(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベタ領域補正手段は、前記濃度ムラとして、前記濃度変換画像データの前記ベタ領域に生じたエッジ画素を検出し、検出したエッジ画素を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記ベタ領域補正手段は、前記エッジ画素の補正として、前記エッジ画素および前記エッジ画素の周囲にあるエッジ周囲画素の濃度の平均値を算出し、前記エッジ画素および前記エッジ周囲画素の濃度を、前記平均値と置き換えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略または簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の画像処理装置は、入力画像データの濃度を変換した濃度変換画像データについて、原稿のぼそつきなどにより生じる濃度ムラ(ベタ部の凹凸、濃度の不均一)を、γ補正で濃くするのではなく、入力画像データのベタ領域を検出し、濃度変換画像データにおいて、ベタ領域に生じた濃度ムラを補正する。
以下、図面を用いて詳細に解説する。まず、従来の画像処理装置の一例を説明した後、一実施形態の画像処理装置について説明する。
【0010】
図1に、従来技術の画像処理装置の一例を示す。
スキャナ1から入力された入力画像データ(入力画像信号)に対して、所望の画像品質が得られるように様々な画像処理が行われ、出力画像データ(出力画像信号)がプリンタ6へ出力される。
図1では、画像処理装置が行う画像処理の機能ブロックとして、フィルタ2、濃度変換部3、階調処理部4およびエッジ領域検出部5を表している。
フィルタ2は、画像の空間周波数特性を補正する。
エッジ領域検出部5は、入力された入力画像データに対して、濃度変化が急峻な(エッジ量が所定値以上)エッジ領域と、エッジ量が少ない非エッジ領域とを検出し、その結果を濃度変換部3に出力する。
濃度変換部3は、スキャナ1およびプリンタ6の入出力濃度特性、エッジ領域検出部5の結果に応じて所望の画像濃度が得られるように濃度データの変換を行う。
階調処理部(中間調処理部)4は、濃度変換後の画像データに対して行われ、処理した画像データを出力画像データとしてプリンタ6へ出力する。
このような画像処理によって、黒ベタ部の濃度を保障し、モアレを低減し、文字太りを防止する。
【0011】
図1に示す画像処理において、原稿のベタ部がぼそついていた場合には、濃度変換部3は、画像の濃度を濃くしたり、薄くしたりして原稿のベタ部の凹凸の差をなくすことによりぼそつき(斑点状の濃度ムラ)をなくし、ベタ濃度を保障する。しかし、この処理により、階調が変わり、階調性を維持することができないという問題が生じる。
そこで、本発明の一実施形態では、濃度変換処理後の画像データを補正してベタ部の濃度を維持する。以下に一実施形態の詳細を説明する。
以下の説明において、画像データのうち、エッジを含まない(エッジが検出されない)「ベタ領域」を「連続調領域」と記載することもある。
【0012】
図2に本発明の一実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す。
一実施形態では、
図1に示す画像処理の機能ブロックに、補正手段10を追加した構成例を示している。画像処理装置100は、変換手段9、補正手段10および階調処理部4を備え、スキャナなどの画像読取装置から入力画像データ(原稿)を受け取り、入力画像データを処理した出力画像データをプリンタなどの画像出力装置へ出力する。
ここで、
図2に示す、フィルタ2、濃度変換部3およびエッジ領域検出部6からなる変換手段9は一例であり、変換手段9の構成はこれに限られるわけではない。変換手段9は、入力画像データの濃度を変換して濃度変換画像データを生成し、出力する手段であれば他の構成であってもよい。例えば、変換手段9は、エッジ領域検出部5によりエッジ領域とベタ領域との領域を区別することなく、濃度変換処理を実施する構成例であってもよい。
【0013】
