(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶媒中、金属および/または金属化合物を担体に担持させてなる金属担持体に対し、前記金属および/または前記金属化合物に対して親和性を示す高分子保護剤を接触させることで、前記金属および/または前記金属化合物が粒子の形態にて溶媒中に分散してなる、金属含有粒子の分散液を得る、金属含有粒子の分散液の製造方法であって、前記担体が、カーボン、活性白土、タルク、クレー、アルミナゲル、シリカ、けいそう土または合成ゼオライトである製造方法。
前記金属担持体が、前記金属および/または前記金属化合物として、白金族元素および/または白金族元素含有化合物を担体に担持させてなるものである請求項1に記載の金属含有粒子の分散液の製造方法。
溶媒中、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた金属含有粒子の分散液の存在下で、共役ジエン系重合体を水素化する水素化共役ジエン系重合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
金属含有粒子の分散液の製造方法
本発明の金属含有粒子の分散液の製造方法は、溶媒中、金属および/または金属化合物を担体に担持させてなる金属担持体に対し、前記金属および/または前記金属化合物に対して親和性を示す高分子保護剤を接触させることで、前記金属および/または前記金属化合物が粒子の形態にて溶媒中に分散してなる、金属含有粒子の分散液を得ることを特徴とする。
【0014】
本発明の製造方法で用いる金属担持体は、金属および/または金属化合物を担体に担持させてなるものである。
【0015】
金属担持体を構成する金属および/または金属化合物としては、共役ジエン系重合体をはじめ、各種化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合等の水素化反応の触媒として用いられる金属あるいは金属化合物であればよく、特に限定されないが、触媒活性の観点より、白金族元素および/または白金族元素含有化合物、すなわち、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムもしくは白金、またはこれらを含有する化合物が好ましく用いられる。これらのなかでも、パラジウム、ロジウム、またはこれらの化合物が好ましく、パラジウムまたはパラジウム化合物がより好ましい。また、2種以上の白金族元素、白金族元素含有化合物を併用してもよいが、その場合もパラジウムやパラジウム化合物を主たる触媒成分とすることが好ましい。
【0016】
パラジウム化合物は、通常、II価またはIV価のパラジウム化合物が用いられ、その形態は塩や錯塩である。
【0017】
パラジウム化合物としては、たとえば、酢酸パラジウム、シアン化パラジウム、フッ化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、水酸化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラシアノパラジウム酸カリウムなどが挙げられる。
【0018】
これらのパラジウム化合物の中でも、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、へキサクロロパラジウム酸アンモニウムが好ましく、酢酸パラジウム、硝酸パラジウムおよび塩化パラジウムがより好ましい。
【0019】
ロジウム化合物としては、例えば、塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ロジウム、酢酸ロジウム、蟻酸ロジウム、プロピオン酸ロジウム、酪酸ロジウム、吉草酸ロジウム、ナフテン酸ロジウム、アセチルアセトン酸ロジウム、酸化ロジウム、三水酸化ロジウムなどが挙げられる。
【0020】
金属担持体を形成するための担体としては、一般的に金属触媒の担体として用いられているものであればよいが、具体的には、一般的に吸着剤として使用されている活性炭;ケイ素、アルミニウム、マグネシウムなどを含有する無機化合物;が好ましい。
【0021】
このような担体としては、活性炭などのカーボン、活性白土、タルク、クレー、アルミナゲル、シリカ、けいそう土、合成ゼオライトなど公知の触媒用担体の中から適宜に選択することが好ましく、また、担体への、触媒成分としての金属または金属化合物の担持方法としては、たとえば、含浸法、コーティング法、噴霧法、沈殿法などが挙げられる。金属または金属化合物の担持量は、触媒成分としての金属または金属化合物と担体との合計量に対する、金属または金属化合物の割合で、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
【0022】
本発明の製造方法で用いる高分子保護剤としては、金属担持体に担持される金属および/または金属化合物に対し親和性を示す高分子材料であり、金属担持体に担持される金属および/または金属化合物と相互作用することで、このような金属および/または金属化合物を粒子の形態にて、これらの粒子を保護した状態にて、溶媒中に分散させるものである。このような高分子保護剤としては、特に限定されないが、金属担持体に担持される金属および/または金属化合物に対する親和性の観点より、極性基を有する高分子が好ましく、なかでも、アルコキシル基、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、およびシアノ基からなる群から選択される少なくとも1つの極性基を有する高分子がより好ましく、アルコキシル基、カルボニル基、エーテル基、およびシアノ基からなる群から選択される少なくとも1つの極性基を有する高分子がより好ましい。