(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記視野角調整素子用液晶組成物の波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)をΔnとし、前記視野角スイッチング層の厚さをdとしたとき、Δnとdの積(Δn×d)が700nm以上である、請求項10に記載の視野角調整素子。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。「視野角調整素子用液晶組成物」および「液晶組成物」の用語を「組成物」と略すことがある。「液晶表示素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールを含む総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相のような液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが、ネマチック相の温度範囲、粘度、誘電率異方性のような特性を調節する目的で組成物に混合される化合物の総称である。この化合物は、例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子(液晶分子)は棒状(rod like)である。「重合性化合物」は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。アルケニルを有する液晶性化合物は、その意味では重合性に分類されない。
【0011】
液晶組成物は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。この液晶組成物に、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消光剤、二色性色素や重合性化合物のような添加物が必要に応じて添加される。液晶性化合物の割合は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない液晶組成物の質量に基づいた質量百分率(質量%)で表される。添加物の割合は、添加物を含まない液晶組成物の質量に基づいた質量百分率(質量%)で表される。すなわち、液晶性化合物や添加物の割合は、液晶性化合物の全質量に基づいて算出される。質量百万分率(ppm)が用いられることがある。重合開始剤および重合禁止剤の割合は、例外的に重合性化合物の質量に基づいて表される。
【0012】
「ネマチック相の上限温度」を「上限温度」と略すことがある。「ネマチック相の下限温度」を「下限温度」と略すことがある。「誘電率異方性を上げる」の表現は、誘電率異方性が正である組成物のときは、その値が正に増加することを意味し、誘電率異方性が負である組成物のときは、その値が負に増加することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。組成物や素子の特性が経時変化試験によって検討されることがある。
【0013】
上記の化合物(1z)を例にして説明する。式(1z)において、六角形で囲んだαおよびβの記号はそれぞれ環αおよび環βに対応し、六員環、縮合環のような環を表す。添え字‘x’が2のとき、2つの環αが存在する。2つの環αが表す2つの基は、同一であってもよく、または異なってもよい。このルールは、添え字‘x’が2より大きいとき、任意の2つの環αに適用される。このルールは、結合基Zのような、他の記号にも適用される。環βの一辺を横切る斜線は、環β上の任意の水素が置換基(−Sp−P)で置き換えられてもよいことを表す。添え字‘y’は置き換えられた置換基の数を示す。添え字‘y’が0のとき、そのような置き換えはない。添え字‘y’が2以上のとき、環β上には複数の置換基(−Sp−P)が存在する。この場合にも、「同一であってもよく、または異なってもよい」のルールが適用される。なお、このルールは、Ra、Rbなどの記号を複数の化合物に用いた場合にも適用される。
【0014】
式(1z)において、例えば、「RaおよびRbは、アルキル、アルコキシ、またはアルケニルである」の表現は、RaおよびRbが独立して、アルキル、アルコキシ、およびアルケニルの群から選択されることを意味する。すなわち、Raによって表される基とRbによって表される基が同一であってもよく、または異なってもよい。
【0015】
式(1z)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1z)」と略すことがある。「化合物(1z)」は、式(1z)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。他の式で表される化合物についても同様である。「式(1z)および式(2z)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物」の表現は、化合物(1z)および化合物(2z)の群から選択された少なくとも1つの化合物を意味する。
【0016】
「少なくとも1つの‘A’」の表現は、‘A’の数は任意であることを意味する。「少なくとも1つの‘A’は、‘B’で置き換えられてもよい」の表現は、‘A’の数が1つのとき、‘A’の位置は任意であり、‘A’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できる。「少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよい」の表現が使われることがある。この場合、−CH
2−CH
2−CH
2−は、隣接しない−CH
2−が−O−で置き換えられることによって−O−CH
2−O−に変換されてもよい。しかしながら、隣接した−CH
2−が−O−で置き換えられることはない。この置き換えでは−O−O−CH
2−(ペルオキシド)が生成するからである。
【0017】
液晶性化合物のアルキルは、直鎖状または分岐状であり、環状アルキルを含まない。通常、直鎖状アルキルは、分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルのような末端基についても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、通常、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンは左右非対称であるから、左向き(L)および右向き(R)が存在する。
テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような二価基においても同様である。カルボニルオキシのような結合基(−COO−または−OCO−)も同様である。
【0019】
項1. 成分Aとして式(1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、視野角調整素子用液晶組成物。
式(1)において、R
1aおよびR
1bは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環A
1および環B
1は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;Z
1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;a
1は、1、2、または3である。
【0020】
項2. 成分Aとして式(1−1)から式(1−17)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
式(1−1)から式(1−17)において、R
1aおよびR
1bは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
【0021】
項3. 成分Aとして式(1−3)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−12)、および式(1−13)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項2に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
【0022】
項4. 成分Aの割合が5質量%から90質量%の範囲である、項1から3のいずれか1項に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
【0023】
項5. 成分Bとして式(2)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から4のいずれか1項に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
式(2)において、R
2は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;環A
2は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり;Z
2は、単結合、エチレン、ビニレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;X
2aおよびX
2bは、水素またはフッ素であり;Y
2は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシであり;a
2は、1、2、3、または4である。
【0024】
項6. 成分Bとして式(2−1)から式(2−39)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から5のいずれか1項に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
式(2−1)から式(2−39)において、R
2は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;X
2aおよびX
2bは、水素またはフッ素である。
【0025】
項7. 成分Bの割合が5質量%から90質量%の範囲である、項5または6に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
【0026】
項8. 成分Cとして式(3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から7のいずれか1項に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
式(3)において、R
3aおよびR
3bは、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環A
3および環C
3は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルであり;環B
3は、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイル、3,4,5,6−テトラフルオロフルオレン−2,7−ジイル、4,6−ジフルオロジベンゾフラン−3,7−ジイル、4,6−ジフルオロジベンゾチオフェン−3,7−ジイル、または1,1,6,7−テトラフルオロインダン−2,5−ジイルであり;Z
3aおよびZ
3bは、単結合、エチレン、ビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;a
3は、0、1、2、または3であり、b
3は0または1であり;そしてa
3とb
3との和は3以下である。
【0027】
項9. 成分Cとして式(3−1)から式(3−35)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から8のいずれか1項に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
式(3−1)から式(3−35)において、R
3aおよびR
3bは、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。
【0028】
項10. 液晶組成物の質量に基づいて、成分Cの割合が5質量%から90質量%の範囲である、項8または9に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
【0029】
項11. 波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)が0.15から0.25の範囲である、項1から10のいずれか1項に記載の視野角調整素子用液晶組成物。
