特許第6810911号(P6810911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6810911物体搬送装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810911
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】物体搬送装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20201228BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   H01L21/68 A
   G03F7/20 521
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-84905(P2019-84905)
(22)【出願日】2019年4月26日
(62)【分割の表示】特願2017-86730(P2017-86730)の分割
【原出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-133192(P2019-133192A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100102901
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 篤司
(72)【発明者】
【氏名】青木 保夫
(72)【発明者】
【氏名】河江 國博
(72)【発明者】
【氏名】八田 澄夫
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一夫
【審査官】 今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−068620(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/131485(WO,A1)
【文献】 特開2009−016388(JP,A)
【文献】 特開2012−058391(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0223132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30、21/67−21/683
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定パターンが形成された物体の所定方向に関する一端部を保持する第1移動体と、
前記第1移動体を非接触支持する第1ガイド部と、
前記物体の前記所定方向に関する他端部を保持する第2移動体と、
前記第2移動体を非接触支持する第2ガイド部と、
前記所定方向に関して、前記第1移動体と前記第2移動体とが互いに離れる方向へ相対移動させる駆動部と、
前記所定方向に関して前記第1移動体と前記第2移動体との間に位置し、前記第1及び第2移動体の相対移動により前記第1及び第2移動体による前記物体の保持が解除された前記物体を支持する搬送部と、を備え
前記駆動部は、前記第1ガイド部に対して前記第1移動体を前記所定方向へ相対移動させ、前記第2ガイド部に対して前記第2移動体を前記所定方向へ相対移動させる物体搬送装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記物体とは異なる別の物体を支持する状態で前記第1移動体と前記第2移動体との間に位置し、
前記駆動部は、前記搬送部から前記別の物体を受け取るように、前記所定方向に関して、前記第1移動体と前記第2移動体とが互いに接近方向へ相対移動させる請求項1に記載の物体搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記物体と前記別の物体を下方から支持する請求項2に記載の物体搬送装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記物体を保持する第1保持部と、前記別の物体を保持する第2保持部とを有し、
前記第1移動体と前記第2移動体とから受け取った前記物体を保持する前記第1保持部の位置に、前記別の物体を保持する前記第2保持部が位置するように、前記第1保持部と前記第2保持部とを移動させる駆動装置を備える請求項2又は3に記載の物体搬送装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記搬送部の両側に前記第1移動体と前記第2移動体とが位置するように、前記第1ガイド部に対して前記第1移動体を前記所定方向と交差する交差方向へ相対移動させ、前記第2ガイド部に対して前記第2移動体を前記交差方向へ相対移動させる請求項1〜4のいずれか一項に記載の物体搬送装置。
【請求項6】
前記第1移動体と前記第2移動体とは、前記所定方向と前記交差方向とへ、それぞれ独立して移動可能である請求項に記載の物体搬送装置。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の物体搬送装置と、
露光対象物体を保持し、前記露光対象物体に前記所定パターンが露光されるよう、前記露光対象物体を移動させる移動体と、を備える露光装置。
【請求項8】
前記露光対象物体は、フラットパネルディスプレイに用いられる基板である請求項に記載の露光装置。
【請求項9】
前記基板は、少なくとも一辺の長さ又は対角長が500mm以上である請求項に記載の露光装置。
【請求項10】
請求項又はに記載の露光装置を用いて前記露光対象物体を露光することと、
露光された前記露光対象物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項11】
請求項のいずれか一項に記載の露光装置を用いて前記露光対象物体を露光することと、
露光された前記露光対象物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体搬送装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、マスク(フォトマスク)又はレチクル(以下、「マスク」と総称する)と、ガラスプレート又はウエハ(以下、「基板」と総称する)とを所定の走査方向(スキャン方向)に沿って同期移動させつつ、マスクに形成されたパターンをエネルギビームを用いて基板上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、マスクの端部を保持する枠状の部材(マスクホルダなどと称される)を駆動することによってマスクの位置制御を行うマスクステージ装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、マスクパターンを基板に対して高精度で転写するためには、高精度で基板とマスクとを同期駆動する必要があり、マスクステージ装置の位置制御性の向上が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0030702号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、所定パターンが形成された物体の所定方向に関する一端部を保持する第1移動体と、前記第1移動体を非接触支持する第1ガイド部と、前記物体の前記所定方向に関する他端部を保持する第2移動体と、前記第2移動体を非接触支持する第2ガイド部と、前記所定方向に関して、前記第1移動体と前記第2移動体とが互いに離れる方向へ相対移動させる駆動部と、前記所定方向に関して前記第1移動体と前記第2移動体との間に位置し、前記第1及び第2移動体の相対移動により前記第1及び第2移動体による前記物体の保持が解除された前記物体を支持する搬送部と、を備え、前記駆動部は、前記第1ガイド部に対して前記第1移動体を前記所定方向へ相対移動させ、前記第2ガイド部に対して前記第2移動体を前記所定方向へ相対移動させる物体搬送装置が、提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る物体搬送装置と、露光対象物体を保持し、前記露光対象物体に前記所定パターンが露光されるよう、前記露光対象物体を移動させる移動体と、を備える露光装置が、提供される。