【実施例】
【0053】
以下に本発明の代表的な実施例として、ETECのCFA/III線毛による定着能に対する本発明に係るペプチドの効果について説明する。
【0054】
(実施例1)大腸菌CFA/III産生株のCaco2細胞への付着実験
これまでの報告からCFA agarで培養したCFA/III産生野生型ETEC31−10株(ETEC 1373株)だけでなく、大腸菌HB101株(Nippon Gene)にcofオペロンを含むプラスミドpTT240を導入した菌株(HB101cof)は、同様の培養条件で野生株同様のIVb型線毛形成能をもち、またCaco2細胞に付着することが報告されている(Honda, T. et al. Infect. Immun. 1989, 57, 3452-3457.;Taniguchi, T.et al. Infect. Immun. 2001, 69, 5864-5873.)。ここで、cofオペロンを含むプラスミドpTT240の作製は以下の手順で行った。まず、cof遺伝子クラスターの塩基配列解析をおこなった結果、cof遺伝子のプロモーター配列の上流に制限酵素KpnIの切断サイト、cof遺伝子クラスターの最後の遺伝子であるcofJ遺伝子の下流に制限酵素StuIの切断サイトが存在することが明らかとなったため、cof遺伝子クラスターを含むプラスミドpSH1134を制限酵素StuIで切断後、phosphorylated KpnI linker (Takara Shuzo)をライゲーションし、制限酵素KpnIで切断処理をした。得られた13.8kbのフラグメントを0.8%のアガロースゲルで電気泳動をおこない精製後、制限酵素KpnI処理をしたプラスミドpMW119(Nippon Gene)にライゲーションをおこなった。得られたプラスミドをpTT240とした。また、Caco2細胞は、ETECの小腸上皮細胞への定着のモデル細胞と考えられている(Darfeuille-Michaud, A. et al. Infect. Immun. 1990, 58, 893-902.)。そこで、HB101cofとCaco2細胞とを用いて、以下の通り、付着実験を行った。
【0055】
まず、50μg/mLゲンタマイシン、10%ウシ胎児血清(FBS:Fetal Bovine Serum)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Dulbecco’sModified Eagle’s Medium) を用いてCaco2細胞を分散させ、血球計算版を用いて細胞濃度を測定し、3.0×10
5cells/mLとなるように希釈した。6ウェルプレートに希釈液を500μLずつ加え、CO
2インキュベータ内で5%CO
2、37℃において48時間静置、培養を行った。培養したCaco2細胞をPBSで2回洗浄した。洗浄後、100μg/mLアンピシリン、1%D−マンノースを含むDMEMを0.22μmフィルターに通し、ろ過をした後、各ウェルに500μLずつ加えた。
【0056】
次に、HB101 cofのグリセロールストックを少量かきとり、100μg/mLアンピシリンを含むLB培地に添加し、25℃で一晩振盪培養をおこなった。培養液を適宜希釈し、濁度計を用いて、培養液のOD
660を算出した。培養液を段階希釈し、CFU(colony forming unit)を測定した。測定したCFUから、OD
660=1.0におけるHB101cofの濃度(cells/mL)を算出した。この算出値を後のHB101 cofの濃度決定のために用いた。
【0057】
上記培養とは別に、HB101 cofのグリセロールストックを少量かきとり、100μg/mLアンピシリンを含むLB培地に添加し、25℃で一晩振盪培養をおこなった。菌体培養液を100μg/mLアンピシリンを含むLB培地で10倍希釈し、CFA agarプレート(1% Casamino Acid, 0.15% yeast extract, 0.005% MgSO
4,0.0005% MnCl
2, 2% アガロース)に500μL添加し、37℃で24時間静置し培養を行った。培養後の寒天培地上にPBSを3mL添加し、コンラージ棒で懸濁後、回収した。回収した培養液を100倍希釈し、OD
660を測定した。測定したOD
660から希釈前の培養液のOD
660を算出し、前述したOD
660=1.0におけるHB101cofの濃度(cells/mL)を基に、大腸菌濃度(cells/mL)を算出した。HB101 cofを1.0×10
9cells/mLとなるようにPBSで希釈し、定着アッセイ用サンプルとした。
【0058】
6ウェルプレートのCaco2細胞に、調製したサンプルを50μL添加し、CO
2インキュベータ内で、5%CO
2、37℃において3時間静置した。3時間後、PBSで3回洗浄した後、0.1%TritonX−100を含むPBSを500μL加え、5分静置した後回収した。回収した溶液を段階希釈し、CFUを測定した。測定したCFUから、Caco2細胞に定着していた細菌数を算出した。定着していた細菌数をCaco2細胞に添加した細菌数(5.0×10
7cells)で除し、100を乗じることでRecoveryrate(%)を計算した結果、16.9%であり、本実験系での付着能を確認した。
【0059】
(実施例2)CofB欠損株及びCofJ欠損株のCaco2細胞への付着実験