【0030】
項12. 視野角スイッチング層と、前記視野角スイッチング層に電圧を印加するための一対の電極とを備え、前記視野角スイッチング層が、成分Aとして式(1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する視野角調整素子用液晶組成物を含む、視野角調整素子。
式(1)において、R
1aおよびR
1bは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環A
1および環B
1は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;Z
1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;a
1は、1、2、または3である。
【0031】
項13. 前記視野角調整素子用液晶組成物の波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)をΔnとし、前記視野角スイッチング層の厚さをdとしたとき、Δnとdの積(Δn×d)が700nm以上である、項12に記載の視野角調整素子。
【0032】
項14. 項12または13に記載の視野角調整素子を含む、視野角調整可能な表示装置。
【0033】
項15. 項12または13に記載の視野角調整素子を含む、視野角調整可能な液晶表示装置。
【0034】
<視野角調整素子用液晶組成物>
本発明の視野角調整素子用液晶組成物を次の順で説明する。第一に、組成物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物や視野角調整素子に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、組成物における成分化合物の組合せ、好ましい割合、およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、好ましい成分化合物を示す。第六に、組成物に添加してもよい添加物を説明する。第七に、成分化合物の合成法を説明する。第八に、視野角調整素子の視野角スイッチング層に使用するために必要とされる、あるいは好適な組成物の特性を説明する。
【0035】
第一に、組成物の構成を説明する。本発明の視野角調整素子用液晶組成物は、複数の液晶性化合物を含有し、化合物(1)から選択された少なくとも1つの液晶性化合物を含有する。この組成物は、添加物をさらに含有してもよい。添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消光剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。
【0036】
この組成物は、液晶性化合物の観点から組成物(a)と組成物(b)に分類される。組成物(a)は、化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)から選択された液晶性化合物の他に、その他の液晶性化合物を含有し、添加物などをさらに含有してもよい(ただし、組成物(a)は、必須成分として、化合物(1)から選択された少なくとも1つの液晶性化合物を含有する。)。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。
【0037】
組成物(b)は、実質的に化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)から選択された液晶性化合物のみからなる(ただし、組成物(b)も、必須成分として、化合物(1)から選択された少なくとも1つの液晶性化合物を含有する。)。「実質的に」は、組成物(b)が添加物を含有してもよいが、その他の液晶性化合物を含有しないことを意味する。なお、その他の液晶性化合物は特に制限されず、公知の液晶性化合物いずれも用いることができる。
【0038】
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物や視野角調整素子に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、Sよりも小さいことを意味する。
【0040】
成分化合物の主要な特性、効果は次のとおりである。化合物(1)は、適切な光学異方性、粘度、比抵抗などの特性を有し、これを用いることによって、良好な特性を有する視野角調整素子を得ることができる液晶組成物とすることができる。化合物(2)は、大きな正の誘電率異方性と、適切な光学異方性、粘度、比抵抗などの特性の少なくとも1つを有し、正の誘電率異方性を有する視野角調整素子用液晶組成物を調製するために好適に用いることができる。化合物(3)は、大きな負の誘電率異方性と、適切な光学異方性、粘度、比抵抗などの特性の少なくとも1つを有し、負の誘電率異方性を有する視野角調整素子用液晶組成物を調製するために好適に用いることができる。化合物(3)は、正の誘電率異方性を有する液晶組成物に用いられる場合、垂直方向の誘電率を上げることができる。
【0041】
第三に、組成物における成分化合物の組合せ、好ましい割合、およびその根拠を説明する。組成物における成分化合物の好ましい組合せは、化合物(1)+化合物(2)、化合物(1)+化合物(3)、または化合物(1)+化合物(2)+化合物(3)である。さらに好ましい組合せは、化合物(1)+化合物(2)、または化合物(1)+化合物(3)である。
【0042】
化合物(1)[成分A]の好ましい割合は、光学異方性を上げる、または粘度を下げるために約5質量%以上であり、誘電率異方性を上げるために約90質量%以下である。さらに好ましい割合は約10質量%から約80質量%の範囲である。特に好ましい割合は約30質量%から約80質量%の範囲である。
【0043】
化合物(2)[成分B]の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約5質量%以上であり、下限温度を下げるために約90質量%以下である。さらに好ましい割合は約10質量%から約85質量%の範囲である。特に好ましい割合は約15質量%から約80質量%の範囲である。
【0044】
化合物(3)[成分C]の好ましい割合は、誘電率異方性を上げる、または垂直方向の誘電率を上げるために約5質量%以上であり、下限温度を下げるために約90質量%以下である。さらに好ましい割合は約5質量%から約80質量%の範囲である。特に好ましい割合は約10質量%から約70質量%の範囲である。
【0045】
第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。式(1)において、R
1aおよびR
1bは、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR
1aまたはR
1bは、粘度を下げるために炭素数2から12のアルケニルであり、安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルである。式(2)において、R
2は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR
2は、安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルである。式(3)において、R
3aおよびR
3bは、水素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。好ましいR
3aは、安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルであり、粘度を下げるために炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR
3bは、誘電率異方性を上げるために炭素数1から12のアルコキシである。
【0046】
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルである。
【0047】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルコキシは、メトキシまたはエトキシである。
【0048】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためにビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
【0049】
好ましいアルケニルオキシは、ビニルオキシ、アリルオキシ、3−ブテニルオキシ、3−ペンテニルオキシ、または4−ペンテニルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルケニルオキシは、アリルオキシまたは3−ブテニルオキシである。
【0050】
少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、または6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニルまたは4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
【0051】
式(1)において、環A
1および環B
1は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルである。好ましい環A
1または環B
1は、光学異方性を上げるために1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。ある実施態様においては、環A
1および環B
1の少なくとも2つ、より好ましくは環A
1および環B
1の2つまたは3つが、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであることが好ましく、環A
1および環B
1の少なくとも2つ、より好ましくは環A
1および環B
1の2つまたは3つが、1,4−フェニレン、または2−フルオロ−1,4−フェニレンであることが特に好ましい。環A
1および環B
1の少なくとも2つ、より好ましくは環A
1および環B
1の2つまたは3つが、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである式(1)で表される化合物を用いることによって、大きな光学異方性を有する組成物を調製でき、また、他の特性も良好な組成物を調製しやすい傾向がある。
【0052】
式(2)において、環A
2は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルである。好ましい環A
2は、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり、誘電率異方性を上げるために2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。環A
2におけるテトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、
または
であり、好ましくは
である。
【0053】
式(3)において、環A
3および環C
3は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルである。「少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン」の好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたは2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環A
3または環C
3は、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、上限温度を上げるためにテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンである。環A
3および環C
3におけるテトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、
または
であり、好ましくは
である。
【0054】
環B
3は、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイル、3,4,5,6−テトラフルオロフルオレン−2,7−ジイル(FLF4)、4,6−ジフルオロジベンゾフラン−3,7−ジイル(DBFF2)、4,6−ジフルオロジベンゾチオフェン−3,7−ジイル(DBTF2)、または1,1,6,7−テトラフルオロインダン−2,5−ジイル(InF4)である。
