【課題を解決するための手段】
【0009】
衝撃のエネルギーを吸収するためのエネルギー吸収部材が提案され、上記部材は、衝撃によって可塑変形可能であり且つ任意に少なくとも幾らかの破壊の程度に耐えることが可能である。上記エネルギー吸収部材は、少なくとも1つのコア構造及び少なくとも1つの付帯構造を備える。上記少なくとも1つのコア構造は、金属であるか又は連続フィラメント繊維で強化されたポリマーである第1材料で作成され、且つ上記少なくとも1つの付帯構造は、非強化ポリマー材料であるか又は短繊維又は長繊維で補強されたポリマー材料である第2材料で作成される。上記少なくとも1つの付帯構造は好ましくはリブを備え、且つ上記少なくとも1つの付帯構造は少なくとも1つのコア構造に固着される。上記少なくとも1つの付帯構造はそれに接続される上記少なくとも1つのコア構造を支持するような上記接続の設計及び上記構造の形状が好ましい。
【0010】
上記エネルギー吸収部材では、衝撃の間に生じるエネルギーの大部分が上記コア構造によって吸収されることが好ましい。ここで、上記少なくとも1つのコア構造に固着される上記少なくとも1つの付帯構造は、非正面衝撃で生じる横方向荷重の場合には、上記コア構造の座屈を防止するように上記コア構造を支持する。特に、これは、コア構造の側方への切断を防止する。ここでは、要求されるエネルギーの大部分を吸収することができるようなコア構造の設計が好ましい。ここで、上記少なくとも1つのコア構造に固着された上記少なくとも1つの付帯構造が座屈に対する抵抗を増大するので、連続フィラメント繊維で強化された従来のエネルギー吸収部材の場合よりも、上記コア構造の破壊によって吸収されるエネルギーは大きい。その結果、本発明で提案されるエネルギー吸収部材は、厳密な正面からだけでなく、横方向成分又は側方成分を含む衝撃でさえも、エネルギーの吸収中に所定の荷重−変位特性を達成することもできる。
【0011】
上記付帯構造を支持するように上記コア構造が設計される他の有利な実施の形態では、この実施の形態において、上記少なくとも1つの付帯構造によって主としてエネルギーが吸収される。これは、例として、上記少なくとも1つのコア構造が上記少なくとも1つの付帯構造を囲むような設計によって達成される。
【0012】
上記部材のエネルギー吸収特性、即ち、特に、荷重−変位特性は、好ましくは、コア構造の変更によって及び使用されるコア構造の数の変更によって調整される。ここで、荷重−変位特性という語句は、変位距離の関数として上記エネルギー吸収部材の変形又は破壊に要する荷重を意味し、変位距離は、上記部材の破壊過程の結果としての上記部材の荷重方向の寸法の減少である。
【0013】
上記コア構造の変更は、特に、幾何学的形状の変更によって、及び/又は、使用される材料の変更によって達成され得る。
【0014】
上記コア構造の形状は、例として、筒形状又は円錐台形状とすることができる。この形式の幾何学的形状は、例として、例えばシート状の半製品を成形過程で成形することによって達成することができ、又は、上記コア構造をこの形状に直接的に作成することもできる。
【0015】
特に、コア構造が平坦な半製品から作成される場合、上記コア構造は、軸方向と直交する断面視で、波状、ジグザグ形状、又はΩ形状であるか、又は、直線部及び/又は曲線部で構成されることが好ましい。特に、ここでは、結果として、平坦な半製品からドレープ成形工程で作成可能な、アンダーカットのない形状が好ましい。
【0016】
本発明の効果に対し、軸方向という語句は、変形のないエネルギー吸収部材の場合、上記部材への衝撃作用の主方向を意味する。この方向はまた、一般的に、上記エネルギー吸収部材の最も大きい長さの方向と同じである。
【0017】
上記コア構造は、軸方向と直交する断面視で少なくとも1つの屈曲部を有することが好ましい。ここで、屈曲部という用語は、上記コア構造の材料が成形工程で成形されることによって達成され得る最小規模の曲率半径を伴う湾曲を意味する。これらの屈曲部は、上記コア構造に大いなる安定性を提供すると共に、衝撃の際、上記コア構造の制御された破壊によるエネルギー吸収の開始点として役立つ。
