(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、例えば、カーボンナノチューブなどの微細なサイズの繊維状炭素ナノ構造体を製造するために用いることができる。そして、本発明の製造方法に従えば、繊維状炭素ナノ構造体を高収率で効率的に製造することができ、繊維状炭素ナノ構造体の製造コストを軽減することができる。
【0018】
(繊維状炭素ナノ構造体の製造方法)
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、流動床法を用いており、粒子状の担体と当該担体の表面に担持された触媒とを有する触媒担持体を流動させた反応場に原料ガスを供給することにより、触媒担持体が有する触媒上に繊維状炭素ナノ構造体を生成する工程を有する。また、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法に用いる原料ガスは、少なくとも所定の2種類の成分(二重結合含有炭化水素および二酸化炭素)を含み、かつ当該2種類のうちの1種類の成分(二酸化炭素)の供給量が所定割合以上であることを特徴とする。
そして、流動床法を用いた本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法では、原料ガスが二重結合含有炭化水素および所定以上の含有割合の二酸化炭素を含んでいるため、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を、高い効率で製造することができる。加えて、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法では、通常、所定の成分(二酸化炭素)を所定量以上に比較的多量に添加するため、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を低コストで製造することができる。
【0019】
<原料ガス>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法で用いる原料ガスは、二重結合含有炭化水素および所定の含有割合の二酸化炭素を含むことを特徴とする。また、原料ガスは、上記二重結合含有炭化水素および二酸化炭素以外のその他の炭素原料、その他のガス成分を更に含んでも良い。
【0020】
<<二酸化炭素>>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法で用いる原料ガスは、二酸化炭素を所定の割合以上含む。二酸化炭素は、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を合成する原料ガスに、添加成分として含まれる。そして、二酸化炭素は、繊維状炭素ナノ構造体の合成において、触媒が炭化失活することを抑制し、その結果、後述する炭素原料としての二重結合含有炭化水素を高濃度に供給することを可能にする添加成分である。従って、原料ガスに二酸化炭素を所定量以上添加することにより、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素源を反応場に多量に流通させることができるため、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を効率的に合成することができる。
【0021】
[含有割合]
ここで、二酸化炭素の含有割合は、原料ガスの全体積に対して0.3体積%以上であることを必要とする。また、二酸化炭素の含有割合は、原料ガスの全体積に対して0.5体積%以上であることが好ましく、0.9体積%以上であることがより好ましく、40体積%以下であることが好ましく、25体積%以下であることがより好ましく、5体積%以下であることが更に好ましい。二酸化炭素の含有割合が上記下限以上であれば、触媒の炭化失活を良好に抑制して、炭素原料としての二重結合含有炭化水素を十分に高濃度で供給することができる。また、二酸化炭素の含有割合が上記上限以下であれば、二酸化炭素を過度に添加することなく炭素原料としての二重結合含有炭化水素を十分に高濃度で供給することができる。その結果、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を高い収率で製造することができる。また、炭素原料としての二重結合含有炭化水素を十分に高濃度で供給するということは、後述するように、繊維状炭素ナノ構造体の合成反応に寄与しないガス成分の供給濃度を十分に低減することに繋がるため、繊維状炭素ナノ構造体の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0022】
更に、繊維状炭素ナノ構造体の合成反応に寄与しないガス成分の供給濃度を十分に低減した場合、反応場への原料ガスの総流量を低く抑えることができるため、反応場の高い温度を維持し易く、スケールアップ、繊維状炭素ナノ構造体の大量合成化に適した繊維状炭素ナノ構造体の製造方法を提供することができると考えられる。
なお、上述のように二酸化炭素を約パーセントオーダーの比較的高濃度で供給できるということは、例えば、ppmオーダーの比較的低濃度で供給する場合に対して微量制御の必要がなく、製造の容易性およびスケールアップの観点からも望ましい条件である。
【0023】
ここで、二酸化炭素を上記所定の含有割合以上で原料ガスに添加することにより触媒の炭化失活を良好に抑制できる理由は明らかではないが、以下の通りであると推察する。
