(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
河川水や湖水、地下水を処理する方法として、生物処理やRO膜、活性炭、砂濾過などを組み合わせて被処理水中の有機物とNH
4−Nを処理し、最終的に次亜塩素酸の添加によって被処理水中の残存NH
4−Nを除去する方法が一般的である。
【0003】
NH
4−Nの残存量が多い場合、次亜塩素酸の使用量が増え、ランニングコストが掛かるとともに処理水に塩素由来の臭いが残ってしまう。そのため、前段で可能な限りNH
4−Nを除去することがランニングコストの低減と処理水質の向上につながる。
【0004】
前段処理に使用される生物処理の手法には、活性汚泥法や回転円盤法、担体法などがある。
【0005】
活性汚泥法は広く使用されている生物処理法である。しかしながら、河川水、湖水、地下水等、有機物とNH
4−Nを含む被処理水を短時間で処理する場合、活性汚泥が解体しやすく、運転が困難になるケースがある。
【0006】
特許文献1には、回転円盤を用いた水処理方法が記載されている。しかしながら、回転円盤法では、生物膜が円盤部から剥離することがあり、処理性が安定しないという問題がある。
【0007】
特許文献2、特許文献3に記載されているように、活性炭やスポンジを担体として使用した水処理方法では処理性が安定し、運転も容易である。しかしながら、被処理水中に有機物が含まれる場合、短時間で有機物とNH
4−Nの両方を処理することが困難になる場合がある。
【0008】
処理能力は担体に保持できる菌数に依存するため、菌の生着する空間を多くするために含水率の高い担体が用いられる。しかしながら、特許文献4に記載されているハイドロゲルのような、含水率の高い担体は物理的な強度が弱くなり、長期的な使用ができず定期的に担体を追加する必要がある。
【0009】
また、担体に菌を担持させる手法として、立ち上げ時に活性汚泥と担体を接触させる方法や、予め菌を担持させた担体を使用する方法が一般的である。しかしながら、処理設備によっては活性汚泥が使用できない場合がある。また菌付きの担体を用意するには時間と費用を要する場合がある。被処理水に含まれる菌を担体に担持させる方法もあるが、被処理水中の有機性浮遊物質(以下、「有機SS」と称する)が低濃度である場合には、従来の方法では処理に必要な菌数を担体に担持させるのに長期間を要する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(処理装置)
本発明は、有機物とNH
4−Nを含む被処理水に対して生物処理を行う水処理方法に関する。ここで、被処理水は、有機物とNH
4−Nの濃度が比較的低い、河川、湖水および地下水のうち少なくともひとつであることが好ましい。本発明によればこのような被処理水を効率よく処理することが可能であり、その処理水を上水として使用することが想定される。
【0020】
まず、本発明の処理方法で用いられる生物処理装置の一例について説明する。
図1は本発明の処理方法で用いられる生物処理装置の一例を示した図である。以下、この処理装置を用いて水処理を行った場合を例にして、本発明の処理方法について説明する。
【0021】
(工程1)
本発明における工程1は、被処理水を反応槽(好気槽)へ供給する工程である。工程1について、
図1に示した処理装置を例に説明する。この処理装置では、被処理水は被処理水供給管2を通って処理装置へ導入される。この処置装置は反応槽として好気槽1のみを有するものであるが、活性汚泥層や他の好気槽等各種付帯設備を備えることを排除するものではない。
【0022】
(工程2)
本発明における工程2は、前記好気槽1内において、担体4に担持された細菌により有機物の分解を行い、一次処理水を排出する工程である。この担体4には、有機物を分解する能力を有する細菌が担持されている。また、本発明における工程2は、有機物の分解と併せて、前記好気槽1内において、硝化を行い、被処理水中のNH
4−Nを亜硝酸及び硝酸に変え、一次処理水を排出する工程である。この担体4には、硝化能力を有する細菌が担持されている。すなわち、この担体4には、硝化菌が担持されている。有機物を分解する能力を有する細菌と硝化能力を有する細菌は同種の菌であってもよい。また、該被処理水には、非溶解性の有機物質である有機SSが含まれ、また有機SSには担体4に担持されうる菌が少量含有される。工程2では、前記被処理水中の有機物とNH
4−Nを同一槽(好気槽1)内で処理する。
【0023】
前記好気槽1に供給する被処理水中の有機物の濃度はBOD
