(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子を載置することなく発光素子と電気的に接続される第2のリードとを第1の熱硬化性樹脂を用いて一体成形してなる第1の樹脂成形体と、第2の熱硬化性樹脂を用いて発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下であり、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から前記第1のリードが露出されており、その露出部分に前記発光素子が載
置されており、
第1の樹脂成形体は、凹部の底面である第1のリードと第2のリードとの間及び凹部の側面が同一の部材で形成されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1のリード及び第2のリードは平板状であり、
第1のリードの裏面側の全露出部分と、第2のリードの裏面側の全露出部分と、第1の樹脂成形体の裏面側は、実質的に同一平面上にあり、
第1のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状であり、第2のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状であり、
第1の樹脂成形体は、平面視において第1のリードの短手方向の幅及び第2のリードの短手方向の幅よりも広い幅を有し、
第1の樹脂成形体は、トリグリシジルイソシアヌレートを有するエポキシ樹脂と酸無水物を用いてなり、反射性物質が混合されており、
第2の樹脂成形体は、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂を用いてなり、蛍光物質が混合されていることを特徴とする表面実装型発光装置。
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子を載置することなく発光素子と電気的に接続される第2のリードとを第1の熱硬化性樹脂を用いて一体成形してなる第1の樹脂成形体と、第2の熱硬化性樹脂を用いて発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下であり、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子を載置することなく発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1の樹脂成形体は、凹部の底面である第1のインナーリード部と第2のインナーリード部との間及び凹部の側面が同一の部材で形成されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1のリード及び第2のリードは平板状であり、
第1のリードの裏面側の全露出部分と、第2のリードの裏面側の全露出部分と、第1の樹脂成形体の裏面側は、実質的に同一平面上にあり、
第1のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状であり、第2のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状であり、
第1の樹脂成形体は、平面視において第1のリードの短手方向の幅及び第2のリードの短手方向の幅よりも広い幅を有し、
第1の樹脂成形体は、トリグリシジルイソシアヌレートを有するエポキシ樹脂と酸無水物を用いてなり、反射性物質が混合されており、発光素子から出射された光は、第1の樹脂成形体の凹部の底面及び側面に照射され、反射し、
第2の樹脂成形体は、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂を用いてなり、蛍光物質が混合されていることを特徴とする表面実装型発光装置。
凹部は、開口方向に広口となる傾斜が設けられ、凹部の傾斜角度は、底面から測定して95°以上150°以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
凹部は、開口方向に広口となる傾斜が設けられ、凹部の傾斜角度は、底面から測定して95°以上150°以下であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
発光素子を裁置するための第1のリードと発光素子が載置されない第2のリードとを熱硬化性樹脂を用いて一体成形してなる、底面と側面とを持ち、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂の配置領域となる凹部が形成されている、表面実装型発光装置用の樹脂成形体の製造方法であって、
第1のリード及び第2のリードは平板状であり、
上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
樹脂成形体の凹部の底面に相当する発光波長が420nm以上490nm以下である発光素子の載置領域を含む第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱させるため、樹脂成形体から露出させるように、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に、トリグリシジルイソシアヌレートを有するエポキシ樹脂と酸無水物を用い、反射性物質が混合された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
樹脂成形体の凹部の底面である第1のインナーリード部と第2のインナーリード部との間及び樹脂成形体の凹部の側面に流し込まれた、並びに第1のリード及び第2のリードの凹凸に接触するように流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1のリードの裏面側の全露出部分と、第2のリードの裏面側の全露出部分と、樹脂成形体の裏面側は、実質的に同一平面上にあり、第1のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状のままであり、第2のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状のままであり、平面視における第1のリードの短手方向の幅及び第2のリードの短手方向の幅よりも広い幅を有するように、樹脂成形体が成形される第3の工程と、を有する樹脂成形体の製造方法。
発光素子を裁置するための第1のリードと発光素子が載置されない第2のリードとを第1の熱硬化性樹脂を用いて一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光素子と、第2の熱硬化性樹脂を用いて発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、
第1のリード及び第2のリードは平板状であり、
上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされており、
第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する発光波長が420nm以上490nm以下である発光素子の載置領域を含む第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱させるため、第1の樹脂成形体から露出させるように、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に、トリグリシジルイソシアヌレートを有するエポキシ樹脂と酸無水物を用い、反射性物質が混合された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