補正手段10は、変換手段9が出力する濃度変換画像データおよび入力画像データを入力として受け取り、入力画像データからベタ領域を検出し、濃度変換画像データについて、ベタ領域に生じた濃度ムラを補正し、濃度変換画像データを補正した画像データを出力する。
補正手段10は、ベタ領域検出部(連続調領域検出部)11とベタ領域補正部(ベタ部凹凸補正部)12とを備える。
ベタ領域検出部11は、入力画像データを受け取り、入力画像データのベタ領域を検出するベタ領域検出手段である。ベタ領域検出部11の詳細は、
図3を参照して後述する。
ベタ領域補正部12は、変換手段9が出力する濃度変換画像データを受け取り、濃度変換画像データについて、ベタ領域に生じた濃度ムラを検出し、検出した濃度ムラを補正するベタ領域補正手段である。ベタ領域補正部12の詳細は、
図4を参照して後述する。
【0014】
このような構成により、補正手段10は、変換手段9を変えることなく、濃度変換画像データのベタ領域に生じた濃度ムラを補正できる。言い換えると、補正手段10は、入力画像データへ濃度変換処理を施した濃度変換画像データを変換手段9から受け取ることにより、濃度変換処理によって濃度変換画像データに生じたベタ領域の濃度ムラを、入力画像データと濃度変換画像データとを用いて補正することが可能である。
これにより、画像処理装置は、階調性を維持しつつ、ベタ領域のベタ濃度を保障し、ベタ領域における視認性を向上させることができる。
【0015】
図3にベタ領域検出部11の構成例を示す。
ベタ領域検出部11は、エッジ領域検出部111とベタ領域選択部(非エッジ選択部)112にて構成される。
エッジ領域検出部111は、入力画像データからエッジ領域を検出するエッジ領域検出手段である。エッジ領域検出部111は、
図1に示すエッジ領域検出部5と同様の構成であってもよいし、他の手法によりエッジ領域を検出する手段であってもよい。
ベタ領域選択部112は、エッジ領域検出部111が検出したエッジ領域に基づいて非エッジ領域を選択する選択手段(ベタ領域選択手段)であり、エッジ部分以外をベタ領域(非エッジ領域)として選択し、選択したベタ領域を示すベタ領域情報をベタ領域補正部12へ出力する。
【0016】
なお、補正手段10が備えるベタ領域検出部11の機能に関して、同様の機能を変換手段9が備える場合には、ベタ領域を特定する情報(ベタ領域情報、ベタ領域信号)を変換手段9からベタ領域補正部12へ出力するように構成することも可能である。画像処理装置は、ベタ領域補正部12がベタ領域を特定する情報と濃度変換画像データとを入手可能な構成であれば、ベタ領域検出部11が実現する機能を他の機能ブロックで実現する構成であってもよく、
図2の補正手段10の構成例に限定されるものではない。
【0017】
図4にベタ領域補正部12の構成例を示す。
ベタ領域補正部12は、濃度変換画像データのうち、入力画像データにおいてベタ領域として検出された領域(以降適宜、「濃度変換画像データのベタ領域」とも記載する)を検索して濃度ムラを検出し、濃度ムラを補正することを、濃度変換画像データのベタ領域に濃度ムラが検出されなくなるまで繰り返す。より詳細には、ベタ領域補正部12は、濃度ムラを生じさせるエッジ画素を検出して補正する。
ベタ領域補正部12は、エッジ領域検出部121、ベタ領域エッジ有無判定部(エッジ判定部)122、ベタ領域エッジ周辺平均算出部(平均算出部)123およびベタ領域エッジ平均処理部(平均処理部)124を備える。
【0018】
エッジ領域検出部121は、変換手段9が出力した濃度変換画像データ、およびベタ領域検出部11が出力したベタ領域情報を受け取り、ベタ領域情報に基づいて、濃度変換画像データのうち、ベタ領域として検出された領域を検索して、エッジ画素を検出する。エッジ領域検出部121は、濃度変換画像データをベタ領域エッジ有無判定部122へ出力する。また、エッジ領域検出部121は、検出した1つまたは複数のエッジ画素を示すエッジ領域信号を、ベタ領域エッジ有無判定部122、ベタ領域エッジ周辺平均算出部123およびベタ領域エッジ平均処理部124へ出力する。
【0019】
ベタ領域エッジ有無判定部122は、エッジ領域検出部121から受け取ったエッジ領域信号に基づいて、エッジ画素の有無を判定する。ベタ領域エッジ有無判定部122は、エッジ画素がない場合には、濃度変換画像データを補正することなく、そのまま階調処理部4へ出力し、エッジ画素がある場合には、濃度変換画像データをベタ領域エッジ周辺平均算出部124へ出力する。
