特許第6820368号(P6820368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6820368フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム
<>
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000002
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000003
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000004
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000005
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000006
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000007
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000008
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000009
  • 特許6820368-フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820368
(24)【登録日】2021年1月6日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】フィードバックを用いて流量比コントローラを制御するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   G05D7/06 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-32579(P2019-32579)
(22)【出願日】2019年2月26日
(62)【分割の表示】特願2016-523861(P2016-523861)の分割
【原出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2019-133681(P2019-133681A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】61/841,178
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/971,485
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グレーゴール, マリウス
【審査官】 大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−53862(JP,A)
【文献】 特開2010−146416(JP,A)
【文献】 特許第4838971(JP,B2)
【文献】 特開2013−84287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量流量コントローラ(MFC)装置のアレイが備える複数のバルブのうちの一つにそれぞれ対応する、複数の流量設定値コマンドを決定することと、
前記複数のバルブのうちの対応するバルブの過渡的な出力流量を設定値比率に到達させる前記複数の流量設定値コマンドの各々を、前記複数のバルブのうちの対応する一つに送ることと、
前記複数のバルブの各々について、前記過渡的な出力流量の間の各バルブでの圧力低下を最小にするターゲット設定値を決定することと、
前記複数のバルブの各々からフィードバックを受け取ることと、
前記フィードバックに基づいて、前記ターゲット設定値が達成されていないことを決定することと、
前記MFC装置アレイの前記複数のバルブについて、前記複数のバルブにおける各値の個別誤差の合計である、全誤差を決定することと、
前記複数のバルブの現在の全出力流量と全誤差に基づいて、前記MFC装置のアレイの前記複数のバルブの望ましい全出力流量を決定することと、
釣り合いの取れた過渡的な出力流量を提供し、且つ前記釣り合いの取れた過渡的な出力流量の間の前記複数のバルブの各バルブでの圧力低下を最小にするために、前記設定値比率にしたがって、前記望ましい全出力流量を前記複数のバルブ間で釣り合いよく分配することによって、前記望ましい全出力流量と合致するように前記現在の全出力流量を変更すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記MFC装置のアレイの前記複数のバルブについて全誤差を決定することが、
前記アレイの前記複数のバルブの各々について、バルブ電圧を決定することと、
前記アレイの前記複数のバルブの各々について、各バルブ電圧とターゲット電圧との差を決定することと、
前記差の合計を決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の全出力流量を変更することがさらに、
前記望ましい全出力流量と前記設定値比率に基づいて、別の複数の流量設定値コマンドを決定することと、
前記別の複数の流量設定値コマンドの各々を、前記複数のバルブのうちの対応する一つに送ること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィードバックが、前記複数のバルブの各々について、測定された流量及び更新されたバルブ電圧を含み、前記更新されたバルブ電圧が、流量示度モジュール(130)からの更新されたバルブ電圧か、バルブ位置モジュール(135)からの更新された電圧示度であり、前記望ましい全出力流量が、前記複数のバルブの前記現在の全出力流量と前記複数のバルブの全誤差の積として計算されるか、または前記望ましい全出力流量が、前記複数のバルブの各々からの測定された流量と対応する流量百分率とに基づくゲインに基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィードバックがさらに、複数の更新されたバルブ電圧を含み、前記全誤差が、複数の最大バルブ電圧と前記複数の更新されたバルブ電圧との複数の差に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の流量設定値コマンドの各々が、対応する流量百分率と、初期の全流量と、対応する初期のバルブ電圧に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
メモリと処理装置を備えたシステムであって、前記処理装置が、
質量流量コントローラ(MFC)装置のアレイが備える複数のバルブのうちの一つにそれぞれ対応する、複数の流量設定値コマンドを決定し、
前記複数のバルブのうちの対応するバルブの過渡的な出力流量を設定値比率に到達させる前記複数の流量設定値コマンドの各々を、前記複数のバルブのうちの対応する一つに送り、
前記複数のバルブの各々について、前記過渡的な出力流量の間の各バルブでの圧力低下を最小にするターゲット設定値を決定し、
前記複数のバルブの各々からフィードバックを受け取り、
前記フィードバックに基づいて、前記ターゲット設定値が達成されていないことを決定し、
前記MFC装置のアレイの前記複数のバルブについて、前記複数のバルブにおける各値の個別誤差の合計である、全誤差を決定し、
前記複数のバルブの現在の全出力流量と全誤差に基づいて、前記MFC装置のアレイの前記複数のバルブの望ましい全出力流量を決定し、
釣り合いの取れた過渡的な出力流量を提供し、且つ前記過渡的な出力流量の間の前記複数のバルブの各バルブでの圧力低下を最小にするために、前記設定値比率にしたがって、前記望ましい全出力流量を前記複数のバルブ間で釣り合いよく分配することによって、前記望ましい全出力流量と合致するように前記現在の全出力流量を変更する、システム。
