(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
上下方向と左右方向と前後方向とを有し、液吸収性の吸収性コアと、前記吸収性コアよりも肌側に設けられた肌側シートと、を備えた吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された、前記左右方向に伸縮する胴回り部材と、を有するパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コア及び前記肌側シートの少なくとも一方には、温感剤又は冷感剤が備えられ、前記吸収性コアの前側上端部には、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度よりも高い前側高密度部が設けられ、前記前側高密度部は、前記左右方向に所定の寸法を有しており、前記前後方向に見たときに、前記温感剤又は前記冷感剤の少なくとも一部が、前記前側高密度部と重複することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0014】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、下腹部において温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0015】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コアの後側には、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度よりも高い後側高密度部が少なくとも1つ設けられ、前記後側高密度部は、前記左右方向に所定の寸法を有しており、前記前後方向に見たときに、前記温感剤又は前記冷感剤の少なくとも一部が、前記後側高密度部と重複することが望ましい。
【0016】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、仙骨部において温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0017】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前側高密度部の前記左右方向の寸法が、前記後側高密度部のいずれの前記左右方向の寸法よりも、大きいことが望ましい。
【0018】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、下腹部において温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0019】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記後側高密度部は、前記左右方向に一対の後側高密度部であり、前記左右方向において、前記一対の後側高密度部の間の前記吸収性コアの密度は、前記後側高密度部の密度よりも低いことが望ましい。
【0020】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、仙骨部において温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0021】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前側高密度部と前記後側高密度部は、それぞれが前記上下方向に所定の寸法を有しており、前記後側高密度部は、1又は複数の前記後側高密度部であって、1又は複数の前記後側高密度部のうちの最も上端から最も下端までの距離が、前記前側高密度部の上端から下端までの距離よりも、大きいことが望ましい。
【0022】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、仙骨部において温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0023】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性コアには、前記前側高密度部の下側端の下側に、前記前側高密度部と前記上下方向に間隔を置いて、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度より高い中央高密度部が設けられており、前記前側高密度部と前記中央高密度部は、それぞれ前記上下方向に所定の寸法を有し、前記吸収性本体には、前記上下方向に沿って弾性部材が備えられており、前記弾性部材が、前記上下方向において、少なくとも前記前側高密度部の下側端部と、前記中央高密度部の上側端部と、の両方と重複することが望ましい。
【0024】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、中央ヒンジが身体に近づけられるので、中央ヒンジにおいて温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0025】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記上下方向に沿った所定の領域に前記温感剤又は前記冷感剤が塗布された塗布領域を有し、前記吸収性コアには、前記前側高密度部の下側端の下側に、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度より高い高密度部が上下方向に沿って複数設けられ、複数の前記高密度部は、前記左右方向に一対の高密度部であり、それぞれ前記上下方向に所定の間隔を置いて設けられており、複数の前記一対の高密度部の各々は、前記左右方向に所定の寸法を有し、複数の前記一対の高密度部のいずれかの前記左右方向の寸法が、前記塗布領域の前記左右方向の寸法よりも、小さいことが望ましい。
【0026】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、股間部及び臀部の高密度部が身体に接触することを抑制することができるので、着用時の違和感を抑制することが可能となる。
【0027】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記上下方向に沿った所定の領域に前記温感剤又は前記冷感剤が塗布された塗布領域を有し、前記吸収性コアには、前記前側高密度部の下側端の下側に、前記吸収性コアの密度がその周囲の密度より高い高密度部が上下方向に沿って複数設けられ、複数の前記高密度部は、前記左右方向に一対の高密度部であり、それぞれ前記上下方向に所定の間隔を置いて設けられており、複数の前記一対の高密度部の各々は、前記左右方向に所定の寸法を有し、複数の前記一対の高密度部のいずれかの前記左右方向の寸法が、前記塗布領域の前記左右方向の寸法以上であることが望ましい。
【0028】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、股間部及び臀部の高密度部による縦皺の発生が抑制され易いので、温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0029】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前側高密度部と複数の前記一対の高密度部は、それぞれ前記上下方向に所定の寸法を有し、前記吸収性本体は、前記前側高密度部と複数の前記一対の高密度部の各々の前記上下方向の寸法を長さとし、各々の前記左右方向の寸法を幅とした、各々の矩形状領域を有し、前記前後方向に見たときに、前記温感剤又は前記冷感剤が、前記矩形状領域の少なくとも一部と重複することが望ましい。
