特許第6819095号(P6819095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819095
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】清掃装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20210114BHJP
   A47L 11/24 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   A47L9/28 E
   A47L11/24
   A47L9/28 K
   A47L9/28 P
   A47L9/28 Q
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-130399(P2016-130399)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-443(P2018-443A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146709
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直正
(74)【代理人】
【識別番号】100078189
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆男
(72)【発明者】
【氏名】山村 宏明
(72)【発明者】
【氏名】長沼 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】宮越 徹
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】村越 雄
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0206177(US,A1)
【文献】 特開2000−037333(JP,A)
【文献】 特開2014−230667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/22−9/32
A47L 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら清掃する清掃装置であって、
前記清掃で除去されないで残る被清掃物がある第1領域を検出する検出部と、
前記被清掃物に関する情報を生成する生成部と、
前記被清掃物に関する情報を出力する出力部と、
を備える清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃装置において、
前記被清掃物に関する情報を報知する報知部を備える清掃装置。
【請求項3】
請求項2に記載の清掃装置において、
表示画面を備え、
前記報知部は、前記被清掃物に関する情報を前記表示画面に表示することにより報知する清掃装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の清掃装置において、
前記報知部は、光を前記第1領域に投影することにより前記被清掃物に関する情報を報知する清掃装置。
【請求項5】
請求項2からの4のいずれか一項に記載の清掃装置において、
前記報知部は、走行した領域とともに、前記被清掃物に関する情報を報知する清掃装置。
【請求項6】
請求項5に記載の清掃装置において、
前記報知部は、走行した領域に重畳して前記被清掃物に関する情報を報知する清掃装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の清掃装置において、
前記検出部は、被清掃物がない第2領域を検出し、
前記報知部は、前記第1領域および前記第2領域を異なる態様で報知する清掃装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の清掃装置において、
前記出力部は、無線通信により外部機器に前記被清掃物に関する情報を出力する清掃装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の清掃装置において、
人物が設置した物を認識する認識部を備え、
前記検出部は、前記物が設置された位置以外において、前記第1領域を検出する清掃装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の清掃装置において、
物の位置が入力される入力部を備え、
前記検出部は、前記入力部で入力された位置以外において、前記第1領域を検出する清掃装置。
【請求項11】