第1の樹脂成形体の凹部の底面である第1のインナーリード部と第2のインナーリード部との間及び第1の樹脂成形体の凹部の側面に流し込まれた、並びに第1のリード及び第2のリードの凹凸に接触するように流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1のリードの裏面側の全露出部分と、第2のリードの裏面側の全露出部分と、第1の樹脂成形体の裏面側は、実質的に同一平面上にあり、第1のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状のままであり、第2のリードの裏面側の全露出部分は実質的に同一平面上にある連続した平板状のままであり、平面視における第1のリードの短手方向の幅及び第2のリードの短手方向の幅よりも広い幅を有するように、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、
上金型が取り外される第4の工程と、
発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、
発光素子が載置された凹部内にシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂を用い、蛍光物質が混合された第2の熱硬化性樹脂が凹部の上面まで滴下される第6の工程と、
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、を有する表面実装型発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。この熱硬化性樹脂は可能な限り分子内に芳香族成分を有しないものが好ましい。
【0030】
これにより耐熱性、耐光性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0031】
また、第1の樹脂成形体を熱硬化性樹脂にすることにより第2の樹脂成形体との界面の剥離を防止することができる。これは熱可塑性樹脂と異なり、熱硬化性樹脂が表面に多数の反応性官能基を有しているので第2の樹脂成形体と強固な接着界面を形成することができるからである。そして第2の樹脂成形体を熱硬化性樹脂とすることにより第1の樹脂成形体と同様な等方性の熱膨張・収縮挙動を得ることができるため、温度変化による接着界面の熱応力を更に低減することができる。ついで第2の樹脂成形体を第1の樹脂成形体と同種の熱硬化性樹脂とすることにより界面張力の低減による接着力の改善だけでなく、界面にて硬化反応が進行し極めて強固な密着性を得ることが可能となる。耐光性については3次元架橋している熱硬化性樹脂が耐熱性を損なうことなく容易に組成を変更できるため耐光性の劣悪な芳香族成分を簡単に排除できる。かたや熱可塑性樹脂では耐熱性と芳香族成分は事実上同義語であり、芳香族成分なくしてリフロー半田熱に耐えうる成形体を得ることができない。従って、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体を熱硬化性樹脂にすることにより本来強固な接着界面を有し、かつ光劣化の少ない耐剥離性に優れ、また経年変化の少ない表面実装型発光装置を得ることができる。
【0032】
第2の樹脂成形体は、発光素子が載置された凹部内に配置される。これにより容易に発光素子を被覆することができる。また、発光素子の屈折率と空気中の屈折率とは大きく異なるため、発光素子から出射された光は効率よく外部に出力されてこないのに対し、第2の樹脂成形体で発光素子を被覆することにより、発光素子から出射された光を効率よく外部に出力することができる。また、発光素子から出射された光は凹部の底面及び側面に照射され、反射して、発光素子が載置されている主面側に出射される。これにより主面側の発光出力の向上を図ることができる。さらに、第1の樹脂成形体で凹部底面を覆うよりも、第1のリードは金属であるため発光素子からの光の反射効率を高めることができる。
【0033】
例えば、第1の樹脂成形体にエポキシ樹脂を用い、第2の樹脂成形体に硬質のシリコーン樹脂を用いることができる。
【0034】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。この熱硬化性樹脂は可能な限り分子内に芳香族成分を有しないものが好ましい。これにより耐熱性、耐候光性、密着性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。また、熱硬化性樹脂を用いて第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とを成形するため、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体との界面の剥離を防止することができる。さらに、所定の長さを有する第1のリードと第2のリードを折り曲げ等して用いるため、外部電極と電気的に接続し易く、既存の照明器具等に実装してそのまま使用することができる。
【0035】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが好ましい。表面実装型発光装置に電流を投入すると発光するとともに発光素子は発熱する。本構成にすることにより、この熱を効率よく外部に放出することができる。特に、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるため、極めて効率よく放熱することができる。
【0036】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリード及び第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていてもよい。これにより、発光素子から発生する熱を効率よく外部に放熱することができる。また、第1のリード及び第2のリードは電極として機能しているため、外部電極と極めて容易に接続することができる。特に厚肉の第1のリード及び第2のリードを用いた場合、これらのリードの折り曲げが容易でないものであっても、実装容易な形態である。また、製造工程において、第1のリード及び第2のリードを所定の金型で挟み込むため、バリの発生を低減することができ、量産性を向上させることができる。ただし、第1のリード及び第2のリードの裏面側の全面が露出している必要はなく、バリ発生を抑制したい部位のみの露出でもよい。
【0037】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。これにより、表面実装型発光装置の実装時の安定性を向上することができる。また、露出部分が同一平面上にあることから、平板上の外部電極に半田を用いて表面実装型発光装置を載置して実装すればよく、表面実装型発光装置の実装性を向上させることができる。さらに、金型による成形が極めて容易となる。
【0038】
第1のインナーリード部の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていてもよい。表面実装型発光装置と別に、放熱部材を外部の部材として配置することができる他、表面実装型発光装置と一体に放熱部材を取り付けることもできる。これにより、発光素子から発生した熱が放熱部材を伝って外部に放熱されるため、さらに放熱性を向上させることができる。また、放熱部材を外部の部材として配置する場合は、表面実装型発光装置の実装位置を容易に決めることができる。
【0039】
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されている。射出成形では複雑な形状を形成することができないのに対し、トランスファ・モールドでは複雑な形状の成形体を成形することができる。特に凹部を持つ第1の樹脂成形体を容易に成形することができる。
【0040】
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなることが好ましい。このうちエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。これにより耐熱性、耐光性、密着性、量産性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。また、第1の樹脂成形体に熱可塑性樹脂を用いる場合よりも、第1の樹脂成形体に熱硬化性樹脂を用いる方が、第1の樹脂成形体の劣化を低減することができるため、表面実装型発光装置の寿命を延ばすことができる。
