(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
展開状態において、幅方向と、長手方向と、厚さ方向とを有し、一対の胴周り部と、吸収性コアを備える吸収性本体とを有する吸収性物品であって、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方は、一対のシートと、前記一対のシート間に配置された前記幅方向に伸縮する複数の伸縮部材とを有し、各前記伸縮部材は、前記一方の前記胴周り部の前記幅方向の一端部から他端部まで連続して配置され、かつ、前記幅方向の両端部が前記一対のシートに固定された一対の端部固定部を有し、前記複数の伸縮部材は、前記幅方向における前記端部固定部よりも内側において、前記一対のシートに固定されていない非固定部を有する第1伸縮部材と、前記幅方向において少なくとも前記非固定部と重複する領域が、前記一対のシートに固定された固定部を有する第2伸縮部材と、を少なくとも一つずつ有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【0010】
このような吸収性物品によれば、第1伸縮部材が非固定部を有することで、胴回り部のうち剛性の高い部位の面積が小さくなり、柔軟性を向上させることができる。そして、非第1伸縮部材の非固定部の上下方向の移動が固定部によって制限されるため、伸縮部材の位置ずれが生じ難く、胴周り部にたくれが生じたり、フィット性が悪化したりすることを抑制することができる。また、非固定部の幅を吸収性本体の幅よりも長くすることにより、着用者は、胴回り部において吸収性本体と重複する領域、特に着用者の身体の中心部に当たる領域において、吸収性物品の硬さを感じ難くすることができる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記第1伸縮部材は、前記幅方向において、前記一対の端部固定部の間の全体に前記非固定部を有している、ことが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、幅方向両側の端部固定部間の一部の領域にのみ非固定部が設けられている場合と比較して、非固定部の幅方向の長さが長くなり、胴周り部のうち剛性の低い部分の面積を大きくすることができる。これにより、胴周り部の柔軟性をより向上させることができる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記第1伸縮部材は、前記幅方向の中央部に、前記第1伸縮部材が前記一対のシートに固定された中央固定部を有し、前記幅方向において前記中央固定部の両外側に、前記非固定部を有している、ことが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、幅方向の中央部において第1伸縮部材が中央固定部によって固定されているため、該第1伸縮部材が上下方向に移動することが抑制されやすく、上下方向における移動量(振幅)が小さくなる。したがって、伸縮部材の上下方向の位置ずれが抑制され、胴周り部がたくれたり、フィット性が悪化したりすることをより抑制しやすくすることができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記第2伸縮部材は、前記幅方向において、前記一対の端部固定部の間の全体に前記固定部を有している、ことが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、第1伸縮部材が上下方向に移動しようとしても、第2伸縮部材の固定部が幅方向に広く設けられていることにより、当該第1伸縮部材の移動が制限されやすくなり、大きな位置ずれが生じることが抑制される。したがって、胴周り部にたくれが生じたり、着用時のフィット性が悪化したりすることをより抑制しやすくすることができる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方に設けられた前記第1伸縮部材の数が、前記一対の胴周り部のうちの前記一方に設けられた前記第2伸縮部材の数よりも多い、ことが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、胴回り部に設けられる非固定部の数が固定部の数よりも多くなる。すなわち、胴周り部において、剛性が高い領域の割合が小さくなり、胴周り部の柔軟性をより高めることができる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方に設けられた前記第2伸縮部材の数が、前記一対の胴周り部のうちの前記一方に設けられた前記第1伸縮部材の数以上である、ことが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、胴回り部に設けられる固定部の数が非固定部の数以上とすることにより、胴周り部において、第2伸縮部材が固定されている部分の割合が大きくなり、該第2伸縮部材の位置ずれが生じ難くなる。そして、第2伸縮部材の固定部の数が多くなることにより、第1伸縮部材の上下方向への移動がより制限されやすくなる。すなわち、伸縮部材の位置ずれを全体的に抑制することができる。これにより、胴周り部にたくれが生じたり、フィット性が悪化したりすることがより抑制される。
【0021】