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様に係る露光装置を用いて前記露光対象物体を露光することと、露光された前記露光対象物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法が、提供される。
【0009】
本発明の第4態様によれば、第2の態様に係る露光装置を用いて前記露光対象物体を露光することと、露光された前記露光対象物体を現像することと、を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2図2(A)は、図1の液晶露光装置が有するマスクステージ装置の平面図、図2(B)は、マスクステージ装置の正面図である。
図3図1の液晶露光装置が有するマスクストッカ、マスクローダ、及びマスクステージ装置を示す図である。
図4】マスクストッカ、マスクローダ、及びマスクステージ装置の平面図である。
図5図5(A)は、マスクローダが有する支持アームの平面図、図5(B)は、支持アームの側面図、図5(C)は、マスクステージ装置、及びマスクローダの正面図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、マスクの交換動作を説明するため図(その1)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図及び側面図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、マスクの交換動作を説明するため図(その2)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図及び側面図である。
図8図8(A)及び図8(B)は、マスクの交換動作を説明するため図(その3)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図及び側面図である。
図9】マスクの交換動作を説明するため図(その4)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図である。
図10図10(A)及び図10(B)は、マスクの交換動作を説明するため図(その5)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図及び側面図である。
図11図11(A)及び図11(B)は、マスクの交換動作を説明するため図(その6)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図及び側面図である。
図12図12(A)及び図12(B)は、マスクの交換動作を説明するため図(その7)であって、マスクステージ装置、及びマスクローダの平面図及び側面図である。
図13】マスクの交換動作を説明するため図(その8)であって、マスクステージ装置、マスクローダ、及びマスクストッカの平面図である。
図14】第1の変形例に係るマスクローダの平面図である。
図15】第2の変形例に係るマスクステージ装置の正面図である。
図16図16(A)及び図16(B)は、第2の変形例に係るマスクステージ装置の動作を説明するための図(平面図及び正面図)である。
図17図17(A)及び図17(B)は、第3の変形例に係るマスクステージ装置を示す平面図及び正面図である。
図18】第4の変形例に係るマスクステージ装置の平面図である。
図19図19(A)及び図19(B)は、第2の実施形態に係るマスクローダの平面図及び側面図である。
図20】第3の実施形態に係るマスクステージ装置の平面図である。
図21】第4の実施形態に係るマスクステージ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1図13を用いて説明する。
【0012】
図1には、第1の実施形態に係る液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0013】
液晶露光装置10は、照明系12、光透過型のマスクMを保持するマスクステージ装置14、投影光学系16、装置本体18、表面(図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置20、マスクローダ90(図1では不図示。図3参照)、マスクストッカ100(図1では不図示。図3参照)、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系16に対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0014】
照明系12は、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。照明系12は、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0015】
照明系12(上記各種レンズなどを含む照明系ユニット)は、クリーンルームの床11上に設置された照明系フレーム30に支持されている。照明系フレーム30は、複数の脚部32(図1では紙面奥行き方向に重なっている)、及び該複数の脚部32に支持された照明系支持部34を有している。
【0016】
マスクステージ装置14は、マスクMを照明系12(照明光IL)に対してX軸方向(スキャン方向)に所定の長ストロークで駆動するとともに、Y軸方向、及びθz方向に微少駆動するための要素である。マスクMは、例えば石英ガラスにより形成された平面視矩形の板状部材から成り、図1における−Z側を向いた面(下面部)に所定の回路パターン(マスクパターン)が形成されている。マスクMの下面部には、図2(B)に示されるように、マスクパターンを保護するためにペリクルPeと称される防塵フィルムが取り付けられている。ここで、マスクMの下面の幅方向(図2(B)ではY軸方向)両端部には、マスクパターンが形成されていない領域(以下、余白領域と称する)が設けられている。このため、ペリクルPeの幅方向寸法は、マスクMの幅方向寸法よりも短く設定されている。マスクステージ装置14の詳細な構成については、後述する。
【0017】