【0018】
もし、上記エネルギー吸収部材が例えば筒形状又は中空円錐台形状といった中空形状を有するならば、又は、もし、上記エネルギー吸収部材が平坦な半完成品からドレープ成形工程によって作成されてなるならば、上記コア構造の壁厚は、上記荷重−変位特性を調整するために変更可能な他のパラメータである。ここでは、上記コア構造の壁厚は軸方向に増加又は減少するのが好ましい。従って、それは、エネルギー吸収部材の破壊が更なる破壊の増加に対して要求される荷重を進行させるのを有利に受け入れることができる。
【0019】
上記少なくとも1つのコア構造は、連続フィラメント繊維で強化されたポリマー材料で作成されていることが好ましい。ここでは、上記コア構造のエネルギー吸収特性は、連続フィラメント繊維で強化されたポリマー材料の適切な部分によって影響され得る。特に、ここでは、上記ポリマー、使用される繊維、繊維の比率、及び/又は、繊維の配向を規定することができる。選択的に、上記少なくとも1つのコア構造は、例えば鋼やアルミニウムといった金属で作成される。
【0020】
もし、第1材料が連続フィラメント繊維で強化されたポリマー材料であるならば、上記繊維の比率は、体積で1〜70%の範囲、とりわけ体積で10〜60%、更にとりわけ大いに好ましくは体積で20〜50%が好ましい。上記第1材料の連続フィラメント繊維は、第1材料への1つ以上の層内に導入され得る。ここでは、上記第1材料は、例として、織布の形態における、又は連続フィラメント繊維平行配列の形態における繊維を含むことができる。上記繊維は、平行配列された連続フィラメント繊維であることがとりわけ好ましい。
【0021】
もし、上記繊維が、上記第1材料内に導入される場合に、連続フィラメント繊維平行配列の形をとるならば、例として、テープのような既知のものを使用することができる。これらの中に存在する連続フィラメント繊維は、平行配列を有し、且つ、ポリマー材料で満たされている。もし、上記繊維が連続フィラメント繊維からなる織布の形態で導入されるならば、その織布は、少なくとも2つの異なる方向に配向され、且つ、例として、互いに織り合わされた連続フィラメント繊維を有する。
【0022】
もし、上記繊維が複数の層内に導入されるならば、個々の層の配向は、個々の繊維の向きが互いに関して回転されるように、互いに対して変更され得る。もし、例として、2層のテープが用いられるならば、2つの異なる繊維方向間に囲まれた角度は、例として、90°であり得る。もし、例として、2つの織布が相互に重ねられるならば、結果として、4つの繊維方向の夫々の間の角度が45°となるように、互いに対して45°の角度で織布の2層を回転することが好ましい。上記材料の厚さを通じた複数の層の対称配向が好ましい。
【0023】
上記少なくとも1つのコア構造の第1層内の繊維の比率を軸方向に変更することが好ましい。この目的を達成するために、例として、第1材料内の繊維の比率は、軸方向に増加又は減少することができる。これは、壁厚の変更の結果と同等の結果をもたらし、上記コア構造の破壊に要するエネルギーは、変位距離の増加と共に、増加又は減少する。
【0024】
上記エネルギー吸収部材内の少なくとも1つのコア構造は、上記少なくとも1つの付帯構造に固着される。この固着は、粘着、連結、摩擦固着とすることができる。粘着固定は、例として、溶着又は接着剤固定によって達成することができる。粘着固定に対し、射出成形、重力鋳造、又は真空鋳造のような鋳造工程をさらに使用することができ、これは少なくとも1つのコア構造上に少なくとも1つの付帯構造を鋳造し、又は、上記少なくとも1つのコア構造の周囲に付帯構造を鋳造する。射出成形工程は、この目的に特に適する。連結固定については、上記少なくとも1つのコア構造上に、及び/又は、上記少なくとも付帯構造上に形成された、例えば掛け金要素の形態での接続要素が好ましい。同様に、上記少なくとも1つのコア構造の上記少なくとも1つの付帯構造への固着のために、例えばリベット又はねじ山要素といった接続要素を用いることができる。
