特許第6816839号(P6816839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6816839-荷重測定装置の冷却機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6816839
(24)【登録日】2020年12月28日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】荷重測定装置の冷却機構
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/26 20060101AFI20210107BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G01L1/26 Z
   G01G23/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-85567(P2020-85567)
(22)【出願日】2020年5月15日
【審査請求日】2020年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】村上 慎一
(72)【発明者】
【氏名】三澤 宏
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−269067(JP,A)
【文献】 特開平5−126709(JP,A)
【文献】 特開2002−181679(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106198280(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00− 1/26
G01G 1/00−23/46
G01N 3/00− 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重測定装置の冷却機構であって、
前記荷重測定装置は、
荷重測定対象物を保持する保持部と、
前記保持部の上方に設けられ、前記荷重測定対象物に押し付けられるプローブ、および、前記プローブにかかる荷重を測定する荷重センサ、を備える荷重測定部と、
前記荷重測定部の上方に設けられ、前記プローブを前記荷重測定対象物に押し付ける加圧機構、を備える加圧部と、
を有し、
前記冷却機構は、
前記荷重測定部の前記プローブおよび前記荷重センサを囲む荷重測定部カバーと、
前記加圧部の前記加圧機構を囲む加圧部カバーと、
を有し、
前記荷重測定部カバーは、
冷却用気体が導入される導入口と、
前記荷重測定部カバーの内部と前記加圧部カバーの内部とを連通させるカバー間連通口と、
前記荷重測定部カバーの内部と前記荷重測定部カバー下方側の外部とを連通させ、前記プローブが貫通するプローブ貫通孔と、
を有し、
前記荷重測定部カバーは、
前記導入口から前記荷重測定部カバーの内部に導入された前記冷却用気体が前記カバー間連通口を介し前記加圧部カバーの内部に流出する第1流路、を構成するとともに、前記導入口から前記荷重測定部カバーの内部に導入された前記冷却用気体が前記プローブ貫通孔を介し前記荷重測定部カバー下方側の外部に流出する第2流路、を構成し、
前記加圧部カバーは、
前記加圧部カバーの内部と前記荷重測定部カバーの外部であって前記加圧部カバー下方側の外部とを連通させる加圧部カバー開口、を有し、
前記加圧部カバーは、
前記カバー間連通口から前記加圧部カバーの内部に流入した前記冷却用気体が前記加圧部カバー開口を介し前記加圧部カバー下方側の外部に流出する第3流路、を構成する、
荷重測定装置の冷却機構。
【請求項2】
前記プローブ貫通孔は、前記プローブが前記荷重測定対象物に接触している期間、および、前記プローブが前記荷重測定対象物に接触していない期間、の両方において、前記プローブが前記プローブ貫通孔に挿入された状態が維持される位置に設けられている、請求項1に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【請求項3】
前記第3流路の内側側面の一部は、前記荷重測定部カバーの外側側面で構成されている、請求項1または2に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【請求項4】
前記加圧部カバー開口の縁の一部は、前記荷重測定部カバーの外側側面上に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【請求項5】
荷重測定部カバーの内部および前記加圧部カバーの内部の少なくとも一方に設置された圧力センサをさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【請求項6】