図1に戻り、投影光学系16は、マスクステージ装置14の下方に配置されている。投影光学系16は、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される投影光学系と同様な構成の、いわゆるマルチレンズ投影光学系であり、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成する複数の投影光学系を備えている。
【0018】
液晶露光装置10では、照明系12からの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光により、投影光学系16を介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P上の照明領域に共役な照明光の照射領域(露光領域)に形成される。そして、照明領域(照明光IL)に対してマスクMが走査方向に相対移動するとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pが走査方向に相対移動することで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。
【0019】
装置本体18は、複数の防振装置19を介して床11上に設置されている。装置本体18は、例えば米国特許出願公開第2008/0030702号明細書に開示される装置本体と同様に構成されており、上架台部18a、下架台部18b、及び一対の中架台部18cを有している。上記投影光学系16は、上架台部18aに支持されている。装置本体18は、上記照明系フレーム30とは、振動的に分離して配置されている。したがって、投影光学系16と照明系12とが振動的に分離される。
【0020】
基板ステージ装置20は、ベース22、XY粗動ステージ24、及び微動ステージ26を含む。ベース22は、平面視(+Z側から見て)矩形の板状の部材から成り、下架台部18b上に一体的に載置されている。XY粗動ステージ24は、例えばX軸方向に所定の長ストロークで移動可能なX粗動ステージと、Y軸方向に所定の長ストロークで移動可能なY粗動ステージとを組み合わせた、いわゆるガントリタイプの2軸ステージ装置(X、Y粗動ステージは図示省略)である。
【0021】
微動ステージ26は、平面視矩形の板状(あるいは箱形)の部材から成り、基板Pの下面を吸着保持する基板ホルダを含む。微動ステージ26は、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるような重量キャンセル装置(図1では不図示)を介してベース22上に載置されている。微動ステージ26は、上記XY粗動ステージ24に案内(誘導)されることにより、投影光学系16(照明光IL)に対してX軸方向、及び/又はY軸方向に所定の長ストロークで移動する。
【0022】
微動ステージ26のXY平面内の位置情報は、微動ステージ26に固定されたバーミラー27(実際にはXバーミラーとYバーミラーとを含む)を用いて装置本体18に固定されたレーザ干渉計28(実際にはXレーザ干渉計とYレーザ干渉計とを含む)により求められ、該レーザ干渉計28の出力に基づいて基板PのXY平面内の位置制御が行われる。なお、上記マスクステージ装置14に保持されたマスクMに同期するように基板Pを少なくともX軸(走査)方向に所定の長ストロークで駆動することができれば、基板ステージ装置20の構成は、特に限定されない。
【0023】
次にマスクステージ装置14の構成について説明する。マスクステージ装置14は、一対のステージユニット40を有している。一対のステージユニット40は、一方が照明系から照射される照明光ILの光路(すなわちマスクM)の+Y側に、他方が照明光ILの光路(すなわちマスクM)の−Y側にそれぞれ配置されている。一対のステージユニット40は、マスクMを挟んで紙面左右対称に配置されている点を除き、実質的に同じ構成を有している。以下、一方(+Y側)のステージユニット40についてのみ説明し、他方(−Y側)のステージユニット40の構成の説明は、省略する。
【0024】
図2(A)に示されるように、ステージユニット40は、ベース42、ガイド44、粗動ステージ46、微動ステージ48、及び複数のボイスコイルモータ(Xボイスコイルモータ50x、一対のYボイスコイルモータ50y)を含む。
【0025】
ベース42は、X軸方向に延びるXY平面に平行な板状の部材から成り、図1に示されるように、照明系フレーム30が有する複数の脚部32に固定されたマスクステージ支持部材36に支持されており、装置本体18、及び基板ステージ装置20に対して相互に振動的に分離されている。なお、本実施形態において、ベース42は、照明系フレーム30に支持されているが、装置本体18、及び基板ステージ装置20に対して相互に振動的に分離した状態で床11上に設置された別の架台上に搭載されていても良い。
【0026】
図2(A)に戻り、ベース42の上面には、一対のXリニアガイド52aがY軸方向に関して互いに離間して固定されている。Xリニアガイド52aは、X軸方向に延びる部材から成り、その長さは、ベース42と同程度に設定されている。また、ベース42の上面であって、一対のXリニアガイド52a間の領域には、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニット54aが固定されている。
【0027】
ガイド44は、X軸方向に延びるYZ断面矩形(図2(B)参照)の部材から成り、図1に示されるように、装置本体18の上架台部18aの上面であって、ベース42と投影光学系16との間の領域に、ベース42、及び投影光学系16に対して相互に離間した状態で配置されている。図2(A)に戻り、ベース42、及びガイド44の長手方向寸法は、ほぼ同じであり、本実施形態において、その長さは、例えばマスクMの長手方向の寸法の3倍程度に設定されている。ガイド44の上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。
【0028】
粗動ステージ46は、図2(B)に示されるように、YZ断面L字状の部材から成り、ベース42上に載置されている。粗動ステージ46の下面には、複数(1本のXリニアガイド52aにつき、例えば2つ)のXスライド部材52bが固定されている。Xスライド部材52bは、対応するXリニアガイド52aとともに、例えば米国特許第6,761,482号明細書に開示されるような機械的なXリニアガイド装置52を構成しており、粗動ステージ46は、該Xリニアガイド装置52により、ベース42上でX軸方向に直進案内される。
【0029】
また、粗動ステージ46の下面中央部には、上記磁石ユニット54aに対向してコイルユニット54bが固定されている。コイルユニット54bは、磁石ユニット54aとともに、例えば米国特許第8,030,804号明細書に開示されるようなXリニアモータ54を構成しており、粗動ステージ46は、該Xリニアモータ54により、ベース42上でX軸方向に直進駆動される。コイルユニットに供給される電流の向き、及び大きさは、不図示の主制御装置により制御される。粗動ステージ46のX位置情報は、不図示のリニアエンコーダシステム(あるいは光干渉計システム)により求められる。なお、粗動ステージ46をX軸方向に駆動するためのアクチュエータの種類は、特に限定されず、例えば送りネジ装置、ロープ(あるいはベルト)駆動装置などであっても良い。また、リニアモータは、ムービングマグネットタイプであっても良い。
【0030】
