特許第6809787号(P6809787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809787
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】エッチング液及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20201221BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H01L21/308 B
   H01L21/304 622P
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-257092(P2015-257092)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2016-127293(P2016-127293A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2016年2月29日
【審判番号】不服2018-16413(P2018-16413/J1)
【審判請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】62/097,408
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/978,383
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ジーン エバーラッド パリス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジャック キャスティール,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】チアニウ チェン
【合議体】
【審判長】 加藤 浩一
【審判官】 恩田 春香
【審判官】 辻本 泰隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−168610(JP,A)
【文献】 特開2014−33046(JP,A)
【文献】 特開平9−246234(JP,A)
【文献】 特開2014−19102(JP,A)
【文献】 特開2009−158485(JP,A)
【文献】 特開2010−21137(JP,A)
【文献】 特開昭48−40380(JP,A)
【文献】 特開2010−141139(JP,A)
【文献】 特開2003−257927(JP,A)
【文献】 特開2011−176298(JP,A)
【文献】 特開2009−206335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/306-21/3063
H01L21/308
H01L21/465-21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜10wt%の水酸化カリウム、
TEAH及びTMAFからなる群より選ばれる1種以上の追加のアルカリ性化合物であって、組成物中に0.1〜5.24wt%の量で存在する1種以上の追加のアルカリ性化合物、及び、
水、
を含み、
基材上に存在するシリコンを、前記基材上に存在する二酸化ケイ素と比較して、優先的にエッチングし、
1155以上のSiエッチ/SiO2エッチ比を有する、エッチング組成物(ただし、前記エッチング組成物が、以下の式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオン(Rは炭素数6〜12のアルキル基である)を含むエッチング組成物を含まず、かつ、以下の式(2)で表されるホスホン酸アニオン(Rは炭素数5〜25の有機基である)を含むエッチング組成物を含まない)。
【化1】
【化2】
【請求項2】
シリコン基材上に二酸化ケイ素膜を形成すること、ここで、前記二酸化ケイ素膜は前記シリコン基材の少なくとも1つの表面上の前記二酸化ケイ素膜に少なくとも1つの開口部を有する、
請求項1記載の組成物を用いて、前記少なくとも1つの開口部でシリコン基材をエッチングするための第一のエッチング工程、ここで、前記二酸化ケイ素膜はマスクとして機能し、ここで、前記第一のエッチング工程はスルーシリコンビアを形成するために使用される、
を含む、シリコン基材の製造方法。
【請求項3】
前記二酸化ケイ素膜上に窒化チタン膜を層形成する工程をさらに含み、前記窒化チタン膜も少なくとも1つの開口部を有して形成され、前記少なくとも1つの窒化チタン開口部の少なくとも1つ及び前記少なくとも1つの二酸化ケイ素開口部の少なくとも1つは位置合わせされている、請求項記載の方法。
【請求項4】
前記第一のエッチング工程の前に、前記シリコン基材中に1つ以上の穴を形成するための第二のエッチング工程をさらに含み、ここで、前記1つ以上の穴はシリコン基材の表面を通して突出しておらず、そして前記第一のエッチング工程の間に、前記少なくとも1つの穴は前記シリコン基材上に形成されている前記二酸化ケイ素膜における少なくとも1つの開口部と位置合わせされている、請求項又は記載の方法。
【請求項5】
前記第一のエッチング工程の前又は後に、又は、前記第二のエッチング工程の後に、前記1つ以上の穴を銅により充填する工程をさらに含む、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同一の発明の名称を有する2014年12月29日に出願した米国仮出願第62/097408号の優先権を主張し、該仮出願を参照により完全に本明細書中に取り込む。
【0002】
本発明はマイクロエレクトロニクス構造をクリーニングするための組成物及び方法に関する。詳細には、本発明は、Siウエハ、スルーシリコンビア(TSV)及びパッシベーション層を含む複雑な基材表面からのシリコンのストリッピングに関する。シリコンウエハは、0.02Ω-cm〜100Ω-cmで変化する抵抗率を有することができる。TSVはTaN、SiN、TiN及びSiO2を含有する典型的なパッシベーション層によって保護されている。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクスデバイスの製造の間に、パッケージングプロセスにおいて使用される3種の「相互接続」が主に存在し、ここで、シリコンダイは他のダイと界面を有するとともに、「外」界と界面を有する。これらはワイヤ結合、バンプの使用及びTSVの使用である。TSVの使用を伴う第三の方法は本出願の焦点とする。TSVはデバイスを1つ以上の機能デバイスに取り付けるか、又は、複数のデバイスタイプをキャリアに取り付けるために使用される。
【0004】
TSVの使用は、3次元集積回路(IC)に基づいてデバイスのサイズを縮小させるための重要な製造選択肢である。TSVは現在のところセンサで使用されているが、半導体製造会社は、3DスタックDRAM及び非常に薄いパッケージ内の2つ以上のデバイスなどの半導体デバイスを製造し始めており、それは、例えば、携帯電話において有用である可能性がある。3Dメモリ及び非常にコンパクトな構造内のメモリに集約されたロジックを含むデバイスの製造もまた、本発明の目的である。
【0005】
