特許第6814841号(P6814841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814841
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】半導体基板に応力を加える装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-92835(P2019-92835)
(22)【出願日】2019年5月16日
(62)【分割の表示】特願2018-23957(P2018-23957)の分割
【原出願日】2013年12月30日
(65)【公開番号】特開2019-165242(P2019-165242A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年5月27日
(31)【優先権主張番号】61/747,613
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/788,744
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/790,445
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/793,999
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・フォルスター
(72)【発明者】
【氏名】ウラディミール・ブイ・ボロンコフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エイ・ピットニー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ディ・アルブレヒト
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2010/055730(JP,A1)
【文献】 特開平08−176798(JP,A)
【文献】 特開2010−189745(JP,A)
【文献】 特開平09−063985(JP,A)
【文献】 特開2004−296817(JP,A)
【文献】 特開2012−172233(JP,A)
【文献】 特開2001−358102(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/147343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円形の半導体基板に応力を加えるための装置であって、基板は、中心軸と、中心軸とほぼ直交する表面および裏面と、表面から裏面に延びる周縁と、周縁の近傍で裏面に接続されたリングとを有し、この装置は、
チャンバと、
チャンバを加熱するためのヒータと、
チャンバ中に配置された基板ホルダーであって、
基板の裏面上のリングと噛み合うように取り付けられたフランジを有するほぼ平坦な裏サポートであって、基板上に応力を加えるように移動可能な裏サポートを含む基板ホルダーと、を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
裏サポートは、基板より大きな速度で膨張する材料から形成され、基板とサポートに与えられた熱により、基板が引っ張られることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項3】
フランジは、リングの内部にあることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項4】
裏サポートは、基板より小さい速度で膨張する材料から形成され、基板とサポートに与えられた熱により、基板が圧縮されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項5】
リングは、フランジの内部にあることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項6】
更に、基板の表面に隣接して配置された表サポートを含むことを特徴とする請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
更に、基板の上に応力を加えるのに十分な、基板を横切る差圧を形成するための圧力変調器を含み、
基板ホルダーは、更に、
表リングおよび裏リングを含み、