走行しながら清掃する清掃装置から、前記清掃で除去されないで残る被清掃物がある第1領域を示す第1情報と、前記被清掃物に関する第2情報とを受信する受信ステップと、
前記第2情報を報知する報知ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記報知ステップでは、さらに前記第1情報を報知するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記報知ステップでは、前記被清掃物ごとに異なる態様で前記第2情報を報知するプログラム。
【請求項14】
請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記報知ステップでは、前記第2情報を表示画面に表示することにより報知するプログラム。
【請求項15】
請求項11から請求項14までのいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記報知ステップでは、光を前記第1領域に投影することにより前記第2情報を報知するプログラム。
【請求項16】
請求項11からの15のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記報知ステップでは、走行した領域とともに、前記第2情報を報知するプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のプログラムにおいて、
前記報知ステップでは、前記第2情報を前記走行した領域に重畳して表示画面に表示することにより報知するプログラム。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記受信ステップでは、被清掃物がない第2領域を示す第3情報を受信し、
前記報知ステップでは、前記第1領域および前記第2領域を異なる態様で報知するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋内を自走して清掃を行うロボット装置が知られている(例えば、特許文献1)。従来のロボット装置は、走行した場所を作業の結果として端末装置に送信するが、ゴミに関する情報については送信していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−242728号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、走行しながら清掃する清掃装置は、前記清掃で除去されないで残る被清掃物がある第1領域を検出する検出部と、前記被清掃物に関する情報を生成する生成部と、前記被清掃物に関する情報を出力する出力部と、を備える。
第2の態様によると、プログラムは、走行しながら清掃する清掃装置から、前記清掃で除去されないで残る被清掃物がある第1領域を示す第1情報と、前記被清掃物に関する第2情報とを受信する受信ステップと、前記第2情報を報知する報知ステップと、をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】清掃装置を含む全体構成を説明する図である。
図2】清掃装置の構成を例示するブロック図である。
図3】プロジェクタの構成を例示するブロック図である。
図4図4(a)は部屋の見取り図を例示する図、図4(b)は物体と数値との関係を例示する図である。
図5】残留物のリストを例示する図である。
図6】清掃装置の制御部が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】プロジェクタの制御部が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図8】第2の実施の形態による清掃装置の構成を例示するブロック図である。
図9】第3の実施の形態による清掃装置の構成を例示するブロック図である。
図10】プログラムの提供を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
<全体構成>
第1の実施の形態による清掃装置について、図面を参照して説明する。図1は、清掃装置100を含む全体構成を説明する図である。清掃装置100は、自走式のロボット清掃機であり、部屋の床面を自動で清掃する。本例において、部屋の床面は四角形であり、四隅をC1〜C4で示す。部屋にはテレビ1とソファ2が載置されている。床面にはゴミ4と、水汚れ3とがある。例えば天井には、プロジェクタ200が設けられている。清掃装置100とプロジェクタ200とは、相互に無線通信が可能に構成されている。清掃装置100はプロジェクタ200に清掃に関する情報を送信し、プロジェクタ200は受信した情報に基づき、床面や壁面のスクリーン等に光300を投影して清掃に関する情報をユーザに報知する。
【0007】
