(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吹き出し口は、前記第1プレート及び前記第2プレートで同形及び同配置であって、前記操作手段によって前記移動手段を操作し、前記第1プレート及び前記第2プレートを相対的に移動させて前記吹き出し口の重複状態を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体集積回路測定用ソケット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の半導体集積回路測定用ソケット、半導体集積回路測定システム、及び半導体集積回路測定用ソケットの付着物の除去方法について説明する。本実施形態では、被測定ICソケットのポゴピンにエアーを吹き付けてポゴピンの付着物を取り除くことを特徴とするものである。そこで、以下には図面を参照し、本発明の実施形態に係る各実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1に係る被測定ICソケット(半導体集積回路測定用ソケット)100の概略構成図、
図2は
図1における被測定ICソケット100のソケット土台1の底面図である。また、
図3はソケット土台1の側面図、
図4は
図1における被測定ICソケット100の蓋31を正面から見た概略構成図である。
【0013】
図1は、被測定IC51を載せるためのソケット土台1と蓋31との関係を示している。
図1において、被測定ICソケット100のソケット土台1は、土台本体2と、ストッパ3と、ポゴピン5を装着するポゴピン装着部7と、第1ピン9及び第2ピン11とを備え、平面視正方形状に形成されている。
【0014】
ストッパ3は土台本体2の前後の側面の両側にそれぞれ一対設けられている。ストッパ3は、土台本体2の前後の側面から突出した突起13に支持されている。ストッパ3の内側の上部には内側に向かって支持腕15が突設され、その先端に蓋31を押さえるための軸部材17が設置されている。軸部材17は
図3に示すように対となるストッパ3間に支持され、土台本体2とストッパ3と軸部材17の相対的関係が保持される。
【0015】
また、前後のストッパ3は、軸部材17と一体になって上記突起13を中心として所定範囲揺動可能となっている。揺動範囲は、
図1においては、矢印で示すように時計回り方向若しくは反時計回り方向に、
図3では前後方向の所定範囲、例えば90度前後の角度範囲である。
【0016】
土台本体2の上面6には平面視正方形の凹部からなるIC収容部(収容部)19が形成され、IC収容部19の底面にポゴピン(スプリングプローブ)5を装着するポゴピン装着部7が設けられている。
図1はポゴピン5が装着された状態を示す。また、土台本体2の上面6と下面8とには、それぞれ第1ピン9と第2ピン11とが正方形の対角線上にそれぞれ一対突出した状態で設けられている。第1ピン9及び第2ピン11は、左右非対称に配置しておけば、位置が一義に決まるが、左右対称でもよく、配置位置は
図2に示した位置に限定されない。第1ピン9は蓋31との間の位置決めに、第2ピン11は電気的特性評価ボード25との位置決めに、それぞれ用いられる。
【0017】
なお、電気的特性評価ボード25はソケット土台1の下方に配置され、第2ピン11が挿入され、土台本体2との間を位置決めするための位置決め孔27が、第2ピン11と対応した位置に設けられている。また、ソケット土台1の土台本体2には、熱伝導率の低い、又は非導通の素材が用いられる。
【0018】
蓋31は、銀、銅、アルミニウム、鉄等の熱伝導率が高い素材から成り、
図4に示すように蓋本体38、第1プレート33、及び第2プレート35を備えている。蓋本体38の上面37には、上記軸部材17が嵌入して蓋31をソケット土台1側に押さえ込むための凹溝39が設けられている。この凹溝39には、ストッパ3の支持腕15が蓋本体38の上面37の側に回動したときに嵌入し、蓋31をソケット土台1に対して固定する。その際、第1プレート33及び第2プレート35はソケット土台1の上記IC収容部19内に入り込んで、後述する被測定IC51をポゴピン5に押し付ける。
【0019】
すなわち、第1プレート33はIC収容部19に挿入された被測定IC51をポゴピン5側に押し付ける機能を備えている。第1プレート33と第2プレート35とは、正方形の同一形状であって、それぞれ後文で
