(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(E)成分の発泡剤が、溶剤が封入された熱膨張性樹脂微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)又は既膨張樹脂中空フィラーであり、該発泡剤を、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部含むことを特徴とする請求項1記載の液状シリコーンゴムスポンジ組成物。
(E)成分の発泡剤が、水と界面活性剤又は水と界面活性剤と吸水性化合物からなり、該発泡剤中の水を、(A)成分100質量部に対して10〜200質量部含むことを特徴とする請求項1記載の液状シリコーンゴムスポンジ組成物。
(E)成分の発泡剤が、水溶性固体であり、該発泡剤を、(A)成分100質量部に対して20〜400質量部含むことを特徴とする請求項1記載の液状シリコーンゴムスポンジ組成物。
液状シリコーンゴムスポンジ組成物のシート状硬化物において、JIS K 7312:1996 附属書2の規定におけるアスカーC硬度計による硬さが25以上であり、かつ、JIS K 6249:2003における引張強さが0.4MPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の液状シリコーンゴムスポンジ組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0013】
<液状シリコーンゴムスポンジ組成物>
本発明の液状シリコーンゴムスポンジ組成物は、以下の(A)〜(E)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。以下、各成分について詳細に説明する。
【0014】
[(A)成分]
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
【0015】
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状等が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。なお、後述する(B)成分のような三次元網状(樹脂状)構造は含まない。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状又は分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位又は3官能性のモノオルガノシルセスキオキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。(A)成分として、特に好ましくは、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
【0016】
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、通常、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
【0017】
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換もしくは置換の1価炭化水素基)全体に対して0.001〜10モル%であることが好ましく、特に0.01〜5モル%程度であることが好ましい。
【0018】
(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、例えば、互いに同一又は異種の炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基が挙げられる。1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられ、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などを用いてもよい。これらの中でも、特に、メチル基であることが好ましい。なお、(A)成分はエポキシ基を含有しない。
【0019】
(A)成分の25℃における粘度は、100〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に600〜200,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。粘度がこの範囲内にあると、得られる組成物の取り扱い作業性が良好であり、また、得られるシリコーンゴムスポンジ硬化物の機械的特性が良好である。なお、本明細書において粘度とは、25℃においてJIS K 7117−1:1999に記載の方法で回転粘度計により測定した値を指す。
【0020】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
[(B)成分]
(B)成分は、0.05〜0.15mol/100gのアルケニル基が2官能性のR
1R
2SiO
2/2単位(D単位、式中、R
1は炭素数2〜8のアルケニル基、R
2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)のみ結合し、3官能性のR
3SiO
3/2単位(T単位、式中、R
3は独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)及び/又は4官能性のSiO
4/2単位(Q単位)の分岐鎖状シロキサン単位に対する単官能性のR
33SiO
1/2単位(M単位、式中、R
3は上記と同じである。)の比(M単位/T及び/又はQ単位)が0.65〜1.40である三次元網状オルガノポリシロキサンレジンである。
【0022】
R
1は炭素数2〜8のアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等などが挙げられ、特に、ビニル基であることが好ましい。
【0023】
R
2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、ビニル基であることが好ましい。
【0024】
R
3は独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基であることが好ましい。
【0025】
M単位/T及び/又はQ単位の比の測定方法
本発明における三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンの3官能性のR
3SiO
3/2単位(T単位)と4官能性のSiO
4/2単位(Q単位)から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状シロキサン単位と単官能性のR