本実施の形態による清掃装置100は、例えば、清掃ができていないと判断した部屋の領域を定義した位置情報をプロジェクタ200へ送信する。プロジェクタ200は、清掃装置100から受信した位置情報に基づき清掃に関する情報を投射する。プロジェクタ200は、清掃装置100が判断した清掃未の領域、すなわち位置と、清掃未の領域の残留物などをユーザに知らせることができる。以上の構成について、さらに詳細に説明する。
【0008】
<清掃装置>
図2は、清掃装置100の構成を例示するブロック図である。清掃装置100は、制御部110と、駆動部120と、検出部130と、清掃部140と、通信部150と、操作部160とを含む。
制御部110は、不図示のCPU、ROMおよびRAM等を有するコンピュータにより構成される。制御部110は、例えばROMに記憶されている制御プログラムに基づき、清掃装置100の各部を制御する。駆動部120は、制御部110からの指示に基づいて、清掃装置100を自走させる。駆動部120により、清掃装置100は床面において回転移動、並進移動を自在に行うことができる。
【0009】
制御部110は、駆動部120による自走方向と走行距離とを制御部110の記憶部110aに記憶させながら、駆動部120を制御する。制御部110は、例えば、記憶部110aに保存されている走行軌跡のデータに基づき、部屋の未走行領域へ清掃装置100を進めるように駆動部120へ指示を送り、清掃装置100の走行を制御する。
清掃装置100は、たとえば次のようにして部屋全体を清掃する。清掃装置100は、清掃開始の指令により走行を開始する。カメラ等で障害物を検出すると、障害物を回避するように進路を変更する。このようにして、部屋の床の全領域を隈なく走行し、清掃する。
【0010】
検出部130は、例えば複数のカメラ、複数の赤外線センサ等により構成されている。検出部130は、カメラの画像、あるいはセンサ出力に基づき、床面の障害物(例えば、ソファ2やテレビ1)、不図示の段差、不図示の動物、ゴミ4、水汚れ3などを検知する。検出部130で検知された物体の位置を示す情報は、制御部110の記憶部110aに記憶される。制御部110は、障害物や段差、水汚れ3を避けるように走行制御する。
【0011】
清掃部140は、例えば、回転ブラシで塵埃を内部に取り込むなどして清掃を行う。本実施の形態では、清掃部140で除去できる塵埃よりも大きな物体をゴミ4と称している。ゴミ4は清掃装置100による清掃後も部屋に残るので、後に残留物とも称する。
【0012】
通信部150は、制御部110からの指示に基づき、外部機器(例えばプロジェクタ200)との間でデータ等を送受信する。通信部150は、例えば、無線LAN、ZigBee(登録商標)、またはBluetooth(登録商標)などを利用して無線接続することができる。
【0013】
操作部160は、清掃装置100のオン/オフ、動作モードの設定変更等の清掃装置100に対する操作を受け付け、操作に応じた操作信号を制御部110へ送出する。
【0014】
<プロジェクタ>
図3は、プロジェクタ200の構成を例示するブロック図である。プロジェクタ200は、制御部210と、通信部220と、投影部230と、操作部240とを含む。
【0015】
制御部210は、不図示のCPU、ROMおよびRAM等を有するコンピュータにより構成される。制御部210は、例えばROMに記憶されている制御プログラムに基づき、プロジェクタ200の各部を制御する。
【0016】
通信部220は、制御部210からの指示に基づき、外部機器との間でデータ等を送受信する。通信部220は、清掃装置100の通信部150と同様に、無線通信によって外部機器(本例では清掃装置100)と接続することができる。
【0017】
投影部230は、制御部210からの指示に基づき、清掃状態を表す光300を部屋の壁や床等に投影する。操作部240は、プロジェクタ200のオン/オフ、動作モードの設定変更等のプロジェクタ200に対する操作を受け付け、操作に応じた操作信号を制御部210へ送出する。操作部240は、プロジェクタ200の本体と別に設けたリモコン送信機に設けられていてもよい。
【0018】
<位置情報の管理>
清掃装置100の制御部110は、記憶部110aに走行軌跡のデータを記憶する。これは、清掃装置100の位置は、清掃対象となる部屋に定義された位置座標としてデータ化される。清掃装置100の位置が記憶される時刻に同期させて検出部130で検出された検出情報も記憶部110aに記憶する。検出部130は、ソファ、テレビ、家具などの部屋に置かれた物体を撮影し、画像解析によりそれらの種類、形状、大きさなどを示すデータを記憶部110aに記憶する。検出情報に基づいて、リアルタイムに部屋の状態を把握することができる。
