特許第6811835号(P6811835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811835
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/23 20060101AFI20201228BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20201228BHJP
   H05G 2/00 20060101ALN20201228BHJP
【FI】
   H01S3/23
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
   !H05G2/00 K
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-500136(P2019-500136)
(86)(22)【出願日】2017年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2017005954
(87)【国際公開番号】WO2018150547
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼野 紘明
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/142995(WO,A1)
【文献】 特開2002−237651(JP,A)
【文献】 特開2001−257419(JP,A)
【文献】 特開2013−201368(JP,A)
【文献】 特開2014−112650(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0193165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00−3/02,3/04−3/0959,
3/098−3/102,3/105−3/131,
3/136−3/213,3/23−5/50
H0IL 31/00−31/02,31/0232,31/0248,
31/0264,31/08,31/10,
31/107−31/108,31/111,
31/18,33/00,33/48−33/64,
51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するマスターオシレータと、
前記マスターオシレータから出射されるレーザ光の光路上に配置される増幅器と、
前記マスターオシレータと前記増幅器との間に配置され、前記レーザ光の進行方向とは反対の方向に前記レーザ光の光路を進む戻り光の少なくとも一部を前記レーザ光の光路から分離するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで前記レーザ光の光路から分離される前記戻り光を集光する集光光学系と、
前記戻り光の受光面を有し、前記集光光学系を介して前記受光面に入射する戻り光のパワーに関連する情報を検出する光センサと、
を備え、
前記受光面は、前記戻り光の光路上において前記集光光学系の集光位置と異なる位置に配置される
レーザ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記受光面は、前記集光光学系の集光位置よりも前記集光光学系側に配置される。
【請求項3】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記受光面は、前記集光光学系の集光位置よりも前記集光光学系側とは反対側に配置される。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記集光光学系は平凸レンズとされ、前記平凸レンズの平面は、前記平凸レンズに入射する前記戻り光の光軸に対し傾斜する状態で配置される。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記受光面は、前記受光面に入射する前記戻り光の光軸に対し傾斜する状態で配置される。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記集光光学系は、前記戻り光を反射して集光しながら前記受光面に導く凹面ミラーとされる。
【請求項7】
請求項1に記載のレーザ装置であって、
前記マスターオシレータと前記ビームスプリッタとの間に配置される光アイソレータを更に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、20nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長13nm程度の極端紫外(EUV:extreme ultraviolet)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系(reduced projection reflective optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−102239号公報
【特許文献2】特開2006−343298号公報
