(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
−−−第1の実施の形態−−−
図1〜3を参照して、基板、撮像ユニットおよび撮像装置の第1の実施の形態を説明する。
図1は、撮像装置の一例であるカメラ10の模式断面図である。カメラ10は、レンズユニット20およびカメラボディ30を備える。カメラボディ30には、レンズユニット20が装着される。レンズユニット20は、その鏡筒内に、光軸22に沿って配列された光学系を備え、入射する被写体光束をカメラボディ30の撮像ユニット40へ導く。
【0007】
本実施形態において、光軸22に沿う方向をz軸方向と定める。すなわち、撮像ユニット40が有する撮像チップ100へ被写体光束が入射する方向をz軸方向と定める。具体的には、被写体光束が入射する方向をz軸マイナス方向と定め、その反対方向をz軸プラス方向と定める。撮像チップ100の長手方向をx軸方向と定める。撮像チップ100の短手方向をy軸方向と定める。具体的には、x軸方向およびy軸方向は、
図1に図示した方向に定められる。x軸、y軸、z軸は右手系の直交座標系である。なお、説明の都合上、z軸プラス方向を前方、前側等と呼ぶ場合がある。また、z軸マイナス方向を後方、後側、等と呼ぶ場合がある。z軸マイナス方向の側を背面側等と呼ぶ場合がある。
【0008】
カメラボディ30は、レンズマウント24に結合されるボディマウント26よりz軸マイナス方向の位置に、ミラーユニット31を有する。ミラーユニット31は、メインミラー32およびサブミラー33を含む。メインミラー32は、レンズユニット20が射出した被写体光束の光路中に進入した進入位置と、被写体光束の光路から退避した退避位置との間で回転可能に軸支される。サブミラー33は、メインミラー32に対して回転可能に軸支される。サブミラー33は、メインミラー32とともに進入位置に進入し、メインミラー32とともに退避位置に退避する。このように、ミラーユニット31は、被写体光束の光路中に進入した進入状態と、被写体光束から退避した退避状態とをとる。
【0009】
ミラーユニット31が進入状態にある場合、メインミラー32に入射した被写体光束の一部は、メインミラー32に反射されてピント板80に導かれる。ピント板80は、撮像ユニット40が有する撮像チップ100の撮像面と共役な位置に配されて、レンズユニット20の光学系が形成した被写体像を可視化する。ピント板80に形成された被写体像は、ペンタプリズム82およびファインダ光学系84を通じてファインダ窓86から観察される。
【0010】
ミラーユニット31が進入状態にある場合、メインミラー32に入射した被写体光束のうちメインミラー32で反射した被写体光束以外の光束は、サブミラー33に入射する。具体的には、メインミラー32はハーフミラー領域を有し、メインミラー32のハーフミラー領域を透過した被写体光束がサブミラー33に入射する。サブミラー33は、ハーフミラー領域から入射した光束を、結像光学系70に向かって反射する。結像光学系70は、入射光束を、焦点位置を検出するための焦点検出センサ72に導く。焦点検出センサ72は、焦点位置の検出結果をMPU51へ出力する。
【0011】
ピント板80、ペンタプリズム82、メインミラー32、サブミラー33およびファインダ光学系84は、支持部材としてのミラーボックス60に支持される。ミラーユニット31が退避状態にあり、シャッタユニット38の先幕および後幕が開状態となれば、レンズユニット20を透過する被写体光束は、撮像チップ100の撮像面に到達する。
【0012】
撮像ユニット40のz軸マイナス方向の位置には、基板62および表示部88が順次配置される。表示部88としては、たとえば液晶パネル等を適用できる。表示部88の表示面は、カメラボディ30の背面に現れる。表示部88は、撮像チップ100からの出力信号から生成される画像を表示する。
【0013】
基板62には、MPU51、ASIC52等の電子回路が実装される。MPU51は、カメラ10の全体の制御を担う。撮像チップ100からの出力信号は、フレキシブルプリント基板等を介してASIC52へ出力される。ASIC52は、撮像チップ100から出力された出力信号を処理する。
【0014】
ASIC52は、撮像チップ100からの出力信号に基づいて、表示用の画像データを生成する。表示部88は、ASIC52が生成した表示用の画像データに基づいて画像を表示する。ASIC52は、撮像チップ100からの出力信号に基づいて、記録用の画像データを生成する。ASIC52は、撮像チップの出力信号に対してたとえば画像処理や圧縮処理を施すことで記録用の画像データを生成する。ASIC52が生成した記録用の画像データは、カメラボディ30に装着された記録媒体に記録される。記録媒体は、カメラボディ30に着脱可能に構成されている。
【0015】
図2は、撮像ユニット40のXZ平面と平行な断面を模式的に示す断面図である。撮像ユニット40は、撮像チップ100と、実装基板120と、フレーム140と、カバーガラス160とを含んで構成される。
