特許第6810047号(P6810047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810047
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】低密度研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20201221BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20201221BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20201221BHJP
   B24B 37/22 20120101ALI20201221BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20201221BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20201221BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B24B37/24 C
   H01L21/304 622F
   B24B37/26
   B24B37/22
   B24B37/24 Z
   B24B37/013
   C08L75/04
   C08L33/00
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-540179(P2017-540179)
(86)(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公表番号】特表2018-509303(P2018-509303A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2016013302
(87)【国際公開番号】WO2016122888
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】14/611,064
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ホワーン ピーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム シー.アリソン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード フレンツェル
(72)【発明者】
【氏名】ポール アンドレ ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ケルプリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン スコット
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−089767(JP,A)
【文献】 特開2013−025844(JP,A)
【文献】 特開2010−041056(JP,A)
【文献】 特表2013−539927(JP,A)
【文献】 特開2009−274208(JP,A)
【文献】 特表2001−522316(JP,A)
【文献】 特表2002−520174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 − 37/34
C08L 33/00
C08L 75/04
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨するための研磨パッドであって、
約0.4〜0.55g/ccの範囲の密度を有する研磨体であって、
熱硬化性ポリウレタン材料と、
前記熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡孔であって、前記複数の独立気泡孔の各々は、アクリル共重合体を含むシェルを有する、複数の独立気泡孔と、
を含む研磨体を含み、
前記複数の独立気泡孔が直径の多峰性分布を有
前記複数の独立気泡孔が、前記熱硬化性ポリウレタン材料の全容積の約50〜60%の範囲内の前記熱硬化性ポリウレタン材料中の全細孔容積を提供する、
研磨パッド。
【請求項2】
前記研磨体が、約0.44〜0.52g/ccの範囲の密度を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記研磨体が、一様な組成を有する研磨体である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨体が、
第1の溝付き面と、
前記第1の面の反対側の、第2の平坦な面と、
をさらに含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記複数の独立気泡孔の各々が、本質的に球形である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨体が、成形研磨体である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記研磨体が、
前記研磨体全体にほぼ均等に分散された不透明な充填剤、
をさらに含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
請求項1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体の裏面に設けられた支持層、
をさらに有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項9】
請求項1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体の裏面に配置された渦電流検出領域、
をさらに有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項10】
請求項1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体の裏面に設けられたサブパッド、
をさらに有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項11】
請求項1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体内に配置され、前記研磨体と共有結合した局所領域透過性(LAT)領域、
をさらに有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、化学機械研磨(CMP)、特に、低密度研磨パッドおよび低密度研磨パッドを製造する方法の分野にある。
【背景技術】
【0002】
一般にCMPと略される化学機械的平坦化または化学機械的研磨は、半導体ウエハまたは他の基板を平坦化するための半導体製造において使用される技術である。
【0003】
このプロセスは、典型的にはウエハよりも大きな直径の研磨パッドおよび保持リングと共に、研磨剤および腐食性の化学スラリー(一般にコロイド)を使用することを含む。研磨パッドおよびウエハは、動的研磨ヘッドによって一緒にプレスされ、プラスチック製の保持リングによって定位置に保持される。動的研磨ヘッドは、研磨中に回転する。この手法は、材料の除去を助け、不均一なトポグラフィを均一にして、ウエハを平坦または平面にするのに役立つ。これは、追加の回路要素の形成のためにウエハを配置するために必要でありうる。例えば、これは、表面全体をフォトリソグラフィシステムの被写界深度内にするため、またはその位置に基づいて材料を選択的に除去するために必要でありうる。典型的な被写界深度要件は低下し、最新の50ナノメートル以下の技術ノードについては、オングストロームレベルである。
【0004】
材料除去のプロセスは、単に木材上のサンドペーパーのような研磨掻き取りのプロセスではない。スラリー中の化学物質も、除去すべき物質と反応し、かつ/またはそれを弱める。研磨剤はこの弱化のプロセスを加速し、研磨パッドは反応した材料を表面から一掃するのを助ける。スラリー技術の進歩に加えて、研磨パッドはますます複雑なCMP操作において重要な役割を果たす。
【0005】
しかしながら、CMPパッド技術の進化においては、さらなる改善が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、低密度研磨パッドと、低密度研磨パッドを製造する方法とを含む。
【0007】
一実施形態では、基板を研磨するための研磨パッドは、約0.4〜0.55g/ccの範囲の密度を有する研磨体を含む。研磨体は、熱硬化性ポリウレタン材料と、熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡孔とを含む。複数の独立気泡孔の各々は、アクリル共重合体からなるシェルを有する。
【0008】