【特許文献3】国際公開第2016/142995号
【特許文献4】特開平9−320095号公報
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるレーザ装置は、レーザ光を出射するマスターオシレータと、マスターオシレータから出射されるレーザ光の光路上に配置される増幅器と、マスターオシレータと増幅器との間に配置され、レーザ光の進行方向とは反対の方向にレーザ光の光路を進む戻り光の少なくとも一部をレーザ光の光路から分離するビームスプリッタと、ビームスプリッタでレーザ光の光路から分離される戻り光を集光する集光光学系と、戻り光の受光面を有し、集光光学系を介して受光面に入射する戻り光のパワーに関連する情報を検出する光センサと、を備え、受光面は、戻り光の光路上において集光光学系の集光位置と異なる位置に配置されるようにしてもよい。
【0006】
また、本開示の一態様によるレーザ装置は、レーザ光を出射するマスターオシレータと、マスターオシレータから出射されるレーザ光の光路上に配置される増幅器と、マスターオシレータと増幅器との間に配置され、レーザ光の進行方向とは反対の方向にレーザ光の光路を進む戻り光の少なくとも一部をレーザ光の光路から分離するビームスプリッタと、ビームスプリッタでレーザ光の光路から分離される戻り光を集光する集光光学系と、戻り光の受光面を有し、集光光学系を介して受光面に入射する戻り光のパワーに関連する情報を検出する光センサと、を備え、受光面は、受光面に入射する戻り光の光軸に対し傾斜する状態で配置されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、極端紫外光生成システムの全体の概略構成例を示す模式図である。
図2図2は、比較例の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。
図3図3は、実施形態1の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。
図4図4は、実施形態1の戻り光モジュールの変形例を示す模式図である。
図5図5は、実施形態1の戻り光モジュールの他の変形例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態2の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。
図7図7は、実施形態3の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。
図8図8は、実施形態4のレーザ装置の一部の構成を示す模式図である。
【実施形態】
【0008】
1.概要
2.極端紫外光生成システムの説明
2.1 全体構成
2.2 動作
3.比較例の戻り光モジュールの説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 課題
4.実施形態1の戻り光モジュールの説明
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用・効果
4.4 変形例
5.実施形態2の戻り光モジュールの説明
5.1 構成
5.2 動作
5.3 作用・効果
6.実施形態3の戻り光モジュールの説明
6.1 構成
6.2 動作
6.3 作用・効果
7.実施形態4の戻り光モジュールの説明
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用・効果
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。
なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
1.概要
本開示の実施形態は、極端紫外線(EUV:Extreme UltraViolet)と呼ばれる波長の光を生成する極端紫外光生成装置と、その光を生成するために用いられるレーザ装置とに関するものである。なお、以下本明細書では、極端紫外光をEUV光という場合があり、EUV光を生成するためのコントローラをEUV光生成制御部という場合がある。
【0011】
2.極端紫外光生成システムの説明
2.1 全体構成
図1は、極端紫外光生成システムの全体の概略構成例を示す模式図である。図1に示すように、EUV光生成システム100は、極端紫外光生成装置1及びレーザ装置2を有するシステムである。EUV光生成システム100は、露光装置3と共に用いられる。
【0012】
露光装置3は、極端紫外光生成装置1で生成されるEUV光により半導体ウェハを露光する装置であり、極端紫外光生成装置1に対してバースト信号S1を出力する。このバースト信号S1は、EUV光を生成するバースト期間と、EUV光の生成を休止する休止期間とを指定する信号である。例えば、バースト期間と休止期間とを交互に繰り返すバースト信号S1が露光装置3から極端紫外光生成装置1に出力される。
【0013】