このような高分子保護剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリメチルビニルエーテルなどの側鎖に極性基を有するビニル化合物の重合体;ポリアクリル酸のナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなどのポリアクリル酸の金属塩;ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリエーテル;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;ゼラチン、アルブミンなどの天然高分子;ポリエチレンイミン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの窒素原子含有高分子;などが挙げられる。これらの中でも、金属担持体に担持される金属および/または金属化合物に対し親和性の観点からは、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールが好ましく、ポリビニルピロリドンがより好ましい。また、本発明の製造方法により得られる金属化合物の粒子の分散液を、共役ジエン系重合体の一例としてのアクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水素化触媒として使用する場合には、水素化反応の対象となる重合体との相互作用をより高めることができるという観点より、高分子保護剤としてアクリロニトリル−ブタジエン共重合体を用いることも好適である。高分子保護剤は、1種単独で用いてもよいし、あるいは、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明の製造方法で用いる高分子保護剤の重量平均分子量は、好ましくは500〜1,000,000であり、より好ましくは1,000〜500,000である。重量平均分子量を上記範囲とすることで、金属および/または金属化合物を粒子の形態にて、溶媒中に分散させる際に、金属の粒子および/または金属化合物の粒子(すなわち、金属含有粒子)をより適切に保護することができ、これにより、溶媒中における金属含有粒子の分散性、および水素化触媒としての触媒活性をより良好なものとすることができる。高分子保護剤の重量平均分子量は、たとえば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算での値として求めることができる。
【0024】
また、本発明の製造方法においては、溶媒中において、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させるものであるが、この際に用いる溶媒としては、特に限定されないが、高分子保護剤を溶解可能な溶媒が好ましく、高分子保護剤との親和性が良好であり、これにより金属含有粒子の分散性をより高めることができるという観点より、溶解度パラメータが6.6〜24.0(cal/cm
3)
1/2の範囲にあるものがより好ましく、溶解度パラメータが7.0〜23.5(cal/cm
3)
1/2の範囲にあるものが特に好ましい。このような溶媒としては、たとえば、水、メタノール、エタノール、イソピロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどが挙げられる。なお、本発明の製造方法において、溶媒を選択する際には、共役ジエン系重合体を水素化反応させる際に用いる溶媒に対する親和性の観点から選択してもよく、たとえば、水素化反応に用いる溶媒と親和性の高い溶媒や、あるいは、水素化反応に用いる溶媒と同じ溶媒を選択することが好ましい。たとえば、水素化反応させる際に用いる溶媒が水である場合(すなわち、共役ジエン系重合体の水分散液である場合)には、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させる際に用いる溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、イソピロピルアルコール、アセトンなど水に対して親和性の高い溶媒を選択することができる。あるいは、水素化反応させる際に用いる溶媒がメタノール、エタノール、イソピロピルアルコール、アセトンなどの有機溶媒である場合には、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させる際に用いる溶媒としては、これらと同じ溶媒を選択すればよい。
【0025】
そして、本発明の製造方法では、溶媒中、上述した金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させることで、金属担持体に含まれる金属および/または金属化合物が粒子の形態にて溶媒中に分散してなる、金属含有粒子の分散液を得るものである。なお、溶媒中、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、溶媒中において、金属担持体と、高分子保護剤とを撹拌する方法などが挙げられる。
【0026】
溶媒中において、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させる際における、金属担持体と、高分子保護剤との使用量は、「高分子保護剤/金属担持体中の金属と金属化合物との合計」の重量比率で、好ましくは0.1〜1,000、より好ましくは0.2〜900、さらに好ましくは0.5〜800である。これらの使用量を上記範囲とすることにより、得られる金属含有粒子の分散液中における分散性をより安定させることができ、これにより、水素化触媒としての触媒活性をより高めることができる。
【0027】
