(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種類の粘着付与樹脂が、全体もしくは一部が水素化された炭化水素樹脂および/またはコロホニー樹脂もしくはトール樹脂ベースの少なくとも1種類の天然樹脂あるいはそのペンタエリスリトールもしくはグリセロールとのエステルを含む樹脂または樹脂混合物であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0008】
したがって、第1の態様において、本発明は、総重量に対して:
a)5〜40重量%、特に10〜20重量%の、>95℃の融点を有する少なくとも1種類のフィッシャー-トロプシュワックス;
b)30〜70重量%、特に40〜65重量%の、>95℃の軟化点および≦1000かつ≧300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
c)0〜65重量%、特に20〜40重量%の、>85℃の軟化点および>1000 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
d)0〜40重量%の、>115℃の軟化点および<300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
e)0〜60重量%の、b)〜d)と異なるM
n<140,000 g/molの分子量を有する少なくとも1種類のポリオレフィン、特にメタロセン触媒型ポリオレフィン;ならびに
f)0〜20重量%の、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、他のポリマーまたはその組合せから選択される添加剤および補助物質
を含むポリマー組成物に関する。
【0009】
さらなる一態様において、本発明は:
(1)65〜140℃の軟化点を有し、少なくとも1種類のポリオレフィンと少なくとも1種類の粘着付与樹脂を含有するホットメルト接着剤で作製されたコア;および
(2)該コアを本質的に完全に被覆し、好ましくは20℃〜60℃の温度で非粘着性である、本発明によるポリマー組成物で作製されたフィルム
を含んでなる、ペレットの形態のホットメルト接着剤に関する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、例えばフィルムの形態の基材を不織布に接着接合するためのコンタクト型接着剤としての本明細書に記載のホットメルト接着剤ペレットの使用、および本明細書に記載の1個以上のホットメルト接着剤ペレットを、搬送デバイス、特に真空搬送デバイスによって溶融デバイスに供給することを含む、溶融デバイスにホットメルト接着剤を送り込むための方法に関する。
【0011】
特に記載のない限り、本文中に示した分子量は数平均分子量(M
n)を示す。特に記載のない限り、記載の分子量はすべて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得られ得る値を示す。ポリスチレンを参照として使用している。
【0012】
“at least one(少なくとも1)”は、本明細書で用いる場合、1以上、すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を意味する。成分に関して、この表示は、成分の型(タイプ)を言っているのであって、分子の絶対数を言っているのではない。したがって、“at least one polymer(少なくとも1つのポリマー)”は、例えば少なくとも1つの型のポリマーを意味している;すなわち、1つの型のポリマーを使用しても複数種の異なるポリマーの混合物を使用してもよい。重量表示と一緒の場合、この記載は、組成物/混合物中に含有されている記載の型のすべての化合物をいう;すなわち、組成物中には、記載の量の当該化合物以外にこの型のさらなる化合物は含有されていない。
【0013】
本発明によれば、用語「本質的に」は、言及されている具体的な値の97%、好ましくは98%、より好ましくは99%、最も好ましくは100%に相当する。例えば、「本質的に完全に被覆されている」とは、粘着性のホットメルト接着剤で作製されたコアの少なくとも97%が本発明のポリマー組成物のフィルムによって被覆されていることを意味していると理解されたい。
【0014】
そうでないことを明示していない限り、本明細書に記載の組成物に関して用いている記載のパーセンテージはすべて、各場合において対象の混合物に対する重量%をいう。
【0015】
「およそ」は、数値に関して本明細書で用いる場合、該数値±10%、好ましくは±5%をいう。
【0016】