荷重測定部カバーの内部および前記加圧部カバーの内部の少なくとも一方に設置された温度センサをさらに有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【請求項7】
前記圧力センサで測定された圧力が所定圧力を下回った場合、または、前記温度センサで測定された温度が所定温度を上回った場合に、警報を発生させる警報装置をさらに有する、請求項5または6に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【請求項8】
前記荷重測定対象物は、粉状の焼成体であって、
前記プローブは、荷重測定の際に前記荷重測定対象物に差し込まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重測定装置の冷却機構に関する。
【背景技術】
【0002】
荷重測定は、種々の用途で種々の測定対象物に対して実施されている(例えば特許文献1参照)。本願発明者は、詳細は後述するように、焼成後に降温されている状態(室内の温度に向けて温度が下降中の状態)である高温の焼成体に対し、硬さを測定するための荷重測定を行った。
【0003】
このような荷重測定において、測定対象物が高温であることに起因して、荷重測定装置(例えば特に、荷重センサ(ロードセル))が破壊されやすい。このような破壊を抑制するための技術が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−190491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、測定対象物が高温であることに起因して荷重測定装置が破壊されることを抑制するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
荷重測定装置の冷却機構であって、
前記荷重測定装置は、
荷重測定対象物を保持する保持部と、
前記保持部の上方に設けられ、前記荷重測定対象物に押し付けられるプローブ、および、前記プローブにかかる荷重を測定する荷重センサ、を備える荷重測定部と、
前記荷重測定部の上方に設けられ、前記プローブを前記荷重測定対象物に押し付ける加圧機構、を備える加圧部と、
を有し、
前記冷却機構は、
前記荷重測定部の前記プローブおよび前記荷重センサを囲む荷重測定部カバーと、
前記加圧部の前記加圧機構を囲む加圧部カバーと、
を有し、
前記荷重測定部カバーは、
冷却用気体が導入される導入口と、
前記荷重測定部カバーの内部と前記加圧部カバーの内部とを連通させるカバー間連通口と、
前記荷重測定部カバーの内部と前記荷重測定部カバー下方側の外部とを連通させ、前記プローブが貫通するプローブ貫通孔と、
を有し、
前記荷重測定部カバーは、
前記導入口から前記荷重測定部カバーの内部に導入された前記冷却用気体が前記カバー間連通口を介し前記加圧部カバーの内部に流出する第1流路、を構成するとともに、前記導入口から前記荷重測定部カバーの内部に導入された前記冷却用気体が前記プローブ貫通孔を介し前記荷重測定部カバー下方側の外部に流出する第2流路、を構成し、
前記加圧部カバーは、
前記加圧部カバーの内部と前記荷重測定部カバーの外部であって前記加圧部カバー下方側の外部とを連通させる加圧部カバー開口、を有し、
前記加圧部カバーは、
前記カバー間連通口から前記加圧部カバーの内部に流入した前記冷却用気体が前記加圧部カバー開口を介し前記加圧部カバー下方側の外部に流出する第3流路、を構成する、
荷重測定装置の冷却機構
が提供される。
【発明の効果】
【0007】
測定対象物が高温であることに起因して荷重測定装置が破壊されることを抑制するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態による冷却機構付き荷重測定装置を例示する概略的な右側面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による冷却機構付き荷重測定装置を例示する概略的な背面図である。
図3図3は、図1の右側面図上に冷却用気体の概略的な流れを示した概略図である。
図4図4は、図2の背面図上に冷却用気体の概略的な流れを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<一実施形態>
本発明の一実施形態による荷重測定装置100の冷却機構200について説明する。冷却機構200を備えた荷重測定装置100を、冷却機構付き荷重測定装置300とも称する。
【0010】
図1および図2は、それぞれ、冷却機構付き荷重測定装置300を例示する概略的な右側面図および背面図である。図3は、図1の右側面図上に冷却用気体202の概略的な流れを示した概略図であり、図4は、図2の背面図上に冷却用気体202の概略的な流れを示した概略図である。
