特許第6819892号(P6819892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6819892モノグリシジルイソシアヌレート化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6819892
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】モノグリシジルイソシアヌレート化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/06 20060101AFI20210114BHJP
   C07D 251/34 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
   C07D405/06
   C07D251/34 F
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-510302(P2018-510302)
(86)(22)【出願日】2017年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2017012126
(87)【国際公開番号】WO2017175610
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-77388(P2016-77388)
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅久
(72)【発明者】
【氏名】孫 軍
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−080431(JP,A)
【文献】 特開昭60−081225(JP,A)
【文献】 米国特許第04595720(US,A)
【文献】 特開2012−025688(JP,A)
【文献】 特開昭56−026970(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/005633(WO,A1)
【文献】 特開昭60−197674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2)又は式(3)で表されるモノグリシジルイソシアヌレート化合物。
【化1】
これら式中、2つのRはそれぞれ炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキル基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキレン基を表す、請求項1に記載のモノグリシジルイソシアヌレート化合物。
【請求項3】
前記2つのRはそれぞれメチル基を表す、請求項1又は請求項に記載のモノグリシジルイソシアヌレート化合物。
【請求項4】
前記式(2)又は式(3)で表されるモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、該式(2)における−ROR基又は該式(3)における−ROROR基の炭素原子及び酸素原子の総数が4以上で、常温常圧の下で液体である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモノグリシジルイソシアヌレート化合物。
【請求項5】
モノアリルイソシアヌル酸から下記式(2´)又は式(3´)で表される反応中間体を得る工程、及び該式(2´)又は式(3´)で表される反応中間体を酸化剤と反応させる工程を有する、請求項1に記載のモノグリシジルイソシアヌレート化合物の製造方法。
【化2】
(これら式中、2つのR、2つのR、2つのR及び2つのRはそれぞれ請求項1と同義である。)
【請求項6】
前記式(2´)又は式(3´)で表される反応中間体は、前記モノアリルイソシアヌル酸と下記式(b)又は式(c)で表される化合物とを反応させることにより得られる、請求項に記載のモノグリシジルイソシアヌレート化合物の製造方法。
【化3】
(これら式中、Xはクロロ基、ブロモ基又はヨード基を表し、、R、R及びRはそれぞれ請求項1と同義である。)
【請求項7】
前記酸化剤はm−クロロ過安息香酸又は過酸化水素である、請求項又は請求項に記載のモノグリシジルイソシアヌレート化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素原子と結合する置換基として1つのグリシジル基を有する、新規なイソシアヌレート化合物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリシジル基を少なくとも1つ有するイソシアヌル酸誘導体が従来から知られている。例えば特許文献1には、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが開示されている。同文献には、トリグリシジルイソシアヌレートと、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート及び/又はジアリルモノグリシジルイソシアヌレートとを配合したエポキシ樹脂組成物は、接着剤、塗料、注型材料、積層材料等として好適であることが記載されている。特許文献2には、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌル酸の問題点を解決し得るモノグリシジルイソシアヌル酸化合物が開示されている。しかしながら、同文献で合成されるモノグリシジルイソシアヌル酸化合物は、1分子中に芳香族環を2つ有するため、有機溶剤に対する溶解性に劣る場合がある。
【0003】
特許文献3には、グリシジル基を少なくとも1つ及び/又はアリル基を少なくとも1つ有するイソシアヌル酸誘導体を出発原料とし、アルケニル化合物を合成し、これを反応中間体としてさらにエポキシ化合物を合成する方法が開示されている。さらに、合成された前記エポキシ化合物を用いたレジスト下層膜形成組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3902140号
【特許文献2】特開2007−238472号公報
【特許文献3】特開2013−32327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、例えばレジスト下層膜形成組成物の原料としての用途が期待される、新規なイソシアヌレート化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者は、モノアリルイソシアヌル酸(別称:モノアリルイソシアヌレート)を出発原料として、窒素原子と結合する置換基として1つのグリシジル基を有するイソシアヌレート化合物を得た。すなわち、本発明は、下記式(1)、式(2)又は式(3)で表されるモノグリシジルイソシアヌレート化合物である。
【化1】


