【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 ICFPE2016組織委員会 刊行物名 ICFPE2016 予稿集 発表番号 P14−2 掲載年月日 平成28年8月29日 掲載アドレス http://icfpe2016.yz.yamagata−u.ac.jp/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電極と前記第2の電極が、前記絶縁層を介して交差するマトリクス構造を備え、前記カンチレバー部が複数の前記交差する領域に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のカンチレバー構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、種々のセンサや音響機器に利用可能なカンチレバー構造体は、その変位部分が金属やSi系無機化合物や酸化物等で作成されてきた(特許文献3、4参照)。変位部材の変位量はヤング率により決まり、ヤング率は変位部材の材料により決定される。変位部材の材料が無機化合物膜のみに限定されると、ヤング率の選択性の幅が狭くなってしまうという問題がある。
【0011】
カンチレバー構造体を、大面積に展開した高機能センサマトリクスに適用するには、未だ問題が多い。
【0012】
まず、カンチレバー形状のような3次元形状の微細加工を、大面積に展開し製造することが困難であることが挙げられる。カンチレバー構造体の変位部分は、基体から浮遊した状態で変位させるために、基体とカンチレバーとの間に中空部を形成する必要がある。従来、中空とする箇所に犠牲層を設けた状態で工程を進めた後に、その犠牲層をエッチング除去することで中空部を形成する方法により製造されていた(特許文献3、4参照)。従来の製造方法では、犠牲層を使用するので、中空構造体を形成する工程が煩雑であり、大面積化が困難であり、また材料とエネルギーの浪費を生むという問題がある。
【0013】
また、高機能のセンサマトリクスにするには、広い面積において高精度であること、高解像度であることが望まれる。そのため、特に、カンチレバー構造体を用いたセンサのマトリクス化において、カンチレバーの梁方向を同方向に多数を配列する形態(一軸と呼ぶ。)のほかに、複数の方向に多数を配列する形態(多軸と呼ぶ。)が必要であると考えられる。即ち、多軸とは、カンチレバーの梁方向が2以上の方向になるように、カンチレバー構造体をマトリクス状に配置することである。カンチレバー形状は、その構造ゆえに感度に異方性を有することが多い。ここで検知対象にも異方性がある場合、その異方性がカンチレバーの低感度な軸と合致してしまうとセンシングの精度が低下する。よって多軸化にも適した形のカンチレバーマトリクスの構造の開発が望まれる。
【0014】
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、カンチレバー部材が新規で、シンプルな構造を有し大面積化に適するカンチレバー構造体、及び高解像度及び高精度で大面積化が可能なセンサ、並びに、材料の浪費及び環境負荷を軽減できるカンチレバー構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有する。
(1) 第1の電極と、前記第1の電極と一部が積層され、絶縁層を介して絶縁される第2の電極と、樹脂含有層を少なくとも有するカンチレバー部とを備え、前記カンチレバー部は、一部が、前記第2の電極に、接着層兼導電性支柱層により導電接続され、一部が浮遊した状態であることを特徴とするカンチレバー構造体。
(2) 前記カンチレバー部と前記第1の電極との間に静電容量が形成されることを特徴とする(1)記載のカンチレバー構造体。
(3) 基板上に、前記第1の電極、絶縁層、第2の電極の順で積層された構造であることを特徴とする(1)または(2)記載のカンチレバー構造体。
(4) 前記第1の電極と前記第2の電極が、前記絶縁層を介して交差するマトリクス構造を備え、前記カンチレバー部が複数の前記交差する領域に配置されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項記載のカンチレバー構造体。
(5) 前記第1の電極と前記第2の電極が、前記絶縁層を介して交差するマトリクス構造を備え、前記カンチレバー部が複数の前記交差する領域に配置され、複数の前記交差する領域のカンチレバー部は、長尺方向が一以上の軸方向に配列されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項記載のカンチレバー構造体。
(6) 前記カンチレバー構造体はフレキシブル性を有する基板を備えることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1項記載のカンチレバー構造体。
