(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パーク位置に位置決めされた前記第1のファセット(68;13a)の前記個々のミラー(23)の前記部分集合は、該パーク位置から前記関連のターゲット位置内に最大でも200msの切り換え時間内に変位可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
前記パーク位置に位置決めされた前記第1のファセット(68;13a)の前記個々のミラー(23)の前記部分集合は、該第1のファセット(68;13a)の該個々のミラー(23)の全体個数の0.1%から10%を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
禁止位置が、前記第1のファセット(68;13a)の少なくとも部分集合に対して決定され、この禁止位置内には、該第1のファセット(68;13a)の前記個々のミラー(23)は、変位させることができず、この禁止位置は、該第1のファセットのミラーによって反射された照明放射線が前記第2のファセット上の間違った領域に入射する該第1のファセットのミラーの位置であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
前記第1のファセット(68;13a)の前記個々のミラー(23)の部分集合が、ウェーハ(64)の構造化中にパーク位置から関連のターゲット位置内に、又はターゲット位置から関連のパーク位置内に、又は1つのターゲット位置から別のターゲット位置内に変位される、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
前記第1のファセット(68;13a)の前記個々のミラー(23)の前記部分集合は、前記ウェーハ(64)上の2つの連続ダイの露光間の時間間隔中にパーク位置から関連のターゲット位置内に、又はターゲット位置から関連のパーク位置内に、又は1つのターゲット位置から別のターゲット位置内に変位されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。本発明により、第1のファセットミラーのファセットに対するターゲット位置が、物体視野の予め決められた所期照明を可能にするために決定されることが提供される。本発明の要点は、第1のファセットミラーのファセットを多数の変位可能な個々のミラーによって具現化し、これらの個々のミラーの部分集合をそれぞれ関連するターゲット位置から離間されたパーク位置に配置することにある。そのように行う際に、パーク位置は、特にそれぞれ関連するターゲット位置から離間されるが、最大でも最大距離d
maxしか離間されないように選択される。そのような最大距離d
maxを予め定めることにより、個々のミラーをパーク位置から関連のターゲット位置に変位させるのに必要とされる切り換え経路、特に切り換え時間を制限することができる。第1のファセットの個々のミラーに対してそのようなパーク位置を設けることにより、これらの個々のミラーの高速接続及び/又はそのオフ切り換えが可能になる。
【0006】
特に、個々のミラーは傾斜可能である。特に、切り換え経路は傾斜角である。
【0007】
特に、個々のミラーは、個々の群が第1のファセットミラーのファセットを形成するようにグループ分けされる。ここで、このグループ分けは柔軟な方式で修正可能である。従って、これらのファセットを仮想ファセットとも呼ぶ。
【0008】
第2のファセットミラーが瞳平面の領域に配置される場合に、仮想の第1のファセット
は、第2のファセットの位置に実質的に依存しない。そのような実施形態をハニカム
(ハチの巣)コンデンサーとも呼ぶ。
【0009】
第2のファセットミラーが瞳平面から距離を置いて配置される場合に、仮想の第1のファセットの形態及び/又は寸法は、一般的に第2のファセットの位置及び/又は瞳の形態に依存する。そのような実施形態を鏡面反射器とも呼ぶ。
【0010】
仮想の第1のファセットを形成する個々のミラー群は、必ずしも単純に接続されなくてもよい。
【0011】
本発明は、ハニカムコンデンサーの概念と鏡面反射器の概念とに等しく適用可能である。
【0012】
ターゲット位置を使用位置とも呼ぶ。ターゲット位置は、それぞれの第1のファセットにより、特に第1のファセットの個々のミラーによって反射された照明放射線が、物体視野を照明するための第2のファセットミラー上の予め決められた第2のファセットと共に照明チャネルを形成する位置を指定する。ここで、第1のファセットは、各場合に全体物体視野を照明することができる。第1のファセットが、各場合に物体視野の一部分、特に物体視野の1%から80%の範囲、特に10%から50%の範囲、特に20%から30%の範囲しか照明しないことも可能である。
【0013】
特に、第1のファセットは、多数の変位可能な個々のミラーを含む。特に、第1のファセットは、多数の変位可能な個々のミラー、特にマイクロミラーを有するミラーアレイによって形成される。個々のミラーの像の各々は、走査方向に対して垂直な物体視野の幅の0.1%から10%の範囲、特に0.2%から5%の範囲、特に0.3%から3%の範囲、特に0.5%から2%の範囲に収まる物体平面の領域内の広がりを有する。特に、物体視野を覆うためには、走査方向に2個から50個、特に3個から30個、特に5個から15個の個々のミラーが必要である。
【0014】
第2のファセットは、モノリシック
な(一体式構造の)実施形態を有することができる。それらはまた、多数の個々のミラーにより、特に、物理的ファセットのようにその後に作用する群を形成する多数のマイクロミラーによって具現化することができる。これらのマイクロミラー群を仮想の第2のファセットとも呼ぶ。これらのマイクロミラー群は、瞳ファセット又は鏡面反射器のファセットを形成することができる。
【0015】
パーク位置は、そこにある第1のファセットの個々のミラーが物体視野の照明に寄与しないように選択される。特に、これらのパーク位置は、そこにある第1のファセットの個々のミラーが、予め決められたターゲット位置では、それぞれの第1のファセットが互いに照明チャネルを形成する第2のファセットを照明することに寄与しないように選択される。
【0016】
第1のファセットの個々のミラーは、予め決められた離散変位位置決めを有することができる。これらの個々のミラーは、連続的に変位可能にすることができる。
【0017】
有利な実施形態により、第2のファセットも変位可能である。
【0018】
ごく単純には、第1のファセット、特にその個々のミラーの変位位置は、第2のファセットミラーの領域におけるこれらの個々のミラーの像の場所によって表すことができる。特に、第1のファセットの個々のミラーの傾斜と第2のファセットミラーの領域におけるこの個々のミラーの像の場所との間には、1対1の対応が存在する。従って、下記では、個々のミラーのうちの1つの位置は、この個々のミラーの変位位置だけではなく、第2のファセットミラーの領域におけるこの個々のミラーの像の場所も意味すると理解しなければならない。この指定により、第1のファセットのターゲット位置は、それぞれ、第2のファセットのうちの1又は2以上のものの場所、特にその中心と正確に対応する。パーク位置は、ターゲット位置から離間している。隣接する第2のファセットは、パーク位置として機能することができる。特に、このファセットは、ターゲット位置ファセットの最も近い隣接ファセットである。ここで、全ての最も近い隣接ファセットは、特に、第1のファセットのそこに「パーク」された光が物体視野又はその近くに達することができないように傾斜される。これは、これらの隣接ファセット自体が、他の第1のファセットと共に物体視野の照明に寄与する場合にも適用される。
【0019】
パーク位置は、ターゲット位置から遠く離れて離間させることができる。特に、パーク位置は、ターゲット位置からファセット直径2つ分、3つ分、又は4つ分以上の距離を有することができる。要件及び/又はターゲット位置の場所に基づいて、パーク位置は、物体視野を照明するのに使用される第2のファセットミラー上の領域の外側に配置することができる。
【0020】
第1のファセットに対するターゲット位置は、予め決められた所期照明に依存する方式で、このように定められた照明チャネルの全部が、物体視野上に予め決められた所期照明を正確にもたらすように決定される。
【0021】
本発明一態様により、パーク位置に位置決めされた第1のファセットの個々のミラーは、パーク位置から関連のターゲット位置に最大でも200msの切り換え時間内で変位可能である。切り換え時間は、特に最大でも50ms、特に最大でも20ms、特に最大でも10ms、特に最大でも5ms、特に最大でも2ms、特に最大でも1ms、特に最大でも500μs、特に
最大でも200μs、特に最大でも100μsである。
【0022】
パーク位置に位置決めされた第1のファセットの個々のミラーは、特に、高速の個々のミラーとも呼ぶ。これらの個々のミラーは、物体視野の照明の強度プロファイルの変更、特に2つのダイの照明間の像視野内のウェーハの照明の照射量の調整(ダイ間調整)を可能にする。この場合に、切り換え時間は、ちょうど露光し終えた視野から次のものにウェーハを駆動するのに必要とされる時間よりも有利に短い。
【0023】
数ミリ秒又はそれよりも短い領域内の切り換え時間は、ウェーハの露光中の局所照射量の適応化(ダイ内調整)を可能にする。
【0024】
1msよりも短い切り換え時間は、y−ReMa機能(ダイ内)を可能にする。この目的のために、特に、第1のファセットの全ての個々のミラーは、非常に迅速にオフ及び/又はオンにされることが可能であるように提供される。
【0025】
y−ReMa機能は、y方向に調節可能であり、レチクル遮蔽絞り(ReMa絞り)又はレチクル遮蔽縁部とも呼ぶ視野絞りの機能が個々のミラーの変位によって達成されることを意味すると理解しなければならない。そのような遮蔽縁部を使用すると、物体平面内の実照明視野の走査方向に沿った寸法が、走査工程の開始時に連続的に拡大され、走査工程の終了時に再び縮小されることを保証することができる。一般的に、ReMa絞り又は個々のミラーの変位機能によって達成することができる対応するy−ReMa機能は、特にy方向の照明視野の寸法を変更することを可能にする。追加の視野絞り、特に調節可能及び/又はレチクルの直近に配置された追加の視野絞りは、省くことができる。その結果、遮蔽縁部の変位運動の場合に発生する可能性がある摩耗粒子に起因する汚染を回避することができる。ReMa機能に関する更なる詳細に関しては、両方共に本出願の構成要素として本明細書に組み込まれているDE 10 2012 213 515 A1及びWO 2014/019 675 A1を参照されたい。
【0026】
物体視野の照明の柔軟性は、短い切り換え時間によって高められる。予測露光により、特に、物体視野の照明が改善され、それによってその後の工程段階の既知の異質性、特に予め決められたか又は他に既知のウェーハ異質性、特にウェーハ上の異なる視野(ダイ)を補償することが可能になる。
【0027】
第1のファセットの個々のミラーの異なる部分集合は、これらの部分集合が異なる切り換え時間を有するように具現化することができる。次に、要件に基づいて、各場合に適切な第1のファセットの個々のミラーをパーク位置に配置することができる。
【0028】
パーク位置に位置決めされる第1のファセットの個々のミラーは、これら全てが同一の切り換え時間を有するように具現化することができる。