【0016】
撮像チップ100は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサである。撮像チップ100は、撮像領域101と周辺領域102とを含んで構成される。撮像領域101は、撮像チップ100の中央部分に形成される。撮像チップ100の撮像領域101には、被写体光を光電変換する複数の光電変換素子で撮像面が形成されている。撮像チップ100の周辺領域102は、撮像領域101の周辺に位置する。撮像チップ100の周辺領域102には、光電変換素子における光電変換によって得られた画素信号を読み出して信号処理を行う処理回路を有する。処理回路は、出力された画素信号をデジタル信号に変換するAD変換回路を含む。
【0017】
撮像チップ100は、実装基板120に実装される。撮像チップ100は、実装基板120にたとえばフリップチップ実装で実装される。撮像チップ100は、ボンディングワイヤ110を介して実装基板120と電気的に接続される。撮像チップ100のAD変換回路でデジタル信号に変換された画素信号は、ボンディングワイヤ110を介して実装基板120に出力される。撮像チップ100は、実装基板120に接着剤で接着される。撮像チップ100は、フレーム140の開口部138に収容されている。フレーム140は、撮像チップ100を環囲する環囲部材の一例である。
【0018】
実装基板120は、撮像チップ100を実装する。実装基板120は、絶縁層203と、配線層204と、絶縁層205と、配線層214と、絶縁層213と、配線層212と、ソルダレジスト層211とを含む。実装基板120は、配線層と絶縁層とが積層された多層基板である。なお、実装基板120の強度向上のために、実装基板120に金属や樹脂で形成された芯層を設けてもよい。すなわち、実装基板120は、金属や樹脂で形成された芯層をコア層として有する多層コア基板であってもよい。
【0019】
実装基板120において、光軸22に沿って、撮像チップ100、絶縁層203、配線層204、絶縁層205、配線層214、絶縁層213、配線層212、ソルダレジスト層211の順で配されている。
【0020】
絶縁層203、絶縁層205、および絶縁層213は、たとえば樹脂層である。絶縁層203、絶縁層205、および絶縁層213それぞれの厚みは、たとえば10μm〜1000μmである。なお、厚みとは、z軸方向における長さである。
【0021】
配線層204、配線層214および配線層212は、配線パターンを含む。配線層204、配線層214および配線層212の材料として、ニッケルと鉄の合金(たとえば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウム等を用いることができる。配線層204、配線層214および配線層212が有する配線パターンそれぞれの厚みは、たとえば10μmから50μm程度である。
実装基板120の厚みは、全体として0.3mmから1.5mm程度であってよい。
【0022】
配線層204に含まれる配線パターンおよび配線層214に含まれる配線パターンは、たとえば、グランドライン、電源ライン等に使用できる。
【0023】
ソルダレジスト層211上には、電子部品180が設けられる。すなわち、電子部品180は、実装基板120において撮像チップ100が実装された第1主面111とは反対側の第2主面112に実装される。電子部品180は、たとえばコネクタ、キャパシタ、抵抗、レギュレータ、トランジスタ等を含む。
【0024】
電子部品180の一部としてのコネクタは、たとえばフレキシブル基板が接続される。電子部品180の一部としてのコネクタは、配線層212に接続され、配線層212に伝送された画素信号は、コネクタおよびフレキシブル基板を介して、ASIC52等の外部の電子回路へ伝送される。
【0025】
電子部品180と配線層212とは、リード部材によって電気的に接続される。電子部品180のリード部材は、配線層212にはんだ等で固定されている。配線層212の一部は、ソルダレジスト層211に形成された開口から外部に露出して、ランド等の電極を提供する。
【0026】
撮像チップ100は、実装基板120にCOB(Chip On Board)実装されている。撮像チップ100は、実装基板120にたとえば接着剤で接着されることで実装されている。
【0027】
フレーム140は、実装基板120の上面、すなわちz軸プラス方向の面である第1主面111に接着部220で接着される。接着部220は、たとえば接着剤により形成される。フレーム140は、金属部141と樹脂部144とを含む。金属部141は、開口部138の一部を構成する略矩形形状の開口142を有する。金属部141は、周縁部分にz軸方向に貫通する複数の取付穴143が設けられている。取付穴143は、撮像ユニット40をミラーボックス60等の他の構造体に取り付けるために利用される。