別の実施形態では、研磨パッドを製造する方法は、成形型内に支持層を設けることを含む。この方法はまた、成形型内および支持層上の複数の微小要素と、プレポリマーおよび鎖伸長剤または架橋剤、との混合物を準備する工程であって、複数の微小要素の各々が、初期サイズを有する工程を含む。熱硬化性ポリウレタン材料と、熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡孔とを含む、部分的に硬化した成形研磨体を提供するため、混合物は加熱され、複数の微小気泡のそれぞれを、加熱中により大きなサイズへ膨張させることにより複数の独立気泡孔が形成され、部分的に硬化した成形研磨体は、支持層に結合されている。この方法はまた、部分的に硬化した成形研磨体および支持層対を成形型から除去する工程を含む。この方法はまた、部分的に硬化した成形研磨体と支持層の複層体を成形型から除去する工程に続いて、支持層に結合されている成形研磨体を提供するために、成形型の外側で部分的に硬化した成形研磨体をさらに硬化させる工程を含む。この方法はまた、部分的に硬化した成形研磨体と支持層の複層体を成形型から除去する工程に続いて、支持層を除去する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】従来技術によるPOLITEX研磨パッドの上面図である。
図1B】従来技術によるPOLITEX研磨パッドの断面図である。
図2A】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図2B】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図2C】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図2D】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図2E】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図2F】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図2G】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
図3】本発明の一実施形態による、ポロゲン充填剤に基づく独立気泡孔を含む低密度研磨パッドの100倍および300倍の倍率での断面図を示す。
図4】本発明の一実施形態による、独立気泡孔を含む低密度研磨パッドの100倍および300倍の倍率での断面図であり、その一部はポロゲン充填材に基づいており、その一部は気泡に基づいている。
図5A】本発明の一実施形態による、低密度研磨パッドにおける細孔直径の広範な単峰性分布についての、細孔直径の関数としての母集団のプロットを示す。
図5B】本発明の一実施形態による、低密度研磨パッドにおける細孔直径の狭い単峰性分布に対する細孔直径の関数としての母集団のプロットを示す。
図6A】本発明の一実施形態による、独立気泡孔の約1:1の二峰性分布を有する低密度研磨パッドの断面図を示す。
図6B】本発明の一実施形態による、図6Aの研磨パッドにおける細孔直径の狭い分布に対する細孔直径の関数としての母集団のプロットを示す。
図6C】本発明の一実施形態による、図6Aの研磨パッドにおける細孔直径の広範な分布に対する細孔直径の関数としての母集団のプロットを示す。
図7A】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7B】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7C】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7D】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7E】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7F】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7G】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図7H】本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
図8】本発明の一実施形態による、低密度研磨パッドに適合する研磨装置の等角投影図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、低密度研磨パッドおよび低密度研磨パッドを製造する方法が記載されている。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の研磨パッドの設計および組成物などの多くの具体的な詳細が示される。当業者には、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施されうることは明らかであろう。他の例では、半導体基板の化学的機械的平坦化(CMP)を行うためのスラリーと研磨パッドとの組み合わせに関する詳細などの周知の処理技術は、本発明の実施形態を不必要に不明瞭にしないために詳細には説明しない。さらに、図面に示された様々な実施形態は例示的なものであり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【0011】
本明細書に記載される1つ以上の実施形態は、約0.6グラム/立方センチメートル(g/cc)未満の低密度、より詳細には約0.5g/cc未満の低密度を有する研磨パッドの製造を対象とする。得られるパッドは、低密度を提供する独立気泡の多孔性を有するポリウレタン材料を基にすることができる。低密度パッドは、例えば、バフ研磨パッドとして、またはライナ/バリア除去のような特別な化学的機械的研磨(CMP)用途のために設計された研磨パッドとして使用することができる。本明細書に記載された研磨パッドは、いくつかの実施形態では、0.3g/ccから0.5g/ccの範囲、例えば約0.357g/ccの範囲の密度を有するように製造することができる。特定の実施形態では、低密度パッドは、約0.2g/ccという低い密度を有する。
【0012】
背景を提供すると、典型的なCMPパッドは約0.7〜0.8g/ccの密度を有し、一般に少なくとも0.5g/ccより高い。従来、典型的なCMPバフパッドは、表面に開いた大きなセルを使用する「ポロメリック」設計を有する。複合ポリウレタンスキンは、POLITEX研磨パッドの場合のように、支持体上に具備される。従来、バフパッドは、非常に柔らかく、開気孔の多孔性を有する低密度パッド(例えば、繊維パッドおよび「ポロメリック」パッド)である。このようなパッドは、典型的には、従来の独立気泡ポリウレタン(ただし高密度)CMPパッドと比較して、短い寿命および一貫性のない性能という2つのCMPの根本的な問題が関連する。図1Aおよび図1Bは、それぞれ、従来技術によるPOLITEX研磨パッドの上面図および断面図である。図1Aを参照すると、POLITEX研磨パッドの一部100Aが、走査型電子顕微鏡(SEM)画像において300倍に拡大して示されている。図1Bを参照すると、POLITEX研磨パッドの一部100Bが走査型電子顕微鏡(SEM)画像において100倍に拡大されて示されている。図1Aおよび図1Bの両方を参照すると、従来技術のパッドの開放気孔構造が容易に視認できる。
【0013】
より一般的には、基本的な課題の1つは、高い気孔率および低い密度を有する独立気泡ポリウレタンパッドを製造することである。成形またはキャスティング法による低密度ポリウレタンパッドの製造における我々の独自の調査では、添加されたポロゲンに基づいて最終的にパッド材料中に独立気孔を提供するために、増加した量のポロゲンをパッド配合物混合物に単に添加することにおいて困難を示した。特に、典型的なパッド配合物よりも多くのポロゲンを添加することは、配合物の粘度を、キャスティングまたは成形プロセスにおいて管理し難いレベルまで増加させうる。この場合、予備発泡ポロゲン、または成形もしくはキャスティングプロセスを通して本質的に同じ容積を保持するポロゲンを含めるために特に困難でありうる。本発明の一実施形態によれば、未発泡ポロゲン、または成形もしくはキャスティングプロセスを通して体積を増加させるポロゲンが、生成のためのパッド配合物に含まれる。しかし、かかる一実施形態では、全ての最終閉気孔が未発泡ポロゲンから生成される場合、配合物の粘度は、キャスティングまたは成形における管理性にとって低すぎる可能性がある。そのようなものとして、一実施形態では、さらに、未発泡ポロゲン、または、成形もしくはキャスティングプロセスを通して容積を増加させるポロゲンを含む配合物を形成する場合、成形もしくはキャスティングプロセスを通して本質的に同じ体積を保持する予備発泡ポロゲンまたはポロゲンも、パッド配合物の粘度調整を可能にするために含まれる。
【0014】
したがって、一実施形態では、室温以上で膨張する未発泡ポロゲン充填材または不足膨張ポロゲン充填材(両方ともUPFと呼ばれる)を使用して、キャスティングまたは成形による製造中に研磨パッドに多孔性を生成する。かかる一実施形態では、多量のUPFがポリウレタン形成混合物に含まれる。UPFは、パッドキャスティングプロセス中に膨張し、閉じた気孔を有する低密度パッドを生成する。研磨パッドを作成するための上記アプローチは、開気孔を有する低密度パッドを形成するために使用されてきた他の技術よりも利点を有することができる。例えば、ガス注入または同伴のみに基づく最終的なパッドの多孔度の製造は、特殊な装置を必要とし、最終的なパッド密度の制御および最終的な孔サイズおよび分布の制御に困難を伴いうる。別の例では、CO気泡を生成するためのイソシアネート部分(NCO)との水反応などの原位置ガス発生にのみ基づいた最終的なパッドの多孔性の製造は、孔径分布を制御することが困難でありうる。
