(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810695
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】面取り部のポリマー低減のためのエッジリング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20201221BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
H05H1/46 L
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-541637(P2017-541637)
(86)(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公表番号】特表2018-516449(P2018-516449A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】US2016013390
(87)【国際公開番号】WO2016167852
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年1月15日
(31)【優先権主張番号】14/690,121
(32)【優先日】2015年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ ロヒト
(72)【発明者】
【氏名】スコット グレーム ジャミイソン
(72)【発明者】
【氏名】シラジュディン クハリド モヒウディン
(72)【発明者】
【氏名】タルシバグワレ シェシュラジ エル
(72)【発明者】
【氏名】シルナブカラス スリスカンサタジャー
【審査官】
鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−081775(JP,A)
【文献】
特開2005−064460(JP,A)
【文献】
特表2002−521815(JP,A)
【文献】
特開平02−148837(JP,A)
【文献】
特表2001−509645(JP,A)
【文献】
特開平09−213683(JP,A)
【文献】
特表2003−503841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/67−21/683
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体の本体で形成されたベース円形リングであって、ベース円形リング上に形成された中心開口を画定する内面と、ベース円形リングの周囲を画定する外面とを有し、第1の上面を有する上部本体と、上部本体に接続された下部とを含むベース円形リングと、
ベース円形リングの下部に形成された凹部と、
ベース円形リングの下部に形成され、凹部によって分割された第1の下部及び第2の下部であって、互いの深さが一致していない第1の下部及び第2の下部と、
ベース円形リングの内面の一部に沿って形成された段差部であって、
段差部は、第1の上面と平行に形成された第2の上面と、傾斜面とを有し、
傾斜面は、段差部の側壁と、上部本体の第1の上面に接続されている傾斜面の第1の端と、第2の上面に接続されている傾斜面の第2の端とを画定し、
第2の上面及び関連する基板支持アセンブリの側壁は、上部本体の第1の上面の上方にポケットを画定するように構成され、
傾斜面は、第1の上面より上へ上がっている段差部と、
ベース円形リングの第1の上面上に形成され、そこから上へ延在している複数の隆起構造であって、複数の隆起構造の各隆起構造は、上面を有し、実質的に平面であり、上にあるシャドーリングと係合してこれを持ち上げ、シャドーリングがベース円形リングの上面に直接接触するのを防ぐように構成されている隆起構造とを含むエッジリング。
【請求項2】
複数の隆起構造は、プラズマ処理チャンバ内に実装されたときに、基板と係合するように構成されたベース円形リングの内面に接続された第1の端部を有する、請求項1記載のエッジリング。
【請求項3】
隆起構造は、ベース円形リングの第1の上面の幅に実質的に一致する長さを有する、請求項1記載のエッジリング。
【請求項4】
複数の隆起構造は、プラズマ処理チャンバ内に実装されたときに、その上面を通ってシャドーリングと係合するように構成される、請求項1記載のエッジリング。
【請求項5】