33SiO
1/2単位(M単位)との比(M単位/T及び/又はQ単位)は、
29Si−NMRから求めることができる。
29Si−NMRのサンプルの調製方法は特に制限されないが、例えば、オルガノポリシロキサンレジン1質量部を重クロロホルム3質量部に溶解させることで測定することができる。
ここで、(M単位/T及び/又はQ単位)の比は、0.65〜1.40であり、より好ましくは0.7〜1.0である。(M単位/T及び/又はQ単位)の比が0.65よりも小さいと液状シリコーンゴムスポンジ組成物の粘度が高くなり、金型注型作業が困難になったり、スポンジの発泡倍率が低下したりすることがあり、1.40よりも大きいと十分なスポンジの強度の改善効果が得られないことがある。
【0026】
アルケニル基量の測定方法
本発明における三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジン中のケイ素原子に結合したアルケニル基量は、以下のようにして求めることができる。
即ち、三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジン50質量部をキシレン50質量部に溶解させた溶液を三角フラスコなどの容器に量り取り、四塩化炭素を30mL加える。その後、25mLのハヌス液(臭化ヨウ素1質量部と酢酸60質量部の混合液)を加え、60分間攪拌する。その後、10質量%のヨウ化カリウム水溶液を20mL加え、5分間以上攪拌する。その後、0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液で、サンプル溶液の色が褐色から無色になるまで滴定を行う。また、オルガノポリシロキサンレジンを加えないこと以外は同一の工程でブランクの滴定を行い、下記の式よりアルケニル基量を測定することができる。
【数1】
【0027】
(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基は、上記D単位のみに含有され、そのアルケニル基量は、0.05〜0.15mol/100gであり、より好ましくは0.08〜0.12mol/100gである。アルケニル基量がこの範囲から外れると液状シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化物であるシリコーンゴムスポンジの機械的特性が悪化することがある。
【0028】
(B)成分の三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンの重量平均分子量としては、2,000〜12,000が好ましく、4,000〜8,000がより好ましい。重量平均分子量の測定方法としては、例えば、下記に示す条件のように、THFを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料作製条件:オルガノポリシロキサンレジンの50%キシレン溶液1質量部をTHF1,000質量部に溶解し、メンブレンフィルターでろ過
試料注入量:10μL
【0029】
(B)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜100質量部であり、より好ましくは10〜50質量部である。配合量が少なすぎると、十分な物性の向上(難燃性向上)効果が得られないことがあり、配合量が多すぎると、組成物の粘度が高くなり、発泡倍率の低下や、スポンジが裂ける等の成形性、コーティング作業性等が悪化することがある。
【0030】
(B)成分の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンは、上記の条件を満たしたものであれば、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
[(C)成分]
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、また実質的に分子中にケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)を含有しないものである。
【0032】
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0033】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
R
4aH
bSiO
(4-a-b)/2 (1)
【0034】
上記式(1)中、R
4は互いに同一又は異種の、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、ケイ素原子に結合した1価炭化水素基であり、このR
4における1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられ、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等を用いてもよい。R
4の1価炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基である。また、aは0.7〜2.1、bは0.001〜1.0で、かつa+bが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくは、aは1.0〜2.0、bは0.01〜1.0、a+bが1.5〜2.5を満足する正数である。
【0035】
1分子中に少なくとも2個含有するSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、通常2〜300個、好ましくは3〜150個、より好ましくは4〜100個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s程度の、25℃で液状のものが使用される。なお、重合度は、例えば、トルエンを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(数平均分子量)又は重量平均重合度(重量平均分子量)等として求めることができる。
【0036】
このような(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R
53SiO
1/2で示されるシロキサン単位と式:R
52HSiO
1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO
4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R
52HSiO
1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO
4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R
5HSiO
2/2で示されるシロキサン単位と式:R
5SiO
3/2で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO
3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。なお、前記R
5は炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基から選ばれる基であり、特にメチル基であることが好ましい。
【0037】
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個(又はモル)に対して(C)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.7〜10個(又はモル)であり、好ましくは0.8〜5個(又はモル)の範囲内となる量である。(A)及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して(C)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.7個未満であると、組成物は十分に硬化せず、目的のスポンジ強度が得られず、またこれが10個を超えると、得られるスポンジの耐熱性が極端に悪化することがある。
【0038】
[(D)成分]
(D)成分のヒドロシリル化反応用触媒としての白金族金属系触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、塩化白金酸とビニル基含有(ポリ)シロキサンとの錯体等の白金族金属系触媒が挙げられる。
【0039】
(D)成分の配合量は、通常、白金族金属(質量換算)として、組成物全体に対して、0.5〜1,000ppmであり、特に1〜500ppm程度である。添加量が少なすぎると硬化性の低下を起こし、添加量が多すぎるとコストが高くなり、不経済となる。
【0040】
[(E)成分]
(E)成分の発泡剤は、添加によってシリコーン組成物の密度を下げ、スポンジ化するための成分である。発泡剤の種類や、発泡メカニズムは特に限定されるものではないが、発泡剤の種類によって最適な配合量の範囲は大きく異なる。しかしながら、本発明の液状シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化物であるシリコーンゴムスポンジの密度が0.9g/cm
3以下、好ましくは0.3〜0.9g/cm
3となる量を添加する必要がある。なお、ここでいうスポンジの密度とは、JIS K 6268:1998記載の密度試験で測定した値を指す。
【0041】
発泡メカニズムとしては、1)溶剤が封入された熱膨張性樹脂微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)又は既膨張樹脂中空フィラーを発泡剤として配合、分散させ、成型する方法、2)水と界面活性剤又は水と界面活性剤と吸水性化合物を発泡剤として配合、分散させ、成型後に水を除去する方法、3)水溶性固体を発泡剤として配合、分散させ、成型後に水やアルコール類を使用して水溶性固体を溶解除去する方法が挙げられる。
【0042】
1)溶剤が封入された熱膨張性樹脂微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)又は既膨張樹脂中空フィラーを発泡剤として用いる場合は、加熱により膨張する液状低沸点炭化水素等の溶剤が封入された熱膨張性樹脂微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)又は既膨張樹脂中空フィラーが用いられる。既膨張樹脂中空フィラーの代わりに、ガラスバルーンや中空シリカなどを用いてもよい。
熱膨張性樹脂微粒子又は既膨張樹脂中空フィラーの配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5.0質量部である。熱膨張性樹脂微粒子又は既膨張樹脂中空フィラーの配合量が、0.1質量部未満のとき、スポンジ密度が低下しない(スポンジとならない)ことがあり、10質量部超過のとき、スポンジ強度が低下し、脆い弾性体となることがある。
【0043】
2)水と界面活性剤又は水と界面活性剤と吸水性化合物を発泡剤として用いる場合は、2−1)水を界面活性剤と共にエマルジョン状態として分散する方法や、2−2)界面活性剤と共に吸水性化合物〔無機系増粘剤(スメクタイトクレー等)やポリオキシアルキレン系吸水性樹脂粉末〕に水を担持させて、組成物中に均一に分散させる方法があるが、いずれの場合も、100℃以下の温度にてシリコーンゴムを硬化させる工程及びゴム硬化物から水を除去してスポンジとする工程が必要である。いずれの場合においても、イオン交換水を用いることが好ましい。
水の配合量は、(A)成分100質量部に対して、10〜200質量部であり、好ましくは50〜200質量部である。水の配合量が、10質量部未満のとき、スポンジ密度が低下しない(スポンジとならない)ことがあり、200質量部超過のとき、弾性体と水の海島構造が逆転してしまい、ゴム成分が分離してしまうことがある。
界面活性剤には、ポリエーテル変性シリコーンやアルキル変性ポリオキシアルキレンを用いることが好ましい。
界面活性剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.3〜8.0質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部である。界面活性剤の配合量が、0.3質量部未満のとき、水とシリコーン樹脂が分離することがあり、8.0質量部超過のとき、弾性体のゴム弾性が低下したり、界面活性剤が成形物表面からブリードしたりすることがある。
また、吸水性化合物の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜10.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部である。吸水性化合物の配合量が、0.1質量部未満のとき、水とシリコーン樹脂が分離することがあり、10.0質量部超過のとき、ゴム弾性が低下することがある。
【0044】
3)水溶性固体を発泡剤として用いる場合は、予め数μm〜数100μmに粒径を調整した塩化ナトリウムやグラニュー糖などの水溶性固体が用いられ、これを組成物中に配合、分散、硬化させた後、水又はアルコール類(例えば、トリエチレングリコールやエチレングリコールモノエチルエーテル)の少なくとも1種類以上の溶剤を用い、水溶性固体を溶出除去してスポンジを作製する。