樹脂部144は、開口部138の他の一部を構成する略矩形形状の開口145を有する。樹脂部144は、金属部141の上部、すなわち金属部141のz軸プラス方向に配置される。樹脂部144は、金属部141の上部に接着部230で接着される。接着部230は、たとえば接着剤により形成される。
【0028】
フレーム140は、取付穴143を介して、たとえばビス止めされることで、不図示のブラケットに固定される。ブラケットは、たとえばビス止めされることで
図1のミラーボックス60に固定される。よって、撮像ユニット40は、ミラーボックス60に固定される。
【0029】
取付穴143を用いてフレーム140とブラケットとをたとえば金属のビスでビス止めした場合、撮像チップ100が動作している場合に生じた熱を、ビスを介してミラーボックス60の方へ熱を逃がすための伝熱経路を形成することができる。
【0030】
なお、フレーム140および不図示のブラケットは、ミラーボックス60以外の他の構造体に対して固定されてよい。
【0031】
なお、撮像ユニット40は、ブラケットを介さずにミラーボックス60に固定されてもよい。撮像ユニット40は、取付穴143を介してたとえばビス止めされることで、ミラーボックス60に固定されてよい。
【0032】
カバーガラス160は、撮像チップ100を封止するために用いられる。カバーガラス160は、フレーム140の開口部138を覆うようにフレーム140に固定される。カバーガラス160は、フレーム140および実装基板120とともに開口部138を密封空間とする。
【0033】
カバーガラス160は、接着部240によりフレーム140の樹脂部144と接着される。接着部240は、接着剤により形成される。カバーガラス160の材料として、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、無アルカリガラス、耐熱ガラス等の透明材料を用いることができる。カバーガラス160の厚みは、たとえば0.5mmから0.8mmである。
【0034】
カバーガラス160は、撮像チップ100、ボンディングワイヤ110およびフレーム140が実装基板120に実装された後に、フレーム140に接着剤240により固定される。なお、カバーガラス160は、透明部材の一例である。透明部材としては、ガラスの他に水晶等を適用できる。
【0035】
このように、実装基板120とフレーム140とカバーガラス160とによって、密封空間が形成される。撮像チップ100は、実装基板120とフレーム140とカバーガラス160とによって形成される密封空間内に配置されている。
【0036】
−−−実装基板120の防湿対策−−−
上述したように、実装基板120の絶縁層203、絶縁層205および絶縁層213は、樹脂層である。すなわち、絶縁層203、絶縁層205および絶縁層213は、材質が有機物である材料で形成された部位である。そのため、各絶縁層203,205,213は、撮像ユニット40の外部の水分を吸収することで膨張し、実装基板120が反ったり、歪んだりするなどの平坦度に影響を及ぼすおそれがある。このような実装基板120の反りや歪みは、実装基板120に実装された撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすおそれがある。
また、仮に、撮像ユニット40の外部の水分が実装基板120を透過して開口部138に、すなわち上述の密封空間に到達すると、撮像チップ100が劣化するおそれがある。
【0037】
そこで、本実施の形態の撮像ユニット40では、実装基板120の第2主面112に、防水や撥水や防湿のためのコーティング処理を施す。
図2に示すように、第2主面112は、コーティング剤の膜310で覆われている。具体的には、このコーティング剤の膜310は、ソルダレジスト層211の全面と、ソルダレジスト層211から露出している配線層212とに塗布される。なお、
図2では、膜310の厚さを誇張して描いている。
【0038】
コーティング剤としては、たとえば基板用の防湿コーティング剤を用いることができる。基板用の防湿コーティング剤としては、たとえばフッ素系のコーティング剤や、ウレタン樹脂系のコーティング剤、アクリル樹脂系のコーティング剤、ポリオレフィン樹脂系のコーティング剤等が例として挙げられる。
本実施の形態では、第2主面112にコーティング剤の膜310を形成することで、実装基板120への水分の浸透を抑制する。これにより、実装基板120が反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0039】
なお、配線層212は、その材料が、上述のようにニッケルと鉄の合金(たとえば42alloy、56alloy)、銅、アルミニウム等であり、これらの材料自体が、実装基板120への水分の浸透を抑制することができる。したがって、コーティング剤の膜310は、ソルダレジスト層211から一部露出している配線層212には、塗布しなくてもよい。
