(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を概略的に示す図である。
【0014】
図1において、自動分析装置100は、試料投入部104、分析部106a,106b,106c、試料収納部109、搬送ライン105、操作部PC111、及びタブレット端末114などから概略構成されている。
【0015】
分析対象である試料が収容された試料容器102を複数登載する試料ラック103が投入される試料投入部104と試料ラック103を収納する試料収納部109とは試料ラック103を搬送する搬送ライン105によって接続されており、搬送ライン105に沿って1つ以上(本実施の形態では3つの場合を例示する)の分析部106a,106b,106cが配置されている。
【0016】
操作部PC111は、自動分析装置100全体の動作を制御するものであり、通信機器110(例えばハブ)を介して自動分析装置100の各構成と接続されている。また、操作部PC111には、無線機器113(例えば無線ルータ)が接続されており、無線通信によってタブレット端末114と通信可能に無線接続されている。また、操作部PC111は、自動分析装置100を含む分析システム全体の動作を制御する上位ホストシステム112にも接続されている。
【0017】
試料投入部104には、分析対象である試料が収容された試料容器102が複数配置された試料ラック103が投入され、搬送ライン105を介して各分析部106a,106b,106cや試料収納部109などに搬送される。試料容器102に収容される試料としては、キャリブレーション測定に用いるキャリブレーション試料、精度管理測定に用いる精度管理試料、血液や尿等の生体試料である患者試料などがある。試料ラック103に搭載される各試料容器102には収容される試料を識別するためのタグ102a(例えば、バーコードやRFIDなど)が設けられており、図示しない読取装置によって識別情報が読み取られ、操作部PC111などに送られる。
【0018】
分析部106aは、複数の反応容器を有する反応ディスク120a、搬送ライン105により搬送される試料容器102に収容された試料を反応容器に分注する試料分注機構121a、試料の分析に用いる試薬を収容した複数の試薬容器107を設置する試薬ディスク108a(試薬容器搭載部)、試薬ディスクに設置された試薬容器107の試薬を吸引し反応容器に分注する試薬分注機構122a、及び反応容器に収容された試料と試薬の混合液(反応液)の吸光度や散乱光強度などを測定する測光機構123aなどから構成されている。分析部106aは、測光機構123aから得られた光学情報を解析することで試料内の所定物質の含有濃度などを分析することができる。分析部106b,106cも分析部106aと同様の構成を有しており、それぞれ、反応ディスク120b,120c、試料分注機構121b,121c、試薬ディスク108b,108c、試薬分注機構122b,122c、測光機構123b、123cなどから構成されている。
【0019】
タブレット端末104は、無線機器113を介して操作部PC111と通信可能に接続されていて、オペレータ101は、タブレット端末104の画面から自動分析装置100の各情報を見ることができる。
【0020】
図2は、操作部PCとタブレット端末の機能ブロック図である。
【0021】
図2においては、操作部PC111とタブレット端末114とが無線機器113を介した通信203により情報の授受を行っている場合を示している。
【0022】
図2において、操作部PC111は、入力部201、表示部202、試薬管理部204、対端末通信部205、記憶部206、及び対分析部通信部207などにより構成されており、自動分析装置100の他の構成の分析部200(分析部106a,106b,106c、など)との通信を行っている。
【0023】
入力部201は、例えば、キーボードやマウスなどであり、表示部202に表示される各種操作画面のボタン表示のマウスカーソルによる押し下げ(マウスのクリック)、入力枠へのキーボードからの数字や文字の入力などを行う。すなわち、入力部201と表示部202とは、GUI(Graphical User Interface)を構成している。