溶媒中において、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させる際における、雰囲気としては、特に限定されないが、金属担持体の表面に担持した金属および/または金属化合物を、溶媒中により多く分散させることができるという観点より、水素ガス雰囲気などの還元雰囲気とすることが好ましい。なお、この際における、水素の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0〜5MPa、より好ましくは0.01〜3MPa、さらに好ましくは0.1〜2MPaである。また、還元雰囲気とする方法に代えて、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)などの還元剤を系中に添加する方法を採用してもよい。
【0028】
また、金属担持体と、高分子保護剤とを撹拌する方法を採用する場合における、攪拌速度は、特に限定されないが、好ましくは1〜100rpm、より好ましくは5〜40rpmであり、攪拌時間は、好ましくは5〜600分、より好ましくは10〜120分である。また、攪拌温度は、好ましくは0〜80℃、より好ましくは5〜50℃である。
【0029】
そして、本発明の製造方法によれば、溶媒中において、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させることにより、金属担持体に含まれる金属および/または金属化合物が粒子の形態にて溶媒中に分散してなる、金属含有粒子の分散液を得ることができる。なお、このようにして得られた金属含有粒子の分散液に対し、必要に応じて、濾過等により、金属担持体を除去してもよい。
【0030】
このようにして得られる金属含有粒子の分散液は、金属担持体に含まれる金属および/または金属化合物が粒子の形態にて、高分子保護剤に保護された状態で(高分子保護剤と相互作用した状態で)、分散したものであり、該分散液に含まれる金属含有粒子は、通常、ナノオーダーサイズ(具体的には、数nm〜数十nmのオーダー)の粒子として、分散されたものとなり、また、このような金属含有粒子としては、金属担持体に含まれる金属および/または金属化合物の形態の他、イオン化した状態で分散したものであってもよい。特に、本発明の製造方法においては、金属および/または金属化合物を担体に担持させてなる金属担持体を原料として用いるものであるが、金属担持体においては、金属および/または金属化合物は、通常、ナノオーダーサイズの粒子状に担持されているものである。そして、本発明の製造方法によれば、このような金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させることで、高分子保護剤の作用により、ナノオーダーサイズの粒子状態を適切に保った状態にて、金属および/または金属化合物を、溶媒中に分散させることができるものであり、これにより、高い触媒活性を実現できるものである。
【0031】
水素化共役ジエン系重合体の製造方法
本発明の水素化共役ジエン系重合体の製造方法は、溶媒中、上述した製造方法により得られる金属含有粒子の分散液の存在下で、共役ジエン系重合体を水素化する工程を備えるものである。
【0032】
本発明において、水素化とは、共役ジエン系重合体に含まれる炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素添加して飽和結合に変換する反応である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体単独で、もしくは共役ジエン単量体と共重合可能な単量体を該共役ジエン単量体と組み合わせて、従来公知の乳化重合法または溶液重合法により、好ましくは乳化重合法により製造される重合体である。
【0033】
共役ジエン系重合体を形成するための共役ジエン単量体としては、共役ジエン構造を有する重合性単量体であれば、特に限定されず、たとえば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらの中でも1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
【0034】
共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、クロトンニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体;アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、メチルメタクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタアクリルアミドなどのα,β−エチレン不飽和カルボン酸アミド;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのビニル芳香族化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸のビニルエステル;フルオロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;などが挙げられる。
【0035】
本発明で用いる共役ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体、メタアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メタアクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタアクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0036】