ベース円形リングは、Al2O3、AlN、Y2O3、Si又はSiC、石英、イットリウム含有材料、及び陽極酸化Al2O3から製造される、請求項1記載のエッジリング。
【請求項6】
ベース円形リングの内面に形成された段差部は、プラズマ処理チャンバ内に実装されたときに、基板支持アセンブリの側壁の大部分を実質的に覆うように構成される、請求項1記載のエッジリング。
【請求項7】
ベース円形リングの内面に形成された段差部は、プラズマ処理チャンバ内に実装された場合に、基板支持アセンブリの側壁の第2の部分を露出させる段差部の上方に空間を残しつつ、基板支持アセンブリの側壁の第1の部分を実質的に覆うように構成される、請求項1記載のエッジリング。
【請求項8】
段差部の前記第2の上面は、プラズマ処理チャンバ内に実装されたときに、基板の裏面又は面取り部と係合するように構成される、請求項1記載のエッジリング。
【請求項9】
第1の下部は、第2の下部の第2の深さよりも約10%〜約50%長い第1の深さを有する、請求項1記載のエッジリング。
【請求項10】
ポケットは、ベース円形リングの第1の上面と段差部の第2の上面との間に画定された約1mm〜約5mmの段差高さを有する、請求項1記載のエッジリング。
【請求項11】
隆起構造の上面は、シャドーリングの底部と平行になるように構成された平面である、請求項4記載のエッジリング。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(分野)
本開示の実施形態は、概して、半導体処理システムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、半導体製造における基板の面取り部又は裏面からポリマーを低減するために利用される半導体処理システムに使用されるエッジリングに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
集積回路は、単一のチップ上に何百万ものコンポーネント(例えば、トランジスタ、コンデンサ、及び抵抗器)を含むことができる複雑なデバイスに発展してきた。チップ設計の進化には、より高速な回路とより大きな回路密度が絶えず求められている。より大きな回路密度に対する要求は、集積回路コンポーネントの寸法の低減を必要とする。
【0003】
集積回路コンポーネントの寸法が(例えば、サブミクロンの寸法まで)縮小されるにつれて、汚染物質の存在を低減する重要性が高まった。なぜなら、このような汚染物質は、半導体製造プロセス中に欠陥の形成を引き起こす可能性があるからである。例えば、エッチングプロセスにおいて、副生成物(例えば、エッチングプロセス中に生成され得るポリマー)は、基板上に形成された集積回路及び構造を汚染する粒子源となり得る。
【0004】
高い製造歩留まり及び低コストを維持するために、基板からの汚染物質及び/又は残留ポリマーの除去はますます重要になる。基板面取り部上に存在する残留ポリマーは、基板の前面に移動して付着し、基板の前面に形成された集積回路を潜在的に損傷させる可能性がある。基板面取り部上に存在する残留ポリマーが基板の裏面に移動して付着する実施形態では、リソグラフィ露光プロセス中の基板の非平坦性は、リソグラフィ深度焦点誤差をもたらす可能性がある。
【0005】
図1Aは、処理チャンバ130内に配置された台座102上に配置された基板100を処理するための従来のプラズマ処理チャンバ130を示す。シャドーリング124が基板100を囲む単一のリング128上に配置され、基板100のエッジ部/面取り部106は、プラズマプロセス中の堆積から保護される。しかしながら、場合によっては、単一リング126の上方に位置するシャドーリング124は、エッジ部/面取り部106の表面の上に間隔を置いて配置され、シャドーリング124と単一リング126との間にギャップ134を形成することが多く、シャドーリング124が基板100に直接接触することを防止する。シャドーリング124と単一リング126との間に形成されたギャップ134は、処理中に生成されたプラズマ120が、矢印138で示されるように、ギャップ134内に入り、チャンバ部品(例えば、台座102及び単一リング126)を攻撃するだけでなく、基板100の前面110、裏面122、及びエッジ部/面取り部106上に望ましくない膜層を形成可能とするかもしれない。ある場合は、基板102の裏面112は、基板102の前面110よりも高い汚染量を有する可能性がある。更に、プラズマ曝露によるチャンバコンポーネントの浸食及び漸進的な劣化は、ギャップ134が広くして、基板の面取り部/エッジ部106及びチャンバ部品の両方のボイド及び表面欠陥の悪化をもたらす可能性がある。