上記実施例1において、HB101 cofがCaco2細胞に付着可能であることが確認できたため、次に、CofB欠損株及びCofJ欠損株を作製し、CofB及びCofJの機能について検討した。以下にその方法を説明する。
【0060】
まず、プラスミドpTT240を基にしてcofJ遺伝子の欠損株(HB101-cof-ΔcofJ)を作製した。cofJ遺伝子のORF領域に2箇所、制限酵素NcoIの切断サイトが存在することに着目し、NcoIを用いて37℃で1時間インキュベートすることで切断後、精製を行った。精製した切断物をライゲーションすることで得られたプラスミドをCofJ欠損プラスミドpcof−ΔcofJとした。pcof−ΔcofJにより大腸菌株HB101を形質転換することにより得られた株をCofJ欠損株HB101-cof-ΔcofJとした。
【0061】
cofJ欠損株にトランスでcofJ遺伝子を補完するために、プラスミドベクターpACYC184にcofJ遺伝子を組み込むこととした。プラスミドpTT240においてcofJ遺伝子の上流にSalI、下流にHindIIIの制限酵素サイトが存在することに着目し、制限酵素処理後、切断物末端の平滑化をおこない、精製をした。精製した切断物をEcoRV処理したプラスミドベクターpACYC184(NIPPON GENE)とライゲーションをすることで得られたプラスミドをcofJ補完プラスミドpcofJとした。pcof−ΔcofJとpcofJにより大腸菌株HB101を形質転換することにより得られた株をCofJ補完株HB101-cof-ΔcofJ+pcofJとした。
【0062】
CofB欠損株HB101-cof-ΔcofB、およびCofB補完株HB101-cof-ΔcofB+pcofBの作製に関しては引用文献(Kawahara,K, et al. J. Mol. Biol, 2016, 428, 1209-1226.) に準じた。CofJ欠損株HB101-cof-ΔcofJ、CofJ補完株HB101-cof-ΔcofJ+pcofJ、CofB欠損株HB101-cof-ΔcofBおよびCofB補完株HB101-cof-ΔcofB+pcofBの付着実験は実施例1と同様の手法によりおこなった。
【0063】
実験の結果、Recoveryrateは、CofJ欠損株HB101-cof-ΔcofJは0.30%、CofJ補完株HB101-cof-ΔcofJ+pcofJは2.9%、CofB欠損株HB101-cof-ΔcofBは0.79%およびCofB補完株HB101-cof-ΔcofB+pcofBは2.9%であった。
すなわち、HB101 cofと比較して、CofJ欠損株HB101-cof-ΔcofJは、0.018倍、CofB欠損株HB101-cof-ΔcofBは0.047倍しかCaco2細胞に付着しなかった。また、CofJ補完株HB101-cof-ΔcofJ+pcofJおよびCofB補完株HB101-cof-ΔcofB+pcofBはHB101 cofほどの定着能を有さなかったものの、各欠損株と比較して定着能の回復が見られた。従って、HB101cofによるCaco2細胞に対する付着には、CofBおよびCofJが関与すると認められる。
【0064】
(実施例3)CofJと線毛サブユニットの相互作用解析
次に、分泌タンパク質であるCofJと、線毛構成サブユニットであるCofAおよびCofBとの相互作用について解析した。
【0065】
CofJと線毛構成サブユニットCofAおよびCofBの相互作用解析には、溶解度の向上のため、CofA、CofBのN末端の疎水性領域(1〜28残基)を除いたコンストラクト(ΔN28−CofA、ΔN28−CofB)を設計して発現および精製を行った。これらの発現、精製法については過去の論文 (Fukakusa, S, et al. Acta Cryst. 2012, D68, 1418-1429.; Kawahara, K, et al. J. Mol. Biol, 2016, 428, 1209-1226.)に従って行った。
【0066】
CofJの発現精製は以下の手順でおこなった。プラスミドpTT240から、Forward primer: 5’-GCGCCCGGGTCGCCATCCTCTTCAGAAGG-3’(配列番号10)とReverse primer: 5’- CAAGAATTCTTATTAATCAAGGCCACAAGCCTTC-3’(配列番号11)を使用してPCRで増幅した。制限酵素SmaIとEcoRIとにより処理した後、同様の処理を行ったpET48bベクター(Merck Biosciences)にライゲーションしたプラスミドをCofJ発現プラスミドとした。CofJ発現プラスミドを用いて大腸菌株SHuffle T7 Express lysY Competent E.coli(NewEngland Biolabs)を形質転換した菌株を、35μg/mLカナマイシンを含むLB培地で、37℃で振盪培養し前培養とした。前培養液を全量本培養液に加え37℃でOD
660が0.60になるまで培養した。発現誘導は0.2mMのIPTGを加えることで行い、20℃で18時間振盪培養した。菌体は4000g、4℃、7分遠心分離で回収し、氷上でLysis buffer(50mM Tris-HCl、1M NaCl, pH8.0)に懸濁し、終濃度0.2mg/mLのリゾチーム、終濃度0.2%のTriton−X100を加え15分静置した。菌体は超音波(10秒,50秒休憩,15サイクル)により破砕し可溶性タンパク質を含む上清は24000g、4℃、1時間遠心分離をすることにより回収した。得られた上清はNi
