(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[本発明の1つの実施形態に係る光源装置]
はじめに、
図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る光源装置50の説明を行う。ここで
図1は、光源装置50を模式的に示す側面断面図である。
図1では、水平な面に光源装置50が載置されている場合を示す。
【0010】
図1において、光源装置50は、上方に向かって隆起した隆起部4を有し、隆起部4に対応する領域において下方に向かって開口し冷却流体が流れる凹空間6を有する基材2を備える。基材2は、隆起部4が設けられた底部2Aと、底部2Aの周囲を囲む側壁部2Bと、を有する。更に、底部2A及び側壁部2Bで形成された空間を覆う蓋材8を備える。
【0011】
基材2の下側には、基礎フレーム40が備えられている。基礎フレーム40には、仕切りプレート12により仕切られた冷却流体の流路14が設けられており、流路14が隆起部4に設けられた凹空間6に対応する位置に配置されている。流路14の周囲には、シール部材用の溝16Aが設けられており、この溝16Aにシール部材16が挿入されている。つまり、基材2の下面の凹空間6の周囲には、シール部材16が接触しており、これにより、流路14内を流れる冷却流体が、基材2の底面及び基礎フレーム40の上面の間から外部へ漏れるのを防いでいる。
【0012】
シール部材16を用いることにより、凹空間6の内部に冷却流体を確実に流すことができるとともに、メンテナンス性を向上させることができる。なお、シール部材16としては、ゴム材料等の弾性材料から形成されたOリングやパッキンを例示することができる。
【0013】
本実施形態に係る光源装置50では、冷却流体が基材2の下面側を流れるので、冷却流体が基材2の上面側に漏れて、短絡等により半導体レーザ20を損傷させる虞がない。なお、
図1では、冷却流体の流路14を明確に示すため、基礎フレーム40がある程度厚みのある形状で示してあるが、実際には、より薄く形成することができる。
【0014】
仕切りプレート12は、隆起部4に設けられた凹空間6の中にまで配置され、冷却流体は、
図1の太矢印に示すように流れる。流路14は、冷却流体の冷却装置が接続されており、これにより隆起部4を十分に冷却することができる。冷却効果を考えると、隆起部4を有する基材2は、銅やアルミニウムをはじめとする金属材料で形成されるのが好ましい。
また、冷却流体として水を例示することができるが、これに限られず、例えば、冷却流体としてアルコール等を用いて、気化熱を用いた冷却を行うこともできる。
【0015】
隆起部4の頂面4Aには、ベースプレート10が頂面4Aから側方(図面で右側)へ伸びるように取り付けられている。ベースプレート10は、隆起部4の頂面4Aと垂直をなす方向よりも頂面4Aと平行をなす方向に高い熱伝導性を有する異方性熱伝導材料から形成されている。
ここで異方性熱伝導材料として、グラファイトや、グラファイトと銅やアルミニウムといった金属材料との複合材料を例示することができる。異方性熱伝導材料では、金属中においてグラファイト粒子の配向方向を整列させることにより、配向方向に沿って、銅や銀よりも高い熱伝導率を得ることができる。
【0016】
隆起部4の頂面4Aから側方(図面で右側)へ伸びたベースプレート10の下面10Aにおいて、隆起部4から離れた領域に半導体レーザ20が取り付けられている。なお、
図1に示す実施形態では、ベースプレート10の先端領域に半導体レーザ20が取り付けられている。
【0017】
半導体レーザ20の発光面側の側壁部2Bには、透光性部材で形成された窓部42が配置されている。これにより、半導体レーザ20から出射された光は、窓部42を介して光源装置50の外部へ出力される。
【0018】
以上のように、半導体レーザ20は、基材2の底部2A、底部2Aの周囲を囲む側壁部2B、及びそれを覆う蓋材8により形成された密封空間に配置されているので、外部環境の影響を受けにくく、半導体レーザ20の長寿命化が期待できる。