かかる吸収性物品であって前記長手方向において、隣り合って配置されている2つの前記第2伸縮部材の間に、少なくとも1つの前記第1伸縮部材が配置されている、ことが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、第1伸縮部材の非固定部が、第2伸縮部材の固定部によって、上下方向に挟まれるようにして配置されるため、非固定部の上下方向への移動が固定部によって制限されやすくなり、第1伸縮部材の位置ずれを低減させることができる。これにより、胴周り部にたくれが生じたり、フィット性が悪化したりすることがより抑制される。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記長手方向において、前記第1伸縮部材と前記第2伸縮部材とが交互に並んで配置されている、ことが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、第1伸縮部材の非固定部の上下方向への移動が、第2伸縮部材の固定部によって制限されるため、第1伸縮部材の位置ずれを低減させることができる。これにより、胴周り部にたくれが生じたり、フィット性が悪化したりすることがより抑制される。さらに、固定部と非固定部とが上下方向に交互に並んでいるため、胴周り部が幅方向に収縮したときに、該胴周り部の表面にきれいな形状の皺が形成されやすくなる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向に見たときに、前記吸収性本体と、前記固定部とが重複する部分を有する、ことが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、肌側シートに固定された第2伸縮部材の伸縮力によって、肌側シートに間接的に固定されている吸収性コアの位置ずれが抑制されやすくなる。したがって、吸収性コアのフィット性が増すとともに、排泄物がより漏れ難くなり、吸収性物品の着け心地が向上する。
【0027】
かかる吸収性物品であって、前記固定部は、前記厚さ方向に見たときに前記吸収性本体と重複する領域のうち、前記長手方向において、前記吸収性本体の上端と前記吸収性コアの上端との間の領域に設けられている、ことが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、第2伸縮部材の伸縮力が吸収性コアと重複する領域に直接作用し難いため、吸収性物品の着用時に、吸収性コアを収縮させたり着用者の肌側に押し付けたりする力が作用し難く、吸収性コアによる吸収能力が維持されやすい。一方、吸収性本体10の上端部領域(インナーフラップ)が着用者の身体にフィットし、吸収性本体と着用者の身体との間に隙間が形成されにくくなるため、吸収性本体の上端部から尿等の排泄物が漏れてしまうことを抑制しやすくなる。これにより、吸収性コアのフィット性をより向上させつつ、排泄物の漏れを抑制しやすくなる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記胴周り部の非肌側には、使用後の前記吸収性物品を廃棄する際に前記吸収性物品を丸めた状態に保持するための後処理テープが設けられており、前記後処理テープは、前記後処理テープを前記胴周り部の非肌側に固定するテープ固定部を有し、前記厚さ方向に見たときに、
前記テープ固定部と、前記固定部とが重複する部分を有する、ことが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、後処理テープのテープ固定部と、第2伸縮部材の固定部とが重複しているため、吸収性物品の使用後に後処理テープが厚さ方向の非肌側に引っ張られたときに、引っ張り力が胴回り部を構成する肌側シート及び非肌側シートの両方に伝達されやすくなる。したがって、非肌側シートのみが引っ張られて破れてしまったり、引っ張り力が胴周り部に伝達され難くなったりすることが抑制される。これにより、使用後の吸収性物品の後処理を行いやすくすることができる。
【0031】
かかる吸収性物品であって、前記一対のシートの対向する面同士を接合するシート接合部を有し、前記シート接合部と前記伸縮部材とは重複する部分を有していない、ことが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品によれば、胴周り伸縮部材が収縮した際に、胴周り部に皺が形成されやすくなり、胴周り部の外観やフィット性を向上させることができる。また、シート接合部が胴周り伸縮部材と重複していないため、該胴周り伸縮部材がシートに固定される部分の面積は増加せず、胴回り部の柔軟性を維持しつつ、胴周り伸縮部材の上下方向の動きを規制することができる。したがって、胴周り伸縮部材の上下方向の間隔が維持されやすく、胴周り部にたくれが生じたりフィット性が悪化したりすることを抑制しやすくすることができる。
【0033】
===第1実施形態===
以下、本発明に係る吸収性物品として、乳幼児用のパンツ型使い捨ておむつを例に挙げて実施形態を説明する。ただし、本発明に係る吸収性物品は、上記に限らず、大人用のパンツ型使い捨ておむつや、テープ型の使い捨ておむつ、生理用ショーツ等にも適用できる。
【0034】
<パンツ型使い捨ておむつ1の構成>
図1は、第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ1」)の概略斜視図である。
図2は、展開状態かつ伸長状態のおむつ1の概略平面図である。
図3は、
図2のII線での概略断面図である。おむつ1における「展開状態」とは、後述する係止部40の接合を解いて、一対の胴周り部20,30(後述)を分離し、おむつ1を長手方向に開いた状態である。また、おむつ1における「伸長状態」とは、おむつ1を皺なく伸長させた状態であり、おむつ1を構成する各部材(例えば胴周り部20,30等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長した状態である。
