【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発送日 2016年6月30日 発送先 小林製薬株式会社の通信販売を利用する顧客 公開者 小林製薬株式会社
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記湿式造粒物が、更に、デキストリン、二酸化珪素、澱粉、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、糖アルコール、結晶セルロース、ゼラチン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の飲料。
サラシア属植物抽出物(乾燥物換算)1重量部に対して、アミノ酸を0.5〜10重量部及び/またはカテキン類を0.25〜2.5重量部含有する、請求項3または4に記載の飲料。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
1.粉末または顆粒飲料
本発明の粉末または顆粒飲料は、サラシア属植物の抽出物を含有する溶液をバインダー液として用いた湿式造粒物を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明において湿式造粒物は、サラシア属植物の抽出物を含有する溶液をバインダー液として用いたものである限り制限されない。湿式造粒物として、デキストリン、二酸化珪素、澱粉(小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、米澱粉等)、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、糖アルコール(キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール等)、結晶セルロース、ゼラチン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムの少なくともいずれかを含有するものが好ましく例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
また、本発明の粉末または顆粒飲料は、この限りにおいて制限されないが、アミノ酸及び/またはカテキン類を含有するものが好ましく例示される。
(A)サラシア属植物の抽出物
本発明におけるサラシア属植物の抽出物の原料であるサラシア属植物は公知の植物であり、本発明を制限するものではないが、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア・キネンシス(Salacia chinnensis)、サラシア・ラフォティリア(Salacia latifolia)、サラシア・ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア・グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア・マクロスペルマ(Salacia macroeperma)等が例示される。該植物であれば使用部位は特に限定されないが、根茎、葉、果実、樹皮等が例示され、より好ましくは茎、根、樹皮が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
前記抽出物において、その製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、サラシア属植物の前記使用部位をそのまま、必要に応じて乾燥、裁断、粉砕等したのち、搾取または溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、該分野において公知の方法を採用すればよく、例えば水(温水、熱水を含む)抽出、アルコール抽出、超臨界抽出、カラム抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
【0013】
溶媒抽出を行う場合、溶媒としては例えば水;メタノール、エタノール等の低級アルコールや、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類(無水、含水の別を問わない);アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル類、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。溶媒として好ましくは水、低級アルコール、1,3−ブチレングリコールであり、より好ましくは水である。溶媒の温度として、好ましくは60〜100℃、より好ましくは75〜100℃が例示される。これらの溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
本発明において、このように溶媒抽出を経て得た抽出物を特に溶媒抽出物と称することができる。更に、本発明を制限するものではないが、前述のように例えば溶媒として水を用いた場合は水抽出物、低級アルコール類を用いた場合は低級アルコール抽出物等と称することができる。
【0015】
