【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、供給流を上部生成流、下部生成流及び随意的に1つ以上の横引流に分画するための柱状部を備えた蒸留装置によって達成され、それらは夫々規定される仕様を有し、
連続的に配列された室の最後の室内から規定される仕様を伴って下部生成流を引き出し可能とするために、連続的に配列された最後の室からの液体を除き、必要なその最後の室内の温度に至るまで、3以上の室を連続的に通過する液体を多段階に加熱及び部分蒸発するための、何れも1以上の並列な蒸発装置ステージ内にある3以上の連続液体通過室を有し、3以上の室を連続的に通過する液体の各蒸発装置ステージにおける加熱及び部分蒸発は、何れの場合も適合するエネルギー源の使用によってなされる。
【0006】
化学工業で最も一般に用いられる熱分離工程は、蒸留工程である。
【0007】
部分的に蒸発/凝縮される場合の蒸留による物質の分離は、異なる融点を有する物質の混合体が気相と液相で異なる範囲に溜まるという原理に基づいている。蒸留柱状部内の多段階蒸留は、下部液体の一部蒸発及び上部産出物の一部凝集によって一般に実行される。蒸発装置からの気体及び凝集液の幾らかは柱状部内に再循環される。充填や引き出しで構成される無作為なパッキングのような分離の中身は、下降する液体と上昇する気体との間の材料の交換と有効熱を達成し、その結果、一般的に、分離の成果は、連続的に接続された理論的気液平衡段階に等しい。
【0008】
沸点が近似しているせいや好ましくない沸騰状態のために分離が困難な物質混合体に関しては、液体溶媒の添加が、液体溶媒中の物質の異なる溶解性のおかげで、分離を簡易にし得る。蒸発装置や凝集装置を使用せず、蒸留柱状部内に溶媒を使用する場合の吸収に対して、上述の蒸留は抽出蒸留を指す。それと共に達成される分離は、第二液相の形成によって、ときどき、一層改善される。
【0009】
蒸留柱状部及び抽出蒸留柱状部の双方は、柱状部下部に統合された少なくとも1つの蒸発装置又は柱状部下部に接続された少なくとも1つの外部蒸発装置を有するけれども、分画のためのエネルギーの幾らか又は全てが導入される。随意的に、分画のために要求されるエネルギーの幾らかはまた、供給流よりも下方で且つ底部より上方に配置された事前蒸発装置及び/又は側部蒸発装置を経て導入され得る。
【0010】
この目標を達成するために、特に大きな工業規模のプラントでは、しばしば、複数のステージでは下部液体の加熱が必要とされるという効果を伴って、多量のエネルギーを導入する必要がある。
【0011】
大きな工業規模のプラントにおける蒸留柱状部は、しばしば、約0.5m〜約6m、又は7mまでさえ、特に約2〜5mの間の直径を有する。大きな工業規模のプラントにおける蒸留柱状部は、典型的に、約10〜30m又はそれ以上の高さである。自然循環蒸発装置として使用される場合、蒸発装置ステージとして用いられる熱交換器を包む外部チューブは、しばしば、チューブ方向に約2〜3mの長さを有する。
【0012】
前述の熱交換器は高流量用に設計され、下部生成流は、しばしば、毎時数百トンの範囲である。
【0013】
本発明によれば、特に大きな工業規模の分離工程について、液体の多段階加熱及び部分蒸発を確保し、ここまでで特定され且つ以下に詳細に説明される構成を経て、液体の単相と共に供給される液体の複数のステージにおける部分的蒸発段階及び規定特定を伴う液体下部生成流を引き出し可能とするのに必要な温度までの加熱を許容する蒸留装置が提案される。
【0014】
本発明の工程は、典型的に、複数の成分を有する供給流を、夫々が規定特性を有する上部生成流、下部生成流及び随意的に1以上の横引流に分画するための柱状部を有する蒸留装置に由来する。
【0015】
本発明に関して提案される蒸留装置は、液体流の方向に連続的に配列された3以上の室を備える。引き出される下部生成流からの連続的に配列された室の最後を除き、これらの室の夫々からの液体又は液体のサブストリームは、液体の単相の形態で、加熱及び部分蒸発のための個々の蒸発装置ステージに供給される。