【請求項8】
前記フィードバックが、前記複数のバルブの各々について、測定された流量及び更新されたバルブ電圧を含み、前記更新されたバルブ電圧が、流量示度モジュール(130)からの更新されたバルブ電圧か、バルブ位置モジュール(135)からの更新された電圧示度である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記現在の全出力流量を変更するために、さらに、前記処理装置が、
前記望ましい全出力流量と前記設定値比率に基づいて、別の複数の流量設定値コマンドを決定し、
前記別の複数の流量設定値コマンドの各々を、前記複数のバルブのうちの対応する一つに送る、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記望ましい全出力流量が、前記複数のバルブの前記現在の全出力流量と前記複数のバルブの全誤差の積として計算されるか、または、前記複数のバルブの各々からの測定された流量と対応する流量百分率とに基づくゲインに基づいて決定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記フィードバックがさらに、複数の更新されたバルブ電圧を含み、前記全誤差が、複数の最大バルブ電圧と前記複数の更新されたバルブ電圧との複数の差に基づく、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記全誤差がさらに、比例要因、積分要因及び微分要因のうちの少なくとも一つに基づく、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の流量設定値コマンドの各々が、対応する流量百分率と、初期の全流量と、対応する初期のバルブ電圧に基づく、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
処理装置によって実行されたときに、
質量流量コントローラ(MFC)装置のアレイが備える複数のバルブのうちの一つにそれぞれ対応する、複数の流量設定値コマンドを決定し、
前記複数のバルブのうちの対応するバルブの過渡的な出力流量を設定値比率に到達させる前記複数の流量設定値コマンドの各々を、前記複数のバルブのうちの対応する一つに送り、
前記複数のバルブの各々について、前記過渡的な出力流量の間の各バルブでの圧力低下を最小にするターゲット設定値を決定し、
前記複数のバルブの各々からフィードバックを受け取り、
前記フィードバックに基づいて、前記ターゲット設定値が達成されていないことを決定し、
前記MFC装置のアレイの前記複数のバルブについて、前記複数のバルブにおける各値の個別誤差の合計である、全誤差を決定し、
前記複数のバルブの現在の全出力流量と全誤差に基づいて、前記MFC装置のアレイの前記複数のバルブの望ましい全出力流量を決定し、
釣り合いの取れた過渡的な出力流量を提供し、且つ前記過渡的な出力流量の間の前記複数のバルブの各バルブでの圧力低下を最小にするために、前記設定値比率にしたがって、前記望ましい全出力流量を前記複数のバルブ間で釣り合いよく分配することによって、前記望ましい全出力流量と合致するように前記現在の全出力流量を変更する
ことを前記処理装置にさせる命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記現在の全出力流量を変更するために、前記処理装置が、
前記望ましい全出力流量と前記設定値比率に基づいて、別の複数の流量設定値コマンドを決定し、
前記別の複数の流量設定値コマンドの各々を、前記複数のバルブのうちの対応する一つに送る、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、流量比コントローラに関し、より詳細には、質量流量コントローラの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理チャンバ用のガス供給システムは、マルチインジェクションポイントアーキテクチャ又はシェアードチャンバアーキテクチャにおいて、混合比の正確さ、反復性及び再現性を改善するために、分流方法を利用する。分流は、幾つかの用途において、ガス供給システムの費用を著しく減少させることができる。流量比コントローラ(FRC)は、有効な分流装置となることができるが、概して非常に複雑である。
【0003】
FRCは、ガス又は混合ガスをプロセスチャンバの中の異なるゾーンに分配するために、半導体産業において広く用いられる。しかしながら、FRCは、釣り合いの取れた過渡的流量を犠牲にして、可能な最速の方法で望ましい新しい設定値を達成するために、釣り合いの取れていない状態を作り出すアルゴリズムをしばしば利用する。加えて、FRCは、チャネルの数及び流量の範囲において、しばしば制限され、高い費用を負わずに拡張することを妨げる。更に、制御アーキテクチャが、装置内に収容され、装置を使用時点制御に制限する。
【0004】
本開示は、添付の図面の図において、限定的でなく、例示的に示される。図中において、同様な参照番号は、同様な要素を示す。本開示における「一つの(an)」又は「一つの(one)」実施形態への異なる言及は、必ずしも、同じ実施形態への言及ではなく、そのような言及は、少なくとも一つを意味する、ということに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、アナログ接続を経由して多チャネル質量流量制御装置に連結されるフィードバック駆動の流量制御モジュールを利用する流量制御システムを示すブロック図である。
図2】流量制御モジュールの一実施形態のブロック図である。
図3】フィードバック駆動の流量制御の方法の一実施形態を示すフロー図である。
図4】流量制御設定値を決定する方法の一実施形態を示すフロー図である。
図5】本発明の一実施形態による、高速イーサキャット(Ethercat)接続を経由して多チャネル質量流量制御装置に連結されるフィードフォワード駆動の流量制御モジュールを利用する流量制御システムを示すブロック図である。
図6】バルブ制御モジュールの一実施形態のブロック図である。
図7】フィードフォワード駆動の流量制御の方法の一実施形態を示すフロー図である。
図8】本発明の一実施形態による、4つのMFC装置を用いる4チャネル流量比コントローラにとっての流量の過渡状態のグラフ表示を示す。
図9】本書に記載される一つ以上の作業を実行することができるコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の実施形態は、2つ以上の質量流量コントローラ(MFC)装置のアレイを用いる多チャネル流量比コントローラ(FRC)を調節する方法及びシステムに向けられる。MFC装置は、互いに並列に動作し、1チャネル当たり1つのMFCで、流量比コントローラチャネルを構成する。MFC装置のアレイが、ガス供給からガスを受け、それをガスチャンバ又はガスチャンバ内の特定のゾーンの方に向ける。MFC装置は、任意の適当な業界標準の質量流量コントローラであってよい。MFC装置のアレイは、個々のMFC装置への及び個々のMFC装置からの信号を処理する流量比制御システムによって管理される。信号は、個々のMFCの各々についてのバルブ位置のみならず、全流量を示す電圧測定値を含むことができる。流量比制御システムは、これらの測定値を処理のために制御サーバに送る。制御サーバは、アレイ中の個々のMFCの各々から測定値を受け取り、アレイを通るガスの全流量に何らかの変化を実施するための制御アルゴリズムを実行する。
【0007】
