(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びレシチン、並びにこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種以上の乳化剤を含有する、請求項1に記載のグミ状可食性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のグミ状可食性組成物は、少なくともグミ部を有し、グミ部が、ゼラチンと、グミ部の総重量を基準として1重量%以上のモノテルペンとを含有する。
【0011】
1.
グミ部
本発明のグミ状可食性組成物は、少なくともグミ部を有する。
【0012】
グミ部は、少なくともゼラチンをゲル化剤として含み、弾力に富む食感を有する。
【0013】
ゼラチンとしては、特に限定されず、通常、グミ状可食性組成物に使用されるゼラチンの中から幅広く選択することができる。また、グミ部は、一種のゼラチンを含んでいてもよいし、複数種のゼラチンを含んでいてもよい。
【0014】
グミ部は、必要に応じて、ゼラチンとは異なる他のゲル化剤を少なくとも一種さらに含んでいてもよい。そのようなゲル化剤としては、特に限定されず、例えば、寒天、ペクチン及びカラギーナン等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、グミ部においてゼラチンと特定の濃度(量)のモノテルペンとが共存することによって、食感が柔らかいグミ状可食性組成物が得られるという効果が奏される。この効果は、モノテルペンとの共存によりゼラチンネットワークが阻害されることにより得られるものであると考えられる。また、その作用機序からすると、ゼラチンの種類を問わず、いかなる種類のゼラチンを用いたとしても、モノテルペンとの共存により常に上記の効果が共通して得られるものと考えられる。
【0016】
グミ部に配合するゼラチンは、特に限定されないが、例えば、ゼリー強度(JISK6503―2001)を指標として選択することができる。特に限定されず、グミ状可食性組成物の具体的用途によっても異なるが、例えば、ゼラチン全体のゼリー強度が、50g〜300g程度となるように、ゼラチンを少なくとも一種配合することができる。当該ゼリー強度は、良好な食感が得られるという観点から、50g〜200gであることがより好ましい。
【0017】
グミ部に配合するゼラチンの含有量は、特に限定されないが、グミ部の総重量を基準として、例えば、5〜20重量%であり、食感の柔らかいグミ状可食性組成物が得られるという観点から、9〜17重量%が好ましく、10〜16重量%がより好ましい。
【0018】
特に限定されないが、ゼラチンの由来は、幅広く選択することができ、例えば、牛由来ゼラチン及び豚由来ゼラチン等の獣由来ゼラチン;鳥由来ゼラチン;並びに魚由来ゼラチン等の水生生物由来ゼラチン等が挙げられる。
【0019】
さらに、ゼラチンは、必要に応じて、酸処理及びアルカリ処理をはじめとする加工処理がされたものであってもよい。
【0020】
グミ部は、食感の柔らかいグミ状可食性組成物が得られるという観点から、グミ部の総重量を基準として1重量%以上のモノテルペンを含み、当該含有量は、より柔らかい食感が得られるという点で、2重量%(グミ部総重量基準)以上が好ましい。モノテルペンの含有量の上限は、本発明の効果の点においては特に限定されないが、通常、グミ状可食性組成物における含有量としては、5重量%(グミ部総重量基準)であり、良好な味を得られるという観点から、4重量%(グミ部総重量基準)が好ましい。
【0021】
モノテルペンとしては、特に限定されず、可食性組成物として配合しうる成分群の中から少なくとも一種を適宜選択することができる。
【0022】
グミ部は、モノテルペンとして一種のみを含有していてもよいし、複数種を含有していてもよい。本発明において、モノテルペンのグミ部における含有量は、複数種のモノテルペンを含有する場合、モノテルペン全種の合計量を表す。
【0023】
モノテルペンの具体例としては、メントール、メントン、リモネン、カルボン、α−ピネン、リナロール、ネロール、カンファー、ジヒドロカルボン、ゲラニオール、チモール、ボルネオール、ペリルアルデヒド、シトラール、シトロネラール及びシネオール等が挙げられる。より食感の柔らかさに優れるグミ状可食性組成物が得られるという観点から、これらのうち、メントール及びメントンが好ましく、メントールがより好ましい。
【0024】
モノテルペンとして、具体的には、可食性組成物に通常用いられる製品を適宜選択して用いることができる。
【0025】
