(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806179
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】監視装置、水処理システム及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/18 20060101AFI20201221BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20201221BHJP
G01N 31/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
G01N33/18 B
C02F1/00 V
C02F1/00 B
C02F1/00 D
G01N31/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-61708(P2019-61708)
(22)【出願日】2019年3月27日
(65)【公開番号】特開2020-159961(P2020-159961A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀樹
【審査官】
小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−107249(JP,A)
【文献】
特開平05−293468(JP,A)
【文献】
特開2013−220393(JP,A)
【文献】
特開2002−282850(JP,A)
【文献】
特開2019−155275(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0180485(US,A1)
【文献】
特開2013−202587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18
G01N 31/00
C02F 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて前記再生水を前記純水製造装置に供給する供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、を備え、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて前記再生水を前記純水製造装置に供給する供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、前記第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな前記第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする監視装置。
【請求項3】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて、前記再生水を前記純水製造装置若しくは別のユースポイントに供給するか、または前記再生水を外部に排出させる供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、を備え、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする監視装置。
【請求項4】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて、前記再生水を前記純水製造装置若しくは別のユースポイントに供給するか、または前記再生水を外部に排出させる供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、前記第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな前記第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする監視装置。
【請求項5】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、を少なくとも備え、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
を備え、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に前記再生水の供給手段が備えられ、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段は、前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする水処理システム。
【請求項6】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置された前記再生水の供給手段と、を少なくとも備え、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係を判定し、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段によって前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする水処理システム。
【請求項7】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、を少なくとも備えた水処理システムであって、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
を備え、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に前記再生水の供給手段が備えられ、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段は、前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段は、前記再生水を別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段は、前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする水処理システム。
【請求項8】
ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置された前記再生水の供給手段と、を少なくとも備えた水処理システムであって、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段によって前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段によって前記再生水を別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段によって前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする水処理システム。