部屋の状態の把握は、例えば、図4(a)に例示したような見取り図の作成と等価である。すなわち、制御部110は、部屋のどこに何が存在するかを把握する。図4(a)において、検出部130によって検知された物体として、テレビ1と、ソファ2と、水汚れ3と、ゴミ4とが例示されている。また、制御部110は、走行軌跡のデータに基づき、部屋の未走行領域を把握する。本実施の形態において、四隅C1〜C4は未走行領域である。
なお、部屋の見取り図を予め作成して制御部110に登録しても良い。テレビ1とソファ2の位置は既知であり見取り図に予め登録されている。ただし、水汚れ3やゴミ4は検出部130で検出し、それらの位置、大きさを特定して登録された既存の見取り図に重ね合わせる。
【0019】
部屋の見取り図(たとえば部屋の平面図)は、床面にある水汚れ3やゴミ4の位置や大きさを特定するため、所定数のブロックに区分けされている。これらのブロックには数値が付与されている。この数値は清掃対象となる部屋に定義された位置座標と等価である。そして、制御部110は、図4(a)の各物体の位置や未走行領域を、対応するブロックに付与された数値と関連付けて管理する。図4(b)は、物体と数値との関係を例示するマップ図である。制御部110は、図4(b)に例示したように、検出部130で検知された物体(テレビ1、ソファ2、水汚れ3、ゴミ4)に限らず、未走行領域である四隅C1〜C4についても、上記数値と関連付けて記憶部110aに記憶する。
【0020】
本実施の形態では、清掃装置100が水拭き機能を具備しないので、水汚れ3を清掃対象から除外するとともに、水汚れ3を残留物として扱う。また、未走行領域は清掃部140で清掃できないので、未走行領域には残留物が存在するとみなす。制御部110は、部屋のうち残留物が存在する領域について、その位置と、残留した理由とを関連づけるリストを生成する。本実施の形態では、残留物が存在する領域と、残留物が存在するとみなした領域とが、清掃できていない領域、すなわち清掃未領域である。また、残留物が存在しない領域は、清掃できた領域、すなわち清掃済み領域である。
【0021】
<残留物の情報>
図5は、記憶部110aに記憶したデータに基づく残留物のリストを例示する図である。図5において、位置情報は、区分けされたブロックに付与された数値である。また、種別は、残留した理由を表す。種別Aは、未走行領域のために清掃できていないことを示す。種別Bは、清掃対象でないため清掃装置100によって清掃できていないことを示す。この実施の形態の清掃装置100は水拭き機能が搭載されていないので、水汚れが検出された領域は種別Bに分類される。種別Cは、清掃部140で除去可能な塵埃よりも大きいために残留していることを示す。制御部110は、検出部130で取得された画像や、その残留物の位置に基づいて、残留物の残留事由を判断する。
【0022】
なお、清掃装置100が水拭き機能を具備する場合には、水汚れ3を清掃対象に含めて、図5の残留物のリストから除外して構わない。
また、例えば清掃装置100の形状が円形状でなく、三角形状または四角形状である場合において、四隅C1〜C4が未走行領域にならない場合には、四隅C1〜C4を図5の残留物のリストから除外して構わない。
【0023】
清掃装置100の制御部110は、清掃を終了すると、上述した残留物のリスト情報(残留物情報)のデータを通信部150からプロジェクタ200へ送信する。残留物情報とは、清掃未の領域、その位置と大きさ、残留物の種類(この実施の形態では、種類はゴミ4または水汚れ3)を含む。
情報のデータを受信したプロジェクタ200の制御部210は、受信した残留物情報に含まれるデータに基づき、プロジェクション マッピング(Projection Mapping)データを作成する。制御部210は、例えば、種別Aと分類された数値1、数値10、数値71および数値80に対応する部屋の未走行領域を赤色光で照明するデータを作成する。また、種別Bと分類された数値12〜14、および数値22〜24に対応する部屋の清掃非対象領域を青色光で照明するデータを作成する。さらに、種別Cと分類された数値62および数値63に対応する部屋のゴミ残留領域を黄色光で照明するデータを作成する。
【0024】
プロジェクタ200の投影部230は、作成されたデータに基づき、部屋の各領域を赤色光、青色光、黄色光でそれぞれ照明して清掃に関する情報を報知する。この実施の形態では、可視化して報知する。以上のように色分けした光で照らすことにより、清掃装置100で清掃しきれなかった残留物が存在する領域およびその残留物が残っている理由、また、清掃非対象領域、あるいは、未走行領域を、異なる色の投射光によって視覚的にユーザに知らせることができる。
【0025】
<フローチャートの説明>
