特許第6819546号(P6819546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6819546フォトマスクブランク、及びフォトマスクの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819546
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】フォトマスクブランク、及びフォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/54 20120101AFI20210114BHJP
   G03F 1/58 20120101ALI20210114BHJP
   G03F 1/80 20120101ALI20210114BHJP
【FI】
   G03F1/54
   G03F1/58
   G03F1/80
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-218156(P2017-218156)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-90877(P2019-90877A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲月 判臣
(72)【発明者】
【氏名】笹本 紘平
(72)【発明者】
【氏名】松橋 直樹
【審査官】 冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−191885(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0088774(US,A1)
【文献】 特開2012−008606(JP,A)
【文献】 特開2017−134424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00− 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が250nm以下の露光光でパターン転写が行われるフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクであって、
該フォトマスクブランクが、透明基板と、透明基板上に、直接又は光学膜を介して形成され、酸素を含む塩素系ガスを用いたドライエッチングでエッチングされるクロム含有膜とを有し、
該クロム含有膜が、単層又は多層で構成され、上記単層として又は上記多層を構成する1又は2以上の層として、炭素を含有するクロム化合物からなる層を含み、該層が、更に、酸素又は酸素及び窒素を含有し、
上記炭素を含有するクロム化合物からなる層の組成が、クロムに対する炭素の比が0.3(原子比)以上であり、クロムに対する窒素の比が0.1(原子比)以下であり、クロムの含有率が50原子%以下、かつ酸素に対する炭素の比が0.8(原子比)以上、又はクロムの含有率が60原子%以下、かつ酸素に対する炭素の比が1(原子比)以上であることを特徴とするフォトマスクブランク。
【請求項2】
上記炭素を含有するクロム化合物からなる層の酸素の含有率が20原子%以上であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
【請求項3】
上記クロム含有膜の上記透明基板から離間している側の表面において、原子間力顕微鏡による表面形状解析により任意の1μm角の範囲内で測定される、二乗平均平方根粗さ(RMS)が1nm以下であり、かつ最大高低差(Rmax)が9nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクブランク。
【請求項4】
上記クロム含有膜の膜厚が70nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
【請求項5】
上記クロム含有膜の露光光に対する光学濃度が1.5以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
【請求項6】
上記クロム含有膜が、多層で構成され、上記クロム含有膜の上記透明基板から最も離間している層として、炭素を含有しないクロム化合物からなる層を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
【請求項7】
上記炭素を含有しないクロム化合物からなる層が、窒素又は窒素及び酸素を含有し、窒素の含有率が5原子%以上であり、かつ厚さが1〜5nmであることを特徴とする請求項6記載のフォトマスクブランク。
【請求項8】
上記炭素を含有しないクロム化合物からなる層が、窒素及び酸素を含有し、クロムの含有率が50原子%以下であり、かつ窒素の含有率が40原子%以上であることを特徴とする請求項7記載のフォトマスクブランク。
【請求項9】
上記クロム含有膜が、上記光学膜を介して形成されており、上記光学膜が、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる位相シフト膜を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
【請求項10】
上記クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上であることを特徴とする請求項9記載のフォトマスクブランク。
【請求項11】
上記クロム含有膜上に、ケイ素を含有する材料からなるハードマスク膜を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項記載のフォトマスクブランクの上記クロム含有膜を、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターンニングする工程を含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光光でのパターン転写に用いられるフォトマスクの製造における素材であるフォトマスクブランク、及びそれを用いたフォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体電子素子の高速動作と低消費電力化などのために、大規模集積回路の高集積化が進んでいるが、それに伴う回路パターンの微細化において、高度の半導体微細加工技術が極めて重要な要素技術となっている。例えば、回路を構成する配線パターンの細線化技術や、セルを構成する層間の配線のためのコンタクトホールパターンの微細化技術が必須となっている。
【0003】
このような高度微細加工は、フォトマスクを用いるフォトリソグラフィ技術によりなされ、フォトマスクは、露光装置やレジスト材料と共に、微細化のために重要な技術となっている。このため、細線化された配線パターンや微細化されたコンタクトホールパターンを有するフォトマスクなどを実現する目的で、より微細、かつより正確なパターンをフォトマスクブランク上に形成するための技術開発が進められてきた。
【0004】
高精度のフォトマスクパターンをフォトマスク基板上に形成するためには、フォトマスクブランク上に形成するレジスト膜のパターンを、高精度でパターンニングすることが必要となる。半導体基板を微細加工する際のフォトリソグラフィは、縮小投影法が用いられるため、フォトマスクに形成されるパターンのサイズは、半導体基板上に形成するパターンサイズの4倍程度の大きさとされるが、このことは、フォトマスクに形成されるパターンの精度が緩和されることを意味するものではなく、同様に高い精度でフォトマスクパターンを形成することが求められる。
【0005】
また、現在では、フォトリソグラフィで半導体基板上に描画される回路パターンのサイズは、露光光の波長よりも、かなり小さなものとなってきているため、回路パターンをそのまま4倍に拡大したフォトマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用して縮小露光を行っても、露光光の干渉などの影響により、フォトマスクパターンどおりの形状にはならない。
【0006】
そこで、超解像マスクとして、いわゆる光近接効果補正(Optical Proximity effect Correction:OPC)を行うことで、転写特性を劣化させる光近接効果の補正をしたOPCマスクや、パターンを透過する露光光の位相を180°変化させて入射光の強度分布を急峻にする位相シフトマスクが用いられている。例えば、OPCマスクには、回路パターンの1/2以下のサイズのOPCパターン(ハンマヘッドやアシストバーなど)を形成したものがある。また、位相シフトマスクには、ハーフトーン位相シフトマスク、レベンソン型位相シフトマスク、クロムレス型位相シフトマスクなどがある。
【0007】
マスクパターンを形成するためには、一般に、透明基板上に遮光性膜を有するフォトマスクブランク上にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に電子線や光を照射してパターン描画を行い、フォトレジスト膜を現像してフォトレジスト膜のパターンを得る。そして、このフォトレジスト膜のパターンをエッチングマスクとして遮光性膜をパターンニングすることで、フォトマスクパターンを得る。微細なフォトマスクパターンを得るためには、以下のような理由により、フォトレジスト膜を薄膜化することが有効である。
【0008】
レジスト膜を薄くすることなくレジスト膜のパターンのみを微細化すると、遮光性膜のエッチングマスクとして機能するレジスト部のアスペクト比(レジスト膜厚とパターン幅との比)が高くなってしまう。一般に、レジスト膜のパターンのアスペクト比が高くなると、そのパターン形状が劣化しやすく、遮光性膜へのパターン転写精度が低下してしまう。また、極端な場合には、レジスト膜のパターンの一部が倒れたり、剥離を起こしてパターン抜けが生じたりする。そのため、フォトマスクパターンの微細化に伴って、遮光性膜のパターンニング用のエッチングマスクとして用いるレジスト膜の膜厚を薄くして、アスペクト比が高くなりすぎないようにする必要がある。このアスペクト比は3以下であることが望ましいとされており、例えば、幅70nmのレジスト膜のパターンを形成するためには、レジスト膜の膜厚を210nm以下とすることが望ましいことになる。