(7) (1)乃至(6)のいずれか1項記載のカンチレバー構造体を備えるセンサ。
(8) (1)乃至(6)のいずれか1項記載のカンチレバー構造体を備え、前記カンチレバー部の変位を、前記カンチレバー部と前記第1の電極との間の静電容量の変化により検出することを特徴とするセンサ。
(9) 第1の電極と、前記第1の電極と一部が積層され、絶縁層を介して絶縁される第2の電極とを形成し、転写用基材の表面の低表面エネルギー材料層上に、樹脂含有層を少なくとも有するカンチレバー部層を形成し、接着層兼導電性支柱層を用いて、前記カンチレバー部層を、前記転写用基材側から剥離かつ前記第2の電極側に転写することにより、カンチレバー部は、一部が、前記第2の電極に、前記接着層兼導電性支柱層により導電接続され、一部が浮遊した状態であるカンチレバー構造体を製造することを特徴とするカンチレバー構造体の製造方法。
(10) 第1の電極と、前記第1の電極と一部が積層され、絶縁層を介して絶縁される第2の電極とを形成し、転写用基材の表面の低表面エネルギー材料層上に、樹脂含有層を少なくとも有するカンチレバー部層を形成し、接着層兼導電性支柱層を用いて、前記カンチレバー部層を、前記転写用基材側から剥離かつ前記第2の電極側に転写することにより、カンチレバー部は、一部が、前記第2の電極に、前記接着層兼導電性支柱層により導電接続され、一部が浮遊した状態であるカンチレバー構造体を作製し、前記カンチレバー部の導電層と前記接着層兼導電性支柱層とを、導電性接続部により導電接続することを特徴とするカンチレバー構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、カンチレバー部を構成する部材が樹脂含有層を含むので、目的とするセンサ等の素子に応じて、所望のヤング率等を設計可能である。
【0017】
本発明のカンチレバー構造体は、そのカンチレバー部の梁方向を一方向又は複数方向に揃えて、かつ、2つの互いに絶縁された電極の上に複数のカンチレバー構造体を配置して、大面積化することができる。本発明の複数のカンチレバー構造体をマトリクス化することにより、高解像化、高精度のセンサマトリクスが得られる。
【0018】
カンチレバー部の梁方向を複数方向に揃えて、複数のカンチレバー構造体を配置した場合は、検出対象が、異方性の圧力や複数方向の圧力であっても、複数の軸方向の検出を行うことができるので、センシング機能の精度の向上、異方性の方向の検出、及びマップ化が可能である。また、多軸方向の検出により、より高解像度化、高頻度化による検出が可能となる。
【0019】
本発明によれば、従来のように犠牲層を形成した後に不要な部分を除去するのではなく、転写によるので、必要な部分に膜を付加的(アディティブ)に形成する方法により、カンチレバー構造体を実現することができる。よって、本発明によれば、中空構造体を低環境負荷で製造でき、また省工程で形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について以下説明する。
【0022】
本発明者は、カンチレバー構造体の技術開発を進める研究過程で、荷重センサ等に利用可能な片持ち梁状の変位部材において、次の点に着目した。第1に、変位部材の材料の選択の幅を従来の無機化合物のみ限定するのでなく、新規な選択肢を実現すること、及び、第2に、センサマトリクスを実現するのに相応しいカンチレバー構造体を実現することである。そこで、本実施形態では、カンチレバー構造体のカンチレバー部を、樹脂含有層を少なくとも含む構造とすることにより、新規なカンチレバー構造体を実現した。また、マトリクス化と多軸化が可能なカンチレバー構造体を実現した。
【0023】
カンチレバーとは、片持ち梁の形状のものをいい、長尺の一端が固定され、他端が可動である。カンチレバー構造体は、カンチレバー部を含む構造体をいう。
【0024】
カンチレバー構造体は、カンチレバー部の他端が可動であるので、導電性のカンチレバー部と電極との距離が変化することにより、静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出して、荷重センサ、加速センサ、熱センサ、曲げセンサを始め、化学物質の吸着の測定等にも利用することができる。例えば、カンチレバー部に荷重や加速度や熱などの物理現象が与えられることよってカンチレバー部が変形し静電容量が変化することで、対象の事象を検出することができる。また、例えば、カンチレバー部に化学物質が吸着することによりカンチレバー部が変形し静電容量が変化することで、対象の事象を検出することができる。
【0025】
カンチレバー部は、導電性を有するカンチレバー部とするために、樹脂と導電性粒子の混合からなる層を少なくとも有する構造、又は、樹脂層と導電層の積層構造を有する構造、又はこれらの複合構造とすることが好ましい。
【0026】