融点は、本明細書で用いる場合、ISO 11357-3:2011による示差走査熱量測定(DSC)によって測定され得る。特に記載のない限り、本明細書に記載の値は、この方法を用いて測定される値をいう。
【0017】
軟化点は、本明細書で用いる場合、ISO 4625-1:2004による環球法によって測定され得る。特に記載のない限り、本明細書に記載の値は、この方法を用いて測定される値をいう。
【0018】
メルトフローインデックス(MFI)は、本明細書で用いる場合、DIN EN ISO 1133またはASTM D1238による方法によって、230℃の試験温度および2.16 kgの試験荷重で測定され得る。特に記載のない限り、本明細書に記載の値は、この方法を用いて測定される値をいう。
【0019】
用語「ペレット」は、本明細書で用いる場合、対称または非対称の形状および15 gまで、好ましくは10 gまで、より好ましくは5 gまでの重量を有するホットメルト接着剤の小塊を包含する。ペレットの最大サイズは、あらゆる方向において、好ましくは最大伸長状態で25 mm、好ましくは20 mmまで、および最小伸長の方向で少なくとも1 mm、好ましくは3 mmである。ペレットの形状は製造プロセスに応じてさまざまであり得る。したがって、ペレットは、ピロー-形状(例えば、およそ15 mm×5 mm×5 mmの寸法を有する)、ほぼ球状、例えばボール形状(任意で10〜20 mmの直径を有する)、または円筒状(例えば、25 mmの長さおよび2〜10 mmの直径を有する)であり得る。形状は一様でなくてもよく、そのため、球状形状は、例えば圧縮されていても伸長していてもよい。ペレットは、異なる形状を有するペレットの混合物であってもよい;しかしながら、すべてがほぼ同じ形状を有していることが好ましい。典型的には、ペレットは小さい方がより良好な流動特性を有する。
【0020】
本発明によるポリマー組成物およびホットメルト接着剤ペレットは表面が非粘着性である。これに関して、本発明によれば「非粘着性」は、20〜60℃の温度で「自由流動性」であることと定義する。「自由流動性」とは、記載の温度(20から60℃まで)でかなり大量のホットメルト接着剤ペレットまたはポリマー組成物(ペレットと同様)が、重力の影響下で10 cmの直径および50 cmの長さを有する垂直な管内を流動し、固着、凝集または該管の詰まりが観察されないことを意味する。この特性は、高温で長期間の保存後であっても保持されているのがよい。これは以下のとおりに試験される:10 cmの直径を有する金属またはプラスチック製の管に10 cmの高さまでペレット(好ましくは各場合において15 mm×5 mm×5 mmの量のもの)を充填する。次いで、重量が500 gのプレートをペレット上に置き、この試験デバイスを炉内で60℃または20℃にて7日間維持する。この期間後、ペレットを、必要であれば20℃まで冷却し、その流動特性について上記の方法(10 cmの直径および50 cmの長さを有する垂直な管内に注入)を用いて試験する。
【0021】
本発明のフィルム形成性の非粘着性ポリマー組成物は、本明細書において「カバー材料」、「フィルム形成性ポリマー組成物」または「フィルム形成性組成物」とも称し、95℃より高い融点を有するフィッシャー-トロプシュワックスである少なくとも1種類のワックスを含有する。フィッシャー-トロプシュワックスは、本明細書で用いる場合、炭化水素で構成されており、フィッシャー-トロプシュ法を用いて作製される合成ワックスである。種々の実施形態において、ワックスは合成パラフィンである。このワックスは、鉱油に由来する製品とは対照的に、主に非分枝のn-アルカンで構成されている。
【0022】
ワックスは、ポリマー組成物中に5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%、特に好ましくは13〜17重量%、より好ましくはおよそ15重量%(各場合において該組成物の総重量に対して)の量で使用される。
【0023】
さらに、このフィルム形成性組成物は、メタロセン触媒型重合によって得られ得る少なくとも1種類のポリオレフィンを含有する。該ポリオレフィンの作製に使用されるモノマーは特にプロピレンである;すなわち、種々の実施形態におけるポリオレフィンはポリプロピレンである。しかしながら、択一的に、エチレンまたはエチレンもしくはプロピレンと共重合性である既知のC
4〜C
20オレフィンモノマーもまた使用され得る。該共重合性モノマーは特に、線状または分枝状のC
4〜C
20 オレフィン(α-オレフィンとも称される)、例えばブテン、ヘキセン、メチルペンテン、オクテン;環状の不飽和化合物、例えばノルボルネンまたはノルボルナジエン;対称または非対称に置換されたエチレン誘導体、この場合、C
1〜C