【0020】
ベタ領域エッジ周辺平均算出部123は、検出されたエッジ画素およびエッジ画素の周囲にあるエッジ周辺画素(エッジ画素を中心として3×3画素)の平均値を、検出した1つまたは複数のエッジ画素それぞれについて求める。
ベタ領域エッジ平均処理部124は、ベタ領域の各エッジ画素について、エッジ画素およびエッジ周辺画素(エッジ画素を中心として3×3画素)を、平均値に置き換え、エッジ領域検出部121に出力する。
ベタ領域補正部12は、上述したベタ領域補正処理をエッジが検出されなくなるまで繰り返し実施し、エッジ画素がなくなり次第、階調処理部4へ補正後の画像データを出力する。
【0021】
図5にエッジ領域検出部5の構成例を示す。
図5では、1次微分フィルタ51a〜51d、最大値検出部52、膨張部53およびエッジ量補正部54を備える構成例を示している。
図5において、入力された画像信号は5×5サイズの1次微分フィルタ51a〜51dによってエッジ検出が行われる。
1次微分フィルタ51a〜51dは、縦方向、横方向、斜め方向の4方向のフィルタであり、これらのフィルタによりエッジを検出する。1次微分フィルタ51a〜51dの具体例を
図6乃至
図9に示す。
最大値検出部52は、得られたエッジ量(1次微分フィルタ51a〜51d)の絶対値後のデータに対して最大値を検出し、検出結果を膨張部53へ出力する。
膨張部53は、最大値の検出結果を受け取り、さらに領域を拡張するため5×5サイズの膨張処理を施す。
エッジ量補正部54は、膨張部53より膨張処理されたエッジ量を受け取り、エッジ量補正テーブル54により、エッジ量を補正してエッジ領域信号を出力する。
【0022】
図4に示すエッジ領域検出部121は、
図5に示す構成例を用いて、濃度変換画像データのうち、ベタ領域を検索してエッジを検出するように構成することができる。
なお、一実施形態のエッジ領域検出部の機能構成は
図5の例に限定されるものではない。
【0023】
図10は、画像処理装置のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、画像読取装置104、記憶装置105、外部インタフェース(外部I/F)106、入力インタフェース(入力I/F)107、および出力インタフェース(出力I/F)108を備える。各部は、バス109に接続している。
【0024】
CPU101は、各種のプログラムを実行し、演算処理や、制御プログラムに基づいて画像処理装置の全体を制御する。
RAM102は、情報を高速で読み書きするための揮発性の記憶媒体であり、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する。
ROM103は、各種プログラムや制御プログラムが記憶されている読み出し専用の不揮発性の記憶媒体である。
画像読取装置104は、原稿を読み取り、画像処理装置100が利用可能な入力画像データを作成する画像読取手段であり、例えば、スキャナである。
【0025】
記憶装置105は、各種プログラム、入力画像データ、および処理を施す各種のデジタルデータを格納する記憶手段である。記憶装置105は、ハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどにより構成される。
外部I/F106は、外部機器との接続やデータの送受信を制御するインタフェース(通信インタフェース)であり、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)を通じて外部機器(例えば、プリンタなどの画像出力装置)との通信を行う。
入力I/F107は、ユーザから画像処理装置の操作指示を受け付ける操作手段であり、例えば、タッチパネル、キーボードまたはマウスである。
出力I/F108は、ユーザへの各種情報を表示する表示手段であり、例えば、ディスプレイ装置である。
【0026】
図2を参照して説明した画像処理装置の各機能をプログラムにより実現する場合には、