【0024】
試薬管理部204は、分析部200の試薬ディスク108a,108b,108cに設置された試薬容器107などの試薬に関する情報の管理を行う。具体的には、分析項目との紐付け、残量管理、1つの分析項目に対して複数の試薬容器107が設置された場合の使用優先順の管理、及び試薬有効期限の管理などを行う。新たに試薬容器107が設置された場合には、記憶部206に記憶されている累積試薬情報を検索して過去に同じ試薬容器が設置されていたかを判定し、設置されていた場合には記憶部206に記憶されている試薬情報を取り出し、設置されていなかった場合には新規の試薬容器107として管理する。また、残量管理においては、入力部201を通して設定された分析項目毎の残量の閾値を下回った試薬について、試薬準備リストあるいは試薬廃棄リストに登録するといった処理も行う。また、試薬管理部204は、表示部202の表示に関する制御なども行うことができる。
【0025】
対端末通信部205は、タブレット端末114との無線通信の制御、タブレット端末114に送信する通信テキストの作成、及びタブレット端末114から受信した通信テキストの情報の分配を行う。
【0026】
記憶部206は、試薬管理部204での管理に必要な情報を記憶し、試薬ディスク108aに設置された試薬容器の試薬残量又は試薬有効期限に関する試薬情報を記憶する。
【0027】
対分析部通信部207は、分析部200との通信の制御、分析部200に送信する通信テキストの作成、及び分析部200から受信した通信テキストの情報の分配を行う。
【0028】
また、
図2において、タブレット端末114は、端末表示部208、端末通信部209、端末試薬管理部210、及び端末入力部211などにより構成されており、無線機器113を介して操作部PC111と通信することにより、自動分析装置100のから様々な情報を取得したり、自動分析装置100の操作を行ったりすることが可能である。
【0029】
タブレット端末114には、操作部PC111と同様に、端末表示部208と端末入力部211とによってGUIが構成されており、操作部PC111から送信された種々な情報(試薬の準備/廃棄リストの情報を含む)を受信して端末表示部208に表示したり、端末入力部211によって自動分析装置100への操作指示などを入力し、操作部PC111へ送信したりする。
【0030】
端末通信部209は、操作部PC111との無線通信の制御、操作部PC111に送信する通信テキストの作成、及び操作部PC111から受信した通信テキストの情報の分配を行う。
【0031】
端末試薬管理部210は、操作部PC111から受信した試薬に関する情報(試薬の準備/廃棄リストの情報を含む)の管理、及び端末入力部211から入力された印の情報の処理などを行う。1台のタブレット端末114で複数の自動分析装置100の操作部PC111と無線接続される構成となった場合には、複数の自動分析装置100の試薬情報のトータル管理も行う。
【0032】
図3は、タブレット端末の試薬準備リスト画面であり、印の表示がチェックマークの例の画面である。
【0033】
試薬準備リストとはオペレータが試薬を準備するためのリストを指し、オペレータがどの試薬が不足しているかを容易に把握し、どの試薬を新たに設置すべきかを判断するためのリストである。記憶部206には、試薬ディスク(108aなど)に設置された試薬容器の全ての試薬残量情報が記憶されているが、試薬準備リストでは、このなかから特に試薬が不足している試薬容器を選別してリスト化している。つまり、試薬準備リストは、記憶部に記憶された試薬残量に基づき所定閾値以下の試薬残量の試薬容器の一覧を示すリストである。
【0034】
なお、試薬残量情報の入手については試薬分注機構に含まれるノズルを下降動作させ、液面に到達したときの静電容量変化により液面を検知し試薬残量を特定する技術、ノズルを所定量下降させノズルで試薬を吸引して試薬分注機構に含まれる圧力センサで検知した圧力値により液面に到達しているかを判定し、液面高さから試薬残量を特定する技術などを適用することができる。
【0035】
