【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、活性炭塔の頭頂部に、複数の部材を組み合わせた活性炭逆流防止装置を備えることによって課題解決が可能であることを見出し、本発明を完成した。
本発明の一態様に係る活性炭逆流防止装置は、活性炭(20)を充填したタンク(10)の頂部(11)から内部(12)へ被処理流体(30)を流入し、該被処理流体(30)に含まれる不純物を吸着させて除去する活性炭塔(100)に付設する活性炭逆流防止装置(99)であって、
前記タンク(10)の頂部(11)にタンク内径(T)より小さな内径(D)の管状部材が開口して突設された連結管(13)に一端(65)が密に接続されて前記タンク内部(12)へ連通する集液筒(90)と、
該集液筒(90)の他端(66)に接続され前記タンク内部(12)から前記集液筒(90)を介して外部へ連通する油分回収管(14)と、
前記集液筒(90)の周壁(67)から分岐して延在し該集液筒(90)に清掃流体圧入手段(81)を連通させる清掃流体圧入管(64)と、
前記タンク(10)の頂部(11)に配設されて流路に介在する第1フィルタ部(60)と、を備え、
該第1フィルタ部(60)は前記集液筒(90)の前記一端(65)と前記連結管(13)との間で密に挟持される前記集液筒(90)の内径(D)より大きな外径(C)の第1仕切板(69)を有し、
該第1仕切板(69)に1つ以上の貫通孔(61〜63)が穿設され、
該貫通孔(61〜63)毎に集液ストレーナ(1)が着脱可能に取り付けられ、
前記タンク(10)に浮遊滞留した油分(31)を前記タンク内部(12)の圧力(P)で前記油分回収管(14)から排出可能であり、
前記清掃流体圧入手段(81)から前記清掃流体圧入管(64)を介して前記集液筒(90)の内部へ清掃流体(8)を圧入することにより、前記第1フィルタ部(60)の前記集液ストレーナ(1)の下側に付着した前記活性炭(20)が、前記タンク内部(12)へ吹き落されるものである。
【0012】
本発明の一態様に係る活性炭塔は、活性炭(20)を充填したタンク(10)の頂部(11)から内部(12)へ被処理流体(30)を流入し、該被処理流体(30)に含まれる不純物を吸着させて除去する活性炭塔(100)であって、
前記タンク(10)の頂部(11)近傍の肩部にタンク内径(T)より小さな内径(J)の管状部材が開口して突設されタンク内部(12)に連通する流入管(16)と、
前記タンク(10)の頂部(11)にタンク内径(T)より小さな内径(D)の管状部材が開口して突設されタンク内部(12)に連通する連結管(13)と、
前記タンク(10)の底部(15)近傍にタンク内径(T)より小さな内径(K)の管状部材が開口して突設されタンク内部(12)から連通する流出管(40)と、
前記タンク(10)の頂部(11)および底部(15)にそれぞれ配設されて流路に介在する第1フィルタ部(60)および第2フィルタ部(70)と、を備え、
前記タンク(10)に浮遊滞留した油分(31)は前記内部(12)の圧力(P)で前記連結管(13)から排出可能であり、
前記第1フィルタ部(60)に目詰まりした前記活性炭(20)は前記連結管(13)を通過するように前記内部(12)へ圧入する清掃流体(8)により離脱可能である。
【0013】
また、本発明の一態様に係る活性炭塔において、前記連結管(13)の開口に一致する内径(D)で所定の高さ(L)の空間(G)を有する一端(65)を液密に連通するように着脱可能な集液筒(90)と、
該集液筒(90)の他端(66)に接続され前記タンク内部(12)から前記集液筒(90)を介して連通する油分回収管(14)と、をさらに備え、
前記タンク(10)は鉛直の中心軸(Z)を有する円筒により周壁(9)を形成し、
該周壁(9)と前記第1フィルタ部(60)と前記第2フィルタ部(70)とにより前記活性炭(20)を包囲して移動が規制され、
前記第1フィルタ部(60)は、前記集液筒(90)の前記一端(65)と前記連結管(13)との間に液密に挟持され前記集液筒(90)の内径(D)より大きな外径(C)の第1仕切板(69)を有し、
前記第2フィルタ部(70)は、前記タンク(10)の底部(15)近傍でタンク内径(T)の全面にわたって上下を隔離可能に配設された第2仕切板(79)を有し、