それぞれのリングは、基板の周縁に隣接した個別の半径方向の位置で、基板に接触するための環状のサポートを含み、表リングは表面に接触するように取り付けられ、裏リングは基板の裏面に接するように取り付けられたことを特徴とする請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
表リングと裏リングは、基板にシールを形成するように取り付けられ、基板を横切る差圧の形成を容易にすることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
環状のサポートは、実質的にシールされたキャビティと単体のベントを含み、このサポートは、基板の表面の1つに接触するように取り付けられて、それとの間でシールを形成し、ベントは、基板上に応力を加えるために、キャビティを通って真空に引けることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
基板と組み合わせて、基板は周縁に隣接して配置されたコーティングを含むことを特徴とする請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
チャンバは、エピタキシャル層を形成するためのエピタキシャルチャンバであることを特徴とする請求項10のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2012年12月31日に出願した米国仮出願61/747,613、2013年3月15日に出願した米国仮出願61/793,999、2013年3月15日に出願した米国仮出願61/790,445、および2013年3月15日に出願した米国仮出願61/788,744の利益を享受し、これらのそれぞれは、参照することによりここに援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に半導体基板に応力を加えるための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体構造に応力を加えるために使用される装置が常に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つの形態は、半導体基板を曲げるための装置に関する。基板は、ほぼ平坦な位置と曲げ位置とを有する。装置は、チャンバと、チャンバを加熱するためのヒータとを含む。基板ホルダーはチャンバ中に載置される。ホルダーは複数の間隔をおいた細長いピンを含む。それぞれのピンは、基板に接触するためのサポート面を有する。サポート面は、曲げ位置で基板に接触するために配置される。
【0005】
他の形態では、半導体基板を曲げるための装置は、チャンバ、チャンバを加熱するためのヒータ、基板の上に応力を働かせるのに十分な基板を横切る差圧を形成する圧力変調器、およびチャンバに搭載された基板ホルダーを含む。基板は、表面、裏面、周縁を有する。基板ホルダーは、表リングと裏リングとを有する。それぞれのリングは、基板の周縁に隣接する基板と接触するために環状サポートを含む。表リングは、表面に接触するように取り付けられ、裏リングは、基板の裏面に接触するように取り付けられる。
【0006】
半導体基板に応力を加えるための装置の更なる形態では、装置は、チャンバ、チャンバを加熱するためのヒータ、およびチャンバに搭載された基板ホルダーを含む。基板ホルダーは、表リング、裏リング、および表リングと裏リングとを保持するためのクランプを有する。それぞれのリングは基板周縁近傍の基板と接触するための環状サポートを含む。表リングは、表面に接触するように取り付けられ、裏リングは、基板の裏面に接触するように取り付けられる。
【0007】
本開示の他の形態は、おおよそ円形の半導体基板に応力を加える装置に関する。基板は中心軸、中心軸とほぼ直交する表面および裏面、表面から裏面に延びる周縁、および周縁近傍の裏面中の周囲の溝を有する。装置は、チャンバ、チャンバを加熱するためのヒータ、およびチャンバに搭載された基板ホルダーを含む。ホルダーは、基板の裏面中の溝に受けられるような大きさの環状のボス(boss)を有するおおむね平坦な裏サポートを含む。ボスは、基板に応力を加えるために可動である。
【0008】
更なる形態では、おおよそ円形の半導体基板に応力を加えるための装置は、チャンバ、チャンバを加熱するためのヒータ、およびチャンバに搭載された基板ホルダーを含む。基板は中心軸と、中心軸にほぼ直交する表面および裏面とを有する。周縁は、表面から裏面に延びる。基板は、周縁に隣接する裏面に接合されたリングを含む。基板ホルダーは、基板の裏面上のリングと噛み合うように取り付けられたフランジを有するほぼ平坦な裏サポートを含む。