【0009】
一方、フォトマスクを用い、ArFエキシマレーザを露光光としてフォトマスクパターンを半導体ウェハ上のフォトレジスト膜などの被転写物に転写する場合のパターン幅は、細線化が進んでいる現状では、被転写物上で、30nm未満に達し、これに対応するためのフォトマスク上のパターンにあっては、100nm未満(例えば、70nm程度)にも及んでいる。
【0010】
ところで、フォトレジスト膜のパターンをエッチングマスクとしてパターンニングを行う場合の遮光性膜の材料については、多くの材料が提案されてきた。特に、クロム単体膜、又はクロムを含有し、かつ窒素、酸素及び炭素の少なくとも1つを含有するクロム化合物膜は、一般的な遮光性膜の材料として用いられている。例えば、特開2003−195479号公報(特許文献1)、特開2003−195483号公報(特許文献2)及び登録実用新案第3093632号公報(特許文献3)には、ArFエキシマレーザ露光用のフォトマスクブランクに求められる遮光特性を有する遮光性膜を、クロム化合物膜で形成したフォトマスクブランクの構成例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−195479号公報
【特許文献2】特開2003−195483号公報
【特許文献3】登録実用新案第3093632号公報
【特許文献4】特開2016−191885号公報
【特許文献5】特開2016−194626号公報
【特許文献6】特開2017−129808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
フォトマスクの遮光膜などに用いるクロム含有膜のパターン形成では、より微細なパターンを正確に形成する観点から、パターンの断面形状の制御が重要である。例えば、フォトマスクブランクが、クロム含有膜上にケイ素を含有するハードマスク膜を有する場合は、レジストから直接クロム含有膜のパターンが形成される場合と比べて、ハードマスク膜の寸法が、クロム含有膜のエッチング中にほとんど変わらないので、ハードマスク膜によるローディング効果の低減や、リニアリティの向上などにより、クロム含有膜のパターンを精密に形成できる。しかし、近年、ハーフピッチが20nm以下、更には10nm以下のフォトマスクへ世代が進んでおり、フォトマスクパターンの微細化が進むにつれて、より精密にパターンを形成する必要が生じ、例えば、数nmレベルでの寸法の精度が求められており、ハードマスク膜のパターンを用いてクロム含有膜にパターンを形成する場合にあっても、パターンの断面形状をより厳密に制御することが求められる。
【0013】
クロム含有膜のパターンの断面形状の制御において、パターン形成時のエッチングにおけるサイドエッチングの低減が重要である。また、ハードマスク膜のパターンを用いてクロム含有膜にパターンを形成する場合において、クロム含有膜のサイドエッチングは、パターンの精密性に大きな影響を及ぼす。そのため、サイドエッチングの低減は、レジスト膜のパターンからクロム含有膜に直接パターンを形成する場合のみならず、フォトマスクブランクがハードマスク膜(エッチングマスク膜)を有し、ハードマスク膜のパターンを用いてクロム含有膜にパターンを形成する場合にあっても、考慮すべき課題となる。特に、クロム含有膜が遮光膜である場合、露光光に対して遮光膜として必要な光学濃度を確保する必要があるため、一定以上の膜厚が必要となり、パターン形成時のエッチングに、より長い時間が必要となるため、サイドエッチングの低減がより重要である。
【0014】
遮光膜などに用いられるクロム化合物膜などのクロム含有膜は、一般的には、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターンニングされるが、クロム化合物膜に対するこのエッチングは、異方性の高いドライエッチングではなく、クロム含有膜がその膜厚方向にエッチングされる速度に対する、クロム含有膜の膜厚方向に直交する方向(膜面方向)にエッチングされる速度の比率が比較的高いため、クロム含有膜のサイドエッチングが生じやすい。サイドエッチングが大きいと、ドライエッチングの面内均一性が得られず、パターン寸法精度に影響を及ぼすことになる。
【0015】
また、このようなクロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、下層の膜、例えば、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる膜や、透明基板などをパターンニングすると、設計寸法と、エッチングされる膜や透明基板のパターンとの寸法乖離が大きくなるなど、パターン転写性能の悪化につながるという問題もある。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、フォトマスクパターンを形成したとき、サイドエッチングが少なく、パターンの断面形状が良好で、フォトマスクパターンを高精度で形成できるクロム含有膜を有するフォトマスクブランク、及びこのようなフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、クロム含有膜を、単層又は多層で構成し、単層として又は多層を構成する1又は2以上の層として、炭素を含有するクロム化合物からなる層を含むものとし、炭素を含有するクロム化合物からなる層を、更に、酸素又は酸素及び炭素を含有する層とし、炭素を含有するクロム化合物からなる層を所定の組成とすることで、クロム含有膜が、パターン形成時のサイドエッチングが少なく、パターンの断面形状が良好であり、微細なフォトマスクパターンが必要となる場合にあっても、フォトマスクパターンを高精度で形成できるクロム含有膜であること、更に、このようなクロム含有膜が、次世代のハーフピッチが20nm以下、更には10nm以下のフォトマスクに求められる、より微細な欠陥の検出にも対応するクロム含有膜であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0018】
従って、本発明は、以下のフォトマスクブランク、及びフォトマスクの製造方法を提供する。
1.波長が250nm以下の露光光でパターン転写が行われるフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクであって、
該フォトマスクブランクが、透明基板と、透明基板上に、直接又は光学膜を介して形成され、酸素を含む塩素系ガスを用いたドライエッチングでエッチングされるクロム含有膜とを有し、
該クロム含有膜が、単層又は多層で構成され、上記単層として又は上記多層を構成する1又は2以上の層として、炭素を含有するクロム化合物からなる層を含み、該層が、更に、酸素又は酸素及び窒素を含有し、
上記炭素を含有するクロム化合物からなる層の組成が、クロムに対する炭素の比が0.3(原子比)以上であり、クロムに対する窒素の比が0.1(原子比)以下であり、クロムの含有率が50原子%以下、かつ酸素に対する炭素の比が0.8(原子比)以上、又はクロムの含有率が60原子%以下、かつ酸素に対する炭素の比が1(原子比)以上であることを特徴とするフォトマスクブランク。
2.上記炭素を含有するクロム化合物からなる層の酸素の含有率が20原子%以上であることを特徴とする1記載のフォトマスクブランク。
3.上記クロム含有膜の上記透明基板から離間している側の表面において、原子間力顕微鏡による表面形状解析により任意の1μm角の範囲内で測定される、二乗平均平方根粗さ(RMS)が1nm以下であり、かつ最大高低差(Rmax)が9nm以下であることを特徴とする1又は2記載のフォトマスクブランク。
4.上記クロム含有膜の膜厚が70nm以下であることを特徴とする1乃至3のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
5.上記クロム含有膜の露光光に対する光学濃度が1.5以上であることを特徴とする1乃至4のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
6.上記クロム含有膜が、多層で構成され、上記クロム含有膜の上記透明基板から最も離間している層として、炭素を含有しないクロム化合物からなる層を含むことを特徴とする1乃至5のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
7.上記炭素を含有しないクロム化合物からなる層が、窒素又は窒素及び酸素を含有し、窒素の含有率が5原子%以上であり、かつ厚さが1〜5nmであることを特徴とする6記載のフォトマスクブランク。
8.上記炭素を含有しないクロム化合物からなる層が、窒素及び酸素を含有し、クロムの含有率が50原子%以下であり、かつ窒素の含有率が40原子%以上であることを特徴とする7記載のフォトマスクブランク。
9.上記クロム含有膜が、上記光学膜を介して形成されており、上記光学膜が、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる位相シフト膜を含むことを特徴とする1乃至8のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
10.上記クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上であることを特徴とする9記載のフォトマスクブランク。
11.上記クロム含有膜上に、ケイ素を含有する材料からなるハードマスク膜を含むことを特徴とする1乃至10のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
12.1乃至11のいずれかに記載のフォトマスクブランクの上記クロム含有膜を、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターンニングする工程を含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフォトマスクブランクのクロム含有膜は、ドライエッチングにおけるエッチング後の断面形状が良好であり、フォトマスクパターンへの転写性能が高い。その結果、本発明のフォトマスクブランクから、微細なフォトマスクパターンを高精度に形成したフォトマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のフォトマスクブランクの第1の態様の一例を示す断面図である。