【0030】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、矩形状領域の幅の範囲おいて縦皺の発生が抑制され易いので、温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる
【0031】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記前側高密度部と複数の前記一対の高密度部は、前記吸収性コアを圧搾して設けられた、前側圧搾溝と複数の一対の圧搾溝であり、前記前後方向に見たときに、前記塗布領域が、前記前側圧搾溝又は複数の前記一対の圧搾溝と重複する圧搾溝重複領域と、前記前側圧搾溝及び複数の前記一対の圧搾溝と重複しない圧搾溝非重複領域と、を有していることが望ましい。
【0032】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、温感剤又は冷感剤の効果を長く持続させることが可能となる。
【0033】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、前記肌側シートとして、最も肌側に位置する第1肌側シートと、前記第1肌側シートと前記吸収性コアとの間に位置する第2肌側シートと、を備えており、前記温感剤又は前記冷感剤が、前記第1肌側シートの非肌側及び前記第2肌側シートの肌側の少なくとも一方に備えられていることが望ましい。
【0034】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、温感剤又は冷感剤の厚さ方向における不適切な位置を避けることができ、着用者の肌にも近いので、温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0035】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、複数のシートを備えており、
【0036】
前記胴回り部材の複数のシートのうち、少なくとも1つが前記左右方向に伸縮性を有し、前記胴回り部材の複数のシートは、前記前後方向に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合されており、前記前後方向に見たときに、前記胴回り部材は、前記吸収性本体と重複する吸収性本体重複領域と、前記吸収性本体と重複しない吸収性本体非重複領域と、を有し、前記吸収性本体重複領域の単位面積あたりの前記超音波接合部の面積が、前記吸収性本体非重複領域の単位面積あたりの前記超音波接合部の面積よりも、大きいことが望ましい。
【0037】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体重複領域における縦皺の発生が抑制されるので、温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0038】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前記左右方向に伸縮性を有し、前記前側高密度部は、前記上下方向に所定の寸法を有しており、前記吸収性本体は、前記前側高密度部の前記上下方向の寸法を長さとし、前記左右方向の寸法を幅とした、前側矩形状領域を有し、前記胴回り部材は、前記前後方向に見たときに、前記前側矩形状領域と重複する前側矩形状重複領域と、前記吸収性本体と重複しない吸収性本体非重複領域と、を有し、前記前側矩形状重複領域の前記左右方向の寸法が、伸長状態においてL0であり、自然状態においてL1であって、前記伸長状態の前記吸収性本体非重複領域において、前記伸長状態の前記前側矩形状重複領域と前記上下方向の同じ位置に配置され形状が同一な領域における前記左右方向の寸法が、前記伸長状態において前記L0であり、前記自然状態においてL2であって、前記L1が前記L2よりも大きいことが望ましい。
【0039】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、前側矩形状領域における吸収性本体の左右方向への収縮量が小さくなり、吸収性本体の縦皺の発生が抑制されるので、下腹部において温感剤又は冷感剤の効果を高めることが可能となる。
【0040】
===本実施の形態に係る吸収性物品について===
本実施形態に係る揮発性物質を備えた吸収性物品の一例として、後述する温感剤26を備えたパンツ型吸収性物品1について説明する。なお、以下の説明では生理用の吸収性物品1について説明するが、本実施形態の吸収性物品1には、例えば、大人用、乳児用のおむつ等も含まれており、生理用に用途が限定されるものではない。
【0041】
図1は、パンツ型吸収性物品1の概略斜視図であり、
図2は、展開状態におけるパンツ型吸収性物品1の平面図及び断面模式図である。
【0042】
図1に示すパンツ型状態において、吸収性物品1は、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」を有している。そして、
図1における紙面の縦方向を上下方向として紙面の上側(下側)を上下方向の「上」(「下」)とし、左右方向においては、紙面の左側(右側)を左右方向の左(右)とする。また、前後方向においては、着用する際に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。
【0043】
図2に示す吸収性物品1の展開状態(パンツ型吸収性物品1がパンツ型に成形される前の平面上に広がった状態)において、吸収性物品1は、互いに交差する「長手方向」と「幅方向」と「厚さ方向」とを有している。そして、
図2における紙面の縦方向を長手方向として、紙面の上側(下側)を長手方向の「前(腹側)」(「後(背側)」)とし、長手方向と紙面上で直交する方向を幅方向として紙面の左側(右側)を幅方向の左(右)とする。また、長手方向及び幅方向と直交する方向(紙面を貫通する方向)を厚さ方向とし、厚さ方向においては、着用者の肌と当接する側を「肌側」、その逆側を「非肌側」とする。
【0044】
なお、本実施の形態に係る平面図(例えば、
図2)は、対象物の伸長状態を示している。ここで「伸長状態」とは、吸収性物品1が備える各弾性体(例えば、後述する股下糸ゴム30、伸縮性シート12等)を伸長させることにより、平面図に示す部材を皺なく伸長させた状態である。例えば、
図2においては、吸収性物品1を構成する後述する胴回り部材10と吸収性本体20の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことをいう。そして、非伸長状態であって、各弾性体が自然に収縮して平面図に示す部材等に皺等が生じている状態のことを「自然状態」という。
【0045】
本実施の形態に係る吸収性物品1は、胴回り部材10と、吸収性本体20とを備えており、以下では、先ず、胴回り部材10と吸収性物品1をパンツ型に生成する過程について説明する。そして、吸収性本体20については、後に項を設けて説明する。なお、本実施の形態においては、吸収性本体20に温感剤26が備えられている。
【0046】
胴回り部材10は、
図2に示すように、展開状態において、平面視で略砂時計形状をしている。つまり、長手方向の中央部が幅方向の内側へ窪んでおり、この窪んだ部分は、パンツ型に成形されると、
図1に示す一対の脚回り開口部1bを形成する。
【0047】
また、胴回り部材10は、長手方向において吸収性物品1の中心に位置する中心折線CLより前側の前側胴回り部材10fと後側の後側胴回り部材10bを有している。そして、前側胴回り部材10f(後側胴回り部材10b)は、前側(後側)の端部において幅方向に沿った胴回り前端部10ff(胴回り後端部10bf)と、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った前側接合部10fe(後側接合部10be)(共に