【0009】
更に、半導体基板を曲げるための装置は、チャンバ、チャンバを加熱するためのヒータ、基板の上に応力を働かせるのに十分な基板を横切る差圧を形成する圧力変調器、およびチャンバに搭載された基板ホルダーを含む。基板は、表面、裏面、周縁を有する。基板は、ほぼ平坦な位置と、曲げ位置との間で移動可能である。基板ホルダーは、そこを通る複数の孔を有する凹形状のサポートを含む。圧力変調器は、孔を真空に引いて、これにより、凹形状のサポートに基板を引っ張る。
【0010】
更に、本開示の形態は、半導体基板に応力を加える装置に関する。基板は、中心軸と、中心軸にほぼ直交する表面および裏面とを有する。周縁は、表面から裏面に延びる。装置は、チャンバ、チャンバを加熱するためのヒータ、およびチャンバに搭載された基板ホルダーを含む。ホルダーは、ほぼ平坦な裏サポートと、基板を受けて圧縮するためのプレスを含む。プレスは、その周縁で半径方向に中心軸に向かっておおむね均一に圧縮するように取り付けられる。
【0011】
上述の本開示の形態に関連して記載された特長には、様々な改良が存在する。更に、特長は、同様に上述の本開示の形態に組み合わせても良い。それらの改良および追加の特長は、独立してまたは組み合わせて存在しても良い。例えば、本開示の示された具体例のいずれかに関して以下で検討された様々な特長は、単独または組み合わせて、上述の本開示の形態にいずれかに組み込まれても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の1つの具体例にかかる半導体基板を処理するための装置の斜視図である。
図2】明確化のためにチャンバの一部が除去された図1の装置の斜視図である。
図3】本開示の1つの具体例の基板ホルダーの断面図である。
図4図3の基板ホルダーの斜視図である。
図5】本開示の第2の具体例の基板ホルダーの断面図である。
図6図5の基板ホルダー中で使用される管状ピンの斜視図である。
図7】半導体基板に応力を加えるための装置の第2の具体例の断面図である。
図8図7に示される装置の基板ホルダーの部分断面図である。
図9】基板の周縁上のコーティングを示す基板ホルダーの部分断面図である。
図10】半導体基板に圧力を加えるための装置の第3の具体例の断面図である。
図11図10に示された装置の基板ホルダーの部分断面図である。
図12】ホルダーに適用される基板と上部リングの動きを矢印で表す基板ホルダーの部分断面図である。
図13】半導体基板に圧力を加えるための装置の第4の具体例の部分断面図である。
図14】半導体基板に圧力を加えるための装置の第5の具体例の部分断面図である。
図15】半導体基板に圧力を加えるための装置の第6の具体例の部分断面図である。
図16図15に示される装置の基板ホルダーの断面図である。
図17】装置の断面図である。
図18】基板の引き延ばしを矢印で表す図18の基板ホルダーの断面図である。
図19】基板ホルダーの第3の具体例の部分断面図である。
図20図19の基板サポートを有する装置の部分断面図である。
図21図19の基板ホルダーの部分断面図である。
図22】基板ホルダーの第4の具体例の部分断面図である。
図23図22の基板サポートを有する装置の部分断面図である。
図24】表と裏のサポートの適用方向を矢印で表す図23の基板ホルダーの断面図である。
図25】基板ホルダーの第5の具体例の断面図である。
図26】基板ホルダーの第6の具体例の断面図である。
図27】基板ホルダーの第7の具体例の断面図である。
図28】半導体基板に圧力を加えるための装置の第7の具体例の断面図である。
図29】基板ホルダーの第8の具体例の断面図である。
図30】基板ホルダーの第10の具体例の載置ブロックの底面図である。
図31図30の基板ホルダーの断面図である。
図32】載置ブロックサポートに載置された基板ホルダーの断面図である。
図33】基板ホルダーとその上に挿入された基板を有する載置ブロックサポートの断面図である。
図34】基板ホルダーと、応力を加えた位置にある基板を有する載置ブロックサポートの断面図である。
【0013】
対応する参照符号は、図面を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の形態は、シリコン基板(例えばウエハ)のような半導体基板に応力を加える装置を含む。図1〜2を参照すると、装置11は、チャンバ31、および半導体基板49を保持するための基板サポート47を有する基板ホルダー20を含んでも良い。記載された装置11は、1つの基板を処理する装置であるが、ここに記載された装置および方法は、例えば複数の基板を処理する装置を含む他の装置での使用にも適している。