【0011】
本実施形態による荷重測定装置100は、保持部110と、荷重測定部120と、加圧部130と、を有する。保持部110は、荷重測定対象物10(以下、対象物10ともいう)を保持する。荷重測定部120は、保持部110の上方に設けられ、対象物10に押し付けられるプローブ121、および、プローブ121にかかる荷重を測定する荷重センサ122、を備える。加圧部130は、荷重測定部120の上方に設けられ、プローブ121を対象物10に押し付ける加圧機構131を備える。荷重測定を、以下単に、測定ともいう。
【0012】
対象物10は、例えば、焼成炉で焼成された粉状の焼成体であって、焼成後に降温されている状態(室内の温度に向けて温度が下降中の状態)の焼成体である。このため、対象物10は、例えば200℃以上(少なくとも例えば100℃以上の)高温である。荷重測定装置100が設置された室内の温度は、例えば40℃である。本例では、対象物10の硬さを測定するために、荷重測定を行う。
【0013】
冷却機構200は、高温の対象物10に対して荷重の測定を実施する場合、特に、保持部110に保持される対象物10を交換しながら測定を複数回続けて実施する場合に、荷重測定装置100が高温により破壊されることを抑制するための冷却機構として設けられている。
【0014】
対象物10は、匣鉢11に収容された状態で焼成され、また、匣鉢11に収容された状態で測定される。以下、説明の煩雑さを避けるため、匣鉢11に収容された状態の対象物10を(焼成体である対象物10と、匣鉢11と、をまとめた物体を)、対象物10と称することがある。
【0015】
荷重測定装置100は、測定前の対象物10を保持部110に搬送し、また、測定後の対象物10を保持部110から搬送する搬送機構102、を有してもよい。搬送機構102として、例えばローラコンベアが用いられる。
【0016】
保持部110は、対象物10を保持する保持部材111を有する。搬送機構102により保持部110に搬送されてきた対象物10は、保持部材111により保持されることで、荷重測定のための位置決めがされる。
【0017】
保持部110は、匣鉢11の浮き上がりを防止するための、浮上防止板112を有してもよい。浮上防止板112は、荷重測定に伴い、粉状の焼成体である対象物10に押し付けられた(差し込まれた)プローブ121が、対象物10から引き抜かれる際に、匣鉢11が上方に浮き上がってしまうことを防止する。浮上防止板112は、プローブ121を貫通させる貫通孔113を有する。
【0018】
荷重測定部120は、プローブ121と、荷重センサ122と、を有する。プローブ121は、荷重測定の際に対象物10に押し付けられる(差し込まれる)部材であり、棒状の形状を有し、例えばステンレス等の金属で構成される。プローブ121の寸法、配置、等は、必要に応じて適宜調整されてよい。プローブ121は、例えば、水平面内に2次元的に分散して複数配置されてよい。
【0019】
荷重センサ122は、プローブ121にかかる荷重を測定するセンサであり、プローブ121の根元側(上方側)に取り付けられている。荷重センサ122としては、例えばロードセルが用いられる。例えばステンレス製であるプローブ121を介して、高温の対象物10から荷重センサ122に熱が伝導されやすい。これに起因して、何らの冷却も行われない場合、高温により荷重センサ122が破壊されやすい。
【0020】
なお、本例では、荷重測定の際に粉状の焼成体である対象物10にプローブ121が差し込まれることに起因して、対象物10の熱がプローブ121に伝導されやすい。このため、本例では、プローブの先端のみを対象物に接触させて荷重測定を行う場合と比べて、プローブ121を介した荷重センサ122への熱伝導の影響が大きくなりやすい。
【0021】
プローブ121および荷重センサ122は、プローブ121および荷重センサ122の上方に配置されたプローブ取付板123に取り付けられている。プローブ取付板123は、接続部材124を介して、加圧部130の加圧機構131に接続されている。
【0022】
加圧部130は、加圧機構131を有する。加圧機構131は、荷重測定の際に、プローブ121を対象物10に押し付ける加圧機構である。加圧機構131としては、例えば、加圧シリンダが用いられる。加圧機構131は、荷重測定装置100の枠(骨組み)部材101に、加圧機構取付板132を介して取り付けられている。
【0023】
本実施形態による冷却機構200は、荷重測定部カバー210と、加圧部カバー220と、を有する。荷重測定部カバー210は、荷重測定部120のプローブ121および荷重センサ122を囲む。加圧部カバー220は、加圧部130の加圧機構131を囲む。
【0024】