図3に示すタブレット端末の試薬準備リスト画面301には、基本的に、操作部PC111の表示部202に表示する試薬準備リスト情報や、操作部PC111に接続された印刷機から紙に印刷した試薬準備リスト情報と同一の情報を表示し、モジュール名称304、分析項目名称305、試薬容器設置ポジション306、試薬の残量情報(残テスト数もしくは残量)307、残量がどれくらい閾値を下回っているかのレベル308などの情報を表示する。なお、試薬残量と言うときには残量のみならず残テスト数も含まれる。
【0036】
これらの情報は、例えば、試薬容器に付されたバーコード又はRFIDを試薬ディスク内の読取り装置(バーコードリーダ又はRFID読取り装置)で読み取ることにより、どのモジュールのどの試薬ディスクのどのポジションにどの項目の試薬が設置されているのかを事前に記憶部が記憶しているため容易にリスト化することができる。また、試薬の残量情報については、元々あった残量情報を基準に分析回数や1回の分析で使用する試薬量などを考慮して減算することで毎回試薬残量を測定することなく記憶部の情報を更新することで容易にリスト化することができる。なお、このリスト化は試薬管理部204、端末試薬管理部210のいずれでも行うことができる。
【0037】
レベル308に関して、
図3の例では、閾値の設定を2段階設け、第一段階の閾値を下回っている試薬容器107には「準備」を、第一段階より残量が少ない第二段階の閾値を下回っている試薬容器107には「注意」を、残量が0になった試薬容器107には「警告」を表示している。このレベル308は、オペレータに注意喚起を促す注意喚起情報に相当し、試薬準備リスト内に、記憶部に記憶された試薬残量に基づき、試薬容器の設置位置毎に表示される。なお、試薬管理部204又は端末試薬管理部210は、試薬残量と上記閾値とを比較することでどのレベルに該当するかを判定している。また上記閾値は記憶部に記憶されている。なお、上記のように、注意喚起情報は、「準備」、「注意」、「警告」のように試薬残量の程度に応じて複数の注意喚起レベルを示す情報であることが望ましい。注意喚起レベルを示す情報は準備すべき試薬容器のなかでも優先度の判断に役立つためである。
【0038】
タブレット端末はタッチパネル式の表示部であり、印ボタン309は、画面上をタップすることにより、印の有無が切り替わるようになっている。
図3は、印の表示がチェックマークの例であり、印無しの印ボタン310をタップすると印有りの印ボタン311に表示が変わる。同様に、印有りの印ボタン311をタップすると印無しの印ボタン310に表示が変わる。この印ボタン309の表示切り替え機能を使用することにより、紙に印字した試薬準備リストに鉛筆等でチェックマークを付けるのと同じ操作が実現でき、試薬容器107の準備作業を円滑に進めることが可能となる。
【0039】
更新ボタン302を押すと、試薬準備リスト画面301に表示しているモジュール表示部304から印ボタン表示部309までの情報が最新の情報に更新される。
【0040】
更新日時表示部303には、試薬準備リスト画面301に表示しているモジュール表示部304から印ボタン表示部309までの情報がいつの時点の情報かを分単位まで表示する。
【0041】
このように、端末試薬管理部210は、試薬準備リストが表示された状態でオペレータが選択した試薬容器であることを視覚的に識別できるよう試薬リストの表示を変更することができる。また、オペレータがタップすることで試薬準備リストの表示が更新される。
【0042】
図4は、タブレット端末の試薬準備リスト画面であり、印の表示が「OK」の例の画面である。
【0043】
図4のタブレット端末の試薬準備リスト画面401と
図3の試薬準備リスト画面301との違いは、印有りの印ボタン411であり、こちらは印ボタンがチェックマークではなく「OK」表示となっている。印無しの印ボタン410をタップすると印有りの印ボタン411に表示が変わる。同様に、印有りの印ボタン411をタップすると印無しの印ボタン410に表示が変わる。
【0044】
その他の符号402〜408は
図3の符号302〜308と同じである。
【0045】
つまり、
図3の印有りの印ボタンに限らず「OK」表示であってもよく、オペレータが視覚的に識別できる方法であればその手段は問わない。例えば、