【0015】
本発明の一態様では、低密度研磨パッドを成形プロセスで製造することができる。例えば、図2A〜2Gは、本発明の一実施形態による、研磨パッドの製造に使用される操作の断面図を示す。
【0016】
図2Aを参照すると、成形型200が提供される。図2Bを参照すると、プレポリマー202および硬化剤204(例えば鎖延長剤または架橋剤)を複数の微細要素と混合して混合物を形成する。一実施形態では、複数の微小要素は、充填されたまたは中空の微小球のような複数のポロゲン206である。別の実施形態では、複数の微小要素は、複数の気泡または液滴、またはその両方、208である。別の実施形態では、複数の微小要素は、複数のポロゲン206および複数の気泡または液滴の組み合わせ、または両方、208である。
【0017】
図2Cを参照すると、図2Bの結果として得られる混合物210が成形型200の基部に示されている。混合物210は、第1の複数の微小要素のそれぞれが初期サイズを有する第1の複数の微小要素212を含む。以下でより詳細に説明するように、第2の複数の微小要素214を混合物210に含めることもできる。
【0018】
図2Dを参照すると、成形型200の蓋216が、成形型200の基部と合わせられ、混合物210が成形型200の形状をとる。一実施形態では、成形型200は、蓋216と成形型200の基部とが合わせられた後または合わせられる間に脱気され、成形型210内に空洞または空隙が形成されないようにする。成形型の蓋を下げることを記載する本明細書に記載された実施形態は、蓋と成形型の基部とを合わせることのみがなされる必要があることが理解される。すなわち、いくつかの実施形態では、成形型の基部が成形金の蓋に向かって持ち上げられるが、他の実施形態では、成形型の蓋が、成形型の基部に向かって降ろされると同時に基部が蓋に向かって持ち上げられる。
【0019】
図2Eを参照すると、混合物210は、成形型200内で加熱される。複数の微小要素212の各々は、加熱の間、最終的なより大きなサイズ218に拡張される。さらに、図2Fを参照すると、混合物210を硬化させるために加熱が用いられて、微小要素218および、存在する場合には、微小要素214を取り囲む、部分的にまたは完全に硬化したパッド材220を提供する。かかる一実施形態では、硬化により、プレポリマーおよび硬化剤の材料を基にした架橋マトリクスが形成される。
【0020】
図2Eおよび図2Fをまとめて参照すると、最終のより大きなサイズ218への微小要素212の拡張、および混合物210の硬化の順序は、必ずしも図示の順序で生じる必要はないことが理解されるべきである。別の実施形態では、加熱の間、混合物210の硬化は、微小要素212を最終的なより大きなサイズ218に拡張する前に生じる。別の実施形態では、加熱の間、混合物210の硬化は、微小要素212を最終的なより大きなサイズ218に拡張するのと同時に生じる。さらに別の実施形態では、混合物210を硬化させること、および最終的なより大きなサイズ218に微小要素212を拡張させることのそれぞれのために、2つの別々の加熱操作が実施される。
【0021】
図2Gを参照すると、一実施形態では、上述のプロセスを使用して、低密度研磨パッド220を提供する。低密度研磨パッド222は、硬化材料220で構成され、拡張微小要素218と、いくつかの実施形態では、追加の微小要素214を含む。一実施形態では、低密度研磨パッド222は、熱硬化性ポリウレタン材料で構成され、拡張微小要素218は、熱硬化性ポリウレタン材料に分散された複数の独立気泡孔を提供する。再び図2Gを参照すると、図の底部は、a−a’軸に沿って取られた上側断面図の平面図である。平面図に見られるように、一実施形態では、低密度研磨パッド222は、内部に溝パターンを有する研磨面228を有する。特定の一実施形態では、図示のように、溝パターンは、半径方向溝226および同心円状溝228を含む。
【0022】
再び図2Dおよび図2Eを参照すると、一実施形態では、複数の微小要素212のそれぞれは、複数の微小要素のそれぞれの体積を約3〜1000倍の範囲に増大させることで、最終サイズ218まで拡張される。一実施形態では、複数の微小要素212の各々は、最終サイズ214まで拡張され、複数の微小要素218のそれぞれの最終直径を約10〜200ミクロンの範囲内で提供する。一実施形態では、複数の微小要素212の各々は、複数の微小要素212のそれぞれの密度を約3〜1000倍の範囲に減少させることによって、最終サイズ218まで拡張される。一実施形態では、複数の微小要素212の各々は、最終サイズの複数の微小要素218のそれぞれに対して本質的に球形の形状を形成することによって、最終サイズ218に拡張される。
【0023】
一実施形態では、複数の微小要素212は、添加されたポロゲン、ガスバブルまたは液体バブルであり、パッド材料配合物内で拡張され、仕上げられた研磨パッド材料内の独立気泡孔を形成する。かかる一実施形態では、複数の独立気泡孔は、対応するより小さいポロゲンを膨張させることによって形成された複数のより大きいポロゲンである。例えば、「ポロゲン」という用語は、「中空」の中心を有するミクロまたはナノスケールの球状または幾分球状の粒子を示すために使用されうる。中空中心部は、固体材料で充填されていないが、気体または液体のコアを含みうる。一実施形態では、複数の独立気泡孔は、混合物全体に分布している非膨張性のガス充填または液体充填EXPANCEL(登録商標)を出発原料とする。例えば成形プロセスによって、混合物から研磨パッドを形成する際および/または研磨パッドを形成する間に、非膨張性のガス充填または液体充填EXPANCEL(登録商標)が膨張する。特定の実施形態において、EXPANCEL(登録商標)はペンタンで満たされている。一実施形態では、複数の独立気泡細孔の各々は、例えば最終製品中の膨張状態で約10〜100ミクロンの範囲の直径を有する。したがって、一実施形態では、初期サイズを有する複数の微小要素のそれぞれは、物理的シェルを含み、最終サイズを有する複数の微小要素のそれぞれは、拡張された物理的シェルを含む。別の実施形態では、初期サイズを有する複数の微小要素212の各々は、液滴であり、最終サイズを有する複数の微小要素218のそれぞれは、気泡である。さらに別の実施形態では、最終サイズを有する複数の微小要素218を形成するために、混合物210を形成するための混合では、プレポリマーおよび鎖延長剤または架橋剤、またはそこから形成される生成物にガスを注入することがさらに含まれる。特定のこのような実施形態では、プレポリマーはイソシアネートであり、混合にはプレポリマーに水を加えることがさらに含まれる。いずれにしても、一実施形態では、複数の独立気泡孔は、互いに離間した細孔を含む。これは、一般的なスポンジの孔の場合のように、トンネルを介して互いに接続されうる開気孔の細孔とは対照的である。
【0024】
再び図2C図2Eを参照すると、一実施形態では、プレポリマー202および鎖延長剤または架橋剤204を複数の微小要素212と混合することは、第2の複数の微小要素214と混合して、混合物210を形成することをさらに含む。第2の複数の微小要素214の各々は、サイズを有する。かかる一実施形態では、図2Eに関連して説明した加熱は、図2Eに示すように、加熱の前後で第2の複数の微小要素214の各々のサイズが本質的に同じであるように十分低い温度で行われる。特定のそのような実施形態では、加熱は約100℃以下の温度で行われ、第2の複数の微小要素214は約130℃よりも高い膨張閾値を有する。別の一実施形態では、第2の複数の微小要素214の膨張閾値は、複数の微小要素212の膨張閾値よりも大きい。かかる特定の一実施形態では、第2の複数の微小要素214の膨張閾値は、約120℃より大きく、複数の微小要素212の膨張閾値は、約110℃未満である。そのようなものとして、一実施形態では、加熱の間、微小要素212は、加熱中に膨張して、拡張された微小要素218を提供し、一方、微小要素214は本質的に変化しないままである。
【0025】
一実施形態では、第2の複数の微小要素214のそれぞれは、研磨パッド全体にわたって(例えば、追加の構成要素として)分布された予備拡張されたガス充填EXPANCEL(登録商標)から構成される。すなわち、微小要素214のために起こりうるいかなる顕著な拡張も、混合物210に含まれる前などの、研磨パッド形成に含まれる前に実施される。特定の実施形態では、予め膨張したEXPANCEL(登録商標)はペンタンで満たされる。一実施形態では、微小要素214は、(成形プロセス中ほとんどまたは全く変わらない214として再び示されている)複数の独立気泡孔を提供し、約10〜100ミクロンの範囲の直径を有する。一実施形態では、得られた複数の独立気泡孔は、互いに離間した孔を含む。これは、一般的なスポンジの孔の場合のように、トンネルを介して互いに接続されうる開気孔の細孔とは対照的である。
【0026】
