(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
−第1の実施の形態−
図面を参照しながら、第1の実施の形態による表示装置について説明する。第1の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置が操作パネルに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、操作パネルに限らず、携帯電話、テレビ、タブレット端末、腕時計型端末等の携帯型情報端末装置、パーソナルコンピュータ、音楽プレイヤ、固定電話機、ウエアラブル装置等の電子機器に組み込むことが可能である。また、本実施の形態の表示装置は、デジタルサイネージ(電子看板)等の電子機器にも組み込むことができる。デジタルサイネージとしては、たとえば自動販売機等に内蔵される小型のディスプレイであっても良いし、たとえば建築物の壁面等に設けられるような一般的な成人の大きさよりも大きなディスプレイであっても良い。また、本実施の形態の表示装置は、例えば現金自動預払機(ATM装置)においてユーザが暗証番号や金額等を入力するためのパネルや、鉄道やバスの乗車券・定期券等の自動券売機や、図書館や美術館等の各種の情報検索端末装置等のパネルに組み込むことが可能である。また、本実施の形態の表示装置は、各種のロボット(たとえば自走可能なロボットや、自走式の掃除機のような電子機器)に搭載しても良い。
【0007】
図1(a)は表示装置1の斜視図であり、
図1(b)は表示装置1の一部を拡大して示す断面図であり、
図1(c)は表示装置1の一部を拡大して表示する側面図である。なお、説明の都合上、表示装置1について、X軸、Y軸およびZ軸からなる座標系を図示の通りに設定する。なお、座標系はX軸、Y軸およびZ軸からなる直交座標系に限らず、極座標系や円筒座標系を採用してもよい。即ち、X軸は、表示装置1の矩形表示面の短辺方向に設定され、Y軸は、表示装置1の矩形表示面の長辺方向に設定され、Z軸は、表示面に垂直な方向に設定されている。
【0008】
表示装置1は、制御部20を内蔵する本体10と、結像光学系9と、表示器11と、操作検出器13と、ステージ14と、プロジェクタ15とを備える。結像光学系9と、表示器11と、操作検出器13と、ステージ14と、プロジェクタ15とは、本体10内に配置されている。表示器11は、たとえば、液晶表示器や有機EL表示器等により構成され、二次元状に配列された複数の表示画素配列を有する。表示器11は、制御部20により制御されて、表示用画像データに対応する画像を表示する。
【0009】
図1(c)に示すように、結像光学系9は、内部に複数の微細なミラー素子90が二次元状に配置され、ZX平面に対して所定の角度、たとえば45°傾斜して配置される。結像光学系9は、表示器11に表示される表示画像からのY方向+方向への光を反射して、ステージ14の上方空間に、表示画像の実像を空中像30として形成する。このとき、空中像30は、結像光学系9に関して表示器11の表示面と対称な位置に形成される。即ち、表示器11の表示面と結像光学系9との距離dと、結像光学系9と空中像30との距離dが等しくなる。こうして、表示装置1の使用者(以下、ユーザ12という)は、表示器11の表示面に表示された表示画像を、ステージ14の上方の空中に浮いた空中像30として観察することができる。なお、このような結像光学系9の具体的な構成は、例えば、特開2016−14777号公報に記載されている。また、上記で説明した結像光学系9に限らず、たとえば凸レンズであってもよい。なお、凸レンズの場合、焦点距離によっては、光軸方向に厚みをもってしまうため、フレネルレンズのような構成であってもよい。このように状況に基づいて、表示装置1に使用する結像光学系9を適宜選択してよい。
また、表示装置1は、後述する第3の実施の形態にて説明するように公知のライトフィールド方式を用いて空中像30を表示させてもよい。
【0010】
また、表示器11と結像光学系9との間のY方向の距離dを可変にすることにより、空中像30が表示される位置をZ方向に沿って移動させることができる。たとえば表示器11と結像光学系9との間の距離を小さくすると、即ち、表示器11を結像光学系9に近づく方向に移動すると、空中像30はユーザ12から遠ざかる方向(Z方向−側)に移動して表示される。逆に、表示器11と結像光学系9との間の距離を大きくすると、即ち、表示器11を結像光学系9から遠ざかる方向に移動すると、空中像30はユーザ12に接近する方向(Z方向+側)に移動して表示される。表示器11のY方向の移動は、不図示のモータやその他のアクチュエータなどの駆動装置により行うことができる。
なお、結像光学系9の種類によっては、上記と逆になる場合がある。すなわち、表示器11を結像光学系9に近づく方向に移動すると、空中像30はユーザ12に近づく方向(Z方向+側)に移動して表示される。逆に、表示器11と結像光学系9との間の距離を大きくすると、すなわち表示器11を結像光学系9から遠ざかる方向に移動すると、空中像30はユーザ12から遠ざかって(Z方向−側)に移動して表示される。したがって、結像光学系9の種類によって、適宜表示器11を移動させる方向を変更して使用するのがよい。
【0011】
空中像30は、表示装置1の各種設定や各種機能の実行を指示するための操作ボタンに対応する複数のアイコン30A(操作ボタン)を含む。本実施の形態にあっては、アイコン30Aは、例えば1行×3列に配列されている。
【0012】
操作検出器13は、後述するステージ14に対してZ方向−側にXY平面に平行に設けられ、たとえば、公知の透明静電容量式パネル(以下、静電容量パネルと記載)によって構成される。静電容量パネルからなる操作検出器13は、実質的に透明な部材からなる電極によって電界を形成する。操作検出器13は、ユーザ12が空中像30の表示位置を操作するために指またはスタイラスを空中像30の方に移動させた場合に、その指またはスタイラスの位置を静電容量の値として検出する。例えば、操作検出器13は、透明静電容量パネルの四隅で検出された静電容量の値を比較し、四隅で検出した静電容量の値に基づいて、ユーザ12の指のX軸、Z軸上での位置を検出する。
なお、操作検出器13は、ステージ14上にZX平面に平行に設けても良い。
【0013】
また、操作検出器13は、後に詳述するように自身の表面からZ方向の所定範囲に静電容量の検出範囲を有する。操作検出器13は、この所定の検出範囲内の指またはスタイラスと操作検出器13との間の間隔(Y軸上での位置)を、例えば、透明静電容量パネルの四隅で検出された静電容量の値を比較し、四隅で検出した静電容量の値に基づいて検出する。勿論、空中像30は、操作検出器13の所定の検出範囲内に位置するように、好ましくは所定の検出範囲のZ方向の中頃に位置するように、結像光学系9によって結像される。このように、操作検出器13は、ユーザ12が空中像30の表示位置を指またはスタイラスで操作することを検出するので、ユーザ12は、操作検出器13に直接に触れることなく、空中像30に対する操作を実行することができる。なお、以下の説明では、指でもって空中像30の表示位置を操作する例を説明するが、スタイラスなどにより操作する場合も同様である。
【0014】
ステージ14は、ZX平面に平行な面として設けられ、このステージ14の上方に空中像30が表示される。以下の説明では、ステージ14が矩形形状であるものとするが、矩形に限定されず、円形形状や多角形形状等、種々の形状を適用できる。
プロジェクタ15は、ステージ14の上方(Y方向+側)に設けられ、制御部20による制御に従って、表示素子上に形成された画像データをY方向−側に向けて投影することにより、ステージ14上に投影画像を投影する。プロジェクタ15は、空中像30の位置に対して所定の位置に投影画像を投影する。
【0015】
図2は、表示装置1の構成のうち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11及び操作検出器13とを示したブロック図である。制御部20は、CPU、ROM、RAMなどを有し、制御プログラムに基づいて表示装置1の表示器11及び操作検出器13を含む種々の構成要素を制御したり、各種のデータ処理を実行したりする演算回路を含む。制御部20は、画像生成部201と、表示制御部202と、キャリブレーション部203と、検出基準制御部204と、記憶部205と、プロジェクタ制御部200とを備える。記憶部205は、制御プログラムを格納する不揮発性メモリと、表示器11に表示される画像データなどを記憶する記憶媒体などとを含むものである。なお、操作検出器13の表面から指先までの距離と、操作検出器13がその指先を検出したときの静電容量との間の対応関係は、予め記憶部205に記憶させておく。従って、操作検出器13は、指先が操作検出器13の所定の検出範囲内に位置すると、指先における静電容量を検出し、この検出した静電容量と記憶部205に記憶された上記の対応関係とから、Z方向における指先の位置を検出することができる。
【0016】
画像生成部201は、記憶媒体に記憶されている画像データに基づいて、表示器11に表示するための表示画像に対応する表示用画像データを生成する。表示制御部202は、画像生成部201により生成された表示用画像データに対応する画像を表示器11に表示させる。また、表示制御部202は、ユーザ12が空中像30のアイコン30Aの表示位置に操作を行うと、その操作されたアイコン30Aの種類に基づいて表示器11の表示画像の切り替え制御を行う。なお、ユーザ12が空中像30のアイコン30Aの表示位置に操作を行った場合、表示制御部202は表示器11の表示画像の切り替え制御を行うことに限られない。例えば、表示器11は表示画像として動画像を表示し、ユーザ12が空中像30のアイコン30Aの表示位置に操作を行った場合、表示制御部202は表示器11によって表示されている動画像を再生する制御、または動画像を停止する制御を行っても良い。
【0017】
キャリブレーション部203は、後に詳述する第1、第2のキャリブレーション処理モードのキャリブレーション処理を実行する。検出基準制御部204は、検出面、即ち検出基準を、ステージ14の上方空間に設定する。具体的には、検出基準制御部204は、操作検出器13の所定の検出範囲内であって空中像30の位置(または所定範囲)に検出基準を設定する。検出基準制御部204は、更に、ユーザ12の指が検出基準に達したことを操作検出器13によって検出された静電容量の値に基づき判定する。即ち、検出基準制御部204は、操作検出器13によって検出された静電容量の値に対応する指位置(X軸、Y軸、Z軸の各軸での位置)が設定された検出基準の位置と一致した時に、ユーザ12がアイコン30Aの表示位置を操作したと判定する。検出基準制御部204は、検出基準を予め定められた所定の初期位置に設定する。この検出基準の初期位置は、予め記憶部205に記憶されている。なお、検出基準の初期位置は、例えば、全てのユーザ12に対して共通の位置であってもよいし、ユーザ12による表示装置1の使用履歴などに基づき、ユーザ12毎に異なる位置を設定してもよい。なお、検出基準制御部204は、後述のキャリブレーション処理の結果に基づき、検出基準の位置を変更、または修正してもよい。
また、検出基準の位置(初期位置や、変更または修正された位置)は、操作検出器13のステージ14の平面上(X軸、Y軸上)全体に設定されていてもよいし、平面上の一部に設定されてもよい。更には、検出基準の初期位置は、前回の表示装置1の使用時に設定された検出基準を記憶部205に記憶しておき、それを読み出して使用してもよい。なお、検出基準制御部204は、操作検出器13によって検出された静電容量の値に対応する指位置が検出基準の位置に一致した場合に限らず、指位置が検出基準の位置に略一致した場合にユーザ12がアイコン30Aの表示位置を操作したと判定してもよい。この略一致したと判定する範囲は、予め設定してもよい。
【0018】
プロジェクタ制御部200は、プロジェクタ15を制御して、表示された空中像30のX方向の位置とZ方向の位置をユーザ12が把握するための補助画像をステージ14上に投影させる。この補助画像については、詳細な説明を後述する。
【0019】
図3(a)は、表示装置1によって表示される空中像30の一例を示し、
図3(b)、(c)は、本体10または操作検出器13と空中像30と検出基準40との位置関係を模式的に示す。
図3(b)は、空中像30と検出基準40との位置関係をYZ平面に平行な面による断面を示し、
図3(c)は、空中像30と検出基準40との位置関係をZX平面に平行な面による断面を示す。
【0020】
図3(a)において、第1の像(第1表示像)である空中像30は、上述のように1行×3列に配列された3個のアイコン30Aを含む。アイコン30Aはユーザ12によって操作される空中像30の第1部分である。アイコン30Aの下方(Y方向−側)のステージ14上には、プロジェクタ15により投影された第2の像(第2表示像)である補助画像31が投影される。空中像30の第1部分であるアイコン30Aとは異なる第2部分である補助画像31は、ユーザ12がアイコン30AのZ方向の位置関係を知覚するための手がかりとなる画像である。なお、補助画像31の詳細については、説明を後述する。
図3(b)、(c)において、検出基準40は、検出基準制御部204によって、空中像30の位置近傍に、具体的には図示例では空中像30よりも僅かにユーザ12側(Z方向+側)の位置に設定される。
図3(b)では、空中像30内のアイコンは、太い点線30Aで示されている。なお、アイコン30Aは、空中像30の一部であるので空中像30の位置と同一位置に位置しているが、
図3(b)、(c)においては、アイコン30Aを表す太い点線を、空中像30を表す実線と区別するために、太い点線の位置を実線位置からずらして描いている。
【0021】
図3(b)、(c)において、操作検出器13は、ステージ14の上方(Y方向+側)に静電容量の検出範囲13Aを有する。
図3(b)、(c)では、操作検出器13の前方(Z方向+側)のZ方向に沿った静電容量の検出限界が破線13aで示され、この静電容量の検出限界13aと操作検出器13との間隔が静電容量検出範囲13Aとして示されている。
【0022】
図3(b)の例では、検出限界13aがステージ14のZ方向+側の端部の上方に設定された場合を示す。すなわち、静電容量検出範囲13Aがステージ14のZ方向の長さHzと等しい。この場合、ZX平面上におけるステージ14と静電容量検出範囲とが一致しているので、ステージ14の上方の空間で行われるユーザ12の操作が操作検出器13にて検出される。なお、ZX平面上におけるステージ14の大きさと静電容量検出範囲とが一致せず、ステージ14よりも狭い静電容量検出範囲が設定されてもよいし、ステージ14よりも広い静電容量検出範囲が設定されてもよい。
【0023】
空中像30は、ステージ14の上方に、操作検出器13からZ方向+側に距離H1だけ離れた位置に形成される。検出基準40は、ステージ14の上方に、操作検出器13からZ方向+側に距離H2(H1<H2)だけ離れた位置に設定されている。空中像30と検出基準40は、静電容量の検出範囲13A内に位置するように設定されている。なお、検出基準40は、
図3(b)、(c)では空中像30よりもZ方向+側に設定されているが、操作検出器13の静電容量検出範囲13A内であれば、空中像30よりもZ方向−側でも、または空中像30の位置に一致させてもよい。ここで、静電容量検出範囲13A内のうち検出基準40に設定された領域以外の範囲を検出基準外41とする。
【0024】
なお、検出基準制御部204は、上述した検出基準40の位置を、検出範囲13A内においてZ方向に移動させて変更してもよい。たとえば、後述するキャリブレーション処理の結果に基づいて、検出基準制御部204は、
図3(b)、(c)のように設定された検出基準40をZ方向+方向または−方向に移動させてよい。
図3(b)、(c)においては、空中像30と検出基準40は、XY平面に平行な平面として表されているが、これらは共に平面に限定されずに、例えば共に曲面により構成されていてもよい。また、
図3(d)に示したように、検出基準40は、平面ではなくアイコン30A毎に段差を持つようにしてよい。換言すると、或るアイコン30Aとそのアイコンに対する検出基準40との間隔が、別のアイコン30Aとその別のアイコンに対する検出基準40との間隔と異なっていてもよい。このように、検出基準40に段差を設けることは、空中像30が立体像であって、複数のアイコン30Aの位置がZ方向に互いにずれている場合に特に有効である。例えば、立体の空中像30の複数のアイコン30AのZ方向のずれに基づいて、各アイコン30Aに対応する検出基準40のZ方向の位置をずらすことによって、アイコン30Aと対応する検出基準40との間の距離を、一定にすることもできる。また、検出基準40は、
図3(d)に示す複数のアイコン30Aのそれぞれに設定された検出基準40を、独立して移動させることにより検出基準40の位置を変更してよい。すなわち、
図3(d)の紙面左端のアイコン30Aに対する操作に基づいてキャリブレーション処理が行われた場合、検出基準制御部204は、紙面左端のアイコン30Aに対応して設定された検出基準40の位置をZ方向に移動させてよい。このとき、検出基準制御部204は、他のアイコン30A(
図3(d)の紙面中央部および右端のアイコン30A)に対応して設定された検出基準40のZ方向の位置は移動させない。
【0025】
操作検出器13は、ユーザ12の指先が操作検出器13から距離H2に達した時に、距離H2に対応した検出出力を出力する。検出基準制御部204は、操作検出器13による検出出力に基づいて、ユーザ12の指先が検出基準40に一致したと判定し、指先がアイコン30Aの表示位置を操作したと判定する。このようにして、表示装置1は、ユーザ12が空中像30のアイコン30Aの表示位置を操作したことを検出し、その操作されたアイコン30Aに対応した機能を実行する。例えば、表示器11の表示画像の切り替えなどを行う。
【0026】
アイコン30Aは、操作検出器13から距離H1の位置に位置している。このアイコン30Aは空中像30として表示されるので、或るユーザ12と別のユーザ12とでは、空中像30のアイコン30Aの表示位置、即ち距離H1を、視覚的に異なって感じることがある。また、同一のユーザ12でも、この表示装置1を操作する環境によっては、アイコン30Aの表示位置を異なって感じることがある。例えば、検出基準40が空中像30の位置に一致するように設定された場合に、或るユーザ12が、アイコン30Aの表示位置への操作のために、指を空中像30のアイコン30Aの方に移動したとする。そのユーザ12は未だ指がアイコン30Aの手前(Z方向+側)にあると感じているのに、実際には指がアイコン30A、即ち検出基準40に達していた場合には、ユーザ12の意思に反してアイコン操作が実行されてしまう。逆に、別のユーザ12が、アイコン操作のために、指を空中像30のアイコン30Aの方に移動したとする。そのユーザ12は指がアイコン30Aに到達してアイコン30Aの表示位置を操作していると思っているのに、実際には指がアイコン30A、即ち検出基準40よりもZ方向+側に位置していた場合には、ユーザ12の意思に反してアイコン操作が実行されない。いずれの場合にも、ユーザ12は、アイコン操作に違和感を覚えることになる。
【0027】
本実施の形態の表示装置1は、上述した空中像30に対する操作を行う空中像操作モードに加えて、上記のアイコン操作の違和感を軽減するためのキャリブレーション処理モードを備える。キャリブレーション処理モードでは、表示装置1は、空中像30と検出基準40との位置関係を変更することなく、ステージ14上の補助画像31の表示位置を変更することにより、あたかも空中像30の表示位置がZ方向(奥行方向)に移動したようにユーザ12に知覚させるものである。これにより、表示装置1は、ユーザ12によるアイコン操作の奥行方向における位置を変更させて、ユーザ12のアイコン操作が検出基準40の位置にて検出されるようにする。以下、キャリブレーション処理モードについて詳細な説明を行う。
なお、キャリブレーション処理モードにおいて、表示装置1は、空中像30と検出基準40との位置関係を変更せずに補助画像31の表示位置を変更するものに限定されず、空中像30と検出基準40との位置関係を変更しつつ、補助画像31の表示位置を変更してもよい。
【0028】
本実施の形態の表示装置1は、上述したように第1、及び第2のキャリブレーション処理モードを有する。第1のキャリブレーション処理モードは、空中像操作モードとは別に、即ち、空中像操作モードが実行されていない時にキャリブレーション処理が実行されるものである。第2のキャリブレーション処理モードは、表示装置1の起動後に空中像操作モードが実行された際にその空中像操作モードの実行中にキャリブレーション処理が実行されるものである。これらの第1〜第2のキャリブレーション処理モードは、
図2に示したキャリブレーション部203によって実行される。
【0029】
第1〜第2のキャリブレーション処理モードのいずれを実行するかは、図示を省略した表示装置1に設けたキャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンをユーザ12が操作して、選択してもよい。キャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンにより第1〜第2のキャリブレーション処理モードのいずれも選択されていない場合には、制御部20は、空中像操作モードを選択して実行してもよい。また、表示装置1は、キャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンを備えておらず、常時第2のキャリブレーション処置モードを行ってもよい。以下に、第1〜第2のキャリブレーション処理モードを順次説明する。なお、第1〜第2のキャリブレーション処理モードの選択は、操作ボタンの他に、空中像のアイコンを操作することにより行われてもよい。
【0030】
最初に第1のキャリブレーション処理モードを説明する。表示装置1が起動され、ユーザ12がキャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンを操作して、第1のキャリブレーション処理モードを選択する。ユーザ12による操作により第1のキャリブレーション処理モードが選択されると、
図2のキャリブレーション部203が第1のキャリブレーション処理モードを起動する。画像生成部201は、表示用画像データを生成し、この表示用画像データに基づき表示器11は、キャリブレーション処理に用いる表示画像を表示する。画像生成部201は、補助画像用データを生成し、この補助画像用データに基づき、プロジェクタ15は、補助画像31をステージ14上に投影する。
【0031】
図4(a)は、このキャリブレーション処理が行われる前の初期表示の空中像300と補助画像31との一例を模式的に示す。空中像300は、キャリブレーション用アイコン300Aを含む。画像生成部201は、キャリブレーション用アイコン300Aに、メッセージ「キャリブレーションを行います。このアイコンにタッチして下さい」を重畳表示させる。なお、画像生成部201は、上述のメッセージ「キャリブレーションを行います。このアイコンにタッチして下さい」を、キャリブレーション処理の際に必ずしも表示させなくてもよい。例えば、キャリブレーション処理モードを選択したユーザ12が、キャリブレーション処理モードにおいて何を操作するべきかを予め認識している場合などには、画像生成部201は上述のメッセージの表示を行わない。
【0032】
本実施の形態では、補助画像31としてアイコン300Aの影を表示させる例を挙げる。すなわち、たとえばアイコン300Aを実際に空中に存在する物体と見なしたときに、その物体を上方(Y方向+側)から照明した場合に形成される影に相当する画像(以下、影画像と呼ぶ)が表示される場合を例に挙げる。影画像は、アイコン300Aの奥行き位置の手がかりとなる画像と言うことができる。すなわち、影画像は、アイコン300Aの奥行手がかりと見なすことができる。この場合、画像生成部201は、アイコン300AのZ方向の位置、すなわち操作検出器13から距離H1の位置を中心に、アイコン300Aの形状に応じた影の領域(以下、影領域とよぶ)が形成された状態を表す補助画像データを生成する。たとえば角柱のような形状を有するアイコン300Aを表示する場合には、画像生成部201は矩形形状に影領域を設定する。また、たとえば円柱のような形状を有するアイコン300Aを表示する場合には、画像生成部201は円形に影領域を設定する。また、たとえば平面状のアイコン300Aを表示する場合には、画像生成部201は、線状の影領域を設定する。
【0033】
プロジェクタ15は、プロジェクタ制御部200により制御され、画像生成部201により生成された補助画像データに対応して、影領域以外の領域が明るくなるように投影光をステージ14に向けて投影する。これにより、
図4(a)、(b)に示すように、アイコン300Aの下方(Y方向−側)のステージ14上に影領域に対応した影画像が補助画像31として表示される。上述したように、補助画像データ上では、影領域は操作検出器13から距離H1の位置にその中心位置が形成されるので、補助画像31は、操作検出器13からZ方向+側に距離H1の位置に投影される。空中像300を視認するユーザ12は、操作検出器13から共に距離H1の位置に表示された空中像300および補助画像31の相対的な位置関係から、空中像30のアイコン300AのZ方向における位置を認識する。これにより、ユーザ12は、アイコン300Aが操作検出器13から距離H1の位置に表示されていると視認する。すなわち、表示装置1は、第1の表示である空中像300の奥行方向の位置、換言すると検出基準40の位置を、第2の表示である補助画像31の表示位置によってユーザ12に認識させる。
なお、プロジェクタ15の内部にプロジェクタ15の動作を制御する制御部と、補助画像データを生成する生成部とを有しても良い。この場合、生成部は、上述した画像生成部201と同様にして、操作検出器13から距離H1の位置を中心に、アイコン300Aの形状に応じた影領域が形成された状態を表す補助画像データを生成してもよい。また、プロジェクタ15の動作を制御する制御部は、制御部20のプロジェクタ制御部200から入力した制御信号に基づいて、プロジェクタ15の動作を制御して、補助画像31を投影してもよい。
【0034】
図4(c)、
図4(d)は、
図4(a)、
図4(b)に示す初期表示の場合と比べて、空中像300およびアイコン300Aの表示位置は変わらないが、補助画像31の投影される位置がZ方向−側に変更された例を示す。すなわち、画像生成部201が影領域をZ方向−側に変更した補助画像データを生成し、プロジェクタ15がこの補助画像データに基づいて、投影光を投影する領域を変更した場合を示す。空中像300は透過性を有して表示されるため、ユーザ12は空中像300の位置を安定的に視認できない。すなわち、空中像300の表示位置はZ方向において不安定なものとしてユーザ12に視認される。そのため、表示装置1は、空中像300の表示位置を示すために、空中像300の近傍に影に相当する補助画像31を表示することにより、Z方向における空中像300の表示位置が補助画像31の位置にあるようにユーザ12に知覚させる。ユーザ12は空中像300およびアイコン300Aと補助画像31との相対的位置関係から、アイコン300AのZ方向の位置が補助画像31のZ方向位置又はその近傍位置にあるものとして認識する。すなわち、