微動ステージ48は、粗動ステージ46の−Y側(マスクM側)であって、上記ガイド44上の上方に配置されている。微動ステージ48は、図2(A)に示されるように、本体部48aと、マスクMを吸着保持する部分である複数の吸着保持部48bとを備えている。本体部48aは、X軸方向に延びるXY平面に平行な板状の部材から成り、その長さは、粗動ステージ46(及びマスクM)と同程度に設定されている。本体部48aは、軸受け面がガイド44の上面に対向して配置された不図示のエアベアリングを有している。本体部48aは、上記エアベアリングからガイド44の上面に対して噴出される加圧気体の静圧により、図2(B)に示されるように、ガイド44に対して微少なクリアランスを介して浮上している。
【0031】
吸着保持部48bは、XY平面に平行な板状に形成され、本体部48aの−Y側(マスク側)の面部の上端部近傍から−Y方向に付き出している。本実施形態において、微動ステージ48は、図2(A)に示されるように、X軸方向に所定間隔(平面視で櫛歯状に配置された状態)で、例えば4つの吸着保持部48bを有しており、該4つの吸着保持部48bを用いてマスクMの+Y側の余白領域を下方から支持する。吸着保持部48bには、マスクステージ装置14の外部に配置された不図示の真空吸引装置が接続されている。吸着保持部48bは、上面に孔部が形成されており、上記真空吸引装置から供給される真空吸引力によりマスクMの下面を吸着保持可能となっている。なお、本実施形態では、本体部48aと吸着保持部48bとは一体に形成されているが、これに限られず、別部材であっても良い。
【0032】
Xボイスコイルモータ50xは、粗動ステージ46から微動ステージ48に対してX軸方向の推力(ローレンツ力)を作用させ、Yボイスコイルモータ50yは、粗動ステージ46から微動ステージ48に対してY軸方向の推力(ローレンツ力)を作用させる。一方のYボイスコイルモータ50yは、Xボイスコイルモータ50xの+X側に、他方のYボイスコイルモータ50yは、Xボイスコイルモータ50xの−X側にそれぞれ配置されている。
【0033】
+X側のYボイスコイルモータ50yは、図2(B)に示されるように、粗動ステージ46に固定された固定子50aと、微動ステージ48に固定された可動子50bとにより構成される。可動子50bは、YZ断面U字状に形成され、一対の対向面間に固定子50aが所定のクリアランスを介して挿入されている。可動子50bは、一対の対向面に不図示の永久磁石を含む磁石ユニットを有している。また、固定子50aは、不図示のコイルユニットを有している。コイルユニットに供給される電流の向き、及び大きさは、不図示の主制御装置により制御される。−X側のYボイスコイルモータ50y(図2(A)参照)の構成は、+X側のYボイスコイルモータ50yと同じであるが、+X側のYボイスコイルモータ50yとは、独立に制御される。また、Xボイスコイルモータ50x(図2(A)参照)の構成は、永久磁石の大きさ、及び磁極の配置(磁界の向き)、並びにコイルの大きさ、及び電流の向きが異なる点を除き、上記Yボイスコイルモータ50yと概ね同じ(粗動ステージ46に固定された固定子と、微動ステージ48に固定された可動子とを含む)であるので、説明を省略する。なお、Xボイスコイルモータ50x、及びYボイスコイルモータ50yは、ムービングコイルタイプであっても良い。
【0034】
ここで、Yボイスコイルモータ50y(不図示であるがXボイスコイルモータ50xも同様)において、固定子50aと、可動子50bとの間には、Y軸方向に関して、余白領域の幅方向寸法よりも長いクリアランスが形成されている。これにより、Yボイスコイルモータ50yは、微動ステージ48をY軸方向に、上記余白領域の幅方向寸法よりも長いストロークで駆動することが可能となっており、吸着保持部48bを、余白領域に対向する位置と、マスクMの下方から退避した(マスクMと上下方向に重ならない)位置との間で駆動することができる。
【0035】
主制御装置は、Xリニアモータ54を用いて粗動ステージ46をX軸方向に駆動する際に、これと同期して微動ステージ48が粗動ステージ46と一体的にX軸方向に移動するように、Xボイスコイルモータ50xが発生する推力の大きさ及び向きを制御する。このように、マスクステージ装置14では、微動ステージ48が粗動ステージ46に誘導されることにより、X軸方向に所定の長ストロークで移動する。また、主制御装置は、微動ステージ48がX軸方向に所定の長ストロークで移動する際に、一対のYボイスコイルモータ50yを用いて粗動ステージ46に対して微動ステージ48をY軸方向に微少駆動すること、及び一対のYボイスコイルモータ50yの推力を異ならせることにより、粗動ステージ46に対して微動ステージ48をθz方向に微少駆動することができる。
【0036】
微動ステージ48のXY平面内の位置情報は、ガイド44の上面(ただし微動ステージ48が有するエアベアリングの軸受面と対向しない位置)に固定された2次元グレーティング56と、微動ステージ48に固定された不図示のエンコーダヘッドとを含む2次元エンコーダシステムにより求められる。なお、微動ステージ48の位置情報を求めるための計測系の構成は、これに限られず、例えば光干渉計システム、あるいは光干渉計システムとリニアエンコーダシステムとを組み合わせた計測系を用いても良い。
【0037】
以上説明した+Y側のステージユニット40と同様に、−Y側のステージユニット40も、ベース42、ガイド44、粗動ステージ46、微動ステージ48、複数のボイスコイルモータ(50x、50y)を有している。−Y側のステージユニット40の粗動ステージ46、及び微動ステージ48を駆動するための駆動系、および位置情報を求めるための計測系の構成は、上記+Y側のステージユニット40のものと同様である(ただし独立に制御される)。マスクステージ装置14では、+Y側のステージユニット40の微動ステージ48によりマスクMの+Y側の端部が吸着保持されるとともに、−Y側のステージユニット40の微動ステージ48によりマスクMの−Y側の端部が吸着保持される。すなわち、一対の微動ステージ48が協働してマスクホルダとして機能する。そして、主制御装置は、一対のステージユニット40それぞれの粗動ステージ46(及び微動ステージ48)をX軸方向に長ストロークで同期駆動することにより、マスクMを照明光IL(図1参照)に対して駆動する。
【0038】
次に、図3に示されるマスクローダ90、及びマスクストッカ100の構成について説明する。マスクローダ90は、マスクストッカ100とマスクステージ装置14との間におけるマスクMの搬送に用いられる。マスクローダ90、及びマスクストッカ100それぞれは、装置本体18、基板ステージ装置20(図3では不図示。図1参照)と共に不図示のチャンバ内に収容され、クリーンルームの床11上であって、装置本体18よりも−X側の領域(図1及び図3において、装置本体18よりも紙面奥側の領域)に設置されている。なお、説明の簡略化のため、図3及び図4では、マスクステージ装置14は、模式的に示されている。
【0039】
マスクストッカ100は、マスクライブラリなどとも称され、直方体状(箱形)の部材から成る本体部102を有している。本体部102は、架台104を介して床11に対して所定の高さ位置に設置されている。本体部102の+Y側の面部には、開口部106が形成されている。本体部102の内部には、複数のマスクMを上下方向に所定間隔で保持可能なように、一対の支持部材108(図3では一方のみ図示。図4参照)がZ軸方向に所定間隔で複数配置されている。一対の支持部材108は、図4に示されるように、マスクMの余白領域を下方から支持可能となっている。なお、図3では不図示であるが、マスクストッカ100に保管されている複数のマスクMそれぞれの下面には、予めペリクルPe(図2(A)参照)が取り付けられている。
