【実施例】
【0030】
図1は、本発明が適用される自動分析装置の原理的な全体構成概略図である。
図1において、反応ディスク104の円周上に反応容器112が複数個設置されている。
【0031】
また、試薬ディスク103の円周上には種々の試薬が入った試薬容器113が複数個設置され、試薬容器113の種類を識別するための試薬用バーコードリーダ118が配置されている。
【0032】
また、反応ディスク104の周囲には、試料分注機構105、撹拌機構106、反応容器洗浄機構108、分光器107が、各々配置されている。反応ディスク104と試薬ディスク103との間には、試薬分注機構109が配置されている。また、試料分注機構105の回転円周上で且つ反応ディスク104の接線方向に沿って、搬送ライン101が設置されており、その搬送ライン101に沿って、ラック用バーコードリーダ116及び検体用バーコードリーダ117が配置されている。そして、これらの機構動作は全て、制御部115により制御されている。
【0033】
試薬容器113は、試薬ディスク103の中に複数個設置されるが、試薬ディスク103上での設置位置情報としてポジション番号が割り付けられている。試薬用バーコードリーダ118によって、試薬容器113に貼付けされた試薬用バーコードラベルに書かれたバーコードを読み取り、各試薬に割り付けられたバーコード情報を識別し、ポジションの情報と共に以降の制御に用いる。
【0034】
試料を入れた試料容器110は検体ラック111の中に複数個設置される。検体ラック111に設置された複数個の試料容器110の、検体ラック111上での各々の設置位置情報として、搬送ライン101に沿って検体ラック111の進行方向先頭から順に、試料容器110の設置される位置に、ポジション番号を割り付ける。
【0035】
検体ラック111には各々ラック番号が割り付けられており、搬送ライン101上を運ばれていく途中、ラック用バーコードリーダ116によってこのラック番号が読み取られる。その後、引き続き、検体用バーコードリーダ117によって、各試料容器110に貼付された検体用バーコードラベルに書かれたバーコードを読み取り、各試料容器110に割り付けられたバーコード情報を識別する。その後、検体ラック111上に保持された第一番目の試料容器110が試料分注機構105の真下まで移動する。
【0036】
制御部115には、ハンディバーコードリーダ119と、操作者が指令等を入力するキーボード120と、分析結果や読み取られたID等を記憶するメモリ121と、表示装置122が接続されている。
【0037】
なお、試薬用バーコードリーダ118、ラック用バーコードリーダ116、及び検体用バーコードリーダ117によって読み取られた情報は、全て制御部115に送られる。
【0038】
試料分注機構105は、各バーコードリーダ116〜119、又はキーボード120から入力された情報に基づき、試料容器110の中に入った試料を所定量だけ反応容器112の中に分注する。一つの試料容器110に対して分注が終了したら、その次の試料容器110が試料分注機構105のプローブの真下の位置に来るように検体ラック111が移動する。
【0039】
試料が分注された反応容器112は、反応ディスク104上を回転移動する。その間に、反応容器112の中の試料に対し、各バーコードリーダ等により得られた情報に基づき試薬を所定量だけ分注する。その後、撹拌機構106による反応液の撹拌,分光器107による吸光度の測定が行われる。その後、洗浄装置(図示せず)によって分析の終了した反応容器112が洗浄される。
【0040】
測定された吸光度信号は、制御部115に入る。この吸光度信号は、試薬用バーコードリーダ118により得られた情報に基づき吸光度信号から作成した検量線により、試料中の測定対象成分の濃度データに変換される(試料の分析が行われる)。
【0041】
図1に示した、試料分注機構105、試薬ディスク103、反応ディスク104、分光器107、試薬分注機構109等により検体(試料)を分析する分析部が構成される。
【0042】
次に、上述した、本発明が解決しようとする課題を解消するための要部について説明する。
【0043】
まず、ハンディバーコードリーダ119の設定について説明する。
【0044】
各コード種類のチェックデジットは無しに設定する。これにより、チェックデジットが含まれるバーコードでは、チェックデジットは通常の情報として送信される。読み取るデータの桁数は4桁〜28桁とする。また、コード種類の情報を付与する機能をONとする。
【0045】
次に、制御部115に新設する機能について説明する。
【0046】