図4(c)、(d)に示すように、ユーザ12側から見て、補助画像31を、空中像300およびアイコン300Aの表示位置よりも遠方に投影すると、ユーザ12は、
図4(c)に示すアイコン300Aを、初期表示の状態よりもZ方向−側に位置するものとして認識する。
【0035】
図4(e)、
図4(f)は、初期表示の場合と比べて、空中像300およびアイコン300Aの表示位置は変わらないが、補助画像31の投影される位置がZ方向+側に変更された例を示す。すなわち、画像生成部201が影領域をZ方向+側に変更した補助画像データを生成し、プロジェクタ15がこの補助画像データに基づいて、投影光を投影する領域を変更した場合を示す。この場合も、ユーザ12は空中像300およびアイコン300Aと補助画像31との相対的位置関係から、アイコン300AのZ方向の位置が補助画像31のZ方向位置又はその近傍位置にあるものとして認識する。すなわち、
図4(e)、(f)に示すように、ユーザ12側から見て、補助画像31を、空中像300およびアイコン300Aの表示位置よりも前方に投影すると、ユーザ12は、
図4(e)に示すアイコン300Aを、初期表示の状態よりもZ方向+側に位置するものとして認識する。
なお、以上の説明では、プロジェクタ15が影領域の位置が変更された補助画像データを投影することにより補助画像31のステージ14上でのZ方向の位置を移動させる例を挙げたが、これに限定されない。たとえば、プロジェクタ15は、Z方向に沿って移動可能に配置され、プロジェクタ15の表示画素上では、予め低輝度の投影光を投影するための領域と高輝度の投影光を投影するための領域が定められている。プロジェクタ15が、後述するようにして算出された補助画像31の移動量に従ってZ方向に移動することにより、補助画像31の位置を移動してもよい。なお、上記の低輝度は、輝度がゼロ、すなわち真っ暗な場合も含む。
【0036】
図5を参照して、キャリブレーション処理時の空中像300に対するユーザ12の指の位置と、補助画像31の表示とについて説明を行う。
図5(a)は、操作検出器13と空中像300と検出基準40と指Fの位置との関係を模式的に示す断面図である。
検出基準制御部204は、
図5(a)に示すように、検出基準40を空中像300の近傍位置、例えば、空中像300よりも僅かにZ方向+側の位置に設定する。勿論、検出基準制御部204は、検出基準40を、空中像300に一致させてもよいし、空中像300よりも僅かにZ方向−側の位置に設定してもよい。この場合、表示制御部202は、たとえば
図4(a)に示す空中像300を表示させる。
【0037】
図5(a)において、ユーザ12が、空中像300のアイコン300Aに重畳表示されたメッセージに従いアイコン300Aの表示位置を操作するために、指先Fをアイコン300Aの方に移動する。指先FがZ方向−側に移動して、
図2の操作検出器13の静電容量の検出範囲13Aに達すると、操作検出器13は、このアイコン300Aへのユーザ12の指先Fの接近移動、即ちZ方向−側への移動を静電容量の変化として検出する。このとき、制御部20は、検出基準外41で操作検出器13によって検出されたユーザ操作が行われている位置を取得する。
【0038】
図5(b)は、指先FがZ方向−側へ移動して検出基準40よりも僅かにZ方向+側の点線位置50に達した場合を示す。このとき、ユーザ12は、指先Fがアイコン300Aの表示位置に到達してアイコン300Aを押下する操作を実行したと感じて、指先Fを所定距離だけZ方向+側に移動させたものとする。操作検出器13は、指先Fの上記のZ方向−側への移動、即ち押し込みとそれに引き続く所定距離の戻し移動とを、静電容量の変化として検出する。検出基準制御部204は、操作検出器13が指先Fの上記の押し込みとそれに引き続く所定距離の戻し移動とを検出すると、アイコン300Aの表示位置に操作が行われたと判定する。なお、ユーザ12の指先Fがアイコン300Aの表示位置への操作のために押し込みを行った後に所定距離の戻し移動をした場合に、検出基準制御部204は、最も押し込まれた位置を到達位置とする。即ち、点線位置50を到達位置と称する。
【0039】
到達位置50が、
図5(b)に示すように検出基準40に対してユーザ12側(Z方向+側)に位置する場合、操作検出器13は、検出基準40でユーザ12の指先Fを検出することができない。この場合、ユーザ12の指先Fが検出基準40で検出されるためには、
図5(b)に示す場合と比較して、到達位置50が空中像300側、すなわちZ方向−側に近づく必要がある。本実施の形態では、補助画像31の表示を変更することにより、到達位置50であるユーザ12の指先Fを
図5(b)に示す場合よりもZ方向−側に移動させるように導くものである。すなわち、ユーザ12に、
図5(b)にて二点鎖線に示す位置に空中像300’とアイコン300A’とが位置していると知覚させるために、ステージ14上に破線で示す補助画像31’を表示させて、ユーザ12の指先Fを図示する位置よりもZ方向−側に移動させる。画像生成部201は、
図4(a)に示すように表示されたアイコン300Aの下方に投影された補助画像31の投影位置を、
図4(c)に示す投影位置に変更する。画像生成部201は、影領域をZ方向−側へ移動した補助画像データを生成し、この補助画像データに基づいてプロジェクタ15は投影光を投影する領域を変更する。すなわち、画像生成部201は、ユーザ12による操作が検出された位置と検出基準40との位置関係に基づいて、補助画像31の移動する方向を制御する。換言すると、画像生成部201は、操作検出器13により取得された位置関係に基づいて、第1表示像であるアイコン300に対する第2表示像である補助画像31の表示態様を異ならせる表示制御を行う。
このようにして、画像生成部201は、ユーザ12がアイコン300Aを押下する操作に基づく方向にアイコン300Aの表示位置が変更したとユーザ12に知覚されるように、補助画像31の投影位置を変更する。なお、ユーザ12が押下する操作は厳密にZ方向に沿った方向に移動した場合に限られない。ユーザ12が押下する操作がZ軸に対して傾きを有して行われた場合であっても、すなわちユーザの押下する操作の移動方向にZ方向成分が含まれている場合に、制御部20はユーザ12によって押下する操作が行われたと判断してもよい。そして、画像生成部201は、アイコン300Aの表示位置が押下する操作に基づく方向であるZ方向に変更したとユーザに知覚されるように、補助画像31の表示位置を変更してもよい。
なお、画像生成部201は、ユーザ12の押下する操作に基づいて、押下する操作に基づく方向である、ユーザ12による押下する操作と同じ方向にアイコン300Aの表示位置が変更したとユーザ12に知覚されるように、補助画像31の投影位置を変更してもよい。
【0040】
画像生成部201は、影領域の移動量を、検出基準40と到達位置50との間のずれ量、すなわちZ方向の距離に基づいて決定する。この場合、検出基準40と到達位置50との間の距離と、影領域の移動量とが予め試験等の結果に基づいて決定され、関連付けされた関連データとして記憶部205に記憶されている。画像生成部201は、この関連データを参照して影領域の移動量を決定する。決定された影領域の移動量は記憶部205に記憶される。
なお、上述した影領域の移動量は、到達位置50と検出基準40との距離の増減に基づいて、増減するように決定される。影領域の移動とは、到達位置50と検出基準40との距離の増減に基づいて線形的に増減するように決定されてもよいし、到達位置50と検出基準40との距離が所定量の増減をするごとに段階的に増減するように決定されてもよい。また、到達位置50と検出基準40との距離に関わらず、影領域の移動とが所定の固定値だけ変更するように決定されてもよい。この場合、所定量はユーザ12により設定可能に構成されてもよい。
【0041】
上記のようにして補助画像31のステージ14上での投影位置が
図4(c)に示すように変更されると、ユーザ12は、アイコン300AがあたかもZ方向−側、すなわちユーザ12から離れる方向に移動したように知覚する。すなわち、ユーザ12は、空中像300とアイコン300Aとは実際にZ方向には移動していないにもかかわらず、
図5(b)の二点鎖線で示す位置に移動したように知覚する。ユーザ12は、自身から更に離れた位置にアイコン300Aが表示されたように知覚しているので、アイコン300Aに対して操作を行う際に、ユーザ12により指先Fを更にZ方向−側に位置させる操作が行われることが期待される。これにより、ユーザ12の指先Fの到達位置50が
図5(b)に示す場合よりもZ方向−側に位置することになり、
図5(c)に示すように到達位置50が検出基準40に位置する。したがって、操作検出器13は検出基準40でユーザ12の指先Fを検出可能となり、制御部20は、検出基準40で検出されたユーザ操作の位置を取得できる。
【0042】
以上では、指の到達位置50が検出基準40よりも手前(Z方向+側)に位置することにより、ユーザ操作が検出基準40で検出されない場合を説明した。到達位置50が検出基準40よりも奥側(Z方向−側)に位置することにより、ユーザ操作が検出基準40で検出されない場合も、検出基準制御部204は上述と同様に到達位置50を判定し、その到達位置50に基づき画像生成部201は影領域の位置を変更する。この場合、
図5(d)に到達位置50と検出基準40との位置関係を示す。この場合、ユーザ12の指先Fが検出基準40で検出されるためには、
図5(d)に示す場合と比較して、到達位置50がユーザ12側、すなわちZ方向+側に位置する必要がある。すなわち、ユーザに、
図5(d)にて二点鎖線に示す位置に空中像300’とアイコン300A’とが位置していると知覚させるために、ステージ14上に破線で示す補助画像31’を表示させて、ユーザの指先Fを図示する位置よりもZ方向+側に移動させる。画像生成部201は、
図4(a)に示すように投影された補助画像31の投影位置を、
図4(e)に示す補助画像31の投影位置となるように変更する。画像生成部201は、影領域の位置をZ方向+側へ移動した補助画像データを生成し、この補助画像データに基づいてプロジェクタ15は投影光を投影する領域を変更する。すなわち、画像生成部201は、ユーザ12による操作が検出された位置と検出基準40との位置関係に基づいて、補助画像31の移動する方向を制御する。
【0043】
この場合も、画像生成部201は、影領域の移動量を、検出基準40と到達位置50との間のずれ量、すなわちZ方向の距離に基づいて決定する。決定された影領域の移動量は記憶部205に記憶される。
図4(e)に示すように補助画像31の投影位置が変更されることによって、表示装置1は、アイコン300AがあたかもZ方向+側、すなわちユーザ12に接近する方向に移動したようにユーザ12に知覚させる。ユーザ12は、自身から更に接近した位置にアイコン300Aが表示されたように知覚しているので、アイコン300Aに対して操作を行う際に、ユーザ12により指先Fを更にZ方向+側に位置させる操作が行われることが期待される。これにより、ユーザ12の指先Fの到達位置50が
図5(d)に示す場合よりもZ方向+側に位置することになり、
図5(c)に示すように、到達位置50が検出基準40に位置するようになる。したがって、操作検出器13は検出基準40でユーザ12の指先Fを検出可能となる。
【0044】
このようにして、画像生成部201は、ユーザ12がアイコン300Aを押下する操作に基づく方向とは反対の方向にアイコン300Aの表示位置が変更したとユーザ12に知覚されるように、補助画像31の投影位置を変更する。なお、ユーザ12が押下する操作が厳密にZ方向に沿った方向に移動した場合に限られない。ユーザ12が押下する操作がZ軸に対して傾きを有して行われた場合であっても、すなわちユーザ12の押下する操作の移動方向にZ方向成分が含まれている場合に、制御部20はユーザによって押下する操作が行われたと判断する。そして、画像生成部201は、アイコン300Aの表示位置が押下する操作に基づく方向であるZ方向に変更されたとユーザ12によって知覚されるように、補助画像31の投影位置を変更してよい。
なお、画像生成部201は、ユーザ12の押下する操作に基づいて、押下する操作に基づく方向である、ユーザ12による押下する操作とは反対の方向にアイコン300Aの表示位置が変更したとユーザ12に知覚されるように、補助画像31の投影位置を変更してよい。
なお、到達位置50が検出基準40に一致する場合にも検出基準制御部204は上述と同様に到達位置50を判定する。しかし、到達位置50が検出基準40に一致しているので、画像生成部201は、ユーザ12がアイコン300Aの奥行位置が変更したと知覚するような、影領域の投影位置の変更を行わない。
【0045】
また、到達位置50が検出基準40よりも奥側(Z方向−側)に位置する場合には、指先Fは、到達位置50に到達する前に、検出基準40を通過する。検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき、指が検出基準40に達したことを判定する。しかし、第1のキャリブレーション処理モードでは、画像生成部201は表示器11の表示の切り替えを行わない。到達位置50が検出基準40に一致する場合も同様に、画像生成部201は表示器11の表示の切り替えを行わない。勿論、指先Fが検出基準40に達した時に、例えば、画像生成部201は、アイコン300Aを点滅させるなどのハイライト表示をして、指先Fが検出基準40に到達したことをユーザ12に告知してもよい。
【0046】
以上の説明では、アイコン300Aの表示位置への操作の例としてユーザ12によるアイコン300Aを押し込む操作を例に挙げたがこれに限られない。ユーザ12によるアイコン300Aに対する所定の非接触操作が操作検出器13によって検出された場合、所定の非接触操作が行われた場所、すなわち操作検出器13によって所定の非接触操作が検出された位置に基づいて、画像生成部201は影領域の位置を変更してもよい。所定の非接触操作とは、例えば、アイコン300Aをタッチするようなジェスチャー操作である。アイコン300Aをタッチするような操作を行った位置に基づいて、画像生成部201は影領域の位置を変更してもよい。タッチするような操作とは、例えば、アイコン300Aをユーザ12の手で振り払うようなジェスチャーなどが挙げられる。また、タッチするような操作を行った位置として、ユーザ12の手で振り払うようなジェスチャーが終了し、ユーザ12の手が停止したと判定された位置やユーザ12の手で振り払うようなジェスチャーが開始された位置に基づいて決定してもよい。
また、所定の非接触操作として、ユーザ12が指Fを距離L1だけZ方向−側(奥側)へ移動した後にUターンして、距離L1だけZ方向+側(手前側)に移動する操作である。即ち、この所定の非接触操作は、奥側への移動距離と手前側への移動距離とが等しいUターン軌跡である。また、この所定の非接触操作は、Uターン、即ちU字の軌跡ではなく、V字の軌跡を描くものでも良く、また、指Fが距離L1だけ奥側へ移動した後にその奥側への移動軌跡に沿って距離L1だけ手前側に移動する操作であってもよい。更には、この所定の非接触操作は、奥側への移動距離L1と手前側への移動距離L1とが等しくなく異なっていても良い。すなわち、所定の非接触操作とは、指の奥側への移動に引き続き指の手前側への移動がなされる操作であれば良い。
また、所定の非接触操作として、ユーザ12が指Fを距離L1だけ奥側へ移動した後、所定時間指Fを停止する操作でもよいし、ユーザ12が指Fを距離L1だけ奥側へ移動した後、指Fを横方向に少なくとも所定距離L2移動させる操作でもよい。
所定の非接触操作は、上述した種々の指Fの移動軌跡で表されるものに限られず、その移動軌跡(指Fや手の移動軌跡)が操作検出器13で検出できるものであれば、その他の移動軌跡を描くものであってよい。なお、操作検出器13によって所定の非接触操作が検出された位置は、それぞれの操作によって適宜設定してもよい。たとえば、上記した所定の非接触操作として、ユーザ12が指Fを距離L1だけ奥側へ移動した後にUターンして、距離L1だけ手前側に移動する操作の場合、Uターンを行った最もZ方向−側の位置を非接触操作が検出された位置としてもよい。この所定の非接触操作が検出された位置の別の例としては、距離L1の半分の位置を非接触操作が検出された位置としてよい。
【0047】
なお、検出基準制御部204が到達位置50を判定する方法は、上述の押し込み移動から所定距離の戻し移動への変化に基づき判定する方法に限られず、以下に述べるようにその他の種々の方法によっても、判定することができる。例えば、ユーザ12は、指先Fがアイコン300Aの表示位置に到達してアイコン300Aへの押し込み操作を実行したと感じて、指のZ方向−側への移動、即ち押し込みを停止する。検出基準制御部204は、操作検出器13が検出する静電容量の値が殆ど変化しなくなったことをもって、指の押し込みの停止を判定し、この押し込みの停止位置を到達位置50と判定、即ち決定する。なお、Z方向−側への移動の停止は、操作検出器13が検出する静電容量の値が短時間、例えば0.1秒〜1秒程度の間、変化しないことをもって、判定される。更に別の方法としては、検出基準制御部204は、ユーザ12の指の移動の速度ベクトル、即ち、指の移動速度と移動方向とを、静電容量の変化から検出する。検出基準制御部204は、静電容量の変化から、指の速度ベクトルの向きがZ軸−方向からZ軸+方向に変化したこと及びZ軸+方向の速度ベクトルが所定の大きさになったことに基づき、Z軸+方向の所定の大きさの速度ベクトルを検出した時の指の位置を到達位置50と判定してもよい。この方法の場合には、上記の速度ベクトルの所定の大きさを略ゼロに設定すると、速度ベクトルの向きがZ軸−方向からZ軸+方向に変化する時点の指の位置、即ち最も指が押し込まれた位置が到達位置として判定される。所定の大きさをゼロ以外の値に設定すると、指が上述の最も押し込まれた位置から所定距離だけ戻された位置が、到達位置50として判定される。以上のように、到達位置50は、検出基準制御部204によって指がアイコンの表示位置を操作したと判定された時の指先Fの最も押し込まれた位置またはその近傍の位置に決定される。
【0048】
また、上述の例では、検出基準制御部204は、指やスタイラスのうち、空中像300のアイコン300Aに接触する部分、即ち指先部分の位置やスタイラスの端部の位置を基準として、到達位置を決定した。その代わりに、検出基準制御部204は、ユーザ12の指の爪先の位置や、指の第1関節の位置を基準にして到達位置を決定してもよい。更には、検出基準制御部204は、ユーザ12の指に限らず、ユーザ12の足や肘などでアイコンを操作する場合には、足や肘などを基準にして到達位置を決定してもよい。スタイラスを使用する場合には、スタイラスの所定の位置にマークを付け、検出基準制御部204は、そのマークの位置を基準に到達位置を決定してもよい。なお、指の第1関節やスタイラスのマークなどを使用して到達位置を決定する場合には、操作検出器13として、静電容量式パネルを用いる代わりに、後述の第1の実施の形態の変形例8において説明する撮像装置などを使用することが望ましい。
【0049】
また、上述した説明では、検出基準40を単一の平面または段差を有する平面としたが、これに限定されず、検出基準40が前面(Z方向+側)と後面(Z方向−側)とに挟まれた所定の厚みを持った領域であってもよい。この場合、検出基準40は、後面が空中像30よりも手前(Z方向+側)に設定されてもよいし、前面が空中像30よりも奥(Z方向−側)に設定されてもよいし、前面と後面との間に空中像30が位置するように設定されてもよい。このため、検出基準制御部204は、より確実に表示位置への操作を判定することができる。例えば、指が、たまたまアイコン30Aに対してZ軸にほぼ沿って移動されずに、斜め方向から移動された場合を仮定する。この場合、検出基準40が
図3に示したように平面であると、アイコン30Aの位置に対応した部分の検出基準40を通過せず、その横の部分を通過してしまい、検出基準制御部204が指のアイコン30Aの表示位置への操作を判定することができないことが起こり得る。しかし、検出基準40が所定の厚さを有しているので、指が斜め方向から移動された場合にも、検出基準制御部204は、指が検出基準40に入ったことを確実に検出することができる。更には、指が空中像30に並行に移動して、アイコン30Aの表示位置を操作した場合にも、検出基準40が所定の厚さを有しているので、検出基準制御部204は、指が検出基準40内に入ったことを確実に検出することができる。
【0050】
なお、上述したように、検出基準40が厚みを有する場合には、検出基準40の内部で上述した所定の非接触操作が行われない場合には、検出基準制御部204は、所定の非接触操作が行われていないと判定する。たとえば、所定の非接触操作が、ユーザ12が指Fを距離L1だけ奥側へ移動した後にUターンして、距離L1だけ手前側に移動する操作であるとする。このとき、ユーザ12が検出基準40内で指Fを距離L1だけ奥側へ移動した後、指Fを手前側に距離L1になるまで移動させなかったとする。この場合には、検出基準制御部204は、ユーザ12により所定の非接触操作が行われていないと判定する。
【0051】
以上のようにして第1のキャリブレーション処理モードが行われると、そのキャリブレーション処理の結果に基づいて、
図3(a)に示す空中像操作モードにおける補助画像31の表示位置が変更される。
図6に、上述した第1のキャリブレーション処理モードによるキャリブレーション処理の結果が反映された空中像操作モードにおける空中像30と補助画像31とを示す。
図6(a)は、
図3(a)と同様に、初期表示の空中像30と補助画像31とを示す。
図6(a)では、1行×3列に配列されたアイコン30Aに対して、紙面に向かって左側から符号30Aa、30Ab、30Acを付与する。また、アイコン30Aa、30Ab、30Acのそれぞれに対応する補助画像31に対して、符号31a、31b、31cを付与する。
【0052】
図6(b)は、到達位置50が検出基準40の手前に位置した場合(
図5(b)参照)に行われたキャリブレーション処理の結果が反映された空中像30と補助画像31とを示す。すなわち、
図6(b)は、アイコン30Aがあたかもユーザ12から離れる方向に移動したように知覚されるように、補助画像31a〜31cの表示位置がZ方向−側に変更された場合を示す。これにより、ユーザ12は、第1のキャリブレーション処理モードのときよりもZ方向−側に到達位置50が位置するように操作を行うことが期待される。
【0053】
図6(c)は、到達位置50が検出基準40の奥側に位置した場合(
図5(d)参照)に行われたキャリブレーション処理の結果が反映された空中像30と補助画像31とを示す。すなわち、
図6(c)は、アイコン30Aがあたかもユーザ12に接近する方向に移動したように知覚されるように、補助画像31a〜31cの表示位置が変更された場合を示す。これにより、ユーザ12は、第1のキャリブレーション処理モードのときよりもZ方向+側に到達位置50が位置するように操作を行うことが期待される。
以上のようにして、第1キャリブレーション処理モードにて検出されたユーザ12の操作位置と検出基準40との間の距離に基づいて、空中像操作モードにおいてアイコン30Aの下方に投影される位置が変更された補助画像31が投影される。すなわち、表示装置1は、空中像30の表示位置、すなわち検出基準40と補助画像31との位置関係を、補助画像31の位置を制御することにより変更する。
なお、
図6に示す例では、画像生成部201は、複数のアイコン30Aa、30Ab、30Acの全てに対して、キャリブレーション処理の結果に基づいて、その補助画像31a、31b、31cの表示位置を変更したが、これに限定されない。画像生成部201は、複数のアイコン30Aa〜30Acに対応する補助画像31a〜31cのうちの少なくとも1つの補助画像31の表示位置を変更してもよい。または、画像生成部201は、各アイコン30Aa、30Ab、30Acのそれぞれに対して、個別にキャリブレーション処理の結果を反映させて補助画像31a、31b、31cの表示位置を変更してもよい。
【0054】
上記説明の第1のキャリブレーション処理モードと空中像操作モードとの関係について、
図7に示すフローチャートを参照して説明する。
図7のフローチャートに示す各処理は、表示装置1が起動された後、制御部20によってプログラムを実行して行われる。このプログラムは、記憶部205に記憶されている。
ステップS1において、ユーザ12によりキャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンによって第1のキャリブレーション処理モードが選択されていることを認識すると、ステップS2に進む。ステップS2において、
図2に示したキャリブレーション部203が第1のキャリブレーション処理モードを開始して、ステップS3に進む。ステップS3では、画像生成部201がキャリブレーション用の表示用画像データを生成し、表示制御部202は、表示用画像データに基づくキャリブレーション用の画像を表示器11に表示させると共に、検出基準制御部204は、検出基準40を所定の初期位置に設定する。同時に、画像生成部201が補助画像31用の画像データを生成し、プロジェクタ15が
図4(a)に示したように、補助画像31をその第1範囲311がアイコン300Aの下に位置するように、投影領域140に投影する。表示器11の表示画像は、結像光学系9によって生成される
図4(a)に示すキャリブレーション用の空中像300である。また、空中像300は、アイコン300Aとメッセージ「キャリブレーションを行います。このアイコンにタッチして下さい」を含む。ステップS4において、操作検出器13は、ユーザ12の指先FのZ方向−側への移動を検出し、ステップS5に進む。
【0055】
ステップS5において、
図2に示された検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき、指が到達位置50に達したか否かを判定する。ステップS5において肯定判定された場合、即ち、指が到達位置50に達したと判定された場合、ステップS6に進む。ステップS5において否定判定された場合、即ち、指は停止していないと判定された場合、肯定判定されるまで待機する。ステップS6において、画像生成部201は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づき、影領域の位置を変更して補助画像データを生成する。また、画像生成部201は、このときの影領域の移動量を示すデータを
図2に示した記憶部205に記憶して、ステップS7に進む。
【0056】
ステップS7において、第1のキャリブレーション処理モードを終了して、ステップS8に進む。ステップS8では、空中像操作モードを開始し、ステップS9に進む。ステップS9において、
図8に示された空中像操作モード用のアイコン30Aを含む空中像30が表示される。このとき、画像生成部201は、ステップS6において記憶部205に記憶した影領域の移動量を示すデータを記憶部205から読み出す。画像生成部201は、読み出したデータに基づき空中像操作モード用の補助画像データを生成し、プロジェクタ15は、補助画像データに基づいて補助画像31をステージ14上に投影する。このようにして、この空中像操作モードでは、第1のキャリブレーション処理モードにおいて、ユーザ12の操作特性に適したアイコン30Aと補助画像31との位置関係が設定された状態で空中像30が表示される。
【0057】
ユーザ12がアイコン30Aの表示位置を操作するために、指を空中像30に向けてZ方向に移動させると、ステップS10において、