2+を結合し、上記Lysisbufferで平衡化したHiTrap Chelatingカラム(GEHealthcare Biosciences)に加えた。15mM Imidazoleを加えた上記Lysisbufferで洗浄後、Histag付きのCofJは15〜500mMのImidazoleグラジエントにより溶出した。溶出画分にTurbo3C protease(Accelagen)を30units加え、10℃で50 mM Tris-HCl、150 mM NaCl, pH8.0, 15mM Imidazoleに透析しつつ融合タグを切断した。融合タグを切断したCofJは平衡化したNiカラムを通過させることでタグと分離した。分離したCofJは20 mM Tris-HCl、150 mM NaCl, pH8.0で平衡化したゲル濾過カラムSuperdex75(GE Healthcare Biosciences)を用いて最終精製を行った。
【0067】
CofJのN末端側の24残基を有さないΔN24−CofJの発現は以下のように実施した。CofJ発現用ベクターを基に、forward primer:5’- GGTTGCCCAACTTTGGAAAC -3’(配列番号12)とReverse primer: 5’- ACCCAGACCCGGGTCCCTGAAAGAG-3’(配列番号13)を使用してインバースPCRによって増幅した後、制限酵素SmaIで平滑化後、ライゲーションしたプラスミドをCofJΔ24発現プラスミドとした。CofJΔ24の発現および精製はCofJと同様の手法で行った。
【0068】
以上の方法により調製したCofB、CofJ、及びΔN24−CofJを用いて相互作用解析を行った。分泌タンパク質CofJとΔN28−CofBの相互作用解析には等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いた。滴定シリンジに0.59mMのCofJ溶液、測定セルに28.5μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、CofJ溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。滴定条件は初回滴下量を1μL、2回目以降の滴下量を2μLとし、120秒毎に合計20回滴下した。測定温度は25℃とし、溶媒は20mM Tris-HCl (pH 8.0), 150mM NaClとした。CofJ溶液の滴下により発熱変化が観測され、これは滴定の進行に伴い希釈熱と同等にまで収束した。得られたデータについて解析ソフトOrigin(Microcal)を用いた解析を行った結果、CofJとΔN28−CofBの結合が観測された。両者の解離定数Kd値は0.2μMであった。
【0069】
同様に、CofJとΔN28−CofAの相互作用解析に等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いた。滴定シリンジに0.59mMのCofJ溶液、測定セルに28.5μM(三量体換算)のΔN28−CofA溶液をそれぞれ充填し、CofJ溶液をΔN28−CofA溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。滴定条件及び溶媒条件は分泌タンパク質CofJとΔN28−CofBの相互作用解析と同様とした。CofJ溶液の滴下による熱量変化は観測されなかった。このことからCofJとΔN28−CofAは結合しないことが示された。
【0070】
次に、分泌タンパク質CofJのN末端領域(1〜24)の線毛への結合への寄与を調べるため、ΔN24−CofJとΔN28−CofBの相互作用解析を等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いて実施した。滴定シリンジに0.59mMのΔN24−CofJ溶液、測定セルに28.5μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、ΔN24−CofJ溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。ΔN24−CofJ溶液の滴下による熱量変化は観測されなかった。このことからΔN24−CofJとΔN28−CofBは結合しないことが示された。
【0071】
さらに、分泌タンパク質CofJのN末端領域(1〜24)の線毛への結合への寄与を調べるため、株式会社スクラムから購入したCofJのN末端の24アミノ酸残基からなる合成ペプチド(CofJ
1−24ペプチド)とΔN28−CofBの相互作用解析を、上記と同様に等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いて実施した。滴定シリンジに2mMのCofJ
1−24ペプチド溶液、測定セルに33.9μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、CofJ
1−24ペプチド溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。CofJ