TSVプロセス工程はデバイスにコストを追加する。典型的なTSVプロセスフローは下記の1つ以上の工程:(1)ウエハ薄膜化工程、(2)TSVを作るためのSiエッチ法、(3)バリアとして作用する、PECVDによる1つ以上のパッシベーション工程、(4)銅でTSVを充填すること、(5)工程(2)でエッチングされたウエハの裏面を薄化するためのCMP工程、(6)Siエッチングガスを用いたドライエッチTSV露出工程、及び、(6)エッチ残留物をストリッピングするためのウエットクリーン工程。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、高いSiエッチ速度、低パッシベーションエッチ、ウエットエッチ後のSiの低表面粗さを有するという1つ以上の利点を提供しそして高い浴装填性を示すエッチング液でドライエッチ及びウエットクリーン工程を置き換えるSiエッチング及び/又はストリッピング組成物を提供することが非常に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこの要求を満たし、1つ以上の下記の利点:高いSiエッチ速度、低いパッシベーションエッチ、ウエットエッチ後のSiの低い表面粗さを提供し、そして高い浴装填性を示すエッチング液でドライエッチ及びウエットクリーン工程を置き換えるSiエッチング及び/又はストリッピング組成物を提供する。それゆえ、本発明は水酸化カリウム;TEAH、TMAF及びNH4OHからなる群より選ばれる1種以上の追加のアルカリ性化合物;及び水を含むエッチング組成物を提供し、ここで、該組成物は基材上に存在するシリコンを前記基材上に存在する二酸化ケイ素と比較して優先的にエッチングする。本発明はまた、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム又は水酸化リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物、場合により、1種以上の追加のアルカリ性化合物及び水を含むエッチング組成物であって、該組成物は、基材上に存在するシリコンを、前記基材上に存在する酸化ケイ素、より一般的には二酸化ケイ素(SiO2)と比較して、優先的にエッチングするエッチング組成物を提供する。本発明のエッチング組成物のいずれかの1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物は水酸化カリウムもしくは水酸化セシウム、又は、水酸化カリウム及び水酸化セシウム、又は、水酸化カリウム及び水酸化リチウムであることができる。
【0008】
本発明の他の態様において、1種以上の追加のアルカリ性化合物は1種以上の第四級アンモニウム化合物又は水酸化アンモニウム(NH4OH)を含み、そして幾つかの実施形態において、第四級アンモニウム化合物は第四級アンモニウムフッ化物もしくは水酸化物であることができる。第四級アンモニウム化合物は、上記のいずれかの組成物において、水酸化テトラアルキルアンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウム、又は、水酸化ベンジルトリアルキルアンモニウムからなる群より選ばれることができ、又は、それらは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)及び水酸化コリンからなる群より選ばれることができ、又は、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)及び水酸化コリンから選ばれることができ、又は、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)及び水酸化アンモニウム(NH4OH)又は水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)及び水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)、水酸化コリンならびにそれらの混合物などからなる群より選ばれることができる。
【0009】
上記のいずれかのエッチング組成物は合計組成物を基準として0.5〜25又は0.5〜20又は1〜20又は2〜16の合計wt%(又は、無機アルカリ塩基性水酸化物に関して下記に示した他の範囲のいずれか)の1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物を含むことができる。上記のエッチング組成物のいずれかは0.1〜5又は0.2〜3wt又は0.5〜2の合計wt%又は0.1の合計wt%を超え、5の合計wt%より低い1種以上の追加のアルカリ性化合物を含むことができる。上記のエッチング組成物のいずれかは、組成物の合計質量を基準として70wt%を超え、又は、70〜99又は90〜98wt%(又は、水に関して上記した他の範囲のいずれか)の水を含むことができる。本発明は、1種以上の追加のアルカリ性化合物の合計質量百分率/1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物の合計質量百分率の比が0.05〜2.0又は0.05〜1.5又は0.05〜1.0又は0.03〜0.8又は0.05〜0.8又は0.07〜0.8又は0.1〜0.8である、エッチング組成物をさらに提供する。エッチング組成物のいずれかは、水酸化カリウム及び水酸化セシウムを含むことができ、ここで、水酸化セシウム/水酸化カリウムの質量比は0.6を超え、20未満であり、又は、1.1を超え、20未満であり、又は、2.5を超え、20倍未満であり、又は、5を超え、20倍未満であり、又は、10を超え、20倍未満である。
【0010】
本発明は、水酸化カリウム及び水酸化セシウムを含み、水酸化セシウムは1〜15wt%又は1〜10wt%又は1〜9.5wt%又は1〜5wt%又は0.5〜1.3wt%で組成物中に存在し、そして、水酸化カリウムは1〜15wt%又は1〜10wt%又は1〜7wt %又は1〜5wt%又は1〜2wt%又は0.1〜2wt%又は0.1〜1.5wt%又は0.5〜1.3wt%又は0.7〜1.2wt%で組成物中に存在する、エッチング組成物(本明細書中に記載の比の任意の組み合わせ及び本発明の他の態様との任意の組み合わせ)を提供する。さらに、エッチング組成物は単独で又は本発明の他の態様との組み合わせで、水酸化セシウム及び水酸化カリウムを含むことができ、そして水酸化セシウム/水酸化カリウムの比は0.5〜10又は1〜10又は2〜9又は0.5〜8又は2〜8又は3〜8である。
【0011】
エッチング組成物のいずれかは、界面活性剤、キレート化剤、酸化剤、溶媒及び腐食防止剤を含む1種以上の任意的な成分を本明細書中に示されるようないずれかの組み合わせでさらに含むことができる。
【0012】
本発明は、シリコン基材の製造方法をさらに提供し、該方法は、シリコン基材上に二酸化ケイ素膜を形成すること、ここで、前記二酸化ケイ素膜は前記シリコン基材の少なくとも1つの表面上の前記二酸化ケイ素膜における少なくとも1つの開口部を有する、上記の請求項のいずれか1項記載の組成物を用いることにより、少なくとも1つの開口部でシリコン基材をエッチングすること、ここで、前記二酸化ケイ素膜はマスクとして機能する、を含む。この方法はスルーシリコンビアを形成するために使用されうる。この方法は窒化チタン膜を二酸化ケイ素膜上に層形成する工程をさらに含むことができ、ここで、前記窒化チタン膜も少なくとも1つの開口部を有して形成され、前記少なくとも1つの窒化チタン開口部の少なくとも1つ及び前記少なくとも1つの二酸化ケイ素開口部の少なくとも1つは位置合わせされている、又は、窒化タンタル膜を二酸化ケイ素膜上に層形成する工程をさらに含むことができ、ここで、前記窒化タンタル膜も少なくとも1つの開口部を有して形成され、前記少なくとも1つの窒化チタン開口部の少なくとも1つ及び前記少なくとも1つの二酸化ケイ素開口部の少なくとも1つは位置合わせされている。
【0013】
上記の方法のいずれかは前記シリコン基材中に1つ以上の穴を形成するための第二のエッチング工程を前記第一のエッチング工程の前にさらに含み、ここで、前記1つ以上の穴はシリコン基材の表面を通して突き出しておらず、そして前記第一のエッチング工程の間に、前記1つ以上の穴は前記ケイ素基材上に形成された前記二酸化ケイ素膜における少なくとも1つの開口部と位置合わせされている。本発明は1つ以上の穴が第一のエッチング工程の前又は後に銅で充填される上記のいずれかの方法を提供し、また、1つ以上の穴が第二のエッチング工程の後に銅で充填される上記のいずれかの方法を提供する。本発明は、第一のエッチング工程及び/又は第二のエッチング工程の前及び/又は後にシリコン基材を本発明のエッチング組成物と接触させることをさらに含む、上記のいずれかの方法を追加的に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】未研磨TSVウエハの初期構造を示す図である。