【0029】
特に、第1のファセットの個々のミラーは、照射量マニピュレータとして機能することができる。
【0030】
本発明の更に別の態様により、パーク位置に位置決めされた第1のファセットの部分集合は、第1のファセットの全体個数の最大で10%、特に0.1%から10%、特に1%から10%を構成する。特に、部分集合は、第1のファセットの全体個数の3%から5%を構成する。
【0031】
本発明により、物体視野の予め決められた所期照明からの強度プロファイルの偏差、及び/又はウェーハ上の異なる視野及び/又は異なるウェーハ間の異質性を補償するのに、そのような小さい分量の第1のファセットの個々のミラーで十分であることが明らかになった。
【0032】
本発明の更に別の態様により、ターゲット位置の各々は、パーク位置によって完全に取り囲まれる。別途表現すると、パーク位置は、関連のターゲット位置を取り囲むリングを形成する。その結果、ターゲット位置からパーク位置への対応するファセットの個々のミラーの変位が特に簡易化される。
【0033】
本発明の更に別の態様により、第1のファセットの部分集合に対して、特に第1のファセットの全てに対して、特に第1のファセットのそれぞれの個々のミラーに対して、これらを変位させることができない禁止位置が決定される。そのような禁止位置を除外位置とも呼ぶ。これらの禁止位置は、全ての許容位置から除外される。従って、第1のファセットの個々のミラーを各場合に変位させることができるいくつかの可能な変位経路を決定することができる。これらの変位経路は、特に制御ユニットのメモリに格納することができる。特に、各ミラー、すなわち、各ファセットに対して可能な全ての変位経路を決定し、これらの変位経路をそのようなメモリに格納することを可能にすることができる。その結果、露光中であっても第1のファセットの個々のミラーを切り換えることができる。次に、切り換え工程は、2つの視野(ダイ)の露光間の短い不使用時間にもはや限定されない。
【0034】
一例として、物体視野内に散乱光及び/又は迷光をもたらす第1のファセットの個々のミラーの位置を禁止位置と呼ぶ。第1のファセットの個々のミラーが禁止位置にある場合に、それによって反射される照明放射線は、特にこの照明放射線を物体視野又はその近くの間違った領域にそこから結像する第2のファセット上に入射する。
【0035】
本発明の更に別の態様により、ターゲット位置は、各ターゲット位置が最も近い禁止位置から最小距離を有するように決定される。この距離は変位である。この変位は、それぞれの第1のファセットの像の第2のファセットミラーのこのような第1のファセットに対応する領域内の軌道によって表すことができる。最小距離という用語は、上述の簡易化に従うものと理解しなければならない。この最小距離は、第1のファセットのそれぞれ変位した個々のミラーの像の最も近い禁止位置に関する第2のファセットミラーの領域内の変位に対応する軌道の距離を指定する。ターゲット位置と最も近い禁止位置の間の最小距離d
minは、特に少なくともミラー直径1つ分、特に少なくともミラー直径2つ分、特に少なくともミラー直径3つ分、特に少なくともミラー直径5つ分とすることができる。特に、ターゲット位置の配置は禁止位置に隣接しないこと、又はそのようなターゲット位置を選択しないことが提供される。その結果、迷光による物体視野の照射、特にウェーハの照明を回避することができる。
【0036】
本発明の更に別の態様により、第1のファセットの個々のミラーの部分集合のみが物体視野の照明中に変位される。特に、物体視野の照明中に第1のファセットの個々のミラーの最大で10%、特に少なくとも0.1%、特に少なくとも1%、特に3%から5%までが変位される。ここで、ファセットの個々のミラーは、パーク位置からターゲット位置に変位させることができ、すなわち、それらは、追加することができる。それらはまた、ターゲット位置からパーク位置の中へと変位することができ、すなわち、オフにすることができる。それらはまた、ターゲット位置から別のターゲット位置の中へと変位することができ、すなわち、切り換えることができる。第1のファセットの個々のミラーは、特に物体視野の2つの照明間で変位させること、すなわち、切り換えることができる。特に、これらの個々のミラーは、2つのダイの照明間(ダイ間)又は単一ダイの照明中(ダイ内)に変位させることができる。
【0037】
これらの個々のミラーは、特に迅速に、すなわち、上述の切り換え時間内で変位される。
【0038】
第1のファセットの個々のミラーの部分集合は、物体視野の照明中及び/又は物体視野の2つの照明間で低速で変位させることができる。特に、特定の照明設定を用いて物体視野を照明するときに使用されない第1のファセットの個々のミラーがこの照明中に新しいパーク位置に変位することを可能にすることができる。その結果、迅速なその後の変位工程を可能にすることができる。第1のファセットの個々のミラーの変位は、特に上述の許容変位経路のうちの1つに沿って行うことができる。
【0039】
本発明の更に別の態様により、物体視野の照明の照明特性は、測定されるように提供される。特に、物体視野の実照明が決定されること、及び予め決められた所期照明からの確立された実照明の偏差の場合に、第1のファセットの個々のミラーの部分集合を変位させることによってこの偏差が低減されることが提供される。
【0040】
実照明は、連続的に又は予め決められた時間に確立することができる。
【0041】
特に、物体視野の照明の強度プロファイルは、特に物体視野の照明中に、第1のファセットの個々のミラーの迅速な追加、迅速なオフ切り換え、又は迅速な切り換えによって補正することができる。
【0042】
ここで、特に、異なるパラメータ、例えば、全体強度、特定の強度プロファイル、特定の角度分布、照明の均一性、又は他のパラメータを補正することができる。
【0043】
特に、第1のファセットの個々のミラーの迅速な追加、迅速なオフ切り換え、又は迅速な切り換えにより、像視野の領域内の照明放射線の照射量を調整することを可能にすることができる。特に、そのような調整は、連続視野の露光間(ダイ間補正)又は1つの視野の露光中(ダイ内補正)に適用することができる。
【0044】
本発明の一態様により、照明特性は、予め決められた補正プロトコルに従ってウェーハの露光中に修正されるように提供される。ここで、補正プロトコルは、予め決められたか又は他の方法で既知であるウェーハの異質性に依存する方式で、特に露光されるウェーハ上の異なる視野の間の変化に依存する方式及び/又は露光される異なるウェーハの異質性に依存する方式で決定されるように提供される。
【0045】
更に、投影露光装置の構成要素、特に、照明デバイス、照明光学ユニット、及び/又は投影光学ユニットの構成要素は、予め決められた時間に又は継続的に測定されるように提供される。特に、一方又は両方のファセットミラーの個々のミラーは、測定されるように提供される。ここで、特に、個々のミラーの個々のものの傾斜角及び/又は反射率を検出することが可能である。一般的に、遠視野の特性を測定することができる。その結果、全体的な系のモデルを更新することができる。これは、照明特性に関するより的確な予想を行うことができることを可能にする。これらの予想は、補正プロトコルを適応させる時の確立及び/又は適応化に考慮することができる。
【0046】
有利なことに、投影露光装置の構成要素を測定するための別個の放射線源を設けることができる。特に、測定は、使用光を用いて実施されない。しかし、原理的には、使用光を用いて実施することができる。
【0047】
投影露光装置の構成要素は、各場合にそれぞれの構成要素がレチクルを照明することに、又はレチクルを像視野に結像することに、すなわち、ウェーハの露光に厳密に寄与していない時に測定することができる。
【0048】
特に、露光される基板、すなわち、ウェーハが交換されている間に照明特性を測定することができる。原理的には、ウェーハ上の2つの連続視野(ダイ)の露光間の不使用時間内に照明特性を測定することができる。原理的には、ウェーハの露光中に照明特性を測定することができる。
【0049】
更に、物体視野の照明中に第1のファセットの個々のミラーの精密な位置を再調節することができる。特に、この再調節は、切り換えられたファセットに対して適用することができる。その結果、これらのファセットの位置決め精度を改善することができる。
【0050】
本発明の更に別の目的は、上述の方法を実施するための照明光学ユニットを提供することにある。この目的は、複数の第1のファセットを有する第1のファセットミラーと、複数の第2のファセットを有する第2のファセットミラーとを含み、第1のファセットが、各場合に異なるターゲット位置で異なる第2のファセットに割り当てられて異なる照明チャネルが形成されるように各場合にターゲット位置に変位可能であり、第1のファセットの個々のミラーの少なくとも1つの部分集合が、パーク位置に変位可能であり、パーク位置の各々が、関連のターゲット位置から離間されるが、最大でも最大距離d
maxしか離間されない照明光学ユニットによって達成される。
【0051】
照明光学ユニットの更なる詳細及び具体的内容は、以上の説明から明らかになる。第1のファセットの個々のミラーは、特に上述の短い切り換え時間でパーク位置から関連のターゲット位置内に、ターゲット位置から関連のパーク位置内に、及び/又は1つのターゲット位置から別のターゲット位置に変位可能である。
【0052】
変位は、特に、物体視野の露光中、特にウェーハの露光中に行うことができる。
【0053】
本発明の更に別の態様は、投影露光装置とマイクロリソグラフィ投影露光装置とのための照明系を改善することにある。これらの目的は、以上の説明による照明光学ユニットを含む照明系及び投影露光装置によって達成される。
【0054】
この利点は、照明光学ユニットのものから明らかである。
【0055】
本発明の更に別の目的は、ウェーハのリソグラフィ構造化のための方法を改善することにある。この目的は、ウェーハのリソグラフィ構造化のための本発明による方法によって達成される。本発明の要点は、ウェーハの構造化中に第1のファセットの個々のミラーの部分集合をパーク位置から関連のターゲット位置内に、ターゲット位置から関連のパーク位置内に、又は1つのターゲット位置から別のターゲット位置に変位させることにある。
【0056】
この利点は、上述のものから明らかである。
【0057】
本発明の一態様により、第1のファセットの個々のミラーの部分集合は、ウェーハ上の2つの連続視野の露光間の時間間隔中にパーク位置から関連のターゲット位置内に、ターゲット位置から関連のパーク位置内に、又は1つのターゲット位置から別のターゲット位置内に変位されるように提供される。
【0058】
特に、変位は、予め決められた、特にウェーハの露光の前に決定された補正プロトコルに従って行われる。
【0059】
補正プロトコルを決定するために、特に、ウェーハの異質性、特に露光されるウェーハの個々の視野の間の変化は、このウェーハの露光の前に確立されることが提供される。そのようなデータは、別々に予め決めることもできる。
【0060】
本発明の更に別の目的は、微細構造化又はナノ構造化構成要素を生成する方法、及び本方法によって生成される構成要素を改善することである。
【0061】
これらの目的は、微細構造化又はナノ構造化構成要素を生成するための本発明による方法、及び本方法に従って生成される構成要素によって達成される。