水溶性固体の配合量は、(A)成分100質量部に対して、20〜400質量部であり、好ましくは100〜400質量部である。水溶性固体の配合量が、20質量部未満のとき、スポンジ密度が低下しない(スポンジとならない)ことがあり、400質量部超過のとき、物理的に配合できず、液状を保つ事が出来ないことがある。
【0045】
上記発泡剤を用いる場合、それぞれに最適なシリコーン組成物の粘度があるが、発泡剤投入前のシリコーン組成物の粘度で評価することが好ましい。測定に際しては、JIS K 7117−1:1999に従い、回転粘度計により測定した25℃下の粘度が用いられる。発泡剤投入前のシリコーン組成物の粘度として、1)溶剤が封入された熱膨張性樹脂微粒子又は既膨張樹脂中空フィラーを用いる場合には、5,000〜500,000mPa・sとする事が好ましく、2)水と界面活性剤又は水と界面活性剤と吸水性化合物を用いる場合には、1,000〜200,000mPa・sの低粘度とする事が好ましく、3)水溶性固体を用いる場合には、粉体の沈降、成形圧力による偏在を防止するため、20,000〜2,000,000mPa・sとする事が好ましい。
【0046】
・充填剤(補強性シリカ微粉末)
本発明の(A)〜(E)成分の他に、発泡に悪影響を与えない範囲で補強性シリカ微粉末を添加してもよい。かかるシリカ微粉末は、比表面積(BET法)が50m
2/g以上であり、好ましくは50〜400m
2/g、より好ましくは100〜300m
2/gであり、比表面積が50m
2/g未満では、満足するような強度特性を付与することができないことがある。
【0047】
補強性シリカ微粉末の添加量は、液状シリコーンゴムの架橋前流動性、低粘度を保つため、(A)成分100質量部に対して0〜15質量部とすることが好ましい。
このような補強性シリカ微粉末としては、比表面積が上記範囲内であることを条件として、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0048】
また、上記補強性シリカ微粉末は、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の(通常、加水分解性の)表面処理剤で、表面が疎水化処理されたシリカ微粉末を用いることができる。これらのシリカ微粉末の処理方法は、公知の方法を用いることができる。疎水性シリカ微粉末の表面処理剤としては、特にシランカップリング剤又はシラザン類が好ましい。
【0049】
補強性シリカ微粉末以外の配合可能な充填剤としては、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m
2/g未満の石英粉)、ケイ酸塩鉱物微粉末、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化セリウム、酸化セリウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、ケイ藻土、ガラス繊維等の充填剤があり、また、発泡体に導電性を付与するために、カーボンブラック、導電性金属酸化物、金属などの導電性充填剤を配合してもよい。これらの充填剤を、オルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理することも可能である。
【0050】
・その他の成分
その他にも、例えば、可塑剤、チキソ性付与剤、配合粉体の表面処理剤として、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)や、有機溶剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
<シリコーンゴムスポンジの製造方法>
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法について説明する。
1)溶剤が封入された熱膨張性樹脂微粒子又は既膨張樹脂中空フィラーを発泡剤として配合する場合は、上述した(A)〜(E)各成分を含む所定量を2本ロール、ニーダー、プラネタリーミキサー等の混練機で数分〜30分間混練することにより、組成物を得ることができ、その後、これを金型内に充填して100〜250℃、特に110〜200℃で1分〜1時間加熱硬化させることにより、発泡体を得る事ができる。但し、発泡剤に熱膨張性樹脂微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)を利用する場合には、金型内に膨張空間を必要とするため、金型内への各成分充填量の合計を40〜90体積%とする必要がある。なお、既膨張樹脂中空フィラーの代わりに、ガラスバルーンや中空シリカを同様に配合してもよい。さらに、得られるシリコーンゴムスポンジには、200〜400℃、0.5〜24時間の第2次熱処理を行ってもよい。この第2次熱処理において、上記樹脂微粒子、ガラスバルーン若しくは中空シリカ表面の不純物を熱分解することにより、さらなる圧縮永久歪の低減、シリコーンゴム本来の耐熱性を得る事ができる。
【0052】
2)水と界面活性剤又は水と界面活性剤と吸水性化合物を発泡剤として配合する場合は、2−1)水を界面活性剤と共にエマルジョン分散させる方法と、2−2)水を界面活性剤と共に吸水性化合物に担持させて分散させる方法とに分類することができる。
2−1)水を界面活性剤と共にエマルジョン分散させる方法としては、予め(A)〜(D)各成分を含む所定量を混練機で混練した組成物に対して、(E)成分である水と界面活性剤の所定量を添加し、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等の分散機を用いて混合することによって、30〜100μmの均一な球状の油中水滴型の組成物を作製することができる。
また、2−2)水を界面活性剤と共に吸水性化合物に担持させて分散させる方法としては、最初に(E)成分である水と吸水性化合物〔無機系増粘剤(スメクタイトクレー等)又はポリオキシアルキレン系吸水性樹脂粉末〕を混合してスラリー状水分散体を準備し、次いで、予め混練機で混練された(A)〜(D)各成分の所定量を含む組成物に界面活性剤と共に前述のスラリー状水分散体を添加し、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等の分散機を用いて数分〜1時間混合することによって、30〜100μmの均一な球状の油中水滴型の組成物を作製してもよいし、或いは、最初に(E)成分である水と界面活性剤を混合して水分散体を準備し、次いで、予め混練機で混練された(A)〜(D)各成分と吸水性化合物〔無機系増粘剤(スメクタイトクレー等)又はポリオキシアルキレン系吸水性樹脂粉末〕の所定量を含む組成物に前述の水分散体を添加し、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等の分散機を用いて数分〜1時間混合することによって、30〜100μmの均一な球状の油中水滴型の組成物を作製してもよい。