図3、4に示すようなボックス表示が無くとも、タップした位置の色を変更したり太字に変えたりすることで視覚的に識別できる方法であっても良い。端末試薬管理部210は、オペレータがタップしたときに、オペレータが選択した試薬容器と判定し、当該試薬容器を視覚的に識別できるよう試薬準備リストの表示を更新できれば良い。但し、
図3、4に示すように、試薬準備リストには試薬容器の設置位置毎に印ボタンが含まれ、端末試薬管理部210は、オペレータによる印ボタンのタップを検知することにより印有りの印ボタンと印無しの印ボタンの表示を切り替え、この切り替えにより視覚的に識別できるようにすることが視認性の面から有効である。
【0046】
なお、タブレット端末においてタッチパネル式以外でも物理的なボタンを介在させることで同様のことを実現でき、必ずしも本発明において物理的ボタンを用いることを排除するものではないが利便性の面からタッチパネル式での選択であることが望ましい。
【0047】
図5は、タブレット端末の試薬廃棄リスト画面であり、印の表示がチェックマークの例の画面である。
【0048】
試薬廃棄リストとはオペレータが試薬を廃棄するためのリストを指し、オペレータがどの位置にある試薬容器を試薬ディスクから取り出すべきかを容易に把握するためのリストである。記憶部206には、記憶部206には、試薬ディスク(108aなど)に設置された試薬容器の全ての試薬残量および有効期限に関する情報が記憶されているが、試薬廃棄リストでは、このなかから特に試薬の残量がゼロおよび試薬有効期限切れの試薬容器を選別してリスト化している。これらの試薬容器は試薬ディスクの空きポジションの確保の観点から取り出されるべきものである。つまり、試薬廃棄リストは、記憶部に記憶された試薬残量と試薬有効期限に関する情報に基づき、試薬残量がゼロと有効期限が切れた試薬の試薬容器の一覧を示すリストである。
【0049】
図5に示すタブレット端末の試薬廃棄リスト画面501には、基本的に、操作部PC111の表示部202に表示する試薬廃棄リスト情報や、操作部PC111に接続された印刷機から紙に印刷した試薬廃棄リスト情報と同一の情報を表示し、モジュール名称504、分析項目名称505、試薬容器設置ポジション506、試薬の残量情報(残テスト数もしくは残量)507、廃棄要因(残量0や期限切れ等)508などの情報を表示する。
【0050】
なお、オペレータに注意喚起を促す注意喚起情報として、廃棄要因を示しているが、試薬準備リストと異なり数値化できるものではないので、注意喚起情報としては、試薬残量がゼロ、試薬の有効期限切れなどの要因を示すことが望ましい。
【0051】
印ボタン509は、画面上をタップすることにより、印の有無が切り替わるようになっている。
図5は、印の表示がチェックマークの例であり、印無しの印ボタン510をタップすると印有りの印ボタン511に表示が変わる。同様に、印有りの印ボタン511をタップすると印無しの印ボタン510に表示が変わる。この印ボタン509の表示切り替え機能を使用することにより、紙に印字した試薬廃棄リストに鉛筆等でチェックマークを付けるのと同じ操作が実現でき、試薬容器107の廃棄作業を円滑に進めることが可能となる。
【0052】
更新ボタン502を押すと、試薬廃棄リスト画面501に表示しているモジュール表示部504から印ボタン表示部509までの情報が最新の情報に更新される。
【0053】
更新日時表示部503には、試薬廃棄リスト画面501に表示しているモジュール表示部504から印ボタン表示部509までの情報がいつの時点の情報かを分単位まで表示する。
【0054】
なお、試薬準備リストでの説明は試薬廃棄リストにおいても同様であるが繰り返しになるため説明は省略する。
【0055】
次に、本実施の形態の自動分析装置におけるタブレット端末の試薬準備リスト画面301,401および試薬廃棄画面501に表示する情報の流れについて説明する。
【0056】
図6は、自動分析装置とタブレット端末間のイベント毎の情報のやりとりを示すシーケンス図である。
【0057】
装置立上げイベント603発生時、自動分析装置601は試薬準備/廃棄リスト情報の作成604を行い、タブレット端末602に作成した試薬準備/廃棄リスト情報605を送信する。なお、情報の作成は試薬管理部204が行う。