上記のように、典型的なパッド配合物よりも多くのポロゲンを添加することにより多孔度を増加させることは、配合物の粘度を、キャスティングまたは成形プロセスのために管理し難いレベルまで増加させることがある。この場合は、成形またはキャスティングプロセスを通して本質的に同じ容積を保持する予備発泡ポロゲンまたはポロゲンを含めるために特に困難でありうる。一方、未発泡ポロゲンから全ての最終的な独立気孔が生成される場合、配合物の粘度は、キャスティングまたは成形の管理性のためには低すぎることがある。そのような状況に対処するために、本発明の実施形態によれば、概念的には、プレポリマー202、鎖延長剤または架橋剤204、および第2の複数の微小要素214の混合物は粘度を有する。一方、プレポリマー202、鎖伸長剤または架橋剤204、初期サイズを有する複数の微小要素212、および第2の複数の微小要素214の混合物は、本質的に同じ粘度を有する。すなわち、初期(より小さな)サイズを有する複数の微小要素212の包含は、混合物の粘度にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。一実施形態では、最適な成形条件のために記載された粘度は、成形プロセス全体にわたって本質的に一定のままであるサイズを有する第2の複数の微小要素の包含に基づいて選択されうる。かかる一実施形態では、粘度は所定の粘度であり、混合物210中の第2の複数の微小要素214の相対量は、所定の粘度に基づいて選択される。そして、一実施形態では、複数の微小要素212は、混合物210の粘度にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。
【0027】
図2Eを再び参照すると、一実施形態では、2つの異なる複数の微小要素が含まれる場合、拡張された最終サイズを有する複数の微小要素218のそれぞれは、図示されているように、加熱プロセスを通って膨張しない複数の微小要素214の各々とほぼ同じ形状およびサイズである。しかしながら、拡張された最終サイズを有する複数の微小要素218の各々は、複数の微小要素214の各々と同じ形状および/またはサイズを有する必要はないことが理解されるべきである。一実施形態では、図6A〜6Cに関連して以下により詳細に説明するように、結果として得られるパッド222の成形研磨体は、独立気泡孔として、サイズ分布の第1のピークを有する第1の直径モードを有する複数の膨張した微小要素218を含む。独立気泡孔としても含まれるのは、第2の異なるサイズ分布のピークを有する第2の直径モードを有する第2の複数の微小要素214である。かかる一実施形態では、複数の独立気泡孔の微小要素218および第2の複数の独立気泡孔の微小要素214が、熱硬化性ポリウレタン材料中の全細孔容積を、低密度研磨パッド222の熱硬化性ポリウレタン材料の全容積の約55〜80%の範囲で提供する。
【0028】
一実施形態における図2D図2Gを再び参照して、混合物210を加熱して成形研磨体222を提供することは、0.5g/cc未満の密度を有する研磨体222を形成することを含む。しかしながら、かかる一実施形態では、混合物210は、加熱前に0.5g/ccより大きい密度を有する。一実施形態では、プレポリマー202はイソシアネートであり、鎖延長剤または架橋剤204は芳香族ジアミン化合物であり、研磨パッド222は熱硬化性ポリウレタン材料220から構成される。かかる一実施形態では、混合物210をさらに形成することは、不透明な成形研磨体222を最終的に提供するために、プレポリマー202および鎖延長剤または架橋剤204に不透明充填剤を添加することを含む。かかる特定の一実施形態では、不透明充填剤として、窒化ホウ素、フッ化セリウム、グラファイト、フッ化黒鉛、硫化モリブデン、硫化ニオブ、タルク、硫化タンタル、二硫化タングステン、またはテフロンなどが挙げられる。一実施形態では、上で簡単に述べたように、混合物210は、金型200内で部分的にのみ硬化され、一実施形態では、成形型220から取り出した後、オーブン内でさらに硬化される。
【0029】
一実施形態では、研磨パッド前駆体混合物210は、最終的に、熱硬化性独立気泡ポリウレタン材料からなる一様な成形研磨体222を形成するために使用される。かかる一実施形態では、研磨パッド前駆体混合物210は、最終的に硬質パッドを形成するために使用され、単一タイプの硬化剤204のみが使用される。別の実施形態では、研磨パッド前駆体混合物210は、最終的に軟質パッドを形成するために使用され、一次および二次硬化剤(供に210を提供する)の組み合わせが使用される。例えば、特定の実施形態では、プレポリマー202はポリウレタン前駆体を含み、第一の硬化剤は芳香族ジアミン化合物を含み、第二の硬化剤はエーテル結合を含む。特定の一実施形態では、ポリウレタン前駆体はイソシアネートであり、一次硬化剤は芳香族ジアミンであり、二次硬化剤はポリテトラメチレングリコール、アミノ官能化グリコール、またはアミノ官能化ポリオキシプロピレンなどの硬化剤である。一実施形態では、プレポリマー202、一次硬化剤および二次硬化剤(合わせて204)は、プレポリマー106部、一次硬化剤85部および二次硬化剤15部(すなわち、約1:0.96のプレポリマー:硬化剤の化学量論量を提供する)のおおよそのモル比を有する。比率の変化は、硬度値を変化させる研磨パッドを提供するために、またはプレポリマーと第1および第2硬化剤の特定の性質に基づいて提供するために使用されうることが理解されるべきである。
【0030】
図2Gを再び参照すると、上述のように、一実施形態では、成形型200内の加熱は、成形研磨体222の研磨面224に溝パターンを形成することを含む。図示の溝パターンは、半径方向の溝と同心円周溝を有する。半径方向の溝または周方向の溝を省略することができることを理解されたい。さらに、同心円周溝は、代りに、入れ子状の三角形、正方形、五角形、六角形などの多角形であってもよい。代替的に、研磨面は、溝の代わりに突起基礎としてもよい。さらに、低密度研磨パッドは、研磨表面に溝を形成することなく製造されてもよい。そのような一例では、成形装置のパターン化されていない蓋が、パターン化された蓋の代わりに使用される。あるいは、成形中の蓋の使用を省略してもよい。成形中に蓋を使用する場合、混合物210は、約2〜12ポンド/平方インチの範囲の圧力下で加熱することができる。
【0031】
一態様では、独立気泡孔を有する低密度パッドを製造することができる。例えば、一実施形態では、研磨パッドは、0.6未満の密度を有し、熱硬化性ポリウレタン材料からなる研磨体を含む。複数の独立気泡孔が熱硬化性ポリウレタン材料中に分散されている。特定の一実施形態では、密度は0.5g/cc未満である。一実施形態では、複数の独立気泡孔は、熱硬化性ポリウレタン材料の総体積の約55〜80%の範囲内の熱硬化性ポリウレタン材料内の全細孔容積を提供する。一実施形態では、複数の独立気泡孔の各々は、本質的に球形である。一実施形態では、研磨体は、第1の溝付き表面をさらに含み、図2Gに関連して説明したように、第1の表面の反対側の第2の平坦な表面を含む。一実施形態では、研磨体は、以下により詳細に説明するように、一様な研磨体である。
【0032】
例示的な一実施形態では、複数の独立気泡孔の各々は、熱硬化性ポリウレタン材料とは異なる材料からなる物理的シェルを含む。そのような場合、独立気泡孔は、上記のように最終的なパッド製造のために成形された混合物中にポロゲンを含めることによって製造することができる。
【0033】
別の例示的な実施形態では、複数の独立気泡孔の各々は、熱硬化性ポリウレタン材料とは異なる材料からなる物理的シェルを含む。複数の独立気泡孔の第1の部分の物理的シェルは、複数の独立気泡孔の第2の部分の物理的シェルとは異なる材料からなる。そのような場合、独立気泡孔は、上述したように、最終的なパッド製造のために成形された混合物中に2種類のポロゲン(例えば、膨張性および非膨張性)を含むことによって製造することができる。
【0034】
別の例示的な実施形態では、複数の独立気泡孔の一部のみが、熱硬化性ポリウレタン材料とは異なる材料からなる物理的シェルを含む。そのような場合、独立気泡孔は、上述したように、最終的なパッド製造のために成形された混合物中にポロゲンと気泡の両方、またはポロゲンと液滴の両方を含めることによって製造することができる。
【0035】