【0041】
第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。第1の樹脂成形体の要求に応じて種々の物質を添加する。例えば、透光性の高い樹脂を第1の樹脂成形体に用い、第1の樹脂成形体に蛍光物質を混合する場合である。これにより発光素子の側面若しくは底面側に出射された光を蛍光物質が吸収して波長変換して出射するため、表面実装型発光装置全体として所望の発光色を実現することができる。例えば、出射された光を均一に分散するために、発光素子の側面若しくは底面側にフィラーや拡散剤、反射性物質等を添加しておいてもよい。例えば、表面実装型発光装置の裏面側から出力される光を低減するために、遮光性樹脂を混合しておいてもよい。特に、第1の樹脂成形体はエポキシ樹脂中に酸化チタン及びシリカ、アルミナを混合しているものが好ましい。これにより耐熱性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0042】
第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。第2の樹脂成形体の要求に応じて種々の物質を添加する。例えば、第2の樹脂成形体に蛍光物質を混合することにより、発光素子から射出される発光色と異なる発光色を実現することができる。例えば、青色に発光する発光素子と、黄色に発光する蛍光物質とを用いることにより、白色光を実現することができる。また、光を均一に出射するために、フィラーや拡散剤などを混合しておくこともできる。
【0043】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、樹脂成形体は、熱硬化性樹脂である樹脂成形体に関する。これにより熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形体を成形した場合よりも、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた樹脂成形体を提供することができる。また、発光素子を載置しやすい構造とすることができる。
【0044】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から外部に露出しており、樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、凹部が形成されている主面側と反対の第1のインナーリード部の裏面側は樹脂成形体から露出されており、樹脂成形体は、熱硬化性樹脂である樹脂成形体に関する。これにより熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形体を成形した場合よりも、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた樹脂成形体を提供することができる。また、発光素子を載置しやすい構造とすることができる。また、樹脂成形体から延びる第1のアウターリード部を露出することによって、発光素子から発生する熱を外部に放熱することができる。
【0045】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。これにより安定性が良く実装し易い樹脂成形体を用いた表面実装型発光装置を提供することができる。さらに金型による成形もしやすい。
【0046】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これにより安価に、量産性の良い、耐熱性、耐光性に優れた樹脂成形体を提供することができる。
【0047】
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されている。これにより射出成形では成形困難な複雑な形状の凹部を形成することができる。
【0048】
樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。これにより要求に応じた樹脂成形体を提供することができる。例えば、光を拡散する作用を有する樹脂成形体を望む場合は、フィラーや拡散剤を混合する。また、波長を変換して所望の色調を有する表面実装型発光装置を望む場合は、蛍光物質を混合する。また、発光素子からの光を主面側に効率よく取り出すため、裏面側への光の透過を抑制することを望む場合は、遮光性物質を混合する。
【0049】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている樹脂成形体の製造方法であって、上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、を有する樹脂成形体の製造方法に関する。
【0050】
これにより、第1の工程で第1のインナーリード部と第2のインナーリード部とを上金型と下金型で挟み込むため、トランスファ・モールド成形する際の、これらリードのばたつきを抑制することができ、バリの発生がない樹脂成形体を製造することができる。また、発光素子が載置する部分に相当する第1のインナーリード部を露出することができる。さらに、凹部の底面に相当する第1のインナーリード部の主面側及び裏面側が露出するため、発光素子を載置したとき裏面側から放熱することができ、放熱性を向上させることができる。
【0051】
また、熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド成形するため、複雑な形状の凹部を有する樹脂成形体を製造することができる。また、量産性、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた樹脂成形体を製造することができる。なお、熱可塑性樹脂は、溶融する温度まで加熱して、冷却することにより固化される。よって、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、冷却の工程が異なり、可逆的に硬化が行えるかどうかも異なる。また、熱可塑性樹脂は加工時の粘度が高く複雑な形状を成形することができない。
【0052】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、上金型が取り外される第4の工程と、発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、を有する表面実装型発光装置の製造方法に関する。これにより量産性の良い表面実装型発光装置を製造することができる。特に第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とに熱硬化性樹脂を用いるため、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを用いた場合よりも、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体との密着性を向上することができる。また、トランスファ・モールド成形で第1の樹脂成形体を製造する際、樹脂流動性が良好なためバリ発生が問題となるが上金型と下金型でこれらリードをしっかり挟み込むためバリが発生しない。そして、挟み込んだリードは露出するので、この露出部分に発光素子を載置したり、発光素子が持つ電極とリードとをワイヤ等で接続したりすることができる。
【0053】
熱硬化性樹脂、第1の熱硬化性樹脂、第2の熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これにより量産性の良い表面実装型発光装置を製造することができる。また、流動性に富み、加熱、硬化し易いため、成形性に優れ耐熱性、耐光性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0054】
以下、本発明に係る表面実装型発光装置、樹脂成形体及びそれらの製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0055】
<第1の実施の形態>
<表面実装型発光装置>