図5を参照して説明する同一位置に同一径の第1吹き出し口32と第2吹き出し口34とを多数(ポゴピン5と同数)備えている。また、外形は、上記IC収容部19内に挿入された被測定IC51を当該IC収容部19内でポゴピン5側に押し付けることができる寸法となっている。IC収容部19は、被測定IC51をずらすことなく当該IC収容部19内に保持できる形状に設定されている。第2プレート35は、固定された第1プレート33に対してIC収容部19内で相対的に移動させることが可能になっており、多数の第1吹き出し口32を閉鎖し、全開まで所望の開度でエアーを通すことができるようになっている。なお、本実施例では、第1吹き出し口32と第2吹き出し口34との数はポゴピンと同数であるが、異なる数でもよい。
【0020】
蓋本体38内には、第2プレート35の図において上面側にエアーを送り込むためのエアー通路41と、このエアー通路41にエアーを供給するためのエアー供給接続部43とが設けられている。エアー供給接続部43は接続金具から構成され、エアーチューブなどのエアー供給管を接続して、外部からエアーをエアー通路41に供給するためのものである。このエアーの供給の断接及び供給量の調整は、スイッチとしても機能するエアー供給レバー45によって行われる。
【0021】
エアー供給レバー45は、操作角を変えることにより第2プレート35を
図1において例えば矢印方向に移動させることができる。これにより、エアー通路41からのエアー供給を遮断し、あるいは開度を変えてエアー供給量を制御し、エアーの吹き付け量を変えて被測定IC51のコンタクトピンについたハンダくずなどの付着物を除去することができる。エアー供給レバー45の操作は、蓋本体38の上面側から手動で行えるようになっている。なお、手動に代えてモータ等の駆動源からの駆動力を利用し、機械的に駆動するように構成することも可能であり、ボタンによって操作するように構成することも可能である。
【0022】
なお、ここでは、エアー(空気)を吹き付けるようになっているが、例えば空気を構成する元素の気体、例えば、酸素、窒素、炭酸ガスなどでもよい。
【0023】
また、IC収容部19には、常温のエアーを流す他に、ポゴピン5の汚れの種類によって違う温度のエアーを流すように構成することもできる。例えば、粘着率が高い汚れの場合は、高温のエアーで吹き飛ばし、通常の汚れの場合は、常温のエアーで吹き飛ばすというようにする。また、IC収容部19に連通する部分に被測定IC51の測定装置(後文で
図13を参照して説明する半導体装置71)に使用されるバキューム装置の機能を利用し、エアーを吹き付けると同時に、付着物を吸い込むように構成することもできる。
【0024】
蓋本体38の下面36には、位置決め穴46が設けられている。位置決め穴46は、ソケット土台1の土台本体2の上面に突出した第1ピン9が挿入され、蓋本体38及びソケット土台1間の位置決めを行うためのものである。これにより、
図1に示した電気的特性評価ボード25、ソケット土台1、被測定IC51、蓋31の4つの部材を位置決めされた状態で一体にすることができる。
【0025】
その際、
図1に示すように、ストッパ3を図中の左右両側に開いて配置し、被測定IC51をIC収容部19に装着し、蓋31を凹溝39がストッパ3の軸部材17と平行になるようにしてソケット土台1に被せる。そして、ストッパ3を図中の左側は反時計回り方向に、右側は時計回り方向にそれぞれ回転させ、支持腕15が蓋31の上面37側に至れば、軸部材17が凹溝39に嵌り、上記4部材の相対的な位置を変えることなくこれらを一体化することができる(後文で
図14を参照して説明する状態となる)。
【0026】
図5は蓋31を側面から見た概略構成図である。
【0027】
図5において、エアー供給レバー45の操作により、第2プレート35を蓋本体38の下面36に対して平行に、第1プレート33の対角線上に沿って移動させることができる。本実施例では、エアー供給レバー45を操作し、第1吹き出し口32と第2吹き出し口34との位置を相対的に変化させてエアーの吹き付け量を後述するように4段階で変えることができる。4段階とは、「ストップ状態」、「エアー弱」、「エアー中」、及び「エアー強」のエアー停止、弱風、中風、強風の相対的な4つの状態をここでは意味している。
【0028】
図6は
図5に示した蓋31を上面から見た概略構成図である。
【0029】
図6において、エアー通路41はエアー供給接続部43から供給されたエアーを第2プレート35及び第1プレート33側に供給する。但し、
図6では、エアー通路41が蓋31の上面37に対して開放された空間のように見えるが、実機では、閉鎖空間であり、外部から見ることはできない。
