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特許6816192深紫外線連続波レーザー、システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6816192
(24)【登録日】2020年12月25日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】深紫外線連続波レーザー、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/37 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   G02F1/37
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-58007(P2019-58007)
(22)【出願日】2019年3月26日
(62)【分割の表示】特願2016-542031(P2016-542031)の分割
【原出願日】2014年9月8日
(65)【公開番号】特開2019-133176(P2019-133176A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年3月26日
(31)【優先権主張番号】61/876,201
(32)【優先日】2013年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/080,746
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュワーン ユン−ホ アレックス
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−142785(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0021602(US,A1)
【文献】 特開平10−027743(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0077086(US,A1)
【文献】 特開2013−135075(JP,A)
【文献】 米国特許第5148445(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125
G02F 1/21−7/00
H01S 3/10−3/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深紫外線(DUV)連続波(CW)光を発生させるためのレーザーであって、
基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換するための第2高調波発生器と、
前記第2高調波波長を有する前記光を、第4高調波波長を有する光に変換するための第4高調波発生器と、を備え、前記第4高調波発生器が、
前記第4高調波発生器内で光を循環させる複数の鏡と、
第1の光軸を有する第1の非線形光学(NLO)結晶であって、前記第2高調波波長を有する前記光の一部を、前記第4高調波波長を有しかつ第1の非点収差を有する光に変換するように、前記第1の光軸が、前記第4高調波発生器内で循環された前記光に対して配向され、前記複数の鏡と動作関係にある、第1の非線形光学(NLO)結晶と、
前記第1のNLO結晶の下流側に設けられ、周波数変更を行わずに前記第1の非点収差を補正する第2の非線形光学(NLO)結晶と、
それぞれが平行な平坦表面を持つ一対の薄板であって、前記第4高調波発生器内で循環された前記光が前記一対の薄板の前記平行な平坦表面を通過するように、前記第1のNLO結晶と動作関係に配置される、一対の薄板と、
を含み、
前記一対の薄板が、前記第4高調波発生器内で循環された前記光の変位を最小限に抑えながら前記第1の非点収差のうち、前記第2のNLO結晶で補正されていない残余の非点収差を補正する第2の非点収差を前記循環された光に対して導入するように、前記一対の薄板がそれぞれの平行な軸に対して実質的に等しい対角で傾斜して配置される、レーザー。
【請求項2】
前記第1のNLO結晶が水素アニール処理される、請求項1に記載のレーザー。
【請求項3】
前記第1のNLO結晶が、水素アニール処理されたCLBO(セシウムリチウムボレート)結晶を含む、請求項1に記載のレーザー。
【請求項4】
前記第2高調波波長を有する前記光が、前記第1のNLO結晶中またはその近傍の実質的に楕円形のビームウエストに集束され、楕円の長軸が第1のe軸に実質的に平行である、請求項1に記載のレーザー。
【請求項5】
少なくとも前記第1のNLO結晶が、中に集束されたビームによって前記第1のNLO結晶中に作り出される前記第1の非点収差を低減するように温度制御される、請求項1に記載のレーザー。
【請求項6】
制御温度が約100℃未満である、請求項5に記載のレーザー。
【請求項7】
前記第4高調波発生器が、前記第1のNLO結晶によって導入された前記第1の非点収差を実質的に取り消すように前記一対の薄板の角度を自動的に調整するフィードバック制御ループを更に含む、請求項1に記載のレーザー。
【請求項8】
ウエハ、レチクル、またはフォトマスクを検査するためのシステムであって、
深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザーであって、
基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換するための第2高調波発生器と、
前記第2高調波波長を有する前記光を、第4高調波波長を有する光に変換するための第4高調波発生器と、を含む、レーザーを備え、前記第4高調波発生器が、
前記第4高調波発生器内で光を循環させる複数の鏡と、
前記第2高調波波長を有する前記光の変換部分を変換することによって前記第4高調波波長を有する前記光を発生させるように構成された第1の非線形光学(NLO)結晶であって、前記第4高調波発生器内を循環する前記光が単一の光伝播方向においてのみ前記第1のNLO結晶に向けられるように、前記複数の鏡と動作関係にある、第1のNLO結晶と、
前記第1のNLO結晶の下流側に設けられ、周波数変更を行わずに前記第1の非点収差を補正する第2の非線形光学(NLO)結晶と、
それぞれが平行な平坦表面を持つ一対の薄板であって、前記第4高調波発生器内で循環された前記光が前記一対の薄板の前記平坦な平行表面を通過するように、前記第1のNLO結晶と動作関係に配置される、一対の薄板と、
を含み、
前記一対の薄板が、前記第4高調波発生器内で循環された前記光の変位を最小限に抑えながら第1の非点収差のうち、前記第2のNLO結晶で補正されていない残余の非点収差を補正する第2の非点収差を、前記循環された光に対して導入するように、前記一対の薄板がそれぞれの平行な軸に対して実質的に等しい対角で傾斜して配置される、システム。
【請求項9】
前記第1のNLO結晶が水素アニール処理される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のNLO結晶が、水素アニール処理されたCLBO(セシウムリチウムボレート)結晶を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2高調波波長を有する光が、前記第1のNLO結晶中またはその近傍の実質的に楕円形のビームウエストに集束され、楕円の長軸が第1のe軸と実質的に平行である、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも前記第1のNLO結晶が、中に集束されたビームによって前記第1のNLO結晶中に作り出される前記第1の非点収差を低減するように温度制御される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
制御温度が約100℃未満である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第4高調波発生器が、前記第1のNLO結晶によって導入された前記第1の非点収差を実質的に取り消すように前記一対の薄板の角度を自動的に調整するフィードバック制御ループを更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
レーザーにおける、深紫外線(DUV)連続波(CW)光を発生させる方法であって、
基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換するステップと、
前記第2高調波波長を有する前記光を、この光が単一の光伝播方向においてのみ第1の非線形光学(NLO)結晶を通過するように構成された空洞内で循環させることによって、前記第2高調波波長を有する前記光の一部を、第4高調波波長を有する光に変換することと、
前記第1のNLO結晶中に作り出される第1の非点収差を、それぞれが平行な平坦表面を有する一対の薄板によって取り消すことであって、第4高調波発生器内を循環される前記光が前記一対の薄板の前記平行な平坦表面を通過するように、前記一対の薄板が、前記第1のNLO結晶に対する動作関係で配置される、ことと、
を含み、
前記第1のNLO結晶の下流側に、周波数変更を行わずに前記第1の非点収差を補正する第2の非線形光学(NLO)結晶が配置され、
前記一対の薄板が、第4高調波発生器内で循環された前記光の変位を最小限に抑えながら前記第1の非点収差のうち、前記第2のNLO結晶で補正されていない残余の非点収差を補正する第2の非点収差を前記循環された光に対して導入するように、前記一対の薄板がそれぞれの平行な軸に対して実質的に等しい対角で傾斜して配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年9月10日出願の米国特許仮出願第61/876,201号、表題「CW DUV Laser With Improved Stability」の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、低ノイズ高安定性の深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザー、ならびにかかるレーザーを含む検査及び計測システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体の検査及び計測は、微小な欠陥を検出するため及び/または微小な寸法の非常に正確な測定を行うために、非常に安定した低ノイズの光源を必要とする。UV光源が重要である理由は、一般に、より短い波長が、微小な欠陥または寸法に対するより良好な感度をもたらすからである。
【0004】
低ノイズ高安定性のレーザーが、可視及び近赤外(IR)の波長に現在利用可能である。しかしながら、DUVの波長に利用可能なCWレーザーはごくわずかである。利用可能な場合であっても、かかるレーザーは、高価かつ高ノイズであり、長期安定性が悪く、頻繁な調整及び/または点検を必要とし得る。更に、かかるレーザーは、典型的には250mW未満のパワーを有するが、より高いパワーが、より高速でより正確な検査及び測定を可能にするといった理由から、ほとんどの産業用途に望ましい。