本発明においては、グミ部において、ゼラチンが、グミ部の総重量を基準として1重量%以上のモノテルペンと共存することにより、グミ部の食感が柔らかくなるという効果が得られる。この効果は、モノテルペンの配合量が一定量以上、すなわち少なくとも1重量%(グミ部の総重量基準)以上となることにより発現し、モノテルペンの配合量が1重量%(グミ部の総重量基準)を超える領域において、モノテルペンの量依存的に常に増加するというものでもないことが本発明者らの検討により判っている。
【0026】
グミ部における、ゼラチン100重量部に対するモノテルペンの含有量の下限は、食感のより柔らかいグミ状可食性組成物が得られるという観点から、7.7重量部が好ましく、15.4重量部がより好ましい。また、ゼラチン100重量部に対するモノテルペンの含有量の上限は、特に限定されず、通常38.5重量部であり、良好な味を得られるという観点から、30.8重量部が好ましい。
【0027】
グミ部は、さらに乳化剤を含有していてもよい。乳化剤がさらに共存していることによって、グミ部の食感がさらに柔らかくなる傾向がある。
【0028】
乳化剤としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びレシチン、並びにこれらの誘導体等が挙げられる。
【0029】
グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリンモノ脂肪酸エステル(モノグリセリド)、グリセリンジ脂肪
酸エステル(ジグリセリド)、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル及びポリグリセリンジ脂肪酸エステル等が挙げられ、モノグリセリド、すなわち、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル及びトリグリセリンモノ脂肪酸エステルが好適に用いられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖モノ脂肪酸エステル等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル及びソルビタントリ脂肪酸エステル等が挙げられ、ソルビタンモノ脂肪酸エステルが好適に用いられる。プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル及びプロピレングリコールジ脂肪酸エステル等が挙げられ、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルが好適に用いられる。
【0030】
また、前記誘導体としては、例えば、有機酸モノグリセリド(有機酸としてコハク酸、酢酸、乳酸、クエン酸及びジアセチル酒石酸等が挙げられ、好ましくはクエン酸が例示される)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、有機酸モノグリセリドが好適に用いられる。
【0031】
上記乳化剤において、脂肪酸としては、食用可能な動物由来又は植物由来の油脂を起源とする脂肪酸であればよく、特に限定されず使用できる。例えば、炭素数6〜24の、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸等が挙げられ、これらの脂肪酸として、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸及びベヘン酸等が挙げられる。好ましい脂肪酸としてステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸等が挙げられ、より好ましい脂肪酸としてステアリン酸、ラウリン酸及びオレイン酸等が挙げられる。
【0032】
グミ部は、乳化剤を一種のみ含んでいてもよいし、複数種を含んでいてもよい。
【0033】
グミ部は、乳化剤を、通常、グミ部が含有しうる量含んでいてもよく、含有量としては、例えば、0.05〜20重量%(グミ部総重量基準)が例示され、食感のより柔らかいグミ状可食性組成物が得られるという観点から、0.1〜10重量%(グミ部総重量基準)が好ましい。なお、本発明において、乳化剤のグミ部における含有量は、複数種の乳化剤を含有する場合、乳化剤全種の合計量を表す。
【0034】
グミ部は、さらにクエン酸及び/又はその塩を含有していてもよい。通常、クエン酸又はその塩がさらに共存していることによって、グミ部の食感がさらに柔らかくなる傾向がある。
【0035】
クエン酸塩としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。特に限定されないが、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム及びクエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
【0036】