図2に示した操作検出器13がユーザ12の指の奥行方向への移動を検出し、ステップS11に進む。ステップS11において、検出基準制御部204が、操作検出器13の検出出力に基づき指が検出基準40に達したかどうか判定する。ステップS11において肯定判定された場合、即ち、指が検出基準40に達したと判定された場合、ステップS12に進む。ステップS11において否定判定された場合、即ち、指が検出基準40に達していないと判定された場合、肯定判定されるまで待機する。ステップS12において、表示制御部202は表示器11の表示画像を、操作されたアイコン30Aに応じた表示画像に切り替え、ステップS13に進む。ステップS13において、表示装置1の停止操作が行われたかどうか判定する。ステップS13において、肯定判定された場合、即ち、表示装置1の停止操作が行われた場合、表示装置1は停止する。ステップS13において否定判定された場合、ステップS10に戻る。
【0058】
以上の説明では、第1のキャリブレーション処理モードは、表示装置1が起動された後、空中像操作モードに先立って、実行されるものであったが、第1のキャリブレーション処理モードは、空中像操作モードの後に実行することもできる。例えば、ユーザ12は、空中像操作モードの実行中に、例えばアイコン30Aの表示位置への操作に違和感を覚えたときに、表示装置1のキャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンを操作して、第1のキャリブレーション処理モードを選択する。この場合には、第1のキャリブレーション処理モードは、実行中の空中像操作モードを中断して、実行され、この第1のキャリブレーション処理モードの終了後に、空中像操作モードが再開される。なお、上述したユーザ12による操作ボタンの操作に従って表示装置1が第1のキャリブレーション処理モードを選択するものに代えて、キャリブレーション部203は、アイコン30Aの表示位置への操作に対する違和感からユーザ12が不快感を抱いている様子を検出したときに、第1のキャリブレーション処理モードを実行しても良い。表示装置1は、たとえばユーザ12の脈拍数(生体情報)を検出し、検出した脈拍数が所定値を超える場合に、ユーザ12が不快感を抱いている様子を検出することができる。
【0059】
次に、第2のキャリブレーション処理モードを
図8及び
図9を参照して説明する。なお、以下で説明する第2のキャリブレーション処理モードについては、上述の第1のキャリブレーション処理モードで説明した処理を適宜適用してよい。
図8は空中像操作モード用の空中像30と検出基準40と指先Fの到達位置50とを示した図である。
図9は、第2のキャリブレーション処理モードの動作を表したフローチャートである。
図9のフローチャートに示す各処理は、表示装置1の起動後、制御部20によってプログラムを実行して行われる。
【0060】
ステップS21において、第2のキャリブレーション処理モードが選択されていることを認識し、ステップS22に進む。ステップS22において、空中像操作モードと第2のキャリブレーション処理モードとが共に開始され、ステップS23に進む。ステップS23において、
図3に示されたアイコン30Aを含む空中像30が表示されると共に、
図2に示した検出基準制御部204が、検出基準40を予め定められた初期位置、例えば、空中像30の位置または空中像30の位置よりも僅かにZ方向+側の位置に設定し、ステップS24に進む。このとき、プロジェクタ15は、アイコン30Aの初期位置に応じた位置、すなわち操作検出器13からZ方向+側に距離H1の位置に補助画像31を投影する。この時、空中像30には、メッセージ「アイコンの操作中にキャリブレーションが行われます」が短時間だけ表示される。なお、このメッセージは表示されなくてもよい。
【0061】
ステップS24において、ユーザ12がアイコン30Aの表示位置への操作のために、指をZ方向−側に移動させると、操作検出器13が指の移動の検出を開始し、ステップS25に進む。ステップS25において、検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき、指がZ方向−側への移動中に検出基準40を通過したかを判定する。ステップS25において肯定判断された場合、即ち、指がZ方向−側へ移動中に検出基準40を通過して、更にZ方向−側へ移動した場合、ステップS26に進む。
図8の指F1は、Z方向−側への移動中に検出基準40を通過した指を示す。ステップS26では、検出基準制御部204は指F1が検出基準40に達したこと、即ち検出基準40を通過したことを判定して、アイコン表示の切り替えを行い、即ち、空中像30が操作されたアイコン30Aに基づいて替わり、ステップS27に進む。ステップS27では、検出基準制御部204は、指F1が到達位置50に達したかを判定し、肯定判定の場合にはステップS28に進み、否定判定の場合には、肯定判定されるまで維持する。ステップS28では、画像生成部201は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づき、影領域の位置を変更してステップS33へ進む。具体的には、画像生成部201は、
図4(d)に示すように影領域に対応する補助画像31がZ方向+側(ユーザ12側)に位置するように、影領域の位置を変更した補助画像データを生成する。プロジェクタ15は、生成された補助画像データに基づいて補助画像31をステージ14上に投影する。
なお、ステップS28においては、検出基準制御部204が到達位置50と検出基準40と位置関係を比較して、到達位置50が検出基準40から所定の範囲よりもZ方向−側に位置しないことを検出した場合、画像生成部201は補助画像31の投影位置を変更しなくてもよい。または、画像生成部201は、補助画像31の投影位置の変更量(補助画像31の移動量)をゼロに設定してもよい(すなわち、実質的に補助画像31の投影位置を変更しない)。
【0062】
前述のステップS25で否定判定された場合、即ち、指がZ方向−側へ移動中に検出基準40を通過していない場合には、ステップS29に進む。ステップS29では、検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき、指先Fが到達位置50に達しているかを判定し、肯定判定の場合にはステップS30に進む。否定判定の場合には、肯定判定されるまで維持する。
図8の指F2は、到達位置50が検出基準40に一致したことを示している。ステップS30では、検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき、到達位置50が検出基準40に一致するかを判定し、肯定判定の場合にステップS31に進み、否定判定の場合にステップS32に進む。ステップS31では、到達位置50が検出基準40に一致しているので、アイコン表示の切り替えを行うが、影領域の変更を行わずにステップS33へ進む。
なお、検出基準制御部204は、到達位置50と検出基準40とが完全に一致しない場合、たとえば検出基準40から所定の範囲内に到達位置50を検出した場合であっても、到達位置50が検出基準40に一致したと判定してもよい。この場合、
図9のステップS25においては、検出基準制御部204は、到達位置50が検出基準40から所定の範囲よりも下方に位置しているか否かを判定してよい。到達位置50が検出基準40から所定の範囲よりも下方に位置する場合には、ステップS25が肯定判定されてステップS26へ進む。また、ステップS30では、検出基準制御部204は、到達位置50が検出基準40から所定の範囲内に位置するか否かを判定してよい。到達位置50が検出基準40から所定の範囲内に位置する場合には、ステップS30が肯定判定されてステップS31へ進む。
【0063】
ステップS32では、
図8の指F3に示したように到達位置50が検出基準40のZ方向+側に位置しており、画像生成部201は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づき影領域の位置を変更する。具体的には、画像生成部201は、
図4(c)に示すように影領域に対応する補助画像31がZ方向−側(ユーザ12側とは反対側)に位置するように、影領域の位置を変更した補助画像データを生成する。プロジェクタ15は、生成された補助画像データに対応する補助画像31をステージ14上に投影する。ステップS33では、第2のキャリブレーション処理モードの終了操作が行われたかを判定し、肯定判定の場合には第2のキャリブレーション処理モードを終了し、否定判定の場合にステップS24に戻る。
【0064】
以上のように、第2のキャリブレーション処理モードは、空中像操作モードを実行中に並行して行われるため、キャリブレーション処理の実行を意識することなく、ユーザ12に適した検出基準40で空中像30の表示位置に対する操作を実行することができる。なお、第1〜2のキャリブレーション処理モードは必ずしもユーザ12が選択しなくてもよい。表示装置1が自動的に第1〜2のキャリブレーション処理モードのうちのいずれか一つを選択するようにしてもよい。また、第1〜2のキャリブレーション処理モードの全てを備えるのではなく、そのうちの一つを備えるものであってもよい。
また、第1の実施の形態では、Z軸方向に沿ってアイコン30Aの表示位置が変更したとユーザ12に知覚させるように、画像生成部201は、補助画像31の位置を変更したが、これに限定されない。たとえば、画像生成部201は、アイコン30Aの表示位置の移動方向として知覚される方向が結像光学系9の光軸方向に移動したと知覚されるように、補助画像31の位置を変更してよい。すなわち、本実施の形態では、画像生成部201は、補助画像31が結像光学系9の光軸と直交する方向以外の方向に移動したとユーザ12に知覚されるように、補助画像31の位置を変更してよい。したがって、画像生成部201は、補助画像31の移動方向に結像光学系9の光軸に沿った成分が含まれるように移動させてよい。
【0065】
なお、上述した第1の実施の形態の表示装置1において、表示装置1の周囲の輝度に基づいて、プロジェクタ制御部200は、プロジェクタ15が投影する補助画像31の輝度を制御してもよい。この場合、表示装置1の本体10には、周囲の明るさを検出する照度センサ等が設けられる。なお、照度センサとして、カメラの測光機能を用いても良い。表示装置1が日光や照明等により照射されることにより表示装置1の周囲が明るい場合には、プロジェクタ15により投影された補助画像31の第1範囲311がユーザ12に視認されにくくなる。そこで、表示装置1の周囲が明るい場合には、プロジェクタ15から投影される第2範囲312の輝度を高くすることにより、ユーザ12により暗い第1範囲311を視認させる。
【0066】
この場合、照度センサで検出した周囲輝度の増減に基づいて、プロジェクタ制御部200は、第2範囲312に対応する範囲の投影光の輝度を増減させる。プロジェクタ制御部200は、投影光が周囲輝度の増減に基づいて線形的に増減するように制御してもよいし、周囲輝度が所定量の増減をするごとに段階的に増減するように制御してもよい。また、周囲輝度が所定値を超える場合に、プロジェクタ制御部200が第2範囲312に対応する範囲の投影光の輝度を制御してもよい。
なお、プロジェクタ15の投影光の輝度が周囲輝度に基づいて制御されるものに限定されない。たとえば、ユーザ12の操作によりプロジェクタ15の投影光の輝度が設定され、この設定に従って、プロジェクタ制御部200が投影光の輝度を制御してもよい。この場合、ユーザ12は、表示装置1の本体10に設けられた操作ボタンを操作してプロジェクタ15の投影光の輝度を設定できる。なお、表示装置1は、この操作ボタンを空中像として表示してもよい。
【0067】
また、プロジェクタ15からの投影光が高輝度で投影される場合、明るい投影光によって、ユーザ12は、空中像30、300を視認しにくくなる場合がある。この場合、表示制御部202は、プロジェクタ15の投影光の輝度の増減に基づいて、表示器11に表示される表示画像の輝度を増減させる。表示制御部202は、表示画像の輝度が投影光の増減に基づいて線形的に増減するように制御してもよいし、投影光の輝度が所定量の増減をするごとに段階的に増減するように制御してもよい。また、投影光の輝度が所定値を超える場合に、表示制御部202が表示器11に表示される表示画像の輝度を制御してもよい。
なお、上述したようにプロジェクタ15の投影光の輝度がユーザ12の操作に基づいて設定された場合も、表示制御部202は、設定された輝度に基づいて、表示器11の表示画像の輝度を制御できる。
【0068】
なお、表示制御部202による表示画像の輝度の制御は、投影光の輝度に基づいて行うものに限定されず、表示装置1の周囲輝度に基づいて行われてもよい。すなわち、周囲輝度の増減に基づいて、表示制御部202が表示器11の表示画像の輝度の制御を行ってもよい。
【0069】
なお、また、上述した第1の実施の形態においては、補助画像31として影画像を例に挙げたが、補助画像31として影画像以外を適用することができる。たとえば、補助画像31として、空中像30の位置を示し、物を載置するような台、テーブル、机等を表示させてもよい。上記のような補助画像31を空中像30の下に表示することにより、空中像30が補助画像31に載置されているようにユーザ12に知覚される場合がある。そのため、補助画像31の位置を移動したとしても、空中像30が補助画像31の位置にあるように、ユーザ12に知覚される。
なお、後述する第4の実施の形態に記載されているように、補助画像31は、空中像30に関連性が高い物を表示した方が、ユーザ12は、補助画像31の位置に空中像30が表示されていると知覚する可能性が高くなる。後に詳しく説明するが、補助画像31と空中像30との間の関連性が高いものとは、補助画像31と空中像30とを表示させる対象同士が、現実世界で近くにあるもの、接して設置されるもの、対象同士が一体的になって構成されているもの等である。なお、第1の実施の形態で説明した、補助画像31に空中像30の影を示す画像を表示する例については、補助画像31と空中像30との関連性が深い例である。
【0070】
第1の実施の形態では、画像生成部201は、操作検出器13で検出した操作により、第2の像である補助画像31の表示形態を変更する。具体的には、画像生成部201は、空中像30、300に対するユーザ12の操作を検出する検出基準40と、空中像30、300の表示位置と異なる位置に位置する補助画像31の位置関係を、補助画像31を制御し変更する。これにより、位置が変更された補助画像31に基づいて、ユーザ操作の位置が変更され、ユーザ12の操作を検出基準40で検出することが可能になる。
【0071】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、ユーザ12の操作に基づいて、補助画像31を制御する。これにより、補助画像31にユーザ12の操作が反映されるので、キャリブレーション処理の精度を向上できる。
【0072】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、ユーザ12の操作の到達位置50と検出基準40との位置関係に基づいて、補助画像31が移動する方向を決定する。これにより、キャリブレーション処理により、ユーザ12の操作の到達位置50を検出基準40に到達させることができる。
【0073】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、ユーザ12の操作に基づく方向、またはユーザ12の操作に基づく方向とは反対の方向に補助画像31を移動させる。したがって、ユーザ12に、Z方向に沿って操作を行う位置を変更させて、ユーザ操作を検出基準40で検出可能にすることができる。
なお、ユーザ12が押下する操作を行う場合には、画像生成部201は、ユーザ12が押下する操作に基づく方向または押下する操作に基づく方向とは反対の方向に補助画像31を移動させる。これにより、ユーザ12は、押下する操作の位置を変更させて、ユーザ操作を検出基準40で検出可能にすることができる。
【0074】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、ユーザ12の操作が検出基準40に到達しない場合(
図5(b)参照)、ユーザ12の操作に基づく方向に補助画像31の表示の位置を移動する。すなわち、ユーザ12は、あたかもアイコン30A、300Aの位置がユーザ12から離れる方向に変更されたように知覚する。これにより、ユーザ12にさらにZ方向−方向へ操作させて、検出基準40に到達させることができる。
【0075】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、ユーザ12の操作が検出基準に到達する場合(
図5(d)参照)、ユーザ12の操作に基づく方向とは反対方向に補助画像31の表示の位置を移動する。すなわち、ユーザ12は、あたかもアイコン30A、300Aの位置がユーザ12に接近する方向に変更されたように知覚する。これにより、ユーザ12に、操作をよりユーザ12に近い側の位置で行わせ、ユーザ12の操作を検出基準40に位置させることができる。
【0076】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、アイコン30A、300Aに基づいて補助画像31を制御する。これにより、ユーザ12はアイコン30A、300Aと補助画像31との間に関連があるものとして認識し、補助画像31を手掛かりとしてアイコン30A、300Aの位置を知覚することができる。
【0077】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、補助画像31はアイコン30A、300Aよりも暗い画像(影や陰影に相当する画像)を生成する。これにより、ユーザ12による、補助画像31を手掛かりとしたアイコン30A、300Aの位置の把握が容易になる。
【0078】
また、第1の実施の形態では、画像生成部201は、補助画像31をアイコン30A、300Aの下方(Y方向−側)に表示する。これにより、ユーザ12による、補助画像31を手掛かりとしたアイコン30A、300Aの位置の把握が容易になる。
【0079】
(第1の実施の形態の変形例1)
第1の実施の形態においては、補助画像31として影画像を例にあげ、キャリブレーション処理の結果に基づいてステージ14上で投影される位置が変更される場合を説明した。変形例1においては、補助画像31として影画像を適用する場合に、補助画像31の表示態様として適用可能な例について説明する。
【0080】
<1.補助画像31の大きさを変更>
画像生成部201は、アイコン30Aの大きさに基づいて補助画像31の大きさ、すなわち影画像の大きさを異ならせてよい。たとえば、
図10(a)に示すように、空中像操作モードに対応する空中像30として2つのアイコン30A1、30A2が表示されるものとする。
図10(a)では、アイコン30A1と比較して、アイコン30A2の大きさが大きい。この場合、画像生成部201は、アイコン30A1に対応する補助画像31A1よりもアイコン30A2に対応する補助画像31A2の方が大きい、すなわち面積が大きくなるように、影領域を設定して補助画像データを生成する。
【0081】
また、
図10(b)に示すように初期表示されていたアイコン30Aと補助画像31とに対して、アイコン30Aの大きさを異ならせた表示に切り替えた場合に、画像生成部201は、アイコン30Aの大きさの変更に基づいて補助画像31の大きさを変更してもよい。たとえば、
図10(c)に示すように、アイコン30Aの大きさが拡大された場合、画像生成部201は、アイコン30Aの拡大率に基づいて、影領域の大きさを拡大した補助画像データを生成する。プロジェクタ15が補助画像データに対応する補助画像31を投影することにより、
図10(c)に示すように、初期表示における補助画像31よりも面積の大きい補助画像31をアイコン30Aの下方に投影する。
なお、画像生成部201は、上述した補助画像31の大きさの変更と、第1の実施の形態にて説明した補助画像31との表示位置の移動とを組み合わせて表示用画像データを生成してよい。
【0082】
第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aの大きさに基づいて、補助画像31の大きさを変更する。これにより、ユーザ12はアイコン30Aと補助画像31との間に関連があるものとして認識し、補助画像31を手掛かりとしてアイコン30Aの位置を知覚することができる。
【0083】
<2.補助画像31の明るさを調節>
画像生成部201は、アイコン30AのY方向の表示位置に基づいて、補助画像31の明るさが異なるように補助画像データを生成してよい。一般に、実物とその影ができる面との鉛直方向の距離が大きいほど影は薄く、近づくほど影は濃くなる。このような現象を、画像生成部201は、影領域の濃さ、すなわち明るさを制御することにより空中像30と補助画像31との間で再現する。
【0084】
図11(a)は、初期表示されたアイコン30Aと補助画像31とを示す図である。この場合のアイコン30Aとステージ14との間のY方向の距離をHy1とする。この場合、画像生成部201は、影領域の輝度を、影領域以外の領域の輝度に対して、たとえば50パーセントに設定して鮮鋭度を変更することにより補助画像データを生成する。
図11(b)は、アイコン30Aの表示位置が初期表示の場合と比べてY方向−側に変更された場合を示す。この場合のアイコン30Aとステージ14との間のY方向の距離をHy2(<Hy1)とする。画像生成部201は、初期表示の場合のアイコン30Aとステージ14との距離Hy1との差分(Hy1−Hy2)に基づいて、影領域の輝度を初期表示の場合の輝度よりも低い値に設定して鮮鋭度を変更することにより補助画像データを生成する。これにより、プロジェクタ15によって、初期表示の場合よりも暗い補助画像31がアイコン30Aの下方に投影されることになる。なお、
図11(b)においては、図示の都合上、補助画像31に付したドットを
図11(a)の場合よりも密にして描くことにより、補助画像31の輝度を低い値に設定したことを示す。
【0085】
図11(c)は、アイコン30Aの表示位置が初期表示の場合と比べてY方向+側に変更された場合を示す。この場合のアイコン30Aとステージ14との間のY方向の距離をHy3(>Hy1)とする。画像生成部201は、初期表示の場合のアイコン30Aとステージ14との距離Hy1との差分(Hy3−Hy1)に基づいて、影領域の輝度を初期表示の場合の輝度よりも高い値に設定して補助画像データを生成する。これにより、プロジェクタ15によって、初期表示の場合よりも明るい補助画像31がアイコン30Aの下方に投影されることになる。なお、
図11(b)においては、図示の都合上、補助画像31に付したドットを
図11(a)の場合よりも粗くして描くことにより、補助画像31の輝度を低い値に設定したことを示す。
なお、以上の説明では、画像生成部201は、補助画像31の明るさを変更する例について説明した。画像生成部201は、補助画像31の明るさの変更と、上述した補助画像31の大きさの変更と、第1の実施の形態にて説明した補助画像31との表示位置の移動とを適宜組み合わせて表示用画像データを生成してよい。
【0086】
第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aの表示の位置に基づいて、補助画像31に表示態様を制御する。たとえば、画像生成部201は、アイコン30AのY方向の位置に基づいて、補助画像31の表示態様を制御する。これにより、ユーザ12は、アイコン30Aと補助画像31との間の関連性を認識することができる。
【0087】
また、第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aの位置が変更された場合、補助画像31の輝度を制御する。すなわち、実際の存在する物体と、その物体により形成される影との間の関係を、補助画像31を用いて再現するので、ユーザ12は、アイコン30Aと補助画像31との間の関連性を認識することができる。
【0088】
また、第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aと補助画像31との間の距離が、より長い距離に変更された場合、補助画像31を明るく表示させる。すなわち、実際の存在する物体と影の形成される面との距離が離れる程、影が薄くなる現象を、補助画像31を用いて再現するので、ユーザ12は、アイコン30Aと補助画像31との間の関連性を認識することができる。
【0089】
<3.補助画像31が空中像30の表示位置の移動に追従して移動>
アイコン30Aの表示位置が移動する場合に、画像生成部201は、アイコン30Aの移動に追従して補助画像31もステージ14上を移動するように補助画像データを生成してもよい。この場合、表示装置1は、ユーザ12が所定のジェスチャーを行った場合、そのジェスチャーに従って空中像30(アイコン30A)を移動させる。この場合、表示装置1は、
図12の主要部構成のブロック図に示す構成を有する。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される撮像装置18と、表示器11と、結像光学系9と、操作検出器13と、プロジェクタ15とを有している。撮像装置18は、詳細を後述する第1の実施の形態の変形例8の表示装置1が備える撮像装置と同様の構成が適用できる。制御部20は、
図2に示す第1の実施の形態の表示装置1の制御部20が有する構成に加えて、検出部212と決定部213とを備える。検出部212は、撮像装置18により生成された複数の撮像データを用いて、ユーザ12により行われたジェスチャーを検出する。決定部213は、検出されたジェスチャーに基づいて、空中像30の移動方向や移動量を決定する。
【0090】
表示装置1により形成された空中像30を視認しているユーザ12が、空中像30の位置を移動させたい場合には、予め決められた特定のジェスチャーを行う。予め決められた特定のジャスチャーとして、例えば、ユーザ12が視認している空中像30の位置を右側(例えばX方向+側)に移動させたい場合に、ユーザ12が手や腕を右方向(例えばX方向+側)に振る動作や、ユーザ12が表示装置1の方向に向けて指や手を押し込んでから一定方向(X方向+側)にはじくように移動するフリック動作や、指や手を一定方向(X方向+側)になぞるように移動するスワイプ動作等がある。また、ユーザ12が視認している空中像30を手前側(たとえばZ方向+側)に移動させたい場合に、ユーザ12が前に突き出した腕を手前に引くような動作や、手招きするような動作等がある。
【0091】
検出部212は、撮像装置18により撮像された撮像データを用いて、撮像データ上でユーザ12が上記のジェスチャーを行ったか否かを検出する。検出部212によりジェスチャーが行われたことが検出されると、決定部213は、空中像30を移動させる方向と移動量を決定する。この場合、決定部213は、ユーザ12が手や腕を右方向(X方向+側)に振るジェスチャーをした場合に、ユーザ12の手や腕が移動したX方向+側を、空中像30を移動させる方向として決定する。決定部213は、空中像30の移動量をジェスチャーの際に手や腕が移動した量に従って決定する。即ち、決定部213は、ユーザ12が手や腕を振ったときの手や腕の移動量が小さい場合は空中像30の移動量を小さくし、手や腕の移動量が大きい場合には空中像30の移動量を大きくする。または、決定部213は、空中像30が形成されている位置から予め決められた移動量だけ離れた位置に移動させても良い。即ち、ユーザ12が行ったジェスチャーの大きさに拘わらず、空中像30は一定の移動量で移動する。この場合、ユーザ12の所望する位置まで空中像30が移動されない場合には、空中像30が所望の位置に移動するまで、ユーザ12が同様のジャスチャーを繰り返し行う。