ここで、2−1)又は2−2)の方法において、(A)〜(D)各成分の所定量を含む組成物を混練機で混練する時間は、通常5〜30分であり、こうして得られた組成物に(E)成分の所定量を添加し、分散機で分散させる時間は、通常5〜30分である。
さらに、2−1)又は2−2)の方法で得られた組成物を、金型内に充填して、60〜95℃の水が蒸散しない温度で10分〜1時間加熱硬化を行い、次いで120〜300℃で0.5〜24時間の第2次熱処理をすることによって、組成物から脱水させることで、固体内部に気泡を発生させて発泡体を得る事ができる。
【0053】
3)水溶性固体を発泡剤として配合する場合は、予め数μm〜数100μmに粒径を調整した塩化ナトリウムやグラニュー糖などの(E)成分を、(A)〜(D)各成分を含む所定量と共に2本ロール、ニーダー、プラネタリーミキサー等の混練機で5分〜30分混練することにより、水溶性固体含有組成物を得ることができ、次いで、この水溶性固体含有組成物を、金型内に充填して、100〜250℃、特に110〜200℃で1分〜1時間加熱硬化させることによって、水溶性固体含有硬化物を得る事ができ、さらに、この水溶性固体含有硬化物を、70〜100℃の温水中に30分〜4時間浸漬後、温水中から取り出し、120〜300℃で0.5〜24時間の第2次熱処理をすることによって、該硬化物から水溶性固体及び溶出水を除去することで、発泡体を得る事ができる。
なお、上記(A)〜(E)各成分を含む水溶性固体含有組成物には、(E)成分の溶出剤として、アルコール類(例えば、トリエチレングリコールやエチレングリコールモノエチルエーテル)を含有させてもよい。
【0054】
こうして得られる液状シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化物、特にシート状硬化物は、JIS K 7312:1996 附属書2の規定におけるアスカーC硬度計による硬さが25以上、好ましくは30以上であり、かつ、JIS K 6249:2003における引張強さが0.4MPa以上、好ましくは2.0以上である。アスカーC硬度計による硬さが25未満のとき、充分なスポンジ弾性が得られないことがあり、かつ、引張強さが0.4MPa未満のとき、作製したスポンジ成形物が破壊しやすいことがあるため、ロールやガスケットとしての使用に適さないことがある。
【0055】
このようなシリコーンゴムスポンジの成形品は、特に電子写真式画像形成部材(特に定着部材、駆動ロール、給排紙ロール、圧力パッドなど)として有用である。定着部材の例としては、該スポンジからなる層を1層有する単層の定着ロール、該スポンジからなる層を2層以上有する複層定着ロール、定着ベルト、定着パッド等が挙げられる。複層定着ロールとしては、PFAチューブ等の表層離型剤を接着させた複層定着ロール並びにソリッドゴム層、該スポンジからなる層及びトナー離型層からなるトナー溶融定着用途の多層定着ロールが挙げられる。駆動ロールの例としては、ベルト駆動ロールが挙げられる。また、この他にも、工業ロール用途(製鉄用ロール、製紙用ロール、印刷用ロール用)や、自動車、鉄道車両、航空機、船舶などの輸送機用、宇宙用、建築用のウエザーストリップ用途、ガスケットシール、座面スポンジ及び保護緩衝材、静音や防振用途等に利用することができる。
【実施例】
【0056】
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0057】
[調製例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)100質量部、ヘキサメチルジシラザン4質量部、水1.0質量部、比表面積がBET法で200m
2/gであるシリカ微粉末(Aerosil 200、日本アエロジル社製)20質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合し、室温まで冷却して、ベースコンパウンド(1)を得た。
【0058】
[実施例1]
上記で得られたベースコンパウンド(1)30質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が5,000mPa・sの直鎖状ジメチルポリシロキサン(A1)75質量部、(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)15質量部、25℃における粘度が17mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C1)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0075mol/g)1.7質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.045質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.10質量部、耐熱剤として平均粒子径8μmのFe
2O
3粉末0.5質量部、及び発泡剤成分(E1)としてマツモトマイクロスフェア−F−65DE(平均粒子径50μm、ポリアクリルニトリル系既膨張中空粉体、松本油脂製薬社製)4.0質量部を室温にてプラネタリーミキサーで30分間混合して、組成物A((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=1.5)を調製した。
次に、調製した組成物Aを130℃で15分プレスキュアー後、200℃で2.0時間の第2次熱処理を行い、JIS K 6249:2003に準拠した発泡体シートを作製し、このシートについてアスカーC硬さをJIS S 6050:2008規定に従って測定を行い、JIS K 6249:2003に従って密度、引張強さ、切断時伸び、引裂強さ(アングル型)を測定した結果を表1に示す。
セルの状態はスポンジの任意の切断面が均一、かつドーム状、平均粒子径の10倍以上のピンホールが無い状態を「良好」とし、良好に該当しないものを不良と表記した。
平均セル径はスポンジの任意の切断面にあるセルを光学顕微鏡にて観察し、セル径を測定し、平均値を記入した。
【0059】
[実施例2]
実施例1において三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