【請求項9】
再生水製造装置により、ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生工程と、
監視装置により、前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視工程と、
純水製造装置により、前記再生水から純水を製造する純水製造工程と、を少なくとも備え、
前記監視工程は、
第1全炭素量測定装置により、前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定し、
前記再生水から分取された第2試験水に対して、紫外線酸化装置による酸化分解処理と脱イオン装置による脱イオン処理を順次行ってから、第2全炭素量測定装置により、前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定し、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視し、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に備えられた前記再生水の供給手段により、前記再生水を前記純水製造装置に供給することを特徴とする水処理方法。
【請求項10】
再生水製造装置により、ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生工程と、
監視装置により、前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視工程と、
純水製造装置により、前記再生水から純水を製造する純水製造工程と、を少なくとも備え、
前記監視工程は、
第1全炭素量測定装置により、前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定し、
前記再生水から分取された第2試験水に対して、紫外線酸化装置による酸化分解処理と脱イオン装置による脱イオン処理を順次行ってから、第2全炭素量測定装置により、前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定し、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視し、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に備えられた前記再生水の供給手段により、前記再生水を前記純水製造装置に供給し、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段により、前記再生水を別のユースポイントに供給し、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段により、前記再生水を水処理システムの外部に排出することを特徴とする水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、水処理システム
及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、純水は、濁質成分が除去された原水を、純水製造装置において、逆浸透膜処理や脱イオン処理等を行うことにより製造される。製造された純水は、ユースポイントに供給される。
【0003】
最近は、環境負荷の低減やコスト低減のために、ユースポイントにおいて使用された純水を回収して再利用することが行われている。すなわち、ユースポイントにおいて使用された純水を回収水として回収し、回収水処理装置によって回収水中の不純物量を低減させて再生水とし、この再生水を再び純水製造装置に供給することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、工場からの廃水または使用済みの超純水を回収水として回収し、回収水から超純水を製造する超純水製造装置が記載されている。特許文献1では、サブ超純水製造システムによって得られた処理水(超純水)中の全有機炭素濃度を測定することで、処理水の品質を管理している。
【0005】
ところで、ユースポイントにおいては、純水に種々の薬剤を添加して各種の処理に用いたり、あるいは、中間製品や最終製品を洗浄する際に純水を洗浄水として利用することがある。このため、ユースポイントから回収された回収水には、様々な有機物が不純物として含まれる場合がある。そこで、回収水処理装置によって、純水製造装置の原水として利用可能な程度まで、回収水から不純物としての有機物を取り除いている。
【0006】
しかし、有機物の中には、回収水処理装置や純水製造装置によっても除去が難しい難分解性有機物が存在する。このような難分解性有機物の例として、尿素および尿素化合物が挙げられる。このため、ユースポイントと回収水処理装置と純水製造装置とによって水の再利用システムを構築した場合、水の循環を繰り返すことにより、純水中に難分解性有機物が徐々に蓄積されるおそれがある。
【0007】
一方、難分解性有機物は、全有機炭素濃度計で検出されるが、全有機炭素濃度計は、難分解性有機物以外の有機物も検出する。すなわち、全炭素濃度計は、難分解性有機物と、難分解性有機物以外の有機物の合計量を検出する。しかしながら、全炭素濃度計は、この合計量の中から難分解性有機物の量を求めることは難しいとされている。このため、特許文献1では、処理水中の全有機炭素濃度を測定しているものの、難分解性有機物の含有量は十分に監視できていない可能性がある。
【0008】
一方、ユースポイントにおいては、純水の品質管理の一環で、純水中の難分解性有機物の濃度を監視する場合がある。供給された純水に、基準値を超える濃度の難分解性有機物が含まれる場合は、純水の受入れ及び利用を停止する必要があるが、代替の処理水を直ちに入手できるとは限らず、ユースポイントにおける操業に支障が生じるおそれがある。このため、純水の製造拠点においても、純水中の難分解性有機物の監視を行う必要がある。
【0009】
しかし、上述したように、全炭素濃度計によって純水中の難分解性有機物の含有量を求めることは難しいとされている。また、難分解性有機物の測定に適した分析装置の導入も考えられるが、設備コストが増大するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2016−107249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、全炭素濃度計によって難分解性有機物の濃度の監視を可能にする監視装置、この監視装置を備えた水処理システム
及び水処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて前記再生水を前記純水製造装置に供給する供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、を備え、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする監視装置。