【0030】
図7は第1プレート33及び第2プレート35を示す平面図である。
【0031】
第1プレート33と第2プレート35とは、本実施例では、装着されるポゴピン5と対向する位置に、同じ数の第1吹き出し口32と第2吹き出し口34とを備えている、これにより、エアーを各ポゴピン5に対して均一に吹き付けることができ、ハンダかすを均等に吹き飛ばすことが可能となる。
【0032】
図8ないし
図11は、実施例1に係る被測定ICソケット100でエアーの吹き付けを制御するときの2枚のプレート33、35の相対的配置を示す図である。
【0033】
図8は、エアーを「ストップ状態」としたときの2枚のプレート配置を示す図である。
図7に示した第1プレート33と第2プレート35とを重ね合わせ、外形、第1吹き出し口32と第2吹き出し口34とが全て合致する位置(
図11の状態)から対角線61方向に、第1吹き出し口32及び第2吹き出し口34が重なり合わない位置まで(吹き出し口の直径分)少しずらした状態である。この
図8の状態が、エアーをストップ(遮断)させる状態である。この状態を、蓋31の内部で作り出すことにより、IC収容部19においてポゴピン5側へのエアーの吹き付けを遮断している。
【0034】
図9は、エアーを強風で吹き付けるときの2枚のプレート33、35の配置を示す図である。
図9では、
図8のエアーストップ状態から、矢印63方向に第2プレート35を対角線61に沿って第2吹き出し口34と第1吹き出し口32とが小さな開口面積で重なり合う方向にずらしている。開口量は、エアーを強風で吹き付けることができる予め設定された値であり、この開口量に応じてずらす量が設定される。
【0035】
図10は、エアーを中風で吹き付けるときの2枚のプレート33、35の配置を示す図である。
図10では、
図9のエアーを強風で吹き付ける状態から、矢印63方向に第2プレート35を対角線61に沿って第2吹き出し口34と第1吹き出し口32とが中程度の開口面積で重なり合う方向にずらしている。開口量は、エアーを中風で吹き付けることができる予め設定された値であり、
図9の状態から
図10の状態に移行する開口量の差に応じてずらす量が設定される。
【0036】
図11は、エアーを弱風で吹き付けるときの2枚のプレート配置を示す図である。
図11では、
図10のエアーを中風で吹き付ける状態から、矢印63方向に第2プレート35を対角線61に沿って第2吹き出し口34と第1吹き出し口32とが全開の開口面積で重なり合う方向にずらしている。開口量は、エアーを弱風で吹き付けることができる全開であるので、
図10の状態から
図11の状態に移行する開口量の差に応じてずらす量が設定される。上記各開口量の設定は、前述した通りエアー供給レバー45の操作により行われる。すなわち、エアー供給レバー45は4段階の操作が可能となっている。
【0037】
なお、本実施例では、第2プレート35を対角線61に沿って移動させているが、第1吹き出し口32と第2吹き出し口34とを重ね合わせた開口面積を変更し、エアーを上記4段階に分けて吹き出すことができれば、どの方向に移動させるように構成してもよい。
図12は、ソケット土台1を斜め上側から見た斜視図である。
図12では、ストッパ3及び第1ピン9は省略している。
【0038】
図12において、ソケット土台1の土台本体2の中央部には、IC収容部19が形成され、凹部底面にポゴピン5を装着するポゴピン装着部7が設けられている。IC収容部19には、ポゴピン装着部7を横切る方向に延在して逃げ溝29が切溝され、第1プレート33及び第2プレート35側からポゴピン5に吹き付けられたエアーの逃げ道として機能している。したがって、エアーによって吹き飛ばされたハンダくずは、この逃げ溝29を通って外部に排出される。なお、逃げ溝29の方向は任意であり、本実施例に限定されるものではなく、ハンダくず若しくはゴミを外部に逃がすことができる機能を備えていればよい。したがって、この逃げ溝29からバキュームするように構成してもよい。
【0039】
図13は、被測定IC51の測定検査(所謂テスト)に本実施例に係る被測定ICソケット100を使用した半導体集積回路測定システム70の全体の構成を示すブロック図である。
【0040】