即ち、繊維状炭素ナノ構造体は、触媒上で炭素原料を分解し、触媒中に分解された炭素を取り込ませ、触媒中の飽和濃度を超えた炭素が触媒から析出することにより形成される。ここで、上記飽和濃度を超える程度、即ち過飽和度が大きいほど、繊維状炭素ナノ構造体は速く析出する。しかし同時に、過飽和度が大きいほど触媒表面に炭素被膜が形成されて触媒が炭化失活する可能性も高まる。ここで、二酸化炭素は、CO
2 + C → 2CO(なお、当該化学反応は可逆反応である。)で表される通り炭素と反応し、一酸化炭素を生じることが知られている。従って、二酸化炭素を反応場に供給することで、触媒表面の炭素被膜が除去されるため、触媒の活性が良好に維持されると考えられる。
【0024】
<<二重結合含有炭化水素>>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法で用いる原料ガスは、二重結合含有炭化水素を含む。二重結合含有炭化水素は、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を合成する炭素原料(炭素源)としての役割を担う。
なお、原料ガスには、本発明の所望の効果の発現を阻害しない範囲で、上記二重結合含有炭化水素以外のその他の炭素原料を含めてもよい。
【0025】
[含有割合]
原料ガスに含まれる二重結合含有炭化水素の含有割合は、特に制限されないが、原料ガスの全体積に対して4体積%以上であることが好ましく、8体積%以上であることがより好ましく、10体積%以上であることが更に好ましく、16体積%以上であることが一層好ましい。二重結合含有炭化水素の含有割合を上記下限以上にすれば、炭素原料を高濃度に供給することができ、反応場の全体または大部分を合成反応に活用できるため、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体をより効率的に合成することができるからである。ここで、二重結合含有炭化水素は、例えば三重結合含有炭化水素と比較して低活性であるため、高濃度に供給しても触媒の炭化失活を抑制することができる。従って、二重結合含有炭化水素は、例えばアセチレンなどの三重結合含有炭化水素と比較して、反応場内に、より高濃度で供給することができ、かつ、より長い時間滞留することができるため、繊維状炭素ナノ構造体のより高い製造効率に寄与する。また、炭素原料としての二重結合含有炭化水素を高濃度に供給すれば、一般的に、二重結合含有炭化水素は、炭素数が等しい三重結合含有炭化水素よりも低コストであること、および、繊維状炭素ナノ構造体の合成反応に寄与しないその他のガス成分の供給濃度を低く抑えることができるため、製造コストの大幅な削減に寄与することが考えられる。
なお、原料ガスに含まれる二重結合含有炭化水素の含有割合は、特に制限されないが、触媒の炭化失活を良好に抑制する観点からは、例えば、原料ガスの全体積に対して60体積%以下とすることができる。
【0026】
[種類]
二重結合含有炭化水素としては、特に制限されることなく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテンおよびその異性体、ブタジエン、ペンテンおよびその異性体、ペンタジエンなどが挙げられる。これらの中でも、繊維状炭素ナノ構造体の合成、成長に十分な高い活性を有し、かつ、触媒失活を抑制し得る適度な反応活性を有する観点からは、分子中に二重結合を1個有する二重結合含炭化水素が好ましく、炭素数が3以下の二重結合含炭化水素がより好ましく、エチレンが更に好ましい。
また、エチレンとしては、エチレンのみからなる純エチレン;エチレンとその他任意の炭化水素を含む低純度エチレン;などが挙げられるが、製造コストを低減する観点からは、低純度エチレンを用いることが有利である。ここで、エチレンと併存し得る上記その他任意の炭化水素としては、特に限定されることなく、メタン、エタン、プロパンなどのアルカン、プロピレンなどのアルケンが挙げられる。
【0027】
<<その他の炭素原料>>
また、二重結合含有炭化水素以外のその他の炭素原料としては、特に制限されることなく、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどのアルカン;アセチレン、プロピン、ブチンなどのアルキンが挙げられる。従って、上述した低純度エチレン中にエチレンと併存し得るその他任意の炭化水素は、当該二重結合含有炭化水素以外のその他の炭素原料として原料ガスに含まれていても良い。
ここで、その他の炭素原料としてアルカンを二重結合含有炭化水素と併用する場合は、アルカンの含有割合は、二重結合含有炭化水素の含有割合と同程度に加えることができる。また、その他の炭素原料としてアルキンを二重結合含有炭化水素と併用する場合は、アルキンの含有割合は、原料ガスの全体積に対して3体積%以下であることが好ましく、0.3体積%以下であることがより好ましく、0体積%に近いこと(つまり、実質的にその他の炭素原料を含まないこと)が更に好ましい。その他の炭素原料の含有割合が上記上限以下であれば、二重結合含有炭化水素が寄与する炭素原料の高濃度供給、および触媒炭化失活の抑制などの効果を十分に発揮させることができるからである。
【0028】
<<その他のガス成分>>
原料ガスが含み得る、上記二重結合含有炭化水素および二酸化炭素以外のその他のガス成分としては、反応場への原料ガスの供給、並びに、反応場中での原料ガス及び触媒の流通、流動を担うキャリアガス等が挙げられる。
【0029】
[キャリアガス]
キャリアガスとしては、特に限定されることなく、例えば、窒素ガス(N
2)、アルゴンガス(Ar)などの不活性ガス;水素ガス(H