[2] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて前記再生水を前記純水製造装置に供給する供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、前記第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな前記第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする監視装置。
[3] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて、前記再生水を前記純水製造装置若しくは別のユースポイントに供給するか、または前記再生水を外部に排出させる供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、を備え、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする監視装置。
[4] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置されて、前記再生水を前記純水製造装置若しくは別のユースポイントに供給するか、または前記再生水を外部に排出させる供給手段と、を少なくとも備えた水処理システム用の監視装置であって、
前記再生水の一部である監視対象水に含まれる難分解性物質の濃度を監視する監視装置であり、
前記監視対象水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記監視対象水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、前記第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな前記第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段に、前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする監視装置。
【0013】
[5] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、を少なくとも備え、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
を備え、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に前記再生水の供給手段が備えられ、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段は、前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする水処理システム。
[6] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置された前記再生水の供給手段と、を少なくとも備え、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係を判定し、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記供給手段によって前記再生水を前記純水製造装置に供給させることを特徴とする水処理システム。
[7] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、を少なくとも備えた水処理システムであって、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
を備え、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に前記再生水の供給手段が備えられ、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段は、前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段は、前記再生水を別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段は、前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする水処理システム。
[8] ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生水製造装置と、
前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視装置と、
前記再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置と、
前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に配置された前記再生水の供給手段と、を少なくとも備えた水処理システムであって、
前記監視装置は、
前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定する第1全炭素量測定装置と、
前記再生水から分取された第2試験水が導入される紫外線酸化装置と、
前記紫外線酸化装置によって処理された前記第2試験水が導入される脱イオン装置と、
前記脱イオン装置によって処理された前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定する第2全炭素量測定装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1全炭素量測定装置によって測定された前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1、前記第2全炭素量測定装置によって測定された前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2、第1閾値Th1及び前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2の大小関係がそれぞれ、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記供給手段によって前記再生水を前記純水製造装置に供給させ、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段によって前記再生水を別のユースポイントに供給させ、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段によって前記再生水を前記水処理システムの外部に排出させることを特徴とする水処理システム。
【0015】
[9] 再生水製造装置により、ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生工程と、
監視装置により、前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視工程と、
純水製造装置により、前記再生水から純水を製造する純水製造工程と、を少なくとも備え、