好ましい環B
3は、誘電率異方性を上げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。
【0055】
式(1)において、Z
1は、単結合、エチレン、ビニレン、エチニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシである。好ましいZ
1は、粘度を下げるために単結合である。式(2)において、Z
2は、単結合、エチレン、ビニレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシである。好ましいZ
2は、粘度を下げるために単結合であり、誘電率異方性を上げるためにジフルオロメチレンオキシである。式(3)において、Z
3aおよびZ
3bは、単結合、エチレン、ビニレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシである。好ましいZ
3aまたはZ
3bは、粘度を下げるために単結合であり、下限温度を下げるためにエチレンであり、誘電率異方性を上げるためにメチレンオキシである。
【0056】
メチレンオキシのような二価基は、左右非対称である。メチレンオキシにおいて、−CH
2O−は−OCH
2−よりも好ましい。カルボニルオキシにおいて、−COO−は−OCO−よりも好ましい。
【0057】
式(2)において、X
2aおよびX
2bは、水素またはフッ素である。好ましいX
2aまたはX
2bは、誘電率異方性を上げるためにフッ素である。
【0058】
Y
2は、フッ素、塩素、シアノ、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルオキシである。誘電率異方性の観点において、好ましいY
2は、フッ素またはシアノである。光に対する安定性の観点においては、シアノよりもフッ素の方が好ましい。誘電率異方性の観点においては、シアノの方が好ましい。Y
2がシアノである式(2)の化合物は、これを用いることで大きな誘電率異方性を達成しやすく、他の化合物との組み合わせで大きな光学異方性を有する組成物を調製するのにより適する場合がある。
【0059】
式(1)において、a
1は、1、2、または3である。好ましいa
1は、粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。式(2)において、a
2は、1、2、3、または4である。好ましいa
2は、誘電率異方性を上げるために2または3である。式(3)において、a
3は、0、1、2、または3であり、b
3は0または1であり、そしてa
3とb
3との和は3以下である。好ましいa
3は、粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。好ましいb
3は、粘度を下げるために0であり、下限温度を下げるために1である。
【0060】
第五に、好ましい成分化合物を示す。好ましい化合物(1)[成分A]は、項2に記載の化合物(1−1)から化合物(1−17)である。これらの化合物において、成分Aの少なくとも1つが、化合物(1−3)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−8)、化合物(1−9)、化合物(1−12)、または化合物(1−13)であることが好ましい。ある実施態様においては、成分Aの少なくとも2つが、化合物(1−3)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−8)、化合物(1−9)、化合物(1−12)、および化合物(1−13)から選択される化合物であることが好ましい。成分Aの少なくとも2つが、化合物(1−3)および(1−6)、化合物(1−3)および(1−8)、化合物(1−3)および化合物(1−13)、化合物(1−6)および化合物(1−8)、化合物(1−6)および化合物(1−13)、または化合物(1−8)および化合物(1−13)の組合せであることが好ましい。
【0061】
化合物(1−3)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−8)、化合物(1−9)、化合物(1−12)、および化合物(1−13)の割合の合計が、液晶組成物の質量に基づいて15質量%以上であることが好ましい。化合物(1−3)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−8)、化合物(1−9)、化合物(1−12)、および化合物(1−13)の割合の合計が、液晶組成物の質量に基づいて20質量%以上であることが特に好ましい。また、化合物(1−3)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−8)、化合物(1−9)、化合物(1−12)、および化合物(1−13)の割合の合計が、成分Aの全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
【0062】
好ましい化合物(2)[成分B]は、項6に記載の化合物(2−1)から化合物(2−39)である。これらの化合物において、成分Bの少なくとも1つが、化合物(2−8)、化合物(2−15)、化合物(2−18)、化合物(2−19)、化合物(2−20)、化合物(2−23)、化合物(2−24)、化合物(2−29)、または化合物(2−30)であることが好ましい。ある実施態様においては、成分Bの少なくとも2つが、化合物(2−8)および化合物(2−15)、化合物(2−15)および化合物(2−18)、化合物(2−15)および化合物(2−19)、化合物(2−15)および化合物(2−29)、化合物(2−15)および化合物(2−30)、化合物(2−18)および化合物(2−29)、または化合物(2−18)および化合物(2−30)の組合せであることが好ましい。
【0063】
好ましい化合物(3)[成分C]は、項9に記載の化合物(3−1)から化合物(3−35)である。これらの化合物において、成分Cの少なくとも1つが、化合物(3−1)、化合物(3−3)、化合物(3−6)、化合物(3−8)、化合物(3−10)、化合物(3−14)、化合物(3−16)、化合物(3−18)、化合物(3−19)、または化合物(3−34)であることが好ましい。ある実施態様においては、成分Cの少なくとも2つが、化合物(3−1)および化合物(3−8)、化合物(3−1)および化合物(3−14)、化合物(3−3)および化合物(3−8)、化合物(3−3)および化合物(3−14)、化合物(3−3)および化合物(3−16)、化合物(3−6)および化合物(3−8)、化合物(3−6)および化合物(3−10)、または化合物(3−6)および化合物(3−14)の組合せであることが好ましい。
【0064】
第六に、組成物に添加してもよい添加物を説明する。このような添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消光剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。
【0065】
液晶分子のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で、光学活性化合物を組成物に添加してもよい。このような化合物の例は、化合物(5−1)から化合物(5−5)などである。光学活性化合物の好ましい割合は約5質量%以下である。さらに好ましい割合は約0.01質量%から約2質量%の範囲である。
【0067】
大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、または視野角調整素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤を組成物にさらに添加してもよい。酸化防止剤の例は、化合物(6−1)から化合物(6−3)などである。
【0068】
化合物(6−2)は、揮発性が小さいので、視野角調整素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように約600ppm以下である。さらに好ましい割合は、約100ppmから約300ppmの範囲である。
【0069】
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。立体障害のあるアミンのような光安定剤もまた好ましい。光安定剤の好ましい例は、化合物(7−1)から化合物(7−16)などである。これらの紫外線吸収剤や光安定剤の好ましい割合は、その効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないために約10000ppm以下である。さらに好ましい割合は約100ppmから約10000ppmの範囲である。
【0070】
消光剤は、液晶化合物が吸収した光エネルギーを受容し、熱エネルギーに変換することにより、液晶化合物の分解を防止する化合物である。消光剤の好ましい例は、化合物(8−1)から化合物(8−7)などである。これらの消光剤の好ましい割合は、その効果を得るために約50ppm以上であり、下限温度を上げないために約20000ppm以下である。さらに好ましい割合は約100ppmから約10000ppmの範囲である。
【0071】
二色性色素の例は、ベンゾチアジアゾール類(benzothiadiazoles)、ジケトピロロピロール類(diketopyrrolopyrroles)、アゾ化合物(azo compounds)、アゾメチン化合物(azomethine compounds)、メチン化合物(methine compounds)、アントラキノン類(anthraquinones)、メロシアン類(merocyanines)、ナフトキノン類(naphthoquinones)、テトラジン類(tetrazines)、ピロメテン類(pyrromethenes)、およびペリレン類(perylenes)やテリレン類(terrylenes)のようなリレン類(rylenes)である。好ましい二色性色素は、ベンゾチアジアゾール類、ジケトピロロピロール類、アゾ化合物、アントラキノン類、およびリレン類である。特に好ましい二色性色素は、ベンゾチアジアゾール類、ジケトピロロピロール類、アゾ化合物、およびリレン類である。例えば、ベンゾチアジアゾール類は、ベンゾチアジアゾール環を有する二色性色素を意味する。
【0072】
二色性色素の一例は、化合物(9−1)から化合物(9−110)である。
【0098】
市販されている二色性色素の例は、長瀬産業製のG−207、G−241、G−305、G−470、G−471、G−472、LSB−278、LSB−335、NKX−1366、NKX−3538、NKX−3540、NKX−3622、NKX−3739、NKX−3742、NKX−3773、NKX−4010、およびNKX−4033;三井化学ファイン製のS−428、SI−426、SI−486、M−412、およびM−483である。
【0099】
重合性化合物の例は、式(10)で表される化合物である。
式(10)において、環A
10および環C
10は、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;環B
10は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;Z
10aおよびZ
10bは、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、−CH=CH−、−C(CH
3)=CH−、−CH=C(CH
3)−、または−C(CH
3)=C(CH
3)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;P
10a、P
10b、およびP
10cは、重合性基であり;Sp
10a、Sp
10b、およびSp
10cは、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;a
10は、0、1、または2であり;b
10、c
10、およびd
10は、0、1、2、3、または4であり、そしてb
10、c
10、およびd
10の和は、1以上である。
式(10)において、好ましいP
10a、P
10b、およびP
10cは、下記の式(P−1)から式(P−3)で表される重合性基である。
式(P−1)から式(P−3)において、M
1、M
2、およびM