第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置について図面を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
図2は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
図1は、
図2のI−Iの概略断面図である。
【0056】
第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する。第1の樹脂成形体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30と、を一体成形している。
【0057】
発光素子10は、同一面側に正負一対の第1の電極11と第2の電極12とを有している。本明細書においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子の上面と下面とから正負一対の電極を有するものを用いることもできる。この場合、発光素子の下面の電極はワイヤを用いずに、電気伝導性のあるダイボンド部材を用いて第1のリード20と電気的に接続する。
【0058】
第1のリード20は第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有している。発光素子10は、第1のインナーリード部20a上にダイボンド部材を介して載置されている。第1のインナーリード部20aは、発光素子10が持つ第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは第1の樹脂成形体40から露出している。第1のリード20は、第1の樹脂成形体40の側面外側に第1のアウターリード部20bを有しているだけでなく、第1の樹脂成形体40の裏面側に露出している部分を第1のアウターリード部20bと呼ぶ場合もあり、第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第1のリード20は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。
【0059】
第2のリード30は第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有している。第2のインナーリード部30aは、発光素子10が持つ第2の電極12とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第2のアウターリード部30bは第1の樹脂成形体40から露出している。第2のリード30は、第2の樹脂成形体40の側面外側に第2のアウターリード部30bを有しているだけでなく、第2の樹脂成形体40の裏面側に露出している部分を第2のアウターリード部30bと呼ぶ場合もあり、第2のアウターリード部30bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第2のリード30は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。第1のリード20と第2のリード30とが短絡しないように、裏面側における第1のリード20と第2のリード30との近接する部分に絶縁部材90を設ける。
【0060】
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子10を載置している。第1の樹脂成形体40は、トランスファ・モールドにより成形する。第1の樹脂成形体40は、熱硬化性樹脂を用いている。凹部40cの開口部は、底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられていることが好ましい。
【0061】
第2の樹脂成形体50は、発光素子10を被覆するように凹部40c内に配置している。第2の樹脂成形体50は、熱硬化性樹脂を用いている。第2の樹脂成形体50は蛍光物質80を含有する。蛍光物質80は、第2の樹脂成形体50よりも比重の大きいものを使用しているため、凹部40cの底面40a側に沈降している。
【0062】
本明細書において、発光素子10が載置されている側を主面側と呼び、その反対側を裏面側と呼ぶ。
【0063】
第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50とは熱硬化性樹脂を用いており、膨張係数などの物理的性質が近似していることから密着性が極めて良い。また、上記構成にすることにより、耐熱性、耐光性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0064】
以下、各構成部材について詳述していく。
【0065】
<発光素子>
発光素子10は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
【0066】
屋外などでの使用を考慮する場合、高輝度な発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、また、赤色ではガリウム・アルミニウム・砒素系の半導体やアルミニウム・インジュウム・ガリウム・燐系の半導体を用いることが好ましいが、用途によって種々利用することもできる。
【0067】
窒化ガリウム系化合物半導体を使用した場合、半導体基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnOやGaN単結晶等の材料が用いられる。結晶性の良い窒化ガリウムを量産性良く形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。窒化物系化合物半導体を用いた発光素子10例を示す。サファイヤ基板上にGaN、AlN等のバッファー層を形成する。その上にN或いはP型のGaNである第1のコンタクト層、量子効果を有するInGaN薄膜である活性層、P或いはN型のAlGaNであるクラッド層、P或いはN型のGaNである第2のコンタクト層を順に形成した構成とすることができる。窒化ガリウム系化合物半導体は、不純物をドープしない状態でN型導電性を示す。なお、発光効率を向上させる等所望のN型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、N型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。
【0068】
一方、P型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、P型ドーパンドであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化ガリウム系半導体は、P型ドーパントをドープしただけではP型化しにくいためP型ドーパント導入後に、炉による加熱、低電子線照射やプラズマ照射等によりアニールすることでP型化させる必要がある。こうして形成された半導体ウエハーを部分的にエッチングなどさせ正負の各電極を形成させる。その後半導体ウエハーを所望の大きさに切断することによって発光素子を形成させることができる。
【0069】
こうした発光素子10は、適宜複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における混色性を向上させることもできる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子10を2個、青色系及び赤色色系が発光可能な発光素子10をそれぞれ1個ずつとすることが出来る。なお、表示装置用のフルカラー発光装置として利用するためには赤色系の発光波長が610nmから700nm、緑色系の発光波長が495nmから565nm、青色系の発光波長が430nmから490nmであることが好ましい。本発明の表面実装型発光装置において白色系の混色光を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化されにくい部材との組み合わせにより400nmより短い紫外線領域或いは可視光の短波長領域を主発光波長とする発光素子を用いることもできる。
【0070】