【0035】
おむつ1は、
図1に示すパンツ型状態において、幅方向、上下方向、及び、前後方向を有し、胴周り開口部BH、及び、一対の脚周り開口部LHが形成されている。上下方向において、胴周り側を上側とし、股下側を下側とする。前後方向において、着用者の腹側を前側とし、着用者の背側を後側とする。また、
図3に示すように、おむつ1を構成する資材が積層された方向を厚さ方向といい、厚さ方向において着用者に接触する側を肌側とし、着用者に接触しない側を非肌側とする。また、
図2の展開状態において、おむつ1は、互いに交差する長手方向及び幅方向を有している。長手方向は、上下方向に沿った方向であり、幅方向は、
図1のパンツ型状態における幅方向と同じ方向である。
【0036】
おむつ1は、一対の胴周り部20,30と、吸収性本体10とを有する。一対の胴周り部20,30のうち、着用者の腹側部に当てられるものを腹側胴周り部20とし、着用者の背側部に当てられるものを背側胴周り部30とする。
【0037】
また、おむつ1は、
図2に示す展開状態において、幅方向と、長手方向とを有し、幅方向における腹側胴周り部20の中央部に、吸収性本体10の長手方向一方側(腹側)の端部が配置され、幅方向における背側胴周り部30の中央部に、吸収性本体10の長手方向他方側(背側)の端部が配置されている。展開状態のおむつ1において、吸収性本体10がその長手方向の略中央で二つ折りされ、腹側胴周り部20及び背側胴周り部30それぞれの幅方向の両側部が一対の係止部40において係止されることにより、
図1に示すパンツ型状態のおむつ1となる。なお、展開状態のおむつ1の長手方向がパンツ型状態のおむつ1の上下方向に沿う。また、係止部40における係止方法としては、溶着や接着剤による接合等を例示できる。
【0038】
吸収性本体10は、
図3に示すように、吸収体11と、吸収体11よりも肌側に配置された液透過性のトップシート12と、吸収体11よりも非肌側に配置された液不透過性のバックシート13と、バックシート13よりも非肌側に配置された外装シート14とを有する。
【0039】
吸収体11は、
図2に示すように、尿等の排泄液を吸収して保持する吸収性コア11Aと、吸収性コア11Aを覆う液透過性のコアラップシート11Bとを有する。吸収性コア11Aとしては、高吸収性ポリマー(SAP)を含むパルプ等の液体吸収性繊維が所定の形状に成形されたものを例示できる。なお、吸収性コア11Aがコアラップシート11Bで覆われていなくても良い。
【0040】
腹側胴周り部20及び背側胴周り部30は、
図3に示すように、それぞれ、不織布等の柔軟な肌側シート21,31及び非肌側シート22,32(一対のシート)と、肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間に配置された幅方向に伸縮する複数の胴周り伸縮部材23,33とを有する。複数の胴周り伸縮部材23,33は、肌側シート21,31と非肌側シート22,32の間において、上下方向(長手方向)に間隔を空けて並んで配置されるとともに、幅方向に伸長した状態で固定されている。よって、腹側胴周り部20及び背側胴周り部30は幅方向に伸縮し、着用者の胴周り部にフィットする。なお、胴周り伸縮部材23,33としては、糸ゴム等の糸状の伸縮部材や、細長の伸縮性シートを例示できる。また、胴周り部20,30の構成は図示するものに限定されず、例えば、一対のシートに異なるシートが積層された3層以上の構成であっても良いし、1枚のシートが折り曲げられて一対のシートとなった構成であっても良い。
【0041】
また、本実施形態では、パンツ型使い捨ておむつとして、腹側胴周り部20と背側胴周り部30が分離され、腹側胴周り部20と背側胴周り部30と吸収性本体10の3部材を有する所謂3ピースタイプを例示したがこれに限らない。例えば、腹側胴周り部20と背側胴周り部30が股下部を介して連続した一部材で形成されており、腹側胴周り部20と背側胴周り部30が一体化された外装部材と、吸収性本体の2部材を有する所謂2ピースタイプのパンツ型使い捨ておむつであっても良い。
【0042】
<胴周り部20,30について>
図4は、第1実施形態の腹側胴周り部20の概略平面図である。以下、腹側胴周り部20を例に挙げて一対の胴周り部20,30の構成を説明する。ただし、一対の胴周り部20,30のうちの少なくとも一方が以下の構成であれば良い。すなわち、両胴周り部20,30が以下の構成であっても良いし、腹側胴周り部20が以下の構成と異なり背側胴周り部30が以下の構成であっても良いし、腹側胴周り部20が以下の構成であり背側胴周り部30が以下の構成と異なっていても良い。他の実施形態も同様である。
【0043】
腹側胴周り部20(以下「胴周り部20」)が有する複数の胴周り伸縮部材23は、胴周り部20の幅方向の一端部から他端部まで連続して配置された複数の「連続伸縮部材231(本発明の伸縮部材)」と、幅方向に非連続に配置された複数の「非連続伸縮部材232」とを有する。非連続伸縮部材232は、連続伸縮部材231よりも下方に配置されている。
【0044】
各連続伸縮部材231は、その幅方向の両端部が肌側シート21及び非肌側シート22に固定された「一対の端部固定部50」を有する。なお、端部固定部50における固定方法は、特に限定されず、例えば、連続伸縮部材231に塗布された接着剤による固定や、肌側シート21及び非肌側シート22(以下「一対のシート21,22」)の内側面に塗布された接着剤による固定や、連続伸縮部材231を横切る一対の溶着部で固定する方法等、周知の方法を例示できる。