【0015】
装置は、基板に応力を加える「ストレッサ(stressor)」を含んでも良い。例えば、ストレッサまたはストレッサアセンブリは、1またはそれ以上のヒータ15または圧力変調器27を含んでも良い。ヒータ15は、以下で述べるように、基板ホルダー(またはホルダーの一部)とは異なる速度で基板を延ばすことで、基板に応力を加えることができる。代わりにまたは追加で、ストレッサは、基板を横切って差圧を分け与える圧力変調器27でも良い。それらは、単に、ストレッサの可能な幾つかの例であり、他もこの開示の範囲内であると考える。
【0016】
装置11は、壁33により一部が規定された内部空間を有するチャンバ31を含む。チャンバ31の斜視図は、装置11をより良く示すために、チャンバ壁の一部が除去されて図2に示される。チャンバ31の内部空間の中に、半導体基板49を支持する基板ホルダー20がある。図1〜2に示されたホルダー20はサセプタ47であるが、他のホルダー配置(例えば、管、リング、クランプ等)も考えられ、それらの幾つかはより全体が以下に述べられる。基板ホルダーは、図1〜2では20で、図3〜34では、20プラス100の倍数(120、220、320等)で示される。
【0017】
チャンバ31は、シャフト9または他の好適なサポートの上に載せられる。装置11、例えばシャフト9は、好適な制御バルブおよび/または水力または空気力のラインまたは張力ケーブル等のような、ホルダーに、基板49を掴みおよび/または放させるデバイスを含んでも良い。チャンバ31は、本開示の範囲から離れることなく、ここで示した配置とは異なる配置を含んでも良い。
【0018】
基板ホルダーまたはホルダーの一部は、チャンバ31の上および下に配置された高強度の放射熱ランプのようなヒータ15により形成された放射熱光を吸収するために、ほぼ不透明でも良い。ホルダーは、炭化シリコンで覆われた不透明なグラファイトから形成されても良い。チャンバ31の壁は、透明な材料から形成され、放射熱光をチャンバ中に通しても良い。例えば、チャンバ31の壁は、透明な水晶から形成されても良い。水晶は、赤外光や可視光に対してほぼ透明で、一般的なプロセス温度において化学的に安定である。
【0019】
例えば抵抗ヒータおよび誘導ヒータのような、高強度ランプ以外のヒータ15が、チャンバ31に熱を供給するために使用されても良い。追加または代わりに、本開示の範囲から離れることなく、ヒータ15はチャンバ31の内部空間中に含まれても良く、またはチャンバ壁と一体でも良い。換言すれば、ヒータは、いずれの好適なタイプ、大きさ、および形状でも良く、チャンバの内部または外部に配置されても良い。パイロメータのような赤外温度センサ(図示せず)がチャンバ31の上に載置され、ホルダーまたは基板により放出される赤外放射を受けることにより、ホルダー20または基板49の温度をモニタしても良い。システムコントローラ(図1)は、例えばストレッサコントロール、ガス流速、およびチャンバの温度および圧力を含む、チャンバ31に関連する様々な操作パラメータを制御するために使用されても良い。図1〜2に示される以外の装置やチャンバ設計は、本開示の範囲から離れることなく使用しても良い。
【0020】
所定の具体例では、装置11は半導体基板に応力を加えるのに適し、任意的に基板上にエピタキシャル層のような半導体材料を堆積するのに適した構造からなり、および/また構造を含んでも良い。そのような具体例では、半導体材料を含むプロセスガスは、ガスシリンダのようなプロセスガス源からガスマニフォールド(図示せず)およびチャンバ31の中へと、装置11の中に流れても良い。ガスは、プロセスの前、途中、または後に、チャンバに導入されても良い。ガスは、基板49に接触する前に加熱されても良い。半導体基板の表面上にエピタキシャル層を堆積するためのプロセスは、例えば、米国特許5,789,309、米国特許5,904,769、および米国特許5,769,942に記載されたような、公知の方法を含んでも良い。一般に、エピタキシャル層の成長は、化学気相堆積により達成される。一般的に言えば、化学気相堆積は、揮発性反応物を、キャリアガス(通常水素)を用いてチャンバ31内に導入することを含む。
【0021】