図2の右下がり斜線図)を有している。
【0048】
また、本実施の形態に係る胴回り部材10は、胴回り部材10の形状をした左右方向にほぼ伸縮性の無い不織布の非伸縮性シート14と、左右方向に伸縮性を有する不織布の伸縮性シート12(前側伸縮性シート12f及び後側伸縮性シート12b)と、を備えており、
図2に示すように、非伸縮性シート14と伸長状態の伸縮性シート12が厚さ方向に重ねられた状態で接合されている。
【0049】
つまり、胴回り部材10は、複数のシートを備えており、複数のシートのうち、少なくとも1つが左右方向に伸縮性を有している。そして、複数のシートの接合は、超音波振動及び圧力を加えた超音波接合(超音波シール)により、点在する複数の超音波接合部を形成することで行われる。
【0050】
すなわち、複数のシートは、厚さ方向(前後方向)に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合される。換言すれば、複数のシートの接合は、そのシートの接合範囲の全てが超音波接合部で構成されているのではなく、超音波接合部と非超音波接合部とで構成されている。そして、超音波接合部は、一定の間隔を置いて設けられており、厚さ方向に見たときに、吸収性本体20と重複する領域か否かによって、かかる一定の間隔が相違する。
【0051】
つまり、本実施の形態に係る胴回り部材10は、厚さ方向(前後方向)に見たときに、吸収性本体20と重複する吸収性本体重複領域(伸縮性シート12が吸収性本体20と重複する領域であり、
図2においてXで示す右上がり斜線の領域)と、吸収性本体20と重複しない吸収性本体非重複領域(伸縮性シート12が吸収性本体20と重複しない領域であり、伸縮性シート12のうちのXで示す右上がり斜線の領域以外の領域)で、超音波接合部の間隔が異なる。
【0052】
吸収性本体重複領域においては、
図2のY部拡大図に示すように、超音波接合部YSがほぼ同一の大きさの略長方形状に形成されており、幅方向に沿って直立した当該略長方形状を45度傾けたものと、−45度傾けたものが規則正しくそれぞれ略均一に配置されている。そして、吸収性本体非重複領域においては、
図2のZ部拡大図に示すように、超音波接合部ZSが略同一の大きさの円形状に形成されており、超音波接合部YSよりも大きい間隔で略均一に分布している。
【0053】
そのため、吸収性本体重複領域と吸収性本体非重複領域の単位面積あたりの超音波接合部の面積を比べると、吸収性本体重複部の方が大きくなる。すなわち、吸収性本体重複領域の単位面積あたりの超音波接合部YSの面積が、吸収性本体非重複領域の単位面積あたりの超音波接合部ZSの面積よりも大きい。
【0054】
また、吸収性本体非重複領域においては、単位面積あたりの超音波接合部の面積が一定でなくてもよく、超音波接合部ZSと異なる超音波接合部を有していてもよい。例えば、着用者への締め付け具合等を考慮し、吸収性本体20の長手方向における前端よりも前側において、幅方向における両外側の超音波接合部ZSよりも単位面積あたりの超音波接合部の面積を大きくすると、当該部の剛性が高くなって縦皺の発生が抑制されるので、温感剤26が胴回り部材10から抜けにくくなり、より下腹部での温感効果を長く保つことができる。
【0055】
吸収性物品1をパンツ型に生成する過程においては、先ず、展開状態の胴回り部材10の所定の位置に吸収性本体20を配置して、展開状態の吸収性物品1を生成する。つまり、吸収性本体20の非肌側の面を接合面とし、当該接合面を展開状態の胴回り部材10の所定の位置に載置して接合する。すなわち、胴回り部材10は、厚さ方向において吸収性本体20の非肌側に重ねて配置される。
【0056】
そして、展開状態の吸収性本体20と胴回り部材10が、長手方向に折り曲げられる。すなわち、
図2に示す中心折線CLを折り目として、前側胴回り部材10fの肌側と、後側胴回り部材10bの肌側と、が向かい合わせになるように、吸収性本体20と胴回り部材10が、長手方向に折り曲げられる。
【0057】
そうしたら、胴回り部材10の前側接合部10feと後側接合部10beが近づくので、左右の前側接合部10feと後側接合部10beをそれぞれ接合する。
【0058】
つまり、胴回り部材10の左右両端部が長手方向に沿って接合されるので、胴回り部材10の胴回り前端部10ffと胴回り後端部10bfが胴回り部材10の上側に胴回り開口部1aを形成する。
【0059】
また、胴回り部材10は、吸収性本体20よりも幅方向における左側の外側(
図2においてLLで示す破線より左側)に位置する左側延出部10Lと、右側の外側(
図2においてRLで示す破線より右側)に位置する右側延出部10Rと、を有している。
【0060】
パンツ型吸収性物品1は、胴回り部材10が着用者の身体の前側(腹部)と後側(背中部)に当接して(着用者の胴回りに当接して)、主に胴回り部材10の左右方向への伸縮(身体への締め付け)により、着用時に落下しないような構成である。したがって、胴回り部材10に接合された吸収性本体20は、着用者の股下部(吸収性本体20が着用時に着用者の肌に当接する部分であり、下腹部から股間部を介して臀部(おしり)の仙骨部に至る部分)に当接した状態で胴回り部材10により上下方向に支持される。
【0061】
すなわち、吸収性物品1は、腹部、背中部、及び股下部を備え、胴回り開口部、及び一対の脚回り開口部が形成されたパンツ型であり、胴回り部材の有する伸縮性シート12等により、着用時に落下しないように支持されている。
【0062】
なお、「当接」とは、当たり接していることを意味し、部材の少なくとも一部が着用者に当接していれば、当該部材は着用者に当接している状態となる。例えば、胴回り部材10のうちの伸縮する部分が着用者と接して、伸縮しない部分が着用者と接していない状態は、胴回り部材10が着用者に当接している状態である。
【0063】
また、前述した吸収性本体20と胴回り部材10等を接合する接合方法としては、例えば、接着剤、ヒートシール、超音波シール、これらの組み合わせ等、公知の接合方法を例示できる。
【0064】
<<<吸収性本体20について>>>
次に、吸収性本体20について
図3乃至
図6を用いて説明する。
図3は、吸収性本体20の平面図であり、
図4は、
図3の矢視A−Aであって、吸収性本体20の断面模式図である。
図5、
図6については、後述する。
【0065】
本実施の形態に係る吸収性本体20は、生理用の吸収性本体20であり、所謂ナプキンである。つまり、吸収性本体20は、液吸収性の吸収性コア22を備えており、吸収性コア22は、コアラップシート22aで外周面が覆われている。
【0066】
吸収性コア22は、液体吸収性素材が所定の形状に成形されたものであり、本実施の形態においては、平面視で略矩形状(
図3の斜線図)、断面視で凸部形状(
図4の斜線部)に成形されている。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー(所謂SAP)等が含有されたものを例示できる。コアラップシート22aとしては、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを例示できる。なお、コアラップシート22aはなくてもよい。
【0067】
吸収性本体20は、吸収性コア22に加えて、
図4に示すように、吸収性コア22よりも肌側に第1肌側シート24aと、第2肌側シート24bと、温感剤26と、を備えており、吸収性コア22よりも非肌側には、長手方向に沿った股下糸ゴム30(弾性部材に相当)と、非肌側シート24cと、を備えている。
【0068】