【0092】
画像生成部201は、決定部213によって決定された空中像30の移動方向と移動量とに基づいて、表示用画像データを生成するとともに、影領域の位置を上記の移動方向と移動量とに基づいて変更して補助画像データを生成する。この結果、空中像30は、ユーザ12が行うジェスチャーに基づいてXY平面上を移動し、補助画像31は空中像30の移動に伴って、空中像30の下方のステージ14上を移動するようにプロジェクタ15によって投影される。すなわち、空中像30の移動に追従して、空中像30の下方で補助画像31である影画像がステージ14上を移動する。
なお、以上の説明では、画像生成部201は、空中像30の移動に追従して補助画像31を移動する例について説明した。画像生成部201は、補助画像31の移動に加えて、上述した補助画像31の明るさの変更と、上述した補助画像31の大きさの変更と、第1の実施の形態にて説明した補助画像31との表示位置の移動とを適宜組み合わせて表示用画像データを生成してよい。
【0093】
第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aの位置が変更された場合、アイコン30Aの位置に追従して補助画像31の位置を変更する。これにより、ユーザ12は、アイコン30Aが移動した場合であっても、アイコン30AのZ方向の位置を知覚することができる。
【0094】
<4.空中像30のY方向に沿った移動に基づいて補助画像31の形状が変更>
画像生成部201は、アイコン30AのY方向の表示位置に基づいて、補助画像31の大きさや形状が異なるように補助画像データを生成してよい。一般に、実物とその影ができる面との鉛直方向の距離が大きいほど影は大きくなり、エッジはぼけ(形状が変わり)、鉛直方向の距離が小さいほど影は小さくなり、エッジは明瞭(形状が変わる)になる。このような現象を、画像生成部201は、影領域の大きさとボケ量を制御することにより空中像30と補助画像31との間で再現する。
【0095】
図13(a)は、上述した
図11(a)と同様に、初期表示されたアイコン30Aと補助画像31とを示す図であり、アイコン30Aとステージ14との間のY方向の距離がHy1としたものである。この場合、画像生成部201は、影領域の大きさを距離Hy1に基づいて拡大し、影領域のエッジ部近傍のボケ量を所定の初期値に設定した補助画像データを生成する。
【0096】
図13(b)は、アイコン30Aの表示位置が初期表示の場合と比べてY方向−側に変更された場合を示す。この場合のアイコン30Aとステージ14との間のY方向の距離をHy2(<Hy1)とする。画像生成部201は、初期表示の場合のアイコン30Aとステージ14との距離Hy1との差分(Hy1−Hy2)に基づいて、影領域の大きさを初期表示の場合の大きさよりも縮小し、ボケ量を初期値よりも低い値に設定して補助画像データを生成する。これにより、プロジェクタ15によって、初期表示の場合よりも小さくエッジが明瞭となった補助画像31がアイコン30Aの下方に投影されることになる。なお、
図13(b)では、初期表示のときの補助画像31を破線で示しているが、実際にはこの補助画像31は投影されなくてもよいし、低輝度で投影されてもよい。
【0097】
図13(c)は、アイコン30Aの表示位置が初期表示の場合と比べてY方向+側に変更された場合を示す。この場合のアイコン30Aとステージ14との間のY方向の距離をHy3(>Hy1)とする。画像生成部201は、初期表示の場合のアイコン30Aとステージ14との距離Hy1との差分(Hy3−Hy1)に基づいて、影領域の大きさを初期表示の場合の大きさよりも拡大し、ボケ量を初期値よりも高い値に設定して(鮮鋭度を変更して)補助画像データを生成する。これにより、プロジェクタ15によって、初期表示の場合より大きくエッジがボケた補助画像31がアイコン30Aの下方に投影されることになる。なお、
図13(c)では、初期表示のときの補助画像31を破線で示しているが、実際にはこの補助画像31は投影されなくてもよいし、低輝度で投影されてもよい。
なお、上述した説明では、画像生成部201は、影領域の大きさとエッジ部のボケ量とをアイコン30AのY方向の位置に基づいて変更したが、影領域の大きさとエッジ部のボケ量の何れか一方を変更するものでもよい。
また、画像生成部201は、影領域の大きさとエッジ部のボケ量とを変更する際に、上述した補助画像31の移動と、上述した補助画像31の明るさの変更と、上述した補助画像31の大きさの変更と、第1の実施の形態にて説明した補助画像31との表示位置の移動とを適宜組み合わせて表示用画像データを生成してよい。
【0098】
第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aの位置の変更がY方向の場合、補助画像31の大きさまたは形状を制御する。これにより、実際の物体と影との関係性が補助画像31を用いて再現され、ユーザ12はアイコン30Aと補助画像31との関係を把握しやすくなる。
【0099】
また、第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aと補助画像31との間の距離が離れる程、補助画像31の大きさを大きくする。すなわち、実際の存在する物体と影の形成される面との距離が離れる程、影が大きくなる現象を、補助画像31を用いて再現するので、ユーザ12は、アイコン30Aと補助画像31との間の関連性を認識することができる。
【0100】
なお、画像生成部201は、上記のようにアイコン30AのY方向の表示位置に基づいて、補助画像31の大きさや形状を制御して、アイコン30Aの位置が移動したようにユーザ12に知覚させてもよい。
この場合、表示装置1は、後述する第3の実施の形態とその変形例(
図33〜
図35参照)や第4の実施の形態(
図36、
図38参照)に示すような表示器11と結像光学系9とを有する。
【0101】
検出基準制御部204は、ステージ14の上方(Y方向+側)の操作検出器13の検出範囲13A内にZX平面に平行に検出基準40を設定する。この場合、ユーザ12は、指をY方向+側から−側へ移動させる押下する操作を行い、再びY方向+側へ戻すように移動させる。すなわち、操作検出器13は、空中像30に対して行われたユーザ12の押下する操作の結像光学系9の光軸方向の到達位置を検出する。プロジェクタ15は、空中像30のアイコンの下方(Y方向−側)に配置されたステージ14上に、第1の実施の形態と同様にして補助画像31を投影する。なお、プロジェクタ15からの投影光により、ステージ14上にユーザ12が操作する指等が影として映らないように、投影方向が調整されている。
【0102】
図14(a)〜(c)にこの場合に表示される空中像30と補助画像31とを模式的に示す。
図14(a)はアイコン30Aと補助画像31とが初期表示された場合を示す。この場合、画像生成部201は、補助画像31の大きさを、アイコン30Aの大きさに対して距離Hy1に基づいて拡大し、補助画像31のボケ量が所定の初期状態となるように補助画像データを生成する。
【0103】
図14(a)に示す初期表示の状態から、アイコン30Aが結像光学系9の光軸方向に対してユーザ12から離れる方向に移動したと知覚させる場合について説明する。ユーザ12の指を押下する操作の到達位置が検出基準40よりも上方(Y方向+側)の場合に、画像生成部201は、補助画像31の表示態様を変更する。
図14(b)に示すように、画像生成部201は、補助画像31の大きさが、破線で示す初期表示の補助画像31よりも小さくなり、濃度の濃い影に相当する画像となるように補助画像データを生成する。この場合、ユーザ12は、補助画像31の表示態様を視認して、あたかもアイコン30AがY方向−側に移動したと知覚する。これにより、ユーザ12が、到達位置や指定位置をよりY方向−側で行うようになることが期待される。
【0104】
図14(a)に示す初期表示の状態から、アイコン30Aが結像光学系9の光軸方向に対してユーザ12に接近する方向に移動したと知覚させる場合について説明する。ユーザ12の指を押下する操作の到達位置が検出基準40よりも下方(Y方向−側)の場合に、画像生成部201は、補助画像31の表示態様を変更する。
図14(c)に示すように、画像生成部201は、補助画像31の大きさが、破線で示す初期表示の補助画像31よりも大きくなり、濃度の薄い影に相当する画像となるように補助画像データを生成する。この場合、ユーザ12は、補助画像31の表示態様を視認して、あたかもアイコン30AがY方向+側に移動したと知覚する。これにより、ユーザ12が、到達位置や指定位置をよりY方向+側で行うようになることが期待される。
【0105】
<5.空中像30のピッチ方向の移動に応じた変更>
空中像30がXY平面に平行な面内に表示されない場合、すなわち空中像30がZX平面に対して所定の傾き角度θ0(<90°)となるように傾斜して表示させるような場合、すなわち垂直方向(Y方向)よりも傾いて表示させる場合におけるアイコン30Aの影画像としての補助画像31について説明する。
図15に、この場合のアイコン30Aと、補助画像31とを模式的に示す。
図15(a)は初期表示を示し、
図15(b)は、アイコン30Aがユーザ12から離れる場合の表示を示し、
図15(c)は、アイコン30Aがユーザ12に接近する場合の表示を示す。
【0106】
このような空中像30において、画像生成部201は、アイコン30Aを、ZX平面と所定の傾きを有する平面に対して直交する方向、すなわち矢印AR1に沿って移動するようにユーザ12に知覚されるように補助画像データを生成する。なお、矢印AR1の方向は、ZX平面と所定の傾きを有する平面に対して直交する方向に限定されるものではなく、ZX平面と所定の傾きを有する平面に対して交わる方向であればよい。
上述したように、一般に、実物とその影ができる面との鉛直方向の距離が大きいほど影は大きくなりエッジはぼけ、近づくほど影は小さくなりエッジは明瞭になる。また、実物の移動が鉛直方向ではない場合には、形成される影の形状は歪み、鉛直方向の距離が大きくなるほど歪みの程度が大きくなる。
【0107】
図15に示す例では、画像生成部201は、上記の現象を補助画像31にて表す。
図15に示す例では、アイコン30Aの下辺(Y方向−側の辺)からステージ14までの距離は、アイコン30Aの上辺(Y方向+側の辺)からステージ14までの距離よりも短い。すなわち、アイコン30Aの下辺の影は、アイコン30Aの上辺の影よりも短くなる。このため、
図15に示す例では、アイコン30Aがステージ14上に形成する影の形状は、すなわち画像生成部201により生成される影領域の形状は、上底よりも下底の方が短い台形形状となる。
【0108】
図15(a)に示す初期表示の状態から、アイコン30Aがユーザ12から離れるように矢印AR1に沿って移動したと知覚させる場合について説明する。この場合、
図15(b)に示すように、画像生成部201は、影領域の大きさを、破線で示す初期表示の補助画像よりも小さくし、形状を、初期表示の台形形状から歪ませた補助画像データを生成する。
図15(a)に示す初期表示の状態から、アイコン30Aがユーザ12に近づくように移動したと知覚させる場合について説明する。この場合、
図15(c)に示すように、画像生成部201は、影領域の大きさを、破線で示す初期表示の補助画像よりも大きくし、形状を、初期表示の台形形状から歪ませた補助画像データを生成する。
また、画像生成部201は、影領域の形状を歪ませる際に、上述した影領域の輝度の変更も行ってよい。
また、以上の説明では、画像生成部201は、影領域の形状を歪ませる場合に、上述した補助画像31の空中像30に追従した移動と、補助画像31の明るさの変更と、上述した補助画像31の大きさの変更と、第1の実施の形態にて説明した補助画像31との表示位置の移動とを適宜組み合わせて表示用画像データを生成してよい。
【0109】
第1の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、アイコン30Aが垂直方向(Y方向)よりも傾いて表示される場合、補助画像31の形状を制御する。これにより、実際の物体と影との関係性が補助画像31を用いて再現され、ユーザ12はアイコン30Aと補助画像31との関係を把握しやすくなる。
【0110】
なお、画像生成部201は、第1の実施の形態において補助画像31を表示させる際に、上述した変形例1の各種の表示態様の変更を個別に付加してもよいし、複数の表示態様の変更を組み合わせて付加してもよい。
また、上述した第1の実施の形態と変形例1の各例においては、補助画像31として影画像を例に挙げたが、補助画像31として影画像以外を適用することができる。たとえば、画像生成部201は、
図16(a)に示すように、アイコン30Aの下方の補助画像31を明るくし、他の領域を暗くするような補助画像データを生成してよい。
【0111】
この場合、画像生成部201は、アイコン30Aがあたかも下方から照明されているような表示用画像データを生成してもよい。たとえば、暗い場所で指向性のある光を照明した場合に光の筋(光芒)のように観察されるような現象を画像生成部201が再現してもよい。
図16(b)にこの場合の空中像30と補助画像31とを模式的に示す。画像生成部201は、アイコン30Aを含んだY方向に延びる領域Rに白色等を重畳して表示用画像データを生成する。これにより、ユーザ12には、空中像30において、アイコン30Aをステージ14から照明する光がY方向+側に向けて伸びる光の筋のように視認される。
なお、
図16に示す例においては、プロジェクタ15をステージ14の下部(Y方向−側)に配置して、Y方向+側に向けて投影光を投影してもよい。この場合、ステージ14は透明な材料を用いて製造されるとよい。
【0112】
(第1の実施の形態の変形例2)
上述した第1の実施の形態とその変形例1の表示装置1は、ユーザ12の指先がアイコンの表示位置への操作のために奥側(Z方向−側)へ向けて操作を行った後に所定距離手前(Z方向+側)に移動した場合に、最も奥側に移動した位置を到達位置とした。そして、表示装置1は、到達位置と検出基準との間の距離に基づいて、補助画像の表示位置を変更した。これに対して、変形例2の表示装置1は、操作検出器13の検出出力に基づき、ユーザ12の指先Fの速度あるいは加速度を算出し、算出した速度または加速度に基づき指先Fの到達位置を予測してもよい。そして、表示装置1は、その予測到達位置と検出基準との間の距離に基づいて補助画像の表示位置を変更するものであってもよい。
図17は、本変形例3の表示装置1の構成のうち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11及び操作検出器13とを示したブロック図である。
【0113】
変形例2の表示装置1のうち、第1の実施の形態の表示装置に対して相違している構成について説明する。
図17において、速度・加速度検出部206は、操作検出器13によって検出される静電容量値を所定の時間毎に読み出し、所定の時間当たりの静電容量値の変化から指の移動速度を算出すると共に、算出した速度から指の移動加速度を算出する。到達位置予測部207は、速度・加速度検出部206から出力される指の移動速度または加速度に基づき指の到達位置を予測する。到達位置予測部207は、例えば、指の移動が加速している状態または略一定速度状態から、減速状態に移行したことを検出し、その減速具合から指の到達位置を予測することができる。画像生成部201は、到達位置予測部207によって予測された到達位置に基づき、補助画像31の表示位置を変更する。
【0114】
次に、変形例2の表示装置1による第1のキャリブレーション処理モードを
図18及び
図19を参照して説明する。
図19のフローチャートにおいて、ステップS104からステップS107以外は、
図7のフローチャートと同一であるので、説明を省略する。
図18(a)に示したように、指先Fが操作検出器13の所定の検出範囲13A内に入ると、ステップS104において操作検出器13が指先Fの移動を静電容量値の変化として検出する。ステップS105では、速度・加速度検出部206が操作検出器13の検出出力に基づき指先Fの移動速度または加速度を算出する。ステップS106で、到達位置予測部207が速度・加速度検出部206が算出した移動速度または加速度に基づき指先Fの到達位置を算出する。
図18(b)において、到達位置予測部207が算出した、即ち予測した指の到達位置を点線60で示す。ステップS107において、画像生成部201は、
図18(b)に示したように予測到達位置60に基づき補助画像31の表示位置を変更すると、画像生成部201は、補助画像31の表示位置の移動量を示すデータを記憶部205に記憶する。その後のステップS110において、この記憶されたデータに基づいて、画像生成部201は、補助画像31の表示位置を変更した表示用画像データを生成し、プロジェクタ15が空中像操作モードの補助画像31として投影する。なお、指の到達位置を予測するためには、指の移動速度と加速度との両方を使用してもよいし、いずれか一方を使用してもよい。
【0115】
なお、上述の説明では、速度・加速度検出部206は、操作検出器13によって検出される静電容量値を所定の時間毎に読み出し、所定の時間当たりの静電容量値の変化から指の移動速度を算出すると共に、算出した速度から指の移動加速度を算出した。しかし、この方法に限られず、速度・加速度検出部206として撮像装置を用いてもよい。また、上述の説明では、速度・加速度検出部206はユーザ12の指の移動速度または加速度を算出したが、そのほかに、ユーザ12の足や肘、ユーザ12が所持しているスタイラスペンであってもよい。
【0116】
なお、算出したユーザ12の指の移動速度または加速度に基づき、到達位置予測部207はユーザ12の指の予測到達位置60を算出し、画像生成部201はユーザ12の指の予測到達位置60に基づいて補助画像31の表示位置を変更していた。しかし、到達位置予測部207は、操作毎にユーザ12の指の予測到達位置60を決定する必要はない。ユーザ12が操作を行う前に意図せず動いてしまった場合、その動きに基づいて到達位置予測部207が予測到達位置60を算出してしまうと、補助画像31の表示位置が頻繁に変更されるなど、適切な位置にユーザ12の指先Fを導くことができなくなってしまう。上述のような場合を防ぐため、速度・加速度検出部206が所定の閾値以上のユーザ12の指の移動速度及び加速度を検出した場合のみ、到達位置予測部207は予測到達位置60を算出し、画像生成部201は、予測到達位置60に基づいて補助画像31の表示態様を変更してもよい。
【0117】
変形例2では、指の到達位置50が、指の移動の速度や加速度に基づいて予測される。これにより、キャリブレーション処理を迅速に行うことができる。
【0118】
上記の通り、本変形例におけるキャリブレーション処理について、第1の実施の形態における第1のキャリブレーション処理モードに適用した場合について説明したが、第2のキャリブレーション処理モードにも適用できる。この場合、第1の実施の形態にて説明した
図9に示すフローチャートにおいて、ステップS24の後に、
図19に示すフローチャートのステップS105〜ステップS106を行う。その後、
図9のステップS27およびステップS29を行うことなく、ステップS28およびステップS32にて、算出された予測到達位置60に基づいて、補助画像31の位置を変更する。
本変形例3を第2のキャリブレーション処理モードに適用した場合、空中像操作中のユーザ12の指先Fが検出基準40に達する前に指先Fの到達位置を事前に予測し、予測した到達位置に基づいて空中像30の表示態様を変更することが可能になる。そのため、ユーザ12の指先Fが検出基準40に達せずアイコン表示の切り替えが生じなかったなどの誤操作を未然に防ぎ、ユーザ12に快適な操作を行わせることができる。
【0119】
(第1の実施の形態の変形例3)
第1の実施の形態及び変形例1、2に係る表示装置1は、一回のキャリブレーション処理において、到達位置を検出、または予測し、その到達位置50と検出基準40との間の距離に基づき画像生成部201は補助画像31の表示位置を変更するものであった。これに代えて、変形例3に係る表示装置1は、複数回のキャリブレーション処理においてそれぞれ検出された到達位置と検出基準との間の距離に基づいて、画像生成部201は、空中像操作モードにおける補助画像31の表示位置を変更するものである。
【0120】
第一回目のキャリブレーション処理において検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき指の到達位置50を判定する。画像生成部201は、この到達位置50に基づき、補助画像31の表示位置の移動量を算出する。画像生成部201は、この算出した移動量を示すデータを記憶部205に記憶する。引き続き第2回目のキャリブレーション処理を行い、同様に移動量を示すデータを記憶部205に記憶する。更に、引き続き第三回のキャリブレーション処理を行ってもよい。このようにして連続的に行われた複数回のキャリブレーション処理によって、記憶部205に記憶された複数の移動量を示すデータから、画像生成部201は空中像操作モードにおける補助画像31の一つの移動量を決定する。
【0121】
これら複数の移動量を示すデータを用いて一つの補助画像31の表示位置を決定するには、様々な手順が考えられる。例えば、画像生成部201は、補助画像31の移動量を相加平均して、補助画像31用に一つの移動量を算出してもよいし、相乗平均して一つの移動量を算出してもよい。また、画像生成部201は、複数の移動量のそれぞれに適当な重み付けを行って新たな移動量を決定してもよい。例えば、画像生成部201は、N回目の操作から求めた移動量H
Nと、N+1回目の操作から求めた移動量H
N+1について、3:7の割合で重み付けを行って補助画像31用の移動量を算出してもよい。具体的には、画像生成部201は、H
NとH
N+1を用いて(H
N×3+H
N+1×7)/10の計算を行い、その結果に基づいて補助画像31用の移動量を算出する。重み付けは3:7に限られず、また、操作回数も2回に限られない。勿論、複数回のキャリブレーション処理毎に指の到達位置に基づき移動量を算出し、それぞれ記憶部205に記憶するのではなく、複数回のキャリブレーション処理毎に検出した指の到達位置をそれぞれ記憶部205に記憶して、その記憶された複数の到達位置に基づき、補助画像31用の一つの移動量を算出してもよい。
【0122】
また、キャリブレーション処理は、到達位置50と検出基準40との間隔が所定値以下である場合、即ち、到達位置50が検出基準40の近傍である場合には、画像生成部201は補助画像31の表示位置の変更をおこなわなくでもよい。
更に、キャリブレーション処理において、キャリブレーション処理毎に、画像生成部201は補助画像31の表示位置の変更を行わなくてもよい。複数回のキャリブレーション処理において、到達位置50を判定した回数と、実際に到達位置50が検出基準40に達したことを判定した回数と、から、制御部20は、アイコンの表示位置への操作が失敗した回数を算出する。所定の回数以上、失敗したと判定された時に、画像生成部201は、補助画像31の表示位置を変更するようにしてもよい。
【0123】
上記の通り、本変形例におけるキャリブレーション処理について、第1の実施の形態における第1のキャリブレーション処理モードに適用した場合について説明したが、第2のキャリブレーション処理モードや上述した各変形例1、2にも適用できる。
【0124】
変形例3では、上述したキャリブレーション処理において、制御部20は、ユーザ12が空中像30のアイコン30Aの表示位置を操作する際に通常行う自然な操作動作を検出し、到達位置50を判定する。即ち制御部20は、指でアイコンを奥側へ押し込んでから指を手前に戻す方向に移動する動作や、指がアイコンに接触するとそれを奥側へ押し込んで短時間停止させる動作などを検出して到達位置50を判定している。これにより、ユーザ12は、キャリブレーション処理において到達位置50の検出・判定が行われていることに気付かず、従ってユーザ12はキャリブレーション処理を意識することなく実行することができる。
【0125】
(第1の実施の形態の変形例4)
第1の実施の形態においては、操作検出器13は、ユーザ12の指の空中像30の表示位置に対する操作を検出して到達位置50を判定し、画像生成部201は、到達位置50に基づいて補助画像31の表示位置の変更を行った。しかし、ユーザ12は、空中像のアイコンの表示位置を操作したと感じた指の位置を指定して、その指定位置を検出基準制御部204が判定し、指定位置に基づいて画像生成部201が補助画像31の表示位置を変更してもよい。以下に、ユーザ12が空中像30の表示位置を操作する位置を指定位置として指定する変形例を説明する。なお、以下の説明は、第1の実施の形態における第1のキャリブレーション処理モードに適用した場合について説明するが、第2のキャリブレーション処理モードや上述した変形例1〜4にも適用できる。
【0126】
以下に変形例4の表示装置を説明する。表示装置1が起動され、ユーザ12がキャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンを操作して、第1のキャリブレーション処理モードを選択すると、
図2のキャリブレーション部203が第1のキャリブレーション処理モードを起動する。画像生成部201は、表示用画像データを生成し、この表示用画像データに基づき表示器11は、キャリブレーション用の表示画像を表示する。
図20は、このキャリブレーション用の表示画像の空中像300を示す。空中像300は、キャリブレーション用アイコン300Bを含み、このキャリブレーション用アイコン300Bは、メッセージ「キャリブレーションを行います。このアイコンの位置を指で指し示し、その状態で指を横方向に移動させて下さい」が重畳表示されている。また、検出基準制御部204は、
図21(a)に示したように、検出基準40を空中像300の近傍の初期位置に設定する。
【0127】
図21(a)において、ユーザ12がアイコン300Bに重畳表示されたメッセージに従いアイコン300Bの表示位置を操作するために、指先Fをアイコン300Bの方にZ方向−側へ押し込む方向に移動させ、指先Fが
図2の操作検出器13の静電容量検出範囲13Aに達すると、操作検出器13は、このアイコン300Bへのユーザ12の指Fの接近移動、即ちZ方向−側への移動を静電容量の変化として検出する。
【0128】
ユーザ12は、指FをさらにZ方向−側へ押し込む方向に移動させ、指先Fが空中像300のアイコン300Bの表示位置に達したと感じた時に、指Fを空中像300の表示面に沿って横方向、すなわちXY平面上で移動させる。操作検出器13は、この指Fの押し込む方向への移動及び横方向の移動を検出する。検出基準制御部204は、指の押し込む方向への移動を検出していた操作検出器13が指Fの横方向の移動を検出したことを判定して、押し込む方向への移動から横方向移動へ変化したときの指FのZ方向の位置を指定位置50Aと判定する。画像生成部201は、この指定位置50Aに基づき、補助画像31の表示位置を変更、すなわち補助画像31の表示位置の移動量を算出する。この変更された移動量を示すデータは記憶部205に記憶され。なお、指定位置50Aは、
