(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体レーザ及び該半導体レーザから出射された光を略平行光とするコリメートレンズを有する複数の光源が、各光源からの出射光が同じ向きの略平行光となるように配置された複数の筐体と、
前記複数の筐体からの出射光を蛍光体に向けて集光する集光レンズと、
前記蛍光体を有し、前記集光レンズからの光を透過させる蛍光体ホイールと、
を備え、
前記筐体からの出射光の前記集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせるように、前記筐体が同一の支持部材に取り付けられており、
前記複数の筐体が、前記支持部材に固定されたとき前記半導体レーザの載置面が前記支持部材の取り付け面に対して傾斜した略同一の形状を有しており、
隣接する4つの前記筐体を前記支持部材に固定するとき、前記筐体からの出射光の略光軸方向を回転中心として、1つの筐体を基準に、一定の回転方向において、90度、180度、270度回転させて固定されることを特徴とする光源装置。
前記光源において、前記コリメートレンズの前記半導体レーザに対する取り付け位置が、前記コリメートレンズから平行光を出射させるためのレンズ取り付け位置からずれていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
前記支持部材に固定されたときの前記半導体レーザの載置面の前記支持部材の取り付け面に対する傾斜角度が、0.25〜2度であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光源装置
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る光源装置の実施態様1では、
半導体レーザ及び該半導体レーザから出射された光を略平行光とするコリメートレンズを有する複数の光源が、各光源からの出射光が同じ向きの略平行光となるように配置された複数の筐体と、
前記複数の筐体からの出射光を蛍光体に向けて集光する集光レンズと、
前記蛍光体を有し、前記集光レンズからの光を透過させる蛍光体ホイールと、
を備え、
前記複数の筐体の支持部材に対する取り付け角度を異ならせることで、前記筐体からの出射光の前記集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせている。
【0013】
本実施態様によれば、複数の筐体から出射された光は、集光レンズにより蛍光体ホイール上(つまり蛍光体上)のそれぞれ異なる位置に集光される。従って、蛍光体上の集光領域での光密度を抑えることができるため、蛍光体からの出射光を効率よく利用することが可能となる。
また、筐体の支持部材に対する取り付け角度を異ならせるだけで、上記を実現できるので、生産性を犠牲にすることなく製造が可能となる。
このため、蛍光体の発光効率低下をできる限り抑制し、かつ簡易な組立を実現して量産性を犠牲にすることなく製造可能な光源装置を提供することができる。
【0014】
本発明に係る光源装置の実施態様2では、上記の実施態様1において、
前記光源において、前記コリメートレンズの前記半導体レーザに対する取り付け位置が、前記コリメートレンズから平行光を出射させるためのレンズ取り付け位置からずれている。
【0015】
本実施態様によれば、各光源において、半導体レーザに対するコリメートレンズの位置をずらすことで、コリメートレンズから出射された光は平行光からずれるため、蛍光体上の集光領域での集光径を大きくしながらも、複数の半導体レーザの集光点位置ずれは小さくすることができる。
つまり、同一の筐体に備えられた半導体レーザの光は略同一位置に集光されるが、集光径の拡大により光密度を下げている。よって、集光領域の光密度を抑えることができるため、蛍光体からの出射光を効率よく利用することが可能となる。ただし、1つの筐体内の半導体レーザ1つ1つの集光点位置はわずかにしか変わらないため、全体として集光領域の面積拡大を適度に抑制できる。
また、光源装置の実施態様1及び2を組み合わせることにより、複数の筐体から出射された光は蛍光体上でそれぞれ異なる位置に集光され、かつ1つ1つの筐体からの光の集光径は大きいため、十分に光密度を低く抑えることができ、蛍光体の発光効率低下を十分に抑制することできる。
【0016】
本発明に係る光源装置の実施態様3では、上記の実施態様1または2において、
前記筐体において、前記光源が前記半導体レーザのファーフィールドパターンにおける短軸方向に整列しており、
前記筐体の取り付け角度は、前記ファーフィールドパターンの長軸を中心に回転する方向に角度が変えられている。
【0017】
本実施態様によれば、筐体において、各光源はファーフィールドパターンにおける短軸方向に整列しており、筐体の支持部材に対する取り付け角度は、ファーフィールドパターンの長軸を中心に回転する方向に角度が変えられるので、各光源から出射された光が互いに干渉することなく、適切に集光領域で光密度を抑えることができる。
【0018】
本発明に係る光源装置の実施態様4では、上記の実施態様1〜3の何れかにおいて、
前記筐体は同一の前記支持部材に固定されており、前記筐体の前記支持部材との取り付け面が傾斜している。