【0005】
既知のDUV CWレーザーは、典型的には、IR基本波レーザーの第四高調波を発生させることによって動作する。2つの周波数変換段階が典型的には使用され、第1の段階は、基本波周波数から第2高調波周波数(第2高調波とも呼称される)を発生させ、第2の段階は、第2高調波周波数を使用して、第4高調波周波数(第4高調波とも呼称される)を発生させる。各周波数二倍化段階(即ち、第1及び第2の段階)は、非線形光学(NLO)結晶を使用する。
【0006】
周波数二倍化プロセスは電場強度の二乗に依存し、これは当業者には既知である。したがって、NLO結晶内のパワー密度が低い場合、変換プロセスは非常に非効率的である。数ワットまたは数十ワットのパワーのIRレーザーは、NLO結晶中に集束される場合、その低パワー密度のため、非常にわずかな第2高調波しか生成しない。対照的に、パルスレーザーは、その平均パワー密度よりも何倍も高いピークパワー密度をもたらすことができる。その結果、IRレーザーの時間平均パワー密度と同様の時間平均パワー密度のパルスレーザーは、相当量の第2高調波を生成することができる。例えば、いくつかのパルスレーザーにおいては、パルスレーザーの入力のほぼ50%が第2高調波に変換され得る。
【0007】
DUV CWレーザーは、共振空洞(空洞とも呼称される)を使用して、そのNLO結晶中のパワー密度を増加させることにより、その変換効率を改善させることができる。第2高調波に変換されることなくNLO結晶を通過する光のほとんどは、空洞内で再循環させられて、パワー密度を蓄積する。生成されるいずれの第2高調波も、空洞から脱出することができる。最終的に、パワー密度は、第2高調波として空洞を離脱するパワーと空洞内の損失との和が入力パワーに等しくなり、定常状態に達するレベルにまで蓄積される。DUV波長を発生させるためには、典型的には2つの共振空洞が直列に接続され得る。第1の空洞は、IR基本波波長を再循環させることにより、第2の高調波(例えば、532nmなどの可視波長)を発生させる。第1の空洞に直列的に連結される第2の空洞は、第2高調波を再循環させることにより、第4高調波(例えば、266nmなどのDUV波長)を発生させる。空洞及び/または空洞の構成要素を説明するために使用される「連結」という用語は、物理的に接触している空洞の構成要素を含む場合も含まない場合もあることに留意されたい。
【0008】
図1は、2つの空洞を使用する例示的な既知のレーザー構成を示し、ここでは、第1の空洞は第2の高調波発生器102Aを実現し、第2の空洞は第4高調波発生器102Bを実現する。第2高調波発生器102Aは、第2高調波を発生させるために、複数の鏡110、111、112、及び113、ならびにNLO結晶115を含む。第4高調波発生器102Bは、第4高調波を発生させるために、複数の鏡130、131、132、及び133、ならびにNLO結晶135を含む。第2高調波発生器102Aは、発振器104(周波数f1の信号を発生させる)、変調器103、フォトダイオード105、及び同期検出器106を使用して、能動的に制御され得る。同様に、第4高調波発生器102Bは、発振器124(周波数f2の信号を発生させる)、変調器123、フォトダイオード125、及び同期検出器126を使用して、能動的に制御され得る。
【0009】
基本波レーザー101からのIR光(例えば、1064nmの光)は、鏡110を通して第2高調波発生器102Aに入り、鏡111及び112から反射した後、NLO結晶115に入る。NLO結晶115に入るIR光の一部分は、第2高調波に(例えば、532nmに)変換される。鏡113は、IR光を反射するが、第2高調波を透過する材料で被膜される。その結果、第2高調波光は、鏡113を通過し、第4高調波発生器102Bに方向付けられる。
【0010】
結晶115を通過するIR光のほとんどは、変換されることなくNLO結晶115から出現し、故に、鏡113によって反射され、鏡110に戻るように方向付けられる。鏡110は、鏡113からの光線の入射角で到来するIR光に対しては高反射性であるが、基本波レーザー101から入来するIR光に対しては高透過性である材料で被膜される。
【0011】
第2高調波発生器102A中で高いパワー密度を蓄積するためには、第1の空洞内を循環してきたIR光が、基本波レーザー101から入来する光と同位相で鏡110に到来する必要がある。このため、サーボ制御を使用して、鏡111を機械的に動かし、所定の空洞長さを達成することにより、所望の位相を提供することができる。図1に示す構成においては、第2高調波発生器102Aのためのサーボ制御は、発振器104、変調器103、フォトダイオード105、同期検出器106、及びアクチュエータ制御107を含む。同様に、第4高調波発生器102Bのためのサーボ制御は、発振器124、変調器123、フォトダイオード125、同期検出器126、及びアクチュエータ制御127を含む。例示的なアクチュエータ制御は、所定の空洞長さを維持することで空洞内のパワー密度を最大限にするために、圧電トランスデューサまたはボイスコイルを含む。
【0012】
図1に示すように、基本波レーザー101からの入力IR光は、(発振器104によって提供される)周波数f1で変調器103によって変調されて、時変信号を提供する。いずれの鏡上の被膜も不完全であるため、いくらかの漏出が許されることに留意されたい。その結果、フォトダイオード105は、第1の空洞内を循環する光のわずかな部分(即ち、鏡110を介して鏡113によって反射された光)を受け取って、同期検出器106に信号を提供する。同期検出器106(混合器またはなんらかの他の同様の構成要素を含み得る)は、フォトダイオード105の出力を、周波数f1での発振器104の出力と比較して、アクチュエータ制御107のための制御信号を発生させる。具体的には、同期検出器106は、第1の空洞の長さを調整する必要があるか、またある場合には、長さを増加または減少させるべきか、かつどれくらい増加または減少させるべきかを決定することができる。例示的なサーボ制御は、米国特許第5,367,531号、及びBlackによるLIGO Technical Note LIGO−T980045−00−D (1998)に記載されている。
【0013】
第2の変調器123は、周波数f2での第4高調波発生器102Bへの(鏡113によって提供される)入力光を変調して、別の時変信号を提供する。フォトダイオード125は、循環する光(鏡130を介して鏡133から)のわずかな部分を検出する。同期検出器126は、フォトダイオード125の出力を、周波数f2での発振器124の出力と比較して、アクチュエータ制御127のための制御信号を発生させる。具体的には、同期検出器126は、第4高調波発生器102Bの長さを調整する必要があるか、またある場合には、長さを増加または減少させるべきかを決定することができる。アクチュエータ制御127は、鏡131の位置を物理的に制御して、第4高調波発生器102Bの適切な長さを維持することで、鏡133から反射された光の位相が、鏡130に(鏡113を介して)提供されるものと同じであるようにする。
【0014】
故に、第4高調波発生器102Bは、第4高調波発生器102Bに入る光の入力波長が第2高調波(例えば、532nm)であり、出力波長が第4高調波(例えば、266nm)であることを除いて、第2高調波発生器102Aと実質的に同様の様式で動作する。第2及び第4高調波発生器構成要素の被膜及び材料は、それらの対応する波長に対して適切に選択されることに留意されたい。
【0015】
いくつかの先行技術のデバイス(図示せず)においては、第2の変調器123は省かれており、したがって、両方のサーボ制御が同じ変調周波数で動作する結果となる。他の先行技術のデバイス(再び図示せず)においては、第1の変調器103も第2の変調器123も存在しない。例えば、IRレーザー101は、2つのモードが発生するようにレーザーを動作させることによって、変調された出力を発生させ、これらの2つのモードは、2つのモードの「ビート」によって適切に変調された出力が発生するように、波長分離及び相対振幅を有するように選択される(例えば、Zangerらによる米国公開特許出願第2006/0176916号を参照されたい)。レーザーを変調する必要のない、当該技術分野で既知の別の共振空洞サーボ制御方法は、Haensch and Couillaud in Optical Communications,35,442−444,(1980)に最初に記載されているものであり、これは、偏光を使用して共振空洞中の位相変化を測定する。
【0016】
また他の先行技術のデバイスにおいては、1つ以上の高調波発生器は、4つではなく2つまたは3つの鏡を備えてもよい。いくつかの実施形態では、2つの空洞は、異なる数の鏡を有してもよい。また他の先行技術のデバイスにおいては、DUV出力波長は、NLO結晶135と鏡133との間に設けられたビームスプリッタ(図示せず)によって、再循環する光から分離され得る(したがって、鏡133は、反射性であるだけの材料で被膜され得る)。
【0017】
とりわけ、図1に示すサーボ制御は、例えば温度変化に起因する、空洞長さの緩慢な変化を補正することに効果的であり得る。これらは、低振幅、低周波振動によって起きる空洞長さの変化を補正することにも効果的であり得る。残念ながら、単純に空洞長さを調整することによって補正することができない他の要因が、空洞の出力を劣化させ得る。これらの要因は、補償されていない影響が変化すると、変換プロセスの効率を減少させ、経時的な出力レーザーパワーの下降傾向につながり得る。
【0018】
補償されていない影響としては、焦点距離の変化、及びNLO結晶の特性の空間的に異なる変化に起因する非点収差を挙げることができる。かかる変化は、ある場所での集束されたビームのパワー密度に起因してその場所での光屈折によって起きるときは、可逆性であってもよく、あるいはNLO結晶の材料になされた損傷に起因して不可逆性であってもよい。
【0019】
残念ながら、DUV CWレーザー100は、空洞長さの変化のみを補償することができる。故に、DUV CWレーザー100は、NLO結晶のその第1または第2の空洞における集束または非点収差のいずれの変化も補償することができない。各NLO結晶中の強く集束されたレーザー光は、典型的には、そのNLO結晶中で可逆性及び不可逆性両方の変化を誘起することから、DUV CWレーザー100は、一般的に、最適強度を下回って、より短い寿命で動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0021602号
【特許文献2】米国特許第6633594号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、NLO結晶のその構成高調波発生器における集束または非点収差のいずれの変化も補償することができるDUV CWレーザーの必要性が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