得られた抽出物は、そのままの状態で使用してもよく、乾燥させて粉末状や顆粒状等の固形の状態で使用してもよい。また、必要に応じて、得られた抽出物に精製、濃縮処理、高活性画分の分離処理等を施してもよい。本発明を制限するものではないが、精製処理としては、濾過、イオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理が挙げられる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。また、高活性画分の分離処理としては、ゲル濾過、吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC(High performance liquid chromatography)等の公知の分離処理を利用できる。
【0016】
また、例えば、前述のようにして得られた抽出物(またはその乾燥物、精製処理物、濃縮処理物、高活性画分)を、凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、必要に応じて賦形剤を添加して、スプレードライ処理により粉末化する方法等の従来公知の方法に従って粉末化し、本発明で用いる抽出物としてもよい。
【0017】
サラシア属植物の抽出物(以下、「サラシア属植物抽出物」ということがある)として好ましくは、原料となる使用部位を乾燥、破砕及び/または裁断し、好適な溶媒を使用して抽出、濾過して得られる抽出物、また、このようにして得られる抽出物を更に濃縮及び/または乾燥させることにより得られる抽出物が例示される。好ましい一例として、サラシア属植物抽出物は、サラシア属植物100gあたり、より好ましくはサラシア属植物の乾燥物、破砕物及び/または裁断物を100gあたり、抽出溶媒1〜50リットルに浸漬させて、任意の温度(例えば15〜100℃、好ましくは60〜100℃)で、必要に応じて攪拌しながら、任意の時間(例えば1時間〜24時間)抽出し、必要に応じてろ過し、また、必要に応じて乾燥することにより得ることができる。
【0018】
また、本発明において使用する抽出物は市販品でもよく、市販品に対して更に乾燥等の処理を適宜施したものでもよい。
【0019】
このようにして得た抽出物は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
本発明の粉末または顆粒飲料におけるサラシア属植物抽出物の含有量は特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、前記サラシア属植物抽出物は乾燥物換算で、0.1〜10重量%、好ましくは0.4〜6.5重量%が例示される。ここで抽出物の乾燥物は、抽出物を乾燥処理することにより得られる。乾燥処理は、一般的なエバポレーターを用いた減圧濃縮で濃縮し、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等により行うことができる。より詳細な処理手順は後述する実施例に従う。なお、液体と混合した際のサラシア属植物抽出物に由来する有色(赤色)の不溶物の発生をより効果的に抑制する観点から、本発明の粉末または顆粒飲料中、サラシア属植物抽出物は実質的に後述する湿式造粒物の一成分としてのみ含有されることが好ましい。
(B)湿式造粒物
本発明の粉末または顆粒飲料は、サラシア属植物抽出物を含有する溶液をバインダー液として用いて得られる湿式造粒物を含む。本発明の粉末または顆粒飲料は、湿式造粒物のみからなるものであっても良い。
(B)−1.バインダー液
バインダー液として用いる溶液は、サラシア属植物抽出物が含有されている限り制限されず、前記溶媒抽出に使用可能な溶媒とサラシア属植物抽出物とを含む溶液が例示される。また、サラシア属植物抽出物が液状である場合、該抽出物をそのままバインダー液として使用してもよい。バインダー液として、好ましくは、前記溶媒にサラシア属植物抽出物を溶解した溶液が例示される。
【0021】
このような溶媒として、好ましくは水、低級アルコール、1,3−ブチレングリコールが例示され、より好ましくは水が例示される。溶媒の温度として、好ましくは60〜100℃、より好ましくは75〜100℃が例示される。更に、バインダー液に用いられる溶媒として、サラシア属植物抽出物を得る際に使用する抽出溶媒と同じ溶媒を用いることがより好ましく例示される。
【0022】
すなわち、例示すると、サラシア属植物抽出物が水を用いて抽出されたもの(サラシア属植物水抽出物)である場合、バインダー液はサラシア属植物抽出物と水とを混合した水溶液であることが好ましいといえ、更に、サラシア属植物抽出物が水(60〜100℃)を用いて抽出されたもの(サラシア属植物水抽出物)である場合、バインダー液はサラシア属植物抽出物と水(60〜100℃)とを混合した水溶液であることが好ましいとえる。なお、この場合、湿式造粒物を得る造粒工程においてバインダー液として使用する際に、該温度を充足していることが好ましい。
【0023】
本発明の湿式造粒物は、該溶液をバインダー液として用いて造粒原料を造粒することにより製造される。湿式造粒物は、サラシア属植物抽出物を含有する溶液をバインダー液として用いる限り、従来公知の湿式造粒法に従い製造することができ、一例として後述の実施例に記載する方法に従い製造することができる。
【0024】
本発明においては、このように前記溶液をバインダー液として用いた湿式造粒法により前記湿式造粒物が製造される限り制限されないが、該造粒方法として、流動層造粒法、撹拌造粒法(例えば、混練撹拌造粒法等)、押出造粒法、転動造粒法等が例示され、好ましくは流動層造粒法、撹拌造粒法、より好ましくは流動層造粒法が例示される。
【0025】