【0040】
マスクローダ90は、Yアクチュエータ92Y、Zアクチュエータ92Z、回転駆動装置94、支持アーム96、複数の支持駒98を有している。Yアクチュエータ92Yは、床11上に設置されており、Zアクチュエータ92ZをY軸方向に所定の長ストロークで駆動する。Zアクチュエータ92Zは、回転駆動装置94をZ軸方向に所定の長ストロークで駆動する。Yアクチュエータ92Y、及びZアクチュエータ92Zそれぞれの種類は、特に限定されず、リニアモータ、エアシリンダなどを用いることができる。回転駆動装置94は、高さの低い箱形の部材から成り、Zアクチュエータ92Zの先端部(+Z側の端部)に取り付けられている。回転駆動装置94は、不図示の回転モータを有しており、Zアクチュエータ92Zに対してθz方向に、少なくとも180°回転できるようになっている。
【0041】
支持アーム96は、図4に示されるように、XY平面内の1軸方向(図4ではY軸方向)に延びる一対の棒状部材96aを備える。一対の棒状部材96aは、その長手方向に直交する方向(図4ではX軸方向)に関して互いに離間して配置されている。棒状部材96aの長手方向寸法は、特に限定されないが、少なくともマスクMの長手方向寸法の2倍以上であり、本実施形態では、例えばマスクMの長手方向寸法の2.5倍程度に設定されている。棒状部材96aは、長手方向の中央部が、回転駆動装置94に接続されており、回転駆動装置94から見て、XY平面内の1軸方向(図4ではY軸方向)の一側、及び他側それぞれに、ほぼ同じ長さ延びている。
【0042】
一対の棒状部材96a間の間隔は、図5(C)に示されるように、マスクステージ装置14の一対のガイド44間の間隔よりも狭く設定されている。これにより、支持アーム96が一対のガイド44間に所定のクリアランスを介して挿入可能となっている。また、一対の棒状部材96a間の間隔は、マスクMの幅方向寸法よりも幾分短く(狭く)設定されている。さらに、棒状部材96aの幅方向寸法(太さ)は、マスクMの余白領域の幅方向寸法よりも狭く設定されている。これにより、支持アーム96は、ペリクルPeに接触することなく、マスクMを下方から支持することができる。
【0043】
マスクローダ90は、図3及び図4から分かるように、支持アーム96がYアクチュエータ92Y、Zアクチュエータ92Z、及び回転駆動装置94を含む3自由度(Y軸、Z軸、θz)駆動装置に取り付けられていることから、マスクMを下方から支持した支持アーム96を、上記3自由度に任意に駆動することができる。すなわち、マスクローダ90は、支持アーム96の一側の端部近傍をマスクストッカ100の本体部102内に挿入してマスクMをマスクストッカ100から受け取る(あるいは受け渡す)こと、該マスクMを本体部102内から抜き出すこと(あるいはマスクMをマスクストッカ100に戻すこと)、該マスクMをθz方向に90°回転させて図5(A)に示されるように、マスクステージ装置14の一対のガイド44間に挿入することが可能となっている。上記マスクストッカ100が有する一対の支持部材108(図4参照)の構成は、支持アーム96との干渉を避けるため、例えば上記微動ステージ48(図2(A)参照)と同様な櫛歯状(X軸方向に移動可能)であっても良いし、上記吸着保持部48b(図2(A)参照)よりも狭幅な部材により形成(X軸方向に移動しなくても良い)しても良い。
【0044】
棒状部材96aの一端部近傍、及び他端部近傍それぞれの上面には、図5(B)に示されるように、複数(本実施形態では、例えば3つ)の支持駒98が該棒状部材96aの長手方向(図5(B)ではX軸方向)に沿って所定間隔で固定されている。例えば3つの支持駒98の間隔は、図5(A)に示されるように、マスクステージ装置14の微動ステージ48が有する複数(本実施形態では、例えば4つ)の吸着保持部48b間に挿入できるように設定されている。複数の支持駒98それぞれには、マスクローダ90の外部に設置された不図示の真空吸引装置が接続されている。支持駒98は、上面に複数の孔部が形成されており、上記真空吸引装置から供給される真空吸引力によりマスクMの下面を吸着保持可能となっている。
【0045】
支持駒98の高さ方向寸法は、図5(C)に示されるように、吸着保持部48bの厚さ方向寸法よりも大きく設定されている。これにより、マスクMが複数の吸着保持部48bに下方から支持された状態で、支持駒98を互いに隣接する一対の吸着保持部48b間に挿入させることにより、支持駒98と吸着保持部48bとを接触させることなく、マスクMをマスクステージ装置14からマスクローダ90へと受け渡すことができる。
【0046】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、マスクローダ90によって、マスクステージ装置14上へのマスクMのロードが行われるとともに、不図示の基板ローダ装置によって、基板ステージ装置上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板P上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。
【0047】
ここで、液晶露光装置10では、基板Pに形成するマスクパターンに応じて、マスクMの交換が適宜行われる。以下、マスクステージ装置14に保持されるマスクMの交換動作を含み、マスクローダ90、及びマスクステージ装置14の動作について図6(A)〜図13を用いて説明する。なお、図面の簡略化のため、図6(A)〜図13では、マスクローダ90、及びマスクステージ装置14の要素の一部が省略されている。
【0048】
図6(A)及び図6(B)には、マスクステージ装置14が、一対の微動ステージ48に保持されたマスクMを、所定のマスク交換位置へ移動させている状態が示されている。マスク交換位置は、マスクMを照明系12(図1参照)の下方から退避させた位置であって、具体的には、一対の微動ステージ48のX軸方向に関する−X側のストロークエンド近傍に位置させたときのマスク位置である。
【0049】
また、図6(A)に示されるように、マスクMに換えてマスクステージ装置14(一対の微動ステージ48)に保持される予定のマスクMがマスクローダ90の支持アーム96の一側の端部近傍に支持されている。また、なにも支持していない(空の状態の)支持アーム96の他側の端部近傍が、一対のガイド44間に挿入されている。この際、図6(B)に示されるように、複数の支持駒98の上端部が、ガイド44の上面よりも上方に突き出さないように、Zアクチュエータ92Zが制御される。
【0050】
図7(A)及び図7(B)には、マスクMがマスク交換位置に位置決めされた状態が示されている。マスク交換位置では、吸着保持部48bのX位置と、支持駒98のX位置とが重複しないように、微動ステージ48のX位置が制御される。マスクMがマスク交換位置に位置決めされると、マスクステージ装置14では、吸着保持部48bによるマスクMの吸着保持が解除される。
【0051】