発光素子10の大きさは□1mmサイズが実装可能で、□600μm、□320μmサイズ等のものも実装可能である。
【0071】
<第1の樹脂成形体>
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有している。第1の樹脂成形体40は、凹部40cの底面aから外側に延びる第1のリード20及び第2のリード30を一体成形している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、凹部40cの底面40aの一部を形成している。第2のリード30の第2のインナーリード部30aは、凹部40cの底面40aの一部を形成しており、第1のインナーリード部20aと所定の間隔離れている。凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aに発光素子10を載置する。凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aと、凹部40cの底面40aに相当する第2のインナーリード部30aと、第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bは、第1の樹脂成形体40から露出している。裏面側の第1のリード20及び第2のリード30は露出している。これにより裏面側から電気接続することができる。
【0072】
凹部40cは、開口方向に広口となるように傾斜を設ける。これにより前方方向への光の取り出しを向上することができる。ただし、傾斜を設けず、円筒形状の凹部とすることもできる。また、傾斜は滑らかな方が好ましいが凹凸を設けることもできる。凹凸を設けることにより第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50との界面の密着性を向上することができる。凹部40cの傾斜角度は、底面から測定して95°以上150°以下が好ましいが、100°以上120°以下が特に好ましい。
【0073】
第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であるが、楕円、円形、五角形、六角形等とすることもできる。凹部40cの主面側の形状は、楕円であるが、略円形、矩形、五角形、六角形等とすることも可能である。所定の場合に、カソードマークを付けておく。
【0074】
第1の樹脂成形体40の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。例えば、トリグリシジルイソシアヌレート(化1)、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(化2)他よりなるエポキシ樹脂と、ヘキサヒドロ無水フタル酸(化3)、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(化4)、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(化5)他よりなる酸無水物とを、エポキシ樹脂へ当量となるよう溶解混合した無色透明な混合物100重量部へ、硬化促進剤としてDBU(1,8-Diazabicyclo(5,4,0) undecene-7)(化6)を0.5重量部、助触媒としてエチレングリコール(化7)を1重量部、酸化チタン顔料を10重量部、ガラス繊維を50重量部添加し、加熱により部分的に硬化反応させBステージ化した固形状エポキシ樹脂組成物を使用することができる。
【0082】
第1の樹脂成形体40は、パッケージとしての機能を有するため硬質のものが好ましい。また、第1の樹脂成形体40は透光性の有無を問わないが、用途等に応じて適宜設計することは可能である。例えば、第1の樹脂成形体40に遮光性物質を混合して、第1の樹脂成形体40を透過する光を低減することができる。一方、表面実装型発光装置からの光が主に前方及び側方に均一に出射されるように、フィラーや拡散剤を混合しておくこともできる。また、光の吸収を低減するために、暗色系の顔料よりも白色系の顔料を添加しておくこともできる。このように、第1の樹脂成形体40は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。
【0083】
<第1のリード及び第2のリード>
第1のリード20は、第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有する。第1のインナーリード部20aにおける第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aは露出しており、発光素子10を載置する。この露出された第1のインナーリード部20aは、発光素子10を載置する面積を有していればよいが、熱伝導性、電気伝導性、反射効率などの観点から広面積の方が好ましい。第1のインナーリード部20aは、発光素子10の第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは、発光素子10が載置されている部分を除く、第1の樹脂成形体40から露出している部分である。第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続されるとともに熱伝達する作用も有する。
【0084】
第2のリード30は、第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有する。第2のインナーリード部30aにおける第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aは露出している。この露出された第2のインナーリード部30bは、発光素子10の第2の電極12と電気的に接続する面積を有していればよいが、反射効率の観点から広面積の方が好ましい。裏面側の第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとは露出しており、実質的に同一平面を形成している。これにより表面実装型発光装置の実装安定性を向上することができる。また半田付け時に第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30aの裏面間が半田により短絡することを防止するため、電気絶縁性の絶縁部材90を薄くコーティングすることもできる。絶縁部材90は樹脂などである。
【0085】
第1のリード20及び第2のリード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20及び第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のリード20及び第2のリード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を向上させるため第1のリード20及び第2のリード300の面積は大きくすることができる。これにより発光素子10の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子10に比較的多くの電気を流すことができる。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより放熱性を向上することができる。この場合、第1のリード20及び第2のリード30を折り曲げるなどの成形工程が困難であるため、所定の大きさに切断する。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより、第1のリード20及び第2のリード30のたわみが少なくなり、発光素子10の実装をし易くすることができる。これとは逆に、第1のリード20及び第2のリード30を薄い平板状とすることにより折り曲げる成形工程がし易くなり、所定の形状に成形することができる。
【0086】
第1のリード20及び第2のリード30は、一対の正負の電極である。第1のリード20及び第2のリード30は、少なくとも1つずつあれば良いが、複数設けることもできる。また、第1のリード20に複数の発光素子10を載置する場合は、複数の第2のリード30を設ける必要もある。