【0019】
本実施態様によれば、筐体の支持部材との取り付け面を傾斜させるだけで、確実に集光領域で光密度を抑えることができ、生産性を犠牲にすることなく製造が可能となる。
【0020】
本発明に係る光源装置の実施態様5では、上記の実施態様4において、
隣接する2つの前記筐体を前記支持部材に固定するとき、前記筐体からの出射光の略光軸方向を回転中心として、該隣接する2つの筐体を相対的に180度回転させて固定される。
【0021】
本実施態様によれば、支持部材との取り付け面が傾斜した同一形状の筐体を用いて、取り付ける角度を相対的に180度回転させて(言い換えれば、一定の回転方向において、180度度回転させて)固定することで、各筐体からの出射光の集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせることができる。よって、非常に簡単な構造を用いて、確実に集光領域で光密度を抑えることができる。
【0022】
本発明に係る光源装置の実施態様6では、上記の実施態様4において、
隣接する4つの前記筐体を前記支持部材に固定するとき、前記筐体からの出射光の略光軸方向を回転中心として、該隣接する2つの筐体を相対的に90度回転させて固定される。
【0023】
本実施態様によれば、支持部材との取り付け面が傾斜した同一形状の筐体を用いて、取り付ける角度を相対的に90度回転させて(言い換えれば、1つの筐体を基準に、一定の回転方向において、90度、180度、270度回転させて)固定することで、各筐体からの出射光の集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせることができる。よって、非常に簡単な構造を用いて、確実に集光領域で光密度を抑えることができる。
【0024】
本発明に係る光源装置の実施態様7では、上記の実施態様1〜3の何れかにおいて、
前記筐体は同一の前記支持部材に固定されており、前記支持部材の前記筐体の取り付け面が傾斜している。
【0025】
本実施態様によれば、支持部材の筐体の取り付け面が傾斜して形成することにより、各筐体からの出射光の集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせることができる。このため、一度支持部材をこのように形成すれば、筐体の形状が単純になるので、メンテナンス等で筐体を交換する場合にも、安価に容易に行うことができる。
【0026】
本発明に係る光源装置の実施態様8では、上記の実施態様4〜7の何れかにおいて、
前記筐体または前記支持部材の取り付け面の傾斜角度が、0.25〜2度である。
【0027】
本実施態様によれば、傾斜角度が0.25〜2度なので、集光領域の面積をむやみに大きくすることなく、光密度を抑えることができる。
【0028】
本発明に係る光源装置の実施態様9では、上記の実施態様1〜8の何れかにおいて、
前記支持部材が放熱部材である。
【0029】
本実施態様によれば、支持部材が放熱部材なので、筐体を効率的に冷却でき、かつ部品点数を抑制して、光源装置の小型化を促進することができる。
【0030】
本発明に係る光源装置の実施態様10では、上記の実施態様1〜9の何れかにおいて、
前記筐体からの出射光の波長帯域が、370〜500nmである。
【0031】
本発明に係る光源装置の実施態様11では、上記の実施態様1〜10の何れかにおいて、
蛍光体のうちの一つは、赤色光を含む光で発光する蛍光体である。
【0032】
本発明に係るプロジェクタの第1の実施形態では、上記の実施態様1〜11の何れかの実施形態の光源装置と、
画像データに基づいて、前記光源装置から出射された複数の波長帯域の光を順次変調して画像を形成する光変調手段と、
前記画像を拡大して投射する投射手段と、
を備えている。
【0033】
本実施態様によれば、蛍光体の発光効率低下をできる限り抑制し、かつ簡易な組立が実現して量産性を犠牲にすることなく製造可能なプロジェクタを提供することができる。
次に、本発明の光源装置及びこの光源装置を備えたプロジェクタについて、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
【0034】
(光源装置の概要の説明)
まず、
図1を参照しながら、本発明に係る光源装置の一実施形態について説明する。なお、
図1は、本発明の光源装置の1つの実施形態を示す
図1(a)は光源装置の模式図であり、
図1(b)は光源装置の軸説明図(
図1(a)の矢印A−Aからみた断面矢視図)である。
図1(a)に示すように、本実施形態の光源装置1は、光源部である筐体10、集光レンズ20、蛍光板ホイール30、受光レンズ40、回転駆動部50及び放熱板60を備える。
本実施形態では、筐体10から青色光が出射され、出射された青色光は集光レンズ20に入射し、集光レンズ20で集光されて(詳細は後述する)、回転駆動部50によって回転する蛍光板ホイール30に入射する。蛍光板ホイール30は、光が透過する材料で構成され、入射側表面に誘電体膜31が、出射側表面に蛍光体層32が同心円状に形成されている。更に詳細に述べれば、出射側表面に緑蛍光体領域、赤蛍光体領域及び青透過領域が同心円状に設けられている。緑蛍光体は青色光が入射すると緑色光を発し、赤蛍光体は青色光が入射すると赤色光を発する。よって、集光レンズ20から青色光が蛍光板ホイール30に入射すると、蛍光板ホイール30から時分割で、緑色光、赤色光及び青色光が出射され、受光レンズ40に入射する。そして、受光レンズ40で集光されて、光源装置1から出射される。