12アルキル官能基が置換基として好適である;および任意で不飽和カルボン酸またはカルボン酸無水物である。一般に、本発明に従って使用されるポリオレフィンはホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであり得、また、これらはさらなるモノマーを含有するものであってもよい。しかしながら、ホモポリマー、特にポリプロピレンホモポリマーが好ましい。
【0024】
カバー材料に使用される該ポリオレフィンの重要な特性の1つは粘度である。溶融可能な化合物は溶融物として使用されるため、粘度は、MFIとして測定されたものを記載する。本発明に従って使用されるポリオレフィンは、>95℃の軟化点(ISO 4625)および300〜1000 g/10分のMFI(230℃の温度および2.16 kgの試験荷重でISO 1133に従って測定)を有する。好ましい実施形態では、MFIは350〜1000 g/10分または400〜1000 g/10分である。このポリオレフィンの分子量は典型的には100,000 g/mol未満、特に90,000 g/mol未満、非常に特に好ましくは80,000 g/mol未満である。下限は50,000 g/molである(数平均分子量,GPCによって測定可能な場合)。このようなポリマーは狭い分子量分布を有することを特徴とする。かかるポリマーは文献において知られており、種々の製造業者から市販されている。好適なポリマーの一例は、例えば商標名L-ModuTM S600(出光興産株式会
社)で入手可能である。このポリオレフィンは350のMFI、70,000 g/molの分子量および100℃の軟化点を有する。
【0025】
ポリマー組成物の>95℃の軟化点を有するポリオレフィンは、30〜70重量%、好ましくは40〜65重量%、より好ましくは55〜65重量%の量で使用される。
【0026】
上記のポリオレフィンに加えて、メタロセン触媒作用によって得られ得るさらなるポリオレフィンが使用され得る。「メタロセン触媒作用」または「メタロセン触媒型重合」は、本明細書において互換的に用いており、触媒として使用されるメタロセンに触媒されるオレフィンの重合をいう。例えば、高度にアイソタクチックなポリプロピレンがこの様式で作製され得る。
【0027】
好ましい実施形態では、上記のポリオレフィンに加えて、例えば、メタロセン触媒作用によって得られ得、>85℃の軟化点および>1000 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有するポリオレフィンを使用することが可能である。このポリオレフィンは上記に規定したとおりのものであり得るが、好ましくはポリプロピレンである。このポリオレフィンの分子量は典型的には50,000 g/mol未満である(数平均分子量,GPCによって測定可能な場合)。このポリオレフィンは、好ましくは0〜65重量%、より好ましくは20〜40重量%、特に好ましくは22〜27重量%、最も好ましくはおよそ25重量%(各場合において、ポリマー組成物に対して)の量で使用される。好適なポリマーの一例は、例えば商標名L-ModuTM S400(出光興産株式会
社)で入手可能である。このポリオレフィンはおよそ2000のMFI、45,000 g/molの分子量および90℃の軟化点を有する。
【0028】
好ましい実施形態では、上記のポリオレフィン(1種類または複数種)に加えて、例えば、メタロセン触媒作用によって得られ得、>115℃の軟化点および>300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有するポリオレフィンを使用することが可能である。このポリオレフィンは上記に規定したとおりのものであり得るが、好ましくはポリプロピレンである。このポリオレフィンの分子量は典型的には100,000 g/molより大きいが200,000 g/mol未満である(数平均分子量,GPCによって測定可能な場合)。このポリオレフィンはポリマー組成物に対して好ましくは0〜40重量%の量で使用される。好適なポリマーの一例は、例えば商標名L-ModuTM S901(出光興産株式会
社)で入手可能である。このポリオレフィンはおよそ50のMFI、120,000 g/molの分子量および120℃の軟化点を有する。
【0029】
該フィルム形成性ポリマー組成物中に含有され得るさらなるポリマーとしては、M
n<140,000 g/molの分子量を有するさらなるポリオレフィン、例えば少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィンが挙げられ得る。このポリマーはカバー材料中に、該カバー材料の総重量に対して0〜60重量%の量で含有され得る。
【0030】
