特許第6814535号(P6814535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814535
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】レジストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20210107BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20210107BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G03F7/40 501
   H01L21/30 570
   G03F7/20 501
【請求項の数】2
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-209229(P2015-209229)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-91021(P2016-91021A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2018年7月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-222673(P2014-222673)
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】細田 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晶彦
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 吉浩
【審査官】 塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−261676(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/074942(WO,A1)
【文献】 特開昭62−145814(JP,A)
【文献】 特開2012−059956(JP,A)
【文献】 特開2010−113171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00 − 7/40
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久レジストを形成するために用いられるネガ型レジスト組成物を塗布することで基板上にレジスト膜を形成する塗布工程と、
前記レジスト膜の現像処理を行うことでプレパターンを形成する現像工程と、
前記現像工程後の前記プレパターンを加熱する加熱工程と、
前記基板を収容するチャンバ内の酸素濃度を2000ppm以下とした低酸素雰囲気内において加熱後の前記プレパターンに光照射処理を行う光照射工程と、
を備え、
前記光照射工程では、前記チャンバの底部に設けられた加熱機構を用い、前記低酸素雰囲気内で光照射を行う際に前記基板を加熱する
レジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記加熱工程は、前記プレパターンを150℃以下で加熱する
請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターン形成装置およびレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置、有機EL表示装置等の電子機器の製造工程ではフォトリソグラフィー技術が用いられている。フォトリソグラフィー技術ではフォトレジストが使用される。このようなフォトレジストをパターニングしたレジストパターンは、例えば、エッチング時のマスクとして用いられる。
【0003】
従来、このようなマスク用途のレジストパターンに対してUV処理を施すことで耐熱性および耐久性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、ポジ型レジスト組成物からなるレジストパターンにUV処理を行っている。
【0004】
一方、レジストパターンは、パターニング後も剥離させずに絶縁膜又は保護膜等の永久レジストとして使用されることもある。このような永久レジストにおいても高い耐熱性や耐久性が要求されている。一般に、このような永久レジストとして利用されるレジストパターンは、ネガ型レジスト組成物から構成され、高温のPost Bake(例えば、200℃以上)により、当該膜を固めているが、その下層にTFT素子等のデバイスが存在することから、高温のPost Bakeを施すと、当該TFT素子等のデバイスにダメージを与えてしまう。
そこで、上述のUV処理を用いて、耐熱性および耐久性に優れた永久レジストをTFT素子等にダメージを与えることなく形成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−86353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ネガ型レジスト組成物からレジストパターンにUV処理を行うことが開示されている。しかし、一般的にネガ型レジストは耐熱性等に優れるため、耐熱性および耐久性を付与するためにUV処理を行うことを想定していなかった。そのため、永久レジストとして利用されるネガ型レジスト組成物において耐熱性および耐久性を向上させることが可能な新たな技術の提供が望まれている。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、耐熱性および耐久性に優れたネガ型レジストパターンを形成できる、レジストパターン形成装置およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に従えば、ネガ型レジスト組成物を塗布して基板上にレジスト膜を形成する塗布装置と、前記レジスト膜の現像処理を行うことでプレパターンを形成する現像装置と、現像後の前記プレパターンを加熱する加熱装置と、低酸素雰囲気内において加熱後の前記プレパターンに光照射処理を行う光照射装置と、を備えるレジストパターン形成装置が提供される。
【0009】
第1態様に係るレジストパターン形成装置によれば、現像後のプレパターンを加熱することで残存溶剤を除去することができる。よって、プレパターンの残存溶剤が少なくなっているので、光照射処理時に低酸素の状態でラジカル重合が良好に進み、プレパターンの硬化が促進される。したがって、耐熱性および耐久性に優れたネガ型レジストからなるレジストパターンを形成することができる。
【0010】
上記第1態様において、前記加熱装置は、前記プレパターンを150℃以下で加熱する構成としてもよい。
この構成によれば、150℃以下の温度でプレパターンが加熱されるので、該プレパターンに含まれる残存溶剤を良好に除去することができる。よって、プレパターンを良好に硬化させることができる。
【0011】
本発明の第2態様に従えば、ネガ型レジスト組成物を塗布することで基板上にレジスト膜を形成する塗布工程と、前記レジスト膜の現像処理を行うことでプレパターンを形成する現像工程と、前記現像工程後の前記プレパターンを加熱する加熱工程と、低酸素雰囲気内において加熱後の前記プレパターンに光照射処理を行う光照射工程と、を備えるレジストパターン形成方法が提供される。
【0012】
第2態様に係るレジストパターン形成方法によれば、現像後のプレパターンを加熱するため、残存溶剤を除去することができる。よって、プレパターンの残存溶剤が少なくなるので、光照射処理時に低酸素の状態でラジカル重合が良好に進んでプレパターンの硬化が促進される。したがって、耐熱性および耐久性に優れたネガ型レジストからなるレジストパターンを形成することができる。
【0013】
上記第2態様において、前記加熱工程は、前記プレパターンを150℃以下で加熱する構成としてもよい。
この構成によれば、150℃以下の温度でプレパターンを加熱するので、該プレパターンに含まれる残存溶剤を良好に除去できる。よって、プレパターンを良好に硬化させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐熱性および耐久性に優れたネガ型レジストパターンを形成することができる。また、TFT素子等のデバイスにダメージを与えることなく、膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係るパターン形成装置を示す平面図。
図2】第一実施形態に係る光照射を+Z方向から見たときの構成を示す図。
図3】第一実施形態に係る光照射ユニットの動作を示す図。
図4】第一実施形態に係る光照射ユニットの動作を示す図。
図5】第一実施形態に係るパターン形成方法を示す工程図。
図6】第二実施形態に係る光照射ユニットを−Y方向から見たときの構成を示す図。
図7】第二実施形態に係る光照射ユニットの動作を示す図。
図8】第二実施形態に係る光照射ユニットの動作を示す図。
図9】第二実施形態に係る光照射ユニットの動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0017】
(第一実施形態)
図1は本実施形態に係るパターン形成装置SPAを示す平面図である。
パターン形成装置SPAは、例えばX方向に一列に配置されたローダ・アンローダLU、塗布現像処理部CD、インターフェース部IF及び制御部CONTを備えている。パターン形成装置SPAは、塗布現像処理部CDがローダ・アンローダLUとインターフェース部IFによって挟まれて配置された構成になっている。制御部CONTは、パターン形成装置SPAの各部を統括的に処理する。
【0018】
(ローダ・アンローダ)