【0058】
試料の分析動作やその準備動作等で試薬を消費するイベント606が発生した場合も、自動分析装置601は試薬準備/廃棄リスト情報の作成607を行い、タブレット端末602に作成した試薬準備/廃棄リスト情報608を送信する。なお、情報の作成は試薬管理部204が行う。
【0059】
タブレット端末602の試薬準備リスト画面301,401および試薬廃棄画面501の印ボタン309,409,509をタップすることにより発生する準備もしくは廃棄した試薬への印付けイベント609では、タブレット端末602が印付けされた試薬の情報の作成610を行い、自動分析装置601に印付けされた試薬の情報611を送信する。なお、情報の作成は端末試薬管理部210が行う。
【0060】
情報の作成610までで
図3〜5までで示した画面表示を行うことができ、この画面表示で試薬の準備や廃棄を円滑に進めることができる。続けて、さらに有益な機能について説明する。
【0061】
次に試薬残量登録実施イベント612が発生した時の情報のやりとりを説明する。試薬残量登録とは、試薬ディスク108a,108b,108c内に設置された試薬容器107の試薬情報と残量情報を自動分析装置に登録する(操作部PC111の記憶部206に記憶する)動作を示す。試薬情報は、試薬容器107に設けられたバーコードやRFIDなどの読取りや、操作部PC111の入力部201から手入力された情報等により登録される。残量情報は、試薬分注機構122a,122b,122cに備えられているノズルの液面検知機能により検知された試薬の液面高さの情報から算出したり、操作部PC111の入力部201から手入力された情報等により登録される。
【0062】
試薬残量登録実施イベント612発生時、自動分析装置601は登録された試薬情報と残量情報とから試薬準備/廃棄リスト情報の作成613を行う。また、試薬準備/廃棄リスト情報の整合性チェックおよびチェック結果の作成614を行う。試薬準備/廃棄リスト情報の整合性チェックに関しては、本発明のこれまでの説明に無かった機能であるため、ここで説明する。本機能は、タブレット端末602から送信された印付けされた試薬の情報611と、試薬残量登録動作により登録された試薬情報と残量情報とから、タブレット端末602の試薬準備リスト画面301,401および試薬廃棄画面501で印を付けられた試薬が本当に準備/廃棄されたかをチェックする機能である。また、試薬準備リスト情報の整合性チェックでは、新規に設置された試薬容器107の残量が、既に操作部PC111の入力部201を通して設定された分析項目毎の残量の閾値を下回っている場合
も異常と判定する。試薬準備/廃棄リスト情報の整合性チェックの処理フローの詳細は、
図7、
図8の説明で後述する。
【0063】
作成された試薬準備/廃棄リスト情報および試薬準備/廃棄リスト情報の整合性チェック結果情報615は、タブレット端末602に送信される。なお、チェック結果情報の作成は試薬管理部204が行う。
【0064】
図7は、前述の、自動分析装置における試薬残量登録イベント時の試薬準備の整合性チェック処理の内容を示すフローチャートであり、1つの試薬容器107当たりの処理を示している。なお、このフローは試薬管理部204が行うものである。
【0065】
試薬準備の整合性チェック処理が起動されると、最初に変数「整合性チェック結果」に「OK」を設定する(ステップS701)。次に、試薬残量登録動作により登録された当該試薬容器107の試薬残量が、操作部PC111の入力部201を通して設定された分析項目毎の残量の閾値を下回っているかを判定する(ステップS702)。判定結果が「NO」であれば、処理を終了する。判定結果が「YES」であれば、当該試薬容器107がタブレット端末602の試薬準備リスト画面301,401で印を付けられたものかどうかを判定する(ステップS703)。判定結果が「YES」であれば、変数「整合性チェック結果」に「NG」を設定し(ステップS705)、処理を終了する。判定結果が「NO」であれば、当該試薬容器107が自動分析装置601に新規に設置された試薬容器かどうかを判定する(ステップS704)。新規か否かの判定には、操作部PC111の記憶部206に記憶された試薬累積情報を使用する。判定結果が「NO」であれば、処理を終了する。判定結果が「YES」であれば、変数「整合性チェック結果」に「NG」を設定し(ステップS705)、処理を終了する。この試薬準備の整合性チェック処理の判定結果は、タブレット端末602に送信される。
