(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
近年の半導体デバイスの高集積化、立体構造化に伴い、所定の層や膜との積層体(集合体)により表面にパターンが形成された基板を処理する場合が増加している。以下では、ベア基板(表面にパターンが形成されていない基板)に対する表面積比が大きい基板を大表面積基板と称する。たとえば、ベア基板の表面積を1としたとき、大表面積基板は3より大きな表面積を有する。
【0008】
複数の基板を同時に装填して処理するバッチ処理装置で、最大装填(処理)可能枚数より少ない枚数の大表面積基板を処理する場合、基板搬送パターンをシンプルに、かつ搬送時間を短くするために、基板支持具の一領域にまとめて装填することが一般的である。例えば、100枚を一括処理することが可能である縦型バッチ処理装置で25枚の大表面積基板(以下、大表面積基板群と称する場合がある)を処理する場合、基板支持具に上詰めで25枚を連続装填するか、もしくは下詰め、中央詰め等で25枚を連続装填する。その場合、大表面積基板が装填されたスロット周辺での膜厚が、装填されていないスロット周辺と比較して薄くなってしまう。すなわち、100枚の基板を装填する領域である100枚装填領域間の面間膜厚均一性が悪化する。さらには連続装填された25枚の大表面積基板においても、25枚中の端に装填された大表面積基板上に形成された膜と、中央部に装填された大表面積基板上に形成された膜の膜厚を比較した場合、後者の方が薄くなる。すなわち、連続装填された25枚の大表面積基板における面間膜厚均一性が悪化する。
【0009】
また、大表面積基板の表面積および装填される枚数により、大表面積基板群の総表面積が変化するため、バッチ間で装填される大表面積基板群の総表面積が変化する。それに応じて被処理基板上に形成される膜のバッチ間における平均膜厚が変動してしまい、同じプロセス条件で複数の処理ガスを交互供給するサイクルを同じ数だけ行ったとしても、被処理基板上に形成される膜の平均膜厚は、バッチ間で異なってくる。このように、大表面積基板を処理する際は、基板上に形成される膜厚の制御が困難となる場合がある。
【0010】
発明者らは鋭意研究を行い、上述のような課題の原因として、最大装填可能枚数未満の大表面積基板を連続装填することが挙げられることを見出した。そこで、後述のように、大表面積基板を基板支持具のスロットに分散装填(分散チャージ)することを考案した。好ましくは、按分装填(按分チャージ)とする。すなわち、基板装填領域間における大表面基板の密度分布を平坦化する。これにより、いずれのスロットに装填された大表面積基板に形成された膜に対しても、所望の膜厚均一性を得ることが可能となった。さらに、大表面積基板群の総表面積と枚数の積の値に応じて、複数の処理ガスを交互供給するサイクルのサイクル数を自動補正することにより、所望の膜厚を得ることができる。たとえば、バッチ間で大表面積基板群の総表面積と枚数の積の値が変動したとしてもそれに影響されず、一定の膜厚を得ることができる。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱系(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0012】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、複数枚の基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。
【0013】
処理室201内には、ノズル410,420が、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420には、ガス供給ラインとしてのガス供給管310,320が、それぞれ接続されている。
【0014】
ガス供給管310,320には、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322および開閉弁であるバルブ314,324がそれぞれ設けられている。ガス供給管310,320のバルブ314,324よりも下流側には、不活性ガスを供給するガス供給ラインとしてのガス供給管510,520がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520には、上流方向から順に、MFC512,522およびバルブ514,524がそれぞれ設けられている。
【0015】
ノズル410,420は、
図1,2に示すように、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がり、延在するようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル410,420は、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。
【0016】
ノズル410,420の側面のウエハ200と対応する高さ(ウエハ200の装填領域に対応する高さ)には、ガスを供給する複数のガス供給孔410a,420aがそれぞれ設けられている。ガス供給孔410a,420aは、反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔410a,420aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420aは上述の形態に限定されない。例えば、ノズル410,420の下部(上流側)から上部(下流側)に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0017】
このように、本実施形態では、反応管203の側壁の内壁と、反応管203内に配列された複数枚のウエハ200の端部(周縁部)と、で定義される平面視において円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル410,420を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420にそれぞれ開口されたガス供給孔410a,420aから、ウエハ200の近傍で反応管203内にガスを噴出させている。そして、反応管203内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち、水平方向としている。
【0018】
このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給する。ウエハ200の表面上を流れたガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れる。但し、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0019】