また、本発明によるカバー材料として使用されるフィルム形成性組成物には、0〜20重量%のそれ自体は先行技術において既知の添加剤および助剤も含有され得る。かかる添加剤および補助物質は特に、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、他のポリマーまたはその組合せから選択される。
【0031】
好適な可塑剤は後述し、特に炭化水素油、例えばパラフィン油、ナフテン系油および/または鉱油ならびにポリ(イソ)ブチレンが挙げられる。可塑剤は、ホットメルト接着剤ペレットの溶融時および使用時にフィルム形成性ポリマー組成物とホットメルト接着剤コアの均一な混合物が得られることに寄与し得る。
【0032】
種々の実施形態において、フィルム形成性組成物は
a)10〜20重量%、特に13〜17重量%の、>95℃の融点を有する少なくとも1種類のフィッシャー-トロプシュワックス;
b)40〜65重量%、特に55〜65重量%の、>95℃の軟化点および≦1000かつ≧300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
c)20〜40重量%、特に22〜27重量%の、>85℃の軟化点および>1000 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;ならびに
d)0〜2重量%、特に0.5重量%の酸化防止剤
を含有する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、フィルム形成性材料は<130℃の融点を有する。
【0034】
コア材料を以下にさらに詳細に記載する。
【0035】
本発明のホットメルト接着剤のコア材料は、少なくとも1種類の熱可塑性ポリマー、特に少なくとも1種類のポリオレフィンと少なくとも1種類の粘着付与樹脂とを含有する。使用されるポリマーは好ましくは非反応性である。粘着付与樹脂の使用のため、25℃において表面粘着性を有するホットメルト接着剤が得られる。
【0036】
好適なポリマーの例としては、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそのコポリマーならびに非晶質ポリ-α-オレフィン(APAO)が挙げられる。
【0037】
本発明の種々の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物のベースポリマー(コア材料)は、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマーまたはポリオレフィン/α-オレフィン共重合体、ならびに非晶質ポリ-α-オレフィン、例えばアタクチックプロピレンならびにエチレン、ブテン、ヘキサンおよびオクタンとのプロピレンコポリマー、またはエチレンもしくはプロピレンのホモポリマーもしくはコポリマーならびに前述のポリマーの混合物から選択される。
【0038】
上記のポリマーは粘着性のホットメルト接着剤における使用が知られており、異なる組成および分子量で市販されている。この技術分野の当業者により、所望の適用分野に応じて、数ある特性の中でも融点、粘度および密着性に関して好適な熱可塑性ポリマーが容易に選択してよい。
【0039】
記載のポリマーは粘着性のホットメルト接着剤中に、少なくとも1種類の粘着付与樹脂と、また任意で少なくとも1種類の可塑剤とも一緒に配合される。
【0040】
ベースポリマーに粘着付与することが意図される樹脂は一般的に、10〜60重量%、特に20〜60重量%(各場合において、粘着性のホットメルト接着剤組成物に対して、すなわち、本発明によるホットメルト接着剤のコア材料に対して)の量で使用される
【0041】
原則的に、既知の樹脂、例えば、芳香族、脂肪族または脂環式の炭化水素樹脂(各場合において、全体もしくは一部が水素化された形態も同様)ならびに変性または水素化された天然樹脂を使用することが可能である。本発明の範囲内において使用可能な好適な樹脂としては、限定されないが、テルペン樹脂、例えばテルペンのターポリマーまたはコポリマー、コロホニー樹脂またはトール樹脂ベースの天然樹脂、例えばその誘導体、例えばそのペンタエリスロール−またはグリセロールエステル、他の変性天然樹脂、例えば、バルサム樹脂、トール樹脂またはウッドロジン由来の樹脂酸、任意でまた、ヒドロアビエチルアルコールおよびそのエステル、アクリル酸コポリマー、例えばスチレン-アクリル酸コポリマーまたはエチレン、アクリル酸エステルとマレイン酸無水物とのコポリマー、または官能性炭化水素樹脂ベースの樹脂が挙げられる。これらはまた、場合によっては添加剤または補助物質としても使用可能である。
【0042】