【0066】
図8は、前述の、自動分析装置における試薬残量登録イベント時の試薬廃棄の整合性チェック処理の内容を示すフローチャートであり、1つの試薬容器107当たりの処理を示している。
【0067】
試薬廃棄の整合性チェック処理が起動されると、最初に変数「整合性チェック結果」に「OK」を設定する(ステップS801)。次に、当該試薬容器107がタブレット端末602の試薬廃棄リスト画面501で印を付けられたものかどうかを判定する(ステップS802)。判定結果が「NO」であれば、処理を終了する。判定結果が「YES」であれば、変数「整合性チェック結果」に「NG」を設定し(ステップS803)、処理を終了する。この試薬廃棄の整合性チェック処理の判定結果は、タブレット端末602に送信される。
【0068】
図9は、試薬準備の整合性チェック後のタブレット端末の試薬準備リスト画面であり、印の表示がチェックマークの例の画面である。
【0069】
印ボタン表示部909には、試薬準備の整合性チェック結果がOKの試薬容器107については、印無しの印ボタン910で表示され、整合性チェック結果がNGの試薬容器107については、印有りの印ボタン911で表示される。また、この印有りの印ボタン911と、印無しの印ボタン910をタップした際の印有りの印ボタン311は、視覚的に違いが分かるデザインとなっている(本実施例の場合、タップした際の印有りの印ボタン311は、チェックマークが黒色で背景が白色、整合性チェック結果がNGの印有りの印ボタン911は、チェックマークが白色で背景が黒色)。これにより、タブレット端末602の試薬準備リスト画面901上で試薬の準備漏れを視覚的に確認でき、試薬の準備漏れに気が付かないまま分析を開始するリスクを低減できる。
【0070】
その他の符号902〜908は
図3の符号302〜308と同じである。
【0071】
図10は、試薬準備の整合性チェック後のタブレット端末の試薬準備リスト画面であり、印の表示が「NG」の例の画面である。
【0072】
図10のタブレット端末の試薬準備リスト画面1001と
図9の試薬準備リスト画面901との違いは、印有りの印ボタン1011であり、こちらは「NG」表記となっている。
【0073】
その他の符号1002〜1008は
図9の符号902〜908と同じである。
【0074】
このように、試薬残量登録を実施する場合には、試薬管理部204は、オペレータが選択した試薬容器に対し、当該試薬容器に対応する分析項目と同一種類の試薬について試薬残量が所定閾値以下かを判定し、判定結果を前記試薬準備リストに表示することができる。なお、この閾値はレベル308の閾値以外でも試薬残量登録前の残量を基準とする閾値などであっても良く自由に設定できるようにしても良い。また、試薬残量登録の実施にあたっては、手入力以外の実行においては、オペレータの指示を前提とするものであり、試薬管理部204は、この指示に基づき、試薬ディスクに設置された試薬容器に対し、試薬分注機構を用い自動で残量確認動作を実施させることができる。このように、試薬管理部204は、間接的に試薬分注機構を制御することもできる。
【0075】
図11は、試薬廃棄の整合性チェック後のタブレット端末の試薬廃棄リスト画面であり、印の表示がチェックマークの例の画面である。
【0076】
印ボタン表示部1109には、試薬廃棄の整合性チェック結果がOKの試薬容器107については、印無しの印ボタン1110で表示され、整合性チェック結果がNGの試薬容器107については、印有りの印ボタン1111で表示される。また、この印有りの印ボタン1111と、印無しの印ボタン1110をタップした際の印有りの印ボタン511は、視覚的に違いが分かるデザインとなっている。これにより、タブレット端末602の試薬廃棄リスト画面1101上で試薬の廃棄漏れを視覚的に確認でき、試薬の廃棄漏れに気が付かないまま分析を開始するリスクを低減できる。