図21(b)では、空中像300のZ方向の位置として例示されているが、指定位置50Aは、指先Fが空中像300のアイコン300Bに達したとユーザ12が感じた時の位置であるから、空中像300に一致した位置に指定されることもあるし、または、空中像300よりもZ方向−側の位置に指定されることもある。
【0129】
なお、検出基準制御部204は、以上の説明では指Fが押し込む方向への移動から横方向の移動に変化した時の指のZ方向の位置を指定位置50Aと判定したが、これに限られない。検出基準制御部204は、例えば指Fが押し込む方向への移動から横方向の移動に変化し、その横方向移動が終了した時の指FのZ方向の位置を指定位置50Aとして判定してもよい。また、検出基準制御部204は、指Fの横方向の移動開始から横方向の移動終了までの指FのZ方向の位置の平均値や中央値などを指定位置50Aとしてもよい。このように、操作が検出された位置である指定位置50Aが検出基準制御部204によって検出される。
【0130】
上記説明の変形例4のキャリブレーション処理について、
図22に示すフローチャートを参照して説明する。なお、
図22のフローチャートはステップS121〜ステップS129を示し、それ以降のステップは省略した。ステップS129以降の処理は、
図19に示すフローチャートのステップS109以降の処理と同様である。
【0131】
ステップS121〜ステップS124の各処理は、
図7に示したフローチャートにおけるステップS1〜ステップS4の各処理と同様である。ステップS126において、操作検出器13は、ユーザ12の指の横方向移動を検出する。ステップS127において、検出基準制御部204は、操作検出器13の検出出力に基づき、指Fが押し込む方向への移動から横方向移動に変化したことを判定して、その変化時の指Fの位置を指定位置50Aと判定する。画像生成部201は、指定位置50Aに基づき、補助画像31の表示位置を変更し、表示位置の移動量を示すデータを記憶部205に記憶して、ステップS128に進む。ステップS128において、第1のキャリブレーション処理モードを終了して、ステップS129に進む。ステップS129では、空中像操作モードを開始する。この空中像操作モードでは、記憶部205から読み出された移動量を示すデータに基づき、画像生成部201は、補助画像31の表示位置を変更する。
なお、以上の説明では第1のキャリブレーション処理モードにおける処理を説明したが、第2のキャリブレーション処理モードの場合には、第1の実施の形態において説明した
図9に示すフローチャートの処理を行う。ただし、
図9のフローチャートにおいてステップS24においてユーザ12のアイコン30Aに対する操作を検出し、検出基準制御部204が、指Fが押し込む方向への移動から横方向移動に変化したことを検出した場合に、ステップS27およびステップS29において到達位置の判定に代えて、指定位置50Aを判定する。ステップS29にて指定位置50Aが判定された場合には、ステップS29にて検出基準制御部204は指定位置50Aが検出基準40と一致するか否かを判定する。
【0132】
変形例4では、ユーザ12は、キャリブレーション処理において指Fが空中像300の表示位置を操作したと感じる位置を、指Fを押し込む方向への移動から横方向移動に変化させることによって指定している。このように、アイコン300Bの表示位置を操作したと知覚する位置が、ユーザ12によって指定位置として指定されることにより、表示装置1はキャリブレーション処理を行うため、正確にキャリブレーション処理を行うことができる。また、指定位置を指Fの押し込む方向への移動から横方向移動への変化によって指定することは、操作性がよく、迅速にキャリブレーション処理を行うことができる。
【0133】
(第1の実施の形態の変形例5)
変形例4の表示装置1においては、ユーザ12は、指先でアイコンの表示位置を操作したと思った位置を指定位置として、指のZ方向−側へ押し込む方向への移動から横方向への移動に変化させることによって指定した。変形例5の表示装置1は、ユーザ12が、指先でアイコンの表示位置を操作したと思った位置を別のアイコンを操作することによって、指定するものである。このキャリブレーション処理について次に説明する。なお、説明は、第1の実施の形態における第1のキャリブレーション処理モードに適用した場合について説明するが、第2のキャリブレーション処理モードや上述した変形例1〜5にも適用できる。
【0134】
表示装置1が起動され、ユーザ12がキャリブレーション処理モード選択用の操作ボタンを操作して、第1のキャリブレーション処理モードを選択すると、
図2のキャリブレーション部203が第1のキャリブレーション処理モードを起動する。画像生成部201は、表示用画像データを生成し、この表示用画像データに基づき表示器11は、キャリブレーション用の表示画像を表示する。この場合、空中像300は、第1の実施の形態の変形例4の
図20に示すキャリブレーション用アイコン300Bとアイコン300Bの近傍(たとえばX方向−側)に表示される別のアイコンとを含む。キャリブレーション用アイコン300Bには、
図20に示すメッセージに代えて、たとえば「キャリブレーションを行います。右手の指でこのアイコンの位置を指し示して下さい。右手の指で指し示した状態で、左手の指で左側のアイコンにタッチして下さい」が重畳表示される。
【0135】
ユーザ12がアイコン300Bに重畳表示されたメッセージに従いアイコン300Bの表示位置を操作するために、右手の指先Fをアイコン300Bの方に移動させる。ユーザ12の指先が操作検出器13の静電容量検出範囲13Aに達すると、操作検出器13は、このアイコン300Bの表示位置へのユーザ12の指の接近移動、即ちZ方向−側への移動を静電容量の変化として検出する。ユーザ12は指をさらにZ方向−側へ移動させ、指先Fが空中像300のアイコン300Bの表示位置を操作していると感じた時点で、メッセージに従い、左手の指先Fで別のアイコンの表示位置への操作をしようとして、左手の指先を別のアイコンの方に移動させる。操作検出器13は別のアイコンに向けた指先Fの移動を検出する。検出基準制御部204は、ユーザ12の指が別のアイコンの上に位置することを操作検出器13が検出したことをもって、その時点における右手の指先Fの位置を指定位置50Aと判定する。画像生成部201は、指定位置50Aに基づき、第1の実施の形態の場合と同様にして、補助画像31の表示位置の移動量を算出する。画像生成部201は、算出した補助画像31の表示位置の移動量を示すデータを記憶部205に記憶する。
【0136】
なお、アイコン300Bの表示位置を操作する右手の指は、その操作したと感じた時の位置が指定位置と判定されるので、空中像300に接近するZ方向−側への移動が必要である。しかしながら、左側の別のアイコンの表示位置への操作をする左側の指は、指を別のアイコンのZ方向+側または−側に位置付ければよいので、ユーザ12は必ずしも左手の指をZ方向−側へ移動させる必要はない。左手の指は、例えば空中像300の平面に平行な方向、即ち横方向に移動して別のアイコンのZ方向+側または−側の位置まで横方向移動してもよい。
【0137】
また、ユーザ12は必ずしも左手の指と右手の指とを用いる必要はなく、キャリブレーション用空中像300のアイコン300B上と別のアイコン上との両方において上記の動作が検出されるように操作すればよい。例えば、ユーザ12は一方の手の2本の指を用いてもよい。また、この変形例5では、ユーザ12が別のアイコンの表示位置への操作をする代わりに、表示装置1に設けた不図示の決定ボタンを押すように構成することもできる。
【0138】
さらに、検出基準制御部204は、ユーザ12が別のアイコンの表示位置への操作をしたり、不図示の決定ボタンを押したりした時点における右手の指先の位置を指定位置と判定するものに代えて、ユーザ12がたとえば左手で所定のジェスチャーを行ったことを検出したときにおける右手の指先の位置を指定位置と判定しても良い。この場合、表示装置1は、後述する変形例8の撮像装置18(
図24、25参照)を備え、この撮像装置18により取得された画像を用いてユーザ12のジェスチャー(たとえば手をグーからパーに変える)が行われたことを検出する。
【0139】
上記説明のキャリブレーション処理について、第1の実施の形態の変形例4の
図22に示すフローチャートを参照して説明する。以下では、主な変更のみ説明し、同様の処理を行うステップについては、説明を省略する。この場合、
図22のステップS123において、アイコン300Bと別のアイコンとを表示し、ステップS124では、操作検出器13は、ユーザ12の右手の指先のZ方向−側への移動の検出を開始する。ユーザ12は指をさらにZ方向−側へ移動させて、指先が空中像300のアイコン300Bの表示位置を操作していると感じた時点で、左手の指先で別のアイコンの表示位置への操作をする。ステップS127においては、左手が別のアイコンの表示位置への操作をした時点における右手の指先の位置を指定位置50Aとし、画像生成部201は、指定位置50Aに基づき、補助画像31の表示位置を変更し、その変更された補助画像31の移動量のデータを記憶部205に記憶する。
なお、以上の説明では第1のキャリブレーション処理モードにおける処理を説明したが、第2のキャリブレーション処理モードの場合には、第1の実施の形態において説明した
図9に示すフローチャートの処理を行う。ただし、
図9のフローチャートにおいてステップS24において、検出基準制御部204は、ユーザ12の右手によるアイコン30Aに対する操作を検出している状態で、検出基準制御部204が、左手による別のアイコンの表示位置への操作を検出したとする。この場合に、検出基準制御部204は、ステップS27およびステップS29において到達位置の判定に代えて、ユーザ12の右手の指先の位置を指定位置50Aと判定する。ステップS30では、ステップS29で判定された指定位置50Aが検出基準40と一致するか否かを判定する。
【0140】
変形例5では、ユーザ12は、キャリブレーション処理において指がアイコンを操作する位置を指定する指定位置を、別のアイコン、または表示装置1の決定ボタンを操作することによって指定している。このようにユーザ12がアイコン300Bを知覚する位置をユーザ12に指定させるため、表示装置1は、正確にキャリブレーション処理を行うことができる。また、このような指定位置を、別のアイコンまたは表示装置のボタンの操作によって指定することは、迅速にキャリブレーション処理を行うことができる。
【0141】
(第1の実施の形態の変形例6)
変形例6の表示装置は、ユーザ12が指先でアイコンの表示位置を操作したと思ったら、ユーザ12が指を所定時間停止させることにより指定位置を指定するものである。なお、この本変形例は、第1の実施の形態における第1のキャリブレーション処理モードに適用した場合について説明するが、第2のキャリブレーション処理モードや上述した変形例1〜5にも適用できる。
【0142】
この場合には、キャリブレーション用の空中像に含まれるアイコンに、メッセージ「キャリブレーションを行います。このアイコンの位置を指し示して下さい。指し示した状態をしばらくキープして下さい。」が重畳表示される。ユーザ12がアイコンの表示位置を操作したと感じて、しばらくの間、指の移動を停止すると、操作検出器13は指の下降移動が所定時間停止したことを検出する。検出基準制御部204は、このときの操作検出器13の検出出力に基づき、指の停止位置を指定位置として判定する。
【0143】
この指定位置の判定は、次のように行われる。即ち、Z方向−側に移動している指先Fが停止してZ方向の比較的小さい所定の停止範囲内に所定の時間以上、滞在したことをもって、アイコン300Aの表示位置への操作が行われたと判定する。このように、指先Fが所定の時間以上、所定の停止範囲内に留まることをもって、指先Fのアイコン300Aの表示位置への操作と判定する理由は、次の通りである。すなわち、ユーザ12による操作が空中像300のアイコン300Aの表示位置への操作であるため、タッチパネルへの操作とは異なり、指先Fがアイコン300Aの表示位置で完全には停止しない可能性があるからである。なお、指定位置判定のための所定の停止範囲は、操作検出器13の静電容量の検出範囲13Aに比べて十分に小さい値、例えば5mmに設定され、また、所定の時間は、例えば2秒程度に設定される。
【0144】
変形例6では、ユーザ12は、キャリブレーション処理において指がアイコンを操作する位置を指定する指定位置を、指先Fを停止させることによって指定している。このようにユーザ12がアイコン300Aを知覚する位置をユーザ12に指定させるため、表示装置1は、正確にキャリブレーション処理を行うことができる。
【0145】
(第1の実施の形態の変形例7)
変形例7の表示装置は、ユーザ12が、指先でアイコンの表示位置を操作したと思った指定位置を発声によって指定するものである。なお、この変形例は、第1の実施の形態における第1のキャリブレーション処理モードに適用した場合について説明するが、第2のキャリブレーション処理モードや上述した変形例1〜6にも適用できる。
【0146】
図23は、本変形例の表示装置1の構成のうち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11及び操作検出器13とを示したブロック図である。この表示装置1には、集音器19を含み、制御部20には音声検出部208が備えられる。集音器19は、表示装置1の周囲の音を集音し、音声データとして音声検出部208に出力する。集音器19としては市販のマイクロフォンを用いることができる。音声検出部208は、集音器19からの音声データを識別し、その音声データが「ハイ」に相当するか否かを判別する。
【0147】
図23において、キャリブレーション部203が第1のキャリブレーション処理モードを起動すると、画像生成部201は、表示用画像データを生成し、この表示用画像データに基づき表示器11は、キャリブレーション用の表示画像を表示する。この場合、空中像300は、第1の実施の形態の変形例4の
図20に示すキャリブレーション用アイコン300Bを含む。このキャリブレーション用アイコン300Bには、
図20に示すメッセージに代えて、「キャリブレーションを行います。このアイコンにタッチしたところで「ハイ」と声を出して下さい」が重畳表示される。
【0148】
ユーザ12は、アイコン300Bに重畳表示されたメッセージに従いアイコン300Bの表示位置への操作をするために、指先をアイコン300Bの方に向けて移動する。ユーザ12は、指先がアイコン300Bにタッチしたと思ったところで、メッセージに従い「ハイ」と声を出す。操作検出器13は、指先のZ方向−側への移動を検出する。集音器19は、この声を集音し、音声データとして音声検出部208に出力する。音声検出部208が、音声データが「ハイ」に対応することを判定すると、検出基準制御部204が、その時点における操作検出器13によって検出される指先の位置を指定位置50Aと判定する。画像生成部201は、判定された指定位置50Aに基づいて、第1の実施の形態の場合と同様にして、補助画像31の表示位置の移動量を算出して、表示位置を変更する。画像生成部201は、算出した移動量を示すデータを記憶部205に記憶する。
【0149】
上記説明のキャリブレーション処理について、第1の実施の形態の変形例4の
図22に示すフローチャートを参照して説明する。変更点は
図22のステップS126であるため、
図22のステップS126を重点的に説明し、他のステップの説明は省略する。
図22のステップS126では、音声検出部208は、集音器19からの出力に基づいて、ユーザ12が「ハイ」を発声したかどうか判定する。ステップS126において肯定判定された場合、即ち、ユーザ12がアイコン300Bをタッチしたと思って「ハイ」という声を出したと判定した場合、検出基準制御部204が、音声検出部208が音声「ハイ」を判定した時点における指先の位置を指定位置50Aと決定、即ち判定する。
なお、以上の説明では第1のキャリブレーション処理モードにおける処理を説明したが、第2のキャリブレーション処理モードの場合には、第1の実施の形態において説明した
図9に示すフローチャートの処理を行う。ただし、
図9のフローチャートにおいてステップS24においてユーザ12のアイコン30Aに対する操作を検出し、音声検出部208が音声「ハイ」を判定した場合に、検出基準制御部204はステップS27およびステップS29において到達位置の判定に代えて、指定位置50Aと判定する。ステップS30では、ステップS29で判定された指定位置50Aが検出基準40と一致するか否かを判定する。
【0150】
変形例7では、ユーザ12は、アイコンの表示位置を操作したと思った指の位置、即ち指定位置を、発声によって指定するものである。ユーザ12が到達位置を発声によって指定することにより、表示装置1は迅速にキャリブレーション処理を行うことができる。
なお、表示装置1が集音器19を備えず、外部の集音装置によって取得された音声データを無線や有線を介して入力し、外部の集音装置から入力した音声データを用いて音声検出部208が音声検出をしても良い。
【0151】
(第1の実施の形態の変形例8)
上記説明において、ユーザ12の指先の下方への移動を、静電容量パネルにより構成される操作検出器13によって検出したが、撮像装置によりユーザ12の指先の位置を検出してもよい。変形例8の表示装置1は、
図24(a)に示すように、操作検出器として撮像装置(例えばデジタルカメラ)18を備え、この撮像装置18は表示装置1の上面に配置される。このような表示装置1のブロック図を
図24(b)に示す。
【0152】
図24(b)にブロック図を示した表示装置1は、制御部20には、画像解析部209を備えている。撮像装置18は、表示器11の上方に位置する物体、即ちユーザ12の指を撮像し、撮像された撮像画像は、画像解析部209に入力される。画像解析部209は、撮像装置18から入力された撮像画像を解析してユーザ12の指先の位置を求める。即ち、画像解析部209は、撮像画像内における指の像の位置から、ユーザ12の指先が複数のアイコンのうちのどのアイコンを操作しているのか判定する。更に、画像解析部209は、撮像画像内における指の像の大きさを、基準の指の大きさ、具体的には事前に撮像した所定高さ位置の指の大きさと比較することによって指の高さ位置、即ち指の降下位置を判定する。これにより、ユーザ12の指先の3次元空間における位置が求められる。このような構成によって、変形例8の表示装置1は、静電容量パネルを用いた操作検出器13により求めた指先の位置に関する情報と同様の情報を、撮像装置18による撮像画像の解析により得ることができる。従って、変形例8の表示装置は、上述した第1実施の形態および種々の変形例1〜7で説明した静電容量パネルの代わりに撮像装置18を使用して、上述した実施の形態および変形例と同様の処理を行うことができる。
【0153】
変形例8の表示装置1は、画像解析部209が、撮像画像における指の大きさから指の高さ位置を算出したが、その代わりに、撮像装置18が、デジタルカメラに搭載されている位相差式焦点検出装置と画像認識装置によって、指の高さ位置を検出することもできる。具体的には、画像認識装置が指を認識し、位相差式焦点検出装置が画像認識装置によって認識された指についてデフォーカス量を検出し、このデフォーカス量から指の高さ位置を算出することができる。また、位相差式焦点検出装置の代わりにデジタルカメラに搭載されているコントラスト検出式焦点検出装置を使用しても同様に指の高さ位置を検出することができる。
【0154】
撮像装置18としては、位相差式焦点検出装置やコントラスト検出式焦点検出装置の代わりに、TOF(Time of Flight)装置を搭載したカメラを好適に用いることができる。TOFカメラは、カメラ本体から赤外線を出射し、対象物に反射してTOFカメラに入射する赤外線を受光して、出射光と受光光の位相変化に基づいて、TOFカメラから対象物までに距離を算出する。従って、測定対象物をユーザ12の指先として、TOFカメラからユーザ12の指先に向けて赤外光を出射し、指先からの反射光を受光することで、TOFカメラからユーザ12の指先までの距離を求めることができる。なお、撮像装置18は、その撮像レンズとしては、空中像30の全体をカバーするために広角レンズであることが好ましく、魚眼レンズであってもよい。また、複数(たとえば、2個)の撮像装置を搭載し、それらの撮像画像によりユーザ12の指先の位置をより検出してもよい。
【0155】
TOFカメラを表示装置1に装備した例を
図25に示す。
図25は、表示装置1の内部構成のみを表しており、表示装置の本体は省略している。
図25において、本体10の表面に、TOFカメラ118’を配置するための空間が設けられており、その空間にTOFカメラ118’が配置されている。TOFカメラ118’は赤外線を所定範囲にスキャンすることで、ユーザ12の指先に赤外線を照射し、その反射光の位相変化により、TOFカメラ118’からユーザ12の指先までの距離を測定する。この距離と赤外線の出射方向に基づいて、TOFカメラ118’に対するユーザ12の指先の3次元空間における位置を求めることができる。即ち、指先の位置が空中像面内のいずれの位置に相当するか、また、指先の位置が表示装置1の表面からどれほど離れているか、が求まる。これにより、静電容量パネルによる指先の位置の検出情報と同様の情報を、TOFカメラ118’による測距結果から得ることができる。なお、上記の説明として、表示装置1の表面に、TOFカメラ118’を配置するための空間が設けられており、その空間にTOFカメラ118’が配置されているような構成で説明したが、これに限らず、TOFカメラ118’を表示器11の外部に設置するような構成であってもよい。
【0156】
変形例8の表示装置1においても、
図25に示すように、空中像30が表示装置1のステージ14のZ方向−側の端部14zから距離H1だけ離れた位置に形成され、検出基準40は、ステージ14のZ方向−側の端部14zから距離H2(H1<H2)だけ離れた位置に設定される。TOFカメラ118’は、ステージ14の上方(Y方向+側)においてZ方向にユーザ12の指先の位置を検出するための検出範囲13Aを有する。
図25では、TOFカメラ118’のZ方向+側に撮像可能な範囲の限界を破線13aで示し、この検出限界13aとステージ14の端部14zとの間隔が検出範囲13Aとして示される。変形例8においても、上記の第1の実施の形態や変形例1〜8の場合と同様に、空中像30と検出基準40とが検出範囲13A内に位置するように設定される。なお、検出基準40は、
図25では空中像30よりもZ方向+側に設定されているが、検出範囲13A内であれば、空中像30よりもZ方向−側でも、または空中像30の位置に一致させてもよい。また、変形例8においても、検出範囲13A内のうち検出基準40に設定された領域以外の範囲は検出基準外41である。なお、検出範囲13Aは、TOFカメラ118’の撮像可能な範囲の限界として設定されるものに限定されず、撮像可能な範囲のうち一部の範囲(たとえば
図25中の左右方向の端部の所定範囲)を除いた範囲として設定されてもよい。
【0157】
上記説明では、本変形例8の表示装置1は、操作検出器13としての静電容量パネルに代えて撮像装置18を備えるものであった。しかし、表示装置1は、操作検出器13と撮像装置18とを共に備えるものであってもよい。この場合には、例えば、
図3(c)に示された操作検出器13の検出範囲13AをZ方向+側と−側にて二つに分割して、Z方向−側の検出範囲(ステージ14の端部14zに近い方の検出範囲)とZ方向+側の検出範囲(ステージ14の端部14zから遠い方の検出範囲)とを形成する。Z方向−側の検出範囲を静電容量パネルの検出範囲とし、Z方向+側の検出範囲を撮像装置18の検出範囲とすることができる。このような構成によって、ユーザ12が表示位置への操作のために指をZ方向+側から移動させた時には、撮像装置18がその指の移動の前半部分を検出し、静電容量パネルが指の移動の後半部分を検出する。一般に、静電容量パネルは、ステージ14の端部14zの近傍範囲を高精度に検出することができ、逆に、撮像装置18は、ステージ14の端部14zの近傍範囲を撮像することが難しい場合がある。このため、静電容量パネルの検出範囲と撮像装置18の検出範囲とを上述のように分担させることは、好ましいことである。なお、検出範囲13Aの2分割は、検出範囲13AをZ方向に二等分する場合に限らず、不等分に分割してもよい。また、操作検出器13は、静電容量パネルや撮像装置18に限らず、他の近接センサなどを使用することができる。従って、検出範囲13Aを分割した場合には、種々の操作検出器13が分割された検出範囲を分担することを可能である。
【0158】
図17に示した速度・加速度検出部206は、
図25のTOFカメラ118’の撮像画像に基づき指の移動速度や加速度を算出することもできる。従って、検出範囲13Aを分割した場合には、上方及び下方の検出範囲毎に、指の移動速度や加速度を算出し、到達位置予測部207が指の到達位置を予測することもできる。
【0159】
また、第1の実施の形態とその変形例1〜8において説明した結像光学系9に代えて、ハーフミラーと、再帰性反射部材とにより構成してもよい。再帰性反射部材は、たとえば複数の直角三角錐体の立体プリズムを配置し、入射した光を再び同一光路に向けて反射する反射材により製造される。このような構成を用いる場合、表示器11からの光は、ハーフミラーで反射され(またはハーフミラーを透過して)、再帰性反射部材に入射して、同一光路に向けて反射される。再帰性反射部材からの光は、同一光路を進みながら結像する。再帰性反射部材からの光は、再びハーフミラーに入射し、ハーフミラーを透過して(またはハーフミラーで反射され)、表示器11と共役な位置に結像することにより空中像を形成する。
【0160】
なお、上述の第1の実施の形態とその変形例1〜8では、制御部20と表示器11と操作検出器13とを少なくとも含む表示装置1を例に説明したが、制御部20のみで構成された制御装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される制御装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。上述の第1の実施の形態、または変形例1〜8に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してもよい。また、上記の制御装置を、第1の実施の形態とその変形例に適用した各種の電子機器に組み込んでもよい。
また、制御部20のみで構成された検出装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される検出装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。このような検出装置に対して、上述の第1の実施の形態、または変形例1〜8に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してよい。
【0161】
−第2の実施の形態−
図面を参照しながら、第2の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第2の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1が操作パネルに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置1は、操作パネルに限らず、上述の第1の実施の形態とその変形例で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