別の例示的な実施形態では、複数の独立気泡孔の各々は、熱硬化性ポリウレタン材料とは異なる材料の物理的シェルを含まない。そのような場合、独立気泡孔は、上述したように、最終的なパッド製造のために成形された混合物中に気泡または液滴、またはその両方を含むことによって製造することができる。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態による、すべてがポロゲン充填剤に基づく独立気泡孔を含む低密度研磨パッド300の100倍および300倍の倍率での断面図を示す。図3を参照すると、示されている全ての細孔はポロゲンから形成されており、そのすべてが物理的なシェルを含んでいる。細孔の一部は、予め膨張したExpancelポロゲンから形成される。別の部分は、研磨パッド300を製造するために使用される成形プロセスの間に膨張した未膨張のExpancelポロゲンから形成される。かかる一実施形態では、非膨張Expancelは設計により低温で膨張する。成形またはキャスティングプロセスの温度は、膨張温度より上であり、Expancelは、成形またはキャスティング中に急速に膨張する。パッド300の密度は約0.45であり、パッドの全ての孔は独立気泡孔である。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態による、独立気泡孔を含む低密度研磨パッド400の100倍および300倍の倍率での断面図を示しており、その一部分は、ポロゲン充填材に基づくものであり、その一部は気泡に基づくものである。本発明の実施形態である。図4を参照すると、示された小さな細孔は、ポロゲンから形成され、したがって、物理的なシェルを含む。より具体的には、小さな細孔は予め膨張したExpancelポロゲンから形成される。大きな孔はガスを用いて形成される。より具体的には、大きな細孔は、少量の水および界面活性剤を使用して、成形またはキャスティング直前にパッド配合物混合物中に形成される。鎖延長のための化学反応の間、水をNCOと化学反応させてCOを生成して細孔を形成させる化学反応が競合して起こる。界面活性剤の種類および濃度ならびに触媒の種類およびレベルは、孔の大きさおよび独立/開放気孔の割合を制御することが理解されるべきである。パッド400の密度は約0.37であり、パッドの孔のかなりの部分は独立気泡孔である。
【0038】
一態様では、研磨パッド内の細孔直径の分布は釣鐘曲線または単峰性分布を有することができる。例えば、図5Aは、本発明の一実施形態による、低密度研磨パッドにおける細孔直径の広範な単峰性分布についての、細孔直径の関数としての母集団のプロットを示す。図5Aのプロット500Aを参照すると、単峰性分布は比較的広い場合がある。別の例として、図5Bは、本発明の一実施形態による、低密度研磨パッドにおける細孔直径の狭い単峰性分布についての、細孔直径の関数としての母集団のプロットを示す。図5Bのプロット500Bを参照すると、単峰性分布は比較的狭くてもよい。狭い分布または広い分布のいずれかにおいて、40ミクロンの最大集団(例として示されるような)のような最大直径集団のみが研磨パッドに提供される。
【0039】
別の態様では、代わりに、低密度研磨パッドを細孔直径の二峰性分布で製造することができる。一例として、図6Aは、本発明の一実施形態による、独立気泡孔の約1:1の二峰性分布を有する低密度研磨パッドの断面図を示す。
【0040】
図6Aを参照すると、研磨パッド600は、一様な研磨体601を含む。一様な研磨体601は、一様な研磨体601内に配置された複数の独立気泡孔602を有する熱硬化性ポリウレタン材料から構成される。複数の独立気泡孔602は、直径の多峰性分布を有する。一実施形態では、直径の多峰性分布は、図6Aに示すように、小直径モード604および大直径モード606を含む二峰性の直径分布である。
【0041】
一実施形態では、図6Aに示すように、複数の独立気泡孔602は、互いに離間した細孔を含む。これは、一般的なスポンジの孔の場合のように、トンネルを介して互いに接続されうる開気孔の細孔とは対照的である。一実施形態では、独立気泡孔の各々は、ポロゲンのシェルのような物理的なシェルを含む。しかし、別の実施形態では、独立気泡孔のいくつかまたはすべてが物理的なシェルを含まない。一実施形態では、図6Aに示すように、複数の独立気泡孔602、したがって多峰性分布の直径は、一様な研磨体601の熱硬化性ポリウレタン材料全体に本質的に均等かつ均一に分布する。
【0042】
一実施形態では、図6Aに示すように、複数の独立気泡孔602の細孔直径の二峰性分布は、約1:1であってもよい。この概念をより良く説明するために、図6Bは、本発明の一実施形態による、図6Aの研磨パッドにおける細孔直径の狭い分布に対する細孔直径の関数としての母集団のプロット620を示す。図6Cは、本発明の一実施形態による、図6Aの研磨パッドにおける細孔直径の広範な分布に関する細孔直径の関数としての母集団のプロット630を示す。
【0043】
図6A図6Cを参照すると、大直径モード606の最大母集団の直径値は、小直径モード604の最大母集団の直径値の約2倍である。例えば、一実施形態では、図6Bおよび6Cに示されるように、大直径モード606の最大集団の直径値は約40ミクロンであり、小直径モード604の最大集団の直径値は約20ミクロンである。別の例として、大直径モード606の最大集団の直径値は約80ミクロンであり、小直径モード604の最大集団の直径値は約40ミクロンである。
【0044】
図6Bのプロット620を参照すると、一実施形態では、細孔直径の分布が狭い。特定の実施形態では、大直径モード606の集団は、小直径モード604の集団と本質的に重ならない。しかし、図6Cのプロット630を参照すると、別の実施形態では、細孔直径の分布は広い。特定の実施形態では、大直径モード606の母集団は小直径モード604の母集団と重なっている。細孔直径の二峰性分布は、図6A図6Cに関連して上述したように、1:1である必要はないことを理解されたい。また、細孔直径の二峰性分布は均一である必要はない。別の実施形態では、第1の溝付き表面から第2の平坦表面までの勾配を有する熱硬化性ポリウレタン材料の全体にわたって、独立気泡孔の直径の多峰性分布が勾配付けされる。かかる一実施形態では、勾配の多峰性分布の直径は、第1の溝付き表面に近接した小直径モードと、第2の平坦表面に近接した大直径モードとを含む二峰性の直径分布である。
【0045】
一実施形態では、低密度研磨パッドは、サイズ分布において第1のピークを有する第1の直径モードと、サイズ分布において第2の異なるサイズ分布のピークを有する第2の直径モードとを有する二峰性の直径分布を有する複数の独立気泡孔を有する。かかる一実施形態では、第1の直径モードの独立気泡孔は、熱硬化性ポリウレタン材料とは異なる材料からなる物理的シェルをそれぞれ含む。特定のこのような実施形態では、第2の直径モードの独立気泡孔は、熱硬化性ポリウレタン材料とは異なる材料からなる物理的シェルをそれぞれ含む。かかる特定の実施形態では、第2の直径モードの独立気泡孔のそれぞれの物理的シェルは、第1の直径モードの独立気泡孔の物理的シェルの材料とは異なる材料から構成される。
【0046】
一実施形態では、第1の直径モードのサイズ分布の第1のピークは、約10〜50ミクロンの範囲の直径を有し、第2の直径モードのサイズ分布の第2のピークは、約10〜150ミクロンの範囲の直径を有する。一実施形態では、第1の直径モードは第2の直径モードと重なる。しかし、別の実施形態では、第1の直径モードは、第2の直径モードと本質的に重ならない。一実施形態では、第1の直径モードのカウント数の合計母集団は、第2の直径モードのカウント数の合計母集団に等しくない。しかし、別の実施形態では、第1の直径モードのカウント数の合計母集団は、第2の直径モードのカウント数の合計母集団にほぼ等しい。一実施形態では、直径の二峰性布は、熱硬化性ポリウレタン材料全体に本質的に均一に分布している。しかし、別の実施形態では、直径の二峰性分布は、熱硬化性ポリウレタン材料の全体に亘って段階的に分布される。
【0047】
本発明の別の態様では、低密度研磨パッドが、成形プロセスのための製造補助材としての支持層を使用する成形プロセスで製造される。例えば、図7A図7Hは、本発明の別の実施形態による低密度研磨パッドの製造に使用される動作の断面図を示す。
【0048】
図7Aを参照すると、成形型700が提供される。一実施形態では、支持層701が成形型700の底部に配置される。支持層701は、研磨パッドの成形における製造補助として使用され、パッド製造後に除去されてもよく、最後のパッドと結合されるまで保持されてもよい。一実施形態では、支持層は、ポリカーボネート支持層のようなポリマー支持層である。一実施形態では、支持層701は約20ミル未満の厚さを有し、特定の実施形態では約5ミルの厚さを有する。かかる一実施形態では、厚さは、低密度研磨パッドの製造に使用される離型プロセスを助ける、または可能にする、適切に柔軟な支持層701を提供するように選択される。一実施形態では、支持層は、プラスチックフィルム、織布、紙、金属箔、金属メッシュ、または炭素繊維のメッシュのような材料層であるが、これらに限定されない。
【0049】
図7Bを参照すると、プレポリマー702および硬化剤704(例えば鎖延長剤または架橋剤)をポロゲン706と混合して混合物を形成する。一実施形態では、ポロゲン706は、以下により詳細に記載されるように、充填されたまたは中空のポリマー微小球などの微小要素である。必要に応じて、混合物710にさらに気体または液体708を注入してもよい。
【0050】
図7Cを参照すると、図7Bから得られた混合物710が、支持層701上の成形型700の基部に示されている。混合物710は、複数のポリマー微小要素712(すなわち、ポロゲン706)を含み、複数の微小要素の各々は初期サイズを有する。かかる一実施形態では、ポリマー微小要素712の全てまたは実質的に全てが、以下により詳細に記載されるように、パッド成形プロセスの間にサイズが拡張するのに適した未発泡ポロゲンである。上記の他の状況において、全ての最終的な独立気泡孔が未発泡ポロゲンから生成される場合、配合物の粘度は、キャスティングまたは成形における管理性において低すぎる可能性がある。しかし、現在説明されている別の実施形態では、支持層701を成形型700の基部に含めることにより、上述の取り扱いの問題の一部を伴わずに比較的粘性の低い混合物の使用が可能になる。例えば、一実施形態では、支持層701が成形型の体積の一部を占めるので、パッド製造には比較的少量の混合物が必要である。このように、混合物の体積が減少するので、唯一の(または実質的に唯一の)未発泡ポロゲンの存在による混合物の粘度の低下により、管理がしやすくなる。さらに、混合物の均一な広がりは、実際には、混合物710の粘度が比較的低いために、支持層701にわたって向上しうる。このように、本発明の実施形態によれば、成形プロセス中により大きなサイズに膨張する、実質的に唯一の未発泡ポリマー微小要素のみの使用を含む成形プロセス中に支持層を使用することにより、低密度研磨パッドの製造が容易になる。