荷重測定部カバー210は、導入口211と、カバー間連通口212と、プローブ貫通孔213と、有する。導入口211は、冷却機構付き荷重測定装置300の外部に設けられた冷却用気体供給源20から、ダクト201を介して、荷重測定部カバー210の内部に冷却用気体202が導入される導入口である。カバー間連通口212は、荷重測定部カバー210の内部と加圧部カバー220の内部とを連通させる連通口である。プローブ貫通孔213は、荷重測定部カバー210の内部と荷重測定部カバー210の下方側の外部とを連通させ、プローブ121が貫通する貫通孔である。荷重測定部カバー210は、例えばステンレス等の金属で構成される。
【0025】
導入口211から導入された冷却用気体202は、プローブ121、荷重センサ122、プローブ取付板123、接続部材124、等の、荷重測定部カバー210の内部に配置された部材に接触して流れることで、これらの部材を冷却する。上述のように荷重センサ122は高温により破壊されやすく、また、プローブ121は対象物10から荷重センサ122への熱伝導を媒介する。そのため、プローブ121および荷重センサ122は、冷却されることが特に好ましい。
【0026】
導入口211から導入された冷却用気体202は、荷重測定部カバー210の内部を流れた後、カバー間連通口212またはプローブ貫通孔213を介して、荷重測定部カバー210の外部に流出される。冷却用気体202は、カバー間連通口212を介して加圧部カバー220の内部に流出し、プローブ貫通孔213を介して荷重測定部カバー210の下方側の外部に流出される。
【0027】
このように、荷重測定部カバー210は、導入口211から荷重測定部カバー210の内部に導入された冷却用気体202がカバー間連通口212を介し加圧部カバー220の内部に流出する(第1)流路214、を構成するとともに、導入口211から荷重測定部カバー210の内部に導入された冷却用気体202がプローブ貫通孔213を介し荷重測定部カバー210の下方側の外部に流出する(第2)流路215、を構成する。
【0028】
プローブ121は、荷重測定時に対象物10と接触させる。このため、荷重測定部カバー210は、対象物10と対向する下方側の部分に、プローブ121を通過させるための開口を有することとなる。ただし、当該開口を介して荷重測定部カバー210の下方側の外部に流出した冷却用気体202は、その後は荷重測定部カバー210および加圧部カバー220の内部の冷却に用いられない排気となる。したがって、当該開口は過度に広くないことが好ましい。このため、本実施形態では、当該開口を、プローブ121ごとに配置された貫通孔であるプローブ貫通孔213として設けている。
【0029】
また、本実施形態において、プローブ貫通孔213は、荷重測定期間(プローブ121が対象物10に接触している期間)、および、荷重測定以外の期間(プローブ121が対象物10に接触していない期間)、の両方において、プローブ121がプローブ貫通孔213に挿入された状態が維持される位置に設けられている。これにより、荷重測定期間だけでなく、荷重測定以外の期間(つまり、プローブ121が対象物10の上方に退避されている期間)であっても、プローブ121がプローブ貫通孔213を(クリアランス部分以外)塞いだ状態を保つことができる。したがって、冷却用気体202がプローブ貫通孔213から不要に流出することを抑制でき、荷重測定部カバー210の内部を効率的に冷却することができる。
【0030】
加圧部カバー220は、加圧部カバー開口221を有する。加圧部カバー開口221は、加圧部カバー220の内部と、荷重測定部カバー210の外部であって加圧部カバー220の下方側の外部と、を連通させる開口である。なお、加圧部カバー220は、荷重測定部カバー210の内部を経た冷却用気体202が加圧部カバー220の内部に導入される導入口として、カバー間連通口212を有する。加圧部カバー220は、例えば樹脂で構成される。
【0031】
カバー間連通口212から流入した冷却用気体202は、加圧機構131、加圧機構取付板132、等の、加圧部カバー220の内部に配置された部材に接触して流れることで、これらの部材を冷却する。荷重センサ122ほどではないものの、加圧機構131も高温に曝され続ければ、破壊されることが懸念される。このため、加圧機構131も冷却されることが好ましい。
【0032】
カバー間連通口212から流入した冷却用気体202は、加圧部カバー220の内部を流れた後、加圧部カバー開口221を介して、加圧部カバー220の下方側の外部に流出される。このように、加圧部カバー220は、カバー間連通口212から加圧部カバー220の内部に流入した冷却用気体202が加圧部カバー開口221を介し加圧部カバー220の下方側の外部に流出する(第3)流路222、を構成する。
【0033】