図2】1つ以上のCMP研磨工程の前及び後のTSVウエハにおける各構成要素の対応する状態を示す図である。
図3】CMP研磨後にシリコンウエハの表面をエッチングするための本発明の組成物を用いた工程の後の導電性材料の端部表面を表す図である。導電性材料はシリコンウエハ層の表面と共面であるか又はそこから突出している。
図4】CMP研磨後にシリコンウエハの表面をエッチングするための本発明の組成物を用いた工程の後の導電性材料の端部表面を表す図である。導電性材料はシリコンウエハ層の表面と共面であるか又はそこから突出している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はTSVウエハ1の初期構造を示し、それは集積回路層11、集積回路層11の上に配置されたシリコンウエハ層12及び導電性材料13を含む。導電性材料13はシリコンウエハ層12中に埋め込まれており、シリコンウエハ層12の表面121に対してほぼ垂直であり、そして集積回路層11に接続している。一般に、未研磨TSVウエハ中の導電性材料13の端部表面131はシリコンウエハ層12の表面121から約200マイクロメートルである。
【0016】
表面121は、次いで、グラインディングにより研磨され、それにより、シリコンウエハ層12は急速に薄化され、それにより、導電性材料13の端部表面131とシリコンウエハ層12の表面121との距離は約10マイクロメートル又はそれ以上にまで低減される。
【0017】
第一のCMP研磨によりシリコンウエハ層12をグラインディングしそして薄化した後に、任意的な第二のCMP研磨工程はTSVウエハ1の層14を完全にそしてさらに除去するように行われることができる。
【0018】
CMP研磨工程の後に、本発明の方法はシリコンウエハをエッチングし、導電性材料13を露出することを含む。ウエハ(又は他のシリコン基材)が本発明のエッチング組成物(液)と接触されるときに、集積表面層11の上方にあるシリコンウエハの層12の上部表面121は導電性材料13が露出され又はおおよそ露出されるまで除去される。微細に研磨されたTSVウエハ1の最終状態は続いて行われるプロセスの要求により変更される。例えば、導電性材料13の端部表面131及びその周囲にあるシリコンウエハ層12の上部表面121は図3に示されるように共面であることができ、又は、端部表面131は図4に示されるように、上部表面121から突出されていてよい。幾つかの実施形態において、導電性材料13は二酸化ケイ素層又は窒化ケイ素層又は窒化チタン層又は窒化タンタル層あるいはそれらの組み合わせにより被覆されていてよく(図示せず)、それは、その後に、後の処理工程で除去されうる。エッチング組成物により提供される上部表面121の表面粗さは導電性材料13の端部表面131が上部表面から突出していても又は上部表面と共面であっても重要である。エッチング組成物による処理の後に得られる高い表面粗さを有する上部表面は1つ以上のセンサがエッチング工程の最終時点の検出するのを困難にする可能性がある。さらに、エッチング組成物での処理後の得られる高い表面粗さを有する上部表面は処理されたウエハの導電性材料13と、処理されたウエハ又は処理されたウエハの部品を用いてダウンストリーム集積回路を製造するときのウエハ又はパッケージングの部品である隣接ウエハの導電性材料との電気通信を確立し又は維持するのを阻害することがある。
【0019】
本発明の組成物はシリコン層をエッチングすることが要求される他の方法において使用することができ、特に、同一の層の上又は近傍で二酸化ケイ素が存在し、そして本発明のエッチング組成物を用いて、二酸化ケイ素のすべて又はほとんどがウエハ又は他の基材から除去されず、同時に、シリコンが除去されることが好ましいときに使用することができる。
【0020】
一般に、高いシリコンエッチ速度、低い二酸化ケイ素エッチ速度及び処理されたウエハで低い表面粗さが得られることは処理ウエハの高いスループットを維持するために望まれるが、時に、ウエハの製造者の要求により、エッチング組成物により提供される1つ以上の特性は他の特性よりも重要であることがあり、例えば、得られるウエハ表面粗さが低いならば、より低いエッチ速度が許容されうることを意味する。
【0021】
ウエットエッチング工程で使用される本発明のエッチング組成物は1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物を含み、該無機アルカリ塩基性水酸化物は水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム又は水酸化リチウム及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、例えば、水酸化カリウム及び水酸化セシウムである。
【0022】
組成物中に存在する無機アルカリ塩基性水酸化物の合計量は、典型的には、エッチング組成物の合計質量を基準として、0.5〜25質量%(wt%)、又は、0.5〜20wt%、又は、1.0〜20wt%、又は、2.0〜16wt%、又は、0.5〜22wt%、又は、1〜18wt%、又は、1〜16wt%、又は、1〜14wt%、又は、1〜12wt%、又は、1〜10wt%、又は、0.5〜10wt%、又は、1〜9wt%、又は、1〜8wt%、又は、1〜7wt%、又は、1〜6wt%、又は、1〜5wt%、又は、1〜4wt%、又は、4〜10wt%、又は、5〜10wt%、又は、5〜9wt%、又は、5〜8wt%、又は、6〜10wt%、又は、7〜10wt%、又は、8〜10wt%、又は、5〜15wt%である。
【0023】
本明細書中に報告される成分のすべての質量%(wt%)は組成物の合計質量を基準としている。「1種以上」又は「2種以上」のいずれかの使用はそれぞれ「1種又は1種より多くの」又は「2種又は2種よりも多くの」を意味し、そしてそれらにより置き換えることができることに注意されたい。用語「含む(comprising)」、「含む(containing)」又は「有する(having)」はすべて非限定的な拡張的な用語であり、そして部分的に排他的又は排他的な用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を本出願中どこで使用されても包含することに注意されたい。
【0024】
組成物は2種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物を含むことができる。1つの実施形態において、組成物は水酸化カリウム及び水酸化セシウムを含む。水酸化カリウム及び水酸化セシウムの組み合わせが使用される実施形態において、組成物中で水酸化カリウムと少なくとも同質量%又はそれを超える質量%の水酸化セシウムを使用することが好ましいことがある。幾つかの実施形態において、水酸化セシウムの質量%は組成物中に存在する水酸化カリウムの質量%の0.6倍を超え、又は、1.1倍を超え、又は、2倍を超え、又は、2.5倍を超え、又は、5.0倍を超え、又は、10倍を超え、及び/又は、約20倍未満であることができる。それゆえ、幾つかの実施形態において、水酸化セシウムの質量%は組成物中に存在する水酸化カリウムの質量%の0.6倍を超え、20倍未満であり、又は、1.1倍を超え、20倍未満であり、又は、2.5倍を超え、20倍未満であり、又は、5倍を超え、20倍未満であり、又は、10倍を超え、20倍未満であることができる。幾つかの実施形態において、水酸化セシウムの量は1〜9.5wt%であり、そして水酸化カリウムの量は0.1〜2wt%であろう。他の実施形態において、水酸化セシウムの量は1〜5wt%であり、そして水酸化カリウムの量は0.1〜1.5wt%であろう。なおも他の実施形態において、水酸化セシウムの量は1〜5wt%であり、そして水酸化カリウムの量は0.5〜1.3wt%であろう。なおも他の実施形態において、水酸化セシウムの量は1〜5wt%であり、そして水酸化カリウムの量は0.7〜1.2wt%であろう。