【0025】
上記少なくとも1つの付帯構造は、上記第2の材料で作成され、且つ好ましくは複数のリブを有する。
【0026】
上記第2材料は、例として非強化の、即ち繊維を含まないか、又は短繊維又は長繊維で強化されたポリマー材料である。ここでは、短繊維又は長繊維での強化が好ましい。もし、上記第2材料が繊維強化されるならば、第2材料内の繊維の比率は、体積で1〜70%が好ましく、体積で10〜60%の範囲内がとりわけ好ましく、更に、体積で20〜50%の範囲内がとりわけ大いに好ましい。
【0027】
本発明の目的に関し、長繊維という語句は、典型的に5mm〜25mmの範囲内の長さの繊維を意味する。本発明の目的に関し、短繊維という語句は、ここでは、短繊維の典型的な長さが0.1mm〜1mmの範囲内である、5mm未満の長さの繊維を意味する。
【0028】
本発明の目的に関し、連続フィラメント繊維という語句は、連続して製造され且つ更なる過程の間に有限の長さに短くされ、しかし長繊維の長さよりも実質的に長さの大きいフィラメントを意味する。連続フィラメント繊維の長さはまず、上記部材の寸法によって、特にコア構造の寸法によって制約を受けることがある。その長さは、第2に、成形工程によって作成されたコア構造からなる半製品の寸法によって制約を受けることがある。上記連続フィラメント繊維の長さは、上記部材に又は上記半製品に関して可能な限り大きく選択されるのが好ましく、結果として、その繊維の長さはコア構造の又は上記半製品の寸法に本質的に一致する。
【0029】
付帯構造は、好ましくは複数のリブを有し、且つその付帯構造が少なくとも1つのコア構造に固着可能な形状の少なくとも1つの領域を有する。この目的を達成するために、例として、コア構造とその付帯構造との間の初期接触を許容する様式の領域を、その付帯構造の外側面に形成する。この少なくとも1つの付帯構造は、更に、コア構造を受け入れ可能な様式で形成された少なくとも1つの窪みを有する。選択的に、付帯構造がコア構造の内部内に受け入れられるような様式のコア構造の窪みの形状によって、付帯構造の外形を規定してもよい。
【0030】
軸方向における第1平面内で連続し、且つその軸方向において上記第1平面に対して回転された第2平面内で連続する少なくとも1つのリブと接続された少なくとも1つの第1リブを上記付帯構造が有するような付帯構造のリブの配置が好ましい。ここでは、上記第1及び第2平面と平行な複数のリブを上記付帯構造が有することが好ましい。
【0031】
付加的に又は選択的に、軸方向に連続する平面と平行に複数のリブを配置することが好ましく、付帯構造は、軸方向に対して垂直に配置される平面と平行に連続する少なくとも1つのリブを有する。ここでは、軸方向に連続する平面と平行なリブが、軸方向に対して垂直に配置された平面と平行なリブと交差することが好ましい。ここで、相互に交差するリブは、好ましくは、長方形状の規則的構造を形成する。複数のリブで形成されるこの長方形内には、更なる補強のための他の構造を配置することができる。ここでは、長方形の二つの対角を互いに接続する更なるリブで長方形を2半分に分割することが好ましい。軸方向に対して垂直に配置された平面となす角度が−45°〜+45°の範囲内で、これらのリブを斜めに連続して配向することが好ましい。これは、2つの三角構造を与える。この三角リブ構造は、それらが特に良好な支持効果を提供することから、とりわけ有利である。
【0032】
軸方向に沿って連続するリブは、上記少なくとも1つのコア構造が側方に外れたり、崩壊したりしないように支持する。軸方向に対して垂直に配置された平面と平行又は−45°〜+45°の範囲内の角度で配向されたリブは、連続フィラメント繊維で強化された上記少なくとも1つのコア構造の座屈を防止する。
【0033】
このリブは付加的な構造を有することができる、例えば、このリブは、波状構造やジグザグ形状構造を有する。
【0034】
上記付帯構造は、更に、作用的領域、特に接続領域を有することが好ましい。これらの接続領域は、例として、1つ以上の付帯構造との間の固着のために、上記エネルギー吸収部材の使用箇所での固定のために、及び/又は、上記エネルギー吸収部材上への他の部材の固定のために役立つ。