従来のFRCと異なり、実施形態は、約10毎分標準立方センチメートル(sccm)から約200毎分標準リットル(slm)までの流量範囲にわたって任意の数のチャネルに容易に拡張可能であり、ガスパネル設計の自由度をもたらす。流量設定値を変更する場合に釣り合いの取れていない流量状態を作り出すFRCと異なり、実施形態は、本質的に安定かつチャネル間で釣り合いの取れた制御を、より低い費用で提供する。実施形態は、バルブを可能な限り開いておきながら、流量調整中の圧力低下が最小化されるように、全ガス流をチャネルの間で分ける。
【0008】
「約」及び「おおよそ」という言葉が、本書で用いられる場合、これらは、提示された名目値が±10%以内で正確であるということを意味するものとする。加えて、「レシピ」という用語が本書で用いられる場合、望ましい全流量を達成するために、MFCアレイにわたって配分される流量及び/又はバルブ設定値のある特定の組合せを指すものとする。同様に、「レシピ制御アルゴリズム」という用語は、既定の流量「レシピ」を維持する役割を有する処理論理を指すものとする。
【0009】
一実施形態において、MFCアレイは、システムが各通信サイクルで流量設定値コマンドを各MFCに送る流量設定値モードで、駆動されることができる。流量設定値コマンドは、流量比、測定された全流量及びMFCバルブ電圧の関数である。流量比制御システムは、各MFCからの流量及びバルブ電圧を評価する。この情報は、制御サーバに送られることができ、そこで、更新された流量設定値が、リアルタイム閉フィードバックループで各MFCについて計算される。実施形態において、流量比制御システムは、アナログ接続を経由して、各MFCへコマンドを送り、各MFCから信号を受け取る。実施形態において、流量比制御システムは、アナログデジタルインターフェースを通ってデジタル接続を経由して、リアルタイムシステムと通信する。一実施形態において、デジタル接続は、高速イーサキャット接続であってもよい。
【0010】
他の実施形態において、MFCアレイは、フィードフォワード制御モードで駆動されることができる。この実施形態において、アレイ中のMFCは、アナログデジタルインターフェースを必要とせずに、高速イーサキャット接続などの直接のデジタル接続をサポートすることができる。デジタル接続の使用は、より大量のデータ及び制御測定値を流量比制御システムと制御サーバの間で送受信する能力を提供することができる。それ故に、流量比制御システムは、はるかにより高速かつ正確に制御サーバと通信することができる。実施形態において、流量比制御システムから流量及び電圧情報を受け取った後、制御サーバは、閉フィードバックループからブレークし、MFCの各々に直接にコマンドを送ることができる。一実施形態において、制御サーバは、制御サーバ内のフィードバック制御論理を迂回して、固定のMFC流量設定値を直接に各MFCに送ることができる。他の実施形態において、制御サーバは、MFCバルブ位置設定値を直接に各MFCに送ることができる。
【0011】
フィードフォワード実施形態において、流量比制御システムによって以前に使用された設定値は、データ記憶に保存することができる。制御サーバは、流量比制御システム内で遭遇した特定の流量状態について、正しい流量及び/又はバルブ設定値を予測するために、データ記憶を使用することができる。過去に遭遇した可能性のある不安定な流量状態が検知された場合、制御サーバは、以前の状態を修正するように上手く実行された設定値を選択することができる。その後、制御サーバは、フィードバック制御論理にアクセスせずに、更新された設定値コマンドを直接にMFCアレイに送ることができる。例えば、プロセスレシピステップが、MFCアレイ内に過渡的な流量の不安定を引き起こす場合、その問題を修正するために各チャネルに対して用いられた流量設定値が、データ記憶に保存され、将来遭遇される同様な不安定を除去するために用いられることができる。その後に、同じ又は類似の流量不安定に遭遇した場合、制御サーバは、データ記憶にアクセスし、流量の修正につながる一連の流量設定値を予測することができる。
【0012】
図1は、アナログ接続を経由して多チャネル質量流量制御装置に連結されるフィードバック駆動の流量制御モジュールを利用する流量制御システム100を示すブロック図であり、本書に記載される実施形態は、この中で動作することができる。流量制御システム100は、ユーザインターフェース105、制御サーバ110、流量比制御システム125、及びMFCアレイ140を含むことができる。制御サーバ110は、アナログデジタル通信を提供するアナログデジタルインターフェース120を経由して流量比制御システム125に連結されることができる。流量比制御システム125は、質量流量コントローラMFC140−1〜MFC140−nのアレイからアナログ信号を受け取り、アレイにアナログ信号を送ることができる。ここで、nは、任意の実施形態における質量流量コントローラの総数を表す。例えば、一実施形態において、質量流量コントローラの総数は、2であってもよい。別の実施形態において、質量流量コントローラの総数は、10であってもよい。各MFC140−1〜140−nが、ガス供給145からガスの入力流量146を受け取り、チャンバ150へ向けられたガスの出力流量147を作り出す。
【0013】
ユーザインターフェース105、制御サーバ110、及び流量比制御システム125に対して、サーバコンピュータ、ゲートウェイコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、モバイル通信デバイス、携帯電話、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータ、又は類似の計算装置を含む任意のタイプの計算装置が、個別にホストになることができる。あるいは、ユーザインターフェース105、制御サーバ110、及び流量比制御システム125の任意の組合せに対して、サーバコンピュータ、ゲートウェイコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイル通信デバイス、携帯電話、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータ、又は類似の計算装置を含む単一の計算装置が、ホストになることができる。
【0014】
ユーザインターフェース105は、ユーザが制御サーバ110に入力を供給することを可能にするための異なる機能性を有するように、様々に構成されることができる。加えて、ユーザインターフェース105は、制御サーバ110のステータスに関する情報をユーザに提供するように構成されることができる。一実施形態において、ユーザインターフェース105は、望ましい全流量レシピ、現在の全流量示度、任意のMFCについての個別誤差、MFCアレイについての全誤差、又はそれらの任意の組合せを表示することができる。他の実施形態において、ユーザインターフェース105は、MFCアレイ140を通る流量操作を終了させるために用いることができる。
【0015】
制御サーバ110は、MFCアレイ140のうちの任意又は全てのステータスに関して流量比制御システム125から受け取るフィードバックに基づく、流量レシピの実行及び調整のためのリソース集約的なアルゴリズムを実行することができる。一実施形態において、制御サーバ110は、流量制御モジュール115を含むことができる。
【0016】
流量制御モジュール115は、流量レシピの任意又は全ての構成要素の計算に関係する処理を扱うことができる。一実施形態において、流量制御モジュール115は、流量比制御システム125によって制御される各MFC140に流量設定値コマンドを送ることができる。一実施形態において、各MFCについての流量設定値コマンドは、流量百分率、初期全流量測定値、及び初期バルブ電圧測定値に基づくことができる。その後、各MFCからの流量及びバルブ電圧の示度(又は測定値)が、流量制御モジュール115に送り返されることができ、そこで、流量レシピが評価される。その後、更新された流量設定値が、リアルタイム閉フィードバックループで各MFCについて計算されることができる。その後、更新された流量設定値が、流量比制御システム125に送られ、MFCアレイ140の個々のMFCを調整することができる。