本実施形態において、加圧部カバー220は、荷重測定部カバー210の上部に被さる形態で設けられており、加圧部カバー220の内部で冷却用気体202が流れる流路222は、加圧部カバー220と荷重測定部カバー210とが協同することで構成されている。つまり、流路222の内側側面の一部は、荷重測定部カバー210の外側側面で構成されている。
【0034】
これにより、流路222を流れる冷却用気体202の少なくとも一部を、荷重測定部カバー210の外側側面に接触させて流すことができるため、荷重測定部カバー210から流出した冷却用気体202を効率的に用いて、荷重測定部カバー210を、外側から冷却することができる。加圧部カバー220内(流路222内)の温度は、外気温(室温)よりも低くなり、荷重測定部カバー210内は、荷重測定部カバー210と加圧部カバー220とにより2重にカバーされた状態に近くなるため、冷却効果を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態において、加圧部カバー開口221は、加圧部カバー220と荷重測定部カバー210とが協同することで構成されている。つまり、加圧部カバー開口221の縁の一部は、荷重測定部カバー210の外側側面上に配置されている。
【0036】
これにより、加圧部カバー開口221から加圧部カバー220の外部に流出した冷却用気体202の少なくとも一部を、荷重測定部カバー210の外側側面に接触させて流すことができるため、加圧部カバー220から流出した冷却用気体202を効率的に用いて、荷重測定部カバー210を、外側から冷却することができる。上述のような2重カバーに近い状態により、冷却効果を高めることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態による冷却機構200は、まず、荷重測定部カバー210の内部に冷却用気体202を導入することで、高温に最も曝したくない部材である荷重センサ122を冷却し、次に、荷重測定部カバー210の内部を経た冷却用気体202を、加圧部カバー220の内部に導入することで、荷重センサ122ほどではないものの高温に曝したくない部材である加圧機構131を冷却する構造を有している。このような構造により、冷却用気体202を効率的に用いて、荷重測定装置100の冷却を行うことができる。
【0038】
冷却機構付き荷重測定装置300は、制御装置310を有する。制御装置310は、荷重測定装置100に関する制御装置と、冷却機構200に関する制御装置と、をまとめて示すものであり、例えばパーソナルコンピュータを用いて構成される。荷重測定装置100に関する制御装置を、荷重測定装置100の一部と捉えてもよく、冷却機構200に関する制御装置を、冷却機構200の一部と捉えてもよい。
【0039】
制御装置310は、荷重測定装置100に関し、加圧機構131等が所定の動作を行うように制御するとともに、荷重センサ122で測定された荷重に対応するデータを受信し、当該データに基づき種々の処理を行う。
【0040】
また、制御装置310は、冷却機構200に関し、後述の圧力センサ230で測定された圧力に対応するデータ、および、後述の温度センサ231で測定された温度に対応するデータ、を受信し、当該データに基づき種々の処理を行う。制御装置310は、さらに、必要に応じ、当該データに基づき警報を発生させる警報装置として機能してもよい。
【0041】
冷却機構200は、好ましくはさらに、圧力センサ230および温度センサ231を有する。圧力センサ230は、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の少なくとも一方に設置され、例えば、プローブ取付板123に設置される。
【0042】
圧力センサ230は、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の少なくとも一方における圧力を測定する。なお、圧力センサ230は、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の少なくとも一方に設置された圧力センサ(以下、内部圧力センサともいう)と、荷重測定部カバー210および加圧部カバー220の外部に設置された圧力センサ(以下、外部圧力センサともいう)と、を一組とした圧力センサ(以下、差圧センサともいう)として構成されていてもよい。圧力センサ230として、内部圧力センサおよび外部圧力センサのうち、少なくとも内部圧力センサが設けられる。
【0043】
圧力センサ230で測定された圧力に対応するデータは、制御装置310に送信される。制御装置310は、当該データに基づき、荷重測定部カバー210または加圧部カバー220の内部の圧力が所定圧力を下回ったと判定した場合、警報を発生させる。
【0044】