ガス供給管310からは、処理ガス(原料ガス)として、例えば、チタン(Ti)元素を含むTi原料ガスである四塩化チタン(TiCl
4)が、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201内へ供給される。本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である原料」を意味する場合、「気体状態である原料(原料ガス)」を意味する場合、または、それらの両方を意味する場合がある。
【0020】
ガス供給管320からは、処理ガス(反応ガス)として、例えば、窒素(N)含有ガスであるアンモニア(NH
3)が、MFC322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201内へ供給される。
【0021】
ガス供給管510,520からは、不活性ガスとして、例えば、N
2ガスが、それぞれMFC512,522、バルブ514,524、ガス供給管310,320、ノズル410,420を介して処理室201内へ供給される。
【0022】
主に、ガス供給管310、MFC312、バルブ314により、原料ガス供給系が構成される。ノズル410を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324により、反応ガス供給系が構成される。ノズル420を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。主に、ガス供給管510,520、MFC512,522、バルブ514,325により、不活性ガス供給系が構成される。原料ガス供給系、反応ガス供給系を合わせてガス供給系と称することもできる。不活性ガス供給系をガス供給系に含めて考えてもよい。
【0023】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気流路としての排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0024】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続され、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0025】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて装填(配列、載置)させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる図示しない断熱板が多段に支持されている。
【0026】
基板装填領域としてのウエハ装填領域600は、ボート217上であってウエハ200が装填される領域として構成されている。ボート217に装填されたウエハ200に対して処理を行った場合、ボート217の上下両端部近傍と中央部とに搭載されたウエハ200において、それぞれのプロセス性能に差異が生じる場合がある。例えば、成膜装置においては、形成される膜の基板面内における膜厚均一性や基板面内平均膜厚(すなわち基板面間の膜厚均一性)等の差異が生じる場合がある。例えば、サイドダミー基板を装填しない場合は、ボート217の両端に移載されたウエハ200は、中心部が冷えやすく、したがって中心部の膜厚が低下して面内の膜厚均一性が悪化する場合がある。所定の面間膜厚均一性を達成するために、この両端部近傍にはサイドダミー基板としてのサイドダミーウエハ(図示せず)を装填し、そのサイドダミーウエハより内側に、本来処理を行う被処理基板を装填する場合がある。サイドダミーウエハが装填されたサイドダミーウエハ領域(図示せず)は、ウエハ装填領域600に含まれない。例えば、115枚のウエハ200を装填可能なボート217(すなわちウエハ200を装填するスロット(図示せず)が115スロット設けられていると言える)に、上下両端部の片側に5枚、もう一方の片側に10枚、合計15枚のサイドダミーウエハを装填する場合のウエハ装填領域600の総スロット数は、100スロットとなる。ウエハ装填領域600には、ウエハ200として、プロダクトウエハとしての大表面積ウエハ601、モニターウエハ602、フィルダミーウエハ603等が装填される。大表面積ウエハ601が装填されてないスロットには、モニターウエハ602、フィルダミーウエハ603等が装填されていてもよいし、いずれも装填せず、空スロットとしてもよい。
【0027】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、ノズル410,420と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0028】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0029】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する成膜処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0030】
I/Oポート121dは、上述のMFC512,522,312,322、バルブ514,524,314,324、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0031】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC512,522,312,322による各種ガスの流量調整動作、バルブ514,524,314,324の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ243による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御するように構成されている。
【0032】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0033】
(3)基板装填
続いて、ウエハ装填領域600へのウエハ200の分散装填について説明する。
【0034】
本明細書において、分散装填とは、複数枚で構成される大表面積ウエハ601(大表面積ウエハ601群)をボート217に装填する際、その大表面積ウエハ601群全てをスロットに連続的に配置するのではなく、大表面積ウエハ601間に少なくとも1スロット以上、大表面積ウエハ601が装填されないスロットを意図的に設け、大表面積ウエハ601群を分割し、少なくとも2分割以上に大表面積ウエハ601の装填スロットを分割して装填する行為をいう。分割された各々の大表面積ウエハ600の群を大表面積ウエハ601分群と称する。なお、大表面積ウエハ601分群は装填スロットに連続的に装填されてもよい。また、大表面積ウエハ601分群の下限枚数は1枚でもよい。