上述したマニュアル登録の手段は、キーボード120とハンディバーコードリーダ119との2種類が存在する。HID情報による識別や、ハンディバーコードリーダ119で特殊文字を付与することでの識別制御にて、入力手段を識別するための入力源識別機能を制御部115に持たせる。
【0047】
また、マニュアル登録情報にて桁数を認識して4〜22桁であれば検体用バーコード、28桁であれば試薬用バーコードと1次判定するID識別機能(桁数判定機能)を制御部115に持たせる。
【0048】
また、入力データの最終桁以外のデータを用いてチェックデジットの計算を行い、最終桁との照合を行うチェックデジット照合機能を制御部115に持たせる。
【0049】
また、ID識別機能により検体用バーコードと判定された場合に付与されるコードの種類を識別するコード種類識別機能を制御部115に持たせる。
【0050】
また、顧客運用における検体IDのチェックデジット有無を判定するために、自動分析装置の据付時に設定される自動分析装置内の検体用バーコードリーダ117の設定情報に基づいて判定するチェックデジット有無判定機能を制御部115に持たせる。
【0051】
上記の各機能による判定結果より、入力データの処理を行う。
【0052】
まず、試薬用バーコードをUSBキーボード120で読み取った場合の処理の例を以下に説明する。
図2は、本発明の一実施例における入力データ判定の一例を示す表であり、この表の内容はメモリ121にテーブルとして格納されている。試薬用バーコードをUSBキーボード120で読み取った場合の処理は、
図2のNo.1およびNo.2に相当する。
【0053】
図2において、試薬用バーコードであるから、入力データは28桁となるため、ID識別機能により試薬IDであると判定される。次に、メモリ121に記憶されたキーボード120のUSBデバイス登録情報にて、制御部115は入力源をキーボード120と判定する。入力源がキーボード120と判定された場合、コード種類識別機能とチェックデジット有無判定機能での判定は実施しない。試薬の場合は、使用されるコードはITFのみであり、チェックデジットを必ず有しているからである。
【0054】
次に、チェックデジット照合機能で一致と判定された場合、試薬IDとしてメモリ121に登録を行う(No.1)。チェックデジット照合機能で不一致だった場合は、入力誤り等が想定されるため、最終処理は入力エラーとし、再確認と再入力を促す旨を表示装置122に表示する(No.2)。
【0055】
次に、試薬用バーコードをハンディバーコードリーダ119で読み取った場合の処理の例を以下に説明する。処理は
図2のNo.3およびNo.4に相当する。
【0056】
図2において、試薬であるから、入力データは28桁であり、ID識別機能により試薬IDであると判定される。次に、USBデバイス登録情報や特殊文字の存在にて、制御部115は入力源をハンディバーコードリーダ119と判定する。本例の運用上では検体IDで28桁が存在しないためコード種類識別機能での判定は行わない。また、チェックデジット有無判定機能での判定は実施しない。チェックデジット照合機能で一致と判定された場合、試薬IDとしてメモリ121に登録を行う(No.3)。チェックデジット照合機能で不一致だった場合は、低品質での印字や異物での誤読が想定されるため、最終処理は読み取りエラーとし、再読み取りを促すことを表示装置122に表示する(No.4)。
【0057】
次に、検体用バーコードをUSBキーボード120で読み取った場合の処理の例を以下に説明する。処理は
図2のNo.5に相当する。
【0058】
検体の場合であるから、入力データは4桁〜22桁となり、ID識別機能により検体IDであると判定される。次にキーボードのUSBデバイス登録情報にて、制御部は入力源をキーボード120と判定する。入力源がキーボード120と判定された場合、チェックデジットは入力されないので、コード種類識別機能とチェックデジット有無判定機能およびチェックデジット照合機能での判定は実施せず、入力データをそのまま検体IDとしてメモリ121に登録する(No.5)。
【0059】
次に、検体用バーコードをハンディバーコードリーダ119で読み取った場合の処理の例を以下に説明する。処理は
図2のNo.6およびNo.7、8に相当する。
【0060】
検体の場合であるから、入力データは4桁〜22桁となり、ID識別機能により検体IDであると判定される。次に、USBデバイス登録情報や特殊文字の存在にて、制御部115は入力源をハンディバーコードリーダ119と判定する。
【0061】