【0087】
<第2の樹脂成形体>
第2の樹脂成形体50は、外部環境からの外力や埃、水分などから発光素子10を保護するために設ける。また、発光素子10から出射される光を効率よく外部に放出することができる。第2の樹脂成形体50は、第1の樹脂成形体40の凹部40c内に配置している。
【0088】
第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。第2の樹脂成形体50は、発光素子10を保護するため硬質のものが好ましい。また、第2の樹脂成形体50は、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂を用いることが好ましい。第2の樹脂成形体50は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。第2の樹脂成形体50中には拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。さらに、第2の樹脂成形体50は、発光素子10からの光を吸収し、波長変換する蛍光物質80を含有させることもできる。
【0089】
(蛍光物質)
蛍光物質80は、発光素子10からの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体・サイアロン系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
【0090】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、M
2Si
5N
8:Eu、CaAlSiN
3:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。また、M
2Si
5N
8:EuのほかMSi
7N
10:Eu、M
1.8Si
5O
0.2N
8:Eu、M
0.9Si
7O
0.1N
10:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などもある。
【0091】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi
2O
2N
2:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
【0092】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活されるサイアロン系蛍光体は、M
p/2Si
12−p−qAl
p+qO
qN
16−p:Ce、M−Al−Si−O−N(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。qは0〜2.5、pは1.5〜3である。)などがある。
【0093】
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体には、M
5(PO
4)
3X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0094】
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体には、M
2B
5O
9X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0095】
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体には、SrAl
2O
4:R、Sr
4Al
14O
25:R、CaAl
2O
4:R、BaMg
2Al
16O
27:R、BaMg
2Al
16O
12:R、BaMgAl
10O
17:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0096】
アルカリ土類硫化物蛍光体には、La
2O
2S:Eu、Y
2O
2S:Eu、Gd
2O
2S:Euなどがある。
【0097】
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体には、Y
3Al
5O
12:Ce、(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ce、Y
3(Al
0.8Ga
0.2)
5O
12:Ce、(Y,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTb
3Al
5O
12:Ce、Lu
3Al
5O
12:Ceなどもある。
【0098】
その他の蛍光体には、ZnS:Eu、Zn
2GeO
4:Mn、MGa
2S
4:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
【0099】
上述の蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
【0100】
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0101】
これらの蛍光体は、発光素子10の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色に発光スペクトルを有する蛍光体を使用することができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する蛍光体も使用することができる。これらの蛍光体を種々組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する表面実装型発光装置を製造することができる。
【0102】
例えば、青色に発光するGaN系化合物半導体を用いて、Y
3Al
5O
12:Ce若しくは(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ceの蛍光物質に照射し、波長変換を行う。発光素子10からの光と、蛍光体60からの光との混合色により白色に発光する表面実装型発光装置を提供することができる。
【0103】
例えば、緑色から黄色に発光するCaSi
2O
2N
2:Eu、又はSrSi
2O
2N
2:Euと、蛍光体である青色に発光する(Sr,Ca)
5(PO
4)
3Cl:Eu、赤色に発光する(Ca,Sr)
2Si
5N
8:Euと、からなる蛍光体60を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する表面実装型発光装置を提供することができる。これは、色の三源色である赤・青・緑を使用しているため、第1の蛍光体及び第2の蛍光体の配合比を変えることのみで、所望の白色光を実現することができる。
【0104】
(その他)
表面実装型発光装置には、さらに保護素子としてツェナーダイオードを設けることもできる。ツェナーダイオードは、発光素子10と離れて凹部40cの底面40aの第1のリード20に載置することができる。また、ツェナーダイオードは、凹部40cの底面40aの第1のリード20に載置され、その上に発光素子10を載置する構成を採ることもできる。□280μmサイズの他、□300μmサイズ等も使用することができる。
【0105】
ワイヤ60は、発光素子10の第2の電極12と第2のリード30、発光素子10の第1の電極11と第1のリード20、を電気的に接続するものである。ワイヤ60は、発光素子10の電極とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性が良いものが求められる。熱伝導率として0.01cal/(S)(cm
2)(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは0.5cal/(S)(cm
2)(℃/cm)以上である。発光素子10の直上から、メッキを施した配線パターンのワイヤボンディングエリアまで、ワイヤを張り、導通を取っている。
【0106】
以上の構成を採ることにより、本発明に係る表面実装型発光装置を提供することができる。
【0107】
<表面実装型発光装置の実装状態>