【0035】
この目的を達成するために、上記少なくとも1つの付帯構造は、衝撃と反対の側面に締結部を備えることができる。締結部を配置する場合、今度は、例として、それらは、上記エネルギー吸収部材の使用箇所での締結を許容する開口部、ばね作用要素、掛け金要素、又はねじ山のような締結要素であってもよい。
【0036】
更に、考えられる例として、上記エネルギー吸収部材が自動車内で使用される場合に、そのエネルギー吸収部材上に自動車の付帯的アッセンブリを固定するような、結果として上記エネルギー吸収部材への他の部材の固着を許容する接続領域として、例えばねじ山要素の範囲、ねじ山要素のドーム、ばね作用要素、掛け金要素、及び固定開口部を付帯構造の他の箇所に配置することが可能である。上記エネルギー吸収部材も維持する機能を引き受けるため、これは重量及び装着スペ−スを節約する。
【0037】
もし、上記第1材料が連続フィラメント繊維で強化されたポリマー材料であるならば、その第1材料を強化する繊維は、グラスファイバー、カーボンファイバー、アラミド繊維、バサルト繊維、ボロン繊維、金属繊維、及びチタン酸カリウム繊維から選択される。
【0038】
もし、上記第2材料が繊維強化を有するならば、その短繊維又は長繊維は、グラスファイバー、カーボンファイバー、アラミド繊維、バサルト繊維、ボロン繊維、金属繊維、及びチタン酸カリウム繊維から選択されることが好ましい。更に、上記連続フィラメント繊維の場合も、上記短繊維又は長繊維の場合も、前述の繊維形式の組合せを用いることができる。
【0039】
もし、上記第1材料が連続フィラメント繊維で強化されたポリマー材料であるならば、その第1材料のポリマーは、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーであることが好ましい。適応する熱硬化性ポリマーは、例として、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂である。しかしながら、そのポリマーは熱可塑性ポリマーであることがとりわけ好ましい。この場合、あらゆる熱可塑性ポリマーが原則的に適応する。適応するポリマーの例は、ポリアミド及びポリプロピレンであるが、ポリアミドがとりわけ好ましい。適応するポリアミドの例は、PA6、PA66、PA46、PA6/10、PA6T、PA66T、PA9T、及びまたPA11及びPA12である。
【0040】
上記第2材料のポリマーは、鋳造工程によって処理された熱硬化性ポリマー、又は熱可塑性ポリマーは好ましい。しかしながら、そのポリマーは熱可塑性ポリマーであることがとりわけ好ましい。ここでは、あらゆる熱可塑性ポリマーが適応する。適応するポリマーの例は、ポリアミド及びポリプロピレンであるが、ポリアミドがとりわけ好ましい。適応するポリアミドの例は、PA6、PA66、PA46、PA6/10、PA6T、PA66T、PA9T、及びまたPA11及びPA12である。
【0041】
上記第1材料用及び第2材料用に選択されるポリマーは同一であるか、又は選択される夫々のポリマーが相互に互換性があることが好ましい。ここで、もし、溶着のような粘着固定工程、又は、射出成形工程における他への或る材料の射出が、前述の材料間の接着物を用いた固着生成に使用される場合、2つのポリマーは互換性があると考えられる。
【0042】
上記エネルギー吸収部材は付加的に少なくとも1つの挿入部を有することが好ましい。この挿入部は、コア構造と接触して、また具体的に、上記エネルギー吸収部材に衝撃が作用する側部上に配置されるのが好ましい。しかしながら、例えば後者の制御された強化を提供するために、他の箇所で上記エネルギー吸収部材内に挿入部を導入することも可能である。ここでは、上記少なくとも1つの付帯構造上に挿入部が固定されることが好ましい。この挿入部は、例として、上記エネルギー吸収部材への付加的なアッセンブリの固着を可能とするような手法による固着手段、例えばねじ山を付加的に有することができる。更に、この固着手段は、上記エネルギー吸収部材の使用箇所での締結に用いることもできる。