ローダ・アンローダLUは、複数の基板Gを収容するカセットCの搬入及び搬出を行う部分である。ローダ・アンローダLUは、カセット待機部10及び搬送機構11を有している。
【0019】
カセット待機部10は、例えばパターン形成装置SPAの−X側の端部に配置されており、複数のカセットCを収容する。カセット待機部10に収容されたカセットCは、例えばY方向に配列されるようになっている。カセット待機部10は、−X側に不図示の開口部が形成されており、当該開口部を介してパターン形成装置SPAの外部との間でカセットCの受け渡しが行われるようになっている。
【0020】
搬送機構11は、カセット待機部10の+X側に配置されており、カセットCと塗布現像処理部CDとの間で基板Gの搬送を行う。搬送機構11は、例えばY方向に沿って2つ配置されており、当該2つの搬送機構11は例えば同一の構成となっている。−Y側に配置される搬送機構11aは、ローダ・アンローダLUから塗布現像処理部CDへ基板Gを搬送する。+Y側に配置される搬送機構11bは、塗布現像処理部CDからローダ・アンローダLUへ基板Gを搬送する。
【0021】
搬送機構11は搬送アーム12(12a、12b)を有している。搬送アーム12は、ガラス基板を保持する保持部を有し、例えば一方向に伸縮可能に設けられている。搬送アーム12は、θZ方向に回転可能に形成されている。搬送アーム12は、例えばθZ方向に回転することで、カセット待機部10と塗布現像処理部CDとのそれぞれの方向に向かせることが可能になっている。搬送アーム12は、搬送アーム12を伸縮させることで、カセット待機部10及び塗布現像処理部CDのそれぞれにアクセス可能になっている。
【0022】
(塗布現像処理部)
塗布現像処理部CDは、基板Gにレジスト塗布及び現像を含む一連の処理を施す部分である。塗布現像処理部CDは、スクラバユニットSR、脱水ベークユニットDH、塗布ユニットCT、プリベークユニットPR、インターフェース部IF、現像ユニットDV、光照射ユニットUV及びポストベークユニットPBを有している。
【0023】
塗布現像処理部CDは、Y方向に分割された構成になっており、−Y側の部分では、ローダ・アンローダLUからの基板Gがインターフェース部IFへ向けて+X方向に搬送されるようになっている。+Y側の部分では、インターフェース部IFからの基板Gがローダ・アンローダLUへ向けて−X方向に搬送されるようになっている。
【0024】
スクラバユニットSRは、ローダ・アンローダLUの下流に接続されており、基板Gの洗浄を行うユニットである。スクラバユニットSRは、ドライ洗浄装置41、ウェット洗浄装置42及びエアナイフ装置43を有している。ドライ洗浄装置41の−X側及びエアナイフ装置43の+X側には、それぞれコンベア機構CV1、CV2が設けられている。コンベア機構CV1、CV2には、基板Gを搬送する不図示のベルト機構が設けられている。
【0025】
ドライ洗浄装置41は、例えば基板Gにエキシマレーザーなどの紫外線を照射することにより、基板G上の有機物を除去する。ウェット洗浄装置42は、例えば不図示のスクラビングブラシを有している。ウェット洗浄装置42は、洗浄液及び当該スクラビングブラシを用いて基板Gを洗浄する。エアナイフ装置43は、例えば不図示のエアナイフ噴射機構を有している。エアナイフ装置43は、エアナイフ噴射機構を用いて基板G上にエアナイフを形成し、基板G上の不純物を除去する。
【0026】
脱水ベークユニットDHは、スクラバユニットSRの下流に接続されており、基板G上を脱水するユニットである。脱水ベークユニットDHは、加熱装置44、HMDS装置46及び冷却装置45を有している。加熱装置44及びHMDS装置46は、Z方向に重ねられた状態で配置されている。Z方向視で加熱装置44及びHMDS装置46に重なる位置にコンベア機構CV3が設けられており、Z方向視で冷却装置45に重なる位置にコンベア機構CV4が設けられている。加熱装置44及びHMDS装置46と、冷却装置45との間には、基板Gを搬送する搬送機構TR1が設けられている。搬送機構TR1については、例えばローダ・アンローダLUに設けられた搬送機構11と同一の構成とすることができる。
【0027】
加熱装置44は、例えば基板Gを収容可能なチャンバ内にヒータを有する構成になっている。加熱装置44は、Z方向に例えば複数段配置されている。加熱装置44は、基板Gを所定の温度で加熱する。HMDS装置46は、HMDSガスを基板Gに作用させて疎水化処理を施し、塗布ユニットCTにおいて基板Gに塗布するレジスト膜と基板Gとの密着性を向上させる装置である。冷却装置45は、例えば基板Gを収容可能なチャンバ内に温調機構を有し、基板Gを所定の温度に冷却する。
【0028】
塗布ユニット(塗布装置)CTは、脱水ベークユニットDHの下流に接続されており、基板G上の所定の領域にレジスト膜を形成する。塗布ユニットCTは、塗布装置47、減圧乾燥装置48、周縁部除去装置49を有している。塗布装置47は、基板G上にレジスト膜を塗布する装置である。塗布装置47としては、例えば回転式塗布装置、ノンスピン式塗布装置、スリットノズル塗布装置などが用いられる。これら各種の塗布装置を交換可能な構成であっても構わない。減圧乾燥装置48は、レジスト膜を塗布した後の基板Gの表面を乾燥させる。周縁部除去装置49は、基板Gの周縁部に塗布されたレジスト膜を除去し、レジスト膜の形状を整える装置である。
【0029】
プリベークユニットPRは、塗布ユニットCTの下流に接続されており、基板Gにプリベーク処理を行うユニットである。プリベークユニットPRは、加熱装置50及び冷却装置51を有している。加熱装置50に重なる位置にコンベア機構CV5が設けられている。冷却装置51に重なる位置にコンベア機構CV6が設けられている。加熱装置50と冷却装置51とは、搬送機構TR2を挟むようにY方向に沿って配置されている。
【0030】
インターフェース部IFは、露光装置EXに接続される部分である。インターフェース部IFは、バッファ装置52、搬送機構TR3、コンベア機構CV7、CV8及び周辺露光装置EEを有している。バッファ装置52は、プリベークユニットPRの搬送機構TR2の+X側に配置されている。バッファ装置52の+X側には、搬送機構TR3が設けられている。
【0031】
バッファ装置52は、基板Gを一時的に待機させておく装置である。バッファ装置52には、基板Gを収容する不図示のチャンバや、当該チャンバ内の温度を調整する温調装置、チャンバ内に収容された基板GのθZ方向の位置を調整する回転制御装置などが設けられている。バッファ装置52のチャンバ内では、基板Gの温度を所定の温度に保持できるようになっている。コンベア機構CV7、CV8は、プリベークユニットPRの冷却装置51をX方向に挟むように配置されている。
【0032】
現像ユニット(現像装置)DVは、プリベークユニットPRの冷却装置51の−X側に接続されており、露光後の基板Gの現像処理を行う。現像後の基板Gには、所定の形状にパターニングされたレジスト膜(プレパターン)が形成される。
【0033】
現像ユニットDVは、現像装置55、リンス装置56及びエアナイフ装置57を有している。現像装置55は、基板Gに現像液を供給して現像処理を行う。リンス装置56は、現像後の基板Gにリンス液を供給し、基板Gを洗浄する。エアナイフ装置57は、基板G上にエアナイフを形成し、基板G上のプレパターンを乾燥させる。現像装置55の+X側にはコンベア機構CV9が設けられており、エアナイフ装置57の−X側には搬送機構TR4が設けられている。搬送機構TR4は、エアナイフ装置57からの基板GをポストベークユニットPBへと搬送する。搬送機構TR4は、基板Gを保持しつつZ方向に昇降可能なロボットアームを有している。
【0034】
ポストベークユニットPBは、現像ユニットDVの下流側に接続されており、現像処理後の基板Gをベークする。ポストベークユニットPBは、加熱装置59及び冷却装置60を有している。加熱装置59と冷却装置60との間には搬送機構TR5が設けられている。搬送機構TR5は、加熱装置59から冷却装置60へ基板Gを搬送する。加熱装置59は、現像後の基板Gにポストベークを行う。冷却装置60は、ポストベーク後の基板Gを冷却する。
【0035】
光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBの+Z側に配置されており、搬送機構TR6の+Y側に接続されている。光照射ユニットUVは、ベーク後の基板Gに例えば所定の波長の光を照射することでプレパターンの硬度を向上させる。
【0036】
搬送機構TR6は、冷却装置60からの基板Gを光照射ユニットUVに搬送し、光照射ユニットUVからの基板Gを搬送アーム12へと受け渡す。搬送機構TR6は、基板Gを保持しつつZ方向に昇降可能なロボットアームを有している。
なお、ポストベーク後の基板Gを冷却することが不要な場合、搬送機構TR6は冷却装置60を介さずに光照射ユニットUVに基板Gを直接搬送してもよい。
【0037】
(光照射ユニット)
図2は、光照射ユニットUVを−Z方向に向かって見たときの構成を示す図である。図3(a)及び図3(b)は、光照射ユニットUVを+Y方向に向かって見たときの構成を示す図である。図4(a)、(b)は光照射ユニットUVを+X方向に向かって見たときの構成を示す図である。なお、図2図4においては、図を判別しやすくするため、それぞれ一部の構成を省略して示している。
【0038】
図2、3に示すように、光照射ユニットUVは、予備装置80及び光照射装置81を有している。
予備装置80は、チャンバ82、減圧機構83及び昇降機構84を有している。予備装置80は、例えば光照射装置81に搬送する基板Gを一時的に収容する予備室として設けられている。勿論、他の用途であっても構わない。予備装置80は、例えば+Y側に基板搬出入口80aを有している。予備装置80では、減圧機構83によってチャンバ82内を減圧させた状態で基板G収容することができるようになっている。減圧機構83としては、例えばポンプ機構などが用いられる。