図2】本発明のフォトマスクブランクの第2の態様の一例を示す断面図である。
図3】本発明のフォトマスクブランクの第3の態様の一例を示す断面図である。
図4】本発明のフォトマスクブランクの第4の態様の一例を示す断面図である。
図5】実施例1におけるクロム含有膜のパターンの断面のTEM像であり、200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面である。
図6】実施例2におけるクロム含有膜のパターンの断面のTEM像であり、200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面である。
図7】実施例3におけるクロム含有膜のパターンの断面のTEM像であり、200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面である。
図8】比較例1におけるクロム含有膜のパターンの断面のTEM像であり、200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面である。
図9】比較例2におけるクロム含有膜のパターンの断面のTEM像であり、200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のフォトマスクブランクは、波長が250nm以下、特に200nm以下の露光光、例えば、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)などでパターン転写が行われるフォトマスクを製造するための素材として好適に用いられ、露光光でパターン転写が行われるフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクである。
【0022】
本発明のフォトマスクブランクは、透明基板と、クロム含有膜とを含む。クロム含有膜は、透明基板上に、直接形成されていても、1又は2以上の光学膜を介して形成されていてもよい。透明基板としては、基板の種類や基板サイズに特に制限はないが、露光波長として用いる波長で透明である石英基板などが適用され、例えば、SEMI規格において規定されている、6インチ角、厚さ0.25インチの6025基板と呼ばれる透明基板が好適である。6025基板は、SI単位系を用いた場合、通常、152mm角、厚さ6.35mmの透明基板と表記される。
【0023】
クロム含有膜は、酸素を含む塩素系ドライエッチング(酸素ガスと塩素ガスとを含むエッチングガスを用いたドライエッチング)でエッチングされる材料で構成される。また、クロム含有膜は、単層又は多層で構成され、単層として又は多層を構成する1又は2以上の層として、炭素を含有するクロム化合物からなる層(以下、炭素含有クロム層と呼ぶことがある。)を含み、炭素含有クロム層は、クロム及び炭素と共に、酸素又は酸素及び窒素を含有する。炭素含有クロム層は、更に、水素、ハロゲン等の他の軽元素、アルゴンなどを含んでいてもよい。炭素を含有するクロム化合物として具体的には、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム酸化炭化窒化物(CrOCN)などが挙げられる。
【0024】
炭素含有クロム層は、クロムに対する炭素の比が0.2(原子比)以上であることが好ましく、更に、0.3(原子比)以上、特に0.4(原子比)以上、とりわけ0.5(原子比)以上であることがより好ましい。一方、炭素含有クロム層のクロムに対する炭素の比の上限は、1.5(原子比)以下、特に1.2(原子比)以下であることが好ましい。また、炭素含有クロム層は、クロムに対する窒素の比が0.1(原子比)以下であることが好ましく、窒素は実質的に含まれていないことが好ましい。炭素含有クロム層は、酸素に対する炭素の比が0.8(原子比)以上、特に1(原子比)以上、とりわけ1.1(原子比)以上であることが好ましい。一方、炭素含有クロム層の酸素に対する炭素の比の上限は、3(原子)以下、特に2(原子)以下であることが好ましい。
【0025】
炭素含有クロム層のクロムの含有率は、70原子%以下、特に60原子%以下、とりわけ50原子%以下であることが好ましく、30原子%以上、特に40原子%以上であることが好ましい。炭素含有クロム層の炭素の含有率は、15原子%以上、特に20原子%以上、とりわけ25原子%以上であることが好ましく、50原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましい。また、酸素が含まれるとエッチング速度が速くなるため好ましいが、炭素に対する酸素の量が多すぎると、サイドエッチングが大きくなる。炭素含有クロム層の酸素の含有率は、10原子%以上、特に20原子%以上、とりわけ25原子%以上であることが好ましく、60原子%以下、特に50原子%以下であることが好ましい。一方、窒素は、パターンの断面形状を整えるために有効であるが、サイドエッチングを大きくする元素であるため、炭素含有クロム層の窒素の含有率は、10原子%以下、特に5原子%以下であることが好ましい。窒素は、クロム含有膜の厚さ方向の一部又は全部に含まれるようにすることができ、特に、クロム含有膜の透明基板側の窒素含有率が高くなるように構成することが効果的である。なお、炭素含有クロム層においては、クロム、炭素、酸素及び窒素の合計の含有率が、80原子%以上、特に90原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
【0026】
特に、炭素含有クロム層のクロムの含有率が50原子%以下である場合は、酸素に対する炭素の比を0.8(原子比)以上とすることが好ましく、炭素含有クロム層のクロムの含有率が60原子%以下である場合は、酸素に対する炭素の比を1(原子比)以上とすることが好ましい。この組成は、クロムに対する炭素の比が0.3(原子比)以上であり、かつクロムに対する窒素の比が0.1(原子比)以下である場合により好適である。
【0027】
また、炭素含有クロム層の酸素の含有率が20原子%以上である場合は、酸素に対する炭素の比を1(原子比)以上とすることが好ましい。更に、炭素含有クロム層のクロムの含有率が50原子%以下である場合は、クロムに対する炭素の比を0.2(原子比)以上とすることが好ましい。
【0028】
クロム含有膜を多層で構成する場合、クロム含有膜は、その透明基板から最も離間している層として、炭素を含有しないクロム化合物からなる層(以下、炭素非含有クロム層と呼ぶことがある。)を含んでいてもよい。炭素非含有クロム層はクロム含有膜の表面の保護層として機能させることができ、炭素非含有クロム層を設けることで、洗浄耐性が向上するため好ましい。炭素非含有クロム層は、クロムと共に、酸素又は酸素及び窒素を含有する。炭素非含有クロム層は、更に、水素、ハロゲン等の他の軽元素、アルゴンなどを含んでいてもよい。炭素を含有しないクロム化合物として具体的には、クロム窒化物(CrN)、クロム酸化窒化物(CrON)などが挙げられる。
【0029】
炭素非含有クロム層のクロムの含有率は、60原子%以下、特に50原子%以下であることが好ましく、30原子%以上、特に40原子%以上であることが好ましい。一方、炭素非含有クロム層の酸素の含有率は、70原子%以下、特に60原子%以下であることが好ましい。また、炭素非含有クロム層の窒素の含有率は、5原子%以上、特に10原子%以上、とりわけ40原子%以上であることが好ましく、70原子%以下、特に60原子%以下であることが好ましい。なお、炭素非含有クロム層においては、クロム、酸素及び窒素の合計の含有率が、80原子%以上、特に90原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。炭素を含有しないクロム化合物としては、クロム窒化酸化物(CrON)がより好ましく、この場合、クロムの含有率が50原子%以下であり、かつ窒素の含有率が40原子%以上であることが好ましい。
【0030】
本発明においては、クロム含有膜の透明基板から離間している側の表面の、原子間力顕微鏡による表面形状解析により任意の1μm角の範囲内で測定される、二乗平均平方根粗さ(RMS)を1nm以下、かつ最大高低差(Rmax)を9nm以下、特に8nm以下とすることができる、このような表面形状を有するクロム含有膜は、次世代のハーフピッチが20nm以下、更には10nm以下のフォトマスクに求められる、より微細な欠陥の検出にも対応するクロム含有膜であり、欠陥検査時に感度を上げても、乱反射が起きずに検査感度の低下を起こすことのない膜であるため、有利である。このような表面形状は、クロム含有膜のパターンを形成する範囲を対象とすればよく、6025基板にあっては、クロム含有膜が形成される面(6インチ角)の中央部、具体的には、132mm×132mm角の範囲、特に142mm×142mm角の範囲を対象とすることが好ましい。
【0031】
このような表面形状を有するクロム含有膜を形成するには、上述した組成のクロム含有膜(炭素含有クロム層、炭素非含有クロム層)を、例えば、不活性ガスと反応性ガスとを用いる反応性スパッタにより、クロム含有膜を成膜し、この際、ターゲットに印加する電力と不活性ガスの流量を一定として、チャンバー内に導入する反応性ガス流量を、増加させた後減少させることにより掃引したとき、反応性ガス流量と、反応性ガス流量の掃引により測定されるスパッタ電圧値(ターゲット電圧値)又はスパッタ電流値(ターゲット電流値)とにより形成されるヒステリシス曲線(例えば、特開2016−191885号公報(特許文献4)、特開2016−194626号公報(特許文献5)、特開2017−129808号公報(特許文献6)参照)において、反応性ガス流量がヒステリシス領域の下限以下の領域をメタルモード、反応性ガス流量がヒステリシス領域の上限以上の領域を反応モード、メタルモードと反応モードの間の領域を遷移モードとしたとき、遷移モードで成膜しないこと、即ち、メタルモード又は反応モードで、クロム含有膜(炭素含有クロム層、炭素非含有クロム層)が所定の組成となるように成膜することが有効である。
【0032】