3/2単位からなり、M単位/T単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B2)を80質量部、実施例1同様のオルガノハイドロジェンシロキサン共重合体(C1)8.4質量部で置き換え、組成物A((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=4.0)としたこと以外は全て同一の処方で組成物Bを調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0060】
[実施例3]
上記で得られたベースコンパウンド(1)60質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が1,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A2)50質量部、(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)30質量部、25℃における粘度が17mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C1)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0075mol/g)3.9質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.045質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.20質量部、平均粒子径5μmのCeO
2粉末0.5質量部、及び平均粒子径40μmのイソシアナート変性ポリオキシエチレン吸水性樹脂粉末10質量部を室温にてプラネタリーミキサーにて30分間混合して、組成物C−1((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=2.2)を調製した。
次に発泡剤成分(E2)としてイオン交換水125質量部とポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:9.6)2.0質量部をC−1へ添加し、プラネタリーミキサーにて30分間混合を行い、水スラリー状の組成物C−2を得た。
このように調製した組成物C−2を金型に入れ、90℃で30分プレスキュアーを行い、水含有ゴム状弾性体を得た。次いで得られた弾性体を230℃の乾燥器中で4時間加熱して水分を除去し発泡体を得た。発泡体は実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0061】
[調製例2]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A3)50質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、分子差側鎖にもビニルメチルシロキキシ基をもつ、ビニル量0.0014モル%、25℃での粘度が20,000mPa・sのビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体(A4)50質量部、および比表面積がBET法で300m
2/gであるシリカ微粉末をヘキサメチルジシラザンで処理したシリカ微粉末(Musil−130A、信越化学工業株式会社製)40質量部をニーダー中に投入し、室温にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。引き続き2時間混合し、室温まで冷却して、ベースコンパウンド(2)を得た。
【0062】
[実施例4]
上記で得られたベースコンパウンド(2)70質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)50質量部、(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)40質量部、25℃における粘度が12mPa・sであり、分子鎖両末端及び分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する、ジメチルヒドロシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C2)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0075mol/g)2.5質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.045質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.20質量部、平均粒子径5μmのCeO
2粉末0.5質量部、比表面積65m
2/gのアセチレンブラック(デンカブラック粒状、デンカ社製)6質量部を室温にてプラネタリーミキサーにて30分間混合して、組成物D−1((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=1.0)を調製した。
次に発泡剤成分(E3)として、150μm目開きによるメッシュカットを行った平均粒子径80ミクロンのグラニュー糖粉末150質量部、トリエチレングリコール25質量部をD−1へ添加し、プラネタリーミキサーにて30分間混合を行い、組成物D−2を得た。調製した組成物D−2を金型に入れ、130℃で30分プレスキュアーを行い、水溶性固体含有ゴム状弾性体を得た。次いで得られた弾性体を90℃の還流させた温水に8時間浸し、水溶性固体及びトリエチレングリコールを溶出させ、次いで220℃の熱風乾燥器中で4時間加熱して水分を除去し発泡体を得た。発泡体は実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
実施例1において三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)
2(CH
2=CH)SiO
1/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B3)に同質量部で置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物Eを調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0064】
[比較例2]
実施例1において三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.40であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量6,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B4)に同質量部で置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物Fを調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0065】