【0017】
制御サーバ110は、アナログデジタルインターフェース120に連結された高速デジタル接続を経由して、流量比制御システム125と通信することができる。制御サーバ110は、イーサキャットなどの高速接続によるデジタル入出力をサポートすることができるが、MFC技術の中には、アナログ信号入出力しかサポートしないものもある。アナログデジタルインターフェース120は、アナログMFCアレイ140と制御サーバ115の間の接続性を提供する。一実施形態において、アナログデジタルインターフェース120は、高分解能アナログデジタル及びデジタルアナログ変換を利用して、アナログ入出力をイーサキャット入出力に変換するCIOCインターフェースであってもよい。
【0018】
流量比制御システム125は、MFCアレイ140の各MFCの流量示度及びバルブ位置の測定に関係する処理を扱うことができる。流量比制御システム125は、流量示度モジュール130及びバルブ位置モジュール135を含むことができる。一実施形態において、流量示度モジュール130は、MFCアレイ140の個々のMFCの各々から、その個々のMFCの全流量を示すバルブ電圧示度を受け取る。その後、流量示度モジュール130は、全流量示度を、レシピ制御アルゴリズムで用いられるように、制御サーバ110に送る。一実施形態において、バルブ位置モジュール135は、MFCアレイ140の各MFCから、その個々のMFCのバルブ位置を示す電圧示度を受け取る。その後、バルブ位置モジュール135は、バルブ位置示度を、レシピ制御アルゴリズムで用いられるように、制御サーバ110に送る。
【0019】
加えて、流量比制御システム125は、更新された設定値コマンドをMFCアレイ140の各MFCへ送ることができる。流量の変化が必要であると、流量制御モジュール115が判定する場合、制御サーバ110は、更新された流量設定値コマンドを、流量比制御システム125を経由してMFCアレイ140に送ることができる。同様に、バルブ位置の変化が必要であると、流量制御モジュール115が判定する場合、制御サーバ110は、更新されたバルブ位置設定値コマンドを、流量比制御システム125を経由してMFCアレイ140に送ることができる。
【0020】
図2は、流量制御モジュール200の一実施形態のブロック図であり、図1の流量制御モジュール115に対応することができる。流量制御モジュール200は、ターゲット設定値モジュール210、誤差モジュール215、全流量モジュール220、及び更新設定値モジュール225のうちの一つ以上を含むことができる。加えて、流量制御モジュール200は、流量示度データ230及びバルブ位置データ235を受け取ることができ、並びに更新された流量設定値コマンド240を送信することができる。
【0021】
ターゲット設定値モジュール210は、MFCアレイ140の各MFCについて、バルブ電圧の参照閾値を決定するように構成される。参照閾値は、過渡的な流量の間の圧力低下が最小になるように、各MFCバルブがそこへと駆動されることができるターゲットバルブ電圧を表す。一実施形態において、ターゲット設定値モジュール210は、バルブが可能な限り大きく開いている点を表す設定値を利用して、ターゲット参照閾値に達するまで、その設定値を低下させる。一実施形態において、ターゲット設定値モジュール210は、ターゲット電圧を計算し、その値をVmaxと表す。
【0022】
誤差モジュール215は、設定値モジュール210からのターゲット電圧Vmaxと、MFC140アレイ140の各MFCの個々のバルブ電圧との間の差を確定するように構成される。MFCアレイ140の各MFCの個々のバルブ電圧は、図1の流量比制御システム125からバルブ位置データ235として受け取ることができる。
【0023】
誤差モジュール215は、値dVi=Vimax-Viを計算する。ここで、iは、MFCアレイの特定のMFCを表し、Vimaxは、そのMFCのVmaxを表し、Viは、そのMFCの実際の電圧を表す。dViの値が正の場合(すなわち、実際のバルブ電圧が、最大閾値よりも低い場合)、それは、そのMFCについての誤差を表す。dViの値が負の場合(すなわち、実際のバルブ電圧が、最大閾値を上回る場合)、誤差モジュール215は、dViの関数として誤差を計算する。関数を用いることによって、バルブをより速く戻すために、誤差が指数関数的に大きくなるように、誤差要因に追加の重みを加えることが可能になる。様々な実施形態において、関数は、比例要因、指数要因、又は多項式要因を用いることができる。
【0024】
その後、誤差モジュール215は、MFCアレイのMFCについてのVimax値を合計し、MFCアレイの全誤差を確定する。一実施形態において、誤差は、eと表すことができる。
【0025】
全流量モジュール220は、MFCアレイのMFCについての望ましい全流量を決定するように構成される。全流量モジュール220は、最初に、MFCアレイのMFCにわたるトータルゲインを計算する。一実施形態において、トータルゲインは、Pと表される。トータルゲインは、MFCアレイのMFCにわたっての全流量示度の比率として確定される。全流量モジュール220は、ゲインテーブルを用いて、そこから、ある特定の時点における実際の流量と実際の比率の関数として実際のゲインを内挿することができる。一実施形態において、MFCアレイのMFCの全流量は、図1の流量比制御システム125から流量示度データ230として受け取ることができる。一実施形態において、全流量は、QRdと表される。その後、全流量モジュール220は、望ましい全流量を、QRdと、誤差モジュール215で計算された誤差の積として計算する。一実施形態において、望ましい全流量は、Q−totと表される。従って、Q−tot=QRd*eである。一実施形態において、全流量は、MFCアレイで用いられるMFC装置についての最大値を上回ることができない。
【0026】
更新設定値モジュール225は、望ましい全流量と比べた現在の流量状態に基づいて、MFCアレイ140の各MFCについて新しい設定値を決定するように構成される。更新設定値モジュール225は、全流量モジュール220からの望ましい全流量Q−totを、MFCアレイの各MFCについての既定の設定値比率で掛ける。例えば、MFCアレイが、それぞれ10%、20%、30%及び40%の流量比を有する4個のMFCから構成される場合、更新設定値モジュール225は、全流量モジュール220で導出されたQ−totを、4個のMFCの各々についての比率で掛けて、4個のMFCの各々について新しい設定値を決定するであろう。一実施形態において、その後、更新設定値モジュール225は、更新された設定値を、更新された流量設定値コマンド240としてMFCアレイのMFCに送ることができる。
【0027】
図3は、フィードバック駆動の流量制御の方法300の一実施形態を示すフロー図である。方法300は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理、プログラマブルロジック、マイクロコード、等)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で走る命令)、又はその組合せを含むことのできる処理論理によって実行することができる。一実施形態において、方法300は、図1の流量制御モジュール115によって実行される。
【0028】
方法300のブロック301で、処理論理は、MFCアレイ140についての初期設定値コマンドを決定する。一実施形態において、これは、図2のターゲット設定値モジュール210によって実行することができる。ブロック302で、処理論理は、システム内のバルブに初期設定値コマンドを送る。一実施形態において、バルブは、図1のMFCアレイ140の中の単一のMFC装置である。ブロック303で、ひとたび設定値コマンドがMFCアレイの各MFCによって処理されると、処理論理はバルブからフィードバックを受け取る。