また、ベースプレート10が頂面4Aと平行をなす方向(つまり水平方向)に高い熱伝導性を有し、かつ半導体レーザ20は、ベースプレート10が隆起部4の頂面4Aと接触する下面側に取り付けられているので、半導体レーザ20で生じた熱を、水平方向の熱伝導により、冷却流体で冷却された隆起部4へ高い熱効率で流すことができる。よって、高出力の半導体レーザを備えた場合であっても効果的に冷却が可能であり、半導体レーザの長寿命化が図れる。
【0019】
特に、本実施形態では、ベースプレート10が、隆起部4の頂面4Aの全面に接触している。これにより、ベースプレート10は大きな冷却面積を確保することができるので、半導体レーザ20をより効果的に冷却することができる。
【0020】
更に、本実施形態では、ベースプレート10が、基材2の底部2Aから上側に隆起した隆起部4の頂面4Aに取り付けられており、半導体レーザ20が、そのベースプレート10の下面10Aに取り付けられている。よって、隆起部4が隆起した空間を、半導体レーザ20及びその配線のためのスペースとして有効に利用することができる。
図3及び
図4を参照しながら後述するように、半導体レーザ20の上面(
図1では下側)のP電極にワイヤを設ける必要があるが、そのためのスペースを、隆起部4が隆起した空間で確保することができる。
【0021】
よって、半導体レーザ20を、光源装置50の内部空間に効率良く配置することができるとともに、ベースプレート10の上側に半導体レーザ20及びそのワイヤのためのスペースを要しないので、光源装置50の高さ方向の寸法を小さくすることができる。
以上のように、本実施形態に係る光源装置50では、高出力の半導体レーザ20を備えた場合であっても効果的に冷却が可能であって、かつ効率的な機器配置により小型化が可能である。
【0022】
なお、通常、半導体レーザ20の発光試験を行うとき、蓋材8を取り外して行うが、半導体レーザ20がベースプレート10の下側に配置されているので、ベースプレート10による遮光効果により、更なる遮光手段を用いずに発光試験を行うことができる。
【0023】
<ベースプレート及び半導体レーザの配置の変形例>
次に、
図2を参照しながら、ベースプレート及び半導体レーザの配置に関する変形例の説明を行う。ここで
図2は、本発明の実施形態に係る光源装置において、ベースプレート及び半導体レーザの配置に関する変形例を示す側面断面図(斜視図)である。
【0024】
図1に示す実施形態では、ベースプレート10の先端領域に半導体レーザ20が取り付けられているが、これに限られるものではない。半導体レーザ20は、少なくとも隆起部4から離れた領域に配置されていればよく、半導体レーザ20からの出射光がサブマウント22及びベースプレート10によって遮蔽されない位置に、すなわち
図2に示すように、ベースプレート10の先端から少し離れた領域に配置されている場合もあり得る。なお、本実施形態では、半導体レーザ20は、絶縁層から形成されたサブマウント22を介してベースプレート10に取り付けられている。
【0025】
図1に示す実施形態では、ベースプレート10が、隆起部4の頂面4Aの全面に接触しているが、これに限られるものではなく、用途や配置によっては、ベースプレート10が、隆起部4の頂面4Aの一部の領域に接触している場合もあり得る。
【0026】
更に、
図1に示す実施形態では、隆起部4の頂面4Aの裏面側において、ベースプレート10が伸びる方向(図面で左右方向)に冷却流体を流しているが、これに限られるものではなく、
図2の太矢印に示すように、凹空間6の断面と直交する方向(図面と垂直な方向)に冷却流体を流すこともできる。
【0027】
(光源装置における半導体レーザの配線)
次に、
図3及び
図4を参照しながら、光源装置における半導体レーザの配線に関する説明を行う。ここで、
図3は、本発明の実施形態に係る光源装置において、半導体レーザの配線に関する1つの例を模式的に示す図であって、(a)は側面断面図であり、(b)は、(a)における矢視A−A平面図であり半導体レーザを備えたベースプレートを示す。