【0051】
一実施形態では、一実施形態において、非膨張ポリマー微小要素712は、混合物全体に分布された非膨張ガス充填または液体充填EXPANCEL(登録商標)である。混合物から、例えば後述の成形プロセスによって研磨パッドを形成する際および/または形成中に、非膨張ガス充填または液体充填EXPANCEL(登録商標)が膨張する。一実施形態において、非膨張ポリマー微小要素712は、アクリルコポリマーシェルを有し、ペンタンまたはイソブタンなどの液体で満たされる。したがって、一実施形態では、初期サイズを有する複数のポリマー微小要素712の各々は、物理的シェルを含み、最終サイズを有する複数の微小要素のそれぞれは、膨張した物理的シェルを含む。
【0052】
図7Dを参照すると、成形型700の蓋716は、成形型700のベースと一緒にされ、混合物710は、成形型700の形状をとる。一実施形態では、成形型700は、成形型710内にキャビティまたはボイドが形成されないように、蓋716と成形型700のベースとを一緒にする際または一緒にしている間に、脱気される。
【0053】
図7Eを参照すると、混合物710は、成形型700内で加熱される。複数のポリマー微小要素712のそれぞれは、加熱中に膨張した微小要素718となり、本質的にポリマー微小要素の最終サイズとなりうる。さらに、図7Fを参照すると、混合物710を硬化させるために加熱が用いられて、膨張した微小要素718を取り囲む部分的にまたは完全に硬化したパッド材料720を提供する。かかる一実施形態では、硬化は、プレポリマーおよび硬化剤の材質に基づく架橋マトリクスを形成する。一実施形態では、支持層701は、高い引張強度を提供し、その上に硬化された混合物710と良好に結合する。かかる一実施形態では、部分的または完全に硬化されたパッド材料720は、支持層701に化学的/共有結合的または物理的に結合される。特定の実施形態では、混合物710は、成形型700内で約120−130℃の温度範囲で加熱される。
【0054】
再び図7Dおよび図7Eを参照すると、一実施形態では、複数の微小要素712のそれぞれは、複数のポリマー微小要素の各々の体積を約3倍から1000倍の範囲で増大させることで、膨張した微小要素718となる。特定の実施形態では、サイズが約10倍に拡張される。一実施形態では、複数の微小要素712の各々は、(場合によっては最終的な)膨張した微小要素718になり、それぞれの複数の微小要素718の最終直径を提供し、そのサイズは、約10〜200ミクロンの範囲内、特に約20〜25ミクロンの範囲内となる。一実施形態では、複数の微小要素712のそれぞれは、約3〜1,000倍の範囲で複数の微小要素712のそれぞれの密度を低減することによって、最終的な膨張した微小要素718になる。特定の一実施形態では、その密度は約15分の1に低減される。一実施形態では、複数の微小要素712の各々は、複数の微小要素718の各々に対して本質的に球形を形成することによって、最終的な膨張した微小要素718になる。一実施形態では、膨張ポリマー微小要素718は、パッド材料の約50〜60%を占める。一実施形態では、複数の微小要素718を膨張させると、混合物710の密度は約40〜60%の範囲に減少する。特定の実施形態では、混合物710の密度は、約50%低減される。特定の実施形態では、混合物710の密度は、約1.1g/cmから約0.5g/cmに減少する。
【0055】
図7Eおよび図7Fを総合的に参照すると、ポリマー微小要素712を最終的な膨張した微小要素718に拡張すること、および混合物710を硬化させることの順序は、必ずしも図示の順序で生じる必要はないことを理解されたい。別の実施形態では、加熱の間、混合物710の硬化は、微細要素712を最終的な膨張した微小要素718に拡張するのと同時に生じる。さらに別の実施形態では、混合物710を硬化させるために、および微小要素712を最終的な膨張した微小要素718に拡張するために、それぞれ2つの加熱が別々に実施される。一実施形態では、混合物710の硬化は、成形型700内で完了するまで行われない。硬化は、以下により詳細に記載されるように、成形型700から部分的に硬化したパッド材料を除去すると完了されうる。さらに、以下でさらに詳細に説明するように、硬化の不完全な(例えば、約90〜95%硬化)パッドの除去は、支持層701によって促進され得る。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、支持層701を成形プロセスに含めることによって、形成されたパッドを成形型700から離型するタイミングに関して成形プロセスに効率を組み込むことができる。例えば、一実施形態では、硬化層が研磨層720の形状を維持し、離型応力に耐えるのに十分な程度であるときに、支持層701および成形研磨表面層720を成形型700から除去することが実行される。すなわち、一実施形態では、ソリッドな一様な成形研磨表面層を除去する前に除去が行われ、さもなければ支持層701が存在しない状態で実施され得る。一実施形態では、部分的に硬化した成形研磨体が、オーブン中で成形型710の外側で最終的にまたは完全に硬化される。かかる一実施形態では、部分的に硬化した成形研磨体は、約100℃未満の温度で最終的にまたは完全に硬化される。
【0057】
図7Gを参照すると、一実施形態では、上述のプロセスを使用して、低密度研磨パッド722が提供される。低密度研磨パッド722は、硬化材料720から構成され、膨張ポリマー微小要素718を含む。一実施形態では、低密度研磨パッド722は、熱硬化性ポリウレタン材料から構成され、拡張微小要素718は、熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡孔を提供する。再び図7Gを参照すると、低密度研磨パッド722は、その中に溝パターンを有する研磨面を有する。再び図7Gを参照すると、最終パッド材料は、支持層701に結合されたままである。結合物は、そのまま研磨パッドとして使用することができる。例示的な一実施形態では、最終的なパッドの厚さは、約130ミル〜180ミルの範囲であり、そのうちの約5ミルは支持層701の厚さに起因する。
【0058】
図7Hを参照すると、一実施形態では、支持層701は、最終研磨パッドに保持されていない製造補助材である。すなわち、支持層701は、研磨パッド722から除去されうる。一実施形態では、支持層701を除去することは、支持層701を成形研磨体722から粉砕することを含む。別の実施形態では、支持層701を除去することは、支持層701を成形研磨体722から離して切断すること、支持層701を成形研磨体722からスカイビングすること、支持層701を溶解すること、支持層701をエッチングすること、または支持層701を研磨することを含む。
【0059】
一実施形態では、支持層701は、成形型710の外側で部分硬化した成形研磨体をさらに硬化させる前に除去される。別の実施形態では、支持層701は、成形型710の外側で部分硬化した成形研磨体をさらに硬化させる間に除去される。さらに別の実施形態では、支持層701は、成形型710の外側で部分的に硬化した成形研磨体をさらに硬化させた後に除去される。かかる一実施形態では、支持層701は、最終硬化中に部分的に硬化した成形研磨体の完全性を維持するのを助けるために保持される。次いで、最終硬化の完了時に支持層701は除去される。
【0060】
図7Hを再び参照すると、一実施形態では、最終研磨パッド722は、基板を研磨するための研磨パッドである。かかる一実施形態では、研磨パッド722は、約0.4〜0.55g/ccの範囲の密度を有する研磨体を含む。研磨体は、熱硬化性ポリウレタン材料と、熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡孔とを含む。特定の実施形態では、複数の独立気泡孔の各々は、アクリル共重合体からなるシェルを有する。特定の実施形態では、研磨体は、約0.44〜0.52g/ccの範囲の密度を有する。一実施形態では、研磨パッド222、300、400または722、またはそれらの上記変形例などの、本明細書に記載の低密度研磨パッドは、基板を研磨するのに適している。かかる一実施形態では、研磨パッドはバフパッドとして使用される。基板は、デバイスまたは他の層がその上に配置されたシリコン基板など、半導体製造業界で使用される基板であってもよい。しかし、基板は、MEMSデバイス、レチクル、またはソーラーモジュールのための基板などの基板であってもよいが、これらに限定されるものではない。したがって、本明細書で使用される「基板を研磨するための研磨パッド」への言及は、これらおよび関連する可能性を包含するように意図されている。