【0077】
オペレータの指示を前提とした自動での試薬残量登録を実施する場合には、試薬容器の残量のみならず有無も確認するため、試薬管理部204は、オペレータが選択した試薬容器が前記試薬容器設置部から取り出されたか否かを判定し、判定結果を前記試薬廃棄リストに表示することができる。
【0078】
なお、オペレータの指示とは、試薬残量登録のみを行う直接的な指示のみならず分析スタートの際に実行される試薬残量登録などの間接的な指示も含まれる。
【0079】
図12は、タブレット端末のバーコード読取りカメラ画面である。
【0080】
タブレット端末602に装備されているバーコード読取りカメラ機能により、試薬容器107に貼られたバーコードを読み込もうとしている状態の画面である。
【0081】
本機能は、前述したタブレット端末602の試薬準備リスト画面301,401および試薬廃棄画面501の印ボタン309,409,509をタップすることによる印付け以外にも、自動で準備/廃棄する試薬に印付けができるようにするための機能である。本機能は、試薬準備リスト画面301,401と試薬廃棄画面501のどちらから起動したかにより準備する試薬なのか廃棄する試薬なのかの判断を行い、バーコード読取りカメラ画面1201で読み取った試薬のバーコード情報を自動分析装置601に送信し、試薬管理部204がその情報を解析してどの試薬容器107の情報かをタブレット端末602に送信することで実現できる。自動化により、画面タップによる印付けと比べて、印を付ける試薬を間違えて誤った試薬を準備したり、誤った試薬を廃棄したりするリスクを低減できる。
【0082】
このように、試薬容器に付されたバーコードを読取り可能なバーコード読取りカメラを備えたタブレット端末である場合には、端末試薬管理部210は、前記バーコード読取りカメラで読み取った試薬容器に付されたバーコード情報に基づき、オペレータが選択した試薬容器と判定し、当該判定結果に基づき、オペレータが選択した試薬容器であることを視覚的に識別できるよう試薬準備リスト又は試薬廃棄リストの表示を更新することができる。
【0083】
図13は、前述の試薬バーコード読取りの際に該当試薬が複数あった場合に表示されるタブレット端末の試薬選択画面である。
【0084】
バーコード読取りカメラ画面1201で読み取った試薬のバーコード情報を自動分析装置601の試薬管理部204が解析した際、該当する試薬容器107が複数あった場合、その情報をタブレット端末602が受信して表示する。
【0085】
メッセージ表示部1302には、例えば、準備する試薬の場合、「該当する試薬が複数存在します。準備する試薬を選択してください。」と表示して、オペレータ101に試薬の選択を促す。
【0086】
モジュール表示部1303、項目名表示部1304、ポジション表示部1305、残テスト/残量表示部1306、レベル表示部1307には、それぞれ該当する試薬容器107の情報が全数表示され、オペレータ101が選択する試薬容器107の印ボタン1308をタップすることにより、試薬容器107が選択される。選択されていない状態の印ボタンの表示例が印ボタン1309であり、初期表示は全ての印ボタンが印ボタン1309で表示される。選択されている状態の印ボタンの表示例が印ボタン1310であり、既に印ボタン1310の表示となっている試薬容器107がある状態で別の試薬容器107の印ボタン1309をタップした場合、タップした試薬容器107の印ボタンが印ボタン1310の表示となり、それまで印ボタン1310の表示となっていた試薬容器107の印ボタンが印ボタン1309の表示となる。この後、試薬選択画面1301を閉じると、試薬準備リスト画面301,401、もしくは試薬廃棄画面501において、選択した試薬容器107の印ボタン309,409,509が印有りの印ボタン311,411,511で表示される。
【0087】
図14は、前述の試薬バーコード読取りの際に該当試薬が無かった場合に表示されるタブレット端末の注意画面である。
【0088】
バーコード読取りカメラ画面1201で読み取った試薬のバーコード情報を自動分析装置601の試薬管理部204が解析した際、該当する試薬容器107が無かった場合、その情報をタブレット端末602が受信して表示する。