【0040】
本実施の形態において、コーティング剤は以下に述べる性質を有する。たとえば、コーティング剤の膜310は、防水、撥水する性質や防湿する性質などを有する。具体的には、膜310は、上述したように実装基板120への水分の浸透、もしくは透過を抑制する機能を有する。本明細書では、防水、撥水する性質や防湿する性質などを有するコーティング剤の膜310の機能を、実装基板120への水分の浸透もしくは透過の抑制を含めて、実装基板120への水分の浸透を抑制すると称する。
なお、撮像チップ100の平坦度や撮像チップ100の劣化へ影響を及ぼさない程度の量の水分であれば、膜310は水分を透過させてもよい。
【0041】
コーティング剤は、塗布することやスプレーすることなどによって実装基板120へ付着させることができる。したがって、実装基板120にコーティング剤の膜を容易に形成することができるので、施工が容易であり、コスト増を抑制できる。
【0042】
図2に示した実装基板120の側面113に、防水や撥水や防湿のためのコーティング処理を施してもよい。
図3は、実装基板120の側面113にコーティング処理された撮像ユニット40の模式的な断面図である。
図3に示すように、側面113は、コーティング剤の膜320で覆われている。なお、
図3では、膜320の厚さを誇張して描いている。このように、実装基板120の側面113にコーティング剤の膜320を形成することで、側面113から実装基板120への水分の浸透を抑制するようにしてもよい。なお、この場合も、撮像チップ100の平坦度や撮像チップ100の劣化へ影響を及ぼさない程度の量の水分であれば、膜320は水分を透過させてもよい。
また、実装基板120の第2主面112をコーティング剤の膜310で覆うとともに、側面113をコーティング剤の膜320で覆ってもよい。
なお、実装基板120の第2主面112の一部をコーティング剤の膜310で覆ってもよい。また、側面113の一部をコーティング剤の膜320で覆ってもよい。
【0043】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)実装基板120は、被写体を撮像する撮像チップ100が配置される第1主面111と、第1主面111とは反対側の面であって撮像チップ100を駆動させるための電子部品180が配置される第2主面112と、を備え、第2主面112の少なくとも一部は、水分が浸透するのを抑制するコーティング剤で覆われている。
これにより、実装基板120の反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0044】
(2)実装基板120は、第1主面111の端部と第2主面112の端部とを接続するように形成された側面113を備える。側面113の少なくとも一部は、水分が浸透するのを抑制するコーティング剤で覆われている。
これにより、実装基板120の反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0045】
(3)コーティング剤は、塗布することやスプレーすることなどによって実装基板120へ付着させることができる。したがって、実装基板120にコーティング剤の膜を容易に形成することができるので、施工が容易であり、コスト増を抑制できる。
【0046】
−−−第2の実施の形態−−−
図4を参照して、撮像ユニットおよび撮像装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、各接着部における撮像ユニット40の外周部分をコーティング剤で覆う。
【0047】
図4は、接着部220,230,240の外周部分をコーティング剤で覆った撮像ユニット40の模式的な断面図である。なお、
図4でも、コーティング剤の膜330,340,350の厚さを誇張して描いている。撮像ユニット40には、実装基板120とフレーム140との間の接着部220と、フレーム140の金属部141と樹脂部144との間の接着部230と、フレーム140の樹脂部144とカバーガラス160との間の接着部240とがそれぞれ存在する。これらの接着部220,230,240は、接着剤、ずなわち、材質が有機物である材料で形成された部位である。したがって、接着部220,230,240には水分が浸透する恐れがある。接着部220,230,240に浸透した水分が仮に開口部138、すなわち密封空間に到達すると、撮像チップ100が劣化するおそれがある。
そこで、本実施の形態では、接着部220,230,240の外周部分にコーティング剤の膜330,340,350を形成する。以下に詳細に説明する。
【0048】
図4に示すように、接着部220の外周部分は、コーティング剤の膜330で覆われている。このコーティング剤の膜330は、接着剤による実装基板120とフレーム140の金属部141との接着部分であって、実装基板120および金属部141の外周部分を覆っている。コーティング剤の膜330は、実装基板120および金属部141の外周部分を覆うように裾広がりに形成されていることが望ましい。こうして、コーティング剤の膜330は、接着部220から開口部138への水分の浸透を抑制することができる。