【0062】
この利点は、上述のものから明らかである。
【0063】
本発明の更に別の特徴及び詳細は、図を参照して例示的実施形態の説明から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
最初に、投影露光装置1の基本設計を図に基づいて下記で説明する。
【0066】
図1は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置1を子午断面に略示している。投影露光装置1の照明系2は、放射線源3に加えて、物体平面6の物体視野5の露光のための照明光学ユニット4を有する。物体視野5は、例えば、13/1のx/yアスペクト比を有する矩形又は弓形の方式で成形することができる。この場合に、物体視野5に配置され、微細構造又はナノ構造の半導体構成要素の生成に向けて投影露光装置1によって投影される構造を担持する反射レチクル(
図1には例示していない)が露光される。投影光学ユニット7は、物体視野5を像平面9の像視野8に結像するように機能する。レチクル上の構造は、図面内には例示しておらず、像平面9の像視野8の領域に配置されるウェーハの感光層上に結像される。
【0067】
レチクルホルダ(例示していない)によって保持されるレチクルと、ウェーハホルダ(例示していない)によって保持されるウェーハとは、投影露光装置1の作動中にy方向と同期して走査される。ウェーハとレチクルは異なる速度で移動することができる。投影光学ユニット7の結像スケールに基づいて、レチクルをウェーハに対して反対の方向に走査することができる。
【0068】
微細構造化又はナノ構造化構成要素、特に半導体構成要素、例えば、マイクロチップのリソグラフィ生成に向けて、投影露光装置1を用いて、レチクルの少なくとも1つの部分が、ウェーハ上の感光層の領域上に結像される。スキャナ又はステッパとしての投影露光装置1の実施形態に基づいて、レチクルとウェーハは、y方向にスキャナ作動で連続的に、又はステッパ作動で段階的に時間同期して移動される。
【0069】
放射線源3は、5nmと30nmの間の範囲の放出使用放射線を有するEUV放射線源である。このEUV放射線源は、プラズマ光源、例えば、GDPP(ガス放電生成プラズマ)光源又はLPP(レーザ生成プラズマ)光源とすることができる。他のEUV放射線源、例えば、シンクロトロン又は自由電子レーザ(FEL)に基づくものも可能である。
【0070】
放射線源3から射出したEUV放射線10は、コレクター11によってフォーカスされる。対応するコレクターは、例えば、EP 1 225 481 Aから公知である。コレクター11の下流では、EUV放射線10は、中間焦点面12を通って伝播し、その後に、複数の視野ファセット担体13aを有する視野ファセットミラー13上に入射する。視野ファセットミラー13は、物体平面6に対して光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される。
【0071】
以下では、EUV放射線10を使用放射線、照明光、又は結像光とも呼ぶ。
【0072】
視野ファセットミラー13の下流において、EUV放射線10は、多数の瞳ファセット14aを有する瞳ファセットミラー14によって反射される。瞳ファセットミラー14は、投影光学ユニット7の入射瞳平面内、又はそれに対して光学的に共役な平面内のいずれかに位置する。視野ファセットミラー13及び瞳ファセットミラー14は、下記でより詳細に説明する多数の個々のミラーから構成される。この場合に、個々のミラーへの視野ファセットミラー13の再分割は、自体が物体視野5全域を照明する視野ファセット13aの各々が、個々のミラーのうちの正確に1つのものによって表されるようなものとすることができる。これに代えて、視野ファセット13aの少なくとも一部又は全ては、複数のそのような個々のミラーを用いて構成することができる。同じことは、視野ファセット13aにそれぞれ割り当てられ、各場合に単一個々のミラー又は複数のそのような個々のミラーによって形成することができる瞳ファセットミラー14の瞳ファセット14aの構成にも相応に適用される。
【0073】
EUV放射線10は、2つのファセットミラー13、14上に、ミラー面の法線に対して測定して25°よりも小さいか又はそれに等しい角度で入射する。従って、EUV放射線10は、法線入射作動範囲で2つのファセットミラー13、14上に入射する。かすめ入射による入射も可能である。瞳ファセットミラー14は、投影光学ユニット7の瞳平面を構成する照明光学ユニット4の平面、又は投影光学ユニット7の瞳平面に対して光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される。瞳ファセットミラー14と、EUV放射線10に対するビーム経路の順番で表記したミラー16、17、及び18を有する伝達光学ユニット15の形態にある結像光学アセンブリとを用いて、視野ファセットミラー13の視野ファセットが、物体視野5内に互いに重ね合わされる方式で結像される。伝達光学ユニット15の最後のミラー18はかすめ入射ミラーである。伝達光学ユニット15と瞳ファセットミラー14とを併せて、視野ファセットミラー13から物体視野5に向けてEUV放射線10を伝達するための逐次光学ユニットとも呼ぶ。照明光10は、放射線源3から物体視野5に向けて複数の照明チャネルを通して案内される。これらの照明チャネルの各々には、視野ファセットミラー13の視野ファセット13aと、視野ファセットの下流に配置された瞳ファセットミラー14の瞳ファセット14aとが割り当てられる。視野ファセットミラー13及び瞳ファセットミラー14の個々のミラーは、アクチュエータ系によって傾斜可能にすることができ、それによる照明チャネルの構成変化に従って視野ファセット13aに対する瞳ファセット14aの割り当て変更を達成することができる。物体視野5にわたる照明光10の照明角度の分布において異なる様々な照明設定がもたらされる。
【0074】
位置関係の説明を容易にするために、下記では、取りわけ広域直交xyz座標系を使用する。
図1では、x軸は、作図面と垂直に閲覧者に向けて延びている。y軸は
図1の右に向けて延びている。z軸は
図1の上方に延びている。
【0075】
その後の図の中からのいくつかの図には局所直交xyz座標系を描示しており、この場合に、x軸は
図1に記載のx軸と平行に延び、y軸は、このx軸と共にそれぞれの光学要素の光学区域を張っている。
【0076】
図2は、投影露光装置1のための照明系19の別の構成を示している。
図1を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0077】
LPP光源として具現化することができる放射線源3から射出した使用放射線10は、最初に第1のコレクター20によって集光される。コレクター20は、放射線源3を中間焦点面12に結像するか又は放射線源3からの光を中間焦点面12内の中間フォーカス上にフォーカスさせる楕円面ミラーとすることができる。コレクター20は、使用放射線10が、0°に近い入射角でその上に入射するように作動させることができる。この場合に、コレクター20は法線入射の近くで作動され、従って、コレクター20を法線入射(NI)ミラーとも呼ぶ。コレクター20の代わりに、かすめ入射で作動されるコレクターを使用することができる。
【0078】
中間焦点面12の下流には、使用放射線10、すなわち、EUV放射線ビームを案内するための光学アセンブリの例として多ミラーアレイ又はマイクロミラーアレイ(MMA)の形態にある視野ファセットミラー21が配置される。以下の本文では、多ミラーアレイ又はマイクロミラーアレイ(MMA)を単にミラーアレイ22とも呼ぶ。視野ファセットミラー21は、マイクロ電気機械系(MEMS)として具現化される。視野ファセットミラー21は、行列状の方式でアレイ内に行と列とで配置された多数の個々のミラーを有する。以下の本文では、個々のミラーをミラー要素23とも呼ぶ。ミラー要素23は、下記で説明するように、アクチュエータ系によって傾斜可能であるように設計される。全体的に、視野ファセットミラー21は、約100 000個のミラー要素23を有する。ミラー要素23のサイズに基づいて、視野ファセットミラー21は、例えば、1000個、5000個、7000個、又は他に数十万個、例えば、500 000個のミラー要素23を有することができる。
【0079】
視野ファセットミラー21の上流にはスペクトルフィルタを配置することができ、スペクトルフィルタは、使用放射線10を放射線源3の放出光のうちで投影露光に有利でない他の波長成分から分離する。スペクトルフィルタは例示していない。
【0080】
視野ファセットミラー21は、840Wの電力と、6.5kW/m
2の電力密度とを有する使用放射線10による入射を受ける。使用放射線10は、異なる電力及び/又は電力密度を有することができる。
【0081】
ファセットミラー21の全体の個々のミラーアレイは500mmの直径を有し、密充填方式でミラー要素23を有するように設計される。充填度又は集積密度とも呼ぶミラー要素23による完全な視野ファセットアレイの面カバレージは、少なくとも70%、特に少なくとも80%、特に少なくとも85%、特に少なくとも90%、特に少なくとも95%である。視野ファセット21aが各場合に正確に1つのミラー要素23によって達成される場合に、ミラー要素23は、倍率を除いて物体視野5の形状に対応する。ファセットミラー21は、各々が視野ファセット21aに対応し、y方向に約5mm、x方向に100mmの寸法を有する500個のミラー要素23から形成することができる。正確に1つのミラー要素23による各視野ファセット21aの実現に対する代替として、視野ファセット21aの各々を小さめのミラー要素23の群によって形成することができる。y方向に5mm、x方向に100mmの寸法を有する視野ファセット21aは、例えば5mm×5mmの寸法を有するミラー要素23の1×20アレイから0.5mm×0.5mmの寸法を有するミラー要素23の10×200アレイまでを用いて構成することができる。本発明により、視野ファセット21aへのミラー要素23の割り当ては柔軟である。特に、視野ファセット21aは、ミラー要素23の適切な起動だけによって定められる。特に、ミラー要素23の形態は、巨視的な視野ファセットの形態に依存しないとすることができる。
【0082】
使用光10は、ファセットミラー21のミラー要素23によって瞳ファセットミラー14に向けて反射される。瞳ファセットミラー14は、約2000個の固定瞳ファセット14aを有する。固定瞳ファセット14aは、最内側リングの瞳ファセット14aが扇形方式で成形され、それに直接隣接するリングの瞳ファセット14aがリング−扇形方式で成形されるように複数の同心リング内に互いに横並びに配置される。瞳ファセットミラー14の四分円内には、12個の瞳ファセット14aをリングの各々内に互いに横並びに存在させることができる。瞳ファセット14aの各々は、ミラーアレイ22として具現化することができる。
【0083】
使用光10は、物体平面6に配置された反射レチクル24に向けて瞳ファセット14aによって反射される。
図1に記載の投影露光装置との関連で上述したように、投影光学ユニット7が次に続く。
【0084】
図1に記載の照明光学ユニット4に関連付けて上述したように、この場合にもファセットミラー14とレチクル24の間に伝達光学ユニット15を設けることができる。
【0085】