3は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
【0100】
好ましい重合性化合物の例は、式(10−1)から式(10−29)で表される化合物である。
【0102】
式(10−1)から式(10−29)において、P
10a、P
10b、およびP
10cは、式(P−1)から式(P−3)で表される重合性基から選択された基であり、ここでM
1、M
2、およびM
3は、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり:
Sp
10a、Sp
10b、およびSp
10cは、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
【0103】
第七に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1−1)は、特開昭59−176221号公報に記載された方法で合成できる。化合物(2−4)は、特開平10−204016に記載された方法で合成できる。化合物(3−1)は、特開2000−053602号公報に記載された方法で合成できる。酸化防止剤は市販されている。例えば、化合物(6−1)は、アルドリッチ(Sigma-Aldrich Corporation)から入手できる。化合物(6−2)などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成できる。
【0104】
上記以外の化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させることによって、組成物を調製できる。
【0105】
第八に、視野角調整素子の視野角スイッチング層に使用するために必要とされる、あるいは好適な組成物の特性を説明する。
【0106】
優れた視野角調整機能を実現するには、通常、組成物の光学異方性は大きい方が好ましい。具体的には、組成物の波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)が0.15以上であることが好ましく、0.18以上であることがより好ましい。ある実施態様においては、さらに大きな光学異方性が好ましく、例えば、組成物の波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)が0.19以上であることが好ましい。一方、視野角調整素子に求められる他の特性や、それらとのバランスなどの観点から、通常、組成物の波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)が0.25以下であることが好ましい。
【0107】
良好な特性を有する視野角調整素子を得るために、組成物の誘電率異方性(25℃で測定)の絶対値は、2.0以上であることが好ましい。なお、組成物は、正の誘電率異方性を有するものであってもよく、負の誘電率異方性を有するものであってもよい。
【0108】
組成物の粘度は、視野角調整素子の広視野角と狭視野角の切り替えに要する時間(応答時間)に関連する。広視野角と狭視野角の切り替えに要する時間は短いほど好ましく、したがって、組成物の粘度は小さいほど好ましい。
【0109】
ネマチック相の温度範囲は、視野角調整素子およびこの素子を含む視野角調整可能な表示装置を使用できる温度範囲に関連する。通常、表示装置の使用可能な温度範囲は広い方が好ましく、したがって、ネマチック相の温度範囲は広い方が好ましい。液晶表示装置に適用する場合、通常、ネマチック相の上限温度は約70℃以上であることが好ましく、ネマチック相の下限温度は約−10℃以下であることが好ましい。
【0110】
組成物の比抵抗は、視野角調整素子の電圧保持率に関連する。通常、視野角調整素子の電圧保持率は大きい方が好ましく、組成物の比抵抗も大きい方が好ましい。初期段階において大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。また、長時間使用した後も、大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。
【0111】
また、視野角調整素子の寿命が長くなるので、光や熱に対する組成物の安定性は高い方が好ましい。
【0112】
<視野角調整素子および視野角調整可能な表示装置>
本発明の視野角調整素子は、化合物(1)から選択された少なくとも1つの液晶性化合物を含有する液晶組成物を含む視野角スイッチング層と、この視野角スイッチング層に電圧を印加するための一対の電極とを備える。すなわち、本発明の視野角調整素子は、視野角スイッチング層が、上記の本発明の視野角調整素子用液晶組成物を含むものであり、好ましいものも上記と同様である。
【0113】
本発明の視野角調整素子において、優れた視野角調整機能の観点から、通常、視野角調整素子用液晶組成物の波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)をΔnとし、視野角スイッチング層の厚さをdとしたとき、Δnとdの積(Δn×d)は大きい方が好ましい。具体的には、Δnとdの積が700nm以上であることが好ましい。ある実施態様においては、Δnとdの積が720nm以上であることが好ましい。一方、Δnとdの積の上限値は、特に限定されないが、通常、約1300nm以下であることが好ましく、900nm以下であることが特に好ましい場合がある。なお、表示装置の薄型化が求められることが多く、通常、視野角スイッチング層の厚さdは小さい方が好ましい。
【0114】
本発明の表示装置は、上記のような本発明の視野角調整素子を含む、視野角調整可能な表示装置である。本発明の視野角調整素子に組み合わせる表示素子は、特に限定されず、例えば、液晶表示素子または有機EL表示素子であることができる。
【0115】
本発明の液晶表示装置は、本発明の視野角調整素子を含む、視野角調整可能な液晶表示装置である。組み合わせる液晶表示素子も、特に限定されるものではない。液晶表示素子において、液晶分子の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(fringe field switching)、FPA(field-induced photo-reactive alignment)などのモードである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMは、スタティック(static)、マルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMは、TFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)であり、後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。本発明の液晶表示装置において、これらのいずれのモード、駆動方式の液晶表示素子も好適に用いることができる。高分子支持配向(PSA;polymer sustained alignment)型の液晶表示素子も好適に用いることができる。なお、液晶表示素子に使用される液晶組成物は、特に制限されず、求められる特性などに応じて適宜選択することができる。
【0116】
次に、本発明の表示装置の好ましい一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すものは一例であって、これに限定されるものではない。本発明の視野角調整素子に組み合わせる表示素子が有機EL表示素子である表示装置の場合、バックライトは不要である。本発明の表示装置は、本発明の視野角調整素子用液晶組成物を含む視野角スイッチング層を備える視野角調整素子(本発明の視野角調整素子)を含むことに特徴があって、表示素子を含む、それ以外の表示装置を構成する要素や、その構造は特に限定されない。本発明の視野角調整素子も、本発明の視野角調整素子用液晶組成物を含む視野角スイッチング層を備えることに特徴があって、それ以外の視野角調整素子を構成する要素や、その構造は特に限定されない。なお、表示装置や視野角調整素子を構成する要素、例えば透明電極、透光性基板、配向膜、および偏光板などを構成する材料も特に限定されず、一般的に用いられる公知のものいずれも用いることができる。
【0117】
図1に、本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置の一例の構成を示す概略断面図を示す。
図2に、
図1に示す液晶表示装置の分解斜視図を示す。
図1および
図2に示す液晶表示装置は、正の誘電率異方性を有する液晶組成物を視野角スイッチング層に使用した液晶表示装置の一例である。
【0118】
図1、
図2に示す液晶表示装置1は、液晶表示装置1の視野角特性を切り替えるための視野角調整素子10と、液晶表示素子20と、バックライト30と、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41と、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42と、液晶表示素子20の上に設けられた第三の偏光板43とを備える。なお、
図1および
図2の説明においては、液晶表示素子20に入射した光は偏光板43を透過するものとする。
【0119】
視野角調整素子10は、表面に第一の透明電極12aを有する第一の透光性基板13a、および表面に第二の透明電極12bを有する第二の透光性基板13bと、一対の透明電極12a、12bに挟持された視野角スイッチング層11とを備え、一対の透明電極12a、12bは、視野角スイッチング層11に電圧を印加することができる。バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41の透過軸41aと、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42の透過軸42aは、略平行である。液晶表示素子20の上に設けられた第三の偏光板43の透過軸43aは、第一の偏光板41の透過軸41aおよび第二の偏光板42の透過軸42aに対して略垂直である。
【0120】
視野角スイッチング層11は、液晶分子11mを含有する、正の誘電率異方性を有する液晶組成物(本発明の視野角調整素子用液晶組成物)を含む。透明電極12a、12bの上には、液晶分子11mを配向させるためのラビング処理された配向膜(図示せず)を備え、本実施形態では、そのラビング方向は、
図2に示すように、透明電極12aの配向膜に対するラビング方向Raは、透明電極12bの配向膜に対するラビング方向Rbに略平行かつ逆向きである。すなわち、視野角スイッチング層11は、ホモジニアス配向(水平配向)液晶層であり、視野角スイッチング層11に含有される液晶分子11mは、電圧が印加されていない時には分子長軸11aが透光性基板13a、13bおよび透明電極12a、12bに対して略平行になるように、配列する。
【0121】
視野角スイッチング層11に含有される液晶分子11mの分子長軸11aは、また、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41の透過軸41a、および視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42の透過軸42aに対しては略垂直である。視野角スイッチング層11に電圧が印加されていない時には、液晶表示装置1の正面方向(視野角0°)50aで視野角スイッチング層11に垂直に入射する入射光も、所定の角度をもった方向50b、50cから視野角スイッチング層11に入射する入射光も、第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43を透過する。
【0122】
一対の透明電極12a、12bにより、視野角スイッチング層11に電圧が印加されると、印加電圧の大きさに応じて、視野角スイッチング層11に含有される液晶分子11mは、
図1、
図2の点線の矢印の方向に、分子長軸11aが、第一の偏光板41の透過軸41aおよび第二の偏光板42の透過軸42aに対しては略垂直を維持しながら、透光性基板13a、13bおよび透明電極12a、12bに対して略平行の状態から鋭角(例えば、20°、45°、70°など)で傾斜した状態で配列するようになる。このため、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41を透過した後、垂直ではなく、所定の角度をもった方向50b、50cから視野角スイッチング層11に入射する入射光は、位相遅れが生じ、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42を透過できなくなり、液晶表示装置1の正面方向50aから視野角スイッチング層11に垂直に入射する入射光のみが第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43を透過する。