クロム含有膜の膜厚(全体の厚さ)は70nm以下、特に60nm以下であることが好ましい。特に、クロム含有膜を多層で構成する場合、クロム含有膜の膜厚(全体の厚さ)の70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上が、炭素含有クロム層であることが好ましい。一方、炭素非含有クロム層の厚さは、1nm以上で5nm以下であることが好ましい。また、クロム含有膜の露光光に対する光学濃度は1.5以上であることが好ましい。
【0033】
クロム含有膜は、いずれの機能を有する膜でもよく、例えば、遮光膜、反射防止膜、ハーフトーン位相シフト膜等の位相シフト膜などの光学膜でも、ハードマスク膜(エッチングマスク膜)、エッチングストッパ膜などの加工補助膜でもよい。また、光学膜には、フォトマスクとした後に、フォトマスク上に残して光学膜として機能させる膜であれば、ハードマスク膜やエッチングストッパ膜などとして機能する加工補助膜も含まれる。なお、エッチングストッパ膜は、通常、フォトマスクとしたときに、フォトマスクに残存する膜であるが、ハードマスク膜は、フォトマスクとしたときに、フォトマスクに残存させる膜であっても、フォトマスクから完全に除去される膜、いわゆる犠牲膜であってもよい。
【0034】
クロム含有膜が、遮光膜などの光学膜である場合や、ハードマスク膜である場合、その光学機能と共に、高解像性と高パターン転写精度とが求められるが、本発明のクロム含有膜からは、光学濃度などの光学機能を満たし、酸素を含む塩素系ドライエッチング、特に、基板にバイアス電圧を印加するドライエッチングにより、フォトマスクパターンを形成したとき、サイドエッチングが少なく、パターンの断面形状が良好なマスクパターンが形成され、厚さ方向に線幅変動の少ない優れた断面形状を有するマスクパターンを得ることができる。
【0035】
クロム含有膜が、光学膜を介して形成されている場合、光学膜は、例えば、遮光膜、反射防止膜、ハーフトーン位相シフト膜等の位相シフト膜など、いずれの機能を有する膜でもよい。また、光学膜には、フォトマスクとした後に、フォトマスク上に残して光学膜として機能させる膜であれば、ハードマスク膜(エッチングマスク膜)やエッチングストッパ膜などとして機能する加工補助膜も含まれる。光学膜としては、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる膜、例えばハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜を含むように構成することが好適である。この場合、クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上であることが好ましい。
【0036】
また、クロム含有膜上には、ケイ素を含有する材料からなる膜、例えばハードマスク膜を含むように構成することもできる。なお、エッチングストッパ膜は、通常、フォトマスクとしたときに、フォトマスクに残存する膜であるが、ハードマスク膜は、フォトマスクとしたときに、フォトマスクに残存させる膜であっても、フォトマスクから完全に除去される膜、いわゆる犠牲膜であってもよい。
【0037】
光学膜やハードマスク膜の材料は、必要とする光学特性やエッチング特性、更には、導電性等の電気特性に応じて、クロム、ジルコニウム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、鉄、ニッケル、コバルトなどの遷移金属、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属、それらの合金、それら金属又は合金の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物等の化合物などの材料が用いられる。これらの金属のなかでは、クロム、モリブデン、ケイ素が、特に好適に用いられる。
【0038】
本発明のフォトマスクブランクは、クロム含有膜が、フォトマスクに加工する過程において、化学増幅型レジスト膜などのフォトレジスト膜のマスクパターンをエッチングマスクとして、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターン形成されるフォトマスクブランクとして好適である。
【0039】
このようなフォトマスクブランクとしては、例えば、透明基板上に、直接クロム含有膜が形成されているもの(第1の態様)を挙げることができる。図1は、本発明のフォトマスクブランクの第1の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク101は、透明基板1上にクロム含有膜2が順に形成されている。このフォトマスクブランク101をフォトマスクに加工する際には、通常、クロム含有膜2の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。第1の態様のフォトマスクブランクは、例えば、バイナリマスクブランクとすることができ、その場合、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。
【0040】
第1の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが好ましい。また、第1の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜の場合、クロム含有膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は75nm以下、特に70nm以下であることが好ましく、50nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、90nm以下、特に80nm以下、とりわけ75nm以下であることが好ましく、55nm以上であることが好ましい。
【0041】
また、第1の態様のフォトマスクブランクを用いて、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、更に、透明基板をエッチングし、位相シフト部を形成して、位相シフトマスクとしてもよい。
【0042】
クロム含有膜が、フォトマスクに加工する過程において、化学増幅型レジスト等のフォトレジスト膜のマスクパターンをエッチングマスクとして、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターン形成されるフォトマスクブランクとしては、透明基板上に、1又は2以上の光学膜を介してクロム含有膜が形成されているもの(第2の態様)も好適である。このようなフォトマスクブランクは、例えば、クロム含有膜のパターンが、光学膜のエッチングにおいてハードマスクとして機能する場合、本発明のクロム含有膜から高精度のパターンが形成でき、クロム含有膜のパターンを用いた光学膜のパターンニングにおいても、高精度なパターン形成が可能となることから、特に有利である。この場合のクロム含有膜と光学膜との組み合わせには、遮光膜と、ハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜との組み合わせや、ハードマスク膜と遮光膜との組み合わせなどが挙げられる。
【0043】
図2は、本発明のフォトマスクブランクの第2の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク102は、透明基板1上に、透明基板1側から、光学膜3及びクロム含有膜2が順に積層されている。このフォトマスクブランク102をフォトマスクに加工する際には、通常、クロム含有膜2の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。第2の態様のフォトマスクブランクとしては、位相シフトマスクブランクとすることができ、その場合、光学膜を位相シフト膜、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。
【0044】
本発明のフォトマスクブランクは、クロム含有膜が、フォトマスクに加工する過程において、ハードマスク膜のマスクパターンをエッチングマスクとして、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターン形成されるフォトマスクブランクとしても好適である。このようなフォトマスクブランクとしては、クロム含有膜の透明基板から離間する側に、好ましくはクロム含有膜に接して形成されたハードマスク膜を含むもの(第3の態様、第4の態様)を挙げることができる。
【0045】
図3は、本発明のフォトマスクブランクの第3の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク103は、透明基板1上にクロム含有膜2及びハードマスク膜4が順に形成されている。このフォトマスクブランク103をフォトマスクに加工する際には、通常、ハードマスク膜の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。電子線レジスト膜のパターンをエッチングマスクとして、ハードマスク膜4をパターンニングし、次にハードマスク膜をエッチングマスクとして、クロム含有膜をパターンニングする。第3の態様のフォトマスクブランクは、例えば、バイナリマスクブランクとすることができ、その場合、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。クロム含有膜のパターン形成後、ハードマスク膜は必要に応じて一部除去しても、全部除去してもよい。
【0046】
第3の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが好ましい。また、第3の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜の場合、クロム含有膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は75nm以下、特に70nm以下であることが好ましく、50nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、90nm以下、特に80nm以下、とりわけ75nm以下であることが好ましく、55nm以上であることが好ましい。
【0047】