2);などが挙げられる。ここで、水素ガスは、触媒の還元作用やタールの生成抑制作用を発現しうる。なお、水素ガスは炭素原料の分解によっても副生しうる。
【0030】
[[含有割合]]
ここで、原料ガス中に含み得るキャリアガスの体積含有割合は、二重結合含有炭化水素の体積含有割合に対して10倍以下であることが好ましく、7倍以下であることがより好ましく、5倍以下であることが更に好ましく、通常1倍以上であるが、キャリアガスを用いなくても良い。二重結合含有炭化水素の体積含有割合に対するキャリアガスの体積含有割合(キャリアガス/二重結合含有炭化水素)が上記上限以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の合成反応に寄与しないガス成分の供給量を大幅に抑制して炭素原料の供給量を増大することができるため、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を更に効率良く製造できるからである。また、繊維状炭素ナノ構造体の合成反応に寄与しないガス成分の供給量を大幅に抑制することにより、繊維状炭素ナノ構造体の製造コストを更に削減するとともに、原料供給の総流量を低く抑えることにより、反応場を高温に維持し易くスケールアップに適した製造方法を提供することができるからである。
なお、原料ガス中にキャリアガスを含まない場合は、上記二重結合含有炭化水素および/または二酸化炭素がキャリアガスの役割を担うことができる。
【0031】
また、原料ガス中の二重結合含有炭化水素および二酸化炭素の含有比(二重結合含有炭化水素の体積含有割合/二酸化炭素の体積含有割合)は、3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、7倍以上であることが更に好ましく、15倍以上であることが一層好ましく、70倍以下であることが好ましく、50倍以下とすることができる。二重結合含有炭化水素および二酸化炭素の含有比が上記下限以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素原料をより高濃度に供給することができるため、繊維状炭素ナノ構造体の製造の更なる高効率化および低コスト化を両立することができるからである。また、二重結合含有炭化水素および二酸化炭素の含有比が上記上限以下であれば、二酸化炭素の寄与により、触媒の炭化失活を十分に抑制することができるため、繊維状炭素ナノ構造体の製造の更なる高効率化を実現できるからである。
【0032】
<<総流量Fと流速v>>
原料ガスを反応場へ供給する総流量Fは、特に制限されることなく、原料ガスを反応場へ供給する流速vと反応管断面積Sとの積で決まる。また、流速vも特に制限されることなく、例えば、用いる触媒担持体の粒子径が100μm〜500μm程度である場合は、0.03m/s以上3m/s以下とすることができる。ここで、3m/s以下と低めの流速を設定できるのは、比較的活性の低い二重結合含有炭化水素を炭素原料として用いているためである。また、原料ガスの流速を3m/s以下と低めに抑制することにより、上述した通り、反応場の反応温度が維持し易くなるため、より大量合成に適した製造方法を提供することができる。更に、原料ガスの流速を3m/s以下と低めに抑制することにより、流動している触媒が反応管の外に吹き飛ばされてしまうリスクを低くすることができるため、後述する触媒として比較的小さなサイズの触媒を使用することができる。
【0033】
<<滞留時間>>
また、原料ガスが反応場に留まる滞留時間は、特に制限されることなく、例えば、用いる反応容器の長さが0.3m〜5m程度である場合は、0.5秒以上50秒以下とすることができる。ここで、例えば50秒と長めの滞留時間まで設定できるのは、原料ガス中に二酸化炭素を高濃度に添加することにより、炭素原料としての二重結合含有炭化水素も高濃度に供給することができるからである。そして、高濃度の炭素原料を十分な時間に亘って触媒担持体と接触させることにより、繊維状炭素ナノ構造体を更に効率的に合成することができる。
【0034】
<触媒担持体>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法に用いる触媒担持体は、粒子状の担体と当該担体の表面に担持された触媒とを有する。
ここで、触媒担持体は、反応場内において繊維状炭素ナノ構造体の合成および成長の仲介、促進、効率化などの働きをする。そして、触媒担持体は、特に限定されることなく、表面において、供給された原料ガスから二重結合含有炭化水素などの炭素原料を取り込み、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を吐き出す役割を担う。より具体的には、例えば、触媒が微細な粒子状の形状を有する場合は、触媒粒子それぞれが、当該触媒粒子のサイズに応じた径を有するチューブ状などの構造を作りながら炭素を生成し続けることにより、触媒担持体が有する触媒上で繊維状炭素ナノ構造体が合成および成長される。
【0035】
<<担体>>
ここで、担体は、任意の材質からなる粒子形状を有し、当該担体表面に触媒を付着、固定、成膜、または形成などして担持するための母体構造を成す部分である。このように、担体が粒子状であれば、通常、触媒担持体も粒子状となるため、流動床法において触媒担持体を反応場中により均一に分散させながら流動させ続けることができる。従って、繊維状炭素ナノ構造体をより効率良く製造することができる。