また、吸収性本体20は、サイドシート24dを備えており、サイドシート24dは、吸収性本体20の幅方向における両端部において、厚さ方向において最も非肌側から第1肌側シート24aよりも肌側まで延出し、非肌側まで折り返すようにして設けられている。そして、サイドシート24dの肌側まで延出した一部は、立体ギャザー50を形成している。
【0069】
なお、立体ギャザー50は、温感剤26が外に漏れてしまうことを防ぐため、支点50Bから頂点50Sまで不織布が同数枚で構成されていることが好ましく、具体的には、2枚以上であることが好ましい。
【0070】
また、吸収性本体20(吸収性コア22)の肌側には、複数のヒンジ40(高密度部に相当)が形成されている。
【0071】
第1肌側シート24aは、着用時において着用者の肌に接触し得る液透過性のシート部材であり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。第2肌側シート24bは、第1肌側シート24aとほぼ同等の機能及び構成を有するシート部材であり、第1肌側シート24aの非肌側面に積層されている。また、第2肌側シート24bの吸収性能を向上させる際には、第2肌側シート24bにエアレイドパルプを用いるとよい。第2肌側シート24bにエアレイドパルプを使用することにより、厚み方向の疎密勾配を付与し、吸収性を向上させることができる。
【0072】
すなわち、吸収性本体20は、肌側シートとして、最も肌側に位置する第1肌側シート24aと、第1肌側シート24aと吸収性コア22との間に位置する第2肌側シート24bと、を備えている。なお、吸収性本体20において、第2肌側シート24bは必ずしも設けられていなくても良い。
【0073】
非肌側シート24cは、液不透過性シートであればよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を例示できる。また、第1肌側シート24a及び非肌側シート24cの大きさは、吸収性コア22の全体を覆う大きさである。また、非肌側シート24cは、非通気フィルムであってもよい。非肌側シート24cが非通気フィルムであれば、温感剤26が揮発して非肌側から排出することを抑制することができる。
【0074】
サイドシート24dは、着用時において着用者の肌に一部が接触するので、例えば、SMS不織布やスパンボンド不織布等により形成される。また、サイドシート24dにおいては、肌側シートよりも密度が高い不織布を複数層に重ねて使用することにより、温感剤26が揮発してサイドシート24dから排出することを抑制することができる。
【0075】
温感剤26は、着用者の生理痛や冷え症状を緩和するために設けられており、着用者の温度感覚に刺激を与えることにより、刺激を受けた着用者が温かく感じる温感刺激剤を含み、揮発性の物質である溶媒と混合された状態で備えられている。
【0076】
そして、温感剤26は、厚さ方向において、第1肌側シート24aと第2肌側シート24bとの間(第1肌側シート24aの非肌側及び第2肌側シート24bの肌側の少なくとも一方。本実施の形態においては、第1肌側シート24aの非肌側)に塗布されており(
図4の黒塗り部)、着用者の肌と当接する場所には塗布されていない。本実施形態に係る温感剤26は、気化して着用者の肌まで到達してその主たる温感効果を発揮する。なお、温感剤26の気化については、後で詳しく説明する。
【0077】
また、温感剤26は、吸収性コア22に備えられていてもよい。すなわち、吸収性コア22及び肌側シート(第1肌側シート24aと第2肌側シート24b)の少なくとも一方に、温感剤26が備えられていればよい。
【0078】
温感刺激剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン(LD50:47mg/kg,分子量:305)、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル(LD50:2,188mg/kg,分子量:213)、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル(LD50:4,900mg/kg,分子量:210)、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール(LD50:250mg/kg,分子量:294)、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0079】
溶媒は、温感刺激剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。溶媒は、温感刺激剤を、例えば、溶解、分散等することができる。
【0080】
親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油(例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル等)、炭化水素(例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン)等が挙げられる。
【0081】
親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0082】
図5は、温感剤26の塗布領域26pと非塗布領域26nを示した図である。
図5に示すように、温感剤26は、幅方向に所定の寸法を有し、長手方向に沿った一対の塗布領域26p(
図5の斜線部)に塗布される。したがって、吸収性本体20の幅方向における中央部には、長手方向に沿った温感剤26が塗布されていない非塗布領域26nが設けられる。
【0083】
本実施の形態においては、吸収性本体20の幅方向における中央部に、幅寸法15mmの非塗布領域26nが設けられており、非塗布領域26nの幅方向における両外側に一対の塗布領域26pが、幅寸法25mmで設けられている。また、塗布領域26p及び非塗布領域26nは、吸収性本体20の長手方向における前端から後端まで連続した領域である。
【0084】
次に、温感剤26の気化について説明する。温感剤26の溶媒は、温感刺激剤を含んだ状態で気化する。つまり、温感刺激剤を含んだ溶媒が気化して着用者の肌に到達し、到達した温感刺激剤が着用者の温度感覚に刺激を与える。すなわち、本実施の形態においては、温感剤26が着用者の肌と直接的に当接していなくても、温感剤26が気化することにより、気化した温感剤26が着用者の肌と当接する。
【0085】
そして、このような溶媒の気化量は、着用者の体温の伝達等による温感剤26の温度変化や、温感剤26の位置する吸収性本体20の伸縮動作の大小(大きく伸縮すると温感剤26も大きく動いて気化量が増加する)によって増減する。つまり、温感剤26への体温の伝わり具合(温感剤26と着用者の肌の距離等)、温感剤26の位置する吸収性本体20の伸縮具合(弾性部材の有無等)等を調整することで気化量を調整することができる。すなわち、着用者が感じる温感刺激の強弱や、温感剤の効果が発揮される持続時間(溶媒が気化する時間)の長短を調整することが可能となる。
【0086】
股下糸ゴム30は、
図3及び
図4に示すように、吸収性本体20の左右方向(幅方向)の中央部において、下腹部が当接する前側から股間部を介して臀部が当接する後側に至るまで設けられている。すなわち、吸収性本体20には、上下方向(長手方向)に沿って股下糸ゴム30が備えられている。そして、股下糸ゴム30は、上下方向において、少なくとも後述する前側ヒンジ41の下側端部41beと、後述する中央ヒンジ43の上側端部43feと、の両方と重複している。
【0087】