なお、本実施形態で用いる半導体レーザ12の波長は、370〜500nm内の光を発することが望ましく、420〜500nm内の光を発することが更に望ましい。
【0035】
支持部材である放熱板60の取り付け面に、複数の筐体10が取り付けられている。なお、
図1では、実線で1つの筐体10を示し、破線でその他の筐体10を示している。各々の筐体10において、青色光を出射する半導体レーザ12及びこの半導体レーザ12から出射された光を略平行光とするコリメートレンズ13を有する光源が、筐体の本体11に複数設けられて構成され、1つの筐体10の中で、各光源からの出射光が同じ向きの略平行光となるように配置されている。各筐体10は、筐体ごとに放熱板(支持部材)60に対する取り付け角度を異ならせて取り付けられている(
図1の実線で示した筐体10と破線で示した筐体10参照)。これにより、各筐体10からの出射光の光軸14は、集光レンズ20の光軸21と平行でなく、筐体10によって、それぞれ異なる入射角度で集光レンズ20に入射する。これにより、
図1の実線及び破線で示すように、集光レンズ20で蛍光板ホイール30の位置で集光されるが、各筐体10ごとに、それぞれ異なる位置に集光される。なお、
図1では、蛍光板ホイール30の入射側表面に設けられた誘電体膜31の表面位置で集光されるように描かれているが、誘電体膜31は非常に薄く、蛍光板ホイール30で光が集光されたり拡散されたりしないので、「蛍光体32上でそれぞれ異なる位置に集光される」ということができる。
筐体に関する実施形態の詳細な説明は後述する。
【0036】
上述のように、蛍光体ホイール30は、入射側表面に誘電体膜31が、出射側表面に蛍光体層32が同心円状に形成されている。
図5に蛍光体ホイールの模式図を示す。
図5(a)は蛍光体ホイールの入射側を、
図5(b)は蛍光体の出射側を示している。蛍光体ホイール30には、緑蛍光体領域、赤蛍光体領域及び青透過領域が設けられている。緑蛍光体領域は、入射側に、青色光を透過し緑色光を反射する誘電体膜31Gが形成されており、基板の出射側に、緑の波長帯域を有する蛍光体32Gが塗布されている。同様に、赤蛍光体領域には、入射側に、青色光を透過し赤色光を反射する誘電体膜31Rが形成されており、出射側に、赤の波長領域を有する蛍光体32Rが塗布されている。青色透過領域には、入射側に、青色光を透過する誘電体膜31Bが形成されており、出射側には蛍光体は塗布されていないが、入射側と同様に青色光を透過する誘電体膜32Bが形成されていてもよい。また、輝度ムラ及び色度ムラを改善するために、散乱体、例えばSiO
2やTiO
2、Ba
2So
4等の粒子が塗布されていることが望ましい。
【0037】
蛍光体ホイール30の緑及び赤蛍光体領域に形成されている誘電体膜31G、31Rは、青色光を透過し、かつそのそれぞれの領域の色に応じた波長を反射する膜とすることで、蛍光体32G、32Rから半導体レーザ12側に出射した蛍光体光を、受光レンズ40側に反射させることができ、これにより効率よく蛍光体光を利用することができる。
【0038】
蛍光体ホイール30の緑蛍光体領域に塗布されている蛍光体32Gは、波長帯域が約500〜560nmを含む緑色の蛍光を発生させることが望ましい。具体的な材料の一例としては、β−Si
6−ZAl
ZO
ZN
8−Z:Eu、Lu
3Al
5O
12:Ce、Ca
8MgSi
4O
16C
l2:Eu、Ba
3Si
6O
12N
2:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si
2O
2N
2:Euなどを挙げることができる。
【0039】
蛍光体ホイールの赤蛍光体領域に塗布されている蛍光体32Rは、波長帯域が600〜800nmを含む赤色の傾向を発生させることが望ましい。具体的な材料の一例としては、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、CaAlSiN
3:Eu、SrAlSiN
3:Eu、K
2SiF
6:Mnなどを挙げることができる。
【0040】
蛍光体ホイール30における、緑・赤蛍光体領域及び青色透過領域の割合は、任意に決定することができる。例えば、プロジェクタとして要求される白色の色度及び各蛍光体等の効率などから算出することができる。ここでは緑及び赤蛍光体領域緑をそれぞれ150度、青透過領域を60度としている。
また、本実施形態では、緑・赤・青の3領域としているが、4つ以上の領域としてもよい。青色と黄色による白色光領域や、緑・赤・青の領域を増やしてそれぞれ2つずつとしてもよい。
【0041】
蛍光体ホイール30は、光を透過させる透明な円板状の部材からなり、その中心は駆動体50の駆動軸50aに固定されている。ここで、蛍光体ホイール30の素材は、光の透過率が高い素材であれば、ガラス、樹脂、サファイア等を使用することができる。また、