なお、担体が「粒子状」であるとは、例えば担体が上述したアスペクト比を有するなど、略粒子形状を形成していれば良い。ここで、本発明において、「担体のアスペクト比」は、特に限定されることなく、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて求めることができる。具体的には、例えば、触媒担持体を観察し、任意の50個の触媒担持体について、最大径(長径)と、最大径に直交する方向の粒子径(短径)とを測定し、長径と短径との比(長径/短径)の平均値を算出することにより求めることができる。
【0036】
また、担体の構造としては、当該担体のみでも良く、当該担体の表面上に触媒を良好に担持するための任意の下地層を設けた下地層付き担体でも良い。
【0037】
[比表面積]
ここで、担体の比表面積は、1m
2/g以下であることが好ましく、0.3m
2/g以下であることがより好ましく、0.1m
2/g以下であることが更に好ましい。既存の流動床法による繊維状炭素ナノ構造体の合成技術では、典型的には、100m
2/g以上の大きな比表面積を有する多孔質の金属酸化物からなる担体を用いていた。そして、当該大きな比表面積を有する担体を用いることにより、担体表面上に触媒を多量に担持して繊維状炭素ナノ構造体の生成量を増やしてきた。しかし、当該既存の技術では、合成された繊維状炭素ナノ構造体と触媒担持体との接触面積が大きく、両者が複雑に絡み合う。従って、触媒担持体からの繊維状炭素ナノ構造体の分離が困難であり、結果として得られる繊維状炭素ナノ構造体の特性は劣っていた。
一方で、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法で用い得る担体は、比表面積が上記範囲の通り小さく、平滑な表面を有するため、合成された繊維状炭素ナノ構造体と触媒担持体との接点を減らすことができる。その結果、両者の分離が容易となり、特性に優れた繊維状炭素ナノ構造体を得ることができる。ここで、一般的には、表面積が小さい担体を用いると、当該担体の表面に付与される触媒の担持量が減ってしまう。しかし、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法では、二酸化炭素を高濃度に添加することにより炭素原料としての二重結合含有炭化水素を高濃度に供給できる。従って、比較的少ない触媒担持量を有する触媒担持体を用いた場合であっても、反応量を十分に稼ぐことができる。また、高濃度の炭素原料を供給した場合であっても、0.3体積%以上の二酸化炭素の添加により、触媒の炭化失活を防ぐことができる。結果として、高濃度の炭素原料を高い割合で反応させても、十分な高濃度で添加された二酸化炭素が枯渇することなく、繊維状炭素ナノ構造体の合成反応を良好に持続することができる。
【0038】
[体積平均粒子径]
また、担体の粒子径は、体積平均粒子径で1000μm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることが更に好ましく、50μm以上であることが好ましい。担体の体積平均粒子径が上記上限以下であれば、反応場中で触媒担持体が沈んだり下方に停滞したりすることなく良好に流動されるからである。特に本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法では、上述したようにキャリアガスの濃度を抑えて流量を低くすることができるため、比較的小さなサイズの触媒担持体でも反応管から飛び出すことなく、触媒担持体をより安定的に流動させ続けることができる。その結果、繊維状炭素ナノ構造体を更に高い効率で製造することができるからである。加えて、一般的に、小さなサイズの担体は大きなサイズの担体よりも低コストであるため、小さな粒子径の担体を用いることにより、繊維状炭素ナノ構造体の製造にかかるコストを更に削減し得るからである。
また、担体の体積平均粒子径が上記下限以上であれば、流動している触媒担持体が反応管から飛び出す、または反応管の上方に滞留することを防ぎ、触媒担持体を容易かつ良好に流動させ続けることができるからである。
【0039】
[担体の種類]
ここで、担体としては、特に制限されることなく、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、およびモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する金属酸化物を含むことが好ましい。これらは1種類を単独で、または2種類以上を任意に組み合わせて含有しても良く、上記以外の元素を更に含有しても良い。例えば、担体は、上述した元素を、SiO
2、Al
2O
3、MgOなどの金属酸化物の状態で含有しても良い。また、担体は、上述した金属酸化物に加え、Si
3N
4、AlNなどの窒化物;SiCなどの炭化物;を更に含有しても良い。
なお、担体が含有するこれらの金属酸化物などは、合成物を用いてもよく、天然物を用いても良い。
【0040】
[下地層]
担体が更に有し得る下地層は、任意の材質からなり、例えば、担体の表面に1層、または2層以上形成されることができる。なお、担体上に触媒を良好に担持させて触媒担持体を有効に活用する観点からは、担体は、当該担体表面に下地層を更に有することが好ましい。
なお、下地層の組成は特に制限されることなく、担体の種類、および後述する触媒の種類によって適宜選択することができる。また、形成する下地層の膜厚も、所望の触媒担持量によって適宜調節することができる。
【0041】
<<触媒>>