【0043】
もし、コア構造上に上記挿入部が配置されるならば、前述の挿入部が上記コア構造上に1つ以上の接触箇所で接触していることが好ましい。エネルギー吸収部材上への衝撃の際、上記コア構造に接触する上記挿入部の接触箇所は、ラム(ram)又はブレ−ド(blade)のように作用し、そして、その結果、エネルギーの吸収を伴って、上記コア構造の制御された破壊のための開始点を演じる。規定され且つ制御されたエネルギーの吸収は、結果的に、コア構造の制御された破壊によって確保される。挿入部は上記コア構造上に1〜10の接触箇所で接触し、その結果、制御された破壊のための1〜10の開始点が同様に提供されることが好ましい。1つのコア構造当たり、2〜8の接触箇所の使用がとりわけ好ましい。
【0044】
上記挿入部は、金属又はプラスチックで作成されていることが好ましい。上記挿入部の形状は、例として環状であり、その環体は平坦な形状を有する。例として、軸亀裂を経た繊維の同様に要求される切断と共に制御された要求される剥離、即ち層間の分離を許容するために、金属製の環状挿入部が上記連続フィラメント繊維強化コア構造上に配置される。これは、前述の挿入部が軸方向に荷重され又は引っ張られ、その結果、エネルギーの消費を伴って前述の構造が破壊されることで達成される。この挿入部の特定の設計は、例えば複数の亀裂内で、又は剥離内に含まれる切断面内で生じ、そして、その結果、エネルギー吸収及び荷重−変位特性の前述のスケ−ラビリティの改善を許容する変化によって、破損の個々の主要なモードが個別に且つ適切に到達するのを許容する。
【0045】
上記エネルギー吸収部材は、上記少なくとも1つのコア構造及び上記少なくとも1つの付帯構造を含むハウジングを有することが好ましい。このハウジングは、例として、箱又は籠の形をとることができると共に、例として、金属又はポリマーで作成することができる。もし、このハウジングがポリマーで作成されるならば、その選択されたポリマーは、特に、上記第1材料及び/又は上記第2材料のポリマーと同じか、又は互換性のものとすることができる。もし、上記エネルギー吸収部材が自動車内で使用されるならば、そのハウジングは、車両の車体構造の一部とすることができる。このハウジングは、例として、車両の側方シル又はルーフフレームとすることができる。
【0046】
上記エネルギー吸収部材のハウジングは、内部に含まれる上記少なくとも1つのコア構造及び上記少なくとも1つの付帯構造の安定性を更に強化することができると共に、任意に、上記エネルギー吸収部材が使用箇所で締結され得る手法による、又は上記エネルギー吸収部材上に付帯的なアッセンブリが締結され得る手法による、付加的な接続領域を提供することができる。
【0047】
上記エネルギー吸収部材の空洞は発泡体で充満されていることが好ましい。ここで、上記コア構造内の及び/又は上記付帯構造内の空洞を発泡体で充満することができる。もし、上記エネルギー吸収部材が付加的にハウジングを有するならば、上記少なくとも1つのコア構造内及び/又は上記少なくとも1つの付帯構造内に設けられた開口部又はチャネル部を発泡体の導入のために充当することができると共に、上記ハウジング及びその内部に含まれる上記構造の間の空洞を発泡体で同様に充満することができる。この発泡体は、ポリウレタンフォーム、ポリアミドフォーム、又はエポキシ系熱硬化性フォームであることが好ましい。
【0048】
上記発泡体は、まず、上記エネルギー吸収部材の上記構造に更なる支持を提供する。第2に、付着した発泡体は、衝撃時の鋭い断片の制御できない逸脱を防止、又は少なくとも抑制する。
【0049】