上記共役ジエン系重合体の中でも、水素化共役ジエン系重合体の製造原料としての実用性や汎用性の観点からは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メタアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体が好ましく、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体がより好ましい。
【0037】
共役ジエン系重合体を構成する単量体単位の組成比は特に限定されないが、共役ジエン単量体単位5〜100重量%、これと共重合可能な単量体の単位95〜0重量%であることが好ましく、共役ジエン単量体単位10〜90重量%、これと共重合可能な単量体の単位90〜10重量%であることがより好ましい。また、共役ジエン系重合体の重量平均分子量(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法、標準ポリスチレン換算)も特に限定されないが、通常5,000〜500,000である。
【0038】
共役ジエン系重合体の好適な調製方法としての乳化重合法は、一般的にラジカル重合開始剤を用いて水系媒体中で重合を行うものであり、乳化重合法において、重合開始剤や分子量調整剤は公知のものを使用すればよい。重合反応は回分式、半回分式、連続式のいずれでもよく、重合温度や圧力も特に制限されない。使用する乳化剤も特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを使用できるが、アニオン性界面活性剤が好ましい。これらの乳化剤は、それぞれ単独で使用しても2種以上を併用してもよい。その使用量は特に限定されない。
【0039】
乳化重合により得られる共役ジエン系重合体ラテックスの固形分濃度は特に限定されないが、通常2〜70重量%、好ましくは5〜60重量%である。その固形分濃度はブレンド法、希釈法、濃縮法など公知の方法により適宜調節することができる。
【0040】
共役ジエン系重合体の水素化反応は、乳化重合により得られるラテックスに対し、ラテックス状態のまま行ってもよいし、あるいは、乳化重合により得られるラテックスを、凝固・乾燥して得られる共役ジエン系重合体を、適当な有機溶媒に溶解して、重合体溶液の状態で行ってもよい。
【0041】
ラテックスの凝固・乾燥は、公知の方法により行えばよいが、凝固して得られるクラムと塩基性水溶液とを接触させる処理工程を設けることにより、得られる共役ジエン系重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解して測定される重合体溶液のpHが7を超えるように改質することが好ましい。THFに溶解して測定される重合体溶液のpHは、好ましくは7.2〜12、より好ましくは7.5〜11.5、最も好ましくは8〜11の範囲である。このクラムと塩基性水溶液との接触処理により、溶液系水素化を速やかに進行させることが可能となる。
【0042】
重合体溶液中における、共役ジエン系重合体の溶液濃度は、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは2〜40重量%である。有機溶媒としては、たとえば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンセンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。これらの有機溶媒の中でもケトン類が好ましく用いられ、アセトンが特に好適に用いられる。
【0043】
水素化反応をラテックス状態のまま行う場合には、重合体のラテックスと、上述した製造方法により得られる金属含有粒子の分散液とを混合し、水素ガス雰囲気下で攪拌することで、水素化反応を行えばよく、また、水素化反応を重合体溶液の状態で行う場合には、重合体溶液と、上述した製造方法により得られる金属含有粒子の分散液とを混合し、水素ガス雰囲気下で攪拌することで、水素化反応を行えばよい。
【0044】
水素化反応の温度は、通常0〜200℃、好ましくは5〜150℃、より好ましくは10〜100℃である。水素化反応の温度を上記範囲とすることにより、副反応を抑えながら、反応速度を十分なものとすることができる。
【0045】
水素化反応を行う際における、水素の圧力は、通常、ゲージ圧で、0.1〜20MPaであり、好ましくは0.1〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜50時間である。なお、水素ガスは、先ず窒素などの不活性ガスで反応系を置換し、さらに水素で置換した後に加圧することが好ましい。
【0046】
水素化反応を行う際における、金属含有粒子の分散液の使用量は、水素化に用いる共役ジエン系重合体100重量%に対し、金属含有粒子の分散液中に含まれる、金属含有粒子中の金属量(すなわち、金属担持体に由来する、金属の粒子および金属化合物の粒子中の金属量)が10〜3,000重量ppmとなる量とすることが好ましく、50〜2,000重量ppmとなる量とすることがより好ましい。特に、本発明の製造方法により得られる金属含有粒子の分散液は、水素化反応触媒としての触媒活性に優れ、少量の使用量でも、高い水素化反応率を実現できるものであるため、このような観点より、金属含有粒子の分散液の使用量は上記範囲とすることが好ましい。
【0047】
本発明の製造方法により得られる金属含有粒子の分散液は、上記のように共役ジエン系重合体の水素化触媒として使用する場合に高い触媒活性を実現できるものであるが、それ以外の各種化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合等の水素化反応においても高い触媒活性を実現できるものである。具体的には、例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセンなどのオレフィン類;アセチレン;ベンズアルデヒド、シクロペンタノン、イソブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのアルデヒドおよびケトン類;ベンゾニトリル、アミノニトリルなどのニトリル類;などの水素化反応においても高い触媒活性を実現できる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