前記監視工程は、
第1全炭素量測定装置により、前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定し、
前記再生水から分取された第2試験水に対して、紫外線酸化装置による酸化分解処理と脱イオン装置による脱イオン処理を順次行ってから、第2全炭素量測定装置により、前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定し、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視し、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に備えられた前記再生水の供給手段により、前記再生水を前記純水製造装置に供給することを特徴とする水処理方法。
[10] 再生水製造装置により、ユースポイントにおいて使用された排水を浄化して再生水にする再生工程と、
監視装置により、前記再生水中の難分解性物質の濃度を監視する監視工程と、
純水製造装置により、前記再生水から純水を製造する純水製造工程と、を少なくとも備え、
前記監視工程は、
第1全炭素量測定装置により、前記再生水から分取された第1試験水の全有機性炭素量TOC1を測定し、
前記再生水から分取された第2試験水に対して、紫外線酸化装置による酸化分解処理と脱イオン装置による脱イオン処理を順次行ってから、第2全炭素量測定装置により、前記第2試験水の全有機性炭素量TOC2を測定し、
前記第1試験水の前記全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、前記第2試験水の前記全有機性炭素量TOC2と前記第1閾値Th1よりも小さな第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、前記難分解性物質の濃度を監視し、
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の関係にある場合に、前記再生水製造装置と前記純水製造装置との間に備えられた前記再生水の供給手段により、前記再生水を前記純水製造装置に供給し、
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段により、前記再生水を別のユースポイントに供給し、
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2の関係にある場合に、前記供給手段により、前記再生水を水処理システムの外部に排出することを特徴とする水処理方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の監視装置は、第1全炭素量測定装置と、第2全炭素量測定装置とが備えられており、第1全炭素量測定装置によって、監視対象水に含まれる有機物の全有機性炭素量TOC1が測定され、また、第2全炭素量測定装置によって、紫外線酸化装置及び脱イオン装置により除去されなかった有機物の全有機性炭素量TOC2が測定される。これら全有機性炭素量TOC1及びTOC2を把握することで、監視対象水の難分解性有機物の濃度の変動を監視でき、また、監視対象水の水質も監視できる。
【0017】
また、本発明の監視装置は、全有機性炭素量TOC1及び第1閾値Th1の大小関係と全有機性炭素量TOC2及び第2閾値Th2の大小関係とから、難分解性物質の濃度を監視する制御部が更に備えられているので、難分解性有機物の濃度の変動を継続して監視できるとともに、監視対象水の水質も継続して監視できる。
【0018】
次に、本発明の水処理システムは、ユースポイントにおいて使用された排水を再生水にする再生水製造装置と、再生水中の難分解性物質を監視する監視装置と、再生水を原水として受け入れ可能な純水製造装置とを備え、監視装置が、全有機性炭素量TOC1及びTOC2を把握することで、再生水中の難分解性有機物の濃度の変動を監視でき、また、再生水の水質も監視できる。
【0019】
また、本発明の水処理システムは、供給手段を備えている場合に、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、供給手段は、再生水を純水製造装置に供給させるので、難分解物質濃度が低く純水製造に適した再生水を純水製造装置に供給することができ、難分解性物質濃度が低減された純水を製造できる。
【0020】
また、本発明の水処理システムは、制御部と供給手段とを備えている場合には、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、制御部は、供給手段によって再生水を純水製造装置に供給させるので、難分解物質濃度が低く純水製造に適した再生水を純水製造装置に供給することができ、難分解性物質濃度が低減された純水を製造できる。
【0021】
また、本発明の水処理システムは、供給手段を備えている場合に、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に供給手段は再生水を純水製造装置に供給させ、また、Th1≧TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段は再生水を別のユースポイントに供給させ、更に、Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段は再生水を水処理システムの外部に排出させる。
また、本発明の水処理システムは、制御部と供給手段とを備えている場合に、制御部は、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に供給手段によって再生水を純水製造装置に供給させ、また、Th1≧TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段によって再生水を別のユースポイントに供給させ、更に、Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段によって再生水を水処理システムの外部に排出させる。
これにより、再生水の水質に応じて、再生水の供給先を変更できる。すなわち、比較的高純度の再生水は純水製造装置の原水とし、純水製造装置の原水には適さないが他の用途に利用可能な純度を有する再生水は当該用途のユースポイントに供給し、別のユースポイントの利用にも適さない再生水は系外に排出することができ、再生水をその水質に応じて適切に利用できる。また、純水製造に適さない再生水は別のユースポイントに送るか、または系外に排出するので、純水製造装置、ユースポイント及び再生水製造装置を循環する水に難分解性物質を蓄積させることがなく、常に高品質な純水を製造できる。
【0023】
次に、本発明の水処理方法は、ユースポイントにおいて使用された排水を再生水にする再生工程と、再生水中の難分解性物質を監視する監視工程と、再生水から純水を製造する純水製造工程とを備え、監視工程は、全有機性炭素量TOC1及び第1閾値Th1の大小関係と全有機性炭素量TOC2及び第2閾値Th2の大小関係とを判定するので、再生水中の難分解性有機物の濃度の変動及び再生水の水質を継続して監視することができ、難分解性有機物の濃度が低減された純水を製造できる。
