bは、図21に示されるように、図6に示される光源装置300の光路合成素子115を光路分岐素子119で置き換えた構成を有している。
【0177】
すなわち、変形例2の光源装置300Bでは、光路分岐素子119は、光路合成素子としても機能する。
【0178】
詳述すると、合成光束Lgbは、一部が光路分岐素子119の中心を−β方向に透過し、残部が光路分岐素子119の中心で+α方向に反射される。アパーチャ113Rを介した光束Lrは、一部が光路分岐素子119の中心で−β方向に反射され、残部が光路分岐素子119の中心を+α方向に透過する。
【0179】
すなわち、光路分岐素子119から、合成光束Lgbの一部と光束Lrの一部が合成された合成光束Lrgb1が−β方向に出射され、合成光束Lgbの残部と光束Lrの残部が合成された合成光束Lrgb2が+α方向に出射される。
【0180】
合成光束Lrgb1は、筐体11aの開口の周囲部に該開口を覆うように取り付けられた光透過窓部材5を介して光偏向器15に照射され、スクリーン30上での画像描画(虚像表示)に用いられる。なお、光路分岐素子119と光偏向器15との間の光路上に、例えば光偏向器15側に凹面が向くメニスカスレンズを設置しても良い。
【0181】
合成光束Lrgb2は、集光レンズ116を介して光検出器117に導かれる。光検出器117は、受光した合成光束Lrgb2の光量に応じた信号(受光信号)を、波長推定部に出力する。波長推定部は、上記実施形態と同様に受光信号に基づいて半導体レーザの射出光の波長を推定し、その推定結果をパワー決定部に送る。パワー決定部は、波長推定部で推定された波長に基づいて半導体レーザの発光光量を設定し、その設定値を変調信号生成部に送る。変調信号生成部は、パワー決定部から発光光量の設定値に基づいて変調信号を生成し、LDドライバに出力する。LDドライバは、変調信号生成部からの変調信号に応じた駆動電流を生成し半導体レーザに印加する。
【0182】
以上説明した変形例2の光源装置300Bでも、上記実施形態の光源装置300と同様の作用、効果を得ることができる。
【0183】
[変形例3]
図22には、変形例3の光源装置300Cが示されている。
変形例3の光源装置300Cは、上記実施形態の半導体レーザと同様の単一の半導体レーザ(光源)を有している。変形例3でも、射出光の波長を精度良く推定することにより、光源の発光光量を精度良く設定することができる。単一の半導体レーザを有する光源装置の用途としては、例えば二色画像を形成する画像形成装置、二色画像を表示する画像表示装置等が挙げられる。
【0184】
この場合、光源の射出光の波長を波長推定部で推定し、その推定結果に基づいてパワー設定部で発光光量を算出し、その算出結果に基づいて変調信号生成部で変調信号を生成することで、光源を所望の発光光量で点灯させることができ、ひいては所望の色光を生成できる。
【0185】
以上の説明では、半導体レーザの射出光の波長の雰囲気温度依存性と自己温度依存性の両面から射出光の波長を推定したが、例えば半導体レーザの雰囲気温度が略一定と見做せる環境下では、変形例4として、自己温度依存性のみ(受光素子117aの受光光量もしくは平均化光量のみ)に基づいて射出光の波長を推定しても良い。この場合には、温度センサが設けられなくても良い。
【0186】
ここで、「半導体レーザの雰囲気温度が略一定と見做せる環境下」とは、HUD装置100が搭載される車両内の温度が空調によって略一定に保たれる場合や、本発明の光源及び波長推定装置を含む光源装置を備える画像表示装置としての、ヘッドマウントディスプレイ装置、プロンプタ装置、プロジェクタ装置を室内で使用する場合に該室内の温度が空調によって略一定に保たれている場合が想定される。
【0187】
具体的には、次の(3)式を用いて射出光の波長を推定することができる。
λ=λ(0)+β×(P−P(0))…(3)
但し、λ:現在の波長
λ(0):基準波長
β:光量係数
P:現在の発光光量
(0):基準波長測定時の発光光量
【0188】
この場合も、上記実施形態と同様にして基準波長を求めることができる(図16参照)。この場合、縦マルチモード発振する半導体レーザにおいて、推定対象の波長を、例えば上記加重平均波長としても良いし、ピーク強度での波長としても良い。
【0189】
なお、上記実施形態及び各変形例では、受光素子及び温度センサを含む波長推定装置を用いて各半導体レーザからの光の波長を推定しているが、これに限られない。例えば図6図20図21図22において受光素子の後段に波長推定装置の代わりに波長測定器を設けて、各半導体レーザを異なるタイミングで点灯させたときの波長測定器での測定結果(該半導体レーザからの光のスペクトル分布)から波長λ(好ましくは加重平均波長)を算出し、該波長λに基づいて複数の半導体レーザの発光光量を制御しても良い。なお、波長測定器としては、例えば光バンドパスフィルタを利用したスーパーヘテロダイン方式のスペクトルアナライザや、プリズムや回折格子を含む分光器を含んで構成することができる。