(これら式中、2つのRはそれぞれ炭素原子数2乃至10のアルキル基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキル基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキル基を表す。)
【0007】
前記2つのRはそれぞれ、例えば炭素原子数2又は3のアルキル基を表す。
【0008】
前記2つのRはそれぞれ、例えば炭素原子数1又は2のアルキレン基を表す。
【0009】
前記2つのRはそれぞれ、例えばメチル基を表す。
【0010】
前記式(2)又は式(3)で表されるモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、例えば、該式(2)における−ROR基又は該式(3)における−ROROR基の炭素原子及び酸素原子の総数が4以上で、常温常圧の下で液体である。ここで、常温常圧とは、本明細書では、温度20℃乃至25℃、気圧101kPaと定義する。
【0011】
本発明はまた、モノアリルイソシアヌル酸から下記式(1´)、式(2´)又は式(3´)で表される反応中間体を得る工程、及び該式(1´)、式(2´)又は式(3´)で表される反応中間体を酸化剤と反応させる工程を有する、モノグリシジルイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【化2】


(これら式中、2つのRはそれぞれ炭素原子数2乃至10のアルキル基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキル基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、2つのRはそれぞれ炭素原子数1又は2のアルキル基を表す。)
【0012】
前記式(1´)、式(2´)又は式(3´)で表される反応中間体は、例えば、前記モノアリルイソシアヌル酸と下記式(a)、式(b)又は式(c)で表される化合物とを反応させることにより得られる。
【化3】


(これら式中、Xはクロロ基、ブロモ基又はヨード基を表し、Rは炭素原子数2乃至10のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、Rは炭素原子数1又は2のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1又は2のアルキレン基を表し、Rは炭素原子数1又は2のアルキル基を表す。)
【0013】
前記酸化剤は、例えば、m−クロロ過安息香酸又は過酸化水素である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、レジスト下層膜形成組成物等のポリマー又はオリゴマー成分の原料としての用途が期待される。本発明のモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、前記レジスト下層膜形成組成物等に使用される有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)に対する溶解性に優れる。また、多官能カルボン酸、多官能フェノール、多官能チオフェノール等との反応生成物にすることによって、当該反応生成物を含むレジスト下層膜形成組成物等から形成される膜のエッチングレートの向上、及び溶解性の向上が見込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、前記式(1)、式(2)又は式(3)で表される。当該式(1)において、Rで表される炭素原子数2乃至10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状いずれでもよい。当該アルキル基として、例えば、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロヘキシルメチル基、及びシクロペンチルメチル基が挙げられる。
【0016】
前記式(2)及び式(3)において、Rで表される炭素原子数1乃至5のアルキレン基として、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基が挙げられる。前記式(2)において、Rは炭素原子数1又は2のアルキル基を表す。当該炭素原子数1又は2のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。前記式(3)において、Rで表される炭素原子数1又は2のアルキレン基として、例えば、メチレン基、エチレン基が挙げられる。前記式(3)において、Rで表される炭素原子数1又は2のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。
【0017】
本発明のモノグリシジルイソシアヌレート化合物として、例えば、下記式(1−1)乃至式(1−13)、式(2−1)乃至式(2−5)、及び式(3−1)乃至式(3−4)で表される化合物が挙げられる。
【化4】

【実施例】
【0018】
以下、具体例を挙げて本発明に係るモノグリシジルイソシアヌレート化合物を説明する。しかし、本発明は必ずしも以下に挙げる具体例に限定されるわけではない。
【0019】
<合成例1>
【化5】


モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)25.00g、炭酸カリウム51.07g及びN−メチルピロリドン125.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへブロモエタン(東京化成工業(株)製)40.27gを滴下し、滴下終了後25℃で5.5時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン250.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン25.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水250.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(4)で表されるジエチルモノアリルイソシアヌレートを液体として30.16g得た(収率90.6%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.88 (ddt, 1H), 5.31 (dd, 1H), 5.23 (dd, 1H), 4.48(d,2H), 3.95 (q, 4H), 1.24 (t, 6H)であった。本明細書でH NMRの測定に使用したNMR装置は、日本電子(株)製、JNM−ECA500である。
【0020】
<合成例2>
【化6】


モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)25.00g、炭酸カリウム51.07g及びN−メチルピロリドン125.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへブロモプロパン(東京化成工業(株)製)45.45gを滴下し、滴下終了後60℃まで昇温させ4時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液を室温まで冷却した後、該反応溶液へトルエン250.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン25.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水250.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(5)で表されるジプロピルモノアリルイソシアヌレートを液体として36.35g得た(収率97.1%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.88 (1H, ddt), 5.29 (1H, dd), 5.23 (1H, dd), 4.48 (2H,d),3.85 (4H, t), 1.67 (4H, qt), 0.94 (6H, t)であった。
【0021】
<合成例3>
【化7】


モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)30.00g、炭酸カリウム61.29g及びN−メチルピロリドン150.00gを混合し、25℃で撹拌しながら、その混合物中へクロロメチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)35.70gを滴下し、滴下終了後、反応溶液を得た。その反応溶液へ酢酸エチル300.00gを加えた溶液をろ過し、酢酸エチル30.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水300.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(6)で表されるジメトキシメチルモノアリルイソシアヌレートを液体として30.63g得た(収率67.1%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.88 (ddt, 1H), 5.34-5.20 (m, 6H),4.51(d, 2H), 3.45 (s, 6H)であった。
【0022】
<合成例4>
【化8】


モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)20.00g、炭酸カリウム40.86g及びN−メチルピロリドン100.00gを混合し、25℃で撹拌しながら、その混合物中へ2−メトキシエトキシメチルクロリド(東京化成工業(株)製)38.76gを滴下し、滴下終了後、反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン300.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン30.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水300.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(7)で表されるジメトキシエトキシメチルモノアリルイソシアヌレートを液体として20.36g得た(収率49.9%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.87 (ddt, 1H), 5.43 (s, 4H), 5.34 (dd, 1H), 5.24 (dd, 1H), 4.50(d,2H), 3.81 (t, 4H), 3.51 (t, 4H), 3.34 (s, 6H)であった。
【0023】
<合成例5>
【化9】


モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)22.00g、炭酸カリウム47.58g及びN−メチルピロリドン110.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへ2−ブロモエチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)47.57gを滴下し、滴下終了後、反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン220.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン22.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水220.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(8)で表されるジメトキシエチルモノアリルイソシアヌレートを液体として30.93g得た(収率83.3%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.87 (1H, ddt), 5.29 (1H, dd), 5.23 (1H, dd) 4.49 (2H,d)4.12 (4H, t) 3.62(4H, t) 3.35 (6H, s)であった。
【0024】
<合成例6>
【化10】


モノアリルイソシアヌル酸(製品名:MA−IC、四国化成工業(株)製)40.00g、炭酸カリウム81.73g及びN−メチルピロリドン200.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへヨードメタン(東京化成工業(株)製)83.92gを滴下し、滴下終了後、105℃まで昇温し、2時間撹拌を行うことで反応溶液を得た。その反応溶液へトルエン400.00gを加えた溶液をろ過し、トルエン40.00gで2回ケーキ洗浄した。洗浄後、得られた溶液に水400.00gを加え、分液を行った。この分液操作を3回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(9)で表されるジメチルモノアリルイソシアヌレートを白色固体として39.70g得た(収率85.1%)。
【0025】
<実施例1>
【化11】


合成例1で得られたジエチルモノアリルイソシアヌレート30.00gとクロロホルム225.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)42.43gを加えた。25℃で85.5時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液へクロロホルム300.00gを加え、撹拌しながら5wt%NaHCO600.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%NaSO300.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO600.00gを加え分液した。さらに有機層に水300.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(1−1)で表されるジエチルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として30.77g得た(収率95.8%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 4.16 (dd, 1H), 3.99 (dd,1H), 3.96 (q,4H), 3.26 (dddd, 1H), 2.82 (dd,1H), 2.70 (dd, 1H), 1.25 (t,6H)であった。
【0026】
<実施例2>
【化12】