5で100mg/L以下である。効率良くNH
4−Nの硝化を進めるためにはBOD
5は60mg/L以下であることが好ましく、40mg/L以下であることがより好ましい。本発明の処理対象となる、河川、湖水および地下水のひとつである被処理水には、有機物が含まれているため、BOD
5は通常0mg/Lより大きい。本発明によれば、被処理水中の有機物とNH
4−Nの両方を同一槽内で処理することが可能である。このとき、被処理水のBOD
5が例えば5mg/L以上であってもよく、6mg/L以上であってもよい。
【0024】
また、生物処理で除去できる有機物は主に溶解性であり、被処理水に含まれる有機物中の溶解性成分は被処理水の種類によって異なる。本発明によれば被処理水の溶解性BOD
5(以下、「s−BOD
5」と称する)が例えば0.5mg/L以上であってもよく、1.0mg/L以上であってもよい。また、被処理水のs−BOD
5は、通常100mg/L以下であり、60mg/L以下であることが好ましく、40mg/L以下であることがより好ましい。ここでBOD
5とは生物化学的酸素要求量のことを指し、水中に含まれる有機物を微生物が分解する際に5日間で消費する溶存酸素量のことを指す(例えば、JIS K0102 21に記載の方法で測定される)。
【0025】
前記好気槽1に供給する被処理水中のNH
4−N濃度は50mg/L以下であり、20mg/L以下であることが好ましい。本発明の処理対象となる、河川、湖水および地下水のひとつである被処理水には、NH
4−Nが含まれているため、NH
4−N濃度は通常0mg/Lより大きい。上水としての使用を想定し、処理が必要であるという観点から、例えばNH
4−N濃度は1mg/L以上である場合が想定される。
【0026】
前記好気槽1に供給する被処理水中の有機SSの濃度は100mg/L以下であることが好ましく、70mg/L以下であることがより好ましい。本発明の効果を十分に発揮させるためには、有機SSの濃度は50mg/L以下であることがさらに好ましい。なお、被処理水中には少量の有機SSが含有されていることが好ましく、その濃度は0mg/Lより大きい。本発明においては被処理水中の有機SS濃度が小さい河川、湖水または地下水のような被処理水を用いた場合でも、短時間で有機物およびNH
4−Nの処理が可能である。
【0027】
また、好気槽1の立ち上げに際し、予め菌を担持させる操作を行っていない担体に被処理水を接触させることにより該担体に短期間で菌を担持させることも可能である。より短期間で担体に菌を担持させる観点からは、有機SSの濃度は5mg/L以上であることがより好ましい。
【0028】
前記好気槽1での被処理水の水理学的滞留時間(Hydraulic Retention Time:HRT)は2時間以下である。またHRTは1時間以下であってもよく、その場合でも処理が十分に進行する。一方、処理を十分なものとする観点からは、HRTは0.10時間以上であることが好ましく、0.25時間以上であることがより好ましい。
【0029】
前記好気槽1内のpHは5〜9であることが好ましく、7〜8であることがより好ましい。pHがこの範囲から外れると細菌が生育し難くなるとともに、有機物分解速度及び硝化速度が低下するおそれがある。
【0030】
前記好気槽1内の温度は10〜40℃であることが好ましく、20℃〜35℃であることがより好ましい。温度がこの範囲から外れると細菌が生育し難くなるとともに、有機物の分解速度及び硝化速度が低下するおそれがある。
【0031】
前記好気槽1内のDO(Dissolved Oxygen、溶存酸素)は2mg/L以上であることが好ましい。DOが2mg/L未満の場合、有機物分解速度及び硝化速度が低下するおそれがある。また、DOの上限については特に制限はないが、水処理における操作上、9mg/L以下であることが好適である。
【0032】
本発明における工程2において、有機物の分解及び硝化を効率良く進行させる観点から、前記好気槽1内の処理水を曝気することが好ましい。曝気の方法は特に限定されないが、
図1に示すように、前記好気槽1は、空気管7が接続された散気装置6を備えることが好ましい。散気装置6からの空気によって前記好気槽1の処理水を曝気することができるとともに、処理水及び担体4を十分に流動させることができる。担体4の流動性をさらに向上させる場合には、撹拌機等の撹拌装置を用いて好気槽1内を撹拌してもよい。
【0033】
前記好気槽1には、担体4の流出を防ぐために、
図1に示すように、好気槽1の排出口にスクリーン5を設けることが好ましい。
【0034】