清掃装置100の制御部110が実行する処理の流れについて、図6のフローチャートを参照して説明する。制御部110は、清掃を行うごとに図6の処理を開始する。図6のステップS10において、制御部110は、清掃開始指令を受信すると、駆動部120に走行を開始させてステップS20へ進む。ステップS20において、制御部110は、走行軌跡のデータを記憶部110aに記憶しながら、次に進むべき領域、すなわち未走行領域を把握し、清掃装置100の位置情報を更新する。未走行領域の把握は、たとえば、走行軌跡のデータがない領域を把握することである。制御部110は、データ上走行軌跡がない方向、すなわち未走行領域へ清掃装置100を進めるように駆動部120の走行方向を制御する。
なお、予め清掃装置100が清掃する経路を作成しておき、計画経路に沿って清掃装置100を走行させてもよい。この場合、未走行領域には、計画経路において清掃装置100が走行していない経路を含む。
【0026】
ステップS30において、制御部110は、例えば検出部130によって清掃前と清掃後とに取得した画像に基づいて残留物を把握し、清掃情報を更新する。清掃情報は、上述した残留物情報と等価である。制御部110は、清掃情報の更新を重ねることにより、残留物情報を完成させていく。制御部110は、ステップS20およびS30の処理を行いながら、上述したように部屋の状態を把握する。
【0027】
ステップS40において、制御部110は、停止するか否か、換言すると清掃終了か否かを判定する。制御部110は、例えば四隅C1〜C4以外に未走行領域が存在する場合は、ステップS40を否定判定してステップS20へ戻り、清掃(清掃)を継続する。一方、制御部110は、未走行領域がなく、かつ除去可能な残留物が存在しない場合には、ステップS40を肯定判定してステップS50へ進む。
ステップS40が肯定されると、すなわち部屋の清掃が完了したと判定されるとステップS50に進む。ステップS50において、制御部110は、リスト情報(残留物のリスト)を作成して記憶部110aに記憶する。その後、処理はステップS60へ進む。
【0028】
リスト情報はたとえば以下のようにして作成することができる。
ステップS10で走行を開始してステップS40で走行を停止させたとき、その間の走行経路データと、検出部130の検出結果の情報(検出情報)を読み込む。走行経路データはある時刻に位置するブロックの数値であり、検出情報はその時刻に検出部130で検出された情報である。検出情報は、カメラで撮影した画像、あるいは、画像の解析結果である残留部の種別である。清掃装置100で画像解析を行わない場合、検出情報は撮影画像であり、画像が外部機器へ送信される。外部機器、たとえばプロジェクタ200が画像解析を行って残留物の種別が判断される。
【0029】
ステップS60において、制御部110は、登録機器が存在するか否かを判定する。制御部110は、登録機器(本例の場合はプロジェクタ200)が存在する場合は、ステップS60を肯定判定してステップS70へ進み、登録機器が存在しない場合には、ステップS60を否定判定して図6による処理を終了する。
【0030】
ステップS70において、制御部110は、上述したリスト情報のデータを通信部150からプロジェクタ200へ送信して図6による処理を終了する。
【0031】
プロジェクタ200の制御部210が実行する処理の流れについて、図7のフローチャートを参照して説明する。制御部210は、例えば、電源オンされると図7の処理を開始する。図7のステップS210において、制御部210は、通信部220をオンさせてステップS220へ進む。
【0032】
ステップS220において、制御部210は、清掃装置100からリスト情報を受信したか否かを判定する。制御部210は、リスト情報を受信した場合にステップS220を肯定判定してステップS230へ進み、リスト情報を受信していない場合にはステップS220を否定判定して受信を待つ。
【0033】
ステップS230において、制御部210は、受信したリスト情報に基づき投影画面を生成する。本実施の形態では、上述したようなプロジェクション マッピングデータを作成してステップS240へ進む。ステップS240において、制御部210は、生成した画面を投影部230によって投影させてステップS250へ進む。これにより、部屋の各領域に赤色光、青色光、黄色光がそれぞれ投射される。投射映像により床がリスト情報に応じた色の光で照明され、この床の照明により清掃情報が可視化されて報知される。
【0034】
ステップS250において、制御部210は、タイムアップか否かを判定する。制御部210は、所定時間(例えば1分)が経過するとステップS260へ進み、所定時間が経過前の場合はタイムアップを待つ。ステップS260において、制御部210は、投影部230による投影をオフさせて図7による処理を終了する。