合成例2で得られたジプロピルモノアリルイソシアヌレート36.00g、クロロホルム270.00gを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)45.28gを加えた。25℃で134時間撹拌を行い、反応溶液を得た。その反応溶液へクロロホルム360.00gを加え、撹拌しながら5wt%NaHCO720.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%NaSO360.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO720.00gを加え分液した。さらに有機層に水360.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(1−2)で表されるジプロピルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として37.93g得た(収率98.0%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、4.17 (1H, dd), 4.00 (1H, dd), 3.86 (4H, t), 3.25 (1H, dddd),2.81(1H, dd), 2.69 (1H, dd),1.68(4H, tq), 0.95 (6H, t)であった。
【0027】
<実施例3>
【化13】


合成例3で得られたジメトキシメチルモノアリルイソシアヌレート30.00gとクロロホルム225.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)37.16gを加えた。25℃で172時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム300.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO600.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%NaSO300.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO600.00gを加え分液した。さらに有機層に水300.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(2−1)で表されるジメトキシメチルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として29.23g得た(収率91.7%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.35 (s, 4H), 4.35 (dd, 1H), 4.19 (dd, 1H), 4.67 (s, 6H), 3.28(dddd,1H), 2.82(dd, 1H), 2.71(dd,1H)であった。
【0028】
<実施例4>
【化14】


合成例4で得られたジメトキシエトキシメチルモノアリルイソシアヌレート20.00gとクロロホルム150.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)18.45gを加えた。25℃で152時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム200.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO400.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%NaSO200.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO400.00gを加え分液した。さらに有機層に水200.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(3−1)で表されるジメトキシエトキシメチルモノグリシジルイソシアヌレートを液体として18.34g得た(収率87.6%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 5.42 (s, 4H), 4.18 (dd, 1H), 4.00 (dd, 1H), 3.82 (t, 4H), 3.52 (t, 4H), 3.34 (s, 6H), 3.25 (dddd, 1H), 2.82 (dd, 1H), 2.71 (dd, 1H)であった。
【0029】
<実施例5>
【化15】


合成例5で得られたジメトキシエチルモノアリルイソシアヌレート31.00gとクロロホルム232.50gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)34.62gを加えた。25℃で152時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム310.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO620.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%NaSO310.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO620.00gを加え分液した。さらに有機層に水310.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(2−2)で表されるジメトキシエチルモノグリシジルイソシアヌレートを液体として30.44g得た(収率93.0%)。尚、この化合物のH NMR(500MHz,CDCl)を測定したところ、δ 4.19-4.12 (5H, m), 4.01 (1H, dd),3.62(4H, t), 3.35 (6H, s), 3.25 (1H, dddd), 2.81(1H, dd), 2.69 (1H, dd)であった。
【0030】
<比較例1>
【化16】


合成例6で得られたジメチルモノアリルイソシアヌレート30.00gとジクロロメタン300.00gとを混合し、25℃で撹拌した。そこへm−クロロ過安息香酸(東京化成工業(株)製)56.51gを加えた。25℃で64.5時間撹拌を行い、得られた反応溶液へクロロホルム300.00gを加えた。撹拌しながらそこへ5wt%NaHCO600.00gを滴下した後に分液を行った。その後、有機層に10wt%NaSO600.00gを加え分液した。引き続き、有機層に5wt%NaHCO600.00gを加え分液した。さらに有機層に水600.00gを加え分液した。この分液操作を2回繰り返した。有機層を減圧下で溶媒留去した後、残渣を40℃にて減圧乾燥することで、上記式(10)で表されるジメチルモノグリシジルイソシアヌレートを白色固体として27.64g得た(収率73.1%)。
【0031】
[溶剤溶解性評価]
実施例1乃至実施例5及び比較例1で得られた各々の化合物0.1gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル0.4gを加え20wt%溶液とし、その溶液を25℃で10分間撹拌を行い、目視にて溶解性を確認した。下記表1に示す通り、比較例1で得られた化合物と比較して、実施例1乃至実施例5で合成した化合物は全て溶解性が向上していた。表1において、×は白濁した溶液であることを表し、○は沈殿物が生じない透明な溶液であることを表す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、例えば、リソグラフィー用反射防止膜形成組成物、レジスト下層膜形成組成物、レジスト上層膜形成組成物、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、平坦化膜形成組成物、接着剤組成物、その他の組成物に適用することができる。本発明のモノグリシジルイソシアヌレート化合物は、また、前記組成物に使用されるオリゴマー又はポリマーを合成する際の、原料化合物として適用することができる。