次いで、図8(A)及び図8(B)に示されるように、Zアクチュエータ92Zにより支持アーム96が上昇駆動され、これにより複数の支持駒98が互いに隣接する一対の吸着保持部48b間を通過してマスクMの下面に当接し、マスクMと吸着保持部48bとを離間させる。この状態で、図8(A)に示されるように、一対の微動ステージ48それぞれがYボイスコイルモータ50y(図8(A)では不図示。図2(A)参照)により互いに離間する方向に駆動され、これにより吸着保持部48bがマスクMの下方から退避する。マスクローダ90は、複数の支持駒98を用いてマスクMを吸着保持する。
【0052】
マスクMがマスクローダ90に受け渡されると、マスクステージ装置14では、図9に示されるように、一対の微動ステージ48それぞれが+X方向に駆動される。また、マスクローダ90では、支持アーム96がガイド44と接触しない位置まで上昇駆動された後、回転駆動装置94により平面視で時計回り方向(反時計回り方向でも良い)に、例えば180°回転駆動される。この際、一対の微動ステージ48それぞれは、支持アーム96に接触しない位置に退避している。
【0053】
図10(A)及び図10(B)は、支持アーム96が、例えば180°回転した後の状態が示されている。マスクローダ90は、Zアクチュエータ92Zを用いて支持アーム96を下降駆動させる。この際、棒状部材96aの上面が吸着保持部48bの下面よりも下方、且つマスクMの下面が吸着保持部48bの上面よりも上方にそれぞれ位置するように、支持アーム96のZ位置が位置決めされる。また、マスクステージ装置14では、一対の微動ステージ48が−X方向に駆動され、吸着保持部48bのX位置が複数の支持駒98のX位置と重複しない位置に位置決めされる。そして、一対の微動ステージ48それぞれがYボイスコイルモータ50y(図10(A)では不図示。図2(A)参照)により互いに接近する方向に駆動され、該複数の吸着保持部48bがマスクMの下方に挿入される。以下、不図示であるが、マスクMの吸着保持を解除した支持アーム96が下降駆動され、マスクMがマスクローダ90からマスクステージ装置14に受け渡される。
【0054】
次いで、マスクステージ装置14では、図11(A)及び図11(B)に示されるように、マスクMを用いた露光動作のために、マスクMを吸着保持した一対の微動ステージ48が+X方向に駆動される。この際、複数の支持駒98の上端部が吸着保持部48bと接触しないように、支持アーム96のZ位置が制御される。
【0055】
マスクMをマスクステージ装置14に受け渡したマスクローダ90では、図12(A)及び図12(B)に示されるように、支持アーム96が、ガイド44を接触しない位置まで上昇駆動された後、平面視反時計回りに、例えば90°回転駆動される。なお、図12(A)及び図12(B)において、マスクステージ装置14では、マスクMを用いた露光動作が行われているが、その説明は省略する。
【0056】
この後、図13に示されるように、支持アーム96がYアクチュエータ92Yにより−Y方向に駆動され、支持アーム96の他側(マスクMを支持した側)の端部近傍がマスクストッカ100内に挿入される。この際、マスクMをマスクストッカ100内の所望の位置に収容できるように、支持アーム96のZ位置が制御される。
【0057】
以上説明したように、本第1の実施形態のマスクステージ装置14によれば、マスクMの一側、及び他側の端部をそれぞれ保持する一対の微動ステージ48が、互いに物理的に独立(分離)して構成されているので、例えば枠状の部材であるマスクホルダにマスクを保持させ、該マスクホルダを駆動する従来のマスクステージ装置に比べ、微動ステージ48を上記枠状のマスクホルダよりも軽量化することができる。また、微動ステージ48の剛性の確保が容易となる。従って、マスクMの位置制御性が向上する。また、上記枠状のマスクホルダに相当する部材である一対の微動ステージ48それぞれを小型化できるので、該微動ステージ48をセラミックスなどの高剛性材料で一体成形をすることが可能となり、コストが下がる。
【0058】
また、一対の微動ステージ48が互いに分離されているので、該一対の微動ステージ48を独立にY軸方向に駆動して、互いに離間、及び接近させることができる。これにより、マスクローダ90は、支持アーム96を一対の微動ステージ48間に通過させることができ、持ち替え動作なしでマスクストッカ100とマスクステージ装置14との間で直接マスクMの搬送が可能となる。したがって、マスクローダ90のコストが下がり、マスク交換時間も短縮できる。
【0059】
なお、上記第1の実施形態の液晶露光装置10の構成は、適宜変更可能である。例えば、図14に示されるマスクローダ90A(第1の変形例)のように、支持アーム196は、一枚のマスクMのみを支持可能な構成であっても良い。この場合、マスクMの交換動作に要する時間は、上記第1の実施形態よりも長くなるが、マスクローダ90Aを上記第1の実施形態に比べて安価、且つコンパクトにすることができる。なお、マスクMをマスクステージ装置14からマスクストッカ100に戻す際のマスクMの搬送経路(マスクステージ装置14の近傍が好ましい)上に、該マスクMを一時的に受け渡す(仮置きする)ことが可能な架台などを複数設置しても良い。該複数の架台は、複数のマスクMを上下方向に仮置きできるようにするため、上下方向に配置することが好ましい。
【0060】
また、図15に示されるマスクステージ装置14A(第2の変形例)のように、他方(−Y側)のステージユニット40Aにおいて、粗動ステージ46が、ベース42に対してY軸方向に所定のストロークで移動可能となっていても良い。具体的に説明すると、ステージユニット40Aは、Xテーブル58を有している。Xテーブル58は、ベース42に対してXリニアガイド装置52を介してX軸方向に直進案内され、Xリニアモータ54によりX軸方向に所定の長ストロークで駆動される。粗動ステージ46は、Yリニアガイド装置55(Xテーブル58上面に固定されたYリニアガイド55aと、粗動ステージ46下面に固定された複数のYスライド部材55bとを含む)により、Xテーブル58に対してY軸方向に直進案内されれる。また、不図示であるが、粗動ステージ46は、Yリニアモータ(Xテーブル58上面に固定されたY固定子と、粗動ステージ46下面に固定されたY可動子とを含む)によりY軸方向に所定のストロークで駆動される。また、ステージユニット40Aにおいて、ガイド44Aは、他方のステージユニット40のガイド44に比べて幾分広幅に形成されている。
【0061】
以下、マスクステージ装置14Aの動作を説明する。上記第1の実施形態では、図8(A)及び図8(B)に示されるように、マスクステージ装置14からマスクローダ90にマスクMを受け渡すために、一対の微動ステージ48それぞれが互いに離間する方向に駆動されたのに対し、図16(A)及び図16(B)に示されるように、マスクステージ装置14Aでは、一方のステージユニット40A側の粗動ステージ46(及びYボイスコイルモータ50yを介して微動ステージ48)がマスクMから離間する方向(−Y方向)に駆動される。また、これと併せて支持アーム96も−Y方向に(ただし粗動ステージ46の半分の移動量で)駆動される。これにより、一対の微動ステージ48の吸着保持部48bのY位置と支持アーム96のY位置とが重複しなくなり、支持アーム96を上昇駆動してマスクMをマスクステージ装置14Aから搬出することができるようになる。マスクステージ装置14Aによれば、マスクMの搬出時において粗動ステージ46に対して微動ステージ48を相対移動させないので、複数のボイスコイルモータ(50x、50y)それぞれの固定子、及び可動子間の隙間を小さくすることができ、ボイスコイルモータを小型化することができる。