これらは通常の手順に従い実施されればよく、流動層造粒法による造粒の一例は次の通りである。造粒原料の下方からの熱気流により造粒原料を流動させ、これに前記サラシア属植物抽出物を含有する溶液をバインダー液として噴霧し、造粒原料表面にバインダー液を付着させ、かかる噴霧と乾燥により湿式造粒物を製造する。
【0026】
同様に、撹拌造粒法による造粒の一例は次の通りである。造粒原料を攪拌しながら前記バインダー液を噴霧または投入し、更に混練撹拌する。かかる混練撹拌、更に乾燥により湿式造粒物を製造する。
【0027】
同様に、押出造粒法、転動造粒法等による造粒も制限されず、従来公知の手順に従えばよい。
【0028】
また、前記のようにして得られた本発明の湿式造粒物を用いて、さらに他の成分と造粒を行っても良い。
【0029】
バインダー液として用いる溶液中、サラシア属植物抽出物と溶媒の比率は、特に制限されないが、サラシア属植物抽出物1重量部(乾燥物換算)に対し、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは6〜10重量部の溶媒に溶解することが例示される。
【0030】
また、造粒時に用いられるサラシア属植物抽出物を溶解したバインダー液の量は、本発明の効果が得られる限り制限されず、適宜設定すればよい。このような量として、前記バインダー液を用いて造粒する際の造粒原料1重量部に対して、バインダー液を0.03〜0.6重量部が例示され、より好ましくは0.2〜0.5重量部が例示される。
(B)−2.湿式造粒物に含有することが好ましい成分
本発明の粉末または顆粒飲料は、湿式造粒物において、デキストリン、二酸化珪素、澱粉(小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、米澱粉等)、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、糖アルコール(キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール等)、結晶セルロース、ゼラチン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種(以下、「デキストリン等」ということがある)を含有することが好ましく例示される。
【0031】
本発明の粉末または顆粒飲料において、湿式造粒物がデキストリン等を含有することによって、サラシア属植物の抽出物に由来する有色(赤色)の不溶物の発生をより効果的に抑制でき、飲用後の不溶物の残留をより抑制することができる。この観点から、湿式造粒物に含有されるデキストリン等としてデキストリン、二酸化珪素、澱粉がより好ましく例示される。
【0032】
本発明の粉末または顆粒飲料がデキストリン等を含有する場合、デキストリン等の比率は特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、サラシア属植物抽出物(乾燥物換算)1重量部に対して、デキストリン等を総量で10〜250重量部、好ましくは10〜75重量部となるように含有することが例示される。
【0033】
また、本発明の粉末または顆粒飲料がデキストリン等を含有する場合、デキストリン等の含有量は特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、デキストリン等の総量で1.5〜99.5重量%、好ましくは10〜99.5重量%が例示される。
(C)アミノ酸/カテキン類
本発明の粉末または顆粒飲料において、アミノ酸及び/またはカテキン類を含有することが好ましく例示される。アミノ酸及び/またはカテキン類は、前述の湿式造粒物中に含まれていても良く、それ以外に含まれても良く、またその両方に含まれていても良い。
【0034】
本発明の粉末または顆粒飲料において、アミノ酸及び/またはカテキン類を含有する場合、サラシア属植物抽出物が有する渋み、収斂味といった不快味をマスキングすることができ、飲料としての味を向上させることができる。特にお茶飲料とした場合の風味を一層向上させることができる。アミノ酸及びカテキン類を含有するとこの観点で特に好ましい効果が得られる。
(C)−1.アミノ酸
本発明においてアミノ酸は、通常アミノ酸として流通しているものを使用することができ、テアニン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、バリン、イソロイシン、ロイシン等が例示され、好ましくはテアニン、アラニン、グリシンが例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
本発明の粉末または顆粒飲料がアミノ酸を含有する場合、アミノ酸の比率としては特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、サラシア属植物抽出物(乾燥物換算)1重量部に対して、アミノ酸を0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部となるように含有することが例示される。
【0036】
また、本発明の粉末または顆粒飲料がアミノ酸を含有する場合、アミノ酸の含有量も特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、0.2〜40重量%、好ましくは0.4〜40重量%が例示される。
(C)−2.カテキン類