図10の画像処理装置において、記憶媒体(ROM103または記憶装置105など)に格納したプログラムをRAM102に読み出し、CPU101にプログラムの命令群を実行させる。また、
図2に示す各機能ブロックは、その一部あるいは全部をハードウェアにより構成してもよい。例えば、組み込みシステムのように、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実現してもよく、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアのいずれか、あるいは、これらの二つ以上の組合せで構成してもよい。
【0027】
加えて、画像処理装置100の全部またはその一部をプログラムで実現する場合、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体、光磁気記録媒体を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、および電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線および光ファイバ等の有線通信路、または無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0028】
次に、補正手段10の動作例を説明する。
図11に一実施形態の補正手段の動作例のフローチャートを示す。
図11では、変換手段9が濃度変換画像データを出力した後に、補正手段10が入力画像データおよび濃度変換画像データを用いて、濃度変換画像データを補正し、補正後の画像データを出力する動作例を表している。
ベタ領域検出部11は、スキャナなどの画像読取装置が作成した入力画像データを受け取り、入力画像データからベタ領域を検出し、ベタ領域情報をベタ領域補正部12へ出力する(S11)。
ベタ領域補正部12は、変換手段9が入力画像データの濃度を変換した濃度変換画像データを受け取る(S12)。なお、ステップS11とステップS12とは順番が逆であってもよく、ベタ領域補正部12は、ステップS13開始前までにベタ領域情報と濃度変換画像データとを入手していればよい。
【0029】
ベタ領域補正部12は、ベタ領域情報と濃度変換画像データとを受け取ると、ベタ領域補正処理を開始する。
まず、エッジ領域検出部121は、濃度変換画像データを検索して、ベタ領域に生じたエッジ(エッジ画素)を検出し、検出結果を示すエッジ領域信号と、濃度変換画像データとを出力する(S13)。
ベタ領域エッジ有無判定部122は、エッジ領域信号に基づいて、濃度変換画像データのベタ領域にエッジがあるか否かを判定し(S14)、エッジが無い場合には(S14でNO)、濃度変換画像データを補正後の画像データとして階調処理部4へ出力する(S18)。
一方、エッジがある場合には(S14でYES)、ベタ領域エッジ周辺平均算出部123およびベタ領域エッジ平均処理部124は、濃度変換画像データのベタ領域に生じたエッジ画素およびエッジ周辺画素を補正し、補正後の画像データをエッジ領域検出部121へ出力する(S15)。エッジ画素およびエッジ周辺画素の補正は、
図4を参照して説明した処理と同様であるため、詳細を省略する。
【0030】
エッジ領域検出部121は、ベタ領域エッジ平均処理部124から補正後の画像データを受け取ると、補正後の画像データを検索して、ステップS13と同様に、ベタ領域に生じたエッジ画素を検出し、エッジ領域信号および補正後の画像データを出力する(S16)。
ベタ領域エッジ有無判定部122は、エッジ領域信号に基づいて、補正後の画像データのベタ領域にエッジがあるか否かを判定し(S17)、エッジが解消されている(エッジ無)場合には(S17でYES)、補正後の画像データを階調処理部4へ出力する(S18)。一方、エッジが解消されてない(エッジ有)場合には(S17でNO)、ベタ領域補正部12は、エッジが解消されるまで、ステップS15からステップS17の処理を繰り返す。
【0031】
図11の動作例では、ステップS11がベタ領域検出処理であり、ステップS12からS18がベタ領域補正処理となる。
なお、上記では濃度変換画像データを
図2の変換手段9から受け取る動作例を説明したが、変換手段9は、画像処理装置が備える任意の変換手段(濃度変換手段)を用いることができることは、