【0045】
また、
図4では、一対の端部固定部50が、一対の係止部40とは別に、一対の係止部40よりも幅方向の内側に配置されている。ただし、これに限定されない。一対の係止部40を一対の端部固定部としても良い。つまり、おむつ1は
図4に示す端部固定部50を有していなくても良い。
【0046】
また、複数の連続伸縮部材231は「第1連続伸縮部材231a」及び「第2連続伸縮部材231b」を少なくとも一つずつ有している。
【0047】
第1連続伸縮部材231a(本発明の第1伸縮部材)は、幅方向における端部固定部50よりも内側において、一対のシート21,22に固定されていない「非固定部51」を有する。一方、第2連続伸縮部材231b(本発明の第2伸縮部材)は、少なくとも、幅方向において非固定部51と重複する領域が、一対のシート21,22に固定されている「固定部52」を有する。この固定部52は、端部固定部50,50と一体的に形成されていても良いし、端部固定部50とは別に形成されていても良い。
【0048】
第1実施形態では、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50に亘って、非固定部51が連続して配置されている(
図4参照)。そして、非固定部51が設けられている位置と対応するように、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50に亘って、固定部52が連続して配置されている(
図4参照)。
【0049】
但し、幅方向において、端部固定部50,50の間の領域のうち、一部にのみ第1連続伸縮部材231aの非固定部51が配置されているのであっても良い。この場合、第2連続伸縮部材231bの固定部52は、幅方向において、少なくとも非固定部51が設けられている部分に設けられていれば良い。
【0050】
おむつ1において、胴周り伸縮部材23が一対のシート21,22に固定されている部位(固定部52)は、固定されていない部位(非固定部51)に比べて、接着剤の硬化等により胴回り部20の剛性が高まる。そのため、第1連続伸縮部材231aが非固定部51を有することで、例えば非固定部51が設けられていない場合(胴周り伸縮部材23がほぼ全域に亘り一対のシート21,22に固定されている場合)と比較して、剛性の高い部位の面積を小さくすることができる。よって、胴周り部20の柔軟性を向上させることができ、胴周り部20の着け心地を良くすることができる。
【0051】
そして、本実施形態では、幅方向において、非固定部51の長さL51(或る第1連続伸縮部材231aについて設けられている非固定部51の幅方向の長さの合計)が、吸収性本体10の長さ(幅)W10よりも長くなっている。上述したように吸収性本体10は、液体吸収性繊維によって形成された吸収性コア11Aを有しているため、胴回り部20等と比較して剛性が高い。そのため、幅方向において胴周り部20と吸収性本体10とが重複している領域では、吸収性本体10が重複していない領域と比較して、胴周り部20が固くなり、おむつ1着用時において着用者に違和感や不快感を生じさせるおそれがある。これに対して、おむつ1では、胴周り部20のうち、幅方向において吸収性本体10と重複している部分よりも広い範囲に非固定部51を設けることにより、当該部分において吸収性本体10の硬さを着用者(ユーザー)に感じさせ難くすることができる。特に着用者の身体の中心部に当たる領域において、柔軟性を感じやすくすることができる。したがって、胴周り部20に着用者に違和感や不快感を与え難くすることができる。
【0052】
しかしながら、非固定部51では、第1連続伸縮部材231aが一対のシート21,22に固定されていないため、おむつ1の着用時において、該第1連続伸縮部材231a(非固定部51)が上下方向に移動してしまう場合がある。すなわち、胴周り部20に対して第1連続伸縮部材231aの上下方向における位置ずれが生じるおそれがある。そして、おむつ1を着用する際に、胴周り部20で、第1連続伸縮部材231aの上下方向における位置ずれが生じると、胴周り部20を構成するシート21,22にたくれが生じたり、着用者の胴周り部における締め付けが不均一になって胴周り部20のフィット性が悪化したりするおそれがある。
【0053】
これに対して、本実施形態では、幅方向において、非固定部51が設けられている領域と重複する領域に固定部52が設けられていることにより、第1連続伸縮部材231a(非固定部51)の上下方向の移動が、第2連続伸縮部材231b(固定部52)によって制限される。これにより、胴周り部20にたくれが生じたり、フィット性が悪化したりすることを抑制することができる。つまり、おむつ1では、非固定部51を設けることによって胴周り部20の柔軟性を向上させつつ、所定の位置に固定部52を設けることによって胴周り部20にたくれが生じること等を効果的に抑制することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、
図4のように幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで非固定部51が連続して配置されている。すなわち、一対の端部固定部50,50の間の全体に非固定部51を有している。したがって、幅方向における両側の端部固定部50,50の間の一部の領域にのみ非固定部51が設けられている場合と比較して、非固定部51の幅方向の長さL51が長くなり、胴周り部20のうち剛性の低い部分の面積を大きくすることができる。これにより、胴周り部20の柔軟性をより向上させることができる。