上記エネルギー吸収部材は、その特定の意図した目的のために、特定の荷重−変位特性を有さなければならないと共に、規定量のエネルギー吸収について適応しなければならない。上記部材の設計に考慮を要する他の要素は、上記エネルギー吸収部材上に作用するエネルギーが吸収されるとき、その荷重の作用方向における上記エネルギー吸収部材の後方の要素への被害を回避するために、所与の最大荷重を超えるのを回避する必要のあることである。極めて稀な場合にのみ、所定の使用箇所での他の部材との相互作用が要求されることから、上記エネルギー吸収部材を単独で考慮することが更に可能である。ここでは、上記エネルギー吸収部材の設計に考慮を要する要素は、特に、外形寸法及び接続領域の配置である。本発明において提案される、コア構造及び付帯構造内へのエネルギー吸収部材の分割は、上記少なくとも1つのコア構造及び上記少なくとも1つの付帯構造に個別に配分されるべき種々の要求を有利に許容する:例として、上記意図された接続領域及び上記エネルギー吸収部材の外形寸法は、上記少なくとも1つの付帯構造の手法で規定することができ、同時に、吸収されるべきエネルギーの量及びまた荷重−変位特性に対する適切な適応は、上記少なくとも1つのコア構造の性質及び/又は数に関してそれを排他的に変更することによって達成される。これは、上記エネルギー吸収部材の外形デザイン又は接続領域の配置の変更を伴わずに、要求に関するエネルギー吸収部材の性能のスケーリングを可能とする。もし、本発明のエネルギー吸収部材が、例として、異なる量のエネルギーの導入を要求する、異なる重量の車両内に同一の幾何学的外形デザインで使用されるならば、上記少なくとも1つのコア構造の簡単な変更によって、その荷重−変位特性を調整することができる。例として、上記部材の外形デザインの変更を伴うことなく、壁厚、繊維/ポリマー材料の組合せ、縦方向及び厚さ方向の層構造、補強の構成様式、及び繊維含量を変更することができる。ここで、補強の構成様式という語句は、上記コア構造内での繊維の配置の選択を意味する。
【0050】
もし、上記エネルギー吸収部材が、例として、自動車内で使用されることを意図されるならば、種々の車種にまたがって標準化された形状及び寸法、及びまた締結点を使用することができ、同時に、上記少なくとも1つのコア構造の異なる選択によって、荷重−変位特性及び吸収可能なエネルギー量が個別に調整される。従って、同様に、その車両の他の部材、例えば上記エネルギー吸収部材上に締結される他の部材へのいかなる結果的な影響もなしに、車両のデザイン内における上記エネルギー吸収部材のデザインを変更することができる。
【0051】
提案の上記エネルギー吸収部材は、非繊維強化構造又は単に短繊維又は長繊維で強化された構造の複雑な幾何学的形状の有利と、連続フィラメント繊維で強化された構造の良好なエネルギー吸収特性を組合せることができるという、他の有利を有する。この連続フィラメント繊維で強化された構造は、種々の破壊過程の手法によって、特にその連続フィラメント繊維の切断に要するエネルギーの手法によって、及びまた、連続フィラメント繊維強化材料の種々の層の剥離のために要するエネルギーの手法によってエネルギーを吸収することができる。ここで、提案の付帯構造は、これが横方向への荷重を含む衝撃の際に連続フィラメント繊維で強化された上記構造の座屈及び側方への切断を防止することから、特定の有利な効果を有する。上記エネルギー吸収部材の規定され且つ制御された破壊による制御されたエネルギー吸収は、挿入部の導入によって更に有利に改善することができる。これらは、衝撃の方向において上記コア構造の前方に配置されて、そのコア構造の破壊のための規定された開始点を提供する。従って、上記エネルギー吸収部材の損傷過程は、正面衝撃の場合だけでなく、横方向成分を伴う荷重の作用時にも、上記部材の損傷挙動の制御を許容する手法で、上記付帯構造及び任意に上記挿入部の導入によって、制御された手法で規定される。従って、本発明の上記エネルギー吸収部材は、理想としない状況の場合でさえも、上記所定のエネルギー吸収を達成する。ここでは、衝撃の際の損傷挙動は、特に、コア構造の数の選択、そのコア構造の材料の選択、そのコア構造の繊維材料の選択、そのコア構造の繊維の比率の選択、そのコア構造の壁厚の選択、及び/又は、そのコア構造上に配置された上記挿入部の接触箇所の数の選択によって規定される。
【0052】