【0006】
図1Bは、望ましくない膜層110が基板100のエッジ部/面取り部106上に堆積した後の基板100の従来の例を示す。プラズマがギャップ134を通って進むにつれて、望ましくない膜層が、基板の周縁領域108の面取り部106上に形成され、更には前面102から基板100の裏面104へと延びる可能性がある。基板100の面取り部106及び/又は裏面104上に存在する残留ポリマー又は望ましくない膜層はまた、ロボット搬送プロセス、基板輸送プロセス、後続の製造プロセスなどの間に移動して剥がれ落ちる可能性があり、それにより、搬送チャンバ、基板カセット、処理チャンバ、及び回路コンポーネント製造プロセスで引き続き使用することができる他の処理装置に汚染をもたらす。更に、ポリマー又は残留膜層の断片は、基板処理中の粒子汚染源になる可能性がある。処理装置の汚染は、ツールの停止時間の増加をもたらし、それによって全体的な製造コストを不利に増加させる。
【0007】
したがって、基板前面に形成された構造の完全性を維持しながら、基板面取り部から基板裏面までの最小残留堆積で堆積効率を改善する向上させる装置及び方法が必要とされている。
【0008】
本開示の実施形態は、基板周辺領域(例えば、基板のエッジ又は面取り部)から残留膜層を低減するために利用される方法及び装置を含む。基板の面取り部、裏面、及び基板の周辺領域の汚染は、プラズマプロセス後に低減させることができる。一実施形態では、エッジリングは、ベース円形リング上に形成された中心開口を画定する内面と、ベース円形リングの周囲を画定する外面とを有する。ベース円形リングは、上部本体と、上部本体に接続された下部とを含む。段差部が、ベース円形リングの内面かつ上部本体の第1の上面の上方に形成される。段差部は、上部本体の第1の上面の上方にポケットを画定する。複数の隆起構造が、ベース円形リングの第1の上面上に形成される。
【0009】
別の一実施形態では、プラズマ処理チャンバは、基板支持アセンブリに囲むエッジリングと、エッジリングの上方に配置されたシャドーリングと、エッジリングとシャドーリングとの間に形成された空洞とを含み、エッジリングの上面上に形成された複数の隆起構造は、シャドーリングをエッジリングから持ち上げて、その間に空洞を形成する。
【0010】
更に別の一実施形態では、基板の面取り部汚染を低減する方法は、シャドーリングと、プラズマ処理チャンバ内に配置された基板支持アセンブリの周辺領域を囲むエッジリングとの間に空洞を形成する工程を含み、空洞は、エッジリングの上面に形成された複数の隆起構造によって形成され、エッジリングからシャドーリングを持ち上げて、それらの間に空洞を形成し、空洞は、基板支持アセンブリの上方に画定されたプラズマ領域からプラズマ処理チャンバ内に配置されたポンプまでの開放した流体連通を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。
【
図1B】基板の面取り部上に形成された残留汚染物を有する従来のプラズマ処理チャンバの一部を示す。
【
図2】面取り部残留汚染を最小にすることができるエッジリングを備えた装置の概略等角投影図を示す。
【
図3】
図2の装置に利用されるエッジリングの概略等角投影図を示す。
【
図4C】
図2の装置において利用することができるエッジリングの異なる例を示す。
【0012】
しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【0013】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。
【0014】
本開示の実施形態は、基板周辺領域(例えば、基板のエッジ又は面取り部)から残留膜層を低減するために利用される方法及び装置を含む。基板の面取り部、裏面、及び基板の周辺領域の汚染は、プラズマプロセス後に低減させることができる。本実施形態では、装置は、基板の面取り部、エッジリング、及びエッジリングの上方に位置するシャドーリングの間に空洞を画定することができるエッジリングを含むことができる。空洞は、装置のポンプと開放連通しているので、基板面取り部を横切って空洞内に移動するプラズマは、基板レベルの近くに残り、基板面取り部上又は基板の裏面上に望ましくない残留膜層を形成するのではなく、効率的に装置から押し出されることができる。
【0015】