該少なくとも1種類の粘着付与樹脂は個々の樹脂または好ましくは樹脂混合物であり得る。
【0043】
種々の実施形態において、該樹脂としては、全体もしくは一部が水素化された炭化水素樹脂および/またはコロホニー樹脂もしくはトール樹脂ベースの少なくとも1種類の天然樹脂あるいはそのペンタエリスロール−もしくはグリセロールエステルが挙げられる。該少なくとも1種類の全体または一部が水素化された炭化水素樹脂としては、特に、芳香族の変性樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール系樹脂、1,3-ペンタジエン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、2-メチル-2-ブテンコポリマーまたは上記の樹脂の誘導体が挙げられ得る。
【0044】
粘着付与樹脂はおよそ80℃〜150℃の軟化点を有することが好ましい(環球法;ISO 4625またはASTM E28-58)。
【0045】
可塑剤は、コアのホットメルト接着剤中に含有され得る別の成分である。このようなものは、鉱油、ポリ(イソ)ブチレン、液状または糊状の水素化炭化水素および低分子量ポリオレフィンから選択され得る。好適な可塑剤としては、限定されないが、薬用ホワイトオイル、ナフテン系鉱油、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、フタレート、アジペート、植物性または動物性油、ならびにその誘導体が挙げられる。水素化された可塑剤は、例えばパラフィン系炭化水素油の群から選択される。ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールならびにポリメチレングリコールもまた好適である。ポリアルキレングリコールまたはポリブチレンオリゴマーの分子量は好ましくは200〜6000 g/molの範囲であるのがよく、ポリオレフィンは、およそ2000 g/molまで、特に1000 g/molまでの分子量を有するのがよい。
【0046】
エステル、例えば、液状ポリエステルおよびグリセロールエステル、例えばグリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、グリセロールトリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエートおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートもまた可塑剤として使用され得る。芳香族ジカルボン酸エステル、例えば、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸のエステルもまた使用され得る。スルホン酸エステルまたは脂肪酸もまた可塑剤として使用可能である。
【0047】
特に、ホワイトオイル、鉱油、ポリ(イソ)ブチレンおよび液状または糊状の水素化炭化水素が好ましい。
【0048】
粘着性のホットメルト接着剤中の可塑剤の量は0〜25重量%、特に5〜20重量%であるのがよい。過度に高率の可塑剤は接着剤の粘着凝集特性の低下をもたらす。
【0049】
また、ワックスも、任意でコアのホットメルト接着剤に0〜20重量%の量で添加され得る。この量は、一方において粘度を所望の範囲まで低下させるが、他方において接着性が悪影響を受けないようなものである。ワックスは天然起源のものであってもよく、また、任意で、化学変性された形態または合成起源のものであってもよい。植物性ワックスおよび動物性ワックスまたはミネラルワックスもしくは石油化学系ワックスが天然ワックスとして使用され得る。硬質ワックス、例えばモンタンエステルワックス、サゾールワックスなどが化学変性ワックスとして使用され得る。ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが合成ワックスとして使用される。石油化学的ワックス、例えばワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよび合成ワックスが好ましく使用される。ASTM D-3954による測定時130〜170℃の滴点を有する、パラフィン系および/またはマイクロクリスタリンワックスおよび/またはその水素化型、特にポリプロピレンワックスまたはポリエチレンワックスが特に好ましい。
【0050】
上記の成分に加えて、本発明によるコアのホットメルト接着剤には、ホットメルト接着剤に典型的に使用されるなおさらなる成分が添加剤として含有され得る。このようなものとしては、例えば、安定剤、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤、顔料またはその組合せが挙げられる。接着剤の特定の特性、例えば粘着凝集性、安定性、密着性または強度に、このようにして影響を及ぼし得る。添加剤および補助物質の量は好ましくは0〜3重量%、典型的には0.1〜2重量%であり得る。特に好ましい添加剤としては、熱および酸化による分解ならびにUV線による分解に対する安定剤が挙げられる。