【0039】
昇降機構84は、Z方向に移動可能に設けられている。昇降機構84の+Z側には、例えば複数の支持ピン84aが設けられている。複数の支持ピン84aの+Z側の端部は、例えばXY平面に平行な同一面内に設けられている。このため、複数の支持ピン84aによって基板GがXY平面に平行に支持されるようになっている。昇降機構84は、チャンバ82内に収容される基板Gを支持しつつ、当該基板Gをチャンバ82内のZ方向に搬送するようになっている。
【0040】
光照射装置81は、予備装置80に接続され、基板Gに対して光照射を行う装置である。光照射装置81は、チャンバ85、光照射部86、ステージ87、受け渡し機構88、搬送機構(基板搬送部)89、加熱機構90及びガス供給部91を有している。光照射装置81は、例えば+X側に基板搬出入口81aを有している。
【0041】
当該基板搬出入口81aは、予備装置80の−X側に接続されていて、予備装置80に対して基板Gの搬入及び搬出を行う。また、チャンバ82の+X側の面には、現像ユニットDVに接続するための接続部80bが設けられている。接続部80bは、チャンバ82を現像ユニットDV側に物理的に接続すると共に、チャンバ82の電気的な配線等を接続させることで、チャンバ82と現像ユニットDVとを電気的にも接続している。
【0042】
チャンバ85は、光照射処理が行われる基板Gを収容する。チャンバ85は、平面視で矩形に形成されており、例えば一方向が長手となるように形成されている。チャンバ85の天井部85aには、光照射用の開口部85bが設けられている。開口部85bは、平面視ではチャンバ85のうち光照射部86に対応する位置に設けられている。また、チャンバ85の天井部85aには、蓋部85cが設けられている。蓋部85cは、複数箇所、例えば平面視でチャンバ85の長手方向に沿って3箇所に設けられている。蓋部85cは、チャンバ85の天井部85aのうち開口部85bから外れた位置に設けられている。
【0043】
チャンバ85内には、開口部85bを挟む位置に遮光部材85dが設けられている。遮光部材85dは、例えばチャンバ85の天井部85aに取り付けられ、光照射部86からの光を遮光する板状部材である。遮光部材85dは、例えばチャンバ85内を区切る位置に形成されている。以下、チャンバ85内のうち遮光部材85dによって区切られた部分を、それぞれ第1基板搬送部85F、処理部85P及び第2基板搬送部85Sと表記する。第1基板搬送部85Fは、チャンバ85内のうち予備装置80側の部分である。処理部85Pは、開口部85bが形成された部分である。第2基板搬送部85Sは、予備装置80から最も遠い部分である。
【0044】
処理部85Pに照射された光は、遮光部材85dによって遮光される。したがって、光照射部86からの光は、第1基板搬送部85F及び第2基板搬送部85Sに照射されること無く、処理部85Pのみに照射されることになる。
【0045】
光照射部86は、チャンバ85の開口部85bに取り付けられている。光照射部86は、紫外線(例えばi線など)及び可視光線の両方を含む光(光学フィルタ等によって波長300nm未満、好ましくはさらに波長450nm超をカットした光)を照射する照射ランプを含む。照射ランプは、例えば、メタルハライドランプから構成される。
【0046】
ここで、本実施形態において、「紫外線」とは、波長範囲の下限が1nm程度、上限が可視光線の短波長端の光を意味し、「可視光線」とは、波長範囲の下限が360〜400nm程度、上限が760〜830nm程度の光を意味する。
【0047】
光照射部86が照射する光(照射光)の波長は、300nm以上であり、好ましくは300〜450nmである。照射光の波長を300nm以上とすることにより、プレパターンの表層側だけでなく内部まで、パターン全体が硬化しやすくなる。一方、好ましい上限値以下とすれば、輻射熱の発生が抑えられ、硬化時の過度な温度上昇を抑制することができる。
【0048】
ステージ87は、チャンバ85内に収容され、チャンバ85の長手方向に沿って形成された板状部材である。ステージ87は、第1基板搬送部85F、処理部85P及び第2基板搬送部85Sに亘って配置されている。ステージ87は、第1開口部87a、第2開口部87bを有している。第1開口部87aは、第1基板搬送部85Fに配置される部分に形成されている。第2開口部87bは、ステージ87のほぼ全面に亘って形成されている。第2開口部87bは、例えば不図示のエア供給機構及び吸引機構に接続されている。このため、第2開口部87bからはエアが噴出されるようになっており、当該エアによってステージ87上の全面にエアの層が形成されるようになっている。
【0049】
受け渡し機構88は、基板保持部材88a、伝達部材88b、駆動機構88c及び昇降機構88dを有している。受け渡し機構88は、予備装置80と光照射装置81との両方の装置間を移動可能に設けられている。
【0050】
基板保持部材88aは、櫛状部100及び移動部101を有している。櫛状部100は、例えばY方向において櫛部分が対向するように設けられている。櫛状部100には基板Gが保持されるようになっている。櫛状部100の根元部分は移動部101に接続されている。移動部101は、チャンバ85の+Y側及び−Y側の壁部を貫通するように設けられている。移動部101は、チャンバ85の+Y側及び−Y側に固定機構102を有している。移動部101は、固定機構102を介して上記伝達部材88bに固定されている。
【0051】
伝達部材88bとしては、例えばワイヤーなどの線状部材が用いられている。伝達部材88bは、少なくともチャンバ85の+Y側及び−Y側の側部に接するように環状に形成されている。伝達部材88bは、当該チャンバ85の+Y側及び−Y側においてはX方向に沿って設けられている。
【0052】
図2及び図4(b)に示したように、伝達部材88bは、チャンバ85の−X側の角部においてそれぞれプーリ部88f、88gによってY方向に引き回されている。図4(b)に示すように、チャンバ85の−X側端面にはプーリ部88hが複数設けられている。伝達部材88bは、チャンバ85の−X側端面において当該プーリ部88hを介して駆動機構88cに接続されている。また、伝達部材88bの+X側においては、図2及び図3(b)に示すように、チャンバ85の+X側の角部に設けられるプーリ部88i、88jに掛けられている。
【0053】
駆動機構88cは、チャンバ85の外部であって当該チャンバ85の−Z側に設けられている。駆動機構88cは、不図示のモータを有しており、当該モータを回転させることによって伝達部材88bを駆動させる構成になっている。図3に示した昇降機構88dは、第1基板搬送部85Fの−Z側に設けられており、不図示のアクチュエータによってZ方向に移動可能に設けられている。昇降機構88dは、複数の支持ピン88eを有している。支持ピン88eは、ステージ87に設けられた第1開口部87aにZ方向視で重なる位置に配置されている。昇降機構88dがZ方向に移動することにより、支持ピン88eが第1開口部87aに対してステージ87上に出没するようになっている。
【0054】
受け渡し機構88は、チャンバ85の外部に設けられる駆動機構88cによって伝達部材88bを駆動させることで、当該伝達部材88bを介して基板保持部材88aをX方向に移動するようになっている。このように、チャンバ85の外部に設けられる駆動機構88cの駆動により、チャンバ85の内部の基板保持部材88aを移動させることができるようになっている。また、受け渡し機構88では、昇降機構88dをZ方向に移動させることにより、櫛状部100に保持された基板Gを受け取ることができるようになっている。
【0055】
搬送機構89は、基板保持部材89a、伝達部材89b及び駆動機構89cを有している。例えば図4(a)などに示すように、搬送機構89は、受け渡し機構88の−Z側に設けられている。
基板保持部材89aは、Z方向視L字型に形成されており、基板Gの角部に対応する位置に1つずつ、計4つ配置されている。基板保持部材89aは、基板Gの角部を保持可能になっている。より具体的には、基板保持部材89aは、基板Gの角部のうちX側及びY側の面(側面)と−Z側の面(底面)とを保持するようになっている。4つの基板保持部材89aは、支持用ワイヤー105に固定されている。支持用ワイヤー105は、X方向に沿って設けられているワイヤーが2本、Y方向に沿って設けられているワイヤーが4本の、計6本のワイヤーによって構成されている。支持用ワイヤー105は、全て張力が加えられた状態になっている。
【0056】
X方向に沿って設けられている2本のワイヤー105Xは、4つの基板保持部材89aのうちX方向に沿って配置される基板保持部材89a同士を接続する。Y方向に沿って設けられている4本のワイヤー105Yは、チャンバ85をY方向に貫通して設けられている。4本のワイヤー105Yのうち最も+X側のワイヤー105Yは、支持部材106を介して+X側の2つの基板保持部材89aに接続されている。最も−X側のワイヤー105Yは、支持部材107を介して−X側の2つの基板保持部材89aに接続されている。
【0057】
チャンバ85の+Y側には伝達部材89bに固定される2つの固定機構108が設けられている。ワイヤー105Yの+Y側端部は当該2つの固定機構108にそれぞれ接続されている。チャンバ85の−Y側には伝達部材89bに固定される2つの固定機構109が設けられており、ワイヤー105Yの−Y側端部は当該固定機構109にそれぞれ接続されている。
【0058】
伝達部材89bとしては、例えばワイヤーなどの線状部材が用いられている。伝達部材89bは、例えば2本設けられている。上記の2つの固定機構108及び固定機構109は、各伝達部材89bに1つずつ固定されている。したがって、2つの伝達部材89bのうち1本が−X側の2つの基板保持部材89aに接続されており、伝達部材89bのもう1本が+X側の2つの基板保持部材89aに接続されている。