好気槽1に添加する担体4の槽容積に対する体積割合(充填率)は、被処理水の性状に応じて適宜決めることができ、充填率は体積換算で5〜60%であることが好ましく、5〜40%であることがより好ましく、5〜30%であることがさらに好ましく、8〜20%であることが特に好ましい。担体4の充填率が高いほど有機物の分解反応及び硝化反応を効率よく進行させることができるが、充填率が高すぎると担体4の流動性が低下し、反応効率が低下するおそれがある。
【0035】
本発明に用いられる担体は、表面から内部に連通する孔(連通孔)を有する。ここで、孔が連通しているとは、孔が各々独立に存在しているのではなく、孔同士が相互に連通していることをいう。
【0036】
上記担体の連通孔の孔径は、30μm以下であり、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。孔径が30μm以下の連通孔を有する担体を用いることで担体に菌を効率良く担持することができ、それにより立ち上げ時に活性汚泥を使用せずに反応槽の立ち上げが可能である。
【0037】
被処理水中の有機SS濃度が低い場合でも、被処理水と担体を接触させるだけで反応槽の立ち上げが可能であり、有機SSを反応槽に返送する必要がなく、安定した処理が可能となる。また、有機物とNH
4−Nを含む被処理水を生物処理する場合、短い処理時間では有機物とNH
4−Nの両方を除去することは通常困難であるが、孔径が30μm以下の連通孔を有する担体を使用することで、有機物を含んだ被処理水であってもNH
4−Nの除去が可能となる。なお、孔径は0.1μm以上であることが好ましい。孔径が0.1μm未満の場合、細菌が担体内部に侵入できないことがある。
【0038】
ここで、「孔径が30μm以下」とは、担体が有する微細孔の内50%以上が30μm以下であることを意味する。また、「孔径が0.1μm以上」とは、担体が有する微細孔の内50%以上が0.1μm以上であることを意味する。この際、孔径とは、電子顕微鏡で担体の断面を観察した際に見られる孔の直径であり、孔が真円でない場合は、円相当径、すなわち、孔の断面積と同面積の真円の直径を孔径とした。
【0039】
孔径の具体的な測定方法は次の通りである。担体の断面を電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡画像を得る。得られた画像に、等間隔で縦に10本の直線を引くとともに、等間隔で横に10本の直線を引く。そして、直線の交点に存在する孔を100個選択し、それぞれの孔の直径を上述の通り測定する。このとき、交点に孔が存在しなかった場合には、その交点に最も近い孔を選択する。この測定は2つの交点に孔が跨らない縮尺の画像で行う。
【0040】
そして、本明細書における「孔径が30μm以下」とは、選択された孔の直径を上述の通り測定したとき、直径が30μm以下の孔の個数が、選択された全ての孔の個数の50%以上であることをいう。また、本明細書における「孔径が0.1μm以上」とは、選択された孔の直径を上述の通り測定したとき、直径が0.1μm以上の孔の個数が、選択された全ての孔の個数の50%以上であることをいう。
【0041】
担体表面の孔径は観察できる範囲において0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。一方、担体表面の孔径は観察できる範囲において30μm以下であることが好ましい。担体表面の孔径が30μmを超える場合、細菌以外の大きな生物が進入しやすく、有機物の分解速度及び硝化速度が低下するおそれがある。担体表面の孔径は20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。担体表面とは、担体を切断等の操作なく表面を電子顕微鏡で観察した際に見られる範囲のことである。担体表面の孔径は、担体断面の孔径の測定方法と同様の方法で得られた値である。
【0042】
本発明で用いられる担体の含水率は、質量換算で50%以上であり、好ましくは70%以上であり、より好ましくは85%以上である。上記範囲を満たすことにより、菌の生育環境を良好なものとすることができ、菌が増殖及び担持されやすくなる。また、含水率は96%以下である。このような含水率を有することで担体が破損せず、担体の追加投入の必要がなく長期的な運転が可能となる。なお、含水率は含水した状態の担体を完全に乾燥させた際の質量差から計算できる。
【0043】