1−24ペプチド溶液の滴下により発熱変化が観測され、これは滴定の進行に伴い希釈熱と同等にまで収束した。得られたデータについて解析ソフトOriginを用いた解析を行った結果、CofJ
1−24ペプチドとΔN28−CofBの結合が観測された。両者の解離定数Kd値は4μMであった。
【0072】
次に、CofJ
1−24ペプチドの結合特異性を調べるため、株式会社スクラムから購入した合成ランダムペプチド(CofJpepR)とΔN28−CofBの相互作用解析を等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いて実施した。滴定シリンジに2mMのランダムペプチド溶液、測定セルに28.5μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、ΔN24−CofJ溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。ランダムペプチド溶液の滴下による熱量変化は観測されなかった。このことからランダムペプチドとΔN28−CofBは結合しないことが示された。
【0073】
以上から、CofAとCofJは結合しないが、CofBとCofJとが結合し、特にCofJのN末端の1〜24のアミノ酸残基が関与することが示唆された。
【0074】
(実施例4)CofJとΔN28−CofBの超遠心分析による会合比の決定
次に、CofJとΔN28−CofBとの会合比について検討した。それらの会合比の決定には分析用超遠心機Optima XL-I(Beckman Coulter社製)を用いた。測定セルのウィンドウにはクォーツを選択し、センターピースにはセル長1.2cmのチャコールエポン製6穴センターピースを用いた。測定温度は20℃とし、溶媒は20mM Tris-HCl (pH 8.0), 150mM NaClとした。ローター回転数は5000,8000,10000rpmに設定し、各回転数において設定回転数到達後2時間毎にセル中の濃度勾配をUV検出器にてモニターした。スキャン毎に観測される吸光度のrmsd値が0.01以下になった時点を沈降平衡とし、平衡到達を確認した後、297nmにて沈降平衡における濃度勾配を評価した。積算回数は4回とした。このようにして得られた濃度勾配と、それに基づき算出された見かけの分子量から、1分子のCofJと1分子の三量体ΔN28−CofBが会合していることが確認された。
【0075】
(実施例5)CofJ
1−24ペプチドとCofBとの複合体構造の決定
次に、上記CofJ
1−24ペプチドとCofBとからなる複合体の構造を決定するために、その複合体の結晶の作製を試みた。
【0076】
そのために、まず、ペプチド合成により得られたCofJ
1−24ペプチドを物質量比で2倍となるようにΔN28−CofBと混合し、結晶化サンプルとした。初期スクリーニングは20℃でシッティングドロップ蒸気拡散法により、スクリーニングキットWizard ScreenI,II(Emerald Biosystems)を用いておこなった。各ドロップには、CofBとして濃度が10、5、2.5mg/mLとなるように調製した上記混合ペプチド(ΔN28-CofB/CofJ
1-24ペプチド)1μLと結晶化溶液1μLを混合し静置した。スクリーニングの結果、WizardII-39(100 mM CAPS pH10.5, 20% PEG 8000, 200 mM NaCl)の条件において初期結晶が得られた。条件の最適化後、結晶化溶液40μLをリザーバーとして濃度5mg/mLのΔN28-CofB/CofJ
1-24ペプチドと結晶化溶液を等量混合した3〜4μLのドロップを形成し、20℃で3日間静置することで、針状の結晶を得ることに成功した。
【0077】
得られたΔN28-CofB/CofJ
1-24ペプチド複合体結晶については大型放射光施設SPring-8 BL26B1で回折測定を実施した。ナイロンループを用いてドロップから複合体結晶を回収後、−173℃の窒素気流下で急速凍結をおこない、回折データを収集した。複合体結晶からの回折像は最高分解能3.85Åの回折能を示した。プログラムHKL2000を用いて、強度積分、スケーリング処理をおこなった。複合体結晶は空間群P65に属し、格子定数はa=157.76Å、b=157.76Å、c=118.53Å、α=β=90.0°、γ=120.0°であった。初期位相の決定は、プログラムPhaserを使用した分子置換法により行った。分子置換適用の際の初期探索モデルの座標データは、ΔN28-CofB(PDBID:5AX6)の座標データを使用し、可動性の高いドメイン1とドメイン2間のリンカーの存在を考慮し、ドメイン1フラグメントとそれ以外(ドメイン2及び3からなる三量体フラグメント)の2つのフラグメントに分解したものを初期探索モデルとして採用し、分子置換による初期位相の解を求めた。その結果、初期検索モデルとして採用したドメイン1単量体フラグメントが3つ、ドメイン2及び3からなる三量体フラグメントを1つ含む解が1つ見つかった。分子置換法の結果得られたフラグメントを分子モデリング支援プログラムCootによってそれぞれを繋ぎ合わせた後、構造精密化用プログラムPHENIX.refineによる初期構造の精密化を行ったところ、
図10に示すように、ΔN28−CofB三量体のH型レクチンドメインの分子境界部にCofJ
1−24ペプチドの電子密度が3箇所観測された。
【0078】