【0051】
添加剤、例えば安定剤または接着促進剤は当業者に知られている。このようなものは市販品であり、当業者により所望の特性に応じて選択可能である。ポリマー混合物との相溶性が確実であることが重要である。
【0052】
ホットメルト接着剤は、既知の方法を用いて溶融物を混合することにより作製される。すべての成分を同時に供給し、加熱し、次いで均質化してもよく、または最初に溶融し易い成分を供給して混合した後、その他の樹脂成分を添加してもよい。また、ホットメルト接着剤を押出機内で連続的に作製することも可能であり好ましい。好適なホットメルト接着剤は固形であり、不純物以外、本質的に溶剤を含んでいない。
【0053】
コアのホットメルト接着剤は好ましくは65〜140℃、好ましくは130℃まで、特に120℃未満の軟化点(環球,ASTM E 28)を有する。
【0054】
ホットメルト接着剤ペレットを以下に詳細に記載する。
【0055】
種々の実施形態において、フィルム形成性ポリマー組成物は、ホットメルト接着剤コアを本質的に完全にカバーする本質的に連続的なフィルムを形成する。これは、フィルム形成性組成物を適用のためにその溶融温度より上まで加熱し、次いで、これを溶融状態で適用することにより行なわれ得る。適用は好ましくは共押出しによって行なわれる。シェルとコアの2つの材料は、好ましくは、溶融されると安定で均一な混合物が形成されるような様式で相溶性である。本発明の一実施形態では、シェル材料は、コア材料の融点と同じまたはこれより低い融点を有する。
【0056】
フィルム形成性ポリマー組成物は、上記に規定したとおり、好ましくは20℃〜60℃までの温度で非粘着性であり、接着剤コアを環境による影響から保護する、被覆またはフィルムを形成する。ペレット形態の本発明によるホットメルト接着剤の適用時、これを溶融し、シェル材料とコア材料の均一な混合物にする。このプロセスは、混合デバイス、例えばスタティックもしくはダイナミックミキサーまたはポンプによって加速され得る。得られる溶融物は均一なコンタクト型接着剤であり、この液状形態で使用/塗布される。
【0057】
ポリマーフィルムは典型的には、2〜200μm、特に10〜100μmの範囲、非常に特に好ましくはおよそ20μmの厚さを有する。しかしながら、フィルムの厚さはまた、ペレットのサイズにも依存する。したがって、ペレット形態のホットメルト接着剤におけるポリマーフィルムの量は一般的に、該ホットメルト接着剤ペレットの総重量に対して12重量%まで、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%、特に好ましくは5〜7重量%である。
【0058】
上記のように、本発明のペレット形態のホットメルト接着剤は、好ましくは、共押出しによって製造される。共押出しプロセスでは、ホットメルト接着剤またはその成分は混合デバイス内で溶融され、均質化され、続いて、押出機の開口部またはノズルから押し出される。ノズルは、任意の慣用的な形状を有するものであり得るが、典型的には、ポンプ輸送される組成物が通過する細長い開口部または円形の開口部を有する。押出機のノズルは、通常、材料の融点より高い温度、一般的には80〜150℃の範囲の温度に保持される。共押出し中、フィルム形成性ポリマー組成物は押出機のノズルから、同時に、特に、被覆対象のコアを本質的にカバーするような様式で連続的なフィルムとして、したがって本質的にホットメルト接着剤が封入されるように押し出される。かかる共押出しプロセスおよびそれに使用されるデバイスは、先行技術において知られている。
【0059】
好ましい一実施形態では、製造は、ニップローラーを用いて、ホットメルト接着剤とポリマーフィルムが共押出しされる冷却水中でペレットを形成することにより行なわれる。続いて、個々のペレットを遠心乾燥機内で互いに分離する。これは当業者に知られた方法である。
【0060】
冷却後、ペレットは、輸送のために容器、箱または袋にパッケージングされ得る。容器は、大量のペレットの輸送および取扱いも可能であるように機械的に安定な材質で作製され得る。
【0061】
ペレットは好ましくは20℃〜60℃の温度で非粘着性であり、したがって、一体に固着することなく保存および輸送され得る。
【0062】