本発明で用いられる担体の種類は特に限定されないが、細菌との親和性が高く、細菌棲息性に優れている点から、担体が高分子ゲル担体であることが好ましく、ポリビニルアルコールから構成されるゲル状担体(以下、PVAゲル担体と称する)であることがより好ましい。PVAゲル担体は、多くの細菌を担持することができるため、短いHRTで安定的な処理が可能となる。
【0044】
上記PVAゲル担体は、アセタール化されたPVAゲル担体であってもよい。
【0045】
担体の球相当径は1〜10mmであることが好ましい。球相当径が小さい場合、担体の流出を防ぐためのスクリーンの網目を小さくしなければならず、目詰まりを起こすおそれがある。球相当径は2mm以上であることがより好ましい。一方、球相当径が10mmを超える場合、担体の流動性が低下するおそれがある。担体の球相当径は6mm以下であることがより好ましい。ここで球相当径とは、担体の体積と等しい体積を有する球の直径である。
【0046】
担体の形状は特に限定されるものではなく、球状、立方体、直方体、円柱状など任意の形状をとることができる。これらの中でも、細菌との接触効率を考えると球状が好ましい。
【0047】
担体の比重は水よりわずかに大きく、好気槽内で揺動させることができる比重であることが好ましい。担体の比重は、1.001以上であることが好ましく、1.005以上であることがより好ましい。一方、比重は1.20以下であることが好ましく、1.10以下であることがより好ましく、1.05以下であることがさらに好ましい。
【0048】
本発明は好気槽1の立ち上げ時に活性汚泥等の種菌を使用しなくとも立ち上げが可能である簡便な方法であり、被処理水と担体を接触させるのみで立ち上げることができる。すなわち、予め菌を担持させる操作を行っていない担体に被処理水を接触させることにより該担体に有機物及びNH
4−Nを処理する菌を担持させることができる。この際、被処理水は通常、わずかに当該菌を含有しており、立ち上げ前の担体は通常、菌が担持されていない状態である。また、本発明の水処理方法を実施する水処理装置は、処理装置が煩雑かつ巨大になる観点から活性汚泥槽を含まないことも好適な態様である。また、運転管理の簡便さの観点から好気槽1内に後段から有機SSを返送する設備を設けなくても良い。なお、上記態様が考えられうるが、立ち上げ時に活性汚泥等の種菌を使用することや活性汚泥槽を水処理装置内に含むこと、好気槽1に有機SSを返送する設備を設けることを排除するものではない。
【0049】
前記工程1及び2を経て処理された処理水は、後段でさらに凝集沈殿、RO膜、UF膜、MF膜、活性炭、砂濾過などの任意の処理方法で処理することができる。
【0050】
本発明によれば、被処理水中の有機SS濃度が低い場合でも、被処理水と担体を接触させるだけで反応槽の立ち上げが可能であり、有機SSを反応槽に返送する必要なく、安定した処理が可能となる。また、通常は有機物の処理がされた後にNH
4−Nの処理が行われるが、菌の生育環境を十分確保できる本発明の方法においては、有機物とNH
4−Nを含む被処理水を同一槽内で生物処理することが可能であるため、短い処理時間で有機物とNH
4−Nの両方を除去することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0052】
[実施例1]
図1に示す処理装置を用いて、有機物とNH
4−Nを含む被処理水に対して生物処理を行った。
【0053】
(有機物とNH
4−Nを含む被処理水)
生物処理される被処理水として、以下の組成のものを用いた。
BOD
5:40mg/L(s−BOD
5:20mg/L)、NH
4−N:7mg/L、有機SS:20mg/L
【0054】
(担体)
好気槽1(容積1L)に担体4を0.1L(充填率10%)投入した。投入した担体4は、PVAゲル担体であった。この担体4は球状であり、球相当径は4mmであり、比重は1.015である。電子顕微鏡を用いてこの担体の表面および内部を観察したところ、相互に連通した孔が確認された。また、得られた電子顕微鏡による観察像を用いて担体の表面および内部の孔径を測定したところ、孔径は0.1〜30μmであった。具体的な測定方法は以下の通りである。担体4の断面を電子顕微鏡で観察して電子顕微鏡画像を得た。得られた画像に、等間隔で縦に10本の直線を引くとともに、等間隔で横に10本の直線を引いた。そして、直線の交点に存在する孔を100個選択し、それぞれの孔の直径を上述の通り測定した。その結果、100個の孔の直径が0.1〜30μmの範囲内であった。また、担体の含水率は、質量基準で94%であった。なお、通水開始後も、担体4の含水率は基本的に変化しない。
【0055】
(処理装置)