【0025】
なおも他の実施形態において、エッチング組成物中の水酸化セシウムの質量%/水酸化カリウムの質量%の比は1〜10、又は、2〜9、又は、3〜8であろう。これらの組成物はエッチングされたウエハの得られる表面粗さが低いことが特に重要であるときに望ましいであろう。
【0026】
水酸化カリウム及び水酸化セシウムの組み合わせを使用する実施形態において、組成物中の水酸化セシウムと少なくとも同質量%又はそれより高い質量%の水酸化カリウムを使用することが好ましいことがある。幾つかの実施形態において、水酸化カリウムの質量%は組成物中に存在する水酸化セシウムの質量%の1倍を超え、又は、1.1倍を超え、及び/又は、約5倍未満であることができる。
【0027】
組成物は1種以上の追加のアルカリ性化合物を(1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物に加えて)追加的に含む。追加のアルカリ性化合物は好ましックは非アルカリである。追加の1種以上のアルカリ性化合物は所望のエッチ速度を提供するように、さらに、エッチングされたシリコンに所望の表面粗さを提供するように選択されうる。これらの追加のアルカリ性化合物の例としては、水酸化アンモニウム(NH4OH)及び第四級アンモニウム化合物などのアルカリ性アンモニウム化合物が挙げられる。第四級アンモニウム化合物としては、テトラアルキルアンモニウム水酸化物及びテトラアルキルアンモニウムフッ化物が挙げられる。例示の第四級アンモニウム水酸化物(及びテトラアルキルアンモニウム水酸化物)は式 [NR1R2R3R4]+OH- (式中、R1, R2, R3及びR4は各々独立して、アルキル基、ヒドロキシアルキル基及びそれらの組み合わせである)を有する化合物であることができる。例示の第四級アンモニウムフッ化物(及びテトラアルキルアンモニウムフッ化物)は式[N- R1R2R3R4]+F- (式中、R1, R2, R3及びR4は各々独立して、アルキル基、フルオロアルキル基及びそれらの組み合わせである)を有する化合物であることができる。用語「アルキル」は、本明細書中に使用されるときに、1〜20個の炭素原子、又は、1〜8個の炭素原子、又は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は枝分かれ鎖炭化水素基を指す。適切なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びtert-ブチルが挙げられる。用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書中に使用されるときに、1〜20個の炭素原子、又は、1〜8個の炭素原子、又は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は枝分かれ鎖のヒドロキシル基含有炭化水素基を指す。用語「フルオロアルキル」は、本明細書中に使用されるときに、1〜20個の炭素原子、又は、1〜8個の炭素原子、又は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は枝分かれ鎖のフルオロ基含有炭化水素基を指す。適切なフルオロアルキル基の例としては、フルオロエチル及びフルオロプロピルが挙げられる。適切な第四級アンモニウム水酸化物化合物(テトラアルキルアンモニウム水酸化物)の例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化コリン及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)が挙げられる。適切な第四級アンモニウムフッ化物化合物の例としては、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、トリメチルエチルアンモニウムフルオリド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムフルオリド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムフルオリド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムフルオリド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムフルオリド、エチルトリメチルアンモニウムフルオリド、ジエチルジメチルアンモニウムフルオリド及びベンジルトリメチルアンモニウムフルオリドが挙げられる。テトラアルキルアンモニウム水酸化物のさらなる例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)が挙げられる。追加のアルカリ性化合物は、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)及び水酸化アンモニウム(NH4OH)から選ぶことができる。追加のアルカリ性化合物は、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)及び水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化コリン及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)から選ばれることができる。本発明のエッチング組成物は、追加のアルカリ性成分として水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)を含むことができる。本発明のエッチング組成物は、追加のアルカリ性成分として水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化コリン及び/又は水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)を含むことができる。本発明のエッチング組成物は追加のアルカリ性成分として水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)を含むことができる。液体組成物中の追加のアルカリ性化合物の濃度に関しては、アルカリ性有機化合物であることができる追加のアルカリ性化合物は、組成物の合計質量を基準として、0.1〜5wt%、又は、0.2〜3wt%、又は、0.5〜2wt%の量で使用されうる。追加のアルカリ性化合物の濃度は組成物の合計質量を基準として、0.1wt%より大きいが、5wt%未満である量で存在しうる。
【0028】
特定の実施形態において、組成物中に存在する1種以上の追加のアルカリ性化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラアルキルアンモニウムフッ化物及び/又は水酸化アンモニウム及び/又は水酸化コリン及び/又は水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB))の質量%/1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物の質量%の比は0.05〜2.0、又は、0.05〜1.0、又は、0.03〜0.8、又は、0.05〜0.8、又は、0.1〜0.8の範囲である。さらに、水酸化カリウム及び水酸化セシウムを含む実施形態において、組成物の幾つかの実施形態中に存在する1種以上の追加のアルカリ性化合物/1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物の合計質量の比は0.05〜2.0、又は、0.05〜1.0、又は、0.03〜0.8、又は、0.05〜0.8、又は、0.05〜0.8、又は、0.1〜0.8であることができる。
【0029】