図5(a)において”SP”で示す領域は、集光レンズ20によって集光された筐体10からの入射光が当たる領域(集光領域)を示している。更に、
図5(b)において”FL”で示す領域は、筐体10からの入射光よって蛍光体層が発光する領域(蛍光領域)を示している。
なお、蛍光体ホイール30の出射側に更に1枚の基板を加え、そこにバンドパスフィルターを設けてもよい(図示せず)。これにより、より純粋な緑や赤色を得ることができる。
【0042】
図1の説明に戻り、回転駆動部50は、ブラシレス直流モータであり、駆動軸50aと集光レンズ20の光軸21aとが平行になるように配置されている。また、駆動軸50aに対して蛍光体ホイール30の面が垂直となるように固定されている。回転駆動部50の回転速度は、再生する動画のフレームレート(1秒当たりのフレーム数。単位は[fps])に基づく回転速度となる。例えば、60[fps]の動画を再生可能とする場合、回転駆動部50(つまり蛍光体ホイール30)の回転速度は、毎秒60回転の整数倍に定めるとよい。
【0043】
蛍光体ホイール30から出射した光は、受光レンズ40により集光されて、光源装置1から出射される。この光源装置1をプロジェクタの光源として用いる場合、光源装置1からの出射光を、変調手段へと集光し、変調手段で形成された画像を投射手段で拡大してスクリーンに投射する。このとき変調手段で形成された画像サイズと、投射手段より投射される光の広がり角との関係から算出されるエタンデュー(Etendue)は、受光レンズ40のNA及び蛍光体の発光領域の大きさに影響する。
つまり、
(変調手段により形成された画像サイズ)×(投射角度)=(蛍光領域FL)×(受光レンズNA)
となる。よって、蛍光体の発光が略ランバーシアンであることから、受光レンズ40はできる限り高いNAであることが望ましい。また、蛍光領域FLは小さいことが望ましい。投射側のエタンデューよりも蛍光体側のエタンデューが大きい場合、その差分は効率低下となる。
【0044】
上述したとおり、受光レンズ40のNAが高いため、蛍光領域FLはできる限り小さいことが望ましい。しかしその場合、筐体10からの光密度が高くなってしまう。本実施形態においては、蛍光領域FLの大きさは2mm程度が望ましいため、筐体10からの光は、集光領域SPの大きさとして2mm以下が望ましい。なおこの形状は、個々の筐体10の集光領域の大きさではなく、複数の筐体10を取り付けた状態での、全体の集光領域の大きさである。
【0045】
(筐体の説明)
次に、
図1から
図3を用いて、本発明の一実施形態に係る筐体の説明を行う。この筐体に関する説明では、各々の筐体の放熱板(支持部材)60に対する取り付け角度を異ならせることで、筐体10からの出射光の集光レンズ20の光軸に対する入射角度を異ならせる第1の実施形態の説明と、コリメートレンズ13の半導体レーザ12に対する取り付け位置を、コリメートレンズ13から平行光を出射させるためのレンズ取り付け位置(焦点位置)からずらす第2の実施形態の説明とを含む。
【0046】
(第1の実施形態の説明)
はじめに、筐体に関する本発明の第1の実施形態について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1(a)に示すように、半導体レーザ12から出射された拡散光のファーフィールドパターンにおける短軸(X軸)方向に、半導体レーザ12が整列しており、筐体10の取り付け角度は、ファーフィールドパターンの長軸(Y軸)を中心に回転する方向に角度が変えられている。
図1(a)では、垂直方向がY軸方向となる。ここで、
図1(a)の矢印A−Aから見た断面矢視図である軸説明図(
図1(b)参照)に、ファーフィールドパターンにおける短軸(X軸)及び長軸(Y軸)を示す。
なお、
図1(a)では、短軸(X軸)方向に4つの光源(半導体レーザ12とコリメートレンズ13の対)が並んでいるが、1列の場合だけではなく、
図2に示すように、4つの光源が短軸(X軸)方向に並んだ列が2列ある形態でもよく、さらに3列以上ある形態でもよい。
【0047】
上述のように、筐体10の取り付け角度は、出射光が集光レンズ20の光軸21に対して平行に入射する角度から、長軸(Y軸)を中心とした回転方向において角度が変えられている。よって、筐体10から出射された光は、取り付け角度(傾斜角度)に相当する入射角で集光レンズ20に入射する。つまり取り付け角度(傾斜角度)だけ、光軸21に対して角度をつけて集光レンズ20に入射する。この取り付け角度(傾斜角度)、つまり入射角度(集光レンズ20の光軸21に対する角度)としては、絶対値で0.25〜2度が望ましい。
もし、筐体10から出射された光が、集光レンズ20の光軸21に対して平行に入射した場合には、光軸21上の点に集光されるが、所定の入射角度で集光レンズ20に入射する場合には、
図1(a)に示すように、異なる位置に集光する。よって、各筐体10の取り付け角度を異ならせれば、全て異なる位置に集光する。しかし、傾斜角度が絶対値で0.25〜2度の範囲であれば、蛍光ホイール30(蛍光体)における集光領域SP(
図5(a)参照)の面積が大きくなりすぎることはない。
【0048】
次に、
図2を用いて、筐体10を傾けて支持部材である放熱板60に取り付ける一実施態様を説明する。