【0089】
メッセージ表示部1402には、例えば、準備する試薬の場合、「該当する試薬が試薬準備リストに存在しません。準備する試薬が正しいか確認してください。」と表示して、オペレータ101に試薬の確認を促す。
【0090】
なお、本実施形態においては、試薬ディスクの例で説明したが、ディスクタイプの試薬容器設置部でなくとも良くX−Y方向にマトリクス状に設置するタイプの試薬容器設置部においても上記画面表示を適用できる。つまり、複数の試薬容器を設置する試薬容器設置部が存在すれば良い。
【0091】
また、本実施形態においては、タブレット端末の例で説明したが、必ずしもタブレット端末でなくとも自動分析装置に付属する表示部にも適用できる。この場合には、必ずしも必須ではないがタッチパネル式の表示部であることが望ましい。操作性に優れているためである。自動分析装置に付属する表示部に適用する場合には、
図2においてタブレット端末は必要なく操作部PCの表示部との間で情報の遣り取りをすれば良い。つまり、これまで説明した端末試薬管理部210を単に試薬管理部204に読み替えて考えればよい。
【0092】
また、複数の自動分析装置を備えた自動分析システムとして検査室に設置されることがある。この場合には、タブレット端末は、夫々の自動分析装置とローカルネットワークで接続される。このため、タブレット端末は、夫々の自動分析装置に対応する試薬準備リストや試薬廃棄リストを表示することができる。
【0093】
また、上記自動分析システムの場合には、タブレット端末は、試薬準備リストや試薬廃棄リストの表示単位を、分析モジュール単位、自動分析装置単位、自動分析システム単位で切り替えられることが望ましい。なお、自動分析装置1台につき分析モジュールが1台の場合には、自動分析装置単位と自動分析システム単位との切り替えになるため、分析モジュール単位での切り替えが意味を成すためには、自動分析システムを構成する複数の自動分析装置のうちのいずれかの自動分析装置は複数の分析モジュールを含むことが前提となる。
【0094】
また、自動分析システムの場合には、複数の自動分析装置の試薬容器設置部に設置された同一種類の試薬においては合計の試薬残量を試薬準備リストに表示し、注意喚起情報は合計の試薬残量の程度に応じて注意喚起レベルを示す情報とすることもできる。これにより検査室内の自動分析装置に設置されている試薬残量全体を把握できる。なお、この場合の試薬残量リストは例えば分析項目単位で並べてポジション欄に複数の試薬容器のポジションを表示する等、
図3等で表示した異なる表示形態とすることが望ましい。また、記憶部は、注意喚起レベルを示すための合計の試薬残量に閾値を記憶し、タブレット端末は、当該閾値に基づき、注意喚起レベルを試薬準備リストに示し、注意喚起レベルの同一の注意喚起レベルに対し曜日毎に当該閾値が設定できることが望ましい。例えば、「準備」のレベル表示に対して水曜日と木曜日とで異なる閾値とすることができる。検査室等において曜日によって検査の運用形態が異なり異なる準備基準であることが考えられるためである。
【0095】
また、自動分析装置を統括する上位ホスト等の分析部を有さない表示部に対しても同様の表示や操作を行うことができるため、試薬準備リストや試薬廃棄リストなどの試薬リストを上位ホスト等の表示部に表示させ、この表示部を介して、オペレータからの試薬容器の選択を受け付け、表示部は、前記試薬リストが表示された状態でオペレータが選択した試薬容器であることを視覚的に識別できるよう試薬リストの表示を更新する表示方法としても良い。なお、試薬情報は自動分析装置の記憶部に記憶されているためこの表示部は、自動分析装置の記憶部に記憶された試薬情報に基づき、試薬容器の設置位置毎にオペレータに注意喚起を促す注意喚起情報を付した試薬リストを表示することができる。但し、実施形態のように、上位ホスト等の表示部ではなく、タッチパネル式のタブレット端末であって、オペレータのタップにより試薬容器の選択を受け付け、タブレット端末は、タップされた試薬容器であることを視覚的に識別できるよう試薬リスト上に印を付けて表示する表示方法とすることが操作性の面からより有益である。