【0055】
また、非固定部51に対応して、幅方向の一方側の端部固定部50から他方側の端部固定部50まで固定部52が連続して配置されている。すなわち、一対の端部固定部50,50の間の全体に固定部52を有している。上述の様に非固定部51の幅方向の長さを長くすると、一対のシート21,22に対して第1連続伸縮部材231aが固定されていない範囲が広くなる。すなわち、第1連続伸縮部材231a(非固定部51)が幅方向の広範囲の領域に亘って上下方向に移動可能となり、第1連続伸縮部材231aの位置ずれが大きくなるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、固定部52によって第2連続伸縮部材231bが幅方向の広い範囲において固定されている。したがって、第1連続伸縮部材231aの非固定部51が上下方向に移動しようとしても、第2連続伸縮部材231bの固定部52によって移動が制限され、大きな位置ずれが生じることが抑制されやすくなる。これにより、非固定部51の範囲を広くして胴周り部20の柔軟性を向上させた場合であっても、胴周り部20にたくれが生じたり、着用時のフィット性が悪化したりすることをしっかりと抑制することができる。
【0056】
なお、固定部52は、必ずしも幅方向における両側の端部固定部50,50の間の全体に設けられている必要はないが、少なくとも幅方向において吸収性コア11Aと重複する領域R1の全域に亘って連続して設けられていることが望ましい(
図4参照)。当該領域R1において第2連続伸縮部材231bが一対のシート21,22に固定されていることにより、該第2連続伸縮部材231bによる伸縮力が領域R1の全体に作用しやすくなり、少なくとも領域R1において胴周り部20が着用者の肌にフィットしやすくなる。したがって、領域R1では、幅方向における吸収性コア11Aの位置ずれが生じ難く、排泄物が吸収性コア11Aから漏れてしまうこと等を抑制しやすくなる。
【0057】
さらに、幅方向において領域R1の全域に亘って連続して設けられている1以上の固定部52のうち、少なくとも一つは、長手方向において吸収性本体10と重複して配置されていることが望ましい。言い換えると、おむつ1を厚さ方向に見たときに、吸収性本体10と第2連続伸縮部材231bの固定部52とが重複する部分を有していることが望ましい。当該領域R1において第2連続伸縮部材231bが肌側シート21に固定されていれば、該第2連続伸縮部材231bの伸縮力によって肌側シート21が着用者の身体(肌)に固定されやすくなる。そして、肌側シート21に間接的に固定されている吸収性コア11Aの上下方向への位置ずれが抑制されやすくなる。つまり、吸収性コア11Aの上下方向(長手方向)及び幅方向への位置ずれが抑制され、着用者に対する吸収性コア11Aのフィット性が増すとともに、排泄物がより漏れ難くなり、おむつ1の着け心地が向上する。
【0058】
なお、
図4に示されるように、本実施形態では、長手方向において吸収性本体10の上端10euと、吸収性コア11Aの上端11Aeuとの間(この領域を「インナーフラップ」とも呼ぶ)に、少なくとも一つの固定部52が設けられている。言い換えると、おむつ1を厚さ方向に見たときに、吸収性本体10と重複し、かつ、吸収性コア11Aと重複しない位置に、第2連続伸縮部材231bの固定部52が少なくとも一つ設けられている。この場合、第2連続伸縮部材231bの伸縮力は、吸収性コア11Aと重複する領域には作用しない。したがって、おむつ1の着用時に、吸収性コア11Aを収縮させたり着用者の肌側に過度に押し付けたりする力が作用し難く、吸収性コア11Aによる吸収性能が損なわれることが抑制され、排泄物を漏れ難くすることができる。また、固定部52によって、吸収性本体10のインナーフラップが着用者の身体にフィットしやすくなるため、当該インナーフラップにおいて、吸収性本体10と着用者の身体との間に隙間が形成され難くなる。したがって、吸収性本体10の上端部から尿等の排泄物がおむつ1の外部に漏れてしまうことを抑制しやすくなる。これにより、吸収性コア11Aのフィット性を向上させつつ、排泄物の漏れを抑制しやすくすることができる。
【0059】
また、おむつ1では、胴周り部20に配置されている複数の連続伸縮部材231のうち、第1連続伸縮部材231aの数(糸ゴムの本数)が、第2連続伸縮部材231bの数(糸ゴムの本数)よりも多くなっている。例えば、
図4では、胴周り部20に3本の第1連続伸縮部材231aと、2本の第2連続伸縮部材231bとが設けられている。第1連続伸縮部材231aの数が多いほど、非固定部51の数が多くなり、剛性の高い部位の面積を小さくすることができる。つまり、非固定部51の数を固定部52の数よりも多くすることにより、胴周り部20において剛性が高い領域の割合が小さくなり、胴周り部20の柔軟性をより高めることができる。例えば、おむつ1の着用者が、肌の弱い乳幼児や高齢者である場合には、胴周り部20の柔軟性を高めることによって、着用者の肌を傷つけたり不快感を生じさせたりすることを抑制することができるため、有効である。
【0060】