本明細書に記載のホットメルト接着剤ペレットは、特にコンタクト型接着剤(感圧接着剤(PSA))として適しており、この目的のために使用される。例えば、適用分野は、例えば衛生用品、特におむつの製造におけるフィルム同士の接着接合またはフィルムと他の基材、例えば織布または不織布との接着接合である。したがって、本発明のホットメルト接着剤を用いて接着接合される製品も同様に本発明の一部である。
【0063】
本発明のホットメルト接着剤ペレットの使用時は、これを典型的には、かなり大きな容器内に入れ、第1工程において搬送デバイスに供給し、次いで、該搬送デバイスによってペレットを溶融デバイス内に輸送する。この搬送デバイスはスクリューコンベア、コンベアベルトなどであり得る;しかしながら、ペレットは好ましくは、ガス流、例えば圧縮空気または陰圧(真空)によって輸送される。かかる搬送によって粒子表面間に機械的摩擦がもたらされるため、この場合も同様に、被覆によって搬送デバイス内での固着および凝集が抑制される。したがって、本発明はさらに、複数の本発明によるホットメルト接着剤ペレットを、搬送デバイス、特に真空搬送デバイスによって溶融デバイスに供給することを含む、溶融デバイスにホットメルト接着剤を送り込むための方法に関する。ペレットを溶融デバイス内で溶融させた後、次いで、溶融物を、接着接合が所望される基材に塗布する手段の適当な分注デバイス、例えばスプレーノズルまたはローラーに輸送、典型的にはポンプ輸送する。
【0064】
本明細書に記載のホットメルト接着剤ペレットを、ホットメルト接着剤ペレットのホットメルト接着剤を塗布するための自動化方法において使用してもよい。
【0065】
該ペレットは比較的小さい体積を有するものであり得るため、これらは、例えば搬送デバイス内において簡単な標的化
ポーショニングが可能である。したがって、溶融デバイス内に同時に存在する接着剤の量が低減され得、したがって、接着剤成分の分解をもたらし得る溶融デバイス内での長い溶融時間、過剰投入または長い保持時間が回避され得る。
【0066】
以下の実施例を用いて本発明を説明する;しかしながら、本発明はこの実施例に限定されない。
【実施例】
【0067】
実施例
実施例1:接着剤の配合
組成(単位:重量%)に関して以下の成分を含有するフィルム形成性組成物を製造した:
【表1】
E = 本発明によるもの
合成パラフィンワックス:Sasolwax(登録商標) H1(Sasol)
メタロセン触媒型PP,MFI 2000:L-Modu
TM S400(出光興産株式会
社),軟化点90℃,M
n 45,000
メタロセン触媒型PP,MFI 350:L-Modu
TM S600(出光興産株式会
社),軟化点100℃,M
n 70,000
メタロセン触媒型PP,MFI 50:L-Modu
TM S901(出光興産株式会
社),軟化点120℃,M
n 120,000
【0068】
実施例2:レオロジー試験
続いて、実施例1の本発明による配合物E3(
図1においてDM 2900 + 6%の本発明による保護材と表示)のレオロジー特性を、実施例1の慣用的な配合物(
図1においてDM 2900 + 6%の従来の保護材と表示)のものと比較した。この目的のため、各場合において6重量%のフィルム形成性組成物を市販のホットメルト接着剤(Technomelt(登録商標) DM2900,Henkel AG)に添加し、貯蔵弾性率G’、すなわち、記憶弾性率(弾性率)に対する損失弾性率(粘弾性率)の比を損失率(tan Δ)として測定した。
【0069】
この測定の結果を
図1に示す。結果は、本発明によるフィルム形成性組成物を使用すると、従来より使用されている被覆材料と比べてホットメルト接着剤の加工性の低下がもたらされないことを明白に示す。特に、このホットメルト接着剤は、フィルム形成性組成物がない場合と同じ温度で加工(噴霧)することが可能であったが、既知の被覆配合物では、噴霧性を確実にするためには温度をおよそ20℃上げることが必要であった。
【0070】
このレオロジー試験はフィールドテストによって確証された。フィールドテストによっても、この新規なカバー材料が他の重要な接着剤パラメータ、特に接着剤特性に対して有害効果を有しないことが同様に確認された。
本発明の好ましい様態は以下を包含する。
〔1〕 総重量に対して:
a)5〜40重量%、特に10〜20重量%の、>95℃の融点を有する少なくとも1種類のフィッシャー-トロプシュワックス;
b)30〜70重量%、特に40〜65重量%の、>95℃の軟化点および≦1000かつ≧300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
c)0〜65重量%、特に20〜40重量%の、>85℃の軟化点および>1000 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