前記第1仕切板(69)および前記第2仕切板(79)にそれぞれ1つ以上の貫通孔(61〜63,71〜75)が穿設され、
前記貫通孔(61〜63,71〜75)毎に集液ストレーナ(1)が着脱可能に取り付けられ、
前記集液筒(90)の周壁(67)には前記中心軸(Z)に対して直角に分岐して連通する清掃流体圧入管(64)が延在し、
前記清掃流体圧入管(64)の開放端(68)から前記集液筒(90)の内部に向けて清掃流体圧入手段(81)により清掃流体(8)を圧入することが可能である構成が好ましい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る活性炭塔において、前記集液ストレーナ(1)は、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride,PVDF)、又はポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride,PVC)を材質とし、
活性炭(20)の通過を阻止できる目開きのスリット(6)が形成された中空の頭部(2)と、
該頭部(2)に内部空間が連通して延在する管状の首部(3)と、
該首部(3)から管状に延在して端末の開口(4)まで内部空間が連通するように形成された尾部(5)と、
前記首部(3)に形成された雄ネジと螺合可能な雌ネジを形成されたナット(7)と、を備えて構成され、
前記貫通孔(61〜63,71〜75)に前記首部(3)まで嵌入し、該首部(3)を前記ナット(7)で螺着し、
適宜交換可能であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る活性炭塔において、前記第1フィルタ部(60)における前記集液ストレーナ(1)の取り付け形態は、水平な前記第1仕切板(69)の下面側に前記頭部(2)を配設し、
前記第2フィルタ部(70)における前記集液ストレーナ(1)の取り付け形態は、水平な前記第2仕切板(79)の上面側に前記頭部(2)を配設する形態であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る活性炭塔において、前記集液筒(90)の前記空間(G)で前記高さ(L)に対する所定範囲35%〜65%を中腹の高さ(H)に設定し、
前記集液ストレーナ(1)は尾部(5)の開口(4)を前記中腹の高さ(H)で前記空間(G)と連通し、
前記清掃流体圧入管(64)は前記集液筒(90)の周壁(67)から前記中腹の高さ(H)で分岐して前記空間(G)と連通することが好ましい。
【0017】
また、本発明の一態様に係る
前記活性炭塔の運転方法は、比重の異なる物質で混濁する被処理流体(30)を
前記タンク(10)に流通させ、該被処理流体(30)を比重別に分離しながら活性炭(20)に不純物を吸着させて除去する通常運転と油分回収と清掃とを交互に繰り返す
前記活性炭塔(100)の運転方法であって、
前記通常運転を継続する通常運転継続工程(S10)と、
流出制御弁(41)を閉弁または制限することにより前記タンク(10)の底部(15)に突設されて
前記タンク内部(12)から連通する
前記流出管(40)から前記被処理流体(30)が流出することを停止又は制限する流出制限工程(S20)と、
前記タンク(10)の頂部に浮遊滞留した油分(31)を
前記タンク内の圧力(P)により
前記タンク(10)の上方に突設された
前記油分回収管(14)へ外向きに逆流させて回収する油分回収工程(S30)と、
前記タンク内部に連通する
前記連結管(13)の開口に一致する内径(D)で所定の高さ(L)の空間(G)を有する一端(65)を液密に連通するように着脱可能な
前記集液筒(90)の周壁(67)に植設されて液密に連通する
前記清掃流体圧入管(64)から、前記集液筒(90)へ
前記清掃流体圧入手段(81)により清掃流体(8)を圧入させて前記集液筒(90)の
前記第1仕切板(69)に配設された
前記集液ストレーナ(1)の目詰まりを除去するストレーナ目詰まり除去工程(S50)と、を有する。
【0018】
また、本発明の一態様に係る活性炭塔の運転方法において、前記油分回収工程(S30)により前記油分回収管(14)から回収された油分(31)を本来の用途に戻して再利用する油分再利用工程(S40)を有することが好ましい。