また、股下糸ゴム30は、連続した伸長状態で非肌側シート24cに接合された後に、吸収性物品1毎に切断されるので、接合されていない部分の股下糸ゴム30は、切断後に接合部に向かって収縮し、伸長していない状態の股下糸ゴム30が吸収性本体20に設けられることとなる。つまり、股下糸ゴム30の前側端においては、伸長していない状態の股下糸ゴム30が設けられている。
【0088】
かかる部分は、股下糸ゴム30が設けられていない部分よりも剛性が高いので、吸収性物品1の着用時、吸収性本体20がカップ状(パンツ型において左右方向から見てU型状)に変形した後において、吸収性本体20のその形状を崩れにくくする。すなわち、パンツ型吸収性物品1において、例えば、上下方向の上側から吸収性本体20を変形させるような力が加わった場合、伸長していない状態の股下糸ゴム30が設けられている部分があれば、かかる部分は股下糸ゴム30が無い部分よりも剛性が高くて変形しにくいので、吸収性本体20の形状を崩れにくくすることが可能となる。
【0089】
なお、本実施の形態に係る股下糸ゴム30は、吸収性コア22よりも非肌側の非肌側シート24cの非肌側に設けられているが、これに限るものではなく、例えば、非肌側シート24cの肌側に設けてもよいし、非肌側だけではなく吸収性コア22の肌側にも設けてもよい。
【0090】
また、吸収性本体20を伸縮させる部材としては、股下糸ゴム30に限るものではなく、伸縮性不織布や伸縮性フィルムを用いてもよい。伸縮性不織布や伸縮性フィルムのようなシート状の弾性部材を使用することにより、より面(シートの端面であって上記した股下糸ゴム30よりも広い範囲)でカップ状に変形した吸収性本体20の状態を保持することができ、温感剤26の温感効果を高めることができる。
【0091】
図6は、ヒンジ40の矩形状領域40Mを示した図である。ヒンジ40は、着用者が吸収性物品1を着用した際に、吸収性本体20が着用者の身体に沿って変形するように(変形の折り目となるように)設けられており、
図4に示すように、吸収性本体20(吸収性コア22)の肌側において、肌側から非肌側へ窪んだ凹部形状をしている。
【0092】
本実施の形態に係るヒンジ40の凹部形状は、温感剤26が塗布された吸収性本体20(吸収性コア22)を肌側から圧搾することにより形成されている。つまり、以下に説明するヒンジ40の各々は、吸収性コア22の密度がその周囲の密度よりも高い高密度部であって圧搾溝である。
【0093】
本実施の形態においては、吸収性コア22の前側上端部には、前側ヒンジ41(前側高密度部に相当)が設けられている。そして、前側ヒンジ41の下側端の下側に、前側ヒンジ41と上下方向に間隔を置いて、中央ヒンジ43(中央高密度部に相当)が設けられており、吸収性コア22の後側には、後側ヒンジ42(後側高密度部に相当)が設けられている。
【0094】
なお、本実施の形態においては、吸収性物品1がパンツ型の形状において、
図2に示す前側伸縮性シート12fの端12fe及び後側シート12bの端12beよりも上側の部分を吸収性コア22(吸収性本体20)の「上端部」とする。詳細には、端12feよりも前側を前側上端部、端12beよりも後側を後側上端部とする。また、本実施の形態のように端12fe、12beによらない場合(例えば、胴回り部材10に端12fe、12beが無いような吸収性物品の場合)には、例えば、吸収性本体20を長手方向に三等分し、吸収性物品1が展開状態においては、前側から前端部、中央部、後端部とし、吸収性物品1がパンツ型の形状においては、前側から前側上端部、中央下部、後側上端部としてもよい。
【0095】
つまり、吸収性コア22には、前側ヒンジ41の下側端の下側に、複数のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)が上下方向に沿って設けられている。そして、複数のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)は、左右方向に一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)であり、それぞれ上下方向に所定の間隔を置いて設けられている。
【0096】
なお、本実施の形態に係る後側ヒンジ42は、長手方向の最も後側から順番に、第1後側ヒンジ42a、第2後側ヒンジ42b、第3後側ヒンジ42cの3つ設けられているが、後側ヒンジ42は、吸収性本体20を臀部に沿わせるようなものであればよく、少なくとも1つ設けられていればよい。すなわち、後側ヒンジ42は、1又は複数の後側ヒンジ42で構成される。
【0097】
また、一対の後側ヒンジ42の各々の左右方向の間には、ヒンジ40のような高密度部が設けられていない。すなわち、左右方向において、一対の後側ヒンジ42の間の吸収性コア22の密度は、後側ヒンジ42の密度よりも低い。
【0098】
また、ヒンジ40の各々は、各々が上下方向と左右方向に所定の寸法を有している。つまり、
図6に示すように、前側ヒンジ41(第1後側ヒンジ42a、第2後側ヒンジ42b、第3後側ヒンジ42c、中央ヒンジ43)は、上下方向に所定の寸法41Y(42aY、42bY、42cY、43Y)、左右方向に所定の寸法41X(42aX、42bX、42cX、43X)を有している。
【0099】
そして、前側ヒンジ41の左右方向の寸法41Xが、後側ヒンジ42の左右方向の寸法(42aX、42bX、及び42cX)のいずれよりも大きい。また、1又は複数の後側ヒンジ42のうちの最も上端(第1後側ヒンジ42aの上端)から最も下端(第3後側ヒンジ42cの下端)までの距離が、前側ヒンジ41の上端から下端までの距離(上下方向の寸法41Y)よりも大きい。
【0100】
また、ヒンジ40は、吸収性本体20に矩形状領域40M(
図6の斜線部)を形成している。すなわち、吸収性本体20は、ヒンジ40の各々の上下方向の寸法を長さとし、各々の左右方向の寸法を幅とした、矩形状領域40Mを有している。具体的には、
図6に示すように、前側ヒンジ41(第1後側ヒンジ42a、第2後側ヒンジ42b、第3後側ヒンジ42c、中央ヒンジ43)が、上下方向の寸法41Y(42aY、42bY、42cY、43Y)を長さとし、左右方向の寸法41X(42aX、42bX、42cX、43X)を幅とした、前側矩形状領域41M(第1後側矩形状領域42aM、第2後側矩形状領域42bM、第3後側矩形状領域42cM、中央矩形状領域43M)を形成している。
【0101】
なお、本実施の形態に係るヒンジ40の凹部の深さは、一定ではなく、浅い部分や深い部分があり、このヒンジ40の凹部の深さを調整することで、吸収性本体20の変形具合を調整している。
【0102】
<<<塗布領域26pの配置について>>>
次に、塗布領域26p(温感剤26)の配置について説明する。前述した通り、吸収性本体20における温感剤26の位置により、着用者が感じる温感刺激の強弱や、温感剤26の効果持続時間が異なる。
【0103】
以下では、塗布領域26pと、ヒンジ40、ヒンジ40のうちの前側ヒンジ41と後側ヒンジ42、及び矩形状領域40Mとの位置関係について
図7、
図8を用いて説明する。
図7は、塗布領域26pとヒンジ40の位置関係を示した図であり、
図8は、塗布領域26pと矩形状領域40Mの位置関係を示した図である。
【0104】
塗布領域26pとヒンジ40は、
図7に示すように、前後方向に見たときに、重複している領域(
図7の黒塗り部)と、重複していない領域に分かれている。すなわち、前後方向に見たときに、塗布領域26pが、ヒンジ40と重複するヒンジ重複領域26pc(圧搾溝重複領域に相当)と、ヒンジ40と重複しないヒンジ非重複領域26pd(圧搾溝非重複領域に相当)と、を有している。
【0105】
塗布領域26pと前側ヒンジ41は、
図7に示すように、前後方向に見たときに、重複している領域と、重複していない領域に分かれている。後側ヒンジ42は、前後方向に見たときに、塗布領域26pと全て重複している。すなわち、前後方向に見たときに、温感剤26の少なくとも一部が、前側ヒンジ41及び後側ヒンジ42と重複する。