但し、おむつ1において、胴周り部20に配置されている複数の連続伸縮部材231のうち、第2連続伸縮部材231bの数(糸ゴムの本数)が、第1連続伸縮部材231aの数(糸ゴムの本数)以上となるようにしても良い。第2連続伸縮部材231bの数が多いほど、固定部52の数が多くなり、一対のシート21,22に対して第2連続伸縮部材231bがしっかりと固定されやすくなる。つまり、固定部52の数を非固定部51の数以上とすることにより、胴周り部20において第2連続伸縮部材231bが固定されている部分の割合が大きくなり、該第2連続伸縮部材231bの位置ずれが生じ難くなる。そして、第2連続伸縮部材231bの位置が固定されることにより、上述したように第1連続伸縮部材231aが上下方向の移動することが制限されやすくなる。すなわち、連続伸縮部材231の位置ずれを全体的に抑制することができる。これにより、胴周り部20にたくれが生じたり、フィット性が悪化したりすることがより抑制される。
【0061】
また、おむつ1では、上下方向(長手方向)において、隣り合って配置されている2本の第2連続伸縮部材231b,231bの間に、少なくとも第1伸縮部材231aが1本配置されている。すなわち、長手方向において、第1伸縮部材231aの非固定部51が、第2連続伸縮部材231bの固定部52,52によって上下に挟まれるように配置されている部分を有している。このような部分では、第1伸縮部材231a(非固定部51)が上下方向に位置ずれを生じたとしても、その上下を挟み込むようにして配置された固定部52,52によって上下方向への移動が制限されるため、位置ずれの影響を低減させることができる。これにより、第1連続伸縮部材231aの非固定部51が上下方向に大きく位置ずれし難くなり、胴周り部20にたくれが生じたり、連続伸縮部材231の位置ずれによって胴周り部20のフィット性が悪化したりすることをより効率的に抑制することができる。
【0062】
また、おむつ1では、上下方向(長手方向)において、第1連続伸縮部材231aと第2連続伸縮部材231bとが交互に並んで配置されている。言い換えると、上下方向において、隣り合う2本の第2連続伸縮部材231b,231bの間に、第1連続伸縮部材231aが配置された部分を有しており、そのような部分が長手方向に繰り返し設けられている。このような構成であれば、上述の場合と同様に、第1連続伸縮部材231aの非固定部51が上下方向に大きく位置ずれし難くなり、胴周り部20にたくれが生じたり、連続伸縮部材231の位置ずれによって胴周り部20のフィット性が悪化したりすることをより効率的に抑制することができる。さらに、固定部52と非固定部51とが上下方向に交互に並んでいるため、おむつ1を着用する際に胴周り部20が幅方向に収縮したときに、該胴周り部20の表面にきれいな形状の皺が形成されやすくなる。すなわち、形状の揃った皺が規則正しく並ぶことにより、おむつ1の審美性を向上させることができる。
【0063】
また、
図4に示すように、胴周り部20は、最も下方に配置された連続伸縮部材231よりも下方(長手方向の内側)において、非連続伸縮部材232を有する。非連続伸縮部材232は、幅方向において吸収性コア11Aと重複する領域R1の少なくとも一部において、非連続となっている。つまり、長手方向に吸収性本体10と重複する胴周り伸縮部材23の一部が、幅方向の中央部において非伸縮領域(非連続の部分)を有する。そのため、胴周り伸縮部材23による吸収性コア11Aの収縮を抑制でき、吸収性コア11Aの平坦性を確保できる。
【0064】
そして、非連続伸縮部材232も、端部固定部55、及び、非固定部56を有すると良い。端部固定部55は、非連続伸縮部材232の連続部分における幅方向の両端部が一対のシート21,22に固定された部位である。非固定部56は、端部固定部55の間において非連続伸縮部材232が一対のシート21,22に固定されていない部位である。具体的には、
図4に示すように、胴周り部20の幅方向一方側の端部と、吸収性コア11Aの幅方向一方側の端部に、一対の端部固定部55,55が配置され、その間に非固定部56が配置されている。同様に、吸収性コア11Aの幅方向他方側の端部と、胴周り部20の幅方向他方側の端部に、一対の端部固定部55,55が配置され、その間に非固定部56が配置されている。
【0065】
このように非連続伸縮部材232も非固定部56を有することで、胴周り部20の柔軟性が向上する。ただし、上記に限定されず、非連続伸縮部材232が非固定部56を有していなくても良い。また、一対の端部固定部55,55の間の領域で、非連続伸縮部材232の一部が固定されていても良い。このようにすれば、おむつ1着用時に、胴回り部20が一対の端部固定部55,55の間の領域でフィットしやすく、着用者の肌からぷかぷかと浮いてしまうこと等を抑制しやすくなる。また、上下方向に複数並ぶ非連続伸縮部材232,232…のうち、一対の端部固定部55,55の間の領域に固定部を有するものと、固定部を有さないものとが交互に配置されているようにしても良い。この場合、当該領域における柔軟性とフィット性とを両立することができる。
【0066】
また、
図2及び
図3に示されるように、おむつ1の背側胴周り部30には、後処理テープ70が設けられている。後処理テープ70は、上下方向に長い略矩形状のテープ状の部材(テープ部材)であり、上下方向(長手方向)の一方側にテープ固定部71(
図2において斜線部で表示されている)を有し、上下方向(長手方向)の他方側に粘着部72を有している。テープ固定部71は接着剤等によって形成され、後処理テープ70は、背側胴周り部30の非肌側シート32の非肌側面に、該テープ固定部71によって剥離不能に固定されている。粘着部72には粘着剤が塗布されており、おむつ1の使用前には、後処理テープ70の一部が、粘着部72を内側にして折り畳まれており、粘着部72が外部に露出しないようにして粘着部72の粘着面を保護している。
【0067】