グミ部は、クエン酸又はその塩のうちいずれかを含んでいてもよいし、クエン酸及びその塩の両方を含んでいてもよい。また、グミ部は、クエン酸塩を一種のみ含んでいてもよいし、複数種含んでいてもよい。
【0037】
グミ部は、クエン酸及び/又はその塩を、通常、グミ部が含有しうる量含んでいてもよく、含有量としては、例えば、0.1〜5重量%(グミ部総重量基準)、0.2〜2重量%(グミ部総重量基準)等を例示できる。なお、本発明において、クエン酸及び/又はその塩のグミ部における含有量は、クエン酸又はその塩に該当する化合物を複数種含有する場合、その化合物全種の合計量を表す。
【0038】
グミ部は、上記の化合物のほかにさらに別の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、特に限定されないが、例えば、糖質、油脂、酸味料、調味料、香料、着色料、果汁、顆粒、香辛料、及び機能性成分等が挙げられる。
【0039】
糖質としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。グミ部は、一種の糖質を含有していてもよいし、複数種の糖質を含有していてもよい。
【0040】
糖質としては、特に限定されないが、糖類(単糖類及び二糖類)、三糖類以上の多糖類、糖アルコール及び高甘味度甘味料等が挙げられる。
【0041】
糖類としては、特に限定されないが、ぶどう糖、果糖、砂糖(ショ糖)、乳糖及び麦芽糖等が挙げられる。
【0042】
多糖類としては、例えば、オリゴ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、還元難消化性デキストリン及びでんぷん等が挙げられる。
【0043】
オリゴ糖としては、特に限定されないが、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖及びキシロオリゴ糖等が挙げられる。
【0044】
糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール及び還元パラチノース等が挙げられる。
【0045】
高甘味度甘味料としては、特に限定されないが、例えば、アスパルテーム、スクラロース、サッカリン及びアセスルフェーム−K等が挙げられる。
【0046】
糖質として、水飴を含んでいてもよい。水飴としては、特に限定されないが、例えば、酸糖化水飴、酵素糖化水飴及び麦芽水飴等が挙げられ、水飴に含まれる成分としては、例えば、還元麦芽糖、ブドウ糖及びデキストリン等が挙げられる。
【0047】
油脂は、グミ部の食感を調整する目的で配合することができ、通常、配合することによりもちのような食感を付与することができる。
【0048】
油脂としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。グミ部は、一種の油脂を含有していてもよいし、複数種の油脂を含有していてもよい。
【0049】
油脂としては、特に限定されないが、例えば、動物性油脂、植物性油脂が挙げられる。
【0050】
動物性油脂としては、特に限定されないが、例えば、バター、馬油及び魚油等が挙げられる。
【0051】
植物性油脂としては、特に限定されないが、例えば、パセリ種子油、パーム油、やし油、コーン油、大豆油及びオリーブ油等が挙げられる。
【0052】
2.
糖衣部
本発明のグミ状可食性組成物は、さらに糖衣部を有するものとすることができる。糖衣部は、グミ部表面の少なくとも一部乃至全体を、直接又は少なくとも一種の中間層を介し
て被覆するものである。中間層としては、特に限定されないが、必要に応じて、グミ部とは異なる風味及び/又は食感を有する層、糖衣工程中におけるグミ部への水分移行を抑制するための層等の糖衣部から隔離してグミ部を保護するための層、グミ部から隔離して糖衣部を保護するための層、及び機能性成分を配合するための層等が挙げられる。
【0053】
糖衣部をさらに有していることにより、本発明のグミ状可食性組成物においては、噛んだ際に糖衣部が破砕されることにより、ユニークな食感が得られる。本発明においては、糖衣部の内側に位置するグミ部の食感が柔らかいため、噛むことにより糖衣部が崩壊した際に、ガリっとする感覚ないし崩壊感(本明細書において、クランチ感と称する)がより強く感じられるという効果が得られる。
【0054】
糖衣部の組成は、特に限定されず、通常の、糖衣を施したグミ状可食性組成物に用いられるものを使用できる。
【0055】
糖衣部の組成として、例えば、糖質、結合剤、乳化剤及び光沢剤等を含むものとすることができる。さらに、必要に応じて、香料等を含んでいてもよい。
【0056】
糖質としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。糖衣部は、一種の糖質を含有していてもよいし、複数種の糖質を含有していてもよい。
【0057】