【0106】
塗布領域26pと矩形状領域40Mは、
図8に示すように、前後方向に見たときに、重複している領域(
図8の斜線部)と、重複していない領域に分かれている。すなわち、前後方向に見たときに、温感剤26の少なくとも一部が、矩形状領域40Mと重複する。
【0107】
<<<本実施の形態に係る有効性について>>>
パンツ型吸収性物品においては、温感剤26と着用者の肌との距離が、着用者が温感を心地よく感じるための1つの要素となる。そして、従来のパンツ型吸収性物品においては、吸収性本体の温感剤26が塗布された領域に胴回り部材10の伸縮による縦縞が形成され、温感剤26と着用者の肌までの距離に遠近が生じて、温感効果が十分に発揮されない問題があった。
【0108】
これに対し、本実施の形態に係るパンツ型吸収性物品1は、液吸収性の吸収性コア22と、吸収性コア22よりも肌側に設けられた肌側シート(第1肌側シート24a及び第2肌側シート24b)と、を備えた吸収性本体20と、吸収性本体20の非肌側に重ねて配置された、左右方向に伸縮する胴回り部材10と、を有するパンツ型吸収性物品1であって、吸収性コア22及び肌側シート(第1肌側シート24a及び第2肌側シート24b)の少なくとも一方には、温感剤26が備えられ、吸収性コア22の前側上端部には、吸収性コア22の密度がその周囲の密度よりも高い前側ヒンジ41が設けられ、前側ヒンジ41は、左右方向に所定の寸法41Xを有しており、前後方向に見たときに、温感剤26の少なくとも一部が、前側ヒンジ41と重複することとした。そのため、下腹部において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0109】
前述したように、前側ヒンジ41は、吸収性コア22の密度がその周囲の密度より高い高密度部である。そのため、前側ヒンジ41は、その周囲よりも剛性が高くなっており、変形しにくくなっている。つまり、胴回り部材10の左右方向の伸縮による前側ヒンジ41の変形は、その周囲の吸収性コア22の変形よりも小さい。
【0110】
すなわち、前側ヒンジ41で胴回り部材10の左右方向への伸縮による吸収性本体20の縦皺の発生が抑制されて、吸収性本体20が着用者の身体に沿うので、下腹部において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0111】
また、本実施の形態においては、吸収性コア22の後側には、吸収性コア22の密度がその周囲の密度よりも高い後側ヒンジ42が少なくとも1つ設けられ、後側ヒンジ42は、左右方向に所定の寸法(42aX、42bX、及び42cX)を有しており、前後方向に見たときに、温感剤26の少なくとも一部が、後側ヒンジ42と重複することとした。
【0112】
すなわち、後側ヒンジ42においても前述した前側ヒンジ41と同じように、後側ヒンジ42で胴回り部材10の左右方向への伸縮による吸収性本体20の縦皺の発生が抑制されて、吸収性本体20が着用者の身体に沿うので、仙骨部(臀部)おいて温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0113】
また、本実施の形態においては、前側ヒンジ41の左右方向の寸法41Xが、後側ヒンジ42の左右方向のいずれの寸法(42aX、42bX、及び42cX)よりも大きいこととした。
【0114】
仙骨部にはおしりの溝があるので、左右方向に平坦な形状が少ないが、下腹部にはそのような溝がないので、左右方向に平坦な形状となっている。そして、前側ヒンジ41の左右寸法が、後側ヒンジ41の左右寸法と同じ場合に比べて大きくなると、前側ヒンジ41は下腹部の平坦な形状に沿うので、吸収性本体20の左右方向に広い範囲で下腹部の形状に沿い易くなる。つまり、下腹部の左右方向に広い範囲で温感剤26を着用者の肌に近づけることができるので、下腹部において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0115】
また、本実施の形態においては、後側ヒンジ42は、左右方向において、一対の後側ヒンジ42の間の吸収性コア22の密度は、後側ヒンジ42の密度よりも低いこととした。
【0116】
すなわち、一対の後側ヒンジ42の左右方向の間における吸収性コア22の密度が、一対の後側ヒンジ42の密度と同じ場合に比べて低くなると、当該部分の吸収性コア22が変形し易くなる。そのため、当該部分の吸収性コア22は、一対の後側ヒンジ42が折り目となって肌側へ突出し易くなり、おしりの溝に沿い易くなる。つまり、仙骨部の温感剤26を着用者の肌に近づけることができるので、仙骨部において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0117】
また、本実施の形態においては、前側ヒンジ41と後側ヒンジ42は、それぞれが上下方向に所定の寸法(41Y、並びに、42aY、42bY、及び42cY)を有しており、後側ヒンジ42は、1又は複数の後側ヒンジ42(本実施形態においては3つ)であって、1又は複数の後側ヒンジ42のうちの最も上端(第1後側ヒンジ42aの上端)から最も下端(第3後側ヒンジ42cの下端)までの距離が、前側ヒンジ41の上端から下端までの距離(上下方向の寸法41Y)よりも、大きいこととした。
【0118】
仙骨部には上下方向に沿ったおしりの溝があるが、下腹部にはそのような溝は無い。また、後側ヒンジ42は、吸収性コア22の左右方向における中央部を肌側に突出させる折り目として機能する。そして、後側ヒンジ42の上端から下端までの距離が、前側ヒンジ41の上端から下端までの距離と同じ場合に比べて大きくなると、後側ヒンジ42が上下方向に広い範囲で吸収性コア22の中央部を肌側に突出させるので、吸収性コア22がおしりの溝に沿い易くなる。つまり、仙骨部の上下方向に広い範囲で温感剤26を着用者の肌に近づけることができるので、仙骨部において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0119】
また、本実施の形態においては、吸収性コア22には、前側ヒンジ41の下側端の下側に、前側ヒンジと上下方向に間隔を置いて、吸収性コア22の密度がその周囲の密度より高い中央ヒンジ43が設けられており、前側ヒンジ41と中央ヒンジ43は、それぞれ上下方向に所定の寸法(41Y及び43Y)を有し、吸収性本体20には、上下方向に沿って股下糸ゴム30が備えられており、股下糸ゴム30が、上下方向において、少なくとも前側ヒンジ41の下側端部41beと、中央ヒンジ43の上側端部43feと、の両方と重複することとした。
【0120】
かかる股下糸ゴム30は、前側ヒンジ41と中央ヒンジ43の間の距離を近づけるように機能する。そして、前側ヒンジ41は、胴回り部材10の左右方向への伸縮作用(胴回りの締め付け作用)によって下腹部の肌側へ押さえ付けられて動かないように支持されている。一方の中央ヒンジ43は、胴回り部材10の股下部において非肌側(下側)へ落下しないように胴回り部材10に吊られた状態で支持されている。
【0121】
したがって、吸収性物品1の着用時において、股下糸ゴム30は、中央ヒンジ43を前側ヒンジ41側(上側)へ引き付けることとなる。すなわち、股下糸ゴム30は、中央ヒンジ43の温感剤26を身体に近づけるので、中央ヒンジ43において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0122】