図13において、半導体集積回路測定システム70は、基本的に被測定IC51の測定検査を行う測定装置としての半導体装置71、測定検査の結果を判定するテスト判定回路73、制御回路75、及び低温・高温送風機79から構成されている。制御回路75は、低温・高温送風機79の制御と各被測定IC51に通電してテストするためのスイッチ制御77を実行する制御手段である。制御回路75は被測定ICソケット100の蓋31内に設けられており、スイッチ制御77も蓋31内で行われる。土台本体2のIC収容部19に装着された被測定IC51に対して個々の被測定ICソケット100に設けられた制御回路75によってスイッチ制御77及び送風制御を行うことができるようになっている。
【0041】
半導体集積回路測定システム70で被測定IC51の測定検査を行う場合には、被測定IC51を測定する半導体装置71で、被測定IC51を測定検査し、良品と不良品を選別する。テスト判定回路73には、半導体装置71から測定検査の結果に基づいて良品と不良品を選別した選別結果が送信されてくる。テスト判定回路73は、送信されてきた選別結果を蓄積する。そして、この蓄積した結果に基づいて、例えば連続エラーについて回数を設定するなどの、所望の検査若しくは選別のための条件を定義することができる。
【0042】
テスト判定回路73は、定義された条件を超えた場合、制御回路75に当該条件を超えたことを示す信号を送信する。この信号を受信した制御回路75は、被測定IC51に対しスイッチ制御77を行うと共に、適宜低温・高温送風機79を制御し、IC収容部19内に一定のエアーを送る。なお、送風制御において、低温のエアーとするか高温のエアーとするかは、前述の通りである。
【0043】
図14はエアーの吹き付けを行うときの実施例1に係る被測定ICソケット100の全体の構成を示す図である。
【0044】
図14は蓋31を完全に閉じる直前の状態を示している。この状態からストッパ3の軸部材17が凹溝39に嵌まり込むことにより、土台本体2に蓋31が固定される。ポゴピン5に対するエアーの吹き付けは、
図14の状態から蓋31が完全に土台本体2に固定された状態で行われる。このとき、被測定IC51はIC収容部19内には存在していない。
【0045】
この状態で、エアー供給レバー45を適宜操作し、第2プレート35の第2吹き出し口34の群と第1プレート33の第1吹き出し口32の群とを重なり状態とする。エアー供給接続部43からエアー通路41に導かれたエアーは、第2プレート35の第2吹き出し口34の群と第1プレート33の第1吹き出し口32の群とを通ってIC収容部19内のポゴピン5に吹き付けられる。これにより、ポゴピン5に付着していたハンダくず及びIC収容部19内に存在していたハンダくずなどの付着物は吹き飛ばされることになる。ゴミの場合も同様である。吹き飛ばすエアーの強弱を調整可能なことは前述の通りである。
【0046】
また、ポゴピン5に付着しているハンダくずを吹き飛ばす際に、被測定IC51が搭載されている基板へのハンダくずの飛散を防止するための収容部を被測定ICソケット100の内部に設けた構成としてもよい。バキューム機能で吸った場合には、付着物の集積部を設けておけばよい。
【実施例2】
【0047】
図15はハンダくずを検出するセンサを設けた実施例2に係る被測定ICソケット101を正面から見た概略構成図である。
【0048】
実施例2に係る被測定ICソケット101は、実施例1に係る被測定ICソケット100のソケット土台1における土台本体2に対して、IC収容部19内のハンダくず若しくはゴミなどの付着物を検出するための赤外線センサ81と、付着物を検出したときに、付着物があることを外部に報知するランプ83と、を設けたものである。その他の各部の構成は、実施例1と同様なので、対応する各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。赤外線センサ81は、
図15においてIC収容部19の左右の内面の2箇所に設けられ、ポゴピン5のハンダくず等の付着を、ポゴピン5の群を2分してチェックできるようになっている。
【実施例3】
【0049】
図16は実施例3に係る被測定ICソケット(半導体集積回路測定用ソケット)102の概略構成図、
図17は
図16における被測定ICソケット102の蓋31′を正面から見た概略構成図である。
図18は
図17における蓋31′のストッパ枠48と操作バーとの係合関係を説明する図である。
【0050】
実施例3に係る被測定ICソケット102は、実施例1の被測定ICソケット100と比べた場合、ソケット土台1及び電気的特性評価ボード25の構造は同じであるため、対応する各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略し、相違点を説明する。ここでは熱伝導率の高い素材の蓋31′のエアーを吹き付けるための細部構造が変更されている。