触媒は、上述した粒子状の担体の表面に担持される。また、触媒は、例えば触媒層として、粒子状の担体の表面に直接的に担持されて触媒担持体を構成しても良い。また、触媒は、例えば触媒層として、上記下地層などを介して粒子状の担体の表面に間接的に担持されて触媒担持体を構成(内側より、担体/下地層/触媒が担持された多層構造)しても良い。更に、当該多層構造は、例えば、下地層および/または触媒を含有する層を、任意に複数層設けても良い。
そして、触媒は、通常、触媒担持体の表面に存在して、繊維状炭素ナノ構造体の合成を促進する働きをする。
【0042】
[種類]
ここで、触媒を構成する組成は、特に制限されない。触媒を構成する組成としては、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、およびニッケル(Ni)などの金属を含むことができ、これらの元素は1種のみ含有されても良く、2種以上を組み合わせて含有されても良い。また、所望の微細な径を有する繊維状炭素ナノ構造体を合成する観点からは、触媒は、例えば上記金属を含む微細な金属粒子(金属微粒子)を含有することが好ましい。
【0043】
[体積平均粒子径]
触媒が含有し得る金属微粒子は、体積平均粒子径で1nm以上であることが好ましく、30nm以下であることが好ましい。金属微粒子の粒子径が上記下限以上であれば、金属微粒子が触媒として十分な活性を発揮するため、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素ナノ構造体を更に効率良く製造することができるからである。また、金属微粒子の粒子径が上記上限以下であれば、曲率半径が小さいことにより繊維状炭素ナノ構造体を効率的に核発生させることができ、繊維状炭素ナノ構造体を更に効率良く製造することができるからである。加えて、繊維状炭素ナノ構造体は、通常、触媒として働く金属微粒子の粒子径に対応した径にて生成、成長するため、製造される繊維状炭素ナノ構造体を所望の微細径に調節することが可能だからである。
【0044】
[担持方法]
触媒の担持方法としては、特に制限されることなく、例えば、上述した担体表面に対して、スパッタリング(スパッタ)法、化学蒸着法(CVD法)などの気相蒸着法により成膜する既知の乾式法が挙げられる。ここで、触媒を担持する際に用いる担体は、表面加工および成膜などを施していない担体そのものであっても良く、当該担体上に形成された下地層などを外表面に有する担体であっても良い。
【0045】
<<触媒担持体の充填率>>
反応場への触媒担持体の充填率(触媒充填率)は、反応器容積に対する触媒の真体積の割合として、1体積%以上50体積%以下が好適である。触媒充填率を1体積%以上とすることで十分な量の触媒担持体を反応場に供給することができる。また、触媒充填率を50体積%以下とすることで繊維状炭素ナノ構造体が生成する空間を確保できる。
【0046】
<繊維状炭素ナノ構造体>
繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、例えば、アスペクト比が10を超える繊維状炭素ナノ構造体が挙げられる。具体的には、繊維状炭素ナノ構造体としては、CNT、気相成長炭素繊維などが挙げられる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比」は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)および長さを測定して求めることができる。
以下、本発明の製造方法で得られる繊維状炭素ナノ構造体がCNTを含む場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
<<カーボンナノチューブ>>
CNTは、グラフェンシートを筒状に巻いた構造を有し、アスペクト比の非常に大きい一次元構造を有する材料である(非特許文献1を参照)。ここで、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみから構成されていてもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
【0048】
また、CNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブとすることができるが、種々の機械的強度、電気的特性、熱伝導性などの特性を高める観点からは、CNTは、10層以下の層で構成されていることが好ましく、5層以下の層で構成されていることがより好ましく、単層カーボンナノチューブであることが更に好ましい。単層カーボンナノチューブ/多層カーボンナノチューブは、例えば、触媒の大きさ、触媒の組成、反応時間、原料ガス供給流量などの種々の反応条件を変更することにより、適宜調節することができる。
【0049】
[性状]
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径は、種々の用途により所望の値とすることができる。例えば、通常、上述した触媒中の金属微粒子の粒子径が1〜2nm程度であれば、CNTなどの平均直径は1nm程度に、金属微粒子の粒子径が30nm程度であれば、CNTなどの平均直径は20〜30nm程度に調節することが可能である。一般的には、CNTの平均直径が微細であるほど種々の特性は向上する。特に、本発明の製造方法では、原料ガスに二重結合含有炭化水素および所定以上の割合の二酸化炭素を含むことにより、触媒の炭化失活を抑制しながら繊維状炭素ナノ構造体を合成することができるため、CNTを合成成長し続けても、金属微粒子の粒子径に応じたサイズを良好に維持しながら成長する。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の「平均直径」は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)を測定して求めることができる。