【0035】
本発明では、X枚(X ≧3)のウエハ装填領域600を持つバッチ処理装置に、X枚未満の大表面積ウエハ601を装填して処理する場合において、大表面積ウエハ601をウエハ装填領域600にまたがり分散装填させる。これにより、ウエハ装填領域600の各スロットにおける大表面積ウエハ600の装填密度を示す大表面積基板密度(LAD:Larger Area wafer Density)の分布を平坦化させて面間膜厚均一性を向上させる。大表面積基板密度分布LADのウエハ装填領域600間における均一性を示す値を、大表面積基板密度分布の均一性(ULAD:Uniformity of Larger Area wafer Density)とする。このとき、25≦X≦200では、各スロットの隣接直近10スロットおよび当該スロットを含む計11スロットの平均値、11≦X≦24では、各スロットの隣接直近4スロットおよび当該スロットを含む計5スロットの平均値、5≦X≦10では、各スロットの隣接直近2スロットおよび当該スロットを含む計3スロットの平均値、のそれぞれから算出されたULADの値が、分割装填しない場合と比較して小さな値となるように分散装填させる。これにより、ウエハ装填領域600間のLAD分布をより平坦とすることが可能となる。
【0036】
本明細書におけるLADの計算式を以下に示す。各スロットのスロット番号をnとし、ウエハ装填領域600の総スロット数をXとし、ボート217のウエハ装填領域600の最下部のスロット番号をn=1としてスロット(1)と称し、最上部のスロット番号をn=Xとしてスロット(X)と称する。Xはボート217におけるウエハ200の最大装填(載置)枚数でもある。また、各スロットに大表面積ウエハ601が存在する判定数をLA
nとする。LA
nは1もしくは0であり、当該スロットに大表面積ウエハ601が存在する場合は1、当該スロットに大表面積ウエハ601が存在しない場合は0となる。
【0037】
<25≦X≦200の場合>
25≦X≦200では、n=1〜6のとき、(1)式のように、スロット(1)〜スロット(11)の平均値で表される。
LAD
n=(LA
1+LA
2+LA
3+LA
4+LA
5+LA
6+LA
7+LA
8+
LA
9+LA
10+LA
11)/11 ・・・(1)
【0038】
n=7〜(X−6)のときは、(2)式のように、スロット(n−5)〜スロット(n+5)の11スロットにおける単純移動平均値で表される。
LAD
n=(LA
n−5+LA
n−4+LA
n−3+LA
n−2+LA
n−1+LA
n+
LA
n+1+LA
n+2+LA
n+3+LA
n+4+LA
n+5)/11 ・・・(2)
【0039】
n=(X−5)〜Xのときは、(3)式のように、スロット(X−10)〜スロット(X)の平均値で表される。
LAD
n=(LA
X−10+LA
X−9+LA
X−8+LA
X−7+LA
X−6+LA
X―5+
LA
X−4+LA
X−3+LA
X−2+LA
X−1+LA
X)/11 ・・・(3)
【0040】
<11≦X≦24の場合>
11≦X≦24では、n=1〜3のとき、(4)式のように、スロット(1)〜スロット(5)の平均値で表される。
LAD
n=(LA
1+LA
2+LA
3+LA
4+LA
5)/5 ・・・(4)
【0041】
n=4〜(X−3)のときは、(5)式のように、スロット(n−2)〜スロット(n+2)の5スロットの単純移動平均値で表される。
LAD
n=(LA
n−2+LA
n−1+LA
n+LA
n+1+LA
n+2)/5 ・・・(5)
【0042】
n=(X−2)〜Xのときは、(6)式のように、スロット(X−4)〜スロット(X)の平均値で表される。
LAD
n=(LA
X−4+LA
X−3+LA
X−2+LA
X−1+LA
X)/5 ・・・(6)
【0043】
<5≦X≦10の場合>
5≦X≦10では、n=1〜2のとき、(7)式のように、スロット(1)〜スロット(3)の平均値で表される。
LAD
n=(LA
1+LA
2+LA
3)/3 ・・・(7)
【0044】
n=3〜(X−2)のときは、(8)式のように、スロット(n−1)〜スロット(n+1)の3スロットの単純移動平均値で表される。
LAD
n=(LA
n−1+LA
n+LA
n+1)/3 ・・・(8)
【0045】
n=(X−1)〜Xのときは、(9)式のように、スロット(X−2)〜スロット(X)の平均値で表される。
LAD
n=(LA
X−2+LA
X−1+LA
X)/3 ・・・(9)
【0046】
また、本明細書における大表面積基板密度分布の均一性ULADの計算方法を(10)式に示す。
ULAD=((LAD
max−LAD
min)/LAD
ave)×100[%] ・・・(10)
ここで、LAD
maxは、ウエハ装填領域600間における大表面積基板密度の最大値である。LAD
minは、ウエハ装填領域600間における大表面積基板密度の最小値である。LAD
aveは、ウエハ装填領域600間における大表面積基板密度の平均値である。
【0047】
すなわち、本発明では、基板の最大載置枚数がX枚(X≧3)である(スロット数=X)場合、基板の半径rに対して基板の上面の表面積が3πr
2以上となるようなパターンが上面に形成された大表面積基板を、基板支持具にY枚(Y<X)搭載する際、大表面積基板の最大連続載置枚数がZ枚(Z<Y)となるよう分散して載置し、
(a)25≦X≦200では、各スロットおよび各スロットの隣接する10スロットの計11スロットから計算される大表面積基板密度平均値の基板装填領域均一性の値(すなわち、ULADであって、基板装填領域における大表面積基板の密度平均値の均一性の値)、
(b)11≦X≦24では、各スロットおよび各スロットの隣接する4スロットの計5スロットから計算される大表面積基板密度平均値の基板装填領域均一性の値、
(c)5≦X≦10では、各スロットおよび各スロットの隣接する2スロットの計3スロットから計算される大表面積基板密度平均値の基板装填領域均一性の値、
が、Z=Yとした場合における大表面積基板密度平均値の基板装填領域均一性の値より小さくなるようXの値を調整する。
【0048】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。まず、大表面積ウエハ601の分散装填によるウエハ装填領域600の大表面積ウエハ601の面間膜厚均一性を向上させる場合について説明する。100枚のウエハ装填領域600(すなわち100スロット)を持つバッチ処理装置に、大表面積ウエハ601を装填しない場合の基板装填パターン1を
図4に示す。また、100枚のウエハ装填領域600を持つバッチ処理装置に、24枚の大表面積ウエハ601を装填した場合の基板装填パターン2を
図5に基板装填パターン3を
図6に示す。