図3は、
図2に記載の従来照明設定を近似的に達成することができる瞳ファセットミラー14の瞳ファセット14aの照明を示している。瞳ファセットミラー14の2つの内側瞳ファセットリング内では、瞳ファセット14aが周方向に1つ置きに照明される。
図3の交替照明表現は、この照明設定の場合に達成される占有密度が、環状照明設定の場合のものよりも2倍だけ低いことを象徴するように意図したものである。2つの内側瞳ファセットリング内では均一な照明分布が同じく見出されるが、占有密度は2倍だけ低い。
図3に示す2つの外側瞳ファセットリングは照明されない。
【0086】
図4は、照明光学ユニット4内に環状照明設定が設定される場合の照明光学ユニット4内の状態を略示している。視野ファセットミラー21のミラー要素23は、瞳ファセットミラー14上に使用光10によってリング−扇形瞳ファセット14aの外側リングが照明されるように、下記でより詳細に説明するアクチュエータを用いた作動によって傾斜される。瞳ファセットミラー14のこの例示的照明を
図5に描示している。この照明を発生させるためのミラー要素23の傾斜をミラー要素23のうちの1つを用いて
図4の例示的に示している。
【0087】
図2から
図5に記載の照明設定を変更するために、ミラー要素23をある傾斜角だけピボット回転させることができる。特に、これらのミラー要素23は、少なくとも±50mrad、特に少なくとも±80mrad、特に±100mradの領域内の傾斜角だけピボット回転可能である。この場合に、それぞれの傾斜位置を少なくとも0.2mrad、特に少なくとも0.1mrad、特に少なくとも0.05mrad、特に少なくとも0.03mradの精度で維持することができる。
【0088】
ミラー要素23は、使用放射線10の波長でのその反射率を最適化するための多層コーティングを担持する。多層コーティングの温度は、投影露光装置1の作動中に425Kを超えてはならない。これは、下記で例示的に説明するミラー要素23の構造によって達成される。
図2に略示するように、照明光学ユニット4のミラー要素23は、脱気可能チャンバ25に収容される。
図2は、脱気可能チャンバ25の境界壁26を概略的にしか示していない。チャンバ25は、遮断弁28が収まる流体管路27を通して真空ポンプ29と連通する。脱気可能チャンバ25内の作動圧は数Pa(分圧H
2)である。全ての他の分圧は、10
-7mbarを有意に下回る。
【0089】
ミラー要素23は基板30に配置される。基板30は、ミラー本体32に熱伝導部分31を通して機械的に接続される。基板30に対するミラー本体32の傾斜を可能にする関節本体33が、熱伝導部分31の一部である。関節本体33は、定められた自由度での例えば1つの傾斜軸、又は特に互いに垂直に配置された2つの傾斜軸の周りの傾斜を可能にする屈曲部として具現化することができる。関節本体33は、基板30に締結された外側保持リング34を有する。更に、関節本体33は、外側保持リング34に関節方式で接続した内側保持本体35を有する。この保持本体は、ミラー要素23の反射面36の下の中心に配置される。中心保持本体35と反射面36の間にはスペーサ37が配置される。
【0090】
熱、特に入射使用放射線10の吸収によって発生され、ミラー本体32内に累積された熱は、熱伝導部分31を通して、すなわち、スペーサ37、中心保持本体35、及び関節本体33、並びに外側保持リング34を通して基板30に向けて放散される。熱伝導部分31を通して基板30に少なくとも10kW/m
2、特に少なくとも30kW/m
2、特に少なくとも50kW/m
2の熱電力密度を放散させることができる。基板30に放散される熱電力は、各ミラー要素23に対して少なくとも2.5mW、特に少なくとも7.5mW、特に少なくとも12.5mWとすることができる。これに代えて、熱伝導部分31は、少なくとも1kW/m
2の熱電力密度又はミラー本体32によって取り込まれる少なくとも0.25mWの電力を放散するように具現化される。取り込み電力は、放射線源3からの使用放射線10から吸収される電力に加えて、例えば、取り込み電気電力である可能性もある。
【0091】
保持本体35上のスペーサ37とは反対の側にアクチュエータピン38が配置される。アクチュエータピン38は、スペーサ37よりも小さい外径を有することができる。アクチュエータピン38は、スペーサ37と同じ直径又はそれよりも大きい直径を有することができる。
【0092】
基板30は、アクチュエータピン38を取り囲むスリーブを形成する。スリーブ内には、互いから電気絶縁されて配置され、各場合に周方向に120°を若干下回る角度にわたって延びる合計で3つの電極54が組み込まれる。電極54は、この実施形態では電極ピンとして具現化されるアクチュエータピン38に対する対電極を構成する。この場合に、特にアクチュエータピン38は、中空シリンダとして具現化することができる。原理的には、アクチュエータピン38毎に異なる個数の電極54を設けることができる。特に、アクチュエータピン38毎に4又は5以上の電極54を設けることができる。電極54のうちの1又は2以上とアクチュエータピン38の間に電位差を発生させることにより、
図6の右半分内に例示的に描示するように、ミラー要素23の偏向をもたらすことができる静電力をアクチュエータピン38に対して発生させることが可能である。
【0093】
特に、基板30は、ミラー要素23の全体アレイがその上に配置されたシリコンウェーハから形成することができる。
【0094】
アクチュエータピン38は、ローレンツアクチュエータの一部とすることができる。この場合に、アクチュエータピン38の自由端に永久磁石が配置される。永久磁石は、そのN極とS極がアクチュエータピン38に沿って互いに隣合わせで配置されるように位置合わせすることができる。一例として、そのようなローレンツアクチュエータは、US 7 145 269 B2から公知である。このローレンツアクチュエータは、バッチ工程においてマイクロ電気機械系(MEMS)として生成することができる。そのようなローレンツアクチュエータを使用すると、20kPaの力密度を達成することができる。力密度は、アクチュエータ力が作用するアクチュエータ面積に対するアクチュエータ力の比として定められる。アクチュエータピン38の断面は、アクチュエータ力が作用する際に本来介在すると考えられるアクチュエータ側面に対する尺度として機能することができる。
【0095】
ローレンツアクチュエータとしての実施形態の代替として、ミラー要素23を傾斜させるためのアクチュエータは、例えば、WO 2007/134 574 Aの方式にあるリラクタンスアクチュエータ、又は圧電アクチュエータとして具現化することができる。リラクタンスアクチュエータを使用すると、50kPaの力密度を達成することができる。圧電アクチュエータを使用すると、実施形態に依存して50kPaから1MPaまでの力密度を達成することができる。
【0096】
更なる詳細に関して、特に基板30内の個々のミラー23の配置、及びアクチュエータを用いた個々のミラー23のピボット回転機能、並びに関節本体及び熱伝導部分31の実施形態に関しては、WO 2010/049 076 A2を参照されたい。
【0097】
ミラーアレイ22は、特に少なくとも4個、特に少なくとも16個、特に少なくとも64個、特に少なくとも256個、特に少なくとも1024個、特に少なくとも1296個、特に少なくとも1600個のミラー要素23を有する。これらのミラー要素23は、好ましくは、矩形行列、特に正方形行列で配置される。ミラー要素23は正方形断面を有する。原理的に、ミラー要素23は、三角形、矩形、又は六角形の実施形態を有することができる。ミラー要素23は、寄せ木細工要素として具現化される。ミラー要素23の全体は、ミラーアレイ22の全体反射面の寄せ木細工配置を形成する。寄せ木細工配置は、特に面充填である。ミラー要素23は、特に密充填方式で配置される。特にミラーアレイは、少なくとも0.85、特に少なくとも0.9、特に少なくとも0.95の充填度を有する。この場合に、時に集積密度とも呼ぶ充填度は、ミラーアレイ22の全面積に対するこのアレイ22の全てのミラー要素23の全体反射面、すなわち、反射面36の和の比を表している。
【0098】
ミラー要素23の反射面36は、平面実施形態を有する。原理的には、この反射面36は、凹又は凸の実施形態、又は自由曲面としての実施形態を有することができる。
【0099】
ミラー要素23の反射面36には、特に、使用放射線10の波長でのその反射率を最適化するための(多層)コーティングが設けられる。特に、多層コーティングは、EUV範囲、特に5nmから30nmの範囲の波長を有する使用放射線10の反射を可能にする。
【0100】
ミラーアレイ22は、モジュール式実施形態を有する。特に、ミラーアレイ22は、傾斜要素としてその全体反射面の寄せ木細工配置が複数のそのような傾斜要素の傾斜、すなわち、同一の実施形態を有する複数のミラーアレイ22の傾斜によって必要に応じて拡張可能であるように具現化される。この場合に、「寄せ木細工配置」及び「タイル張り」という異なる用語は、ミラー要素23による個々のミラーアレイ22の全体反射面の寄せ木細工配置と複数のミラーアレイ22による多ミラーアレイとの間で区別を付けるためだけに使用する。これらの用語は両方共に、平面内の単純で継ぎ目なく連続する領域の間隙不在及び重ね合わせ不在のカバレージを表している。下記では、全体反射面のカバレージが、充填度<1によって反映されるこの場合における完全に間隙を伴わないものではなかった場合であっても、充填度が上記に指定した値、特に少なくとも0.85を有する場合の寄せ木細工配置又はタイル張りを依然として示している。
【0101】
ミラー要素23は、基板30によって保持される。基板30は、面法線41に対して垂直な方向に延びる縁部領域42を有する。特に、縁部領域42は、ミラー要素23を取り囲む方式で配置される。面法線41に対して垂直な方向に、縁部領域42は、最大で5mm、特に最大で3mm、特に最大で1mm、特に最大で0.5mm、特に最大で0.3mm、特に最大で0.2mmの幅b、特に最大幅bを有する。従って、ミラーアレイ22の全体区域は、全体反射面にわたって、すなわち、その外縁にわたって面法線41に対して垂直な方向に最大で5mm、特に最大で3mm、特に最大で1mm、特に最大で0.5mm、特に最大で0.3mm、特に最大で0.2mmだけ突出する。
【0102】
ミラーアレイ22の全体区域は、1mm×1mmから50mm×50mmの範囲、特に10mm×10mmから25mm×25mmの範囲に収まる。原理的に、他の寸法も可能である。原理的に、この区域は、正方形形態から偏位することができる。ミラーアレイ22の全体反射面にわたるこのアレイ22の全体区域の突出部を側オーバーヘッド又は横オーバーヘッドとも呼ぶ。横オーバーヘッドの同じ方向の全体広がりに対する比は、最大で0.1、特に最大で0.05、特に最大で0.03、特に最大で0.02、特に最大で0.01である。従って、横突出部は、ミラーアレイ22の全体反射面の全体広がりよりも少なくとも1桁小さい。
【0103】