【0029】
ブロック304で、処理論理は、各MFCについてのターゲット設定値が達成されたかどうかを判定する。ブロック304で、処理論理が、ターゲット設定値が達成されたと判定する場合、本方法は、ブロック303に戻り、再びMFCからフィードバックを受け取る。そうでない場合、本方法はブロック305へと続いて、処理論理が、ブロック303で受け取られたフィードバックに基づいて、更新された設定値コマンドを決定する。一実施形態において、ブロック305は、図2の、誤差モジュール215、全流量モジュール220、及び更新設定値モジュール225のうちの任意のもの又は全てのものの組合せによって実行されることができる。
【0030】
ブロック306で、処理論理は、更新された設定値コマンドをバルブに送る。一実施形態において、ブロック306は、図2の更新設定値モジュール225によって実行され、図2の更新された流量設定値コマンド240としてコマンドを送ることができる。ブロック307で、処理論理は、流量を終了させるべきかどうかを判定する。例えば、ユーザは、図1のユーザインターフェース105などを通して、流量を終了させるためのコマンドを入力することができる。ブロック307で、処理論理が、流量が終了されるべきであると判定する場合、本方法は終了する。そうでない場合、本方法は、ブロック303に戻り、再びMFCからフィードバックを受け取る。
【0031】
図4は、流量制御設定値を決定する方法400の一実施形態を示すフロー図である。方法400は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理、プログラマブルロジック、マイクロコード、等)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で走る命令)、又はその組合せを含むことのできる処理論理によって実行することができる。一実施形態において、方法400は、図1の流量制御モジュール115によって実行される。
【0032】
方法400のブロック401で、処理論理は、MFCアレイの各バルブについてターゲット設定値を決定する。一実施形態において、ブロック401は、図2のターゲット設定値モジュール210によって実行することができる。例えば、ターゲット設定値モジュールは、バルブが可能な限り大きく開いている点を表す設定値を利用して、ターゲット参照閾値に達するまで、その設定値を低下させることができる。ここで、ターゲット設定値は、Vmaxと表される電圧である。
【0033】
ブロック402で、処理論理は、MFCアレイのMFCにわたっての全誤差値を計算する。一実施形態において、ブロック402は、図2の誤差モジュール215によって実行することができる。例えば、ターゲット電圧Vmaxと各MFCの個々のバルブ電圧との間の差が、値dVi=Vimax-Viとして計算されることができる。ここで、iは、MFCアレイの特定のMFCを表し、Vimaxは、そのMFCのVmaxを表し、Viは、そのMFCの実際の電圧を表す。MFCについてVimaxの値が合計され、MFCアレイの全誤差を確定することができ、これは、eと表すことができる。
【0034】
ブロック403で、処理論理は、MFCアレイのMFCにわたっての望ましい全流量を計算する。一実施形態において、ブロック403は、図2の全流量モジュール220によって実行することができる。例えば、MFCアレイのMFCにわたってのトータルゲインを、Pと表すことができ、ここでトータルゲインは、MFCアレイのMFCにわたる全流量示度の比率として確定される。MFCアレイのMFCの全流量は、QRdと表すことができる。望ましい全流量は、QRdと誤差eの積とすることができ、ここで、望ましい全流量は、Q−totと表すことができる。
【0035】
ブロック404で、処理論理は、MFCアレイのMFCの各々について、更新された設定値を計算する。一実施形態において、ブロック404は、図2の更新設定値モジュール225によって実行することができる。例えば、全流量モジュール220からの望ましい全流量Q−totを、MFCアレイの各MFCについての既定の設定値比率で掛け、各MFCについて、更新された設定値を決定することができる。
【0036】
ブロック405で、処理論理は、更新された設定値コマンドをバルブに送る。一実施形態において、ブロック405は、図2の更新設定値モジュール225によって実行され、図2の更新された流量設定値コマンド240としてコマンドを送ることができる。ブロック406で、処理論理は、MFCアレイの各MFCについて流量示度とバルブ位置を受け取る。ブロック407で、処理論理は、流量を終了させるべきかどうかを判定する。例えば、ユーザは、図1のフロントエンドシステム105などを通して、流量を終了させるためのコマンドを入力することができる。ブロック407で、処理論理が、流量が終了されるべきであると判定する場合、本方法は終了する。そうでない場合、本方法はブロック408へ続き、処理論理は、MFCアレイのMFCにわたる実際の全流量を計算する。その後、本方法は、ブロック402に戻り、流量が終了されない限り、このプロセスを繰り返す。
【0037】
図5は、高速イーサキャット接続を経由して多チャネル質量流量制御装置に連結されるフィードフォワード駆動の流量制御モジュールを利用する流量制御システム500を示すブロック図であり、本書に記載される実施形態は、この中で動作することができる。流量制御システム500は、ユーザインターフェース505、制御サーバ510、及び流量比制御システム525を含むことができる。制御サーバ510は、高速データ転送を提供するデジタル接続を経由して流量比制御システム525に連結されることができる。流量比制御システム525は、質量流量コントローラMFC540−1〜MFC540−nのアレイに連結されることができる。ここで、nは、任意の実施形態における質量流量コントローラの総数を表す。例えば、一実施形態において、質量流量コントローラの総数は、2であってもよい。別の実施形態において、質量流量コントローラの総数は、10であってもよい。MFCアレイ540の質量流量コントローラの各々が、ガス供給545からガスの入力流量546を受け取り、チャンバ550へ向けられた出力流量547を作り出す。
【0038】
ユーザインターフェース505、制御サーバ510、及び流量比制御システム525に対して、サーバコンピュータ、ゲートウェイコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、モバイル通信デバイス、携帯電話、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータ、又は類似の計算装置を含む任意のタイプの計算装置が、個別にホストになることができる。あるいは、ユーザインターフェース505、制御サーバ510、及び流量比制御システム525の任意の組合せに対して、サーバコンピュータ、ゲートウェイコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイル通信デバイス、携帯電話、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータ、又は類似の計算装置を含む単一の計算装置が、ホストになることができる。
【0039】
ユーザインターフェース505は、ユーザが制御サーバ510に入力を供給することを可能にするための異なる機能性を有するように、様々に構成されることができる。加えて、ユーザインターフェース505は、制御サーバ510のステータスに関する情報をユーザに提供するように構成されることができる。一実施形態において、ユーザインターフェース505は、望ましい全流量レシピ、現在の全流量示度、任意のMFCについての個別誤差、MFCアレイ540についての全誤差、又はそれらの任意の組合せを表示することができる。他の実施形態において、ユーザインターフェース505は、MFCアレイ540を通る流量操作を終了させるために用いることができる。