この結果から、CofB三量体のH型レクチンドメインにおいて、3つのCofJペプチドが結合可能であることが示唆された。
【0079】
(実施例6)GCN4融合型阻害ペプチドの設計
次に、上記CofB三量体のそれぞれのH型レクチンドメインに結合可能な三量体ペプチドを作製するために、三量体化ドメインを有するGCN4を用い、これとCofJペプチドとがリンカーを介して結合したペプチドの作製を試みた。
【0080】
そのために、まず、CofJ
1−24ペプチドとリンカー(TSGGG)を用いてGCN4を融合させた阻害ペプチド(CofJ
1-24-GCN4と呼ぶ)の発現プラスミドを以下の通り構築した。PCR反応によってオリゴ核酸を連結しCofJ
1-24-GCN4遺伝子を合成した。CJN-T-1,6(表1)が終濃度0.6μM、CJN-T-2,3,4,5(表1)が終濃度0.03μMとなるように調製し、PCRを20サイクルおこなった。得られた増幅産物を制限酵素NdeI/XhoIで切断、精製し、同様の処理をしたpET30aベクター(Merck Biosciences)にライゲーションし、プラスミドを得た。しかし、このプラスミドではCofJ
1-24-GCN4が発現しなかったため、N末端にGSTタグを付加したベクターにより発現させることとした。プライマーとしてCJN-T-7、8、テンプレートに前述したプラスミドを用い、PCRを35サイクルおこなった。得られた増幅産物を制限酵素BamHI/XhoIで切断、精製し、同様の処理をしたpGEX6P-1ベクター(GE Healthcare Biosciences)にライゲーションし、CofJ
1-24-GCN4発現プラスミドを得た。
【0081】
【表1】
【0082】
次に、CofJ
1-24-GCN4発現用プラスミドを用いて大腸菌株BL21(DE3)(NIPPON GENE)を形質転換した。コロニーを拾い、アンピシリンを100μg/mL含むLB培地に加え、37℃で一晩振盪培養した。翌朝、当該培養液を本培養培地に全量加えてスケールアップし、37℃で振盪培養した。OD
660=0.6に達したときに、IPTGを終濃度1mMとなるように加え、25℃で18時間振盪し、発現誘導を行った。発現誘導した菌体を4000g、7分、4℃で遠心回収した。得られた菌体を氷上においてlysis buffer (20 mM Tris-HCl, 1M NaCl, pH8.0)で溶解した後、リゾチームを20 μg/mL、TritonX-100を0.2%となるように加え15分放置した後、15秒間超音波破砕、1分休憩のサイクルを15回繰り返した。超音波破砕液を20000g、4℃で1時間遠心し、遠心上清を0.8 μmフィルターでろ過した。ろ過したサンプルをlysis bufferで平衡化したGSTカラム(GlutathioneSepharose 4 Fast Flow:GE Healthcare Biosciences)にアプライした。GSTカラムをlysis bufferで洗浄した後、elution buffer (20 mMTris-HCl, 20 mM GSH, pH8.0 )で溶出した。溶出サンプルを30unitsのTurbo 3C protease(Accelagen)で酵素処理をしながら、透析buffer(20 mM Tris-HCl, pH8.0)で透析をおこない、GSTタグとCofJ1-24-GCN4を切断した。切断後のサンプルをGSTカラムにアプライし、GSTタグとCofJ1-24-GCN4を分離した。回収したサンプルを透析bufferで平衡化したHitrapDEAEカラム(GE Healthcare Biosciences)にアプライし、NaClの濃度を0から2Mまでグラジエントをかけることで、溶出をおこなった。得られたサンプルをゲル濾過buffer(20 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH8.0)で平衡化したSuperdex75(26/60)カラム(GE HealthcareBiosciences)にアプライし、最終精製物とした。
【0083】
得られた最終精製物は、N末端側から、ベクター由来配列4残基(GPLG)、CofJN末領域由来24残基(CofJ
1-24配列)(SPSSSEGGAFTVNMPKTSTVDDIR:配列番号1)、リンカー配列5残基(TSGGG:配列番号9)、GCN4配列30残基(RMKQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLI)から構成される(配列番号6)。これをCofJ
1-24-GCN4阻害ペプチドとする。
【0084】
(実施例7)GCN4融合型阻害ペプチドとΔN28−CofBとのITCによる相互作用解析
実施例6で得られたCofJ
1-24-GCN4阻害ペプチドの線毛への結合の寄与を調べるため、CofJ
1-24-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBの相互作用解析を等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いて実施した。滴定シリンジに0.59mMのCofJ
1-24-GCN4阻害ペプチド溶液、測定セルに28.5μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、CofJ