ミラーアレイ22に加えて、光学構成要素40は、担持構造43を含む。担持構造43は、面法線41の方向にミラーアレイ22からオフセットして、特に隣接して配置される。担持構造43は、好ましくは、ミラーアレイ22の基板30のものに同一である断面を有する。一般的に、担持構造43は、基板30にわたって、従って、ミラーアレイ22の全体区域にわたって面法線41に対して垂直な方向に最大でも5mm、特に最大でも3mm、特に最大でも1mm、特に最大でも0.5mm、特に最大でも0.1mm、特に最大でも0.05mmだけしか突出せず、特に全く突出しない。そのような配置を「影付け原理」による配置とも呼ぶ。これは、特に、担持構造43が、ミラーアレイ22の全体区域の面法線41の方向の平行突出部内に完全に配置されることを意味すると理解しなければならない。
【0104】
担持構造43は、セラミック含有、シリコン含有、及び/又はアルミニウム含有の材料で作られる。それによってミラーアレイ22からの熱の放散が可能になり、同時に高い機械安定性が得られる。担持構造43の材料に関する例は、セラミック材料、シリコン、二酸化珪素、亜硝酸アルミ、及び酸化アルミニウム、例えば、Al
2O
3セラミック材料である。特に、担持構造43は、ウェーハから生成することができる。担持構造43は、いわゆるサーマルビアが設けられた石英又はガラスウェーハから生成することができる。
【0105】
担持構造43は、片側に開いた切れ目
(cutout)44を有する。切れ目44は、更に別の機能構成物を受け入れるために片側に開いた受け入れ空間を形成する。担持構造43のミラーアレイ22とは反対の側では、切れ目44は、面法線41の方向に担持構造のベース45によって境界が定められる。横方向、すなわち、面法線41に対して垂直な方向には、
それは、担持構造43の縁部領域46によって境界が定められる。縁部領域46は、面法線41に対して垂直な方向に幅b
Cを有する。この場合に、0.5×b≦
bC≦2×bが成り立つ。特に、担持構造43の縁部領域46は、基板30の縁部領域42と
ちょうど同じ幅b=b
Cであってよい。
【0106】
担持構造43は、この縁部領域46内のみでミラーアレイ22に機械的に接続される。担持構造43とミラーアレイ22の間には密封要素61が配置される。密封要素61は、ミラーアレイ22の基板30の後側48の金属コーティング内に組み込まれる。密封要素61は、担持構造43の縁部領域46上に配置された密封リングとして具現化することができる。従って、切れ目44によって形成された受け入れ空間は、少なくとも構成要素40の生成中にカプセル化され、すなわち、液密方式、特に気密方式で密封される。原理的には、ASIC52をカプセル化方式で、すなわち、液密方式、特に気密方式で密封して配置することができる。この目的のためには、ミラーアレイ22とASIC52の間の連続的な中間層(図には描示していない)が依然として必要である。
【0107】
担持構造43内には多数の信号線47が組み込まれる。信号線47は、垂直な相互接続アクセス、いわゆる「ビア」として具現化される。これらの信号線47は、反射面36と反対のミラーアレイ22の後側48に直接に結合される。これらの信号線47には、ミラーアレイ22と反対の側、すなわち、担持構造43の後側49に接触要素50が設けられる。各構成要素40は、30よりも多い、特に50よりも多い、特に70よりも多い信号線47を有することができる。これらの信号線47は、取りわけ、ミラー要素23の変位を制御するための制御デバイス51に電力を供給するためなどに機能する。ミラー要素23の変位を制御するための制御デバイス51は、担持構造43内に組み込まれる。特に、制御デバイス51は、特定用途向け集積回路52(ASIC)として具現化される。構成要素40は、複数のASIC52を有することができる。構成要素40は、少なくとも1つのASIC52を含み、特に少なくとも2つ、特に少なくとも4個、特に少なくとも9個、特に少なくとも16個、特に少なくとも25個、特に少なくとも100個のASIC52を含む。この場合に、ASIC52の各々は、少なくとも1つのミラー要素23に、特に複数のミラー要素23に、特に少なくとも2つ、特に少なくとも4つ、特に少なくとも8つのミラー要素23に信号接続される。ミラー要素23を変位させるためのアクチュエータを制御することに関する詳細に関しては、WO 2010/049 076 A2を参照されたい。
【0108】
ASIC52への信号線47は、担持構造43の後側49から担持構造43を通ってミラーアレイ22の後側48に延び、そこからミラーアレイ22の後側48に沿って延び、フリップチップ接点53を通してASIC52に延びている。従って、一体化又は局所ドライバ電子回路への信号線は、ミラーアレイ22の後側48上で案内される。ミラー要素23のうちの1つの変位を制御するためのASIC52上に発生された制御電圧は、ミラーアレイ22の後側48への更に別のフリップチップ接点53を通して対応する電極54にもたらされる。従って、ASIC52のうちの1つの全ての電気接点は、ASIC52の同じ側にある。特に、この接点は、ASIC52のミラーアレイ22に対面する側に置かれる。それによって原理的には同じく可能である両側接点及び貫通接点が回避される。信号線47のそのような配置の更に別の利点は、全ての信号線47をミラーアレイ22の後側48で単一金属層内に設けることができるということにある。これは生成工程の簡素化につながり、従って、生成コストの低減をもたらす。
【0109】
更に、信号線47は、特定の信号線47が、ミラーアレイ22に対面する担持構造43の前側43a、及び/又は担持構造43の後側49で組み合わされるように具現化され、かつそのように配置される。一例として、ASIC52の供給電圧のための信号線47が組み合わされる。これは、担持構造43の領域における信号低減をもたらす。特に、担持構造43の領域における信号低減は少なくとも10:1である。
【0110】
構成要素40は、担持構造43の後側49に電気インタフェース55を有する。特に、インタフェース55は全て、ミラーアレイ22と反対に位置する担持構造43の後側49に配置される。原理的には可能である横接点を完全に省くことができる。従って、信号フロー内でも「影付け原理」が認識される(
図7を参照されたい)。その結果、構成要素40の構成要素部品と、構成要素40内の信号フロー及び熱フローの両方の向きが、面法線41の方向に定められる。従って、構成要素40は垂直統合を有する。
【0111】
図7に図示の実施形態の場合に、電気インタフェース55は、担持構造43の後側49に適用された複数の接点ピン56を有する。接点ピン56の代替として、電気インタフェース55の接触要素50を平面方式で具現化することができる。
【0112】
接点ピン56の代替として、電気インタフェース55の接触要素50を担持構造43内に組み込まれたピンとして具現化することができる。この場合に、例えば、金が充填された貫通孔として具現化された担持構造43内の垂直相互接続アクセス(ビア)が、担持構造43の後側49の領域内で露出される。特に、この貫通孔は、ビアを取り囲む担持構造43の材料の一部をエッチング除去することによって達成することができる。こうしてビアの露出部材が接触要素50を形成する。
【0113】
更に、担持構造43は、強磁性要素57を含む。担持構造43は、特に少なくとも1つの強磁性要素57を含む。複数の強磁性要素57を設けることができる。強磁性要素57は、金属板又は金属ホイルとして具現化される。強磁性要素57は、永久磁石要素として具現化することができる。
図7及び
図9に例示的に図示する実施形態により、金属ホイル57は、担持構造43の切れ目44に配置される。特に、この金属ホイルは担持構造43に固定接続される。金属ホイルは、例えば、担持構造43上に接合することができる。金属ホイルは接着剤で接合することができる。担持構造43上への強磁性金属層の強磁性要素57としての直接電解析出も同じく可能である。金属ホイル57は、
図10に例示的に示すように、担持構造43の後側49に配置することができる。原理的には、切れ目44内への金属ホイル57の配置と、担持構造43の後側49への金属ホイル57の配置との組合せも可能である。
【0114】
特に、金属ホイル57は、ASIC52と担持構造43のベース45の間に配置することができる。そうすることで、金属ホイル57は、ASIC52と担持構造43の間の熱インタフェースを形成することができる。この場合に、金属ホイル57を軟質の波形金属ホイルとして、すなわち、いわゆるバネホイルとして具現化することが有利である。
【0115】
更に、ASIC52と担持構造43のベース45との間、特にASIC52と金属ホイル57の間に追加の熱伝導要素58を配置することができる。複数の熱伝導要素を設けることができる。ASIC52は、特に構成要素40内の熱伝導要素内に少なくとも部分的に埋め込むことができる。ASIC52と担持構造43のベース45の間のそのような熱インタフェースは、構成要素40を通じた熱フローの垂直統合を改善する。この場合に、ミラーアレイ22から、特にASIC52からの熱を担持構造43を通してそのベース45に直接放散させること、すなわち、実質的に面法線41の方向に放散させることが可能である。
【0116】
本発明の更に別の態様を
図8から
図15を参照して以下に説明する。
【0117】
図8は、投影露光装置1の照明放射線10のビーム経路を再度略示している。
図8では、放射線源3とコレクター11とを照明デバイス61として互いに描示している。
【0118】
照明光学ユニットの中で、第1のファセットミラー62及び第2のファセットミラー63を単に例示的形態で描示している。第1のファセットミラー62は、特に視野ファセットミラー13とすることができる。第2のファセットミラー63は、特に瞳ファセットミラー14とすることができる。しかし、第2のファセットミラー63を照明光学ユニットの瞳平面から離して配置することができる。この場合に、第2のファセットミラー63を一般的に鏡面反射器と呼ぶ。
【0119】
図8は、投影光学ユニット7を略示している。投影光学ユニット7は、6つのミラーM1からM6を含むことができる。投影光学ユニット7は、異なる個数のミラーMiを含むことができる。特に、投影光学ユニット7は、2、3、4、5、6、7、8、又は9以上のミラーを含むことができる。
【0120】
更に、
図8は、像平面9に配置されたウェーハ64を略示している。ウェーハ64は、ウェーハホルダ65によって保持される。特に、ウェーハ64は、ウェーハホルダ65を用いて変位可能である。
【0121】
図9は、第1のファセットミラー62の例示的実施形態を略示している。第1のファセットミラー62は、複数のミラーアレイ22を含む。描示するミラーアレイ22の配置は例示的ものであると理解しなければならない。第1のファセットミラー62のミラーアレイ22の実際の個数は有意に多いとすることができる。実際の個数は、数千にも上るとすることができる。
【0122】
ミラーアレイ22は平行な行に配置される。
【0123】
従って、
図10は、第2のファセットミラー63の例示的実施形態を略示している。第2のファセットミラー63は、複数のミラーアレイ22を含む。ミラーアレイ22は平行な行に配置される。第1のファセットミラー62のミラーアレイ22の実際の個数は有意に多いとすることができる。実際の個数は、数千にも上るとすることができる。
【0124】
図11は、ミラーアレイ22のうちの1つを拡大方式で前と同じく概略的に描示している。ミラーアレイ22の構造的詳細に関しては、
図7に描示し、上述の実施形態を参照されたい。しかし、ここでもまた、ミラーアレイ22のマイクロミラー23の個数は、
図11に描示するものよりも有意に多いとすることができることに注意しなければならない。
【0125】