【0040】
制御サーバ510は、MFCアレイ540に存在する、調整が必要な流量状態を検知するために、流量比制御システム525から受け取る情報をモニタするためのリソース集約的なアルゴリズムを実行することができる。一実施形態において、制御サーバ510は、バルブ制御モジュール515及び設定値データ520を含むことができる。
【0041】
バルブ制御モジュール515は、MFCアレイ540への流量調整を行うことに関係する処理を扱うことができる。一実施形態において、バルブ制御モジュール515は、MFCアレイ540の中の流量不安定を検知し修正することができる。他の実施形態において、バルブ制御モジュール515は、ユーザインターフェース505に入力されたコマンドに基づいて、MFCアレイ540に流量調整を行うことができる。
【0042】
一実施形態において、バルブ制御モジュール515は、流量比制御システム525を経由して各MFCに初期設定値コマンドを送ることができる。その後、各MFCからの流量及びバルブ電圧が、バルブ制御モジュール515に送り返されることができ、そこで、流量が評価される。流量不安定が、MFCアレイ540の中に検知される場合、バルブ制御モジュール515は、不安定を修正するためのバルブ又は流量設定値を予測することができる。バルブ制御モジュール515は、データ記憶に保存されている類似の流量不安定状況において用いられた以前の設定値に基づいて予測を行うことができる。一実施形態において、データ記憶は、設定値データ520であってもよい。その後、更新された設定値が、MFCアレイ540の各MFCについて計算されることができる。その後、更新された流量設定値が、高速デジタル接続を経由して流量比制御システム525に直接に送られ、MFCアレイ540の個々のMFCを調整することができる。
【0043】
一実施形態において、バルブ制御モジュール515は、流量不安定が、各MFCについての全流量設定値における特定の変化で修正できると、判定することができる。この状況において、バルブ制御モジュール515は、固定のMFC流量設定値を、デジタル接続を通ってMFCアレイ540の各MFCに直接に送ることができ、任意のフィードバック制御を直接に迂回することができる。他の実施形態において、バルブ制御モジュール515は、流量不安定が、MFCアレイ540の特定のMFCについてのバルブ位置の変化で修正できると、判定することができる。この状況において、バルブ制御モジュール515は、MFCアレイ540の適用可能なMFCに直接にバルブ位置設定値を送ることができる。バルブ制御モジュール515は、これらの2つのフィードフォワード制御モードのうちのいずれか又は両方を用いて、MFCアレイ540のMFCを個別にのみ更新することができ、又はMFCアレイ540のMFCを同時に更新することができる。
【0044】
制御サーバ510は、高速デジタル接続を経由して流量比制御システム525と通信することができる。一実施形態において、この接続は、イーサキャット接続であってもよい。デジタル接続の使用は、制御サーバ510と流量比制御システム525の間で、より大量のデータ及び制御測定値を送受信する能力を提供することができる。それ故に、制御サーバ510は、はるかにより高速かつ正確に流量比制御システム525と通信することができる。
【0045】
流量比制御システム525は、MFCアレイ540の各MFCの流量示度及びバルブ位置の測定に関係する処理を扱うことができる。流量比制御システム525は、流量示度モジュール530及びバルブ位置モジュール535を含むことができる。一実施形態において、流量示度モジュール530は、MFCアレイ540の個々のMFCの各々から、その個々のMFCの全流量を示すバルブ電圧示度を受け取る。その後、流量示度モジュール530は、全流量示度を、バルブ制御アルゴリズムで用いられるように、リアルタイムシステム510に送る。「バルブ制御アルゴリズム」という用語は、既定のバルブ電圧「レシピ」を維持する役割を有する処理論理を指すものとする。一実施形態において、バルブ位置モジュール535は、MFCアレイ540の各MFCから、その個々のMFCのバルブ位置を示す電圧示度を受け取る。その後、バルブ位置モジュール535は、バルブ位置示度を、バルブ制御アルゴリズムで用いられるように、リアルタイムシステム510に送る。
【0046】
加えて、流量比制御システム525は、更新された設定値コマンドをMFCアレイ540の各MFCへ送ることができる。流量の変化が必要であると、バルブ制御モジュール515が判定する場合、制御サーバ510は、更新された流量設定値コマンドを、流量比制御システム525を経由してMFCアレイ540に送ることができる。同様に、バルブ位置の変化が必要であると、バルブ制御モジュール515が判定する場合、制御サーバ510は、更新されたバルブ位置設定値コマンドを、流量比制御システム525を経由してMFCアレイ540に送ることができる。
【0047】
図6は、バルブ制御モジュール600の一実施形態のブロック図であり、図1のバルブ制御モジュール515に対応することができる。バルブ制御モジュール600は、ターゲット設定値モジュール610、流量調整モニタ615、予測モジュール620、及び更新設定値モジュール625のうちの一つ以上を含むことができる。加えて、バルブ制御モジュール600は、流量示度データ630、バルブ位置データ635、及び以前の設定値データ640を受け取ることができ、並びに更新された流量設定値コマンド640を送信することができる。
【0048】
ターゲット設定値モジュール610は、MFCアレイの各MFCについて、バルブ電圧の参照閾値を決定するように構成される。参照閾値は、過渡的な流量の間の圧力低下が最小になるように、各MFCバルブがそこへと駆動されることができるターゲットバルブ電圧を表す。一実施形態において、ターゲット設定値モジュール610は、バルブが可能な限り大きく開いている点を表す設定値を利用して、ターゲット参照閾値に達するまで、その設定値を低下させる。
【0049】
流量調整モニタ615が、MFCアレイにわたる流量をモニタし、調整が必要かどうかを判定するように構成される。一実施形態において、流量調整モニタ615は、図5のユーザインターフェース505から更新された設定値コマンドを受け取ることができる。他の実施形態において、流量調整モニタ615は、任意の又は全てのMFCの過渡的な流量における不安定に対してMFCアレイをモニタすることができる。一実施形態において、流量不安定モジュール615は、図2の誤差モジュール215で説明したような誤差を計算することに基づいて不安定を検知することができる。他の実施形態において、流量調整モニタ615は、図2の全流量モジュール220で説明したようなMFCアレイのMFCにわたる全流量示度を用いてゲインを計算することに基づいて、不安定を検知することができる。実施形態において、流量調整モニタ615は、流量不安定がMFCアレイに存在するかどうかを判定するために、流量示度データ630及び/又はバルブ位置データ635を用いることができる。
【0050】
予測モジュール620が、流量調整モニタ615によって検知される流量調整に基づいて、修正されたバルブ又は流量設定値を生成するように、構成される。一実施形態において、予測モジュール620は、図5のユーザインターフェース505を通るユーザ入力を経由して直接に修正設定値を受け取ることができる。他の実施形態において、予測モジュール620は、ユーザ入力に基づいて、更新された設定値を予測することができる。例えば、ユーザが、更新された設定値をユーザインターフェースに入力する場合、予測モジュール620は、より効率的な流量が達成された以前に入力された設定値に基づいて、最も効率的な流量又はバルブの設定値の予測を生成することができる。予測モジュール620は、実質的に類似の設定値の組が過去に入力されたことがあるかどうか、及びそれらの設定値が流量不安定を招いたかどうかを判定するために、保存された設定値のデータベースをサーチすることができる。その後、予測モジュール620は、非効率な流量状態を回避しそうな設定値の新たな組を生成することができる。