図2(a)では、短軸(X軸)方向(図で上下方向)に4つの光源が並んだ列が2列ある筐体10が2つ隣接して配置されており(M及びN参照)、M及びNで示された2つの筐体10は放熱板60の取り付け面に対して傾斜は付けられていない。つまり、
図2(a)の矢印B−Bから見た側面形状のように、筐体10は矩形の側面形状を有しており、放熱板60の取り付け面に対して、筐体10の取り付け面及び出射面は平行に配置されている。よって、放熱板60の取り付け面が、集光レンズ20の光軸21に対して垂直に配置されていれば、筐体10から、集光レンズ20の光軸21と平行な方向に光が出射される。この場合の集光レンズ20により集光された集光領域SPにおける集光点形状(M’及びN’参照)及びその光強度分布(断面光強度)を示すグラフを、
図3(a)に示す。なお、Mで示す筐体10からの集光点形状MとNで示す筐体10からの集光点形状N’とは重なり合っている。このグラフから明らかなように、筐体10から出射された光は、1点に集光されるので、短軸(X軸)方向及び長軸(Y軸)方向ともに高い光ピーク強度を示し、集光領域SPの光密度が高くなっていることがわかる。
【0049】
図2の説明に戻り、
図2(b)では、短軸(X軸)方向(図で上下方向)に4つの光源が並んだ列が2列ある、P及びQで示された筐体10が2つ隣接して配置されている。P及びQで示された各筐体10は、同じ形状を有しており、放熱板60へ取り付ける取り付け面が傾斜した側面形状を有している。ここで、Pで示した筐体10を例に説明すると、
図2(b)の矢印C−Cから見た側面形状のように、筐体10は放熱板60への取り付け面が所定の角度だけ傾斜した形状を有している。なお、この傾斜する角度は、上述のように0.25〜2度が望ましいが、
図2ではそれよりも傾斜を強調して表してある。これにより、放熱板60の取り付け面が集光レンズ20の光軸21に対して垂直に配置されている場合、Pで示す筐体10から出射した光は、集光レンズ20の光軸21に対して、所定の傾斜角に相当する入射角で入射する。つまり所定の角度だけ、光軸21に対して角度をつけて集光レンズ20に入射する。集光レンズ20の光軸21の方向と一致する図面に対して垂直な方向と比べると、下側に傾いて光が出射されることになる。
一方、同じ形状(取り付け面が所定の角度だけ傾斜した形状)を有している、隣接したQで示される筐体10は、筐体10からの出射光の略光軸方向を回転中心として、隣接するPで示す筐体10に対して相対的に180度回転させた位置で固定される。これにより、集光レンズ20の光軸21の方向と一致する図面に対して垂直な方向と比べると、上側に傾いて光が出射されることになる。集光レンズ20の光軸21に対しては、所定の角度に相当する入射角で入射する(つまり所定の角度だけ、光軸21に対して角度をつけて集光レンズ20に入射する)。
【0050】
この場合の集光レンズ20で集光された集光領域SPにおける集光点形状(P’及びQ’参照)及びその光強度分布(断面光強度)を示すグラフを、
図3(b)に示す。Pで示される筐体20からの光が図面で下側の位置に集光されて集光点形状P’を形成し、Qで示される筐体20からの光が図面で上側の位置に集光されて集光点形状Q’を形成する。筐体10から出射された光は、1点に集光されることなく、2カ所に分散して集光されるので、
図3(b)のグラフから明らかなように、短軸(X軸)方向で2つのピークを持つ光強度分布となり、
図3(a)の場合に比べて、光ピーク強度が低くなっている。
なお、
図3(a)に示す集光点位置を1つにした場合の元の光ピーク強度をPoとすると、
図3(b)の場合のピーク強度は、
P=Po/(集光点位置数=2)
となる。つまり、元の光ピーク強度Poを集光点位置の数で割った数値となるため、本例においては半分の光ピーク強度となる。
また、長軸(Y軸)方向でほぼ均一な光強度分布となる。よって、傾いて取り付けられていない
図2(a)に示す筐体10に比べて、集光領域SPの光密度が低くなっている。ただし、長軸(Y軸)方向においては、PとQの距離に応じて、ガウス分布となることがある。
【0051】
図2の説明に戻り、
図2(c)では、短軸(X軸)方向(図で上下方向)に2つの光源が並んだ列が2列ある、R、S、T及びUで示された筐体10が4つ隣接して配置されている(R、S、T及びU参照)。R、S、T及びUで示された各筐体10は、同じ形状を有しており、放熱板60へ取り付ける取り付け面が所定の角度傾斜した側面形状を有している。そして、Rで示される筐体10を基準にすれば、S、T、Uの順に、筐体10からの出射光の略光軸方向を回転中心として、相対的に反時計周りに、90度、180度、270度回転させた位置で固定される。よって、放熱板60の取り付け面が集光レンズ20の光軸21に対して垂直に配置されている場合、Rで示される筐体10から、集光レンズ20の光軸21の方向と一致する垂直な方向と比べると、下側に傾いて光が出射され、Sで示される筐体10から、垂直な方向と比べると、右側に傾いて光が出射されることになり、Tで示される筐体10から、図面に対して垂直な方向と比べると、上側に傾いて光が出射され、Uで示される筐体10から、図面に対して垂直な方向と比べると、左側に傾いて光が出射されることになる。何れの場合も、各筐体10から出射した光は、集光レンズ20の光軸21に対して、所定の角度に相当する入射角で入射する(つまり所定の角度だけ、光軸21に対して角度をつけて集光レンズ20に入射する)。