ミラーアレイ22は、モジュール式で、特にブリック状方式で具現化される。これらのミラーアレイ22をブリックとも呼ぶ。
【0126】
ミラーアレイ22の好ましい実施形態を下記で説明する。
【0127】
本発明により、ミラーアレイ22の全ての個々のミラー23が同じ要件を満たす必要があるわけではないことが明らかになった。特に、ミラーアレイ22の個々のミラー23を2つの群に再分割し、異なる群の個々のミラー23が異なる機能をもたらすことを有利なこととすることができる。明瞭化の目的で、
図12には第1の群の個々のミラー23をハッチング付き方式で描示しており、それに対して第2の群の個々のミラー23をハッチングなしで描示している。
図12に例示的に描示する例示的実施形態において、第2の群の個々のミラー23は、ミラーアレイ22の対角線の一方に沿って配置される。一般的に、これらの個々のミラー23は、1又は2又は3以上の直線に沿って配置される。
【0128】
構造的な観点からは、第1の群の個々のミラー23と第2の群の個々のミラー23とは同一とすることができる。個々のミラー23の群は分離することができる。しかし、個々のミラー23のうちの1又は2以上が両方の群に属することも可能である。特に、これらの個々のミラー23は、精密な方式と迅速な方式の両方で変位可能にすることができる。特に、異なる群への個々のミラー23の割り当てを動的に設定することができる。この場合に、最初に、個々のミラー23の部分集合をこれらの個々のミラー23が非常に短い切り換え時間で変位可能であるように第2の群に割り当てるが、変位が発生した後に、これらの個々のミラー23の位置決めを非常に精密で安定した方式で制御すること、特に調整することが可能であるように、個々のミラー23を第1の群に割り当て戻すことを特に有利とすることができる。
【0129】
図12における個々のミラー23の実施形態は、一例であることを理解しなければならない。ミラーアレイ22の個々のミラー23の実際の個数は有意に多いとすることができる。ミラーアレイ22の個々のミラー23の全体個数に対する第2の群の個々のミラー23の百分率は最大でも10%しかなく、特に0.1%から10%の範囲、特に1%から10%の範囲、特に3%から5%の範囲に収まる。要件に基づいて、ミラーアレイ22の個々のミラー23の個数に対する第2の群の個々のミラー23の百分率は、より高いとすることができる。原理的には、この百分率は最大で100%とすることができる。
【0130】
第1の群の個々のミラー23は、少なくとも1mrad、特に少なくとも500μrad、特に少なくとも200μrad、特に少なくとも100μrad、特に少なくとも50μradの精度で位置決め可能である。特に、これらの個々のミラー23は、1:100よりも高い、特に1:300よりも高い、特に1:500よりも高い、特に1:1000よりも高い、特に1:2000よりも高い相対精度で変位可能である。
【0131】
これらの個々のミラー23は、最大で100mrad、特に最大で200mrad、特に最大で300mrad、特に最大で500mradの全体変位範囲を有する。第1の群の個々のミラー23の全体変位範囲は、特に少なくとも10mrad、特に少なくとも20mrad、特に少なくとも30mrad、特に少なくとも50mradとすることができる。
【0132】
第2の群の個々のミラー23は、非常に短い切り換え時間で変位可能である。初期位置から定められた最終位置まで第2の群の個々のミラー23を変位させるための切り換え時間は、特に100msよりも短く、特に5msよりも短く、特に2msよりも短く、特に1msよりも短く、特に500μsよりも短く、特に200μsよりも短い。下記では、第2の群の個々のミラー23を高速の個々のミラー23とも呼ぶ。
【0133】
第2の群の個々のミラー23は、第1の群の個々のミラー23よりも小さい全体変位範囲を有することができる。第2の群の個々のミラー23の全体変位範囲は、特に50mradよりも短く、特に30mradよりも短く、特に20mradよりも短く、特に10mradよりも短いとすることができる。これは、第2の群の個々のミラー23の迅速な変位に役立つ。
【0134】
第1の群の個々のミラー23を変位させる及び/又は配置するために、制御ループを用いた起動が与えられる。特に、第1の群の個々のミラー23は、フィードバックを用いて配置される。この場合に、特に位置決めの不正確性を制御ループを用いて補正することができる。
【0135】
第2の群の個々のミラー23は、純粋なフォワード−カプル式制御(フィードフォワード制御)を用いて変位される。特に、第2の群の個々のミラー23は、フィードバックを用いずに位置決め及び/又は変位される。その結果、第2の群の個々のミラー23を変位させるのに必要とされる切り換え時間が実質的に短縮される。
【0136】
2つの群の個々のミラー23は、変位に向けて同一の回路を有することができる。特に、ミラーアレイ22の全ての個々のミラー23は、その位置決め及び/又は変位に向けて制御ループ、すなわち、フィードバックを有することができる。これらの制御ループの各々は、柔軟な方式で起動可能かつ停止可能にすることができる。その結果、特に、2つの群への個々のミラー23の割り当てを修正するために、特に投影露光装置1を作動させる時にこの割り当てを修正するために、この割り当てを柔軟に選択することができる。
【0137】
第2の群の個々のミラー23の可能な最大の切り換え経路又は与えられる最大の切り換え経路を短縮することにより、第1に切り換え時間を更に短縮することができ、第2に第2の群の個々のミラー23の位置決めの絶対精度を予め決められた制限値の範囲に保つことができる。特に、第2の群の個々のミラー23も、10mradよりも高い、特に5mradよりも高い、特に2mradよりも高い、特に1mradよりも高い絶対精度で位置決め可能であることを保証することができる。
【0138】
更に、短縮された切り換え経路により、電子回路から系内への大きい熱負荷の進入を回避することができる。
【0139】
第2の群の個々のミラー23の全体変位範囲を短縮することにより、これらの個々のミラー23の熱均衡を改善することができる。全体変位範囲を短縮することにより、特に高速変位に必要とされるスルーレートを低減し、従って、バイアス電流を低減することが可能になる。その結果、電力散逸を低減することができ、従って、特に熱散逸を低減することができる。
【0140】
特に、ミラーアレイ22におけるマイクロミラー23の配置は、第1に、物体視野5の各領域が照明放射線10の走査積分強度に関して十分に調整可能であり、同時に第2に、ミラーアレイ22の構造的、技術的な実現が簡易化されるように選択することができる。
【0141】
下記では、ファセットミラー62を設計する方法を
図20を参照して説明する。
【0142】
最初に、準備段階90において、ファセットミラー62が与えられる。その後に選択段階91において、物体視野5を照明するための少なくとも1つの照明設定が予め決定される。
【0143】
第1の決定段階92において、照明設定を設定するのに必要とされる照明チャネル、すなわち、第2のファセット69への第1のファセット68の割り当てが決定される。
【0144】
その後に第2の決定段階において、レチクル29における幾何学形状及び/又は部分視野照明が決定される。
【0145】
その後の第3の決定段階において、ファセットミラー62上で対応する原像の幾何学形状が決定される。
【0146】
その後に配置段階95において、これらの原像がファセットミラー62上に配置される。特に、これらの原像は、ファセットミラー62上で照明の可能な限り高い充填密度及び/又は充填効率が生じるようにファセットミラー62に配置される。
【0147】
その後の第4の段階96において、第2の群に割り当てられる高速の個々のミラー23の比率が決定される。
【0148】
試験段階97において、レチクル24の照明が試験される(サンプリング)。
【0149】
その後に決定段階98において、高速ミラー23の比率が十分であるか否かに関する決定が行われる。この比率が十分ではなかった場合に、本方法は、別の配置段階95を用いて継続される。高速の個々のミラー23の比率が十分であった場合に、物体視野5の照明99を開始することができる。
【0150】
配置段階95中に、異なる照明設定を考慮することも可能である。この場合に、選択段階91において複数の照明設定が選択される。その後の段階は相応に適応化される。
【0151】
好ましくは、高速の個々のミラー23は、一般的に第1のファセットミラー62上の設定に依存するファセット68の配置に関してこれらの高速の個々のミラー23の配置がロバストであるようにミラーアレイ22に配置される。そのような配置は、
図20に略示す方法を用いて求めることができる。
【0152】
第2のファセットミラー63が瞳ファセットミラーである場合に、特に第2のファセットミラー63のファセット69を切り換えることが意図されない場合に、チャネル数は設定に依存しない。この場合に、
図20に略示す工程を1回だけ実行するだけで十分である。一般的には、この工程を複数回実行することができる。これは、特に第1のファセットミラーを鏡面反射器との組合せで設計する場合であれば有利である。
【0153】
特に、高速ミラーは、ミラーアレイ22内で直線に沿って配置することができる。高速ミラー23の比率が予め決定され、個々のミラー23の全数及び第1のファセットミラー62の第1のファセット68の個数が既知である場合に、ミラーアレイ22内の高速の個々のミラー23の行密度を決定することができる。
【0154】
鏡面反射器の場合に、第1のファセットミラー62内のファセット68の配置は、各照明設定に対して変化する。この場合に、上述の方法は、各個々の照明設定に対して実施される。この場合に、高速の個々のミラー23の配置は、広域最適化法を用いて有利に決定される。それに対する代替として、第1のファセットミラー62上のファセット68の配置を各設定に対して再定義することができる。
【0155】
高速の個々のミラー23の有利な配置を
図13から
図15に基づいて下記で説明する。
【0156】
図13及び
図14では、第1のファセットミラー62上に部分視野66を例示的に描示している。例示的に描示する部分視野66は、視野ファセット13aに対応する。部分視野66は、各々、これらの図には詳描していないミラーアレイ22の個々のミラー23から構成される。
図13から
図15は、ミラーアレイ22による視野ファセット13aのカバレージを略示している。この場合に、ミラーアレイ22上の線88は、高速の個々のミラー23の配置、すなわち、ミラーアレイ22の第2の群の個々のミラー23の配置を特徴付ける。
【0157】
2つの図は、鏡面反射器内の2つの異なる照明設定に対する視野ファセットの配置を例示的に示している。各設定に対するパズリングは、異なっている。
【0158】
図13及び
図14に描示する例では、高速の個々のミラー23の各々は、ミラーアレイ22の中心線に沿う行列に配置される。
【0159】
ミラーアレイ22は、その行列が視野ファセット13aの長手方向67に対して捻れ状態になるように配置される。ミラーアレイ22の個々のミラー23の行列は、視野ファセット13aの長手方向67と、特に10°から80°の範囲、特に30°から60°の範囲の角度を含む。ミラーアレイ22の個々のミラー23の行及び/又は列は、視野ファセット13aの長手方向67と、特に37°の角度又は45°の角度を含むことができる。
【0160】