本発明の組成物は水をさらに含む。組成物中に使用される水は純水又は超純水、例えば、(脱イオン水) DI水である。組成物はいかなる量の水を含んでもよい。例えば、水は組成物の70wt%を超え、又は、70〜99wt%、又は、80〜98wt%、又は、85〜98wt%、又は、88〜98wt%、又は、90〜98wt%、又は、91〜97wt%、又は、92〜96wt%、又は、93〜95wt%、又は、90wt%を超え、又は、92wt%を超え、又は、93.5wt%を超え、又は、94wt%を超え、又は、95wt%を超える量で存在することができる。
【0030】
本発明の組成物は任意的な成分、例えば、界面活性剤及び/又は酸化剤及び/又は溶媒及び/又は腐食防止剤を含むことができる。
【0031】
本発明の組成物は、1種以上の任意的な界面活性剤を含むことができ、該界面活性剤は、例えば、アニオン、カチオン、ノニオン及び双イオン性であることができる。界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム塩、第二級アルカンスルホネート(SAS)、アセチレン系界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、プロピレンオキシド−エチレンオキシドブロックコポリマー又はエチレンジアミン界面活性剤及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。適切な市販の界面活性剤の例としてはDow Chemicals製の界面活性剤のファミリーであるTRITON(商標), Tergitol(商標)、DOWFAX(商標)、及び、Air Products and Chemicals製の界面活性剤のファミリーであるSURFYNOL(商標)、DYNOL(商標)、Zetasperse(商標)、Nonidet(商標)及びTomadol(商標)中の種々の界面活性剤が挙げられる。適切な界面活性剤はまた、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)基を含むポリマーを含むことができる。EO−POポリマーの例はBASF Chemicals からのTetronic(商標) 90R4である。幾つかの有用な界面活性剤の追加の例は米国特許第7,591,270号明細書に開示されており、それを参照により本明細書中に取り込む。存在するならば、1種以上の界面活性剤は任意の量で使用でき、典型的には、総組成物の2wt%未満、又は、0.001〜2wt%の量で使用されうる。
【0032】
追加の任意的な成分は本発明の組成物中に使用されてよい1種以上の酸化剤であり、例えば、過酸化水素、亜塩素酸、塩素酸又は過塩素酸の塩、次亜塩素酸塩及び他の次亜ハロゲン酸塩化合物、クロム酸塩化合物及び二クロム酸塩化合物、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸化合物、過ホウ酸ナトリウム及び有機スルホン酸である。もし存在するならば、酸化剤はいかなる量で使用されてもよく、典型的には、総組成物の5wt%未満、又は0.001〜2wt%の量である。
【0033】
組成物は1種以上の任意的な有機溶媒をさらに含むことができ、それは典型的には、水溶性又は水混和性有機溶媒である。本明細書中に使用されるように、水溶性又は水混和性有機溶媒としては、水と互いに混合することができ、標準操作温度及び圧力で均一溶液を形成することができる溶媒が挙げられる。使用することができる水溶性又は水混和性有機溶媒の例としては、限定するわけではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール(例えば、ベンジルアルコール)、スルホキシド又はそれらの混合物が挙げられる。好ましい任意的な溶媒は、アルコール、ジオール又はそれらの混合物である。好ましい任意的な溶媒としては、グリコールエーテル又は2〜8個の炭素原子を有するアルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
本発明の組成物中の1種以上の任意的な溶媒として用いることができるグリコールエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、2−メトキシ−2−メチルブタノール、1,1−ジメトキシエタン及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールが挙げられる。例示的な実施形態において、グリコールエーテルはトリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(t−PGME)を含む。
【0035】
1個のヒドロキシ基を有し、2〜8個の炭素原子を有する1つの適切な一価アルコールであり、場合により、本発明の組成物中の任意的な有機溶媒として使用することができる複素環式化合物としては、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)が挙げられる。THFAは生分解性でかつ高い溶解能でもって水混和性であるから特に好ましい。さらに、THFAは発癌物質としてリストされておらず、有害廃棄物として分類されていない。もし存在するならば、溶媒は、任意の量で、典型的には、総組成物の5wt%未満の量で使用することができる。
【0036】
本発明の組成物は、場合により、1種以上の腐食防止剤をさらに含むことができる。このような腐食防止剤は同様の用途に当該技術分野で周知のもの、例えば、米国特許第5,417,877号明細書に開示のものが挙げられ、該明細書を参照により本明細書中に取り込む。腐食防止剤は、例えば、有機酸、有機酸塩、フェノール、トリアゾール、ヒドロキシルアミンもしくはその酸塩又はポリエチレンイミンであることができる。特定の腐食防止剤の例としては、アントラニル酸、没食子酸、安息香酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、D,L−リンゴ酸、マロン酸、フタル酸、アスコルビン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ベンゾトリアゾール(BZT)、レゾルシノール、カルボキシルベンゾトリアゾール、ジエチルヒドロキシルアミン及びその乳酸及びクエン酸塩などが挙げられる。使用することができる腐食防止剤のさらなる例としては、カテコール、t-ブチルカテコール、ピロガロール、及び、没食子酸のエステルが挙げられる。使用することができる特定のヒドロキシルアミンとしてはジエチルヒドロキシルアミン及びその乳酸及びクエン酸の塩が挙げられる。適切な腐食防止剤のなおも他の例としては、フルクトース、チオ硫酸アンモニウム、グリシン、乳酸、テトラメチルグアニジン、イミノ二酢酸及びジメチルアセトアセトアミドが挙げられる。特定の実施形態において、腐食防止剤は、約4〜約7の範囲のpHを有する弱酸を含むことができる。弱酸の例としては、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシベンゼン及び/又はサリチルヒドロキサム酸が挙げられる。組成物中で使用される腐食防止剤は、カテコール、t-ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸及びフェノールからなる群より選ぶことができる。組成物中で使用される腐食防止剤は、カテコール、t-ブチルカテコール及びピロガロールからなる群より選ばれることができる。組成物中で使用される腐食防止剤は、カテコール又はt-ブチルカテコールであってもよい。もし存在するならば、腐食防止剤は任意の量で使用することができ、典型的には、総組成物の5wt%未満の量で使用することができる。