深紫外線(DUV)連続波(CW)光を発生させるためのレーザーは、第2高調波発生器及び第4高調波発生器を含む。第2高調波発生器は、基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換する。この変換は、共振空洞を使用して、または他の手段によって、達成され得る。第4高調波発生器は、第2高調波波長を有する光を、第4高調波波長を有する光に変換する。
【0023】
好ましい実施形態では、第4高調波発生器は、複数の鏡、第1の非線形光学(NLO)結晶、及び第2のNLO結晶を含む。第1のNLO結晶は、第4高調波波長を有する光を発生させ、複数の鏡と動作関係で設けられる。第2高調波は、第1のNLO結晶及び第2のNLO結晶の両方を通過する。とりわけ、第2のNLO結晶の第2の光軸は、第2のNLO結晶内の第2高調波波長を有する光の伝播方向を中心に、第1のNLO結晶の第1の光軸に対して約90度回転する。第2のNLO結晶は、波長変換を提供しない。
【0024】
一実施形態では、第1のNLO結晶及び第2のNLO結晶の各々は、水素アニール処理される。別の実施形態では、第1のNLO結晶及び第2のNLO結晶の各々は、水素アニール処理されたCLBO(セシウムリチウムボレート)結晶を含む。第2高調波を有する光は、第1のNLO結晶中またはその近傍の実質的に楕円形のビームウエストに集束されてもよく、楕円の長軸は、第1のe軸を含む平面上に実質的にある。第2のNLO結晶は、第1のNLO結晶と実質的に同じ温度で保持され得る。第1のNLO結晶の位相整合角及び温度は、中に集束されたビームによって第1のNLO結晶中に作り出される非点収差を低減するように選択され得る。一実施形態では、少なくとも第1のNLO結晶は、(例えば、約50℃以下に)温度制御されて、集束されたビームによって第1のNLO結晶中に作り出される非点収差を低減させる。
【0025】
第4高調波発生器は、平行な表面を持つ一対の薄板を更に含んでもよい。一対の薄板は、非点収差を補償しながら、光ビームのあらゆる変位を最小限に抑えるように、実質的に等しい対角で傾けられ得る。第4高調波発生器は、第4高調波発生器によって導入された非点収差を実質的に取り消すように非点収差補償を自動的に調整するフィードバック制御ループを更に含んでもよい。
【0026】
ウエハ、レチクル、またはフォトマスクを検査するためのシステムも説明する。このシステムは、本明細書に記載するように、第4高調波発生器中に第1及び第2のNLO結晶を含むDUV CWレーザーを含み得る。
【0027】
レーザー中で深紫外線(DUV)連続波(CW)光を発生させる方法。この方法は、基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換すること、ならびに第1の非線形光学(NLO)結晶及び第2のNLO結晶を使用して、第2高調波波長を有する光を、第4高調波波長を有する光に変換することを含む。第4高調波波長を有する光を発生させることは、第2高調波を、第1のNLO結晶、及び第2のNLO結晶に通すこと、ならびに、第2のNLO結晶の第2の光軸を、第2のNLO結晶内の第2高調波波長を有する光の伝播方向を中心に、第1のNLO結晶の第1の光軸に対して約90度回転させることを含む。とりわけ、第1のNLO結晶のみが、第4高調波波長に波長変換を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】複数の空洞を含み、各空洞が複数の鏡及びNLO結晶を含む、先行技術のDUV CWレーザーを例証する。
図2】複数の空洞を含む改善されたDUV CWレーザーを例証し、ここで、第2の空洞は、互いに対して所定の配向にある2つのNLO結晶を含む。
図3図2に示す改善されたDUV CWレーザー中で使用することができる例示的なNLO結晶の端面図を例証する。
図4図2に示す改善されたDUV CWレーザー中で使用することができる第1及び第2のNLO結晶の相対配向を例証する。
図5】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図6】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図7】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図8】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図9】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図10A】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図10B】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図11】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
図12】改善されたDUV CWレーザーを含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下で詳述するように、改善されたDUV CWレーザーは、第4高調波発生器に対するいくつかの改善を含み得る。これらの改善されたものは、組み合わせで、または単独で使用されてもよい。図2は、例示的な改善されたDUV CWレーザー200を例証する。図1の対応する素子と同じ数字でラベル付けされている図2の素子は、図1に関して記載するものと同じ機能を有し、かかる素子は、実質的に同様の様式で実現され得ることに留意されたい。例えば、この実施形態では、DUV CWレーザー200は、基本波レーザー101及び第2高調波発生器102Aを含み、これらの両方が図1を参照して詳述される。
【0030】
図2を参照して、第2高調波発生器102Aによって発生した光201は、モード整合レンズ224によって集束され、鏡130を通して第4高調波発生器202Bに入る。一実施形態では、光201は、約532nmの波長(または別の可視波長)であってもよい。光201は、鏡130、131、132、及び133からの反射によって、第4高調波発生器202Bの周囲を循環する(図1を参照して記載)。第4高調波発生器202Bのいくつかの実施形態は、4つではなく2つまたは3つのみの鏡を有してもよいことに留意されたい。鏡130、131、132、及び133は、循環する光の入射角に対するその可視波長にて高反射性であるように被膜される。鏡130の被膜はまた、循環する光とは異なる入射角で入来する光201を透過する必要がある。
【0031】
第4高調波発生器202Bを実現する空洞の長さは、当該技術分野で既知のロッキングスキーム(そのいくつかは上述する)のいずれによっても制御し得る。一実施形態では、第4高調波発生器202Bの空洞長さは、ヘンシュ−・クイヨー(Haensch−Couillaud)・ロッキングスキームを使用して制御し得る(上述の参照を参照されたい)。高い可視光パワーレベル(約10W以上など)は変調器を損傷する可能性があり、あるいは、かかるパワーに耐えられる変調器は高価であり得ることに留意されたい。第4高調波発生器202Bのヘンシュ−・クイヨー・ロッキングスキームは、小角度(約2°未満の角度など)を通して光201の偏光を回転させるように、半波長板223を使用し得る。半波長板223などの受動構成要素は、変調器などの能動構成要素よりも良好に、高い可視光パワーに耐えることができる場合がある。循環する光のわずかな部分は、鏡130を介して第4高調波発生器202Bを離れ、同時に、(半波長板223によって作り出された)直交偏光を持つ入力光の反射された構成要素は、空洞長さを制御するサーボ制御260に方向付けられる。具体的には、サーボ制御260は、第4高調波発生器202Bの長さを調整する必要があるか、またある場合には、長さを増加または減少させるべきか、かつどれくらい増加または減少させるべきかを決定することができる。アクチュエータ制御127は、鏡131の位置を物理的に制御して、第2の空洞の適切な長さを維持することで、鏡133から反射された光の位相が、鏡130に入来する可視光201に対するものと同じであるようにする。空洞からの光は、任意選択で、ビームスプリッタ252及びビームダンプ251によって、必要であれば減衰させてもよい。いずれかの必要な減衰の後、光は、2つの直交偏光を互いに干渉させるために、軸が空洞の偏光方向に対して実質的に45度であるように配向された、1/4波長板253を通過する。偏光ビームスプリッタ254は、1/4波長板253の出力を2つの直交偏光に分離させ、これらは2つのフォトダイオード255によって検出される。任意選択で、偏光ビームスプリッタ254が十分な偏光識別を提供する場合には、直線偏光子(図示せず)をフォトダイオード255の前に設けてもよい。サーボ制御回路259は、2つのフォトダイオードからの信号の差異からアクチュエータ制御127を生成する。
【0032】
上述のように、DUV CWレーザー200は、第4高調波発生器中に、周波数変換を提供する第1のNLO結晶235、及び周波数変換を提供しない第2のNLO結晶236という2つのNLO結晶を含む。一実施形態では、NLO結晶235は、第4高調波を発生させることができる(例えば、266nmの波長が532nmの入力波長から発生する)。1つの好ましい実施形態では、NLO結晶235は、水素アニール処理されたNLO結晶によって実現することができる。例示的な水素アニール処理されたCLBO(セシウムリチウムボレート)NLOは、2011年10月7日出願の米国仮出願第61/544,425号の優先権を主張する2012年6月5日出願の米国特許出願第13/544,425号に記載されており、これらの両方は参照により本明細書に組み込まれる。従来のNLO結晶と比べて水素アニール処理されたNLO結晶を使用する1つの利点は、水素アニール処理されたNLO結晶が、より少ない、またはより遅い損傷を伴ってより高いDUVパワー密度で動作し得ることである。故に、少なくとも1つの水素アニール処理されたNLO結晶を含むDUV CWレーザーは、より長い寿命、及び点検または修理の時間間隔が長いことに起因するより低い操業費用で、より安定性の高い出力を提供することができる。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態では、DUV CWレーザー200は、楕円の長軸がNLO結晶のe軸(異常軸)を含む平面に実質的に平行に配向された楕円集束にあるNLO結晶235中に光を集束させることができる。この配向を図3に示し、この図はNLO結晶235の端面図を示す。図3に示すように、光は、NLO結晶235中またはその近傍の楕円スポット303に集束される。とりわけ、楕円スポット303の長軸は、NLO結晶235のe軸を含む平面(即ち、図3に描出するような水平面)に実質的に平行に整列する。いくつかの好ましい実施形態では、楕円スポット303の短軸の集束は、長軸の集束が、パワー密度、よって変換効率をおよそ維持するように増加するのとおおよそ同じ要因によって、減少する。楕円集束は、円筒形に湾曲しているか、または2つの異なる方向の異なる曲率半径を有する、モード整合レンズまたは鏡224のうちの1つ以上によって達成され得る。いくつかの実施形態では、第2高調波発生器102Aは、楕円ビームを出力してもよいが、第4高調波発生器202Bに対して、補正軸に沿って、または所望の偏心で、細長い必要はない。一実施形態では、円筒形の望遠鏡または他の光学系は、モード整合レンズまたは鏡224に使用して、楕円スポットを所望の形状及びサイズで第4高調波発生器202Bへと再形成及び再集束させてもよい。