半導体基板に応力を加えるための基板ホルダーの様々な具体例がここに記載される。半導体基板に応力を加えるための、基板ホルダーおよびストレッサ(例えばヒータ、圧力変調器等)の幾つかの代わりの具体例が以下に示されるが、この開示の範囲内で、他のホルダーおよびストレッサが考えられる。なお、ホルダーおよびストレッサは、上述の装置11およびチャンバ31の一部として使用されても良く、またはチャンバを加熱するためのヒータと組み合わせて使用しても良い。
【0022】
図3〜4を参照すると、基板ホルダー20は、半導体基板49を支持する、複数の、間隔をあけた細長いピン22を含んでも良い。ピン22は、載置ブロック25に取り付けられる。基板49に力が加えられ、基板を動かして(曲げて)、ピンに接触させても良い。ピン22、またはその上方部分は、曲げ位置(即ち加圧位置)で基板49に接触するために配置された支持面を選択的に規定しても良い。
【0023】
ピン22、またはその上方部分は、凹状パターンに配置され、十分な力が加えられた場合に、実質的に平坦な形状から基板が変形または曲がり、ピンの凹型配置に一致しても良い。この方法で変形させることで、基板49は応力が加えられる。
【0024】
他の具体例では、装置は図1(および以下の図7)に示すような圧力変調器を含み、基板に応力を加えるのに十分な基板を横切る差圧を形成する。他のストレッサは、他の具体例で使用されても良い。
【0025】
図5〜6に示すように、ピン22’は管状で、これにより液体のための管を形成する。いくつかの具体例では、ピン22”は、真空に引くためのポンプのような圧力変調器27に流体接続される。基板49に与えられた真空は、引力により、基板をピンに向かって引っ張っても良い。例えば、ピンの凹形パターンによるピンと基板との間の距離のばらつきは、基板の部分に、異なる量の引く力を与えても良い。異なる力は、半導体基板49に与えられる応力となる。
【0026】
ピン22、22’は、一般に垂直方向に基板を支持するが、それらは、水平方向または変形方向の基板の移動を制限しないように形成されても良い。加熱中の基板の半径方向の移動を可能にすると、スリップや転位を引き起こすことなく、基板が半径方向に拡大されるようになる。以下に記載し図31〜35に示すように、ピンは、載置ブロック(からと言うよりむしろ)を通って延びて、ひと続きの導管を通って接続されても良い。
【0027】
図7〜12を参照して、半導体基板を曲げるための装置の1つの具体例では、装置は、表リング131と裏リング132を有するホルダー120を含む。表リング131は、環状の表サポート134を含み、裏リング132は、環状の裏サポート136を含み、基板49に接触して支持する。なお、表リングと裏リングは、図8に示すようにL形状の断面を有しても良い、表リング131は、別個の半径位置で基板49の表面に接触するように取り付けられ、裏リング132は、別個の半径位置で基板49の裏面に接触するように取り付けられる。半径位置は、周縁からわずかに内方である。表の環状サポート134と裏の環状サポート136が基板49に接する半径方向の位置は、図8に示すように同じでも良く、または本開示の範囲から離れることなく異なっても良い。
【0028】
図10を参照すると、基板49を曲げるための装置(例えばストレッサ)は、ポンプのような圧力変調器27を含み、基板を横切って差圧を形成しても良い。換言すれば、圧力が、ウエハの一つの側で、他より高くなる。差圧は基板の応力を加え、基板を曲げても良い。そのような具体例では、表リング131と裏リング132は、シールとして働き、基板49を横切る差圧は維持される。圧力変調器27は、チャンバ31の壁を通って延びて、チャンバ内のキャビティ4をシールするベント3と、流体接続されても良い。基板49を横切って与えられる差圧は、より圧力の低い方向に基板を曲げても良い。
【0029】
基板49の曲げにより、基板の表面は、表リング131と裏リング132との間で動いても良い。更に、基板49の熱膨張(即ち、リング131、132の熱膨張より大きな熱膨張)により、リング131、132の間で表面が動く。1つの具体例では、図9に示すように、保護コーティング137が基板49の一部を覆い、特に、基板の周縁を覆う。コーティング137は、一般に、基板がリング131、132の間に補正されると共に、(スリップや転位のような)ダメージからウエハを保護する保護材料でも良い。
【0030】
図13を参照して、ホルダー120’の表リング131’と裏リング132’は、リングが、装置120のリング131、132を有するような基板の周縁(図8)ではなく、その近傍で、基板49に接するように、配置されても良い。リング131’、132’は、チャンバ31’の蓋および/または底と一体でも良い。ベント3’は、チャンバ31’のリング131’、132’を通って延びても良い。ベント3’は、基板49の中央近傍に配置され、圧力変調器27が活性化した場合に、基板の変形を制限しても良い。