【0024】
また、本発明の水処理方法は、監視工程において、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、供給手段によって再生水を純水製造装置に供給するので、難分解物質濃度が低く純水製造に適した再生水を純水製造装置に供給することができ、難分解性物質濃度が低減された純水を製造できる。
【0025】
また、本発明の水処理方法は、監視工程において、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に供給手段によって再生水を純水製造装置に供給し、また、Th1≧TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段によって再生水を別のユースポイントに供給し、更に、Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段によって再生水を水処理システムの外部に排出する。これにより、再生水の水質に応じて、再生水の供給先を変更できる。すなわち、比較的高純度の再生水は純水製造装置の原水とし、純水製造装置の原水には適さないが他の用途に利用可能な純度を有する再生水は当該用途のユースポイントに供給し、別のユースポイントの利用にも適さない再生水は系外に排出することができ、再生水をその水質に応じて適切に利用できる。また、純水製造に適さない再生水は別のユースポイントに送るか、または系外に排出するので、純水製造装置、ユースポイント及び再生水製造装置を循環する水に難分解性物質を蓄積させることがなく、常に高品質な純水を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態である水処理システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態である監視装置、水処理システム、監視対象水中の難分解性物質の監視方法及び水処理方法について
図1を参照して説明する。
【0028】
(水処理システム、監視装置)
図1に示すように、本実施形態の水処理システム1は、再生水製造装置2と、監視装置3と、純水製造装置4と、供給手段5とを備えている。再生水製造装置2は、ユースポイント61において使用された排水w1を浄化して再生水w2にするものである。また、監視装置3は、再生水製造装置2によって浄化された再生水w2の一部を分取し、再生水w2中の難分解性物質の濃度を監視する。供給手段5は、再生水製造装置2よって浄化された再生水w2を、純水製造装置4、別のユースポイント62または水処理システムの外部のいずれかに送る。また、純水製造装置4は、供給手段5から送られた再生水w2を原水として受け入れ、再生水w2から純水w4を製造する。純水製造装置4によって製造された純水w4は、ユースポイント61に供給される。
【0029】
また、水処理システム1には、各装置間で水を送水するための供給路L1〜L6が設けられている。供給路L1は、ユースポイント61と再生水製造装置2を接続し、ユースポイント61から排出された排水w1を再生水製造装置2に送る、供給路L2は、再生水製造装置2と監視装置3とを接続し、再生水w2の一部を再生水製造装置2から監視装置3に送る。供給路L3は、再生水製造装置2と供給手段5とを接続し、再生水w2の残部を再生水製造装置2から供給手段5に送る。
【0030】
供給路L4は、供給手段5と純水製造装置4とを接続し、再生水w2を供給手段5から純水製造装置4に送る。供給路L5は、供給手段5と別のユースポイント62とを接続し、再生水w2を供給手段5から別のユースポイント62に送る。供給路L6は、再生水w2を供給手段5から水処理システム1の外部に排出する。
【0031】
ユースポイント61は、純水製造装置4によって製造された純水w4を利用する設備若しくは施設である。ユースポイント61における純水w4の利用形態は様々だが、例えば、純水w4に種々の薬剤を添加して各種の処理に用いたり、あるいは、中間製品や最終製品を洗浄する際に純水w4を洗浄水として利用する場合がある。このため、ユースポイント61から回収された排水w1には、様々な有機物が不純物として含まれる場合がある。
【0032】
また、別のユースポイント62は、再生水w2を設備用水として利用可能な設備若しくは施設である。別のユースポイント62では、純水w4のような高純度の水は必要としない。このような設備の一例として一次純水程度の水質で十分適用可能な他のプロセスや、クーリングタワー、スクラバーやボイラー等を例示できる。
【0033】
再生水製造装置2は、ユースポイント61から排出された排水w1を、純水製造装置4の原水として利用できる程度まで浄化できるものであればよい。例えば、再生水製造装置2は、逆浸透膜及び脱イオン装置を備えたものであってもよく、更に紫外線酸化装置を備えたものでもよく、更に脱ガス装置を備えたものでもよい。
【0034】
監視装置3は、第1全炭素量測定装置31と、紫外線酸化装置32と、脱イオン装置33と、第2全炭素量測定装置34とを備えている。また、監視装置3は、制御部35を備えていてもよい。監視装置3は、供給路L2を介して、再生水製造装置2によって浄化された再生水w2の一部を、監視対象水w3として受け入れる。そして、受け入れた監視対象水w3を第1試験水w31と第2試験水w32の2つに二分し、第1試験水w31を第1全炭素量測定装置31に送り、第2試験水w32を紫外線酸化装置32に送る。
【0035】
第1全炭素量測定装置31は、再生水w2から分取された第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1を測定するものである。すなわち、第1全炭素量測定装置31は、再生水w2の全有機性炭素量TOC1を測定するものである。また、第1全炭素量測定装置31は、測定した全有機性炭素量TOC1を制御部35に出力してもよい。
【0036】
紫外線酸化装置32は、再生水w2からから分取された第2試験水w32に対して紫外線酸化処理を行う。紫外線酸化装置32は、再生水w2に含まれる有機物を、比較的低分子量の分解物にまで分解できるものがよく、より具体的には再生水w2中の有機物を低分子量の有機酸まで分解できるものがよい。ただし、尿素や尿素化合物のような難分解性有機物の分解能力までは必要ない。
【0037】
脱イオン装置33は、紫外線酸化装置32によって処理された第2試験水w32に対して、脱イオン処理を行う。脱イオン装置33は、紫外線酸化処理によって生成した再生水w2中の分解物を、再生水w2から除去できるものがよい。脱イオン装置33は例えば、電気脱イオン装置(電気再生式イオン交換装置,Continuous Deionization:CDI)、逆浸透膜、イオン交換装置であってもよい。また、イオン交換樹脂を容器(カラム)に充填したイオン交換樹脂カラムでもよい。
【0038】