【0034】
NLO結晶235内部の集束されたレーザー放射線の強電場は、結晶の材料の屈折率(光屈折と呼称される)の変化を引き起こす。電場強度は楕円スポット303の中心からその縁部に向かって減少するため、屈折率の変化は、楕円スポット303の中心にて、その縁部よりも大きい。更に、光屈折効果は、e軸を含む方向により強い。
【0035】
長軸がe軸を含む平面に平行である楕円集束を使用する1つの利点は、出力ビームのウォークオフがこの方向に生じることである。この方向に細長い楕円形により、ビーム品質を維持しながらより長いNLO結晶を使用することが可能となる。2012年3月2日にDribinskiらによって出願され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/412,564号は、NLO結晶中の例示的な光の楕円集束を説明している。
【0036】
とりわけ、光屈折は、非点収差を第4高調波発生器空洞中に導入する。鏡間の距離によって測定される空洞長さを制御する従来のサーボ制御は、平均屈折率変化から平均路長変化を補正することしかできず、集束されたビーム内の異なる場所で異なる屈折率によって引き起こされるいずれの非点収差も補正することができない。第2の結晶236は、材料構成要素において、周波数変換結晶、即ち、第1の結晶235と実質的に同様であるが、その結晶軸が光201の伝播方向に平行な軸を中心に90°回転するために、第2の結晶236が周波数変換を行わないことは除く。一実施形態(図示)では、第2のNLO結晶236は、第4高調波光及び残存している第2の高調波光が第2の結晶を通過するように、第1のNLO結晶235のすぐ下流に設けられる。第2及び第4高調波の両方はNLO結晶における光屈折及び他の非理想的効果に寄与するため、第2のNLO結晶236を第1のNLO結晶235の下流に設けることで、第2のNLO結晶236によって作り出される収差が、これらが90°にわたって回転することを除いて第1のNLO結晶235によって作り出されたものと実質的に同様であることが保証される。他の実施形態では、第2のNLO結晶236は、第2のNLO結晶236が第4高調波(UV)光に供されないように、第1のNLO結晶235のすぐ上流(図示せず)に設けられる。共振空洞中の第2高調波のパワー密度は、第4高調波のパワー密度よりもはるかに大きいため、光屈折効果のほとんどは第2高調波によって発生し、それにより、第2のNLO結晶236中の収差は、第1のNLO結晶235中の収差と、第1のNLO結晶235中で作り出された非点収差を実質的に取り消すのに十分に(90°の回転以外)同様であり得る。第2のNLO結晶236を第1のNLO結晶235の上流に設けることの利点は、第2のNLO結晶が、NLO結晶を劣化させ得る第4高調波UV放射線に曝されなければ、より長い寿命を有することになる点である。かかる場合には、第2のNLO結晶236は、必要な交換の頻度が少なく(または全くなく)、したがって、複数年にわたるレーザーの維持費用が低下し得る。いくつかの実施形態では、第4高調波発生器202B中を循環している光が空洞中の特定の点にて集束される場合には、第1のNLO結晶235は、第2のNLO結晶236にすぐ隣接するのではなく、その場所にて設けることができる。
【0037】
一実施形態では、第4高調波発生器202B中の第1及び第2のNLO結晶は、入射可視光に対してほぼブリュースター角でカットされたそれらの入力及び出力表面を有し、この表面は、入射可視光が実質的にその表面に対してp偏光されるように配向される。当業者に周知であるように、ブリュースターカット表面は、p偏光された光に対する反射性が実質的にゼロである。ブリュースターカット表面を使用することで、NLO結晶の表面への反射防止コーティング被膜の必要性が排除される。第4高調波発生器空洞内の高パワー密度に耐えられる反射防止被膜は利用可能でない場合がある。第4高調波は、その偏光が可視光の偏向に垂直であるため、第4高調波は、可視光に対してブリュースターカットされる表面からの低反射性を有しないことになる。よって、ブリュースターカットの結晶を使用する場合は、第2のNLO結晶236を第1のNLO結晶235の上流に設けて、第4高調波放射線の損失を回避することが好ましい。
【0038】
第2のNLO結晶236の目的は、第1のNLO結晶235によって引き起こされる非点収差を実質的に取り消すことである。この目的を達成するために、一実施形態では、第2のNLO結晶236は、第1のNLO結晶235の光軸に対して光の伝播方向を中心に実質的に90°回転するように配向される。第2のNLO結晶236によって導入された非点収差は第1のNLO結晶235に対して実質的に90°回転するため、2つの非点収差は実質的に互いに取り消し合う。第2のNLO結晶236を含めることによりDUV CWレーザー200の費用が増加するが、この費用の増加は、第4高調波発生器中で単一の結晶を使用するレーザーと比較して、より高い性能、より長い寿命、及び減少した頻度の点検によって相殺され得る(例えば、図1を参照されたい)。NLO結晶235及び236の光軸の相対配向を図4に示す。第1のNLO結晶235のe軸は、所望の結晶温度で第2高調波から第4高調波を発生させるために位相整合を達成するように、入来光410(即ち、第2高調波)の伝播及び偏光方向に対して整列する。例えば、NLO結晶がCLBOを含む場合、CLBOの所望の動作温度は約50℃であり、第2高調波は532nmの波長であり、結晶のe軸は、入来光の伝播方向に対して実質的に61.6°であるべきであり、かつ入来光の偏光方向に垂直であるべきである。図4は、例証目的のために、光の伝播方向に対してある角度をなして実質的に水平方向に横たわるe軸を示す。示すように、第2のNLO結晶236は、平面が実質的に垂直なそのe軸及び光の伝播方向(e軸は方向408にある)を含むように配向され、これは、第1のNLO結晶235のe軸及び光の伝播方向(e軸は方向405にある)を含む平面の配向に実質的に垂直である。第2のNLO結晶236におけるe軸408の方向と光の伝播方向との間の角度の値は、第1のNLO結晶235におけるe軸405の方向と光の方向との間の角度と実質的に等しいが、2つの結晶の結晶軸の配向は、入来光410の伝播方向を中心に、互いに対して90°回転する。
【0039】
NLO結晶が、前述の例のような1軸複屈折ではなく2軸複屈折である場合でも、同じ原理が守られる。第1のNLO結晶235の光軸は、所望の結晶温度で第2高調波から第4高調波を発生させるために位相整合を達成するように、入来光410(第2高調波)の伝播及び偏光方向に対して整列して配向する必要がある。第2のNLO結晶236は、その光軸が入来光410の伝播方向を中心に90°回転するように配向する必要がある。
【0040】
再び図2を参照して、いくつかの実施形態では、鏡130、131、132、及び133のうちの1つ以上は、第4高調波発生器202B中を循環している光を、第1のNLO結晶235の実質的な内側またはその近傍のビームウエストに再集束させるために、球面鏡である。いくつかの実施形態では、鏡130、131、132、及び133のうちの1つ以上は、第1のNLO結晶235の非点収差をおおよそ補償するために、円筒形である。この円筒形の鏡は、傾斜板245もしくは第2のNLO結晶236の代わりに、またはそれに加えて、使用され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ(図示せず)は、円筒形の鏡の曲率を制御して、非点収差補償を調整することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ(図示せず)は、非点収差を補償するために、球面鏡の一方向に曲率を変化させることができる。当業者であれば、循環する光を、円または楕円集束に集束させるため、及び非点収差を補償するために、鏡曲率を選択する方法を理解するであろう。
【0041】
当業者であれば、他の非点収差制御デバイス及び方法が、上記のものを置き換えることができ、かつこの発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態では、少なくともNLO結晶235の動作温度を制御して、非点収差を最小限に抑える。CLBOについては、これは、NLO結晶235を、低温、好ましくは約100℃未満、あるいはいくつかの実施形態では、約50℃未満または約30℃未満で動作させることを意味する。集束光によって引き起こされるCLBO及びいくつかの他のNLO結晶材料の屈折率の変化は、高温よりも低温で少ない。
【0043】
NLO結晶235を実質的に100℃未満の温度で動作させるために、一実施形態では、第4高調波発生器202B(その構成要素である鏡及びNLO結晶を含む)を、保護された低湿度環境中に収容することができる。この環境は、NLO結晶235及びNLO結晶236が湿度を吸収するのを防止する。湿度は、DUV波長を発生させる時には特に、ほとんどのNLO結晶材料の性能及び寿命を低下させる。故に、NLO結晶235及び236は、ほぼ同様の量の非点収差が各結晶中で発生するように、ほぼ同じ温度で保持されるべきである。
【0044】
いくつかの実施形態では、DUV CWレーザー200は、平行な表面を持つ2枚の傾斜薄板245を含むことができる。光路上に設けられた単一の傾斜薄板は、非点収差を導入し、また光ビームを変位させる。しかしながら、平行軸を中心に等しいが反対の量で傾けられた2枚の板245は、ビームを変位させることなく非点収差を導入する。故に、第2のNLO結晶236が使用されないか、あるいは第2のNLO結晶236によって補正されていない(または過剰に補正された)いずれの残存している非点収差も補正し得る場合、傾斜板245を調整して、第1のNLO結晶235によって導入された非点収差を実質的に補正することができる。故に、傾斜板245は、第2のNLO結晶236の代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
【0045】
一実施形態では、ブリュースターカットNLO結晶(少なくとも第1のNLO結晶235に対する)は、2枚の傾斜板245と共に使用する。NLO結晶の入力及び出力は、NLO結晶の両面において可視光の反射が最小限であるように、入力光の偏光がその表面に対して実質的にp偏光され、入力光がブリュースター角に近く入射するようにカットされる。
【0046】