【0031】
ホルダー120’は、また、例えばリング131’、132’の適用前に、基板49を支持する平坦なサポート126を含んでも良い。所定の具体例では、基板49が平坦なサポート126に取り付けられる。平坦なサポートは、基板とは異なる熱膨張係数を有する材料から形成されて(即ち、リングは、基板とは異なる速度で熱膨張する)、サポートと基板が加熱または冷却された場合に、圧縮されまたは引っ張られても良い。
【0032】
図14を参照して、装置の幾つかの具体例では、装置は、基板の熱膨張の使用により基板49の上に応力を加える。基板ホルダー220は、基板49の上に保持力を加える表リング231および裏リング232を含むクランプ240を含んでも良い。表リング231は、環状の表サポート234を含み、裏リング232は、環状の裏サポート236を含む。サポート234、236は、基板の周縁において基板49と接触し、基板の表と裏にそれぞれ接触するように取り付けられる。例えば、図14に示す基板ホルダー220は、圧力モジュール無しに使用しても良い。なお、ここに記載される様々なホルダーのリング、サポート、ボス、クランプ等は、空気式、水圧式、モータ等の使用を含むいずれかの機械的方法により、半径方向に動かしても良い。
【0033】
リング231、232は、基板とは異なる熱膨張係数を有する材料から形成されても良い(即ち、リングは、基板とは異なる速度で熱膨張する)。加熱または冷却時の、リング231、232の異なる膨張速度と組み合わせたクランプ240の保持力は、基板459に応力を加える。リング231、232が、基板49より大きな膨張係数を有する具体例では、リングは基板を半径方向に引き延ばす。リング231、232が、基板49より小さい膨張係数を有する具体例では、リングは内方に向かう力を基板に加え(即ち、基板の圧縮)、基板を曲げる。
【0034】
図15〜18を参照して、他の具体例では、基板ホルダー320は、おおむね平坦な裏サポート346を含み、これは、基板49の裏で、溝348に受けられる大きさおよび形状の環状のボスを含む。ボス347は、基板49の上に応力を加えるように移動可能である。例えば、裏サポート346は、加熱が基板を圧縮する場合、基板49よりも小さい速度で膨張する材料から形成されても良い。代わりに、裏サポート346は、加熱が基板を引っ張る場合、基板49よりも大きな速度で膨張する材料から形成されても良い。
【0035】
基板ホルダー320は、また、図8に示す表リング131および裏リング132と類似した環状のサポートを有する表リングおよび裏リング(図示せず)を含み、基板をシールして、基板に応力を加えるために圧力変調器が基板を横切る差圧を形成しても良い。ホルダー320を含むチャンバ31は、真空または圧力を与えるためのベント3およびシールされたキャビティ4を含んでも良い(図17)。裏リングは、裏サポート346の内側にあり、表リングは、裏リングと整列するか、または裏リングより基板の周縁に近くなる大きさおよび形状を有しても良い。基板は、図9に示すようなコーティングを含んでも良い。
【0036】
幾つかの具体例では、図19〜21に示すように、基板ホルダー320は、また、表サポートから延びる環状リング352を有する表サポート350を含む。リング352は、基板49に下方に向かう力を加え、加熱中の基板の圧縮または膨張中に、ボス347から基板が外れるのを防止する。この機能を達成する他の構造は、本開示の範囲内にあるものと考える。
【0037】
他の具体例および図22〜24に示すように、基板ホルダー420は、図15〜21に示すものと類似または同様の裏サポート446およびボス447を含む。基板ホルダー420は、表サポート451と、基板49の表面の溝457に受け入れられる大きさおよび形状の表ボス455を含んでも良い。表サポート451は、また、加熱が基板を圧縮した場合、基板49よりも小さい速度で膨張する材料から形成されても良く。または、加熱が基板を引っ張る場合、基板49よりも大きな速度で膨張する材料から形成されても良い。
【0038】