更に、第2全炭素量測定装置34は、脱イオン装置33によって処理された第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2を測定するものである。すなわち、第2全炭素量測定装置34は、紫外線酸化処置及び脱イオン処理された再生水w2の全有機性炭素量TOC2を測定するものである。また、第2全炭素量測定装置34は、測定した全有機性炭素量TOC2を制御部35に出力してもよい。
【0039】
制御部35は、全有機性炭素量TOC1及びTOC2が入力され、全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、全有機性炭素量TOC2と第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、再生水w2中の難分解性物質の濃度を監視する。そして、その監視結果を供給手段5に出力する。制御部35の動作の詳細は後述する。なお、第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも小さな閾値である。
【0040】
制御部35として具体的には例えば、全有機性炭素量TOC1及びTOC2を受け入れるデータ入力部と、中央演算装置と、メモリ装置と、監視結果を供給手段5に出力するデータ出力部と、表示部とを備えたコンピュータを用いることができる。メモリ装置には、制御部35を動作させるためのコンピュータプログラムが保持され、このコンピュータプログラムが中央演算装置によって実行されるようにしてもよい。また、第1全炭素量測定装置31、第2全炭素量測定装置34及び供給手段5と制御部35とは、有線回線で接続されていてもよく、無線回線で接続されていてもよい。
【0041】
供給手段5は、制御部35による再生水w2の監視結果が入力され、その結果に応じて、再生水w2を、純水製造装置4、別のユースポイント62または水処理システム1の外部のいずれかに送るものである。供給手段5の動作の詳細は後述する。
【0042】
また、水処理システム1には、供給手段5とは別の供給手段51を備えても良い。供給手段51は、純水製造装置4への再生水w2の供給量が不足する際、その不足分を補うために、再生水w2とは異なる別の原水w5を純水製造装置4へ供給するための手段である。別の原水w5としては、例えば、上水、工業用水、河川水、湖沼水あるいは井戸水などを凝集加圧浮上及び/又は濾過処理などされたものが挙げられる。
【0043】
純水製造装置4は、再生水製造装置2によって浄化された再生水w2から純水w4を製造する。
図1に示す純水製造装置4は、原水槽41と、一次純水製造装置42と、二次純水製造装置43とを備えている。一次純水製造装置42は、再生水w2から純水w4を製造する。また、二次純水製造装置43は、一次純水製造装置42によって製造された純水w4を更に高純度の純水w4(超純水)とする。なお、純水製造装置4は
図1に示す構成に限るものではなく、二次純水製造装置43が省略されたものでもよい。また、一次純水製造装置42は、逆浸透膜及び脱イオン装置を備えたものであってもよく、更に脱ガス装置を備えたものであってもよい。更に、二次純水製造装置43は、例えば、脱イオン装置及びUF膜装置を備えたものであってもよく、更に紫外線酸化装置を備えたものであってもよく、更には脱ガス装置や触媒樹脂装置を備えたものであってもよい。
【0044】
(水処理方法、監視対象水中の難分解性物質の監視方法)
次に、
図1に示す水処理システム1を利用した、水処理方法及び監視対象水中の難分解性物質の監視方法について、説明する。
本実施形態の水処理方法は、再生工程と、監視工程と、純水製造工程とを備える。再生工程は、
図1に示す再生水製造装置2により、ユースポイント61において使用された排水w1を浄化して再生水w2にする。また、監視工程においては、再生水製造装置2よって浄化された再生水w2を監視対象水w3とし、
図1に示す監視装置3によって監視対象水w3中の難分解性物質の監視を行う。更に、純水製造工程では、
図1に示す純水製造装置4により、再生水w2から純水w4を製造する。以下、各工程について説明する。
【0045】
再生工程は、ユースポイント61において使用され、供給路L1を介して再生水製造装置2に導入された排水w1に対して、浄化処理を行う。再生工程は、例えば、逆浸透膜によって比較的分子量が大きい有機物を排水w1から除去し、次いで、逆浸透膜を通過した有機物を紫外線酸化装置によって低分離量の分解物まで分解し、更に、紫外線酸化装置によって分解された分解物を、脱イオン装置によって除去する。ただし、再生工程によっても、尿素や尿素化合物のような難分解性物質は除去できない可能性がある。
【0046】
再生工程によって得られた再生水w2は、その一部が供給路L2によって監視装置3に送られる。また、再生水w2の残部は、供給路L3によって供給手段5に送られる。再生水w2の監視装置3と供給手段5の分配比率は特に制限はない。
【0047】
次に、監視工程について説明する。監視工程では、再生水製造装置2から供給路L2を介して送られた再生水w2を監視対象水w3とし、
図1に示す監視装置3によって監視対象水w3中の難分解性物質の濃度を監視する。
監視装置3では、供給路L2を介して供給された再生水w2を、更に2分して第1試験水w31と第2試験水w32とする。第1試験水w31は、そのまま、第1全炭素量測定装置31に送られて、全有機性炭素量TOC1が測定される。一方、第2試験水w32は、紫外線酸化装置32及び脱イオン装置33を通過した後に第2全炭素量測定装置34に送られて、全有機性炭素量TOC2が測定される。
【0048】
第2試験水w32が紫外線酸化装置32及び脱イオン装置33を通過することにより、第2試験水w32中に残留する有機物のうち、比較的分解されやすい有機物が、紫外線酸化装置32によって分解されて低分子量の分解物とされ、更に、この分解物が脱イオン装置33によって除去される。このように、第2全炭素量測定装置34に送られる第2試験水w32は、再生水w2に対して更に紫外線酸化処理と脱イオン処理が施されたものとなるから、同じ再生水w2から二分された第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1に比べて、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2は低くなる。
【0049】
図1に示す水処理システム1の監視装置3では、第1全炭素量測定装置31及び第2全炭素量測定装置34によって測定した全有機性炭素量TOC1及びTOC2を制御部35に出力する。そして、制御部35において、全有機性炭素量TOC1及びTOC2に基づき、難分解性物質の濃度の監視を行う。以下、制御部35の動作を説明する。
【0050】
制御部35では、第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係を判定するとともに、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2と第2閾値Th2との大小関係を判定することにより、難分解性物質の濃度を監視する。
【0051】
第1閾値Th1は、全有機性炭素量TOC1が所定の基準を満たすかどうかを判定する閾値である。第1閾値Th1は、例えば、5〜1000ppbの範囲内のいずれかの値である。また、第2閾値Th2は、全有機性炭素量TOC2が所定の基準を満たすかどうかを判定する閾値である。第2閾値Th2は1〜100ppbの範囲内のいずれかの値であり、かつ、第1閾値Th2未満の値である。