カンチレバー部と電極とを電気接続する接着層兼導電性支柱層は、樹脂と導電性粒子を含むことが好ましい。
【0027】
(第1の実施形態)
本実施形態を、
図1乃至4を参照して以下説明する。
図1A及びBは、本実施形態におけるカンチレバー構造体の基本構造の模式図であり、
図1Aは断面図で、
図1Bは上から見た平面図ある。本実施形態のカンチレバー構造体は、基板1(以下、「素子用基材1」ともいう。)と、基板1上に形成された下部電極2と、下部電極2上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に形成され絶縁層3により下部電極2と絶縁される上部電極4と、上部電極4上に位置する接着層兼導電性支柱層5と、接着層兼導電性支柱層5上に固定部が位置するカンチレバー部6とからなる。カンチレバー部6は、その一部が、接着層兼導電性支柱層5により支持されると共に上部電極に導電接続されている。カンチレバー部6は、一部が、基板1/下部電極2/絶縁層3の積層構造から浮遊した状態で、変位部分を構成する。
【0028】
図2は、
図1のカンチレバー構造体における静電容量を説明する図である。
図1の基本構造において、カンチレバー部に導電性が付与されている場合、上部電極と下部電極の間に電圧を印加すると、
図2のように、カンチレバー部6と下部電極2との間に、空気(静電容量形成部C
1)と絶縁層(静電容量形成部C
2)の合成静電容量が形成される。
【0029】
静電容量は以下の式で定義される。
Cn=ε
0・ε
r・(S/d) (静電容量の式)
1/C=1/C
1+1/C
2 (静電容量の合成式)
ここで、Cは静電容量、ε
0は真空の誘電率、ε
rは静電容量を形成する物質の誘電率、Sは静電容量が形成される面積、dは静電容量を形成する導電体同士の向かい合う距離である。
【0030】
図3は、
図1の基本構造において、カンチレバー部が変位して変形した例である。
図4は、
図1の基本構造において、基板がフレキシブル性を有する場合に、該基板や下部電極が曲がった状態になった例である。
【0031】
基本構造において、カンチレバー部が基板から浮いた状態であるため、
図3や
図4のように、静電容量形成部の距離dが減少したり、増加したりするので、静電容量の変化が観測できる。
【0032】
素子用基材としては、電極層が形成可能な基材であれば、特に限定はされない。具体例としては、ガラス、アルミやステンレスなどからなる金属板や金属箔、板状のプラスチックや薄膜状のプラスチックフィルム、紙等が挙げられる。またこれらの基材の表面に別の層が1層以上積層されていてもよい。また、素子用基材はフレキシブル性を有する基板でもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
本実施形態を、
図5を参照して以下説明する。本実施形態では、一軸でマトリクス化した場合を例に挙げて説明する。
【0034】
図5は、第1の実施形態で示した基本構造のカンチレバー構造体をマトリクス化したものを模式的に示す図である。
図5は、基本構造を、X方向とY方向にそれぞれ配列させてマトリクス化したものを、上からみた図である。
図5では、基板11上に、1以上の下部電極線12(Y方向)と1以上の上部電極線14(X方向)を、絶縁層13を介して形成し、下部電極線と上部電極線の交差する箇所に、カンチレバー部16を接着層兼導電性支柱層15により上部電極14に電気接続している。X方向とY方向に電極線を設ける構成は、いわゆるパッシブマトリクスと呼ばれる構成であり、タッチパネルや電子ペーパーでサブミリメートルオーダーの解像度を容易に得られることが知られている構成である。本実施形態では、上部電極線と下部電極線に電圧を印加すると、交差する各点に位置するカンチレバー部における静電容量が検出できる。得られたデータを各点の座標と照合させることで、静電容量のマトリクス化ができる。既に述べたカンチレバーの変位による静電容量の変化から、目的の事象を面状にセンシングすることが可能であり、マトリクス化されたセンサとしての動作が得られる。マトリクス化する際の各サイズは適宜設定できる。例えば、上部電極と下部電極が絶縁層を介して交差することによって形成されるマトリクス構造において、各交差点から半径10mm以内にカンチレバー部が配置されたマトリクス構造を作製することができる。
【0035】
図5のカンチレバー部は、その梁(ビームとも呼ぶ。)の方向が、全て同じ方向を向いた状態で縦横に配列しており、一軸式のセンサマトリクスの例である。
【0036】
(第3の実施形態)
本実施形態を、
図6A及び
図6Bを参照して以下説明する。本実施形態では、多軸でマトリクス化した場合を説明する。
【0037】
図6A、Bは、カンチレバー構造体をマトリクス化したものを模式的に示す図である。
図6A、Bは、第1の実施の形態の基本構造を、X方向とY方向にそれぞれ配列させてマトリクス化したものを、上部電極側からみた平面図である。