【0123】
このようにして視野角調整素子10の視野角スイッチング層11に電圧を印加することによって、液晶表示装置1の視野角特性を、広視野角から狭視野角に切り替えることができる。
【0124】
図3に、本発明の別の実施形態にかかる液晶表示装置の一例の構成を示す概略断面図を示す。
図4に、
図3に示す液晶表示装置の分解斜視図を示す。
図3および
図4に示す液晶表示装置は、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を視野角スイッチング層に使用した液晶表示装置の一例である。
【0125】
図3、
図4に示す液晶表示装置1は、液晶表示装置1の視野角特性を切り替えるための視野角調整素子10と、液晶表示素子20と、バックライト30と、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41と、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42と、液晶表示素子20の上に設けられた第三の偏光板43とを備える。なお、
図3および
図4の説明においては、液晶表示素子20に入射した光は偏光板43を透過するものとする。
【0126】
視野角調整素子10は、表面に第一の透明電極12aを有する第一の透光性基板13a、および表面に第二の透明電極12bを有する第二の透光性基板13bと、一対の透明電極12a、12bに挟持された視野角スイッチング層11とを備え、一対の透明電極12a、12bは、視野角スイッチング層11に電圧を印加することができる。この液晶表示装置1においても、透明電極12a、12bの上には、配向膜(図示せず)が設けられている。バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41の透過軸41aと、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42の透過軸42aは、略平行である。液晶表示素子20の上に設けられた第三の偏光板43の透過軸43aは、第一の偏光板41の透過軸41aおよび第二の偏光板42の透過軸42aに対して略垂直である。
【0127】
視野角スイッチング層11は、液晶分子11m’を含有する、負の誘電率異方性を有する液晶組成物(本発明の視野角調整素子用液晶組成物)を含む。本実施形態では、視野角スイッチング層11は、垂直配向液晶層であり、視野角スイッチング層11に含有される液晶分子11m’は、電圧が印加されていない時には分子長軸11a’が透光性基板13a、13bおよび透明電極12a、12bに対して略垂直になるように、配列する。
【0128】
視野角スイッチング層11に電圧が印加されていない時には、液晶表示装置1の正面方向(視野角0°)50aで視野角スイッチング層11に垂直に入射する入射光も、所定の角度をもった方向50b、50cから視野角スイッチング層11に入射する入射光も、第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43を透過する。
【0129】
一対の透明電極12a、12bにより、視野角スイッチング層11に電圧が印加されると、印加電圧の大きさに応じて、視野角スイッチング層11に含有される液晶分子11m’は、
図3、
図4の点線の矢印の方向に、分子長軸11a’が、第一の偏光板41の透過軸41aおよび第二の偏光板42の透過軸42aに対して略垂直を維持しながら、透光性基板13a、13bおよび透明電極12a、12bに対して略垂直の状態から鋭角で傾斜した状態で配列するようになる。このため、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41を透過した後、垂直ではなく、所定の角度をもった方向50b、50cから視野角スイッチング層11に入射する入射光は、位相遅れが生じ、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42を透過できなくなり、液晶表示装置1の正面方向50aから視野角スイッチング層11に垂直に入射する入射光のみが第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43を透過する。
【0130】
このようにして視野角調整素子10の視野角スイッチング層11に電圧を印加することによって、液晶表示装置1の視野角特性を、広視野角から狭視野角に切り替えることができる。
【0131】
なお、液晶表示素子は、例えば、画素単位またはセグメント単位などの表示単位で液晶を駆動することが必要であり、表示単位に応じた電極構造を有しているが、視野角調整素子は、その電極構造は特に制限されず、例えば、表示面全体で一様なスイッチングを行うために透光性基板13a、13bの全面に一様な透明電極12a、12bが形成されていてもよいし、他の任意の形状、例えばパターン化されている所望の形状に形成されていてもよい。
【0132】
図1および
図2、
図3および
図4では、電圧が印加されていない時には、液晶表示装置1の正面方向50a、所定の角度をもった方向50b、50cのいずれから視野角スイッチング層11に入射する入射光も第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43も透過するので広視野角表示になり、電圧の印加時には、液晶表示装置1の正面方向50aから視野角スイッチング層11に入射する入射光のみが第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43も透過するので狭視野角表示になる液晶表示装置1を例示したが、本発明の液晶表示装置、および本発明の視野角調整素子はこれに限定されない。例えば、電圧の無印加時には、液晶表示装置1の正面方向50aから視野角スイッチング層11に入射する入射光のみが第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43も透過するので狭視野角表示になり、電圧の印加時には、液晶表示装置1の正面方向50a、所定の角度をもった方向50b、50cのいずれから視野角スイッチング層11に入射する入射光も第二の偏光板42を透過して、液晶表示素子20に入射し、第三の偏光板43も透過するので広視野角表示になる液晶表示装置1とすることもできる。
【0133】
図1および
図2、
図3および
図4では、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41の透過軸41aと、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42の透過軸42aが略平行である液晶表示装置1を例示したが、例えば、バックライト30と視野角調整素子10との間に設けられた第一の偏光板41の透過軸41aと、視野角調整素子10と液晶表示素子20との間に設けられた第二の偏光板42の透過軸42aが互いに略直交するように配置してもよい。
【0134】
また、
図1および
図2、
図3および
図4では、バックライト30、第一の偏光板41、視野角調整素子10、第二の偏光板42、液晶表示素子20、第三の偏光板43をこの順で備える液晶表示装置1を例示したが、バックライト、第一の偏光板、液晶表示素子、第二の偏光板、視野角調整素子、第三の偏光板をこの順で備える液晶表示装置とすること、すなわち、バックライトと液晶表示素子との間に視野角調整素子を設ける構成ではなく、バックライトと視野角調整素子との間に液晶表示素子を設ける構成とすることもできる。
【0135】
さらに、
図1および
図2、
図3および
図4に示す液晶表示装置1は、液晶表示装置1の視野角特性を切り替えるための視野角調整素子10を1つ備えるが、液晶表示装置は、2つ以上の視野角調整素子を備えることもできる。2つ以上の視野角調整素子は、同一であってもよく、または異なってもよい。
【0136】
液晶表示装置は、さらに、液晶表示素子と視野角調整素子との間に、視認制限方向を設定するための位相差板を設けることもできる。液晶表示素子と視野角調整素子との間に適当な位相差板を設けることで、視野角調整素子あるいは液晶表示素子を透過した直線偏光の偏光方向(偏光軸の向き)を変えることができ、これによって、視野角調整素子による視認制限方向を変えることができる。すなわち、適当な位相差板を用い、その軸を適宜設定することで、狭視野角時の視認制限方向を任意に設定することができる。
【0137】
位相差板を設ける場合、位相差板は偏光板と偏光板の間に設ける構成とすることができる。すなわち、液晶表示装置は、例えば、バックライト、第一の偏光板、液晶表示素子、第二の偏光板、位相差板、第三の偏光板、視野角調整素子、第四の偏光板をこの順で備える構成とすることができる。
【0138】
位相差板は、特に限定されないが、例えば、1/2波長板(1/2λ板)である。バックライト、第一の偏光板、液晶表示素子、第二の偏光板、位相差板、第三の偏光板、視野角調整素子、第四の偏光板をこの順で備える液晶表示装置の場合、第二の偏光板および第三の偏光板は、第二の偏光板の透過軸と1/2波長板の軸とがなす角が、1/2波長板の軸と第三の偏光板の透過軸とがなす角に等しくなるように設けることで、液晶表示素子を透過した直線偏光の偏光方向(偏光軸の向き)を、その強度を維持しながら変えることができる。位相差板は、並行に、すなわち各々の軸が平行となるように配置された2枚の1/4波長板で構成することも可能である。
【0139】
さらに、第一の偏光板と液晶表示素子との間および/または第二の偏光板と液晶表示素子との間に、位相差板を設けることができる。第三の偏光板と視野角調整素子との間および/または第四の偏光板と視野角調整素子との間に、位相差板を設けることができる。偏光板と視野角調整素子との間に位相差板を設けることで、視野角調整素子の視野角スイッチング層(液晶層)の複屈折によって生じる楕円偏光を光学補償することができ、光漏れを抑制でき、狭視野角表示における視野角特性を向上させることができる。
【0140】
また、液晶表示装置は、さらに、液晶表示素子と視野角調整素子との間に、液晶分子を含有する補償膜を設けることもできる。このような液晶分子含有補償膜を設ける場合、補償膜は偏光板と偏光板の間に設ける構成とすることができる。すなわち、液晶表示装置は、例えば、バックライト、第一の偏光板、視野角調整素子、第二の偏光板、液晶分子含有補償膜、第三の偏光板、液晶表示素子、第四の偏光板をこの順で備える構成とすることができる。液晶表示装置は、バックライト、第一の偏光板、液晶表示素子、第二の偏光板、視野角調整素子、第三の偏光板、液晶分子含有補償膜、第四の偏光板をこの順で備える構成とすることもできる。液晶表示装置は、バックライト、第一の偏光板、液晶分子含有補償膜、第二の偏光板、視野角調整素子、第三の偏光板、液晶表示素子、第四の偏光板をこの順で備える構成とすることもできる。液晶分子含有補償膜を設けることで、広い角度範囲の光漏れを抑制でき、より優れた視野角調整機能を達成できる。
【0141】
液晶分子含有補償膜に含有される液晶分子は、分子長軸が基板に対して略垂直であってもよく、基板に対して略平行であってもよく、または、基板に対して鋭角で傾斜していてもよい。液晶分子含有補償膜に含有される液晶分子は特に制限されず、公知の液晶性化合物を用いることができる。
【0142】
液晶表示装置は、2つ以上の液晶分子含有補償膜を備えることもできる。2つ以上の液晶分子含有補償膜は、同一であってもよく、または異なってもよい。2つ以上の液晶分子含有補償膜を設ける場合、それらの位置は制限なく選択できる。
【0143】
なお、液晶表示装置は、上記のような位相差板と液晶分子含有補償膜の両方を備えるものであってもよい。
【0144】
本発明の視野角調整素子、および本発明の液晶表示装置などの表示装置は、本発明の視野角調整素子用液晶組成物を視野角スイッチング層に使用して、公知の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0145】
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。本発明は、例えば、実施例1から3の組成物(組成物1から3)および組成物例1から23の組成物の少なくとも2つを混合した混合物をも含む。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物、組成物、および素子の特性は、下記に記載した方法により測定した。