【0052】
この場合の集光レンズ20により集光された集光領域SPにおける集光点形状(R’、T’、S’及びU参照)及びその光強度分布(断面光強度)を示すグラフを、
図3(c)に示す。Rで示される筐体20からの光が図面で下側の位置に集光されて集光点形状R’を形成し、Sで示される筐体20からの光が図面で右側の位置に集光されて集光点形状S’を形成し、Tで示される筐体20からの光が図面で上側の位置に集光されて集光点形状T’を形成し、Uで示される筐体20からの光が図面で左側の位置に集光されて集光点形状U’を形成する。よって、筐体10から出射された光は、1点に集光されることなく、4つの領域(R’、T’、S’及びU’)に分散して集光されるので、
図3(c)のグラフから明らかなように、短軸(X軸)方向及び長軸(Y軸)方向で、それぞれ2つのピークを持つ光強度分布となる。なお、
図3(a)に示す集光点位置を1つにした場合の元の光ピーク強度をPoとすると、
図2(c)の場合のピーク強度は、
P=Po/(集光点位置数=4)
となる。つまり、元の光ピーク強度Poを集光点位置の数で割った数値となるため、本例においては1/4の光ピーク強度なる。
よって、
図2(a)に示す実施形態に対応する
図3(a)に比べて非常に低い光ピーク強度となり、
図2(b)に示す実施形態に対応する
図3(b)と比べてもより低い光強度となる。よって、傾いて取り付けられていない
図2(a)に示す筐体10に比べて、集光領域SPの光密度が非常に低くなっている。
なお、
図2(c)に示す実施形態(
図3(c)のグラフ参照)において、最も光密度が低くなっているが、
図2(b)に示す実施形態(
図3(b)のグラフ参照)においても、
図2(a)に示す場合(
図3(a)のグラフ参照)に比べて、十分光密度が低くなっており、蛍光体の発光効率低下を十分抑制することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、複数の筐体が同一の放熱板(取り付け部材)60に固定される場合に、放熱板(取り付け部材)60に対する取り付け角度が異なっているので、集光レンズ20の光軸21に対する入射角度がそれぞれ異なる。よって、複数の筐体10から出射された光は、集光レンズ20により蛍光体ホイール30上に集光されるが、蛍光体上でそれぞれ異なる位置に集光される。従って、集光領域SPにおける光密度を抑えることができるため、蛍光体からの出射光を効率よく利用することが可能となる。
また、筐体10の放熱板(取り付け部材)60に対する取り付け角度を異ならせるだけで、これを実現できるので、生産性を犠牲にすることなく製造が可能となる。
このため、蛍光体の発光効率低下をできる限り抑制し、かつ簡易な組立が実現して量産性を犠牲にすることなく製造可能な光源装置1を提供することができる。
【0054】
また、筐体10において、各光源はファーフィールドパターンにおける短軸(X軸)方向に整列しており、筐体10の取り付け角度は、ファーフィールドパターンの長軸(Y軸)を中心に回転する方向に角度が変えられているので、各光源から出射された光が互いに干渉することなく、適切に集光領域SPで光密度を抑えることができる。
【0055】
更に、筐体10の放熱板(取り付け部材)60との取り付け面を傾斜させるだけで、確実に集光領域SPでの光密度を抑えることができ、生産性においても犠牲にすることなく製造が可能となる。
【0056】
特に、放熱板(取り付け部材)60との取り付け面が傾斜した同一形状の筐体10を用いて、取り付ける角度を相対的に180度回転させて(言い換えれば、一定の回転方向において、180度回転させて)固定することで、各筐体からの出射光の集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせることができる。よって、非常に簡単な構造を用いて、確実に集光領域SPで光密度を抑えることができる。
【0057】
特に、放熱板(取り付け部材)60との取り付け面が傾斜した同一形状の筐体10を用いて、取り付ける角度を相対的に90度回転させて(言い換えれば、1つの筐体を基準に、一定の回転方向において、90度、180度、270度回転させて)固定することで、各筐体からの出射光の集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせることができる。よって、非常に簡単な構造を用いて、確実に集光領域SPで光密度を抑えることができる。
【0058】
また、筐体10の放熱板(取り付け部材)60との取り付け面に対する傾斜角度が、0.25〜2度とすれば、集光領域SPの面積をむやみに大きくすることなく、光密度を抑えることができる。
【0059】
更に、支持部材として、放熱板60を用いているので、筐体10を効率的に冷却することが可能で、かつ部品点数を抑制して、光源装置1の小型化を促進することができる。
【0060】
<第1の実施形態における変形例の説明>