図5は、ボート217に上詰めで24枚の大表面積ウエハ601を連続装填した従来技術の一形態を示す。
図6は、ウエハ装填領域600間の大表面積基板密度分布の均一性ULADの値が、
図5の基板装填パターン2における値よりも小さくなるよう、24枚の大表面積ウエハ601を分散装填した一例を示す。
【0049】
図4,5,6の装填パターン1,2,3いずれにおいても、ウエハ装填領域600間の膜厚分布(面間膜厚分布)をモニターするため、スロット1、スロット25、スロット50、スロット75、スロット100にモニターウエハ602を挿入している。また、
図4,5,6に示した基板装填パターン1,2,3の成膜結果の比較を
図7,8に示す。大表面積ウエハ601を装填しない場合(
図4の場合)と比較し、ボート217に上詰めで24枚を連続装填した場合(
図5の場合)では、大表面積ウエハ601が装填された領域の周辺であって、特にスロット75に装填されたモニターウエハ602の膜厚が、他のスロットに装填されたモニターウエハ602の膜厚より低下する。つまり基板間のローディングエフェクトが顕著に現れる。一方、分散装填した場合(
図6の場合)では、ウエハ装填領域600間において、大表面積ウエハ601による局所的な膜厚減少が見られず、良好なウエハ装填領域600間の膜厚均一性を保つことができる。
【0050】
装填する大表面積ウエハ601の枚数によっては、分散装填する際に完全按分することができず端数が生じることがあるが、本発明では分散装填が完全按分装填である必要はなく、大表面積ウエハ601を分散装填しない場合と比較しULADが小さくなる範囲で、極力均等に分散装填すれば、そのULADに応じた効果が得られる。
【0051】
図9は、基板搬送機構(図示せず)が1枚搬送と5枚一括搬送を好適に選択し使い分ける機能を具備している場合において、搬送時間短縮を考慮し、5枚一括搬送で基板が搬送される回数ができるだけ多くなるよう、5枚一組を基本ユニットとし5枚を一括搬送させ、端数は1枚搬送で装填し、ウエハ装填領域600間の大表面積基板密度分布が分散装填しない場合より平坦となるよう、19枚の大表面積ウエハ601を分散装填した場合の一例として、基板装填パターン4を示した図である。基板装填パターン4では、大表面積ウエハ601分群を2枚のモニターウエハ602の中央付近に装填している。また
図10はボートに上詰めで19枚の大表面積ウエハ601を連続装填した従来技術の一例をとして基板装填パターン5を示した図である。また、
図11,12に基板装填パターン4,5の成膜結果の比較を示す。
【0052】
図9の基板装填パターン4では5枚+5枚+5枚+4枚の計19枚が分散装填されているが、この場合においても、ボートに上詰めで19枚の大表面積ウエハ601を連続装填した
図10の基板装填パターン5の場合と比較し、局所的な膜厚減少が起きず、良好なウエハ装填領域600間の膜厚均一性を達成することができる。
【0053】
次に、大表面積ウエハ601分群に含まれる大表面積ウエハ601の枚数を変えて、膜厚分布への影響を調べた結果について説明する。大表面積ウエハ601の間にモニターウエハ602を挿入し、大表面積ウエハ601分群に含まれる大表面積ウエハ601の枚数と、大表面積ウエハ601分群間における膜厚分布との関係を調べた。
図13は、100枚のウエハ装填領域600(100スロット)を持つバッチ処理装置に、8枚の大表面積ウエハ601を装填し、その直上、中央部、直下にモニターウエハ602を装填した場合の基板装填パターン6を示す。また、
図14に、基板装填パターン5と同様のバッチ処理装置に、4枚の大表面積ウエハ601を装填し、その直上、中央部、直下にモニターウエハ602を装填した場合の基板装填パターン7を示す。また、
図13,14に示した基板装填パターン6,7の成膜結果の比較を
図15,16に示す。
【0054】
図15から、1つの大表面積ウエハ601分群に含まれる大表面積ウエハ601の枚数が4枚である基板装填パターン7では、8枚である基板装填パターン6と比較して、中央部に装填されたモニターウエハ602の膜厚と、直上および直下に装填されたモニターウエハ602の膜厚との差を小さくすることができることが分かる。つまり、大表面積ウエハ601群の端部と比較した場合における中央部の膜厚減少量を少なくすることができることを意味する。分散装填する際に、大表面積ウエハ601分群間の膜厚均一性を向上させるためには、装填可能スロット数を超えない範囲で、1つの大表面積ウエハ601分群に含まれる大表面積ウエハ601の枚数をより少なく、大表面積ウエハ601群の分割数をより多くするのが好ましいと言える。
【0055】
上述の通り、搬送時間短縮と、ULAD向上は、トレードオフの関係になることがある。搬送時間短縮を優先させる場合には、大表面積ウエハ601分群内の膜厚面間均一性およびウエハ装填領域600間のULADを多少犠牲にした配置をとる場合もある。これらの均一性と搬送時間短縮の兼ね合いは、どちらを優先するかで適宜調節することが可能である。いずれにしても、大表面積ウエハ601を分散装填しない場合と比較しULADが小さくなる範囲で分散装填すれば、そのULADに応じた本発明の効果が得られる。
【0056】
次に、各モニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離の影響について説明する。
図17は、モニターウエハ602の直下に大表面積ウエハ601を装填した場合の基板装填パターン8を示す図である。
図18はモニターウエハ602の直上に大表面積ウエハ601を装填した場合の基板装填パターン9を示す図である。
図9に示すモニターウエハ602間中央部に大表面積ウエハ601を装填した場合の基板装填パターン4、
図4に示す大表面積ウエハ601を装填しない場合の基板装填パターン1の成膜結果と合わせて、
図17,18の成膜結果の比較を
図19に示す。
【0057】
基板装填パターン8のように、モニターウエハ602の直下に大表面積ウエハ601を装填した場合、スロット1のモニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離は、スロット100,75,50,25のモニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離より、長くなる。そのため、スロット1のモニターウエハ602において大表面積ウエハ601が存在することに起因して生じるモニターウエハ602上の膜厚が減少してしまう割合が優先的に小さくなると考えられる。すなわちモニターウエハ602上の膜厚減少量が小さくなる。その結果、スロット1のモニターウエハ602に形成される膜は他のスロットのモニターウエハ602上に形成される膜より厚くなり、大表面積ウエハ601を装填しない場合に形成される膜の膜厚との差分が、他のスロットと比較して小さくなることがわかる。
【0058】