極端紫外光生成装置1は、チャンバ11及びターゲット供給部12を含む。チャンバ11は、密閉可能かつ減圧可能な容器である。ターゲット供給部12は、ターゲット物質をドロップレットDLとしてチャンバ11の内部に供給するよう構成され、例えば、チャンバ11の壁を貫通するように取り付けられる。ターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノンのいずれか、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0014】
チャンバ11の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられている。この貫通孔は、ウインドウWによって塞がれ、このウインドウWを透過してチャンバ11の内部にレーザ光L1が入射する。
【0015】
チャンバ11の内部のうち、ターゲット供給部12から供給されるドロップレットDLの軌道OTの一部はプラズマ生成領域31とされる。プラズマ生成領域31は、ドロップレットDLをプラズマ化させる領域である。このプラズマ生成領域31には、ウインドウWを透過してチャンバ11の内部に入射するレーザ光L1がレーザ集光光学系32を介して集光される。
【0016】
レーザ集光光学系32は、例えば、チャンバ11の内部に入射したレーザ光L1を拡大して反射する凸面ミラーと、拡大されたレーザ光L1を反射して集光しながらプラズマ生成領域31に導く凹面ミラーとにより構成し得る。なお、レーザ集光光学系32が3軸方向に移動可能なステージST上に配置され、そのレーザ集光光学系32の集光位置が制御し得るようにしてもよい。
【0017】
また、チャンバ11の内部には、EUV光集光ミラー33が設けられている。EUV光集光ミラー33には、レーザ集光光学系32で集光されるレーザ光L1が通過する貫通孔33Aが設けられる。EUV光集光ミラー33は、プラズマ生成領域31に達したドロップレットDLのプラズマ化により生じるEUV光を反射する回転楕円面形状の反射面33Bを有する。例えば、EUV光集光ミラー33は、プラズマ生成領域31に第1の焦点が位置し、中間集光点IFに第2の焦点が位置するように配置される。
【0018】
極端紫外光生成装置1は、ターゲット回収部14、ターゲットセンサ15及びEUV光生成制御部16を更に含む。ターゲット回収部14は、チャンバ11の内部に供給されたドロップレットDLのうちプラズマ生成領域31でプラズマ化されなかったドロップレットDLを回収するよう構成される。例えば、ターゲット回収部14は、チャンバ11のターゲット供給部12が取り付けられる壁とは反対側の壁のうち、ドロップレットDLの軌道OT上に設けられる。
【0019】
ターゲットセンサ15は、チャンバ11の内部に供給されるドロップレットDLの存在、軌跡、位置、速度等に関連する情報を検出し、その情報をドロップレット関連信号S15として出力するよう構成される。例えば、ターゲットセンサ15は、チャンバ11の壁を貫通するように設けられる。
【0020】
EUV光生成制御部16は、CPU(中央処理装置)等を有するコンピュータである。EUV光生成制御部16は、露光装置3から出力されるバースト信号S1や、ターゲットセンサ15から出力されるドロップレット関連信号S15等に基づいて、各種の制御を実行するよう構成される。
【0021】
例えば、EUV光生成制御部16は、バースト信号S1及びドロップレット関連信号S15に基づいて、ドロップレットDLが出力されるタイミング、ドロップレットDLの出力方向等を調整するようターゲット供給部12を制御する。また例えば、EUV光生成制御部16は、バースト信号S1及びドロップレット関連信号S15に基づいて発光トリガ信号S16をレーザ装置2に出力し、バースト動作するようレーザ装置2を制御する。バースト動作とは、バースト期間に連続したパルス状のレーザ光L1を所定の繰り返し周波数で出射し、バースト休止期間にレーザ光L1の出射が抑制される動作を意味する。
【0022】
なお、EUV光生成制御部16における上記の制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0023】
レーザ装置2は、バースト動作する光源であるマスターオシレータMOを含む。マスターオシレータMOは、パルス状のレーザ光L1を出射する。マスターオシレータMOは、例えば、ヘリウムや窒素等が炭酸ガス中に混合された気体を放電によって励起することで、レーザ光を出射する発振器とされる。あるいは、マスターオシレータMOは、量子カスケードレーザ発振器とされてもよい。
【0024】
また、レーザ装置2は、光アイソレータ40、ビームスプリッタBS、第1パワーアンプPA1、第2パワーアンプPA2、第3パワーアンプPA3、第4パワーアンプPA4、第1ミラーM1及び第2ミラーM2を更に含む。
【0025】
光アイソレータ40は、レーザ光L1の光路のうちマスターオシレータMOとビームスプリッタBSとの間に配置される。光アイソレータ40は、マスターオシレータMOから出射されるレーザ光L1を透過又は遮断するよう構成される。例えば、光アイソレータ40は、EOポッケルスセル及び偏光子を含めて構成し得る。
【0026】
ビームスプリッタBSは、レーザ光L1の光路のうち光アイソレータ40と第1パワーアンプPA1との間に配置される。ビームスプリッタBSは、例えば、レーザ光L1の一部を反射し、第1パワーアンプPA1に導く。例えば、ビームスプリッタBSは、平面状の誘電体多層膜と赤外光透過基板等により構成し得る。