【0062】
また、図17(A)に示されるマスクステージ装置14B(第3の変形例)のように、一方(+Y側)のステージユニット40Bに一対のクランプ装置60を設けても良い。ここで、ステージユニット40Bは、図2(A)に示される上記第1の実施形態に係るマスクステージ装置14と異なり、一対のYボイスコイルモータ50yを有していない。なお、図17(A)に示されるように、一方のステージユニット40Aは、上記第2の変形例に係るマスクステージ装置14A(図15参照)と同じ構成であり、一対のYボイスコイルモータ50yを有しているので、マスクMをY軸方向、及びθz方向に微少駆動することが可能である。
【0063】
一対のクランプ装置60は、一方がXボイスコイルモータ50xの+X側、他方がXボイスコイルモータ50xの−X側に配置されているが、その構成は同じである。クランプ装置60は、図17(B)に示されるように、支持部材60aを介して粗動ステージ46に固定されたZアクチュエータ60b(例えばエアシリンダ)と、該Zアクチュエータ60bによりZ軸方向に所定のストロークで駆動されるボール60cとを備えている。また、微動ステージ48の上面であって、ボール60cに対応する位置には、凹部60dが形成されている。ステージユニット40Bでは、一対のクランプ装置60それぞれのボール60cが対応する凹部60dに挿入されることにより、粗動ステージ46と微動ステージ48とのXY平面に沿った相対移動が制限される。凹部60dは、円錐面(テーパ面)により規定されており、ボール60cと凹部60dとの位置が幾分ずれていても、容易にボール60cを凹部60dに挿入することができる。
【0064】
マスクステージ装置14Bによれば、Xボイスコイルモータ50xを用いなくても、一対のクランプ装置60を用いて粗動ステージ46と微動ステージ48とのXY平面に沿った相対移動を制限した状態にすることで、粗動ステージ46の推力のみを用いてマスクMをX軸方向に駆動することができる。クランプ装置60は、主にマスクMを加速、及び減速する際に用い、例えば露光動作時などに微動ステージ48を等速駆動する際には、クランプ装置60をオフにし、Xボイスコイルモータ50xを用いて高精度の位置制御をすることが望ましい。これにより、複数のボイスコイルモータ(50x、50y)の出力を抑制し、該ボイスコイルモータを小型軽量化して低コスト化を図ること、及び発熱量を抑制することができる。
【0065】
また、上記一対のクランプ装置60は、図18に示されるマスクステージ装置14C(第4の変形例)のように、他方(−Y側)のステージユニット40Cに設けられていても良い。また、ステージユニット40Cの粗動ステージ46は、図15に示される上記第2の変形例に係るマスクステージ装置14Aのように、ベース42に対してY軸方向に所定のストロークで移動可能となっている。ステージユニット40Cでは、マスクMをX軸方向に加速、及び減速する際のみならず、マスク交換時に微動ステージ48をY軸方向に駆動する際にも上記一対のクランプ装置60が用いられる。また、ステージユニット40Cでは、Yボイスコイルモータ50yがひとつのみ設けられ、一対のXボイスコイルモータ50xが、上記Yボイスコイルモータ50yの両側に設けられている。微動ステージ48がθz方向に回転しないようにするため、Yボイスコイルモータ50yは、微動ステージ48の重心位置を通るY軸に平行な軸線に沿って微動ステージ48に推力を作用させること(重心駆動すること)ができるように配置することが好ましい。なお、Yボイスコイルモータ50yは、一方のステージユニット40B側に設けられても良い。
【0066】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について、図19(A)及び図19(B)を用いて説明する。本第2の実施形態に係るマスクローダ190は、上記第1の実施形態と比べ、複数の支持駒98の配置が異なる。以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0067】
上記第1の実施形態において、図5(C)に示されるように、マスクローダ90の複数の支持駒98は、マスクMの幅方向両端部(図5(C)では+Y側、及び−Y側)に形成された余白領域を下方から支持したのに対し、本第2の実施形態では、図19(A)及び図19(B)に示されるように、マスクMの長手方向両端部(図19(A)及び図19(B)では+X側、及び−X側)に形成された余白領域が、複数の支持駒98に下方から支持される。すなわち、支持アーム196を構成する一対の棒状部材196aの一側、及び他側の端部近傍それぞれには、一対の支持駒98がX軸方向に所定間隔で固定されている。一対の支持駒98のX軸方向に関する間隔は、マスクMの長手方向両端部に形成された余白領域を下方から支持できるように、マスクMの長手方向の寸法よりも短く、且つペリクル(図19(A)及び図19(B)では不図示。図2(A)参照)の長手方向の寸法よりも長く設定されている。支持駒98の高さは、ペリクルPeの厚みよりも高く設定される。マスクローダ190を用いたマスクMの交換動作については、上記第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0068】
本第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果に加え、微動ステージ148に支持駒98を挿入するための切り欠きを形成する必要がない(微動ステージ148を櫛歯状に形成する必要がない。ただし、櫛歯状でも良い)。また、粗動ステージ46(図19では不図示。図2(A)参照)に対して微動ステージ148をY軸方向に長ストロークで相対移動させないので、マスク交換時間を短縮できるとともに、複数のボイスコイルモータ(図19(A)及び図19(B)では不図示)それぞれの固定子、及び可動子間のY軸方向に関する隙間を小さくすることができる。従って、ボイスコイルモータを小型化、低コスト化することができる。また、本第2の実施形態では、マスクローダ190の支持アーム196を構成する棒状部材196aは、必ずしも2本である必要はなく、例えば1本でも良いし、3本以上でも良い。また、棒状部材196aの太さは、余白領域の幅を考慮する必要がないので、上記第1実施形態よりも太くすることができる。
【0069】
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態について、図20を用いて説明する。本第3の実施形態に係るマスクステージ装置214は、上記第1の実施形態と比べ、複数の押圧部材62を有している点が異なる。以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0070】
押圧部材62は、一方、及び他方のステージユニット240それぞれに一対設けられている。また、ステージユニット240において、粗動ステージ246のX軸方向の寸法は、微動ステージ48のX軸方向の寸法よりも幾分長く設定されている。一対の押圧部材62は、一方が粗動ステージ246の+X側の端部に固定され、他方が粗動ステージ246の−X側の端部に固定されている。押圧部材62は、一端部が粗動ステージ246に固定されるとともに、他端部がガイド44の上方に延びており、微動ステージ48は、一対の押圧部材62間に挿入されている。一対の押圧部材62それぞれと微動ステージ48との間には、所定のクリアランスが形成されている。粗動ステージ246と微動ステージ48との間隔は、不図示のセンサ(位置センサ、あるいは力センサなど)により常時計測され、通常の露光動作時などにおいて、微動ステージ48と押圧部材62とが当接しないように位置制御が行われる。