また、本実施の形態においては、前側ヒンジ41と複数の一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)は、それぞれ上下方向に所定の寸法(41Y、43Y、並びに、42aY、42bY、及び42cY)を有し、吸収性本体20は、前側ヒンジ41と複数の一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)の各々の上下方向の寸法を長さとし、各々の左右方向の寸法を幅とした、各々の矩形状領域40Mを有し、前後方向に見たときに、温感剤26が、矩形状領域40Mの少なくとも一部と重複することとした。
【0123】
すなわち、吸収性本体20の矩形状領域40Mにおいては、各々の矩形状領域40M内のヒンジ40によって、矩形状領域40Mの幅の範囲において縦皺の発生が抑制され易いので、温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0124】
また、本実施の形態においては、前側ヒンジ41と複数の一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)は、吸収性コア22を圧搾して設けられた、前側圧搾溝(前側ヒンジ41)と複数の一対の圧搾溝(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)であり、前後方向に見たときに、塗布領域26pが、前側圧搾溝(前側ヒンジ41)又は複数の一対の圧搾溝(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)と重複するヒンジ重複領域26pcと、前側圧搾溝(前側ヒンジ41)及び複数の一対の圧搾溝(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)と重複しないヒンジ非重複領域26pdと、を有していることとした。
【0125】
圧搾溝は、吸収性コア22の肌側で、吸収性コア22の肌側から非肌側に圧搾して形成されている。つまり、ヒンジ重複領域26pcに位置する温感剤26は、ヒンジ非重複領域26pdに位置する温感剤26よりも着用所の肌から遠くて体温が伝わりにくい(高温になりにくい)。
【0126】
したがって、ヒンジ重複領域26pcにおいては、温感効果が、着用後に時間を置いて発生し、ヒンジ非重複領域26pdにおいては、温感効果が、着用後に速やかに発生する。すなわち、このような温感剤26の効果発生期間が異なる2つの領域に温感剤26を設けることにより、温感剤26の効果を長く持続させること可能となる。
【0127】
また、本実施の形態においては、吸収性本体20は、肌側シートとして、最も肌側に位置する第1肌側シート24aと、第1肌側シート24aと吸収性コア22との間に位置する第2肌側シート24bと、を備えており、温感剤26が、第1肌側シート24aの非肌側及び第2肌側シート24bの肌側の少なくとも一方に備えられていることとした。
【0128】
吸収性物品1の内表面に温感剤26を設けると、温感剤26が着用者に直接的に接するので、着用者への刺激が強すぎて、着用者の肌に赤み、かゆみ、又はかぶれ等を発生させる肌トラブルの原因となり得る。また、吸収性物品1の外表面に温感剤26を設けると、非肌側シート24cが気体を透過させるものであっても、温感剤26が着用者の肌から遠すぎて、温感剤26の効果が十分に発揮されない。
【0129】
これに対し、本実施の形態においては、温感剤26と着用者の肌とが直接的に当接しないようにしつつ、最も着用者の肌と近い第1肌側シート24aの非肌側に塗布することとした。すなわち、温感剤26の厚さ方向における不適切な位置(内表面及び外表面)を避けることができ、着用者の肌にも近いので、温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0130】
また、本実施の形態においては、胴回り部材10は、複数のシートを備えており、胴回り部材10の複数のシートのうち、少なくとも1つが左右方向に伸縮性を有し、胴回り部材10の複数のシートは、前後方向に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合されており、前後方向に見たときに、胴回り部材10は、吸収性本体20と重複する吸収性本体重複領域と、吸収性本体20と重複しない吸収性本体非重複領域と、を有し、吸収性本体重複領域の単位面積あたりの超音波接合部YSの面積が、吸収性本体非重複領域の単位面積あたりの超音波接合部ZSの面積よりも、大きいこととした。
【0131】
すなわち、吸収性本体重複領域の単位面積当たりの超音波接合部YSの面積が、吸収性非本体非重複領域の単位面積当たりの超音波接合部ZSの面積以下の場合に比べて、吸収性本体重複領域の剛性が高くなり、吸収性本体重複領域における縦皺の発生が抑制されるので、温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0132】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0133】
また、上記実施の形態においては、複数の一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)の各々は、左右方向に所定の寸法(43X、並びに、42aX、42bX、及び42cX)を有し、複数の一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)のいずれかの左右方向の寸法が、塗布領域26pの左右方向の寸法よりも小さい、がこれに限るものではない。複数の一対のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)のいずれかの左右方向の寸法が、塗布領域26pの左右方向の寸法以上であってもよい。
【0134】
すなわち、前者のパンツ型吸収性物品1によると、股間部及び臀部のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)の左右寸法が塗布領域26pの左右寸法以上の場合に比べて、股間部及び臀部のヒンジ40(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)が身体に接触することを抑制することができるので、着用時の違和感を抑制することが可能となる。
【0135】
そして、後者のパンツ型吸収性物品1によると、股間部及び臀部の高密度部(後側ヒンジ42及び中央ヒンジ43)のいずれかの左右寸法が、塗布領域26pの左右寸法よりも小さい場合に比べて、股間部及び臀部の高密度部による縦皺の発生が抑制され易いので、温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0136】
また、本実施の形態においては、胴回り部材10を左右方向に伸縮させる部材として伸縮性シート12が設けられていたが、これに限るものではない。例えば、伸縮部材として胴回り糸ゴム16を伸縮性シート12の代わり、又は同時に用いてもよい。
【0137】
図9は、胴回り糸ゴム16を用いたパンツ型吸収性物品100の展開状態における平面図である。パンツ型吸収性物品100においては、前後方向(厚さ方向)に見たときに、前側ヒンジ41の前側矩形状領域41Mと重複する胴回り部材10の領域(
図9においてPで示す右上がり斜線の領域。以下、前側矩形状重複領域ともいう)において、伸長状態から自然状態に移行した際の胴回り部材10の左右方向の収縮量を小さくする。
【0138】
一例として、
図9に示すように、吸収性本体重複領域(
図2に示すXの領域)において、胴回り糸ゴム16と胴回り部材10を非接着状態とし、吸収性本体重複領域の胴回り糸ゴム16を切断することにより、胴回り糸ゴム16の一部を非伸長状態とする例を挙げることができる。かかる状態によると、胴回り糸ゴム16が切断箇所から吸収性本体重複領域(Xで示す領域)の左右方向の両端へ収縮するので、前側矩形状重複領域(Pで示す領域)において、胴回り糸ゴム16が配置されない又は非伸長状態で配置される。そのため、伸長状態から自然状態に移行した際の前側矩形状重複領域(Pで示す領域)における胴回り部材10の左右方向の収縮量を、上下方向において前側矩形状重複領域(Pで示す領域)と同じ位置の吸収性本体非重複領域の収縮量と比べて小さくすることが可能となる。
