【実施例】
【0018】
以下、具体例を挙げて本発明に係るモノグリシジルイソシアヌレート化合物を説明する。しかし、本発明は必ずしも以下に挙げる具体例に限定されるわけではない。
【0019】
<合成例1>
【化5】
モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)25.00g、炭酸カリウム51.07g及びN−メチルピロリドン125.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへブロモエタン(東京化成工業(株)製)40.27gを滴下し、滴下終了後25℃で5.5時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン250.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン25.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水250.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(4)で表されるジエチルモノアリルイソシアヌレートを液体として30.16g得た(収率90.6%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.88 (ddt, 1H), 5.31 (dd, 1H), 5.23 (dd, 1H), 4.48(d,2H), 3.95 (q, 4H), 1.24 (t, 6H)であった。本明細書で
1H NMRの測定に使用したNMR装置は、日本電子(株)製、JNM−ECA500である。
【0020】
<合成例2>
【化6】
モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)25.00g、炭酸カリウム51.07g及びN−メチルピロリドン125.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへブロモプロパン(東京化成工業(株)製)45.45gを滴下し、滴下終了後60℃まで昇温させ4時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液を室温まで冷却した後、該反応溶液へトルエン250.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン25.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水250.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(5)で表されるジプロピルモノアリルイソシアヌレートを液体として36.35g得た(収率97.1%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.88 (1H, ddt), 5.29 (1H, dd), 5.23 (1H, dd), 4.48 (2H,d),3.85 (4H, t), 1.67 (4H, qt), 0.94 (6H, t)であった。
【0021】
<合成例3>
【化7】
モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)30.00g、炭酸カリウム61.29g及びN−メチルピロリドン150.00gを混合し、25℃で撹拌しながら、その混合物中へクロロメチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)35.70gを滴下し、滴下終了後、反応溶液を得た。その反応溶液へ酢酸エチル300.00gを加えた溶液をろ過し、酢酸エチル30.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水300.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(6)で表されるジメトキシメチルモノアリルイソシアヌレートを液体として30.63g得た(収率67.1%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.88 (ddt, 1H), 5.34-5.20 (m, 6H),4.51(d, 2H), 3.45 (s, 6H)であった。
【0022】
<合成例4>
【化8】
モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)20.00g、炭酸カリウム40.86g及びN−メチルピロリドン100.00gを混合し、25℃で撹拌しながら、その混合物中へ2−メトキシエトキシメチルクロリド(東京化成工業(株)製)38.76gを滴下し、滴下終了後、反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン300.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン30.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水300.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(7)で表されるジメトキシエトキシメチルモノアリルイソシアヌレートを液体として20.36g得た(収率49.9%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.87 (ddt, 1H), 5.43 (s, 4H), 5.34 (dd, 1H), 5.24 (dd, 1H), 4.50(d,2H), 3.81 (t, 4H), 3.51 (t, 4H), 3.34 (s, 6H)であった。
【0023】
<合成例5>
【化9】
モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)22.00g、炭酸カリウム47.58g及びN−メチルピロリドン110.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへ2−ブロモエチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)47.57gを滴下し、滴下終了後、反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン220.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン22.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水220.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(8)で表されるジメトキシエチルモノアリルイソシアヌレートを液体として30.93g得た(収率83.3%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.87 (1H, ddt), 5.29 (1H, dd), 5.23 (1H, dd) 4.49 (2H,d)4.12 (4H, t) 3.62(4H, t) 3.35 (6H, s)であった。
【0024】
<合成例6>
【化10】
モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)40.00g、炭酸カリウム81.73g及びN−メチルピロリドン200.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへヨードメタン(東京化成工業(株)製)83.92gを滴下し、滴下終了後、105℃まで昇温し、2時間撹拌を行うことで反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン400.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン40.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水400.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(9)で表されるジメチルモノアリルイソシアヌレートを白色固体として39.70g得た(収率85.1%)。
【0025】
<実施例1>
【化11】
合成例1で得られたジエチルモノアリルイソシアヌレート30.00gとクロロホルム225.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)42.43gを加えた。25℃で85.5時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液へクロロホルム300.00gを加え、撹拌しながら5wt%NaHCO
3600.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%Na