【0037】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は特定の化合物を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、組成物が指名した成分又は成分のクラスを0.05wt%未満で含むことを意味する。「含まない」とは、組成物が指名した成分又は成分のクラスを0.001%未満で含むことを意味する。本発明の組成物は任意の組み合わせで下記の1種以上の又はすべてのもの:酸化剤、及び/又は、有機溶媒、及び/又は、腐食抑制剤、及び/又は、フッ素含有成分、及び/又は、第四級アンモニウム水酸化物、及び/又は、アルカノールアミン、及び/又は、ヒドロキシルアミン、及び/又は、界面活性剤、及び/又は、キレート化剤、及び/又は、殺生物剤、及び/又は、チオニット(thionites)、及び/又は、亜硫酸塩、及び/又は硫酸塩、及び/又は、ポリマーを実質的に含まず又は含まないことができる。本発明の幾つかの実施形態は、酸化剤、及び腐食防止剤、及びアルカノールアミン、及びヒドロキシルアミン、及び界面活性剤、及びキレート化剤及び/又はチオニット(thionites)、亜硫酸塩、硫酸塩及びポリマーを実質的に含まず、又は、含まないことができる。本発明の幾つかの実施形態は酸化剤、腐食防止剤、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、界面活性剤、キレート化剤及びフッ素含有成分及び/又はチオニット(thionites)、亜硫酸塩、硫酸塩及びポリマーを実質的に含まず、又は、含まないことができる。本発明の幾つかの実施形態は、酸化剤、腐食防止剤、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、界面活性剤、キレート化剤、フッ素含有成分及び第四級アンモニウム水酸化物を実質的に含まず、又は、含まないことができる。本発明の幾つかの実施形態は、酸化剤、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、界面活性剤、キレート化剤及びフッ素含有化合物を実質的に含まず、又は、含まないことができる。本発明の幾つかの実施形態は酸化剤、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、界面活性剤、キレート化剤、フッ素含有成分、及び、第四級アンモニウム水酸化物を実質的に含まず、又は、含まないことができる。本発明の幾つかの実施形態は、酸化剤、腐食防止剤、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、界面活性剤、キレート剤及びフッ素含有成分を実質的に含まず、又は、含まないことができる。先行のリストのいずれかは、本発明の組成物が含まず、又は、実質的に含まない、成分として有機溶媒を含むことができる。
【0038】
エッチング剤を使用する方法において、典型的には、エッチング剤はエッチングされる必要があるウエハの表面にのみ塗布される。或いは、もしエッチング組成物がウエハ表面上の特定の1つ以上の領域に塗布されるならば、フォトレジストを用いるリソグラフィー法を、エッチングが望まれるウエハ表面上の上記領域を画定しそしてその領域のみを露出させるために使用し、そして本発明のエッチング液はその領域でのみシリコンウエハ表面と接触する。エッチング剤は、典型的には、25〜100℃、又は、25〜90℃の温度で、多くの実施形態では約70℃の温度で使用される。幾つかの実施形態において、例えば、下記の実施例で記載されるようなウエハを予備処理することが望ましいことがある。他の実施形態において、ウエハを本発明のエッチング組成物と接触させる前に予備処理を行わない。
【0039】
本発明の組成物は0.7μm/分を超える、又は、0.8μm/分を超えるSiエッチ量を提供することが望ましいことがある。さらに、本発明の組成物は、0.0006μm/分未満、又は、0.0005μm/分未満、又は、0.0004μm/分未満であるSiO2エッチ速度を提供することが望ましいことがある。本発明の組成物は500を超え、又は、800を超え、又は、1250を超え、又は、1500を超え、又は、1700を超え、又は、1850を超え、又は、2000を超えるSiエッチ/SiO2エッチ比を提供することが望ましいことがある。
【実施例】
【0040】
下記の例は本発明をさらに例示する目的で提供されるが、決して限定するものと解釈されるべきでない。特段の指示がなければ、すべての量は組成物の合計質量を基準とした質量%(wt%)で表される。
【0041】
[Siエッチ速度を決定するための試験方法]
各試験エッチング組成物を70℃に加熱した。ブランク(パターン化されていない)p−型Siウエハセグメント3.5”×5”サイズを、[1,0,0]結晶面が露出したホールウエハから開裂させた。Siセグメントを、約22℃の周囲温度で3分間、緩衝酸化物エッチ(BOE)により3分間予備処理して、生来の表面酸化物を除去し、脱イオン水(DIW)で3分間リンスし、そして窒素(N2)ガンで乾燥した。その後、Siセグメントを秤上で、重量の正確な記録のために小数点以下5桁で重量測定した。Siセグメントを、その後、特定の量の時間、エッチング剤中に浸漬させ、取り出し、そして脱イオン水(DIW)中で3分間リンスし、N2で乾燥し、その後、計量した。初期厚さ及び最終厚さを、Si密度2.33g/cm3と仮定し、そして3.5cm x 5.0cmセグメントの面積から決定した。μm/分のエッチ速度をエッチング実験の間の厚さの変化から計算した。この方法を繰り返して、下記の表で報告した組成物のSiエッチ速度を決定した(注: 報告したエッチ速度は各々約3.5”×5”の2つの露出面及び縁を有するウエハセグメントに関して記載されるとおりである)。Siウエハの単一の面を処理するための本発明のエッチング組成物の使用のSiエッチ速度を評価するために(例えば、組成物を単一ウエハツール(SWT)エッチング法において使用するならば、ここでの表に報告されるエッチ速度を1.7で割る。1.7という数は同一の組成物を用いるが、シリコンウエハの1つの面のみを処理する、70℃でのhttp://www.lelandstanfordjunior.com/KOHcalcfaq.html により報告された値に対して、比較例20Fを用いた結果を比較することにより決定した。下記の表1〜7中の結果を1.7で割ることで、同一のエッチング組成物を用いたSWT用途での期待エッチ速度が提供される。)。
【0042】
[SiO2エッチ速度を決定するための試験方法]
Siウエハ上で熱成長されたSiO2の1”×1”のセグメント(本明細書中に「TOx セグメント」と呼ぶ)を開裂し、そしてエッチング液中に浸漬する前にFilmtekエリプソメータを用いてその厚さを測定した(時刻=0分)。約300gのエッチング液を500mlビーカー中に入れ、400rpmで撹拌し、そして70℃に加熱した。TOxセグメントを加熱されたエッチング液中に10分間入れ(時刻=10分)、取り出し、そしてDIWでリンスし、その後、N2で乾燥した。厚さをFilmtekにより再測定した。同一のTOxセグメントを加熱されたエッチング剤中にさらに10分間再浸漬し(時刻=20分)、取り出し、そしてDIWによりリンスし、その後、N2で乾燥した。厚さをFilmtekにより再測定した。このプロセスを時刻=40分及び時刻=60分で繰り返した。厚さ対時刻(4つのデータポイント)で測定された厚さの変化を平均することによりSiO2エッチ速度を決定した。この方法を、下記の表中に報告した組成物についてSiO2エッチ速度を測定するために使用した。
【0043】
[比較例1の組成物]
41.7gの48wt%KOH溶液(Aldrich Chemicalから)、すなわち、20.0gのKOHをHDPEボトル中の脱イオン水に添加して、1000gとすることによりエッチング液を調製した(KOHはエッチング液中の無機アルカリ塩基性水酸化物であった)。溶液を撹拌し、KOH溶液を完全に混合し、該溶液はpHが13.05であった。約300gの溶液を500mlビーカー中に入れ、そして900rpmで1”スターバーで撹拌し、その後、撹拌しながら、70℃に加熱しそしてそこで平衡化させた。抵抗率が1〜35Ω−cmであるp−型Siウエハ(LG Siltron)をこの試験に使用した。2つのp−型SiウエハセグメントをSiltronウエハから開裂し、予備処理しそして計量した。1つのセグメントを10分間浸漬し、そして第二のセグメントを60分間浸漬し、それぞれを取り出し、そしてDIWで3分間リンスし、そして乾燥した。その後、セグメントを乾燥後に再計量した。このエッチング剤は0.99μm/分のSiエッチ速度(2つの質量測定から計算)、0.00091μm/分のSiO2 エッチ速度及び1088のSi/SiO2選択比を提供した。