図15は、第1のファセットミラー62の一部分の区画拡大図を例示的に描示し、更にファセット68からレチクル24までのビーム経路を例示的に描示している。第1のファセットミラー62のファセット68は、簡略化の理由から
図15にはより詳細には描示していない第2のファセットミラー63のファセット69を通して物体平面6内の像70に結像される。ファセット68は、物体視野5のうちでレチクル24の寸法よりも小さい領域内に像70をもたらす。
【0161】
ファセット68は、ファセット69と合わさって照明チャネルを定める。
【0162】
図15に例示的に描示するように、高速の個々のミラー23は、物体平面6内のこれらのミラー23の像がy方向に対して斜方に、すなわち、走査方向に対して斜方に延びるように配置される。それによって達成することができることは、物体視野5の領域内の照明放射線10の強度分布を補正する目的、及び/又は像視野8内の照射量を変更するための特にウェーハ64を露光するための放射線照射量を適応させる目的で高速の個々のミラー23を使用することができることである。特に、高速の個々のミラー23は、物体視野5の領域内の走査積分強度を補正するために使用することができる。第2の群の個々のミラー23を迅速に変位させることにより、特に、ウェーハ64上の視野(ダイ)を露光するための意図するプロファイルを設定すること及び/又は適応化することができる。特に、ウェーハ64上の2つの異なる視野の露光間で第2の群の個々のミラー23を変位させることができる(ダイ間変位)。その結果、露光されるウェーハ上の異なる視野間の予め決められた差、特にこの差に少なくとも部分的に、特に完全に関連する系統的誤差を補償することができる。
【0163】
ミラーアレイ22における高速の個々のミラー23のターゲットを定めた配置及び/又は第1のファセットミラー62上でのミラーアレイ22のアラインメントの結果として、かつターゲットを定めたチャネル割り当て、すなわち、第2のファセットミラー63のファセット69への第1のファセットミラー62のファセット68のターゲットを定めた割り当ての結果として、物体視野5の領域内、特にレチクル24の領域における照明放射線10の調整可能性に目標を定めた方式で影響を及ぼすこと、特にそれを最適化することが可能である。
【0164】
高速の個々のミラー23を変位させることにより、特に、照明放射線10を物体視野5、特にレチクル24に向けられるビーム経路に結合すること、及び/又はこのビーム経路から脱結合することが可能である。言い換えれば、高速の個々のミラー23を傾斜させることにより、物体視野5の領域内、特にレチクル24の領域内の照明放射線10の強度分布に目標を定めた方式で影響を及ぼすこと、特にそれを調整することが可能である。これは、特に走査積分強度に関連している。
【0165】
従って、高速の個々のミラー23を傾斜させること、特に切り換えることにより、特に、像視野8の領域内の照明放射線10の照射量を調整することができる。
【0166】
上述のコレクター変形のうちの1つを有する投影露光装置1を使用する場合に、レチクル24と、照明光10に対して感光性を有するコーティングを有するウェーハとが与えられる。次いで、レチクル24の少なくとも1つの部分が、投影露光装置1を用いてウェーハ上に投影される。レチクル24をウェーハ上に投影するときに、レチクルホルダ及び/又はウェーハホルダを物体平面6又は像平面9と平行な方向に変位させることができる。レチクル24及びウェーハの変位は、好ましくは、互いに同期する方式に実施することができる。最後に、照明光10によって露光されたウェーハ上の感光層が現像される。こうして微細構造化又はナノ構造化構成要素、特に半導体チップが生成される。
【0167】
本発明の更に別の態様を
図16から
図19を参照して下記で説明する。
【0168】
これらの図には、第2のファセットミラー63の一部分のファセット69を例示的に描示している。特定の照明設定に使用されないファセット69を中空リング74を用いて例示的に描示している。照明設定に使用されるファセット69をハッチング付き円75として描示している。
【0169】
図16から
図18では、明瞭化の目的で、下記で更に詳細に説明するターゲットファセット71を塗り潰し記号で描示している。正方形記号は、下記で更に詳細に説明するパークファセット73を例示的に再現している。
【0170】
第1のファセット68の変位、特にその個々のミラーの変位は、第2のファセットミラー63上の第1のファセット68の像の対応する軌道をもたらすので、下記では、第2のファセットミラー63の領域内の第1のファセットミラー62のファセット68の像の位置を簡易的にそれぞれのファセット68の位置、特にその個々のミラーの位置とも呼ぶ。
【0171】
本発明の一態様により、高速の個々のミラー23を物体視野5の照明、特に強度分布の照射量制御、特に高速照射量制御、すなわち、高速変更に使用することができるようになっている。この目的に対して利用することは、個々のミラー23を第1にこれらのミラー23が物体視野5の照明に寄与するように配置することができること、第2にこれらのミラー23を特に散乱光又は迷光のいかなる手法にもよらずに物体視野5の照明に寄与しないように配置することができることである。高速の個々のミラー23は、ウェーハ64の露光中にそのような位置の間で出入りするように切り換えることができる。
【0172】
特に、明らかになったことは、第1のファセットミラー62が多数の個々のミラー23、特にマイクロミラーを含むことにより、これらの個々のミラー23を照射量マニピュレータとして使用することが可能になるということである。いわゆるフィンガUNICOMを省くことができる。
【0173】
2つの視野(ダイ)の照明間での物体視野5内の照明放射線10の強度プロファイルの変更は、数十msの切り換え時間を必要とする。そのような急速切り換え機能は、本発明による高速ミラー23を用いて可能である。特に、高速の個々のミラー23の切り換え時間は、ちょうど露光し終えた視野から次のものにウェーハ64を駆動するのに必要とされる時間よりも短い。
【0174】
高速の個々のミラー23を使用すると、露光中に局所照射量を適応化することも可能である(ダイ内調整)。
【0175】
y−ReMa機能も可能である。特に、照明視野とも呼ぶ物体視野5の実照明領域のサイズを露光中に修正することができる。その結果、調節可能視野絞り、特にいわゆるレチクル遮蔽絞り(ReMa絞り)の機能を達成することができる。高速の個々のミラー23を変位させることにより、走査工程中に特に走査方向に照明視野を拡大し、再び縮小することができる。個々のミラー23を変位させることにより、走査方向、すなわち、y方向の照明視野の寸法が走査工程の開始時に連続的に増大し、かつ走査工程の終了時に再び縮小することを保証することができる。これに関する更なる詳細に関しては、DE 10 2012 213 515 A1、特に段落[0072]から[0085]を参照されたい。
【0176】
個々のミラー23を変位させる時に、第1のファセットミラー62のファセット68の切り換えられる個々のミラー23を物体視野5又はその近傍に望ましくない方式で結像する第2のファセットミラー63のファセット69が切り換え軌道上に遭遇しないことが各場合に保証される。特に、切り換え軌道上にある個々のミラー23が、像視野内のウェーハ64の露光に寄与しないことが保証される。
【0177】
下記では、切り換え工程に対する切り換え時間をどのように短縮することができるかということ、及び/又は第2のファセットミラー63の望ましくないファセット69の照明をどのように防ぐことができるかということのいくつかの変形を例示的に示している。
【0178】
物体視野5を照明するときに、すなわち、レチクル24をウェーハ64上に結像するときに、第1のファセットミラー62の各ファセット68に対して、当該ファセット68によって反射される照明放射線10を各場合に物体視野5に案内しようと意図する上で使用する第2のファセットミラー63上の1又は2以上のターゲットファセット71を決定することができるようになっている。
図16から
図18では、そのようなターゲットファセット71を塗り潰し円で例示的に描示している。
【0179】
対応するチャネル割り当てをもたらす、すなわち、個々のミラー23又はファセット68からターゲットファセット71への照明放射線10の案内をもたらす第1のファセットミラー62上のファセット68の位置決めをターゲット位置とも呼ぶ。
【0180】
ファセット68が多数の個々のミラー23によって形成されることを思い出さなければならない。下記でファセット68の位置に言及する場合に、この位置は、各場合に当該ファセット68を形成する個々のミラー23の位置を意味すると理解しなければならない。特に、ファセット68のターゲット位置は、各場合にそれぞれのファセット68を形成する個々のミラー23のターゲット位置を意味すると理解しなければならない。この場合に、照明特性の高速微調整に向けて、予め決められたファセット68を形成する個々のミラー23のうちの個々のものは、個々のベースでオンにするか、オフにするか、又は切り換えることができる。特に、これらの個々のミラー23は、ターゲット位置に入るように、又はターゲット位置から出るように、又は2つのターゲット位置の間で変位させることができる。
【0181】
物体視野5の予め決められた所期照明に向けて、そのようなターゲット位置、すなわち、変位位置が、第1のファセットミラー62のファセット68に対して決定される。
【0182】
更に、第1のファセットミラー62のファセット68に対して、ファセット68を変位させて入れてはならない禁止位置を各場合に決定することができる。例示的に強調表示したターゲットファセット71を有するファセット68に対する第2のファセットミラー63上の関連禁止位置72を各場合に小さい×で例示的に表している。禁止位置も、各場合にそれぞれのファセット68の個々のミラー23の全てに関連している。
【0183】
更に、これらの図には、各ターゲットファセット61に関して、いわゆるパークファセット73を各場合に正方形記号を用いて表記している。一般的に、少なくとも第1のファセット68の部分集合に対して、関連ターゲット位置からそれぞれ分離されるが、最大で最大距離d
maxの場所にある少なくとも1つのパーク位置を各場合に決定することができるようになっている。描示する例では、パーク位置と関連ターゲット位置の間の距離dは、ちょうどファセット直径1つ分である。言い換えれば、パークファセット73は、厳密にターゲットファセット71に隣接するファセット69である。パーク位置も、各場合に予め決められたファセット68の個々のミラー23の全てに関連している。しかし、従来、予め決められたファセット68を形成する個々のミラー23の部分集合のみがパーク位置内に変位される。
【0184】
原理的には、予め決められたファセット68を形成する全ての個々のミラー23を同じパーク位置に変位させることができる。有利なことに、予め決められたファセット68を形成する個々のミラー23は、オフにするために異なるパーク位置に分散されるように提供される。その結果、パークファセット73上の熱負荷を低減することができる。特に、熱負荷を異なるパークファセット73に可能な限り均一に分散させることができる。
【0185】
物体視野5を照明するときに、第1のファセット68の個々のミラー23の部分集合は、パーク位置に位置決めされるように提供される。パーク位置は、各場合に予め決められたターゲット位置から最大でも最大距離d