図6A、Bは、
図5と比べ、向きを変えたカンチレバーを配列に加えることにより、多軸対応させたものである。
図6A、Bでは、カンチレバー部の梁方向が複数の方向に揃って配列されている。図は、梁方向が2方向の例であり、2軸対応マトリクスの例である。
図6Aでは、基板21上に、1以上の下部電極線22(Y方向)と1以上の上部電極線24(X方向)を、絶縁層23を介して形成し、下部電極線と上部電極線の交差する箇所の近傍に、カンチレバー部26を接着層兼導電性支柱層25により上部電極線24に電気接続している。
図6A、Bに示すように、マトリクスセンサのセンシング機能を多軸化するために、上部電極線24に多軸化用突出部27を設け、梁の方向を変えたカンチレバー部を配列に加えておくことにより、多軸対応させている。
図6Aでは、X方向Y方向に向いたカンチレバー部が交互に配列しているが、配列の組み合わせ方はこの限りではない。またカンチレバー部の梁の方向のなす角度も、センサの目的に応じて適宜設計することができる。
【0038】
(第4の実施形態)
本実施形態を、
図7、8を参照して以下説明する。本実施形態は、第1の実施形態で示した基本構造の変形例である。
【0039】
カンチレバー部は、導電性を持たせるために、金属薄膜や導電性ペーストのように導電性の層を備える。また、カンチレバー部は、導電性以外の層と複合することにより機能を高めることができる。例えば、機械的強度を補強するために高強度な樹脂材料を用い、その表面に導電性を付与してもよい。
【0040】
図7及び
図8に、カンチレバー部を導電層と樹脂層で構成した場合の例を示す。
図7及び
図8のカンチレバー構造体は、基板1と、基板1上に形成された下部電極2と、下部電極2上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に形成され絶縁層3により下部電極2と絶縁される上部電極4と、上部電極4上に位置する接着層兼導電性支柱層5と、接着層兼導電性支柱層5上に固定部が位置するカンチレバー部とを備える。
【0041】
図7では、カンチレバー部は、導電層61と樹脂層62とからなる。
図7のように、カンチレバー部の下面に導電層が形成されている場合は、カンチレバー部の導電層61と接着層兼導電性支柱層5との接続は、導電接続される。
【0042】
図8では、カンチレバー部は、導電層63と樹脂層64とからなる。
図8のように、カンチレバー部の上面に導電層63が形成されている場合は、接着層兼導電性支柱層5と導電層63との電気接続のために、別部材の導電性接続部65を設けることができる。導電性接続部65は、導電層63から接着層兼導電性支柱層5までを少なくとも導電接続する構造であればよく、上部電極4まで達する構造であってもよい。
【0043】
(第5の実施形態)
本実施形態を、
図9を参照して以下説明する。本実施形態では、第1の実施形態で示した基本構造を、転写により形成する場合について述べる。
図9は、カンチレバー構造体の1個について模式的に図示したものである。本実施形態の製法は、カンチレバー構造体を複数個設けたセンサマトリクスを形成する場合にも同様であり、特に大面積化に適する。
【0044】
本実施形態における主たる製造工程は、次の工程である。
(1)第1の電極と、前記第1の電極と一部が積層され、絶縁層を介して絶縁される第2の電極とを形成する工程。
(2)転写用基材の表面の低表面エネルギー材料層上に、樹脂含有層を少なくとも有するカンチレバー部層を形成する工程。
(3)接着層兼導電性支柱層を用いて、前記カンチレバー部層を、前記転写用基材側から剥離かつ前記第2の電極側に転写する工程。
(4)転写により、カンチレバー部は、一部が、前記第2の電極に、前記接着層兼導電性支柱層により導電接続され、一部が浮遊した状態であるカンチレバー構造体を形成する工程。
【0045】
図9に図示した工程を説明する。該工程は、転写用基材71上の少なくとも低表面エネルギー材料層72の表面に、樹脂を含む導電性インク(カンチレバー部用層)73をカンチレバー構造状にパターニングする工程と、導電性インク73を硬化させる工程((a)参照)と、形成したカンチレバー構造の一端に樹脂を含む導電性インク(接着層兼導電性支柱層用)74を形成し接着性を失わない半硬化状態とする工程((b)参照)と、前工程で形成した端部の導電性インク74を接着層として利用して素子用基板の上部電極4と接続するように転写する工程((c)(d)参照)、を含む。
【0046】
転写用基材は、表面に低表面エネルギー材料を均一に積層できるものであれば特に限定はされない。具体例としては、ガラス、アルミやステンレスなどからなる金属板や金属箔、板状のプラスチックや薄膜状のプラスチックフィルム、紙、などが挙げられる。
【0047】