【0059】
各伝達部材89bは、例えばチャンバ85の側部においてはX方向に沿って設けられている。また、各伝達部材89bは、少なくともチャンバ85の+Y側及び−Y側の側部に接するように環状に形成されている。各伝達部材89bは、当該チャンバ85の+Y側及び−Y側においてはX方向に沿って設けられている。
【0060】
図2及び図4(b)に示すように、各伝達部材89bは、チャンバ85の−X側の角部においてそれぞれプーリ部89f、89gによってY方向に引き回されている。図4(b)に示すように、チャンバ85の−X側端面にはプーリ部89hが複数設けられている。各伝達部材89bは、チャンバ85の−X側端面において当該プーリ部89hを介して駆動機構89cに接続されている。プーリ部89f、89g及び89hにより、2本の伝達部材89bが絡まないように独立して移動可能になっている。
【0061】
なお、プーリ部88f、89f、88g、89g、88h、89hの配置は、上記伝達部材88b及び2本の伝達部材89bがそれぞれ絡まないように独立して移動できる形態であれば、本実施形態で示した配置に限られることは無く、他の配置であっても勿論構わない。
【0062】
伝達部材89bとしては、例えば伝達部材88bと同様、例えばワイヤーなどの線状部材が用いられている。図3(b)に示すように、搬送機構89に設けられる伝達部材89bは、受け渡し機構88に設けられる伝達部材88bに対して−Z側に配置されている。
【0063】
また、図2等に示すように、伝達部材88bと伝達部材89bのうち、例えばチャンバ85に沿って設けられるそれぞれの部分は、Z方向視で重なるように配置されている。したがって、伝達部材88bと同様、伝達部材89bは、例えばチャンバ85の側部においてはX方向に沿って設けられている。
【0064】
図2及び図4(b)に示すように、各伝達部材89bは、チャンバ85の−X側の角部においてそれぞれプーリ部89f、89gによってY方向に引き回されている。図4(b)に示すように、チャンバ85の−X側端面にはプーリ部89hが複数設けられている。
【0065】
各伝達部材89bは、チャンバ85の−X側端面において当該プーリ部89hを介して駆動機構89cに接続されている。また、各伝達部材89bの+X側においては、図2及び図3(b)に示すように、チャンバ85の+X側の角部に設けられるプーリ部89i、89jに掛けられている。
【0066】
駆動機構89cは、チャンバ85の外部であって当該チャンバ85の−Z側に設けられている。駆動機構89cは、不図示のモータを有しており、当該モータを回転させることによって各伝達部材89bを駆動させる構成になっている。駆動機構89cは、2つの伝達部材89bについて、それぞれ1つずつ設けられている。駆動機構89cを例えば同期制御することにより、4つの基板保持部材89aを等しい速度で移動させることができるようになっている。
【0067】
搬送機構89は、駆動機構89cによって伝達部材89bを駆動させることで、当該伝達部材89bを介して基板保持部材89aをX方向に移動するようになっている。このように、チャンバ85の外部に設けられる駆動機構89cの駆動により、チャンバ85の内部の基板保持部材89aを移動させることができるようになっている。
【0068】
加熱機構90は、例えばチャンバ85の処理部85Pの底部に設けられている。加熱機構90は、内部に例えば電熱線などの加熱部や、当該加熱部の加熱温度を調整する温度制御部などを有している。
【0069】
ガス供給部91は、チャンバ85内に不活性ガス(気体)を供給するためのものである。上記不活性ガスとしては例えば、窒素ガスを用いるのが好ましく、ガス供給部91は窒素ガスをチャンバ85内に供給することで低酸素状態(脱酸素及び脱水分状態)に保持している。具体的にガス供給部91は、チャンバ85内の酸素濃度が例えば900ppm以下となるように窒素ガスを供給する。
【0070】
(パターン形成方法)
以上のように構成されたパターン形成装置SPAによるパターン形成方法を説明する。
図5(a)は比較として従来のパターン形成方法を示した工程図であり、図5(b)は本実施形態に係るパターン形成方法を示した工程図である。
【0071】
図5(a)に示すように、従来のパターン形成方法は、塗布工程S1と、プリベーク工程S2と、露光工程S3と、現像工程S4と、ポストベーク工程S5とを順に行っていた。
【0072】
これに対し、本実施形態のパターン形成方法は、図5(b)に示すように、塗布工程S1と、プリベーク工程S2と、露光工程S3と、現像工程S4と、ポストベーク工程SS1と、低酸素雰囲気下で加熱した状態で光照射を行う低酸素雰囲気光照射工程SS2とを順に行っている。
すなわち、本実施形態のパターン形成方法では、従来のパターン形成方法に比べ、低温でポストベーク処理を行い、その後、加熱した状態で光照射を行うことでプレパターンを硬化させる点が大きく異なっている。
【0073】
以下、本実施形態のパターン形成方法の各工程について説明する。
まず、基板Gが収容されたカセットCをローダ・アンローダLUのカセット待機部10にロードする。カセットC内の基板Gは、搬送機構11を介してスクラバユニットSRへ搬送される。
【0074】
スクラバユニットSRに搬送された基板Gは、コンベア機構CV1を介してドライ洗浄装置41へ搬送される。この基板Gは、ドライ洗浄装置41、ウェット洗浄装置42及びエアナイフ装置43と順に処理される。エアナイフ装置43から搬出された基板Gは、コンベア機構CV2を介して脱水ベークユニットDHへと搬送される。
【0075】
脱水ベークユニットDHでは、まず加熱装置44によって基板Gの加熱処理が行われる。加熱後の基板Gは、例えばZ方向に搬送され、HMDS装置46においてHMDSガスによる処理が行われる。HMDS処理後の基板Gは、搬送機構TR1によって冷却装置45に搬送され、冷却処理が行われる。冷却処理後の基板Gは、コンベア機構CV4によって塗布ユニットCTに搬送される。
【0076】
(塗布工程S1)
その後、塗布ユニットCTにおいてレジスト組成物を塗布して基板G上にレジスト膜を形成する塗布工程が行われる。
【0077】
本実施形態では、露光及び現像により、未露光部が溶解除去されてプレパターンを形成するネガ型レジスト組成物を基板G上に塗布している。このようなレジスト組成物としては、例えば、以下に例示するレジスト組成物(r1)、(r2)が挙げられる。
【0078】
<レジスト組成物(r1)>
レジスト組成物(r1)は、アルカリ可溶性樹脂と、酸発生剤と、を含有する化学増幅型ネガ型レジスト組成物である。
レジスト組成物(r1)において、アルカリ可溶性樹脂は、一般にネガ型の化学増幅型レジスト組成物のベース樹脂として用いられている樹脂を、露光に使用する光源に応じて、従来公知のものの中から任意に選択して使用することが可能である。例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂などをそれぞれ単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、例えばレジスト組成物(r1)がアルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と後述の可塑剤とを含有する場合、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と可塑剤との固形分総量100質量部に対して30〜99質量部が好ましく、より好ましくは65〜95質量部の範囲である。
【0079】
レジスト組成物(r1)において、酸発生剤としては、光の照射により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されず、従来公知のものの中から任意に選択して使用することが可能である。
酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
レジスト組成物(r1)中、上記酸発生剤の含有量は、レジスト組成物(r1)の固形分総量100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部の範囲である。
【0080】
レジスト組成物(r1)においては、アルカリ可溶性樹脂、及び酸発生剤以外の成分を、必要に応じて用いることができる。例えば、アルカリ可溶性樹脂、及び酸発生剤に加えて、可塑剤を配合してもよい。可塑剤を配合することにより、クラックの発生を抑制できる。可塑剤としては、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂などが挙げられる。
【0081】
また、レジスト組成物(r1)には、アルカリ可溶性樹脂及び酸発生剤に加えて、又は、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と可塑剤とに加えて、架橋剤を配合してもよい。
かかる架橋剤としては、アミノ化合物、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、特にアルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。
【0082】
レジスト組成物(r1)には、上記各成分に加えて、塩基解離性基(好ましくは、フッ素原子を含む塩基解離性基)を含む構成単位を有する含フッ素高分子化合物を必要に応じて配合してもよい。
「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離し得る有機基である。すなわち、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(たとえば、23℃において、2.38質量%のTMAH水溶液)の作用により解離する。