【0146】
NMR分析:測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。
1H−NMRの測定では、試料をCDCl
3などの重水素化溶媒に溶解させ、測定は、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。
19F−NMRの測定では、CFCl
3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。
【0147】
ガスクロマト分析:測定には、島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2mL/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1質量%)に調製したあと、その1μLを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0148】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。
【0149】
組成物に含有される液晶性化合物の割合は、次のような方法で算出してよい。液晶性化合物の混合物をガスクロマトグラフィー(FID)で分析する。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は液晶性化合物の割合に相当する。上に記載したキャピラリカラムを用いたときは、各々の液晶性化合物の補正係数を1とみなしてよい。したがって、液晶性化合物の割合(質量%)は、ピークの面積比から算出することができる。
【0150】
測定試料:組成物または素子の特性を測定するときは、組成物をそのまま試料として用いた。
【0151】
測定方法:特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;JEITAという)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
【0152】
試料の誘電率異方性が正であるか負であるかによって、測定法が異なることがある。測定(18)から(21a)、(21b)、(21c)は、誘電率異方性が負である試料の測定法である。
【0153】
(1)ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0154】
(2)ネマチック相の下限温度(T
C;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T
Cを<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0155】
(3)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
【0156】
(4)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文中の40頁記載の計算式(10)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0157】
(5)光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0158】
(6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0159】
(7)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
【0160】
(8)電圧保持率(VHR−9;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmであった。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(1Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で166.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積であった。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
【0161】
(9)電圧保持率(VHR−10;60℃で測定;%):25℃の代わりに、60℃で測定した以外は、上記と同じ手順で電圧保持率を測定した。得られた値をVHR−10で表した。
【0162】
(10)電圧保持率(VHR−11;60℃で測定;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmであった。この素子に試料を注入し、5mW/cm
2の紫外線を167分間照射した。光源はアイグラフィックス株式会社製ブラックライト、F40T10/BL(ピーク波長369nm)であり、素子と光源の間隔は5mmであった。VHR−11の測定では、166.7ミリ秒のあいだ、減衰する電圧を測定した。大きなVHR−11を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。
【0163】
(11)電圧保持率(VHR−12;60℃で測定;%):試料を注入したTN素子を120℃の恒温槽内で20時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。VHR−12の測定では、166.7ミリ秒のあいだ減衰する電圧を測定した。大きなVHR−12を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。
【0164】
(12)電圧保持率(VHR−13;60℃で測定;%):試料を注入したTN素子を100℃の恒温槽内で3週間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。VHR−13の測定では、166.7ミリ秒のあいだ減衰する電圧を測定した。大きなVHR−13を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。
【0165】
(13a)応答時間(τa;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.4μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和で表した。
【0166】
(13b)応答時間(τb;−20℃で測定;ms):25℃の代わりに、−20℃の温度で測定した以外は、上記と同じ手順で応答時間(τb)を得た。
【0167】
(13c)応答時間(τc;−30℃で測定;ms):25℃の代わりに、−30℃の温度で測定した以外は、上記と同じ手順で応答時間(τc)を得た。
【0168】
(14)弾性定数(K;25℃で測定;pN):測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0ボルトから20ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に同171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数は、このようにして求めたK11、K22、およびK33の平均値で表した。
【0169】
(15)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
【0170】
(16)らせんピッチ(P;室温で測定;μm):らせんピッチはくさび法にて測定した。「液晶便覧」、196頁(2000年発行、丸善)を参照。試料をくさび形セルに注入し、室温で2時間静置した後、ディスクリネーションラインの間隔(d2−d1)を偏光顕微鏡(ニコン(株)、商品名MM40/60シリーズ)によって観察した。らせんピッチ(P)は、くさびセルの角度をθと表した次の式から算出した。P=2×(d2−d1)×tanθ。
【0171】
(17)透過率(T;25℃で測定;%):測定にはOTSUKA株式会社製のLCD−5200輝度計を用いた。輝度を測定する前にまず光源をオンにし、30分間予熱した。光学測定モジュールの偏光子と検光子の間に、組成物を注入した素子を取り付けた。電圧を印加した状態で、最小光量となるように、素子配向方向と偏光子と検光子の適切な角度を調整し、素子配向方向と偏光子と検光子の角度を固定させた。内蔵された波形発生器を用い、0Vから12V(peak to peak)まで、0.2V(peak to peak)ずつ増加させ、素子へ電圧印加を繰り返し行った。LCD−5200輝度計を用い、各電圧における素子を透過した光量を測定した。上記で得られた輝度値を用いて、次の式から各印加電圧での透過率を算出し、印加電圧が0Vにおける透過率を100%として規格化した。
(視野角X°における相対透過率)={(視野角X°における光量)/(正面(視野角0°)における光量)}×100。
【0172】
以下は、誘電率異方性が負である試料の測定法である。
【0173】
(18)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s):測定には、東陽テクニカ株式会社の回転粘性率測定システムLCM−2型を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が10μmのVA素子に試料を注入した。この素子に矩形波(55V、1ms)を印加した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値および誘電率異方性を用いて、回転粘度の値を得た。誘電率異方性は、測定(6)に記載された方法で測定した。
【0174】
(19)誘電率異方性(Δε;25℃で測定):誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
【0175】
(20)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
【0176】
(21a)応答時間(τ;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。
1)重合性化合物を含まない組成物:2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
【0177】
(21b)応答時間(τb;−20℃で測定;ms):25℃の代わりに、−20℃の温度で測定した以外は、上記と同じ手順で応答時間(τb)を得た。
【0178】
(21c)応答時間(τc;−30℃で測定;ms):25℃の代わりに、−30℃の温度で測定した以外は、上記と同じ手順で応答時間(τc)を得た。
【0179】
組成物の実施例を以下に示す。成分化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号によって表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号化された化合物の後にあるかっこ内の番号は、化合物が属する化学式を表す。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。後に記載している成分化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の質量に基づいた質量百分率(質量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0180】
【0181】
[組成物1]
3−HH−V (1−1) 28%
1−BB−3 (1−3) 7%
2−BB(F)B−5 (1−8) 5%
3−BB(F)B−5 (1−8) 5%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 8%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 8%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−15) 13%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 9%
2−HBB(F)−F (2) 4%
3−HBB(F)−F (2) 5%
5−HBB(F)−F (2) 8%
NI=89.9℃;Tc<−30℃;Δn=0.151;Δε=4.8;Vth=2.17V;γ1=83.0mPa・s.