【0044】
[例1〜4の組成物]
比較例1と同様にエッチング液を調製したが、無機アルカリ塩基性水酸化物としてのKOHの質量%、及び、追加のアルカリ性化合物としての水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、及び、各1000gの組成物を製造するために使用される脱イオン水を下記の表1に示した(TEAHはSachemから水中50wt%溶液として得た)。溶液を撹拌して、完全に混合した。比較例1に関して記載したのと同一の試験を例1〜4の組成物を用いて繰り返した。各例1〜4の組成物を用いて上記のとおりに測定しそして計算したSiエッチ速度、SiO2 エッチ速度及びSi/SiO2 エッチ速度比を表1に示す。
【0045】
[例5〜7]
エッチング液を上記の例1〜4に関して記載されるとおりに調製したが、表1中にある成分質量%を用い、そして組成物は、HDPEボトル中のKOH、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)及び脱イオン水に、水酸化セシウム(CsOH)を添加して、1000gの各組成物とすることをさらに含んだ(CsOHはAldrichから水中50wt%溶液として得た)。例5〜7の各組成物に関するSiエッチ速度、SiO2エッチ速度及びSi/SiO2エッチ速度比を上記のとおりに決定し、そして表1に示した。
【0046】
[例8]
エッチング液を上記の例1に関して記載されるとおりに調製したが、第一級ヒドロキシル基を末端とするPluronic(登録商標) L31二官能性ブロックコポリマー界面活性剤1.0gを組成物に添加し、そしてその中の水の量を調節した(PluronicはBASF Corporationの登録商標である)。例8に関するSiエッチ速度、SiO2エッチ速度及びSi/SiO2エッチ速度比を上記のとおりに決定し、そして表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
エッチング組成物への無機アルカリ塩基性水酸化物である水酸化リチウムの添加を含む追加成分を試験するために以下の試験を行った。
【0049】
[例15〜24]
例1に記載されるようにエッチング液を調製したが、表2に示す追加のアルカリ性化合物を表2に示す量でエッチング組成物中に使用した。表2は、また、各エッチング組成物のために使用されるKOH及び水の量を示している。表2中の例において、フッ化テトラメチルアンモニウム(TMAF)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化リチウム(LiOH)、塩化カリウム(KCl)、酢酸ランタン(Laアセテート)及び塩化バリウム(BaCl2)を表2に示す質量%で組成物に添加した。
【0050】
18〜34Ω−cmの範囲の抵抗率を有するWRS Materialsから得られたp−型Siウエハをこの試験で使用し、ここで、4つのウエハセグメントを各エッチング液中に60分間、同時に浸漬させた。各エッチング液に関する測定Siエッチ速度(各組成物について試験した4つのウエハセグメントを平均)を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
試験されたシリコンウエハの表面粗さに対する本発明のエッチング組成物の効果を示すために以下の試験を行った。エッチング組成物を上記の例に記載されるとおりに調製した。成分及び対応する質量%を表3に示す。比較例1に記載されるとおりのエッチング組成物中にウエハセグメントを10分間浸漬させることにより、エッチングされたウエハサンプルを調製した。ウエハセグメントの表面粗さを下記のとおりに分析した。原子間力顕微鏡観察(AFM)を、ナノスコープIIIaコントローラにインターフェースで接続されるデジタルインストラメントディメンジョン3000を用いて行った。すべての測定値をタッピングモード(0.3〜0.5 Hzスキャン速度)で、単一のカンチレバーエッチシリコンSPMプローブ(Bruker, NCHV)で得た。使用したスキャン領域は40μm×40μmであった。組織分布的な画像をキャプチャーし、該画像から表面粗さを計算した。各画像形成領域に関して、“Scanning Probe Microscopy Training Notebook, Digital Instruments”, Veeco Metrology Group, 2000, Version 3.0, 004-130-000 (標準イシュー) / 004-130-100 (クリーンルームイシュー)中に示される標準化式を用いて二乗平均(RMS) 値を計算した。
【0053】
測定された表面粗さ値を表3示す。各サンプルに対して、きれいに見え、大きな残留物を含まない1つの箇所を分析した。
【0054】
【表3】
【0055】
本発明の例35A〜35Mを下記の表4に示す。
比較例1に関して上記した試験方法を使用したが、単一のセグメントを10分間浸漬させ、そして下記の表中の組成を用いた。
【0056】
【表4】
本発明の追加の例を下記の表5に示す。
【0057】
比較例1に関する上記の試方法を用いたが、下記の表中の組成物を用いた。各組成物のSiエッチ速度、SiO2エッチ速度及びSi/SiO2 エッチ速度比を上記のように決定し、そして下記の表に示す。
【0058】
【表5】
本発明の追加の例を下記の表6に示す。
【0059】
比較例1に関して上記した試験方法を用いたが、下記の表に記載される組成物を用いた。各組成物についてのSiエッチ速度、SiO2 エッチ速度及びSi/SiO2 エッチ速度比を上記のように決定し、下記の表に示す。表面粗さは取ったSEMに基づいて決定した。浸漬後に、Siウエハ基材をDI水で3分間、周囲温度にてリンスし、そして窒素で乾燥した。処理した基材を2kV加速電圧及び2k及び10倍でSEMを用いて写真を取った。その後、SEM写真を視覚的に観察し、そして以下の等級を用いて等級化した。
VVVV = 滑らかな表面及び/又は表面上のあちらこちらに幾つかの小さいSi結晶子
VVV = 小さいSi結晶子が表面のほとんどを覆い及び/又は幾つかの中程度の結晶子
VV = 幾つかの大きな及び/又は多くの中程度のサイズのSi結晶子
V = 表面の大部分の上の大きなSi結晶子
【0060】
【表6】
本発明の追加の例を下記の表7に示す。
比較例1に関して上記した試験方法を用いたが、下記の表中の組成物を用いた。エッチ速度及び表面粗さは上記と同様に決定した。
【0061】
【表7】
本発明の例EE〜FFを下記の表8に示す。
比較例1に関して上記した試験方法を用いたが、SAS-10を幾つかの例に加えた。SAS-10は第二級アルカンスルホネートの10%溶液である。
【0062】
【表8】

本開示は以下も包含する。
[1]
水酸化カリウム、
TEAH、TMAF及びNH4OHからなる群より選ばれる1種以上の追加のアルカリ性化合物、及び、
水、
を含み、
基材上に存在するシリコンを、前記基材上に存在する二酸化ケイ素と比較して、優先的にエッチングする、エッチング組成物。
[2]
水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム又は水酸化リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物、
場合により、1種以上の追加のアルカリ性化合物、
場合により、1種以上の腐食防止剤、及び、
水、
を含み、