荷重測定部カバー210の内部に、冷却用気体202が流入することで、当該内部の圧力は高くなる。また、加圧部カバー220の内部に、冷却用気体202が流入することで、当該内部の圧力は高くなる。このため、荷重測定部カバー210または加圧部カバー220の内部の圧力が、所定圧力を下回っていることは、これらの内部に冷却用気体202が充分には流入してないこと、つまり、冷却が正常に行われていないこと、を意味する。なお、差圧センサを用いる場合、外部圧力センサで測定された基準の圧力に対する、内部圧力センサで測定された圧力の差(基準の圧力に対して高くなっている量)が、所定値を下回る場合に、冷却が正常に行われていないと判定される。
【0045】
温度センサ231は、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の少なくとも一方に設置され、例えば、プローブ取付板123に設置される。温度センサ231は、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の少なくとも一方における温度を測定する。高温に最も曝したくない部材は荷重センサ122であるため、温度センサ231は、好ましくは荷重測定部カバー210の内部に設置され、より好ましくは荷重センサ122の近傍に設置される。
【0046】
温度センサ231で測定された温度に対応するデータは、制御装置310に送信される。制御装置310は、当該データに基づき、荷重測定部カバー210または加圧部カバー220の内部の温度が所定温度を上回ったと判定した場合、警報を発生させる。
【0047】
冷却機構200は、圧力センサ230および温度センサ231の少なくとも一方を有することが好ましく、両方を有することがより好ましいが、特に、少なくとも圧力センサ230を有することが好ましい。圧力センサ230を用いることで、温度上昇に先立って生じる冷却の異常を検知することができるため、より確実に荷重センサ122等の破壊を抑制できるためである。
【0048】
次に、本実施形態による冷却機構200を作動させながら荷重測定装置100の運転を行う態様の一例について説明する。保持部110に保持される対象物10を交換しながら、つまり、荷重測定期間と荷重測定以外の期間とを交互に繰り返しながら、測定を複数回続けて実施する。
【0049】
このような運転期間中、好ましくは、導入口211への冷却用気体202の供給を常時行うことで、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の冷却、つまり、プローブ121、荷重センサ122、加圧機構131、等の冷却を、常時行う。これにより、測定が繰り返されることによる熱の蓄積を抑制し、荷重センサ122等の温度上昇を抑制することができる。
【0050】
上述のように、荷重測定期間だけでなく、荷重測定以外の期間であっても、プローブ121がプローブ貫通孔213を(クリアランス部分以外)塞いだ状態が保たれるため、荷重測定部カバー210の内部および加圧部カバー220の内部の冷却が、効率的に行われる。
【0051】
また、上述のように、荷重測定部カバー210の内部から加圧部カバー220の内部に流出した冷却用気体202、および、加圧部カバー220の内部から外部に流出した冷却用気体202、を効率的に用いて、荷重測定部カバー210を外側から冷却することができる。
【0052】
また、圧力センサ230および温度センサ231により、荷重測定部カバー210または加圧部カバー220の内部の圧力および温度を測定し、圧力または温度が(これらのうちの少なくとも一方が)所定範囲の値から外れた場合、警報を発生させる。これにより、荷重センサ122等の破壊が抑制され、また、荷重測定を中断すること、冷却用気体供給源20の点検を行うこと、等の対応を行うことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態による冷却機構200を用い、荷重センサ122等を積極的に冷却することで、対象物10が高温であることに起因して荷重測定装置100が破壊されることを、抑制することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
【0055】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0056】
(付記1)
荷重測定装置の冷却機構であって、
前記荷重測定装置は、
荷重測定対象物を保持する保持部と、
前記保持部の上方に設けられ、前記荷重測定対象物に押し付けられるプローブ、および、前記プローブにかかる荷重を測定する荷重センサ、を備える荷重測定部と、
前記荷重測定部の上方に設けられ、前記プローブを前記荷重測定対象物に押し付ける加圧機構、を備える加圧部と、
を有し、
前記冷却機構は、
前記荷重測定部の前記プローブおよび前記荷重センサを囲む荷重測定部カバーと、
前記加圧部の前記加圧機構を囲む加圧部カバーと、
を有し、
前記荷重測定部カバーは、