本発明においてカテキン類は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類やエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類の総称であり、これらは茶葉、カカオ等に含まれることが知られている。本発明においてカテキン類の由来は制限されず、茶葉等から得られる抽出物に含まれているものであってもよい。
【0037】
一例として、カテキン類はカメリア(Camellia)属植物、特にチャノキ(C. sinensis var. sinensis、C. sinensis var. assamica等)、やぶきた、べにふうき等の種々の茶葉に含まれていることが知られており、また、緑茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶のいずれから得られるものであってもよく、これらから得られる抽出物に含まれているものであってもよい。
【0038】
カテキン類やこれを含む抽出物等は商業的に入手することも可能である。従って、カテキン類として、これらの市販品を用いてもよい。
【0039】
本発明の粉末または顆粒飲料がカテキン類を含有する場合、その比率は特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、サラシア属植物抽出物(乾燥物換算)1重量部に対して、カテキン類を0.25〜2.5重量部、好ましくは0.5〜2.5重量部が例示される。
【0040】
また、本発明の粉末または顆粒飲料がカテキン類を含有する場合、その含有量も特に制限されないが、粉末または顆粒飲料中、0.1〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%が例示される。
(D)その他の成分
本発明の粉末または顆粒飲料は、前述の成分の他に、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて更に可食性の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えばブルーベリー、ラズベリー、クランベリー、ゴジベリー、マキベリー、リンゴ、ビワ、ブドウ、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモ、ヤマモモ、カシス、イチョウバ等の植物または抽出物(濃縮、粉末化したものを含む);ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6(ビリドキシン塩酸塩)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、リコペン等のビタミン類;カルシウム、イオウ、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄等のミネラル類;大豆タンパク、卵白粉末、乳清タンパク等のタンパク質;ショ糖、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムK、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖)等の甘味料;リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸等の脂肪酸類;アガリクス、シイタケ、レイシ、ヤマブシタケ等のキノコ類またはその抽出物;食物繊維、ローヤルゼリー、プロポリス、ハチミツ、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、セラミド、ヒアルロン酸、大豆イソフラボン、エクオール、カロテン類(αカロテン、βカロテン、γカロテン、σカロテン、リコペン)、キサントフィル類(ルテイン、ゼアキサンチン、フコキサンチン)、アントシアニン、タンニン、ゲニポシド酸、クルクミン等のその他機能性素材等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本発明の粉末または顆粒飲料におけるこれらの含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜決定すればよい。
(E)剤型・用途
本発明において粉末または顆粒飲料とは、液体に溶解または分散させて飲用されるものである粉末または顆粒をいい、好ましくは用時調製して飲用される粉末または顆粒をいう。このような粉末または顆粒飲料は、お茶、清涼飲料水、乳清飲料、コーヒー、ココア等としての利用が例示される。粉末または顆粒飲料が溶解または分散される液体としては制限されず、水(冷水、微温湯、温湯、熱湯を含む)が好ましい。粉末または顆粒飲料と、該液体の混合比率は、特に制限されず適宜決定されればよいが、粉末または顆粒飲料1重量部に対して、液体15〜600重量部が例示される。
【0042】
本発明の粉末または顆粒飲料によれば、サラシア属植物抽出物を液体に溶解または分散させた際の、該抽出物に由来する有色(赤色)の不溶物の発生を抑制し、飲用後の不溶物の残留を抑制することができる。これにより、外観に優れ、サラシア属植物抽出物に由来する成分を効率よく摂取できる、サラシア属植物抽出物を含有する飲料を提供することができる。
2.サラシア属植物抽出物を含有する湿式造粒物を含む粉末または顆粒飲料の製造方法