また、基板装填パターン9のように、モニターウエハ602の直上に大表面積ウエハ601を装填した場合、スロット100のモニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離は、スロット75,50,25,1のモニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離より、長くなる。そのため、スロット100のモニターウエハ602において大表面積ウエハ601が存在することに起因して生じるモニターウエハ602上の膜厚が減少してしまう割合が優先的に小さくなると考えられる。その結果、スロット100のモニターウエハ602に形成される膜は他のスロットのモニターウエハ602上に形成される膜より厚くなり、大表面積ウエハ601を装填しない場合に形成される膜の膜厚との差分が、他のスロットと比較して小さくなることがわかる。
【0059】
しかし、モニターウエハ602の膜厚からウエハ装填領域600間の膜厚面間均一性を算出する場合、各モニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離が統一されていない(一定でない)場合、この均一性の数値にバラつきが生じることになるため、膜厚面間均一性の査定、管理が困難となることがある。
【0060】
一方、基板装填パターン4のように、モニターウエハ602間の中央部に大表面積ウエハ601を装填し、各スロットのモニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離をほぼ均等にした場合、各スロットのモニターウエハ602の膜厚減少量がほぼ均等となることがわかる。その結果、基板装填パターン4においてモニターウエハ602に形成された膜の膜厚と、基板装填パターン1のように大表面積ウエハ601を装填しない場合にモニターウエハ602に形成される膜の膜厚との差分が、各スロットでほぼ均等となり、大表面積ウエハ601を装填しない場合のウエハ装填領域600基板間膜厚分布と近似の膜厚分布となり、膜厚面間均一性の査定、管理が容易になる。そのため、複数枚のモニターウエハ602をウエハ装填領域600に挿入する場合、各モニターウエハ602と大表面積ウエハ601との間の距離は一定に保つことが好ましいと言える。
【0061】
図20に、分散装填しない場合のULADと装填枚数との関係を示す。ここでは、25≦X≦200の場合で、大表面積ウエハ601を上詰めに一まとめとして装填した場合のULADの値を示す。各々のウエハ装填領域600の枚数Xに応じて算出されるULADより低いULADとなるように分散装填することで、本発明の効果が得られる。
【0062】
図21に、X=100の場合において、種々の一般的な分散装填したときのULADを示す。「上詰め装填」は分散装填せずに上詰め装填した場合である。
【0063】
「分散装填(5枚搬送優先)−1」「分散装填(5枚搬送優先)−2」は、大表面積ウエハ601とフィルダミーウエハ603を共に5枚搬送する場合であって、以下の手順により、大表面積ウエハ601を分散装填した場合である。大表面積ウエハ601の装填枚数PをP=90としたとき、フィルダミーウエハ603の枚数FDはFD=10となる。大表面積ウエハ601を5枚1セットとすると大表面積ウエハ601は18セット、フィルダミーウエハ603を5枚1セットとするとフィルダミーウエハ603は2セットとなる。フィルダミーウエハ603の1回の搬送で装填されるスロット(1回の搬送枚数と同数)と大表面積ウエハ601の1回の搬送で装填されるスロット(1回の搬送枚数と同数)とを合わせたものを基本ユニットとする。P=90の場合、基本ユニットは2セットあり、16セットが不足している。このとき、ウエハ装填領域600の上部から順に、各基本ユニットから1セットずつ不足分のフィルダミーウエハ603を間引きし、各基本ユニットを分散装填していく。各基本ユニット内で、大表面積ウエハ601を上詰めで装填した場合が「分散装填(5枚搬送優先)−1」、大表面積601を下詰めで装填した場合が「分散装填(5枚搬送優先)−2」である。
【0064】
「分散装填(ULAD優先)−1」「分散装填(ULAD優先)−2」「分散装填(ULAD優先)−3」は、ULADの向上を優先させて、1回の搬送枚数を規定しない場合であって、以下の手順により、大表面積ウエハ601を分散装填した場合である。大表面積ウエハ601の装填枚数PをP=90としたとき、フィルダミーウエハ603の枚数FDはFD=10となる。(Z/FD)=9.0であり、1枚のフィルダミーウエハ603と9枚の大表面積ウエハ601とを基本ユニットとする。P=90の場合、基本セットは10セットであり、不足分がない。仮に、P=85等、不足分がある場合はウエハ装填領域600の下部から順に各基本ユニットから1枚ずつ不足分の大表面積ウエハ601を間引きして分散装填する。各基本ユニット内で大表面積ウエハ601を上詰めした場合が「分散装填(ULAD優先)−1」、各基本ユニット内で大表面積ウエハ601を下詰めした場合が「分散装填(ULAD優先)−2」、各基本ユニット内で大表面積ウエハ601を中央詰めした場合が「分散装填(ULAD優先)−3」である。
【0065】
いずれの分散装填方法においても、分散装填しない場合と比較し低いULADが得られる。
【0066】
次に、大表面積ウエハ601を装填することに伴い面間の平均膜厚が減少してしまう割合を、自動補正し、所望の膜厚を形成する方法について説明する。例えば、自動補正することにより、バッチ間で、ウエハ装填領域600に装填された大表面積ウエハ601の総表面積が変わったとしても、一定の膜厚の膜を形成することが可能となる。
【0067】
図8は、ウエハ装填領域600間の膜厚分布を規格化膜厚で表現した図だが、大表面積ウエハ601を装填した場合、たとえ分散装填したとしても、大表面積ウエハ601を装填しない場合と比較して、ウエハ装填領域600間にまたがり全体的に膜厚が減少する。大表面積ウエハ601の1枚当りの表面積が大きいほど、この膜厚減少量は大きくなる。また、大表面積ウエハ601の装填枚数が多いほど、の膜厚減少量は大きくなる。すなわち、大表面積ウエハ601の総表面積が大きいほど、この膜厚減少量は大きくなると言える。したがって、この大表面積ウエハ601の総表面積と膜厚減少量との関係をあらかじめ把握しておき、複数の処理ガスを交互供給するサイクル数を補正することにより、被処理基板上に所望の膜厚を形成することが可能となるすなわち、バッチ間で大表面積ウエハ601の総表面積が変わったとしても、その影響を受けずに、被処理基板上に一定の膜厚の膜を形成することが可能となる。
【0068】