塩基解離性基がアルカリ現像液の作用により解離すると、親水性基が現れるため、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。つまり、含フッ素高分子化合物は、疎水性の高い「フッ素原子を有する高分子化合物」であるが、同時に、「塩基解離性基」をも有しているため、アルカリ現像液の作用により、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。したがって、該ネガ型レジスト組成物を用いることにより、浸漬露光時には疎水性であって、現像時にはアルカリ現像液に良好に溶解するレジスト膜を形成することができる。
【0083】
レジスト組成物(r1)には、上記各成分に加えて、必要に応じてトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミン等の第二級又は第三級アミン等のクエンチャー;界面活性剤、接着助剤として官能性シランカップリング剤、充填材、着色剤、粘度調整剤、消泡剤などを添加することもできる。
レジスト組成物(r1)は、アルカリ可溶性樹脂と、酸発生剤と、必要に応じてこれら以外の成分と、を有機溶剤に溶解することにより調製できる。
【0084】
<レジスト組成物(r2)>
レジスト組成物(r2)は、アルカリ可溶性樹脂と、カチオン重合開始剤と、増感剤と、を含有するネガ型レジスト組成物である。
レジスト組成物(r2)において、アルカリ可溶性樹脂としては、多官能エポキシ樹脂が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、厚膜のレジストパターンを形成するのに充分なエポキシ基を1分子中に有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、多官能フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、多官能オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能トリフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、該アルカリ可溶性樹脂として、光硬化性を有するアルカリ可溶性基材も用いることができる。
【0085】
レジスト組成物(r2)において、カチオン重合開始剤は、紫外線、遠紫外線、KrF、ArF等のエキシマレーザー、X線、又は電子線等の照射を受けてカチオン部を生じるものであり、そのカチオン部が重合開始剤となり得る化合物である。このカチオン重合開始剤としては、従来公知のものの中から任意に選択して使用することが可能である。
カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
レジスト組成物(r2)中、上記カチオン重合開始剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。カチオン重合開始剤の含有量を0.5質量部以上とすることで、充分な光感度を得ることができる。一方、20質量部以下とすることで、レジスト膜の特性が向上する。
【0086】
レジスト組成物(r2)において、増感剤は、上記の多官能エポキシ樹脂と架橋形成可能な、ナフタレン誘導体又はアントラセン若しくはその誘導体からなるものが好ましい。このような増感剤の増感機能により、レジスト組成物をさらに高感度化することができる。その中でも特に、水酸基を2つ有するジヒドロキシナフタレン、又はアントラセンからなる増感剤を含有することが好ましい。これらの増感剤は、複数の芳香環を有することから、レジストパターンを高硬度化することができる。
増感剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
レジスト組成物(r2)中、増感剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部である。
【0087】
レジスト組成物(r2)においては、アルカリ可溶性樹脂、カチオン重合開始剤及び増感剤以外の成分を、必要に応じて用いることができる。
例えば、レジストパターンの硬化性をより高める点から、オキセタン誘導体を用いることが好ましい。
また、上述したカチオン重合開始剤以外の、感光性樹脂組成物用の光重合開始剤も用いることができる。加えて、露光時の硬化不良が生じ難く、充分な耐熱性を得やすいことから、光重合性化合物を配合してもよい。
さらに、レジスト組成物(r2)には、所望により、混和性のある添加剤、例えば、レジストパターンの性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、カップリング剤、レベリング剤等の従来公知のものを適宜配合することができる。
レジスト組成物(r2)は、アルカリ可溶性樹脂と、カチオン重合開始剤と、増感剤と、必要に応じてこれら以外の成分と、を有機溶剤に溶解することにより調製できる。
【0088】
(プリベーク工程S2)
塗布処理後の基板GはプリベークユニットPRに搬送され、加熱装置50においてプリベーク処理が行われ、冷却装置51において冷却処理が行われる。プリベークユニットPRでの処理を完了させた基板Gは、搬送機構TR2によってインターフェース部IFに搬送される。
【0089】
(露光工程S3)
インターフェース部IFでは、例えばバッファ装置52において温度調整が行われた後、周辺露光装置EEにおいて周辺露光が行われる。周辺露光の後、基板Gは、搬送機構TR3によって露光装置EXに搬送され、露光処理が行われる。露光処理後の基板Gは、加熱処理及び冷却処理が行われた後、現像ユニットDVに搬送される。
【0090】
(現像工程S4)
露光処理後の基板Gは、加熱処理及び冷却処理が行われた後、現像ユニットDVに搬送される。現像ユニットDVにおいて、基板Gには現像処理、リンス処理及び乾燥処理が順に行われ、基板G上に所定形状のプレパターンが形成される。
【0091】
(ポストベーク工程SS1)
乾燥処理の後、搬送機構TR4によって基板GはポストベークユニットPBへと搬送され、現像後のプレパターンを加熱する。ポストベークユニットPBでは、まず加熱装置59により従来のパターン形成方法のポストベーク処理の処理温度(高温、例えば130℃以上)に比べて比較的低温で基板G(プレパターン)を加熱する。加熱装置59によるプレパターンの加熱温度は、低温、例えば130℃未満に設定される。本実施形態において、加熱装置59はプレパターンの加熱温度を、例えば120℃に設定している。
【0092】
ここで、加熱装置59により基板Gを加熱する際の温度条件は、プレパターンに加えられる全熱量が考慮され、基板Gが配置されるホットプレート等の加熱手段の設定温度を示すのではなく、ホットプレート等や光照射の輻射により加熱されるプレパターン自体の温度を意味する。なお、プレパターン自体の温度は、例えば熱電対を用いることにより測定できる。
【0093】
ところで、プレパターンは、後述の光照射処理による光重合反応が生じたことで硬化される。このような光重合反応は、プレパターン中の残存溶剤が多いと反応が進みにくくなるため、プレパターンを良好に硬化させることが難しい。
【0094】
このような問題に対し、本実施形態では、光照射処理に先立ち、ポストベークユニットPBの加熱装置59によりプレパターンを加熱することで該プレパターンに含まれている残存溶剤(有機溶剤)を蒸発して除去している。これにより、光照射処理時に良好に光重合反応を進行させるようにしている。
【0095】
(低酸素雰囲気光照射工程SS2)
ポストベーク後の基板Gは冷却装置60にて冷却され、搬送機構TR6により光照射ユニットUVに搬送される。光照射ユニットUVでは、基板Gはまず予備装置80のチャンバ82内に搬送される。基板搬出入口80aを介してチャンバ82内に基板Gが搬送された後、基板搬出入口80aを閉塞してチャンバ82を短時間で低酸素雰囲気にするために密閉し減圧機構83を作動させて減圧処理を行う。減圧処理の後、昇降機構84を+Z側に移動させ、支持ピン84aによって基板Gを持ち上げた状態にする。このとき、受け渡し機構88の基板保持部材88aの高さよりも高い位置(+Z側の位置)まで基板Gを持ち上げる。
【0096】
基板Gを持ち上げた後、基板保持部材88aの櫛状部100をチャンバ82内に挿入させ、櫛状部100を基板Gの−Z側に配置させる。櫛状部100が配置された後、昇降機構84を−Z側に移動させ、持ち上げた基板Gを−Z側に移動させる。基板Gの−Z側には櫛状部100が配置されているため、支持ピン84aから櫛状部100へと基板Gが渡される。
【0097】
基板Gを受け取った後、駆動機構88cの駆動により伝達部材88bを介して基板保持部材88aを−X側に移動させ、基板Gをチャンバ85内に搬入する。基板Gの搬入後、チャンバ85内を密閉し、ガス供給部91を作動させてチャンバ85内を低酸素雰囲気とする。また、チャンバ85内を低酸素雰囲気にしつつ駆動機構88cを更に駆動させ、第1基板搬送部85Fの第1開口部87aにZ方向視で重なるように基板Gを配置する。
【0098】
基板Gの配置後、昇降機構88dを+Z側に移動させ、支持ピン88eを第1開口部87aから突出させる。支持ピン88eの+Z側には基板Gが配置されているため、基板保持部材88aから支持ピン88eへ基板Gが渡されることになる。基板Gが渡された後、駆動機構89cを駆動させ、基板Gの−Z側に基板保持部材89aを移動させる。このとき、4つの基板保持部材89aが基板Gの4つの角部にそれぞれZ方向視で重なるように駆動機構89cを駆動させる。
【0099】