【0071】
押圧部材62は、微動ステージ48を重心駆動することができるようにY位置が設定されている。マスクステージ装置214では、図17(A)に示される複数のクランプ装置60を備えたマスクステージ装置14B(第3の変形例)と同様に、マスクMの加減速時に押圧部材62を介して粗動ステージ246が微動ステージ48を押圧することができるので、Xボイスコイルモータ50xを用いなくても良く、効率が良い。
【0072】
また、微動ステージ48の粗動ステージ246に対するX軸方向の相対移動可能範囲が一対の押圧部材62により規定されることから、一対の押圧部材62は、ストッパ装置としても機能し、なんらかのトラブルで微動ステージ48のX位置を制御することができなくなった場合であっても、マスクMの暴走を抑制することができる。
【0073】
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態について、図21を用いて説明する。本第4の実施形態に係るマスクステージ装置314は、上記第3の実施形態(図20参照)と比べ、マスキングブレード装置70を有している点が異なる。以下、相違点についてのみ説明し、上記第3の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第3の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0074】
マスキングブレード装置70は、一対のブレード72(ブラインドなどとも称される)、及び一対のブレード駆動装置74を含む。一対のブレード駆動装置74の一方は、一方の粗動ステージ246上に載置され、他方のブレード駆動装置74は、他方の粗動ステージ246上に載置されている。一対のブレード72は、一対のブレード駆動装置74間に架設されている。ブレード72は、Y軸方向に延びる部材から成り、マスクM、複数のボイスコイルモータ(50x、50y)よりも上方の空間に配置されている。一対のブレード72それぞれは、一対のブレード駆動装置74により独立にX軸方向に駆動される。マスクステージ装置314では、一対のブレード72のX位置が適宜制御されることにより、露光用照明光IL(図1参照)がマスクM上の所望しない領域に照射されることを防止する。また、マスク交換動作時には、一対のブレード72をマスクMよりも+X側に退避させておくことができるように、一対のブレード駆動装置74の長さが設定されている。マスキングブレード装置70は、一対の粗動ステージ246上に載置されているので、一対の微動ステージ48(すなわちマスクM)の位置制御性を損なうことがない。なお、マスキングブレード装置70は、上記第1(第1〜第4の変形例を含む。)、第2の実施形態に係るマスクステージ装置に適用することも可能である。
【0075】
なお、以上説明した第1〜第4の実施形態(第1〜第4の変形例を含む。以下同じ)の構成は、適宜変更可能である。例えば一対の粗動ステージ46(あるいは246)は、走査方向に直交する方向(Y軸方向)にX軸方向への移動可能ストロークに比べて短いストロークで移動可能に構成されていても良い。この場合、例えば米国特許第8,159,649号明細書に開示されるような、2種類のマスクパターンが形成されたマスクを適宜Y軸方向にステップ移動させることにより、マスク交換を行うことなく上記2種類のマスクパターンを選択的に基板に転写することが可能な露光装置にも、上記第1〜第4の実施形態に係るマスクステージ装置を適用することができる。
【0076】
また、Xボイスコイルモータ50xとYボイスコイルモータ50yとが個別に配置されたが、これに限られずひとつの固定子とひとつの可動子とでX軸方向、及び/又はY軸方向に任意に推力を発生することができる、いわゆる2DOFボイスコイルモータを用いても良い。
【0077】
また、微動ステージ48(あるいは148)におけるガイド44との対向面にエアベアリング(不図示)用の孔部とは別の孔部を形成するとともに、該別の孔部を用いて微動ステージ48とガイド44との間の気体を真空吸引させ、微動ステージ48に−Z方向の弱い負荷を作用させても良い。これにより、微動ステージ48の姿勢を安定させることができる。なお、ガイド44を磁性材料により形成するとともに、微動ステージ48に磁石を取り付けることによって同様に微動ステージ48に−Z方向の弱い負荷を作用させても良い。
【0078】
また、マスクローダ90は、支持アーム96(あるいは196)をX軸方向に駆動できるようになっていても良い。この場合、マスクMがマスク交換位置に位置した状態で、支持アーム96をマスクの下方にX軸方向から侵入させることができる。また、マスクストッカ100からマスクステージ装置14へのマスク搬送経路の途中には、マスクM上に付着したダストを検査したり、マスクMに付着したダストをふるい落としたりするなどの処理装置を介在させても良いし、マスクMを仮置きする置き台などを設けても良い。
【0079】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0080】
また、投影光学系16が複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、投影光学系16としては、拡大系、又は縮小系であっても良い。
【0081】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル製造用の露光装置、半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。
【0082】
また、露光対象となる物体はガラスプレートに限られず、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。なお、本実施形態の露光装置は、一辺の長さ、又は対角長が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【0083】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明の物体搬送装置は、所定のパターンが形成された物体の搬送に適している。また、本発明の露光装置は、露光対象物体に所定のパターンを形成するのに適している。また、本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、フラットパネルディスプレイの生産に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
【符号の説明】
【0085】
10…液晶露光装置、14…マスクステージ装置、20…基板ステージ装置、40…ステージユニット、46…粗動ステージ、48…微動ステージ、90…マスクローダ、100…マスクストッカ、M…マスク、P…基板。
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