図2は、本開示の実施形態と共に使用して基板面取り部上に形成された残留膜層の可能性を低減することができる処理チャンバ200の概略等角投影図を示す。処理チャンバ200は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials Inc.)から入手可能なDPS II TSV処理チャンバ、又は他の適切な真空チャンバとすることができる。処理チャンバ200は、マルチチャンバ、モジュラシステム(図示せず)の一部として典型的に使用される種類の全自動半導体プラズマ処理チャンバであってもよい。処理チャンバ200は、12インチ(300mm)、18インチ(450mm)、又は他の直径までの直径サイズを有する基板220を収容するように構成することができる処理容積210を有するチャンバ本体215を含む。
【0016】
処理チャンバ200は、チャンバ本体215上に配置された第1のエンクロージャ211内に存在する発電装置と連通するプラズマ電源202及び整合ネットワーク201を含む。プラズマ電源202及び整合ネットワーク201は、典型的には、約12MHz〜約13.5MHzの範囲内にある周波数(この特定の処理チャンバはこの周波数で動作するが、使用可能な他の処理チャンバは60MHzまでの範囲の電源周波数で動作する)と、0.1kW〜約5kWの範囲内の電力で動作する。誘導コイル204、206は、チャンバ本体215と第1のエンクロージャ211との間に配置された第2エンクロージャ213内に配置される。誘導コイル204、206は、処理容積内にRF誘導結合プラズマを生成して、チャンバ本体215内に配置された基板支持アセンブリ207上に配置された基板220上でプラズマプロセスを実行することができる。処理源ガスは、ガス交換ノズル214を介して処理容積210に導入され、均一な制御されたガス流分配を提供することができる。
【0017】
チャンバ本体215内に存在する処理容積210は、下部処理チャンバ217と連通している。下部処理チャンバ217は、ターボポンプ216の上方に位置し、ターボポンプ216と連通しているスロットルバルブ219と連通しており、ターボポンプ216は、粗引きポンプ226の上方に位置し、粗引きポンプ226と連通している。動作中、プラズマ源ガスが処理容積210に供給され、スロットルバルブ219、ターボポンプ216、及び粗引きポンプ226を介して、処理副生成物が処理容積210から汲み出される。基板入口ポート212がチャンバ本体215内に形成され、処理チャンバ200からの基板220の出し入れを促進する。
【0018】
基板支持アセンブリ207がチャンバ本体215内に配置され、処理中に基板220を支持する。基板支持アセンブリ207は、基板支持アセンブリ207の少なくとも一部が導電性であり、処理バイアス陰極として機能することができる従来の機械式チャック又は静電チャックとすることができる。冷却流体供給入口224は、冷却流体を基板支持アセンブリ207に供給して、その温度を所望の範囲に維持するように構成された基板支持アセンブリ207に結合することができる。基板支持アセンブリ207上に配置された基板は、ウェハリフトピン(図示せず)によって昇降させ、基板支持アセンブリ207上へ又は基板支持アセンブリ207から離れて基板を搬送するのを促進することができる。
【0019】
シャドーリング250は、基板支持アセンブリ207の周辺領域を囲むエッジリング252の上に配置される。エッジリング252は、シャドーリング250の下に配置されたときに、エッジリング252の上方に空洞261を画定するように形作られる。画定されたような空洞261は、基板面取り部又は裏面に残留膜層を蓄積及び形成するのではなく、プラズマが、基板面取り部から離れる方向に効率的に流れ、リング250、252の間に画定された空洞261を通して処理チャンバからスロットルバルブ219を介してターボポンプ216及び粗引きポンプ226へと汲み出(ポンピング)されることを可能にする。エッジリング252の構成及び配置に関する詳細は、
図3〜
図4Cを参照して以下で更に説明される。
【0020】