基板保持部材89aを配置させた後、昇降機構88dを−Z側に移動させ、基板Gを−Z側に移動させる。基板Gの−Z側には基板保持部材89aが配置されているため、支持ピン88eから基板保持部材89aへと基板Gが渡される。この基板Gが渡される際に、例えば不図示のエア供給部を作動させ、第2開口部87bにおいて所定の噴出量及び吸引量でエアを噴出及び吸引させ、ステージ87上にエアの層を形成しておく。基板Gが渡される際、基板Gとステージ87との間にはエア層が形成されているため、基板Gはエア層と基板保持部材89aとで保持されることになる。このため、基板保持部材89aが基板Gの角部のみを保持する構成であっても、基板Gが撓んだり割れたりすること無く安定して保持されることになる。
【0100】
基板Gが基板保持部材89aに保持された後、駆動機構89cを駆動させて基板Gを処理部85Pへ搬送する。基板Gはエアの層上に浮上して搬送されることになるため、少ない駆動力で基板Gを搬送させることができる。このため、伝達部材89bの負担が小さくて済むことになる。
【0101】
基板Gが処理部85Pに搬送された後、加熱機構90が作動する。加熱機構90は、基板G(該基板Gに形成されたプレパターン)の温度が100℃〜120℃となるように加熱する。光照射ユニットUVは、基板Gの温度が100℃〜120℃に到達した後、基板Gを処理部85P内で−X側に搬送しつつ、光照射部86を駆動させる。
【0102】
この動作により、処理部85Pでは、基板Gが搬送されかつ加熱された状態で光照射部86から基板Gの表面に所定波長の光が照射されることになる。処理部85Pの+X側及び−X側には遮光部材85dが設けられているため、光が処理部85Pから漏れることなく処理が行われることになる。
【0103】
処理部85Pでは基板Gを搬送させながら光が照射されるため、基板Gは光照射が完了した部分から徐々に第2基板搬送部85Sへ搬出されていく。基板Gの全部に対して光照射が完了した場合、基板Gの全部が第2基板搬送部85Sに収容されることになる。光照射が完了した後、光照射部86及び加熱機構90の作動を停止させ、基板Gを第1基板搬送部85Fへと搬送する。
【0104】
第1基板搬送部85Fに搬送された基板Gは、搬送機構89から基板受け渡し機構88へと渡され、基板受け渡し機構88によってチャンバ85からチャンバ82へと搬送される。チャンバ82では、基板受け渡し機構88から昇降機構84へと基板Gが渡され、その後不図示の搬送機構を介して基板Gがチャンバ82内から基板搬出入口80aを介して光照射ユニットUVの外部へ搬出される。
【0105】
以上のように、本実施形態の光照射ユニットUVによれば、チャンバ82内において、低酸素雰囲気内で加熱した基板Gのプレパターンに光を照射する。本実施形態では、光照射処理に先立ち、従来よりも低温でポストベークを行うことで、光重合反応の阻害要因となるプレパターンに含まれる残存溶剤を除去している。したがって、本実施形態によれば、プレパターンを構成するレジスト膜の光重合反応が低酸素状態において良好に進行するので、硬度が高いレジストパターンを形成することができる。
【0106】
次に、レジストパターンが形成された基板Gは搬送機構TR6により搬送アーム12に受け渡され、搬送機構11を介してカセットCに収容される。このようにして、基板Gに対して塗布処理、露光処理及び現像処理からなる一連のパターン形成処理が完了することとなる。
【0107】
以上のように、本実施形態によれば、ポストベークにより残存溶剤を除去したプレパターンを低酸素雰囲気内で加熱した状態で光照射することでレジストパターンの硬度を向上させることができる。このような硬度が高いレジストパターンによれば、耐久性および耐熱性に優れたネガ型レジストパターンとなる。また、本実施形態のパターン形成方法によれば、従来のように高温でのポストベークのみでレジストパターンを硬化させる場合に比べ、パターン硬化時の処理温度が抑えられるので、TFT素子等のデバイスにダメージを与えることが防止される。
【0108】
本実施形態により製造されたレジストパターンは、耐熱性および耐久性に優れるため、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等に用いられるアクティブマトリクス基板の層間絶縁膜や、半導体素子のウエハコート材料(表面カバー膜、バンプ保護膜、MCM(multi-chip module)層間保護膜、ジャンクションコート)、パッケージ材(封止材、ダイボンディング材)に好適に使用することができる。
【0109】
(第二実施形態)
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。
本実施形態と上記実施形態との違いは、光照射ユニットの構造である。そのため、以下では、光照射ユニットの構成を主体に説明し、上記実施形態と同一又は共通の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明については省略するものとする。
【0110】
図6は、本実施形態の光照射ユニットUV1を+Y方向に向かって見たときの構成を示す図である。図6に示すように、光照射ユニットUV1は、チャンバ180、光照射部86、第一ステージ182、第一搬送部183、第二ステージ184及び第二搬送部185を有している。チャンバ180は、直方体の箱状に形成されており、不図示のガス供給部により不活性ガスが供給されることで内部が低酸素状態(脱酸素及び脱水分状態)となっている。チャンバ180は、ポストベークユニットPBの側面(+Y側の面)に配置されている。なお、本実施形態において、光照射ユニットUV1は、チャンバ180がポストベークユニットPBの上面(+Z側の面)に配置されている。
【0111】
チャンバ180の−X側の面(所定面)180fには、基板搬入出口180aが設けられている。基板搬入出口180aは、チャンバ180に対して基板Gの搬入及び搬出を行う。また、チャンバ180の所定面180fには、ポストベークユニットPBに接続するための接続部180bが設けられている。接続部180bは、チャンバ180をポストベークユニットPB側に物理的に接続すると共に、チャンバ180の電気的な配線等を接続させることで、チャンバ180とポストベークユニットPBとを電気的にも接続している。
【0112】
本実施形態において、光照射部86は、チャンバ180の+Z側の面に取り付けられており、+Z側の端部がチャンバ180の外部に突出するように配置されている。
【0113】
第一ステージ182は、チャンバ180の内部に設けられている。第一ステージ182は、チャンバ180の内部に搬入される基板Gを支持する。第一ステージ182は、基板搬入出口180aの+X側に配置されており、基板搬入出口180aから搬入される基板Gを支持可能である。第一ステージ182は、基板GをX方向に搬送する不図示の搬送機構を有している。また、第一ステージ182は、Z方向に昇降可能である。第一ステージ182は、第一搬送部183に等しい高さ位置(Z方向上の位置)と、第二搬送部185に等しい高さ位置との間を移動可能である。第一ステージ182は、第二搬送部185に等しい高さ位置においては、第二搬送部185からの基板Gを支持可能である。また、第一ステージ182は、基板Gを支持した状態で昇降可能である。
【0114】
第一搬送部183は、第一ステージ182から搬送される基板Gを搬送する。第一搬送部183は、搬送機構183a及び加熱機構183bを有している。搬送機構183aは、基板Gの姿勢を水平面(XY平面)に平行に保持したまま+X方向に搬送する。搬送機構183aの動作を停止させた状態では、基板Gの姿勢を保持したまま基板Gを支持することができるようになっている。加熱機構183bは、後に光の照射を受けることになる基板Gの温度が適温となるように基板Gの温度を調整する。例えば、加熱機構183bは、基板Gの温度を100℃程度に維持する。
【0115】
第二ステージ184は、チャンバ180の内部であって+X側の端部に設けられている。第二ステージ184は、第一搬送部183から搬送される基板Gを支持する。第二ステージ184は、基板GをX方向に搬送する不図示の搬送機構を有している。また、第二ステージ184は、Z方向に昇降可能である。第二ステージ184は、第一搬送部183に等しい高さ位置(Z方向上の位置)と、第二搬送部185に等しい高さ位置との間を移動可能である。また、第二ステージ184は、基板Gを支持した状態で昇降可能である。第二ステージ184は、第二搬送部185に等しい高さ位置に配置される場合、第二搬送部185へ基板Gを送り出すことが可能である。
【0116】
第二搬送部185は、第二ステージ184から搬送される基板Gを搬送する。第二搬送部185は、第一搬送部183の+Z側に配置されている。第二搬送部185は、光照射部86に対向して配置されている。第二搬送部185は、搬送機構185a及び加熱機構185bを有している。搬送機構185aは、基板Gの姿勢を水平面(XY平面)に平行に保持したまま−X方向に搬送する。搬送機構185aの動作を停止させた状態では、基板Gの姿勢を保持したまま基板Gを支持することができるようになっている。加熱機構185bは、Z方向において光照射部86との間で基板Gを挟む位置に配置されている。加熱機構185bは、光照射部86によって光の照射を受ける基板Gを−Z側から加熱する。加熱機構185bは、搬送機構185aによって支持された基板Gを加熱する。搬送機構185aは、第二搬送部185の−X側に第一ステージ182が配置されている場合には、基板Gを第一ステージ182へ搬送可能である。
【0117】
基板搬入出口180aから搬入された基板Gは、第一ステージ182及び第一搬送部183を経て第二ステージ184へと+X方向に搬送される。このように、チャンバ180内には、基板Gを一方向(+X方向)に搬送する第一基板搬送経路R1が形成されている。第二ステージ184に支持された基板Gは、当該第二ステージ184及び第二搬送部185を経て第一ステージ182へと−X方向に搬送される。このように、チャンバ180内には、基板Gを一方向(−X方向)に搬送する第二基板搬送経路R2が形成されている。第二基板搬送経路R2は、第一基板搬送経路R1に対して+Z方向に並んで配置されている。