いくつかの実施形態では、傾斜板245は、レーザーの動作中、所定の傾斜角に固定されたままである。他の実施形態では、傾斜角を調整して、第1のNLO結晶235によって引き起こされる可逆性非点収差を補償してもよい。また別の実施形態では、第4高調波発生器202B中の非点収差は、センサ(図示せず)によって監視され、このセンサは、傾斜板245を調整して非点収差を実質的に取り消す信号を発生させる。
【0047】
一実施形態では、第2の空洞のDUV出力は、ビームスプリッタ237によって(図2に示す)、または鏡133上の適切な被膜によって、光201から分離され得る。DUV及び可視光は、互いに実質的に直交する偏光を有するため、ビームスプリッタ237は、例えば、光201に対してブリュースター角で配向されるものなどの偏光ビームスプリッタであり得る。あるいは、ビームスプリッタ237は、可視波長を透過させながら、DUV波長を選択的に反射する被膜を有してもよい。
【0048】
図5〜12は、上述の改善されたDUV CWレーザー(システムレベルでは照明または光源とも呼称される)を含み得るシステムを例証する。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウエハ検査用途に使用することができる。
【0049】
図5は、基材512の表面を検査するための例示的な光学検査システム500を例証する。システム500は、一般的に、第1の光学配置551及び第2の光学配置557を含む。示すように、第1の光学配置551は、少なくとも1つの光源552、検査光学系554、及び基準光学系556を含み、一方で、第2の光学配置557は、少なくとも透過光光学系558、透過光検出器560、反射光光学系562、及び反射光検出器564を含む。1つの好ましい構成では、光源552は、上述の改善されたDUV CW照明源を含む。
【0050】
光源552は、音響光学デバイス570を通過する光ビームを射出するように構成され、音響光学デバイス570は、光ビームを偏向及び集束させるように配列される。音響光学デバイス570は、光ビームをY方向に偏向させZ方向に集束させる一対の音響光学素子、例えば音響光学プリスキャナ及び音響光学スキャナを含んでもよい。例として、ほとんどの音響光学デバイスは、RF信号を石英またはTeOなどの結晶に送ることによって、動作する。このRF信号により、音波が結晶中を移動する。移動する音波のため、結晶は非対称となり、これが、結晶全体を通じて屈折率を変化させる。この変化により、入射ビームは、振動式に偏向される集束移動スポットを形成する。
【0051】
光ビームが音響光学デバイス570から出現すると、それは、その後、一対の1/4波長板572及び中継レンズ574を通過する。中継レンズ574は、光ビームを平行化するように配列される。平行化された光ビームは、その後、その経路上を進み続けて回折格子576に到達する。回折格子576は、光ビームをラッパ状に広げるように、より具体的には、光ビームを、互いに空間的に識別可能な(即ち、空間的に別個の)3つの別個のビームへと分離させるように配列される。ほとんどの場合、空間的に別個のビームは、等間隔で離間し、実質的に等しい光強度を有するようにも配列される。
【0052】
回折格子576を出た後、3つのビームは、開口部580を通過し、その後、進み続けてビームスプリッタキューブ582に到達する。ビームスプリッタキューブ582は(1/4波長板572と組み合わせて)、ビームを2つの経路、即ち、下向きの経路と右向きの経路とに分けるように配列される(図6に示される構成)。下向きの経路は、ビームの第1の光部分を基材512に対して分配するために使用され、一方で、右向きの経路は、ビームの第2の光部分を基準光学系556に対して分配するために使用される。ほとんどの実施形態では、光のほとんどは、基材512に対して分配され、小さい割合の光は、基準光学系556に対して分配されるが、百分率比は、各光学検査システムの特定の設計に従って変わり得る。一実施形態では、基準光学系556は、基準集光レンズ514及び基準検出器516を含むことができる。基準集光レンズ514は、ビームの一部分を基準検出器516上に集光し方向付けるように配列され、基準検出器516は、光の強度を測定するように配列される。基準光学系は、一般的に、当該技術分野で周知であり、簡潔さのため、詳細には考察しない。
【0053】
ビームスプリッタ582からの下向きの3つのビームは、光を再方向付け及び拡大するいくつかのレンズ素子を含む望遠鏡588によって受け取られる。一実施形態では、望遠鏡588は、タレット上で回転する複数の望遠鏡を含む望遠鏡システムの一部である。例えば、3つの望遠鏡が使用し得る。これらの望遠鏡の目的は、基材上の走査スポットのサイズを変化させることであり、それにより検出可能な最小欠陥サイズの選択を可能にする。より具体的には、望遠鏡の各々は、一般的に、異なるピクセルサイズを表す。このため、ある望遠鏡は、検査をより高速かつより低感度(例えば、低解像度)にする、より大きなスポットサイズを発生させ得、一方で、別の望遠鏡は、検査をより低速かつより高感度(例えば、高解像度)にする、より小さいスポットサイズを発生させ得る。
【0054】
望遠鏡588から、3つのビームは、ビームを基材512の表面上に集束させるように配列される対物レンズ590を通過する。ビームが3つの別個のスポットとして表面と交差する際、反射光ビームと透過光ビームとの両方が発生し得る。透過光ビームは、基材512を通過するし、一方で、反射光ビームは、表面で反射される。例として、反射光ビームは、基材の不透明な表面で反射され得、透過光ビームは、基材の透明な区域を透過し得る。透過光ビームは、透過光光学系558によって集光され、反射光ビームは、反射光光学系562によって集光される。
【0055】
透過光光学系558に関しては、透過光ビームは、基材512を通過した後、第1の透過レンズ596によって集光され、球面収差補正レンズ598の援助により透過プリズム510上に集束される。プリズム510は、透過光ビームの各々に切子面を有するように構成され得、切子面は、透過光ビームを再位置付け及び曲折させるように配列される。ほとんどの場合、プリズム510は、ビームが各々透過光検出器配列560(3つの個別の検出器を有するものとして示す)中の単一の検出器に当たるように、ビームを分離させるために使用される。したがって、ビームがプリズム510を出ると、ビームは、第2の透過レンズ502を通過し、第2の透過レンズ502は、分離されたビームの各々を3つの検出器のうちの1つに別個に集束させ、検出器の各々は、透過光の強度を測定するように配列される。
【0056】
反射光光学系562に関しては、基材512で反射された後の反射光ビームは、対物レンズ590によって集光され、対物レンズ690は、その後、ビームを望遠鏡588に向けて方向付ける。望遠鏡588に到達する前に、ビームはまた、1/4波長板504を通過する。一般論としては、対物レンズ590及び望遠鏡588は、入射ビームが操作される方法に対して光学的に反対の様式で、集光されたビームを操作する。つまり、対物レンズ590は、ビームを再平行化し、望遠鏡888は、それらのサイズを低減させる。ビームが望遠鏡588を出ると、ビームは、(後方へ)進み続けてビームスプリッタキューブ582に到達する。ビームスプリッタ582は、1/4波長板504と共に機能してビームを中央経路506上に方向付けるように構成される。
【0057】
経路506上を進み続けるビームは、その後、第1の反射レンズ508によって集光され、第1の反射レンズ508は、ビームの各々を反射プリズム509上に集束させる、反射プリズム509は、反射光ビームの各々のための切子面を含む。反射プリズム509は、反射光ビームを再位置付け及び曲折させるように配列される。透過プリズムと510と同様に、反射プリズム509を使用して、ビームを分離させることで、ビームが各々反射光検出器配列564中の単一の検出器に当たるようにする。示すように、反射光検出器配列564は、3つのそれぞれ別個の検出器を含む。ビームが反射プリズム509を出ると、ビームは、第2の反射レンズ511を通過し、第2の反射レンズ511は、分離されたビームの各々をこれらの検出器のうちの1つにそれぞれ集束させ、検出器の各々は、反射光の強度を測定するように配列される。
【0058】
上記光学アセンブリによって促進され得る検査モードは、複数存在する。例として、光学アセンブリは、透過光検査モード、反射光検査モード、及び同時検査モードを促進することができる。透過光検査モードに関しては、透過モード検出は、典型的に、透明区域及び不透明区域を有する従来の光マスクなどの基材上の欠陥検出のために使用される。光ビームがマスク(または基材512)を走査する際、光は、透明ポイントでマスクを貫通し、透過光検出器560によって検出されるが、透過光検出器560は、マスクの背後に位置し、第1の透過レンズ596、第2の透過レンズ502、球面収差レンズ598、及びプリズム510を含む透過光光学系558によって集光される光ビームの各々の強度を測定する。
【0059】
反射光検査モードに関しては、反射光検査は、クロム、現像されたフォトレジスト、または他の特徴の形で画像情報を含有する透明または不透明な基材上で実行され得る。基材512によって反射された光は、検査光学系554と同じ光路に沿って後方へ進むが、その後、偏光ビームスプリッタ582によって検出器564内へそらされる。より具体的には、第1の反射レンズ508、プリズム509、及び第2の反射レンズ511は、そらされた光ビームからの光を検出器564上に投射する。反射光検査はまた、不透明な基材頂面上への異物混入を検出するために使用され得る。
【0060】
同時検査モードに関しては、透過光と反射光との両方を利用して、欠陥の存在及び/または種類を判定する。システムの2つの測定値は、透過光検出器560によって検知される、基材612を通して透過される光ビームの強度、及び反射光検出器564によって検出される、反射光ビームの強度である。それら2つの測定値は、その後処理されて、基材512上の対応するポイントにおける欠陥(もしあれば)の種類を判定することができる。
【0061】
より具体的には、透過及び反射の同時検出は、透過検出器によって検知される不透明な欠陥の存在を開示し得る一方で、反射検出器の出力は、欠陥の種類を開示するために使用され得る。一例として、基材上にクロムのドットまたは粒子のいずれかがあると、両方とも、透過検出器で低い透過光表示という結果が生じ得るが、反射性のクロム欠陥があると、高い反射光表示という結果が生じ得、粒子があると、同じ反射光検出器でより低い反射光表示という結果が生じ得る。したがって、反射及び透過検出の両方を使用することによって、欠陥の反射または透過特性のみが吟味される場合は発見されないであろう、クロムの幾何形状上の粒子を発見し得る。加えて、反射及び透過光の強度比など、ある特定の種類の欠陥に関する識別特徴を判定し得る。この情報は、その後、欠陥を自動的に分類するために使用され得る。1996年10月8日に発行され、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,563,702号は、システム500に関する更なる詳細を記載している。