2SO
3300.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO
3600.00gを加え分液した。さらに有機層に水300.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(1−1)で表されるジエチルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として30.77g得た(収率95.8%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 4.16 (dd, 1H), 3.99 (dd,1H), 3.96 (q,4H), 3.26 (dddd, 1H), 2.82 (dd,1H), 2.70 (dd, 1H), 1.25 (t,6H)であった。
【0026】
<実施例2>
【化12】
合成例2で得られたジプロピルモノアリルイソシアヌレート36.00g、クロロホルム270.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)45.28gを加えた。25℃で134時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液へクロロホルム360.00gを加え、撹拌しながら5wt%NaHCO
3720.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%Na
2SO
3360.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO
3720.00gを加え分液した。さらに有機層に水360.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(1−2)で表されるジプロピルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として37.93g得た(収率98.0%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、4.17 (1H, dd), 4.00 (1H, dd), 3.86 (4H, t), 3.25 (1H, dddd),2.81(1H, dd), 2.69 (1H, dd),1.68(4H, tq), 0.95 (6H, t)であった。
【0027】
<実施例3>
【化13】
合成例3で得られたジメトキシメチルモノアリルイソシアヌレート30.00gとクロロホルム225.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)37.16gを加えた。25℃で172時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム300.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO
3600.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%Na
2SO
3300.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO
3600.00gを加え分液した。さらに有機層に水300.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(2−1)で表されるジメトキシメチルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として29.23g得た(収率91.7%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.35 (s, 4H), 4.35 (dd, 1H), 4.19 (dd, 1H), 4.67 (s, 6H), 3.28(dddd,1H), 2.82(dd, 1H), 2.71(dd,1H)であった。
【0028】
<実施例4>
【化14】
合成例4で得られたジメトキシエトキシメチルモノアリルイソシアヌレート20.00gとクロロホルム150.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)18.45gを加えた。25℃で152時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム200.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO
3400.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%Na
2SO
3200.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO
3400.00gを加え分液した。さらに有機層に水200.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(3−1)で表されるジメトキシエトキシメチルモノグリシジルイソシアヌレートを液体として18.34g得た(収率87.6%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 5.42 (s, 4H), 4.18 (dd, 1H), 4.00 (dd, 1H), 3.82 (t, 4H), 3.52 (t, 4H), 3.34 (s, 6H), 3.25 (dddd, 1H), 2.82 (dd, 1H), 2.71 (dd, 1H)であった。
【0029】
<実施例5>
【化15】
合成例5で得られたジメトキシエチルモノアリルイソシアヌレート31.00gとクロロホルム232.50gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)34.62gを加えた。25℃で152時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム310.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO
3620.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%Na
2SO
3310.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO
3620.00gを加え分液した。さらに有機層に水310.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(2−2)で表されるジメトキシエチルモノグリシジルイソシアヌレートを液体として30.44g得た(収率93.0%)。尚、この化合物の
1H NMR(500MHz,CDCl
3)を測定したところ、δ 4.19-4.12 (5H, m), 4.01 (1H, dd),3.62(4H, t), 3.35 (6H, s), 3.25 (1H, dddd), 2.81(1H, dd), 2.69 (1H, dd)であった。
【0030】
<比較例1>
【化16】
合成例6で得られたジメチルモノアリルイソシアヌレート30.00gとジクロロメタン300.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)56.51gを加えた。25℃で64.5時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム300.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO
3600.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%Na
2SO
3600.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO
3600.00gを加え分液した。さらに有機層に水600.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(10)で表されるジメチルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として27.64g得た(収率73.1%)。
【0031】
[溶剤溶解性評価]
実施例1乃至実施例5及び比較例1で得られた各々の化合物0.1gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル0.4gを加え20wt%溶液とし、その溶液を25℃で10分間撹拌を行い、目視にて溶解性を確認した。下記表1に示す通り、比較例1で得られた化合物と比較して、実施例1乃至実施例5で合成した化合物は全て溶解性が向上していた。表1において、×は白濁した溶液であることを表し、○は沈殿物が生じない透明な溶液であることを表す。
【表1】