コントローラ290は、処理シーケンスを制御し、処理チャンバ200内で実行されるガス流及びプラズマ処理を調整するために利用される中央処理装置(CPU)292、メモリ294、及びサポート回路296を含む。CPU292は、工業的な環境で使用可能な任意の形態の汎用コンピュータプロセッサとすることができる。ソフトウェアルーチン(例えば、後述するエッチングプロセス)は、メモリ294(例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フロッピー、又はハードディスクドライブ、又は他の形態のデジタル記憶装置)に保存することができる。サポート回路296は、従来からCPU292に結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電源などを含むことができる。コントローラ290と処理チャンバ200の様々なコンポーネントとの間の双方向通信は、信号バス298と総称される多数の信号ケーブルによって処理され、そのいくつかは
図2に示されている。
【0021】
一実施形態では、処理チャンバ200内に提供された基板220は、基板支持アセンブリ207に結合された整合ネットワーク221を介してRFバイアス電源222からRF電力を供給することによってバイアスされる。RFバイアス電源222によって供給されるRF電力は、100kHz〜13.56MHzの範囲内(例えば、100kHz〜2.5MHzの範囲内)とすることができる。プラズマ電源202及び基板RFバイアス電源222は、コントローラ290によって独立して制御される。特に、RFバイアス電源222は、システムコントローラによって設定された電源パルス化機能を用いてパルス化され、「デューティサイクル」と呼ばれる電力がオンの時間の割合を提供する。パルス化されたバイアス電力のオン時間及びオフ時間は、基板処理を通して均一である。この例では、例えば、電力が3ミリ秒間オンで15ミリ秒間オフの場合、「デューティサイクル」は16.67%になる。1秒当たりのサイクル数(Hz)におけるパルス周波数は、1.0を秒で表したオン時間とオフ時間の合計で割ったものに等しい。例えば、電力が3ミリ秒間オンで15ミリ秒間オフであり、合計で18ミリ秒間である場合、1秒当たりのサイクル数におけるパルス周波数は、55.55Hzである。特定のニーズに対して基板処理中にオン/オフタイミングが変化する特殊なパルス化プロファイルを使用することが可能である。
【0022】
図3は、
図1に示されたエッジリング252の一実施形態の上面図を示す。エッジリング252は、上面309を有するベース円形リング306と、上面309上に配置された隆起構造304とを含む。中央開口部又はボア314は、エッジリング252の中心部分に形成され、エッジリング252が処理チャンバ(例えば、
図2に示される処理チャンバ200)内に実装されたときに内部に配置された基板を受け入れる。ベース円形リング306は、ベース円形リング306の内径317を画定し、並びに中央開口部又はボア314の外周を画定する内面316を有する。ベース円形リング306はまた、ベース円形リング306の外径319(例えば、外周)を画定する外面310を含む。底部311は、エッジリング252の底面(図示せず)に取り付けられている。
【0023】
段差部315は、ベース円形リング306の内面316内に形成され、側壁と共有される。段差部315は、外面310に向かって外向きの方向に延びる所定の幅を有する。段差部315は、ベース円形リング306の上面309の上方にわずかに段差高さを画定することができる。段差部315及びベース円形リング306の構成に関する詳細は、
図4A〜
図4Cを参照して以下に更に説明する。
【0024】
一実施例では、複数の隆起構造304が、ベース円形リング306の上面309上に形成される。隆起構造304は、内面316から外面310まで延びるベース円形リング306の上面309の幅に沿って延びる直線状の隆起面305(例えば、上面)を含むことができる。直線状の隆起面305は、シャドーリング250の底面と平行に面する実質的に平坦な面である。隆起構造304は、中央開口部又はボア314に面した第1の端部312を有するので、基板が中央開口部又はボア314内に配置されたときに、第1の端部312は、基板を所望の位置にギルド又は整列させるためのギルド部材として働くことができる。更に、ベース円形リング306の上面309上に形成された隆起構造304はまた、その隆起面305(例えば、上面)によってシャドーリング250と係合して持ち上げて、シャドーリング250がベース円形リング306の上面309と直接接触するのを防止することができる。このようにすることにより、空洞261を、シャドーリング250とエッジリング252との間に効率的に形成することができ、基板面取り部から離れてリング252、250の間の半径方向外向きの流れを可能にする。