上述した第1の実施の形態とその変形例の表示装置1は、第1の表示であるアイコンのZ方向の位置をユーザ12に知覚させるための第2の表示を行うものであった。第2の実施の形態の表示装置は、アイコンのZ方向の位置をユーザ12に知覚させるために、実際の物体を用いるものである。以下、詳細に説明する。
【0162】
図26(a)は、第2の実施の形態の表示装置1の外観斜視図であり、
図26(b)は、表示装置1の主要部構成を説明するブロック図である。表示装置1は、第1の実施の形態の表示装置1が有する構成に加えて、実際の物体として枠101と、枠101をZ方向に沿って駆動させるための駆動装置17をさらに備える。制御部20は、
図2に示す第1の実施の形態の構成に加えて、駆動装置17の動作を制御する駆動制御部210を有する。ただし、プロジェクタ15およびプロジェクタ制御部200を備えていなくてよい。
なお、
図24、
図25に示す第1の実施の形態の変形例8の表示装置1のように、撮像装置18を備えていても良い。また、第2の実施の形態の表示装置1が行う到達位置や指定位置の検出には、第1の実施の形態や第1の実施の形態の各変形例で説明した種々の方法を適用することができる。
【0163】
枠101は、ステージ14上にXY平面に平行に設けられ、Z方向に沿ってステージ14上を移動可能に配置される。枠101は中央部に開口部101OPを有し、この開口部101OPに空中像30が表示される。駆動装置17は、枠101を駆動させるためのZ方向に沿って設けられたガイドレールや、枠101をガイドレールに沿って駆動させるモータやアクチュエータ等を有する。
なお、
図26(a)に示す例では、枠101は空中像30の外周の全域を囲む形状を示しているが、これに限定されず、空中像30の外周の一部(たとえばX方向+側、X方向−側、Y方向+側およびY方向−側の少なくとも一部)を囲う形状であってもよい。すなわち、空中像30を囲む枠の形状とは、枠101の形状の一部に隙間があってもよい。
【0164】
なお、表示装置1が実物として枠101を備えるものに限定されない。表示装置1は、たとえば、実物として机や椅子や台等がZ方向に沿って移動可能となるように備えているものでもよい。実物として机や椅子や台等を用いる場合には、机や椅子や台等の上面に空中像30が表示される。なお、実物として用いるものは、表示される空中像30と関連があるものが好ましい。たとえば、表示装置1が空中像30として絵画を表示させる場合には、実物として額縁を用いることができる。また、たとえば、表示装置1が空中像30として飲料水の瓶等を表示する場合には、実物として机を用いることができる。また、たとえば、表示装置1が空中像30として楽譜を表示する場合には、実物として譜面台を用いてもよいし、空中像30として目覚まし時計を表示する場合には、実物としてベッドを用いることができる。
【0165】
以下の説明では、キャリブレーション処理として第1のキャリブレーション処理モードの場合を例に挙げるが、第2のキャリブレーション処理モードの場合にも適用することができる。なお、以下の説明では、ユーザ12の操作が検出された位置を第1の実施の形態で説明した到達位置50を例に挙げて説明するが、第1の実施の形態とその変形例で説明した到達位置や指定位置を適用できる。
図27は、第2の実施の形態の表示装置1により表示される空中像300を模式的に示す図である。空中像300は、第1の実施の形態(
図4(a)参照)の場合と同様に、キャリブレーション用アイコン300Aを含む。
図27(a)は、アイコン300Aが初期表示された場合を示す。ユーザ12は、枠101とのZ方向の位置関係からアイコン300AのZ方向における表示位置を知覚する。
【0166】
初期表示されたアイコン300Aに対するユーザ12の操作による到達位置50が検出基準40の手前(Z方向+側)の場合(
図5(b)に示す場合)、制御部20は、初期表示の場合と比べてアイコン300Aが奥行側、すなわちZ方向−側に位置するようにユーザ12に知覚させる。この場合、駆動制御部210は、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離に基づいて、枠101のZ方向−側への駆動量ΔZ1を算出し、駆動装置17に駆動信号として出力する。駆動装置17は、駆動信号を入力すると、枠101をZ方向−側に駆動させる。
【0167】
図27(b)は、上記のように枠101がZ方向−側に駆動された場合の、アイコン300Aと枠101との位置関係を模式的に示す図である。枠101が奥側、すなわちZ方向−側に移動量ΔZ1にて駆動されたことにより、枠101を基準として空中像30のZ方向の表示位置を知覚していたユーザ12は、空中像30がZ方向−側に表示されているものとして知覚する。これにより、ユーザ12の空中像30に対する操作が、よりZ方向−側で行われることが期待される。
【0168】
初期表示されたアイコン300Aに対してユーザ12が操作を行い、ユーザ12の操作による到達位置50が、検出基準40の奥側(Z方向−側)の場合(
図5(d)に示す場合)、制御部20は、初期表示の場合と比べてアイコン300Aが手前側、すなわちZ方向+側に位置するようにユーザ12に知覚させる。この場合、駆動制御部210は、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離に基づいて、枠101のZ方向+側への駆動量ΔZ2を算出し、駆動装置17に駆動信号として出力する。駆動装置17は、駆動信号を入力すると、枠101をZ方向+側に駆動させる。
【0169】
図27(c)は、上記のように枠101がZ方向+側に駆動された場合の、アイコン300Aと枠101との位置関係を模式的に示す図である。枠101がユーザ12側、すなわちZ方向+側に駆動されたことにより、枠101を基準として空中像30のZ方向の表示位置を知覚していたユーザ12は、空中像30がZ方向+側に表示されているものとして知覚する。これにより、ユーザ12の空中像30に対する操作が、よりZ方向+側で行われることが期待される。
なお、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離と、枠101のZ方向の駆動量と駆動方向とは、試験等の結果に基づいて、予め関連付けされた関連データとして記憶部205に記憶される。駆動制御部210は、この関連データを参照して、枠101の駆動量を算出する。
【0170】
図28のフローチャートを参照して、第2の実施の形態の表示装置1の第1のキャリブレーション処理モードにおける処理を説明する。
ステップS801〜ステップS805の各処理は、第1の実施の形態において
図7に示すフローチャートのステップS1〜S6の各処理と同様である。ステップS806では、駆動制御部210は、到達位置や指定位置と検出基準40との間の距離に基づいて、枠101の駆動量と駆動方向を算出してステップS807へ進む。ステップS807〜ステップS813までの各処理は、第1の実施の形態において
図7に示すフローチャートのステップS7〜ステップS13までの各処理と同様である。ただし、ステップS809においては、空中像30を表示するとともに、駆動制御部210は、駆動装置17を制御して、枠101をステップS807にて算出された駆動量と駆動方向にて駆動させる。
なお、第2のキャリブレーション処理モードの場合には、第1の実施の形態において示した
図9のフローチャートの処理を行う。ただし、
図9におけるステップS28およびステップS32の処理に代えて、
図28におけるステップS806と同様に枠101の駆動量と駆動方向とを算出し、ステップS809と同様に枠101を算出した駆動量と駆動方向に従って駆動させる。
【0171】
第2の実施の形態では、駆動制御部210は、空中像300の位置と異なる位置に位置する実際の物体(枠101)との位置関係を、物体を制御し変更する。これにより、ユーザ12に、物体の位置に空中像30があると知覚させ、ユーザ12の操作を検出基準40で検出することができる。
【0172】
また、第2の実施の形態では、駆動制御部210は、ユーザ12の操作の到達位置50が検出基準40に到達したか否かに基づいて、枠101が移動する方向を決定する。これにより、キャリブレーション処理により、ユーザ12の操作の到達位置50を検出基準40に到達させることができる。
【0173】
また、第2の実施の形態では、駆動制御部210は、ユーザ12の操作に基づく方向、またはユーザ12の操作に基づく方向とは反対の方向に枠101を移動させる。したがって、ユーザ12に、Z方向に沿って操作を行う位置を変更させて、ユーザ操作を検出基準40で検出可能にすることができる。
【0174】
また、第2の実施の形態では、駆動制御部210は、ユーザ12の操作が検出基準40に到達しない場合(
図5(b)参照)、ユーザ12の操作に基づく方向に枠101の位置を移動する。すなわち、ユーザ12は、あたかもアイコン300Aの位置がユーザ12から離れる方向に変更されたように知覚する。これにより、ユーザ12にさらにZ方向−方向へ操作させて、検出基準40に到達させることができる。
【0175】
また、第2の実施の形態では、駆動制御部210は、ユーザ12の操作が検出基準に到達する場合(
図5(d)参照)、ユーザ12の操作に基づく方向とは反対方向に枠101の位置を移動する。すなわち、ユーザ12は、あたかもアイコン300Aの位置がユーザ12に接近する方向に変更されたように知覚する。これにより、ユーザ12に、操作をよりユーザ12に近い側の位置で行わせ、ユーザ12の操作を検出基準40に位置させることができる。
【0176】
また、第2の実施の形態では、駆動制御部210は、物体である枠101の位置を制御し、検出基準40と枠101の位置関係を変更する。これにより、ユーザ12に、物体である枠101の位置に空中像300があると知覚させ、ユーザ12の操作を検出基準40で検出することができる。
【0177】
また、第2の実施の形態では、駆動制御部210は駆動装置17を制御して、枠101の位置を移動する。これにより、ユーザ12に、枠101の位置の移動によって、空中像300も移動したと知覚させ、操作を行う位置を検出基準40に変更することができる。
【0178】
(第2の実施の形態の変形例1)
第2の実施の形態では、実物としての枠101がZ方向に沿って移動する場合を例に挙げて説明したが、枠101の移動はこの例に限定されない。
図29は、この場合の空中像300と枠101との位置関係を模式的に示す図である。枠101は、枠101の下辺101aにてステージ14上に配置され、この下辺101aを軸に回動可能に設けられる。駆動装置17は、枠101を下辺101aを軸に回動させるためのアクチュエータである。すなわち、枠101は、
図29の矢印AR2に沿って回動する。
【0179】
図29(a)は、空中像300が初期表示された場合を示す。この場合、枠101は、駆動装置17によりZX平面に対する傾き角が90°の位置に駆動される。キャリブレーション処理の結果、到達位置や指定位置が検出基準40よりもユーザ12側(Z方向+側)の場合(
図5(b)参照)、駆動装置17は、枠101とZX平面に対する傾き角が、X方向+側から見た時に反時計回りに90°よりも小さいθ1となる位置に枠101を駆動させる。この場合、駆動制御部210は、ユーザ12の操作による到達位置や指定位置と検出基準40との間の距離に基づいて、傾き角θ1を算出する。
【0180】
図29(b)は、傾き角がθ1に変更された場合の、空中像300と枠101との位置関係を模式的に示す図である。傾き角がθ1(<90°)に変更されることにより、枠101がユーザから離れる側に向けて回動する。これにより、ユーザ12は、枠101の位置に空中像300の表示位置を知覚しているので、枠101の位置がZ方向−側に位置することにより、空中像300の表示位置がZ方向−側に移動したように知覚する。
【0181】
キャリブレーション処理の結果、到達位置や指定位置が検出基準40よりも奥側(Z方向−側)の場合(
図5(d)参照)、駆動装置17は、枠101とZX平面との傾き角が90°よりも大きいθ2となる位置に枠101を駆動させる。この場合、駆動制御部210は、ユーザ12の操作による到達位置や指定位置と検出基準40との間の距離に基づいて、傾き角θ2を算出する。
【0182】
図29(c)は、傾き角がθ2に変更された場合の、空中像300と枠101との位置関係を模式的に示す図である。傾き角が、X方向+側から見た時に反時計回りにθ2(>90°)に変更されることにより、枠101がユーザに接近する方向に向けて回動する。これにより、ユーザ12は、枠101の位置に空中像300の表示位置を知覚しているので枠101の位置がZ方向+側に位置することにより、空中像300の表示位置がZ方向+側に移動したように知覚する。
なお、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離と、枠101がXY平面となす傾き角とは、試験等の結果に基づいて、予め関連付けされた関連データとして記憶部205に記憶される。駆動制御部210は、この関連データを参照して、枠101の傾き角を算出する。
【0183】
第2の実施の形態の変形例1の表示装置1のキャリブレーション処理について、第1のキャリブレーション処理モードを例に説明する。この場合、
図28に示す第2の実施の形態のフローチャートにおけるステップS806の処理の際、駆動制御部210は、枠101の駆動量と駆動方向とを算出する代わりに、傾き角を算出する。
なお、第2のキャリブレーション処理モードの場合には、第1の実施の形態において示した
図9のフローチャートの処理を行う。ただし、
図9におけるステップS28およびステップS32の処理に代えて、駆動制御部210は枠101の傾き角を算出し、算出した傾き角に基づいて、枠101を駆動させる。
【0184】
第2の実施の形態の変形例1では、駆動装置17は、枠101を軸周りに回転させて枠101の位置を移動させる。これにより、空中像30がZX平面に対して所定の角度を有して表示される場合であっても、ユーザ12は空中像30の空中での位置を知覚することができる。
また、駆動装置17は、枠101を軸周りに回動させるだけであるため、簡単な構成で装置を製造することができる。
【0185】
(第2の実施の形態の変形例2)
上述した第2の実施の形態やその変形例1では、空中像に対して実物を移動させることにより、相対的に空中像の空中での位置がZ方向に変更されたようにユーザ12に知覚させるものであった。本変形例2では、複数のLEDがZ方向に沿って配置され、複数のLEDのうち点灯しているLEDのZ方向における位置が空中像のZ方向の位置であるようにユーザ12に知覚させる。そして、点灯しているLEDのZ方向における位置を変更することによって、ユーザ12が知覚する空中像のZ方向の位置を変更させ、ユーザ12に適切な位置で操作を行わせることができるようになる。以下詳細に説明する。
【0186】
図30(a)は、変形例2における表示装置1の外観斜視図であり、
図30(b)は変形例3における表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。
図30(a)に示すように、ステージ14のX方向−側には、Z方向に沿って5個のLED103a〜103e(総称する場合には、符号103を用いる)が配置される。なお、LED103の個数は、上記の5個に限定されるものではない。また、LED103はステージ14のX方向+側に配置されてもよい。また、LED103はステージ14上にZ方向に沿って配置され、下方(Y方向−側)から空中像30に向けて点灯してもよい。
【0187】
図30(b)は、制御部20と、制御部20により制御される表示器11と操作検出器13とLED103とを示す。制御部20は、LED103の点灯を制御する点灯制御部211を備える。点灯制御部211は、複数のLED103のうちいずれのLED103を点灯させるかを決定し、決定したLED103を点灯する。制御部20の他の構成については、第1の実施の形態とその変形例や第2の実施の形態とその変形例における画像生成部201と、表示制御部202と、キャリブレーション部203と、検出基準制御部204と、記憶部205とを適用することができる。
【0188】
図31は、第2の実施の形態の変形例2の表示装置1により表示される空中像300を模式的に示す図である。なお、
図31では、点灯しているLED103にドットを付して示す。空中像300は、第1の実施の形態(
図4(a)参照)の場合と同様に、キャリブレーション用アイコン300Aを含む。
図31(a)は、アイコン300Aが初期表示された場合を示す。点灯制御部211は、LED103cを点灯させる。ユーザ12は、点灯しているLED103cとのZ方向の位置関係からアイコン300AのZ方向における表示位置を知覚する。
【0189】
初期表示されたアイコン300Aに対するユーザ12の操作による到達位置50が検出基準40の手前(Z方向+側)の場合(
図5(b)に示す場合)、制御部20は、初期表示の場合と比べてアイコン300Aが奥行側、すなわちZ方向−側に位置するようにユーザ12に知覚させる。この場合、点灯制御部211は、点灯中のLED103cよりもZ方向−側に配置されたLED103a、103bの中から、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離に基づいて、何れかを選択する。すなわち、到達位置50と検出基準40との間の距離が所定値を超える場合には、点灯制御部211はLED103aを選択し、到達位置50と検出基準40との間の距離が所定値以下の場合には、点灯制御部211はLED103bを選択する。
【0190】
図31(b)に示す例では、点灯制御部211がLED103bを選択した場合を示す。点灯するLED103が、ユーザ12側のLED103cからLED103bに変更されたことにより、点灯していたLED103cを基準としてアイコン300AのZ方向の表示位置を知覚していたユーザ12は、アイコン300AがZ方向−側に表示されているものとして知覚する。これにより、ユーザ12の空中像300に対する操作が、よりZ方向−側で行われることが期待される。
【0191】
初期表示されたアイコン300Aに対するユーザ12の操作による到達位置50が検出基準40の奥側(Z方向−側)の場合(
図5(d)に示す場合)、制御部20は、初期表示の場合と比べてアイコン300Aが手前側、すなわちZ方向+側に位置するようにユーザ12に知覚させる。この場合、点灯制御部211は、点灯中のLED103cよりもZ方向+側に配置されたLED103d、103eの中から、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離に基づいて、何れかを選択する。すなわち、到達位置50と検出基準40との間の距離が所定値を超える場合には、点灯制御部211はLED103eを選択し、到達位置50と検出基準40との間の距離が所定値以下の場合には、点灯制御部211はLED103dを選択する。
【0192】
図31(c)に示す例では、点灯制御部211がLED103dを選択した場合を示す。点灯するLED103が、LED103cからユーザ12側のLED103dに変更されたことにより、点灯していたLED103cを基準としてアイコン300AのZ方向の表示位置を知覚していたユーザ12は、アイコン300AがZ方向+側に表示されているものとして知覚する。これにより、ユーザ12の空中像30に対する操作が、よりZ方向+側で行われることが期待される。
【0193】
第2の実施の形態の変形例2の表示装置1のキャリブレーション処理について、第1のキャリブレーション処理モードを例に説明する。この場合、
図28に示す第2の実施の形態のフローチャートにおけるステップS806の処理の際、点灯制御部211が、点灯するLEDを選択する。ステップS809の処理の際、点灯制御部211は、ステップS806で選択したLED103を点灯させる。
なお、第2のキャリブレーション処理モードの場合には、第1の実施の形態において示した
図9のフローチャートの処理を行う。ただし、
図9におけるステップS28およびステップS32の処理に代えて、点灯制御部211が、LED103を選択して、選択したLED103を点灯させる。
【0194】
なお、LED103が点灯していることをユーザ12が明確に認識できるような表示を、空中像300に加えてもよい。たとえば、画像生成部201は、X方向−側からLED103により出射した光を、
図16で示したような光の筋(光芒)を用いて表した表示用画像データを生成する。
【0195】
図32は、このような表示用画像データを空中像300として表示した場合を模式的に示す図である。
図32(a)は、光の筋310がアイコン300Aの前面をX方向に沿って横切って進む空中像300である。この場合、ユーザ12は、アイコン300AがLED103cよりもやや後方(Z方向−側)に位置していると知覚することもできる。
図32(b)は、光の筋310がアイコン300Aの後方をX方向に沿って進む空中像300である。この場合、ユーザ12は、アイコン300AがLED103cよりもやや前方(Z方向+側)に位置していると知覚することもできる。
【0196】
第2の実施の形態の変形例2では、点灯制御部211は、複数のLED103のうち点灯させるLED103を制御し、検出基準40と点灯したLED103との位置関係を制御する。これにより、ユーザ12は、点灯中のLED103を基準として、空中像300のZ方向の位置を知覚し、ユーザ12の操作を検出基準40で検出することができる。
【0197】
また、第2の実施の形態の変形例2では、画像生成部201は、点灯したLED103の光線を示す表示を空中像300に行う。これにより、ユーザ12は、LED103の点灯を視認することができる。これにより、ユーザ12は、点灯中のLED103を基準として、空中像300のZ方向の位置を知覚し、ユーザ12に検出基準40で操作を行わせることができる。
【0198】
なお、上述の第2の実施の形態とその変形例1〜4では、制御部20と表示器11と操作検出器13とを少なくとも含む表示装置1を例に説明したが、制御部20のみで構成された制御装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される制御装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。上述の第2の実施の形態、または変形例1〜4に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してもよい。また、上記の制御装置を、第2の実施の形態とその変形例に適用した各種の電子機器に組み込んでもよい。
また、制御部20のみで構成された検出装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される制御装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。このような検出装置に対して、上述の第2の実施の形態、または変形例1〜4に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してよい。
【0199】
−第3の実施の形態−
図面を参照しながら、第3の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第3の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1が操作パネルに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置1は、操作パネルに限らず、上述の第1の実施の形態とその変形例や第2の実施の形態とその変形例で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
第3の実施の形態の表示装置1は、第1の実施の形態の表示装置1と同様に、アイコンの空中像の下方に影画像を表示するものであるが、表示装置1の装置構成が第1の実施の形態の表示装置1とは異なる。したがって、第1の実施の形態に係る表示装置1の代わりに第3の実施の形態の係る表示装置1を、第1の実施の形態に提供してもよい。以下、詳細に説明する。
【0200】
図33(a)に、第3の実施の形態の表示装置1のYZ平面による断面を模式的に示す。表示装置1は、本体10の内部に、結像光学系9と、表示器11と、操作検出器13と、制御部20とを有する。結像光学系9と、操作検出器13とは上述した第1の実施の形態とその変形例や、第2の実施の形態とその変形例の構成が適用される。なお、
図24、25に示す第1の実施の形態の変形例8の表示装置1のように、撮像装置18を備えていても良い。
第3の実施の形態においては、表示器11に国際公開公報2011/158911に記載の技術を適用させて良い。すなわち、表示器11が三次元の立体像を表示させるライトフィールド表示が可能な構成を有し、表示器11に二次元表示用の画像を表示させることにより、Z方向に沿った異なる位置に空中像30を形成させる。
【0201】
図33(b)は、第3の実施の形態による表示装置1の表示器11と結像光学系9を模式的に示すYZ平面における断面図である。図示の通り、表示器11の表示面には、二次元状に配列された複数のマイクロレンズ111により構成されるマイクロレンズアレイ112が配置される。1つのマイクロレンズ111は、表示器11の複数の表示画素Pごとに設けられる。表示器11とマイクロレンズアレイ112とは、ZX平面に対して所定の傾き角−θを有して配置される。なお、
図33(b)に示す例では、図示の都合上、5×5の表示画素Pに対して1個のマイクロレンズ111が設けられた例を示しているが、実際の表示画素Pの個数よりも少なく描いている。マイクロレンズアレイ112は、表示器11の表示面からマイクロレンズ111の焦点距離fだけ光軸方向に沿って離れた位置に配置される。各マイクロレンズ111は、表示された画像に基づいて表示画素Pからの光を所定の像面に投影する。なお、マイクロレンズ111に代えて、レンチキュラーレンズを配置しても良い。
【0202】
結像光学系9は、マイクロレンズアレイ112の上方に、マイクロレンズアレイ112から所定の間隔を設け、ZX平面に平行に配置される。結像光学系9は、第1の実施の形態において、
図1(c)に示した構造が適用される。結像光学系9内に配置された複数のミラー素子90は、それぞれ、表示画素Pから出射された光を反射し、収束してZX平面と角度θをなす実像を結像する(
図33(a)参照)。この実像は、倍率が等倍、すなわち大きさが表示画素Pと同一である。すなわち、複数のミラー素子90は、表示器11から出射された光を反射して、ステージ14上の空中の結像位置に結像させる。
【0203】
この表示器11では、空中像30を構成する各光点LPが空中に形成されるためには、それぞれの光点LPを形成する光は、異なる複数のマイクロレンズ111のそれぞれに被覆される一部の表示画素Pから出射される。なお、光点LPは、表示器11とマイクロレンズ111とによって空中に表示された像であるため、空中像である。
図33(b)に示す例では、斜線を付して示す表示画素Pから出射された光がマイクロレンズ111により投影されて光点LPを形成する。この場合、1つのマイクロレンズ111によって被覆される表示画素Pの個数(