上記エネルギー吸収部材は、互いに結合された少なくとも2つの付帯構造を有することが好ましい。ここでは、上記付帯構造は、例として、ねじ山要素又はリベットのような接続要素によって、又は、溶着又は粘着固定によって固着することができる。この複数の付帯構造の固着はまた、鋳造工程のアンダーカットを伴って、構造の簡易な作成を許容する。
【0053】
本発明の更なる態様は、このエネルギー吸収部材の作成のための方法の提供である。ここで、上記エネルギー吸収部材の説明の文脈に開示される特徴は、その方法のための開示であるともみなされ、また反対に、その方法の文脈に記述される特徴は、上記エネルギー吸収部材と関連する開示であるともみなされる。
【0054】
少なくとも1つのコア構造及び少なくとも1つの付帯構造を伴うエネルギー吸収部材の作成のための提案される方法では、少なくとも1つのコア構造又は少なくとも1つの半完成シートの何れかが金型の中に配置される。この金型は、反対方向に可動な少なくとも2つの金型プロフィールを有し、その金型プロフィールの凸領域及び凹領域は付帯構造のネガ像を有する。このコア構造及び半完成シートの夫々は、金属、又は連続フィラメント繊維で強化されたポリマー材料から選択された第1材料で作成される。
【0055】
この方法の次のステップでは、上記金型が密閉され、その金型の密閉中、挿入されたあらゆる半完成品がコア構造を得るための成形工程を受ける。その後、上記密閉された金型内に第2材料が注入され、ここに上記少なくとも1つの付帯構造が成形される。この第2材料は、繊維のない、又は、補強のための短繊維又は長繊維を含むポリマー材料である。上記付帯構造の作成後、金型が開かれ、結果としてできた部材が取り出される。
【0056】
もし、第2の変形例におけるように、半完成シートが上記金型内に挿入されるならば、これは、連続フィラメント繊維で強化された熱可塑性積層体であることが好ましい。これは、例として、連続フィラメント繊維でできた1層以上の織布を含むか、又は、一方向連続フィラメント繊維強化テープ及びポリマー材用プリプレグテープから構成される積層スクリムである、有機パネルである。
【0057】
本発明の目的のために、上記半完成品は、成形工程に先立ち、分離された工程によって提出することも同様に可能である。例として、使用される上記半完成品又は予備成形品は、他の場所で先に作成してもよく、また、鋳型内への結果としてのコア構造の配置は、最終作成工程が実行されるまで遅らせることができる。
【0058】
上記金型内に配置される上記半完成品は、最終形状が付与される成形工程に、金型がそれを受けることができるように、配置の前に加熱されることが好ましい。
【0059】
上記金型の密閉の前に、その金型内に少なくとも1つの挿入部を付加的に配置することが好ましい。ここで、この挿入部は、例として、上記エネルギー吸収部材上への衝撃方向から見た場合に、コア構造の前方に同じく配置される手法で配置することができる。この挿入部は、金属又はポリマーで作成されるのが好ましく、ここでは、金属であることがとりわけ好ましい。
【0060】
付加的に又は選択的に、上記付帯構造の鋳造の後で少なくとも1つの挿入部を配置することも可能である。この目的を達成するために、上記付帯構造上にバネ付勢要素又は掛け金要素のような接続構造を設けることが好ましく、及び/又は、ねじ山要素、リベット打ち又は粘着固定によって、上記挿入部を上記付帯構造に接続することが可能である。
【0061】
上記金型の開放後、上記形成された部材を取り出し、またそれをハウジング内に挿入することができる。ここで、その部材は、例として、溶着、粘着固定、又はリベット打ちを用いた固着工程によって、上記ハウジングに確実に固着することができる。このハウジングは、上記エネルギー吸収部材内の軸方向に位置する範囲で開口することができる。
【0062】