【0035】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)清掃対象である部屋を走行しながら清掃する清掃装置100は、部屋のうち、ゴミ4等が残留していることが検知された第1領域(清掃できていない領域)、または、ゴミ4等が残留していることが検知されなかった第2領域(清掃できた領域)を検出する制御部110と、第1領域または第2領域に関する残留物の情報(図5)を送信する通信部150とを備える。これにより、清掃が終了していない領域が報知されるので、清掃装置100の使い勝手をよくすることができる。
【0036】
(2)通信部150は、無線通信によりプロジェクタ200に残留物の情報(図5)を送信するので、プロジェクタ200が清掃装置100から離れている場合でも、適切に送信することができる。
【0037】
(3)プロジェクタ200に搭載されるプログラムは、清掃対象である部屋を走行しながら清掃する清掃装置100から、清掃できていない第1領域、または、清掃できた第2領域に関する残留物の情報を受信する受信処理と、受信した情報に基づき第1領域を可視化する可視化処理と、を制御部210に実行させる。これにより、第1領域を視覚的にユーザに知らせることができる。
【0038】
(4)上記(3)のプログラムにおいて、残留物の情報は、第1領域ごとの残留物が残留した理由に関する情報を含むので、残留の理由もユーザに視覚的に知らせることが可能になる。
【0039】
(5)上記(3)のプログラムにおいて、可視化処理では、残留物が残留した理由ごとに異なる色の光で第1領域を可視化するので、色によって残留の理由を示すことが可能になる。
【0040】
(6)上記プログラムにおいて、可視化処理では、可視光を第1領域に投影することにより第1領域を可視化するので、第1領域を照明する光により、第1領域をユーザに知らせることができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、清掃装置100とは別の外部機器(プロジェクタ200)によって清掃に関する情報を投影することにより、清掃装置100で清掃しきれなかった残留物が存在する領域と、残留理由とを、光とその色によって視覚的にユーザに知らせた。この代わりに、清掃装置100Bに投影部170を設け、この投影部170によって視覚的にユーザに知らせるようにしてもよい。
【0042】
図8は、第2の実施の形態による清掃装置100Bの構成を例示するブロック図である。図8図2とを比較すると、図2の通信部150が省略され、図8に投影部170が追加されている点において相違する。投影部170は、制御部110からの指示に基づき、部屋の壁や床等に情報を投影する。
なお、図2の清掃装置100と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
清掃装置100Bの制御部110は、残留物の情報のデータに基づいて、プロジェクション マッピングデータを作成する。投影部170は、作成されたデータに基づき、部屋の各領域を赤色光、青色光、黄色光でそれぞれ照明して可視化する。以上のように色分けした光で照らすことにより、清掃装置100Bで清掃しきれなかった残留物が存在する領域と、残留理由とを、光とその色によって視覚的にユーザに知らせることができる。
【0044】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)清掃装置100Bは、残留物の情報(図5)に基づき第1領域を可視化する投影部170を更に備えるので、第1領域を視覚的にユーザに知らせることができる。
【0045】
(2)投影部170は、可視光を第1領域に投影することにより第1領域を可視化するので、清掃装置100Bで清掃できていない残留物が存在する領域を照明する光で、第1領域をユーザに知らせることができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態、第2の実施の形態では、プロジェクタ200または清掃装置100Bの投影部170によって、清掃できていない残留物が存在する領域を可視光で照明することにより、清掃装置100、清掃装置100Bで清掃しきれなかった残留物が存在する領域と、残留理由とを、光とその色によって視覚的にユーザに知らせた。この代わりに、清掃装置100Cに表示部180を設け、この表示部180によって視覚的にユーザに知らせるようにしてもよい。
【0047】
図9は、第3の実施の形態による清掃装置100Cの構成を例示するブロック図である。図9図2とを比較すると、図2の通信部150が省略され、図9に表示部180が追加されている点において相違する。表示部180は、例えば液晶表示ディスプレイによって構成され、制御部110からの指示に基づき、情報を表示する。
なお、図2の清掃装置100と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