1-24-GCN4阻害ペプチド溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。CofJ
1-24-GCN4阻害ペプチド溶液の滴下により発熱変化が観測され、これは滴定の進行に伴い希釈熱と同等にまで収束した。得られたデータについて解析ソフトOriginを用いた解析を行った結果、CofJ
1-24-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBとの結合が観測された。両者の解離定数Kd値は0.04μMであった。
【0085】
解析の結果得られたCofJ1-24-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBとの結合親和性は、CofJとΔN28−CofBの結合親和性に比べて5倍程度強いことが示され、GCN4融合型阻害ペプチドがCofJとΔN28−CofBとの相互作用を効率良く阻害することが明らかとなった。
【0086】
(実施例8)プルダウンアッセイによる阻害ペプチドのCofB/CofJ相互作用の阻害
CofJ
1-24-GCN4阻害ペプチドがCofBとCofJの結合を阻害可能かどうか調べるために、Niカラムを用いたプルダウンアッセイによりin vitroの実験系で確かめた。実験には、チオレドキシンタグ(Trx)、Hisタグ(His)が付加したΔN28-CofB(Trx-His−ΔN28-CofB)、CofJ、CofJ
1-24-GCN4、CofJ
1-24ペプチド、CofJ
1-24ペプチドのアミノ酸配列をランダム化したペプチド(CofJpepR)を使用した。なお、CofJpepRの配列は、NPSGFDKSGSSTTRTPAMSVIVDE(配列番号22)である。
【0087】
Trx-His−ΔN28-CofBが1μM、CofJ
1-24-GCN4が各濃度(0、0.5、1.0、2.0、5.0、10.0μM)となるように混合した溶液を一晩氷上で静置した。さらに、終濃度が1μMとなるようにCofJを混合し氷上で1時間静置したものを実験サンプルとした。20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, pH8.0で平衡化したNiカラムに各サンプルをアプライし、20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, 15 mM Imidazole, pH8.0でカラムの洗浄をおこなった。その後、20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, 300 mM Imidazole, pH8.0で溶出をおこない、SDS−PAGEによって溶出画分の確認をおこなった。その結果を
図11に示す。
図11に示すように、予めCofJと同濃度以上のCofJ
1-24-GCN4をTrx-His-ΔN28-CofBと混合しておくことで、CofJとTrx-His-ΔN28-CofBの結合を強力に阻害できることが明らかとなった。
【0088】
CofJ
1-24ペプチド、およびCofJpepRに関しても同様の方法でその阻害能を検討した。具体的に、Trx-His-ΔN28-CofBが1μM、CofJ
1-24ペプチドおよびCofJpepRが1000μMとなるように混合した溶液を一晩氷上で静置した。さらに、終濃度1μMとなるようにCofJを混合し氷上で1時間静置したものを実験サンプルとした。プルダウンアッセイは前述の方法と同様に行った。その結果を
図12に示す。
図12に示すように、CofJ
1-24ペプチドではCofJの1000倍の濃度を予め加えていたとしても、CofJとTrx-His-ΔN28-CofBとの結合をほとんど阻害できないことが明らかとなった。また、CofJpepRでは、全く阻害できないことが明らかとなった。このことから、CofJ
1-24-GCN4は三量体化することにより、CofBと強く結合することで、CofBとCofJの結合を阻害できるものと考えられる。
【0089】
(実施例9)Caco2細胞を用いた阻害ペプチドのETEC付着阻害活性評価
実施例1および実施例2と同様の手法で定着実験をおこなった。その際、CofJ
1-24-GCN4を0、10、100、1000μg/mL、HB101 cofを1.0×10
9cells/mLとなるように混合調製後、25℃で1時間静置したものを50μLずつ500μLの培地に加え、CofJ
1-24-GCN4が0、1、10、100μg/mL、HB101 cofが1.0×10
8cells/mLとなるようにした。この結果を
図13に示す。
図13に示すように、Recovery rateは、0μg/mL CofJ
1-24-GCN4が14.7%、1μg/mL CofJ
1-24-GCN4が14.0%、10μg/mL CofJ
1-24-GCN4が11.5%、100μg/mL CofJ
1-24-GCN4が2.6%であった。
【0090】
この結果から、CofJ
1-24-GCN4が濃度依存的にHB101cofのCaco2細胞に対する定着を阻害することが明らかとなった。
【0091】
(実施例10)CofJ
4−16ペプチドとΔN28−CofBとのITCによる相互作用解析
ここまで、CofJ
1−24ペプチドがCofB/CofJ相互作用を阻害して、ETECの腸組織への付着を阻害することを示した。上述したようにCofJ