転写用基材を覆う低表面エネルギー材料は、転写用基材の上層のインクを後の工程で剥離しやすいものが好ましい。具体的には、ポリジメチルシロキサンおよびその誘導体と共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのように末端基をフッ素置換された樹脂材料、フッ素化オルガノポリシロキサンのように末端基をフッ素置換された表面処理剤、フッ素化オルガノシランやフッ素化アルカンチオールなどの表面修飾剤が挙げられる。
【0048】
樹脂を含むインクを用いるのは、高い凝集力を有するためであり、接着層兼導電性支柱層を介して接触する際に、一部分の接触にも関わらず非接触部分を含む層全体を転写することを可能とするためである。樹脂を含まない層を用いた場合、接着層兼導電性支柱層との接触部のみが転写され、浮遊部の形成が不可能となる。ここで、樹脂とは、乾燥又は硬化させた際に膜状になるものであれば特に限定はされない。例として挙げるならば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフッ化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、等があげられる。また、列挙したこれらの樹脂は、いずれも絶縁性(誘電性)の素材だが、導電性あるいは半導体性の樹脂であってもよい。導電性の材料としてはPEDOTおよびPEDOT/PSS、半導体性の材料としてはポリチオフェンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの樹脂材料は単独であっても、複数種類が混合されていてもよい。
【0049】
インクには、導電性の発現のためには、金、銀、銅、アルミ、ニッケル、ケイ素(シリコン)、炭化シリコン、カーボンナノチューブ、グラフェン、ITO、IZOなどを混合することができる。
【0050】
樹脂含有層を形成する工程は、樹脂を含むインクの塗布層を、乾燥又は硬化することにより、樹脂含有層を形成することができる。樹脂含有層は、例えば樹脂膜と呼ぶこともできるものであり、樹脂となる材料が溶媒によって溶解または分散されることで液体となっていたインクが、乾燥による溶媒除去によって固体となった状態をさす。この時完全に樹脂の重合反応や縮合反応が完了していなくともよい。後から重合や縮合処理(露光など)をする場合も含む。
【0051】
接着層兼導電性支柱層としては、一般的に使用されている接着性の材料で、導電性を付与したものを幅広く用いることができ、本実施形態の硬化又は乾燥されたインクと素子用の基材とを適切に接合できるものであれば、特に限定はされない。具体例としては、酢酸ビニールエマルジョンのような水溶性接着剤、ニトリルゴムなどのゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーンゴム系接着剤、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリルなどの樹脂系接着剤が挙げられる。また導電性接着剤(例:藤倉化成社 ドータイトFA−705BN)等を用いることもできる。
【0052】
転写する工程において、樹脂含有層全体が、転写用基材表面の低表面エネルギー材料の表面から剥離するのは、接着層と上部電極との間で形成される付着力が、低表面エネルギー材料と樹脂含有層との間で形成される付着力よりも大きいことによる。転写法を用いることにより、真空装置を使用せず、工程に犠牲層を用いず、効率的にカンチレバー構造体の基本構成、およびマトリクス構造が作製できる。また本実施形態の方法は、大型転写装置に適用でき、大面積化が容易である。
【0053】
変形例として図示した
図7のように、カンチレバー部が複数層で形成されていても、転写後に導電層がカンチレバー部の最下面に来る場合は、
図9と同様の製造方法が適用できる。カンチレバーが複数層で形成されていても、樹脂を含有する層が少なくとも1層、カンチレバー部層に含まれていれば、
図9と同様の転写ができる。
【0054】
また、
図8のように、導電層が上部に来る場合、接着層兼導電性支柱層を介しての電気的な接続は不可能であるが、後から導電性接続部5を設けて接着層兼導電性支柱層まで接続することにより、基板の上部電極とカンチレバー部の導電層との接続が可能である。
【0055】
(第6の実施形態)
本実施形態を、
図1、
図9を参照して以下説明する。本実施形態では、第1の実施形態で示した基本構造を、センサとして利用する場合について、実際に製造した具体例に沿って述べる。
【0056】
〈素子用基材上への下部電極線、絶縁層、上部電極線の形成〉