【0050】
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均長さは、種々の用途により所望の値とすることができるが、合成時における平均長さが1μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。合成時のCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均長さが1μm以上であれば、得られる繊維状炭素ナノ構造体に、種々の機械的強度、電気的特性、熱伝導性などの特性をより良好に発揮させることができるからである。また、合成時のCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の長さが長いほど、繊維状炭素ナノ構造体に破断や切断などの損傷が発生し易いので、合成時のCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均長さは5000μm以下とすることが好ましい。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の「平均長さ」は、例えば、合成反応時間を変更することにより、適宜調節することができる。
【0051】
<流動床法>
本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は流動床法を用いる。具体的には、上述した触媒担持体を流動し続けている反応場中に原料ガスを流通させることにより、繊維状炭素ナノ構造体を効率的に製造する。
【0052】
<<反応場>>
反応場は、繊維状炭素ナノ構造体を合成、成長させる空間であり、触媒担持体等の触媒、二重結合含有炭化水素および二酸化炭素を含む原料ガス、任意のその他のガス成分などを供給できる空間である。反応場を提供する装置としては、例えば、
図1に示すような、任意のサイズの反応管2などが挙げられ、通常、反応管2には、原料ガス12等を供給するための供給管(図示せず)、および気体流等が排出されるための排出管(図示せず)が接続されている。
また、当該反応場に、担体および触媒成分、下地層成分などを供給することにより、触媒担持体を作製しても良い。
【0053】
<<反応温度>>
繊維状炭素ナノ構造体を合成および成長させる反応温度は、500℃以上とすることが好ましく、700℃以上がより好ましく、1000℃以下が好ましく、900℃以下がより好ましい。反応温度を上記下限以上とすれば、触媒が十分に高い活性を保持するため、繊維状炭素ナノ構造体をより高い収率で効率的に合成することができるからである。また、反応温度を上記上限以下とすれば、原料ガス中の二重結合含有炭化水素が熱分解して煤になることを抑制し、繊維状炭素ナノ構造体をより高い収率で効率的に合成することができるからである。
ここで、反応温度とは、反応場の雰囲気温度を指す。特に、本発明の繊維状炭素ナノ構造体の製造方法は、反応場に流通させる原料ガスの総流量を低く抑えることができるため、繊維状炭素ナノ構造体の合成を続けて行った場合でも、反応場の雰囲気温度を容易に維持することができ、スケールアップに適している。
【0054】
<<反応時間>>
繊維状炭素ナノ構造体を合成および成長させる反応時間は、特に制限されることなく、通常、目的とする繊維状炭素ナノ構造体の長さ、上述した二重結合含有炭化水素および二酸化炭素の供給濃度、原料ガスの総流量、触媒の種類および供給量、および反応温度などに従って、適宜調節することができる。例えば、反応時間は、1分間以上とすることができ、100分間以下とすることができる。一般的に、反応時間が長いほど得られる繊維状炭素ナノ構造体の長さも増し、反応時間が短いほど得られる繊維状炭素ナノ構造体の長さも短くなる。反応時間は、例えば、反応場中への原料ガスの流通を開始または停止することにより調節することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、カーボンナノチューブの状態観察、カーボンナノチューブの構造評価、およびカーボンナノチューブの製造収率は、以下の通り算出および観察を行った。
【0056】
<カーボンナノチューブの状態観察>
触媒担持体が有する触媒上に合成されたカーボンナノチューブの表面状態を、走査型電池顕微鏡(SEM、Hitachi S−4800)を用いて観察した。なお、加速電圧は5kV、倍率は100倍〜100,000倍とした。得られたSEM画像を
図2〜5に示す。
【0057】
<カーボンナノチューブの構造評価>
触媒担持体が有する触媒上に合成されたカーボンナノチューブの構造を、顕微レーザーラマン分光計(Horiba HR−800)を用いて測定、評価した。なお、励起波長は488nmとした。得られたラマンスペクトルを
図6〜9に示す。
【0058】
<カーボンナノチューブの製造収率Y>
反応場に供給するエチレン中に含まれる炭素原料の重量G
c-source(g)を、原料ガスの供給総流量F(sccm)、エチレン濃度C
C2H4(体積%)、反応時間t(分)、気体の標準状態でのモル体積V=22400(cc/mol)、および炭素のモル質量M≒12(g/mol)を用いて、下記式(I):
G
c-source(g)=
F×(C
C2H4/100)×t×(1/V)×(M×2)・・・(I)
に従って算出した。
次に触媒担持体が有する触媒上に合成されたカーボンナノチューブの収量G