【0049】
同様に、接着部230の外周部分は、コーティング剤の膜340で覆われている。膜340は、接着剤による金属部141と樹脂部144との接着部分であって、金属部141および樹脂部144の外周部分を覆っている。コーティング剤の膜340は、金属部141および樹脂部144の外周部分を覆うように裾広がりに形成されていることが望ましい。こうして、コーティング剤の膜340は、接着部230から開口部138への水分の浸透を抑制することができる。
【0050】
同様に、接着部240の外周部分は、コーティング剤の膜350で覆われている。コーティング剤の膜350は、接着剤によるフレーム140の樹脂部144とカバーガラス160との接着部分であって、樹脂部144およびカバーガラス160の外周部分を覆っている。コーティング剤の膜350は、樹脂部144およびカバーガラス160の外周部分を覆うように裾広がりに形成されていることが望ましい。こうして、コーティング剤の膜350は、接着部240から開口部138への水分の浸透を抑制することができる。
【0051】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像ユニット40は、実装基板120と、撮像チップ100と、第1主面111に接着剤で接着された、撮像チップ100を囲むフレーム140と、を備える。撮像ユニット40は、接着剤による実装基板120とフレーム140との接着部分であって実装基板120およびフレーム140の外周部分が接着剤への水分の浸透を抑制するコーティング剤の膜330で覆われている。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0052】
(2)撮像ユニット40は、実装基板120と、撮像チップ100と、実装基板120の第1主面111に配置された、撮像チップ100を囲むフレーム140を備える。フレーム140は、金属によって構成される金属部141と、樹脂によって構成される樹脂部144とを有し、金属部141と樹脂部144とがフレーム用接着剤で接着されている。撮像ユニット40は、フレーム用接着剤による金属部141と樹脂部144との接着部分であって、金属部141および樹脂部144の外周部分がフレーム用接着剤への水分の浸透を抑制するコーティング剤の膜340で覆われている。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0053】
(3)撮像ユニット40は、フレーム140に透明部材用接着剤で接着され、撮像チップ100を被覆するカバーガラス160を備える。撮像ユニット40は、透明部材用接着剤によるフレーム140とカバーガラス160との接着部分であって、フレーム140およびカバーガラス160の外周部分が透明部材用接着剤への水分の浸透を抑制するコーティング剤の膜350で覆われている。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0054】
−−−第3の実施の形態−−−
図5を参照して、撮像ユニットおよび撮像装置の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、フレーム140の樹脂部144の外周部分をコーティング剤で覆う。
【0055】
図5は、樹脂部144の外周部分をコーティング剤で覆った撮像ユニット40の模式的な断面図である。なお、
図5でも、膜360の厚さを誇張して描いている。フレーム140の樹脂部144は、樹脂、すなわち、材質が有機物である材料で形成された部位である。したがって、樹脂部144には水分が浸透する恐れがある。樹脂部144に浸透した水分が仮に開口部138に到達すると、上述したように撮像チップ100が劣化するおそれがある。
そこで、本実施の形態では、樹脂部144の外周部分にコーティング剤の膜360を形成することで、開口部138への水分の侵入を抑制する。以下に詳述する。
【0056】
図5に示すように、樹脂部144の外周部分は、全周に渡って、コーティング剤の膜360で覆われている。こうして、コーティング剤の膜360は、樹脂部144の外周部分から開口部138への水分の浸透を抑制することができる。
なお、樹脂部144の外周部分に付着又は塗布されたコーティング剤の膜360を、樹脂部144と金属部141との間の接着部230まで延ばして、樹脂部144の外周部分と接着部230の外周部分とを共に被覆するようにしてもよい。これは、
図5のコーティング剤の膜360と
図4のコーティング剤の膜340とを同時に形成することに相当する。
また、同様に、樹脂部144の外周部分に付着又は塗布されたコーティング剤の膜360を、樹脂部144とカバーガラス160との間の接着部240まで延ばして、樹脂部144の外周部分と接着部240の外周部分とを共に被覆するようにしてもよい。これは、