また、第3の態様のフォトマスクブランクを用いて、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、更に、透明基板をエッチングし、位相シフト部を形成して、位相シフトマスクとしてもよい。
【0048】
図4は、本発明のフォトマスクブランクの第4の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク104は、透明基板1上に、透明基板1側から、光学膜3、クロム含有膜2及びハードマスク膜4が順に積層されている。このフォトマスクブランク104をフォトマスクに加工する際には、通常、ハードマスク膜4の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。第4の態様のフォトマスクブランクは、位相シフトマスクブランクとすることができ、その場合、光学膜を位相シフト膜、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。
【0049】
本発明のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が、遮光膜などの光学機能を有する膜である場合、その光学機能と共に、高解像性と高パターン転写精度とが求められる。そのため、クロム含有膜は、所望の光学濃度などの光学機能を満たし、酸素を含む塩素系ドライエッチングにおいてサイドエッチングの少ない寸法精度に優れたマスクパターンを与えることができる必要がある。
【0050】
第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜がハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜である場合、位相シフト膜は、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料、又はケイ素と、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、特にモリブデンとを含有する材料で形成された位相シフト膜が好適である。このような材料としては、ケイ素単体、ケイ素と、酸素、窒素、炭素などの軽元素、特に、酸素及び窒素の一方又は双方とを含む化合物、更に、これらに遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、例えば、モリブデン、タンタル、タングステン、ジルコニウム、チタンなど、特にモリブデンを添加した化合物が好適である。特に、位相シフト膜がハーフトーン位相シフト膜である場合、ハーフトーン位相シフト膜も光学濃度を有するため、ハーフトーン位相シフト膜を用いないフォトマスクブランクと比べて、クロム含有膜の膜厚を薄くすることができる。
【0051】
また、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度は1.5以上、特に1.8以上で、2.6以下、特に2.5以下、とりわけ2.4以下であることが好ましく、クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが好ましい。クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度をこのようにすることにより、必要な遮光性が得られる。
【0052】
更に、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜の場合、クロム含有膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は60nm以下、特に50nm以下であることが好ましく、35nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、80nm以下、特に70nm以下、とりわけ65nm以下であることが好ましく、50nm以上であることが好ましい。
【0053】
一方、ハーフトーン位相シフト膜は、露光光に対する透過率が、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、特に好ましくは11%以上で、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下に設定される。ハーフトーン位相シフト膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は80nm以下、特に70nm以下であることが好ましく、50nm以上、特に60nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、110nm以下、特に100nm以下であることが好ましく、70nm以上、特に80nm以上であることが好ましい。
【0054】
第3の態様のフォトマスクブランクのように、クロム含有膜のエッチングにおけるハードマスクとしてハードマスク膜を設けることで、フォトレジスト膜を薄くすることができ、パターンの更なる微細化に対応することが可能となる。このハードマスク膜は、通常、クロム含有膜の犠牲膜として用いられ、その場合、フォトマスクを作製するプロセスの中で完全に除去されるが、ハードマスク膜は、フォトマスクを作製するプロセスの中で完全に除去せずに、その一部を残すこともできる。
【0055】
ハードマスク膜の材料としては、例えば、フッ素系ドライエッチングで速やかにエッチングされ、酸素を含む塩素系ドライエッチングではエッチング速度が極端に遅い材料、即ち、実質的にエッチングされない材料が用いられる。このような材料としては、ケイ素を含有する材料が好適であり、例えば、ケイ素単体、ケイ素と、酸素、窒素、炭素などの軽元素を含む化合物、更に、これらに、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、例えば、モリブデン、タンタル、タングステン、ジルコニウム、チタンなどを添加した化合物が好適である。
【0056】
第4の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜がハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜である場合、位相シフト膜は、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料、又はケイ素と、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、特にモリブデンとを含有する材料で形成された位相シフト膜が好適である。このような材料としては、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて例示したものと同様の材料が挙げられる。特に、位相シフト膜がハーフトーン位相シフト膜である場合、ハーフトーン位相シフト膜も光学濃度を有するため、ハーフトーン位相シフト膜を用いないフォトマスクブランクと比べて、クロム含有膜の膜厚を薄くすることができる。
【0057】
また、第4の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度、クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計、クロム含有膜の膜厚、ハーフトーン位相シフト膜の透過率、及びハーフトーン位相シフト膜の膜厚は、上述した第2の態様と同様の範囲が好適である。
【0058】
更に、第4の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜であり、ハードマスク膜が、フォトマスクを作製するプロセスの中で、完全に除去せずに、その一部を残す膜、即ち、フォトマスク上に残して光学膜として機能させる膜である場合は、露光光に対するクロム含有膜、位相シフト膜及びハードマスク膜の露光光に対する光学濃度の合計は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが特に好ましい。一方、ハードマスク膜の膜厚は3nm以上、特に5nm以上であればよく、15nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。
【0059】
第2の態様のフォトマスクブランクの場合、他の例として、フォトマスクブランクをバイナリマスクブランクとすることもでき、その場合、光学膜を遮光膜、クロム含有膜をハードマスク膜とすることが好適である。
【0060】
第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が、ハードマスク膜である場合も、その光学機能と共に、高解像性と高パターン転写精度とが求められる。そのため、クロム含有膜は、所望の光学機能を満たし、酸素を含む塩素系ドライエッチングにおいて高いエッチング速度を有し、かつ厚さ方向に線幅変動の少ない優れた断面形状を有するマスクパターンを与えることができる必要がある。
【0061】
第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜が遮光膜である場合、遮光膜は、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料、又はケイ素と、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、特にモリブデンとを含有する材料で形成された遮光膜が好適である。このような材料としては、上述した位相シフト膜の材料として例示したものと同様の材料が挙げられる。
【0062】
また、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜が遮光膜である場合、遮光膜は露光光に対する光学濃度が、通常2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下に設定されるが、遮光膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は80nm以下、特に70nm以下、とりわけ65nm以下であることが好ましく、50nm以上、特に55nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、100nm以下、特に90nm以下、とりわけ80nm以下であることが好ましく、55nm以上、特に60nm以上であることが好ましい。一方、クロム含有膜がハードマスク膜の場合、クロム含有膜の膜厚は3nm以上、特に5nm以上であればよく、20nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。