コード種類識別機能での判定結果がITFだった場合で、チェックデジット有無判定機能での判定結果が「有」の場合、チェックデジット照合機能での判定を行う。一致していた場合、最終桁をチェックデジットと扱い、チェックデジットを除いた部分を検体IDとしてメモリ121に登録する(No.6)。不一致だった場合は、低品質での印字や異物での誤読が想定されるため、最終処理は読み取りエラーとし、再読み取りを促す旨を表示装置(表示部)122に表示する(No.7)。
【0062】
このとき、コード種類識別機能での判定結果がITFだった場合で、チェックデジット有無判定機能での判定結果が「無」の場合、チェックデジット照合機能での判定は行わず、入力データをそのまま検体IDとしてメモリ121に登録する(No.8)。
【0063】
上記にて検体IDがITFの例を示したが、コード種類がNW−7とCODE39などのチェックデジット有無を選択できるコード種類の場合は、ITFの例と同様の処理で対応が可能である。このうち、NW−7についてはチェックデジットの種類が複数存在するが、これも顧客運用によるものであり自動分析装置の据付時の設定作業にて自動分析装置内のバーコードリーダに対して設定が行われるため、チェックデジット種類を区別したうえでチェックデジット照合を行う制御とする。
【0064】
一方、CODE128、JANなどチェックデジット有のみしかないコード種類の場合、読み取りデータをそのまま検体IDとしてメモリ121に登録する。
【0065】
図3は、本発明の一実施例におけるハンディバーコードリーダ119のバーコード読み取り又はキーボード120からの入力判定動作を行う制御部115の動作機能ブロック図である。
【0066】
図3において、制御部115は、桁数判定部1151と、入力源判定部1152と、コード種類識別部1153と、チェックデジット有無判定部1154と、チェックデジット照合部1155とを備えている。
【0067】
また、
図4は、本発明の一実施例におけるハンディバーコードリーダ119のバーコード読み取り又はキーボード120からの入力判定動作フローチャートである。
【0068】
図4において、桁数判定部1151は、キーボード120又はハンディバーコードリーダ119から入力されたバーコードの桁数を判定し(ステップS1)、28桁であれば、試薬であるので、ステップS5に進み、チェックデジット照合部1155がチェクデジットを照合する(ステップS5)。ステップS5において、チェックデジットが一致すれば、メモリ121に入力データを登録し(ステップS7)、チェックデジットが不一致であれば、再入力(再読み取り)を促す旨を表示装置(表示部)122に表示する(ステップS6)。
【0069】
ステップS1において、桁数が4〜22桁であれば、ステップS2に進み、入力源判定部1152が入力源はキーボード120かハンディバーコードリーダ119かを判定する。入力源がキーボード120の場合は、メモリ121に入力データを登録する(ステップS7)。
【0070】
ステップS2において、入力源がハンディバーコードリーダ119であれば、ステップS3に進み、コード種類識別部1153によりコードの種類が識別される。
【0071】
次に、チェックデジット有無判定部1154により、チェックデジットの有無及びチェックデジットの照合を行わないコードであるか否かが判定され(ステップS4)、チェックデジットが無い場合及びチェックデジットの照合を行わないコードの場合は、メモリ121に入力データを登録する(ステップS7)。
【0072】
ステップS4において、チェックデジットがある場合と、チェックデジットの照合を行わないコードではない場合は、ステップS5に進み、上述と同様な処理が実行される。
【0073】
以上のように、本発明によれば、バーコードデータがキーボード120から入力されたか、ハンディバーコードリーダ119から入力されたか、試薬用バーコードか、検体用バーコードか、コード種別は何かによりチェックデジットを照合するか否かを判定し、照合しない場合は、入力データをそのままIDとしてメモリ121に登録するように構成したので、1台のハンディバーコードリーダで検体用バーコード及び試薬用バーコード等の複数の情報を適切に読み取り、判定可能であり、操作性が向上し、操作者の労力を低減可能な自動分析装置を実現することができる。
【0074】
なお、洗剤等の消耗品の管理にてバーコードが追加になった場合は、各識別機能において、IDの特徴を利用した判定を行うことで、バーコードリーダ119の追加や、読取の都度の設定変更を伴わずに入力が可能となる。
【0075】
また、上述した例においては、チェックデジットを用いてデータの照合を行った結果、一致しない場合は、再入力を促す旨を表示するように構成したが、一致しない場合は、何も表示しない態様も本発明に含まれるものである。