【0027】
第1パワーアンプPA1、第2パワーアンプPA2、第3パワーアンプPA3、第4パワーアンプPA4は、レーザ光L1の光路上に配置される。第1パワーアンプPA1、第2パワーアンプPA2、第3パワーアンプPA3、第4パワーアンプPA4それぞれは、入射するレーザ光L1のパワーを増幅するよう構成される。例えば、第1パワーアンプPA1、第2パワーアンプPA2、第3パワーアンプPA3、第4パワーアンプPA4それぞれは、再生増幅器型のパワーアンプにより構成してもよい。
【0028】
なお、第1パワーアンプPA1、第2パワーアンプPA2、第3パワーアンプPA3、第4パワーアンプPA4それぞれは、同じ構成のパワーアンプであっても異なる構成のパワーアンプであってもよい。また、図1に示す例では、パワーアンプ数が4つとされているが、1つとされていてもよく、4つ以外の複数とされていてもよい。
【0029】
第1パワーアンプPA1には、パワーアンプの動作用である電力を供給する第1電源PS1が接続される。同様に、第2パワーアンプPA2には第2電源PS2が接続され、第3パワーアンプPA3には第3電源PS3が接続され、第4パワーアンプPA4には第4電源PS4が接続される。
【0030】
第1ミラーM1及び第2ミラーM2は、レーザ光L1の光路のうち第4パワーアンプPA4とレーザ集光光学系32との間に配置される。第1ミラーM1及び第2ミラーM2は、レーザ光L1を高反射率で反射するミラーとされる。例えば、第1ミラーM1及び第2ミラーM2は、平面状の誘電体多層膜と金属基板等により構成し得る。
【0031】
なお、第1ミラーM1及び第2ミラーM2は同じ構成のミラーであっても異なる構成のミラーであってもよい。また、図1に示す例では、ミラー数が2つとされているが、3つ以上とされていてもよい。
【0032】
第1ミラーM1及び第2ミラーM2には、図示されないアクチュエータが接続されており、それぞれのアクチュエータの動作により反射面の位置や角度が調整可能とされる。従って、第1ミラーM1、第2ミラーM2それぞれは、反射面で反射されるレーザ光L1の進行方向を調節し得る。このため、第1ミラーM1、第2ミラーM2それぞれは、レーザ光L1の進行方向を調節するビーム進行方向調節部と理解し得る。
【0033】
レーザ装置2は、戻り光モジュール50、表示器60及びレーザ制御部70を更に含む。戻り光モジュール50は、上記のビームスプリッタBSと、光センサ51とを含む。ビームスプリッタBSは、レーザ光L1の一部を反射する光学素子のみならず、そのレーザ光L1の戻り光L2の一部を分離する光学素子として共用される。戻り光L2は、レーザ光L1の進行方向とは反対の方向にレーザ光L1の光路を進む光である。例えば、プラズマ生成領域31に到達したドロップレットDLや、レーザ光L1の光路上の光学素子等がレーザ光L1の一部を反射する反射面となる場合があり、この場合、その反射面で反射されたレーザ光L1の少なくとも一部が戻り光L2となる。ビームスプリッタBSは、例えば、戻り光L2の一部を透過し他の一部を反射することで、戻り光L2の一部をレーザ光L1の光路から分離する。
【0034】
光センサ51は、戻り光L2の受光面51Aを有する。光センサ51は、この受光面51Aにおける戻り光L2のパワーに関連する情報を検出し、その情報をパワー関連信号S51として出力するよう構成される。戻り光L2のパワーに関連する情報は、単位時間あたりの戻り光L2のエネルギー量を示す値であってもよく、戻り光L2のエネルギー分布を示す画像であってもよく、戻り光L2のパワーをレーザ制御部70が認識し得る情報であればよい。なお、単位時間あたりの戻り光L2のエネルギー量を示す値をパワー関連信号S51として出力する場合、光センサ51は、例えば、パワーメータにより構成し得る。
【0035】
表示器60は、レーザ制御部70からの与えられる情報を表示画面に表示するよう構成される。例えば、表示器60は、液晶ディスプレイやEL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ、あるいは、ディスプレイを含んだPC(Personal Computer)により構成し得る。
【0036】
レーザ制御部70は、CPU(中央処理装置)等を有するコンピュータであり、EUV光生成制御部16と、マスターオシレータMOと、光アイソレータ40と、光センサ51と、第1電源PS1、第2電源PS2、第3電源PS3及び第4電源PS4と、表示器60とに接続される。レーザ制御部70は、EUV光生成制御部16から出力される発光トリガ信号S16や、光センサ51から出力されるパワー関連信号S51等に基づいて、各種の制御を実行するよう構成される。
【0037】
例えば、レーザ制御部70は、パワーアンプでレーザ光L1を増幅可能な状態とするため、マスターオシレータMOの制御に先だってパワーアンプを駆動するよう第1電源PS1、第2電源PS2、第3電源PS3、第4電源PS4を制御する。また例えば、レーザ制御部70は、発光トリガ信号S16に基づいて、バースト期間にレーザ光L1を出射するようマスターオシレータMOを制御する。また例えば、レーザ制御部70は、発光トリガ信号S16に基づいて、マスターオシレータMOから出射されるレーザ光L1をバースト期間には透過し、バースト休止期間には遮断するよう光アイソレータ40を制御する。