糖質としては、グミ部において説明したのと同じものを使用できるが、粒径が小さいものが好ましく、例えば、平均粒径が、150〜300μmであることが好ましく、190〜250μmであることがより好ましい。
【0058】
結合剤は、糖質とともに糖衣のためのシロップを調製する際に、必要に応じて添加される。結合剤としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。糖衣部は、一種の結合剤を含有していてもよいし、複数種の結合剤を含有していてもよい。
【0059】
結合剤としては、例えば、増粘多糖類、でんぷん、ゼラチン等が挙げられる。
【0060】
増粘多糖類としては、例えば、アラビアガム及びプルラン等が挙げられる。
【0061】
乳化剤としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。糖衣部は、一種の乳化剤を含有していてもよいし、複数種の乳化剤を含有していてもよい。
【0062】
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びレシチン、並びにこれらの誘導体等が挙げられる。
【0063】
光沢剤としては、特に限定されず、可食性組成物に通常用いられるものの中から幅広く選択することができる。糖衣部は、一種の光沢剤を含有していてもよいし、複数種の光沢剤を含有していてもよい。
【0064】
光沢剤としては、例えば、ミツロウ、カルナウバワックス、白シェラック、及びパラフィンワックス等が挙げられる。
【0065】
糖衣部は、その表面の一部乃至全体が、さらに他の外層により被覆されていてもよい。
外層としては、特に限定されないが、必要に応じて、糖衣部とは異なる風味及び/又は食感を有する層、糖衣部を外的環境から保護するための層、及び艶を出すための層等が挙げられる。
【0066】
3.
その他の成分
本発明のグミ状可食性組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記の成分に加えて、さらに必要に応じて、可食性の他の成分を、グミ部及び糖衣部、並びに、前記中間層及び外層をはじめとするその他の部からなる少なくとも一つの部に含有することができる。かかる他の成分は、嗜好性を大きく妨げない成分であることが望ましい。かかる成分として、例えば、ビタミンB
1,ビタミンB
2、ビタミンB
6、ビタミンB
12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC等のビタミン類;アルギニン、リジン、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシン等のアミノ酸;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄等のミネラル類;ミカン果皮アキス、グアバ葉抽出物、アロエエキス、カンゾウエキス等の植物エキス;ローヤルゼリー、プロポリス、乳酸菌、カルニチン、果汁、ヒアルロン酸、エラスチン、フィブロネクチン等のその他の機能性素材等を挙げることができる。
【0067】
4.
製造方法
本発明のグミ状可食性組成物のグミ部は、上記グミ部の各成分を当業者が通常用いる方法によって混合し、各種の形態に調製することで製造することができる。特に限定されないが、例えば、先に乳化剤及び油脂を含有する乳化液と、ゼラチンを含むゼラチン液とをそれぞれ調製し、これらを、糖類を含有する糖液にそれぞれ添加してから型に流し込むことにより、成型されたグミ状可食性組成物を製造できる。
【0068】
さらに、上記糖衣部の各成分を当業者が通常用いる方法によって混合し、これを用いて、当業者が通常用いる方法によってグミ部を被膜することで、糖衣部を有する本発明のグミ状可食性組成物を製造することができる。特に限定されないが、例えば、上記において得られたグミ状可食性組成物を十分に乾燥させてから、下掛け、中上掛け及び艶出しを、糖衣機を用いて行う。下掛け、中上掛け及び艶出しの各工程を、それぞれ異なる糖液を用いて行うことができる。
【0069】
5.
用途
本発明のグミ状可食性組成物は、様々な用途に使用できる。特に限定されないが、例えば、グミキャンディ等の菓子、並びにグミ部に有効成分を有するサプリメント、機能性食品及び経口医薬等として使用できる。
【実施例】
【0070】
以下に本発明の構成及び効果をより明らかに示すために、実験例(実施例及び比較例を含む)を示す。ただし、当該実験例は本発明の理解を容易にするための一例であり、本件発明の範囲は、かかる実験例によって拘束されるものではない。
【0071】
実験例 グミ状可食性組成物の食感評価
表1に記載する各種のグミ状可食性組成物(実施例1〜15及び比較例1〜2)の食感(柔らかさ、クランチ感)を評価した。
【0072】
1.