具体的には、大表面積ウエハ601における1枚当りの表面積×枚数=総表面積の値と、膜厚減少量との関係を把握しておくとともに、所望の膜厚を形成するのに必要な追加サイクル数を把握しておき、大表面積ウエハ601の総表面積と追加補正サイクル数の相関テーブルを作成する。処理を開始する際に、大表面積ウエハ601における1枚当りの表面積をあらかじめコントローラ121に入出力装置122から入力すること、かつ大表面積ウエハ601の装填枚数をコントローラ121が自動認識することで、自動的に大表面積ウエハ601の総表面積が算出され、さらに適切な追加補正サイクル数を上記相関テーブルから自動的に読出し、成膜サイクル数を決定する機能をコントローラ121に具備させることにより、大表面積ウエハ601の総表面積に影響を受けずに、被処理基板に所望の膜厚を形成することが可能となる。
【0069】
この追加補正サイクル数の相関テーブルを、大表面積ウエハ601の枚数と、膜厚減少量との関係のみから作成し、それを1枚当りの表面積ごとに準備してもよい。その場合、処理を開始する際に、処理する大表面積ウエハ601の1枚当りの表面積に応じて、対応する追加補正サイクル数の相関テーブルを、コントローラ121に入出力装置122から指定し(レシピを指定するのと同様に)、大表面積ウエハ601の枚数はコントローラ121に自動認識させることでも、上記と同様の効果が得られる。
【0070】
(3)成膜処理
上述の基板処理装置10を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成するシーケンス例について、
図23を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0071】
本明細書において「ウエハ」という用語は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層、膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層、膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という用語は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層、膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0072】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等のパターンに対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0073】
また、本明細書において「ウエハ」は「基板」の一例である。以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、詳細に説明する。
【0074】
(ウエハチャージ・ボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、
図1に示すように、複数枚のウエハ200が収容されたボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0075】
(圧力・温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によりボート217およびウエハ200の回転を開始する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0076】
(成膜ステップ)
その後、原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップをこの順で所定回数行う。
【0077】
〔原料ガス供給ステップ〕
バルブ314を開き、ガス供給管310へTiCl
4ガスを流す。TiCl
4ガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410に開口するガス供給孔410aからウエハ200に対して供給される。すなわちウエハ200はTiCl
4ガスに暴露される。ガス供給孔410aから供給されたTiCl
4ガスは、排気管231から排気される。このとき同時に、バルブ514を開き、ガス供給管510内にキャリアガスとしてN
2ガスを流す。N
2ガスは、MFC512により流量調整され、TiCl
4ガスと一緒にノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0078】
また、ノズル420へのTiCl
4ガスの侵入を防止(逆流を防止)するため、バルブ524を開き、ガス供給管520内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管520、ノズル420を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0079】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜1330Pa、好ましくは10〜931Pa、より好ましくは20〜399Paの範囲内の圧力とする。1330Paより高いと、パージが十分に行われずに副生成物が膜に取り込まれ抵抗が高くなる場合がある。1Paより低いと、TiCl
4の反応速度を得られなる場合がある。なお、本明細書では、数値の範囲として、例えば1〜1000Paと記載した場合は、1Pa以上1000Pa以下を意味する。すなわち、数値の範囲内には1Paおよび1000Paが含まれる。圧力のみならず、流量、時間、温度等、本明細書に記載される全ての数値について同様である。
【0080】
MFC312で制御するTiCl
4ガスの供給流量は、例えば、0.01〜1.0slm、好ましくは0.1〜0.7slm、より好ましくは0.2〜0.5slmの範囲内の流量とする。1.0slmより多いと、配管内でTiCl
4ガスが再液化する場合があり、0.01slm未満だと、スループットが悪化するためである。
【0081】
MFC512で制御するN
2ガスの供給流量は、ノズル410内の総流量が、例えば、0.01〜50slm、好ましくは0.1〜20slm、より好ましくは0.2〜10slmの範囲内の流量となるよう、例えば、0〜49slm、好ましくは0〜19.3slm、より好ましくは0〜9.5slmの範囲内の流量とする。総流量が50slmより多いと、ガス供給孔410aでガスが断熱膨張して再液化する可能性がある。所望のスループットに対して、TiCl
4ガスの供給流量が少ない場合は、N
2ガスの供給流量を多く流すとよい。また、N
2ガスを流すことによりガス供給孔410aから供給されるTiCl
4ガスの均一性向上にも効果がある。
【0082】
TiCl
4ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1〜300秒、好ましく1〜60秒、より好ましくは1〜10秒の範囲内とする。300秒より長いと、スループット悪化、ランニングコスト増加となり、1秒より短いと、成膜に必要とされる暴露量が得られなくなってしまう場合がある。