d)0〜40重量%の、>115℃の軟化点および<300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
e)0〜60重量%の、b)〜d)と異なるMn<140,000 g/molの分子量を有する少なくとも1種類のポリオレフィン、特にメタロセン触媒型ポリオレフィン;ならびに
f)0〜20重量%の、酸化防止剤、安定剤、可塑剤および/または他のポリマーから選択される添加剤および補助物質、
を含むことを特徴とするポリマー組成物であって、
好ましくは20℃〜60℃の温度で非粘着性である、
ポリマー組成物。
〔2〕 前記フィッシャー-トロプシュワックスが合成パラフィンであることを特徴とする、〔1〕に記載のポリマー組成物。
〔3〕 前記可塑剤が、炭化水素油、特にパラフィン油、ナフテン系油および/または鉱油ならびにポリ(イソ)ブチレンから選択されることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のポリマー組成物。
〔4〕 融点が≦130℃であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
〔5〕 総重量に対して:
a)10〜20重量%、特に13〜17重量%の、>95℃の融点を有する少なくとも1種類のフィッシャー-トロプシュワックス;
b)40〜65重量%、特に55〜65重量%の、>95℃の軟化点および≦1000かつ≧300 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;
c)20〜40重量%、特に22〜27重量%の、>85℃の軟化点および>1000 g/10分のメルトフローインデックス(MFI)(230℃,2.16 kg)を有する少なくとも1種類のメタロセン触媒型ポリオレフィン、特にポリプロピレン;ならびに
d)0〜2重量%、特に0.5重量%の酸化防止剤
を含むことを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
〔6〕 (1)65〜140℃の軟化点を有し、少なくとも1種類のポリオレフィンと少なくとも1種類の粘着付与樹脂を含有するホットメルト接着剤で作製されたコア;および
(2)前記コアを本質的に完全に被覆し、好ましくは20℃〜60℃の温度で非粘着性である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のポリマー組成物で作製されたフィルム
を含んでなる、ペレットの形態のホットメルト接着剤。
〔7〕 前記ペレットが
(1)各々、15 g未満の重量を有する;および/または
(2)いずれかの寸法が25 mm未満の直径を有する;および/または
(3)円筒状、球状もしくはピロー様の形状を有する;および/または
(4)前記コアと前記ポリマー組成物で作製された前記フィルムとの共押出しによって作製される
ことを特徴とする、〔6〕に記載のホットメルト接着剤。
〔8〕 a)前記ポリマー組成物で作製された前記フィルムが2〜200μm、好ましくは2〜20μmの厚さを有する;および/または
b)前記ホットメルト接着剤が前記シェル材料を、前記ホットメルト接着剤の総重量に対して12重量%未満、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%の量で含むことを特徴とする、〔6〕または〔7〕に記載のホットメルト接着剤。
〔9〕 前記少なくとも1種類の粘着付与樹脂が、全体もしくは一部が水素化された炭化水素樹脂および/またはコロホニー樹脂もしくはトール樹脂ベースの少なくとも1種類の天然樹脂あるいはそのペンタエリスリトールもしくはグリセロールとのエステルを含む樹脂または樹脂混合物であることを特徴とする、〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
〔10〕 a)前記ペレットが20〜60℃の範囲の温度で非粘着性である;および/または
b)前記ペレットが溶融状態で均一な混合物を形成する
ことを特徴とする、〔6〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
〔11〕 〔6〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のペレットの形態のホットメルト接着剤の、コンタクト型接着剤としての使用。
〔12〕 〔6〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の1個以上のホットメルト接着剤ペレットを、搬送デバイス、特に真空搬送デバイスによって溶融デバイスに供給することを含む、溶融デバイスにホットメルト接着剤を送り込むための方法。