素子用基材として、厚さ50μmのポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)(帝人デュポン社、Q65HA)を用いた。この表面に銀をスパッタリング法にて成膜した後、フォトリソグラフィ法にて、幅3mm、厚み500nmと十分な長さを有する下部電極線を形成した。その表面に感光性を有する絶縁樹脂(日本火薬社、SU−8 3000)をスピンコート法で塗布し、露光と焼成を行い、厚み5μmの絶縁層を形成した。次いで、下部電極線と同じくスパッタリング法にて、幅3mm、厚み500nmと十分な長さを有する上部電極線を形成した。
【0057】
〈カンチレバー部の前駆体および接着層兼導電性支柱層の形成〉
転写用基材として、厚さ100μmのPENフィルムを用い、その表面に低表面エネルギー材料であるポリジメチルシロキサン(PDMS)(信越シリコーン社、KE106)を塗布、硬化させた。次いで、PDMS表面に導電性カーボンペースト(十条ケミカル社、JELCON CH−8)をスクリーン印刷し、幅、奥行きがそれぞれ1mm、7mmのカンチレバー部の前駆体(「カンチレバー部層」ともいう。)を形成し、オーブンで160℃30分加熱し、硬化させた。硬化後のカンチレバー部の前駆体の厚みを段差計(小坂研究所社、サーフコーダーET5000)で測定したところ20μmであった。次いでカンチレバー部の前駆体の端部に、接着性導電ペースト(藤倉化成社、ドータイトFA−705BN)をスクリーン印刷し、幅、奥行きがそれぞれ2.5mmの接着層兼導電性支柱層を形成し、オーブンで120℃10分加熱し、半硬化状態を形成した。半硬化状態の接着層兼導電性支柱層の厚みを段差計で測定したところ50μmであった。
【0058】
〈転写によるカンチレバー構造体の形成〉
カンチレバー部の前駆体を含む転写用基材を、接着層兼導電性支柱層が素子用基材上の上部電極線と重なり、かつカンチレバー部の前駆体が上部電極線方向と直交する状態で、ハンドローラーを用いて圧力を掛けながら接触させ剥離する連続的な動作を行い、カンチレバー部の前駆体を転写用基材から素子用基材へと転写させた。次いで、半硬化状態である接着層兼導電性支柱層を完全に硬化させるために、オーブンで160℃30分加熱した。作製された導電性のカンチレバー部は、上部電極線と幅1mm、奥行き3mmの重なり領域を形成した。
【0059】
〈カンチレバー部と上部電極線との導通評価〉
導電性のカンチレバー部と上部電極線の間の抵抗値を、テスターを用いて測定したところ、抵抗値は30Ωであり、両者が電気的に接続されていることが確認された。
【0060】
〈曲げセンサとしての評価〉
図10は、製造したカンチレバー構造体を曲げセンサとして使用した場合の、測定結果である。静電容量の測定のためにLCRメーターを用いた。まず作製したカンチレバー構造体の上部電極線と下部電極線に、LCRメーターに接続された2つのプローブをそれぞれ接続し、10Vの電圧を掛けたところ、0.85pFの静電容量が得られた。これは曲率がゼロの状態の静電容量となる。次いで、カンチレバー構造体の素子用基材であるPENフィルムを、均一な曲率を有する円筒状の曲面に固定することにより、
図4で示したように中空領域のギャップの高さを変化させ、静電容量を計測した。曲率がゼロの状態の静電容量を1と規格化すると、
図10のプロットが得られた。
図10の横軸は、円筒状の曲面の曲率で、縦軸は規格化した静電容量である。原理上、曲率が大きくなる、言い換えれば曲率半径が小さくなるにつれて、ギャップの高さが増すことから静電容量は小さくなる。
図10のプロットは、この原理通りの挙動を示していることから、各静電容量の値から曲率を検知できる曲げセンサとしての確かな動作が確認できた。
【0061】
(第7の実施形態)
本実施形態を、
図1、
図5、
図9を参照して以下説明する。本実施形態では、基本構造をマトリクスセンサの1軸アレイとして利用する場合について、実際に製造した具体例に沿って述べる。
【0062】
〈素子用基材上への下部電極線アレイ、絶縁層、上部電極線アレイの形成〉
本実施形態は、カンチレバー構造体を複数配列させたアレイを作製することを特徴とするので、カンチレバー構造体単体の構成は第6の実施形態と同様である。配列は、下部電極線を10mmピッチで上部電極線と平行な方向に10線並べ、上部電極線を下部電極線と平行な方向に10線並べることにより、上部電極線と下部電極線の交差点が100点形成される配列を形成した。
【0063】
〈カンチレバー部の前駆体のアレイおよび接着層兼導電性支柱層のアレイの形成〉
カンチレバー構造体単体の構成は、第6の実施形態と同様である。カンチレバー部の前駆体の配列は、行、列とも10mmピッチで10行10列、計100個配列させた。また接着層兼導電性支柱層も同様に配列させた。
【0064】
〈転写によるカンチレバー構造体のアレイの形成〉
カンチレバー部の前駆体のアレイを含む転写用基材を、各カンチレバー部の前駆体の接着層兼導電性支柱層が、素子用基材上の上部電極線と重なりかつカンチレバー部が直交して重なる状態で、ハンドローラーを用いて圧力を掛けながら接触させ剥離する連続的な動作を行い、各カンチレバー部の前駆体を転写用基材から素子用基材へと転写させた。次いで、第6の実施形態と同じく、半硬化状態である接着層兼導電性支柱層を完全に硬化させるために、オーブンで160℃30分加熱した。