図5のコーティング剤の膜360と
図4のコーティング剤の膜350とを同時に塗布などによって形成することに相当する。
更には、コーティング剤の膜360とコーティング剤の膜340とコーティング剤の膜350とを同時に塗布などによって形成してもよい。
【0057】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像ユニット40は、実装基板120と、撮像チップ100と、実装基板120の第1主面111に配置された、撮像チップ100を囲むフレーム140を備える。フレーム140は、金属によって構成される金属部141と、樹脂によって構成される樹脂部144とを有し、樹脂部144の外周部分が樹脂部144への水分の浸透を抑制するコーティング剤の膜360で覆われている。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0058】
−−−第4の実施の形態−−−
図6を参照して、撮像ユニットおよび撮像装置の第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第3の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1〜第3の実施の形態と同じである。本実施の形態では、ソルダレジスト層211の材質や厚さが第1〜第3の実施の形態と異なる。
【0059】
図6は、実装基板120の第2主面112の近傍の模式的な拡大図である。なお、配線層212は、配線パターン217の表面にメッキ層218が形成されている。
ソルダレジスト層211の材料は樹脂である。そのため、ソルダレジスト層211は、水分を吸収することで膨張する。ソルダレジスト層211が膨張すると、実装基板120が反ったり、歪んだりするおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ソルダレジスト層211の材料として、できるだけ吸水率が低い材料を用いる。一般的に、ソルダレジストに用いられる樹脂の吸水率は、実装基板120の絶縁層213に用いられる樹脂の吸水率よりも10倍程度高く、たとえば1.3%程度である。本実施の形態では、ソルダレジスト層211の材料として、吸水率がたとえば1.0%以下の材料を用いることが望ましい。
【0060】
また、ソルダレジスト層211の厚さを薄くすれば、ソルダレジスト層211の膨張によって実装基板120に作用する力を低減できる。そこで、本実施の形態では、ソルダレジスト層211の厚さを、できるだけ薄くしている。本実施の形態では、ソルダレジスト層211の厚さは、たとえば絶縁層213や、絶縁層203,205(
図2参照)の厚さよりも薄い。上述したように、絶縁層203、絶縁層205、および絶縁層213それぞれの厚みは、10μm〜1000μmである。本実施の形態では、ソルダレジスト層211の厚さは、たとえば15μmである。ソルダレジスト層211の厚さは、たとえば15μm以下であることが望ましい。さらに、ソルダレジスト層211の厚さは、絶縁層203、絶縁層205、および絶縁層213の厚さよりも薄い方が好ましい。具体的には、ソルダレジスト層211の厚さは、たとえば10μm以下であることが好ましい。
【0061】
このように、本実施の形態では、ソルダレジスト層211の材料として、吸水率が低い材料を用いることで、実装基板120への水分の浸透を抑制する。これにより、実装基板120の反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
また、本実施の形態では、ソルダレジスト層211の厚さを薄くした。たとえば、ソルダレジスト層211の厚さは、たとえば絶縁層213や、絶縁層203,205(
図2参照)の厚さよりも薄い。そのため、ソルダレジスト層211が吸湿して膨張しても、実装基板120に作用する力を低減できる。これにより、実装基板120の反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0062】
上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)実装基板120は、第2主面112に設けられたソルダレジスト層211を備える。ソルダレジスト層211の厚さは、絶縁層213の厚さよりも薄い。これにより、実装基板120の反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0063】
(2)実装基板120は、第2主面112に設けられたソルダレジスト層211を備える。ソルダレジスト層211の吸水率は、1.0%以下である。これにより、実装基板120の反りや歪みを防止でき、撮像チップ100の平坦度に影響を及ぼすのを防止できる。また、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0064】