【0083】
ヒータ207は、ウエハ200の温度が、例えば、200〜700℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは380〜525℃の範囲内となるように加熱する。700℃より高いと、サーマルバジェットが許容範囲外の値となり、200℃未満では反応性が低く成膜ができなくなる場合がある。
【0084】
上述の条件下で処理室201内へTiCl
4ガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上にTi含有層が形成される。
【0085】
〔残留ガス除去ステップ〕
Ti含有層が形成された後、バルブ314を閉じ、TiCl
4ガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応又はTi含有層形成に寄与した後のTiCl
4ガスを処理室201内から排除する。バルブ514,524は開いた状態でN
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応又はTi含有層形成に寄与した後のTiCl
4ガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0086】
〔反応ガス供給ステップ〕
処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ324を開き、ガス供給管320内に反応ガスであるNH
3ガスを流す。NH
3ガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内のウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。すなわちウエハ200はNH
3ガスに暴露される。このとき、バルブ524を開き、ガス供給管520内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、MFC522により流量調整され、NH
3ガスと共に処理室201内に供給されて、排気管231から排気される。このとき、ノズル410内へのNH
3ガスの侵入を防止(逆流を防止)するために、バルブ514を開き、ガス供給管510内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管510、ノズル410を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0087】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜13300Pa、好ましくは10〜2660Pa、より好ましくは20〜1330Paの範囲内の圧力とする。13300Paより高いと後述する残留ガス除去ステップに時間を要してスループットが悪化する可能性があり、1Paより低いと成膜に必要とされる暴露量を得ることが出来ない可能性がある。
【0088】
MFC322で制御するNH
3ガスの供給流量は、例えば、1〜50slm、好ましくは3〜20slm、より好ましくは5〜10slmの範囲内の流量とする。50slmより多いと後述する残留ガス除去ステップに時間を要してスループットが悪化する可能性があり、1slmより少ないと成膜に必要とされる暴露量を得ることができない可能性がある。
【0089】
MFC522で制御するN
2ガスの供給流量は、ノズル420内の総流量が、例えば、1〜50slm、好ましくは3〜20slm、より好ましくは5〜10slmの範囲内の流量となるよう、例えば、0〜49slm、好ましくは0〜17slm、より好ましくは0〜9.5slmの範囲内の流量とする。総流量が50slmより多いと、後述する残留ガス除去ステップに時間を要してスループットが悪化する可能性があり、1slmより少ないと成膜に必要とされる暴露量を得ることができない可能性がある。
【0090】
NH
3ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1〜120秒、好ましく5〜60秒、より好ましくは5〜10秒の範囲内とする。120秒より長いと、スループット悪化、ランニングコスト増加となり、1秒より短いと、成膜に必要とされる暴露量が得られなくなってしまう場合がある。その他の処理条件は、上述の原料ガス供給ステップと同様の処理条件とする。
【0091】
このとき処理室201内に流しているガスは、NH
3ガスと不活性ガス(N
2ガス)のみである。NH
3ガスは、原料ガス供給ステップでウエハ200上に形成されたTi含有層の少なくとも一部と反応TiとNとを含むチタン窒化層(TiN層)が形成される。すなわちTi含有層はTiN層へと改質される。
【0092】
〔残留ガス除去ステップ〕
TiN層が形成された後、バルブ324を閉じて、NH
3ガスの供給を停止する。そして、原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはTiN層の形成に寄与した後のNH
3ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。
【0093】
〔所定回数実施〕
上述の原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス供給ステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数)行うことにより、ウエハ200上にTiN膜が形成される。このサイクルの回数は、最終的に形成するTiN膜において必要とされる膜厚に応じて適宜選択されるが、このサイクルは、複数回繰り返すことが好ましい。TiN膜の厚さ(膜厚)は、例えば、0.5nm〜3μm、好ましくは0.8nm〜2μm、より好ましくは1nm〜1μmとする。3μm以下とすることでウエハ200上に形成されたTiN膜(堆積膜)によるボート217とウエハ200との固着を防止することができ、0.5nm以上とすることで成膜初期に島状となって形成されるTiN同士の隙間がほぼなくなり、連続膜を形成することが可能となる。
【0094】
(アフターパージ・大気圧復帰)
成膜ステップが終了したら、バルブ514,524を開き、ガス供給管310,320のそれぞれからN
2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気がN
2ガスに置換され(N
2ガス置換)、処理室201内の圧力は常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0095】
(ボートアンロード・ウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出されるウエハディスチャージ)。
【0096】