1−24ペプチド/ΔN28−CofB複合体の結晶構造から、CofJ
1−24ペプチドの一部、具体的には
図7に示した通り、5番目のセリンから15番目のプロリンがそれら両者の相互作用に特に関与していると考えられる。そこで、次に、CofJ
1−24ペプチドのうち、特に重要と考えられる部分を含む、CofJ
1−24ペプチドの4番目から16番目までのアミノ酸配列からなるCofJ
4−16ペプチド(配列番号23)であっても、CofJ
1−24ペプチドと同等の効果を示すことができるか否かを検討した。
【0092】
まず、実施例3で行った試験と同様に、CofJ
4−16ペプチドの線毛への結合への寄与を調べるため、CofJ
4−16の合成ペプチド(株式会社スクラムから購入)とΔN28−CofBとの相互作用解析を、上記と同様に等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いて実施した。具体的に、滴定シリンジに2mMのCofJ
4−16ペプチド溶液、測定セルに33.9μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、CofJ
4−16ペプチド溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。CofJ
4−16ペプチド溶液の滴下により発熱変化が観測され、これは滴定の進行に伴い希釈熱と同等にまで収束した。得られたデータについて解析ソフトOriginを用いた解析を行った結果、CofJ
4−16ペプチドとΔN28−CofBの結合が観測された。両者の解離定数Kd値は4μMであった。
【0093】
以上から、CofJ
4−16ペプチドが、CofJ
1−24ペプチドと同様にCofBと結合できることが示唆された。
【0094】
(実施例11)CofJ
4−16−GCN4ペプチドの設計
次に、実施例6で行ったのと同様に、CofJ
4−16においても三量体ペプチドを作製するために、三量体化ドメインを有するGCN4、及びリンカーを用いて、CofJ
4−16−GCN4ペプチドの作製を試みた。
【0095】
CofJ
4−16ペプチドとリンカー(TSGGG)を用いてGCN4を融合させた阻害ペプチド(CofJ
4-16-GCN4と呼ぶ)の発現プラスミドを以下の通り構築した。CofJ
1-24-GCN4発現プラスミドにおけるCofJ
1-24ペプチド配列の両末端に予め組み込んでおいた制限酵素BamHI及びSpeIのサイトを両制限酵素を用いて切断後、精製した。CofJ
4-16の配列を含むオリゴヌクレオチド1:5’-GATCCAGCGAAGGTGGTGCTTTCACCGTTAACATGCCGAAGA-3’(配列番号24)とオリゴヌクレオチド2:5’-CTAGTCTTCGGCATGTTAACGGTGAAAGCACCACCTTCGCTG-3’(配列番号25)を混合、アニーリングさせることで二本鎖DNAとし、精製したベクターとライゲーションをすることでCofJ
4-16-GCN4発現プラスミドを得た。
【0096】
次に、CofJ
4-16-GCN4発現用プラスミドを用いて大腸菌株BL21(DE3)(NIPPON GENE)を形質転換した。コロニーを拾い、アンピシリンを100μg/mL含むLB培地に加え、37℃で一晩振盪培養した。翌朝、当該培養液を本培養培地に全量加えてスケールアップし、37℃で振盪培養した。OD660=0.6に達したときに、IPTGを終濃度1mMとなるように加え、25℃で18時間振盪し、発現誘導を行った。発現誘導した菌体を4000g、7分、4℃で遠心回収した。得られた菌体を氷上においてlysis buffer (20mM Tris-HCl, 1M NaCl, pH8.0)で溶解した後、リゾチームを20 μg/mL、TritonX-100を0.2%となるように加え15分放置した後、15秒間超音波破砕、1分休憩のサイクルを15回繰り返した。超音波破砕液を20000g、4℃で1時間遠心し、遠心上清を0.8 μmフィルターでろ過した。ろ過したサンプルをlysis bufferで平衡化したGSTカラム(GlutathioneSepharose4 Fast Flow:GE Healthcare Biosciences)にアプライした。GSTカラムをlysis bufferで洗浄した後、elution buffer (20mMTris-HCl, 20 mM GSH, pH8.0 )で溶出した。溶出サンプルを30unitsのTurbo 3C protease(Accelagen)で酵素処理をしながら、透析buffer(20 mM Tris-HCl, pH8.0)で透析をおこない、GSTタグとCofJ
4-16-GCN4を切断した。切断後のサンプルをGSTカラムにアプライし、GSTタグとCofJ
4-16-GCN4を分離した。回収したサンプルを透析bufferで平衡化したHitrapDEAEカラム(GE HealthcareBiosciences)にアプライし、カラムに結合しなかった画分を回収した。得られたサンプルをゲル濾過buffer(20 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, pH8.0)で平衡化したSuperdex75(26/60)カラム(GEHealthcareBiosciences)にアプライし、最終精製物とした。