清掃装置100Cの制御部110は、残留物の情報のデータに基づいて、マッピングデータを作成する。マッピングデータは、例えば、図4(a)に例示したような部屋の見取り図において、四隅C1〜C4を赤色で、水汚れ3を青色で、ゴミ4を黄色で、それぞれ表示するデータである。表示部180は、作成されたデータに基づき、部屋の各領域を赤色、青色、黄色でそれぞれ着色(色を重畳する)して可視化する。以上のように色分けして表示することにより、清掃装置100Cで清掃しきれなかった残留物が存在する領域と、残留理由とを、表示とその色によって視覚的にユーザに知らせることができる。
【0049】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。すなわち、可視化する表示部180は、清掃対象である部屋の各領域に対応するブロックを着色して表示部180の表示画面に表示するので、清掃装置100Cで清掃できていない残留物が存在する領域を、わかりやすくユーザに知らせることができる。
【0050】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(第3の実施の形態の変形例)
第3の実施の形態では、清掃装置100Cの表示部180によって表示を行うことにより、清掃装置100Cで清掃しきれなかった残留物が存在する領域と、残留理由とを、表示とその色によって視覚的にユーザに知らせた。清掃装置100Cの表示部180に表示する代わりに、例えばテレビ1や不図示のスマートフォンによって視覚的にユーザに知らせるようにしてもよい。テレビ1やスマートフォンへデータを送信するため、清掃装置100Cに不図示の通信部を設ける。通信部は、図2の通信部150と同様のものでよい。
【0051】
清掃装置100Cの制御部110は、残留物の情報のデータに基づいてマッピングデータを作成し、そのデータを、通信部を介してテレビ1またはスマートフォンへ送信する。テレビ1またはスマートフォンは、受信したデータに基づき、例えば、図4(a)に例示したような部屋の見取り図を表示するとともに、部屋の各領域を赤色、青色、黄色でそれぞれ着色して可視化する。以上のように色分けして表示することにより、清掃装置100Cで清掃しきれなかった残留物が存在する領域と、残留理由とを、表示とその色によって視覚的にユーザに知らせることができる。
【0052】
また、テレビ1またはスマートフォンで表示させる表示画面と同様の画像を、プロジェクタ200から壁に投影してもよい。プロジェクタ200は、清掃対象である部屋の各領域に対応するブロックを着色した画面を投影するので、清掃装置100Cで清掃できていない残留物が存在する領域と、残留理由とを、表示とその色によって視覚的にユーザに知らせることができる。
【0053】
(第1の実施の形態の変形例)
第1の実施の形態では、登録機器としてのプロジェクタ200へリスト情報のデータを送信したが、登録機器として、他の清掃装置(ロボット清掃機)へリスト情報のデータを送信する構成にしてもよい。他の清掃装置は、受信したデータに基づき、自ら清掃可能か否かを判断する。
【0054】
例えば、他の清掃装置が円形状でなく、三角形状または四角形状である場合には、四隅C1〜C4へ走行可能であるため、他の清掃装置は自ら清掃可能と判断して、四隅C1〜C4へ向かって走行を開始し、清掃に向かう。
【0055】
また、例えば、他の清掃装置が業務用途の大型機である場合には、清掃装置100で除去できなかったゴミ4を除去できる可能性があるので、ゴミ4の位置へ向かって走行を開始し、清掃に向かう。
【0056】
さらにまた、例えば、他の清掃装置が水拭き機能を具備する場合には、清掃装置100で処理できなかった水汚れ3を処理できるので、水汚れ3の位置へ向かって走行を開始し、清掃に向かう。
このように、他の清掃装置と連携して部屋の清掃を行う構成にしてもよい。
【0057】
上記実施の形態、または変形例の清掃装置100(100B、100C)やプロジェクタ200の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを、コンピュータシステムを経由して清掃装置100またはプロジェクタ200等に供給してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0058】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0059】
また、パーソナルコンピュータを経由する場合、上述した処理に関するプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体やインターネット等のデータ信号を通じて提供することができる。図10はその様子を示す図である。パーソナルコンピュータ950は、CD−ROM953を介してプログラムの提供を受ける。また、パーソナルコンピュータ950は通信回線951との接続機能と、清掃装置100等との接続機能とを有する。