−−−第5の実施の形態−−−
図7〜9を参照して、撮像ユニットおよび撮像装置の第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第4の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1〜第4の実施の形態と同じである。本実施の形態では、配線層204設けたボイド穴と配線層214に設けたボイド穴の位置とが重ならないようにしている。ボイド穴とは、実装基板120の製造過程で発生するガスの排出や、配線層の面積に対する金属箔部分の面積の割合の調整のために設けられた穴である。
【0065】
図7は、配線層204,214におけるボイド穴の配置を模式に示す図である。
図7(a)は、配線層204を示す図であり、
図7(b)は、配線層214を示す図であり、
図7(c)は、配線層204と配線層214とを重ね合わせた図である。
図7(a)に示すように、配線層204には、金属箔204aにボイド穴204bが複数設けられている。ボイド穴204bの配置間隔は、たとえば一定の値であるが、一定の値でなくてもよい。
図7(a)に示す例では、ボイド穴204bは、行方向および列方向に一定のピッチで規則正しく配置されているが、ボイド穴204bは、不規則に配置されていてもよい。各ボイド穴204bの大きさは、略等しく定められているが、揃っていなくてもよい。
【0066】
図7(b)に示すように、配線層214には、金属箔214aにボイド穴214bが複数設けられている。この配線層214のボイド穴214bの大きさは、配線層204のボイド穴204bの大きさと略等しく定められているが、異なっていてもよい。各ボイド穴214bの大きさは、略等しく定められているが、揃っていなくてもよい。ボイド穴214bの配置間隔は、たとえば一定の値であるが、一定の値でなくてもよい。ボイド穴214bの配置間隔とボイド穴204bの配置間隔とが同じであってもよく、異なっていてもよい。
図7(b)に示す例では、ボイド穴214bの配置間隔とボイド穴204bの配置間隔とが同じである。
図7(b)に示す例では、ボイド穴214bは、行方向および列方向に一定のピッチで規則正しく配置されているが、ボイド穴214bは、不規則に配置されていてもよい。
以上のように、配線層204の配線層の面積に対する金属箔部分の面積の割合と、配線層214の配線層の面積に対する金属箔部分の面積の割合とは、等しく定められている。
【0067】
図7(c)に示すように、ボイド穴204bとボイド穴214bとは、z軸方向から見たときに重なり合わない。すなわち、ボイド穴204bの位置とボイド穴214bの位置とは、z軸方向、すなわち配線層204,214の積層方向と直交する方向にずれている。ボイド穴204bに対するボイド穴214bのずれは、たとえばX方向およびY方向にそれぞれ1/2ピッチである。
【0068】
図3に示すように、たとえば、実装基板120の第2主面112から実装基板120の絶縁層213に浸透した水分は、配線層214のボイド穴214bから絶縁層205に到達する。絶縁層205に浸透した水分は、配線層204のボイド穴204bから絶縁層203に到達する。
しかしながら、絶縁層213から絶縁層205に浸透する水分は、ボイド穴204bとボイド穴214bとの位置をz軸方向と直交する方向にずれているため、その浸透が妨げられる。すなわち、絶縁層213から絶縁層205に浸透する水分は、ボイド穴204bとボイド穴214bとの位置がz軸方向と直交する方向にずれていない場合と比べて、配線層214のボイド穴214bから配線層204のボイド穴204bに到達するまでの距離が長くなる。したがって、絶縁層213に浸透した水分が絶縁層203に到達し難くなる。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0069】
なお、撮像チップ100の平坦度や撮像チップ100の劣化へ影響を及ぼさないのであれば、複数のボイド穴204bのうちの一部と、複数のボイド穴214bのうちの一部とがz軸方向から見たときに重なっていてもよい。
【0070】
なお、各配線層204,214には、信号線などの配線パターンが設けられている。そのため、配線パターンを考慮してボイド穴204b,214bの位置を決める必要がある。
図8は、配線パターンを考慮したボイド穴204b,214bの配置を模式に示す図である。
図8(a)は、配線層204を示す図であり、
図9(b)は、配線層214を示す図であり、
図8(c)は、配線層204と配線層214とを重ね合わせた図である。
図8(a)に示すように、配線層204には、配線パターン204cが複数箇所に設けられている。配線パターン204cの周囲には、他の配線パターンや金属箔部分との絶縁のために、金属箔が設けられていない絶縁領域204dが存在する。
【0071】