【0139】
より具体的には、
図9の拡大図に示すように、吸収体非重複領域においては、伸長状態の左右方向の寸法がL0、自然状態の左右方向の寸法がL2なり、前側矩形状重複領域においては、伸長状態の左右方向の寸法がL0、自然状態の左右方向の寸法がL1となる。そして、L1がL2よりも大きくなる。
【0140】
すなわち、胴回り部材10は、左右方向に伸縮性を有し、前側ヒンジ41は、上下方向に所定の寸法41Yを有しており、吸収性本体20は、前側ヒンジ41の上下方向の寸法41Yを長さとし、左右方向の寸法41Xを幅とした、前側矩形状領域41Mを有し、胴回り部材10は、前後方向に見たときに、前側矩形状領域41Mと重複する前側矩形状重複領域と、吸収性本体20と重複しない吸収性本体非重複領域と、を有し、前側矩形状重複領域の左右方向の寸法が、伸長状態においてL0であり、自然状態においてL1であって、伸長状態の吸収性本体非重複領域において、伸長状態の前側矩形状重複領域と上下方向の同じ位置に配置され形状が同一な領域における左右方向の寸法が、伸長状態においてL0であり、自然状態においてL2であって、L1がL2よりも大きい。
【0141】
かかるパンツ型吸収性物品100によると、L1がL2と同じ場合に比べて大きくなることで、前側矩形状領域41Mにおける吸収性本体20の左右方向への収縮量が小さくなり、吸収性本体20の縦皺の発生が抑制されるので、下腹部において温感剤26の効果を高めることが可能となる。
【0142】
また、上記実施の形態においては、不織布の伸縮性シート12が用いられていたが、これに限るものではない。例えば、伸縮性シート12が伸縮フィルムであってもよい。伸縮性シート12に伸縮フィルムを用いた場合には、着用者と伸縮フィルムの間に着用者の肌と接する不織布シートを用いるのが好ましい。伸縮フィルムの面が着用者の肌と直接的に接すると、温感剤26の温感効果が高くなり過ぎて、着用者が痛みやかゆみを感じることがあるが、着用者と伸縮フィルムの間に不織布シートを用いることにより、かかる現象を抑制することができる。
【0143】
また、胴回り部材10の強度を補うため、伸縮性シート12が不織布の場合にも、伸縮性シート12と非伸縮性シート14の2枚構成に上記した不織布シート加えて、3枚構成の胴回り部材とすることができる。3枚構成の胴回り部材によると、2枚構成の胴回り部材に比べて、胴回り部材の強度が強くなり、且つ、気化した温感剤26がシート部材と着用者の肌の間に留まり易くなる。
【0144】
また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤26を用いていたが、温感剤26に限るものではなく、例えば、冷感剤を用いてもよい。冷感剤を用いた場合には、着用者の蒸れやべたつきによる不快感を低減することが可能となる。
【0145】
つまり、冷感剤(温感剤26)を備えた吸収性物品1によると、揮発性物質が、冷感剤(温感剤26)以外の場合に比べて、着用者の冷感効果(温感効果)を高めることが可能となる。
【0146】
なお、上記で説明した温感剤26が気化して効果を発揮する仕組み(メカニズム)については、冷感剤や後述する香料においても同様であるので、これらの説明については省略する。
【0147】
かかる冷感剤の例としては、メントール(例えば、l−メントール)及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル)、サリチル酸メチル、カンファー、植物(例えば、ミント、ユーカリ)由来の精油等が挙げられる。
【0148】
なお、冷感剤や温感剤26は、温度感受性TRPチャネルを刺激するものが好ましい。これらにより低温火傷や火傷することなく、冷たさや暖かさを感じることができる。
【0149】
また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤26を用いていたが、温感剤26に限るものではなく、例えば、香料を用いても良い。香料は、温感剤26の代わりに用いても良いし、温感剤26と一緒に用いても良い。香料としては、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを用いることができる。
【0150】
なお、香料として、特にグリーンハーバル調の香料(グリーンハーバル様香気)を用いた場合には、特に精神的な不快症状を身体に物理的刺激を与えることなく、また、経口投与にもよらず、安全かつ簡便に緩和させることが可能になる。これに加え、快適感も得られる。
【0151】
グリーンハーバル様香気は、グリーン様香気(グリーンノート)又はハーバル様香気(ハーバルノート)を含む香調である。グリーン様香気とは、草や若葉のすがすがしい香調をいう。ハーバル様香気(ハーバルノート)とは、ハーブを用いた自然で、薬草的な香り立ちが特徴の香調をいう。
【0152】
グリーンハーバル様香気を有する香料を含有する香料組成物は、シス-3-ヘキセノール、ギ酸シス-3-ヘキセニル、酢酸シス-3-ヘキセニル、プロピオン酸シス-3-ヘキセニル、酪酸シス-3-ヘキセニル、トランス-2-ヘキセナール、酢酸トランス-2-ヘキセニル、酢酸ヘキシル、酢酸スチラリル、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-プロパナール(IFF社名、ヘリオナール)、3(4)-(5-エチルビシクロ[2,2,1]ヘプチル-2)-シクロヘキサノール、2-ペンチロキシグリコール酸アリル(IFF社名、アリルアミルグリコレート)、4-メチル-3-デセン-5-オール(Givaudan社名、ウンデカベルトール)、ヘキシルアルデヒド、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド(IFF社名、トリプラール)及びフェニルアセトアルデヒドより選択される1種又は2種以上の香料を含有することが好ましい。これらの香料として市販品を用いることもできる。これらが含まれる香料は主にグリーン様香気を生ずるものである。
【0153】
グリーンハーバル様香気を有する香料を含有する香料組成物は、更に、l-メントール、1,8-シネオール、サリチル酸メチル、シトロネラール、カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、酢酸ターピニル、オイゲノール、アネトール、4-メトキシベンジルアルコール及びエストラゴールより選択される1種又は2種以上の香料を含有することが好ましい。これらが含まれる香料は、主として、ハーバル様香気を生ずるものである。
【0154】
なお、香料を用いた場合も、気化して効果を発揮する仕組み(メカニズム)は温感剤26と同様であるので、香料の説明については省略する。
液吸収性の吸収性コア(22)と、吸収性コア(22)よりも肌側に設けられた肌側シート(24a、24b)と、を備えた吸収性本体(20)と、吸収性本体(20)の非肌側に重ねて配置された、左右方向に伸縮する胴回り部材(10)と、を有するパンツ型吸収性物品(1)であって、吸収性コア(22)及び肌側シート(24a、24b)の少なくとも一方には、温感剤(26)が備えられ、吸収性コア(22)の前側上端部には、吸収性コア(22)の密度がその周囲の密度よりも高い前側ヒンジ(41)が設けられ、前側ヒンジ(41)は、左右方向に所定の寸法(41X)を有しており、前後方向に見たときに、温感剤(26)の少なくとも一部が、前側ヒンジ(41)と重複することを特徴とする。