【0051】
具体的に云えば、第2プレート35′はエアー供給レバー45の操作によりずらすことができ、エアーを止めたり、出したりするエアー制御を行う機能は同じであるものの、肉厚が薄くなっている。また、第1プレート33′は複数枚(N枚)のプレートを重ねた多層構造となっている。第2プレート35′及び第1プレート33′の周囲に設けられたストッパ枠48は内側がテーパ状に隆起した形状となっており、これらの第2プレート35′及び第1プレート33′の動きを規制する。ストッパ枠48の一部に係合される操作バー47を操作することで第1プレート33′のN枚のプレートが連動して動き、様々な角度からエアーを吹き付けられる仕組みとなっている。このため、第1プレート33′のN枚のプレートにはポゴピン5に向かってエアーの吹き出し口が狭まるように大きさの異なる吹き出し口が設けられ、積層状態で逆円錐形状を成す構造となっている。この構造の詳細については後述する。
【0052】
図18を参照すれば、操作バー47は蓋31′の蓋本体38′の内部及びストッパ枠48の内部を通るもので、ストッパ枠48の一部には規制空洞48aが設けられ、操作バー47の下方には曲がり操作部47aが延在して設けられている。操作バー47は曲がり操作部47aの軸中心47bと規制空洞48aにおけるストッパ枠48の底面側の空洞基底中心48bとが一致した位置から蓋本体38′の厚さ方向における曲がり操作部47aの寸法分、押し込んだり引いたりできる。蓋本体38′の内部に設けられる空洞とストッパ枠48の規制空洞48aとは、操作バー47を押し込んだり引いたりする操作以外にも回すことができるように操作バー47よりも大き目に形成してある。何れにしても、操作バー47を操作することで第1プレート33′のN枚のプレートをストッパ枠48の内壁に当接する位置まで移動させることができる。
【0053】
図19は、
図16における蓋31′を側面から見た概略構成図である。但し、ここでは
図19の状態を90度或いは270度回転させた様子に該当する。
【0054】
図19において、第1プレート33′のN枚のプレートにはポゴピン5に向かってエアーの吹き出し口が狭まるように大きさの異なる吹き出し口が設けられ、積層状態で上述したように第1吹き出し口32′が逆円錐形状を成す。エアー供給レバー45を手動で操作すれば第2プレート35′の第2吹き出し口34′が移動し、操作バー47を手動で操作すれば第1プレート33′の第1吹き出し口32′の逆円錐形状が変形する。第1吹き出し口32′が逆円錐形状のとき、一番上のプレートの吹き出し口と重なり合う場合にはエアーを吹き出す。これに対し、操作バー47を操作して第1プレート33′のN枚のプレートを斜め方向にずらすようにして逆円錐形状を変形させればエアーの吹き出しをストップさせることができる。
【0055】
図20は、
図19における蓋31′の積層構造の第1プレート33′についての第1吹き出し口32′の変形及び複数枚(ここではN=6)のプレート33′‐1〜33′‐6の吹き出し口の様子を例示した概略図である。
【0056】
図20において、第1吹き出し口32′は定常状態で逆円錐形状である。操作バー47を操作して逆円錐形状を変形させれば、例えば右寄り傾斜逆円錐形状の第1吹き出し口32′aとなったり、或いは左寄り傾斜逆円錐形状の第1吹き出し口32′bとなる。また、円板状の第1プレート33′を構成する一番下のプレート33′‐1には最小の吹き出し口32′‐1が設けられている。その上のプレート33′‐2には二番目に小さい吹き出し口32′‐2が設けられ、その上のプレート33′‐3には三番目に小さい吹き出し口32′‐3が設けられている。更に、その上のプレート33′‐4には三番目に大きい吹き出し口32′‐4が設けられている。その上のプレート33′‐2には二番目に大きい吹き出し口32′‐5が設けられ、一番上のプレート33′‐6には一番大きい吹き出し口32′‐6が設けられている。すなわち、吹き出し口32′‐1〜32′‐6は徐々に口径が大きくなっている。
【0057】
図21は
図19に示した蓋31′を上面から見た概略構成図である。但し、
図21では第1プレート33′については
図20を参照して説明した最大の吹き出し口32′‐6を有する一番上のプレート33′‐1に該当する第1吹き出し口32′を示している。
【0058】
図21ではストッパ枠48の一部の規制空洞48a内に操作バー47が挿入された様子以外に、第1プレート33′及び第2プレート35′の周囲にストッパ枠48が設けられ、第1プレート33′及び第2プレート35′の移動を規制する様子を示している。また、ここでのエアー通路41についても、実機では閉鎖空間であり、外部から見ることはできない。