使用後のおむつ1を廃棄する際には、吸収性本体10が内側になるように縦方向に丸めたおむつ1に対して、折り畳まれている後処理テープ70を伸ばしながら引っ張って粘着部72を露出させ、該粘着部72側をおむつ1に巻き回す。これにより、おむつ1を丸めた状態に保持することが可能となり、おむつ1の内部(吸収性本体10)に付着した排泄物等を外部に漏出させることなくおむつ1を廃棄することができる。
【0068】
本実施形態では、厚さ方向に見たときに、テープ固定部71と第2連続伸縮部材231b(331b)の固定部52とが重複する部分を有するように、後処理テープ70が配置されている。仮に、厚さ方向に見たときに、後処理テープ70のテープ固定部71が固定部52と重複していない場合、以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、おむつ1の使用後に後処理テープ70を厚さ方向の非肌側に引っ張る際に、胴周り部20(背側胴周り部30)のうち非肌側シート22(32)のみがテープ固定部71を介して非肌側に引っ張られることによって、非肌側シート22(32)が肌側シート21(31)から浮き上がってしまう可能性がある。この場合、非肌側シート22(32)が破れたり、後処理テープ70を引っ張る力が胴周り部20(背側胴周り部30)に伝達され難くなったりするおそれがある。
【0069】
これに対して、本実施形態では、テープ固定部71と固定部52とが重複しているため、おむつ1の使用後に後処理テープ70が厚さ方向の非肌側に引っ張られたときに、固定部52を介して厚さ方向に接合された肌側シート21(31)及び非肌側シート22(32)の両方のシートが引っ張られる。したがって、胴周り部20を構成するシート21(31),22(32)が破れたり、後処理テープ70を引っ張る力が胴周り部20に伝達され難くなったりすることが抑制される。これにより、使用後のおむつ1の後処理を行いやすくすることができる。
【0070】
<変形例>
図5は、おむつ1の変形例における腹側胴周り部20の概略平面図である。変形例では、第1連続伸縮部材231aの幅方向の中央部に、該第1連続伸縮部材231aを一対のシート21,22に固定する中央固定部53が設けられている。すなわち、第1連続伸縮部材231aは、幅方向両側の端部固定部50,50の間の領域において、幅方向の中央部に中央固定部53を有し、中央固定部53の幅方向両外側に非固定部51,51を有している。変形例におけるおむつ1のその他の構成は、上述の実施形態と同様である。
【0071】
図4で説明したように、上述の実施形態では、端部固定部50,50の間の領域に、幅方向に沿って連続する非固定部51が設けられており、第1連続伸縮部材231aは当該領域において、上下方向に移動することが可能であった。特に、幅方向の中央部では、第1連続伸縮部材231aの上下方向への移動量(振幅)が最も大きくなる可能性があるため、大きく位置ずれが生じるおそれがあった。
【0072】
これに対して、本変形例では、幅方向の中央部において第1連続伸縮部材231aが中央固定部53によって一対のシート21,22に固定されているため、幅方向の中央部において、第1連続伸縮部材231aが上下方向に移動することが抑制される。すなわち、第1連続伸縮部材231aの上下方向における移動量(振幅)が小さくなる。したがって、胴周り伸縮部材23の上下方向の位置ずれが抑制され、胴周り部20がたくれたり、フィット性が悪化したりすることをより抑制しやすくすることができる。
【0073】
また、変形例の場合も、幅方向における非固定部51の長さL51は、吸収性本体10の幅W10よりも大きくなっている(L51>W10)。すなわち、幅方向両側の端部固定部50,50の間の幅方向における長さから、中央固定部53の幅方向における長さL53を引いた長さ(L51)が、吸収性本体10の幅W10よりも大きくなっている。したがって、非固定部51が狭くなってしまうことが抑制され、胴周り部20の柔軟性を維持することが可能である。
【0074】
===第2実施形態===
図6は、第2実施形態の腹側胴周り部20の概略平面図である。第2実施形態では、胴周り部20が、幅方向における端部固定部50よりも内側において、一対のシート21,22同士が接合されたシート接合部60(
図6では黒太線で示されている)を有するものとする。なお、シート接合部60における一対のシート21,22の接合方法としては、溶着や接着剤による接合等を例示できる。
【0075】
胴周り伸縮部材23の非固定部51,56では、一対のシート21,22が互いに接合されていないため、離間するおそれがある。一対のシート21,22が離間すると、おむつ1の外観において、非肌側シート22が浮いて視認されやすく、胴周り伸縮部材23が収縮した際に、不規則な大きな縦皺が形成されやすい。特に、おむつ1では非固定部51の幅方向における長さ(幅)L51が吸収性本体10の幅W10よりも長ため、一対のシート21,22が厚さ方向に大きく離間しやすく、非肌側シート22の浮きが目立ちやすくなるおそれがある。これに対して、第2実施形態では、胴周り部20にシート接合部60を設けることによって、非肌側シート22の浮きを抑制し、おむつ1の外観を向上させることができる。
【0076】
図6に示すシート接合部60は、おむつ1の上下方向(長手方向)よりも幅方向に長く延びている。また、幅方向における端部固定部50よりも内側において胴周り伸縮部材23を一対のシート21,22に固定する部位(例えば第2連続伸縮部材231bの固定部52等)と、シート接合部60は、非連続であり、上下方向に間隔を空けて配置されている。つまり、シート接合部60は、胴周り伸縮部材23と交差することなく配置されている。具体的には、