実験方法
(1)表1に記載する処方に従って各成分を混合してグミ部を調製し、さらに糖衣部でグミ部を被覆することにより、グミ状可食性組成物(実施例1〜15及び比較例1〜2)を調製した。
【0073】
具体的には、表1に記載の処方に従って、以下の通り調製した。
<グミの製造方法>
[乳化液の調整]
パセリ種子油全量、グリセリンクエン酸モノオレイン酸エステル(ポエムK−37V:理研ビタミン株式会社製)全量(実施例9ではショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF−20W:第一工業製薬株式会社製))、メントール全量をステンカップにてよく混合し、約60℃にて保温した。
【0074】
[ゼラチン液の調整]
乳酸カルシウム全量と水15gを量り取り、約60℃の温水にて溶解させた。乳酸カルシウムが完全に溶解したことを確認した後、ゼリー強度が85〜115gであるゼラチンA全量と、ゼリー強度が185〜215gであるゼラチンB全量とを添加し、温水にて完全に溶解させた。
【0075】
[手順]
砂糖、麦芽糖、水飴、54%ソルビトール(ソルビトールを54重量%、還元水飴を16重量%、水を30重量%含有)全量及び水をステンレスボールにて混合し、ガスコンロにて、直火でBx.90(Bx:Brix)になるまで加熱した。
【0076】
Bx.90に調整した後、糖液が100℃以下になったのを確認し、前記「ゼラチン液
」全量及びクエン酸全量(実施例11及び12のみ;ただし実施例12ではクエン酸ナトリウム)を添加し、よく混合した。
【0077】
次に、前記「乳化液」全量を添加し、温水でウォッシュした後よく混合し、Bx.78
となるように湯煎した。
【0078】
泡の入った膜を廃棄し、お湯で温めておいたホッパーに液を流し込み、スターチ型に充填した。
【0079】
25℃にて二日間乾燥させた。乾燥後、スターチをふるいにかけて落とし、光沢剤として、やし油99重量%、カルナウバワックス1重量%の混合物を数滴落とし、均一にからめ、グミを製造した。なお、表1に記載の処方における各成分の配合量は、前記スターチ並びにやし油及びカルナウバワックスの混合物を添加する前のグミにおける配合割合を示している。
【0080】
(2)これらのグミ状可食性組成物の柔らかさを、以下のようにして評価した。
25℃にて2日間乾燥させた後、感圧軸歯型を4mm進入させた時の最大荷重を測定した。測定は具体的には、以下の通り行った。レオメーター(CR−500DX:株式会社サン科学製)に感圧軸(アダプタ)歯型(A)を取り付け、それぞれのグミの上面から感圧軸歯型を4mm進入させた時の最大荷重を測定した。
【0081】
(3)上記(1)で得られたグミ状可食性組成物に、以下のようにして、糖衣を行った。
上記(1)で得られたグミ状可食性組成物を更に約30℃、相対湿度50%以下で2日間乾燥させ、下掛け、中上掛け及び艶出しを、熱風発生装置(電気式熱風発生機TSK―18:株式会社関西電熱)を備えさせた糖衣機(糖衣・艶出機No.16 D−S:株式会社菊水製作所製)を用いて行った。
【0082】
<各溶液の調整>
[ベースシロップ]
ゼラチン(ゼラチンAP-200:新田ゼラチン株式会社製)2g、水65g、グラニ
ュー糖180gをビーカーで混合し、60℃にて保温した。
【0083】
[ソフトシロップ]
ベースシロップ190g、40%ゼラチン水溶液(ゼラチンAP-200を40重量%含有)4.5g、50%アラビアガム水溶液(アラビアガムを40重量%含有)12.5g、25%プルラン水溶液(プルランを25重量%含有)1g、水10gを混合し、60℃にて保温した。
【0084】
[スムージングシロップ]
ベースシロップ10g、水1gを混合し、60℃にて保温した。
【0085】
[ハードシロップA]
ベースシロップ45g、香料2gを混合し、60℃にて保温した。
【0086】