本発明は、サラシア属植物抽出物を含有する溶液をバインダー液として用いて湿式造粒物を得る工程を有する、サラシア属植物抽出物を含有する湿式造粒物を含む粉末または顆粒飲料の製造方法を提供するともいえる。
【0043】
該方法において、サラシア属植物抽出物、該抽出物を含有する溶液、湿式造粒物、粉末または顆粒飲料等は前述の通りである。
【0044】
該方法によって、粉末または顆粒飲料を液体に溶解または分散させた際の、サラシア属植物抽出物に由来する有色(赤色)の不溶物の発生を抑制し、飲用後の不溶物の残留を抑制することができる。これにより、外観に優れ、該抽出物に由来する成分を効率よく摂取できる、サラシア属植物抽出物を含有する飲料を提供することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
試験例
1.粉末飲料の製造
後述の表4及び5に示す組成の粉末飲料を製造した。具体的には、サラシア キネンシス(Salacia chinnensis) の茎を約7mm角に粉砕した。次いで、抽出カラム(製造元:八州化工機株式会社)を用いて真空条件化で熱水(90℃)にて抽出した。得られた水抽出液を減圧濃縮し、熱殺菌を行った。ついで噴霧乾燥し、60メッシュにて篩過し、サラシア属植物抽出物(乾燥物)を得た。
【0046】
得られたサラシア属植物抽出物(乾燥物)1重量部に対し、6重量部の水(80℃)を加えて攪拌して溶解し、溶液(以下、「サラシア属植物抽出物含有溶液」ということがある)を得た。表4及び5に示す、サラシア属植物抽出物以外の各成分の混合物に風を送り込んで巻き上げ、そこに前述の得られたサラシア属植物抽出物含有溶液の全量をスプレー方式で噴霧し、粒状物を形成する方法で造粒し、95℃の熱風で20分間乾燥させた(流動層造粒)。このようにして、表4及び5に示す顆粒状のサラシア属植物抽出物の湿式造粒物を得た(実施例1〜14)。該造粒時、サラシア属植物抽出物以外の各成分の混合物(造粒原料)1重量部に対して、サラシア属植物抽出物含有溶液(バインダー液)を0.28〜0.47重量部となるように使用した。
【0047】
比較例として、前述のようにして得られたサラシア属植物抽出物(乾燥物)とデキストリンとの混合物に風を送り込んで巻き上げ、そこに水(80℃)をスプレー方式で噴霧し、粒状物を形成する方法で造粒し、95℃の熱風で20分間乾燥させた(流動層造粒)。このようにして、表4に示す顆粒状のサラシア属植物抽出物の湿式造粒物を得た(比較例)。
2.飲料の製造
得られた湿式造粒物2500mgを顆粒飲料とし、これに水(常温)180mLを加えて10秒間攪拌し、飲料を製造した。得られた飲料について外観及び味を評価した。
【0048】
具体的には、外観については次の表1の通り、有色(赤色)の粒状物の発生の有無に基づいて評価した。
【0049】
【表1】
【0050】
味については、食品専門のパネラー5名により、茶飲料としての味(渋み、収斂味、うま味等を総合したお茶らしさ)を次の表2に基づいて点数化し、その合計値に従って表3に基づいて評価した。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
3.結果
結果を表4及び5に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
表4及び5に示したとおり、サラシア属植物抽出物含有溶液を用いた場合、つまりサラシア属植物抽出物を溶解したバインダー液を用いて湿式造粒を行って顆粒飲料を製造した場合、水を加えて攪拌して得られた飲料には有色(赤色)の粒状物が発生せず、外観に優れる飲料となった(実施例1〜14)。一方、サラシア属植物抽出物含有溶液を用いなかった場合、つまりサラシア属植物抽出物をバインダー液に溶解せずに湿式造粒を行って顆粒飲料を製造した場合には、同様にして得た飲料には有色(赤色)の粒状物が発生し、外観に劣る飲料となった(比較例)。
【0057】
また、更にアミノ酸やカテキン類を添加した場合に、茶飲料として一層優れた味となり(実施例10〜12)、アミノ酸とカテキン類両方を含む場合には茶飲料として特に優れた味となることが分かった(実施例5〜9、13及び14)。
【0058】
処方例
処方例を表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6の処方例1〜7に示す粉末または顆粒飲料は、サラシア属植物抽出物を6倍量の水(80℃)に溶解し、サラシア属植物抽出物含有溶液をバインダー液として用いて製造される。
【0061】
処方例2〜4、6及び7は、表に従いサラシア属植物抽出物以外の原料の混合物に風を送り込んで巻き上げ、そこにサラシア属植物含有溶液全量をスプレー方式で噴霧し、粒状物を形成する方法で造粒し、95℃の熱風で20分間乾燥させて製造し、湿式造粒物を得る。
【0062】
処方例1は、デキストリン、テアニン、カテキン類70%含有緑茶抽出物の混合物に対して、サラシア属植物抽出物含有溶液全量を加えて、前述と同じ手順で湿式造粒物を得る。その後、ビタミンC、ビタミンB2、アスパルテームを加えて混合する。
【0063】
処方例5は、デキストリン全量の20%に対して、サラシア属植物抽出物含有溶液全量を加えて前述と同じ手順で湿式造粒物を得る。その後、残りのデキストリン、テアニン、カテキン類70%含有緑茶抽出物を加えて混合して混合する。
【0064】
これらの粉末または顆粒飲料においても、これを液体に溶解等した際の液体中における、サラシア属植物抽出物に由来する有色(赤色)の不溶物の発生を抑制できる。