(4)本実施形態による効果
上述の実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
【0097】
(a)最大装填枚数がX枚(X ≧3)の基板装填領域を持つバッチ処理装置を用いて、X枚未満の大表面積基板を装填して処理する際、大表面積基板を基板装填領域にまたがり分散装填することにより、基板装填領域間における大表面積基板の密度分布を平坦化することが可能となる。それにより、基板面間膜厚均一性を向上させることが可能となる。
【0098】
(b)X枚(X≧3)の基板装填領域を持つバッチ処理装置を用いて、X枚未満の大表面積基板を装填して処理する際、25≦X≦200では、各スロットの隣接直近10スロットおよび当該スロットを含む計11スロットの平均値、11≦X≦24では、各スロットの隣接直近4スロットおよび当該スロットを含む計5スロットの平均値、5≦X≦10では、各スロットの隣接直近2スロットおよび当該スロットを含む計3スロットの平均値、のそれぞれから算出された大表面積基板密度分布の均一性の値が、分割装填しない場合と比較して小さな値となるように分散装填させる。これにより、基板装填領域間の大表面積基板密度分布をより平坦とすることが可能となる。
【0099】
(c)装填可能スロット数を超えない範囲で、大面積基板群の分割数を多く、すなわち大表面積基板分群の枚数を少なくすることにより、大表面積基板分群内の膜厚面間均一性を向上させることが可能となる。
【0100】
(d)大表面積基板分群同士の距離(大表面積基板が装填されないスロットの数)を、装填可能スロット数を超えない範囲で長く(多く)することにより、基板装填領域間の大表面積基板密度分布をより平坦化させることが可能となる。
【0101】
(e)基板搬送機構が、1枚搬送と、複数枚例えば5枚一括搬送の両方を好適に選択し使い分ける機能を具備している場合、基板装填領域間の大表面積基板密度分布が分散装填しない場合より平坦となる範囲で、5枚一括搬送をできるだけ多用できる装填パターンとすることにより、搬送時間を短縮しつつ、基板装填領域間の膜厚面間均一性を向上させることが可能となる。
【0102】
(f)複数枚のモニター基板を基板装填領域に挿入する場合、各モニター基板と大表面積基板との間の距離を一定に保つことで、各モニター基板の大表面積基板との距離に起因して生じる膜厚減少の量が面間で均等となるように調整することができる。これにより、各モニター基板を用いた基板装填領域間の膜厚面間均一性の査定、管理の容易性を向上させることが可能となる。
【0103】
(g)X枚の基板装填領域を持つバッチ処理装置に、X枚未満の大表面積基板を装填して処理する際、大表面積基板の1枚当りの表面積をあらかじめ入力しておくことで、装填する大表面積基板の表面積および枚数の少なくともいずれか一方によって変動する大表面積基板群の総表面積に応じて成膜サイクル数を自動で補正することが可能となる。これにより、バッチ間で、大表面積基板群の総表面積が変わったとしても一定の膜厚で大表面積基板上に膜を形成することが可能となる。
(h)大表面積基板をバッチ処理装置で処理する際、大表面積基板の1枚当りの表面積および装填枚数の少なくともいずれか一方による影響を低減し、良好な基板装填領域間の膜厚均一性を達成することができる。また、被処理基板への所望の膜厚を形成することが可能となる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明した。しかし、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0105】
例えば、上述の実施形態では、Ti含有ガスとしてTiCl
4ガスを用いる例について説明したが、これに限らず、例えば、テトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT、Ti[N(CH
3)
2]
4)、テトラキスジエチルアミノチタン(TDEAT、Ti「N(CH
2CH
3)
2」
4)、四ヨウ化チタン(TiI
4)等を用いてもよい。N含有ガスとしては、NH
3ガスを用いる例について説明したが、これに限らず、例えば、N
2、亜酸化窒素(NO)、酸化窒素(N
2O)などを用いてもよい。さらには、窒素を含有する反応ガスとして、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン等も適用可能である。不活性ガスとしては、N
2ガスを用いる例について説明したが、これに限らず、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Krガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、基板上にTiN膜を形成する例について説明した。しかし、本発明はこの態様に限定されない。また、膜を構成する元素として遷移金属であるチタン(Ti)を例示したが、これに限らず、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ニッケル(Ni)等から選択してもよい。またストロンチウム(Sr)、シリコン(Si)等の遷移金属以外の金属元素を用いるようにしてもよい。これらの元素の少なくとも1つを含む窒化膜、炭窒化膜、酸化膜、酸炭化膜、酸窒化膜、酸炭窒化膜、硼窒化膜、硼炭窒化膜、金属元素単体膜等にも適用可能である。
【0107】
上述の実施形態では、反応管203を有する一重管で構成される処理炉について説明したが、これに限らず、インナチューブとアウタチューブからなる二重管構造を有する処理炉を用いて同様の成膜処理を行う場合であっても適用可能である。インナチューブ内に処理ガスを供給するノズルが延在し、インナチューブの内壁であって基板と対向する位置に排気口が設けられているため、処理ガスは、より基板上に供給されやすくなり、基板面内の膜厚均一性を向上させることが可能となる。
【0108】
成膜処理に用いられるレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、処理内容(形成、或いは、除去する膜の種類、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになり、それぞれの場合に適正な処理を行うことができるようになる。また、オペレータの負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0109】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0110】
また、上述の実施形態や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。また、このときの処理手順、処理条件は、上述の実施形態や変形例等の処理手順、処理条件と同様とすることができる。