【0062】
本発明のある特定の実施形態に従い、レーザーシステムを組み込む検査システムは、単一の検出器上でデータの2つのチャネルを同時に検出し得る。かかる検査システムは、レチクル、フォトマスク、またはウエハなどの基材を検査するために使用され得、Brownらに対して2009年5月5日に発行され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,528,943号に記載のように動作し得る。
【0063】
図6は、1つのセンサ670に関する画像または信号の2つのチャネルを同時に検出するレチクル、フォトマスク、またはウエハ検査システム600を示す。照明源609は、本明細書に記載するような改善されたDUV CWレーザーを組み込み、可干渉性低減スキームを更に備えてもよい。2つのチャネルは、検査対象630が透明(例えば、レチクルまたはフォトマスク)のとき、反射された及び透過された強度を含み得るか、あるいは入射角度、偏光状態、波長領域、またはそれらのなんらかの組み合わせなど、2つの異なる照明モードを含むことができる。
【0064】
図6に示すように、照明中継光学系615及び620は、照明源609から検査対象630へ照明を中継する。検査対象630は、検査されるレチクル、フォトマスク、半導体ウエハ、または他の物品であり得る。画像中継光学系640、655、及び660は、検査対象630によって反射された及び/または透過された光をセンサ670に中継する。2つのチャネルで検出される信号または画像に対応するデータは、データ680として示され、処理のためにコンピュータ(図示せず)に送信される。
【0065】
図7は、複数の対物レンズ及び上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つを含む、例示的な検査システム700を例証する。システム700において、本明細書に記載のUVレーザーのうちの1つを組み込むレーザー701からの照明は、照明サブシステムの複数のセクションに送られる。照明サブシステムの第1のセクションは、素子702a〜706aを含む。レンズ702aは、レーザー701からの光を集束させる。レンズ702aからの光は、その後、鏡703aから反射される。鏡703aは、例証目的のためにこの場所に設けられており、別の場所に位置付けられてもよい。鏡703aからの光は、その後、照明瞳面705aを形成するレンズ704aによって集光される。検査モードの要件に応じて、光を修正するための開口部、フィルター、または他のデバイスを瞳面705a内に設けてもよい。瞳面705aからの光は、その後、レンズ706aを通過し、照明フィールド面707を形成する。
【0066】
照明サブシステムの第2のセクションは、素子702b〜706bを含む。レンズ702bは、レーザー701からの光を集束させる。レンズ702bからの光は、その後、鏡703bから反射される。鏡703bからの光は、その後、照明瞳面705bを形成するレンズ704bによって集光される。検査モードの要件に応じて、光を修正するための開口部、フィルター、または他の装置を瞳面705b内に設けてもよい。瞳面705bからの光は、その後、レンズ706bを通過し、照明フィールド面707を形成する。第2のセクションからの光は、その後、照明フィールド面707における照明フィールド光エネルギーが照明セクションの組み合わせからなるように、鏡または反射面によって再方向付けされる。
【0067】
フィールド面光は、その後、レンズ709によって集光されてから、ビームスプリッタ710で反射される。レンズ706a及び709は、第1の照明瞳面705aの画像を対物瞳面711において形成する。同様に、レンズ706b及び709は、第2の照明瞳面705bの画像を対物瞳面711において形成する。対物レンズ712(または代替として713)は、その後、瞳光を受け、照明フィールド707の画像をサンプル714において形成する。対物レンズ712または対物レンズ713は、サンプル714の近傍に位置付けることができる。サンプル714は、サンプルを所望の場所に位置決めするステージ(図示せず)上を移動し得る。サンプル714から反射及び散乱された光は、高NAの反射屈折対物レンズ712または対物レンズ713によって集光される。反射された光瞳を対物瞳面711において形成した後、光エネルギーは、ビームスプリッタ710及びレンズ715を通過してから、結像サブシステム内に内部フィールド716を形成する。この内部結像フィールドは、サンプル714及び対応する照明フィールド707の画像である。このフィールドは、照明フィールドに対応する複数のフィールドへと空間的に分離され得る。これらのフィールドの各々は、分離した結像モードをサポートすることができる。
【0068】
これらのフィールドのうちの1つは、鏡717を使用して再方向付けされ得る。再方向付けされた光は、その後、レンズ718bを通過してから、別の結像瞳719bを形成する。この結像瞳は、瞳711及び対応する照明瞳705bの画像である。検査モードの要件に応じて、光を修正するための開口部、フィルター、または他のデバイスを瞳面719b内に設けてもよい。瞳面719bからの光は、その後、レンズ720bを通過し、センサ721b上に画像を形成する。同様の様式で、鏡または反射面717を通り過ぎる光は、レンズ718aによって集光され、結像瞳719aを形成する。結像瞳719aからの光は、その後、レンズ720aによって集光されてから、検出器721a上に画像を形成する。検出器721a上に結像される光は、センサ721b上に結像される光とは異なる結像モードのために使用され得る。
【0069】
システム700で用いられる照明サブシステムは、レーザー源701、集光光学系702〜704、瞳面705の近傍に設けられるビーム成形構成要素、ならびに中継光学系706及び709から構成される。内部フィールド面707は、レンズ706と709との間に位置する。1つの好ましい構成では、レーザー701は、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つを含むことができる。
【0070】
レーザー701に関しては、2つの透過点または透過角度を有する単一の均一なブロックとして例証されているが、現実には、これは、2つの照明チャネル、例えば、素子702a〜706aを通過する第1の周波数のレーザー光エネルギーなどの、第1の光エネルギーチャネルと、素子702b〜706bを通過する第2の周波数のレーザー光エネルギーなどの、第2の光エネルギーチャネルと、を提供することができるレーザー源を表す。1つのチャネルにおいては明視野エネルギー、及び他方のチャネルにおいては暗視野モードなど、異なる光照明エネルギーを用いてもよい。
【0071】
レーザー源701からの光エネルギーは、90度離して射出されるように示され、素子702a〜706a及び702b〜706bは、90度の角度で配向されるが、現実には、光は、必ずしも2次元ではない様々な配向において射出され得、構成要素は、示されるものとは異なって配向させてもよい。したがって、図7は、用いられる構成要素の単なる表示であり、示される角度または距離は、原寸に比例しておらず、特にこの設計に必要でもない。
【0072】
瞳面705の近傍に設けられる素子は、現在のシステムにおいて、開口成形の概念を使用して用いてもよい。この設計を使用すると、均一な照明または均一に近い照明、及び個別の点照明、リング照明、4重極照明、または他の望ましいパターンを実現し得る。
【0073】
対物レンズに関する様々な実装は、一般的な結像サブシステムにおいて用いることができる。単一の固定された対物レンズを使用してもよい。単一の対物レンズは、全ての所望の結像及び検査モードをサポートし得る。かかる設計は、結像システムが比較的大きなフィールドサイズ及び比較的高い開口数をサポートする場合に、達成可能である。開口数は、瞳面705a、705b、719a、及び719bに設けられる内部開口部を使用することにより、所望の値まで縮小することができる。
【0074】
複数の対物レンズはまた、図7に示すように使用されてもよい。例えば、2つの対物レンズ712及び713を示すが、任意の数が可能である。かかる設計における各対物レンズは、レーザー701によって生成される各波長に対して最適化され得る。これらの対物レンズ712及び713は、固定された位置を有することができるか、サンプル714の近傍の位置に移動することができるかのいずれかである。複数の対物レンズをサンプルの近傍に移動させるために、標準的な顕微鏡に共通であるように、回転式タレットを使用してもよい。ステージ上で横方向に対物レンズを平行移動させることと、ゴニオメータを使用して円弧上で対物レンズを平行移動させることと、を含むが、これらに限定されないサンプルの近傍に対物レンズを移動するための他の設計が利用可能である。加えて、固定された対物レンズ及びタレット上の複数の対物レンズの任意の組み合わせが本システムに従って達成され得る。
【0075】
この構成の最大開口数は、0.97に接近し得るかまたはそれを超過し得るが、ある特定の例では、より高くなってもよい。この高NA反射屈折結像システムにおいて可能な幅広い照明及び集光角度は、その広いフィールドサイズとの組み合わせにより、システムが複数の検査モードを同時にサポートすることを可能にする。前の段落から理解できるように、複数の結像モードは、照明デバイスと関連する単一の光学システムまたは機械を使用して実現することができる。開示の照明及び集光用の高NAは、同じ光学システムを使用して結像モードを実現することを可能にし、それにより異なる種類の欠陥またはサンプルに対して結像を最適化することを可能にする。
【0076】
結像サブシステムはまた、中間画像形成光学系715を含む。画像形成光学系715の目的は、サンプル714の内部画像716を形成することである。この内部画像716には、検査モードのうちの1つに対応する光を再方向付けするために、鏡717を設けることができる。結像モードのための光が空間的に分離しているので、この位置で光を再方向付けすることが可能である。画像形成光学系718(718a及び718b)ならびに720(720a及び720b)は、可変焦点ズーム、集束光学系を持つ複数のアフォーカルチューブレンズ、または複数の画像形成マグチューブを含む、いくつかの異なる形態で実現することができる。2009年7月16日に公開され、参照によって本明細書に組み込まれる、米国公開出願第2009/0180176号は、システム700に関する更なる詳細を記載している。
【0077】
図8は、調整可能な倍率を持つ例示的な超広帯域UV顕微鏡結像システム800を例証する。図8は、801Aとして示すように構成した光学系を用いた36倍、801Bとして示すように構成した光学系を用いた64倍、及び801Cとして示すように構成した光学系を用いた80倍という、顕微鏡の3つの異なる倍率を例証する。801Cで示すように、光学系は、反射屈折対物レンズセクション802及びズームチューブレンズ803を含む。反射屈折対物レンズセクション802は、反射屈折レンズ群804、フィールドレンズ群805、及び集束レンズ群806を含む。システム800は、対象/サンプル809(例えば、検査対象のウエハ)を画像面812に描く。