【0059】
図22は蓋31′の第1プレート33′の底面図である。
図22では
図20を参照して説明した最小の吹き出し口32′‐1を有する一番下のプレート33′‐1に該当する第1吹き出し口32′を示している。
【0060】
図23は被測定ICソケット102でエアーをストップ状態としたときの2枚のプレート33′、35′の配置を示す図である。
図24は被測定ICソケット102でエアーを吹き付け状態としたときの2枚のプレート33′、35′の配置を示す図である。各図共、第1プレート33′については
図20を参照して説明した最大の吹き出し口32′‐6を有する一番上のプレート33′‐1に該当する第1吹き出し口32′を示している。
【0061】
図23において、エアー供給レバー45や操作バー47を適宜操作し、第1プレート33′及び第2プレート35′を移動させて第1吹き出し口32′及び第2吹き出し口34′が重なり合う位置から斜め方向に少しずらす。これにより、第1吹き出し口32′及び第2吹き出し口34′が重なり合わない位置を蓋31′の内部で作り出すと、エアーをストップ状態にできる。
【0062】
図24において、エアー供給レバー45や操作バー47を適宜操作し、第1プレート33′及び第2プレート35′を移動させて第1吹き出し口32′及び第2吹き出し口34′が重なり合う位置にずらす。これにより、第1吹き出し口32′及び第2吹き出し口34′が重なり合う位置を蓋31′の内部で作り出すと、エアーを吹き出し状態にできる。
【0063】
図25はエアーの吹き付けを行うときの実施例3に係る被測定ICソケット102の全体の構成を示す図である。
【0064】
図25は蓋31′を完全に閉じる直前の状態を示している。この状態からストッパ3の軸部材17が凹溝39に嵌まり込むことにより、土台本体2に蓋31′が固定される。ポゴピン5に対するエアーの吹き付けは、
図25の状態から蓋31′が完全に土台本体2に固定された状態で行われる。このとき、被測定IC51はIC収容部19内には存在していない。
【0065】
この状態で、エアー供給レバー45や操作バー47を適宜操作し、第2プレート35′の第2吹き出し口34′の群と第1プレート33′の第1吹き出し口32′の群とを重なり状態とする。エアー供給接続部43からエアー通路41に導かれたエアーは、第2プレート35′の第2吹き出し口34′の群と第1プレート33′の第1吹き出し口32′の群とを通ってIC収容部19内のポゴピン5に吹き付けられる。このとき、ポゴピン5に付着していたハンダくず及びIC収容部19内に存在していたハンダくずなどの付着物は様々な角度からのエアーの吹き付けにより吹き飛ばされることになる。ゴミの場合も同様である。吹き飛ばすエアーの角度を調整可能なことは前述の通りである。
【0066】
また、ここでもポゴピン5に付着しているハンダくずを吹き飛ばす際に、被測定IC51が搭載されている基板へのハンダくずの飛散を防止するための収容部を被測定ICソケット102の内部に設けた構成としてもよい。バキューム機能で吸った場合には、付着物の集積部を設けておけばよい。
【実施例4】
【0067】
図26はハンダくずを検出するセンサを設けた実施例4に係る被測定ICソケット103を正面から見た概略構成図である。
【0068】
実施例4に係る被測定ICソケット103は、実施例3に係る被測定ICソケット102のソケット土台1における土台本体2に対して、IC収容部19内のハンダくず若しくはゴミなどの付着物を検出するための赤外線センサ81と、付着物を検出したときに、付着物があることを外部に報知するランプ83と、を設けたものである。その他の各部の構成は、実施例3と同様なので、対応する各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。赤外線センサ81は、
図26においてIC収容部19の左右の内面の2箇所に設けられ、ポゴピン5のハンダくず等の付着を、ポゴピン5の群を2分してチェックできるようになっている。
【0069】
図27は、実施例2における被測定ICソケット101と実施例4における被測定ICソケット103とに共通する制御手順を示すフローチャートである。
【0070】
図27に示す制御手順は、
図13を参照して説明した半導体集積回路測定システム70において、赤外線センサ81を使用して付着物を除去するもので、テスト判定回路73で設定した条件に基づいて行われる。ここでは、例えば、ゴミ有無判定処理スタート(ステップS101)で検知するゴミ(付着物)の大きさ、検出時間等を設定し、その設定条件に基づいて以下の処理が実行される。