【0049】
水素添加率(a)
水素添加率(a)は、水素添加前のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のヨウ素価、および水素添加後のアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のヨウ素価を測定し、これらの割合から求めた。なお、ヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
水素添加率(b)
水素添加率(b)は、1,2−ジメチル−1−シクロヘキセンおよび1,2−ジメチル−1−シクロヘキサンの量をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、割合から求めた。
具体的には、FID検出器付きガスクロマト装置(Agilent Technologies社製)を、キャピラリーカラムとして、HP−1(60m×250μm×1.0μm)を用い、試料注入量:1.0μL、スプリット比:1/50、注入口温度:140℃、検出器温度:300℃、キャリヤガス:ヘリウム、および、キャリヤガス流量:1.0ml/minとし、オーブン温度:40℃の条件で加熱を開始し、40℃で10分間保持し、次いで、250℃まで10℃/minの速度で昇温させ、さらに、280℃まで20℃/minの速度で昇温させることにより行なった。そして、得られた分析結果から、面積比率により割合を求めた。
【0050】
製造例1
塩化パラジウム(II)(PdCl
2)3.3gを、1重量%塩酸水溶液250gに溶解させた。次いで、この溶液にシリカ98gを加えて一晩(12時間程度)静置させた後、エバポレーターにて水を蒸発させることで、粉末を得た。そして、得られた粉末を400℃、30分の条件にて焼成することで、パラジウムの酸化物がシリカに担持されてなる金属担持体PdO/SiO
2を得た。得られた金属担持体PdO/SiO
2中のパラジウム担持量は2重量%であった。
図1(A)に、製造例1で得られた金属担持体PdO/SiO
2の透過型顕微鏡写真(TEM像)を示す。
【0051】
製造例2
製造例1にて得られた金属担持体PdO/SiO
2を、水素雰囲気下、300℃で1時間の条件にて還元処理を行うことで、シリカに担持されているパラジウムの酸化物を還元させることで、パラジウムがシリカに担持されてなる金属担持体Pd/SiO
2を得た。得られた金属担持体Pd/SiO
2中のパラジウム担持量は2重量%であった。
【0052】
製造例3
シリカ98gに代えて、アルミナ98gを使用した以外は、製造例1と同様にして、パラジウムの酸化物がアルミナに担持されてなる金属担持体PdO/Al
2O
3を得た。そして、得られた金属担持体PdO/Al
2O
3について、製造例2と同様にして、還元処理を行うことで、パラジウムがアルミナに担持されてなる金属担持体Pd/Al
2O
3を得た。得られた金属担持体Pd/SiO
2中のパラジウム担持量は2重量%であった。
【0053】
製造例4
塩化パラジウム(II)(PdCl
2)3.3gに代えて、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H
2PtCl
6・6H
2O)5.3gを使用するとともに、シリカ98gに代えて、カーボン98gを使用した以外は、製造例1と同様にして、白金の酸化物がカーボンに担持されてなる金属担持体PtO/Cを得た。そして、得られた金属担持体PtO/Cについて、製造例2と同様にして、還元処理を行うことで、白金がカーボンに担持されてなる金属担持体Pt/Cを得た。得られた金属担持体Pt/C中の白金担持量は2重量%であった。
【0054】
製造例5
反応器に、オレイン酸カリウム2部、イオン交換水180部、アクリロニトリル37部、およびt−ドデシルメルカプタン0.5部を、この順に仕込んだ。次いで、反応器内部を窒素で置換した後、ブタジエン63部を添加し、反応器を10℃に冷却して、クメンハイドロパーオキサイド0.01部、および硫酸第一鉄0.01部を添加した。次いで、反応器を10℃に保ったまま内容物を16時間攪拌した。その後、反応器内へ10重量%のハイドロキノン水溶液を添加して重合反応を停止させた後、重合反応液から未反応の単量体を除去し、固形分濃度を30重量%に調整することで、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスを得た。なお、重合反応における、重合転化率は90%であった。また、得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスにおける共重合組成は、アクリロニトリル単位37重量%、ブタジエン単位63重量%であった。
【0055】
実施例1
100mlのステンレス加圧容器中に、製造例1で得られた金属担持体PdO/SiO
2 0.2g、ポリビニルピロリドン(PVP、ポリスチレン換算での重量平均分子量:10,000)の30重量%水溶液2gを加え、次いで、溶液の合計量が20gとなるように、水を加えた。なお、このときの溶液中のパラジウム濃度は0.020重量%であり、「ポリビニルピロリドン/パラジウム」の重量比は150であった。次いで、100mlステンレス加圧容器内部に水素を充填し、水素にて、1MPa(ゲージ圧)まで加圧し、加圧したステンレス加圧容器を、温度20℃に設定された恒温槽中に設置された回転具に固定し、回転数36rpm、1時間の条件にて回転させることで、ステンレス加圧容器内部の撹拌を行った。そして、攪拌後の溶液について、濾過を行うことで金属担持体を回収することで、ナノコロイド溶液(a1)を得た。