【0016】
この室は、何れの場合も、液体によって連続的に通過される容器であり、個々の容器を通過する液体は、何れの場合も、流れの方向に温度が増加するように個別に加熱され、また部分的に蒸発される。従って、個々の室内の温度は、流れの方向に増加する一方、同時に、部分蒸発の理由で、低沸点の成分の濃度は低減する。
【0017】
これらの容器は、互いに直近に配置され得、その代わりに、互いの間に夫々広い間隔を設けて配列され得る。しかしながら、液体は、すぐ前の容器から夫々の次の容器内に直接的に流れることはできないということが重要である。対照的に、本発明の特定の実施の形態では、次の容器から夫々のすぐ前の容器内への液体の部分的な逆流は許容される。
【0018】
2つ、3つ又は3以上の室の全ては、柱状部下部内に統合され得る。
【0019】
1つの好ましい実施の形態では、この蒸留装置は、3つの部分に分割された下部を有する柱状部を備える、換言すれば、3つの連続液体通過室は柱状部下部に統合される。この目的を達成するために、柱状部の下部領域は、柱状部の下部棚段から柱状部の下部領域内に或る高さまで突出する鉛直な区画壁によって3つの小領域に区分され、個々の小領域間の区画壁の高さは流れの方向に増加する。
【0020】
この区画壁は、特に同心円筒であってもよいし、柱状部の断面で見たとき、円の弦又は円の径に沿って配列される平坦な区画板であってもよい。
【0021】
第1液体通過室に続く1つ、2つ又は全ての室は、柱状部下部の範囲外に配置してもよいし、特に、気液分離装置の液体通過部として構成してもよい。
【0022】
本発明によれば、引き出される下部生成流からの連続配置室の最後を除き、3以上の連続配置室の夫々を通過する液体は、何れも互いに独立して、何れも適合するエネルギー源と共に夫々の蒸発装置ステージにおいて加熱及び部分蒸発される。
【0023】
本発明の蒸留装置に係る特定の構成は、何れの場合も、エネルギー容量に基づいて利用可能な最も適切なエネルギー源と共に単相の液体流を加熱することができる。これらの適合するエネルギー源は、工程内エネルギー源及び/又は外部エネルギー源であり得る。
【0024】
好ましいエネルギー源は、質量流である。
【0025】
更なる構成では、用いられるエネルギー源は、電気エネルギーであってもよい。
【0026】
好ましい質量流は、蒸気又は熱水(hot condensate)である。
【0027】
有利に用いられるエネルギー源は、工程内で生成される蒸気又は熱水であってもよい。
【0028】
好ましい実施の形態では、最後の液体通過室を除き、完全に又は部分的に夫々の次の下流室に供給され、何れも部分蒸発流を得るために加熱及び部分蒸発される、3以上の連続液体通過室の夫々からの液体の蒸発装置ステージは、個々の熱交換器として構成される。これらの熱交換器は、何れの場合も、単一の熱交換器として、又は代替的に並列に配列された複数の熱交換器として取付けられ得る。
【0029】
この熱交換器と次の下流室で構成される配列は、熱力学的に同等の異なる配列によって、特に流下膜式蒸発器又はケトル型リボイラー(ケトル蒸発器)によって置き換えてもよい。
【0030】
流下膜式蒸発器では、蒸発されるべき液体は、途切れることのないフィルムとしてのチューブ壁に沿って流れる。
【0031】
ケトル蒸発器又はケトル型蒸発器は、液体中に浸漬される加熱性チューブ束を備えた蒸発器である。このチューブ束と液体は、分離器として機能する容器内に配置される。このような蒸発器は、液体の水から熱蒸気を生成するためにしばしば使用される。
【0032】
この加熱性チューブ束は、分離器として機能する比較的大きな容器内に、一般的には水平に配置される。この蒸発されるべき液体は、容器のチューブ束の領域に供給され、チューブ束が浸漬するようにオーバーフロー堰によって堰き止められる。この加熱は、容器の大容量ゆえに、液体から分離され且つ上部領域から排出される気泡が形成されるように、液体を沸騰させる。蒸発されなかった液体は、堰をオーバーフローし、その後に蒸発器から引き出される(出典:Wikipedia)。