好気槽1の底部には散気装置6が取り付けられており、空気管7を通して送られた空気により槽内の処理水が曝気される。好気槽1の出口には担体4の流出を防ぐためのスクリーン5が取り付けられている。
【0056】
被処理水供給管2を通って好気槽1の供給された被処理水は好気槽1内の担体に担持されている細菌により有機物の分解およびNH
4−Nの硝化が行われる。有機物の分解およびNH
4−Nの硝化が行われた処理水は処理水管3を通って好気槽1外に排出される。
【0057】
(立ち上げ方法、管理方法)
好気槽1の管理条件は、pHは7.5〜8.0であり、DOは2〜8mg/Lであり、好気槽1内の温度は22℃であった。HRTが1時間となるように被処理水の供給量は1L/hrとし、予め菌を担持させる操作を行っていない担体(菌が担持されていない担体)を投入した好気槽1に対して被処理水を供給した。
【0058】
以上説明した処理装置を用いて、上述した有機物とNH
4−Nを含む被処理水に対して生物処理を行った。
【0059】
(結果)
好気槽1から排出された処理水の水質を調べたところ、通水から30日でs−BOD
5は1.0mg/L、NH
4−N濃度は0.8mg/Lとなった。以下、処理水質はs−BOD
5で記載する。
【0060】
[実施例2]
被処理水のBOD
5を40mg/L(s−BOD
5:20mg/L)、NH
4−N濃度を30mg/L、有機SS濃度を20mg/Lとした以外は実施例1と同様にして生物処理を行った。その結果、通水から27日で処理水のs−BOD
5が2.0mg/L、NH
4−N濃度が7.4mg/Lとなった。
【0061】
[実施例3]
被処理水のBOD
5を30mg/L(s−BOD
5:15mg/L)、NH
4−N濃度を10mg/L、有機SS濃度を30mg/Lとし、好気槽1に投入する担体量を0.08L(充填率8%)とし、HRTを1.5時間とした以外は実施例1と同様にして生物処理を行った。その結果、通水から30日で処理水中のs−BOD
5が4.0mg/L、NH
4−N濃度が1.0mg/Lとなった。
【0062】
[実施例4]
被処理水のBOD
5を30mg/L(s−BOD
5:20mg/L)、NH
4−N濃度を10mg/L、有機SS濃度を20mg/Lとし、好気槽1に投入する担体量を0.4L(充填率40%)とし、HRTを0.25時間とした以外は実施例1と同様にして生物処理を行った。その結果、通水から36日で処理水のs−BOD
5が4.5mg/L、NH
4−N濃度が0.8mg/Lとなった。
【0063】
[比較例1]
被処理水のBOD
5を30mg/L(s−BOD
5:15mg/L)、NH
4−N濃度を10mg/L、好気槽1の後段に沈殿槽を設置し、槽内の活性汚泥濃度が4000mg/Lとなるよう好気槽1に汚泥を返送し、担体は使用せず、HRTを1.5時間とした以外は実施例1と同様にして生物処理を行った。その結果、処理水中のs−BOD
5は5mg/Lまで下がったが、NH
4−N濃度は5mg/L程度にまでしか下がらず、また10日程で活性汚泥が解体し、運転の継続が困難となった。
【0064】
[比較例2]
使用する担体をチップ状のポリエチレン樹脂担体にし、使用する担体量を0.1L(充填率10%)にした以外は実施例2と同様にして生物処理を行った。電子顕微鏡を用いてこの担体の孔径を測定したところ、担体の孔径は100〜400μm(担体の断面を観察し、得られた画像中の100個の孔のうち80個の孔径がこの範囲であり、30μm以下の孔は20個)であった。また、担体の含水率は、質量基準で31%であった。その結果、通水から60日経過後において処理水のs−BOD
5は4.3mg/Lであったが、NH
4−N濃度は24mg/Lまでしか下がらなかった。
【0065】
[参考例1]
立ち上げ時に活性汚泥4000mg/Lとなるように担体の入った処理槽に添加して多量の菌を担体に接触させたこと以外は実施例2と同様にして生物処理を行った。その結果、通水から26日で処理水のs−BOD
5が2.0mg/L、NH
4−N濃度が8.0mg/Lとなり、実施例2と同様の結果となった。
【0066】
本発明の発明特定事項を満たす実施例1、2、3及び4では、被処理水中に含まれる有機SSが微量であっても高い処理能力を有しており、比較例1及び2よりも優れた処理水を得ることができた。また、担体に多量の菌を接触させる方法で実施した参考例1の結果と、被処理水に含まれる微量の菌のみを担体に接触させる方法で実施した実施例2が同様の処理性を示したことから、立ち上げ時に活性汚泥を使用しない場合や予め菌を担持させる操作を行っていない担体を用いた場合でも、優れた生物処理能力があることが示された。