【0118】
本実施形態において、光照射部86は、光を照射される基板Gの搬送経路(第二基板搬送経路R2)に沿って移動可能とすることもできる。すなわち、光照射部86は、図6におけるX軸に平行な方向D1及び方向D2に移動可能とすることができる。例えば、チャンバ180に、光照射部86を水平移動させる水平移動機構を設けることができる。このような構成とすることで、光照射部86を方向D1又は方向D2に移動させながら基板Gに対して光を照射することができる。これにより、第二搬送部185上で−X方向に搬送されている基板Gと光照射部86との相対速度を自在に変更することができる。その結果、基板Gに対する光照射量やタクトタイムを自在に設定することができる。
【0119】
具体的には、光照射部86を基板Gと同方向(方向D1)に移動させながら光照射を行うことで、基板Gに対する光照射部86の相対速度が低下するので、光照射部86の出力を上昇させなくとも基板Gに対する光照射量を増大させることができる。このことは、別の観点では、搬送速度を上昇させても基板Gに対する光照射量を同等に維持することができることになるため、装置内での基板Gの搬送速度を上昇させてスループットを向上させることもできる。
【0120】
一方、光照射部86を基板Gと反対方向(方向D2)に移動させながら光照射を行うと、基板Gと光照射部86との相対速度が上昇するため、基板Gへの光照射に要する時間(タクトタイム)が短くなる。これにより、光照射工程がボトルネックである場合にはスループットの向上を図ることができる。また、光照射部86の移動速度を変更することで、基板Gの搬送速度や光照射部86の出力を変更することなく、基板Gに対する光照射量の調整が可能である。光照射部86を方向D2に移動させる場合には、基板Gに対する光照射量を低減する方向の調整が容易になる。
【0121】
なお、光照射部86の移動方向と、第二搬送部185における基板搬送方向とは、概ね平行であればよい。具体的には、光照射部86の移動方向と、第二搬送部185における基板搬送方向との成す角度が30度以下であればよい。
【0122】
続いて、本実施形態の光照射ユニットUV1における光照射処理について説明する。
図7乃至図9は光照射ユニットUV1の動作説明図である。以下、光照射ユニットUV1において、基板Gが複数搬入される場合、複数の基板を搬入された順にG1、G2、G3、…と表記する。
【0123】
制御部CONTは、基板Gを保持するロボットアームを+Z方向に移動させ、図7(a)に示すように、基板G1を基板搬入出口180aからチャンバ180の内部に搬入させる。光照射ユニットUV1では、第一ステージ182を第一搬送部183に等しい高さ位置に配置させておく。これにより、チャンバ180に搬入された基板G1が第一ステージ182に載置される。
【0124】
次に、制御部CONTは、図7(b)に示すように、第一ステージ182に載置された基板G1を+X方向に搬送させ、第一搬送部183へと移動させる。制御部CONTは、第一搬送部183のX方向のほぼ中央部に基板G1を搬送させた後、搬送機構183aを一時停止させ、加熱機構183bを作動させる。この動作により、搬送機構183aに支持された基板G1は、加熱機構183bによって所望の温度に調整される。
【0125】
基板G1を一定時間、予備的に加熱させた後、制御部CONTは、図7(c)に示すように、搬送機構183aによって基板G1を+X方向に搬送させる。基板G1は、第一搬送部183から第二ステージ184へ受け渡される。
また、制御部CONTは、現像ユニットDVから搬送される他の基板G2をチャンバ180に搬入させる。制御部CONTは、搬送機構TR4のロボットアームを基板搬入出口180aまで移動させ、基板G2を基板搬入出口180aからチャンバ180の内部に搬入させる。チャンバ180の内部に搬入された基板G2は、第一ステージ182に載置される。
【0126】
次に、制御部CONTは、図8(a)に示すように、基板G1を支持した状態の第二ステージ184を+Z側へ移動させ、第二搬送部185の高さ位置に合わせる。また、制御部CONTは、第一ステージ182に載置された基板G2を+X方向に搬送させ、第一搬送部183へと移動させる。制御部CONTは、第一搬送部183のX方向のほぼ中央部に基板G2を搬送させた後、搬送機構183aを一時停止させ、加熱機構183bを作動させる。この動作により、搬送機構183aに支持された基板G2は、加熱機構183bによって所望の温度に調整される。
【0127】
次に、制御部CONTは、図8(b)に示すように、第一ステージ182を+Z方向に移動させ、第二搬送部185の高さ位置に合わせておく。また、制御部CONTは、第二ステージ184に載置された基板G1を−X方向に搬送させ、第二搬送部185へと移動させる。制御部CONTは、第二搬送部185に搬送された基板G1に対して、光照射部86による光照射を行わせる。制御部CONTは、搬送機構185aを作動させて基板G1を−X方向に移動させると共に、加熱機構185bを作動させ、基板G1の温度を100℃程度に維持する。
【0128】
この状態で制御部CONTは、光照射部86から光を射出させる。光照射部86から射出された光は、基板G1に照射される。この動作により、搬送機構185aによって水平面に移動する基板G1に対して光が照射される。光の照射は、基板G1の全体が光照射部86を−X方向に通り過ぎるまで行われる。第二搬送部185によって−X方向に搬送された基板G1は、図8(c)に示すように、予め配置させておいた第一ステージ182に載置される。制御部CONTは、第一ステージ182に基板G1が載置された後、第一ステージ182を−Z方向に移動させ、第一搬送部183に高さ位置を合わせる。
【0129】
次に、制御部CONTは、図9(a)に示すように、第一ステージ182及び搬送機構TR4のロボットアームを用いて、第一ステージ182上の基板G1を搬出させる。また、制御部CONTは、第一搬送部183で予備的な加熱を行っていた基板G2を+X方向に移動させ、第二ステージ184に載置させる。
【0130】
次に、制御部CONTは、図9(b)に示すように、基板G2を支持した状態の第二ステージ184を+Z側へ移動させ、第二搬送部185の高さ位置に合わせる。また、制御部CONTは、第一ステージ182に載置された基板G3を+X方向に搬送させ、第一搬送部183へと移動させる。制御部CONTは、第一搬送部183のX方向のほぼ中央部に基板G3を搬送させた後、搬送機構183aを一時停止させ、基板G3を予備的に加熱する。
【0131】
以降、制御部CONTは、上記同様に基板G2、基板G3に対して順に光の照射を行い、基板搬入出口180aを介してチャンバ180から搬出させる。また、基板搬入出口180aを介して新たな基板をチャンバ180に搬入させ、光Lの照射を行わせる。チャンバ180から搬出された基板G1〜G3は、搬送機構TR4を介してポストベークユニットPBに搬送される。以上の動作を繰り返し行わせることにより、現像ユニットDVを経た基板Gに対して光照射処理(キュア処理)を行うことができる。
【0132】
以上のように、本実施形態によれば、基板Gの搬入及び搬出が可能な基板搬入出口180aが所定面180fに設けられ、この基板搬入出口180aを通過してチャンバ180の内部に搬入される基板Gが基板搬入出口180aを通過してチャンバ180の外部へ搬出されるようにチャンバ180の内部で基板Gが移動するため、基板Gの搬入及び搬出がチャンバ180の同一面側(所定面側)で行われることになる。これにより、既存の装置との間の基板Gの受け渡しに必要なスペースを節約することが可能となるため、フットプリントの小さい光照射部86を提供することができる。
【0133】
なお、図9(b)に示す光照射工程において、制御部CONTは、光照射部86を方向D1又は方向D2に移動させながら、基板G1に対して光を照射させることもできる。例えば、光照射部86を方向D1に移動させながら基板G1に対して光照射を行う場合、制御部CONTは、光照射部86を所定の移動開始位置に配置した状態で、第二ステージ184から第二搬送部185へ基板G1を搬入し、基板G1の先端が上記移動開始位置に達したときに、光照射部86を方向D1の移動を開始するとともに基板G1への光照射を開始する。制御部CONTは光照射部86を基板G1よりも遅い速度で移動させながら光を照射させる。制御部CONTは、基板G1に遅れて移動する光照射部86が基板G1の後端に達する位置で、光照射部86の移動を停止させる。その後、制御部CONTは、光照射部86を方向D2に移動させ、上記移動開始位置に戻す。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが上記実施形態の内容に限定されることはなく、発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0135】
<評価>
ネガ型レジスト組成物を用い、上記パターン形成装置SPAを用いて形成したレジストパターンについて評価を行った。
(実施例1)
実施例1において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(120℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により積算露光量300mJ/cmの光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90による基板Gの加熱を行わなかった。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を750ppmとなるように窒素ガスを供給した。実施例1に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0136】