【0038】
また例えば、レーザ制御部70は、光センサ51からのパワー関連信号S51に基づいて戻り光L2のパワーを認識し、その戻り光L2のパワーと閾値とを比較する。閾値は、例えば、光アイソレータ40におけるレーザ耐性等に応じて設定される。なお、レーザ光L1の出力エネルギーやバースト期間の長さ等といったレーザ装置2の運転条件ごとに互いに異なる複数の閾値がメモリ等に用意され、レーザ装置2の運転時等にその運転条件に応じた閾値をレーザ制御部70がメモリ等から読み出すようにしてもよい。ここで、戻り光L2のパワーが閾値を越えた場合、レーザ制御部70は、レーザ光L1の出射を停止するようマスターオシレータMOを制御するとともに、レーザ光L1を遮断するよう光アイソレータ40を制御する。この場合、レーザ制御部70は、オペレータに通知する所定の内容を表示するよう表示器60を制御する。
【0039】
なお、レーザ制御部70における上記の制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0040】
2.2 動作
露光装置3から出力されるバースト信号S1と、ターゲットセンサ15から出力されるドロップレット関連信号S15とは、EUV光生成制御部16に入力される。EUV光生成制御部16は、バースト信号S1やドロップレット関連信号S15等に基づいてターゲット供給部12を制御し、ドロップレットDLが出力されるタイミング、ドロップレットDLの出力方向等を調整する。また、EUV光生成制御部16は、バースト信号S1及びドロップレット関連信号S15に基づいて、バースト動作するよう発光トリガ信号S16をレーザ制御部70に出力する。
【0041】
レーザ制御部70は、マスターオシレータMOの制御に先だって第1電源PS1、第2電源PS2、第3電源PS3、第4電源PS4を制御し、パワーアンプでレーザ光L1を増幅可能な状態とする。そしてレーザ制御部70は、EUV光生成制御部16からの発光トリガ信号S16に基づいてマスターオシレータMOを制御し、バースト期間にマスターオシレータMOからレーザ光L1を出射させる。また、レーザ制御部70は、発光トリガ信号S16に基づいて光アイソレータ40を制御し、マスターオシレータMOから光アイソレータ40に進むレーザ光L1をバースト期間に透過させる。
【0042】
光アイソレータ40を透過したレーザ光L1の一部はビームスプリッタBSで反射され、第1パワーアンプPA1、第2パワーアンプPA2、第3パワーアンプPA3、第4パワーアンプPA4で増幅される。第4パワーアンプPA4で増幅されたレーザ光L1は、第4パワーアンプPA4から出射し、第1ミラーM1及び第2ミラーM2で反射され、チャンバ11のウインドウWからチャンバ11内に入射する。チャンバ11内に入射したレーザ光L1は、レーザ集光光学系32でプラズマ生成領域31に集光され、ターゲット供給部12から供給される少なくとも1つのドロップレットDLに照射される。
【0043】
レーザ光L1が照射されたドロップレットDLはプラズマ化し、そのプラズマからEUV光を含む光が放射される。EUV光は、EUV光集光ミラー33の反射面で選択的に反射され、中間集光点で集光し、露光装置3に出力される。なお、1つのドロップレットDLに、複数のパルス状のレーザ光L1が照射されてもよい。
【0044】
ところで、上記のようにドロップレットDLに照射されたレーザ光L1の一部は、例えばドロップレットDLで反射される場合がある。この場合、ドロップレットDLで反射されたレーザ光L1の戻り光L2は、レーザ集光光学系32、第2ミラーM2、第1ミラーM1、第4パワーアンプPA4、第3パワーアンプPA3、第2パワーアンプPA2、第1パワーアンプPA1を経由してビームスプリッタBSに進む。
【0045】
第1パワーアンプPA1を経由してビームスプリッタBSに進む戻り光L2の一部は、ビームスプリッタBSを透過して光センサ51の受光面51Aに至る。光センサ51は、受光面51Aおける戻り光L2のパワーに関連する情報を検出し、その情報をパワー関連信号S51として出力する。このパワー関連信号S51は、レーザ制御部70に入力される。
【0046】
レーザ制御部70は、パワー関連信号S51に基づいて戻り光L2のパワーを認識し、認識した戻り光L2のパワーと、閾値とを比較する。ここで、戻り光L2のパワーが閾値を超えた場合、レーザ制御部70は、マスターオシレータMOを制御してレーザ光L1の出射を停止するとともに、光アイソレータ40を制御してレーザ光L1を遮断する。その後、レーザ制御部70は、表示器60を制御して例えば動作異常が生じた旨を表示画面に表示する。
【0047】
3.比較例の戻り光モジュールの説明
次に、比較例の戻り光モジュールを説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
【0048】
3.1 構成
図2は、比較例の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。図2に示すように、比較例の戻り光モジュール50は、上記のようにビームスプリッタBS及び光センサ51を含む。また、比較例の戻り光モジュール50は、集光レンズ52を更に含む。集光レンズ52は、ビームスプリッタBSと光センサ51との間に配置される。この集光レンズ52の集光位置Pに光センサ51の受光面51Aが配置される。