[比較例3]
実施例1において三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が1.80であり、アルケニル基量が0.010mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B5)に同質量部で置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物Gを調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0066】
[比較例4]
実施例3において三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を(CH
3)
3SiO
1/2単位と(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.85であり、アルケニル基量が0.020mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B6)に同質量部で置き換え、実施例1同様のオルガノハイドロジェンシロキサン共重合体(C1)4.9質量部とした、組成物H−2((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=2.2)を調製し、実施例3と同様にスポンジを作製、評価を行った結果を表1に示す。
【0067】
[比較例5]
実施例4において三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を(CH
3)
3SiO
1/2単位とSiO
4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.85であり、アルケニル基を含有していない、重量平均分子量5,000の三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B7)に同質量部で置き換えて組成物I−2((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=4.5)を調製し、実施例4と同様にスポンジを作成、同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0068】
[比較例6]
ベースコンパウンド(1)120質量部に、25℃における粘度が17mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C1)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0075mol/g)1.9質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.045質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.2質量部、平均粒子径5μmのCeO
2粉末0.5質量部、及び平均粒子径40μmのイソシアナート変性ポリオキシエチレン吸水性樹脂粉末10質量部を室温にてプラネタリーミキサーにて30分間混合して、組成物J−1((A)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=2.2)を調製した。
次に発泡剤成分(E2)としてイオン交換水125質量部とポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB:9.6)2.0質量部をJ−1へ添加し、プラネタリーミキサーにて30分間混合を行い、水スラリー状の組成物J−2を得た。水スラリー状の組成物J−2は15分程度で水が分離してきてしまい安定なスラリーでは無かった。調製した組成物J−2が水分離する前に手早く金型に入れ、90℃で30分プレスキュアーを行い、水含有ゴム状弾性体を得た。次いで得られた弾性体を230℃の乾燥器中で4時間加熱して水分を除去し発泡体を得た。発泡体は部分的にセルがドーム状に破壊しており、きれいな発泡体は得られなかった。発泡体は実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
次に、実施例1及び比較例1について、以下のように、定着ロールの作製とその評価を行った。結果を表2に示す。
【0071】
[定着ロールの作製]
焼成フッ素処理を内面に施した内径26mm×長さ250mm、肉厚3mmのアルミ製の円筒状金型を垂直に配置し、直径6mm×長さ300mmのSUS304製芯金(シャフトには信越化学工業株式会社製PRIMER−No31A/Bを塗布済である)を金型中心部に垂直に固定し、実施例1及び比較例1で作製したシリコーンゴム組成物を、金型下部に設けた4つの直径2mmの穴より0.05MPaの圧力で常温注型し、金型上部より材料がオーバーフローするまで供給した。次いで、この金型を150℃のバッチ式熱風乾燥器入れて1時間架橋を行った。
次いで、常温まで金型を冷却後、金型からスポンジによって被覆されたシャフトを抜き出し、得られた単層スポンジシリコーンゴムロールを更に220℃熱風乾燥器にて4時間熱処理を行った。
このスポンジゴムロールを、内面を付加架橋型一液型シリコーンゴム接着材KE−1884(信越化学工業株式会社製)にて内面処理した膜厚50μmのフッ素PFAチューブを被覆し、150℃で30分加熱硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアし、外径26mm×長さ250mmのPFA樹脂被覆シリコーンゴム定着ロールを作製した。
【0072】
[定着ロールの評価]
このようにして得られた定着ロールをJIS S 6050:2008規定におけるアスカーC硬度を測定した後、このスポンジロールを直径40mmのアルミ円筒ロールに圧縮率50%(肉厚10mmのスポンジロールを5mmに圧縮)となるようにスポンジロールのシャフト両端より荷重をかけて押し込んだ。次いでこのスポンジロールを分速60回転、連れ回りにて回転させて168時間経過後に、再度アスカーC硬度を測定した。結果を表2に記載した。
実施例1の組成物を使用した定着ロールはスポンジ硬度低下が5%の低下であったが、比較例1のスポンジ硬度は12%と大きく低下し、また目視にてスポンジセルの破壊が観察でき、くり返し圧縮によりスポンジ破壊及び硬度変化が大きいことが確認された。
【0073】
【表2】