【0182】
[組成物2]
7−HB−1 (1−2) 4%
3−HB−O2 (1−2) 10%
1−BB−3 (1−3) 10%
2−BB(F)B−3 (1−8) 5%
2−BB(F)B−5 (1−8) 7%
3−BB(F)B−5 (1−8) 7%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 12%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 11%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 8%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 13%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 13%
NI=103.4℃;Tc<−40℃;η=42.4mPa・s;Δn=0.201;Δε=6.1;Vth=2.46V;γ1=234.0mPa・s.
【0183】
[組成物3]
3−HH−V (1−1) 27%
2−BB(F)B−3 (1−8) 9%
2−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(F)B−5 (1−8) 10%
1−BB(F)B−2V (1−8) 5%
2−BB(F)B−2V (1−8) 7%
3−BB(F)B−2V (1−8) 6%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 5%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 15%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 3%
NI=101.8℃;Tc<−30℃;η=20.4mPa・s;Δn=0.181;Δε=3.7.
【0184】
[実施例1から3]
ITO(Indium Tin Oxide)電極(厚さ:約60nm)を形成したガラス基板に、ポリイミド配向膜を形成し、この基板間に、視野角スイッチング層として上記組成物1から3を注入することで、視野角調整素子を作製した。視野角スイッチング層に電圧を印加したときの、視野角0°(正面)および視野角45°における透過率を測定した。結果を表4にまとめた。なお、表中、dは視野角スイッチング層の厚さ、Δnは組成物の光学異方性である。
【0185】
表4の結果に示すとおり、正面(視野角0°)においては電圧無印加時と電圧印加時で透過率に変化がなく、一方、視野角45°方向においては電圧印加時に透過率が大幅に減少した。本発明の液晶組成物を視野角調整素子の視野角スイッチング層に用いることにより、視野角スイッチング層に対して電圧無印加時には広視野、電圧印加時には狭視野の表示装置を実現できることが分かった。
【0186】
本発明の組成物例を以下に示す。組成物例1から23の液晶組成物は、いずれも、視野角調整素子の視野角スイッチング層に用いることができる。
[組成物例1]
3−HH−V (1−2) 21.5%
1−BB−3 (1−3) 5.5%
2−BB(F)B−3 (1−8) 9%
2−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(F)B−5 (1−8) 10%
1−BB(F)B−2V (1−8) 5%
2−BB(F)B−2V (1−8) 7%
3−BB(F)B−2V (1−8) 6%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 5%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 15%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 3%
NI=98.3℃;Tc<−40℃;η=19.6mPa・s;Δn=0.190;Δε=3.8.
【0187】
[組成物例2]
3−HB−O2 (1−2) 15%
1−BB−3 (1−3) 13%
1−BB(F)B−2V (1−8) 5%
2−BB(F)B−2V (1−8) 5%
3−BB(F)B−2V (1−8) 5%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 6%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 6%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−15) 12%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 4%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 6%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 13%
NI=88.1℃;Tc<−20℃;Δn=0.203;Δε=8.7.
【0188】
[組成物例3]
3−HB−O2 (1−2) 17%
1−BB−2 (1−3) 11%
3−BB(F)B−5 (1−8) 4%
1−BB(F)B−2V (1−8) 5%
2−BB(F)B−2V (1−8) 5%
3−BB(F)B−2V (1−8) 6%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 7%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 7%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−15) 12%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 4%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 6%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 13%
3−HBB(F)−F (2) 3%
NI=95.0℃;Tc<−30℃;Δn=0.199;Δε=9.0.
【0189】
[組成物例4]
3−HH−V (1−1) 6%
3−HB−O2 (1−2) 8%
1−BB−3 (1−3) 5%
2−BB(F)B−3 (1−8) 5%
2−BB(F)B−5 (1−8) 3%
3−BB(F)B−5 (1−8) 4%
1−BB(F)B−2V (1−8) 4%
2−BB(F)B−2V (1−8) 5%
3−BB(F)B−2V (1−8) 5%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 6%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 6%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 8%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 18%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 4%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 13%
NI=93.8℃;Tc<−30℃;Δn=0.199;Δε=9.3;Vth=1.92V;γ1=179.0mPa・s.
【0190】
[組成物例5]
3−HB−O2 (1−2) 12%
5−HB−O2 (1−2) 12%
2−HHB−1 (1−5) 3%
3−HHB−1 (1−5) 6%
3−HHB−O1 (1−5) 4%
2−BB(F)B−3 (1−8) 6%
2−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 5%
3−HBB(F,F)XB(F,F)−F (2−24) 7%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 4%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 12%
3−HHB−F (2) 5%
3−HBB−F (2) 5%
NI=104.5℃;Tc<−30℃;η=39.7mPa・s;Δn=0.167;Δε=6.4;Vth=2.27V.
【0191】
[組成物例6]
2−HH−3 (1−1) 12%
3−HB−O2 (1−2) 7%
3−HHB−1 (1−5) 7%
3−HHB−O1 (1−5) 4%
3−HBB−2 (1−6) 5%
2−BB(F)B−3 (1−8) 8%
2−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 7%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 12%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 6%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 13%
NI=90.7℃;Tc<−20℃;η=34.0mPa・s;Δn=0.170;Δε=8.6;Vth=1.88V.
【0192】
[組成物例7]
3−HH−V (1−1) 6%
3−HB−O2 (1−2) 8%
1−BB−3 (1−3) 5%
2−BB(F)B−3 (1−8) 5%
1−BB(F)B−2V (1−8) 4%
2−BB(F)B−2V (1−8) 5%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 6%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 6%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 8%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−15) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 18%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 2%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 6%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 16%
NI=86.8℃;Tc<−30℃;Δn=0.192;Δε=14.0;Vth=1.54V;γ1=185.0mPa・s.
【0193】
[組成物例8]
1−BB−3 (1−3) 11%
V−HHB−1 (1−5) 13%
2−BB(F)B−3 (1−8) 4%
1−BB(F)B−2V (1−8) 2%
2−BB(F)B−2V (1−8) 5%
3−BB(F)B−2V (1−8) 5%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 8%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 7%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 8%
3−HHXB(F,F)−F (2−4) 2%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 18%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 17%
NI=105.9℃;Tc<−30℃;Δn=0.199;Δε=9.9;Vth=2.08V;γ1=210.0mPa・s.
【0194】
[組成物例9]
3−HH−V (1−1) 18%
V−HHB−1 (1−5) 1%
1−BB(F)B−2V (1−8) 3%
2−BB(F)B−2V (1−8) 6%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 7%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 3%
3−HBB(F,F)−F (2−8) 16%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 21%
3−HHBB(F,F)−F (2−19) 3%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 11%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 8%
NI=91.3℃;Tc<−40℃;η=31.7mPa・s;Δn=0.160;Δε=13.9;Vth=1.41V;γ1=123.0mPa・s.
【0195】
[組成物例10]
3−HH−V (1−1) 31%
1−BB−3 (1−3) 4.5%
V−HHB−1 (1−5) 12%
V−HBB−2 (1−6) 4%
2−BB(F)B−3 (1−8) 3%
2−BB(F)B−5 (1−8) 2%
1−BB(F)B−2V (1−8) 7%
2−BB(F)B−2V (1−8) 10%
3−BB(F)B−2V (1−8) 4%
3−BB(F)B(F,F)−CF3 (2−16) 4%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 7.5%
4−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−27) 2%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 6%
NI=85.1℃;Tc<−20℃;η=19.4mPa・s;Δn=0.150;Δε=5.1;Vth=2.13V;γ1=56.0mPa・s.