(実施例2)
実施例2において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(120℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により積算露光量300mJ/cmの光照射処理を行った。また、光照射ユニットUVは、光照射時に加熱機構90により基板Gを120℃で加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を450ppmとなるように窒素ガスを供給した。実施例2に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0137】
(実施例3)
実施例3において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(120℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により積算露光量1800mJ/cmの光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90により基板Gを120℃で加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を610ppmとなるように窒素ガスを供給した。実施例3に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0138】
(実施例4)
実施例4において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(100℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90により基板Gを80℃で100秒間だけ加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を900ppmとなるように窒素ガスを供給した。光照射ユニットUVによる光照射後のレジストパターンに対し、130℃、10分間のベーク処理を行った。実施例4に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0139】
(実施例5)
実施例5おいて、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(100℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90により基板Gを50℃で100秒間だけ加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を900ppmとなるように窒素ガスを供給した。光照射ユニットUVによる光照射後のレジストパターンに対し、130℃、10分間のベーク処理を行った。実施例5に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0140】
(実施例6)
実施例6において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(100℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90により基板Gを23℃で100秒間だけ加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を900ppmとなるように窒素ガスを供給した。光照射ユニットUVによる光照射後のレジストパターンに対し、130℃、10分間のベーク処理を行った。実施例6に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0141】
(実施例7)
実施例7において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(100℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90により基板Gを80℃で100秒間だけ加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を大気中における酸素濃度(21.7%=2170000ppm)となるように窒素ガスを供給した。つまり、チャンバ82内を大気解放状態とした。光照射ユニットUVによる光照射後のレジストパターンに対し、130℃、10分間のベーク処理を行った。実施例7に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0142】
(実施例8)
実施例8において、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後(100℃、10分間)のレジスト膜に対し、光照射部86により光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90により基板Gを80℃で100秒間だけ加熱した。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内の酸素濃度を2000ppmとなるように窒素ガスを供給した。光照射ユニットUVによる光照射後のレジストパターンに対し、130℃、10分間のベーク処理を行った。実施例9に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0143】
(比較例1)
比較例1として、ポストベークユニットPBによるベーク後(130℃、10分間)のレジスト膜に対する光照射を行わなかった。すなわち、光照射部86による積算露光量は0mJ/cmである。また、加熱機構90による加熱を行わず、チャンバ82内を大気雰囲気とした。比較例1に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0144】
(比較例2)
比較例2として、光照射ユニットUVは、ポストベークユニットPBによるベーク後のレジスト膜に対し、光照射部86により積算露光量1000mJ/cmの光照射処理を行った。光照射ユニットUVは、加熱機構90による基板Gの加熱を行わなかった。光照射ユニットUVは、光照射時にチャンバ82内を大気雰囲気とした。比較例2に係るレジストパターンは上記条件により形成されたものである。
【0145】
(比較例3)
比較例3は、図5(a)に示した従来のパターン形成工程により形成したレジスト膜である。つまり、低酸素雰囲気光照射工程は行わず、ポストベーク工程(130℃、10分間)により形成されたものである。
【0146】
(膜硬度の評価)
実施例1〜8及び比較例1〜3でそれぞれ得た、レジストパターンについて鉛筆硬度試験を行った。そして、レジストパターンの表面膜の鉛筆硬度を測定した。本試験において用いる鉛筆の芯先は、硬い平らな面においた研磨紙400番に対し直角にあて、芯先が平らで角が鋭くなるように研ぐ。そして、研いだ芯を塗膜(レジストパターンの表面)に対して45°であて、芯が折れない程度に出来る限り強く押し付けながら試験者の前方に均一な速さで約1cm押し出して塗膜を引っ掻く。1回引っ掻くごとに鉛筆の芯の先端を研いで、同一の濃度記号の鉛筆で5回ずつ試験を繰り返す。塗膜の破れ又は切り傷が5回の試験中2回以上発生する鉛筆の方さの一段下の濃度記号を記録する。
なお、本試験では、鉛筆の先端に荷重350gを与えた。
【0147】
かかるレジストパターンの硬度の評価結果を下記の表1、表2に示した。
【0148】
【表1】
【0149】
表1に示すように、比較例1、2で得られたレジストパターンの鉛筆硬度はF、Bであり、実施例1〜3で得られたレジストパターンの鉛筆硬度はH、2H、2Hである。このように、実施例1〜3で得られたレジストパターンは、比較例1、2で得られたレジストパターンに比べて、膜硬度が高いことが確認できる。
このことより、実施例1〜3では比較例1、2と異なり、低酸素雰囲気の中で光照射を行ったことで光重合反応を良好に進行させてレジストパターンの硬度を向上させたと言える。
さらに、実施例1〜3で得られたレジストパターンは、その内部まで全体が充分に硬化していると考えられ、耐久性、耐熱性も高いと言える。
【0150】
また、実施例2で得られたレジストパターンの鉛筆硬度2Hは、実施例1で得られたレジストパターンの鉛筆硬度Hよりも高いことが確認できる。
このことより、低酸素雰囲気内で光照射を行う際、基板Gを加熱機構90により加熱した状態とすることで光重合反応が促進し、レジストパターンの硬度をより向上すると言える。
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
表2、3に示すように、比較例3で得られたレジストパターンの鉛筆硬度は2Hであり、実施例4〜8で得られたレジストパターンの鉛筆硬度は5H、5H、3H、3H、5Hである。このように、実施例4〜8で得られたレジストパターンは、比較例3で得られたレジストパターンに比べて、膜硬度が高いことが確認できる。表2より加熱条件の温度が50℃以上だとより効果が高いことが確認できる。
表3より、実施例4〜8では比較例3と異なり、低酸素雰囲気の中で光照射を行ったことで光重合反応を良好に進行させてレジストパターンの硬度を向上させたと言える。
さらに、実施例4〜8で得られたレジストパターンは、その内部まで全体が充分に硬化していると考えられ、耐久性、耐熱性も高いと言える。
【符号の説明】
【0154】
SPA…パターン形成装置(レジストパターン形成装置)、DV…現像ユニット(現像装置)、59…加熱装置、81…光照射装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9