【0051】
他の実施形態において、予測モジュール620は、流量調整モニタ615によって検知された任意の不安定を修正するために、可能なバルブ又は流量の設定値を予測することができる。流量不安定が検知される場合、予測モジュール620は、図5の設定値データ520に見出すことができるような、保存された設定値のデータベースから以前の設定値データ640を受け取ることができる。予測モジュール620は、現在検知されている流量不安定(又は実質的に類似の流量不安定)が、以前にシステム内で起こったかどうかを判定するために、保存された設定値をサーチすることができる。そうである場合、予測モジュール620は、現在検知されている流量不安定を修正しようとするために、以前の流量不安定を修正するためにシステムによって利用された設定値を受け取るであろう。
【0052】
あるいは、現在の流量不安定の状態が、以前システム内で遭遇されなかった場合には、予測モジュール620は、現在の流量不安定と類似していた不安定状態をサーチすることができる。一実施形態において、予測モジュール620は、設定可能な閾値限界を用いることができ、その閾値限界によって、以前に遭遇した任意の流量不安定状態は、現在の流量不安定に十分に類似しており、可能な修正を予測するのに役立つと、見なすことができる。例えば、一実施形態は、現在の不安定状態の全流量電圧を、保存された不安定データの全流量電圧と比較することができる。2つが同じではないが、互いの既定の電圧閾値の範囲内にある場合、予測モジュール620は、2つが十分に類似しているので、保存されているデータの設定値が、現在の問題についての修正を予測する際に役立つことができると、判定することができる。
【0053】
更新設定値モジュール625は、予測モジュール620によって生成された予測に基づいて、MFCアレイの各MFCについての新しい設定値を決定するように、構成される。一実施形態において、更新設定値モジュール625は、更新された設定値を、更新された流量設定値コマンド645としてMFCアレイのMFCに直接に送ることができる。
【0054】
図7は、フィードフォワード駆動の流量制御の方法700の一実施形態を示すフロー図である。方法700は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理、プログラマブルロジック、マイクロコード、等)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で走る命令)、又はその組合せを含むことのできる処理論理によって実行することができる。一実施形態において、方法700は、図5のバルブ制御モジュール515によって実行される。
【0055】
方法700のブロック701で、処理論理は、MFCアレイについての初期設定値コマンドを決定する。一実施形態において、これは、図6のターゲット設定値モジュール610によって実行することができる。ブロック702で、処理論理は、システム内のバルブに初期設定値コマンドを送る。一実施形態において、バルブは、図5のMFCアレイ540の中のMFC装置である。ブロック703で、処理論理は、流量調整が必要とされるかどうかを判定する。例えば、一実施形態において、流量不安定がシステム中で検知されたかどうかが、判定される。他の実施形態において、新しい設定値コマンドがユーザインターフェースに入力されたかどうかが、判定されることができる。流量調整が必要とされない場合、処理論理は、流量調整に関してシステムをモニタし続ける。処理論理が、流量調整が必要であると判定する場合、本方法はブロック704へと続き、処理論理は調整を予測する。例えば、流量不安定が検知される場合、流量不安定に対する修正が、予測されることができる。同様に、ユーザが、更新された設定値コマンドをユーザインターフェースに入力し、それが流量不安定をもたらし得る場合、流量不安定を回避するために、ユーザが入力した設定値に対する修正が、判定されることができる。一実施形態において、ブロック704は、図6の予測モジュール620によって実行されることができる。
【0056】
ブロック705で、処理論理は、ブロック704で予測された調整に基づいて、更新された設定値コマンドを決定する。一実施形態において、ブロック705は、図6の更新設定値モジュール625によって実行することができる。ブロック706で、処理論理は、更新された設定値コマンドをバルブに送る。一実施形態において、ブロック706は、図6の更新設定値モジュール625によって実行され、更新されたバルブ設定値コマンド645としてコマンドを送ることができる。
【0057】
ブロック707で、処理論理は、流量を終了させるべきかどうかを判定する。例えば、ユーザは、図5のフロントエンドシステム505などを通して、流量を終了させるためのコマンドを入力することができる。ブロック707で、処理論理が、流量が終了されるべきであると判定する場合、本方法は終了する。そうでない場合、本方法は、ブロック703に戻り、システム内の流量不安定を再びチェックする。
【0058】
図8は、本発明の一実施形態による、4つのMFC装置を用いる4チャネル流量比コントローラにとっての流量の過渡状態のグラフ表示を示す。一実施形態において、MFC801、MFC802、MFC803、及びMFC804は、図1のMFC140−1からMFC140−nまでであってもよい。
【0059】
10秒と示された時刻で、MFC801及びMFC803は、各々、26%の流量比に設定され、MFC802及びMFC804は、各々、24%の流量比に設定される。MFCは、おおよそ時刻16まで、これらの設定値に留まり、そこで、新しい設定値がシステムに入力される。例えば、ユーザは、新しいターゲット設定値を図1のフロントエンドシステム105に入力することができる。時刻16で、流量制御アルゴリズムは、更新された設定値を反復して計算し、アレイの4つのMFCの各々にそれらを送ることを開始する。一実施形態において、流量制御アルゴリズムは、図1の流量制御モジュール115によって実行されることができる。全流量にスパイク波形をこうむらずに、望ましい流量が達成されるまで、4つのMFCの各々が釣り合い良く調整される。おおよそ17秒の時刻で、MFC801は41%の流量に更新され、MFC802は39%の流量に更新され、MFC803は11%の流量に更新され、MFC804は9%の流量に更新された。
【0060】
おおよそ24秒の時刻で、設定値は再び更新され、4つのMFCを新たな望ましい流量へと至らせる。おおよそ26秒の時刻で、MFC803は41%の流量に更新され、MFC804は39%の流量に更新され、MFC801は11%の流量に更新され、MFC802は9%の流量に更新された。
【0061】
図8は4つのチャネルの場合の実施形態を記載することに、留意されたい。しかしながら、実施形態によれば、MFCアレイは、4つより少ないチャネルを含んでもよいし、4つより多いチャネルを含んでもよい。
【0062】