【0049】
3.2 動作
上記のように、ビームスプリッタBSに進む戻り光L2の一部は、ビームスプリッタBSを透過することでレーザ光L1の光路から分離される。レーザ光L1の光路から分離された戻り光L2は、集光レンズ52で光センサ51の受光面51Aに集光される。光センサ51は、受光面51Aに集光される戻り光L2のパワーに関連する情報を検出する。
【0050】
3.3 課題
集光レンズ52で光センサ51の受光面51Aに集光された戻り光L2の一部は、図2において実線で示すように、受光面51Aで戻り光L3として反射される場合がある。この場合、光センサ51の受光面51Aが集光レンズ52の集光位置Pに配置されているため、受光面51Aで反射される殆どの戻り光L3がレーザ光L1の光路に入り易い。
【0051】
従って、光センサ51の受光面51Aと、レーザ光L1の光路上の光学素子やドロップレットDL等の戻り光L2の発生元となる反射面とが光学的に結合し易くなる。光センサ51の受光面51Aと、戻り光L2の発生元となる反射面とが光学的に結合すると自励発振が生じ、その自励発振により増幅された光のエネルギーが光アイソレータ40やマスターオシレータMOのレーザ耐性を超えてしまうことが懸念される。
【0052】
そこで、以下の実施形態では、自励発振を抑制する戻り光モジュールを含むレーザ装置が例示される。
【0053】
4.実施形態1の戻り光モジュールの説明
4.1 構成
図3は、実施形態1の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。図3に示すように、実施形態1の戻り光モジュール50は、上記のようにビームスプリッタBS及び光センサ51を含む。また、実施形態1の戻り光モジュール50は、集光光学系55を含む。
【0054】
集光光学系55は、ビームスプリッタBSと光センサ51との間に配置される。集光光学系55は、ビームスプリッタBSでレーザ光L1の光路から分離される戻り光L2を集光するよう1又は2以上の光学素子により構成される。実施形態1では、集光光学系55は、1つの集光レンズ55Aを含む。集光レンズ55Aは、図3では平凸レンズとされているが、両凸レンズとされてもよく、メニスカスレンズとされてもよい。また、集光レンズ55Aの表面にはAR(Anti Reflection)コートが施されていてもよい。この集光レンズ55Aの集光位置Pよりも集光レンズ55A側に光センサ51の受光面51Aが配置される。
【0055】
4.2 動作
上記のように、ビームスプリッタBSに進む戻り光L2の一部は、ビームスプリッタBSでレーザ光L1の光路から分離される。レーザ光L1の光路から分離された戻り光L2は、集光レンズ55Aで集光されながら光センサ51の受光面51Aに入射する。光センサ51は、受光面51Aに入射した戻り光L2のパワーに関連する情報を検出する。
【0056】
光センサ51の受光面51Aに入射した戻り光L2の一部は、図3において実線で示すように、受光面51Aで戻り光L3として反射される場合がある。この場合、光センサ51の受光面51Aが集光レンズ55Aの集光位置Pよりも集光レンズ55A側に配置されているため、受光面51Aで反射される戻り光L3は拡散しながら集光レンズ55Aを経由してビームスプリッタBSに進む。
【0057】
4.3 作用・効果
実施形態1の戻り光モジュール50は、光センサ51の受光面51Aを集光レンズ52の集光位置Pよりも集光レンズ55A側に配置することで、受光面51Aで反射される戻り光L3を拡散させる。
【0058】
従って、レーザ光L1の光路に入る戻り光L2のエネルギー密度は、比較例のように光センサ51の受光面51Aが集光レンズ52の集光位置Pに配置される場合に比べて低くなる。このため、光センサ51の受光面51Aと、レーザ光L1の光路上において戻り光L2の発生元となる例えばドロップレットDLとが光学的に結合して自励発振が生じ難くなる。この結果、実施形態1の戻り光モジュール50によれば、自励発振を抑制し得る。
【0059】
4.4 変形例
実施形態1では、光センサ51の受光面51Aが集光レンズ55Aの集光位置Pよりも集光レンズ55A側に配置された。しかし、図4に示すように、光センサ51の受光面51Aは、集光レンズ55Aの集光位置Pよりも集光レンズ55A側とは反対側に配置されていてもよい。要するに、戻り光L2の光路上において光センサ51の受光面51Aが集光光学系55の集光位置Pとは異なる位置に配置されていればよい。
【0060】
なお、光センサ51の受光面51Aが集光光学系55の集光位置Pよりも集光光学系55側に配置された場合、その集光光学系55側とは反対側に配置される場合に比べて、受光面51Aで反射される戻り光L3をより拡散させ易い。従って、レーザ光L1の光路に入る戻り光L3のエネルギー密度をより低くし得る。このため、集光光学系55の集光位置Pよりも集光光学系55側に光センサ51の受光面51Aが配置されることが好ましい。
【0061】