【0060】
コンピュータ952は上記プログラムを提供するサーバーコンピュータであり、ハードディスク等の記録媒体954にプログラムを格納する。通信回線951は、インターネット、パソコン通信などの通信回線、あるいは専用通信回線などである。コンピュータ952は記録媒体954からプログラムを読み出し、通信回線951を介してプログラムをパーソナルコンピュータ950に送信する。すなわち、プログラムをデータ信号として搬送波により搬送して、通信回線951を介して送信する。このように、プログラムは、記録媒体や搬送波などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給できる。
【0061】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
本発明は次のような清掃装置も含む。
(1)走行しながら清掃する清掃装置であって、走行した領域のうち、被清掃物がある第1領域または被清掃物がない第2領域の少なくとも一方を検出する検出部と、第1領域または第2領域に関する情報を出力する出力部とを備える清掃装置。
(2)(1)のような清掃装置において、出力部から出力される上記情報に基づき第1領域または第2領域の少なくとも一方を報知する報知部を備える清掃装置。
(3)(2)のような清掃装置が表示画面を備えてもよい。報知部は、第1領域または第2領域の少なくとも一方を表示画面に表示することにより第1領域または第2領域を報知する。
(4)(2)あるいは(3)の清掃装置において、報知部は、光を第1領域または第2領域の少なくとも一方に投影することにより第1領域または第2領域を報知する清掃装置。
(5)(2)〜(4)のような清掃装置の報知部は、走行した領域を報知するともに、第1領域または第2領域の少なくとも一方を報知する。
(6)(5)のような清掃装置において、報知部は、走行した領域に重畳して第1領域または第2領域を報知する。
(7)(2)〜(6)のような清掃装置において、報知部は、第1領域および第2領域を異なる態様で報知する。
(8)(1)〜(7)のような清掃装置において、出力部は、無線通信により外部機器に情報を出力する。
(9)(1)〜(8)のような清掃装置において、人物が設置した物を認識する認識部を備え、検出部は、物が設置された位置以外において、被清掃物がある第1領域または被清掃物がない第2領域の少なくとも一方を検出する。
(10)(1)〜(9)のような清掃装置において、物の位置が入力される入力部を備え、検出部は、入力部で入力された位置以外において、被清掃物がある第1領域または被清掃物がない第2領域の少なくとも一方を検出する。
本発明は次のようなプログラムも含む。
(11)走行しながら清掃する清掃装置から、被清掃物がある第1領域または被清掃物がない第2領域に関する情報の少なくとも一方を受信する受信ステップと、情報に基づき第1領域または第2領域の少なくとも一方を報知する報知ステップと、コンピュータに実行させるプログラム。
(12)(11)のプログラムにおいて、上記情報は、第1領域にある被清掃物に関する情報を含む。
(13)(12)のプログラムにおいて、報知ステップでは、被清掃物ごとに異なる態様で第1領域を報知する。
(14)(11)〜(13)のようなプログラムにおいて、報知ステップでは、第1領域または第2領域の少なくとも一方を表示画面に表示することにより第1領域または第2領域を報知する。
(15)(11)〜(14)のようなプログラムにおいて、報知ステップでは、光を第1領域または第2領域の少なくとも一方に投影することにより第1領域または第2領域を報知する。
(16)(11)〜(15)のようなプログラムにおいて、報知ステップでは、走行した領域を報知するともに、第1領域または第2領域の少なくとも一方を報知する。
(17)(16)のプログラムにおいて、報知ステップでは、第1領域または第2領域の少なくとも一方を走行した領域に重畳して表示画面に表示することにより第1領域または第2領域を報知する。
(18)(11)〜(17)のようなプログラムにおいて、報知ステップでは、第1領域および第2領域を異なる態様で報知する。
【符号の説明】
【0062】
1…テレビ
2…ソファ
3…水汚れ
4…ゴミ
100、100B、100C…清掃装置
110、210…制御部
110a…記憶部
120…駆動部
130…検出部
140…清掃部
150…通信部
170、230…投影部
180…表示部
200…プロジェクタ
300…光
C1〜C4…四隅
図1
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