図8に示すシート接合部60は、胴周り部20の一端縁から他端縁まで連続して延び、上下方向に並ぶ胴周り伸縮部材23の全ての間に配置されている。
【0077】
このように、幅方向に長く延びたシート接合部60を胴周り部20に設けることで、胴周り伸縮部材23が収縮した際に、規則的な細かな縦皺が形成されやすくなる。そのため、おむつ1の外観が向上し、胴周り部20のフィット性が良いといった印象をユーザーに付与できる。
【0078】
また、シート接合部60によって胴周り伸縮部材23の上下方向の動きが規制される。そのため、胴周り伸縮部材23の上下方向の間隔が維持されやすく、胴周り部20にたくれが生じたりフィット性が悪化したりすることを抑制しやすくすることができる。
【0079】
なお、胴周り部20がシート接合部60を有する場合、胴周り部20がシート接合部60を有さない場合に比べると、胴周り部20の柔軟性は低減されてしまうおそれがある。ただし、シート接合部60は、胴周り伸縮部材23に比べて着用者の肌に密着し難い。そのため、胴周り伸縮部材23を一対のシート21,22に固定する接着剤等の硬さに比べて、シート接合部60の接着剤等の硬さをユーザーは感じ難く、胴周り部20の着け心地の低下を抑制できる。
【0080】
また、第2実施形態のシート接合部60は、
図6に示すシート形状には限定されない。例えば、シート接合部60は、幅方向に連続して延びることなく、幅方向に間欠的に配置されていても良い。また、上下方向に並ぶ胴周り伸縮部材23の複数の間の一部にのみシート接合部60を配置しても良い。また、シート接合部60は、係止部40よりも幅方向の内側に配置されていたり、端部固定部50よりも幅方向の内側に配置されていたりしても良い。胴周り伸縮部材23のうち、非固定部51が設けられている領域にシート接合部60が配置されていることにより、おむつ1着用時に、当該領域において胴回り部20が着用者の肌からぷかぷか浮いてしまうことを抑制できる。
【0081】
===第3実施形態===
図7は、第3実施形態の腹側胴周り部20の概略平面図である。第3実施形態の胴周り部20は、第2実施形態と同様に幅方向における端部固定部50よりも内側において、一対のシート21,22同士が接合されたシート接合部60を有する。但し、第3実施形態では、シート接合部60の形状及び配置が第2実施形態とは異なっている。シート接合部60の形状及び配置以外の構成は、第2実施形態と略同様である。
【0082】
第3実施形態では、
図7に示されるように長手方向(上下方向)に沿って断続的に形成された破線状のシート接合部60が、胴周り伸縮部材23と交差することなく配置されている。すなわち、長手方向(上下方向)に隣り合う二つの胴周り伸縮部材23,23の間で、長手方向に沿った縦長の領域が、溶着や接着剤等による接合手段を用いて接合されることによって、長手方向に沿った破線状のシート接合部60が形成されている。そして、胴周り部20には、長手方向に沿った破線状のシート接合部60が幅方向に間隔を空けて複数並んで配置されている。
【0083】
このように一対のシート21,22同士を接合するシート接合部60を設けることによって、第2実施形態と同様に、非肌側シート22の浮きを抑制し、おむつ1の外観を向上させることができる。また、シート接合部60によって胴周り伸縮部材23の上下方向の動きが制限されるため、胴周り部20にたくれが生じたりフィット性が悪化したりすることを抑制しやすくすることができる。なお、第3実施形態において、シート接合部60と胴周り伸縮部材23とは互いに重複する部分を有していないため、胴周り部20が一対のシート21,22に固定される部分の面積は増加しない。したがって、胴周り部20の柔軟性は維持されやすい。
【0084】
さらに、第3実施形態では、胴周り部20の長手方向(上下方向)に沿った破線状のシート接合部60が幅方向(左右方向)に複数並んで配置されることにより、胴周り部20にきれいな皺が形成されやすくなる。すなわち、胴周り伸縮部材23の伸縮性に基づいて胴周り部20が幅方向に収縮する際に、一対のシート21,22は、長手方向に沿った線状のシート接合部60を起点として厚さ方向に凹凸変形を生じやすくなる。したがって、胴周り部20の表面には、シート接合部60に沿って長手方向に延びる皺(縦皺)が、幅方向に規則的に並ぶようになる。このような皺が形成されることにより、胴周り部20の肌触りをより柔らかくすることができるとともに、おむつ1の外観を向上させることができる。
【0085】
なお、シート接合部60が長手方向に沿って連続する線状に形成され、シート接合部60と伸縮部材23とが所定の位置で重複するようにしても良い。この場合、伸縮部材23と一対のシート21,22との接合部分の面積が増加するため、シート接合部60と伸縮部材23とが重複しない場合と比較して胴周り部20の柔軟性が低下するおそれがある。しかしながら、伸縮部材23が幅方向に収縮する際の収縮力が、一対のシート21,22に作用しすくなるため、当該収縮力に基づいてシート21,22も幅方向に収縮しやすくなり、胴周り部20に縦皺がより形成されやすくなる。これにより、胴周り部20の肌触りがよりソフトになることから、ユーザーは、胴周り部20の柔軟性の低下を認識し難い。したがって、シート接合部60が長手方向に連続する線状に形成されている場合であっても、胴周り部20の着け心地の低下を抑制することができる。
【0086】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。