図2と同様である。
【0032】
上述した一実施形態では、
図2に示す変換手段9を備える画像処理装置を用いて説明したが、例えば、以下のような変換手段を備える画像処理装置であってもよい。
画像処理装置は、変換手段によって入力画像データに各種処理を加え、出力画像データを画像形成手段に出力する。ここで、画像形成手段は、出力画像データの出力値に基づき原稿に出力画像を形成する画像出力装置の一例である。
変換手段は、連続調領域検出手段、濃度変換手段および選択手段を備える。
連続調領域検出手段は、入力画像データから連続調領域を検出する。
濃度変換手段は、画像形成手段に飽和濃度を出力させる最大出力値を持つ第1の濃度変換特性テーブルと、画像形成手段に飽和濃度を出力させない最大出力値を持つ第2の濃度変換特性テーブルとを用いて、入力画像データに対して濃度変換を行い、濃度変換画像データを得る。
選択手段は、連続調領域検出手段により、連続調領域が検出された場合には、第1の濃度変換特性テーブルで濃度変換された出力を選択し、連続調領域が検出されない場合には、第2の濃度変換特性テーブルで濃度変換された出力を選択する。濃度変換手段は、選択手段の出力結果を用いて、入力画像データの濃度を変換する。
上述した構成例では、一実施形態の補正手段10は、濃度変換手段が出力する濃度変換画像データを補正し、補正後の画像データを出力画像データとして画像形成手段へ出力する。
【0033】
次に、一実施形態の補正手段を適用した画像処理装置による効果を説明する。以下では、
図2の画像処理装置100の一例を参照して説明するが、変換手段9が異なる構成であっても、補正手段10を適用する画像処理装置では、同様の効果が期待できる。
図12は、入力画像データ(原稿)のベタ領域のぼそつき画像例である。
図13は、濃度変換処理後のベタ領域のぼそつき画像例(濃度変換画像データのベタ領域のぼそつき画像の一例)である。
図14は、ベタ領域検出部によって
図13の画像からエッジを抽出した画像例である。
図15は、ベタ領域補正部によって
図14の画像を補正した画像例(補正後の画像データの一例)である。
図16は、
図15の画像の一部分を拡大した画像例である。
【0034】
図12に示す原稿は、弱いエッジの画像状態であるため、変換手段9のエッジ領域検出部5によってエッジとして検出されず、濃度変換部3において、ベタ領域として濃度変換処理が実施される。
しかし、原稿のぼそつきにより入力画像データのベタ部が不均一であることから、変換手段9への入力画像データのベタ領域が不均一となる。このため、濃度変換部3による濃度変換処理後、
図13に示すように、濃度差が大きく出現し、強いエッジとなる場合がある。強いエッジが生じるか否かは、濃度変換部3で用いるパラメーターテーブル等によって異なる結果となる。
【0035】
図13に示すようなベタ領域が不均一な状態になると、均一であると期待される領域に大きな濃度差が生じる。このような濃度差がある場合、ベタ領域検出部11のエッジ領域検出部111は、
図14に示す画像のようなエッジとして検出する。エッジがなければ均一なベタ部なのでぼそつきは発生しない。
このような場合、従来技術では、上述した濃度差が生じないように、濃度変換部3で階調性を変更して補正するしかなかった。例えば、
図12の画像の場合、もう少し薄い画素からベタに変換すると階調性がなくなるがベタは均一になる。
【0036】
本実施形態では、
図4に示すベタ領域補正部12によって、ベタ領域にエッジがなくなるまで補正を繰り返す。これにより、変換手段9(濃度変換部3)を変更することなく、ベタ領域の濃度ムラ補正(凹凸補正、濃度差補正)ができる。その結果、階調性を変更することなく、
図13の濃度差のあるベタを
図15、
図16のように均一に補正することができる。
【0037】
以上のように、本発明に係る好適な実施形態によれば、黒ベタ部の濃度を保障し、モアレを低減し、文字太りを防止する画像処理技術に際して、γ補正で濃くするのではなく、入力画像データ(原稿)のベタ領域を検出し、濃度変換により生じたベタ部の凹凸を検出して補正することが可能となる。これにより、原稿のぼそつきにより生じる出力画像の濃度ムラを抑制することができる。