【0056】
そして、得られたナノコロイド溶液(a1)について、原子吸光測定によりパラジウム濃度を測定したところ、ナノコロイド溶液(a1)中のパラジウム濃度は0.016重量%であった。また、
図1(B)に、実施例1で得られたナノコロイド溶液(a1)の透過型顕微鏡写真(TEM像)を示す。なお、この透過型顕微鏡写真(TEM像)は、実施例1で得られたナノコロイド溶液(a1)を凝縮した状態で測定したものであり、
図1(B)に示す写真は、
図1(A)に示す写真と同様の倍率にて測定したものである。そして、
図1(A)と、
図1(B)とを比較することにより、製造例1により得られた金属担持体の表面に担持されているパラジウムの酸化物の粒子と、実施例1で得られたられたナノコロイド溶液(a1)中におけるパラジウムの酸化物の粒子とは、ほぼ同一の大きさであり、このことから、実施例1で得られたナノコロイド溶液(a1)は、製造例1により得られた金属担持体の表面に担持されているパラジウムの酸化物粒子が、その粒子径を保ったまま、均一に分散したものであるといえる(後述する実施例2〜7も同様)。すなわち、ナノコロイド溶液(a1)は、水中に、ナノオーダーのパラジウム酸化物(PdO)粒子が均一に分散してなるものであるといえる。
【0057】
次いで、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックス400部(固形分換算で120部)と、上記にて得られたナノコロイド溶液(a1)とを、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体100重量%に対して、ナノコロイド溶液(a1)中のパラジウム金属量が700重量ppmとなる量にて、攪拌機付オートクレーブに投入し、窒素ガスを10分間流してラテックス中の溶存酸素を除去した。次いで、系内を2回水素ガスで置換後、3MPaの水素を加圧した。次いで、内容物を50℃に加温し6時間攪拌し、水素化反応を行うことで、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b1)のラテックスを得た。そして、得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b1)について、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮することで、固形の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b1)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b1)の水素転加率を上記方法にしたがって測定したところ、水素添加率は93%であった。
【0058】
実施例2
ポリビニルピロリドン(PVP)の30重量%水溶液の使用量を2gから8gに変更するとともに(すなわち、「ポリビニルピロリドン/パラジウム」の重量比は600)、加圧したステンレス加圧容器を回転させ攪拌を行う際における、恒温槽の温度を20℃から50℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、水中に、ナノオーダーのパラジウム酸化物(PdO)粒子が均一に分散してなる、ナノコロイド溶液(a2)を得た。得られたナノコロイド溶液(a2)中のパラジウム濃度は0.019重量%であった。
そして、上記にて得られたナノコロイド溶液(a2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスの水素化反応を行い、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b2)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b2)の水素添加率は95%であった。
【0059】
実施例3
製造例1で得られた金属担持体PdO/SiO
2 0.2gに代えて、製造例2で得られた金属担持体Pd/SiO
2 0.2gを使用するとともに、ステンレス加圧容器中に水素を充填しなかった以外は、実施例1と同様にして、水中に、ナノオーダーのパラジウム粒子が均一に分散してなる、ナノコロイド溶液(a3)を得た。得られたナノコロイド溶液(a3)中のパラジウム濃度は0.004重量%であった。
そして、上記にて得られたナノコロイド溶液(a3)を使用した以外は、実施例1と同様にして、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスの水素化反応を行い、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b3)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b3)の水素添加率は90%であった。
【0060】
実施例4
製造例1で得られた金属担持体PdO/SiO
2 0.2gに代えて、製造例3で得られた金属担持体Pd/Al
2O
3 0.2gを使用するとともに、ポリビニルピロリドン(PVP)の30重量%水溶液2gに代えて、ポリメチルビニルエーテル(PMVE)30重量%水溶液2gを使用した以外は、実施例1と同様にして、水中に、ナノオーダーのパラジウム粒子が均一に分散してなる、ナノコロイド溶液(a4)を得た。得られたナノコロイド溶液(a4)中のパラジウム濃度は0.012重量%であった。