図3に示される例では、3つの隆起構造304が存在する。なお、シャドーリング250をベース円形リング306から離間させる隆起構造304の数、形状、寸法、及び構成は、異なるプロセス及び機器要件に対して必要な任意の形態又は任意の数とすることができることに留意すべきである。
【0025】
図4Aは、
図3に示される切断線A−A’に沿ったエッジリング252の断面図を示す。シャドーリング250は、(
図4Aには図示されない)隆起構造304によってエッジリング252の上方に離間される。なお、シャドーリング250は、
図4Aにのみ示されており、説明及び図示を容易かつ簡潔にするために、
図4B及び
図4Cから削除されていることに留意すべきである。エッジリング252は、(図示され、点線355によって分割される)下部311に接続された上部本体371を有するベース円形リング306を含み、共に一体の本体を形成する。ベース円形リング306は、基板支持アセンブリ207の側壁に近接して配置された内面316を含む。
図4Aに示される一例では、内面316は、基板支持アセンブリ207の側壁381に近接して配置されているが、基板支持アセンブリ207と接触してはおらず、それらの間にギャップ373を残している。
【0026】
段差部315は、上部本体371の第1の端部351に、ベース円形リング306の上面309の上方に形成される。段差部315は、ベース円形リング306の上面309から段差高さ336を画定する上面342を有し、段差部315の上面342とベース円形リング306の上面309との間を接続する傾面340を作る。段差部315の上面342とベース円形リング306の上面309との間に形成された段差高さ336によって、ベース円形リング306の上面309の上方にポケット334を形成可能となる。ポケット334は、スロットルバルブ219を介して処理容積210とポンプ226との間で開放流体連通している。ポケット334は、後で処理チャンバ200内に実装されたときに空洞261を形成し空洞261として作用することができ、空洞261は、処理容積210から移動したプラズマが、基板面取り部上に蓄積して、望ましくないことにその上に残留膜層を形成するのではなく、基板面取り部を迂回し、基板面取り部から離れる方向に空洞260へと流れ、処理チャンバ200から容易に汲み出されることを可能にする。一例では、段差高さ336は、ベース円形リング306の上面309と段差部315の上面342との間に画定される約1mm〜約5mmの間にある。
【0027】
ベース円形リング306内に形成された段差部315は、基板支持アセンブリ207の側壁381の一部と実質的に係合してこれを覆い、段差部315の上面342の上方に空間398を残すことができる。段差部315の上面342の上方に画定された空間398は、開放流体連通領域を提供することができ、開放流体連通領域は、それに続くプラズマが基板面取り部を迂回して基板面取り部から離れる方向に流れることを可能にし、基板の裏面又は面取り部上に蓄積するのではなく、プラズマが処理チャンバから汲み出されるのを可能にする開放チャネルを形成する。一例では、段差部315は約0.5mm〜約5mmの幅350を有することができる。
図4Aに示された例は、段差部315の上方に画定された空間398を含むが、上方に残された空間398は、上方に空間を残さない場合を含めて、任意のサイズ、構成、又は任意の寸法とすることができることに留意すべきであり、これは
図4Bに示される例と同様であり、以下で後述される。
【0028】
ベース円形リング306の下部311には、下部311を第1の下部344と第2の下部346とに分割する凹部345が形成されている。第1の下部344は、内面316の下部を画定し、一方、第2下部ポート346は、外面310の下部を画定する。対称的に、上部本体371は、内面316の上部と外面310の上部を画定する2つの端部321、320を有する。凹部345は、処理チャンバ200内に配置されたときに他のチャンバ部品と嵌合するように構成して、エッジリング252の位置を固定することができる。凹部345は、約2mm〜約10mmの深さ365を有することができる。第1の下部344は、概して、第2の下部346の第2の深さ354よりも長い第1の深さ356を有する。一例では、第1の下部344の第1の深さ356は、第2の下部346の第2の深さ354よりも約10%〜約50%長い。一例では、第1の深さ356は、約3mm〜約10mmにあり、第2の深さ354は、約2mm〜約10mmにある。下部311に接続された上部本体371は、約1mm〜約15mmの均一な厚さ352を有する。
【0029】