図33(b)の例では5×5個)が異なる複数のマイクロレンズ111に分散して割り当てられる。この割り当て方に基づいて、空中に形成される光点LPのマイクロレンズ111の光軸方向に対する位置を異ならせることができる。空中像30は、このようにして形成された光点Pが結像光学系9によってY方向に結像されることにより形成される。以上により、空中像30のY方向に対する位置は、表示器11に表示する画像を変更することによって変更される。
【0204】
図33(c)は、第3の実施の形態による表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。
図33(c)は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、操作検出器13とを示す。制御部20が備える構成として、
図2に示す第1の実施の形態の画像生成部201と、表示制御部202と、キャリブレーション部203と、検出基準制御部204と、記憶部205と同様の構成を適用することができる。また、第3の実施の形態の表示装置1が行う到達位置や指定位置の検出や、補助画像31の表示態様には、第1の実施の形態や第1の実施の形態の各変形例で説明した種々の方法を適用することができる。
第3の実施の形態では、画像生成部201が影画像である補助画像31を表示するための補助画像データを生成し、表示制御部202が生成された補助画像データを表示器11に表示させる。これにより、影画像である補助画像31、すなわち第2の表示の基礎となる第2画像が表示器11に表示され、補助画像31が表示器11によって第4の表示として
図33(a)の領域R1に表示される。領域R1の第4の表示は、結像光学系9により、第2の表示である補助画像31として空中に表示される。なお、画像生成部201は、第1の実施の形態の変形例1で示した各種の態様の影画像(
図10、
図11、
図13、
図14、
図15)に対応する補助画像データを生成してよい。
【0205】
補助画像31は、第1の表示であるアイコン30Aの影を表すので、アイコン30Aの下方(Y方向−側)に表示されるのがよい。このため、表示制御部202は、補助画像データが
図33の領域R1にて光点を形成するように、補助画像データを表示器11の表示画素Pに表示させる。すなわち、表示制御部202は、領域R1が結像光学系9の下部(Y方向−側)の近傍に形成されるように、補助画像データを表示画素Pに割り当てる。領域R1で結像した光は、結像光学系9によって、
図33(a)に示すように、結像光学系9の上部(Y方向+側)の近傍の位置、すなわち、表示器11とアイコン30Aとの間に補助画像31として表示される。
【0206】
表示制御部202は、アイコン30Aを表示させるための表示用画像データ、すなわち第1の表示の基礎となる第1画像を表示画素Pに表示させる。アイコン30Aは、補助画像31よりも上方(Y方向+側)に表示されるのがよい。このため、表示制御部202は、表示用画像データが、領域R1よりも下方(Y方向−側)、すなわち表示器11に近い側の領域R2にて光点を形成するように、表示用画像データを表示画素Pに割り当てる。
ただし、補助画像データを表示するべき表示画素Pと表示用画像データを表示するべき表示画素Pとが同一の表示画素Pの場合、補助画像データと表示用画像データとを同時に表示させることができなくなる。このため、表示器11によりアイコン30Aと補助画像31との表示を行う場合、表示制御部202は、表示画素Pによる補助画像データの表示と、表示画素Pによる表示用画像データの表示とを、所定の周期ごとに切り替えて行う。これにより、ユーザ12は、アイコン30Aとその下方の補助画像31とを空中像として視認する。
【0207】
キャリブレーション処理を行う場合には、第1の実施の形態とその変形例にて説明したように、到達位置や指定位置と検出基準40との間の距離に基づいて、補助画像31が表示される位置を変更する。この場合、画像生成部201が、第1の実施の形態とその変形例の場合と同様にして補助画像データを生成し、表示制御部202は補助画像データを表示画素Pに表示させる。すなわち、第1の実施の形態において、
図7のフローチャートにおけるステップS9や、
図9のフローチャートにおけるステップS28やS32において、表示制御部202が補助画像データを表示画素Pに表示させる。
【0208】
なお、第3の実施の形態の表示装置1は、キャリブレーション処理を実行しなくてもよい。すなわち、第3の実施の形態の表示装置1は、ユーザ12の操作に基づいて所定の動作を行うものではなく、単にある画像の空中像30と、その影である補助画像31とを表示するための装置であってもよい。
【0209】
また、上記の説明では、補助画像31として影画像を表示させる場合を例に挙げたが、
図16に示す第1の実施の形態の変形例1のように、補助画像31が照明光源のような明るい画像であってもよい。
また、第1の実施の形態のように、補助画像31として、空中像30の位置を示し、物を載置するような台、テーブル、机等を表示させてもよい。また、表示装置1によって立体的な補助画像31を表示させてもよい。すなわち、補助画像31として表示させる、台、テーブル、机等の載置する物を立体的に表示させてもよい。また、立体的に補助画像31を表示させる場合は、空中像30を支持するような棒を表示させてもよい。棒の先端部分を空中像30に接続するように表示し、あたかも補助画像31の棒によって空中像30が支持されているように表示してもよい。なお、第1の実施の形態や後述する第4の実施の形態に記載しているように、補助画像31は空中像30と関連性が深いものを表示させた方がよい。
また、第3の実施の形態の表示装置1が結像光学系9を備えていなくてもよい。この場合、
図33(a)の断面図で結像光学系9が配置された位置に、光を透過可能な光透過板を設けてもよい。表示装置1は、補助画像31をこの光透過板の近傍に空中像として表示させ、アイコン30Aを表示させる光は光透過板を通過して、補助画像31の上方(Y方向+側)の空中に表示させる。これにより、補助画像31が実物である表示装置1の本体10の表面近傍に表示されるので、ユーザ12は、補助画像31を介して本体10を基準として空中像30の位置を知覚することができる。
【0210】
第3の実施の形態では、表示器11は補助画像データを表示し、結像光学系9は補助画像データを補助画像31として表示する。これにより、補助画像31を空中像として表示させてユーザ12にアイコン30Aの位置を知覚させ、操作を検出基準40で行わせることができる。
【0211】
また、第3の実施の形態では、結像光学系9は、補助画像31を空中像30とは異なる位置に表示させる。これにより、ユーザ12は、補助画像31との相対的な位置関係かアイコン30Aの位置を知覚することができる。
【0212】
また、第3の実施の形態では、表示器11は、空中像30の表示用画像データと、補助画像データとを交互に表示する。これにより、単一の表示器11により空中像30と補助画像31とを表示できる。
また、表示装置1の装置を小型化できる。
【0213】
また、第3の実施の形態では、結像光学系9は、空中像30を補助画像31よりも表示器11からの距離が遠い位置に表示する。これにより、ユーザ12は、空中像30の下方に表示された補助画像31を基準として空中像30のアイコン30Aの位置を知覚することができる。
また、結像光学系9は、空中像30を補助画像31よりも表示器11からの距離が遠い位置に表示するため、表示器11からの光が直接ユーザ12に眼に入りづらくなり、空中像30が見やすくなる。表示器11からの光がユーザ12の眼に入る場合、表示器11にユーザ12の眼のピントが合ってしまい、空中像30の浮遊感が失われてしまう場合があるが、上記のような構成にすることによって、このような問題を低減することができる。
【0214】
なお、表示制御部202が、上記のように補助画像データの表示画素Pによる表示と、表示用画像データの表示画素Pによる表示とを、所定の周期ごとに切り替えるものに限定されない。表示制御部202が、補助画像データの表示画素Pによる表示と、表示用画像データの表示画素Pによる表示とを同時に行ってもよい。この場合、補助画像データを表示する表示画素Pと、表示用画像データを表示する表示画素Pとが同一の表示画素Pとはならない場合には、表示制御部202は、補助画像データの表示と表示用画像データの表示とを同時に行う。
【0215】
補助画像データを表示するべき表示画素Pと、表示用画像データを表示するべき表示画素Pとが同一の表示画素P(以下、同一表示画素Pと呼ぶ)となる場合には、表示制御部202は、補助画像データと表示用画像データとの何れか一方を同一表示画素Pに表示させる。このような場合のために、表示器11に設けられた複数の表示画素Pは、補助画像データの表示を優先する表示画素P1(以後、第1表示画素と呼ぶ)と、表示用画像データの表示を優先する表示画素P2(以後、第2表示画素と呼ぶ)とに分類される。第1表示画素P1と第2表示画素P2とは、表示器11の表面で、たとえば千鳥状に配置される。
【0216】
表示制御部202は、同一表示画像Pが第1表示画素P1の場合には、その同一表示画素Pに補助画像データを表示させる。表示制御部202は、同一表示画像Pが第2表示画素P2の場合には、その同一表示画素Pに表示用画像データを表示させる。これにより、所定の周期ごとに表示画素Pによる補助画像データと表示用画像データとを切り替えることなく、アイコン30Aと補助画像31とを表示できる。
【0217】
表示器11は、表示用画像データと補助画像データとを同時に表示する。これにより、表示用画像データと補助画像データとを表示させるための制御の処理負荷を低減できる。
【0218】
上述した説明では、表示装置1は、単一の表示器11と結像光学系9とにより空中像30と補助画像31とを表示させる例を説明したが、これに限定されない。たとえば、表示装置1は、空中像30を表示させるための表示器および結像光学系と、補助画像31を表示させるための表示器および結像光学系とを、別体で備える表示システムであってもよい。すなわち、表示用画像データを表示させるための表示器と結像光学系とを、第1の実施の形態とその変形例にて説明した構成を適用して配置する。
【0219】
(第3の実施の形態の変形例1)
第3の実施の形態の変形例1による表示装置1は、第3の実施の形態の表示装置1とは異なる構成を有し、補助画像31を空中像とは異なる方法にて表示する。本変形例1の表示装置1では、液晶表示器を用いて補助画像31を表示する。以下、詳細に説明する。
【0220】
図34(a)は、本変形例1の表示装置1のYZ平面による断面を模式的に示す図である。表示装置1は、本体10の内部に、結像光学系9と、表示器11と、操作検出器13と、制御部20と、第2表示器91とを有する。表示器11と、結像光学系9と、操作検出器13とは、第1の実施の形態と同様の構成が適用され、
図33(a)に示す場合と同様にして本体10内に配置される。第2表示器91は、液晶モニタであり、ZX平面と平行に配置される。
図34(a)に示す例では、第2表示器91が、結像光学系9に対してZ方向+側であり、結像光学系9の脇に配置される。なお、第2表示器91が結像光学系9に対してZ方向−側に配置されてもよい。また、第2表示器91が結像光学系9の脇に配置されるものに限定されない。たとえば、結像光学系9のうち一部を切り欠いた領域を設け、その切り欠いた領域に第2表示器91を配置してもよい。
また、第2表示器91は、液晶モニタ以外でもよく、たとえば有機ELディスプレイでもよい。
【0221】
図34(b)は、変形例1における表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。
図34(b)は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、操作検出器13と、第2表示器91とを示す。制御部20が備える構成として、
図33(c)に示す画像生成部201と、表示制御部202と、キャリブレーション部203と、検出基準制御部204と、記憶部205と同様の構成を適用することができる。ただし、表示制御部202は、表示器11に加えて、第2表示器91の表示も制御する。なお、第2表示器91が制御部を備える場合には、表示制御部202からの制御信号に基づいて、第2表示器91の制御部が第2表示器91の表示を制御してもよい。
【0222】
表示制御部202は、画像生成部201が生成した表示用画像データを表示器11に表示させ、補助画像データを第2表示器91に表示させる。すなわち、第2表示器91は、影画像である補助画像31を表示するための専用の表示器である。なお、画像生成部201は、第1の実施の形態の変形例1で示した各種の態様の影画像(
図10、
図11、
図13、
図14、
図15)に対応する補助画像データを生成してよい。これにより、空中に表示されたアイコン30Aの下方(Y方向−側)に、影画像として補助画像31が第2表示器91により表示される。なお、第2表示器91が画像を生成する生成部を備える場合には、第2表示器91の生成部は、上述した画像生成部201と同様にして補助画像データを生成して、第2表示器91に補助画像31を表示させてもよい。
【0223】
なお、結像光学系9と第2表示器91との配置位置の関係は、
図34(a)に示す例に限定されず、たとえば以下のような位置関係にて配置されてよい。
図34(c)に別の例の表示装置1のYZ平面に平行な面での断面を模式的に示す。第2表示器91は、結像光学系9の上方(Y方向+側)に配置される。この場合、第2表示器91の下面と結像光学系9の上面とが接するように配置されてもよいし、間隔を有して配置されてもよい。第2表示器91は、光を透過する光透過可能な材料を用いて製造された液晶モニタである。
【0224】
図34(c)に示すように結像光学系9と第2表示器91とを配置した場合、第2表示器91に影画像として補助画像31が表示されていると、補助画像31が表示された領域によって表示器11からの光の通過が妨げられ、空中像30の視認性が低下する。このような事態を防ぐため、表示制御部202は、表示器11による表示用画像の表示、すなわち、空中像30を空中に表示させるため、表示器11からの光を通過させるための表示(第3の表示)と、第2表示器91による補助画像31の表示とを、所定の周期ごとに切り替えて行わせる。従って、表示器11に表示画像が表示されているときには、第2表示器91には補助画像が表示されないので、表示器11からの光は第2表示器91と通過して空中像30を形成する。すなわち、表示器11に表示画像が表示されている場合には、第2表示器91は、補助画像を表示しているときと比べて表示器11からの光が通過する量が大きい状態となる。
【0225】
なお、表示制御部202が表示器11の表示と第2表示器91の表示とを所定の周期ごとに切り替えて行わせるものに限定されない。たとえば、第2表示器91が有する複数の画素は、補助画像31を表示させるための画素(以下、第1画素と呼ぶ)と、表示器11からの光を通過させるための画素、すなわち補助画像31が表示されない画素(以下、第2画素と呼ぶ)とに分類されてもよい。第1画素と第2画素とは、表示器11の表面で、たとえば千鳥状に配置される。または、第1画素が配置された画素行と第2画素が配列された画素行とが、交互に、または所定の複数行ごとにインターレスに配置される。
【0226】
キャリブレーション処理を行う場合には、第1の実施の形態とその変形例にて説明したように、到達位置や指定位置と検出基準40との間の距離に基づいて、補助画像31が表示される位置を変更する。この場合、画像生成部201が、第1の実施の形態とその変形例の場合と同様にして表示画像用データと補助画像データとを生成し、表示制御部202は表示用画像データの表示用画像を表示器11に表示させ、補助画像データの補助画像31を第2表示器91に表示させる。すなわち、第1の実施の形態において、
図7のフローチャートにおけるステップS9や、
図9のフローチャートにおけるステップS28やS32において、表示制御部202が表示用画像を表示器11に表示させ、補助画像31を第2表示器に表示させる。
【0227】
第3の実施の形態の変形例1では、第2表示器91は、補助画像31を表示し、空中像30の表示の下方に配置される。これにより、補助画像31が空中像30の下方に表示されるので、ユーザ12は、補助画像31の表示に基づいて、空中像30の位置を知覚することができる。
【0228】
また、第3の実施の形態の変形例1では、第2表示器91は、空中像30を表示する結像光学系9とは異なる位置に配置される。これにより、補助画像31を空中像30に対して適切な位置に表示させることができる。
【0229】
また、第3の実施の形態の変形例1では、表示器11は、空中像30の表示用画像データと、補助画像データとを交互に表示する。これにより、単一の表示器11により空中像30と補助画像31とを表示できる。
また、表示装置1の小型化が可能になる。
【0230】
(第3の実施の形態の変形例2)
第3の実施の形態の変形例2による表示装置1は、第3の実施の形態とその変形例1の表示装置1とは異なる構成を有し、補助画像31を空中像とは異なる方法にて表示する。本変形例2の表示装置1では、プロジェクタを用いて補助画像31を拡散板等に投影する。以下、詳細に説明する。
【0231】
図35(a)は、本変形例2の表示装置1のYZ平面による断面を模式的に示す図である。表示装置1は、本体10の内部に、結像光学系9と、表示器11と、操作検出器13と、プロジェクタ15と、制御部20と、拡散板92とを有する。表示器11と、結像光学系9と、操作検出器13と、プロジェクタ15とは、第1の実施の形態と同様の構成が適用さる。表示器11と、結像光学系9と、操作検出器13とは、
図33(a)に示す場合と同様にして本体10内に配置される。プロジェクタ15は、
図1(b)に示す第1の実施の形態と同様に本体10の上方に配置され、Y方向+側から拡散板92へ投影光を投影する。また、第3の実施の形態の変形例2の表示装置1においては、制御部20は、
図2に示す第1の実施の形態の表示装置1と同様の構成を適用できる。
【0232】
拡散板92は、たとえばすりガラス等であり、
図35(a)に示す例では、結像光学系9に対してZ方向+側であって結像光学系9の脇に配置される。なお、拡散板92が結像光学系9に対してZ方向−側に配置されてもよい。プロジェクタ15は、第1の実施の形態の場合と同様に、画像生成部201により生成された補助画像データに基づいて、補助画像31を投影する。本変形例2では、プロジェクタ15は、上方(Y方向+側)から拡散板92に向けて補助画像31を投影するように、その投影方向が定められて配置される。プロジェクタ15から投影された補助画像31は、拡散板92により拡散されることにより、ユーザ12に視認される。これにより、空中像30のアイコン30Aの下方(Y方向−側)に影画像である補助画像31が投影される。なお、画像生成部201は、第1の実施の形態の変形例1で示した各種の態様の影画像(
図10、
図11、
図13、
図14、
図15)に対応する補助画像データを生成してよい。
また、
図35(b)に示すように、拡散板92を結像光学系9の上方(Y方向+側)に配置してもよい。この場合、拡散板92には、プロジェクタ15からの投影光を拡散させる第1領域と、表示器11からの光を通過させる第2領域とが、たとえば千鳥状に配置される。表示器11からの光は第2領域を通過して空中像30を表示し、プロジェクタ15からの投影光は第1領域で拡散されて、ユーザ12に補助画像31として視認される。なお、拡散板92の上方(Y方向+側)に結像光学系9を配置してもよい。この場合は、プロジェクタ15は表示器11の近傍に配置され、拡散板92の下方から投影光を拡散板92に向けて投影するように、その投影方向が定められている。すなわち、プロジェクタ15は、拡散板92と表示器11との間に設置され、プロジェクタ15は、Y方向+側にある拡散板92に向けて投影光を投影する。この場合、プロジェクタ15として、たとえば近距離に画像を投影する超単焦点プロジェクタを適用することができる。
【0233】
上記の構成により、ユーザ12は、影画像である補助画像31を、空中像30のアイコン30Aの下方(Y方向−側)に視認することができる。
キャリブレーション処理を行う場合には、第1の実施の形態とその変形例にて説明したように、到達位置や指定位置と検出基準40との間の距離に基づいて、補助画像31が表示される位置を変更する。この場合、画像生成部201が、第1の実施の形態とその変形例の場合と同様にして表示画像用データと補助画像データとを生成する。表示制御部202は表示用画像データの表示用画像を表示器11に表示させ、プロジェクタ制御部200がプロジェクタ15に補助画像データに対応する投影光を拡散板92に投影させて、補助画像31を投影させる。すなわち、第1の実施の形態において、
図7のフローチャートにおける各処理や、
図9のフローチャートにおける各処理と同様の処理を行う。
【0234】
第3の実施の形態の変形例2では、プロジェクタ15は、補助画像31を投影する。これにより、ユーザ12は、投影された補助画像31の表示に基づいて、空中像30の位置を知覚することができる。
【0235】
また、第3の実施の形態の変形例2では、拡散板92が結像光学系9とは異なる位置に配置され、拡散板92によってプロジェクタ15から出射された光が拡散される。これにより、ユーザ12は補助画像31を空中像30の下方に視認して、空中像30の位置を知覚することができる。
【0236】
なお、表示装置1は、上述した拡散板92に代えて、ホログラムを表示器11の上方に配置してもよい。このホログラムには、予め拡散板92の映像が記憶されている。プロジェクタ15は、このホログラムに向けて、記憶時の参照光と同じ光を投影する。プロジェクタ15からの投影光は、ホログラムに拡散板92の映像が記憶されているため、ホログラムにより回折された光は、あたかも拡散板92により拡散されたように拡散する。これのようなホログラムに、プロジェクタ15が補助画像データに対応する投影光を投影することにより、補助画像31がユーザ12に視認される。
この場合、プロジェクタ15の投影光の各色成分(R成分、G成分、B成分)の周波数帯と、表示器11が出射する光の各色成分(R’成分、G’成分、B’成分)の周波数帯とを異ならせる。これにより、表示器11からの光がホログラムにより回折されず、透過して、空中像30を形成する。これにより、ユーザ12は、空中像30の下方に補助画像31を視認することができる。
なお、プロジェクタ15の投影光の各色成分(R成分、G成分、B成分)の周波数帯と、表示器11が出射する光の各色成分(R’成分、G’成分、B’成分)の周波数帯とを異ならせるものに限定されない。たとえば、プロジェクタ15からの投影光がホログラムに入射する際の入射角と、表示器11からの光がホログラムに入射する際の入射角とが異なるように、プロジェクタ15および表示器11を配置してもよい。この場合、表示器11からの光がホログラムに入射する角度が、ホログラムに記憶する際の参照光の入射角と異なる入射角となるように配置してよい。これにより、表示器11からの光がホログラムにより回折される効率が低下することになり、表示器11の光はホログラムを通過して空中像30を形成できる。そのため、プロジェクタ15からの投影光のみがホログラムによって回折され、表示器11からの光はホログラムによって回折されず、好適に空中像30を表示することができる。
【0237】
なお、上述の第3の実施の形態とその変形例1〜2では、制御部20と表示器11と操作検出器13とを少なくとも含む表示装置1を例に説明したが、制御部20のみで構成された制御装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される制御装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。上述の第3の実施の形態、または変形例1〜2に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してもよい。また、上記の制御装置を、第3の実施の形態とその変形例に適用した各種の電子機器に組み込んでもよい。
また、制御部20のみで構成された検出装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される検出装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。このような検出装置に対して、上述の第3の実施の形態、または変形例1〜2に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してよい。
【0238】
−第4の実施の形態−
図面を参照しながら、第4の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第4の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1が操作パネルに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置1は、操作パネルに限らず、上述の第1の実施の形態とその変形例で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
第1の実施の形態とその変形例や第3の実施の形態では、表示装置1は、第1の表示である空中像30と第2の表示である補助画像31とにより、空中像30のZ方向の表示位置をユーザ12に知覚させるものであった。すなわち、補助画像31の位置が空中像30の表示位置を示す位置として用いられるものであった。第4の実施の形態では、表示装置1は、空中像のうちユーザ12による操作の対象となる空中像の第1部分をZ方向の表示位置を変更せず、ユーザ12による操作の対象ではない空中像の第2部分をZ方向の表示位置を変更させることにより、空中像30の第1部分のZ方向の位置をユーザ12に知覚させるものである。以下、詳細に説明する。
【0239】
図36(a)は第4の実施の形態の表示装置1を模式的に示す外観斜視図であり、
図36(b)は表示装置1の内部構成を模式的に示す断面図であり、
図36(c)は表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。第4の実施の形態の表示装置1は、第1の実施の形態の表示装置1が有する結像光学系9と、操作検出器13と、制御部20とを有する。表示器11は、第3の実施の形態の
図33(b)に示す表示器11と同様の構成を有する。すなわち、第4の実施の形態においては、第3の実施の形態の場合と同様に、表示器11は三次元の立体像を表示させるライトフィールド表示が可能な構成を有している。
図36(c)に示すように、第4の実施の形態の制御部20は、
図2に示す第1の実施の形態の制御部20が有する画像生成部201と、表示制御部202と、キャリブレーション部203と、検出基準制御部204と、記憶部205とを備える構成が適用される。
なお、第4の実施の形態の表示装置1が第1の実施の形態の変形例8に示す撮像装置18(
図24、25参照)を備えても良い。
【0240】
図37に第4の実施の形態の表示装置1によりキャリブレーション処理の際に表示される空中像300を模式的に示す。
図37では、空中像300は第1の表示としての第1アイコン300A1と第2の表示としての第2アイコン300A2とを含む。すなわち、第1アイコン300A1は空中像300の第1部分であり、第2アイコン300A2は空中像300の第2部分である。第1アイコン300A1は、キャリブレーション処理の際にユーザ12に操作させるためのアイコンである。第2アイコン300A2は、ユーザ12に第1アイコン300A1のZ方向における表示位置を知覚させるための画像である。