【0063】
なお、本発明のフォトマスクブランクは、クロム含有膜の透明基板から離間する側に、好ましくはクロム含有膜に接して、他の光学膜を設けたものであってもよい。この他の光学膜としては、例えば、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる遮光膜が好適である。このような遮光膜を設けた場合、クロム含有膜をエッチングストッパ膜や、ハーフトーン位相シフト膜等の位相シフト膜とすることができる。
【0064】
本発明のフォトマスクブランクのクロム含有膜、位相シフト膜、遮光膜などの光学膜、ハードマスク膜、エッチングストッパ膜などの加工補助膜は、光学特性の面内の均一性が高く、かつ欠陥が少ない膜を得ることができるスパッタリングにより成膜することが好ましい。
【0065】
クロム含有膜を成膜する場合は、例えば、ターゲットとして、クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、窒素ガス(N2)、酸素ガス(O2)、酸化窒素ガス(N2O,NO2)、炭化水素ガス(例えばCH4など)、酸化炭素ガス(CO、CO2)などの反応性ガスから所望の構成元素に応じて選択して用い、反応性ガスと共に、必要に応じて、アルゴンガス(Ar)などの希ガスを併用して、スパッタリングガスをスパッタリング真空槽(スパッタリングチャンバ)に供給し、クロム含有膜を構成するクロム化合物層の各層が、所望の組成となるように、ターゲットに印加する電力、及びスパッタリングガスの導入量を調整して成膜すればよい。
【0066】
ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる位相シフト膜や遮光膜を成膜する場合や、ケイ素を含有する材料からなるハードマスク膜を成膜する場合は、例えば、ターゲットとして、ケイ素ターゲット、遷移金属ターゲット、遷移金属ケイ素ターゲットなどから所望の構成元素に応じて選択して用い、スパッタリングガスとして、窒素ガス(N2)、酸素ガス(O2)、酸化窒素ガス(N2O,NO2)、炭化水素ガス(例えばCH4など)、酸化炭素ガス(CO、CO2)などの反応性ガスから所望の構成元素に応じて選択して用い、反応性ガスと共に、必要に応じて、アルゴンガス(Ar)などの希ガスを併用し、スパッタリングガスをスパッタリング真空槽に供給し、所望の組成となるように、ターゲットに印加する電力、及びスパッタリングガスの導入量を調整して成膜すればよい。
【0067】
本発明のフォトマスクブランクからは、常法に従ってフォトマスクを製造することができる。例えば、フォトマスクブランク上に、化学増幅型などのレジスト膜を形成し、これに電子線によりパターンを描画して、得られたレジスト膜のパターンを、最初のエッチングマスクとして、その下方のクロム含有膜、位相シフト膜、遮光膜などの光学膜、ハードマスク膜、エッチングストッパ膜などの加工補助膜や透明基板を、それらの材質に応じて、酸素を含む塩素系ドライエッチングやフッ素系ドライエッチングから選択して順次エッチングして、フォトマスクパターンを形成することにより、フォトマスクを得ることができる。本発明のフォトマスクブランクからフォトマスクを製造する場合、クロム含有膜を、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターンニングする工程が含まれる。本発明のクロム含有膜に対してドライエッチングを行い加工した場合の断面形状は、異方性が強いドライエッチングにより得られる断面形状のように、より垂直性の高い断面形状となる。なお、レジスト膜上には、有機導電性膜を設けてもよく、これにより電子線描画の際のチャージアップを抑制することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明する。
【0069】
[実施例1]
まず、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,900W、アルゴンガス流量を17sccm、窒素ガス流量を40sccmとして、6025石英基板上に、ハーフトーン位相シフト膜として、ArFエキシマレーザ光の波長である193nmでの位相差が177°、透過率が19%(光学濃度ODは0.72)である膜厚60nmのSiN膜(Si:N=47:53(原子比))をスパッタリングにより成膜した。
【0070】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてクロム金属ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス、二酸化炭素ガス及びメタンガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、二酸化炭素ガス流量を15sccm、メタンガス流量を5sccmで一定として、600秒間放電させて、ハーフトーン位相シフト膜上に、単層のCrOC層からなるクロム含有膜をスパッタリングにより成膜した。
【0071】
クロム含有膜の膜厚は57nmであり、クロム含有膜の組成をX線光電分光法(XPS)で分析した結果、Cr:O:C=47:24:29(原子比)であった。このクロム含有膜の193nmの波長での透過率は0.43%(光学濃度ODは2.37)であり、ハーフトーン位相シフト膜とクロム含有膜との合計の光学濃度ODは3.09である。なお、上記と同様の方法で成膜したクロム含有膜について、その表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)により、測定したところ、二乗平均平方根粗さ(RMS)が0.63nm、1μm角の範囲での最大高低差(Rmax)が4.7nmと良好で、欠陥検査時に感度を上げても、乱反射が起きずに検査感度の低下を起こすことのない膜であることが確認された。
【0072】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を15sccm、酸素ガス流量を40sccmとして、クロム含有膜上に、ハードマスク膜として、膜厚10nmのSiO2膜をスパッタリングにより成膜して、透明基板上に、光学膜、クロム含有膜及びハードマスク膜を順に形成した第4の態様のフォトマスクブランク(ハーフトーン位相シフトマスクブランク)を得た。
【0073】
得られたフォトマスクブランクに対して、以下のようにパターンニングを行い、フォトマスクを作製した。まず、ハードマスク膜上に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、線幅200nmのレジスト膜のパターンを形成し、レジスト膜のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜をエッチングして、ハードマスク膜のパターンを形成した。
【0074】
次に、ハードマスク膜のパターン上に残ったレジスト膜のパターンを、硫酸過水洗浄で除去した後、ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜をエッチングして、クロム含有膜のパターンを形成した。上記と同様の方法で形成したクロム含有膜のパターンについて、TEMによる断面観察を実施した。200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面観察像を図5に示す。その結果、ハードマスク膜のパターンとほぼ同じ幅で、クロム含有膜のパターンが形成されており、サイドエッチングが抑制されており、垂直性の高い断面形状が得られていることが確認された。
【0075】
次に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターン上のハードマスク膜のパターンを除去すると同時に、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、ハーフトーン位相シフト膜をエッチングして、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを形成した。
【0076】
次に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、クロム含有膜のパターンを除去する部分が露出するようにレジスト膜のパターンを形成し、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターンの所定の部分を除去して、フォトマスク(ハーフトーン位相シフトマスク)を得た。
【0077】
得られたフォトマスクのハーフトーン位相シフト膜のパターンの線幅を評価したところ、ハーフトーン位相シフト膜の線幅は200nmに形成されており、寸法精度が良好であった。
【0078】
[実施例2]
まず、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,900W、アルゴンガス流量を17sccm、窒素ガス流量を40sccmとして、6025石英基板上に、ハーフトーン位相シフト膜として、ArFエキシマレーザ光の波長である193nmでの位相差が177°、透過率が19%(光学濃度ODは0.72)である膜厚60nmのSiN膜(Si:N=47:53(原子比))をスパッタリングにより成膜した。
【0079】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてクロム金属ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス、二酸化炭素ガス及びメタンガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、二酸化炭素ガス流量を15sccm、メタンガス流量を5sccmで一定として、550秒間放電させて、厚さ52nmのCrOC層を形成し、CrOC層の形成から連続して、アルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、窒素ガス流量を27sccm、酸素ガス流量を15sccmで一定として、62秒間放電させて、厚さ5nmのCrON層を形成して、ハーフトーン位相シフト膜上に、