図4は、半導体レーザの配線に関するその他の例を模式的に示す図であって、(a)は側面断面図であり、(b)は、(a)における矢視B−B平面図であり、半導体レーザを備えたベースプレートを示す。なお、
図3及び
図4では、基材2より下側に配置された部材の記載は省略されている。
【0028】
<半導体レーザの配線に関する1つの例>
図3に示す光源装置50は、上記の実施形態と同様に、上方に向かって隆起した隆起部4を有し、隆起部4に対応する領域において下方に向かって開口し冷却流体が流れる凹空間6を有する基材2と、隆起部4の頂面4Aに取り付けられ、頂面4Aから側方へ伸びるベースプレート10と、ベースプレート10の下面における隆起部4から離れた領域に取り付けられた半導体レーザ20とを備える。また、基材2は、隆起部4が設けられた底部2Aと、底部2Aの周囲を囲む側壁部2Bと、底部2A及び側壁部2Bで形成された空間を覆う蓋材8を備える。
【0029】
ベースプレート10は、水平方向に高い熱伝導率を有する異方性熱伝導材料から構成されるので、ベースプレート10は、水平方向に高い電気伝導率を有する。そこで、
図3に示す配線例では、ベースプレート10が、半導体レーザ20のN電極側の導通の役割(リードピンの役割)を果たしている。つまり、半導体レーザ20は、サブマウント等を介さず、図面右側に示すベースプレート10上に直接載置され、半導体レーザ20の底面側のN電極20B及びベースプレート10が電気的に繋がっている。
【0030】
そして、ベースプレート10は、隆起部4を越えて、半導体レーザ20が取り付けられた側と反対側に伸びており、図面左側に示す端部は、側壁部2Bの開口を越えて外部まで伸びている。外部まで伸びたベースプレート10の端部は、外部配線の負極側と電気的に繋がっている。
これにより、ベースプレート10を介して、半導体レーザ20のN電極20Bと外部配線の負極側とが電気的に繋がっている。
【0031】
ベースプレート10の表面には、絶縁体膜32を介して、配線として機能するP側パッド30Aが形成されている。P側パッド30AはL字形の平面形状を有し、図面右側の端部近傍において、P側パッド30Aは、P側ワイヤ24Aにより、半導体レーザ20の上面側に配置されたP電極20Aと電気的に繋がっている。窓部42に対向して複数の半導体レーザが並んで設置されている場合には、それぞれの半導体レーザにP側ワイヤ24Aが接続し、P側パッド30Aに電気的に繋げることができる。複数の半導体レーザが並んで設置されている場合は、具体的には個々の半導体レーザがベースプレートに設置されていてもよいし、同一の基板上に複数の半導体レーザが搭載された1つのレーザバーがベースプレートに設置されていてもよい。P側パッド30Aの図面左側に示す端部は、側壁部2Bの開口を越えて外部まで伸びている。外部まで伸びたP側パッド30Aの端部は、外部配線の正極側と電気的に繋がっている。
これにより、半導体レーザ20のP電極20Aは、P側パッド30A及びP側ワイヤ24Aを介して、外部配線の正極側に電気的に繋がっている。なお、ベースプレート10のうち、隆起部4の頂面と接する部分は、絶縁体膜32とP側パッド30Aとが設けられていない部分であることが、半導体レーザの冷却の点で好ましい。
【0032】
以上のような配線により、半導体レーザ20のP電極20A及びN電極20Bは、それぞれ外部配線と電気的に繋がっている。なお、
図3に示すように、P側パッド30Aが備えられたベースプレート10は、側壁部2Bの開口において、封止材18によりシールされており、半導体レーザ20は気密な空間に配置されている。
【0033】
図3に示す配線例では、P側ワイヤ24Aは、180度湾曲させるため、ある程度の高さ寸法を要するが、半導体レーザ20がベースプレート10の下面側に取り付けられているので、隆起部4によるスペースを有効利用することができ、光源装置50の高さ方向の寸法を抑制できる。よって、ベースプレート10が、半導体レーザ20の冷却だけでなく、半導体レーザ20の電極20A、20Bと電気的に繋がったリードの機能も果たすので、ベースプレート10を有効活用して、光源装置50内の効率的な配置が図れる。