【0071】
この処理では、まず、ポゴピン5に赤外線センサ81から検出用の赤外線を照射してポゴピン5にセンサ照射(ステップS102)を行う。赤外線センサ81としては実施例2及び実施例4では、反射型センサを用いているが、透過型のセンサを用いることもできる。
【0072】
次いで、赤外線センサ81によってゴミを検知したか否かの判定(ステップS103)を行う。この判定の結果、ステップS101で設定した大きさのハンダくず等が検知できなければ(ステップS103:NO)、ゴミなしと判断(ステップS105)してから制御を終了(ステップS108)する。その後、
図13に示した半導体装置71によって被測定IC51のテストを開始する。
【0073】
一方、上述した判定の結果、設定した大きさのハンダくず等を検知した場合には(ステップS103:YES)、ゴミありと判断(ステップS104)した後、ポゴピン5にゴミが付着していることのお知らせとして、ランプ83を点灯する(ステップS106)。このランプ点灯により作業者にポゴピン5にハンダくず等のゴミが付着していることを報知する。
【0074】
これを見た、検査員は、エアー供給レバー45や操作バー47を適宜操作し、手動でエアーをIC収容部19内のポゴピン5に対して必要に応じて様々な角度で吹き付け(ステップS107)、ポゴピン5に付着しているハンダくず等を吹き飛ばす。その後、もう一度ゴミが付着していないかをチェックするためにステップS102へ戻り、以降の処理を繰り返す。そして、ゴミを検知したか否かの判定(ステップS103)の結果、ゴミが検知されなくなるとランプ83が点灯している場合には消灯し、ゴミなしと判断(ステップS105)された時点で、制御を終了(ステップS108)する。この後は、前述のように被測定IC51のテストを開始する。これにより検査員は、ゴミがなくなったこと、及びテストが開始されたことを認識することができる。
【0075】
なお、テスト判定回路73は、実施例1及び実施例3では、連続エラー回数から吹き付けの是非を判定する判定手段として機能し、実施例2及び実施例4では、ゴミ(付着物)大きさから吹き付けの是非を判断する判断手段として機能している。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、以下の説明では、特許請求の範囲における各構成要素と実施例1及び実施例2の各部とを対応させ、用語が異なる場合には、後者をかっこ書きで示す。
【0077】
(1)半導体集積回路測定用ソケット(被測定ICソケット100)は、各構成要素と被測定半導体集積回路(被測定IC51)のそれぞれの電極と接触する接触端子(ポゴピン5)と、ソケット本体(土台本体2)に設けられ、接触端子を保持し、被測定半導体集積回路を収容する収容部(IC収容部19)と、を備える。その他、収容部を覆う蓋31と、収容部内で接触端子に気体を吹き付け、接触端子に付着した付着物を除去する吹き付け手段(第1プレート33、第2プレート35、エアー通路41、エアー供給接続部43)と、を備えている。エアー供給レバー45を操作することでエアー供給量を制御し、半導体集積回路の測定装置を用いた測定検査状態で被測定IC51のコンタクトピンに付着された付着物を除去できる。なお、ここでの半導体集積回路の測定装置は、
図13を参照して説明した半導体集積回路測定システム70の被測定IC51の半導体装置71が該当する。また、被測定IC51を取り外した後にポゴピン5にエアーを吹き付けてポゴピン5に付着された付着物を除去する。これにより、接触端子(ポゴピン5)に付着したハンダくずやゴミなどの付着物を接触端子のショートを招くことなく除去できる。このため、付着物の除去作業における半導体集積回路の測定装置の故障を防止することができる。
【0078】
(2)(1)における吹き付け手段は、接触端子(ポゴピン5)の被測定半導体集積回路(被測定IC51)との接触部と対向する面にエアーの吹き出し口(第1吹き出し口32)を備えている。これにより、接触端子の正面側からエアーを吹き出して付着物を除去することができる。
【0079】
(3)(2)における吹き付け手段(第1吹き出し口32)は、接触端子(ポゴピン5)のそれぞれに対向する位置において、当該接触端子の数と同じ数が設けられているので、接触端子の全数に対して確実にエアーを吹き付けることができる。
【0080】