【0190】
また、波長推定装置もしくは波長測定器を複数の半導体レーザに対応して複数設けても良い。例えば、各半導体レーザからの光を分岐素子(例えば半導体レーザを収容するパッケージの開口(射出口)を覆うカバーガラスや、ハーフミラーや、ビームスプリッタ等)で分岐して、対応する波長推定装置や波長測定器に入射させても良い。
【0191】
また、半導体レーザとして端面発光型の半導体レーザを用いる場合には、一端面から射出された光を画像形成、虚像表示に用い、他端面から射出された光を対応する波長推定装置や波長測定器に入射させても良い。
【0192】
また、受光素子と波長測定器の双方を設けても良い。すなわち、各半導体レーザからの光の一部を画像形成、虚像表示に用い、他の一部を波長測定器に導き、残部を受光素子に導いても良い。この場合、例えば波長測定器での測定結果に基づいて複数の半導体レーザのパワーバランスを決定し、受光素子での受光光量に基づいて複数の半導体レーザの発光光量(出力)の絶対値を設定しても良い。
【0193】
また、上記実施形態及び各変形例において、波長推定部は、光源装置の構成要素でなくても良い。例えば、光源装置は、光源部11のみから構成することもできる。要は、光源装置は、光源(例えば半導体レーザ)と光路分岐素子119を含んで構成されれば良く、さらにアパーチャを含むことが好ましい。
【0194】
また、上記実施形態及び各変形例では、半導体レーザとしてLD(端面発光型の半導体レーザ)を用いているが、例えば面発光型の半導体レーザ(VCSEL)等の他の半導体レーザを用いても良い。
【0195】
また、上記実施形態及び各変形例では、投光部は、凹面ミラー40から構成されているが、これに限らず、例えば、凸面鏡から構成されても良い。
【0196】
また、上記実施形態及び各変形例では、走査ミラー20を有しているが、有していなくても良い。すなわち、光偏向器15で偏向された光を、光路を折り返さずに、スクリーン30に直接照射もしくは凸面レンズを介して照射するようにしても良い。また、走査ミラー20として平面鏡を用いても良い。
【0197】
また、上記実施形態及び各変形例では、画像表示装置(HUD)は、例えば車両、航空機、船舶等の移動体に搭載用のものとして説明したが、要は、物体に搭載されるものであれば良い。なお、「物体」は、移動体の他、恒常的に設置されるものや運搬可能なものを含む。
【0198】
また、本発明は、上記実施形態で説明したようにHUD装置への適用が好適であるが、HUD装置のみならず、例えばヘッドマウントディスプレイ装置、プロンプタ装置、プロジェクタ装置への適用も可能である。この場合も、所望の色光を生成することが可能である。
【0199】
例えば、プロジェクタ装置に適用する場合には、該プロジェクタ装置をHUD装置100と同様に構成することができる。すなわち、凹面ミラー40を介した画像光を映写幕や壁面等に投影すれば良い。なお、凹面ミラー40を設けずにスクリーン30を介した画像光を映写幕や壁面等に投影しても良い。また、凹面ミラー40の代わりに自由曲面ミラーを用いても良い。
【0200】
また、本発明の光源装置、画像表示装置及び物体装置は、上記実施形態及び各変形例で説明した具体的な構成に限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0201】
15…光偏向器(画像形成素子)、30…スクリーン、40…凹面ミラー(投光部)、50…フロントウインドシールド(透過反射部材)、100…HUD装置(画像表示装置)、105…遮光部材、113R、113G、113B…アパーチャ、114…光路合成素子(合成手段の一部)、115…光路合成素子(合成手段の一部)、117a…受光素子、119…光路分岐素子(分岐素子)、111R、111G、111B…半導体レーザ(光源)、300、300A、300B、300C…光源装置、700a…波長推定部(推定手段、光源装置の一部)、700b…パワーバランス決定部(発光光量設定手段、光源装置の一部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0202】
【特許文献1】特許第5304380号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23