maxの距離のみを有するので、これらの個々のミラー23をそれぞれのターゲット位置に非常に短い切り換え経路で追加し、すなわち、変位させることができる。特に、個々のミラー23は、非常に短い切り換え時間で追加することができる。
【0186】
第1のファセットミラー62の第1のファセット68の個々のミラー23のうちの1つをパーク位置から関連のターゲット位置内に、又はそれとは逆にターゲット位置からパーク位置に変位させるための切り換え時間は、特に最大で200ms、特に最大で100ms、特に最大で50ms、特に最大で20ms、特に最大で10ms、特に最大で5ms、特に最大で2ms、特に最大で1ms、特に最大で500μs、特に最大で200μs、特に最大で100μsである。
【0187】
図16から
図18には、パーク位置からターゲット位置への又はその逆の第1のファセット68の個々のミラー23のそのような高速変位に対する変位経路76を実線で表記している。
【0188】
これらの図には、より低速の変位に対する変位経路77を破線で例示的に描示している。
【0189】
低速変位は、200msよりも大きい切り換え時間、特に最大で1s、特に最大で2s、特に最大で5sの切り換え時間で実施することができる。低速変位は、非常に正確に実施することができる。特に、低速変位は、1:1000よりも高い相対精度で実施することができる。第1のファセットを変位させる時の絶対精度は、1mradよりも高い、特に500μradよりも高い、特に200μradよりも高い、特に100μradよりも高い、特に50μradよりも高いとすることができる。これは、特に低速位置決めに適用される。
【0190】
短い距離に起因して、個々のミラー23の高速変位には1%から10%の範囲の相対精度で十分である。その結果、非常に短い切り換え時間の実現が有意に簡易化される。
【0191】
特にウェーハ64が露光されない段階中に、個々のミラー23、特に照射量を設定するために設けられた個々のミラー23を設けられたパーク位置のうちの1つに変位させることができる。これらの個々のミラー23は、ウェーハ64は露光されるが、これらの個々のミラー23がこの露光に寄与しない段階中にパーク位置のうちの1つに変位させることができる。この工程では、これらの個々のミラー23が変位中に禁止位置72のいかなる場所も取らないことが保証される。特に、これらの個々のミラー23が、そのような変位中に禁止位置72から最小距離d
minを遵守することを保証することができる。
【0192】
全ての個々のミラー23のターゲット位置は、これらのターゲット位置が、各場合に最も近い禁止位置72から少なくともファセット直径1つ分だけ、特に少なくともファセット直径2つ分又は3つ分の最小距離d
minだけ分離されるように選択及び/又は構成される。
【0193】
各ターゲット位置に対して、十分に多くの、特に少なくとも1つ、特に少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも6つの近接パークファセット73が存在する。
【0194】
特に、ターゲットファセット71は、パークファセット73によって完全に取り囲まれる。特に、ターゲットファセット71は、最も近い禁止位置72から離して配置される。特に、ターゲットファセット71は、最も近い禁止位置72から少なくともファセット直径1つ分、特にファセット直径2つ分又は3つ分の最小距離d
minを有する。
【0195】
図17は、第1のファセット68のうちの1つが、関連のパークファセット73を有する2つの異なるターゲットファセット71に割り当てられた変形を例示的に描示している。
【0196】
実線は、ここでもまた、ファセット変位に対する変位経路76を描示している。例示的に描示するように、対応する第1のファセット68の個々のミラー23は、迅速に追加するか又はオフにすることだけができず、2つのターゲットファセット71の間で迅速に切り換えることは前と同じく可能である。同様に、個々のミラー23を1つのターゲットファセット71のパークファセット73から他のターゲットファセット71に迅速に切り換えることができ、又はその逆も同じく可能である。
【0197】
図18は、第1のファセットミラー62の個々のミラー23の変位速度が、
図17に描示する例示的実施形態におけるものよりも遅い事例を略示している。
図18に描示する事例では、対応する第1のファセット68の個々のミラー23、特に同じものの個々のミラー23をパーク位置と関連のターゲット位置との間で出入りするように迅速に切り換えることはできるが、2つのターゲット位置の間の迅速な切り換えは可能ではない。
【0198】
2つのターゲットファセット71の間の直接切り換えは、
図18に描示する例示的実施形態では可能ではない。これは、高い精度に関して有利とすることができる。
【0199】
下記では、第1のファセット68、特にその個々のミラー23を設定する時間的進行を
図19に記載の流れ図に基づいて前と同じく例示的に示している。
【0200】
最初に、第1の準備段階78において、結像されるレチクル24が与えられる。
【0201】
その後に規定段階79において、物体視野5、特にレチクル24の意図する照明が予め決定される。レチクル24の基準照明とも呼ぶ意図する照明は、特に、視野寸法、視野形態、及び照明放射線10の角度分布を決定する。この照明は、投影露光装置1の特性、特に照明系2及び/又は投影光学ユニット7の特性に関する現在の最良の把握情報に対処しながら計算及び調節される。この目的のために、計算及び調節段階80が設けられる。計算及び調節段階80は、第1のファセット68、特にその個々のミラー23に対するターゲット位置を予め決められた所期照明に依存する方式で決定する段階を含む。更に、調節段階80は、第1のファセット68、特にその個々のミラー23を対応するターゲット位置に変位させる段階を含む。第2のファセット69が切換可能ファセットである場合に、これらのファセットの法線が、第1のファセットの像が物体視野5内に収まるように更に計算及び調節される。
【0202】
その後に第2の準備段階81において新しいウェーハ64が与えられる。
【0203】
その上で測定段階82において、レチクル24の領域及び/又はウェーハ64の領域内の照明放射線10の分布が決定される。この目的のために適切なセンサが設けられる。測定段階82は、第2の準備段階81の前に実施することができる。
【0204】
特に、測定段階82では、ウェーハ64における照明放射線10の強度プロファイル、均一性、楕円率、テレセントリック性、又は角度分布のような特性を測定することができる。
【0205】
一般的に、測定段階82で確立された実際の照明は、予め決められた所期照明からある一定の偏差だけずれている。この偏差は、第1のファセット68又はその個々のミラー23の部分集合を切り換えることによって補正することができる。この目的のために、決定段階83において、最初に補正ミラーとして機能すべき個々のミラー23が決定される。特に、上述の高速の個々のミラー23が補正ミラーとして機能する。
【0206】
補正ミラーを決定する際に更に考慮されることは、ウェーハ64上の各視野が個々の強度プロファイルを必要とすることである。決定段階83は、この目的のために切り換えるべき第1のファセット68、特にその個々のミラー23を決定する段階を含む。この決定段階において、特に予め確立されたか又は与えられたウェーハに関する情報、特にこのウェーハの面にわたる特性の変動、特に露光されるウェーハ64の異なる視野間の変化に関する情報を考慮することが可能である。特に、露光されるウェーハ64上の視野の各々のものに対して、特に2つの視野の連続露光間で不使用時間にわたってオンにするか、オフにするか、又は切り換えること(ダイ間変位)が意図される補正ミラーを決定することを可能にすることができる。対応する切り換えプロトコルを制御デバイス、特に制御デバイスのメモリに格納することができる。対応する切り換えプロトコルは、ウェーハ64の露光中に自動方式で呼び出して実行することができる。
【0207】
更に、決定段階83は、切り換えるべき第1のファセット68、特にその個々のミラー23に対する禁止位置72を確立する段階を含むことができる。原理的には、禁止位置72は、計算及び調節段階80の前に予め予め定めることができる。しかし、実際の系では、許可位置及び特に禁止位置72を検証することを有利とすることができる。
【0208】
その後に露光段階84において、ウェーハ64上の視野が露光される。
【0209】
全体ウェーハ64を露光するために、多数の露光段階84が設けられる。この場合に、ウェーハ64上のそれぞれ1つの視野(ダイ)が、走査方式又は段階的方式で露光される。視野の露光中、又は2つの視野の露光間の一時停止中に高速切り換え工程85を実施することができる。この場合に、第1のファセット68の予め決められた個々のミラー23が、予め決められた第2のファセット69上に、又はそこから切り換えられる。第1のファセット68の予め決められた個々のミラー23を異なる第2のファセット69の間で切り換えることができる。高速切り換え工程85に対する初期点又はターゲット点は、各場合に予め決められたパーク位置、すなわち、パークファセット73、又は別のターゲット位置、すなわち、別のターゲットファセット71である。特に、高速切り換え工程85は、最大でも200ms、特に最大でも100ms、特に最大でも50ms、特に最大でも20ms、特に最大でも10ms、特に最大でも5ms、特に最大でも2ms、特に最大でも1ms、特に最大でも500μs、特に最大でも200μs、特に最大でも100μsの切り換え時間しか必要としない。
【0210】
切り換え経路は非常に短い。特に、切り換え経路は、最大でも30mrad、特に最大でも10mrad、特に最大でも3mradしかない。
【0211】
短い切り換え経路を実現することができるように、追加される第1のファセット68、特にその個々のミラー23が、これらが使用されていない時間にそれぞれのパーク位置内に変位される。この目的のために、更に別の切り換え工程86が設けられる。この切り換え工程86中に適切な変位軌道、特に全ての禁止位置72を回避する変位軌道が選択される場合に、切り換え工程86をウェーハ64の露光中にも同じく実施することができる。
【0212】
更に、測定及び調整工程87において、ファセット68、特にその個々のミラー23、特にその位置を測定することができる。これは、特に変位したファセット68、特にその個々のミラー23において提供される。特に、測定及び調整工程87は、制御ループを使用することができる。特に、制御ループは、反復的に実行することができる。その結果、切り換えられたファセット68の精度は、残りのファセット68の精度に比較的長い時間間隔にわたって連続的に再度適合させることが可能である。
【0213】
ウェーハ64の露光後に、レチクル24は、更に別のウェーハ64上に結像することができる。この目的のために、測定段階82と、それに続く補正ミラーを決定するための決定段階83とは、繰り返されるように提供される。この場合に、次のウェーハ64の視野の細かい補正を計算することができ、相応にファセット68、特にその個々のミラー23の位置を適応化することができる。
【0214】
例えば、新しいレチクル24を使用することが意図されるという理由からレチクル24の所期照明に基本的な変更がある場合に、上述の手順が再開される。