【0078】
反射屈折レンズ群804は、ほぼ平面の(または平面の)反射板(反射被膜を施したレンズ素子)、メニスカスレンズ(反射表面)、及び凹球面反射板を含む。両方の反射素子は、反射材料を持たない中央の光学開口部を有することで、中間画像面からの光が、凹球面反射板を通過し、ほぼ平面の(または平面の)反射板によって凹球面反射板へと反射され、戻ってほぼ平面の(または平面の)反射板を通過し、関連するレンズ素子または途中にある素子を横断することを可能にし得る。反射屈折レンズ群804は、ズームチューブレンズ803との組み合わせで、システムの一次縦の色が波長域にわたって実質的に補正されるように、中間画像の実像を形成するように位置付ける。
【0079】
フィールドレンズ群805は、2つ以上の、溶融石英及びフッ化物ガラスなどの異なる屈折材料、または回折面から作製することができる。フィールドレンズ群805は、光学的に共に連結させてもよく、または代替的に、空中でわずかに離間させてもよい。溶融石英及びフッ化物ガラスは、深紫外領域における分散において大きく異ならないため、フィールドレンズ群のいくつかの構成要素の個別のパワーは、異なる分散を提供するためには高い振幅である必要がある。フィールドレンズ群805は、中間画像の近傍の光軸に沿って整列させた正味の正のパワーを有する。かかるアクロマティックフィールドレンズの使用により、超広帯域スペクトル領域にわたる少なくとも二次縦の色ならびに一次及び二次横の色を含む色収差の完全な補正が可能となる。一実施形態では、1つのみのフィールドレンズ構成要素が、システムの他のレンズとは異なる反射材料である必要がある。
【0080】
集束レンズ群806は、複数のレンズ素子を含み、これらの複数のレンズ素子は、好ましくは全てが単一の種類の材料から形成され、それらの反射面は、単色収差と収差の色度変動との両方を補正し、光を中間画像に集束させるように選択された、曲率及び位置を有する。集束レンズ群806の一実施形態では、パワーの低いレンズ813の組み合わせは、球面収差、コマ、及び非点収差において色度変動を補正する。ビームスプリッタ807は、UV光源808に入口を提供する。UV光源808は、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つによって有利に実現することができる。
【0081】
ズームチューブレンズ803は、溶融石英など、全て同じ反射材料であることができ、一次縦及び一次横の色がズーミング中に変化しないように設計する。これらの一次色収差は、ゼロまで補正する必要はなく、また1種類のみのガラスを使用する場合にはそうすることはできないが、これらは静止している必要があり、そうすることは可能である。次に、これらの補正されていないが静止しているズームチューブレンズ803の色収差を補償するように、反射屈折対物レンズセクション802の設計を変更する必要がある。その高次色収差を変化させずにズームするかまたは倍率を変化させることができるズームチューブレンズ803は、システムの光路に沿って配設されるレンズ表面を含む。
【0082】
1つの好ましい実施形態では、ズームチューブレンズ803は、まず、2つの反射材料(溶融石英及びフッ化カルシウムなど)を使用して、反射屈折対物レンズ802セクションとは無関係に補正される。ズームチューブレンズ803は、その後、反射屈折対物レンズセクション802と組み合わされ、その時に、反射屈折対物レンズセクション802が変更されて、システム800の残存している高次色収差を補正し得る。この補正は、フィールドレンズ群805及び低パワーレンズ群813によって可能となる。組み合わされたシステムは、その後、最高の性能を達成するように変化させた全てのパラメータによって最適化される。
【0083】
システム800は、折り畳み式鏡群811を含むことで、36倍〜100倍のズームを可能にする線形ズーム運動を提供する。折り畳み式鏡群の3つの異なる位置を、3つの異なる倍率36倍、64倍、及び80倍に対応させて示す。広範囲のズームは連続的な倍率変化を提供し、一方で、微細なズームは、エイリアシングを減少させ、反復画像アレイのためのセル間の減算などの電子画像処理を可能にする。折り畳み式鏡群811は、反射素子の「トロンボーン」システムとして特徴付けることができる。ズーミングは、ズームチューブレンズ803の群を一体として移動させること、また図8に示すようにトロンボーンスライドのアームを移動させることによって、行う。トロンボーン運動は集束のみに影響するため、及びその場所でのf#速度は非常に低速であるため、この運動の精度は非常に緩い。このトロンボーン構成の1つの利点は、それがシステムを著しく短縮化することである。別の利点は、能動的(非平坦)光学素子を伴うズーム運動が1つのみであるということである。そしてトロンボーンスライドによるもう一方のズーム運動は、エラーに反応しない。1999年12月7日に発行され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,999,310号は、システム800を更に詳述している。
【0084】
図9は、反射屈折結像システム900への直角入射レーザー照明(暗視野または明視野)の付加を例証する。システム900の照明ブロックは、レーザー901、検査中の表面上の照明ビームサイズ及びプロファイルを制御するための適合光学系902、機械筐体904内の開口部及び窓903、ならびにサンプル808の表面に対して直角入射の光軸に沿ってレーザーを再方向付けするためのプリズム905を含む。プリズム905はまた、サンプル908の表面特徴からの鏡面反射と対物レンズ906の光学表面からの反射とを光路に沿って結像面909に方向付ける。対物レンズ906のためのレンズは、反射屈折対物レンズ、集束レンズ群、及びズームチューブレンズセクションの一般的な形態で設けることができる(例えば、図8を参照されたい)。好ましい実施形態では、レーザー901は、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つによって実現することができる。2007年1月4日に公開され、参照により本明細書に組み込まれる、公開特許出願第2007/0002465号は、システム900をさらに詳細に記載している。
【0085】
図10Aは、表面1011の領域を検査するための照明システム1001及び集光システム1010を含む表面検査装置1000を例証する。図10Aに示すように、レーザーシステム1020は、レンズ1003を通して光ビーム1002を方向付ける。好ましい実施形態では、レーザーシステム1020は、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つを含む。第1のビーム成形光学系は、レーザーからビームを受け取り、そのビームを、結晶中またはその近傍のビームウエストにて楕円形の断面に集束させるように構成することができる。
【0086】
レンズ1003は、その主平面がサンプル表面1011に対して実質的に平行であり、その結果、照明ライン1005がレンズ1003の焦点面内の表面1011上に形成されるように配向させる。加えて、光ビーム1002及び集束されたビーム1004は、表面1011への非直交入射角で方向付ける。具体的には、光ビーム1002及び集束されたビーム1004は、表面1011への直角方向から約1度〜約85度の間の角度で方向付けてもよい。このように、照明ライン1005は、実質的に、集束されたビーム1004の入射面内にある。
【0087】
集光システム1010は、照明ライン1005から散乱された光を集光するためのレンズ1012と、レンズ1012から出る感光検出器のアレイを備える電荷結合素子(CCD)1014などのデバイス上に集束させるためのレンズ1013と、を備える。一実施形態では、CCD1014は、検出器の線形アレイを含んでもよい。かかる事例では、CCD1014内の検出器の線形アレイは、照明ライン1015に対して平行に配向させることができる。一実施形態では、複数の集光システムを含むことができ、集光システムの各々は、配向が異なる同様の構成要素を含む。
【0088】
例えば、図10Bは、表面検査装置のための集光システム1031、1032、及び1033の例示的なアレイを例証する(ここで、その照明システム、例えば照明システム1001のそれと同様のものは、簡略化のために示さない)。集光システム1031内の第1の光学系は、サンプル1011の表面から第1の方向に散乱された光を集光する。集光システム1032内の第2の光学系は、サンプル1011の表面から第2の方向に散乱された光を集光する。集光システム1033内の第3の光学系は、サンプル1011の表面から第3の方向に散乱された光を集光する。第1、第2、及び第3の経路は、該サンプル1011の表面に対して異なる反射角にあることに留意されたい。サンプル1011をサポートするプラットホーム1035は、光学系とサンプル1011との間の相対的運動を引き起こすために使用することができ、その結果、サンプル1011の表面全体を走査することができる。参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日発行の米国特許第7,525,649号は、表面検査装置1000及び他の複数の集光システムを更に詳細に記載している。
【0089】
図11は、表面1101上の異常を検査するために使用することができる表面検査システム1100を例証する。この実施形態では、表面1101は、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つによって発生するレーザービームを含む、レーザーシステム1130の実質的に静止した照明デバイス部分によって照明することができる。レーザーシステム1130の出力は、偏光光学系1121、ビーム拡張器及び開口部1122、ならびにビーム形成光学系1123を連続的に通過して、ビームを拡張及び集束させることができる。
【0090】
結果として生じる集束されたレーザービーム1002は、その後、ビームフォールディング構成要素1103及びビーム偏向器1104によって反射され、表面を照明するためにビーム1105を表面1101に方向付ける。好ましい実施形態では、ビーム1105は、表面1101に対して実質的に直角または垂直であるが、他の実施形態では、ビーム1105は、表面1101に対して斜めの角度であってもよい。
【0091】
一実施形態では、ビーム1105は、表面1101に対して実質的に垂直または直角であり、ビーム偏向器1104は、表面1101からのビームの鏡面反射をビーム転向構成要素1103に向けて反射し、それにより、鏡面反射が検出器に到達することを防ぐシールドとして機能する。鏡面反射の方向は、サンプルの表面1101に対して直角であるラインSRに沿う。ビーム1105が表面1101に対して直角である一実施形態では、このラインSRは、照明ビーム1105の方向と一致し、この共通の基準ラインまたは方向を、本明細書では検査システム1100の軸と呼ぶ。ビーム1105が表面1101に対して斜めの角度である場合、鏡面反射SRの方向はビーム1105の入来方向と一致せず、かかる例では、表面法線の方向を示すラインSRを、検査システム1100の集光部分の主軸と呼ぶ。