【0052】
第1閾値Th1及び第2閾値Th2は、純水製造装置4の処理能力、ユースポイント61における純水w4の要求品質、ユースポイント62における再生水w2の要求品質等を参考にして適宜設定すればよい。例えば、純水製造装置4に供給する原水の水質基準の一つとして、全有機性炭素量の上限値が決められている場合は、その原水の全有機性炭素量の上限値を第1閾値Th1としてもよい。また、ユースポイント61において、純水w4の水質基準の一つとして、尿素や尿素化合物のような難分解性物質濃度の上限値が決められている場合は、その純水w4の難分解性物質濃度の上限値及び純水製造装置4の処理能力を参考にして、第2閾値Th2を設定してもよい。
【0053】
制御部35では、第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1と第1閾値Th1との大小関係と、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2と第2閾値Th2との大小関係とに基づき、供給手段5に対して以下に説明するような動作を行わせる。表1には、TOC1とTh1との大小関係、TOC2とTh2との大小関係、及び、供給手段5における動作との相互関係を示す。
【0055】
パターン1(Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2の場合)
Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合、例えば、第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1が、純水製造装置4の原水の水質基準のうち全有機性炭素量の上限を下回り、かつ、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2が、ユースポイント61における純水w4の要求品質を満足させる程度に低い場合は、制御部35は供給手段5に対して再生水w2を純水製造装置4に供給させる指令を発し、供給手段5は再生水w2を純水製造装置4に供給する。
【0056】
パターン2(Th1≧TOC1かつTh2<TOC2の場合)
Th1≧TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合、例えば、第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1が、純水製造装置4の原水の水質基準のうち全有機性炭素量の上限を下回るが、その一方で、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2が、ユースポイント61における純水w4の要求品質を満足させられない場合は、制御部35は供給手段5に対して再生水w2を別のユースポイント62に供給させる指令を発し、供給手段5は再生水w2を別のユースポイント62に供給する。このように判断する理由は、純水製造装置4が難分解性物質を除去できないおそれがあることから、監視工程においてTh1≧TOC1かつTh2<TOC2を満たすと判定された再生水w2を純水製造装置4に供給して純水w4を製造したとしても、製造された純水w4は、ユースポイント61における純水w4の要求品質を満たさない可能性があるためである。
【0057】
パターン3(Th1<TOC1かつTh2≧TOC2の場合)
Th1<TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合、例えば、第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1が、純水製造装置4の原水の水質基準のうち全有機性炭素量の上限を上回る場合は、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2が、ユースポイント61における純水w4の要求品質を満足させる程度に低い場合であっても、制御部35は供給手段5に対して再生水w2を水処理システムの外部に排出させる指令を発し、供給手段5は再生水w2を水処理システムの外部に排出させる。このように判断する理由は、監視工程においてTh1<TOC1を満たすと判定された再生水w2、例えTh2≧TOC2であったとしても、再生水w2としてのそもそもの有機物濃度が高いために、別のユースポイント62に供給したとしても何らかの問題を起こすおそれがあるためである。
【0058】
パターン4(Th1<TOC1かつTh2<TOC2の場合)
Th1<TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合、例えば、第1試験水w31の全有機性炭素量TOC1が、純水製造装置4の原水の水質基準のうち全有機性炭素量の上限を上回り、かつ、第2試験水w32の全有機性炭素量TOC2が、ユースポイント61における純水w4の要求品質を満足させられない場合は、制御部35は供給手段5に対して再生水w2を水処理システムの外部に排出させる指令を発し、供給手段5は再生水w2を水処理システムの外部に排出させる。このように判断する理由は、監視工程においてTh1<TOC1かつTh2<TOC2を満たすと判定された再生水w2は、別のユースポイント62に供給したとしても何らかの問題を起こすおそれがあるためである。
【0059】
次に、純水製造工程について説明する。上記パターン1のように、供給手段5から供給路L4を介して再生水w2が純水製造装置4に供給された場合は、純水製造装置4の原水槽41が再生水w2を受入れ、再生水w2を一次純水製造装置42及び二次純水製造装置43によって処理することで、純水w4を製造する。製造された純水w4はユースポイント61に送られ、ユースポイント61において利用される。
【0060】
また、上記パターン2のように、供給手段5から供給路L5を介して再生水w2が別のユースポイント62に供給された場合は、再生水w2はユースポイント62において利用される。
更に、上記パターン3及び4のように、供給手段5から供給路L6を介して再生水w2が水処理システム1の外部に排出される場合もある。
【0061】
なお、上記の実施形態では、制御部35において全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係を判定し、その判定結果に基づき、制御部35が供給手段5に対して再生水w2の供給先を指令する態様について説明したが、本発明はこれに限らず、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係の判定をオペレータが行い、その判定結果に基づき、オペレータが供給手段5に対して再生水w2の供給先を指示してもよい。また、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係の判定を制御部35が行い、その判定結果に基づき、オペレータが供給手段5に対して再生水w2の供給先を指示してもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の監視装置3は、第1全炭素量測定装置31と、第2全炭素量測定装置34とが備えられており、第1全炭素量測定装置31によって、監視対象水w3に含まれる有機物の全有機性炭素量TOC1が測定され、また、第2全炭素量測定装置34によって、紫外線酸化装置32及び脱イオン装置33により除去されなかった有機物の全有機性炭素量TOC2が測定される。これら全有機性炭素量TOC1及びTOC2を把握することで、監視対象水w3の難分解性有機物の濃度の変動を監視でき、また、監視対象水w3の水質も監視できる。