CrOC層とCrON層の2層からなるクロム含有膜をスパッタリングにより成膜した。
【0080】
クロム含有膜全体の膜厚は57nmであり、クロム含有膜の組成をX線光電分光法(XPS)で分析した結果、CrOC層はCr:O:C=47:24:29(原子比)、CrON層はCr:O:N=41:49:10(原子比)であった。このクロム含有膜の193nmの波長での透過率は0.46%(光学濃度ODは2.34)であり、ハーフトーン位相シフト膜とクロム含有膜との合計の光学濃度ODは3.06である。なお、上記と同様の方法で成膜したクロム含有膜について、その表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)により、測定したところ、二乗平均平方根粗さ(RMS)が0.50nm、1μm角の範囲での最大高低差(Rmax)が4.3nmと良好で、欠陥検査時に感度を上げても、乱反射が起きずに検査感度の低下を起こすことのない膜であることが確認された。
【0081】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を15sccm、酸素ガス流量を40sccmとして、クロム含有膜上に、ハードマスク膜として、膜厚10nmのSiO2膜をスパッタリングにより成膜して、透明基板上に、光学膜、クロム含有膜及びハードマスク膜を順に形成した第4の態様のフォトマスクブランク(ハーフトーン位相シフトマスクブランク)を得た。
【0082】
得られたフォトマスクブランクに対して、以下のようにパターンニングを行い、フォトマスクを作製した。まず、ハードマスク膜上に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、線幅200nmのレジスト膜のパターンを形成し、レジスト膜のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜をエッチングして、ハードマスク膜のパターンを形成した。
【0083】
次に、ハードマスク膜のパターン上に残ったレジスト膜のパターンを、硫酸過水洗浄で除去した後、ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜をエッチングして、クロム含有膜のパターンを形成した。上記と同様の方法で形成したクロム含有膜のパターンについて、TEMによる断面観察を実施した。200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面観察像を図6に示す。その結果、ハードマスク膜のパターンとほぼ同じ幅で、クロム含有膜のパターンが形成されており、サイドエッチングが抑制されており、垂直性の高い断面形状が得られていることが確認された。
【0084】
次に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターン上のハードマスク膜のパターンを除去すると同時に、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、ハーフトーン位相シフト膜をエッチングして、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを形成した。
【0085】
次に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、クロム含有膜のパターンを除去する部分が露出するようにレジスト膜のパターンを形成し、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターンの所定の部分を除去して、フォトマスク(ハーフトーン位相シフトマスク)を得た。
【0086】
得られたフォトマスクのハーフトーン位相シフト膜のパターンの線幅を評価したところ、ハーフトーン位相シフト膜の線幅は200nmに形成されており、寸法精度が良好であった。
【0087】
[実施例3]
まず、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,900W、アルゴンガス流量を17sccm、窒素ガス流量を40sccmとして、6025石英基板上に、ハーフトーン位相シフト膜として、ArFエキシマレーザ光の波長である193nmでの位相差が177°、透過率が19%(光学濃度ODは0.72)である膜厚60nmのSiN膜(Si:N=47:53(原子比))をスパッタリングにより成膜した。
【0088】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてクロム金属ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス、二酸化炭素ガス及びメタンガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、二酸化炭素ガス流量を15sccm、メタンガス流量を5sccmで一定として、594秒間放電させて、厚さ56nmのCrOC層を形成し、CrOC層の形成から連続して、アルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、窒素ガス流量を27sccm、酸素ガス流量を15sccmで一定として、22秒間放電させて、厚さ2nmのCrON層を形成して、ハーフトーン位相シフト膜上に、
CrOC層とCrON層の2層からなるクロム含有膜をスパッタリングにより成膜した。
【0089】
クロム含有膜全体の膜厚は58nmであり、クロム含有膜の組成をX線光電分光法(XPS)で分析した結果、CrOC層はCr:O:C=47:24:29(原子比)、CrON層はCr:O:N=41:49:10(原子比)であった。このクロム含有膜の193nmの波長での透過率は0.42%(光学濃度ODは2.38)であり、ハーフトーン位相シフト膜とクロム含有膜との合計の光学濃度ODは3.10である。なお、上記と同様の方法で成膜したクロム含有膜について、その表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)により、測定したところ、二乗平均平方根粗さ(RMS)が0.46nm、1μm角の範囲での最大高低差(Rmax)が4.1nmと良好で、欠陥検査時に感度を上げても、乱反射が起きずに検査感度の低下を起こすことのない膜であることが確認された。
【0090】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を15sccm、酸素ガス流量を40sccmとして、クロム含有膜上に、ハードマスク膜として、膜厚10nmのSiO2膜をスパッタリングにより成膜して、透明基板上に、光学膜、クロム含有膜及びハードマスク膜を順に形成した第4の態様のフォトマスクブランク(ハーフトーン位相シフトマスクブランク)を得た。
【0091】
得られたフォトマスクブランクに対して、以下のようにパターンニングを行い、フォトマスクを作製した。まず、ハードマスク膜上に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、線幅200nmのレジスト膜のパターンを形成し、レジスト膜のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜をエッチングして、ハードマスク膜のパターンを形成した。
【0092】
次に、ハードマスク膜のパターン上に残ったレジスト膜のパターンを、硫酸過水洗浄で除去した後、ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜をエッチングして、クロム含有膜のパターンを形成した。上記と同様の方法で形成したクロム含有膜のパターンについて、TEMによる断面観察を実施した。200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面観察像を図7に示す。その結果、ハードマスク膜のパターンとほぼ同じ幅で、クロム含有膜のパターンが形成されており、サイドエッチングが抑制されており、垂直性の高い断面形状が得られていることが確認された。
【0093】
次に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターン上のハードマスク膜のパターンを除去すると同時に、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、ハーフトーン位相シフト膜をエッチングして、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを形成した。
【0094】
次に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、クロム含有膜のパターンを除去する部分が露出するようにレジスト膜のパターンを形成し、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターンの所定の部分を除去して、フォトマスク(ハーフトーン位相シフトマスク)を得た。
【0095】
得られたフォトマスクのハーフトーン位相シフト膜のパターンの線幅を評価したところ、ハーフトーン位相シフト膜の線幅は200nmに形成されており、寸法精度が良好であった。
【0096】
[比較例1]
まず、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,900W、アルゴンガス流量を17sccm、窒素ガス流量を40sccmとして、6025石英基板上に、ハーフトーン位相シフト膜として、ArFエキシマレーザ光の波長である193nmでの位相差が177°、透過率が19%(光学濃度ODは0.72)である膜厚60nmのSiN膜(Si:N=47:53(原子比))をスパッタリングにより成膜した。