【0065】
〈曲げセンサとしての評価〉
多点計測のために、上部電極線と下部電極線のそれぞれの端部にフレキシブル印刷回路(Flexible Printed Circuit)を接続し、LCRメーターとドライバ回路と制御用PCを介して、アレイ化された100点の計測を行った。第6の実施形態と同様にして、カンチレバー構造体アレイの素子用基材であるPENフィルムを、均一な曲率を有する円筒状の面に固定して測定した。測定結果によれば、すべての計測点において
図10と同様の結果が得られ、各点とも正確な検知を示した。
【0066】
(第8の実施形態)
本実施形態を、
図1、
図6、
図9を参照して以下説明する。本実施形態では、基本構造をマトリクスセンサの多軸アレイとして利用する場合について、実際に製造した具体例に沿って述べる。
【0067】
〈素子用基材上への下部電極線アレイ、絶縁層、上部電極線アレイの形成〉
本実施形態は、多軸による検出を特徴とするので、アレイに形成する点は、第7の実施形態と同様である。
図6Aに示すように、奇数列(右から数えて奇数列又は偶数列と呼ぶ。)は、第7の実施形態と同じく、上部電極線1線とそれに付随する10個のカンチレバー構造体から構成される。一方、偶数列は、奇数列のカンチレバー構造体単体の梁の方向と直交する方向になるように、カンチレバー部の梁の方向を配置し、それぞれの梁が平行になるように複数並べたアレイを作製した。偶数列には、角度を変えたカンチレバー部と上部電極線が重なり領域を形成するために、上部電極線には多軸化用突出部27を形成した。多軸化用突出部27の、幅B、奥行きA(
図6B参照)は、それぞれ3mm、5mmとした。多軸化用突出部は、偶数列の上部電極線において10mmピッチで10個配列されて用いられた。また、奇数列と偶数列はそれぞれ5線ずつ設けられ、第7の実施形態と同様に100点の計測点を構成した。計測点の半数が、第7の実施形態と同じ軸を有することで、同じ向きの曲げを検知できる。また、それ以外の半数が、第7の実施形態と直交する方向の軸を有することで、直交する向きの曲げを検知できる構成とした。製造方法は第6の実施形態と同様に行った。
【0068】
〈カンチレバー部の前駆体のアレイおよび接着層兼導電性支柱層のアレイの形成〉
転写される先が、奇数列に対応するものは、第7の実施形態と同様に、カンチレバー部の前駆体アレイおよび接着層兼導電性支柱層のアレイを形成した。転写される先が、偶数列に対応するものは、カンチレバー部の前駆体の長辺(梁の方向)が第7の実施形態と直交する方向に平行となる状態とし、接着層兼導電性支柱層アレイは第7の実施形態と同様に作製した。
【0069】
〈転写によるカンチレバー構造体アレイの形成〉
第7の実施形態と同様に作製した。
【0070】
〈曲げセンサとしての評価〉
作製したマトリクスセンサの多軸アレイについて、第7の実施形態と同様に、円筒状の曲面に、素子用基板を固定して測定した。その際、固定に用いた円筒構造体の軸と上部電極線アレイの奇数列の方向のカンチレバーの長辺が平行となる向きで素子用基板を固定した。測定結果は、偶数列の方向の各点からは
図10と同様に固定された円筒構造体の曲率に応じた静電容量の変化が得られ、一方、奇数列の方向の各点は固定される曲率が変わっても初期値から明確な変化を示さず、各点とも正確な検知を示した。
【0071】
(第9の実施形態)
本実施形態を、
図7を参照して以下説明する。本実施形態では、
図7のカンチレバー構造体をセンサとして利用する場合について、実際に製造した具体例に沿って述べる。素子用基材上への下部電極線、絶縁層、上部電極線の形成については、第6の実施形態と同様である。
【0072】
〈カンチレバー部の前駆体および接着層兼導電性支柱層の形成〉
転写用基材として厚さ100μmのポリイミドフィルムを用い、その表面に低表面エネルギー材料であるポリジメチルシロキサン(PDMS)(信越シリコーン社、KE106)を塗布、硬化させた。次いで、PDMS表面にポリイミドのワニス(宇部興産社、U−ワニス S301)を第6の実施形態と同様の形状でスクリーン印刷し、オーブンで300℃1時間加熱し、硬化させた。硬化後のポリイミド膜の厚みを段差計(小坂研究所社、サーフコーダーET5000)で測定したところ20μmであった。さらに、硬化させたポリイミド膜の表面に、銀ナノ粒子分散液であり樹脂を含まない導電性インク(シグマアルドリッチ社、792195)をインクジェット装置(富士フイルム社、DMP−2831)で塗布し、ポリイミドの表面を導電性の層で被覆した後、オーブンで180℃30分加熱し硬化させた。これにより絶縁性の層と導電性の層の積層からなるカンチレバー部の前駆体を得た。このカンチレバー部の前駆体の厚みは20.1μmであったことから導電性の層の厚みは100nmと見積もられた。次いで、カンチレバー部の前駆体の端部に、接着層兼導電性支柱層を第6の実施形態と同様に形成した。