図9は、例示的な計算装置900を示すブロック図である。一実施形態において、計算装置は、制御モジュール940を提供する計算装置に対応する。一実施形態において、制御モジュール940は、図1の流量制御モジュール115であってもよい。他の実施形態において、制御モジュール940は、図5のバルブ制御モジュール515であってもよい。計算装置900は、本明細書で論じられる技法のうちの任意の1つ以上をマシンに実行させるための1組の命令を含む。代替的な実施形態において、マシンは、LAN、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットの中の他のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)させることができる。マシンは、クライアントサーバネットワーク環境の中のサーバマシンの能力で動作することができる。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はそのマシンによって取られるべきアクションを明示する1組の命令(シーケンシャル又は他の方法の)を実行する能力のある任意のマシンであってよい。更に、単一のマシンのみが示されているけれども、「マシン」という言葉は、本明細書で論じられる技法のうちの任意の一つ以上を実行するための1組(又は複数の組)の命令を個別に又は共同で実行するマシンの任意の集まりをも含むとみなされるものとする。
【0063】
例示的な計算装置900は、処理システム(処理装置)902、メインメモリ904(例えば、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、等)、スタティックメモリ1006(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、等)、及びデータストレージ装置918を含み、それらはバス930を経由して互いと通信する。
【0064】
処理装置902は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの一つ以上の汎用処理装置を表す。更に詳細には、処理装置902は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実行するプロセッサ若しくは命令セットの組合せを実行するプロセッサであってよい。処理装置902はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの、一つ以上の専用処理装置であってもよい。処理装置902は、本明細書で論じられる動作及びステップを実行するために制御モジュール940を実行するように構成される。
【0065】
計算装置900は、ネットワークインターフェース装置908を更に含むことができる。計算装置900はまた、ビデオディスプレイ装置910(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又はブラウン管(CRT))、英数字入力装置912(例えば、キーボード)、カーソル制御装置914(例えば、マウス)及び信号生成装置916(例えば、スピーカ)を含むことができる。
【0066】
データストレージ装置918は、本明細書で論じられる技法又は機能のうちの任意の一つ以上を具現化している一つ以上の組の命令(制御モジュール940の命令)が記憶されるコンピュータ可読ストレージ媒体928を含むことができる。制御モジュール940はまた、計算装置900によるそれの実行中、メインメモリ904の中及び/又は処理装置902の中に、完全に又は少なくとも部分的に、存在することができ、メインメモリ904と処理装置902もまた、コンピュータ可読媒体を構成する。更に、制御モジュール940は、ネットワークインターフェース装置908を経由してネットワーク920を通じて送信又は受信されることができる。
【0067】
コンピュータ可読ストレージ媒体928は、例示的な実施形態において、単一の媒体であると示されているけれども、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、一つ以上の組の命令を記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むとみなされるべきである。「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語はまた、マシンによって実行され、本開示の任意の一つ以上の技法をマシンに実行させる1組の命令を記憶し、符号化し、又は運ぶことができる任意の媒体を含むと見なされる。従って、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、限定されないが、固体記憶装置、光学式媒体、及び磁気媒体を含むと見なされる。
【0068】
上記に、多数の詳細が述べられている。しかしながら、これらの特定の詳細がなくとも本開示の実施形態は実施できるということが、本開示を利用できる当業者にとって明らかであろう。幾つかの例では、説明を不明瞭にすることを回避するため、周知の構造及び装置が、詳細によりはむしろ、ブロック図の形で示される。
【0069】
詳細な説明の幾つかの部分は、アルゴリズム及びコンピュータメモリ内のデータビットでの動作の記号表示で提示される。これらのアルゴリズム的記載及び表示は、データ処理の当業者が、彼らの仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために用いる手段である。本明細書で及び一般に、アルゴリズムは、望まれる結果をもたらす、自己矛盾のないステップのシーケンスであると考えられる。ステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずではないが、通常、これらの量は、保存され、転送され、結合され、比較され、及びその他の方法で操作されることのできる電気的又は磁気的信号の形を取る。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字、等として参照することが、主に共通の使用のために、時々好都合であることがわかった。
【0070】
しかしながら、これら及び同様な用語の全ては、適切な物理量と関連付けられるべきであり、これらの量に適用される単に都合の良いラベルにすぎないということに留意すべきである。上記議論から明らかなように、そうでないと明確に述べられない限り、本明細書を通して、「決定する(determining)」、「追加する(adding)」、「提供する(providing)」、などの用語を利用する議論は、計算機システムのレジスタ及びメモリ内で物理的(例えば、電子的)量として表わされるデータを操作して、計算機システムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶装置内での物理量として同様に表わされる他のデータに変換する計算装置、又は類似の電子計算装置、の動作及び処理を参照するということが、認識される。
【0071】
本開示の実施形態はまた、本明細書中の操作を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に組立てられてもよいし、又はコンピュータに格納されるコンピュータプログラムによって選択的に作動又は再構成される汎用コンピュータを備えてもよい。そのようなコンピュータプログラムは、限定されないが、光ディスク、CD−ROM、及び光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気若しくは光カード、又は電子的命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体などのコンピュータ可読ストレージ媒体に保存することができる。
【0072】
上記説明は、例示的であり、限定的ではないと意図されるということが理解されるべきである。上記説明を読み理解すると、当業者には、多くの他の実施形態が明らかとなるであろう。それ故、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そうした特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、決められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9