一例では、エッジリング252は、腐食性のプラズマ種に対して高い耐性を有する任意の適切な材料から製造することができる。エッジリング252を製造するのに適した材料には、誘電体材料、セラミックス材料、金属含有誘電体材料が含まれる。一例では、エッジリング252は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、Y
2O
3、Si、炭化ケイ素、陽極酸化Al
2O
3、石英、及びイットリウム含有材料とすることができる。
【0030】
図4Bは、エッジリング402の別の一実施形態を示し、エッジリング402の上面418の上方に形成された段差部406の異なる構成を有する。同様に、エッジリング402は、シャドーリング250をエッジリング402の上方に離間させる(
図4Bには図示されない)隆起構造304を含む上記のエッジリング252と同様のベース円形リング407の形態にある。段差部406は、ベース円形リング407の上面418から段差高さ414を画定する上面408を有し、ベース円形リング407の上面418の上方にポケット416を作る。しかしながら、
図4Aに形成された傾斜面340とは対照的に、実質的に垂直な側壁410が形成され、実質的に真っ直ぐな側壁プロファイルを有する段差部408を画定する。垂直側壁410は、段差部406の上面408とベース円形リング407の上面408との間に画定された段差高さ414と実質的に同じ高さを有することができる。
【0031】
ベース円形リング407内に形成された段差部406は、基板支持アセンブリ207の側壁381の大部分と実質的に係合してこれを覆うことができ、段差部406の上面408の上方に最小限の空間を残すか、又はほとんど空間を残さない。その結果、基板支持アセンブリ207の側壁の大部分は、突出した段差部406を含むエッジリング402によって効率的に覆われ、プラズマを基板支持アセンブリ207との接触から効率的に遮断し、支持アセンブリ207のプラズマ攻撃からの可能性を最小にする。エッジリング402の他の構造及び部分は、
図4Aに示されるエッジリング252と同様に構成されている。
【0032】
図4Cは、
図4A〜
図4Bで上述したエッジリング252、402と同様のエッジリング500の更に別の一例を示す。エッジリング500はまた、処理チャンバ200内に配置されたときに、(
図4Aに図示される)シャドーリング250の下方に空洞504を画定する。しかしながら、
図4A〜
図4Bに示される構成とは異なり、エッジリング500の上方にシャドーリング250を離間させる(
図3に示されるような)隆起構造304を除いて、エッジリング500は、上に段差部又は突起が形成されない実質的に平坦な表面503を有する。エッジリング500は、基板220(特に、基板の面取り部)と離間関係を有するように構成されるので、エッジリング500の表面503の上方に画定された空洞504は開放流体連通を維持でき、それに続くプラズマが基板面取り部及び裏面508を迂回し、処理チャンバ200内に配置されたスロットルバルブ219及びポンプ226を介してリング250、500の間で処理チャンバ200から汲み出されることを可能にする。一例では、エッジリング500は、プラズマ処理チャンバ(例えば、
図2に示されるプラズマ処理チャンバ200)内に位置決めするときに、基板220の裏面508から約1mm〜約5mmの距離502を画定することができる。
【0033】
したがって、本開示は、プラズマ処理後に基板の面取り部又は裏面上に形成される残留膜層を効率的に低減することができるエッジリングを提供する。エッジリングは、プラズマ処理チャンバ内で実行されるときに空洞を形成することができるポケットを含むことができ、空洞は、それを通ってプラズマが移動するための開放流体連通状態を維持し、プラズマ処理チャンバから効率的に汲み出される。エッジリング内に形成されたポケットは、エッジリングの上面上の段差形状によって画定することができる。エッジリングの上方に形成された空洞を利用することにより、残留プラズマは、基板の面取り部及び裏面に蓄積するのではなく、処理チャンバから効率的に汲み出すことができるので、残留膜層又は汚染物が基板の面取り部及び裏面上に形成される可能性が大幅に低減され、排除される。
【0034】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる実施形態は本開示の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。