(4)(2)又は(3)における吹き付け手段は、吹き出し口(第1吹き出し口32)が形成され、収容部(IC収容部19)内で被測定半導体集積回路(被測定IC51)を押さえ付ける第1プレート33を備える。また、吹き付け手段は、吹き出し口(第2吹き出し口34)が形成され、第1プレート33と蓋31との間に、当該第1プレート33と相対的に移動可能に重ねられた第2プレート35を備える。更に、吹き付け手段は、第1プレート33及び第2プレート35を相対的に移動させる移動手段(エアー)と、移動手段(エアー)を操作(吹き出し量を操作)する操作手段(エアー供給レバー45)と、を備える。加えて、吹き付け手段は、第2プレート35における蓋31の側から気体(エアー)を供給する通気手段(エアー通路41)と、外部から通気手段に気体を送り込むための接続手段(エアー供給接続部43)と、を備えている。これにより、外部から供給されるエアーを、吹き出し量を変えて接続端子(ポゴピン5)に吹き付けることができる。
【0081】
(5)(4)における吹き出し口32,34は、第1プレート33及び第2プレート35で同形及び同配置であって、操作手段(エアー供給レバー45)によって移動手段(エアー)を操作し、第1プレート33及び第2プレート35を相対的に移動させて吹き出し口32,34の重複状態を変更するので、第1プレート33と第2プレート35との相対的な位置を変えることにより、エアーストップ(遮断)から全開まで容易に制御することができる。
【0082】
(6)(1)〜(5)において、接触端子(ポゴピン5)に付着した付着物を検出する検出手段(赤外線センサ81)と、検出手段の検出結果に基づいて、吹き付け手段から接触端子に対して気体を吹き付けるか否かを判断する判断手段(テスト判定回路73)と、を備えている。これにより、付着物の大小などの設定条件に応じてエアーを吹き出しによる付着物除去を行うか否かを設定することができる。
【0083】
(7)半導体集積回路測定システム70は、(1)〜(6)の半導体集積回路測定用ソケット(被測定ICソケット100,101)と、半導体集積回路測定用ソケットに装着された被測定半導体集積回路の測定を行う測定装置(半導体装置71)と、を備える。また、半導体集積回路測定システム70は、測定装置による被測定IC51の測定結果を判定する判定手段(テスト判定回路73)と、吹き付け手段から吹き付けるための気体を外部から供給する送風機(低温・高温送風機79)と、を備える。更に、半導体集積回路測定システム70は、判定手段の判定結果に基づいて、被測定半導体集積回路が取り外された収容部に対して送風機の駆動制御を行う制御部(制御回路75)を備えている。これにより、半導体装置71の測定結果(テスト結果)に基づいて、付着物の除去を行うか否かを判断し、適切な付着物の除去作業を行うことができる。
【0084】
(8)(7)における判定手段(テスト判定回路73)は、被測定半導体集積回路(被測定IC51)の測定結果を蓄積し、予め設定した条件を超えた旨、制御部(制御回路75)に通知する。これにより、制御部は、通知を受けたときに送風機(低温・高温送風機79)の駆動制御を行うので、条件の設定に応じて所望の付着物除去作業が可能となる。
【0085】
(9)(8)における予め設定された条件は、予め設定した回数の連続エラーである。これにより、連続エラーが予め設定回数を超えたときに付着物除去作業を行い、接触端子(ポゴピン5)の付着物による測定誤差を最小限に抑えることができる。
【0086】
(10)(1)の基本構成の半導体集積回路測定用ソケット(被測定ICソケット100)の接触端子に付着した付着物の除去方法では、接触端子に付着した付着物を検出手段(赤外線センサ81)により検出(ステップS103:YES)する。次に、検出手段が検出した付着物の大きさを予め設定した大きさと比較する。更に、付着物の大きさが予め設定した大きさよりも大きいと判断手段(テスト判定回路73)により判断した(ステップS103,S104)とき、吹き付け手段から接触端子に気体を吹き付け(ステップS107)て付着物を除去する。これにより、予め設定した大きさ以上の付着物を検出したときに除去動作を行い、そうでないときには除去動作を行わずに、半導体集積回路の測定に進むことができる。結果として、精度よく、効率的に半導体集積回路の測定を行うことが可能となる。
【0087】
なお、本発明は前述した各実施例で開示した形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。各実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。