[ハードシロップB]
ベースシロップ60g、水4gを混合し、60℃にて保温した。
【0087】
[下掛け]
グミ900gを糖衣機に投入し、回転数20rpmで回転させながら、以下のステップで下掛けを行い、下掛け終了時点での糖衣率が150%(1350g)となるように、下掛け層を形成した。具体的に、グミに対してステップ1を1回、ステップ2を2回、ステップ3を2回、ステップ4を3回、ステップ5を7回、ステップ6を1回繰り返したのち、中2日間室温で保存し、これを下掛けグミとした。
【0088】
ステップ1:グラニュー糖4.5g散布→30%アラビアガム水溶液(アラビアガムを30重量%含有)9g散布→グラニュー糖4.5g散布→約5分間室温の風を送風
ステップ2:グラニュー糖10.5g散布→ソフトシロップ10g散布→グラニュー糖10.5g散布→約5分間室温の風を送風
ステップ3:ソフトシロップ10g散布→グラニュー糖10.5g散布→約5分間室温の風を送風
ステップ4:ソフトシロップ17g散布→ビタミンC12g散布→粉糖70g散布→約5分間室温の風を送風
ステップ5:ソフトシロップ17g散布→粉糖30g散布→約5分間室温の風を送風
ステップ6:スムージングシロップ11g散布
【0089】
[中上掛け]
得られた下掛けグミ675gを糖衣機に投入し、回転数25rpmの条件でハードシロップA4.7gを散布し、約5分間室温の風を送風するステップを10回繰り返し、ハードシロップB6.4gを散布し、約5分間室温の風を送風するステップを10回繰り返すことで、中上掛け層を形成した。得られたものを1日室温で保存し、これを中上掛けグミとした。
【0090】
[艶出し]
得られた中上掛けグミを糖衣機に投入し、シェラックを用いて艶出しを行った。
【0091】
(4)糖衣後のグミの食感を、以下のようにして評価した。
10人のモニター者により、各実施例及び比較例における、糖衣グミのクランチ感を評価した。
【0092】
具体的に、以下に示す基準で、0〜10点の間で評点化した、Visual Anal
ogue Scaleによるアンケートを実施することにより、糖衣グミのクランチ感を評価した。
アンケート結果の小数点第一位を四捨五入することにより、評価結果をまとめた。
クランチ感を感じる :10点
クランチ感を感じない :0点
得られた10人の平均点を算出し、比較例1を100として換算した。
【0093】
2
.実験結果
結果を表1に併せて示す。
【0094】
【表1】
【0095】
表1に示すように、モノテルペンを1重量%(グミ部総重量基準)以上、グミ部に配合することにより、グミ部の食感が柔らかくなること、さらに、糖衣部のクランチ感が増強されることが確認された(実施例1〜3、比較例1及び2)。
【0096】
また、この効果は、乳化剤であるグリセリンクエン酸モノオレイン酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルをさらにグミ部に配合することにより増強されることも明らかになった(実施例4〜10及び13〜15)。
【0097】
さらに、この効果は、クエン酸又はクエン酸塩(クエン酸ナトリウム)をさらにグミ部に配合することにより増強されることも明らかになった(実施例11〜12)。
【0098】
処方例1〜11
表2に示すグミ状可食性組成物(処方例1〜11)を、実験例の実験方法に従って製造し、評価を行った。なお、表2に記載の処方における各成分の配合量は、実験例における表1と同様、前記スターチ並びにやし油及びカルナウバワックスの混合物を添加する前のグミにおける配合割合を示している。
【0099】
その結果、いずれのグミ状可食性組成物も、柔らかさに優れるものであった。更に、これらのグミ状可食性組成物に対して、実験例の実験方法に従って糖衣を施し、評価を行った結果、クランチ感に優れるものであった。
【0100】
【表2】