また、集光レンズ55Aが平凸レンズとされる場合、図5に示すように、平凸レンズの凸面に入射する戻り光L2の光軸AX1に対し平凸レンズの平面が傾斜する状態で配置されるようにしてもよい。例えば、光軸AX1と平面との角度θ1が87度以上88度以下の範囲とされる。このように平凸レンズが傾けられた場合、図5において実線で示すように、平凸レンズの凸面から入射した戻り光L2が平凸レンズの平面で内部反射されても、その平面で内部反射された戻り光L4は拡散しながらビームスプリッタBSに進む。従って、レーザ光L1の光路に入る戻り光L4のエネルギー密度を低くし得る。
【0062】
5.実施形態2の戻り光モジュールの説明
5.1 構成
図6は、実施形態2の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。図6に示すように、実施形態2の戻り光モジュール50は、実施形態1と同様に、ビームスプリッタBS、光センサ51及び集光光学系55を含む。
【0063】
光センサ51の受光面51Aは、その受光面51Aに入射する戻り光L2の光軸AX2に対し傾斜する状態で配置される。例えば、光軸AX2と受光面51Aとの角度θ2が85度以上90度未満の範囲とされる。好ましくは、光軸AX2と受光面51Aとの角度θ2が87度以上88度以下とされる。なお、図6では、光センサ51の受光面51Aが集光レンズ55Bの集光位置Pよりも集光レンズ55B側に配置されているが、光軸AX2に対し傾斜する状態で配置されている実施形態2では、当該集光位置Pに配置されていてもよい。
【0064】
集光光学系55は、1つの集光レンズ55Bを含む。集光レンズ55Bは、図6ではメニスカスレンズとされているが、平凸レンズとされてもよく、両凸レンズとされてもよい。集光レンズ55Bの表面にはARコートが施されていてもよい。
【0065】
実施形態2の戻り光モジュール50は、光センサ51及び集光レンズ55Bを覆うカバー56を更に含む。カバー56は、ビームスプリッタBSと集光レンズ55Bとの間における戻り光L2の光路上に開口56Aを有する。この開口56Aを介して、ビームスプリッタBSでレーザ光L1の光路から分離される戻り光L2がカバー56内の集光レンズ55Bに入射する。カバー56の少なくとも内面には、戻り光L2を吸収する吸収部材が配置されてもよい。例えば、カバー56の内壁に対して黒色アルマイト処理等が施されることで、カバー56の内面に吸収部材が配置され得る。
【0066】
5.2 動作
上記のように、ビームスプリッタBSに進む戻り光L2の一部は、ビームスプリッタBSでレーザ光L1の光路から分離される。レーザ光L1の光路から分離された戻り光L2は、集光レンズ55Bで集光されながら光センサ51の受光面51Aに入射する。光センサ51は、受光面51Aに入射した戻り光L2のパワーに関連する情報を検出する。
【0067】
集光レンズ55Bで光センサ51の受光面51Aに入射した戻り光L2の一部は、図6において実線で示すように、受光面51Aで戻り光L3として反射される場合がある。この場合、光センサ51の受光面51Aは、その受光面51Aに入射する戻り光L2の光軸AX2に対し傾斜する状態で配置されているため、その受光面51Aで反射された戻り光L3は光軸AX2から反れて拡散する。光軸AX2から反れて拡散した戻り光L3の大部分はカバー56内に閉じ込められ、カバー56の内面に吸収部材が配置されている場合にはその吸収部材で吸収される。
【0068】
5.3 作用・効果
実施形態2の戻り光モジュール50は、戻り光L2の光軸AX2に対し傾斜する状態で光センサ51の受光面51Aを配置することで、受光面51Aで反射される戻り光L3を光軸AX2から逸らして拡散させる。
【0069】
従って、レーザ光L1の光路に入る戻り光L3のエネルギー密度は低くなる。このため、光センサ51の受光面51Aと、レーザ光L1の光路上において戻り光L2の発生元となる例えばドロップレットDLとが光学的に結合して自励発振が生じ難くなる。この結果、実施形態2の戻り光モジュール50によれば、自励発振を抑制し得る。
【0070】
また、実施形態2の戻り光モジュール50は、ビームスプリッタBSと集光レンズ55Bとの間における戻り光L2の光路上に開口56Aを有するカバー56を配置して、カバー56によって光センサ51及び集光レンズ55Bを覆っている。このため、実施形態2の戻り光モジュール50は、光センサ51の受光面51Aで反射される戻り光L3の大部分から、カバー56の外側に配置される光学素子や光学部品を遮光することができる。従って、実施形態2の戻り光モジュール50は、カバー56の外側に配置される光学素子や光学部品に対する戻り光L3によるダメージを低減させ得る。
【0071】
6.実施形態3の戻り光モジュールの説明
6.1 構成
図7は、実施形態3の戻り光モジュールの構成を示す模式図である。図7に示すように、実施形態3の戻り光モジュール50は、実施形態1と同様に、ビームスプリッタBS、光センサ51及び集光光学系55を含む。
【0072】
集光光学系55は、1つの凹面ミラー55Cを含む。凹面ミラー55Cは、ビームスプリッタBSでレーザ光L1の光路から分離される戻り光L2を反射して集光しながら受光面51Aに導く。この凹面ミラー55Cの集光位置Pよりも集光レンズ55A側に光センサ51の受光面51Aが配置される。
【0073】
6.2 動作