上記付帯構造の作成後、上記エネルギー吸収部材内に存在する空洞を発泡体で充満することができる。ここでは、上記コア構造の、及び/又は、上記付帯構造の部分間、及び、任意に存在するハウジングとの間に位置する空洞も、任意に充満することができる。上記コア構造内、及び/又は上記少なくとも1つの付帯構造内には、上記発泡体の導入のための開口部及び/又はチャネル部を配置することが好ましい。上記空洞の発泡体での充満は、上記金型からの上記部材の取り出し後に実行することができる。選択的に、その後に発泡体で充満され得る新たな空洞が形成されるように、金型からの取り出しの前に金型の一部を置換することができる。
【0063】
上記提案の方法を用いて作成された複数の部材は、より大きなエネルギー吸収部材を形成するために、粘着固定、溶着、リベット打ち、又はねじ山の使用のような結合工程によって互いに固着されることが好ましい。しかしながら、少なくとも1つのコア構造及び少なくとも1つの付帯構造を有する個々の部材そのものが、有用なエネルギー吸収部材を形成する。
【0064】
提案の作成方法は、連続フィラメント繊維で強化されたコア構造及びまた少なくとも1つの付帯構造の同時作成を許容する。ここでは、上記少なくとも1つのコア構造及び上記少なくとも1つの付帯構造を互いに粘着的に固着することができるという有利な可能性がある。この目的を達成するために、上記少なくとも1つのコア構造の第1材料及び上記少なくとも1つの付帯構造の第2材料に選択されたポリマーは有利に同じか又は互換性を有し、その結果、その少なくとも1つの付帯構造をその少なくとも1つのコア構造上に金型成形することができる。
【0065】
提案の方法では、金型の変更を伴うことなく、上記荷重−変位特性、及びまた、吸収可能なエネルギー量の適切な調整を有利に行うことができる。これは、金型内に配置されるコア構造の適切な調整/使用されるコア構造の数によって簡易に達成される。もし、半完成品が用いられるならば、それは同様に、内部に置かれる半完成品の数、及びまた、その半完成品の材料の適切な調整を可能とする。ここでは、いかなる金型の完全な変更又は新規の金型の作成も必要としないという有利がある。
【0066】
更に、コア構造及び付帯構造内への上記エネルギー吸収部材の分離は、その部材内への付加的な機能の統合を容易にする。もし、上記少なくとも1つの付帯構造が、例として射出成形工程によって作成されるならば、射出成形技術によって提供されるあらゆる可能性の使用を可能とする。フランジの成形、及び、保持システム、穴部、ねじ山挿入部、及びバネ付勢接続部の統合が可能であり、例えば金属製の挿入部の更なる機能統合でもある。従って、記述される本発明は、第1に、衝撃の際に要求されるエネルギー吸収特性を有し、第2に、他の第1又は第2構造機能を引き受ける部材へのアクセスを提供することができる。例として、本発明に記述される上記エネルギー吸収部材は、車両冷却システムのための高集積保持器の保持システムの一部、又は自動車の車体構造内の補剛挿入部の一部とすることができる。
【0067】
本発明のとりわけ好ましい一実施の形態では、金属製の個々の挿入部は、射出成形工程の間又はその後に、上記エネルギー吸収部材内に同時に統合される。この統合された挿入部の第1の機能は、上記エネルギー吸収部材に近隣部材を接続することである。これらは、例として車両の前方領域では、ランプ、冷却システム、又は他の付帯的アッセンブリのための保持システムとすることができる。この挿入部のおかげで、エネルギー吸収部材の定着は、荷重伝達の目的のための特定の支持及び補強を好適に提供することもできる。
【0068】
提案の上記エネルギー吸収部材は、自動車内での使用にとりわけ適する。自動車内での装着可能箇所の例は、エンジンフードの下方、側方シルの領域内、ドアモジュール内、又は外装下の内装内である。自動車内での他の使用の他の可能性は、梱包を必要とする物品の保護のための梱包技術内での上記エネルギー吸収部材の使用である。
【0069】
他の適用例は、道路通行用途、例えば信号機、交通防護柵、レーン分離器、又は、工事箇所での一時的な構造物の内部、又は、保護が必要な建築物の上である。ここでは、車両衝突の場合、その動的エネルギーは、乗員が僅かに不利な影響を被るのみのような制御された手法で消散される。
【0070】
本発明の実施の形態は、図面に図示されると共に、以下の記述でさらに詳細に説明される。