上記表面実装型発光装置を用いて、外部電極と電気的に接続した実装状態を示す。
図3は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【0108】
表面実装型発光装置の裏面側に放熱接着剤100を介して放熱部材110を設けることができる。この放熱接着剤100は、第1の樹脂成形体40の材質よりも熱伝導性が高いものが好ましい。放熱接着剤100の材質は、電気絶縁性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。放熱部材110の材質は熱電導性の良好なアルミ、銅、タングステン、金などが好ましい。このほか、第1のリード20のみに接触するように放熱接着剤109を介して放熱部材110を設けることにより、放熱接着剤として更に熱電導性の良い半田を含む共晶金属を用いることができる。表面実装型発光装置の裏面側は平坦となっていることから、放熱部材110への実装時の安定性を保持することができる。特に、発光素子10と最短距離をとるように第1のリード20及び放熱部材110を設けているため、放熱性は高い。
【0109】
第1のリード20の第1のアウターリード部20b及び第2のリード30の第2のアウターリード部30bは外部電極と電気的に接続する。第1のリード20と第2のリード30は厚肉の平板であるため、外部電極と放熱部材90とで挟み込むように電気的に接続する。第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bと外部電極との電気的接続には鉛フリー半田を用いる。この他、外部電極に第1のアウターリード部20b等を載置するように電気的接続することもできる。
【0110】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。
図4は、第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【0111】
この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。
【0112】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。
図5は、第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【0113】
この表面実装型発光装置は、第1のリード22及び第2のリード32に薄肉に平板を用いている。これによりより小型かつ薄型の表面実装型発光装置を提供することができる。薄肉の平板状は、第1の実施の形態に示すような矩形状とすることができるほか、第2の実施の形態に示すような凹凸を設けた形状とすることもできる。
【0114】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。
図6は、第4の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【0115】
この表面実装型発光装置は、第1のリード23及び第2のリード33を主面側に折り曲げている。これは第1のリード23及び第2のリード33を薄肉にしているため、容易に折り曲げることができる。これにより実装時に、折り曲げた第1のアウターリード部23b及び第2のアウターリード部33bに半田が這い上がり、強固に固着することができる。第1の樹脂を流し込むトランスファ・モールド工程において、上金型と下金型で第1のインナーリード部23a及び第2のインナーリード部33bを挟み込んでいるため、第1のインナーリード部23a及び第2のインナーリード部33bが薄肉であっても、バリを生じることがない。
【0116】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。
図7は、第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
図8は、第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【0117】
この表面実装型発光装置は、第1のアウターリード部24b及び第2のアウターリード部34bを主面側に折り曲げ、さらに外側に折り曲げている。これにより、放熱部材90と外部電極とで表面実装型発光装置を挟み込めるため実装しやすくなっており、実装安定性を向上することができる。また、第1のリード24及び第2のリード34と放熱部材90との固着位置よりも、第1のリード24及び第2のリード34と外部電極との接続位置を高くすることができる。これにより実装基板上より発光面を除く表面実装型発光装置全体を隠すことができるため実装基板そのものを効率良く反射材として利用することができる。
【0118】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。
図9は、第6の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【0119】
この表面実装型発光装置は、放熱部材91を第1の樹脂成形体41に組み込んでいる。放熱部材91は、第1のインナーリード部25aの裏面に配置する。これにより放熱部材91を一体的に持つ表面実装型発光装置を提供することができる。また、別部材として放熱部材91を設ける必要がなく、表面実装型発光装置と放熱部材91との接着を考慮しなくてよい。また、放熱部材91を第1の樹脂成形体41の裏面側とほぼ同一平面とすることができ、表面実装型発光装置の安定性を向上することができる。第1のアウターリード部25bと第2のアウターリード部35bは、所定の形状に折り曲げられている。
【0120】
この表面実装型発光装置は、第1のインナーリード部25aと第2のインナーリード部35aとを上金型と下金型とで挟み込んで、所定の凹部を第1のインナーリード部25aと第2のインナーリード部35aとの主面側と裏面側に設けている。これにより、より効果的に第1のインナーリード部25aと第2のインナーリード部35aの抜脱を防止することができる。また、所定の厚みを持つ表面実装型発光装置を提供することができる。
【0121】
<表面実装型発光装置の製造方法>
本発明に係る表面実装型発光装置の製造方法について説明する。本製造方法は、上述の表面実装型発光装置についてである。
図10(a)〜(e)は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0122】
第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30a並びに第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを、上金型120と下金型121とで挟み込む(第1の工程)。
【0123】
上金型120は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成している。第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aに相当する上金型120の部分は、第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aとを接触するように形成されている。
【0124】
上金型120と下金型121とで挟み込まれた凹み部分に第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込む(第2の工程)。
【0125】
トランスファ・モールド工程は、所定の大きさを有するペレット状の第1の熱硬化性樹脂を所定の容器に入れる。その所定の容器に圧力を加える。その所定の容器から繋がる上金型120と下金型121とで挟み込まれた凹み部分に、溶融状態の第1の熱硬化性樹脂が流し込む。上金型120と下金型121とを所定の温度に温め、その流し込まれた第1の熱硬化性樹脂を硬化する。この一連の工程をトランスファ・モールド工程という。
【0126】