上記のように、ビームスプリッタBSに進む戻り光L2の一部は、ビームスプリッタBSでレーザ光L1の光路から分離される。レーザ光L1の光路から分離された戻り光L2は、凹面ミラー55Cの凹面で反射され集光されながら光センサ51の受光面51Aに入射する。光センサ51は、受光面51Aに入射した戻り光L2のパワーに関連する情報を検出する。
【0074】
光センサ51の受光面51Aに入射した戻り光L2の一部は、図7において実線で示すように、受光面51Aで戻り光L3として反射される場合がある。この場合、受光面51Aで反射された戻り光L3は、凹面ミラー55Cの凹面で反射されることで拡散しながらビームスプリッタBSに進む。
【0075】
6.3 作用・効果
実施形態3の戻り光モジュール50は、集光光学系55を凹面ミラー55Cとすることで、受光面51Aで反射される戻り光L3を凹面ミラー55Cで拡散させる。
【0076】
従って、レーザ光L1の光路に入る戻り光L3のエネルギー密度は低くなる。このため、光センサ51の受光面51Aと、レーザ光L1の光路上において戻り光L2の発生元となる例えばドロップレットDLとが光学的に結合して自励発振が生じ難くなる。この結果、実施形態3の戻り光モジュール50によれば、自励発振を抑制し得る。
【0077】
なお、集光光学系55が集光レンズの場合、その集光レンズに戻り光L2が入射する面及び集光レンズから戻り光L2が出射する面の双方が戻り光L2の反射面となり得る。これに対し、実施形態3では集光光学系55が凹面ミラー55Cとされることで、集光光学系55による戻り光L2の反射面が凹面の1つだけとなる。従って、実施形態3の戻り光モジュール50は、集光光学系55に起因する戻り光L2の反射回数を低減し得る。
【0078】
7.実施形態4の戻り光モジュールの説明
7.1 構成
【0079】
図8は、実施形態4のレーザ装置の一部の構成を示す模式図である。図8に示すように、実施形態4のレーザ装置2は、図1に示した戻り光モジュール50に加えて光センサ80を新たな構成として更に含む。
【0080】
光センサ80は、ビームスプリッタBSを透過するレーザ光L1を監視するように構成される。例えば、光センサ80は、ビームスプリッタ、転写レンズ、ポジションセンサ、集光レンズ及びポインティングセンサにより構成し得る。
【0081】
7.2 動作
光アイソレータ40からビームスプリッタBSで反射されるレーザ光L1は、上記のように第1パワーアンプPA1に進む。また、光アイソレータ40からビームスプリッタBSを透過するレーザ光L1は、光センサ80のビームスプリッタに進む。
【0082】
光センサ80のビームスプリッタで反射されるレーザ光L1は、例えば、転写レンズに入射してポジションセンサの受光面に転写される。ポジションセンサは、受光面に転写されるレーザ光L1のエネルギー分布を画像信号としてレーザ制御部70に出力する。
【0083】
光センサ80のビームスプリッタで透過されるレーザ光L1は、例えば、集光レンズに入射してポインティングセンサの受光面に集光される。ポインティングセンサは、受光面に集光されるレーザ光L1のエネルギー分布を画像信号としてレーザ制御部70に出力する。
【0084】
レーザ制御部70は、ポジションセンサ及びポインティングセンサからの画像信号に基づいて、第1ミラーM1及び第2ミラーM2にそれぞれ接続される図示されないアクチュエータを制御し、ビーム進行方向等を調節する。
【0085】
7.3 作用・効果
実施形態4のレーザ装置2は、ビームスプリッタBSを用いてレーザ光L1の光路から光センサ80で検出するレーザ光L1を分離し、そのビームスプリッタBSを用いてレーザ光L1の光路から光センサ51で検出する戻り光L2を分離する。このため、実施形態4のレーザ装置2は、1枚のビームスプリッタBSを用いて、レーザ光L1を光センサ80で監視するとともに、戻り光L2を光センサ51で監視し得る。従って、実施形態4のレーザ装置2によれば、レーザ光L1の監視用と、戻り光L2の監視用とで別々のビームスプリッタを配置させる場合に比べて、当該ビームスプリッタにおける光量ロスを低減し得る。
【0086】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態や変形例に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0087】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0088】
1・・・極端紫外光生成装置、2・・・レーザ装置、3・・・露光装置、11・・・チャンバ、12・・・ターゲット供給部、14・・・ターゲット回収部、15・・・ターゲットセンサ、16・・・EUV光生成制御部、31・・・プラズマ生成領域、32・・・レーザ集光光学系、33・・・EUV光集光ミラー、40・・・光アイソレータ、50・・・戻り光モジュール、51,80・・・光センサ、55・・・集光光学系、60・・・表示器、70・・・レーザ制御部、BS・・・ビームスプリッタ、PA1・・・第1パワーアンプ、PA2・・・第2パワーアンプ、PA3・・・第3パワーアンプ、PA4・・・第4パワーアンプ、M1・・・第1ミラー、M2・・・第2ミラー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8