【0073】
〈転写によるカンチレバー構造の形成〉
積層構造を有するカンチレバー部の前駆体を、第6の実施形態と同様にして素子用基材へ転写した。また、上部電極線表面と積層構造を有するカンチレバー部の表面の段差をレーザー共焦点顕微鏡(レーザーテック社、OPTELICS HYBRID)を用いて測定したところ、55μmであった。導電性のカンチレバー部の厚みが20.1μmであることから、上部電極線と導電性のカンチレバー部の下面との間に設けられたギャップ(中空領域)の高さは34.9μmと見積もられた。
【0074】
〈カンチレバー部と上部電極線との導通評価〉
導電性のカンチレバー部と、上部電極線の間の抵抗値を、テスターを用いて測定したところ、抵抗値は500Ωであり、両者が電気的に接続されていることが確認された。
【0075】
〈曲げセンサとしての評価〉
第6の実施形態と同様にして評価し、0.86pFの静電容量が得られた。また、第6の実施形態と同じく曲げセンサとしての動作を確認した。
【0076】
〈カンチレバー部のヤング率の評価〉
第6の実施形態では、接着層兼導電性支柱層を除くと、導電性カーボンペーストのみがカンチレバー部を形成していた。これを硬化させた膜のヤング率を、島津製作所社オートグラフAG−Xplusを用い、JIS K 7127に則り測定すると、およそ1.5GPaと見積もられた。これに対して、本実施形態で作製したカンチレバーに用いた積層構造は、同様の測定において8GPaを示し、機械的強度の向上を示した。本実施形態のように積層構造とすることにより、機械的強度をはじめとするカンチレバー構造体の物性を、適宜調整できる効果を奏する。
【0077】
(第10の実施形態)
本実施形態を、
図8を参照して以下説明する。本実施形態では、
図8のカンチレバー構造体をセンサとして利用する場合について、実際に製造した具体例に沿って述べる。素子用基材上への下部電極線、絶縁層、上部電極線の形成については、第6の実施形態と同様である。
【0078】
〈カンチレバー部の前駆体および接着層兼導電性支柱層の形成〉
転写用基材として厚さ100μmのポリイミドフィルムを用い、その表面に低表面エネルギー材料であるポリジメチルシロキサン(PDMS)(信越シリコーン社、KE106)を塗布、硬化させた。次いで、PDMS表面に、金を真空蒸着法及びメタルマスクを用いて第6の実施形態と同様の形状で成膜した。蒸着後の金の膜の厚みを、段差計(小坂研究所社、サーフコーダーET5000)で測定したところ、50nmであった。さらに、金の膜の表面に、ポリイミドのワニス(宇部興産社、U−ワニス S301)を第6の実施形態と同様の形状でスクリーン印刷し、オーブンで300℃1時間加熱し、硬化させた。これにより絶縁性の層と導電性の層の積層からなるカンチレバー部の前駆体を得た。このカンチレバー部の前駆体の厚みは20.05μmであったことから、ポリイミド膜の厚みは20μmと見積もられた。次いで、カンチレバー部の前駆体の端部に、接着層兼導電性支柱層を形成する際に、端部の外縁から0.5mm広い形状でスクリーン印刷し、第6の実施形態と同様に半硬化状態とした。
【0079】
〈転写によるカンチレバー構造の形成〉
積層構造を有するカンチレバー部の前駆体を、第6の実施形態と同様にして、素子用基材へ転写した。また、上部電極線表面と積層構造を有するカンチレバー部の表面の段差を、レーザー共焦点顕微鏡(レーザーテック社、OPTELICS HYBRID)を用いて測定したところ、55μmであった。導電性のカンチレバー部の厚みが20.05μmであることから、上部電極線と導電性のカンチレバー部の下面との間に設けられたギャップ(中空領域)の高さは、34.95μmと見積もられた。
【0080】
〈導電性接続部の形成〉
作製したカンチレバー構造体の接着層兼導電性支柱層と導電性のカンチレバー部の領域にまたがるように、銀ナノ粒子分散液であり樹脂を含まない導電性インク(シグマアルドリッチ社、792195)を、インクジェット装置(富士フイルム社、DMP−2831)で塗布し、オーブンにて160℃30分加熱し硬化させて、導電性接続部65を形成した。
【0081】
〈導電性のカンチレバー部と上部電極線との導通評価〉
導電性のカンチレバー部と上部電極線の間の抵抗値を、テスターを用いて測定したところ、抵抗値は500Ωであり、両者が電気的に接続されていることが確認された。
【0082】
〈曲げセンサとしての評価〉
第6の実施形態と同様にして評価し、0.85pFの静電容量が得られた。また、第6の実施形態と同じく、曲げセンサとしての動作を確認した。
【0083】
上述の実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。