【0196】
[組成物例11]
3−HH−V (1−1) 18%
V−HBB−2 (1−6) 1%
1−BB(F)B−2V (1−8) 3%
2−BB(F)B−2V (1−8) 6%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 7%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 3%
3−HBB(F,F)−F (2−8) 16%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F (2−14) 2%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 19%
3−HHBB(F,F)−F (2−19) 3%
3−HBBXB(F,F)−F (2−23) 2%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 9%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 8%
NI=92.4℃;Tc<−20℃;η=31.2mPa・s;Δn=0.159;Δε=13.7;Vth=1.51V.
【0197】
[組成物例12]
3−HH−V (1−1) 21.5%
1−BB−3 (1−3) 5.5%
2−BB(F)B−3 (1−8) 9%
2−BB(F)B−5 (1−8) 8%
3−BB(F)B−5 (1−8) 10%
1−BB(F)B−2V (1−8) 3%
2−BB(F)B−2V (1−8) 7%
3−BB(F)B−2V (1−8) 6%
1−B2BB−2V (1−9) 2%
2−HB(F)BH−3 (1−12) 2%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 3%
5−HBB(F)B−3 (1−13) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 15%
3−BB(F,F)XB(F)B(F,F)−F (2−30) 3%
NI=97.8℃;Tc<−40℃;η=19.0mPa・s;Δn=0.188;Δε=3.8.
【0198】
[組成物例13]
3−HH−V (1−1) 48%
3−HH−V1 (1−1) 10%
V−HHB−1 (1−5) 8%
1−BB(F)B−2V (1−8) 8%
2−BB(F)B−2V (1−8) 9%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−15) 12%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 5%
NI=70.5℃;Tc<−20℃;η=9.2mPa・s;Δn=0.111;Δε=2.5;Vth=2.48V;γ1=35.0mPa・s.
【0199】
[組成物例14]
3−HH−V (1−1) 46%
3−HH−V1 (1−1) 5%
3−HHB−1 (1−5) 5%
1−BB(F)B−2V (1−8) 5%
2−BB(F)B−2V (1−8) 6%
3−BB(F)B−2V (1−8) 4%
3−HHB(F,F)−F (2−2) 9%
3−BB(F)B(F,F)−F (2−15) 9%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (2−18) 2%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 5%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (2−29) 4%
NI=75.8℃;Tc<−30℃;Δn=0.115;Δε=4.2;Vth=2.02V;γ1=40.2mPa・s.
【0200】
[組成物例15]
1−BB−3 (1−3) 4%
1−BB−5 (1−3) 7%
3−HBB−2 (1−6) 8%
5−B(F)BB−2 (1−7) 14%
5−B(F)BB−3 (1−7) 14%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 12%
5−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 12%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (3−13) 9%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (3−16) 20%
NI=90.3℃;Tc<−20℃;η=47.7mPa・s;Δn=0.193;Δε=−3.1.
【0201】
[組成物例16]
1−BB−3 (1−3) 4%
3−HBB−2 (1−6) 8%
V−HBB−2 (1−6) 9%
5−B(F)BB−2 (1−7) 9%
5−B(F)BB−3 (1−7) 9%
3−HB(2F,3F)−O2 (3−1) 8%
2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 6%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 9%
3−HHB(2F,3F)−O2 (3−8) 7%
2−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 8%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (3−16) 10%
NI=90.7℃;Tc<−20℃;η=40.0mPa・s;Δn=0.181;Δε=−3.5.
【0202】
[組成物例17]
3−HH−V (1−1) 9%
1−BB−3 (1−3) 4%
1−BB−5 (1−3) 12%
3−HBB−2 (1−6) 6%
5−B(F)BB−2 (1−7) 11%
5−B(F)BB−3 (1−7) 11%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (3−3) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 13%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−10) 13%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (3−10) 14%
NI=75.0℃;Tc<−20℃;η=21.1mPa・s;Δn=0.150;Δε=−3.3;γ1=153.0mPa・s.
【0203】
[組成物例18]
3−HBB−2 (1−6) 9%
5−HBB(F)B−2 (1−13) 13%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 7%
3−HHXB(F,F)−F (2−4) 1%
2−BB−C (2−37) 15%
5−BB−C (2−37) 15%
2−BEB−C (2−38) 10%
2−BEB(F)−C (2−38) 5%
2−HHB(F)−C (2−39) 10%
3−HHB(F)−C (2−39) 15%
NI=114.2℃;Tc<−20℃;η=54.0mPa・s;Δn=0.202;Δε=16.1;Vth=1.52V.
【0204】
[組成物例19]
1−BTB−3 (1−14) 4%
2−BTB−1 (1−14) 8%
2−BTB−O1 (1−14) 11%
3−H2BTB−2 (1−15) 6%
3−H2BTB−3 (1−15) 6%
3−H2BTB−4 (1−15) 6%
3−HB(F)TB−2 (1−16) 8%
3−HB(F)TB−3 (1−16) 8%
3−HB(F)TB−4 (1−16) 8%
3−HB−C (2−36) 4%
1V2−BEB(F,F)−C (2−38) 19%
2−HHB−C (2−39) 5%
3−HHB−C (2−39) 5%
2−HHB(F)−C (2−39) 2%
NI=104.6℃;η=31.9mPa・s;Δn=0.224;Δε=15.0;Vth=1.63V.
【0205】
[組成物例20]
4−BTB−O2 (1−14) 10%
5−BTB−O1 (1−14) 10%
3−HB(F)TB−2 (1−16) 8%
3−HB(F)TB−2 (1−16) 7%
2−PyBH−3 (1−17) 7%
2−BEB−C (2−38) 12%
3−BEB−C (2−38) 4%
3−PyBB−F (2) 9%
4−PyBB−F (2) 9%
5−PyBB−F (2) 9%
3−PyB(F)−F (2) 15%
NI=89.3℃;Tc<−20℃;η=37.8mPa・s;Δn=0.230;Δε=12.6;Vth=1.50V.
【0206】
[組成物例21]
3−HH−V (1−1) 17%
3−HBB−2 (1−6) 6%
V−HBB−2 (1−6) 6%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 5%
2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 10%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 8%
V2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 8%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (3−13) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 4%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (3−16) 8%
3−HB(2F)B(2F,3F)−O2 (3−18) 8%
NI=84.7℃;Tc<−30℃;Δn=0.151;Δε=−4.1;γ1=141.0mPa・s.
【0207】
[組成物例22]
3−HH−V (1−1) 10%
1−BB−3 (1−3) 4%
3−HBB−2 (1−6) 5%
V−HBB−2 (1−6) 10%
5−B(F)BB−2 (1−7) 10%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 5%
3−HB(2F,3F)−O2 (3−1) 2.5%
2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 8%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 6%
V2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 8%
2−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 5%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (3−16) 8%
3−HB(2F)B(2F,3F)−O2 (3−18) 7.5%
NI=86.6℃;Tc<−30℃;Δn=0.171;Δε=−3.2;γ1=150.0mPa・s.
【0208】
[組成物例23]
3−HH−V (1−1) 10%
1−BB−3 (1−3) 4%
3−HBB−2 (1−6) 5%
V−HBB−2 (1−6) 10%
5−B(F)BB−2 (1−7) 10%
3−BB(2F,5F)B−3 (1) 5%
3−HB(2F,3F)−O2 (3−1) 2.5%
2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 8%
3−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 6%
V2−BB(2F,3F)−O2 (3−6) 8%
2−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (3−14) 5%
3−HB(2F)B(2F,3F)−O2 (3−18) 7.5%
2−BB(2F,3F)B−3 (3−19) 4%
2O−DBTF2−O4 (3−34) 4%
NI=82.3℃;Tc<−20℃;Δn=0.175;Δε=−3.3;γ1=145.2mPa・s.
【課題】優れた視野角調整機能を有し、広視野角と狭視野角とを良好に切り替え可能な表示装置が得られる視野角調整素子用液晶組成物を提供する。視野角調整機能に優れ、広視野角と狭視野角とを良好に切り替え可能な視野角調整素子および視野角調整可能な表示装置を提供する。
【解決手段】成分Aとして特定の化合物を含有する、視野角調整可能な素子の視野角スイッチング層に使用するための液晶組成物であり、この組成物は、成分Bとして特定の化合物をさらに含有してもよく、成分Cとして特定の化合物をさらに含有してもよい。