【0061】
研磨パッド222、300、400、または722、またはそれらの上記変形例などの、本明細書に記載の低密度研磨パッドは、熱硬化性ポリウレタン材料の一様な研磨体で構成することができる。一実施形態では、一様な研磨体は、熱硬化性の独立気泡ポリウレタン材料からなる。一実施形態では、「一様」という用語は、熱硬化性の独立気泡ポリウレタン材料の組成が研磨体の組成全体にわたって一貫していることを示すために使用される。例えば、一実施形態では、用語「一様」は、例えば、含浸フェルトまたは異なる材料の複数の層の組成(複合材料)からなる研磨パッドを排除する。一実施形態では、「熱硬化性」という用語は、不可逆的に硬化するポリマー材料、例えば前駆体が硬化によって不可逆的な不溶性ポリマーネットワークに不可逆的に変化した材料を示すために使用される。例えば、一実施形態では、「熱硬化性」という用語は、例えば「熱可塑性樹脂」または「熱可塑性樹脂」(これらの材料は、加熱されたとき液体に変わり、十分に冷却されるとガラス状に変化するポリマー)で構成された研磨パッドを除く。熱硬化性材料から作られた研磨パッドは、典型的には化学反応でポリマーを形成するために反応する低分子量前駆体から製造され、熱可塑性材料から作製されたパッドは、典型的には研磨パッドが物理的なプロセスで形成されるために、プレポリマーを加熱して、相変化を生じさせることで製造される。ポリウレタン熱硬化性ポリマーは、本明細書に記載の研磨パッドを製造するために、それらの安定な熱的および機械的特性、化学的環境に対する耐性、および耐摩耗性の傾向に基づいて、選択されうる。
【0062】
一実施形態では、一様な研磨体は、コンディショニングおよび/または研磨の際に、約1〜5ミクロンの二乗平均平方根の範囲内の研磨表面粗さを有する。一実施形態では、一様な研磨体は、コンディショニングおよび/または研磨の際に、約2.35ミクロンの二乗平均平方根の研磨表面粗さを有する。一実施形態では、一様な研磨体は、摂氏25度で約30〜120メガパスカル(MPa)の範囲の貯蔵弾性率を有する。別の実施形態では、一様な研磨体は、摂氏25度で約30メガパスカル(MPa)未満の貯蔵弾性率を有する。一実施形態では、一様な研磨体は約2.5%の圧縮率を有する。
【0063】
一実施形態では、研磨パッド222、300、400、または722、またはそれらの上記変形例などの、本明細書に記載の低密度研磨パッドは、一様な成形研磨体を含む。「成形」という用語は、図2A図2Gまたは図7A図7Hに関連して、上でより詳細に説明したように、一様な研磨体が成形型内で形成されることを示すために使用される。他の実施形態では、上記のような低密度研磨パッドを製造するために、代わりにキャスティングプロセスを使用することができることを理解されたい。
【0064】
一実施形態では、一様な研磨体は不透明である。一実施形態では、「不透明」という用語は、通過することが可能な可視光が約10%以下の材料を示すために使用される。一実施形態では、一様な研磨体の一様な熱硬化独立気泡ポリウレタン材料全体に(例えば、追加の成分として)不透明な充填剤を含む大部分が不透明であるか、または全体的に不透明である。特定の実施形態では、不透明充填剤は、窒化ホウ素、フッ化セリウム、グラファイト、フッ化黒鉛、硫化モリブデン、硫化ニオブ、タルク、硫化タンタル、二硫化タングステン、またはテフロンなどの材料であるが、これらに限定されない。
【0065】
パッド222、300、400または722のような低密度研磨パッドのサイジングは、用途に応じて変更することができる。それにもかかわらず、特定のパラメータを使用して、従来の処理装置、または従来の化学的機械加工処理とでさえも互換性のある研磨パッドを製造することができる。例えば、本発明の一実施形態によれば、低密度研磨パッドは、約0.075インチ〜0.130インチの範囲の厚さ、例えば約1.9〜3.3ミリメートルの範囲の厚さを有する。一実施形態では、低密度研磨パッドは、約20インチ〜30.3インチの範囲、例えば約50〜77センチメートルの範囲、および場合によっては約10インチ〜42インチの範囲、例えば、約25〜107センチメートルの範囲内の直径を有する。
【0066】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の低密度研磨パッドは、研磨パッド内に配置された局所領域透過性(LAT)領域をさらに含む。一実施形態では、LAT領域は、研磨パッド内に配置され、共有パッドと共有結合される。適切なLAT領域の例は、NexPlanar Corporationに譲渡された2010年1月13日出願の米国特許出願第12/657,135号、およびNexPlanar Corporationに譲渡された2010年9月30日出願の米国特許出願第12/895,465号に記載されている。代替的なまたは追加の実施形態では、低密度研磨パッドは、研磨表面および研磨体に配置された開口をさらに含む。開口は、例えば、研磨工具の取り付け盤に含まれる検出装置を収容することができる。研磨体の裏面には接着シートが配置されている。接着シートは、研磨体の裏面の開口に対して不透過性のシールを提供する。適切な開口の例は、NexPlanar Corporationに譲渡された2011年7月15日出願の米国特許出願第13/184,395号に記載されている。別の実施形態では、低密度研磨パッドは、例えば、渦電流検出システムと共に使用するための検出領域をさらに含む。適切な渦電流検出領域の例は、NexPlanar Corporationに譲渡された2010年9月30日出願の米国特許出願第12/895,465号に記載されている。
【0067】
研磨パッド222、300、400、または722、またはそれらの上記変形例などの、本明細書に記載の低密度研磨パッドは、研磨体の背面に配置された下地層をさらに含むことができる。かかる一実施形態では、研磨面の材料とは異なるバルクまたは下地材料を有する研磨パッドが得られる。一実施形態では、複合研磨パッドは、研磨表面層がその上に配置される、安定した、本質的に非圧縮性の不活性材料から製造された下地またはバルク層を含む。下地層が硬いほど、パッドの完全性のための支持および強度を提供する一方で、研磨表面層が柔らかいほど、引掻き傷を低減し、研磨層の材料特性および研磨パッドの残りの部分の分離を可能にしうる。好適な下地層の例は、NexPlanar Corporationに譲渡された2011年11月29日出願の米国特許出願第13/306,845号に記載されている。
【0068】
研磨パッド222、300、400、または722、またはそれらの上記変形例などの、本明細書に記載の低密度研磨パッドは、研磨体の裏面に配置されたサブパッド、例えば、従来のサブパッドCMP技術において知られているようなパッドをさらに含みうる。かかる一実施形態では、サブパッドは、フォーム、ゴム、繊維、フェルトまたは高度に多孔質の材料などの材料から構成されるが、これらに限定されない。
【0069】
説明の基礎として再び図2Gを参照すると、本明細書に記載されるような低密度研磨パッドに形成される溝パターンの個々の溝は、各溝上の任意の所与の点で約4〜約100ミルの深さでありうる。いくつかの実施形態では、溝は、各溝上の任意の所与の点で約10〜約50ミルの深さである。溝は、均一な深さ、可変の深さ、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、溝はすべて均一な深さである。例えば、溝パターンの溝はすべて同じ深さを有することができる。いくつかの実施形態では、溝パターンの溝のいくつかはある一定の深さを有してもよく、同じパターンの他の溝は異なる均一な深さを有してもよい。例えば、溝の深さは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて増加してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、溝深さは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて減少する。いくつかの実施形態では、均一な深さの溝は、可変の深さの溝と交互になる。
【0070】
本明細書に記載されるような低密度研磨パッドに形成される溝パターンの個々の溝は、各溝上の任意の所与の点で約2〜約100ミルの幅でありうる。いくつかの実施形態では、溝は、各溝上の任意の所与の点で約15〜約50ミルの幅である。溝は、均一な幅、可変幅、またはそれらの任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、溝はすべて均一な幅である。しかし、いくつかの実施形態では、同心円の溝のいくつかは一定の均一幅を有し、同じパターンの他の溝は異なる均一幅を有する。いくつかの実施形態では、溝幅は、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて増加する。いくつかの実施形態では、溝幅は、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて減少する。いくつかの実施形態では、均一幅の溝は、可変幅の溝と交互になる。
【0071】