そして、上記にて得られたナノコロイド溶液(a4)を使用した以外は、実施例1と同様にして、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスの水素化反応を行い、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b4)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b4)の水素添加率は88%であった。
【0061】
実施例5
ポリビニルピロリドン(PVP)の30重量%水溶液2gに代えて、ポリエチレングリコール(PEG)30重量%水溶液2gを使用するとともに、溶媒として、水の代わりにメタノールを使用した以外は、実施例1と同様にして、メタノール中に、ナノオーダーのパラジウム粒子が均一に分散してなる、ナノコロイド溶液(a5)を得た。得られたナノコロイド溶液(a5)中のパラジウム濃度は0.014重量%であった。
そして、上記にて得られたナノコロイド溶液(a5)を使用した以外は、実施例1と同様にして、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスの水素化反応を行い、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b5)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b5)の水素添加率は85%であった。
【0062】
実施例6
ステンレス加圧容器中に水素を充填する代わりに、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)を添加した以外は、実施例1と同様にして、水中に、ナノオーダーのパラジウム酸化物(PdO)粒子が均一に分散してなる、ナノコロイド溶液(a6)を得た。得られたナノコロイド溶液(a6)中のパラジウム濃度は0.014重量%であった。
そして、上記にて得られたナノコロイド溶液(a6)を使用した以外は、実施例1と同様にして、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスの水素化反応を行い、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b6)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b6)の水素添加率は85%であった。
【0063】
実施例7
製造例1で得られた金属担持体PdO/SiO
2 0.2gに代えて、製造例4で得られた金属担持体Pt/C 0.2gを使用するとともに、ポリビニルピロリドン(PVP)の30重量%水溶液の使用量を2gから0.133gに変更した(すなわち、「ポリビニルピロリドン/白金」の重量比は10)以外は、実施例1と同様にして、水中に、ナノオーダーの白金粒子が均一に分散してなる、ナノコロイド溶液(a7)を得た。得られたナノコロイド溶液(a7)中の白金濃度は0.008重量%であった。
【0064】
次いで、1,2−ジメチル−1−シクロヘキセンを5重量%に溶解させたアセトン溶液および上記にて得られたナノコロイド溶液(a7)を、1,2−ジメチル−1−シクロヘキセン100重量%に対して、ナノコロイド溶液(a7)中の白金金属量が100重量ppmとなる量にて、攪拌機付オートクレーブに投入し、窒素ガスを10分間流してアセトン溶液中の溶存酸素を除去した。次いで、系内を2回水素ガスで置換後、0.3MPaの水素を加圧した。次いで、内容物を30℃に加温し6時間攪拌し、水素化反応を行うことで、水素化体を得た。水素転加率をガスクロ法にしたがって測定したところ、水素添加率は99%であった。
【0065】
比較例1
100mlのフラスコに、酢酸パラジウム0.016g、ポリビニルピロリドン(PVP)の30重量%水溶液4gを加え、次いで、溶液の合計量が40gとなるように、水/メタノール=1/9(重量比)溶液を入れた。なお、このときの溶液中のパラジウム濃度は0.020重量%であり、「ポリビニルピロリドン/パラジウム」の重量比は150であった。次いで、N
2気流下、90℃にて2時間還流を行うことで、コロイド溶液(a8)を得た。得られたコロイド溶液(a8)中のパラジウム濃度は0.020重量%であった。なお、得られたコロイド溶液(a8)について、透過型顕微鏡(TEM)による観察を行ったところ、コロイド溶液(a8)中において、パラジウム粒子の存在は確認できたものの、粗大な粒子として存在しており、かつ、パラジウム粒子は、コロイド溶液(a8)中において、不均一に存在するものであった。
そして、上記にて得られたナノコロイド溶液(a8)を使用した以外は、実施例1と同様にして、製造例5で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスの水素化反応を行い、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b8)を得た。得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(b8)の水素添加率は40%であった。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に、実施例1〜7、比較例1の結果をまとめて示す。表1に示すように、金属担持体に対し、高分子保護剤を接触させることで得られた金属含有粒子の分散液(ナノコロイド溶液)を、水素化触媒として使用した場合には、いずれも高い水素添加率を実現できるものであった(実施例1〜7)。一方、金属担持体の代わりに、金属塩としての酢酸パラジウムを使用し、これに高分子保護剤を添加し、90℃にて還流させることで得られたコロイド溶液を、水素化触媒として使用した場合には、水素添加率が40%と低くなる結果となった(比較例1)。