なお、上述の実施形態では、筐体10の放熱板60への取り付け面を傾斜させているが、これに限られるものではなく、支持部材である放熱板60の筐体10の取り付け面を傾斜させて、各筐体からの出射光の集光レンズの光軸に対する入射角度を異ならせることができる。この場合、筐体10の取り付け面側は傾斜しておらず、矩形の側面形状を有することができる。
このため、一度、支持部材である放熱板60をこのように形成すれば、筐体10の形状が単純になるので、メンテナンス等で筐体10を交換する場合にも、安価に容易に行うことができる。
【0061】
なお、上述の実施形態では、放熱板60を筐体10を取り付ける支持部材としたが、これに限られるものではなく、用途に応じて、他の任意の部材を支持部材とすることができる。
【0062】
(第2の実施形態の説明)
次に、筐体に関する本発明の第2の実施形態について、
図4を用いて説明する。本実施形態では、光源1において、コリメートレンズ13の半導体レーザ12に対する取り付け位置が、コリメートレンズ13から平行光を出射させるためのレンズ取り付け位置からずれて配置されている。
図4(a)には、コリメートレンズ13から平行光を出射させる焦点位置に配置された場合を示す。
図4(b)は、コリメートレンズ13を焦点位置から0.2mm程度半導体レーザ12側に移動させて配置した場合を示す。つまり、コリメートレンズ13の焦点位置に半導体レーザ12が配置されている場合に比べて、両者の距離が0.2mm程度短くなっている。なお、
図4(a)、(b)のどちらの場合も、
図1及び
図2を用いて説明した筐体10を放熱板(支持部材)60に対して所定の角度だけ傾けて取り付けた構造で示している。
コリメートレンズ13を焦点位置からずれ量は、0.1〜0.5mmが望ましく、
図4(b)では、半導体レーザ13側にずれているが、逆に集光レンズ20側にずれている場合もあり得る。
【0063】
図4(a)及び(b)に示す配置において、集光レンズ20により集光された集光領域SPにおける集光点形状及びその光強度分布(断面光強度)を、
図4(c)及び(d)に示す。
図4(c)には、コリメートレンズ12を焦点位置に配置した場合の集光点形状及び光強度分布(断面光強度)を示し、
図4(d)には、コリメートレンズ12を焦点位置からずれて配置した場合の集光点形状及び光強度分布(断面光強度)を示す。
図4(c)に示すコリメートレンズ12を焦点位置に配置した場合と、
図4(d)に示すコリメートレンズ12を焦点位置からずらして配置した場合とを比較すると、
図4(d)のような、焦点位置からずらして配置した場合には、
図4(c)の場合に比べて、集光領域SPでの光の面積は大きくなり、かつ光ピーク強度も低くなっている。
【0064】
ここでPoを、コリメートレンズ13を焦点位置に配置した場合の集光領域SPにおける光ピーク強度とすると、コリメートレンズ13を焦点位置からずらした場合の集光領域SPにおける光ピーク強度P‘は、
P‘=Po/(πr2/πr
02)
となる。ここでrはコリメータレンズ13を焦点位置に配置した場合の集光領域SPにおける集光径の半径であり、r
oはコリメータレンズをずらして配置した場合の集光領域SPにおける集光径の半径である。
図4(c)における集光径の半径は0.1mm程度であり、
図4(d)における集光径の半径は1mm程度であるため、光ピーク強度は、コリメータレンズ13を焦点位置からずらして配置した場合には、コリメータレンズ13を焦点位置に配置した場合と比べて1/100程度となる。
【0065】
図4(a)及び(c)に示す場合であっても、筐体10を放熱板(支持部材)60に対して所定の角度だけ傾けて取り付けた構造なので、複数の筐体10による集光領域SPにおける光密度を抑えることができるが、
図4(b)及び(d)に示す場合には、下記のように、更に光密度を抑えることができる。
各光源において、半導体レーザ12に対するコリメートレンズ13の位置を焦点位置からずらす場合には、コリメートレンズ12からの光は平行光からずれるため、蛍光体の集光点での集光径を大きくすることができ、かつ複数個の半導体レーザ12の集光点位置ずれは小さくすることができる。
つまり、同一の筐体10に備えられた半導体レーザの光は略同一位置に集光されるが、集光径の拡大により光密度を下げることができる。よって、蛍光体からの出射光を効率よく利用することが可能となる。ただし、1つの筐体10内の半導体レーザ1つ1つの集光点位置はわずかにしか変わらないため、全体として集光領域SPの拡大を適度に抑制できる。
【0066】
(第1及第2の実施形態の組み合わせに関する説明)
次に、筐体10の取り付け角度を異ならせた本発明の第1の実施形態と、コリメートレンズ13を焦点位置からずらして配置した本発明の第2の実施形態とを組み合わせた場合の蛍光体の出力について、
図6のグラフを用いて説明する。
図6のグラフは、蛍光体の光出力と光源部10の励起光出力との関係を示す。(A)に示す点線は、
図2(a)に示す傾斜が付いていない形態と
図4(b)に示すコリメートレンズが焦点位置からずれて配置されている形態とを組み合わせた形態の蛍光体出力を示し、(B)に示す一点鎖線は、
図2(b)に示す傾斜及び回転させた形態と
図4(b)に示すコリメートレンズが焦点位置からずれて配置されている形態とを組み合わせた形態の蛍光体出力を示し、(C)に示す実線は、
図2(c)に示す傾斜及び回転させた形態と