図8(b),(c)に示すように、配線層214のボイド穴214bは、配線層204のボイド穴204bとz軸方向から見たときに重なり合わないように配置されている。また、配線層214のボイド穴214bは、配線層204の金属箔が設けられていない絶縁領域204dとz軸方向から見たときに重なり合わないように配置されている。
そのため、絶縁領域204dとボイド穴214bとの位置がz軸方向と直交する方向にずれていない場合と比べて、水分が配線層214のボイド穴214bから配線層204の絶縁領域204dに到達するまでの距離が長い。したがって、絶縁層213に浸透した水分が絶縁層203に到達し難くなる。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0072】
なお、撮像チップ100の平坦度や撮像チップ100の劣化へ影響を及ぼさないのであれば、絶縁領域204dのうちの一部と、複数のボイド穴214bのうちの一部とがz軸方向から見たときに重なっていてもよい。
【0073】
なお、
図9(a)〜(c)に示すように配線パターンの幅が広い場合、配線パターンにボイド穴を設けることがある。
図9は、配線パターンを考慮したボイド穴204b,214bの配置を模式に示す図である。
図9(a)は、配線層204を示す図であり、
図9(b)は、配線層214を示す図であり、
図9(c)は、配線層204と配線層214とを重ね合わせた図である。
図9(a)に示すように、配線パターン204cにはボイド穴204bが設けられている。また、
図9(b)に示すように、配線層214には、配線パターン214cが設けられている。配線パターン214cにはボイド穴214bが設けられている。配線パターン214cの周囲には、他の配線パターンや金属箔部分との絶縁のために、金属箔が設けられていない絶縁領域214dが存在する。
【0074】
図9(a),(c)に示すように、配線層204のボイド穴204bは、配線層214のボイド穴214bとz軸方向から見たときに重なり合わないように配置されている。また、配線層204のボイド穴204bは、配線層214の金属箔が設けられていない絶縁領域214dとz軸方向から見たときに重なり合わないように配置されている。
【0075】
図9(b),(c)に示すように、配線層214のボイド穴214bは、配線層204のボイド穴204bとz軸方向から見たときに重なり合わないように配置されている。また、配線層214のボイド穴214bは、配線層204の金属箔が設けられていない絶縁領域204dとz軸方向から見たときに重なり合わないように配置されている。
このようにすることで、上述した場合と同様に、絶縁層213に浸透した水分が絶縁層203に到達し難くなる。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0076】
なお、z軸方向から見たときに配線パターン204cと配線パターン214cとで重なる領域が存在する場合には、配線層204の絶縁領域204dと配線層214の絶縁領域214dとが重なる領域sが発生する。領域sでは、配線層204の金属箔が設けられていない領域と配線層214の金属箔が設けられていない領域とがz軸方向から見たときに重なり合っている。そのため、z軸方向から見たときに配線パターン204cと配線パターン214cとができるだけ重ならないように各配線パターン204c,214cを設けることが望ましい。
【0077】
上述した第5の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)実装基板120は、 被写体を撮像する撮像チップ100が配置される第1主面111と、第1主面111とは反対側の面であって撮像チップ100を駆動させるための電子部品180が配置される第2主面112と、第1主面111及び第2主面112の間に配置され、複数のボイド穴204bが形成された配線層204と、第1主面111及び第2主面112の間に配置され、複数のボイド穴214bが形成された、配線層204とは異なる配線層214と、配線層204及び配線層214の間に配置された絶縁層205と、を備える。配線層204のボイド穴204bと配線層214のボイド穴214bとは、配線層204及び配線層214を重ね合わせた場合に互いに重なり合わないように配置されている。したがって、絶縁層213に浸透した水分が絶縁層203に到達し難くなる。これにより、開口部138への水分の侵入が抑制される。そのため、撮像チップ100の劣化を防止できる。したがって、カメラ10で撮像して得られる画像の画質の劣化を防止できる。
【0078】
なお、上述した各実施の形態のいずれか1つだけを実施してもよく、上述した各実施の形態の2つまたは3つ以上を組み合わせて実施してもよい。なお、ある実施の形態の一部と、他の実施の形態の一部とを組み合わせて実施してもよい。
【0079】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。