CNT(g)を、電子天秤(島津製作所製、型番「AUW120D」)を用いて秤量した。なお、G
CNTは、カーボンナノチューブが合成された触媒担持体全体の質量から、触媒担持体の質量を差し引くことにより求めた。そして、下記式(II):
カーボンナノチューブの製造収率Y(%)=
(G
CNT/G
c-source)×100・・・(II)
に従って算出した。製造収率Yの値が高いほど、カーボンナノチューブの製造効率が高いことを示す。結果を表1および
図10に示す。
【0059】
(実施例1)
<触媒担持体の作製>
<<触媒の担持>>
担体としてのアルミナビーズ(Al
2O
3、体積平均粒子径D50:300μm)100gを、あらかじめ、乾燥空気流通下、温度850℃の環境下にて縦型管状炉で焼くことにより、表面の不純物を除去した。次に、スパッタリングにより、焼いたアルミナビーズ上にアルミニウム層(平均膜厚:15nm)を成膜し、大気解放して自然酸化させて酸化アルミニウム(Al
2O
3)下地層を得た。更にAl
2O
3下地層上に鉄触媒層(Fe触媒層、平均膜厚:1nm)をスパッタで成膜することにより、触媒が担持された活性化前の触媒担持体を得た。
なお、本実施例ではドラムスパッタを用いて触媒を担持したため、アルミナビーズの球体全面上に略均一にAl
2O
3下地層およびFe触媒層が形成された。
<<触媒の活性化>>
得られた活性化前の触媒担持体10gを、
図1に示す分散板4付き反応管2(内径:2.2cm、反応場高さ:15cm)内に供給し、加熱器6を用いて温度850℃まで昇温後、10体積%−水素(H
2)/90体積%−窒素ガス(N
2)で構成される活性化ガス10を、流量1500sccmにて5分間供給した。このようにして担持したFe触媒層を還元して触媒の活性化を行うことにより、触媒担持体8を得た。
【0060】
<カーボンナノチューブの合成>
上述で得られた触媒担持体に対し、0.3体積%−二酸化炭素ガス(CO
2)/20.0体積%−エチレンガス(C
2H
4)/10体積%−水素ガス(H
2)/その他窒素ガス(N
2)で構成される原料ガス12を、常圧下、温度850℃の環境下、総流量1500sccmにて10分間、上記反応管2内に供給した。このようにして原料ガスを供給することにより、触媒担持体を流動させた流動床法にて、触媒担持体上にカーボンナノチューブを合成した。
そして、カーボンナノチューブが合成された触媒担持体を用いて、上述の方法に従って、カーボンナノチューブの状態観察、カーボンナノチューブの構造評価、およびカーボンナノチューブの製造収率の算出を行った。結果を表1および
図2b、6、10に示す。
【0061】
(実施例2)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を1.0体積%に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図2c、6、10に示す。
【0062】
(実施例3)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を3.0体積%に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図2d、6、10に示す。
【0063】
(実施例4)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を10.0体積%に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図2e、6、10に示す。
【0064】
(実施例5)
触媒の活性化において、担持した触媒の反応管への供給量を30gに変更してそのままカーボンナノチューブの合成に用いた以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図10に示す。
【0065】
(実施例6)
触媒の活性化において、担持した触媒の反応管への供給量を30gに変更してそのままカーボンナノチューブの合成に用いた。また、カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を1.0体積%に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図3、7、10に示す。
【0066】
(実施例7)
触媒の活性化において、担持した触媒の反応管への供給量を30gに変更してそのままカーボンナノチューブの合成に用いた。また、カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を3.0体積%に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図10に示す。
【0067】
(実施例8)
触媒の活性化において、担持した触媒の反応管への供給量を30gに変更してそのままカーボンナノチューブの合成に用いた。また、カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を10.0体積%に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図10に示す。
【0068】
(実施例9)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を3.0体積%に変更し、C
2H
4の濃度を10.0体積%に変更した。また、反応温度を800℃に、総流量を850sccmに変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図4a、8に示す。