図4(b)に示すコリメートレンズが焦点位置からずれて配置されている形態を組み合わせた形態の蛍光体出力を示し、(D)に示すピッチが密な点線は、
図2(a)に示す傾斜のない形態と
図4(a)に示すコリメートレンズが焦点位置に配置されている形態とを組み合わせた形態の蛍光体出力を示す。
【0067】
(D)のピッチが密な点線で示す、コリメートレンズが焦点位置に配置されかつ
図2(a)に示す傾斜が付いていない形態においては、励起出力を上げていくと、蛍光体出力はピークを迎えて、逆に減少していく。(A)の点線で示す、コリメートレンズが焦点位置からずれて配置されているが、
図2(a)に示す傾斜が付いていない形態においては、
図4(b)に示すような効果はあるが、励起出力を上げていくと、蛍光体出力も上昇するが徐々に飽和していく。
一方で、(B)の一点鎖線または(C)の実線で示す、コリメートレンズが焦点位置からずれて配置され、
図2(b)または(c)に示す傾斜及び回転させた形態においては、
図4(b)に示すような効果に加えて、
図3(b)、(c)に示すような効果により、傾斜及び回転蛍光体出力の飽和を抑制し、光源部10からの光の出力が高い場合においても、効果的に蛍光体を使用することができる。これは、集光領域SPにおける光密度を低く抑えることができるので、蛍光体の発光効率低下を抑制するからである。(B)の一点鎖線のグラフ及び(C)の実線のグラフを比べると、
図2(c)及び
図3(c)に対応する(C)の実線に示す形態の方が、より効果的に蛍光体を使用することができるが、
図2(b)及び
図3(b)に対応する(B)の一点鎖線に示す形態であっても、従来に比べ、蛍光体出力に関する優れた性能を発揮することは明らかである。
【0068】
よって、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態を組み合わせることにより、複数の筐体10から出射された光は蛍光体上でそれぞれ異なる位置に集光され、かつ1つ1つの筐体10からの光の集光径は大きいため、十分に光密度を低く抑えることができ、蛍光体の発光効率低下を十分に抑制することできる。
【0069】
以上のように、本発明の実施形態における光源装置1では、光源部10の取り付け面を傾斜させかつ回転させて配置させることにより、複数の光源部10の集光点位置をそれぞれずらして、蛍光体の集光領域での光密度を低減することができる。更に、コリメートレンズ13の位置をずらすことにより、蛍光体の集光領域SPでの形状を、エタンデューを犠牲にすることなく大きくして、光密度を下げることができる。これにより、蛍光体の光変換効率の低下を抑制し、効率的に蛍光体を使用することができる。更に、同一形状の筐体10の配置を変えて組み込むことが可能であり、量産性を犠牲にすることもない。
【0070】
なお、筐体10の数は、上述の実施形態に限定されるものではなく、少なくとも2つ以上であれば任意の個数でよく、筐体10内の半導体レーザ12の数についても、少なくとも2つ以上であれば任意の個数でよい。また、上述の実施形態では、コリメートレンズ13は1つの半導体レーザ12に1つとなっているが、例えば、レンズアレイでもよい。
【0071】
(本発明のプロジェクタの説明)
次に、
図7を用いて、上述の実施形態で示した光源装置1を、いわゆる1チップ方式のDLPプロジェクタにおける光源装置として用いる場合を説明する。なお、
図7は、上述の実施形態で示した光源装置1を備えたプロジェクタ100の構成を示すための模式図であって、光源装置1やプロジェクタ100を上から見た模式的な平面図である。
図7に示された光源装置1の2つの筐体10は、上側に傾いて配置された筐体10と下側に傾いて配置された筐体10とが隣接して配置されており、これにより、2つの筐体10からの出射光の集光レンズ20の光軸に対する入射角度を異ならせている。なお、筐体10は2つに限られるものではなく、上述のように、任意の数の筐体10を備えることができる。
図7において、光源装置1から出射された光は、光空間変調器であるDMD(Digital Micromirror Device)素子110で反射され、投射手段である投射レンズ120によって集光されて、スクリーンSCに投影される。DMD素子は、スクリーンに投影された画像の各画素に相当する微細なミラーをマトリックス状に配列したものであり、各ミラーの角度を変化させてスクリーンへ出射する光を、マイクロ秒単位でオン/オフすることができる。
また、各ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、投射レンズへ入射する光の階調を変化させることにより、投影する画像の画像データに基づいた階調表示が可能になる。
【0072】
なお、本実施形態では、光変調手段としてDMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。また、本発明に係る光源装置1及びこの光源装置1を用いたプロジェクタは、上述した実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
【0073】
本発明の実施の形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。