前述した深さおよび幅の寸法に従って、本明細書に記載される溝パターンの個々の溝は、研磨パッドの開口またはその近傍の溝を含み、均一な容積、可変容積、または任意の組み合わせをとりうる。いくつかの実施形態では、溝はすべて均一な容積である。しかしながら、いくつかの実施形態では、溝の容積は、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて増加する。いくつかの他の実施形態では、溝の容積は、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて減少する。いくつかの実施形態では、均一な容積の溝が、可変容積の溝と交互になる。
【0072】
本明細書に記載の溝パターンの溝は、約30〜約1000ミルのピッチを有することができる。いくつかの実施形態では、溝は約125ミルのピッチを有する。円形研磨パッドの場合、溝ピッチは円形研磨パッドの半径に沿って測定される。CMPベルトにおいて、溝ピッチは、CMPベルトの中心からCMPベルトの縁まで測定される。溝は、均一なピッチ、可変のピッチ、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、溝はすべて均一ピッチである。しかしながら、いくつかの実施形態では、溝ピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて増加する。いくつかの他の実施形態では、溝ピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて減少する。いくつかの実施形態では、1つのセクタ内の溝のピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて変化するが、隣接するセクタ内の溝のピッチは均一なままである。いくつかの実施形態では、1つのセクタ内の溝のピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて増加するが、隣接するセクタ内の溝のピッチは異なる率で増加する。いくつかの実施形態では、1つのセクタ内の溝のピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて増加するが、隣接セクタ内の溝のピッチは、研磨パッドの中心からの距離が増加するにつれて減少する。いくつかの実施形態では、均一ピッチの溝は、可変ピッチの溝と交互になる。いくつかの実施形態では、均一ピッチの溝のセクタは、可変ピッチの溝のセクタと交互になる。
【0073】
本明細書に記載の研磨パッドは、様々な化学機械研磨装置と共に使用するのに適している。一例として、図8は、本発明の一実施形態による低密度研磨パッドに適合する研磨装置の等角投影図を示す。
【0074】
図8を参照すると、研磨装置800は、取り付け盤804を含む。取り付け盤804の上面802は、図8に示されるように、低密度研磨パッド899を支持するために使用されうる。取り付け盤804は、スピンドル回転806を含む。サンプルキャリア810は、半導体ウエハを研磨パッドで研磨する間、半導体ウエハ811を適所に保持するために使用される。サンプルキャリア810は、スライダ振動708をさらに提供しうる。サンプルキャリア810は、サスペンション機構812によってさらに支持される。半導体ウエハの研磨前および研磨中に、スラリーを研磨パッド899の表面に供給するためのスラリー供給部814が含まれる。調整ユニット890が含まれてもよく、一実施形態では、研磨パッドを調整するためのダイヤモンドチップを含む。
【0075】
したがって、低密度研磨パッドおよび低密度研磨パッドを製造する方法が開示されている。
本開示は以下も包含する。
[1]
基板を研磨するための研磨パッドであって、
約0.4〜0.55g/ccの範囲の密度を有する研磨体であって、
熱硬化性ポリウレタン材料と、
前記熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡孔であって、前記複数の独立気泡孔の各々は、アクリル共重合体を含むシェルを有する、複数の独立気泡孔と、
を含む研磨体を含む、研磨パッド。
[2]
前記研磨体が、約0.44〜0.52g/ccの範囲の密度を有する、上記態様1に記載の研磨パッド。
[3]
前記研磨体が、一様な研磨体である、上記態様1に記載の研磨パッド。
[4]
前記複数の独立気泡孔が、前記熱硬化性ポリウレタン材料の全容積の約50〜60%の範囲内の前記熱硬化性ポリウレタン材料中の全細孔容積を提供する、上記態様1に記載の研磨パッド。
[5]
前記研磨体が、
第1の溝付き面と、
前記第1の面の反対側の、第2の平坦な面と、
をさらに含む、上記態様1に記載の研磨パッド。
[6]
前記複数の独立気泡孔の各々が、本質的に球形である、上記態様1に記載の研磨パッド。
[7]
前記研磨体が、成形研磨体である、上記態様1に記載の研磨パッド。
[8]
前記研磨体が、
前記研磨体全体にほぼ均等に分散された不透明な充填剤、
をさらに含む、上記態様1に記載の研磨パッド。
[9]
上記態様1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体の裏面に設けられた支持層、
をさらに有する、上記態様1に記載の研磨パッド。
[10]
上記態様1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体の裏面に配置された検出領域、
をさらに有する、上記態様1に記載の研磨パッド。
[11]
上記態様1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体の裏面に設けられたサブパッド、
をさらに有する、上記態様1に記載の研磨パッド。
[12]
上記態様1に記載の研磨パッドであって、
前記研磨体内に配置され、前記研磨体と共有結合した局所領域透過性(LAT)領域、
をさらに有する、上記態様1に記載の研磨パッド。
[13]
研磨パッドを製造する方法であって、前記方法が、
成形型内に支持層を設ける工程と、
前記成形型内および前記支持層上の複数の微小要素と、プレポリマーおよび鎖伸長剤または架橋剤、との混合物を準備する工程であって、前記複数の微小要素の各々が、初期サイズを有する工程と、
熱硬化性ポリウレタン材料と、前記熱硬化性ポリウレタン材料中に分散された複数の独立気泡気孔とを含む部分的に硬化した成形研磨体を提供するための、前記成形型内の前記混合物の加熱の工程であって、前記複数の微小要素のそれぞれを、加熱中により大きなサイズへ膨張させることにより前記複数の独立気泡孔が形成され、前記部分的に硬化した成形研磨体は、前記支持層に結合されている、加熱の工程と、
前記部分的に硬化した成形研磨体と支持層の複層体を前記成形型から除去する工程と、
前記部分的に硬化した成形研磨体と支持層の複層体を前記成形型から除去する工程に続いて、前記支持層に結合されている成形研磨体を提供するために、前記成形型の外側で前記部分的に硬化した成形研磨体をさらに硬化させる工程と、
前記部分的に硬化した成形研磨体と支持層の複層体を前記成形型から除去する工程に続いて、前記支持層を除去する工程と、
を含む方法。
[14]
前記支持層が、前記部分的に硬化した成形研磨体を前記成形型の外側でさらに硬化させる前に除去される、上記態様13に記載の方法。
[15]
前記支持層が、前記部分的に硬化した成形研磨体を前記成形型の外側でさらに硬化させる間に除去される、上記態様13に記載の方法。
[16]
前記支持層が、前記部分的に硬化した成形研磨体を前記成形型の外側でさらに硬化させた後に除去される、上記態様13に記載の方法。
[17]
前記部分的に硬化した成形研磨体と支持層の複層体を前記成形型から除去する工程が、硬化の程度が前記部分的に硬化した一様な成形研磨表面層の形状を維持し、離型の応力に耐えるに十分であるときに実施される、上記態様13に記載の方法。
[18]
前記支持層を除去する工程が、前記支持層を前記成形研磨体から粉砕除去することを含む、上記態様13に記載の方法。
[19]
前記支持層を除去する工程が、前記支持層を前記成形研磨体から切断すること、前記支持層を前記成形研磨体からスカイビングすること、前記支持層を溶解すること、前記支持層をエッチングすること、及び支持層を研磨すること、より構成される群から選択される一つの技術を用いることを含む、上記態様13に記載の方法。
[20]
前記複数の微小要素の各々をより大きなサイズに膨張させることが、前記複数の微小要素の各々の体積を約3〜1000倍の範囲で増加させることを含む、上記態様13に記載の方法。
[21]
前記複数の微小要素の各々をより大きなサイズに膨張させることが、前記複数の微小要素の各々の最終直径が約10〜200ミクロンの範囲内のものを提供することを含む、上記態様13に記載の方法。
[22]
前記複数の微小要素の各々をより大きなサイズに膨張させることが、より大きなサイズの前記複数の微小要素の各々について本質的に球形を形成することを含む、上記態様13に記載の方法。
[23]
前記混合物を加熱することは、約120〜130℃の範囲の温度で行われる、上記態様13に記載の方法。
[24]
前記部分的に硬化した成形研磨体を前記成形型の外側でさらに硬化させることが、オーブン内で加熱することを含む、上記態様13に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8