第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aを挟み込むため、第1の熱硬化性樹脂を流し込む際に第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aがばたつくことがなく、バリの発生を抑制できる。
【0127】
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体40を成形する(第3の工程)。
【0128】
これにより、熱硬化性樹脂を用いた第1の樹脂成形体40を成形する。これにより耐熱性、耐光性、密着性等に優れたパッケージを提供することができる。また、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有する熱硬化性樹脂を用いた第1の樹脂成形体40を提供することができる。
【0129】
上金型120及び下金型121を取り外す(第4の工程)。
【0130】
発光素子10を載置するため、上金型120及び下金型121を取り外す。硬化が不十分な場合は後硬化を行い作業上問題が発生しない程度に樹脂成形体40の機械強度を向上させる。
【0131】
発光素子10は第1のインナーリード部20aに載置する。発光素子10が持つ第1の電極11と第1のインナーリード部20aとを電気的に接続する。発光素子10が持つ第2の電極12と第2のインナーリード部20bとを電気的に接続する(第5の工程)。
【0132】
第1の電極11と第1のインナーリード部20aとはワイヤ60を介して電気的に接続する。ただし、発光素子10が上面と下面に電極を持つ場合は、ワイヤを用いず、ダイボンディングのみで電気的接続をとる。次に第2の電極12と第2のインナーリード部30aとはワイヤ60を介して電気的に接続する。
【0133】
発光素子10が載置された凹部40c内に第2の熱硬化性樹脂を配置する(第6の工程)。
【0134】
この第2の熱硬化性樹脂を配置する方法は、滴下手段や射出手段、押出手段などを用いることができるが、滴下手段を用いることが好ましい。滴下手段を用いることにより凹部40c内に残存する空気を効果的に追い出すことができるからである。第2の熱硬化性樹脂は、蛍光物質80を混合しておくことが好ましい。これにより表面実装型発光装置の色調調整を容易にすることができる。
【0135】
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体を成形する(第7の工程)。
【0136】
これにより容易に表面実装型発光装置を製造することができる。また、第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50とを熱硬化性樹脂で成形することができ、密着性の高い表面実装型発光装置を提供することができる。また、第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50との界面の剥離が生じず、耐熱性、耐光性、密着性性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【実施例1】
【0137】
実施例1に係る表面実装型発光装置は
図1及び
図2に示す。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様の構成を採るところは説明を省略する。
【0138】
実施例1に係る表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する。第1の樹脂成形体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30と、を一体成形している。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有しており、凹部40cの開口部は底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられている。
【0139】
発光素子10は青色に発光するGaN系のものを使用する。発光素子10は同一面側に第1の電極11と第2の電極12とを有しており、ダイボンド樹脂(銀入りのエポキシ樹脂)を用いてフェイスアップで第1のリード20に接着されている。第1の電極11は金ワイヤ60を用いて第1のリード20と電気的に接続されている。第2の電極11も金ワイヤ60を用いて第2のリード30と電気的に接続されている。第1のリード20及び第2のリード30は母材に銅を用い、第1の樹脂成形体40から露出する部分に銀メッキを施している。第1のリード20及び第2のリード30はやや厚板(約0.5mm)のものを用い、第1のリード20及び第2のリード30の裏面側は露出している。第1の樹脂成形体40はトリグリシジルイソシアヌレートよりなるエポキシ樹脂とヘキサヒドロ無水フタル酸よりなる酸無水物とを当量比用いてなる混合物100重量部と、DBU0.5重量部、エチレングリコール1重量部、酸化チタン顔料10重量部、ガラス繊維50重量部を添加したものを用いる。第2の樹脂成形体50はシリコーン樹脂を用いる。第2の樹脂成形体50には(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ceの組成を有するYAG系蛍光体80を均一に混合している。底面40aと側面40bとを持つ凹部40cに第2の樹脂成形体50を配置しており、第2の樹脂成形体50の表面は凹部40cの上面と一致する。これにより製品毎のYAG系蛍光体80の量を均一にしている。第1のリード20と第2のリード30の裏面側に所定の厚さのエポキシ樹脂シートなる絶縁部材90を貼着している。
【0140】
実施例1に係る表面実装型発光装置は以下の工程により製造される。
図10は実施例1に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0141】
所定のリードフレームに打ち抜きを行い、複数個の第1のリード20と第2のリード30とを設ける。約150℃に加熱した下金型121へリードフレームを固定する。同様に約150℃に加熱した上金型120でリードフレームを挟み込む。挟み込みは第1のリード20と第2のリード30のインナーリード部20a、30a、アウターリード部20b、30bに相当する部分である。第1の樹脂成形体40に相当する上記のエポキシ樹脂組成物を打錠し得たタブレットを金型シリンダー部に配置する。このタブレットをピストンにより金型内へ流し込む(トランスファ・モールド)。この流し込まれたエポキシ樹脂を金型内で約150℃約3分間の加熱を行い仮硬化する。次に上金型120と下金型121とを分割して上記のエポキシ樹脂組成物の半硬化物を金型内から取り出す。取り出した後、さらに約150℃約3時間の加熱を行い本硬化する。これによりリードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームを得る。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成しており、底面40aはリードフレームが露出している。このリードフレームのアウターリード部20b、30bに相当する部分にメッキ処理を施す。
【0142】
次に、凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンドする。発光素子10の持つ第1の電極11と第1のリード20の第1のインナーリード部20a、第2の電極12と第2のリード30の第2のインナーリード部30aとをそれぞれワイヤ60を用いて電気的に接続する。
【0143】
次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下する。シリコーン樹脂の粘度等により、YAG系蛍光体80が沈降する。YAG系蛍光体80が沈降することにより発光素子10の周辺にYAG系蛍光体を配置することができ、所定の色調を有する表面実装型発光装置を提供することができる。シリコーン樹脂を滴下後、硬化して、第2の樹脂成形体50を形成する。
【0144】
最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成する。これにより実施例1に係る表面実装型発光装置を製造することができる。