【0034】
<半導体レーザの配線に関するその他の例>
次に、
図4に示す半導体レーザの配線に関するその他の例の説明を行う。光源装置50は、上記の実施形態と同様に、上方に向かって隆起した隆起部4を有し、隆起部4に対応する領域において下方に向かって開口し冷却流体が流れる凹空間6を有する基材2と、隆起部4の頂面4Aに取り付けられ、頂面4Aから側方へ伸びるベースプレート10と、ベースプレート10の下面における隆起部4から離れた領域に取り付けられた半導体レーザ20とを備える。また、基材2は、隆起部4が設けられた底部2Aと、底部2Aの周囲を囲む側壁部2Bと、底部2A及び側壁部2Bで形成された空間を覆う蓋材8を備える。
【0035】
図4に示す配線例では、ベースプレート10が導通の役割を果たしておらず、半導体レーザ20は、絶縁体からなるサブマウント22を介して、ベースプレート10に取り付けられている。サブマウント22には、導電層からなるP側パッド34A及びN側パッド34Bが設けられている。なお、P側パッド34A及びN側パッド34Bは、互いに十分絶縁されている。
【0036】
ベースプレート10の両側(
図4(b)で上下両側)には、導電性材料から構成されたP側リードピン36A及びN側リードピン36Bが配置されている。P側リードピン36A及びN側リードピン36Bは、それぞれ、図面右側の半導体レーザ20の近傍から、隆起部4を越えて、半導体レーザ20側と反対側に伸びており、図面左側に示す端部は、側壁部2Bの開口を越えて外部まで伸びている。外部まで伸びたP側リードピン36A及びN側リードピン36Bは、それぞれ外部配線の正極側及び負極側と電気的に繋がっている。
【0037】
半導体レーザ20の上面側のP電極20Aは、P側ワイヤ24Aにより、P側パッド34Aに電気的に繋がっている。更に、P側パッド34Aは、P側ワイヤ26Aにより、P側リードピン36Aに電気的に繋がっている。これにより、半導体レーザ20のP電極20Aは、P側リードピン36A、P側パッド34A及びP側ワイヤ24A、26Aを介して、外部配線の正極側と電気的に繋がっている。また窓部42に対向して複数の半導体レーザが並んで設置されている場合には、それぞれの半導体レーザにP側ワイヤ24Aが接続し、P側パッド30Aに電気的に繋げることができる。
【0038】
半導体レーザ20は、底面側のN電極20Bが、N側パッド34B上に直接載置されて、N側パッド電極34Bと電気的に繋がっている。更に、N側パッド34Bは、N側ワイヤ26Bにより、N側リードピン36Bに電気的に繋がっている。これにより、半導体レーザ20のN電極20Bは、N側リードピン36B、N側パッド34B及びN側ワイヤ26Bを介して、外部配線の負極側と電気的に繋がっている。
【0039】
以上のような配線により、半導体レーザ20のP電極20A及びN電極20Bは、それぞれ外部配線と電気的に繋がっている。なお、
図4に示すように、P側リードピン36A及びN側リードピン36Bは、側壁部2Bの開口において、それぞれ封止材18によりシールされており、半導体レーザ20は気密な空間に配置されている。
【0040】
図4に示す配線例では、ベースプレート10の両側にP側リードピン36A及びN側リードピン36Bが配置されているので、ベースプレート10を側壁部2Bの外側まで伸ばす必要がない。また、リードピン36A、36Bをベースプレート10と、ベースプレートの面方向に水平な方向に並んで配置することにより、光源装置50の高さ方向の寸法を抑えることができる。リードピンの取り出し方向は
図4に限定されるものではなく、90度回転した方向から取り出してもよい。
【0041】
上記の実施形態では、半導体レーザ20の上面側にP電極を備え、下面側にN電極を備えているが、これに限られるものではなく、例えば、半導体レーザ20の一方の面にP電極及びN電極を備える場合も有り得る。また、P電極、N電極が反転して実装されてもよい。
【0042】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。