【0069】
(実施例10)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を3.0体積%に変更した。また、反応温度を800℃に、総流量を850sccmに変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図4b、8に示す。
【0070】
(実施例11)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を3.0体積%に変更し、C
2H
4の濃度を30.0体積%に変更した。また、反応温度を800℃に、総流量を850sccmに変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図4c、8に示す。
【0071】
(実施例12)
触媒担持体の作製において、触媒担持体を以下の通り作製し、使用した。また、カーボンナノチューブの合成において、CO
2の濃度を3.0体積%に変更し、C
2H
4の濃度を10.0体積%に変更した。また、分散板4の位置を12cm下げて反応場高さを27cmとし、反応温度を725℃に変更した以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図5aに示す。
<触媒担持体の作製>
[触媒の担持]
[[準備工程]]
担体として、体積平均粒子径(D50)約150μmのムライト粉末(伊藤忠セラテック株式会社製、「ナイガイセラビーズ60」、#750)を用いた。ムライト粉末70gを、ガラス管よりなる反応管に充填し、酸素4体積%、窒素96体積%雰囲気下で温度800℃まで40℃/分の速度で昇温し、2分間維持した。なお、本実施例で用いたムライトとは、一般式xM
2O・yAl
2O
3・zSiO
2・nH
2O[式中、Mは金属原子であり、x〜z、nは各成分のモル数(0以上)を表す]で表されるアルミノケイ酸塩の一種である。
[[下地層形成工程]]
次に、下地層成分としてのアルミニウムイソプロポキシド(和光純薬工業社製、商品名「012−16012」、化学式:Al(O-i-Pr)
3[i-Prはイソプロピル基−CH(CH
3)
2])の蒸気を、流量500sccmのN
2ガスで同伴し、酸素4体積%、窒素96体積%、10slmのガスとともに5分間供給して、担体としてのムライト粉末上に、下地層としての酸化アルミニウム(Al
2O
3)層(平均膜厚:5nm)を化学蒸着法により形成した。
[[触媒層形成工程]]
次いで、触媒成分としてフェロセン(和光純薬工業社製、商品名「060−05981」)の蒸気を流量20sccmのN
2ガスで同伴し、酸素4体積%、窒素96体積%、10slmのガスとともに5分間供給して、鉄により形成される金属微粒子を含有するFe触媒層(平均膜厚:0.5nm)を化学蒸着法により形成した。
[[繰り返し工程]]
そして、上記下地層及び触媒層を形成した触媒担持体について、上述の下地層形成工程−触媒層形成工程をさらに4回繰り返し、下地層及び触媒層をそれぞれ5層ずつ備える、活性化前の触媒担持体を製造した。
[触媒の活性化]
得られた活性化前の触媒担持体を、ガラス管(内径:22mm)よりなるカーボンナノチューブ合成用反応管に、層高6cm(触媒担持体の供給量54g相当)になるように充填した。そして、CNT合成用流動層装置内を、水素10体積%、窒素90体積%を含む雰囲気下で800℃に昇温し、10分間維持してFe触媒層を還元して触媒の活性化を行うことにより、触媒担持体を得た。
【0072】
(実施例13)
触媒の活性化において、活性化前の触媒担持体の充填量を層高3cm(触媒担持体の供給量27g相当)に変更してそのままカーボンナノチューブの合成に用いた。また、カーボンナノチューブの合成において、反応温度を800℃に変更した以外は実施例12と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図5b、9に示す。
【0073】
(実施例14)
カーボンナノチューブの合成において、反応温度を800℃に変更した以外は実施例12と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図5c、9に示す。
【0074】
(実施例15)
触媒の活性化において、活性化前の触媒担持体の充填量を層高9cm(触媒担持体の供給量81g相当)に変更してそのままカーボンナノチューブの合成に用いた。また、カーボンナノチューブの合成において、反応温度を800℃に変更した以外は実施例12と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図5d、9に示す。
【0075】
(比較例1)
カーボンナノチューブの合成において、CO
2を添加しなかった(CO
2の濃度を0体積%に変更した)以外は実施例1と同様にして、活性化前の触媒担持体、触媒担持体、およびカーボンナノチューブが合成された触媒担持体を得た。
そして、実施例1と同様の方法で算出、観察した。結果を表1および
図2a、6、10に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1より、原料ガス中に二酸化炭素を添加しなかった比較例1に対し、二酸化炭素を0.3体積%以上添加した実施例1〜15では、カーボンナノチューブを飛躍的に効率良く(高い収率で)合成できることが分かる。
また、
図2〜10より、実施例1〜15では、微細な径の単層カーボンナノチューブが触媒担持体上から良好に合成、成長している様子が確認できた。