図25〜27を参照して、この具値例の加圧装置520は、基板49を支持するための平坦な裏サポート561と、基板を受け入れて圧縮するための円形の開口部を有するおおむね円形のプレス560を含む。図26〜28のように、平坦なサポートは、部分的に基板の中心にのみ向かって延びるか、または基板49の真下に連続して延びても良い。プレス560は、基板を連続して囲んでも良く、または、図27に示すように、基板49を受け入れる開口部を形成する複数の円弧形状のセグメント563を含んでも良い。プレス560および/またはセグメント563は、基板を圧縮するために、基板49に対して内方に移動可能でも良い。例えば、プレス560は、基板49より小さな速度で膨張する材料から形成された結果、加熱した場合に、プレスは基板を圧縮するように動いても良い。基板ホルダー520は、また、表リングおよび/または裏リング(図示せず)を含み、上述のように、基板を横切る差圧を形成するためにシールを形成しても良い。
【0039】
図28を参照して、基板ホルダー620は、第1の円錐形状のサポート670と、第1の円錐形状のサポートと対向する第2の円錐形状のサポート675を含む。第1の円錐形状のサポート670は、孔を通って真空に引くための、そして第1の円錐形状のサポートに向かって基板49を引っ張るための、その中に形成された複数の孔671を含む。第1のサポート670の上方部分は、曲げない状態の、基板49の一部に接触する。上部部分より一般に大きく、真空に引くための孔671を含む下部部分678は、曲げ位置にある場合に、基板と接触する。ベント679は、第2のサポート675の中に形成され、このサポートは、基板に応力を加えるために、ベントとキャビティを通して引いて真空になるキャビティ672を形成する。環状のサポート675は、一般に、基板の周縁またはその近傍のみで、基板49に接触する。
【0040】
図29を参照して、基板ホルダー720は、おおよそ平坦な裏サポート781とフランジ783とを含む。基板49は、基板の周縁近傍で基板の裏面に取り付けられたリング780を含む。フランジ783は、リング780と噛み合うように取り付けられる。サポート781とフランジ783は、基板を圧縮するために、基板に対して移動可能である。例えば、サポート781および/またはフランジ783は、基板49より大きな速度で膨張する材料から形成された結果、加熱した場合に、フランジ783は基板を引っ張るように動いても良い。基板のリング780がフランジ783の内部にある具体例(図示せず)では、サポート781および/またはフランジ783は、基板49より小さい速度で膨張する材料から形成された結果、加熱した場合に、フランジ783は基板を圧縮するように動いても良い。
【0041】
図30は、基板ホルダー920の載置ブロック991の底部を示す。ひと続きの管989が載置ブロック991を通って凹形状のサポート992まで延びる(図32)。管989は、ひと続きの導管990を介して接続される。載置ブロック991は、処理チャンバ31(図1)に載置ブロックを挿入したり取り外したりするためのハンドリング溝993を含んでも良い。図32に示すように、載置ブロック991は、チャンバ中で、載置ブロックサポート994の上に支持されても良い。真空管996は、載置ブロックサポート994を通って延びて、チャンバ31(図1)の中に載置ブロックが挿入された場合、導管990および管989と流体接続する。基板49は、載置ブロック991の上に配置される(図33)、真空が適用された場合、基板49は凹形状のサポート992に向かって曲がり、基板に応力を加える(図34)。
【0042】
一般に、基板上の応力は、例えば図14〜27および29に示された装置の具体例を使用して、圧縮または引っ張る場合、基板の軸に対して直交する方向に向いても良い。代わりに、応力は、例えば図5、7〜13、28および30〜34に示された装置の具体例を使用して、基板の軸に沿ってまたは平行に向いても良い。
【0043】
本開示またはその好適な具体例の要素を紹介する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「その(said)」は、1またはそれ以上の要素があることを意味する。「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」の用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素の他に追加の要素があることを意味する。
【0044】
上記装置および方法において、本開示の範囲から離れることなく、様々な変形が可能であるため、上記開示に含まれ、添付の図面に示された、全ての事項は、例示的で、限定する意図無しに解釈されるべきである。
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