基材上に存在するシリコンを、前記基材上に存在する二酸化ケイ素と比較して、優先的にエッチングする、エッチング組成物。
[3]
前記1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物は水酸化カリウム及び水酸化セシウムからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[4]
前記1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物は水酸化カリウム及び水酸化セシウムを含む、上記態様2記載のエッチング組成物。
[5]
前記1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物は水酸化カリウム及び水酸化リチウムを含む、上記態様2記載のエッチング組成物。
[6]
前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は組成物中に存在し、そして1種以上の第四級アンモニウム水酸化物、第四級アンモニウムフッ化物又は水酸化アンモニウム(NH4OH)からなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[7]
前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は組成物中に存在し、そして第四級アンモニウム化合物からなる群より選ばれ、又は、前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化コリン、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、トリメチルエチルアンモニウムフルオリド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムフルオリド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムフルオリド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムフルオリド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムフルオリド、エチルトリメチルアンモニウムフルオリド、ジエチルジメチルアンモニウムフルオリド及びベンジルトリメチルアンモニウムフルオリドからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[8]
前記1種以上の第四級アンモニウム化合物又は前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、水酸化コリン及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[9]
前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、テトラメチルアンモニウムフルオリド(TMAF)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化コリン及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[10]
前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム(DMDPAH)、水酸化コリン及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[11]
前記1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物は総量で総組成物の0.5〜25wt%の量で存在する、上記態様2記載のエッチング組成物。
[12]
前記1種以上の無機アルカリ塩基性水酸化物は総量で総組成物の1〜20wt%の量で存在する、上記態様2記載のエッチング組成物。
[13]
前記1種以上の腐食防止剤は組成物中に存在し、そして前記1種以上の腐食防止剤はアントラニル酸、没食子酸、安息香酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、D,L−リンゴ酸、マロン酸、フタル酸、アスコルビン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ベンゾトリアゾール(BZT)、レゾルシノール、カルボキシルベンゾトリアゾール、乳酸、クエン酸、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸のエステル、フェノール、グリシン、テトラメチルグアニジン、イミノ二酢酸及びジメチルアセトアセトアミド、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシベンゼン及びサリチルヒドロキサム酸からなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[14]
前記1種以上の腐食防止剤は組成物中に存在し、そして前記1種以上の腐食防止剤はカテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸及びフェノールからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[15]
前記1種以上の腐食防止剤は組成物中に存在し、そして前記1種以上の腐食防止剤はカテコール及びt−ブチルカテコールからなる群より選ばれる、上記態様2記載のエッチング組成物。
[16]
前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は組成物中に0.1〜5wt%の量で存在する、上記態様2記載のエッチング組成物。
[17]
前記1種以上の追加のアルカリ性化合物は組成物中に0.2〜3wt%の量で存在する、上記態様11記載のエッチング組成物。
[18]
前記組成物は該組成物の合計質量を基準として70〜99wt%の水を含む、上記態様16記載のエッチング組成物。
[19]
前記組成物は該組成物の合計質量を基準として80〜98wt%の水を含む、上記態様2記載のエッチング組成物。
[20]
前記組成物は下記のもの:界面活性剤、キレート化剤、酸化剤、溶媒及び殺生物剤の1種以上又はすべてを実質的に含まず、又は、含まない、上記態様2記載のエッチング組成物。
[21]
シリコン基材上に二酸化ケイ素膜を形成すること、ここで、前記二酸化ケイ素膜は前記シリコン基材の少なくとも1つの表面上の前記二酸化ケイ素膜に少なくとも1つの開口部を有する、
上記態様1記載の組成物を用いて、前記少なくとも1つの開口部でシリコン基材をエッチングするための第一のエッチング工程、ここで、前記二酸化ケイ素膜はマスクとして機能し、ここで、前記第一のエッチング工程はスルーシリコンビアを形成するために使用される、
を含む、シリコン基材の製造方法。
[22]
前記二酸化ケイ素膜上に窒化チタン膜を層形成する工程をさらに含み、前記窒化チタン膜も少なくとも1つの開口部を有して形成され、前記少なくとも1つの窒化チタン開口部の少なくとも1つ及び前記少なくとも1つの二酸化ケイ素開口部の少なくとも1つは位置合わせされている、上記態様21記載の方法。
[23]
前記第一のエッチング工程の前に、前記シリコン基材中に1つ以上の穴を形成するための第二のエッチング工程をさらに含み、ここで、前記1つ以上の穴はシリコン基材の表面を通して突出しておらず、そして前記第一のエッチング工程の間に、前記少なくとも1つの穴は前記シリコン基材上に形成されている前記二酸化ケイ素膜における少なくとも1つの開口部と位置合わせされている、上記態様21記載の方法。
[24]
前記第一のエッチング工程の前又は後に、又は、前記第二のエッチング工程の後に、前記1つ以上の穴を銅により充填する工程をさらに含む、上記態様21記載の方法。
図1
図2
図3
図4