【0063】
また、本実施形態の監視装置3は、全有機性炭素量TOC1及び第1閾値Th1の大小関係と全有機性炭素量TOC2及び第2閾値Th2の大小関係とから、難分解性物質の濃度を監視する制御部35が更に備えられているので、難分解性有機物の濃度の変動を継続して監視できるとともに、監視対象水w3の水質も継続して監視できる。
【0064】
次に、本実施形態の水処理システム1は、ユースポイント61において使用された排水w1を再生水w2にする再生水製造装置2と、再生水w2中の難分解性物質を監視する監視装置3と、再生水w2を原水として受け入れ可能な純水製造装置4とを備え、監視装置3が、全有機性炭素量TOC1及びTOC2を把握することで、再生水w2中の難分解性有機物の濃度の変動を監視でき、また、再生水w2の水質も監視できる。
【0065】
また、本実施形態の水処理システム1は、供給手段5を備えており、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係が、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、供給手段5は、再生水w2を純水製造装置4に供給させるので、難分解物質濃度が低く純水製造に適した再生水w2を純水製造装置4に供給でき、難分解性物質濃度が低減された純水w4を製造できる。
【0066】
また、本実施形態の水処理システム1は、制御部35と供給手段5とを備えており、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、制御部35は、供給手段5によって再生水w2を純水製造装置4に供給させるので、難分解物質濃度が低く純水製造に適した再生水w2を純水製造装置4に供給でき、難分解性物質濃度が低減された純水w4を製造できる。
【0067】
また、本実施形態の水処理システムは、供給手段5を備えており、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係に応じて、供給手段5は再生水w2を純水製造装置4に供給させるか、再生水w2を別のユースポイント62に供給させるか、あるいは、供給手段5は再生水w2を水処理システム1の外部に排出させる。
また、本実施形態の水処理システムは、制御部35と供給手段5とを備えている場合には、制御部35は、全有機性炭素量TOC1、TOC2、第1閾値Th1及び第2閾値Th2の大小関係を判定した上で、供給手段5によって、再生水w2を純水製造装置4に供給させるか、再生水w2を別のユースポイント62に供給させるか、あるいは、再生水w2を水処理システム1の外部に排出させる。
これにより、再生水w2の水質に応じて、再生水w2の供給先を変更できる。すなわち、比較的高純度の再生水w2は純水製造装置4の原水とし、純水製造装置の原水には適さないが他の用途に利用可能な純度を有する再生水w2は当該用途のユースポイント62に供給し、別のユースポイント62の利用にも適さない再生水w2は系外に排出することができ、再生水w2をその水質に応じて適切に利用できる。また、純水製造に適さない再生水w2は別のユースポイントに送るか、または系外に排出するので、純水製造装置4、ユースポイント61及び再生水製造装置2を循環する水に難分解性物質を蓄積させることがなく、常に高品質な純水w4を製造できる。
【0068】
次に、本実施形態の監視方法は、全有機性炭素量TOC1及び第1閾値Th1の大小関係と全有機性炭素量TOC2及び第2閾値Th2の大小関係を判定する。これにより、監視対象水w3の難分解性有機物の濃度の変動を継続して監視できるとともに、監視対象水w3の水質も継続して監視できる。
【0069】
次に、本実施形態の水処理方法は、ユースポイント61において使用された排水w1を再生水w2にする再生工程と、再生水w2中の難分解性物質を監視する監視工程と、再生水w2から純水w4を製造する純水製造工程とを備え、監視工程は、全有機性炭素量TOC1及び第1閾値Th1の大小関係と全有機性炭素量TOC2及び第2閾値Th2の大小関係とを判定するので、再生水w2中の難分解性有機物の濃度の変動及び再生水w2の水質を継続して監視することができ、難分解性有機物の濃度が低減された純水w4を製造できる。
【0070】
また、本実施形態の水処理方法は、監視工程において、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に、供給手段5によって再生水w2を純水製造装置4に供給するので、難分解物質濃度が低く純水製造に適した再生水w2を純水製造装置4に供給することができ、難分解性物質濃度が低減された純水w4を製造できる。
【0071】
また、本実施形態の水処理方法は、監視工程において、Th1≧TOC1かつTh2≧TOC2を満たす場合に供給手段5によって再生水w2を純水製造装置4に供給し、また、Th1≧TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段5によって再生水w2を別のユースポイント62に供給し、更に、Th1<TOC1かつTh2≧TOC2またはTh1<TOC1かつTh2<TOC2を満たす場合に供給手段5によって再生水w2を水処理システム1の外部に排出する。これにより、再生水w2の水質に応じて、再生水w2の供給先を変更できる。すなわち、比較的高純度の再生水w2は純水製造装置4の原水とし、純水製造装置4の原水には適さないが他の用途に利用可能な純度を有する再生水w2は当該用途のユースポイント62に供給し、別のユースポイント62の利用にも適さない再生水w2は系外に排出することができ、再生水w2をその水質に応じて適切に利用できる。また、純水製造に適さない再生水w2は別のユースポイントに送るか、または系外に排出するので、純水製造装置4、ユースポイント61及び再生水製造装置2を循環する水に難分解性物質を蓄積させることがなく、常に高品質な純水w4を製造できる。
【符号の説明】
【0072】
1…水処理システム、2…再生水製造装置、3…監視装置、4…純水製造装置、5…供給手段、31…第1全炭素量測定装置、32…紫外線酸化装置、33…脱イオン装置、34…第2全炭素量測定装置、35…制御部、41…原水槽、42…一次純水製造装置、43…二次純水製造装置、51…別の原水の供給手段、61…ユースポイント、62…別のユースポイント、L1〜L6…供給路、TOC1、TOC2…全有機性炭素量、Th1…第1閾値、Th2…第2閾値、w1…排水、w2…再生水、w3…監視対象水、w31…第1試験水、w32…第2試験水、w4…純水、w5…別の原水。