冷却用気体が導入される導入口と、
前記荷重測定部カバーの内部と前記加圧部カバーの内部とを連通させるカバー間連通口と、
前記荷重測定部カバーの内部と前記荷重測定部カバー下方側の外部とを連通させ、前記プローブが貫通するプローブ貫通孔と、
を有し、
前記荷重測定部カバーは、
前記導入口から前記荷重測定部カバーの内部に導入された前記冷却用気体が前記カバー間連通口を介し前記加圧部カバーの内部に流出する第1流路、を構成するとともに、前記導入口から前記荷重測定部カバーの内部に導入された前記冷却用気体が前記プローブ貫通孔を介し前記荷重測定部カバー下方側の外部に流出する第2流路、を構成し、
前記加圧部カバーは、
前記加圧部カバーの内部と前記荷重測定部カバーの外部であって前記加圧部カバー下方側の外部とを連通させる加圧部カバー開口、を有し、
前記加圧部カバーは、
前記カバー間連通口から前記加圧部カバーの内部に流入した前記冷却用気体が前記加圧部カバー開口を介し前記加圧部カバー下方側の外部に流出する第3流路、を構成する、
荷重測定装置の冷却機構。
【0057】
(付記2)
前記プローブ貫通孔は、前記プローブが前記荷重測定対象物に接触している期間、および、前記プローブが前記荷重測定対象物に接触していない期間、の両方において、前記プローブが前記プローブ貫通孔に挿入された状態が維持される位置に設けられている、付記1に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【0058】
(付記3)
前記第3流路の内側側面の一部は、前記荷重測定部カバーの外側側面で構成されている、付記1または2に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【0059】
(付記4)
前記加圧部カバー開口の縁の一部は、前記荷重測定部カバーの外側側面上に配置されている、付記1〜3のいずれか1つに記載の荷重測定装置の冷却機構。
【0060】
(付記5)
荷重測定部カバーの内部および前記加圧部カバーの内部の少なくとも一方に設置された圧力センサをさらに有する、付記1〜4のいずれか1つに記載の荷重測定装置の冷却機構。
【0061】
(付記6)
荷重測定部カバーの内部および前記加圧部カバーの内部の少なくとも一方に設置された温度センサをさらに有する、付記1〜5のいずれか1つに記載の荷重測定装置の冷却機構。
【0062】
(付記7)
前記圧力センサで測定された圧力が所定圧力を下回った場合、または、前記温度センサで測定された温度が所定温度を上回った場合に、警報を発生させる警報装置をさらに有する、付記5または6に記載の荷重測定装置の冷却機構。
【0063】
(付記8)
前記荷重測定対象物は、粉状の焼成体であって、
前記プローブは、荷重測定の際に前記荷重測定対象物に差し込まれる、付記1〜7のいずれか1つに記載の荷重測定装置の冷却機構。
前記荷重測定対象物は、焼成後に降温されている状態(室内の温度に向けて温度が下降中の状態)の焼成体であり、温度が例えば100℃以上の高温である。
【符号の説明】
【0064】
10…荷重測定対象物、11…匣鉢、20…冷却用気体供給源、100…荷重測定装置、101…枠部材、102…搬送機構、110…保持部、111…保持部材、112…浮上防止板、113…貫通孔、120…荷重測定部、121…プローブ、122…荷重センサ、123…プローブ取付板、124…接続部材、130…加圧部、131…加圧機構、132…加圧機構取付板、200…冷却機構、201…ダクト、202…冷却用気体、210…荷重測定部カバー、211…導入口、212…カバー間連通口、213…プローブ貫通孔、214…(第1)流路、215…(第2)流路、220…加圧部カバー、221…加圧部カバー開口、222…(第3)流路、230…圧力センサ、231…温度センサ、300…冷却機構付き荷重測定装置、310…制御装置
【要約】
【課題】高温の測定対象物による荷重測定装置の破壊を抑制する。
【解決手段】荷重測定装置の冷却機構であって、荷重測定装置のプローブおよび荷重センサを囲む荷重測定部カバーと、荷重測定装置の加圧機構を囲む加圧部カバーと、を有し、荷重測定部カバーは、冷却用気体の導入口と、荷重測定部カバーと加圧部カバーの内部を連通させる連通口と、荷重測定部カバーの内部と荷重測定部カバー下方側の外部とを連通させプローブが貫通する貫通孔と、を有し、冷却用気体が連通口を介し加圧部カバーの内部に流出する流路を構成するとともに、冷却用気体が貫通孔を介し荷重測定部カバー下方側の外部に流出する流路を構成し、加圧部カバーは、加圧部カバーの内部と加圧部カバー下方側の外部とを連通させる開口を有し、冷却用気体が開口を介し加圧部カバー下方側の外部に流出する流路を構成する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4