【0097】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてクロム金属ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び二酸化炭素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、二酸化炭素ガス流量を20sccmで一定として、400秒間放電させて、ハーフトーン位相シフト膜上に、単層のCrOC層からなるクロム含有膜をスパッタリングにより成膜した。
【0098】
クロム含有膜の膜厚は49nmであり、クロム含有膜の組成をX線光電分光法(XPS)で分析した結果、Cr:O:C=57:22:21(原子比)であった。このクロム含有膜の193nmの波長での透過率は0.41%(光学濃度ODは2.39)であり、ハーフトーン位相シフト膜とクロム含有膜との合計の光学濃度ODは3.11である。なお、上記と同様の方法で成膜したクロム含有膜について、その表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)により、測定したところ、二乗平均平方根粗さ(RMS)が1.29nm、1μm角の範囲での最大高低差(Rmax)が9.22nmで、欠陥検査時に感度を上げようとすると、表面の荒れにより乱反射が発生してしまうため、検査感度を上げることができない膜であることが確認された。
【0099】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を15sccm、酸素ガス流量を40sccmとして、クロム含有膜上に、ハードマスク膜として、膜厚10nmのSiO2膜をスパッタリングにより成膜して、透明基板上に、光学膜、クロム含有膜及びハードマスク膜を順に形成した第4の態様のフォトマスクブランク(ハーフトーン位相シフトマスクブランク)を得た。
【0100】
得られたフォトマスクブランクに対して、以下のようにパターンニングを行い、フォトマスクを作製した。まず、ハードマスク膜上に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、線幅200nmのレジスト膜のパターンを形成し、レジスト膜のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜をエッチングして、ハードマスク膜のパターンを形成した。
【0101】
次に、ハードマスク膜のパターン上に残ったレジスト膜のパターンを、硫酸過水洗浄で除去した後、ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜をエッチングして、クロム含有膜のパターンを形成した。上記と同様の方法で形成したクロム含有膜のパターンについて、TEMによる断面観察を実施した。200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面観察像を図8に示す。その結果、ハードマスク膜のパターンの幅より細く、クロム含有膜のパターンが形成されており、特に、ハードマスク膜側でパターンの幅が狭く、透明基板側に向かって、パターンの幅が広がるテーパー形状であることが確認された。また、透明基板側のクロム含有膜のパターンの幅は、ほぼハードマスク膜のパターン幅と同じであった。更に、クロム含有膜の表面が凸状になっている部分があり、表面が荒れていることも観察された。
【0102】
次に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターン上のハードマスク膜のパターンを除去すると同時に、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、ハーフトーン位相シフト膜をエッチングして、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを形成した。
【0103】
次に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、クロム含有膜のパターンを除去する部分が露出するようにレジスト膜のパターンを形成し、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターンの所定の部分を除去して、フォトマスク(ハーフトーン位相シフトマスク)を得た。
【0104】
得られたフォトマスクのハーフトーン位相シフト膜のパターンの線幅を評価したところ、ハーフトーン位相シフト膜の線幅は200nmに形成されており、寸法精度は良好であった。しかし、表面の荒れが欠陥検査感度を落としてしまうため、このフォトマスクブランクは、先端向けフォトマスクブランクとしては適さないものであった。
【0105】
[比較例2]
まず、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,900W、アルゴンガス流量を17sccm、窒素ガス流量を40sccmとして、6025石英基板上に、ハーフトーン位相シフト膜として、ArFエキシマレーザ光の波長である193nmでの位相差が177°、透過率が19%(光学濃度ODは0.72)である膜厚60nmのSiN膜(Si:N=47:53(原子比))をスパッタリングにより成膜した。
【0106】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてクロム金属ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス、二酸化炭素ガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を10sccm、二酸化炭素ガス流量を5sccm、酸素ガス流量を15sccmで一定として、262秒間放電させて、ハーフトーン位相シフト膜上に、単層のCrOC層からなるクロム含有膜をスパッタリングにより成膜した。
【0107】
クロム含有膜の膜厚は49nmであり、クロム含有膜の組成をX線光電分光法(XPS)で分析した結果、Cr:O:C=62:30:8(原子比)であった。このクロム含有膜の193nmの波長での透過率は0.43%(光学濃度ODは2.37)であり、ハーフトーン位相シフト膜とクロム含有膜との合計の光学濃度ODは3.09である。なお、上記と同様の方法で成膜したクロム含有膜について、その表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)により、測定したところ、二乗平均平方根粗さ(RMS)が0.36nm、1μm角の範囲での最大高低差(Rmax)が7.86nmと良好で、欠陥検査時に感度を上げても、乱反射が起きずに検査感度の低下を起こすことのない膜であることが確認された。
【0108】
次に、DCスパッタリング装置にて、ターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタリングガスとして、アルゴンガス及び酸素ガスを用い、ターゲットの放電電力を1,000W、アルゴンガス流量を15sccm、酸素ガス流量を40sccmとして、クロム含有膜上に、ハードマスク膜として、膜厚10nmのSiO2膜をスパッタリングにより成膜して、透明基板上に、光学膜、クロム含有膜及びハードマスク膜を順に形成した第4の態様のフォトマスクブランク(ハーフトーン位相シフトマスクブランク)を得た。
【0109】
得られたフォトマスクブランクに対して、以下のようにパターンニングを行い、フォトマスクを作製した。まず、ハードマスク膜上に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、線幅200nmのレジスト膜のパターンを形成し、レジスト膜のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜をエッチングして、ハードマスク膜のパターンを形成した。
【0110】
次に、ハードマスク膜のパターン上に残ったレジスト膜のパターンを、硫酸過水洗浄で除去した後、ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜をエッチングして、クロム含有膜のパターンを形成した。上記と同様の方法で形成したクロム含有膜のパターンについて、TEMによる断面観察を実施した。200nmラインアンドスペース(L&S)パターンの断面観察像を図9に示す。その結果、ハードマスク膜のパターンの幅より細く、クロム含有膜のパターンが形成されており、特に、ハードマスク膜側でパターンの幅が狭く、透明基板側に向かって、パターンの幅が広がるテーパー形状で、かつクロム含有膜のサイドエッチングが大きいことが確認された。
【0111】
次に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターン上のハードマスク膜のパターンを除去すると同時に、クロム含有膜のパターンをエッチングマスクとして、ハーフトーン位相シフト膜をエッチングして、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを形成した。
【0112】
次に、電子線用化学増幅型ネガ型フォトレジストを塗布し、電子線描画、現像を行って、クロム含有膜のパターンを除去する部分が露出するようにレジスト膜のパターンを形成し、塩素ガスと酸素ガスを用いたドライエッチングにより、クロム含有膜のパターンの所定の部分を除去して、フォトマスク(ハーフトーン位相シフトマスク)を得た。
【0113】
得られたフォトマスクのハーフトーン位相シフト膜のパターンの線幅を評価したところ、ハーフトーン位相シフト膜の線幅は200nmからずれており、寸法精度が劣っていた。
【0114】
以上、実施例により本発明について説明したが、上記実施例は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。この実施例を種々変形することは、本発明の範囲内にあり、更に、本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは、上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0115】
1 透明基板
2 クロム含有膜
3 光学膜
4 ハードマスク膜
101、102、103、104 フォトマスクブランク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9