【0241】
図37(a)は初期表示における第1アイコン300A1と第2アイコン300A2との表示の例を示す。初期表示においては、第1アイコン300A1と第2アイコン300A2とは、Z方向において同一座標、すなわち操作検出器13からZ方向+側に距離H1の位置に表示される。
【0242】
この初期表示された空中像300に対して行われたユーザ12の操作の到達位置50が第1アイコン300A1の手前(Z方向+側)の場合、すなわち
図5(b)に示す状態の場合を説明する。この場合、表示制御部202は、第1アイコン300A1が
図37(a)に示す場合よりもZ方向−側に表示されているようにユーザ12に知覚させる。本実施の形態では、表示制御部202は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、第2アイコン300A2をZ方向+側に位置するように表示器11を制御する。すなわち、表示制御部202は、第2アイコン300A2の表示位置を制御することにより、第1アイコン300A1の表示位置と異なる表示位置に表示する第2アイコン300A2との位置関係を変更する。表示制御部202は、第2アイコン300A2に対応する表示用画像データを表示させる表示画素Pを変更する。この結果、
図37(b)に示すように、第2アイコン300A2が到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて距離ΔZ1だけZ方向+側に表示される。すなわち、表示制御部202は、検出基準40と第2表示である第2アイコン300A2の位置を制御する。この空中像300を視認するユーザ12は、第2アイコン300A2を基準として相対的に第1アイコン300A1がZ方向−側に位置するように知覚する。
【0243】
図37(a)に示す初期表示の第1アイコン300A1に対して行われたユーザ12の操作の到達位置50が第1アイコン300A1よりも奥(Z方向−側)の場合、すなわち
図5(d)に示す場合を説明する。この場合、表示制御部202は、第1アイコン300A1が
図37(a)に示す場合よりもZ方向+側に表示されているようにユーザ12に知覚させる。本実施の形態では、表示制御部202は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、第2アイコン300A2をZ方向−側に位置するように表示器11を制御する。表示制御部202は、第2アイコン300A2に対応する表示用画像データを割り当てる表示画素Pを変更する。この結果、
図37(c)に示すように、第2アイコン300A2が到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて距離ΔZ2だけZ方向−側に表示される。すなわち、表示制御部202は、検出基準40と第2表示である第2アイコン300A2の位置を制御する。この空中像300を視認するユーザ12は、第2アイコン300A2を基準として相対的に第1アイコン300A1がZ方向+側に位置するように知覚する。
【0244】
本実施の形態の表示装置1によるキャリブレーション処理について、第1のキャリブレーション処理モードを例に挙げて説明するが、第2のキャリブレーション処理モードに適用してもよい。この場合、第1の実施の形態の
図7にフローチャートにおいて、ステップS6にて、表示制御部202が、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、第2アイコン300A2に対応する表示用画像データを表示させる表示画素Pを変更すればよい。また、第2のキャリブレーション処理モードに適用する場合には、第1の実施の形態の
図9に示すフローチャートにおいて、ステップS28およびステップS32において、表示制御部202が、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、第2アイコンに対応する表示用画像データを表示させる表示画素Pを変更すればよい。
【0245】
なお、上述した第4の実施の形態では、表示装置1がライトフィールド表示を行う場合を例に挙げたが、この例に限定されない。たとえば、表示装置1が視差画像を表示可能な構成を有し、第1アイコン300A1に対して第2アイコン300A2の表示位置がZ方向に移動するように視差量を制御してもよい。また、たとえば、表示装置1は、
図36(b)に示すライトフィールド表示が可能な表示器11に代えて、第1の実施の形態にて説明した表示器11を複数個備え、それぞれの表示器11をY方向に沿って駆動させることにより、アイコンの表示位置をZ方向に異ならせるものである。たとえば表示器11は、
図38(a)に示すように3行×3列の9個の表示器11−1〜11-9からなるものとする。
【0246】
図38(b)は、本変形例2における表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。表示装置1は、第1の実施の形態の表示装置1が有する構成に加えて、
図38(a)に示す各表示器11−1〜11−9を駆動させるための表示器駆動装置16をさらに備える。制御部20は、表示器駆動装置16の動作を制御する表示器駆動制御部214を有する。他の構成については、
図36に示す第4の実施の形態の構成を適用することができる。
【0247】
表示器11−1〜11−9は、ZX平面に平行に設けられ、Y方向に沿って移動可能に配置される。表示器駆動装置16は、各表示器11−1〜11−9ごとに設けられ、表示器11−1〜11−9を駆動させるためにY方向に沿って設けられたガイドレールや、表示器11−1〜11−9をガイドレールに沿って駆動させるモータやアクチュエータ等を有する。表示器駆動制御部214は、表示器11−1〜11−9をY方向の位置を決定し、表示器駆動装置16を制御して、表示器11−1〜11−9をY方向の決定された位置へ駆動させる。表示器駆動制御部214と表示器駆動装置16とにより、表示器11−1〜11−9のY方向の位置が変更される、すなわち結像光学系9と表示器11−1〜11−9との間の距離が変更されると、空中像30が表示される位置がZ方向において変化する。
【0248】
図37に示すように第1アイコン300A1と第2アイコン300A2とを空中像300として表示する場合、表示制御部202は、たとえば、表示器11−4に第1アイコン300A1に対応する表示用画像データを表示させ、表示器11−6に第2アイコン300A2に対応する表示用画像データを表示させる。
【0249】
図37(a)に示す初期表示を行う場合には、表示器駆動装置16は、表示器11−4と表示器11−6とをY方向に沿って同一、すなわち第1アイコン300A1と第2アイコン300A2とが操作検出器13からZ方向+側に距離H1の位置に表示されるための位置に駆動する。キャリブレーション処理において、初期表示された第1アイコン300A1に対するユーザ12の操作の到達位置50が第1アイコン300A1の手前(Z方向+側)の場合、すなわち
図5(b)に示す状態の場合を説明する。この場合、表示器駆動制御部214は、第2アイコン300A2を
図37(b)に示すように表示させるために、表示器11−5のY方向の位置を決定する。表示器駆動制御部214は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、表示器11−5のY方向−側への移動量を算出する。表示器駆動制御部214は、この移動量を駆動信号として表示器駆動装置16に出力し、表示器駆動装置16は、この移動量に従って、表示器11−5をY方向−側に駆動させる。すなわち、表示器駆動制御部214は、検出基準40と第2表示である第2アイコン300A2の位置を制御する。これにより、この空中像300を視認するユーザ12は、第2アイコン300A2を基準として相対的に第1アイコン300A1がZ方向−側に位置するように知覚する。
【0250】
キャリブレーション処理において、初期表示された第1アイコン300A1に対するユーザ12の操作の到達位置50が第1アイコン300A1の奥(Z方向−側)の場合、すなわち
図5(d)に示す状態の場合を説明する。この場合、表示器駆動制御部214は、第2アイコン300A2を
図37(b)に示すように表示させるために、表示器11−5のY方向の位置を決定する。表示器駆動制御部214は、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、表示器11−5のY方向+側への移動量を算出する。表示器駆動制御部214は、この移動量を駆動信号として表示器駆動装置16に出力し、表示器駆動装置16は、この移動量に従って、表示器11−5をY方向+側に駆動させる。すなわち、表示器駆動制御部214は、検出基準40と第2表示である第2アイコン300A2の位置を制御する。これにより、この空中像300を視認するユーザ12は、第2アイコン300A2を基準として相対的に第1アイコン300A1がZ方向−側に位置するように知覚する。
なお、到達位置50と検出基準40との間のZ方向の距離と、表示器11−1〜11−9のY方向の移動量と移動方向とは、試験等の結果に基づいて、予め関連付けされた関連データとして記憶部205に記憶される。表示器駆動制御部214は、この関連データを参照して、表示器11−1〜11−9の移動量を算出する。
【0251】
第4の実施の形態の表示装置1によるキャリブレーション処理について、第1のキャリブレーション処理モードを例に挙げて説明する。この場合、第1の実施の形態の
図7に示すフローチャートにおいて、ステップS6にて、表示器駆動制御部214が、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、第2アイコン300A2を表示する表示器11−5のY方向の移動量を算出すればよい。
なお、第4の実施の形態の表示装置1によるキャリブレーション処理は、第2のキャリブレーション処理モードにも適用できる。この場合、第1の実施の形態の
図9に示すフローチャートにおいて、ステップS28およびステップS32において、表示器駆動制御部214が、到達位置50と検出基準40との間の距離に基づいて、第2アイコンを表示する表示器のY方向の移動量を算出し、表示器を移動させればよい。
【0252】
第4の実施の形態では、表示制御部202や表示器駆動制御部214は、検出基準40と、空中に表示された第2の表示である第2アイコン300A2との位置を制御する。これにより、ユーザ12は、第2の表示の位置に基づいて、空中像のZ方向の位置を知覚することができる。
【0253】
また、第4の実施の形態では、表示制御部202や表示器駆動制御部214は、検出基準40と、ユーザ12が操作する第1アイコン300A1とは異なる第2アイコン300A2との位置関係を、第2アイコン300A2を制御し変更する。これにより、ユーザ12は、第2アイコン300A2に対する相対的な位置関係から第1アイコン300A1の位置を知覚して、検出基準40で操作を行うことができる。
また、第4の実施の形態では、表示制御部202や表示器駆動制御部214は、第2アイコン300A2の表示位置を制御して、第1アイコン300A1の表示位置とは異なる表示位置に位置する第2アイコン300A2との位置関係を変更する。これにより、ユーザ12は、第2アイコン300A2を基準として、第1アイコン300A1の表示位置を知覚することができる。
【0254】
なお、上記の説明では、画像生成部201は、第2の表示として第2アイコン300A2を表示する場合を例に挙げたが、第2表示をアイコンとして表示するものに限定されない。たとえば、
図39に示すように、画像生成部201は、第2の表示として、たとえば空中像300を囲う枠を表す空中像301を表示してもよい。
図39(a)は初期表示を示し、
図39(b)は、空中像301が初期表示の場合よりもZ方向+側に位置する例を示し、
図39(c)は、空中像301が初期表示の場合よりもZ方向−側に位置する例を示す。
図39(b)に示すように空中像300が表示されることにより、ユーザ12は、第1アイコン300A1が空中像301を基準として相対的にZ方向−側に位置するように知覚する。また、
図39(c)に示すように空中像300が表示されることにより、ユーザ12は、第1アイコン300A1が空中像301を基準として相対的にZ方向+側に位置するように知覚する。空中像301の表示位置を変更する方法は、ライトフィールド方式を用いてもよいし、複数の表示器11の一部の表示器11(
図38参照)に空中像301に対応する表示用画像データを表示させてもよい。
【0255】
なお、上述の第4の実施の形態では、ユーザ12による操作の対象ではない空中像の第2の表示をZ方向の表示位置を変更させることにより空中像300の第1の表示のZ方向の位置が、第2の表示が移動した方向とは逆に移動したようにユーザ12に知覚させるものであった。しかし、ユーザ12によっては、第2の表示として表示された空中像301の位置を第1の表示の第1アイコン300A1の位置として知覚する場合があり、第1の表示のZ方向の位置が、第2の表示が移動した方向とは逆に移動したようにユーザ12に知覚されない場合がある。第2の表示の空中像301の位置が、第1アイコン300A1の位置にあるように知覚するか否かはユーザ12に依存するが、第2の表示である空中像301と第1アイコン300A1との間の関連性が高い場合、ユーザ12は、空中像301の位置を第1アイコン300A1の位置として知覚しやすくなる。ここで、第2の表示である空中像301と第1アイコン300A1との間の関連性が高いものとは、第1の表示、第2の表示として表示させる対象同士が、現実世界で近くにあるもの、接して設置されるもの、対象同士が一体的になって構成されるもの等である。
上述で説明したアイコンに限られない例を一つ挙げると、表示装置1が、第1の表示として絵画を表示し、第2の表示として額縁を表示する場合がある。実物の絵画は額縁に収納されるため、一般的に実物の場合は、額縁の位置と絵画の位置とは同じ位置に存在する。そのため、空中像で表示された、第1の表示の絵画と第2の表示の額縁との位置がZ方向にずれていたとしても、ユーザ12は、空中像として表示された、第2の表示の額縁の位置に第1の表示の絵画があるように感じる場合がある。同様に、第1の実施の形態や第3の実施の形態等で説明した、補助画像である第2の表示に第1の表示の影を表示した例も、第1の表示と第2の表示との関連性が深い例である。逆に、このような現象は、第1の表示と第2の表示との間の関連性が低い場合は起こりづらい。たとえば、第2の表示が音楽のアイコンの空中像であり、第1の表示がペットボトルを示す空中像である場合、ユーザ12は、上記のように第1の表示が第2の表示の位置にあるように知覚しづらくなる。これは、第1の表示であるペットボトルと、第2の表示である音楽のアイコンとは関連性が低く、現実世界で音楽のアイコンの近くにペットボトルがあることが少なく、また音楽のアイコンとペットボトルとが一体的に構成されていることがほとんどないからである。
図39に示す例は、第2の表示として、枠の空中像301を表示している。現実世界で、枠の位置に第1アイコン300A1のような画像が表示されていることが多いため、
図39に示す例では、ユーザ12が第2の表示の位置に、第1の表示があるように知覚しやすくなる。さらに言えば、第1アイコン300A1として絵画のような画像を表示し、第2の表示の枠を、表示された絵画に適した額縁にすることによって、ユーザ12は、より第2の表示の位置に第1の表示があるように知覚しやすくなる。
上記で説明した、ユーザ12が、第2の表示の位置に第1の表示があるように知覚する場合、上述した第4の実施の形態で説明した方向とは異なる方向に第1の表示が移動したとユーザ12が知覚する。具体的には、
図39(b)に示すように空中像301がZ方向+側に移動すると、ユーザ12によっては、第1アイコン300A1もZ方向+側に移動したものと知覚する可能性がある。また、
図39(c)に示すように、空中像301がZ方向−側に移動すると、ユーザ12によっては、第1アイコン300A1もZ方向−側に移動したものと知覚する可能性がある。つまり、ユーザ12が知覚する第1の表示の移動方向は、上述した第1の実施の形態と同様の方向になる。このように、第1の表示が第2の表示の位置にあるとユーザ12が知覚するか否かによって、第1の表示が移動したとユーザ12が知覚する方向が異なる。
なお、その他に関連性の高い具体的な例を以下に挙げる。表示装置1が、第1の表示として飲料水の瓶等を表示し、第2の表示として机を表示する場合がある。また、表示装置1が、第1の表示として楽譜を表示し、第2の表示として譜面台を表示する場合などがある。このような場合、ユーザ12は、第1の表示が第2の表示の位置にあると知覚しやすくなる。
なお、上述した第2の実施の形態とその変形例においては、ユーザ12が実際の物体の位置を空中像30の位置として知覚するものとして説明した。しかし、実際の物体(たとえば枠101)と空中像30との間の関連性によっては、第2の実施の形態にて説明したように、ユーザ12によっては、枠101の位置を基準として、相対的な位置を空中像30の位置として知覚する可能性もある。すなわち、ユーザ12によっては、枠101がZ方向−側に移動した場合に、空中像30がZ方向+側に移動したように知覚し、枠101がZ方向+側に移動した場合に、空中像30がZ方向−側に移動したように知覚する可能性がある。
【0256】
(第4の実施の形態の変形例1)
第4の実施の形態の表示装置1は、空中像のうちユーザ12による操作の対象となる空中像の第1部分をZ方向の表示位置を変更せず、ユーザ12による操作の対象ではない空中像の第2部分をZ方向の表示位置を変更させることにより、空中像30の第1部分のZ方向の位置をユーザ12に知覚させるものであった。
上述したように、空中像は透過性を有するものであるため、同一のユーザ12であっても空中像の表示位置が異なって感じることがある。このため、ユーザ12が空中像の位置を正しく知覚できず、ユーザ12の操作が検出基準で検出されない虞がある。すなわち、ユーザ12は空中像の位置を不安定なものとして知覚する虞がある。
第4の実施の形態の変形例1の表示装置1は、上記の空中像の位置の不安定さを低減して、ユーザ12が空中像であるアイコンの表示位置を実際の物体を基準としてより正しく知覚できるように、画像生成部201は、第1の表示であるアイコンとは異なる第2の表示である空中像を実際の物体に重なる(接続する)ように表示する。すなわち、ユーザ12が第2の表示である空中像を介して実際の物体を基準とすることにより、アイコンの表示位置を知覚できるようにするものである。以下、詳細に説明する。
【0257】
図40にこの場合に表示装置1により表示される空中像30と、ステージ14とを模式的に示す。ステージ14の表面(Y方向+側の面)には、縞の模様が付されているものとする。
図40(a)では、空中像30の第1部分として第1の空中像30−1と、第2部分として第2の空中像30−2とを含む。
図40(a)では、第1の表示である第1の空中像30−1は、4個のアイコン30Aからなる例を示す。なお、アイコン30Aの個数は一例であり、4個に限定されるものではない。第2の表示である第2の空中像30−2は、アイコン30Aが配置されたパネル盤を模した画像である。画像生成部201は、第2の空中像30−2がステージ14の上に載置されているような表示用画像データを生成する。すなわち、画像生成部201は、第2の空中像30−2が実際の物体であるステージ14に重なるような表示用画像データを生成する。表示装置1上のステージ14の位置は安定しているので、ユーザ12は、実際の物体であるステージ14の上に載置されたように表示された第2の空中像30−2を介してアイコン30Aの位置を安定的に視認する。
【0258】
上述したように第2の空中像30−2がステージ14に載置されているように空中像30が表示された場合であっても、ユーザ12によっては、第2の空中像30−2とステージ14とが乖離しているように知覚する虞がある。すなわち、ユーザ12が、第2の空中像30−2がステージ14の上に載置されていないように知覚する可能性がある。このような事態が生じないようにするため、画像生成部201は、
図40(a)のように表示された第2の空中像30−2がステージ14と重なる部分に、さらに第3の空中像を表示させるように表示用画像データを生成してもよい。
図40(b)にこの場合の空中像30を示す。第1の空中像30−1と第2の空中像30−2とは、
図40(a)に示す例と同様である。第3の空中像30−3は、たとえば第2の空中像30−2の下部の近傍におけるステージ14の表面を表す画像に対応する。この場合、画像生成部201は、ステージ14の表面のうち、たとえば模様等を撮像装置等により撮像した撮像データを用いて第3の空中像30−3に対応する表示用画像データを生成する。これにより、ユーザ12は、第2の空中像30−2がステージ14に載置していると知覚することができ、第2の空中像30−2および第3の空中像30−3を介してステージ14を基準としてアイコン30AのZ方向の位置をより安定的に知覚できる。
【0259】
なお、画像生成部201は、上述のようにして第2の空中像30−2が第3の空中像30−3を介してステージ14と重なるようにした状態で、さらに第2の空中像30−2が第1の空中像30−1の少なくとも一部と重なるような表示用画像データを生成してよい。この場合、画像生成部201は、第1の空中像30−1と第2の空中像30−2との間に隙間等がなく、互いに接しているように表示させる。たとえば、第1の空中像30−1が瓶やペットボトルであり、第2の空中像30−2が机である場合には、画像生成部201は、瓶やペットボトルが机の上に載置されている状態を表す表示用画像データを生成する。これにより、第1の空中像30−1は、実際の物体であるステージ14に対して安定的に視認される第2の空中像30−2に重なるので、ユーザ12は、第1の空中像30−1をより安定的に視認できる。
【0260】
第4の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、第1の空中像30−1と、第1の空中像30−1の下方(Y方向−側)に配置された実物(ステージ14)との間に第2の空中像30−2を表示させる。これにより、ユーザ12は、ステージ14を基準として、第2の空中像30−2を介し第1の空中像30−1の空中での位置を知覚しやすくなる。
【0261】
また、第4の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、第2の空中像30−2をステージ14の一部に重なるように表示させる。これにより、ユーザ12は、ステージ14の上に載置されたように表示された第2の空中像30−2を介してアイコン30Aを視認するので、アイコン30Aとステージ14との位置関係を安定的なものとして知覚できる。
【0262】
また、第4の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、第2の空中像30−2のうちステージ14と重なる部分に、ステージ14に対応する第3の空中像30−3を表示させる。これにより、ユーザ12は、第2の空中像30−2がステージ14に載置していると知覚することができ、第2の空中像30−2および第3の空中像30−3を介してステージ14を基準としてアイコン30AのZ方向の位置を知覚できる。
【0263】
また、第4の実施の形態の変形例1では、画像生成部201は、第1の空中像30−1の一部に重ねて第2の空中像30−2を表示させる。これにより、ユーザ12は、第1の空中像30−1と第2の空中像30−2とはZ方向に同一の位置にあるように知覚するので、第2の空中像30−2および第3の空中像30−3を介してステージ14を基準としてアイコン30AのZ方向の位置を知覚できる。
【0264】
なお、上述の第4の実施の形態では、制御部20と表示器11と操作検出器13とを少なくとも含む表示装置1を例に説明したが、制御部20のみで構成された制御装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される制御装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。上述の第4の実施の形態とその変形例1に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してもよい。また、上記の制御装置を、第4の実施の形態とその変形例に適用した各種の電子機器に組み込んでもよい。
また、制御部20のみで構成された検出装置や、制御部20と操作検出器13とで構成される検出装置であってもよい。また、制御部20は、少なくともキャリブレーション部203と画像生成部201とを備えればよい。このような検出装置に対して、上述の第4の実施の形態に記載された各効果を得るために、上述した構成から必要に応じて構成を適宜追加してよい。
【0265】
以上で説明した全ての実施の形態と全ての変形例の表示装置1が空中像を生成する方法として、レーザ光を空中に集光して空気を構成する分子をプラズマ化して空中で光を発光させ、空中に像を形成するものであってもよい。この場合、レーザ光の集光位置を3次元空間中に自由に制御することで空中に実像として3次元画像が生成される。また、空中像を生成する方法として、プロジェクタ機能に加えて空気中に霧を発生させる機能を有する表示装置を用い、空気中に霧を発生させたてスクリーンを形成し、この霧によるスクリーンに画像を投影する(フォグディスプレイ)ことで、空中に像を生成してもよい。
【0266】
表示装置1が空中像30の位置を移動させるために実行する各種処理のためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、このプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて、キャリブレーションを実行してもよい。なお、ここで言う「コンピュータシステム」とは、OS(OperatingSystem)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0267】
なお、上記「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用したホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含む。また、上記「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに上記「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random AccessMemory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0268】
上記「プログラム」は、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0269】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0270】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2016年第128210号(2016年6月28日出願)