【0092】
小さい粒子によって散乱された光は、ミラー1106によって集光され、開口部1107及び検出器1108に向けて方向付けられる。大きい粒子によって散乱された光は、レンズ1109によって集光され、開口部1110及び検出器1111に向けて方向付けられる。いくつかの大きい粒子は、検出器1108へと集光されて方向付けられる光を散乱することになり、同様に、いくつかの小さい粒子は、検出器1111へ集光されて方向付けられる光を散乱することになるが、かかる光は、それぞれの検出器が検出するように設計される散乱された光の強度と比較すると比較的低い強度である。一実施形態では、検出器1111は、感光素子のアレイを備えることができ、感光素子のアレイの各感光素子は、照明ラインの拡大された画像の対応する部分を検出するように構成される。一実施形態では、検査システムは、パターン化されていないウエハ上の欠陥を検出する際の使用のために構成することができる。2001年8月7日に発行され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,271,916号は、検査システム1100を更に詳細に記載している。
【0093】
図12は、直角及び斜めの照明ビームの両方を使用して異常検出を実現するように構成された検査システム1200を例証する。この構成では、レーザーブロック1230は、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つを含み、レーザービーム1201を提供することができる。レンズ1202は、空間フィルター1203を通してビーム1201を集束させ、レンズ1204は、そのビームを平行化し、それを偏光ビームスプリッタ1205に搬送する。ビームスプリッタ1205は、第1の偏光成分を直角照明チャネルに、かつ第2の偏光成分を斜めの照明チャネルに、通過させ、第1及び第2の成分は直交する。直角照明チャネル1206では、第1の偏光成分は、光学系1207によって集束され、鏡1208によってサンプル1209の表面に向けて反射される。サンプル1209によって散乱された放射線は、放物面鏡1210によって、光電子増倍管1211へと集光されて集束される。
【0094】
斜めの照明チャネル1212では、第2の偏光成分は、ビームスプリッタ1205によって、半波長板1214を通してかかるビームを反射する鏡1213に反射され、光学系1215によってサンプル1209に集束される。斜めのチャネル1212内の斜めの照明ビームから生じてサンプル1209によって散乱された放射線はまた、放物面鏡1210によって収集され、光電子増倍管1211に集束される。光電子増倍管1211はピンホールの入口を有することに留意されたい。そのピンホール及び照明されたスポット(直角及び斜めの照明チャネルから表面1209上に)は、放物面鏡1210の焦点にあることが好ましい。
【0095】
放物面鏡1210は、サンプル1209からの散乱された放射線を平行化ビーム1216に平行化する。平行化ビーム1216は、その後、対物レンズ1217によって、分析器1218を通して光電子増倍管1211に集束される。放物面形状以外の形状を有する曲面鏡の表面も使用し得ることに留意されたい。機器1220は、スポットがサンプル1209の表面全体を走査するように、ビームとサンプル1209との間の相対的運動を提供することができる。2001年3月13日に発行され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,201,601号は、検査システム1200を更に詳細に記載している。
【0096】
他のレチクル、フォトマスク、またはウエハ検査システムは、上述の改善されたDUV CWレーザーのうちの1つを有利に使用することができる。例えば、他のシステムとしては、米国特許第5,563,702号、同第5,999,310号、同第6,201,601号、同第6,271,916号、同第7,352,457号、同第7,525,649号、及び同第7,528,943号に記載されているものが挙げられる。また更なるシステムとしては、米国公開第2007/0002465号及び同第2009/0180176号に記載されているものが挙げられる。この段落で引用する特許、特許公開、及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
本発明の例証的な実施形態を、添付の図面を参照しながら本明細書で詳述してきたが、本発明は、これらの厳密な実施形態に限定されないことが理解される。これらは、包括的であるように、または本発明を開示の厳密な形態に限定するようには意図されていない。このため、多くの改変及び変形が当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。また、本発明は以下の事項を含む。
(1)深紫外線(DUV)連続波(CW)光を発生させるためのレーザーであって、
基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換するための第2高調波発生器と、
前記第2高調波波長を有する前記光を、第4高調波波長を有する光に変換するための第4高調波発生器と、を備え、前記第4高調波発生器が、
前記第4高調波発生器内で光を循環させる複数の鏡と、
第1の光軸を有する第1の非線形光学(NLO)結晶であって、前記第2高調波波長を有する前記光の一部を、前記第4高調波波長を有しかつ第1の非点収差を有する光に変換するように、前記第1の光軸が、前記第4高調波発生器内で循環された前記光に対して配向され、前記複数の鏡と動作関係にある、第1の非線形光学(NLO)結晶と、
それぞれが平行な平坦表面を持つ一対の薄板であって、前記第4高調波発生器内で循環された前記光が前記一対の薄板の前記平行な平坦表面を通過するように、前記第1のNLO結晶と動作関係に配置される、一対の薄板と、
を含み、
前記一対の薄板が、前記第4高調波発生器内で循環された前記光の変位を最小限に抑えながら前記第1の非点収差を補正する第2の非点収差を前記循環された光に対して導入するように、前記一対の薄板がそれぞれの平行な軸に対して実質的に等しい対角で傾斜して配置される、レーザー。
(2)前記第1のNLO結晶が水素アニール処理される、(1)に記載のレーザー。
(3)前記第1のNLO結晶が、水素アニール処理されたCLBO(セシウムリチウムボレート)結晶を含む、(1)に記載のレーザー。
(4)前記第2高調波波長を有する前記光が、前記第1のNLO結晶中またはその近傍の実質的に楕円形のビームウエストに集束され、楕円の長軸が第1のe軸に実質的に平行である、(1)に記載のレーザー。
(5)少なくとも前記第1のNLO結晶が、中に集束されたビームによって前記第1のNLO結晶中に作り出される前記第1の非点収差を低減するように温度制御される、(1)に記載のレーザー。
(6)制御温度が約100℃以下である、(5)に記載のレーザー。
(7)前記第4高調波発生器が、前記第1のNLO結晶によって導入された前記第1の非点収差を実質的に取り消すように前記一対の薄板の角度を自動的に調整するフィードバック制御ループを更に含む、(1)に記載のレーザー。
(8)ウエハ、レチクル、またはフォトマスクを検査するためのシステムであって、
深紫外線(DUV)連続波(CW)レーザーであって、
基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換するための第2高調波発生器と、
前記第2高調波波長を有する前記光を、第4高調波波長を有する光に変換するための第4高調波発生器と、を含む、レーザーを備え、前記第4高調波発生器が、
前記第4高調波発生器内で光を循環させる複数の鏡と、
前記第2高調波波長を有する前記光の変換部分を変換することによって前記第4高調波波長を有する前記光を発生させるように構成された第1の非線形光学(NLO)結晶であって、前記第4高調波発生器内を循環する前記光が単一の光伝播方向においてのみ前記第1のNLO結晶に向けられるように、前記複数の鏡と動作関係にある、第1のNLO結晶と、
それぞれが平行な平坦表面を持つ一対の薄板であって、前記第4高調波発生器内で循環された前記光が前記一対の薄板の前記平坦な平行表面を通過するように、前記第1のNLO結晶と動作関係に配置される、一対の薄板と、
を含み、
前記一対の薄板が、前記第4高調波発生器内で循環された前記光の変位を最小限に抑えながら第1の非点収差を補正する第2の非点収差を、前記循環された光に対して導入するように、前記一対の薄板がそれぞれの平行な軸に対して実質的に等しい対角で傾斜して配置される、システム。
(9)前記第1のNLO結晶が水素アニール処理される、(8)に記載のシステム。
(10)前記第1のNLO結晶が、水素アニール処理されたCLBO(セシウムリチウムボレート)結晶を含む、(8)に記載のシステム。
(11)前記第2高調波波長を有する光が、前記第1のNLO結晶中またはその近傍の実質的に楕円形のビームウエストに集束され、楕円の長軸が第1のe軸と実質的に平行である、(8)に記載のシステム。
(12)少なくとも前記第1のNLO結晶が、中に集束されたビームによって前記第1のNLO結晶中に作り出される前記第1の非点収差を低減するように温度制御される、(8)に記載のシステム。
(13)制御温度が約100℃以下である、(12)に記載のシステム。
(14)前記第4高調波発生器が、前記第1のNLO結晶によって導入された前記第1の非点収差を実質的に取り消すように前記一対の薄板の角度を自動的に調整するフィードバック制御ループを更に含む、(8)に記載のシステム。
(15)レーザーにおける、深紫外線(DUV)連続波(CW)光を発生させる方法であって、
基本波波長を有する光を、第2高調波波長を有する光に変換するステップと、
前記第2高調波波長を有する前記光を、この光が単一の光伝播方向においてのみ第1の非線形光学(NLO)結晶を通過するように構成された空洞内で循環させることによって、前記第2高調波波長を有する前記光の一部を、第4高調波波長を有する光に変換することと、
前記第1のNLO結晶中に作り出される第1の非点収差を、それぞれが平行な平坦表面を有する一対の薄板によって取り消すことであって、第4高調波発生器内を循環される前記光が前記一対の薄板の前記平行な平坦表面を通過するように、前記一対の薄板が、前記第1のNLO結晶に対する動作関係で配置される、ことと、
を含み、
前記一対の薄板が、第4高調波発生器内で循環された前記光の変位を最小限に抑えながら前記第1の非点収差を補正する第2の非点収差を前記循環された光に対して導入するように、前記一対の薄板がそれぞれの平行な軸に対して実質的に等しい対角で傾斜して配置される、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12