【0033】
これらの場合には、何れの場合も、蒸発装置ステージは、容器の流下膜式蒸発器/ケトル蒸発器のチューブ束に対応する。この室は、堰に接して配置され且つケトル蒸発器のチューブ束熱交換器が配置されていない部位で、流下膜式蒸発器の下部によって、又はケトル蒸発器の領域によって形成される。
【0034】
最初の室を除く3以上の室の1以上からの液体の逆流は、好ましくは、特に、堰を越える液体の直接のオーバーフローとして、又は液中への供給として、又は吸い上げられて、夫々のすぐ前の室に供給され得る。
【0035】
本発明は、更に、これ以前に記述された蒸留ユニットを用いる蒸留又は抽出蒸留を実行するための工程を提供する。
【0036】
この工程は、例えば、Aに対してよりもBに対してより高い親和力を有する抽出溶媒を使用する抽出蒸留によって物質A及びBを含む供給流(1)を分離するための工程であり、それは以下を備える、
a)Aを含む上部生成流(2)及びBを含む液体及び抽出溶媒を得るために柱状部(K)内の抽出溶媒に供給流(1)を対向流として向けること、
b)柱状部(K)の下部内に統合された第1室内への柱状部内のBを含む液体及び抽出溶媒の流出を許容すること、
c)最後の室を除く3以上の室(I、II、III)からの流体を夫々の蒸発装置ステージに通過すること、及び、その後、流れの方向における夫々の次の室に夫々完全に又は部分的に供給される夫々の部分蒸発流(4、5)を得るためにそれらを加熱及び部分蒸発すること、及び、
d)最後の室から下部生成流(3)を引き出すこと。
【0037】
この工程の1つの実施の形態では、Aはブタンに代表され、Bはブテンに代表される。この工程のもう1つの実施の形態では、Aはブテンに代表され、Bは1,3-ブタジエンに代表される。
【0038】
本発明に係る工程では、抽出溶媒はAに対してよりもBに対してより高い親和性を有する、即ち抽出溶媒は、Aと共によりもBと共により強い相互作用を起こす。当業者は、抽出溶媒中のA/Bの溶解度を決定することにより、抽出溶媒の対A/対Bの親和性を決定することができる。例えば、前述の当業者は、雰囲気A及び雰囲気Bの下で抽出溶媒の夫々の分割量をかき混ぜることができ、また抽出溶媒中に溶けるA/Bの量を決定することができる。
【0039】
Aがブタンに代表され、Bがブテンに代表されるとき、及びAがブテンに代表され、Bが1,3-ブタジエンに代表されるとき、抽出溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、フルフラール及びジメチルスルホキシドから選択され得る。Aがブテンに代表され、Bが1,3-ブタジエンに代表されるとき、例えば、好ましくは85〜95重量%のN−メチルピロリドン及び6〜12重量%の水を含む、N−メチルピロリドンを含む抽出溶媒が使用される。
【0040】
本発明に係る工程の1実施の形態は、抽出蒸留によるブタンとブテンの分離のための工程に関する。この供給流は、1つ以上の異性体のブタンに加えて、1つ以上の異性体のブテンを含む。ブタン及びブテンに加えて、この流れは、特にまた、下部生成流中のブテンに加えて、その後に溜まるブタジエンを含んでもよい。
【0041】
本発明に係る工程のもう1つの実施の形態は、抽出蒸留によるブタンとブタジエンの分離のための工程に関する。この供給流は、1つ以上の異性体のブテンに加えてブタジエンを含む。ブテン及びブタジエンに加えて、この流れは、特にまた、上部生成流中に溜まるブタン、ブタン及びブテン及び下部生成流の抽出溶媒に溜まるブタジエンを含んでもよい。
【0042】
この工程は、特に、有利に、ブタンの脱水素によってブテンを生成するための又はブタンの酸化脱水素によってブタジエンを生成するための反応混合物の分画用の抽出蒸留であってもよい。抽出蒸留の場合、特に好適なエネルギー源は、熱再生溶媒である。
【0043】
この発明は、図面と実例の実施の形態を参照して、以下に更に詳しく説明される。
【0044】
図面では、同一の参照数字は、同一の又は相当する特徴を表す。