【0097】
得られた最終精製物は、N末端側から、ベクター由来配列4残基(GPLG)、CofJN末領域由来13残基(SSEGGAFTVNMPK:配列番号23)、リンカー配列5残基(TSGGG:配列番号9)、GCN4配列30残基(RMKQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLI:配列番号6)から構成される。これをCofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドとする。
【0098】
(実施例12)CofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBとのITCによる相互作用解析
実施例11で得られたCofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドの線毛への結合の寄与を調べるため、CofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBの相互作用解析を等温滴定型熱量計Microcal iTC200(GE Healthcare社製)を用いて実施した。滴定シリンジに0.59mMのCofJ
4-16-GCN4阻害ペプチド溶液、測定セルに28.5μM(三量体換算)のΔN28−CofB溶液をそれぞれ充填し、CofJ
4-16-GCN4阻害ペプチド溶液をΔN28−CofB溶液に滴下した際に生じる熱量変化を直接観測することで両者の相互作用を評価した。CofJ
4-16-GCN4阻害ペプチド溶液の滴下により発熱変化が観測され、これは滴定の進行に伴い希釈熱と同等にまで収束した。得られたデータについて解析ソフトOriginを用いた解析を行った結果、CofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBとの結合が観測された。両者の解離定数Kd値は0.08μMであった。
【0099】
解析の結果得られたCofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドとΔN28−CofBとの結合親和性は、CofJとΔN28−CofBの結合親和性に比べて2.5倍程度強いことが示され、GCN4融合型阻害ペプチドがCofJとΔN28−CofBとの相互作用を効率良く阻害することが明らかとなった。
【0100】
(実施例13)プルダウンアッセイによるCofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドのCofB/CofJ相互作用の阻害
CofJ
4-16-GCN4阻害ペプチドがCofBとCofJの結合を阻害可能かどうか調べるために、Niカラムを用いたプルダウンアッセイによりin vitroの実験系で確かめた。実験には、チオレドキシンタグ(Trx)、Hisタグ(His)が付加したΔN28-CofB(Trx-His-ΔN28-CofB)、CofJ、CofJ
4-16-GCN4を使用した。
【0101】
Trx-His-ΔN28-CofBが1μM、CofJ
4-16-GCN4が各濃度(0、0.5、1.0、2.0、5.0、10μM)となるように混合した溶液を一晩氷上で静置した。さらに、終濃度が1μMとなるようにCofJを混合し氷上で1時間静置したものを実験サンプルとした。20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, pH8.0で平衡化したNiカラムに各サンプルをアプライし、20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, 15 mM Imidazole, pH8.0でカラムの洗浄をおこなった。その後、20mM Tris-HCl, 150mM NaCl, 300 mM Imidazole, pH8.0で溶出をおこない、SDS-PAGEによって溶出画分の確認をおこなった。その結果、
図14に示すように、予めCofJと同濃度以上のCofJ
4-16-GCN4をTrx-His-ΔN28-CofBと混合しておくことで、CofJとTrx-His-ΔN28-CofBの結合を強力に阻害できることが明らかとなった。
【0102】
(実施例14)Caco2細胞を用いたCofJ
4-16-GCN4のETEC付着阻害活性評価
CofJ
4-16-GCN4を用いて実施例9と同様にETEC付着阻害活性評価を行った。CofJ
4-16-GCN4を0、10、100、1000μg/mL、HB101cofを1.0×10
9 cells/mLとなるように混合調製後、25℃で1時間静置したものを50μLずつ500μLの培地に加え、CofJ
4-16-GCN4が0、1、10、100μg/mL、HB101cofが1.0×10
8cells/mLとなるようにした。その結果、
図15に示すように、Recovery rateは、0μg/mL CofJ
4-16-GCN4が1.01%、1μg/mL CofJ
4-16-GCN4が0.32%、10μg/mL CofJ
4-16-GCN4が0.36%、100μg/mL CofJ
4-16-GCN4が0.068%であった。
【0103】
この結果から、CofJ
4-16-GCN4が濃度依存的にHB101cofのCaco2細胞に対する定着を阻害することが明らかとなった。